IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネクスペリア ベー.フェー.の特許一覧

<>
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図1A
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図1B
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図2
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図3A
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図3B
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図3C
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図3D
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図3E
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図4
  • 特開-湾曲ウェハステージ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118688
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】湾曲ウェハステージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20230818BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/68 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023020999
(22)【出願日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】22156782.9
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517438583
【氏名又は名称】ネクスペリア ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シュトッケルマンス ヨエプ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェーン ヘイス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッセリング ヤスペル
(72)【発明者】
【氏名】ホウベン パトリック
【テーマコード(参考)】
5F047
5F131
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047FA01
5F047FA07
5F047FA72
5F131AA04
5F131BA54
5F131CA32
5F131EA07
5F131EC33
5F131EC72
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体ダイの配列からターゲットに半導体ダイを移送するための装置を提供する。
【解決手段】装置1において、ウェハチャックは、半導体ダイ2Aの配列が配置され、回転可能に取り付けられた湾曲シェル122を含む。ウェハステージは、湾曲シェルを回転軸の周りに回転させるための第1のモータを更に含む。湾曲した構成により、ウェハステージのスループットが向上する。このウェハステージと共に使用されるフィルムフレームキャリア3は、非対称屈曲剛性を有する環状体を含み、非対称屈曲剛性により、環状体の取り付け面の形状が第1の形状からより凹状の第2の形状に変更されるように環状体を曲げることを可能にし、取り付け面の形状が第1の形状より凸状になるように環状体を曲げることを防止又は制限する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ダイの配列からターゲットに半導体ダイを移送するための装置であって、
前記半導体ダイの配列が配置されたウェハチャックを有するウェハステージと、
前記半導体ダイの配列からの半導体ダイが置かれるターゲットが配置されたターゲットチャックを有するターゲットステージと、
前記半導体ダイの配列から半導体ダイを解放するための解放ユニットと、
前記解放ユニット、前記ウェハステージ及び前記ターゲットステージを制御するためのコントローラと、を含み、
前記ウェハチャックは、前記半導体ダイの配列が配置され、回転可能に取り付けられた湾曲シェルを含み、前記ウェハステージは、前記湾曲シェルを回転軸の周りに回転させるための第1のモータを更に含み、
前記湾曲シェルは、任意に、ドラムなどの円筒形のシェル、又は部分的に円筒形のシェルである、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記半導体ダイの配列から前記ターゲット上に前記半導体ダイを直接移送するように構成され、及び/又は、前記解放ユニットは、前記半導体ダイの配列から半導体ダイを解放して、前記ターゲット上に落下させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ウェハチャックは、前記半導体ダイの配列を担持するキャリアを支持するように構成され、前記キャリアは、任意に、テープ、フィルム又はホイルであり、前記キャリアは、任意に、フィルムフレームキャリアの一部である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記半導体ダイの配列は、ダイシングされた半導体ウェハ又は構造化された半導体ウェハから構成され、及び/又は、
前記回転軸は、前記ターゲットチャックに少なくともほぼ平行に延び、及び/又は、
前記回転軸は、前記湾曲シェルの縦対称軸と一致する、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記ウェハステージは、前記湾曲シェルを、好ましくは前記回転軸に平行及び/又は一致する方向に沿って前後に並進させるための第2のモータを更に含み、及び/又は、前記ウェハステージは、前記湾曲シェルを、前記回転軸に垂直な方向に、好ましくは前記ターゲットチャックに垂直な方向に沿って前後に並進させるための補助的な第2のモータを更に含み、
前記装置は、任意に、固定枠及び第1のキャリッジを更に含み、前記第2のモータ及び/又は補助的な第2のモータは、前記固定枠に対して前記第1のキャリッジを並進させるように構成され、前記第1のモータは、前記第1のキャリッジに対して前記湾曲シェルを回転させるように構成され、又は、
前記装置は、任意に、固定枠を更に含み、前記第2のモータ及び/又は補助的な第2のモータは、前記固定枠に対して前記湾曲シェルを並進させるように構成され、前記第1のモータは、前記固定枠に対して前記湾曲シェルを回転させるように構成される、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記湾曲シェルは、第1の波長を有する光に対して少なくとも部分的に半透明であり、前記解放ユニットは、前記波長を有する光のビームを出力するためのレーザなどの光源を含み、前記半導体ダイの配列は、感光性接着剤などの光吸収剤を使用して、テープ、ホイル又はフィルムに付着し、前記光吸収剤は、前記波長を有する光によって照射されると、前記半導体ダイの配列との付着を少なくとも局所的に解放するように構成され、
前記光吸収剤は、任意に、前記光を吸収した結果として、フォトアブレーションによって、及び/又は前記光吸収剤が化学反応を受けることによって、その付着を少なくとも局所的に解放するように構成され、及び/又は、前記光源は、任意に、所与の半導体ダイに隣接する半導体ダイとは別個の前記半導体ダイの配列の前記所与の半導体ダイを照射するように構成され、前記解放ユニットは、任意に、前記光源から前記光のビームを受け、前記受けたビームを複数の更なるビームに分割するように構成されたビームスプリッタを含み、各更なるビームは、それぞれの所与の半導体ダイを照射するように構成され、
前記光源は、任意に、前記湾曲シェルに向かって、好ましくはほぼ垂直に、光を発するように構成される、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記解放ユニットは、導光ユニットを更に含み、前記光源は、前記導光ユニットに向かって、好ましくは前記回転軸にほぼ平行に、光を発するように構成され、前記導光ユニットは、前記光源から前記湾曲シェルに向かって、好ましくはほぼ垂直に、光を導くように構成され、前記導光ユニットは、任意に、1つ以上のミラー及び/又は1つ以上のプリズムを含み、前記導光ユニットは、任意に、好ましくは前記コントローラによって制御可能である1つ以上のアクチュエータを含み、前記1つ以上のアクチュエータは、前記光源からの光を異なる角度で前記湾曲シェルに導くために、前記光源からの入射光に対して1つ以上のミラー及び/又は1つ以上のプリズムの向きを変更するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記解放ユニットは、前記光源又はアクチュエータとニードルとの組み合わせが取り付けられた第2のキャリッジと、前記湾曲シェルに対して前記第2のキャリッジを移動させるための第3のモータとを含み、前記第2のキャリッジは、任意に、前記湾曲シェルの内側及び/又は上方又は下方を並進するように構成され、請求項7及び請求項5に依存する限りにおいて、前記光源は、任意に、前記固定枠に固着され、前記導光ユニットは、前記第2のキャリッジに取り付けられ、又は、
請求項5に依存する限りにおいて、前記解放ユニットは、前記光源又はアクチュエータとニードルとの組み合わせが取り付けられた第2のキャリッジと、前記固定枠に対して前記第2のキャリッジを移動させるための第3のモータとを含み、前記第2のキャリッジは、任意に、前記湾曲シェルの内側及び/又は上方又は下方を並進するように構成され、請求項7及び請求項5に依存する限りにおいて、前記光源は、任意に、前記固定枠に固着され、前記導光ユニットは、前記第2のキャリッジに取り付けられる、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記ターゲットステージは、好ましくは前記回転軸に平行な平面内で前記ターゲットチャックを並進させるための第4のモータ及び/又は第5のモータ、及び/又は、前記ターゲットチャックを、前記回転軸に垂直な方向に、好ましくは前記ターゲットチャックに垂直な方向に沿って前後に並進させるための補助的な第4のモータを更に含み、
請求項5に依存する限りにおいて、前記第4のモータ及び/又は第5のモータは、任意に、前記ターゲットチャックを前記固定枠に対して並進させるように配置され、
請求項5に依存する限りにおいて、前記第4のモータは、任意に、前記固定枠に対して第3のキャリッジを変位させるように構成され、前記第5のモータは、前記第3のキャリッジに対して前記ターゲットチャックを変位させるように構成される、請求項1~8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記湾曲シェルには、前記半導体ダイの配列を前記湾曲シェルに結合することを可能にするための結合ユニットが設けられ、
前記湾曲シェルには、任意に、複数の開口部が設けられ、前記装置は、前記複数の開口部を通してダイシングされた半導体ウェハに加えられた吸引力を生成するための真空ユニットを更に含み、及び/又は、
前記湾曲シェルには、任意に、前記半導体ダイの配列を機械的に結合するための機械的結合ユニットが設けられ、前記半導体ダイの配列は、好ましくは、フィルムフレームキャリアによって担持され、前記機械的結合ユニットは、好ましくは、前記フィルムフレームキャリアを前記湾曲シェル上にクランプするためのクランプユニットを含む、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記半導体ダイの配列からの半導体ダイを、前記ターゲット上に置く前に検査するように配置された第1の検査システムを更に含み、
前記第1の検査システムは、任意に、前記半導体ダイの配列の半導体ダイの位置及び/又は向きを決定するために配置され、前記コントローラは、前記決定された位置及び/又は向きに応じて、前記ウェハステージ、前記ターゲットステージ、及び/又は前記解放ユニットを制御するように構成され、及び/又は、
前記第1の検査システムは、任意に、前記半導体ダイの配列の半導体ダイが損傷されるか否かを判断するように配置され、前記コントローラは、前記半導体ダイが損傷されると判断された場合、前記ウェハステージ、前記ターゲットステージ及び/又は前記解放ユニットを制御して、前記半導体ダイが前記ターゲット上に置かれることを防止するように構成され、及び/又は、
前記装置は、半導体ダイが前記半導体ダイの配列から解放されたか否かを判断するように配置された第2の検査システムを更に含み、前記コントローラは、好ましくは、前記半導体ダイが解放されていないと判断された場合、前記半導体ダイを解放するために、前記ウェハステージ、前記ターゲットステージ及び/又は前記解放ユニットを制御するように構成され、及び/又は
前記装置は、半導体ダイが前記ターゲット上に適切に置かれているか否かをチェックするように配置された第3の検査システムを更に含み、前記コントローラは、好ましくは、前記半導体ダイの位置及び/又は前記ターゲット上の前記半導体ダイの意図された位置を記憶するように構成され、
前記第1の検査システム、前記第2の検査システム又は前記第3の検査システムは、任意に、カメラを含み、同じカメラは、好ましくは、前記第1の検査システム、前記第2の検査システム及び前記第3の検査システムのうちの2つ以上に使用される、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記解放ユニットは、前記固定枠に対して解放位置に配置された半導体ダイを前記半導体ダイの配列から解放するように構成され、
前記半導体ダイの配列は、任意に、行及び列のマトリクス状に配置された複数の半導体ダイを含み、前記行は、前記回転軸に対して少なくともほぼ平行に延在する、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記ターゲットは、前記半導体ダイの配列からのそれぞれの半導体ダイが置かれる、隣接して配置された置き位置の列又は行を含み、前記隣接して配置された置き位置の列又は行は、それぞれ、前記回転軸に対して少なくともほぼ垂直又は平行に延在し、前記コントローラは、前記ウェハステージを制御して、前記ターゲットのそれぞれの置き位置上の前記半導体ダイの配列の同じ列に半導体ダイを置くために前記湾曲シェルを断続的又は連続的に回転させ、前記置かれるダイの半導体ダイの配列の前記列を使い果たした後、前記湾曲シェルを並進運動させて、前記半導体ダイの配列の半導体ダイの隣接する列にシフトするように構成され、
請求項5に依存する限りにおいて、前記コントローラは、任意に、前記湾曲シェルの並進運動中に前記固定枠に対して前記解放位置を維持して、前記半導体ダイの配列の半導体ダイの隣接する列にシフトするように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ターゲットは、前記半導体ダイの配列からのそれぞれの半導体ダイが置かれる、隣接して配置された置き位置の列を複数含み、前記コントローラは、前記ターゲット上の同じ列内の全ての置き位置に前記半導体ダイの配列からの半導体ダイが設けられた後、前記ウェハステージ及び/又はターゲットステージを制御して前記ターゲットと前記湾曲シェルとの間の相互並進運動を引き起こすように構成され、請求項5に依存する限りにおいて、前記コントローラは、任意に、前記ターゲットと前記湾曲シェルとの間の相互並進運動中に、前記固定枠に対して前記解放位置を維持するように構成され、又は、請求項5に依存する限りにおいて、前記コントローラは、任意に、前記固定枠に対して前記回転軸に平行な方向に前記ターゲット上の前記列の位置を維持し、前記ターゲット上の同じ列内の全ての置き位置に前記半導体ダイの配列からの半導体ダイが設けられた後、前記解放位置を変更して前記ターゲット上の次の列にシフトするように構成され、
前記装置は、任意に、前記ターゲット上の異なる列の置き位置にある前記半導体ダイの配列からの半導体ダイをほぼ同時解放するための前記解放ユニットを複数含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の装置において使用されるように構成され、半導体ダイの配列が配置されたウェハチャックを有するウェハステージであって、
前記ウェハチャックは、前記半導体ダイの配列が配置され、回転可能に取り付けられた湾曲シェルを含み、前記ウェハステージは、前記湾曲シェルを回転軸の周りに回転させるための第1のモータを更に含む、ウェハステージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、半導体ダイの配列からターゲットに半導体ダイを移送するための装置に関する。本開示の更なる態様は、このような装置において使用されるウェハステージに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイシングされた半導体ウェハからターゲットに半導体ダイを移送するための装置は、当技術分野で知られている。例えば、特許文献1は、ダイシングされた半導体ウェハが配置され得るウェハチャックを有するウェハステージと、ターゲットが配置され得るターゲットチャックを有するターゲットステージとを含む装置を開示している。ウェハステージとターゲットステージの両方は、ウェハチャック上のダイシングされた半導体ウェハとターゲットチャック上のターゲットとの間の相互位置を変更するための1つ以上のモータを含む。装置は、ダイシングされた半導体ウェハから半導体ダイを解放するためのニードルの形態の解放ユニットを更に含む。解放ユニット、ウェハステージ及びターゲットステージは、コントローラを使用して制御される。
【0003】
既知のシステムでは、ダイシングされた半導体ウェハは、例えばプリント回路基板であり得るターゲットに近づけられる。半導体ウェハ上の半導体ダイがターゲット上の意図された位置と位置合わせされると、ニードルは半導体ダイと位置合わせされる。次に、ニードルは、半導体ウェハから離し、ターゲット上に移送するように半導体ダイを押し付ける。
【0004】
上記ダイ移送は、直接ダイ移送と呼ばれる。より具体的には、ダイは、ダイを解放するステップとダイをターゲット上に置くステップとの間に置かれるか又は支持されることなく、ダイシングされた半導体ウェハからターゲット上に移送される。
【0005】
上述したタイプの装置の重要な性能指数は、単位時間当たりに移送され得る半導体ダイの数である。この時間は、多くの場合、ターゲットに対して半導体ウェハを位置決めするステップによって限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017-140959号明細書
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、半導体ダイの配列がターゲットに対して位置決めされる異なる方法を用いる、半導体ダイの配列からターゲットに半導体ダイを移送するための装置を提供することに関する。本開示の一態様によれば、この位置決めの異なる方法により、半導体ダイをターゲット上に移送するのに必要な時間の短縮を達成することを可能にすることができる。
【0008】
本開示の一態様によれば、装置のウェハチャックは、半導体ダイの配列が配置され、回転可能に取り付けられた湾曲シェルを含む。更に、ウェハステージは、湾曲シェルを回転軸の周りに回転させるための第1のモータを含む。
【0009】
特許文献1に開示された装置は、半導体ウェハをx方向及びy方向に変位させるように構成されたリニアモータを使用するリニアXYステージを含む。このようなウェハステージによって得られる加速度は、モータトポロジと電力消費によって限定される。これらのウェハステージの性能を向上させ、例えば、位置決め速度を増加させるために、可動コイルトポロジが必要になる。しかしながら、これは可動コイルを冷却して電力消費能力を向上させるという関連する問題をもたらす。
【0010】
本開示の一態様によれば、リニアモータで加速度が限定されるという問題は、半導体ダイの配列が配置され得る、回転可能に取り付けられた湾曲シェルを使用して緩和される。このシェルは、ウェハステージの一部であり、湾曲シェルを回転軸の周りに回転させるように構成される第1のモータを使用して作動される。
【0011】
回転運動を与えるためのモータは、単位放散熱当たりのより高い力又はトルク、及び/又は単位電力当たり及び使用される磁石の単位重量当たりのより高い力/トルクを与える。これは、所与の質量及び電力レベルに対して、直動磁石モータよりも高い加速度を達成することができることを意味する。
【0012】
装置は、好ましくは、半導体ダイの配列からターゲット上に半導体ダイを直接移送するように構成される。解放ユニットは、半導体ダイの配列から半導体ダイを解放して、ターゲット上に落下させるように構成され得る。この場合、解放ユニットは、半導体ダイがターゲット上の所望の位置に到達した瞬間に半導体ダイと係合していない。他の実施形態では、補助ユニットは、解放された半導体ダイをターゲットに導くために使用され得る。例えば、圧縮空気の噴出は、解放された半導体ダイをターゲットに向かって押すために使用されてもよい。このような場合、半導体ダイは、地球の重力に逆らってターゲットに向かって変位され得る。
【0013】
ウェハチャックは、半導体ダイの配列を担持するキャリアを支持するように構成され得る。例えば、キャリアは、テープ、フィルム又はホイルであり得る。更に、キャリアは、フィルムフレームキャリアの一部であり得る。
【0014】
半導体ダイの配列は、ダイシングされた半導体ウェハ又は構造化された半導体ウェハから構成され得る。構造化された半導体ウェハは、ダイが由来する半導体ウェハをダイシングする前に配置されたパターンとは異なるパターンで配置された複数の半導体ダイを含んでもよい。代替的に、構造化された半導体ウェハは、異なる半導体ウェハに由来する複数の半導体ダイを含んでもよい。このような場合、半導体ダイは、フィルム、ホイル又はテープなどのキャリア上に個別に置かれている。
【0015】
回転軸は、好ましくは、ターゲットチャックに少なくともほぼ平行に延びる。このようにして、次の半導体ダイを前の半導体ダイと同じ位置で解放する必要があるとすれば、湾曲シェルを回転させて次の半導体ダイを解放ユニットと整列させるときに、解放ユニットの位置を一定に保つことができる。ここで、ターゲットは、典型的には、次の半導体ダイが解放されるときに移動されることに留意されたい。更に、回転軸は、湾曲シェルの縦対称軸と一致してもよい。
【0016】
ウェハステージは、湾曲シェルを、好ましくは回転軸に平行及び/又は一致する方向に沿って前後に並進させるための第2のモータを更に含んでもよい。ウェハステージは、湾曲シェルを、第2のモータによって付与される方向と比較して垂直方向に並進させるための別の第2のモータを更に含んでもよい。例えば、第2のモータ及び上記別の第2のモータは、ターゲットステージのターゲットテーブルが並進される平面と同様のXY平面内で湾曲シェルを並進させるために協働することができる。
【0017】
ウェハステージは、湾曲シェルを、回転軸に垂直な方向に、好ましくはターゲットチャックに垂直な方向に沿って前後に並進させるための補助的な第2のモータを更に含んでもよい。例えば、補助的な第2のモータは、湾曲シェルを垂直に変位させて、解放される半導体ダイとターゲットとの間の特定の垂直間隔を確保又は維持するように構成されてもよい。このような間隔が小さすぎると、ターゲットと半導体ダイは、ターゲット及び/又は湾曲シェルの移動中に接触する可能性がある。間隔が大きくなりすぎると、ターゲット上の半導体ダイの位置及び/又は向きの変動は許容できなくなる可能性がある。
【0018】
追加的に又は代替的には、装置は、固定枠及び第1のキャリッジを更に含み、第2のモータ及び/又は補助的な第2のモータは、固定枠に対して第1のキャリッジを並進させるように構成され、第1のモータは、第1のキャリッジに対して湾曲シェルを回転させるように構成される。この場合、湾曲シェルの回転及び並進が積み重ねられる。他の実施形態では、第2のモータ及び/又は補助的なモータは、固定枠に対して湾曲シェルを並進させるように構成され、第1のモータは、固定枠に対して湾曲シェルを回転させるように構成される。この場合、回転及び並進は、固定枠に対して互いに独立して実行される。
【0019】
湾曲シェルは、第1の波長を有する光に対して少なくとも部分的に半透明であり得る。この場合、解放ユニットは、上記波長を有する光のビームを出力するためのレーザなどの光源を含んでもよい。半導体ダイの配列は、感光性接着剤などの光吸収剤を使用して、テープ、ホイル又はフィルムに付着することができる。光吸収剤は、上記波長を有する光によって照射されると、半導体ダイの配列との付着を少なくとも局所的に解放するように構成され得る。例えば、光吸収剤は、光を吸収した結果として、フォトアブレーションによって、及び/又は光吸収剤が化学反応を受けることによって、その付着を少なくとも局所的に解放するように構成され得る。光源は、所与の半導体ダイに隣接する半導体ダイとは別個の半導体ダイの配列の上記所与の半導体ダイを照射するように構成され得る。例えば、光源は、一度に半導体ダイの配列の1つの半導体ダイを照射するように構成され得る。しかしながら、解放ユニットは、光源から光のビームを受け、上記受けたビームを複数の更なるビームに分割するように構成されたビームスプリッタを含んでもよく、各更なるビームは、それぞれの所与の半導体ダイを照射するように構成される。
【0020】
光源は、湾曲シェルに向かって、好ましくはほぼ垂直に、光を発するように構成され得る。そして、光源は、好ましくは、湾曲シェルの内側及び/又は上方又は下方に配置される。代替的に、光源は、回転軸にほぼ平行な方向に光を発するように構成され得る。この場合、解放ユニットは、導光ユニットを更に含んでもよい。光源は、導光ユニットに向かって、好ましくは回転軸にほぼ平行に、光を発するように構成され得て、導光ユニットは、光源から湾曲シェルに向かって、好ましくはほぼ垂直に、光を導くように構成され得る。この場合、光源は、湾曲シェルの外側及び/又は湾曲シェルの隣りに配置され得る。
【0021】
導光ユニットは、1つ以上のミラー及び/又は1つ以上のプリズムを含んでもよい。更に、導光ユニットは、好ましくはコントローラによって制御可能である1つ以上のアクチュエータを含んでもよく、1つ以上のアクチュエータは、光源からの光を異なる角度で湾曲シェルに導くために、光源からの入射光に対して1つ以上のミラー及び/又は1つ以上のプリズムの向きを変更するように構成される。このようにして、湾曲シェルがその縦対称軸に沿ってその位置を変更しなくても、光源からの光が湾曲シェルに当たる場所は変更することができる。導光ユニットは、例えば、MEMSベースであってもよい。例えば、MEMSベースのミラーは比較的軽量であり、移送される隣接するダイ間の高速切り替えを可能にする。
【0022】
光を使用する代わりに、解放ユニットは、ニードルなどの係合素子と、半導体ダイの配列から半導体ダイを解放するために、半導体ダイの配列との係合及び係合解除を行うように係合素子を移動させるためのアクチュエータとを代替的に含んでもよい。係合素子は、典型的には、湾曲シェルの内側及び/又は上方又は下方に配置される。
【0023】
上述したように、半導体ダイの配列を完全に使い果たすために、解放ユニットが半導体ダイの配列からの半導体ダイを解放する位置を変更する必要がある。この目的のために、解放ユニットは、光源又はアクチュエータとニードルとの組み合わせが取り付けられた第2のキャリッジと、湾曲シェルに対して第2のキャリッジを移動させるための第3のモータとを含んでもよい。この場合、第2のキャリッジの移動と湾曲シェルの移動が積み重ねられる。更に、典型的には、第3のモータは、湾曲シェルの縦対称軸に沿って及び/又は平行に、湾曲シェルに対して第2のキャリッジを変位させるだけである。代替的に、解放ユニットは、光源又はアクチュエータとニードルとの組み合わせが取り付けられた第2のキャリッジと、固定枠に対して第2のキャリッジを移動させるための第3のモータとを含んでもよい。したがって、この場合、第2のキャリッジの移動と湾曲シェルの移動が互いに独立している。両方の場合に、第2のキャリッジは、湾曲シェルの内側及び/又は上方又は下方を並進するように構成され得る。更に、解放ユニットが上述した光源及び導光ユニットを含む場合、光源は固定枠に固着されてもよく、導光ユニットは第2のキャリッジに取り付けられてもよい。
【0024】
ターゲットステージは、好ましくは回転軸に平行な平面内でターゲットチャックを並進させるための第4のモータ及び/又は第5のモータ、及び/又は、ターゲットチャックを、回転軸に垂直な方向に、好ましくはターゲットチャックに垂直な方向に沿って前後に並進させるための補助的な第4のモータを更に含んでもよい。第4のモータ及び/又は第5のモータは、ターゲットチャックを固定枠に対して並進させるように配置され得る。代替的に、互いに直交する2つの方向への移動が積み重ねられ得る。例えば、第4のモータは、固定枠に対して第3のキャリッジを変位させてもよく、第5のモータは、第3のキャリッジに対してターゲットチャックを変位させてもよい。
【0025】
湾曲シェルには、半導体ダイの配列を湾曲シェルに結合することを可能にするための結合ユニットが設けられ得る。例えば、湾曲シェルには、複数の開口部が設けられ得る。この場合、装置は、複数の開口部を通して半導体ダイの配列に加えられた吸引力を生成するための真空ユニットを更に含んでもよい。代替的に又は追加的には、湾曲シェルには、半導体ダイの配列を機械的に結合するための機械的結合ユニットが設けられ得る。半導体ダイの配列は、好ましくは、フィルムフレームキャリアによって担持される。この場合、機械的結合ユニットは、好ましくは、フィルムフレームキャリアを湾曲シェル上にクランプするためのクランプユニットを含む。
【0026】
湾曲シェルは、ドラムなどの円筒形のシェル、又は部分的に円筒形のシェルであり得る。例えば、シェルは、1/n円筒形のシェルであり得る。n=2である場合、シェルは半円筒形のシェルに対応する。n=1である場合、シェルはドラムなどの円筒形のシェルに対応する。しかしながら、本開示の態様は、回転軸及び/又は縦対称軸に垂直な断面が円形又は部分的に円形ではない湾曲シェルにも同様に関する。これらの場合、ターゲットと次に解放される半導体ダイとの間でほぼ一定の間隔を維持するために、湾曲シェル及びターゲットを相互に並進させることが好ましい。
【0027】
ダイの配列が配置される湾曲シェルを有することにより、半導体ダイが解放される位置の近くに検査システムを取り付ける可能性を提供する。例えば、装置は、半導体ダイの配列からの半導体ダイを、ターゲット上に置く前に検査するように配置された第1の検査システムを含んでもよい。第1の検査システムは、半導体ダイの配列の半導体ダイの位置及び/又は向きを決定するために配置され得て、コントローラは、決定された位置及び/又は向きに応じて、ウェハステージ、ターゲットステージ及び/又は解放ユニットを制御するように構成される。半導体ダイの配列を湾曲シェルに結合する場合、半導体ダイの位置及び/又は向きは、例えば、半導体ダイが配置されたキャリアのしわ又は他の歪みにより変更されてもよい。第1の検査システムは、半導体ダイの位置及び/又は向きを、好ましくは湾曲シェルに対して、及び/又は半導体ダイの理想的な位置及び/又は向きに対して記録してもよい。この記録された位置は、その後、ダイを解放する前に補正を実行するために使用され得る。例えば、ダイをその理想的な位置に対して回転軸に沿ってシフトした場合、湾曲シェルは、解放ユニットが半導体ダイを解放する前に、他の方向にわずかに並進されてもよい。この場合、解放ユニットの位置を変更する必要はない。他の実施形態では、ターゲットは、湾曲シェルを同じ位置に維持しながら、解放ユニットと共に変位される。また更なる実施形態では、解放ユニット、ターゲット及び湾曲シェルが全て移動される。
【0028】
第1の検査システムは、追加的に又は代替的に、半導体ダイの配列の半導体ダイが損傷されるか否かを判断するように配置され得る。この場合、コントローラは、上記半導体ダイが損傷されると判断された場合、ウェハステージ、ターゲットステージ及び/又は解放ユニットを制御して、半導体ダイがターゲット上に置かれることを防止するように構成され得る。このようにして、損傷された半導体ダイがスキップされ得る。
【0029】
装置は、半導体ダイが半導体ダイの配列から解放されたか否かを判断するように配置された第2の検査システムを更に含んでもよい。そして、コントローラは、上記半導体ダイが解放されていないと判断された場合、上記半導体ダイを解放するために、ウェハステージ、ターゲットステージ及び/又は解放ユニットを制御するように構成され得る。このようにして、解放ユニットは、再び半導体ダイを解放することを試みてもよい。
【0030】
代替的に又は追加的には、装置は、半導体ダイがターゲット上に適切に置かれているか否かをチェックするように配置された第3の検査システムを更に含んでもよい。この場合、コントローラは、上記半導体ダイの位置及び/又はターゲット上の上記半導体ダイの意図された位置を記憶するように構成され得る。後期段階で、半導体ダイは、この位置でターゲットから取り外され得る。
【0031】
第1、第2及び/又は第3の検査システムは、カメラを含んでもよく、同じカメラは、好ましくは、第1、第2及び第3の検査システムのうちの2つ以上に使用される。第1、第2及び/又は第3の検査システムのカメラは、固定枠に対して移動可能に取り付けられ得る。例えば、カメラは、湾曲シェルの縦対称軸に沿って移動するように構成され得る。
【0032】
解放ユニットは、固定枠に対して解放位置に配置された半導体ダイを半導体ダイの配列から解放するように構成され得る。半導体ダイの配列は、行及び列のマトリクス状に配置された複数の半導体ダイを含んでもよく、行は、回転軸に対して少なくともほぼ平行に延在する。
【0033】
ターゲットは、半導体ダイの配列からのそれぞれの半導体ダイが置かれる、隣接して配置された置き位置の列又は行を含んでもよく、隣接して配置された置き位置の列又は行は、それぞれ、回転軸に対して少なくともほぼ垂直又は平行に延在する。このようなターゲットの例は、半導体ダイが配置された複数のキャビティを含むキャリアテープであり得る。この場合、コントローラは、ウェハステージを制御して、ターゲットのそれぞれの置き位置上の半導体ダイの配列の同じ列に半導体ダイを置くために湾曲シェルを断続的又は連続的に回転させ、上記置かれるダイの半導体ダイの配列の列を使い果たした後、湾曲シェルを並進運動させて、半導体ダイの配列の半導体ダイの隣接する列にシフトするように構成され得る。更に、コントローラは、湾曲シェルの並進運動中に固定枠に対して解放位置を維持して、半導体ダイの配列の半導体ダイの隣接する列にシフトするように構成され得る。例えば、解放ユニットは、湾曲シェルが回転及び並進している間、固定枠に対して固定されてもよい。
【0034】
上記に加えて、ターゲットは、半導体ダイの配列からのそれぞれの半導体ダイが置かれる、上記隣接して配置された置き位置の列を複数含んでもよい。この場合、コントローラは、ターゲット上の同じ列内の全ての置き位置に、半導体ダイの配列からの半導体ダイが設けられた後、ウェハステージ及び/又はターゲットステージを制御してターゲットと湾曲シェルとの間の相互並進運動を引き起こすように構成され得る。この場合、コントローラは、上記ターゲットと湾曲シェルとの間の相互並進運動中に、固定枠に対して解放位置を維持するように構成され得る。代替的に、コントローラは、固定枠に対して回転軸に平行な方向にターゲット上の列の位置を維持し、ターゲット上の同じ列内の全ての置き位置に、半導体ダイの配列からの半導体ダイが設けられた後、解放位置を変更してターゲット上の次の列にシフトするように構成され得る。
【0035】
装置は、ターゲット上の異なる列の置き位置にある半導体ダイの配列からの半導体ダイをほぼ同時解放するための上述した解放ユニットを複数含んでもよい。各解放ユニットは、コントローラによって独立して制御され得る。
【0036】
本開示の更なる態様によれば、半導体ダイの配列が配置されたウェハチャックを有するウェハステージが提供され、ウェハチャックは、半導体ダイの配列が配置され、回転可能に取り付けられた湾曲シェルを含み、ウェハステージは、湾曲シェルを回転軸の周りに回転させるための第1のモータを更に含む。このウェハステージは、更に、上述した装置のウェハステージとして構成され得る。
【0037】
本開示の更なる態様によれば、上述した装置の湾曲シェルに取り付けられるように構成されたフィルムフレームキャリアが提供される。フィルムフレームキャリアは、テープフレームとも呼ばれる。
【0038】
フィルムフレームキャリアは、半導体ダイの配列が配置された可撓性キャリアフィルム、ホイル又はテープの支持面に結合されるように構成された取り付け面を有する環状体を含む。環状体は、円形、長方形又は正方形の形状を有してもよいが、これらに限定されない。
【0039】
環状体は、非対称屈曲剛性を有し、非対称屈曲剛性により、環状体の取り付け面が第1の形状からより凹状の第2の形状に変更されるように環状体を曲げることを可能にし、取り付け面の形状が第1の形状より凸状になるように環状体を曲げることを防止又は制限する。非対称屈曲剛性により、環状体は、剛性を失うことなく環状体を移動させるために両側で把持され得る。これにより、湾曲シェル上へのフィルムフレームキャリアの自動移送が可能になり、及び/又は、次に環状体に結合された可撓性キャリアフィルムに取り付けられたまま、ウェハをダイシングすることが可能になる。第1の形状は、取り付け面が達成できる最も凸状の形状に対応してもよい。
【0040】
非対称屈曲剛性は、環状体の取り付け面を第1の形状からより凹状の第2の形状に可逆的に変更するように環状体を曲げることを可能にするように構成され得る。代替的に、曲げは、環状体の塑性変形をもたらす可能性がある。
【0041】
第1の形状は、本質的に平坦な形状に対応してもよい。追加的に又は代替的には、第1の形状を有する場合の取り付け面の曲率は0.2m-1未満であり得て、第2の形状を有する場合の取り付け面の曲率は3.3m-1超であり得る。
【0042】
環状体は、板ばねを含んでもよく、及び/又は少なくとも部分的に板ばねによって形成され得る。更に、板ばねの表面は、取り付け面を形成するか又は取り付け面の一部であってもよい。環状体は、板ばねに接続され、取り付け面の形状が第1の形状より凸状になるように環状体を曲げることを防止又は制限するための制限手段を更に含んでもよい。制限手段は、上記取り付け面から離れるように導かれる表面において板ばねに結合され得る。追加的に又は代替的には、制限手段は、板ばねに接続される複数のセグメントを含んでもよく、取り付け面が第1の形状である場合、隣接するセグメントが互いに当接することにより、取り付け面の形状が第1の形状より凸状になるように板ばねを曲げることを防止又は制限し、セグメントは、板ばねを曲げると当接から離れるように構成され、取り付け面を第1の形状からより凹状の形状に変換させる。
【0043】
代替的に、環状体は、複数のセグメントを含んでもよく、セグメントは、互いにヒンジで接続される。例えば、複数のセグメントのうちの隣接して配置されたそれぞれの対のセグメントは、それぞれの回転軸の周りに互いに枢動するように構成されてもよい。更に、複数のセグメントのうちの隣接して配置された全ての対のセグメントの枢動運動を表す回転軸は、互いに平行であり得る。
【0044】
複数のセグメントのうちの隣接して配置された少なくとも1対のセグメントについて、一方のセグメントは、上記一方のセグメントの第1の端部に配置された第1の結合構造を含んでもよく、他方のセグメントは、上記他方のセグメントの第2の端部に配置された第2の結合構造を含んでもよい。第1の結合構造と第2の結合構造は、上記一方のセグメントと上記他方のセグメントが回転軸の周りに互いに枢動することを可能にするように互いにヒンジで接続され得る。上記一方のセグメントは、上記一方のセグメントの第1の側とは反対側の上記一方のセグメントの第2の側に配置された上記第2の結合構造を含んでもよい。上記他方のセグメントは、上記他方のセグメントの第2の側とは反対側の上記他方のセグメントの第1の側に配置された上記第1の結合構造を含んでもよい。
【0045】
第1の結合構造は第1の開口部を含んでもよく、第2の結合構造は、上記第1の開口部に回転可能に受容され、回転軸を画定する突出素子を含んでもよい。この突出素子は、ピン、ロッド、又はシャフトであり得る。
【0046】
代替的に、第1の結合構造は、第1の開口部を含んでもよく、第2の結合構造は第2の開口部を含み、フィルムフレームキャリアは、第1及び第2の開口部の少なくとも1つに回転可能に受容され回転軸を画定するシャフトを含む。
【0047】
上記複数のセグメントのうちの隣接して配置されたそれぞれの対のセグメントについて、一方のセグメントは第1の当接面(abutment surface)を含んでもよく、他方のセグメントは第2の当接面を含んでもよい。第1の当接面及び第2の当接面は、取り付け面が第1の形状を有する場合、取り付け面が第1の形状より凸状になるように環状体を曲げることを防止するために、互いに当接するように回転軸に対して成形及び位置決めされ得る。
【0048】
セグメントは、鋼、アルミニウム、チタン、ポリマー又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で製造され得る。
【0049】
本開示の更なる態様によれば、上記で定義されたフィルムフレームキャリアと、ダイの配列が配置された支持面を有するキャリアフィルム、ホイル又はテープとを含むアセンブリが提供され、ダイの配列を有するキャリアフィルム、ホイル又はテープは、その支持面でフィルムフレームキャリアの取り付け面に結合される。
【0050】
キャリアフィルム、ホイル又はテープには、半導体ダイの配列を支持面に付着させ、キャリアフィルム、ホイル又はテープをフィルムフレームキャリアの取り付け面に結合する付着層が設けられ得る。付着層は、感光性接着剤などの光吸収剤を含んでもよく、光吸収剤は、上記波長を有する光によって照射されると、半導体ダイの配列との付着を少なくとも局所的に解放するように構成される。光吸収剤は、光を吸収した結果として、フォトアブレーションによって、及び/又は光吸収剤が化学反応を受けることによって、その付着を少なくとも局所的に解放するように構成され得る。より具体的には、光吸収層によって吸収されたエネルギーは、半導体ダイを解放するために使用されるだけでなく、半導体ダイをターゲットに向かって駆動する何らかの推進力を供給するためにも使用され得る。
【0051】
半導体ダイの配列は、ダイシングされた半導体ウェハ又は構造化された半導体ウェハから構成される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本開示の特徴を詳細に理解できるように、実施形態を参照してより具体的な説明を行い、実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は典型的な実施形態のみを示しているため、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。図面は、本開示の理解を容易にするためのものであり、したがって、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。請求される主題の利点は、同様の要素を示すために同様の参照番号が使用されている付随の図面と併せてこの説明を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
図1A】本開示の一態様による、半導体ダイの配列からターゲット上に半導体ダイを置くための装置の一実施形態の一部を示す。
図1B】対応する概略図である。
図2図1Aの装置に対応する概略断面図である。
図3A】本開示の一態様による、半導体ダイの配列からターゲット上に半導体ダイを置くための装置の更なる実施形態及び図を示す。
図3B】本開示の一態様による、半導体ダイの配列からターゲット上に半導体ダイを置くための装置の更なる実施形態及び図を示す。
図3C】本開示の一態様による、半導体ダイの配列からターゲット上に半導体ダイを置くための装置の更なる実施形態及び図を示す。
図3D】本開示の一態様による、半導体ダイの配列からターゲット上に半導体ダイを置くための装置の更なる実施形態及び図を示す。
図3E】本開示の一態様による、半導体ダイの配列からターゲット上に半導体ダイを置くための装置の更なる実施形態及び図を示す。
図4】本発明の一態様による、可撓性フィルムフレームキャリアの第1の実施形態を示す。
図5】本発明の一態様による、可撓性フィルムフレームキャリア用の環状体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、ダイシングされた半導体ウェハからの半導体ダイがターゲット上に置かれる実施形態が示される。しかしながら、本発明は、ダイシングされた半導体ウェハからの半導体ダイを置くことに限定されない。一般に、ダイの配列から半導体ダイを置くことができ、ダイの配列は、ダイシングされた半導体ウェハ及び構造化されたウェハを含むが、これらに限定されない。
【0054】
図1Aは、本開示の一態様による、ダイシングされた半導体ウェハ2からターゲット113上に半導体ダイ2Aを置くための装置1の一実施形態の一部を示す。ここで、ダイシングされた半導体ウェハ2は、可撓性フィルムフレームキャリアFFFC3に取り付けられたキャリアフィルム4上に配置される。典型的には、ウェハは、カセット5、トレイなどから装置1に供給される。これは、自動化された方法で実行され得る。
【0055】
断面が図5に示されるFFFC3は、キャリアフィルム4の支持面43に結合された取り付け面31を有する環状体30を含む。ここで、可撓性キャリアフィルム4は、付着層41によって覆われる、典型的には、ポリ塩化ビニルで製造されたバッキング/支持層42を含む。この後者の層を使用して、複数の半導体ダイ2Aを含むダイシングされた半導体ウェハ2は、バッキング層42に付着する。
【0056】
環状体30は、非対称屈曲剛性を有し、非対称屈曲剛性により、取り付け面31が、図5の上図に示されるような第1の形状から、図5の中央の図に示されるようなより凹状の第2の形状に変更されるように環状体30を曲げることを可能にする。同時に、非対称剛性により、取り付け面31の形状が第1の形状より凸状になるように環状体30を曲げることを防止する。
【0057】
環状体30は、板ばね32と、それぞれの接続部33を使用して板ばね32にそれぞれ接続された複数のセグメント34とを含む。第1の形状では、隣接するセグメント34、より具体的には、1つのセグメント34Aの表面35Aと隣接するセグメント34Bの表面35Bとは、互いに当接する。その結果、図5に示す環状体30の中央部分に対して左右端部を上方に移動させることにより環状体30を曲げることができない。しかしながら、逆も可能であり、ここで取り付け面31がより凹状の形状を呈する。これは、図5の中央の図に示される。ここで、セグメント34A及び34Bは当接していない。板ばね32を使用することにより、環状体30の形状変形を可逆にすることができる。しかしながら、第1の形状から第2の形状への曲げが塑性変形を含む実施形態が同様に可能である。このような実施形態では、環状体30は、使用後に廃棄されてもよい。
【0058】
非対称屈曲剛性を有するFFFC用の環状体30の別の実施形態は図4に示される。この実施形態では、環状体30は、ヒンジで接続された複数のセグメント34を含む。例えば、図4は、セグメント34A及びセグメント34Bを示す。これらのセグメントは、セグメント34A及び34Bが互いにヒンジで接続されたシャフト37が配置された開口部36A及び36Bをそれぞれ含む。これは、線L1及びL2に対応する断面図により詳細に示される。シャフト37は、セグメント34A及び34Bの一方に固定的に接続され得て、他方の開口部36A及び36Bで回転することができる。代替的に、シャフト37は、開口部36A及び36Bの両方で回転することができる。
【0059】
図4では、環状体30の取り付け面31は、本質的に平坦な形状である第1の形状で示される。図5に示す実施形態と同様に、取り付け面31は、キャリアフィルム4の支持面43に結合され得る。セグメント34A及び34Bは、それぞれ当接面(abutting surface)35A及び35Bを含む。シャフト37に対する表面35A及び35Bの位置決めは、取り付け面31がより凸状になるように環状体30を曲げることができないことを決定する。しかしながら、取り付け面31がより凹状になるように環状体30を曲げることは可能である。表面35A及び35Bは異なる位置に配置されてもよいことに留意されたい。例えば、それらは、縦方向の位置が異なっていても、シャフト37とほぼ同一直線上にあってもよい。
【0060】
再び図1Aを参照すると、図5に示されるように具現化され、その上に配置されるダイシングされた半導体ウェハ2を有するFFFC3は、回転軸122Aの周りに回転できる、回転可能に取り付けられた湾曲シェル122に取り付けられ得る。この目的のために、湾曲シェル122には、FFFC3に吸引力を加えることができる多数の小開口部が設けられてもよい。代替的に、FFFC3は、クランプなどの機械的取り付けにより、湾曲シェル122に取り付けられてもよい。
【0061】
図1Aには、説明のために、湾曲シェル122に配置された半導体ウェハ2用の環状体30が表示されていないことに留意されたい。更に、図1Aは、回転軸122Aに平行な縦対称軸を有するセグメント34が一般に細長くされることを示す。
【0062】
湾曲シェル122を回転及び並進させることにより、ダイシングされた半導体ウェハ2は、半導体ダイ2Aが配置されたターゲット113に対して位置決めすることができる。ターゲット113は、ターゲットチャック112の支持面112Aに配置される。適切に配置されると、ダイシングされた半導体ウェハ2から半導体ダイ2Aを解放するための解放ユニット(図1Aには図示されていない)が使用されることにより、半導体ダイ2Aをターゲット113上の意図された位置に配置することを可能にする。
【0063】
図1Bは、図1Aの装置を概略的に示す。示されるように、装置1は、検査システム140から受信したデータに基づいて、ターゲットステージ110、ウェハステージ120及び解放ユニット130を制御するコントローラ100を含む。コントローラ100は、導電性接着剤151、はんだなどの小さな液滴をターゲット113上に分配するように構成された分配装置150を更に制御する。
【0064】
ターゲットステージ110は、ターゲット113が配置されたターゲットチャック112の位置を制御するための1つ以上のモータを含む。例えば、ターゲットステージ110は、回転軸122Aに平行なx方向に沿ってターゲットチャック112を並進させるためのモータMT0と、ターゲットチャック112の支持面112Aに垂直なz方向に沿ってターゲットチャック112を並進させるためのモータMT2と、x方向及びz方向に垂直なy方向に沿ってターゲットチャック112を並進させるためのモータMT1とを含んでもよい。
【0065】
ウェハステージ120は、半導体ウェハ2が配置された湾曲シェル122の位置を制御するための1つ以上のモータを含む。例えば、ウェハステージ120は、x方向に沿って湾曲シェル122を並進させるためのモータMW0と、z方向に沿って湾曲シェル122を並進させるためのモータMW2と、回転軸122Aの周りに湾曲シェル122を回転させるためのモータMW3とを含んでもよい。
【0066】
解放ユニット130は、光源132をx方向に並進させるためのモータMR0を含んでもよい。
【0067】
本開示は、上述したモータの組み合わせに限定されないことに留意されたい。ターゲットステージ110、ウェハステージ120及び解放ユニット130は、より多いか又はより少ないモータ、及び/又は異なる方向に並進するためのモータを含んでもよい。
【0068】
検査システム150は、半導体ウェハ2及び/又はその中に配置された半導体ダイ2A、及び/又はターゲット113の画像を記録するための1つ以上の光学カメラを含んでもよい。静止画又は動画であってもよいこれらの記録された画像に基づいて、コントローラ100は、置かれる各半導体ダイ2Aがターゲット113上の意図された位置に配置されることを確保するように、ターゲットステージ110、ウェハステージ120及び/又は解放ユニット130を制御する。この置きプロセスについては、図2を参照して次に詳細に説明する。
【0069】
図2は、図1Aの装置に対応する概略断面図である。ここで、ターゲット113、例えばプリント回路基板が示される。ターゲット113は、ダイシングされた半導体ウェハ2からの半導体ダイ2Aが置かれる必要がある複数の意図された置き位置を含む。半導体ダイ2Aを配置する前に、導電性接着剤、はんだなどの液滴151は、分配装置150によってターゲット113上に供給、例えば、分配される。
【0070】
インサートIに示すように、ターゲット113には、行R及び列Cに配置される複数の液滴151が設けられてもよい。同様に、半導体ダイ2Aは、半導体ウェハ2上に行r及び列cのマトリクス状に配置されてもよい。ここで、ダイシングされた半導体ウェハ2上の列c及びターゲット113上の列Cは、それぞれ、湾曲シェル122の縦対称軸及び/又は回転軸122Aに垂直に延在すると仮定される。
【0071】
液滴151をターゲット113上に堆積又は他の方法で配置した後、ターゲット113は、湾曲シェル122の下に移動されて、ダイシングされた半導体ウェハ2から解放される半導体ダイ2Aを受け取る。そのために、解放ユニット130が使用される。
【0072】
湾曲シェル122は、少なくとも大部分において、回転軸122Aに沿って一定の断面を有する。湾曲シェル122は、部分的に円形又は円筒形のシェルであり得る。湾曲シェル122の断面の様々な例が図1Aに示される。ここで、例Aは部分的に円筒形のシェルに対応し、例Bは円筒形のシェルに対応し、例Cは更に部分的に円筒形のシェル、すなわち、半円筒形のシェルに対応する。
【0073】
引き続き図2を参照すると、解放ユニット130は、キャリアフィルム4から解放される半導体ダイ2A上に、湾曲シェル122を通して光のビーム133を発するレーザ源132を含む。そのために、湾曲シェル122は、少なくともレーザ源132から来る光に対して、少なくとも部分的に半透明である。湾曲シェル122は完全に半透明材料で製造され得るか又は湾曲シェル122の特定の領域が半透明であるが、他の領域が半透明ではない。例えば、湾曲シェル122は、ガラス、石英又は溶融シリカで製造され得る。
【0074】
付着層41は、感光性接着剤などの光吸収剤を含む。レーザ源132からの光が付着層41に照射されると、半導体ダイ2Aとの付着が解放される。例えば、光の吸収は、光吸収剤の化学反応を引き起こし、その結果、付着層41の接着特性が低下する。追加的に又は代替的には、光の吸収は、急激かつ局所的な温度上昇を引き起こす可能性がある。これは、局所アブレーション及び/又は解放された半導体ダイ2Aをターゲット113に向かって推進することができる気体成分の生成にさえつながる可能性がある。
【0075】
付着を解放した後、半導体ダイ2Aは、ターゲット113上の意図された置き位置に落下する。その後、モータM3によって湾曲シェル122を回転させて、別の半導体ダイ2Aをレーザ源132と整列させる。更に、湾曲シェル122に対して正しい位置にある次の意図された置き位置になるように湾曲シェル122及びターゲット113を相互に並進させる。
【0076】
図2に示すように、様々な検査システムが取り付けられ得る。検査システムは、ダイシングされた半導体ウェハ2からの半導体ダイ2Aを、ターゲット113上に置かれる前に検査するために使用され得る。このような検査は、半導体ダイ2Aの位置及び向きを決定することを含んでもよい。これにより、例えば、半導体ダイ2Aを解放する前に、湾曲シェル122、ターゲット113及び/又はレーザ源132を並進させることによって、最終的な補正を実行することを可能にする。各半導体ダイ2Aは、その理想的な位置及び/又は向きからわずかにずれていてもよいことに留意されたい。このような偏差は、ダイシング中及び/又はFFFC3を湾曲シェル122上に取り付けるときに発生する可能性がある。このような偏差は、検査システム140の1つ以上のカメラ141によって記録することができる。湾曲シェル122が少なくとも局所的に半透明であるため、カメラ141も湾曲シェル122の内側に配置され得る。
【0077】
別の又は同じカメラは、ダイを解放する前に、半導体ダイ2Aが損傷されるか否かをチェックするために使用され得る。半導体ダイ2Aが損傷されると判断された場合、装置1のコントローラ100は、その半導体ダイをスキップすることを決定してもよい。
【0078】
別の又は同じカメラはまた、半導体ダイ2Aを解放したか否かをチェックするために使用され得る。この半導体ダイを解放していないと判断された場合、新たな解放の試みを行うことができる。
【0079】
検査システム140はまた、カメラ142を使用して、液滴151がターゲット113上に正しく置かれていることをチェックし、及び/又はターゲット113の位置及び/又は向きを監視又はチェックしてもよい。
【0080】
湾曲シェル122の湾曲性により、検査システム140のカメラを、検査する必要がある半導体ダイ2Aに近接して配置することが可能であることに留意されたい。
【0081】
図3A~3Eは、本開示の一態様による、ダイシングされた半導体ウェハからターゲット上に半導体ダイを直接置くための装置の更なる実施形態を示す。
【0082】
図3A~3Eに示される実施形態の各々は、装置内の様々な運動用の基準として機能する固定枠160を含む。
【0083】
図3Aにおいて、モータMT0は、キャリッジ111をフレーム160に対してx方向に並進させるために使用される。モータMT1は、ターゲットチャック112をキャリッジ111に対してy方向に並進させるために使用される。更に、モータMW3は、湾曲シェル122をフレーム160に対して回転させるために使用される。
【0084】
レーザ源132は、モータMR0を使用してフレーム160に対してx方向に並進するキャリッジ131に取り付けられる。
【0085】
図3Aの装置は、複数の半導体ダイ2Aをターゲット113上に、回転軸122Aに垂直に延在する複数の離間した列に置くために使用され得る。
【0086】
例えば、湾曲シェル122を回転させながらターゲット113をy方向に並進させて、半導体ウェハ2上の同じ列に配置される半導体ダイ2Aを置くことができる。半導体ウェハ2上の列を使い果たすと、ターゲットチャック112及びレーザ源132の両方が半導体ウェハ2上の半導体ダイ2Aの次の列と位置合わせされるように、レーザ源132及びターゲットチャック112をx方向に並進させる。ターゲット113上の完全な列が充填されると、ターゲットチャック112をx方向に移動させ、湾曲シェル122の下に充填される新しい列を位置決めする。
【0087】
図3Bに示される実施形態では、ターゲットチャック112は、モータMT1を使用してy方向にのみ並進することができる。湾曲シェル122は、キャリッジ121に対してモータMW3を使用して回転することができる。次に、キャリッジ121は、モータMW0を使用してx方向に並進することができる。キャリッジ131に取り付けられたレーザ源132は、例示のために部分的に省略されるフレーム160に対して、モータMR0を使用してx方向に並進することができる。モータMR0は、例えば、キャリッジ131を並進させるために、ボールねじ、親ねじ、ベルト駆動装置又はリニアモータを含んでもよい。
【0088】
図3Cに示される装置は、モータMR0がフレーム160の代わりにキャリッジ121に対してキャリッジ131を並進させるという点で、図3Bに示される実施形態とは異なる。
【0089】
図3D及び3Eは、図3Aに示される装置に対応する断面図である。より具体的には、ターゲットチャック112はx方向及びy方向に並進することができ、湾曲シェル122はフレーム160に対してのみ回転することができる。レーザ源132は、モータMR0を使用して、フレーム160に対してx方向にのみ並進することができる。
【0090】
図3Dにおいて、レーザ源132は、半導体ダイ2Aがキャリアフィルムに付着する付着層上に、半透明の湾曲シェル122を通して光のビーム133を発する。代替的に、解放ユニット130は、ニードルと、ニードルを下にある半導体ダイと係合したり係合解除したりするためのニードルアクチュエータとを含んでもよい。この場合、ニードルアクチュエータ及びニードルを両方とも湾曲シェル122の内側に配置し、両方ともx方向に並進させる。
【0091】
図3Eにおいて、レーザ源132は、湾曲シェル122の外側に取り付けられる。レーザ源132は、ミラーユニット134に向かって光のビーム133を発する。ミラーユニット134は、湾曲シェル122へ、及び湾曲シェル122を通して、光を偏向させる。ミラーユニット134は、偏向角度の変更を可能にするように、1つ以上のミラー及び1つ以上のミラーアクチュエータを含んでもよい。ミラーユニット134は、例えばリニアモータとして具体化できるモータMR0を使用してx方向に並進することができる。
【0092】
以上、本発明をその詳細な実施形態を用いて説明した。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。その代わりに、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0093】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項に記載されている。従属請求項及び/又は独立請求項からの特徴の組み合わせは、請求項に記載されているようなものに限定されず、適宜組み合わせることができる。
【0094】
本開示の範囲には、請求された発明に関連するか否か、又は本発明によって対処される問題のいずれか又は全てを軽減するか否かに関係なく、明示的又は暗示的に開示された任意の新規な特徴又は特徴の組み合わせ、又はそれらの任意の一般化が含まれる。出願人は、これによって、この出願又はそれから派生した任意のこのような更なる出願の審査中に、このような特徴に対して新しい請求項が作成される可能性があることを通知する。特に、添付の特許請求の範囲を参照すると、従属請求項の特徴は独立請求項の特徴と組み合わされてもよく、それぞれの独立請求項の特徴は、請求項に列挙された特定の組み合わせだけでなく、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0095】
別個の実施形態の文脈で説明される特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、別々に、又は任意の適切なサブ組み合わせで提供されてもよい。
【0096】
「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、複数を除外するものではない。特許請求の範囲における参照記号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0097】
1 装置
2 半導体ウェハ
2A 半導体ダイ
3 フィルムフレームキャリア
4 キャリアフィルム
5 カセット
30 環状体
31 取り付け面
32 板ばね
33 接続部
34、34A、34B セグメント
35A、35B 当接面
36A、36B 開口部
37 シャフト
41 付着層
42 バッキング層
43 支持面
100 コントローラ
110 ターゲットステージ
111 キャリッジターゲットステージ
112 ターゲットチャック
113 ターゲット
120 ウェハステージ
121 キャリアウェハステージ
122 湾曲シェル
122A 回転軸
130 解放ユニット
131 キャリア解放ユニット
132 レーザ源
133 光のビーム
134 ミラーユニット
140 検査システム
141、142 カメラ
150 分配装置
151 接着剤/はんだの液滴
160 固定枠
M0 X方向モータ
M1 y方向モータ
M2 z方向モータ
M3 モータ回転
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
【外国語明細書】