(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118706
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】フィルタシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20230818BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B01D46/24 B
F04B37/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023091585
(22)【出願日】2023-06-02
(62)【分割の表示】P 2019540620の分割
【原出願日】2018-04-26
(31)【優先権主張番号】17168608.2
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508206070
【氏名又は名称】レイボルド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ムーラン,クリスチャン
(57)【要約】
【解決手段】真空ポンプ、特に油封入式真空ポンプのためのフィルタシステムはフィルタ要素(10)を備えている。フィルタ要素(10)はフィルタハウジング(12)内に配置されている。フィルタ入口要素(14)がハウジング入口(16)に収容されている。更にフィルタ要素(10)は、特にフィルタ出口要素(24)の領域に翼状のタブ(54)を有しており、タブは、フィルタハウジング(12)に設けられた対応するスロット状の受入要素(58)と協働する。フィルタハウジング(12)内の定められた位置でのフィルタ要素(10)の調節を改善するために、フィルタ入口要素(14)及びハウジング入口(16)、並びに/又は保持要素(54)及び受入要素(58)は相応して形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ、特に油封入式真空ポンプのためのフィルタシステムであって、
フィルタ入口要素(14)及びフィルタ出口要素(24)を有し、潤滑剤-ガスの混合物から潤滑剤を濾過して取り除くためのフィルタ要素(10)と、
前記フィルタ要素(10)を収容するハウジング(12)と、
前記フィルタ入口要素(14)を収容するハウジング入口(16)と、
特に前記フィルタ出口要素(24)の領域で前記フィルタ要素(10)に連結されている保持要素(54)と、
前記ハウジング(12)に設けられて、前記保持要素(54)と協働する受入要素(58)と、
を備えており、
前記フィルタ入口要素(14)及び前記ハウジング入口(16)は、調節のために前記フィルタ入口要素(14)が前記ハウジング入口(16)によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように構成されている、及び/又は
前記保持要素(54)及び前記受入要素(58)は、調節のために前記保持要素(54)が前記受入要素(58)によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように構成されていることを特徴とするフィルタシステム。
【請求項2】
前記フィルタ入口要素(14)及び前記ハウジング入口(16)の断面(44)は円形である、及び/又は対応する凹部に係合するタブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項3】
前記保持要素(54)は、前記受入要素の2つのスロット状の凹部(58)に突出する2つの翼状のタブを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタシステム。
【請求項4】
前記フィルタ要素(10)が前記ハウジング(12)に軸方向に挿入され得る、及び/又は前記ハウジング(12)から軸方向に取り除かれ得るように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のフィルタシステム。
【請求項5】
前記フィルタ入口要素(14)は、特に環状の密閉要素(40)を受けるために、断面で見て環状のタブ(42)を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のフィルタシステム。
【請求項6】
特に前記フィルタ出口要素(24)の領域に、特に前記密閉要素(40)に保持力を発生させるための張力要素(34)が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のフィルタシステム。
【請求項7】
前記フィルタ要素(10)を挿入するための前記ハウジング(12)の挿入開口部(60)が、ハウジングカバー(38)により閉じられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載のフィルタシステム。
【請求項8】
前記ハウジングカバー(38)は前記ハウジング(12)に固定要素(62)によって固定されており、前記張力要素(34)は前記ハウジングカバー(38)を固定することにより圧縮されることを特徴とする請求項7に記載のフィルタシステム。
【請求項9】
前記フィルタ要素(10)は実質的な断面を有し、滴下縁部(20)が下側に設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載のフィルタシステム。
【請求項10】
前記フィルタ出口要素(24)の領域に圧力逃し弁(32)が設けられていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載のフィルタシステム。
【請求項11】
前記ハウジング入口(16)への前記フィルタ入口要素(14)の挿入を補助するために、少なくとも1つの案内要素(48)が前記ハウジング入口(16)の領域に設けられていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載のフィルタシステム。
【請求項12】
前記フィルタ要素(10)の長手方向に延びている2つの案内要素(48)が設けられていることを特徴とする請求項11に記載のフィルタシステム。
【請求項13】
真空ポンプのためのフィルタシステム、特に請求項1~12のいずれか1つに記載の真空ポンプのためのフィルタシステムを提供する方法であって、
a) ハウジング入口(16)及び受入要素(58)を有するハウジング(12)を準備する工程、
b) 潤滑剤-ガスの混合物から潤滑剤を濾過して取り除くためのフィルタ要素(10)であって、フィルタ入口要素(14)、フィルタ出口要素(24)及び保持要素(54)を有する前記フィルタ要素(10)を準備し、
調節のために前記フィルタ入口要素(14)が前記ハウジング入口(16)によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように前記フィルタ入口要素(14)及び前記ハウジング入口(16)を構成する、及び/又は
調節のために前記保持要素(54)が前記受入要素(58)によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように前記保持要素(54)及び前記受入要素(58)を構成する工程、及び
c) 前記フィルタ要素(10)を前記ハウジング(12)に好ましくは軸方向に挿入する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
d) 特に前記フィルタ要素(10)と前記ハウジング(12)との間の密閉要素(40)に保持力を発生させるために、前記真空ポンプのためのフィルタシステムに張力要素(34)を取り付ける工程を更に有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
e) 前記フィルタ要素(10)を前記ハウジング(12)内に密閉する及び/又は保持するために、前記ハウジング(12)にハウジングカバー(38)を取り付ける、特にねじ留めする工程を更に有することを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
真空ポンプのためのフィルタシステム、特に請求項1~12のいずれか1つに記載の真空ポンプのためのフィルタシステムのフィルタ要素を交換する方法であって、
i 真空ポンプのためのフィルタシステムのハウジング(12)から、使用済のフィルタ要素を取り除く、特に軸方向に引き出す工程、及び
ii フィルタ要素(10)を前記ハウジング(12)に好ましくは軸方向に挿入する工程
を有することを特徴とする方法。
【請求項17】
工程iの前に、前記ハウジング(12)からハウジングカバー(38)を外す、特にねじを緩める工程を更に有することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項14の工程d)、及び/又は請求項15の工程e)を更に有することを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプのためのフィルタシステムに関する。特にフィルタシステムは、油封入式真空ポンプのためのフィルタシステムであり、回転翼ポンプに特に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
回転翼ポンプ、場合によっては更に他の油真空ポンプを用いると、特にガス状媒体を送ると生成される油-空気の混合物である潤滑剤及びガスの混合物を濾過することが必要である。適切なフィルタシステムを使用して潤滑剤を潤滑システムに戻し、残りのきれいなガスを放出する。このようなフィルタシステムのフィルタ要素を定期的に交換する必要がある。既知のフィルタシステムではフィルタ要素の交換が複雑である。特に、フィルタ要素に連結されている幾つかの部品を分解しなければならないことが多い。そのため、これらの部品を再度、新たなフィルタに嵌合して取り付ける必要がある。このような作業は、一方では複雑であり、他方では、潤滑剤で覆われている部品を分解しなければならないので汚れることが多い。
【0003】
更に、フィルタを誤った位置に設置することがあるという問題がよく起こる。このため、濾過性能を損なう場合があり、濾過効果を完全になくす場合もある。
【0004】
本発明は、フィルタ要素の交換が簡単な、真空ポンプ、特には油封入式真空ポンプのためのフィルタシステムを提供することを目的とする。本発明は、真空ポンプのためのこのようなフィルタシステムを提供するための方法を提供すること、及びこのようなフィルタシステムのフィルタ要素を交換する方法を提供することを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、本発明によれば、請求項1のフィルタシステム並びに請求項13及び請求項16の方法によって解決される。
【0006】
特に真空ポンプに適しており、特に好ましくは回転翼ポンプのような油封入式真空ポンプに適したフィルタシステムは、フィルタハウジング内に収容されているフィルタ要素を備えている。フィルタ要素は、特に潤滑剤-空気の混合物である潤滑剤-ガスの混合物から、油のような潤滑剤を濾過する役目を果たす。フィルタ要素はフィルタ入口要素を有しており、潤滑剤-ガスの混合物はフィルタ入口要素を通ってフィルタ要素に流入する。動作中、フィルタ要素がフィルタハウジング内に設置されるとき、フィルタ入口要素はフィルタハウジングのハウジング入口に収容される。更にフィルタ要素は、特にフィルタ出口要素の領域、つまりガスがフィルタ要素から流出する領域に保持要素を有している。フィルタ要素が取り付けられた状態では、保持要素は、フィルタハウジングに設けられた受入要素と協働する。フィルタ要素は一般に円筒形状又は円錐形状を有するため、円筒形状又は円錐形状の基部を、例えば円形、長円形、矩形、楕円形又は多角形などにすることができることが好ましい。更に、フィルタ出口要素及び/又はフィルタ入口要素がフィルタ要素の軸方向の端部に配置されていることが好ましい。特に好ましい実施形態では、フィルタ出口要素はフィルタ要素の軸方向の一端部に配置されており、フィルタ入口要素はフィルタ要素の軸方向の他端部に配置されている。フィルタハウジングが実質的に中空円筒体又は中空円錐体の形状を有することが好ましい。ここでも、中空円筒体又は中空円錐体の基部は、例えば円形、長円形、矩形、楕円形又は多角形などに関連付けられ得る。
【0007】
フィルタハウジング内でのフィルタ要素の定められた位置、ひいては確実な調節を保証するために、第1の好ましい実施形態のフィルタ入口要素及びハウジング入口は、調節のためにフィルタ入口要素がハウジング入口によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように構成されている。代替的な実施形態では、フィルタ要素の保持要素及びフィルタハウジングの受入要素は、調節のために保持要素が受入要素によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように構成されている。好ましい実施形態では、これら2つの可能性が固有の調節のために組み合わせられている。少なくとも1つのこのような調節を行うことにより、フィルタ要素がフィルタハウジング内に定められた位置でのみ配置され得ることを保証する。このような保証は、特にフィルタ要素が、例えば様々なフィルタ領域を有し、フィルタ領域の位置が、フィルタ要素が確実に機能するために重要である場合に重要性を持つ。例えば、フィルタ要素は、取り付けられた状態で下方に向いている必要がある滴下縁部を更に有してもよい。
【0008】
好ましい実施形態では、好ましくは互いに相補的であるように構成されたフィルタ入口要素及びハウジング入口は、非円形の断面を有するように構成されている。例えば、円形の断面の一部に平坦部分、窪み部分又は隆起部分などを有する断面である。そのため、対応する構成のフィルタ要素は、定められた位置でのみハウジング入口に挿入され得る。このために、2つの部品の一方に、例えばタブ、特には径方向に配置されたタブ又は突部を設けることが可能である。そのため、タブは対応する凹部に係合する。特にフィルタ入口要素が径方向の外側に突出するタブを有している場合、フィルタ要素は断面で見て円形の開口部を有し得るので、流れが開放断面によって損なわれない。
【0009】
特に好ましい実施形態では、保持要素は、少なくとも1つ、特には2つの翼状のタブを有している。取り付けられた状態では、これらのタブは、フィルタハウジングの受入要素のスロット状の凹部に挿入されている。翼状のタブは、ここでも1つの適切な位置でのみ調節する役目を果たし得るが、フィルタ要素を適切に把持することができ、ひいては適切に取り扱うことができるという更なる利点を有し得る。フィルタハウジングへのフィルタ要素の挿入は、特に2つの、好ましくは翼状のタブによりフィルタ要素を把持することにより達成され得る。特に好ましい実施形態では、翼状のタブは互いに対向して配置されておらず、つまり互いに対して180 °の角度にないため、フィルタ要素は、2つの翼状のタブ間の角度の場合のみ、定められた位置でのみ挿入され得る。同様に、翼状のタブ自体は、受入要素の相応して一致する突出部及び窪みと協働するタブ、突部、溝などを有するため、位置を固有に定めることが同様に行われる。
【0010】
ハウジングへのフィルタ要素の挿入が、フィルタ要素を考慮してハウジングへの軸方向の挿入によって達成されるように、真空ポンプのためのフィルタシステムが構築されていることが好ましい。言い換えれば、フィルタ要素が軸方向の、好ましくは摺動移動によってハウジングに挿入され得るように、真空ポンプのためのフィルタシステムが構成されている。この挿入がフィルタ要素をハウジングに軸方向に挿入することにより達成されるため、例えばハウジング及びフィルタ要素が円錐形状及び/又は円筒形状を有する場合にフィルタ要素及びハウジングが互いに軸方向に配置されることが好ましい。フィルタ入口要素及びハウジング入口の連結及び/又は密閉は、ハウジングに対するフィルタ要素の軸方向の接触圧力によって達成されていることが好ましい。従って、例えば、ハウジングに対するフィルタ要素の径方向の移動及び/又はねじ留めが必要ではない。
【0011】
更に好ましい実施形態では、フィルタ入口要素は、Oリングのような特に環状の密閉要素を受けるために、断面で見て環状の肩部を有している。そのため、密閉要素が場合によっては非円形のフィルタ入口要素に適合する必要がないので、従来の密閉要素を使用することが可能である。
【0012】
別の好ましい実施形態では、フィルタシステムは張力要素を有している。張力要素は、特にばねであってもよく、とりわけコイルばねであってもよい。張力要素は、好ましくは濾過されたガスがフィルタ要素から流出するフィルタ出口要素の領域に配置されている。このような張力要素を設けることにより、取り付けられたフィルタ要素に、又はフィルタ要素を取り付けている間に保持力を加えることが可能である。そのため、ここでもフィルタハウジング内にフィルタ要素の位置を更に効果的に固有に定める。具体的には、張力要素によって圧縮力を密閉要素に加えることができるため、確実な密閉が保証される。
【0013】
フィルタハウジングが、フィルタ要素を挿入するための挿入開口部を有していることが更に好ましい。挿入開口部は、好ましくはハウジングカバーで閉じられている。本発明の特に好ましい展開例では、ハウジングカバーはフィルタハウジングに固定要素、特には複数のねじによって固定されている。ここで、ハウジングカバーを固定することによって、張力要素の張力、つまり張力要素による保持力を発生させることが好ましい。例えば、ハウジングカバーは、複数のねじのような固定要素によってフィルタハウジングの外壁に引き寄せられる。ここで、張力要素は、ハウジングカバーの内面に間接的又は直接的に支持されており、その後、例えばねじを締めるか、又は固定要素を設けることにより圧縮される。
【0014】
フィルタ要素は、好ましくは断面で実質的に円筒状であり、滴下縁部がフィルタ要素の外側の底面に設けられており、特にフィルタ要素の全長に亘って延びていることが好ましい。滴下縁部は、取り付けられた状態で下方に向いている必要がある。実質的に円筒状のフィルタ要素を用いると、フィルタ入口要素が実質的にフィルタ出口要素と対向して配置されていることが更に好ましい。
【0015】
圧力逃し弁が、流れ方向に、特にはフィルタ出口要素の上流側に設けられていることが好ましい。圧力逃し弁は、例えばフィルタ要素が詰まった場合に、フィルタ要素に過度の圧力が蓄積することを防ぐ役目を果たす。
【0016】
更に特に好ましい実施形態では、フィルタハウジングは、フィルタ要素の方を向いた内面に少なくとも1つの案内要素を有している。案内要素は、特にハウジング入口の領域に設けられている。ハウジング入口へのフィルタ入口要素の簡単な挿入が可能であるように、フィルタ要素がフィルタハウジングに挿入されるとき、案内要素はフィルタ入口要素を調節する役目を果たす。長手方向に、つまりフィルタ要素が挿入される方向に延びている2つの案内要素が設けられていることが特に好ましい。2つの案内要素は、フィルタ要素の水平方向の案内だけでなく、垂直方向の案内も保証するように、中心面から間隔をあけて設けられている。
【0017】
本発明を、好ましい実施形態及び添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
真空ポンプのためのフィルタシステムを提供する方法は、特に上述したような真空ポンプのためのフィルタシステムを提供する方法である。本方法は、ハウジング入口及び受入要素を有するハウジングを準備する工程を有する。本方法の更なる工程は、潤滑剤-ガスの混合物から潤滑剤を濾過して取り除くためのフィルタ要素を準備することである。前記フィルタ要素は、フィルタ入口要素、フィルタ出口要素及び保持要素を有している。調節のためにフィルタ入口要素がハウジング入口によって1つの位置でのみ受け入れられ得るようにフィルタ入口要素及びハウジング入口が構成される。フィルタ入口要素及びハウジング入口のこのような構成に代えて、又はこのような構成に加えて、調節のために保持要素が受入要素によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように保持要素及び受入要素が構成される。本方法の次の工程は、フィルタ要素をハウジングに挿入することである。特には摺動移動でフィルタ要素をハウジングに軸方向に挿入することにより、挿入が達成されることが好ましい。
【0019】
更に本方法は、保持力を発生させるために張力要素を真空ポンプのためのフィルタシステムに取り付ける工程を有することが好ましい。特に保持力は、フィルタ要素とハウジングとの間に配置された密閉要素に作用するため、フィルタ要素とハウジングとの密閉がもたらされる。張力要素がフィルタ要素とハウジングとの間に保持力を与えるように、張力要素はハウジングとフィルタ要素との間、又はハウジングカバーとフィルタ要素との間に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
本方法の好ましい更なる工程は、フィルタ要素をハウジング内に密閉する及び/又は保持するためにハウジングカバーをハウジングに取り付けることである。この取り付けは、特にハウジングカバーをハウジングの開放端部にねじ留めすることにより達成される。
【0021】
真空ポンプのためのフィルタシステム、特に上述したような真空ポンプのためのフィルタシステムのフィルタ要素を交換する方法は、真空ポンプのためのフィルタシステムのハウジングから、使用済のフィルタ要素を取り除く、特に軸方向に引き出す工程を有する。その後、新たなフィルタ要素をハウジングに、好ましくは軸方向に挿入する。
【0022】
真空ポンプのためのフィルタシステムのフィルタ要素を交換する方法は特に、使用済のフィルタ要素を取り除く前に、ハウジングカバーをハウジングから外す、特にはねじを緩める工程を更に有する。
【0023】
真空のためのフィルタシステムのフィルタ要素を交換する方法は、真空ポンプのためのフィルタシステムを提供する方法で定義されているような張力要素を取り付ける工程、及び/又は真空ポンプのためのフィルタシステムを提供する方法で定義されているようなハウジングカバーを取り付ける工程を更に有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】フィルタシステムが取り付けられた状態を示す断面略図である。
【
図2a】
図1の線II-IIに沿った断面略図である。
【
図2b】
図2aのフィルタ要素の代替的な実施形態を示す断面図である。
【
図3】
図1の線III -III に沿った断面略図である。
【
図5】ハウジングカバー無しのフィルタシステムを
図1の矢印Vの方向に示す正面略図である。
【
図6】組立て中のフィルタシステムを示す断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のフィルタシステム(
図1)は、フィルタハウジング12内に配置されたフィルタ要素10を備えている。取り付けられた状態では、フィルタ要素10に連結されたフィルタ入口要素14がフィルタハウジング12のハウジング入口16に配置されている。従って、潤滑剤及びガスの混合物が、矢印18の方向にフィルタ入口要素14を通ってフィルタ要素10に流入する。濾過して取り除かれた潤滑剤は、特に円筒状のフィルタ要素10の周囲部分から径方向に流出する。重力により、潤滑剤がフィルタ要素10の外面で下方に流れて、フィルタ要素の外面から滴る。このために、滴下縁部20がフィルタ要素10の下面に設けられており、実質的にフィルタ要素10の長手方向全体に亘って延びている。
【0026】
滴下縁部20から下方に滴る潤滑剤は、傾斜した上面21に当たり、その後、圧力(ポンプ発生器内のより低い圧力)の差によって開口部23を通ってポンプ発生器に戻る。
【0027】
残りのガスは、矢印22の方向にフィルタ要素10を通って流れて、フィルタ出口要素24から、フィルタ要素10及びフィルタハウジング12間の空隙26に流入し、その後、矢印30の方向にフィルタハウジング12のハウジング出口28を通って流出する。概略的に図示された圧力逃し弁32がフィルタ出口要素24に設けられている。この圧力逃し弁32は、フィルタが詰まってフィルタを交換しなければならないときに開く。更に、図示された実施形態では、コイルばねの形態の張力要素34が、円筒状の外周部分を有するフィルタ出口要素24の内部に配置されている。コイルばね34は、一端部が中間壁36で支持されており、他端部がハウジングカバー38の内面で支持されている。取り付けられた状態では、フィルタ入口要素14が
図1の左側に押し付けられるように、コイルばねは圧縮されている。その結果、環状のタブ42に配置されて、図示された実施形態ではOリングシール40として構成された密閉要素が圧縮される。
【0028】
定められた位置で調節するために、フィルタ入口要素14は、例えば
図2aに示された断面を有する。ここで、断面は円形ではなく、平坦部分44を有する。ハウジング入口16の外形が相応して構成されているため、フィルタ要素10は定められた位置でのみ挿入され得る。
【0029】
代替例として、フィルタ入口要素14は、
図2bに示されているような円形の断面を有してもよい。この場合、ハウジング入口16に設けられた凹部に挿入される、特に径方向に延びているタブ46によって調節を行う。
【0030】
ハウジング入口へのフィルタ入口要素14の挿入を容易にするために、図示された実施形態では2つの案内要素48が設けられている(
図3)。案内要素48は、特にはハウジング入口に面するハウジングの領域にフィルタ要素10の長手方向に延びている。フィルタ要素10を挿入するとき、フィルタ要素10の外面50が案内要素48によって
図1では上向きに押されるため、フィルタ入口要素14がハウジング入口16に挿入される直前にフィルタ入口要素14は正確な高さで配置される。2つの案内要素48は、フィルタ要素10の中心面52から夫々間隔をあけて設けられていることが好ましい。フィルタ要素10の外面50の曲率により、横方向、つまり水平方向の調節を更に行う。
【0031】
フィルタ出口要素24の領域に、又はハウジングカバー38に面するフィルタ要素10の側に、2つの対向する保持要素54が、実質的に円筒状のフィルタ出口要素24の外側に設けられている(
図4)。図示された実施形態に示されている2つの保持要素54は、翼状のタブとして構成されている。翼状のタブは、取り付けられた状態で水平方向に延びているタブである。タブは、長手方向に延びている肉厚部分56を外側に有しており、より確実な調節に役立つ。
【0032】
取り付けられた状態では、保持要素54(
図5)は、好ましくはスロット状の受入要素58に配置されている。
【0033】
フィルタ要素10を取り付けるために、フィルタ要素10は挿入開口部60(
図6)に左方に挿入される。2つの案内要素48により、ハウジング入口16に対するフィルタ入口要素14の位置の調節が行われる。更に、
図6のフィルタ要素10の右側部分は翼状のタブ54(
図5)によって調節される。最初、コイルばね34に張力がかかっていない。そのため、フィルタ出口要素24に圧力をまだ加える必要がない。次の工程で、ハウジングカバー38を置いて、4つのねじ62によって固定する。ここで、ねじ62はハウジングに設けられているねじ山64(
図5)に係合し、コイルばね34が圧縮される前に既に僅かに保持されている。ねじ62を締めることにより、更にコイルばね34が圧縮されるため、保持力がOリングシール40にも加えられる。
【0034】
分解するためには、4つのねじ62を単に緩めて、ハウジングカバー38を取り除き、フィルタ要素10を引き出すだけでよい。フィルタ要素10が引き出されるとき既に、フィルタ要素10をプラスチック袋などに密閉することができるため、潤滑剤が滴って、ひいては環境を汚染する危険性が回避される。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ、特に油封入式真空ポンプのためのフィルタシステムであって、
フィルタ入口要素(14)及びフィルタ出口要素(24)を有し、潤滑剤-ガスの混合物から潤滑剤を濾過して取り除くためのフィルタ要素(10)と、
前記フィルタ要素(10)を収容するハウジング(12)と、
前記フィルタ入口要素(14)を収容するハウジング入口(16)と、
特に前記フィルタ出口要素(24)の領域で前記フィルタ要素(10)に連結されている保持要素(54)と、
前記ハウジング(12)に設けられて、前記保持要素(54)と協働する受入要素(58)と、
を備えており、
前記フィルタ入口要素(14)及び前記ハウジング入口(16)は、調節のために前記フィルタ入口要素(14)が前記ハウジング入口(16)によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように構成されている、及び/又は
前記保持要素(54)及び前記受入要素(58)は、調節のために前記保持要素(54)が前記受入要素(58)によって1つの位置でのみ受け入れられ得るように構成されていることを特徴とするフィルタシステム。
【外国語明細書】