(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118714
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】体腔の中に留置するカテーテルを介して可変的に治療用非紫外線電磁放射線を送達するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20230818BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61M25/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023093291
(22)【出願日】2023-06-06
(62)【分割の表示】P 2021549798の分割
【原出願日】2019-03-26
(31)【優先権主張番号】16/364,051
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520038448
【氏名又は名称】ライト ライン メディカル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル ディー.バーネック
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル エル.アール.ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ピー.アレン
(72)【発明者】
【氏名】カーティス ディー.ロング
(57)【要約】
【課題】患者体内に埋植されたままカテーテルを安全かつ効果的に消毒するための装置及びこのような装置を作る又は使用するための方法を提供する。
【解決手段】患者の体腔に留置されるカテーテルの中、その外面又はその周りで感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を強化するために治療用電磁放射線(EMR)を与えるための方法及び装置。非紫外線治療用EMRは、カテーテル本体のルーメン及び/又はカテーテル本体の中の光学素子に沿って軸方向に伝送される。特定の感染エリア及び/又は組織治癒を必要とするエリアへの治療用EMRの送達によって、カテーテルの中、その外面及びその周りでの感染の主要な源の不活化及び/又はカテーテルの周りの健康な細胞の成長の強化が、光学素子から半径方向に放射される治療用EMRの制御された相対強度及び治療部位固有の線量投射を使用することによって得られる。尿道カテーテル及び腹膜透析カテーテルの具体的な実施形態も開示する。
【選択図】
図17D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体腔の中へ挿入するため及び前記患者体内へ流体を送達しかつ/又は患者体内から流体を回収するための医療機器組立体であって、
0.1J/cm2~1.0kJ/cm2の照射量及び0.005mW~1ワットの出力を含む強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源であって、前記強度が、1つ又は複数の感染因子の不活化及び健康な細胞の成長の強化の少なくとも一方の治療効果を生じるのに充分である、電磁放射線源と、
少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有するカテーテルであって、前記遠位端が前記患者の前記体腔の中へ挿入可能であり、前記カテーテル本体が、前記カテーテル本体に対して軸方向に前記流体及び前記治療用EMRの両方を導き、前記カテーテル本体内での前記流体の軸方向の流れが、前記患者体内への流体の送達及び前記患者体内からの流体の回収の少なくとも一方を容易にする、カテーテルと、
前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する光学素子であって、前記光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが、前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にする、光学素子と、
前記EMR源を前記カテーテル本体に接続するための少なくとも1つの結合具と、
を備え、
前記医療機器組立体が、前記少なくとも1つの半径方向放射部分を介して、前記カテーテルを前記患者体内に配置しながら前記細長カテーテル本体の中、その外面又はその周りに所望の治療効果を生じるために制御された相対強度の前記治療用EMRを送達する、
医療機器組立体。
【請求項2】
前記ファイバ本体の前記少なくとも1つの半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が前記治療用EMRの治療領域固有の線量投射のための場所まで導かれるような位置に配置される、請求項1に記載の医療機器組立体。
【請求項3】
前記光学素子が、前記カテーテルの中へ取外し可能に挿入可能である、請求項1に記載の医療機器組立体。
【請求項4】
前記医療機器組立体が、更に第2光学素子を備え、前記第2光学素子が、前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記第2光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にし、前記第2光学素子が、前記光学素子の少なくとも1つの半径方向放射部分とは異なる少なくとも1つの半径方向放射部分を有する、請求項3に記載の医療機器組立体。
【請求項5】
前記第2光学素子が、前記カテーテルの中へ取外し可能に挿入可能であり、前記第2光学素子が、前記カテーテルの同じルーメンの中へ交換可能に挿入可能である、請求項4に記載の医療機器組立体。
【請求項6】
前記少なくとも1つの半径方向放射部分から半径方向のEMRの放射が、均等の強度を有する、請求項1に記載の医療機器組立体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの半径方向放射部分から半径方向のEMRの放射が、非均等の強度を有する、請求項1に記載の医療機器組立体。
【請求項8】
前記カテーテルが尿道カテーテルである、請求項1に記載の医療機器組立体。
【請求項9】
前記カテーテルが腹膜透析カテーテルである、請求項1に記載の医療機器組立体。
【請求項10】
患者の体腔の中へ挿入するため及び前記患者体内へ流体を送達しかつ/又は患者体内から流体を回収するための医療機器組立体であって、
0.1J/cm2~1.0kJ/cm2の照射量及び0.005mW~1ワットの出力を含む強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源であって、前記強度が、1つ又は複数の感染因子の不活化及び健康な細胞の成長の強化の少なくとも一方の治療効果を生じるのに充分である、電磁放射線源と、
少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有するカテーテルであって、前記遠位端が前記患者の前記体腔の中へ挿入可能であり、前記カテーテル本体が、前記カテーテル本体に対して軸方向に前記流体及び前記治療用EMRの両方を導き、前記カテーテル本体内での前記流体の軸方向の流れが、前記患者体内への流体の送達及び前記患者体内からの流体の回収の少なくとも一方を容易にする、カテーテルと、
前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する光学素子であって、前記光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが、前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にする、光学素子と、
前記EMR源を前記カテーテル本体に接続するための少なくとも1つの結合具と、
を備え、
前記ファイバ本体の少なくとも1つの半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が前記治療用EMRの治療部位固有の線量投射のための場所まで導かれるような位置に配置される、
医療機器組立体。
【請求項11】
前記光学素子が、前記カテーテルの中へ取外し可能に挿入可能である、請求項10に記載の医療機器組立体。
【請求項12】
患者身体の腹膜腔の中へ挿入するため及び前記患者体内へ流体を送達しかつ/又は患者体内から流体を回収するための医療機器組立体であって、
0.1J/cm2~1.0kJ/cm2の照射量及び0.005mW~1ワットの出力を含む強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源であって、前記強度が、1つ又は複数の感染因子を不活化する治療効果を生じるのに充分である、電磁放射線源と、
少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有する腹膜透析カテーテルであって、前記遠位端が前記患者身体の前記腹膜腔の中へ挿入可能であり、前記カテーテル本体が、前記カテーテル本体に対して軸方向に前記流体及び前記治療用EMRの両方を導き、前記カテーテル本体内での前記流体の軸方向の流れが、前記患者体内への流体の送達及び前記患者体内からの流体の回収を容易にする、腹膜透析カテーテルと、
前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する光学素子であって、前記光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが、前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にする、光学素子と、
前記EMR源を前記カテーテル本体に接続するための少なくとも1つの結合具と、
を備え、
前記ファイバ本体の少なくとも1つの半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が前記治療用EMRの治療部位固有の線量投射のための場所まで導かれるような位置に配置される、
医療機器組立体。
【請求項13】
前記光学素子の少なくとも一部分が、前記内部ルーメンの中へ取外し可能に挿入可能である、請求項12に記載の医療機器組立体。
【請求項14】
前記腹膜透析カテーテルが、更に、少なくとも1つのカフとコネクタハブとを備え、外部区分とトンネル区分と腹腔内区分とを有する、請求項12に記載の医療機器組立体。
【請求項15】
前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が、前記外部区分、前記トンネル区分及び前記腹腔内区分の少なくとも1つ内の少なくとも1つの半径方向放射部分まで導かれる、請求項14に記載の医療機器組立体。
【請求項16】
前記腹膜透析カテーテルが、更に延長セットインターフェイスを備え、前記延長セットインターフェイスが、Yアダプタと、延長ラインチューブと、前記接続部ハブに接続するための接続ルアと、を備え、前記腹膜透析カテーテルが、更にY部位/移行領域と接続ルア/コネクタハブ領域とを有する、請求項14に記載の医療機器組立体。
【請求項17】
前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が、前記Y部位/移行領域へ導かれる、請求項16に記載の医療機器組立体。
【請求項18】
前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が、前記Y部位/移行領域、前記接続ルア/コネクタハブ領域、前記外部区分、前記トンネル区分及び前記腹腔内区分の少なくとも1つへ導かれる、請求項16に記載の医療機器組立体。
【請求項19】
前記医療機器組立体が、前記腹膜透析カテーテルの少なくとも一部分を前記患者体内に配置しながら前記腹膜透析カテーテルの中、その外面又はその周りで所望の治療効果を生じるために、前記少なくとも1つの半径方向放射部分を介して制御された相対強度の前記治療用EMRを送達する、請求項12に記載の医療機器組立体。
【請求項20】
前記医療機器組立体が、前記腹膜透析カテーテルの少なくとも一部分を前記患者体内に配置しながら前記腹膜透析カテーテルの中、その外面又はその周りで所望の治療効果を生じるために、前記少なくとも1つの半径方向放射部分を介して制御された相対強度の前記治療用EMRを送達する、請求項18に記載の医療機器組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月25日に米国特許庁に提出された米国特許出願第16/364051号(その内容全体が、参照により下で完全に明記されるかのようにあらゆる適用可能な目的のために本明細書に援用される)に対する優先権とその利益を主張する。出願第16/364051号は、2017年8月3日に提出された「体腔の中に留置するカテーテルを介して感染因子を不活化しかつ/健康な細胞の成長を強化するために治療用非紫外線電磁放射線を送達するための方法及び装置」と題する米国特許出願第15/668266号(以後「特許出願」と呼ぶ)の一部継続出願であり、前記特許出願は、2013年3月13日に提出された「体腔の中に留置するカテーテルへの感染因子を不活化するための方法及び装置」と題する米国特許出願第13/801750号の一部継続出願であり、前記出願は、現在、2017年11月7日付米国特許第9808647号として発行され、2012年4月5日に提出された「HINSレーザー光カテーテル」と題する米国仮特許出願第61/686432号の利益を主張する。本出願は、又、2017年2月3日に提出された「取外し可能なカテーテル可視光線治療システムのための方法及び装置」と題する米国特許出願第15/424732号の一部継続出願である。本出願は、又は「HINSレーザー光カテーテル」と題する発明について2012年4月5日に提出された米国仮特許出願第61/686432号の利益を主張する。本段落において言及する関連出願の各々が、参照により下で完全に明記されるかのように本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、カテーテルを体腔内に留置しながらカテーテル外面、その内部、又はその周りに常在する感染因子を不活化するため及び/又は健康な細胞の成長を刺激して治療効果を生じるために、治療線量の非紫外線光を可変的に送達するための方法及び装置に関する。このような治療線量の非紫外線光の可変的送達は、制御された相対強度及び/又は治療部位固有の治療線量の適用を採用できる。特に、本開示は、健康な細胞成長を刺激して治癒効果を生じかつ/又はカテーテルを体腔内に留置しながらカテーテルの中、その外面及びその周りの感染因子を減少又は除去するために充分な強度の非紫外線可視治療用電磁放射線(EMR)を利用する医療機器組立体に関する。
【0003】
本発明の様々な好ましい実施形態について下で説明する。「好ましい(例示的な、exemplary)」は、例示的又は例として、を意味し、本明細書において「本発明」と言うとき、本明細書において開示する好ましい実施形態の1つ又はそれ以上の特定の特徴又はステップに本発明を限定又は制限することを意図しない。「好ましい実施形態」、「1つの実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「様々な実施形態」などと言うとき、そのように説明される本発明の実施形態は特定の特徴、構造又は特性を含む可能性があるが、全ての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造又は特性を含まないことを示す。更に、「1つの実施形態において」又は「好ましい実施形態において」が繰り返し使用される場合、同じ実施形態であるかもしれないが、必ずしも同じ実施形態を指さない。
【背景技術】
【0004】
カテーテルは、患者体内へ薬物を注入するため又は患者体内から流体標本を回収するための流路として広く使用されている。各カテーテルは、身体のある領域へ挿入され流体を送達又は回収できる1つ又は複数の別個のラインを含むことができる、チューブ、通常はプラスチック又はシリコン、ポリウレタン及びこれに類似するものなどその他のポリマー由来のチューブを備える。「ルーメン」は、体外から体内へ通じるカテーテルの中の通路を指す。カテーテルは、脈管内、腹部、泌尿器、胃腸、眼内、呼吸器官内、頭蓋腔内、脊椎内及びこれに類似するものを含めて、様々な用途に使用される。全ての場合において、カテーテルは、カテーテルが留置される身体の空間内部(以後、「体腔」と呼ぶ)に置かれる。これらの機器は、しばしば、カテーテルの中、その外面及びその周りの感染因子の成長によって生じるカテーテルの周囲の組織への感染症を生じる。感染因子は、体内へ進入して患者の病気を引き起こすバクテリア、真菌、ウィルス又はこれに類似するものを含むことができる。カテーテル留置の場所に応じて、このような感染症は、尿管感染、血流感染、軟組織感染などの形式を取る可能性がある。
【0005】
カテーテル関連感染症(CRI)は、医療において大きな問題であり、高い罹患率及び死亡率を引き起こす。カテーテルの中、その外面、その周りの感染因子の数を減少又は排除する現在の方法の効能は低い。典型的には、カテーテルは、感染因子が潜んでいると疑われる場合取り外されて、治療に関連するコスト及び患者の不快の両方を増す。滅菌処理法の使用、抗生物質及び感染症が疑われるときのカテーテルの交換など、カテーテルの中、その外面及びその周りでの感染因子の成長を抑止又は排除するための様々な方法が、試みられて来た。これらの技法にもかかわらず、カテーテルから生じる感染症は、依然として大きな問題である。米国疾病対策センターによれば、31,000を超える人が2010年に明確にカテーテル関連の血流感染症によって死亡した。尿路感染症、胃腸感染症及びカテーテル由来のその他の感染症と共に、血流感染症は、医療コスト及び患者の不快の両方を増している。
【0006】
カテーテルのサイズは各種ある。多くのPICCライン(末梢挿入式中心カテーテル)などの直径の小さいカテーテルは、小さい直径のルーメンを有する。このような小さい直径のカテーテルは、長期挿入に適するかも知れない。したがって、直径が小さいカテーテルの場合、滅菌及び/又は健康な成長を促す送達システムを運ぶためのカテーテルの壁としては厚みが不適切である可能性がある。
【0007】
例えば紫外線(UV)光、消毒薬品、薬物浸潤カテーテルなどの使用が、感染症罹患率を下げるために試みられて来た。多くの特許が、カテーテルの消毒のためにUV光を使用することを試みた。残念ながら、UV光が生きている細胞に損傷を生じることは周知である。滅菌電磁放射線(EMR)を使用してコネクタ、ストップコック及び弁を消毒する方法も、これらのポイントを滅菌するために405nm光を使用して試みられたが、これらの方法は、カテーテル本体もカテーテルの先端もきちんと消毒しない。
【0008】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)など、現在の治療に耐性のある感染因子の出現は、更に、CRIの別の治療の必要性を実証している。患者体内からカテーテルを取り外して交換する必要性に関連するコストを抑えるために、患者体内に留置しながら滅菌できるカテーテルが必要である。更に、留置カテーテルを介して治療用EMRを与えることによって健康な細胞を刺激できれば有利である。
【0009】
留置後直ちに消毒すると、カテーテルへの生物膜の成長を妨げる助けとなり得る。生物膜は、面に付着した後に微生物によって生成される細胞外高分子化合物から成る。この生物膜は、感染因子の成長を促し、ひとたび成長を始めてしまうと破壊することが非常に困難である。
【0010】
感染因子の成長は、患者体外(カテーテルが皮膚に交差するときアクセスポイントにおいて又はカテーテルハブから)の因子又は患者体内から生じる可能性があり、既に体内に在る感染因子は、カテーテルの表面に付着して増殖する。科学文献は、CRIの約65%が、患者の皮膚に常在する感染因子由来であることを示唆している(S. Oncu、Central Venous Catheter-Related Infections: An overview with Special Emphasis on Diagnosis, Prevention and Management. Internet Journal of Anesthesiology. 2003 Volume 7 Number 1)。この種の因子は、カテーテル外面を下って、カテーテル先端にコロニーを作る。短期のカテーテル処置の場合、これは最も可能性の高い感染症のメカニズムであると考えられる(Crump. Intravascular Catheter-Associated Infections. Eur J Clin Microbiol Dis (2000) 19:1-8)。CRIの30%は、汚染されたハブ由来と考えられ、ハブにおいて、感染因子はカテーテル内部へ下っていく(Oncu)。これは長期のカテーテル処置の場合の最も可能性の高い感染症のメカニズムであると考えられる(Crump)。
【0011】
380~900nmの範囲のEMRは、感染因子を殺すのに効果があることが立証されている。ストラスクライド大学のグループによる研究は、この範囲の光が、患者を傷つけることなく火傷病棟において表面バクテリアを殺すのに効果的であることを示している(Environmental decontamination of a hospital isolation room using high-intensity light. J hosp. Infect. 2010 Nov;76(3):Nov; 76(3):247-51)。調査を実施したメンバーによって書かれた公開特許出願第2010/0246169号は、大きな周囲エリアを消毒するために周辺光を利用している。チームが提案したメカニズムは、この範囲の光が、バクテリア内の内因性ポルフィリンの光感受性へ導いて、シングレットオキシゲンを生成させて、バクテリアを死に導くことを示唆している。(Inactivation of Bacterial Pathogens following Exposure to Light from a 405-Nanometer Light-Emitting Diode Array. Appl Environ Microbiol. 2009 Apr;75(7):1932-7)。
【0012】
しかし、これまで、患者体内に埋植されたままカテーテルを安全かつ効果的に消毒するための装置及びこのような装置を作る又は使用するための方法はなかった。したがって、生体内で非抗生物質の細菌治療薬を送達するために考案された方法及び装置が必要とされる。このような新規のテクノロジーを使用する方法及び装置は、安全で、効果的でかつ再生可能な消毒の取除き可能な送達を可能にし、かつ/又は健康な細胞の成長を強化できる。
【発明の概要】
【0013】
本開示の好ましい実施形態は、患者の体腔の中へ挿入するため及び流体を送達し回収するための医療機器組立体に関する。各組立体は、1つ又は複数の感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を強化するために充分な強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源を備える。各組立体は、カテーテルを備えるか、又は少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有するカテーテルと一緒に使用できる。この遠位端は、体腔が、静脈、動脈、胃腸、腹部、泌尿器、呼吸器、頭蓋、脊椎又はこれに類似するものであるかに関わりなく、患者の体腔の中へ挿入可能であり、体腔内で、留置カテーテル本体は、患者体内への及び/又は遠位端における半径方向の送達のために、カテーテル本体に対して軸方向に流体及び治療用EMRの伝搬の両方を導く。又、適切な場合には、治療用EMRを挿入位置に又はその中まで導くことができる。カテーテル本体のルーメン内及び/又はカテーテル本体内に配置された光学素子は、カテーテル本体に対して軸方向の治療用EMRの伝搬の伝導体として作用する。光学素子又は別の光学素子は、又、EMRコンポーネントを挿入可能カテーテルコンポーネントに接続するために少なくとも1つの結合要素を介して治療用EMRの伝搬の伝導体として作用するように配置できる。
【0014】
本開示において、「治療用」は、感染因子の減少又は排除を含めて病気の治療並びに健康な細胞の成長を含めて健康の維持に役立つ又はそのために実施されることを意味する又はそれに関連するものと理解すべきである。
【0015】
本開示において、「制御された相対強度」は、様々な所望の強度のEMRの送達が、1)異なる単一ファイバを使用することによって、2)様々な半径方向放射勾配を使用することによって、3)複数の異なるファイバを使用することによって、及び4)既存のカテーテルを特別仕様で使用するためにファイバタイプ及び/又はデザインを改装することによって、など多数の様式のいずれかで制御できることを意味する融通性を持つ用語であると理解すべきである。「制御された相対強度」が想定する融通性は、広い範囲のタイプ及びサイズのカテーテル内で最も効果的な時に所望の部位まで所望の/適切な強度のEMRを送達する能力である。
【0016】
本開示において、「治療部位固有の」は、同様に、EMRの応用によって治療される患者体内及び/又はカテーテルの中、その外面又はその周りの明確な部位(一カ所又は複数個所)に適合する半径方向放射機能を持つファイバを使用することによって、所望の線量投射のために様々な所望の強度のEMRを、明確な治療部位まで送達できることを意味する融通性のある言葉として理解すべきである。
【0017】
好ましい医療機器組立体は、EMR源と、EMR伝導システムと、EMR源をEMR伝導システムに接続するための少なくとも1つの結合具と、を備える。EMR源は、1つ又は複数の感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を刺激して治癒効果を生じるために充分な強度を持つ非紫外線治療用EMRを与える。少なくとも1つの好ましい実施形態において、EMR伝導システムは、少なくとも部分的に留置カテーテルのルーメンの中へ挿入可能でありかつこれから取外し可能である。EMR伝導システムは、取外し可能に挿入可能なので、別の好ましい実施形態において、別の第2のEMR伝導システム(又は、第2のEMR伝導システムの少なくとも光学素子)も、2つの異なるEMR伝導システムがカテーテルの同じルーメンの中へ交換可能に挿入可能であるように、取外し可能に挿入可能とすることができる。
【0018】
いくつかの好ましい実施形態において、カテーテルを体腔の中に配置しながらカテーテル及びカテーテルの周囲のエリアを効果的に滅菌するための方法及び装置が提供される。このような医療機器組立体は、カテーテルの中、その外面又はその周り及び/又はカテーテルが体腔内に在るときその周囲の組織の感染因子の数を減少又は除去するために滅菌EMRを使用する。
【0019】
EMR源は、発光ダイオード、半導体レーザー、ダイオードレーザー、白熱(フィルタ又は非フィルタ)及び蛍光(フィルタ又は非フィルタ)光源を含めて(但し、これらに限定されない)単一の又はグループのEMR源とすることができる。このEMR源は、380nm超~約904nmの範囲の1つ又は複数の波長を与える非紫外線治療用EMRを与える。感染種を充分に不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を刺激するために、各EMR波長は、狭いスペクトルで、群から1つの波長の周りに集中しなければならない。強度は、1つ又は複数の感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を刺激して治癒効果を生じるために充分でなければならない。この群は、約400nm、405nm、415nm、430nm、440nm、445nm、455nm、470nm、475nm、632nm、632.8nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、780nm、808nm、830nm及び904nmを中心とするいくつかの波長を含む。
【0020】
EMR源は、完全に機能するためにドライバ及び電子サポートを必要とするかも知れない。サポートハードウェア及び/又はソフトウェアを収容することを考慮に入れなければならず、これは、EMR源の機能性及び効能の顕著な部分を含む可能性がある。EMR源が熱を発する可能性があり、これはEMR源にとって有害であり、制限される必要があるかも知れない。
【0021】
本開示は、少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有するカテーテルについて説明する。遠位端は、患者の体腔の中へ挿入可能である。カテーテル本体は、挿入部位において、細長カテーテル本体に沿って及び/又は遠位端において、患者体内への送達のためにカテーテル本体に対して軸方向に流体及び治療用EMRの両方を導くためのものである。本開示は、カテーテル本体内に配置されて、カテーテル本体を通過する治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する光学素子を含む。また、本開示は、放射線源をカテーテル本体に接続するための少なくとも1つの結合要素について説明する。
【0022】
滅菌EMRは、光の軸方向の伝搬を伝導する光学素子を介してカテーテル内の専用経路を下って伝送される。カテーテルに対して軸方向の光の伝搬を容易にするために、カテーテルのライン内部の反射コーティング、光ファイバケーブル、レンズ、導波管又はこれに類似するものを含めて、様々な方法を使用できる。光源は、発光ダイオード(LED)、レーザー、光フファイバフィラメント又はこれに類似するものとすることができる。
【0023】
EMR源及びサポートコンポーネントの1つの好ましい実施形態は、単純化して、EMR源と必要なコンポーネントのみを含む。EMR伝導システムの別の好ましい実施形態においては、発生した熱を周囲の環境へ拡散するために受動的ヒートシンクが必要とされる。EMR源の更に別の好ましい実施形態において、ヒートシンクは、EMR源が発した熱を能動的に分散するために少なくとも1つのファンに結合できる。他の実施形態において、別個の個別の光学素子に接続されたEMR源又は別個の個別の光学素子に接続して別個の光学素子に異なる強度及び/又は波長のEMRを与えることができる単一のEMR源を採用できる。
【0024】
本開示において、特に重要なのは、380nm~約900nmの波長の光の使用である。更に、発せられた光の強度及び出力は、感染因子の不活化に対して顕著な影響を与えるので、0.1J/cm2~1kJ/cm2の範囲の放射量及び0.005mW~1Wの範囲の出力、及び1mW/cm2~1W/cm2の範囲の出力密度が、これらの好ましい機器組立体及び方法にとって重要である。これらの波長、出力密度及び放射量の範囲は、治癒組織に対して抗菌効果又はプラスの生物学的効果を持つことが立証されている。このようなプラスの生物学的効果には、炎症細胞の減少、線維芽細胞の増殖の増大、コラーゲン合成の刺激、脈管形成の誘発及び肉芽組織形成が含まれる。
【0025】
本明細書において説明する好ましい実施形態の各々について、消毒/治癒のためのEMR伝導システム及び方法は、調節可能な又は予設定されたデューティサイクルで利用できる。滅菌処置が開始された直後に治療が開始される場合、機器関連の感染は阻止できる。これは、機器関連の生物膜成長を含む。
【0026】
治療は、1つ又は複数の標的有機体を滅菌するために選択されかつ約400nm、405nm、415nm、430nm、440nm、445nm、455nm、470nm、475nm、660nm及び808nmを中心とする波長群から選択された主波長として作用する少なくとも1つの波長の治療用EMRを含むことができる。又は、治癒及び健康な細胞の成長を促進するために選択される主波長は、約632nm、632.8nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、780nm、808nm、830nm及び904nmを中心とする波長群から選択できる。別の治療は、選択された治療パターンで第1主波長と第2主波長(第1主波長と異なる)との間で主波長を交互にすることを含むことができる。更に、滅菌EMR及び健康な細胞の成長を刺激するEMRは、交互に、連携して同時に又は択一的に伝送できる。
【0027】
患者の体腔の中へ挿入するため及び患者体内へ流体を送達する又は体内から流体を回収するための好ましい医療機器組立体を構成する方法は、1つ又は複数の内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有するカテーテルを提供することであって、遠位端が患者の体腔の中へ挿入可能である、提供することと、カテーテル本体の1つ又は複数のルーメン内及び/又はカテーテル本体の壁内に1つ又は複数の光学素子を適用することであって、光学素子がカテーテル本体に対して軸方向の治療用EMRの伝搬を伝導する、適用することと、少なくとも1つのEMR源をEMR伝導システム及び/又はカテーテル本体に結合することであって、EMR源が、1つ又は複数の感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を強化するために充分な強度を持つ非紫外線治療用EMRを与えるためのものである、結合することと、を含む。
【0028】
1つの好ましい実施形態において、機器は、患者の体腔の中へ挿入されるカテーテルを使用し、前記カテーテルは、流体及び治療用EMRの両方がカテーテル本体に対して軸方向に進行できるようにする。カテーテルは、又、結合ルーメンを通ってカテーテルラインに対して軸方向に治療用EMRを伝送するEMR源を接続するための少なくとも1つの結合ルーメンを含む。この文脈における結合要素は、通常、治療用EMR源上の典型的ハブを意味する。
【0029】
少なくとも1つの好ましい実施形態において、取外し可能な挿入可能EMR伝導システム(即ち、カテーテルのルーメンの中へ部分的又は完全に挿入できかつカテーテルのルーメン内の配置場所から部分的又は完全に引き抜くことができるEMR伝導システム)は、細長本体を通過する治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する細長本体を有する少なくとも1つの光学素子を備えることができる。この細長本体は、結合端と遠位端との間に外面を持つことができる。外面は、少なくとも1つの半径方向放射部分を持つことができ、半径方向放射部分は、各半径方向放射部分に近接する細長本体からの治療用EMRの半径方向放射を容易にする。この場合にも、取外し可能な挿入可能EMR伝導システムは、カテーテルのルーメン内から完全に引き抜くことができるので、別の好ましい実施形態において、異なる第2の取外し可能な挿入可能EMR伝導システム(又は、第2の伝導システムの少なくとも光学素子)を、カテーテルの同じルーメンの中へ交換可能に挿入できる。第2の取外し可能な挿入可能EMR伝導システムは、交換可能なEMR伝導システムの少なくとも1つの半径方向放射部分と異なる少なくとも1つの半径方向放射部分を持つ点で異なる可能性がある。
【0030】
少なくとも1つの結合具は、放射線源をEMR伝導システムに接続し、いくつかの好ましい実施形態において、結合具をEMR伝導システムから簡単に取外し可能にできる少なくとも1つの特徴部を備えることができる。好ましい結合具は、固有に設計された接続部、事前製造された結合システム又は結合効率及び有用性を最適化するこれらの任意の組合せを利用することによって、得ることができる。更に、このような結合具は、取外し可能な挿入可能EMR伝導システムをEMR源に結合して、更にEMRを伝搬するために最適化された中間区画を持つ複数の結合具を備えることができる。1つの好ましい実施形態において、EMR源は、パッチケーブル又はEMR伝導拡張区分に結合できる。これは、その後、正式の取外し可能な挿入可能EMR伝導システムに結合される。
【0031】
光学素子は、更に、反射面、光学的に伝送可能な材料、レンズ、光ファイバフィラメント及びこれらの任意の組合せなどの光学的特徴群から選択された少なくとも1つの光学的特徴を含むことができる。光学素子は、又、複数の波長又は強度のEMRを伝送でき、例えば、光学素子は、1つ又は複数の細長本体を備え、各細長本体が異なる波長及び/又は強度のEMRを伝送できる。複数の波長は、交互に、同時に、前後して又は連携して、又はこれらの組合せで(例えば、1つの波長は一定に、他の波長はパルス状で)伝送できる。複数の強度は、同じ要素を介して同時に伝送できる。光線療法の交互パターンも伝送できる。
【0032】
EMR伝導システムは、例えば中心静脈カテーテル、末梢挿入カテーテル、末梢挿入中心カテーテル、正中線カテーテル、頸部カテーテル、鎖骨下カテーテル、大腿骨カテーテル、心臓カテーテル、心臓血管カテーテル、尿道フォーリーカテーテル(
図13~15)、間欠尿道カテーテル、気管内管、透析カテーテル(血液透析か腹膜透析かに関わりなく(
図16A~18B))、胃腸カテーテル、経鼻胃管、創傷排液カテーテル又は流体又は標本の送達又は回収のために患者体内へ挿入された同様のアクセス用医療カテーテル又はチューブを含めて(但し、これらに限定されない)任意の数のカテーテルの1つの中へ少なくとも部分的に挿入するように構成できる。
【0033】
EMR伝導システムの1つの好ましい実施形態は、単一の挿入可能光ファイバを備える光学素子を有する。単一の光ファイバの場合、単一のファイバは、光がその長さに沿った様々な区画で光を半径方向又は軸方向に伝送できるようにする。光が半径方向に伝送される区画の場合、光学素子の外面は、EMRの半径方向放射を容易にするように改変できる。外面の改変は、光ファイバの長さに沿って様々な半径方向放射部分を生成するために化学的エッチング、物理的エッチング又はプラズマ又はレーザーによる電磁アブレーションによって、達成できる。半径方向放射部分は、光が光ファイバから半径方向に放射できるようにする。当然、EMR伝導システムの別の好ましい実施形態は、複数の単一の挿入可能光ファイバを含むことができ、その各々が、同じ長さ又は異なる長さを持つか、又は部分的に又は完全にカテーテルの中へ挿入される。
【0034】
本開示において、半径方向に放射される光は、光が半径方向成分を持つことを意味する。したがって、半径方向に放射される光は、放射の軸方向の点において光ファイバの中心軸線に対して直角を成して及び/又は斜めに放射できる。
【0035】
半径方向放射区画を有する実施形態の場合、光ファイバを構成する材料は、プラスチック、シリカ、フッ化ガラス、リン酸塩ガラス、カルコゲニドガラス及び軸方向の光の伝搬及び半径方向放射を得るための表面改変が可能なその他の任意の適切な材料を含めて光ファイバを構成する材料群から選択できる。更に、光ファイバは、シングルモード、マルチモード、又は化学的、物理的又は電磁製造改変プロセスを使用して改変のために最適化されたプラスチック光ファイバとすることができる。光ファイバは、又、生産後改変のために最適化できる。
【0036】
更に別の好ましい実施形態は、少なくとも1つの光ファイバから成るEMR伝導システムを修正するために物理的研削改変法を採用する。このファイバは、物理的研削プロセスに対する最適の光学反応に基づいて利用される。このプロセスは、例えば、サンダー仕上げ、媒体吹付け、研摩、バフ仕上げ、又は光ファイバの少なくとも1つの区画の媒体吹付けを含むが、これらに限定されない。物理的研削プロセスは、適切な半径方向EMR放射を最適化するための物理的研削の範囲の点で又はその不在の点で必ずしも最適化されない。これは、光ファイバを修正する際に利用される速度、加速、圧力、修正時間又は研削材料の少なくとも1つを調整することによって実現できる。
【0037】
更に別の実施形態は、光の半径方向伝送を得るために光ファイバ内に浮遊する微視的多孔構造体を採用する。このような微視的構造体は、光ファイバのコア及び/又はコア-クラッド境界内に位置付けできる。微視的構造体は、微視的構造体がない領域より低い屈折率を有する。微視的構造体は、光ファイバのコア又はコア-クラッド境界に付加される金属、ラバー、ガラス又はプラスチックなどの材料とすることができる。微視的構造体は、光ファイバのコア又はコア-クラッド境界内で光学収差を生じる材料の不在とすることもできる。例えば、光ファイバコアの中に微視的バブルが存在すると、材料の屈折率を改変する光学収差又は欠陥を生じ、その結果、EMRが光ファイバから半径方向に放射される。
【0038】
別の好ましい実施形態は、EMRの半径方向又は軸方向の伝搬を最適化するために改変されたクラッドを持つ少なくとも1つの光ファイバを備えることができる。例えば、クラッドは、EMRを部分的に半径方向に伝送するためにクラッドを少なくとも部分的に取り除く又は薄くするように改変できる。別の実施例は、特定の部分のみがクラッドを含む光ファイバを含むことができ、EMRは、クラッド部分において軸方向に伝送され、非クラッド部分においては少なくとも部分的に軸方向及び半径方向に伝送される。
【0039】
更に別の好ましい実施形態においては、光ファイバの半径方向放射部分が光ファイバに沿って半径方向放射部分の長さに亘って実質的に等しい強度を持つことで、均等な半径方向伝送が得られる。これは、勾配パターンの化学的エッチング、物理的エッチング、プラズマアブレーション又はレーザーアブレーションによって実現できる。速度、加速、圧力勾配、流量、修正時間又は修正材料又はプロセスの少なくとも1つを改変することによって、修正された光ファイバの各部分又は長さ全体で半径方向伝送の均等性を得ることができる。製造時に、勾配が与える均等性は、コア及び/又はコア-クラッド境界内に位置付けられた微視的構造体を勾配パターンで付加することによっても得られる。又、勾配クラッド又はコア特徴によって得られる半径方向伝送の均等性が、実質的に部分の長さ全体に均等であるか又は変動するかに関わりなく、所望の半径方向放射を得るために想定される。
【0040】
更に別の好ましい実施形態は、光ファイバの少なくとも一部分が勾配分布で半径方向にEMRを放射して、勾配半径方向伝送を得る。勾配分布も、均等又は勾配パターンの化学的エッチング、物理的エッチング、プラズマ又はレーザーアブレーションによって実現できる。速度、加速、圧力勾配、流量、修正時間又は修正材料又はプロセスの少なくとも1つを改変することによって、光ファイバの一部分全体に亘って勾配半径方向伝送を得ることができる。又、これは、コア及び/又はコア-クラッド境界内に位置付けられた微視的構造体の付加によっても得られる。勾配半径方向伝送は、別の好ましい実施形態において、長さの一部分に亘って均等及び/又は不均等で変動する制御された相対強度を示すことを可能にする。
【0041】
取外し可能な挿入可能EMR伝導システムの更なる好ましい実施形態は、少なくとも1つのLEDなどの光学素子と、その関連する配線コンポーネントと、スカフォードと、を備える。LEDは、LED固有の分布に基づいてEMRを放射するか、又は対象方向にEMRを集束又は拡散するためにレンズ又はミラーなどの別の光学素子を利用できる。更に、最大治療効果を得るために適切にEMRを放射するために、複数のLEDをアレイ状に配列できる。LEDは、これと関連する配線コンポーネントと一緒に、スカフォードに、永久的に又は取外し可能に取り付けることができ、これによって、EMR伝導システムをカテーテルの中に取外し可能に挿入できるようにする。スカフォードは、剛性、半剛性、可鍛性、弾性又は可撓性又はこれらの任意の組合せとすることができる。
【0042】
別の好ましい実施形態において、流体の注入又は回収のための複数ルーメンを持つカテーテルは、治療用EMRの伝送のために1つ又は複数の別個のルーメンを含む。各ルーメンは、別個の近位カテーテルハブ組立体を持つことができる。このような内部ルーメンは、集束室で集束し、ここで、個々の内部ルーメンは、その個々の内部経路を維持しながら単一の細長カテーテル本体の中へ合流する。このような好ましい機器は、集束室と指定されたカテーテル内部ルーメンを軸方向に通過する放射線に分路するための光学的方法の使用を含むことができる。
【0043】
遠位端を通過して回収された標本は、感染症のタイプを特徴付けるために使用されることが多い。本開示の1つの好ましい実施形態は、カテーテルに対して軸方向の光の伝搬を維持すること及び常在する感染因子の数を減少または排除するために充分な強度の治療用光線をカテーテルの遠位端まで送達すること、に重点を置く。
【0044】
更に別の好ましい実施形態において、上述の医療機器組立体は、泌尿器で使用される。カテーテル(フォーリーカテーテルなど)は、尿路の尿道及び膀胱の中に配置される。
【0045】
更に別の好ましい実施形態において、上述の医療機器組立体は、胃腸で使用される。
【0046】
更に別の好ましい実施形態において、上述の医療機器組立体は、脈管内で使用される。
【0047】
更に別の好ましい実施形態において、上述の医療機器組立体は、患者の頭蓋内腔内で使用される。
【0048】
更に別の好ましい実施形態において、上述の医療機器組立体は、患者の脊椎腔内で使用される。
【0049】
更に別の好ましい実施形態において、上述の医療機器組立体は、患者の眼腔内で使用される。
【0050】
更に別の好ましい実施形態において、医療機器組立体は、透析カテーテル(血液透析か腹膜透析かに関わりなく)内で使用される。
【0051】
本発明の好ましい実施形態は、添付図面と一緒に下記の説明及び請求項を読めばより明らかになるだろう。これらの図面は単に好ましい実施形態を示すものであり、本発明の範囲を制限するものとは見なされないと言う了解の下で、本開示の好ましい実施形態について、添付図面を使用して更に具体的かつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、接続部を含む二重ルーメンカテーテル及びEMRコンポーネントの好ましい実施形態の斜視図を分解図で示し、カテーテルへのEMR源の接続部を図解する。
【
図2】
図2は、患者胸部の挿入用切開部を介して体腔の中へ挿入されるトンネル三重ルーメンカテーテルの別の好ましい実施形態の概略図である。
【
図3】
図3は、トンネル三重ルーメンカテーテル、挿入可能光学素子及びEMRコンポーネントの更に別の好ましい実施形態の概略図であり、カテーテルへのEMR源の接続及びカテーテルの中へ部分的に挿入された光学素子の挿入を図解するために患者の腕の挿入用切開部を介して体腔の中へ挿入される三重ルーメンカテーテル及び接続部を分解図で示す。
【
図4】
図4は、挿入可能光学素子がカテーテル外部に配置されている二重ルーメンカテーテルの更に別の好ましい実施形態の部分的分解斜視図であり、集束室を示す。
【
図5】
図5は、挿入可能コンポーネントが部分的にカテーテル内部に配置されている
図4の好ましい二重ルーメンカテーテルの斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、カテーテルラインチューブの単一ルーメン内の中心に位置するクラッド被覆光学素子の好ましい実施形態を示す断面図である。
【
図6B】
図6Bは、カテーテルラインチューブの単一ルーメン内で中心から外れるクラッド被覆光学素子の好ましい実施形態の断面図である。
【
図6C】
図6Cは、カテーテルラインチューブの単一ルーメン内で中心に位置する裸光ファイバ素子の別の好ましい実施形態を示す断面図である(
図6A~Cは、単一ルーメンカテーテル内に配置された二者択一的光学素子の例示的断面図である)
【
図6D】
図6Dは、カテーテルラインチューブの別個のルーメン内に各々配置された好ましいクラッド被覆光学素子を示す好ましい3ルーメンカテーテルの断面図である。
【
図6E】
図6Eは、各クラッド被覆光学素子の長さが同じであることを示すために切り取られた
図6Dの3ルーメンカテーテルの一部分の斜視図である。
【
図6F】
図6Fは、中心コアを持つ好ましい4ルーメンカテーテルの断面図であり、各々カテーテルラインチューブの別個のルーメン内に配置された好ましいクラッド被覆光学素子及び中心コア内に同心的に埋め込まれた裸光ファイバ素子を示す。
【
図6G】
図6Gは、各クラッド被覆光学素子及び裸光ファイバ素子の長さが異なることを示すために切り取られた
図6Gの4ルーメンカテーテルの一部分の斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、EMR伝導システムの取外し可能な挿入可能光学素子が部分的にカテーテル内部に配置されている好ましい二重ルーメンカテーテルの部分的分解斜視図であり、EMR伝導延長区分として役立つ中間結合具を示す。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aの好ましい二重ルーメンカテーテルの部分的分解斜視図であり、2つのEMR伝導システム(一方はEMR伝導システムの取外し可能な挿入可能光学素子が部分的にカテーテル内部に配置され、他方はEMR伝導システムの取外し可能な挿入可能光学素子が完全にカテーテル内部に配置されてカテーテルによって取り囲まれている)を示す。
【
図8A】
図8A~Eは、位置、長さ及び改変の度合いが変動する取外し可能な挿入可能光学素子のいくつかの好ましい実施形態の一連の立面図であり、光学素子コネクタは、影線で示される内部特徴をより良く示すために透明として示される。
図8Aは、半径方向放射部分を持たない光学素子の好ましい実施形態の立面図である。
【
図8B】
図8Bは、光学素子の結合端と遠位端との間の中間区分に配置された単一の半径方向放射部分を有する光学素子の別の好ましい実施形態の立面図であり、中間区分の長さに亘って均等のEMRを放射するように描かれた勾配を有する。
【
図8C】
図8Cは、実質的に光学素子の結合端と遠位端との間の距離全体に配置された単一の半径方向放射部分を有する光学素子の更に別の好ましい実施形態の立面図であり、区分の長さに亘って均等のEMRを放射するように描かれた勾配を有する。
【
図8D】
図8Dは、複数の半径方向放射部分を有する光学素子の更に別の好ましい実施形態の立面図であり、1つの半径方向放射部分は光学素子の結合端と遠位端との間の中間区分に配置され、別の1つは近位端に近接する。
【
図8E】
図8Eは、複数の半径方向放射部分を有する光学素子の別の好ましい実施形態の立面図であり、1つの半径方向放射部分は、非半径方向放射帯を挟む2つの非勾配放射帯であり、別の1つは、光学素子の中間部分の変化する勾配の例であり、別の1つは、光学素子の遠位端付近の非均等勾配部分である。各々、制御された相対強度の例である。
【
図9A】
図9Aは、様々なEMR半径方向勾配放射レベルを持つ好ましい取外し可能な挿入可能光学素子(
図8Cに示すのと同様)の複数の部分の断面図である。
【
図9B】
図9Bは、制御された相対強度を持つ非勾配及び勾配EMR半径方向放射レベルの例を示す更に別の好ましい取外し可能な挿入可能光学素子の複数の部分の断面図である。
【
図10】
図10は、
図9Aの様々な勾配放射レベルの断面図であり、内部反射のEMR光線図及び相対半径方向放射の断面を示す。
【
図11】
図11は、光ファイバのコア、クラッド及びコア/クラッド境界内の微視的構造体(フレック又はバブルなど)の様々な好ましい分散の断面図である。
【
図12】
図12は、取外し可能な挿入可能光学素子にその遠位端から離れて施されるアブレーション処理の概略図である。
【
図13】
図13は、取外し可能な挿入可能光学素子が部分的にインプットポートの中に挿入されバルーンカフが膨張している、尿道カテーテルの好ましい実施形態の部分的分解斜視図である。
【
図14】
図14は、男性患者の体内から尿を排出しかつ体内にEMRを与えるために配置された尿道カテーテルの別の好ましい実施形態の概略図である。
【
図15】
図15は、男性患者体内から尿を排出しかつ体内にEMRを与えるための尿道カテーテルの概略図であり、尿道の内部の線量に比べて陰茎の外尿道領域及び膀胱内での強度を増す好ましいEMR送達を示す。
【
図16A】
図16A~Cは、好ましい2カフ腹膜カテーテルの一連の斜視図であり、好ましい半径方向EMR放射を示す。
図16Aは、好ましい2カフ腹膜透析カテーテルの斜視図であり、コネクタから腹膜カフに近接しその下流の点まで延びる半径方向放射を示す。
【
図16B】
図16Bは、別の好ましい2カフ腹膜透析カテーテルの斜視図であり、皮下カフの上流の点と腹膜カフの下流の点との間のEMRの半径方向放射を示す。
【
図16C】
図16Cは、更に別の好ましい2カフ腹膜透析カテーテルの斜視図であり、コネクタハブと腹膜透析液領域内の点との間のEMRの半径方向放射を示す。
【
図17A】
図17Aは、延長セットインターフェイスを持つ好ましい2カフ腹膜透析カテーテルの立面図であり、Y部位/移行領域のみの半径方向EMR放射を示す。
【
図17B】
図17Bは、延長セットインターフェイスに接続された2カフ腹膜透析カテーテル10の立面図であり、患者体外のみの半径方向EMR放射を示す。
【
図17C】
図17Cは、延長セットインターフェイスを持つ別の好ましい2カフ腹膜透析カテーテルの立面図であり、Y部位/移行領域、コネクタハブ領域、トンネル区分及び腹膜透析液領域内における半径方向EMR放射を示す。
【
図17D】
図17Dは、延長セットインターフェイスを持つ更に別の好ましい2カフ腹膜透析カテーテルの立面図であり、Y部位/移行領域、コネクタハブ領域、トンネル区分及びコイル状Tenckhoffの中まで延びる腹膜透析液領域内における半径方向EMR放射を示す。
【
図18A】
図18Aは、女性患者の体内に挿入される単一カフ腹膜透析カテーテルの好ましい実施形態の概略図である。
【
図18B】
図18Bは、女性患者の体内に挿入される単一カフ腹膜透析カテーテルの別の好ましい実施形態の概略図であり、EMR源の下流の点から腹膜カフのすぐ下流で腹膜透析液領域内までの半径方向EMR放射を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示の好ましい実施形態は、図面を参照することによって良く理解できる。図面において、同様の部品には全体を通じて同様の番号が割り当てられる。好ましい実施形態の構成要素は、概略的に説明し図解するように、多様な構成で配列し設計できることが、容易に分かるはずである。したがって、
図1~18Bに表されるような本開示の装置、システム及び方法の好ましい実施形態の下記のより詳細な説明は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、単に好ましい実施形態を表すものである。
【0054】
「~に取り付けられる」、「~に固定される」及び「~に据え付けられる」は、取り付けられた、固定された又は据え付けられた物体との間の相対的並進又は回転を制限する機械的結合の形式を意味する。「滑動可能に~に取り付けられる」は、他の相対的動きを制限しながら相対的並進は許容する機械的結合の形式を意味する。「直接~に取り付けられる」は、固定されるアイテムが直接接触してその固定状態に維持される固定の形式を意味する。
【0055】
「当接する」は、アイテムが一緒に取り付けられていない可能性はあるが、アイテムが相互に物理的に直接接触することを意味する。「グリップ」は、アイテムが、アイテムの1つと物理的に直接接触して他方をしっかりと保持することを意味する。「一体的に形成される」は、構成要素の組立ての必要なく単一のピースとして製造されるボディを意味する。相互に直接取り付けられて単一の工作物を形成する場合、複数の要素は、相互に一体的に形成できる。したがって、相互に「結合される」要素は、単一のピースとして一緒に形成できる。
【0056】
「好ましい」は、本明細書において、「実施例、事例又は例示として役立つ」ことを意味する。本明細書において「好ましい」として説明される実施形態は、必ずしも、他の実施形態に比べて望ましい又は有利なものと見なされないものとする。実施形態の様々な形態が図面において提示されるが、図面は、明確に指示されない限り必ずしも縮尺通りではない。
【0057】
図1を参照すると、カテーテル10は、患者体内12(
図2)へ挿入可能である。本開示の医療機器組立体は、非紫外線電磁放射線(EMR)コンポーネント20と、挿入可能カテーテルコンポーネント22と、を備える。非紫外線EMRコンポーネント20は、概略的に、EMR電源26を囲繞するために使用される細長本体24と、組立体の2つのコンポーネントを結合するための結合要素28と、を備える。使用されるEMRは、1つ又は複数の感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を強化するなどの治療効果を生じるために充分に高い強度を有する380nm~904nmの範囲で発せられた可視光線として現れる(カテーテル10から半径方向に延びる光線として示される)。いくつかの実施形態において、EMR源26は、最も効果的な時点に有利な時間間隔で適切な所望の強度に調節してEMRを提供できるように、調節可能なデューティサイクル長さなどの調節可能性を有する。
【0058】
図1~5に示すカテーテル10は、好ましい複数ルーメンカテーテル10であり、各々が、ラインチューブ16と、1つ又は複数(
図1、4及び5においては2つ、
図2及び3においては3つが示される)の近位カテーテルハブ組立体32と、細長カテーテル本体36と、内部ルーメン30に通じる1つ又は複数の開口35を持つ遠位端34と、集束室40と、を備える。各内部ルーメン30は、内径(即ち、内面寸法、例えば
図6Aの外径76を参照)を有し、カテーテル10の長さを近位カテーテルハブ組立体32からラインチューブ16、集束室40及び細長カテーテル本体36を通過して遠位端34まで延びる。流体は、ルーメン30の中へ注入されて、開口35を通過して患者体内12へ出ていくか、又は、流体は、患者体内12から開口35を通過してルーメン30の中へ引き込まれる。更に、いくつかのカテーテル10は、カテーテル10が挿入される患者体内12の体腔壁に対してカテーテル10をシールできる膨張式バルーンカフ37(
図13及び14)を持つことができる。光学素子14は細長く、反射コーティングであるか、又は内部ルーメン30の少なくとも1つの中に挿入可能であるように充分に小さい外径(即ち、外面寸法、例えば
図6Aの外径76)を持つ光ファイバとすることができ、少なくとも光学素子の終結点42までカテーテル10の中へ延びることができる(挿入部は所望の場合にはこの長さより短い場合もあるが)。
【0059】
挿入可能光学素子14と使用するのに適するカテーテル10は、様々な製造元、サイズ及び機能のものとすることができる。例えば、患者の尿道39を通過して患者の膀胱41の中へ挿入される尿道カテーテル10(例えば、
図13及び14)は、インプットポート43と、アウトプットポート45と、流体(又は、本開示の場合には、治療用EMR)を患者体内12へ注入できるようにしながら患者の膀胱41から尿を排出し易くする膨張式バルーンカフ37と、を持つことができる。別の実施例として、半透明のカテーテル10は、カテーテル壁84(例えば、
図6A~Cの好ましいカテーテル壁84)を通過してカテーテル10の周囲の組織まで半径方向放射EMRが通過できるようにするのに、特に適する。カテーテル10は、挿入可能光学素子14をカテーテル10内部に置いたままカテーテル10を通過して同時に流体(液体又は気体)の注入又は抜き取りができるようにする空隙78又は通路(
図6A~C)を作るために、挿入可能光学素子14の外面寸法(外径76)より充分に大きい内面寸法(内径74)を持つ。
【0060】
また、いくつかのカテーテル10は、カテーテル10が患者体内12に置かれた場所の画像を測定できるように、カテーテル10の壁内に放射線透過剤が埋め込まれる。但し、いくつかのカテーテル10は、このような放射線不透過剤を含まない。いずれの場合にも、本開示においては、カテーテル10が放射線不透過剤を持たない場合に患者体内12のカテーテル10の位置を検出するため及びカテーテル10が放射線不透過剤を持つか否かに関係なくカテーテル10内に配置された挿入可能光学素子14の位置を検出するために(カテーテル10と挿入可能光学素子14を区別できるように、場合によっては異なる放射線不透過剤を必要とする場合がある)、挿入可能光学素子14の中又はその外面に放射線不透過剤を含めることが、想定される。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態において、近位カテーテルハブ組立体32の少なくとも1つは、光学素子コネクタ94と挿入可能光学素子14を整列させる光ファイバ素子整列シャフト98を持つことができる。
【0062】
図2及び3は、それぞれ患者12の胸部(
図2)及び患者12の腕(
図3)の挿入部位Aにおいて挿入されたカテーテル10の概略図である。図は、非紫外線治療用EMRをどのように挿入部位Aにおいて及び患者体内12のその他の部位へ送達できるかを示す。挿入部位Aにおいて、治療用EMRは、経皮エリア48の感染因子を不活化するため及び挿入部位Aの治癒を促進するために経皮エリアへ送達できる。同様に、遠位端34(この場合には、大静脈内)に近接して、感染因子を不活化しかつ/又はその近辺の治癒を促進するために治療用EMRを送達できる。
【0063】
本開示の
図2を参照すると、医療機器組立体の別の実施形態の概略図は、非紫外線EMRコンポーネント20と、挿入可能カテーテルコンポーネント22と、を含む。図示する実施形態は、具体的に、トンネル三重ルーメン中心ライン変形であるが、カテーテル10は、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなくアクセスカテーテル10(即ち、脈管、胃腸カテーテルなど)を包括できることが分かるはずである。非紫外線EMRコンポーネント20は、挿入可能カテーテルコンポーネント22の近位カテーテルハブ組立体32に結合される。他の結合ハブ32は、流体の軸方向の伝搬のために(注入又は回収のため)利用できる。指定される各内部ルーメン30は、その近位カテーテルハブ組立体32と遠位端34との間でEMR又は流体を伝搬する。
【0064】
図2及び3の三重ルーメンカテーテル10は、具体的に三重ルーメンカテーテル10を使用することを示すが、三重ルーメンの実施形態は複数の流体の送達又は抽出が同時に必要なエリアにおいて望ましいことが分かるはずである。例えば、血液透析の場合、静脈及び動脈の血液が同時に交換される。同様に腹膜透析においては、流体及び溶解物質(電解質、尿素、グルコース、アルブミン、及びその他の小さい分子)が、患者の腹部の腹膜を通過するカテーテルアクセスによって血液から交換される。このような好ましい三重ルーメンの実施形態は、このような透析機能と同時に治療用EMRの送達を可能にする。
【0065】
切開部位A及び挿入可能カテーテル本体36の近接経皮領域は、しばしば高い感染源となる。切開部位及び経皮エリア48における感染を抑えるために、細長カテーテル体内36の光学素子14から半径方向に治療用EMRを放射し易くするためにカテーテル本体36の専用領域を与えることができる。これによって、滅菌EMRを外へ向かって照射して、挿入部位A及び経皮エリア48における感染因子を不活化できる。遠位端34へ向かって専用領域の長さを延ばすことによって、専用領域に近接する患者体内12の経皮領域に治療用EMRを照射できる。
【0066】
細長カテーテル本体36の遠位端34に近接して、光学素子14は、カテーテル10の遠位先端を越える組織を突いたりこれに貫入したりせずに、カテーテル10の遠位端34全体及び周囲の体腔エリアに治療用EMRを照射できるように、終結点42において停止される。
【0067】
EMRコンポーネント20は、EMR電源26(
図2~5)と、光源(図示せず。レーザー又はこれに類似するもの)と、電気回路(図示せず)と、光学機器(図示せず。光源に依存する)と、(これらは全て細長本体24内に収容される)を備える。結合要素28は、EMRコンポーネント20を光学組立体50に接続する。光学組立体50は、挿入可能光学素子14と、光学素子コネクタ94と、を備える。EMRコンポーネント20、結合要素28、及び挿入可能光学素子コネクタ94及び挿入可能光学素子14を備える光学組立体50の組合せ体を、本明細書において、EMR伝導システム18と呼ぶ。いくつかの実施形態において、EMR伝導システム18は、カテーテル10内の挿入配置から取り外すことができる。EMR伝導システム18が挿入可能に取外し可能である場合、治療用EMRは、改装的に既存の留置カテーテル10の中へ導くことができる。又、EMR伝導システム18が取外し可能に挿入可能である場合、異なる第2のEMR伝導システム18(又は少なくとも第2のEMR伝導システム18の光学素子14)も、2つの異なるEMR伝導システム18をカテーテル10の同じルーメン30の中へ交換可能に挿入可能であるように、取外し可能に挿入可能とすることができる。
【0068】
実施形態の各々にとって特に重要なのは、380nm~約904nmの範囲の波長を持つ光線の使用である。更に、発せられる光の強度及び出力は、感染因子を不活化しかつ/又は治癒を促進するために役立つ。0.1J/cm2~1kJ/cm2の範囲の照射量及び0.005mW~1Wの範囲の出力、及び1mW/cm2~1W/cm2の範囲の出力密度は、これらの好ましい機器組立体及び方法にとって重要である。波長、出力密度及び照射量のこれらの範囲は、治癒組織に対して抗菌効果あるいはプラスの生物学的効果を持つことが立証されている。これらのプラスの生物学的効果の中には、炎症細胞の減少、線維芽細胞の増殖の増大、コラーゲン合成の刺激、脈管形成の誘発及び肉芽組織形成が含まれる。
【0069】
本明細書において説明する好ましい各実施形態について、EMR伝導システム18及び消毒/治癒の方法は、調節可能な又は予設定されたデューティサイクルで利用できる。滅菌処置が開始された直後に治療が始まる場合、機器関連の感染症を抑止できる可能性がある。これは、機器関連の生物膜成長を含む。
【0070】
更に、380nm~904nmの範囲の波長は、充分な強度と共に1つ又は複数の感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を強化するが、より正確な波長は、特定の感染因子に対して又は所望の治癒目的のためにより特定の効能を持つことができる。400nm、405nm、415nm、430nm、440nm、455nm、470nm、475nm、660nm及び808nmを中心とする波長を含む波長の滅菌EMRは、特定の効能を有することが分かっている。治癒及び健康な細胞の成長を促進するために選択される波長は、632nm、632.8nm、640nm、650nm、660nm、670nm、680nm、780nm、808nm、830nm及び904nmを中心とする波長群から選択できる。
【0071】
非紫外線治療用EMRを送達するために患者12の体腔の中へ少なくとも部分的に挿入できる挿入可能カテーテルコンポーネント22は、少なくとも1つの内部ルーメン30と、近位カテーテルハブ組立体32と、遠位端34と、を備える。内部ルーメン30は、単純に、流体又はEMRが通行できる内部経路と定義される。単一又は複数ルーメンカテーテル10の場合、図面において同様の特徴部は同じ番号が付けられる。特許出願(2013年3月13日に提出された米国特許出願第13/801750号)(上で明確に参照することによって本明細書に援用された)においては、複数ルーメンカテーテルの実施例が説明され図解されていることが分かるはずである。複数ルーメンの実施形態において、専用の単一ルーメンをEMRの軸方向の伝搬のために指定でき、各付加的ルーメンは、流体の軸方向の注入又は回収のため専用とすることができる。このようにして、流体及びEMRの両方を、個別のラインを通過して同時に軸方向に伝搬でき、EMR送達光学素子14及び流体は、同じルーメンを占有する必要がない。
【0072】
設定された切開部位Aにおいて患者12の体腔の中へ挿入可能な遠位端34は、細長カテーテル本体36が、患者体内12への送達のために細長カテーテル本体36に対して軸方向に流体及び治療用EMRの送達及び/又は回収を導けるようにする。細長カテーテル本体36は、少なくとも1つの内部ルーメン30を有する細長カテーテル10として説明される。本開示の別の実施形態を
図4に示す。
図4は、取外し可能EMR伝導システム18がカテーテル10外部に在る、二重ルーメンカテーテル10の斜視図である。図示されるカテーテル10部分は、近位カテーテルハブ組立体32とラインチューブ16の結合部を保護しかつラインチューブ16をラインクランプ46による摩滅からも保護する可撓性保護チューブ44を示す。
【0073】
治療用EMRは、その具体的なニーズに応じて長さ38が変動するカテーテル10に対して軸方向に通行する。内部ルーメン30を通過する流体は、注入される製薬化合物(例えば、薬物)を含有するものか、又は回収される生物学的流体(例えば、血液、尿又は脳脊髄液)とすることができる。
【0074】
複数ルーメンの各実施形態は、個々の内部ルーメン30がその個々の内部経路を保持しながら単一の細長カテーテル本体36の中へ集束する点に集束室40を含むことができる。細長カテーテル本体36の遠位端34において、光学素子14は、治療用EMRがカテーテル10の遠位端34及び周囲体腔エリア全体を照射できるように終結点42において停止される。
【0075】
この実施形態は、又、近位カテーテルハブ組立体32において及び近位カテーテルハブ組立体32と集束室40との間においてルーメンを保護するために可撓性保護チューブ44を備えることができる。手動のライン閉塞が必要な場合、これはラインクランプ46を用いて実施できる。
【0076】
図5は、取外し可能な挿入可能EMR伝導システム18がカテーテル10のルーメン30の1つの中へ部分的に挿入されている、
図4の二重ルーメンカテーテル10を示す。
【0077】
図6A~Gは、好ましい単一ルーメンカテーテル10(
図6A~C)又は好ましい複数ルーメンカテーテル10(
図6D~G)内に配置された二者択一的光学素子14の一連の例示的断面図である。
図6Aは、単一ルーメンカテーテル10のカテーテルラインチューブ16のルーメン30の中心に位置するクラッド被覆光ファイバ70の好ましい実施形態を示す断面図である。断面で示される単一ルーメンラインチューブ16/カテーテル10は、内径74及びカテーテル壁84を有する。クラッド被覆光ファイバ70は、光学素子14であり、外径76、コア-クラッド境界80及びクラッド外側境界82を有する。
図6Aに示すようにクラッド被覆光ファイバ70が中心に位置するとき、カテーテル壁84の内径74がクラッド被覆光ファイバ70の外径76より大きければ、クラッド外側境界82とカテーテル壁84との間に環状空隙78が作られる。流体は、注入か回収かにかかわらず、クラッド被覆光ファイバ70が単一ルーメンカテーテル10のルーメン30内に在るとき、この空隙78を通行できる。
【0078】
図6Bは、単一ルーメンカテーテル10のカテーテルラインチューブ16のルーメン30内で非中心に位置するクラッド被覆光ファイバ70の好ましい実施形態を示す断面図である。但し、ルーメン30内に形成された空隙78は環状ではなく、クラッド被覆光ファイバ70を中心に保持する構造がないので、光学素子14がカテーテル10のルーメン30の中へ取外し可能に挿入されるとき、非中心配置が生じる可能性がある。したがって、光学素子14から半径方向に放射された治療用EMRは、カテーテル壁84に到達しこれを通り抜ける前に空隙78を通り抜けなければならない。特に流体が空隙78内にあるとき、治療用EMRの強度は、カテーテル壁84から現れる治療用EMRが留置カテーテル10の周りの組織の中の感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を強化するために充分であるように、増大される必要があるかも知れない。
【0079】
図6Cは、単一ルーメンカテーテル10のカテーテルラインチューブ16のルーメン30内で中心に位置する裸光ファイバ72の別の好ましい実施形態を示す断面図である。この実施形態においては、空隙78は、カテーテル壁84と裸光ファイバ72の外面62との間に作られる。
【0080】
当然、複数ルーメンカテーテル10も、本開示において想定され、
図6A~Cの状況は、複数ルーメンカテーテル10に同等に適用でき、1つ又は複数の光学素子14が複数ルーメン30の1つ又はそれ以上内に存在できることが当業者には分かるはずである。複数ルーメンカテーテルの例は、特許出願(2013年3月13日に提出された米国特許出願第13/801750号)(上の明白な参照により本明細書に援用される)において説明され図示される。
【0081】
図6Dは、好ましい3ルーメンカテーテル10の断面図であり、カテーテルラインチューブ16の別個のルーメン内で各々中心に位置する好ましいクラッド被覆光ファイバ70を示す。断面図で示される3ルーメンラインチューブ/カテーテル10は、カテーテル壁84及びルーメン30を相互から分離する内部仕切り壁85を有する。
図6Dに示すようにクラッド被覆光ファイバ70が中心に位置するとき、クラッド外側境界82とカテーテル壁84と内部仕切り壁85との間に周囲空隙79が作られる。流体は、注入されるか回収されるかに関わりなく、必要な場合、周囲空隙79を通行できる。
【0082】
図6Eは、各クラッド被覆光ファイバ70の長さが同じであることを示すために切り取られた
図6Dの3ルーメンカテーテル10の一部分の斜視図である。この好ましい実施形態において、制御された相対強度のEMR線量は、本開示全体を通じて説明するように治療領域固有の線量投射のための半径方向放射のために、各クラッド被覆光ファイバ70へ同時に、交互に及び/又は択一的に送達できる。
【0083】
図6Fは、中心コア86を持つ好ましい4ルーメンカテーテル10の断面図であり、各々がカテーテルラインチューブ16の別個のルーメン30内にある好ましいクラッド被覆光ファイバ70及び中心コア86内に同心的に埋め込まれた裸光ファイバ72を示す。
【0084】
図6Gは、各クラッド被覆光学素子と裸光ファイバ素子の長さが異なることを示すために切り取られた
図6Fの4ルーメンカテーテルの一部分の斜視図である。この場合にも、この好ましい実施形態において、制御された相対強度のEMR線量は、本開示全体を通じて説明するように治療領域固有の線量投射のための半径方向放射のために、各クラッド被覆光ファイバ70及び/又は裸光ファイバ72へ同時に、交互に及び/又は択一的に送達できる。この実施形態は、又、クラッド被覆光ファイバ70と裸光ファイバ72が異なる長さを持つことができ、それによって、制御された相対強度及び/又は治療部位固有の線量投射に更に融通性を与えることができることを示す。
図7Aは、部分的に近位カテーテルハブ組立体32及び内部ルーメン30の中へ挿入されている好ましい伝導システム18の分解図斜視図である。この好まし実施形態においては、中間結合具52が示される。このような中間結合具52は、EMR電源26と挿入可能光学素子14の光学素子コネクタ94との間の距離を光の強度を著しく損失することなく延長するために使用されるパッチケーブル54又はEMR伝導延長区分56を含むことができる。パッチケーブル54又はEMR伝導延長区分56の各々は、結合要素28に固定的に係合するための前方コネクタ58と、光学素子コネクタ94に固定的に係合するための後方コネクタ60とを持つことができる。したがって、パッチケーブル54又はEMR伝導延長区分56を使用することによって、EMR電源26は、騒音又は熱の懸念を減少するためにかつ/又はEMR電源26をアウトレット又はバッテリパックなどの電源(図示せず)に近接して配置する位置付けるために患者から所望の距離を置いて作動できる。
【0085】
図7Bは、
図7Aの好ましい二重ルーメンカテーテル10の部分的分解斜視図であり、カテーテル10内部に部分的に配置されたEMR伝導システム18の取外し可能な挿入可能光学素子14を有するEMR伝導システム、及びカテーテル10内部に完全に配置されカテーテル10によって取り囲まれたEMR伝導システム18の取外し可能な挿入可能光学素子14を有する別のEMR伝導システムの、2つのEMR伝導システム18を示す。この好ましい実施形態において、制御された相対強度のEMR線量は、異なるEMR源を使用して同時に、交互に及び/又は択一的に送達でき、制御された相対強度及び/又は治療部位固有の線量投射に更に融通性を与えるために使用できる。
【0086】
図8A~Eは、光学組立体50のいくつかの好ましい実施形態の一連の立面図であり、挿入可能光学素子14の外面62における非勾配及び勾配の改変度合いの様々な位置を示す。一連の図の各々は、挿入可能光学素子14が光学素子コネクタ94に接続されている光学組立体50を示す。好ましい光学素子コネクタ94(
図7A及び9Aも参照)は、接続要素88と、EMRハブ接続具90と、コリメータレンズ92と、整列シャフト98とを有する。
【0087】
一連の図の第1図(一番上の図、
図8A)は、半径方向の分散がない(即ち、挿入可能光学素子14は、挿入可能光学素子14の本体から光の半径方向放射を与えるために処理又は改変されていない)挿入可能光学素子14の非改変光学スパン100を示す。この実施形態において、治療用非紫外線EMRは、遠位端64以外の光学スパン100からの半径方向放射なしで、光学素子14の遠位端64へ与えられる。
【0088】
一連の図の第2図(すぐ下の
図8B)は、区分修正された光学スパン102から半径方向に分散する光を与える半径方向放射部分103全体に好ましい半径方向伝送等価を示す(即ち、図示するように、半径方向放射部分103は、放射されるEMRが半径方向放射部分103の長さに亘って実質的に均等の強度及び出力を持つように勾配修正される)。単一の半径方向放射部分103の位置は、この例において、挿入可能光学素子14が完全にカテーテル10の中へ挿入されたときカテーテル10が挿入部位Aへ進入する位置に対応する。この実施形態において、半径方向に放射される可視光線は、挿入可能光学素子14の長さに沿って1つ又は複数の区分修正光学スパン102を位置付けることによって、挿入部位A、経皮エリア48又は患者体内12の他の任意の予設定された部位において滅菌しかつ/又は健康な細胞の成長を強化できる。
【0089】
図8B~Eの各々は、半径方向放射部分103、105の長さに亘って実質的に均等の強度及び出力のパターンでEMRを放射できるようにする勾配修正を示す。但し、図の各々は、均等の強度及び出力のEMRを示すが、アブレーションが少なければEMRの半径方向放射は少なく、アブレーションが多ければEMRの半径方向放射はより多くなるので、半径方向放射部分103内の修正の度合いを変動することによって、EMR放射の所望のパターンを得ることができる。例えば、
図8Eに示すように、各端に近接してアブレーションが少なく中間においてアブレーションが多い半径方向放射部分103は、両端ではより小さい強度及び出力のEMRを放射し、中間においてより大きい強度及び出力を持つ光を放射する。したがって、任意の所望のEMR放射パターンを、半径方向放射部分103のアブレーションパターンを調節することによって作ることができる。
【0090】
一連の図の第3図(
図8C)は、完全修正光学スパン104のほとんどに沿って延びる光学素子14から半径方向に分散するEMRを与える単一の半径方向放射部分105の例を示す。単一の半径方向放射部分105の位置は、概ね、挿入部位Aから遠位端64までカテーテル10の挿入可能カテーテルコンポーネント22の長さ全体に相当する。この実施形態において、治療用EMRは、実質的に切開部位Aを含めて患者体内12に挿入されるカテーテル10の長さのほぼ全体に与えられる。
【0091】
一連の図の第4図(
図8D)は、複数の位置における半径方向伝送の均等性の例を示す。1つの半径方向放射部分103と付加的な遠位端半径方向放射部分107は、複数修正光学スパン106に沿って離間する。半径方向放射部分103及び遠位端半径方向放射部分107の位置は、例えば挿入部位Aを含めて、滅菌及び/又は治癒のために非紫外線治療用EMRの送達が望ましい身体の部位に対応する。複数修正光学スパン106の長さに沿って複数の半径方向放射部分103を配置でき、かつ/又は各半径方向放射部分103が他の半径方向放射部分103と別個であり、各々が異なる長さ及び勾配アブレーション度合いを持つことができることが分かるはずである。
【0092】
又、これらの図の各々において、図示される半径方向放射部分は、例えば挿入可能光学素子14から半径方向に光を伝送できるようにする挿入可能光学素子14内に埋め込まれた微視的構造物を含めた修正など、挿入可能光学素子14の外面62の修正とは別の修正とすることができることが分かるはずである。更に、このような半径方向放射部分103、105、107は、各半径方向放射部分103、105、107の長さに亘って全体に実質的に均等の光の分布を可能にする勾配パターンを持つことができ、又は変形勾配パターンの非勾配は、各半径方向放射部分103、105、107の長さに亘って光の不均等な分布を生じることができる。各半径方向放射部分103、105、107の度合い、長さ及び位置の融通性は、制御された相対強度及び/又は治療部位固有の線量投射を容易にすることも、分かるはずである。
【0093】
図9Aは、挿入可能光学素子14が光学素子コネクタ94に結合されている、光学組立体50の概略図である。挿入可能光学素子14は、完全修正光学スパン104を持つ。挿入可能光学素子14に沿った複数の位置は、拡大断面図において示す。これらの位置は、各位置の挿入可能光学素子14の性質を説明する助けとなるように、挿入可能光学素子14に沿って軸方向に離間する。図示するように、4つの断面の位置、即ち、第1断面108、第2断面110、第3断面112及び第4断面114がある。簡潔にするために、4つの断面の各々における挿入可能光学素子14への修正は、
図9Aにまとめられてる。当然、挿入可能光学素子14の半径方向放射部分は、単一でも複数でも良く、任意の長さ又は勾配又は非勾配とすることができ、一致しても、重なっても又はそうでなくても良い。
【0094】
第1断面108は、挿入可能光学素子14の内部反射領域を表す。第1断面108に示すように、アブレーション(又はその他の修正)も、挿入可能素子14のコア66内の微視的構造体もない。治療用非紫外線EMRは、第1断面108において挿入可能光学素子14から半径方向には放射されない。
【0095】
第2断面110は、挿入可能光学素子14の最小放射領域を表す。第2断面110に示すように、挿入可能光学素子14の外面62に僅かなアブレーション(又はその他の修正)及び挿入可能光学素子14のコア66内に微視的構造体117の僅かな分散がある。第2断面110から、僅かな治療用非紫外線EMRが、挿入可能光学素子14から半径方向に放射される。但し、放射されるEMRの量は、第2断面110に近接して感染因子を不活化しかつ/又は治癒を促進するために充分な強度及び出力を持たなければならない。
【0096】
第3断面112は、挿入可能光学素子14の中程度放射領域を表す。図示するように、第3断面112において、挿入可能光学素子14の外面62に中程度のアブレーション(又はその他の修正)、及び挿入可能光学素子14のコア66内に微視的構造体117の中程度の分散がある。第3断面112から、治療用非紫外線EMRの中程度の量が、第3断面112に近接する挿入可能光学素子14から半径方向に放射される。但し、第3断面112に到達する前に、挿入可能光学素子14に沿って軸方向に通行する光の量は、第2断面110になどにおいて光の一部が半径方向に放射されることにより減少する。したがって、修正勾配度は、第3断面112において半径方向に放射されるEMRの量が第2断面110における半径方向放射と実質的に均等であるように選択される。したがって、放射されるEMRの強度及び出力は、第2断面110において放射される強度及び出力と実質的に均等とすることができ、感染因子を不活化しかつ/又は治癒を促進するために充分な強度及び出力を持つ。
【0097】
第4断面114は、挿入可能光学素子14の最大放射領域を表す。図示するように、第4断面114において、挿入可能光学素子14の外面62に最大アブレーション(又はその他の修正)、及び挿入可能光学素子14のコア66内に微視的構造体117の最大分散がある。第4断面114から、治療用非紫外線EMRの最大量が、第4断面114に近接する挿入可能光学素子14から半径方向に放射される。この場合にも、第4断面114に到達する前に、挿入可能光学素子14に沿って軸方向に通行を続ける光の量は、第2断面110及び第3断面112などで光の一部が半径方向に放射されることにより減少する。したがって、修正勾配度は、第4断面114において半径方向に放射されるEMRの量が第2断面110及び第3断面112における放射と実質的に均等であるように選択される。放射されるEMRの強度及び出力は、第2断面110及び第3断面112において放射される強度及び出力と実質的に均等とすることができ、感染因子を不活化しかつ/又は治癒を促進するために充分な強度及び出力を持つ。
【0098】
半径方向放射部分は、光が半径方向に放射できるようにするのに充分に臨界角を改変するために化学的、物理的又はその他のクラッド修正(例えばアブレーション)によって修正できる。それに加えて又はその代わりに、半径方向放射部分は、挿入可能光学素子14のコア66内部に変動する勾配集中度の微視的構造体117を分散することによって、修正できる。
図9Aに示すコア6内の微視的構造体117の勾配集中度は、微視的構造体がないエリア109から、微視的構造体117の最小集中度111、微視的構造体の中程度の集中度113、微視的構造体117の最大集中度115までの範囲である。
【0099】
コア66内の微視的構造体117の集中度は、コア66及びコア-クラッド境界80の屈折率に影響を及ぼす。微視的構造体117(例えば、反射フレーク又はバブルなどの空隙)は、光が挿入可能光学素子14を通り抜けるとき光の入射角に変化を生じる。特定の入射角のとき、光は、光学素子のクラッド68を離れて、クラッド外側境界82から半径方向に放射される。
【0100】
図9Bは、更に別の好ましいな取外し可能な挿入可能光学素子14の複数の部分の断面図であり、この場合にも制御された相対強度及び治療部位固有の線量投射の例として、非勾配及び勾配EMR半径方向放射レベルの例を示す。
【0101】
図10は、
図9Aの断面図の概略図であり、矢印で光線を示す。挿入可能光学素子14の同じ断面図、即ち第1断面108(内部反射)、第2断面110(最小半径方向放射)、第3断面112(中程度の半径方向放射)及び第4断面114(最大半径方向放射)を示す。これらの図は、光線が光学素子クラッド68を通り抜けるようにする入射角で微視的構造体117と衝突する、コア66に沿って軸方向に通行する光線も示す。クラッド境界82において増大するピキシレーション勾配が、第1断面108から(ピキシレーションなし)、第2断面110(最小ピキシレーション)、第3断面112(中程度ピキシレーション)、第4断面114(最大ピキシレーション)まで、示され、これらはクラッド境界82における化学的、物理的又はその他のクラッド修正(例えばアブレーション)を表す。このような挿入可能光学素子14の修正は、光を半径方向に放射できるようにするのに充分に臨界角を改変する。概略的に示すように、コア66内に残る光の量は光が近位から遠位へ通行するとき減少するが、光学素子クラッド68から離れる光線の数は、各部位において実質的に同等である。変動する勾配集中度の微視的構造体117も、コア66内部に、微視的構造体なしのエリア109から、最小集中度111、中程度の集中度113及び最大集中度115まで示される。微視的構造体117の各々が、コア66及び光学素子クラッド68とは異なる屈折率を有する。微視的構造体117(例えば、反射フレック又はバブルなどの空隙)は、光が挿入可能光学素子14を通り抜けるとき光の入射角に変化を生じる。特定の入射角のとき、光は、光学素子クラッド68から離れて、半径方向に放射される。
【0102】
図11は、光ファイバのコア66、クラッド68及びコア/クラッド境界80内における微視的構造体117(フレック又はバブルなど)の様々な好ましい分散の断面図である。図示する好ましい実施形態の各々において、微視的構造体117は、光の半径方向伝送を得るために挿入可能光学素子14(この場合には光ファイバ)内に分散する。微視的構造体117は、光ファイバ14のコア66内に及び/又はコア-クラッド境界80に及び/又はクラッド68内に位置付けることができる。微視的構造体117は、微視的構造体117がない領域より低い屈折率を有する。微視的構造体117は、金属、ゴム、ガラスビード又はプラスチックなど、光ファイバコア66又はコア-クラッド境界80に付加される材料とすることができる。微視的構造体117は、又、光ファイバコア66内及び/又はコア-クラッド境界80及び/又はクラッド68内に光学収差を生じる材料の不在とすることもできる。例えば、光ファイバコア66における微視的構造体117(バブルなど)の存在は、光学収差又は欠陥を生じて、材料の屈折率を改変して、光ファイバ(挿入可能光学素子14)からEMRが半径方向に放射されるようにする。
【0103】
図11において、3つの好ましい分散、即ち第1分散121、第2分散123及び第3分散125を示す。第1分散121では、微視的構造体117(フレック又はバブル)がコア66の外側領域127のみに分散する。第2分散123では、微視的構造体117がクラッド68の内側領域129内並びにコア66の外側領域127内に分散する。第3分散125では、微視的構造体117がコア/クラッド境界80に近接して分散し、コア66の外側領域127及びクラッド68の内側領域129より薄い境界領域131を識別するものとして示される。好ましい分散の各々において、挿入可能光学素子14(光ファイバ)の長さを通行する光の少なくとも一部は、全く微視的構造体117に遭遇せず、残りの光は、少なくとも1つの微視的構造体117に遭遇して、偏向されて挿入可能光学素子14から半径方向に放射される可能性がある。
【0104】
図12は、挿入可能光学素子14の外面62に勾配修正を生成するための好ましい光学素子修正方法の概略図である。コア66又は光学素子クラッド68のこのような修正は、そのまま内部反射を続けるために必要とされる臨界角とは異なるように光線の入射角を改変する。
図12には、挿入可能光学素子14をエッチングするために酸噴霧126を送るワンド124と一緒に制御機器122を示す。
【0105】
このような勾配修正を得るためにはいくつか方法がある。化学的には、挿入可能光学素子14は、フッ化水素酸又は硫酸及び過酸化水素などの強酸を使用してエッチングできる。又、水晶粉末、フッ化カルシウム、又は、通常、フッ素化化合物を含むエッチングクリームも、使用できる。物理的には、挿入可能光学素子14の加熱、又はサンダーによるアブレーション、媒体吹付け、研摩又はレーザーアブレーション修正などの物理的修正も、勾配修正を生成する方法である。更に、レーザー修正によるプラズマアブレーションは、分子のイオン化及び挿入可能光学素子14の外面62の改変を生じる。勾配アブレーションを生じるための他の既知の方法も、本開示において想定される。修正か製造プロセスかに関係なく、現在既知か否かにかかわらず、挿入可能光学素子14は、所望の長さに沿って実質的に同等に半径方向に光線を放射するように修正できる。この半径方向に放射される光線の均等性によって、感染因子を不活化しかつ/又は治癒を促進するためのより正確な治療線量が得られる。
【0106】
本開示の
図8A~E、9A、9B及び12は、接続要素88、EMRハブ接続具90、コリメータレンズ92及び整列シャフト98を備える光学素子コネクタ94を示す。挿入可能光学素子14は、光学素子コネクタ94の整列孔の中へ挿入されて、光を小径コア66又は1つ又は複数の光ファイバの中へ視準することができる。
【0107】
好ましい開示は、単一のコリメータレンズ92として光学的偏向要素を示すが、複数のレンズ又は異なるタイプのレンズなどの他のタイプの光学的偏向要素を、光線を視準するために使用できる。光学素子14の直径、開口数及び屈折率に応じて、光の損失を抑えるために光学的偏向要素として具体的なレンズが必要とされる。
【0108】
図13は、尿道カテーテル組立体を示す。尿道カテーテル組立体は、電磁放射線コンポーネント20と挿入可能カテーテルコンポーネント22と、を備える。挿入可能カテーテルコンポーネントは、近位カテーテルハブ組立体32と、細長カテーテル本体36と、遠位端34領域とを備える。近位カテーテルハブ組立体32は、インプットポート43として作用する(矢印は、流体の流れ及び/又は治療用EMR伝搬の方向162を示す)。細長カテーテル本体36は、患者体内から尿を排出するためのアウトプットポート45(矢印は、尿の流れの方向164を示す)と、膨張式バルーンカフ37(図では膨張している)と、開口35と、を備え、バルーンカフ37及び開口35は、遠位端34領域に配置される。女性用尿道カテーテルは、異なる長さで作られる男性用尿道カテーテルより典型的に短いので、挿入可能カテーテルコンポーネント22は、可変的な長さ38で作ることができる。
【0109】
電磁放射線コンポーネント20は、EMR電源26と、結合要素28と、光学素子14とを備える。図において、結合要素28は、細長カテーテル本体36のルーメン30の中へ部分的に挿入される光学素子14を明らかにするためにカテーテルハブ組立体32から離間している。結合要素28がカテーテルハブ組立体32に接続されると、光学素子は、完全に挿入されて、光学素子14の遠位端は、膨張式バルーンカフ37又は開口35に干渉しないように終結点42まで延びる。この完全挿入配置において、光学素子14は、切開部位Aにおいて及び経皮エリア48の中へ並びに遠位端領域34において治療用EMRを半径方向に放射できる。
【0110】
図14は、男性患者12体内に位置付けられた別の好ましい尿道カテーテル10を示す。図において、尿道カテーテル10は、尿道39を通過して患者の膀胱41の中へ挿入され、バルーンカフ37は、尿道カテーテル10の周りでの膀胱41からの漏出を封止するために膨張している。この好ましい尿道カテーテル10は、細長カテーテル本体36と、アダプタ150と、固定スリーブ152と、ドレン管154と、を備える。アダプタ150は、インプットポート43とアウトプットポート45とを有する。EMRコンポーネント20は、感染因子を不活化しかつ/又は健康な細胞の成長を促進するために尿道39に沿って膀胱41の中へ治療用EMRを与えるために、好ましい尿道カテーテル10と一緒に使用できる。EMRコンポーネント20は、EMR電源26、作動制御特徴部156及びディスプレイ158を収容する制御機器155と、光学素子14と、光学ジャック160と、を備える。
【0111】
図14に示すように位置付けられたとき、光学素子14は、アダプタ150の中へ通され、固定スリーブ152によって固定されて、尿は、細長本体36を通過してドレン管154の中へ自由に排出されて、排尿バッグ(図示せず)に溜められる。しばしば、尿道カテーテル10は長期間留置されるので、尿道カテーテル10の中、その外面又は周りでの感染因子の増加及び増殖が懸念される。感染因子の増殖を防止、減少または排除しかつ/又は健康な細胞の成長を強化するために治療用EMRを与えるために、光学ジャック160が、光学素子14をEMR電源26に接続する制御機器155に差し込まれ、作動制御特徴部156が周波数(1つ又は複数)、強度、出力、デューティサイクル及びその他の作動パラメータを設定するために起動されて、光学素子14へのEMRの送達をオンにする。作動特徴部の設定及びパラメータの監視は、ディスプレイ158上で見ることができる。
【0112】
図15は、尿を排出するため及び男性患者12体内へ治療用EMRを与えるために位置付けられた
図14の尿道カテーテル10の概略図であり、制御された相対強度及び治療領域固有の線量投射の両方を使用するEMRの好ましい送達を示しており、尿道39内部の維持線量に比べて陰茎168の外尿道領域166及び膀胱41内で強度が増大されている。
図15Aは、
図15の円の拡大概略図であり、外尿道領域166付近の光学素子14の半径方向放射部分を示す。又、外尿道領域166は、より感染し易いので、線量の強度を増大する一方、尿道39及び膀胱41内では、生物膜の生成又は感染の始まりを防ぐための予防措置としてそれより低い強度を使用できる。
【0113】
図16A~Cは、好ましい腹膜透析カテーテル10の一連の斜視図であり、好ましい半径方向EMR放射を示す。腹膜透析は、患者のより良い可動性及び独立性を与える可能性、使用の単純さ並びに残留腎臓機能の維持及び腹膜透析開始後最初の数年の低い死亡率と言う臨床的利点により、生活の質を含めて血液透析を凌ぐ利点がいくつかある。腹膜透析の不利点は、腹膜炎のリスクである。腹膜炎は、皮膚細菌による汚染の結果しばしば生じるが、これもカテーテルへの微生物の逆行移動による可能性がある。全身性又は腹腔内抗生物質を投与して、交換量を減少できる。腹膜透析カテーテル関連の腹膜炎は、適切な抗生物質治療で解決できるが、制御された相対強度及び治療部位固有の線量投射の両方を交互に、同時に又は択一的に使用するEMRの送達は、腹膜炎を防止しその治療これを助けるのにより効果的であることを証明できる。感染症が続く場合、カテーテルを取り外して、4~6週間血液透析を使用することが、腹膜炎を解決するために必要かも知れない。出口部位の感染とその後の腹膜炎との間には強い関連性があるので、本明細書において説明するように、早期の予防的なEMR送達と、その後の維持送達は、腹膜炎に繋がる可能性のある出口部位の感染症を抑制又は排除できる。
【0114】
腹膜は、患者の腹部の器官を取り囲むライニングである。ライニングは、腹膜薄膜(peritoneal membrane)と呼ばれる、腹膜は、流体を保持できる腹膜腔と呼ばれる空間を形成する。腹膜透析の場合、長期に留置される又は永久的なカテーテルが、ライニングを通過して患者の器官の周りの空間の中へ挿入される。透析液は、カテーテルを通過して空間の中へ排出される。腹膜ライニングは、多くの血管を含む。透析液は、これらの血管からライニングを通過して過剰な流体、化学物質、廃物を引き出す。ライニングは、フィルタとして作用する。透析液は、透析が行われる間数時間所定の位置に留まる。その後、透析液はカテーテルを通って排出できる。新しいきれいな透析液を直ちに中へ入れて、空間に再び充填できる。このように古い透析液を新しいものと交換するプロセスは、交換と呼ばれる。
【0115】
図16A~Cに示す2カフ腹膜透析カテーテル10は、コネクタハブ170と、コネクタハブ170に接続されたラインチューブ16と、腹膜カフ172と、皮下カフ174と、コイル状Tenckhoff176と、を備える。この好ましい腹膜透析カテーテル10は、3つの区分、即ち外部区分178、トンネル区分180(出口部位181から腹膜薄膜のすぐ内部まで延びる)及び腹腔内区分182に分割される。患者体内12に2カフ腹膜透析カテーテル10が留置されたとき、外部区分178は、出口部位181において患者身体12から突出して、目に見え、トンネル区分180は、皮下組織、直筋及び腹膜薄膜を通り抜け、腹腔内区分182は、腹膜腔内に配置される。光学素子14は、図において、腹膜透析カテーテル10のルーメン30内に配置されている。
【0116】
図16Aは、コネクタハブ170から腹膜薄膜内部の腹膜カフ172に近接しこれより下流の点まで延びる好ましいEMRの半径方向放射(外部区分178及びトンネル区分180内の半径方向EMR放射を含む)を示す、好ましい2カフ腹膜透析カテーテル10の斜視図である。
【0117】
図16Bは、皮下カフ174の上流の出口部位181から腹膜薄膜内部の腹膜カフ172の下流の点との間のEMRの半径方向放射(トンネル区分180内の半径方向EMR放射)を示す、好ましい2カフ腹膜透析カテーテル10の斜視図である。
【0118】
図16Cは、コネクタハブ170と腹膜カフ172の下流の点との間で透析中に腹膜透析液領域177の中まで延びるEMRの半径方向放射(外部区分178、トンネル区分180及び腹腔内区分182内の半径方向EMR放射を含む)を示す、2カフ腹膜透析カテーテル10の斜視図である。
【0119】
図17Aは、延長セットインターフェイス184に接続された2カフ腹膜透析カテーテル10の立面図である。延長セットインターフェイス184は、Yポートアダプタ186と、延長ラインチューブ188と、接続ルア190と、を備える。半径方向EMR放射は、Y部位/移行領域192のみに示される。
【0120】
図17Bは、延長セットインターフェイス184に接続された2カフ腹膜透析カテーテル10の立面図であり、患者12の体外のみ(即ち、Y部位/移行領域192内、延長ラインチューブ188に沿って、接続ルア/コネクタハブ領域194内、及び外部区分178内)の半径方向EMR放射を示す。
【0121】
図17Cは、延長セットインターフェイス184に接続された2カフ腹膜透析カテーテル10の立面図であるが、Y部位/移行領域192、接続ルア/コネクタハブ領域194、トンネル区分180及び腹腔内区分182内の半径方向EMR放射を示す。この好ましい実施形態は、汚染を原因とする感染に罹り易い外側領域、即ちY部/移行領域192及び接続ルア/コネクタハブ領域194において付加的半径方向EMR放射を与える。
【0122】
同様に、
図17Dは、延長セットインターフェイス184に接続された2カフ腹膜透析カテーテル10の立面図であるが、Y部位/移行領域192、接続ルア/コネクタハブ領域194、トンネル区分180、腹腔内区分182及びコイル状Tenckhoff176の中までの半径方向EMR放射を示す。この好ましい実施形態は、半径方向EMR放射が、汚染を原因とする感染症に罹り易い外側領域及び患者体内12の領域を含めて、カテーテル10の全範囲に送達できることを表している。他の図面と組み合わせると、
図17Dは、制御された相対強度及び/又は治療部位固有の治療線量を採用するために希望に応じてカテーテル10の長さに沿った領域の任意の組合せに半径方向EMR放射をオンオフできることを表す。
【0123】
又、光学素子14を
図17Dに示すようにコイル状Tenckhoff176の中まで延ばすことによって、光学素子14は、孔195の閉塞及び/又はカテーテル10への組織付着を防止できる。コイル状Tenckhoff176の巻きを解くのを防ぐために、より小さい直径の光学素子14が必要とされる可能性がある(少なくともコイル状Tenckhoff176の中まで延びる光ファイバの領域において)。
【0124】
図18Aは、女性患者の体内12に挿入された腹膜透析カテーテル10の別の好ましい実施形態の概略図である。この好ましい実施形態は、半径方向EMR放射を与えない単一カフ腹膜透析カテーテル10を示す。
【0125】
図18Bは、女性患者の体内12に挿入された単一カフ腹膜透析カテーテル10の別の好ましい実施形態の概略図である。この好ましい実施形態は、EMR制御機器155の下流の点から腹膜カフ172のすぐ下流の点まで(即ち、Y部位/移行領域192、外部区分178及びトンネル区分180を通過して)及び腹膜透析液領域177において腹膜透析液196に半径方向EMR放射を与える。
【0126】
本発明の好ましい方法又はプロセスにおいて、本明細書において説明するステップの順番及び/又は配列は、例示であり、限定的なものではない。したがって、様々なプロセス又は方法のステップが順番にまたは時間配列で図示され説明されても、これらのプロセス又は方法のステップは、特に指示がない限り、特定の順番又は配列で実行されることに限定されない。実際、この種のプロセス又は方法のステップは、概ね多様な順番及び配列で実施でき、それでも本発明の範囲に属する。
【0127】
更に、本発明の利点、利益、予期せぬ結果又は作動性への言及は、本発明が以前に実施化されたこと又は何らかのテストが実施されたことの断言を意図しない。同様に、特に明示しない限り、過去時制(現在完了形又は過去形)の動詞が使用される場合、これは、本発明が以前に実施化されたこと又は何らかのテストが実施されたことを示唆又は指示することを意図しない。
【0128】
本発明の好ましい実施形態について上で説明するが、本明細書において使用される要素、行為又は指示はどれも、特に明白にそのように説明しない限り、本発明にとって重要、必要、不可欠又は必須なものとして解釈すべきではない。いくつかの好ましい実施形態は、本明細書において詳細に説明されるが、当業者は、本発明の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなくこれらの好ましい実施形態には多くの修正が可能であることが分かるだろう。したがって、これらの全ての修正は、請求項において規定される本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0129】
特許請求の範囲において、ミーンズ-プラス-ファンクション条項は、言及される機能を実施するものとして構造的同等物だけでなく同等の構造体も本明細書において説明する構造体を包括することを意図する。したがって、釘とスクリューは、釘が木材部品を一緒に固定するために円筒形表面を採用し、スクリューがらせん表面を採用すると言う点では構造的同等物ではないが、木材部品を締結する環境においては、釘とスクリューは、同等の構造体とすることができる。「~のための手段」(特定の機能またはステップを実施するための手段)と言う正確な語句を請求項において言及しない限り、第112条第6項に基づく解釈を意図しない。更に、本発明に与えられる特許の保護の範囲は、請求項自体には明白に表れない本明細書にある限定を請求項に読み込むことによって画定されることを意図しない。
【0130】
本発明の具体的な実施形態及び応用を図示し説明したが、本発明は、本明細書において開示する正確な構成及び構成要素に限定されないことが分かるはずである。当業者には明らかな様々な修正、変化及び変更を、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において開示する本発明の方法及びシステムの配列、作動及び細部に加えることができる。
【符号の説明】
【0131】
10 カテーテル
12 患者身体(又は体内)
14 光学素子
16 ラインチューブ
18 EMR伝導システム
20 電磁放射線コンポーネント
22 挿入可能カテーテルコンポーネント
24 細長本体
26 電磁放射線電源
28 結合要素
30 内部ルーメン
32 近位カテーテルハブ組立体
34 遠位端
35 開口
36 細長カテーテル本体
37 バルーンカフ
38 可変長さのカテーテル
39 尿道
40 集束室
41 膀胱
42 光学素子の終結点
43 インプットポート
44 可撓性保護チューブ
45 アウトプットポート
46 ラインクランプ
48 経皮エリア
50 光学組立体
52 中間結合具
54 パッチケーブル
56 EMR伝導延長区分56
58 前方コネクタ
60 後方コネクタ
62 外面
64 遠位端
66 コア
68 クラッド
70 クラッド被覆光ファイバ
72 裸光ファイバ
74 内径
76 外径
78 空隙
79 周囲空隙
80 コア-クラッド境界
82 クラッド外側境界
84 カテーテル壁
85 内部仕切り壁
88 接続要素
90 EMRハブコネクタ
92 コリメータレンズ
94 光学素子コネクタ
98 整列シャフト
99 整列孔
100 未修整光学スパン
102 区分修正光学スパン
103 半径方向放射部分
104 完全修正光学スパン
105 細長半径方向放射部分
106 複数修正光学スパン
107 修正先端部分
108 第1断面
109 微視的構造体なしのエリア
110 第2断面
111 最小集中度
112 第3断面
113 中程度集中度
114 第4断面
115 最大集中度
117 微視的構造体
121 第1分散
122 制御機器
123 第2分散
124 ワンド
125 第3分散
126 酸噴霧
127 外側領域
129 内側領域
131 境界領域
150 アダプタ
152 固定スリーブ
154 ドレン管
155 制御機器
156 作動制御特徴部
158 ディスプレイ
160 光学ジャック
162 流体の流れ/EMR伝搬
164 尿の流れ
166 外尿道領域
168 陰茎
170 コネクタハブ
172 腹膜カフ
174 皮下カフ
176 コイル状Tenckhoff
177 腹膜透析液領域
178 外部区分
180 トンネル区分
181 出口部位
182 腹腔内区分
184 延長セットインターフェイス
186 Yポートアダプタ
188 延長ラインチューブ
190 接続ルア
192 Y部位/移行領域
194 接続ルア/コネクタハブ領域
195 孔
196 腹膜透析液
A 挿入部位
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
本発明の具体的な実施形態及び応用を図示し説明したが、本発明は、本明細書において開示する正確な構成及び構成要素に限定されないことが分かるはずである。当業者には明らかな様々な修正、変化及び変更を、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において開示する本発明の方法及びシステムの配列、作動及び細部に加えることができる。
なお、本発明の実施形態の態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
患者の体腔の中へ挿入するため及び前記患者体内へ流体を送達しかつ/又は患者体内から流体を回収するための医療機器組立体であって、
0.1J/cm
2
~1.0kJ/cm
2
の照射量及び0.005mW~1ワットの出力を含む強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源であって、前記強度が、1つ又は複数の感染因子の不活化及び健康な細胞の成長の強化の少なくとも一方の治療効果を生じるのに充分である、電磁放射線源と、
少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有するカテーテルであって、前記遠位端が前記患者の前記体腔の中へ挿入可能であり、前記カテーテル本体が、前記カテーテル本体に対して軸方向に前記流体及び前記治療用EMRの両方を導き、前記カテーテル本体内での前記流体の軸方向の流れが、前記患者体内への流体の送達及び前記患者体内からの流体の回収の少なくとも一方を容易にする、カテーテルと、
前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する光学素子であって、前記光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが、前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にする、光学素子と、
前記EMR源を前記カテーテル本体に接続するための少なくとも1つの結合具と、
を備え、
前記医療機器組立体が、前記少なくとも1つの半径方向放射部分を介して、前記カテーテルを前記患者体内に配置しながら前記細長カテーテル本体の中、その外面又はその周りに所望の治療効果を生じるために制御された相対強度の前記治療用EMRを送達する、
医療機器組立体。
[態様2]
前記ファイバ本体の前記少なくとも1つの半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が前記治療用EMRの治療領域固有の線量投射のための場所まで導かれるような位置に配置される、態様1に記載の医療機器組立体。
[態様3]
前記光学素子が、前記カテーテルの中へ取外し可能に挿入可能である、態様1に記載の医療機器組立体。
[態様4]
前記医療機器組立体が、更に第2光学素子を備え、前記第2光学素子が、前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記第2光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にし、前記第2光学素子が、前記光学素子の少なくとも1つの半径方向放射部分とは異なる少なくとも1つの半径方向放射部分を有する、態様3に記載の医療機器組立体。
[態様5]
前記第2光学素子が、前記カテーテルの中へ取外し可能に挿入可能であり、前記第2光学素子が、前記カテーテルの同じルーメンの中へ交換可能に挿入可能である、態様4に記載の医療機器組立体。
[態様6]
前記少なくとも1つの半径方向放射部分から半径方向のEMRの放射が、均等の強度を有する、態様1に記載の医療機器組立体。
[態様7]
前記少なくとも1つの半径方向放射部分から半径方向のEMRの放射が、非均等の強度を有する、態様1に記載の医療機器組立体。
[態様8]
前記カテーテルが尿道カテーテルである、態様1に記載の医療機器組立体。
[態様9]
前記カテーテルが腹膜透析カテーテルである、態様1に記載の医療機器組立体。
[態様10]
患者の体腔の中へ挿入するため及び前記患者体内へ流体を送達しかつ/又は患者体内から流体を回収するための医療機器組立体であって、
0.1J/cm
2
~1.0kJ/cm
2
の照射量及び0.005mW~1ワットの出力を含む強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源であって、前記強度が、1つ又は複数の感染因子の不活化及び健康な細胞の成長の強化の少なくとも一方の治療効果を生じるのに充分である、電磁放射線源と、
少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有するカテーテルであって、前記遠位端が前記患者の前記体腔の中へ挿入可能であり、前記カテーテル本体が、前記カテーテル本体に対して軸方向に前記流体及び前記治療用EMRの両方を導き、前記カテーテル本体内での前記流体の軸方向の流れが、前記患者体内への流体の送達及び前記患者体内からの流体の回収の少なくとも一方を容易にする、カテーテルと、
前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する光学素子であって、前記光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが、前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にする、光学素子と、
前記EMR源を前記カテーテル本体に接続するための少なくとも1つの結合具と、
を備え、
前記ファイバ本体の少なくとも1つの半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が前記治療用EMRの治療部位固有の線量投射のための場所まで導かれるような位置に配置される、
医療機器組立体。
[態様11]
前記光学素子が、前記カテーテルの中へ取外し可能に挿入可能である、態様10に記載の医療機器組立体。
[態様12]
患者身体の腹膜腔の中へ挿入するため及び前記患者体内へ流体を送達しかつ/又は患者体内から流体を回収するための医療機器組立体であって、
0.1J/cm
2
~1.0kJ/cm
2
の照射量及び0.005mW~1ワットの出力を含む強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源であって、前記強度が、1つ又は複数の感染因子を不活化する治療効果を生じるのに充分である、電磁放射線源と、
少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長カテーテル本体を有する腹膜透析カテーテルであって、前記遠位端が前記患者身体の前記腹膜腔の中へ挿入可能であり、前記カテーテル本体が、前記カテーテル本体に対して軸方向に前記流体及び前記治療用EMRの両方を導き、前記カテーテル本体内での前記流体の軸方向の流れが、前記患者体内への流体の送達及び前記患者体内からの流体の回収を容易にする、腹膜透析カテーテルと、
前記カテーテル本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導する光学素子であって、前記光学素子が、前記カテーテル本体の少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記カテーテル本体に関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが、前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を伝導し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記カテーテルの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にする、光学素子と、
前記EMR源を前記カテーテル本体に接続するための少なくとも1つの結合具と、
を備え、
前記ファイバ本体の少なくとも1つの半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が前記治療用EMRの治療部位固有の線量投射のための場所まで導かれるような位置に配置される、
医療機器組立体。
[態様13]
前記光学素子の少なくとも一部分が、前記内部ルーメンの中へ取外し可能に挿入可能である、態様12に記載の医療機器組立体。
[態様14]
前記腹膜透析カテーテルが、更に、少なくとも1つのカフとコネクタハブとを備え、外部区分とトンネル区分と腹腔内区分とを有する、態様12に記載の医療機器組立体。
[態様15]
前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が、前記外部区分、前記トンネル区分及び前記腹腔内区分の少なくとも1つ内の少なくとも1つの半径方向放射部分まで導かれる、態様14に記載の医療機器組立体。
[態様16]
前記腹膜透析カテーテルが、更に延長セットインターフェイスを備え、前記延長セットインターフェイスが、Yアダプタと、延長ラインチューブと、前記接続部ハブに接続するための接続ルアと、を備え、前記腹膜透析カテーテルが、更にY部位/移行領域と接続ルア/コネクタハブ領域とを有する、態様14に記載の医療機器組立体。
[態様17]
前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が、前記Y部位/移行領域へ導かれる、態様16に記載の医療機器組立体。
[態様18]
前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が、前記Y部位/移行領域、前記接続ルア/コネクタハブ領域、前記外部区分、前記トンネル区分及び前記腹腔内区分の少なくとも1つへ導かれる、態様16に記載の医療機器組立体。
[態様19]
前記医療機器組立体が、前記腹膜透析カテーテルの少なくとも一部分を前記患者体内に配置しながら前記腹膜透析カテーテルの中、その外面又はその周りで所望の治療効果を生じるために、前記少なくとも1つの半径方向放射部分を介して制御された相対強度の前記治療用EMRを送達する、態様12に記載の医療機器組立体。
[態様20]
前記医療機器組立体が、前記腹膜透析カテーテルの少なくとも一部分を前記患者体内に配置しながら前記腹膜透析カテーテルの中、その外面又はその周りで所望の治療効果を生じるために、前記少なくとも1つの半径方向放射部分を介して制御された相対強度の前記治療用EMRを送達する、態様18に記載の医療機器組立体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析システム用の医療機器組立体であって、前記医療機器組立体の少なくとも一部は、患者体内へ挿入可能であって且つ前記患者体内へ流体を送達しかつ/又は患者体内から流体を回収するためのものであって、前記医療機器組立体は、
0.1J/cm2~1.0kJ/cm2の照射量及び0.005mW~1ワットの出力を含む強度を有する非紫外線治療用EMRを与えるための電磁放射線(EMR)源であって、前記強度が、1つ又は複数の感染因子の不活化及び健康な細胞の成長の強化の少なくとも一方の治療効果を生じるのに充分である、電磁放射線源と、
少なくとも1つの内部ルーメンと結合端と遠位端とを持つ細長本体を有する透析アクセスであって、前記遠位端が前記患者体内へ挿入可能であり、前記細長本体が、前記透析アクセスに対して軸方向に前記流体及び前記治療用EMRの両方を導き、前記透析アクセス内での前記流体の軸方向の流れが、前記患者体内への流体の送達及び前記患者体内からの流体の回収の少なくとも一方を容易にし、前記透析アクセスが中心静脈カテーテル、血液透析カテーテル及び腹膜透析カテーテルからなる群から選択される、透析アクセスと、
前記透析アクセスの前記細長本体に対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を維持する光学素子であって、前記光学素子が、前記透析アクセスの少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記透析アクセスに関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが、前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を維持し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記透析アクセスの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にする、光学素子と、
前記EMR源を前記透析アクセスに接続するための少なくとも1つの結合具と、
を備え、
前記ファイバ本体の少なくとも1つの半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から半径方向の前記治療用EMRの放射が前記治療用EMRの治療部位固有の線量投射のための場所まで導かれるような位置に配置される、
医療機器組立体。
【請求項2】
前記光学素子が、前記透析アクセスの中へ取外し可能に挿入可能である、請求項1に記載の医療機器組立体。
【請求項3】
前記医療機器組立体が、更に第2光学素子を備え、前記第2光学素子が、前記透析アクセスに対して前記治療用EMRの軸方向の伝搬を維持し、前記第2光学素子が、前記透析アクセスの少なくとも1つの内部ルーメン内に在る前記透析アクセスに関する位置を有し、前記光学素子の少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの内部ルーメン内に配置するための光ファイバを備え、前記光ファイバが、外面と結合端と遠位端とコアとを有するファイバ本体を備え、前記光ファイバが前記コア内での前記治療用EMRの軸方向の伝搬を維持し、前記光ファイバが、更に、前記ファイバ本体の前記結合端と前記ファイバ本体の前記遠位端との間に配置された少なくとも1つの半径方向放射部分を備え、前記半径方向放射部分が、前記ファイバ本体から前記透析アクセスの前記内部ルーメンの中へ半径方向に前記治療用EMRの放射を可能にし、前記第2光学素子が、前記光学素子の少なくとも1つの半径方向放射部分とは異なる少なくとも1つの半径方向放射部分を有し、前記第2光学素子は、前記透析アクセスの中に取外し可能に挿入可能であり、且つ、前記透析アクセスの同じ内部ルーメンの中へ交換可能に挿入可能である、請求項1に記載の医療機器組立体。
【外国語明細書】