(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118790
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】タイヤ管理システムおよびタイヤ管理方法
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
B60C19/00 J
B60C19/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103058
(22)【出願日】2023-06-23
(62)【分割の表示】P 2019205648の分割
【原出願日】2019-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】桑原 正
(72)【発明者】
【氏名】中島 佐知子
(57)【要約】
【課題】個々のタイヤについてタイヤ毎に取得されるデータとの対応付けが可能なタイヤ管理システムおよびタイヤ管理方法を提供する。
【解決手段】タイヤ管理システム100は、タイヤ情報取得部41、センサ情報取得部42および管理部43を備える。タイヤ情報取得部41は、車両に装着されるタイヤ10の識別情報を取得する。センサ情報取得部42は、タイヤ10に配設されたセンサ12の識別情報を取得する。管理部43は、タイヤ情報取得部41によって取得したタイヤ10の識別情報と、センサ情報取得部42によって取得したセンサ12の識別情報とを対応付けて記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着されるタイヤの識別情報を取得するタイヤ情報取得部と、
前記タイヤに配設されたセンサの識別情報を取得するセンサ情報取得部と、
複数の車両に対して、各車両の車両識別情報に、前記タイヤ情報取得部によって取得した前記タイヤの識別情報と、前記センサ情報取得部によって取得した前記センサの識別情報とを対応付けて記憶する管理部と、
を備えることを特徴とするタイヤ管理システム。
【請求項2】
前記管理部は、前記タイヤの識別情報と、さらに前記タイヤの装着位置とを対応付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ管理システム。
【請求項3】
前記タイヤは、識別情報を保持するRFIDタグを有し、
車両における前記タイヤの各装着位置に対応して前記RFIDタグから識別情報を読み取る読取装置を備え、
前記管理部は、前記読取装置によって前記タイヤの識別情報に対応する装着位置を取得して記憶することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ管理システム。
【請求項4】
前記読取装置は、エンジン起動時に前記RFIDタグから識別情報を読み取ることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ管理システム。
【請求項5】
前記タイヤは、識別情報を保持するRFIDタグを有し、
前記車両が通過する通路のゲートに前記RFIDタグから識別情報を読み取る読取装置を設け、
前記管理部は、前記読取装置によって前記タイヤの識別情報に対応する装着位置を取得して記憶することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ管理システム。
【請求項6】
前記センサの出力の変化を識別し、前記タイヤの装着位置と前記センサの識別情報との対応付けを行うことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のタイヤ管理システム。
【請求項7】
前記管理部は、車両における前記タイヤの装着位置ごとに、前記タイヤの識別情報と前記センサの識別情報とを対応付けた日時情報とともに記憶することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のタイヤ管理システム。
【請求項8】
車両に装着されるタイヤの識別情報を取得するタイヤ情報取得ステップと、
前記タイヤに配設されたセンサの識別情報を取得するセンサ情報取得ステップと、
複数の車両に対して、各車両の車両識別情報に、前記タイヤ情報取得ステップによって取得した前記タイヤの識別情報と、前記センサ情報取得ステップによって取得した前記センサの識別情報とを対応付けて記憶する管理ステップと、
を備えることを特徴とするタイヤ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ管理システムおよびタイヤ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に装着されたタイヤは、車両の運行等によって摩耗や損傷を受け、タイヤの摩耗状況等によって、タイヤ交換やタイヤローテーションによる保守が必要となる。また近年ではタイヤに設けたセンサによってタイヤの状態を計測し、摩耗量を推定するシステムが検討されている。
【0003】
特許文献1には、タイヤのトレッド摩耗を監視する監視システムが開示されている。この監視システムは、タイヤ摩耗を示す溝深さにおいてタイヤのトレッドに埋め込まれたRFID(Radio Frequency Identifier)タグを利用し、当該RFIDタグからの信号を監視する。監視システムは、RFIDタグからの信号の有無によってトレッド摩耗を監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の監視システムでは、RFIDタグによって個々のタイヤの識別情報を読み取ることができるものの、例えば個々のタイヤと、タイヤに設けられたセンサに関する情報とを関連付けて管理する手法については検討されていなかった。また本発明者は、摩耗の進行に影響を及ぼすタイヤの車両における装着位置についても、タイヤに関する情報の管理において考慮すべきであると考えた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、個々のタイヤについてタイヤ毎に取得されるデータとの対応付けが可能なタイヤ管理システムおよびタイヤ管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様はタイヤ管理システムである。タイヤ管理システムは、車両に装着されるタイヤの識別情報を取得するタイヤ情報取得部と、前記タイヤに配設されたセンサの識別情報を取得するセンサ情報取得部と、前記タイヤ情報取得部によって取得した前記タイヤの識別情報と、前記センサ情報取得部によって取得した前記センサの識別情報とを対応付けて記憶する管理部と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様はタイヤ管理方法である。タイヤ管理方法は、車両に装着されるタイヤの識別情報を取得するタイヤ情報取得ステップと、前記タイヤに配設されたセンサの識別情報を取得するセンサ情報取得ステップと、前記タイヤ情報取得ステップによって取得した前記タイヤの識別情報と、前記センサ情報取得ステップによって取得した前記センサの識別情報とを対応付けて記憶する管理ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、個々のタイヤについてタイヤ毎に取得されるデータとの対応付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るタイヤ管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】各タイヤからの情報取得の一例を説明するための模式図である。
【
図3】識別情報記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】管理部によって記憶された履歴情報の一例を示す図表である。
【
図5】管理部によって記憶された履歴情報の別の一例を示す図表である。
【
図6】タイヤに再生処理情報を付加する場合について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに
図1から
図6を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るタイヤ管理システム100の機能構成を示すブロック図である。タイヤ管理システム100は、識別情報読取装置20、センサ計測装置30、制御装置40およびサーバ装置70等を備える。識別情報読取装置20、センサ計測装置30および制御装置40は、車両に搭載されている。タイヤ管理システム100は、タイヤ10に設けた識別情報保持部11およびセンサ12についてそれぞれ識別情報を取得し、タイヤ10の識別情報と、センサ12の識別情報とを対応付けて管理する。
【0013】
タイヤ管理システム100は、一車両内でタイヤ10に関する情報を管理すべく、車両に設けられた制御装置40内に管理部43を有し、タイヤ10の識別情報とセンサ12の識別情報とを対応付けて管理する。管理部43は、例えばタイヤ10に取り付けられたセンサ12が交換された場合にその履歴を記憶し管理する。また管理部43は、タイヤ10の装着位置についてタイヤ10の識別情報と対応付けて管理しており、一車両内で装着位置を変えるローテーションが実施された場合に装着位置の履歴を把握することができる。
【0014】
さらにタイヤ管理システム100は、制御装置40から通信ネットワーク90を介してタイヤ10に関する情報をサーバ装置70にアップロードし、サーバ装置70の管理部71によってタイヤ10に関する情報を管理することができる。サーバ装置70は、複数の車両から、各車両の車両識別情報、タイヤ10の識別情報、センサ12の識別情報およびタイヤ10の装着位置を取得し、タイヤ10の使用履歴を蓄積する。サーバ装置70では、例えばタイヤ10が一の車両から別の車両に付け替えられた場合にも、タイヤ10の履歴を把握することができる。
【0015】
タイヤ管理システム100の各部について説明する。タイヤ10は、主としてゴム材料で形成されるタイヤ本体と、タイヤ本体が装着されるホイールとを備えている。タイヤ10には、識別情報保持部11およびセンサ12が配設されている。タイヤ本体がホイールと分離されて、ホイール間での付け替えが行われるケースやタイヤが損傷して新品タイヤに取り換えられるケースがあるため、識別情報保持部11およびセンサ12は、摩耗推定等の用途を考慮するとタイヤ本体に付加されていることが好ましいが、タイヤ本体とともに付け替えるようにしてもよい。例えば、タイヤ本体に識別情報保持部11、ホイールにセンサ12が配設されている場合、タイヤのみ交換したときに、識別情報保持部11とセンサ12との対応関係が変わることになるため、管理部43で対応関係を管理する必要がある。
【0016】
識別情報保持部11は、例えばRFIDタグであり、個々のタイヤ10に設けられることで、個々のタイヤ10に識別情報を与えることができる。RFIDタグは、識別情報読取装置20に対して識別情報を送出する。また、識別情報保持部11は、タイヤ10に刻印された数字やアルファベットによる文字、またはバーコードなど、識別情報読取装置20から読み取り可能な識別情報がタイヤ10に保持される形式のものであってもよい。
【0017】
センサ12は、タイヤ10に配設された圧力センサ、温度センサ、加速度センサおよび歪センサなどである。センサ12は、例えばタイヤ10の摩耗量を推定するためにタイヤ10に取り付けられており、各センサの識別情報および計測データをセンサ計測装置30へ送信する機能を有している。
【0018】
識別情報読取装置20は、各タイヤ10に配設された識別情報保持部11からタイヤ10毎に付された識別情報を読み取る。
図2は、各タイヤ10からの情報取得の一例を説明するための模式図である。識別情報読取装置20は、車両におけるタイヤ10の装着位置ごとに検知器20a~20dを有し、検知器毎に識別情報を読み取ることによって、タイヤ10の識別情報、およびタイヤ10の装着位置を取得する。
【0019】
例えば、タイヤ10の装着位置に対応して、検知器20aを前輪左側の位置、検知器20bを前輪右側の位置のように配置する。検知器20aは、例えば識別情報保持部11がRFIDタグである場合、RFIDタグとの間で無線波を送受信するアンテナである。識別情報読取装置20は、読み取った各タイヤ10の識別情報、および各タイヤ10の装着位置を制御装置40へ出力する。
【0020】
センサ計測装置30は、各タイヤ10に配設されたセンサ12で計測されたタイヤ圧力、タイヤ温度、加速度および歪などの物理量の計測データを受信し、一定量のデータを蓄積しつつ、外部装置へ送信する。また、センサ計測装置30は、センサ12毎に付された識別情報を受信する。
【0021】
図2に示すように、センサ計測装置30は、車両におけるタイヤ10の装着位置ごとに受信アンテナ30a~30dを有し、センサ12の識別情報および計測データを受信アンテナ毎に受信する。また、センサ計測装置30は、受信アンテナ30a~30dによる受信によって、車両におけるタイヤ10の装着位置のうちのどの位置に各センサ12が所在するかを把握することができる。センサ計測装置30は、各センサ12の識別情報、および各センサ12が所在する車両におけるタイヤ10の装着位置を制御装置40へ出力する。
【0022】
センサ計測装置30は、例えばタイヤ摩耗推定装置などのタイヤ10で計測されたタイヤ圧力等の物理量のデータを用いる外部装置が車両に搭載されている場合、当該外部装置へデータを出力する。また、センサ計測装置30は、サーバ装置70へ各センサ12の識別情報とタイヤ圧力等の物理量のデータを送信し、サーバ装置70においてタイヤ摩耗推定等のためにデータが蓄積されるようにしてもよい。
【0023】
制御装置40は、タイヤ情報取得部41、センサ情報取得部42および管理部43等を備える。制御装置40は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置である。制御装置40における各部は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0024】
タイヤ情報取得部41は、識別情報読取装置20からタイヤ10の識別情報、およびタイヤ10の装着位置を取得する。タイヤ情報取得部41は、タイヤ10が交換された場合には新たなタイヤ10の識別情報を識別情報読取装置20から取得することになる。またタイヤ情報取得部41は、タイヤ10が車両内でローテーションされた場合には各タイヤ10について新たな装着位置の情報を識別情報読取装置20から取得することになる。
【0025】
センサ情報取得部42は、センサ計測装置30から各センサ12の識別情報、および各センサ12が所在する車両におけるタイヤ10の装着位置を取得する。センサ情報取得部42は、センサ12が交換された場合には新たなセンサ12の識別情報を取得する。またセンサ情報取得部42は、タイヤ10が車両内でローテーションされた場合には各センサ12の新たな所在位置をセンサ計測装置30から取得することになる。
【0026】
管理部43は、タイヤ情報取得部41により取得したタイヤ10の識別情報および車両における装着位置、並びにセンサ情報取得部42により取得したセンサ12の識別情報および所在する装着位置に基づいて、各識別情報を対応付ける。管理部43は、車両におけるタイヤ10の装着位置ごとに、タイヤ10の識別情報とセンサ12の識別情報とを対応付け、日時情報などとともに記憶部44に記憶して管理する。
【0027】
管理部43は、タイヤ10の交換やローテーションがあった場合に、タイヤ10の装着位置ごとに、タイヤ10の識別情報とセンサ12の識別情報とを対応付け、変更があった日時の情報などとともに記憶部44に記憶し、変更履歴を残していく。
【0028】
管理部43は、記憶部44に記憶したタイヤ10の識別情報、センサ12の識別情報、タイヤ10の装着位置および日時情報を通信部45から通信ネットワーク90を介してサーバ装置70へ送信する。サーバ装置70における管理部71は、アップロードされたタイヤ10の識別情報、センサ12の識別情報、タイヤ10の装着位置および日時情報を記憶部72に記憶して管理する。
【0029】
次にタイヤ管理システム100の動作について識別情報記憶処理に基づいて説明する。
図3は識別情報記憶処理の手順を示すフローチャートである。制御装置40のタイヤ情報取得部41は、識別情報読取装置20から各タイヤ10の識別情報および車両における装着位置を取得する(S1)。上述のように、タイヤ10の識別情報は、タイヤ10に配設された識別情報保持部11に保持されている識別情報であり、これは各タイヤ10に固有の情報である。
【0030】
センサ情報取得部42は、センサ計測装置30から各センサ12の識別情報、および各センサ12が所在する車両におけるタイヤ10の装着位置を取得する(S2)。管理部43は、タイヤの識別情報、センサの識別情報およびタイヤ10の装着位置を対応付けて記憶部44に記憶させ(S3)、処理を終了する。尚、管理部43はステップS3の処理において、日時情報等を付加して記憶部44に記憶させる。制御装置40は、ステップS1からステップS3までの処理を定期的に、あるいはエンジン起動などの所定の動作、タイヤ交換やローテーションが発生した場合などに実行し、履歴を残していく。例えばタイヤ10のローテーションが発生した場合、エンジン起動などローテーション作業後の必然の作業に対応させて識別情報記憶処理を実行するとよい。タイヤ10のローテーションは通常エンジンを切った状態で行われるため、エンジン起動に合わせてステップS1~S3の処理を実行することで、交換タイミングを確実に把握して管理することができる。一方、定期的に、またはゲートに設けた検知器や人が所持する検知器等でステップS1~S3の処理を実行すると、タイヤ10のローテーションを行ったタイミングと、識別情報とセンサ装着位置の不一致が判断されたタイミングとがずれる可能性がある。この場合、後から取得したデータを分析し、タイヤ10のローテーション前後で例えば加速度センサなどの出力波形が変わった等、変化を識別して、後からデータを入れ替えることもできる。
【0031】
図4は、管理部43によって記憶された履歴情報の一例を示す図表である。
図4では、前輪左側および前輪右側について示しているが、後輪左側および後輪右側についても同様に履歴を記憶していくこともできる。
図4に示す例では、2019年1月1日に、前輪左側にタイヤの識別情報がT1、センサの識別情報がS1のタイヤが装着され、前輪右側にタイヤの識別情報がT2、センサの識別情報がS2のタイヤが装着されており、記憶部44に履歴情報として記憶されている。
【0032】
2019年2月1日に、左右のタイヤ交換が発生し、センサも同時に移動となったため、前輪左側にタイヤの識別情報がT2、センサの識別情報がS2のタイヤが装着され、前輪右側にタイヤの識別情報がT1、センサの識別情報がS1のタイヤが装着された履歴情報が記憶される。
【0033】
次に2019年3月1日には、前輪左側の識別情報T2のタイヤを新たなタイヤに交換し、前輪左側にタイヤの識別情報がT3、センサの識別情報がS2のタイヤが装着された履歴情報が記憶される。尚、センサは交換前後で同じものであり、新たなタイヤに付け替えられている。さらに2019年4月1日には、前輪右側のタイヤについてセンサを新たなセンサに交換し、前輪右側にタイヤの識別情報がT1、センサの識別情報がS3のタイヤが装着された履歴情報が記憶される。
【0034】
タイヤ管理システム100は、取得したタイヤ10の識別情報とセンサ12の識別情報とを対応付けて記憶して履歴を管理することで、個々のタイヤ10についてタイヤ毎にセンサ12によって取得される計測データとの対応付けが可能となる。
【0035】
また、タイヤ管理システム100では、タイヤ10の識別情報と車両における装着位置との対応付けについても履歴を管理することができる。例えばタイヤ摩耗量の推定処理等においてタイヤ10の装着位置がパラメータとして必要な場合に、タイヤ管理システム100は、タイヤ10の識別情報と、タイヤ10の装着位置を提供することができる。
【0036】
図5は、管理部43によって記憶された履歴情報の別の一例を示す図表である。
図5に示す例では、タイヤ10の識別情報に対応して、車両における装着位置、およびセンサの識別情報が記憶される。2019年1月1日に、識別情報がT1のタイヤが前輪左側に装着され、同タイヤには識別情報がS1のセンサが設けられており、識別情報がT2のタイヤが前輪右側に装着され、同タイヤには識別情報がS2のセンサが設けられている履歴が記憶されている。
【0037】
2019年2月1日に左右のタイヤ交換が発生しため、識別情報がT1のタイヤが前輪右側に装着され、識別情報がT2のタイヤが前輪左側に装着された履歴情報が記憶される。各タイヤについて、センサの識別情報は同じままである。
【0038】
次に2019年3月1日に前輪左側の識別情報T2のタイヤを新たなタイヤに交換しており、識別情報がT3のタイヤが前輪左側に装着され、同タイヤに識別情報がS2のセンサが設けられている履歴情報が記憶されている。尚、センサは交換前後で同じものであり、新たなタイヤに付け替えられている。さらに2019年4月1日には、識別情報がT1のタイヤについてセンサを新たなセンサに交換しており、識別情報がT1のタイヤに、識別情報がS3のセンサが設けられている履歴情報が記憶される。
【0039】
タイヤ管理システム100は、個々のタイヤ10について、車両における装着位置、およびセンサ12の識別情報の履歴情報を記憶することで、個々のタイヤ10についてタイヤ毎にセンサ12によって取得される計測データおよび車両における装着位置との対応付けが可能となる。
【0040】
サーバ装置70の管理部71では、複数の車両からタイヤ10の識別情報、センサ12の識別情報、および車両における装着位置を取得し、タイヤ10の使用履歴を管理することができる。
【0041】
例えば、運送会社において複数の車両を保有し、異なる車両間においてタイヤ10を交換して使用する場合がある。この場合、各車両から、タイヤ10の識別情報、センサ12の識別情報、および車両における装着位置の情報をサーバ装置70にアップロードして記憶することで、個々のタイヤ10の使用履歴を連続的に管理することが可能となる。
【0042】
図6は、タイヤ10に再生処理情報を付加する場合について説明するための模式図である。例えば、運送車両で用いられる大型タイヤの場合、トレッドにおける摩耗寿命が尽きても、ベース部等での耐久性が残存しており、トレッド等を再生処理して再利用することがある。再生処理管理装置50は、タイヤ10に施された再生処理に関する再生処理情報をタイヤごとに記録して管理する。再生処理が施されたタイヤ10の識別情報保持部11に、タイヤ10の識別情報と、再生処理管理装置50によって管理されている再生処理情報を付加する。
【0043】
例えば、識別情報保持部11がRFIDタグである場合には、RFIDタグに保持される識別情報に、再生処理情報を付加する。タイヤ管理システム100は、識別情報読取装置20によって、タイヤ10の識別情報とともに再生処理情報も読み取り、タイヤ10の識別情報に再生処理情報を対応付けて記憶する。
【0044】
タイヤ管理システム100は、タイヤ10の識別情報に対応付けられた再生処理情報を、例えば摩耗量推定を行う外部装置に提供することができる。また再生されたタイヤ10の使用履歴をタイヤ管理システム100によって追跡することによって、使用に供した期間など耐用年数などを把握することもできる。
【0045】
タイヤの再生方法には、タイヤの溝が浅くなった時点で、さらに溝を掘りなおして新品状態の排水性やグリップ力を維持させるリグループするやり方と、使用済タイヤを更生するプレキュア方式およびリモールド方式との2種類の更生方法が用いられる。プレキュア方式は、あらかじめ加硫したパターンを刻まれたトレッドゴムを貼り付け、加硫缶の中において低温で加硫接着する。プレキュア方式は、供給するタイヤが多種類に亘り、タイヤの種類毎の更生が少量である場合に適する。
【0046】
またリモールド方式は、加硫していないトレッドゴムを貼り付け、パターンを刻んだ金型に入れて高温で加硫する。リモールド方式は、使用済タイヤの更生が大量である場合に適している。尚、再生処理とは、リグループの方法、並びにプレキュア方式およびリモールド方式の2種類の更生方法によってタイヤを再生する処理を云うものとする。再生処理情報は、上述のような各種の処理内容を示す符号で構成されており、再生処理情報から、タイヤに施された再生のための処理内容が把握されるものとする。
【0047】
上述の実施形態において、識別情報読取装置20がタイヤ10の装着位置ごとに複数の検知器20a~20dを有する例を説明したが、一つの検知器で複数の装着位置に対応して識別情報を読み取ることができる場合には適宜検知器の数を低減してもよい。同様に、センサ計測装置30が車両におけるタイヤ10の装着位置ごとに受信アンテナ30a~30dを有する例を説明したが、一つの受信アンテナで複数の装着位置に対応してセンサ12から識別情報および計測データを受信できる場合には適宜受信アンテナの数を低減してもよい。また、識別情報読取装置20は、タイヤ10の装着位置ごとに検知器20a~20dを有する例を説明したが、例えば、車両が通過する通路のゲートに取り付けられるものであってもよい。
【0048】
また、車両が一般の乗用車である場合には、概ねタイヤ10の装着位置は前輪左右と後輪左右の4箇所であるが、トラックなどの輸送車両では、後輪側等において2列以上設けるなど、装着位置が4箇所よりも多くなる場合もある。さらに前輪および後輪の1列において、左右にそれぞれ2本以上の複数のタイヤを用いる場合もある。タイヤ管理システム100は、タイヤ10の装着位置が4箇所よりも多くなる場合、および装着するタイヤ10の本数が4本以上となる場合でも、各タイヤ10の装着位置および本数に対応して各タイヤ10の識別情報、並びに各センサ12の識別情報および計測データを取得し記憶するように構成し得る。
【0049】
また、識別情報保持部11は上述のように例えばRFIDタグであり、RFIDタグに、タイヤ10の識別情報に相当する製造シリアル番号、製造日、製造ライン、主要スペック情報等を記憶させておき、これらの情報を識別情報読取装置20で読み取るようにしてもよい。
【0050】
次に実施形態に係るタイヤ管理システム100およびタイヤ管理方法の特徴について説明する。
タイヤ管理システム100は、タイヤ情報取得部41、センサ情報取得部42および管理部43を備える。タイヤ情報取得部41は、車両に装着されるタイヤ10の識別情報を取得する。センサ情報取得部42は、タイヤ10に配設されたセンサ12の識別情報を取得する。管理部43は、タイヤ情報取得部41によって取得したタイヤ10の識別情報と、センサ情報取得部42によって取得したセンサ12の識別情報とを対応付けて記憶する。これにより、タイヤ管理システム100は、個々のタイヤについてタイヤ毎に取得されるデータと対応付けることができる。
【0051】
また管理部43は、タイヤ10の識別情報と、さらにタイヤ10の装着位置とを対応付けて記憶する。これにより、タイヤ管理システム100は、例えばタイヤ摩耗量の推定処理等においてタイヤ10の装着位置がパラメータとして必要な場合に、タイヤ10の識別情報と、タイヤ10の装着位置とを対応付けて提供することができる。
【0052】
またタイヤ10は、識別情報を保持するRFIDタグを有し、車両におけるタイヤ10の各装着位置に対応してRFIDタグから識別情報を読み取る識別情報読取装置20を備える。管理部43は、識別情報読取装置20によってタイヤ10の識別情報に対応する装着位置を取得して記憶する。これにより、タイヤ管理システム100は、タイヤ10の各装着位置においてRFIDタグからの識別情報を読み取ることで、タイヤ10の識別情報に対応する装着位置を取得することができる。
【0053】
また管理部43は、タイヤ10の識別情報と、さらにタイヤ10の再生処理情報とを対応付けて記憶する。これにより、タイヤ管理システム100は、タイヤ10の識別情報に対応付けられた再生処理情報を提供することができる。
【0054】
タイヤ管理方法は、タイヤ情報取得ステップ、センサ情報取得ステップおよび管理ステップを備える。タイヤ情報取得ステップは、車両に装着されるタイヤ10の識別情報を取得する。センサ情報取得ステップは、タイヤ10に配設されたセンサ12の識別情報を取得する。管理ステップは、タイヤ情報取得ステップによって取得したタイヤ10の識別情報と、センサ情報取得ステップによって取得したセンサ12の識別情報とを対応付けて記憶する。このタイヤ管理方法によれば、個々のタイヤについてタイヤ毎に取得されるデータと対応付けることができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0056】
10 タイヤ、 11 識別情報保持部(RFIDタグ)、 12 センサ、
20 識別情報読取装置(読取装置)、 41 タイヤ情報取得部、
42 センサ情報取得部、 43 管理部、 100 タイヤ管理システム。