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特開2023-118802非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、及び/又は肝線維症の非侵襲的診断
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118802
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、及び/又は肝線維症の非侵襲的診断
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6851 20180101AFI20230818BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20230818BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230818BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20230818BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230818BHJP
   G01N 33/72 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
C12Q1/6851 Z ZNA
C12Q1/6883 Z
G01N33/50 P
G01N33/49 X
G01N33/53 D
G01N33/72
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023105315
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2020511280の分割
【原出願日】2018-08-27
(31)【優先権主張番号】17306098.9
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17200028.3
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506236163
【氏名又は名称】ジェンフィット
【氏名又は名称原語表記】GENFIT
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レミ・ハンフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェヌヴィエーヴ・コルドニエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ブロゼック
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、非アルコール性脂肪性肝疾患、特に非アルコール性脂肪性肝炎及び/又は肝線維症を診断及びモニタリングするための有効で、それほど侵襲的でなく、そしてより手に入れやすい方法、特に独立した臨床的バリデーションパネルにより確認された方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患、特に非アルコール性脂肪性肝炎及び/又は肝線維症を診断するための新規非侵襲的方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を診断するための方法であって、対象の体液サンプル中のmiR-193b-3p、並びに、TIMP-1、YKL-40、血小板数、HbA1c、及びヒアルロン酸からなる群において選択される、少なくとも1つの他の血液、血清、又は血漿の循環性肝臓障害マーカーのレベルを決定する工程を含む方法。
【請求項2】
体液サンプルが、血液、血漿、又は血清のサンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
NASHに対する処置の潜在的受容者(TBT)又は非受容者(NTBT)として対象を分類することを含み、TBT及びNTBTの対象が、以下の肝生検由来のグレードを有する、請求項1又は2に記載の方法:
a)TBT1:
脂肪過多症スコア≧1
肝細胞風船様腫大スコア≧1
小葉内炎症スコア≧1
NAS(NAFLD活動性スコア)≧4
線維化段階≧1(例えば1、2、3、又は4に等しい線維化段階等)
NTBT1:
脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコア、NAS又は線維化段階のいずれかにおいて、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT1と異なる;
或いは
b)TBT2:
脂肪過多症スコア≧1
肝細胞風船様腫大スコア≧1
小葉内炎症スコア≧1
NAS(NAFLD活動性スコア)≧4
線維化段階≧2(例えば2、3、又は4、特に2又は3に等しい線維化段階等)
NTBT2:
脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコア、NAS又は線維化段階のいずれかにおいて、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT2と異なる;
或いは
c)TBT7:
脂肪過多症スコア≧1
肝細胞風船様腫大スコア≧1
小葉内炎症スコア≧1
NAS(NAFLD活動性スコア)≧4
線維化段階=1b、1c、2、3、又は4
NTBT7:
脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコア、NAS又は線維化段階のいずれかにおいて、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT7と異なる。
【請求項4】
対象のメタボリック症候群スコアを決定する工程を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
hsa-miR-193b-3p、並びに、TIMP-1、YKL-40、血小板数、HbA1c、及びヒアルロン酸からなる群において選択される、少なくとも1つの血液、血清、又は血漿循環性肝臓障害マーカーのレベルを測定する工程と、
NASHスコアを取得するために、数学的アルゴリズムを通じて結果を統合する工程と
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
NASHスコアが、ロジスティック関数
【数1】
に基づき計算され、
式中
Y2=I+a2*A+c2*C+b2*B+e*E+g*G+d2*Dであり
式中
S2は、NASHスコアであり、
Aは、log10(コピー数)/μLで表されるhsa-miR-193のレベルであり、
Cは、pg/mLで表されるYKL-40のレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Eは、%で表されるHbA1cのレベルであり、
Gは、ng/mLで表されるヒアルロン酸のレベルであり、
Dは、109個/Lで表される血小板数であり、
Iは、ロジスティック関数の定数であり、
a2は、miR-193 (特にhsa-miR-193b-3p)のレベルと関連する係数であり、
c2は、YKL-40のレベルと関連する係数であり、
b2は、TIMP-1のレベルと関連する係数であり、
eは、HbA1cのレベルと関連する係数であり、
gは、ヒアルロン酸のレベルと関連する係数であり、
d2は、血小板数と関連する係数であり、
方法が、
Iは、-10.92~-3.89に含まれる数、特に-7.52であり、
a2は、0.44~2.17に含まれる数、特に1.29であり、
c2は、0.0035~0.02に含まれる数、特に0.01であり、
b2は、0.0016~0.018に含まれる数、特に0.0092であり、
eは、-0.0053~0.0057に含まれる数、特に-0.0024であり、
gは、0.13~1.08に含まれる数、特に0.59であり、
d2は、-0.017~-0.0027に含まれる数、特に-0.009であり、
閾値が、0.2461~0.6252に含まれ、特に0.4216である
ブートストラップモデルに由来し、
NASHスコアが、0.2461~0.6252に含まれる、特に0.4216に等しい閾値よりも高ければ、重度のNAHS、又は中程度若しくは高度のNASH活動性を示唆し、従って脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する患者を示唆する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
NASHスコアが、ロジスティック関数
【数2】
に基づき計算され、
式中
Y3=m+a3*A'+c3*C+b3*B+e2*E+g2*G+d3*Dであり、
式中
S3は、本発明によるNASHスコアであり、
A'は、Cqで表されるhsa-miR-193b-3pのレベルであり、
Cは、pg/mLで表されるYKL-40のレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Eは、%で表されるHbA1cのレベルであり、
Gは、ng/mLで表されるヒアルロン酸のレベルであり、
Dは、109個/Lで表される血小板数であり、
mは、ロジスティック関数の定数であり、
a3は、miR-193 (特にhsa-miR-193b-3p)のレベルと関連する係数であり、
c3は、YKL-40のレベルと関連する係数であり、
b3は、TIMP-1のレベルと関連する係数であり、
e2は、HbA1cのレベルと関連する係数であり、
g2は、ヒアルロン酸のレベルと関連する係数であり、
d3は、血小板数と関連する係数であり
方法が、
mは、-1.27~17.54に含まれる数、特に8.08であり、
a3は、-0.64~-0.09に含まれる数、特に-0.38であり、
c3は、0.005~0.019に含まれる数、特に0.01であり、
b3は、0.001~0.016に含まれる数、特に0.01であり、
e2は、-0.0054~0.0045に含まれる数、特に0.0024であり、
g2は、0.12~1.08に含まれる数、特に0.57であり、
d3は、-0.0164~-0.0016に含まれる数、特に-0.0090であり、
閾値が、0.2270~0.6364に含まれ、特に0.3741である
ブートストラップモデルに由来し、
NASHスコアが、0.2270~0.6364に含まれ、特に0.3741に等しい閾値よりも高ければ、重度のNAHS、又は中程度若しくは高度のNASH活動性を示唆し、従って脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する患者を示唆する
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(i)hsa-miR-193b-3p、並びに
(ii) TIMP-1、YKL-40、血小板数、HbA1c、及びヒアルロン酸からなる群において選択される、少なくとも1つの血液、血清、又は血漿循環性肝臓障害マーカー
のレベルを決定するための手段を含む、NAFLD又はNASHの診断又はモニタリングにおいて使用するためのキットであって、定量されるタンパク質に特異的な抗体及びマイクロRNAレベルを定量するためのプライマーを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患、特に非アルコール性脂肪性肝炎、及び/又は肝線維症を診断するための新規非侵襲的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコールの過剰摂取以外の原因による肝臓中への脂肪の蓄積(脂肪過多症)として定義されるサイレントディジーズである。NAFLDは、肝臓学者に照会される患者において、アミノトランスフェラーゼ上昇の一般的な原因の最たるものである。NAFLDは、良性の単純性脂肪症から、患者によっては病的状態の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に及び、その場合、ネクロ/炎症プロセスが肝臓中への線維化の進行的蓄積を推進し、最終的に肝硬変、肝不全、肝細胞癌(HCC)、肝臓移植、及び肝臓死に至る。疫学及び病態生理学の両方の立場に基づけば、NAFLD及びNASHは、肥満、メタボリック症候群、及び2型糖尿病と密接に関連している。従って、肥満及び2型糖尿病の流行と並行して、NAFLD及びNASHの有病率は、過去数十年において劇的に増加し、またNASHは、米国内における肝臓移植の第1原因となりつつある。従って、NASHについて、それを診断するための最適な解決策が存在せず、また承認された処置法もいまだ存在しないことを認識すれば、NASHは増大する世界的な公衆健康問題と考えられる。
【0003】
NAFLDは、超音波技術を使用して肝臓への脂肪の蓄積が存在することを検出することにより診断され得るが、NASH及びNASH関連の肝線維症は、肝生検の組織学的検査による場合に限り診断可能である。肝生検の顕微鏡検査では、NASHは、肝細胞の損傷(肝細胞の風船様腫大又は壊死)と関連する脂肪酸蓄積(脂肪滴)及び小葉内炎症の兆候により定義される。線維症は、NASHの診断にとって必要とされる組織学的特徴ではないが、肝線維症の存在及びステージングが、疾患の重症度、並びに肝硬変、HCC(肝細胞癌)、及び肝臓死(肝臓関連の患者の死亡)に発展するリスクの評価にとって重要である。
【0004】
NAFLD活動性レベル及び線維化段階を評価し、そして臨床的肝臓転帰に発展するリスクを見積もるために、組織学的スコアリング/ステージングシステムが開発されている。疾患の活 動を評価するために、NALFD活動性スコア(NAS)が開発されている。NASは、脂肪過多症(0~3)、小葉内炎症(0~3)、肝細胞風船様腫大(0~2)についての、重み付けされない生検の個々のスコアの合計である。Kleinerら(Hepatology, 2005; 41:1313~21頁)によれば、NASは、肝生検スライスから作成された3つの組織学的なスコアの合計である:
- S:脂肪過多症スコア:0:<5%、1:5~33%、2:34~66%、及び3:>66%
- LI:小葉内炎症スコア(20倍視野毎の病巣数):0:無し、1:<2、2:2~4、及び3:>4
- HB:風船様腫大変質スコア:0:無し、1:少数、2:多数の細胞/顕著な風船様腫大。
【0005】
このスコアリングシステムを使用すると、NASHを有する患者は、NAS≧3、且つ脂肪過多症について少なくとも1ポイント、小葉内炎症について少なくとも1ポイント、及び肝細胞風船様腫大について少なくとも1ポイントを有する。脂肪過多症について少なくとも1ポイント、炎症について少なくとも1ポイント、及び肝細胞風船様腫大について少なくとも1ポイントを有し、NAS≧4のとき、患者は活動性NASHを有するとみなされる。
【0006】
組織学的検査における線維症の局在場所及び範囲は、疾患の重症度(増悪)の兆候を示し、NASH-CRNは、専用の線維症ステージングシステム(Kleinerら、Hepatology, 2005; 41:1313~21頁)を開発した:
【0007】
【表1】
【0008】
この線維症ステージングシステムを使用すると、線維症を全く又は最低限度でしか有さない患者(F=0~1)は、肝硬変、HCC、又は肝臓死のリスクを有さないと一般的にみなされる。有意な(F=2)及び中程度の線維症(F=3)を有する患者は、肝硬変、肝不全、HCC、及び肝臓死を発症するリスクが増大している。代償性肝硬変を有する患者は、重度の線維症(F=4)を有し、肝不全(非代償性肝硬変)、HCC、及び肝臓関連の死について高いリスクに晒されている。
【0009】
これらの幅広く受け入れられている2つのスコアリング及びステージングシステムに由来して、小葉内炎症スコア及び肝細胞風船様腫大スコアの合計として定義され得る活動性指数(AI)に対して、近年特別な注意が払われるようになった。更に、Munteanuら、Aliment Pharmacol Ther., 2016, 44(8):877~89頁では、脂肪過多症、疾患活動性、及び線維症のスコアを個別報告するためのSAFシグネチャーが提案されている。
【0010】
NAFLD及びNASHの診断、及び上記NAS、AI、及び肝線維症のステージングを使用する疾患活動性のスコアリングでは、肝生検(そのルーチン使用を妨げるいくつかの明らかな欠点を有する)を必要とする。実際、肝生検は、患者にとって煩雑で厄介でもあり、痛みを伴い得る侵襲的手技であるが、また肝生検は、出血リスク及び死亡リスクとさえも関連する。従って、NASH及び肝線維症の流行が拡大しているなかで、生検は十分に有効且つ安全な手順として認めることはできないので、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症の診断のための新規非侵襲的方法に対する差し迫った必要性が存在する。
【0011】
超音波及びイメージング技術(超音波診断法、制御減衰パラメーター、磁気共鳴イメージング法(MRI)、及びMRI推定プロトン密度脂肪分率法(MRI-DPFF))が、NAFLDを診断するために開発された。但し、これらの技術は、観測者間及び観測者内の変動の両方により、またコスト面から制約があり、及び/又は時間がかかり過ぎる。これに加えて、MRI-DPFFは、ルーチン的に利用可能ではなく、また臨床実践で使用されるには複雑過ぎる。更に、線維化段階は、原因を問わない死亡率と、投与量に依存して関連し、リスクの増大はF2線維症を有する患者において明らかである。超音波に基づくエラストグラフィー、例えばFibroScan等、及びシアウェーブエラストグラフィーは、進行した線維症又は肝硬変を診断する際に、中程度~高度の正確性を有する。但しF2線維症は、進行した線維化段階ではなく、従ってこれらの技術を用いて正確に検出可能とはいえない。
【0012】
超音波及びイメージング技術の他に、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症の信頼性に優れ、単純でコスト効果の高い非侵襲的検出法に用いられる新規循環性バイオマーカーについて、それを同定及び妥当性確認するために懸命な努力が払われている。下記の表は、NAFLD/NASH、及び/又は肝線維症において調節されているとして報告された個別バイオマーカーについてリスト化する。
【0013】
【表2】
【0014】
いくつかの試験は、これらの血清バイオマーカーのいくつかが、トランスアミナーゼのような肝臓機能障害のルーチン血清マーカーよりも良好な診断的価値を有することを示唆した(Naveau S.ら、Clin Gastroenterol Hepatol., 2005; 3(2): 167~74頁; Castera L.ら、J. Hepatol. 2000; 32:412~8頁; Annoni G.ら、Hepatology. 1989; 9:693~7頁; Nojgaard C.ら、J Hepatol. 2003;39: 179~86頁; Chossegros P. 1995; 22(2 Suppl):96~9)。しかし、これらの試験のいずれも、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症を診断するための強力なバイオマーカーについて、実際に同定も妥当性確認もしていない。診断性能を改善する試みとして、いくつかのバイオマーカー及び/又はルーチン変数を併用するマルチパラメトリックスコアが生み出されたが、しかしNAFLD、NASH、及び/又は肝線維症を有する患者の同定におけるその診断性能は、なおもかなりの改善余地がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Kleinerら、Hepatology, 2005; 41:1313~21頁
【非特許文献2】Munteanuら、Aliment Pharmacol Ther., 2016, 44(8):877~89頁
【非特許文献3】Naveau S.ら、Clin Gastroenterol Hepatol., 2005; 3(2): 167~74頁
【非特許文献4】Castera L.ら、J. Hepatol. 2000; 32:412~8頁
【非特許文献5】Annoni G.ら、Hepatology. 1989; 9:693~7頁
【非特許文献6】Nojgaard C.ら、J Hepatol. 2003;39: 179~86頁
【非特許文献7】Chossegros P. 1995; 22(2 Suppl):96~9頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
NASHは、NAFLDよりも線維症の急速な進行と関連し、現在のところ、薬理学的処置の主要な対象疾患である。NASH患者は、肝硬変を発症し、また心血管系及び肝臓関連の原因により死亡する可能性がより高く、線維化段階が進行するに従い予後は悪化する(Ekstedtら、2015)。提案された血清バイオマーカー、統合パネル、及びイメージングバイオマーカーが数多くあるのにもかかわらず、NAFLD、NASH、及び肝線維症を診断及びモニタリングするための有効で、それほど侵襲的でなく、そしてより手に入れやすい方法、特に独立した臨床的バリデーションパネルにより確認された方法を同定することが、なおも必要とされる。
【0017】
HCC、肝硬変の合併症、及び肝臓関連の死を発症するリスクに晒されている患者を同定することが、肝臓評価の最終的な理由である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、及び肝線維症の新規で高感度な非侵襲的診断及びモニタリング法を提供するために、異なる患者コホートについていくつかの非常に精密で完全な分析を実施した。本明細書に提示されるデータから、miR-193が、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症とリンクした強力な循環性バイオマーカーであることが実証される。このバイオマーカーは、3つの独立した臨床コホートの恩恵により妥当性確認された。従って、本発明の方法は、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症に罹患している対象の診断、モニタリング、及びリスク分類を可能にする。本発明者らは、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症に罹患している可能性のある対象を診断、モニタリング、及びリスク分類するための方法も提供する。本発明の方法は、新しい治療処置の開発も可能にし得る。
【0019】
従って、本発明は、対象におけるNAFLD、NASH、又は肝線維症を診断するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定することを含む方法を提供する。
【0020】
これらの方法は、対象の体液中のmiR-193レベルを決定することに基づく。本明細書に提示されるすべての方法及び実施形態において、本発明に導入されるmiR-193マイクロRNAは、hsa-miR-193マイクロRNA、例えばhsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-5p、及びhsa-miR-193b-3pからなる群から選択されるhsa-miR-193等であり得る。特定の実施形態では、hsa-miR-193b-3pのレベルが決定される。本明細書に提示されるすべての方法及び実施形態において、体液サンプルは、血液の、血液由来の液体(例えば血清及び血漿等、特に血小板を含まない血漿、例えば、無細胞、クエン酸塩由来の血小板を含まない血漿サンプル)の、唾液の、脳脊髄液の、又は尿のサンプルであり得る。特定の実施形態では、体液は、血小板が除去された又は除去されない血清又は血漿である。
【0021】
本発明の方法では、対象内のmiR-193の体液レベルは、miR-193の参照レベルと比較され得る。「参照レベル」とは、事前決定された標準、又は参照対象由来の同様に処理されたサンプルにおいて実験的に決定されたレベルを指す。本発明の方法の目的に応じて、参照対象は、健康な対象、NAFLDを有するがNASHを有さない対象、NASHを有するが活動性NASHを有さない対象、又は全く若しくは最低限度でしか肝線維症を有さない対象であり得る。参照対象は、プラセボ処置された患者であってもよい。参照レベルは、同一対象から過去に得られた体液サンプルであって同様に処理された体液サンプルにおいて決定されたmiR-193のレベルでもあり得、実施される方法に応じて、対象におけるNAFLD、NASH、若しくは肝線維症の進展を判断することを可能にし、特に疾患活動性若しくは線維症の進展、又は疾患の処置の有効性を判断することを可能にする。
【0022】
従って、特定の実施形態では、対象におけるNAFLDの診断及び/又は検出、或いは潜在的NAFLDの診断及び/又は検出は、肝臓脂肪過多症を有さない健康な対象において測定された参照レベルに対する体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。
【0023】
特定の実施形態では、対象におけるNASHの診断及び/又は検出、或いは潜在的NASHの診断及び/又は検出は、非NASH対象、例えば健康な対象、NAS<3の対象、又はNASの少なくとも1つのコンポーネントについて0とスコア化された対象等において測定された参照レベルに対する体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。
【0024】
別の実施形態では、対象における活動性NASHの診断及び/又は検出、或いは潜在的活動性NASHの診断及び/又は検出は、健康な対象、NAS<4の対象、又はNASの少なくとも1つのコンポーネントについて0とスコア化された対象において測定された参照レベルに対する体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。特定の実施形態では、活動性NASH、又は潜在的活動性NASHを診断及び検出する場合、参照レベルは、NAS=3、脂肪過多症につき1ポイント、小葉内炎症につき1ポイント、及び肝細胞風船様腫大スコアにつき1ポイントを有する対象において測定されたmiR-193のレベルである。
【0025】
更なる実施形態では、対象における肝線維症(F≧1)、又は潜在的肝線維症(F≧1)の診断及び検出は、肝線維症を有さない(F=0)健康な対象において測定された参照レベルに対する、体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。
【0026】
別の実施形態では、対象における有意な(F=2)、中程度(F=3)、若しくは重度(F=4;すなわち肝硬変)の肝線維症、又は潜在的有意な肝線維症、潜在的中程度の肝線維症、若しくは潜在的重度の肝線維症の診断及び検出は、全く(F=0)又は最低限度(F=1)でしか肝線維症を有さない対象において測定された参照レベルに対する体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。
【0027】
別の実施形態では、対象における有意な(F=2)、中程度(F=3)、若しくは重度(F=4)の肝線維症、又は潜在的有意な肝線維症、潜在的中程度の肝線維症、若しくは潜在的重度の肝線維症の診断及び検出は、最低限度の肝線維症(F=1)を有する対象において測定された参照レベルに対する、体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。別の特定の実施形態では、参照レベルは、F=1a、1b、又は1cの対象において測定される。
【0028】
別の実施形態では、対象における有意な肝線維症、又は潜在的有意な肝線維症の診断及び検出は、最低限度の線維症を有する対象において測定された参照レベルに対する、体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。
【0029】
別の実施形態では、対象における中程度の肝線維症、又は潜在的中程度の肝線維症の診断及び検出は、有意な線維症を有する対象において測定された参照レベルに対する体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。
【0030】
別の実施形態では、対象における重度の線維症、又は潜在的重度の線維症の診断及び検出は、中程度の線維症を有する対象において測定された参照レベルに対する体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づく。
【0031】
更なる目的によれば、本発明は、下記で定義するようなNTBT患者において測定されたmiR-193の参照レベルに対する体液サンプル中のmiR-193レベル増加の検出に基づき、NAFLD、NASH、又は肝線維症に対する処置の潜在的受容者(処置されるべきである、若しくはTBT)、又は非受容者(処置されるべきでない、若しくはNTBT)として対象を分類するための方法に関する。
【0032】
更なる実施形態では、本発明は、対象の体液サンプル中のmiR-193のレベルを決定することに基づき、対象におけるNAFLD活動性レベル、NASH活動性レベル、及び/又は肝線維化段階を決定するための方法も提供する。
【0033】
別の態様を通じて、本発明は、対象の体液サンプルにおいて決定されたmiR-193のレベルに基づき、NAFLD又はNASH患者の肝線維症が肝硬変及びその他の肝臓転帰(例えばHCC及び肝臓関連の死等)に発展するリスクを予知する線維症の臨床的予後予測も可能にする。
【0034】
本発明は、同一対象において過去に収集された1つ又は複数の体液サンプル(複数可)から得られたmiR-193の参照レベルに対する、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193レベルの進展に基づき、対象におけるNAFLD活動性レベル、NASH活動性レベル、及び/又は肝線維化段階の進展をモニタリングための方法も提供する。この方法では、miR-193レベルの増加は、疾患活動性及び線維症の増大を示唆する一方、miR193レベルの減少は、疾患活動性及び線維症の衰退を示唆する。
【0035】
本発明は、同一対象において過去に収集された1つ又は複数の体液サンプル(複数可)から得られたmiR-193の参照レベルに対する、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193レベルの進展に基づき、対象におけるNAFLD、NASH、又は肝線維症の処置の有効性を決定するための方法を更に提供する。この方法では、miR-193のレベルが増加すること、又はmiR-193のレベルが一定なことは、処置は有効ではないことを示唆する一方、miR-193のレベルが減少することは、処置が有効であることを示唆する。この方法の別の実施形態では、miR-193のレベルが一定なことは、処置が、対象のNASH、NAFLD、又は肝線維症状態の安定化に有効であり、これにより対象が重大な転帰、例えば肝硬変、HCC、又は肝臓関連の死等に進展するリスクが減少することを示唆する場合もある。
【0036】
本発明は、非応答者の対象において測定された参照レベルに対する、体液サンプル中のmiR-193の差次的レベルの検出に基づき、特定の処置に対する対象(応答者の対象)の応答を予測(例えば、NAFLD、NASHの活動性、及び肝線維化段階における変化の予測)するための方法を更に提供する。
【0037】
別の態様では、本発明は、NAFLD、NASH、若しくは肝線維症、又は潜在的NAFLD、NASH、若しくは肝線維症を診断する、又はNAFLD、NASH、若しくは肝線維症から臨床転帰(例えば、肝硬変、肝硬変の合併症、及び/又は肝臓関連の死)に進行するリスクに晒されている対象を同定する方法を提供し、同方法は、miR-193のレベル、及びYKL-40 (CHI3L1)、メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP-1)、血小板数、ヒアルロン酸(HYUA2)、及び糖化ヘモグロビン(HbA1c)からなる群において選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを決定する工程を含む。特定の実施形態では、方法は、患者のメタボリック症候群(ms)状態を決定する工程を更に含む。特定の実施形態では、方法は、miR-193及びYKL-40のレベルを決定する工程を含む。この態様の更なる特定の実施形態では、方法は、
(i)miR-193のレベル、例えば対象に由来する体液サンプル中のhsa-miR-193a-5p、hsa-miR193a-3p、hsa-miR-193b-5p、又はhsa-miR-193b-3pの量等を決定する工程;
(ii)下記の工程:
- YKL-40 (CHI3L1)、メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP-1)、血小板数、ヒアルロン酸(HYUA2)、及び糖化ヘモグロビンHbA1cの量をアッセイする工程、又は
- 対象由来の体液サンプル中のYKL-40 (CHI3L1)、メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP-1)、血小板数の量をアッセイする工程、及び対象がメタボリック症候群(ms)を有するか決定する工程、
(iii)工程(i)及び(ii)で得られた結果に基づき、対象に対してスコアを決定する工程、並びに
(iv)対象においてNASHに進行するリスクを決定するために、スコアをカットオフ値と比較する工程
を含む。例証的実施形態では、miR-193b-3p、YKL-40、TIMP-1、及び血小板数の各量、並びにmsの決定は、本方法においてすべてアッセイされる。別の例証的実施形態では、miR-193b-3p、YKL-40、TIMP-1、HYUA2、HbA1c、及び血小板数の各量は、本方法においてすべてアッセイされ、カットオフ値は、血液に由来するサンプルのmiRNAレベル(Cq又はlog10(コピー数)/μLとして表される)を用いて決定される。
【0038】
別の実施形態では、方法は、miR-193のレベル、YKL-40、TIMP-1、血小板数、ヒアルロン酸(HYUA2)、及び糖化ヘモグロビンHbA1cを決定する工程を含む。別の実施形態では、方法は、miR-193のレベル、YKL-40、TIMP-1、血小板数、及びヒアルロン酸(HYUA2)を決定する工程、及び患者のメタボリック症候群状態を決定する工程を含む。この態様の任意の実施形態では、好ましい変法は、hsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-5p、又はhsa-miR-193b-3pのレベル、特にhsa-miR-193b-3pのレベルを決定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】TBT患者の3つの異なる定義:TBT1、TBT2及びTBT7による、組み入れ時のGOLDEN-DIAGの処置されるべきではない(NTBT)患者及び処置されるべき(TBT)患者並びに健康な対象(n=100)におけるhsa-miR-193b-3pの血清レベルを表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をKruskal WallisのANOVA検定と、その後のDunnの多重比較検定を使用して計算した:***、p値<0.001。NTBT1 n=83、TBT1 n=187;NTBT2 n=161、TBT2 n=109、NTBT7 n=119、TBT7 n=151TBT1=脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、及び肝細胞風船様腫大スコア≧1、NAS≧4、F≧1TBT2=脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、及び肝細胞風船様腫大スコア≧1、NAS≧4、F≧2TBT7=脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、及び肝細胞風船様腫大スコア≧1、NAS≧4、F=1b、1c、2、3又は4
図2】TBT患者の3つの異なる定義:TBT1、TBT2及びTBT7による、組み入れ時のGOLDEN-DIAGのNTBT患者及びTBT患者におけるhsa-miR-193b-5pの血清レベルを表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をMann Whitney検定を使用して計算した:***、p値<0.001。TBT1=脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、及び肝細胞風船様腫大スコアはそれぞれ≧1、NAS≧4、F≧1TBT2=脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、及び肝細胞風船様腫大スコアはそれぞれ≧1、NAS≧4、F≧2TBT7=脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、及び肝細胞風船様腫大スコアはそれぞれ≧1、NAS≧4、F=1b、1c、2、3又は4
図3】TBT患者の3つの異なる定義:TBT1、TBT2及びTBT7による、組み入れ時のGOLDEN-DIAGのNTBT患者及びTBT患者におけるhsa-miR-193a-5pの血清レベルを表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をMann Whitney検定を使用して計算した:***、p値<0.001。
図4】組み入れ時のGOLDEN-DIAG(上)の「健康な」血液ドナー、NTBT2患者及びTBT2患者(左)における、NAS<4を有する患者及びNAS≧4を有する患者(中央)における並びにF<2を有する患者及びF≧2を有する患者(右)における並びにOBESEコホート(下)のNTBT2患者及びTBT2患者(左)における、NAS<4を有する患者及びNAS≧4を有する患者(中央)におけるhsa-miR-193b-3pの血清レベルを表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をKruskal WallisのANOVA検定と、その後のDunnの多重比較検定(Golden Diag)及びMann Whitney検定を使用して計算した:***、p値<0.001。(肥満)
図5】組み入れ時のGOLDEN-DIAG(上)並びにOBESEコホート(下)のNTBT2患者及びTBT2患者(左)における、NAS<4を有する患者及びNAS≧4を有する患者(中央)における並びにF<2を有する患者及びF≧2を有する患者(右)におけるhsa-miR-193a-5pの血清レベルを表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をMann Whitney検定を使用して計算した:***、p値<0.001。
図6】組み入れ時のGOLDEN-DIAG(上)並びにOBESEコホート(下)のNTBT2患者及びTBT2患者(左)における、NAS<4を有する患者及びNAS≧4を有する患者(中央)における並びにF<2を有する患者及びF≧2を有する患者(右)におけるhsa-miR-193b-5pの血清レベルを表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をnon Mann Whitney検定を使用して計算した:***、p値<0.001。
図7】RESOLVE-IT研究のNTBT2患者及びTBT2患者(左)における、NAS<4を有する患者及びNAS≧4を有する患者(中央)における並びにF<2を有する患者及びF≧2を有する患者(右)におけるhsa-miR-193b-3p、hsa-miR-193b-5p、及びhsa-miR-193a-5pの血清レベルを表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をnon Mann Whitney検定を使用して計算した:***、p値<0.001。
図8】GOLDEN-DIAGコホート(下)の患者のNAS、線維化段階、活動性指数、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコアに関するhsa-miR-193b-3pの血清レベル間の相関を表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をKruskal WallisのANOVA検定と、その後のDunnの多重比較検定を使用して計算した:*、p値<0.05;** p値<0.005;***、p値<0.001
図9】GOLDEN-DIAGコホート(下)の患者のNAS、線維化段階、活動性指数、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコアに関するhsa-miR-193b-5pの血清レベル間の相関を表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をKruskal WallisのANOVA検定と、その後のDunnの多重比較検定を使用して計算した:*、p値<0.05;** p値<0.005;***、p値<0.001
図10】GOLDEN-DIAGコホート(下)の患者のNAS、線維化段階、活動性指数、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコアに関するhsa-miR-193a-5pの血清レベル間の相関を表すグラフである。結果を平均±SEMとして表す。統計的有意差をKruskal WallisのANOVA検定と、その後のDunnの多重比較検定を使用して計算した:*、p値<0.05;** p値<0.005;***、p値<0.001。
図11】hsa-miR-193b-3p(log10(コピー数)/μL)、TIMP-1、YKL-40、血小板数、及びメタボリック症候群に関するアルゴリズムY1の受容者動作特性(ROC)曲線解析を表すグラフである。このアルゴリズム(NIS)と組み入れ時のGOLDEN-DIAG研究における個々の変数の間の曲線下面積(AUC)の比較。
図12】hsa-miR-193b-3p(log10(コピー数)/μL)、YKL-40、TIMP-1、HbA1c、HYUA2、及び血小板数に関するアルゴリズムY2の受容者動作特性(ROC)曲線解析を表すグラフである。
図13】hsa-miR-193b-3p(log10(コピー数)/μL)、YKL-40、TIMP-1、HbA1c、HYUA2、及び血小板数に関するアルゴリズムY3の受容者動作特性(ROC)曲線解析を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明者らは、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症に罹患している、又は罹患している可能性のある対象を診断、モニタリング、及びリスク分類するための新しい方法を提供する。
【0041】
本発明は、循環性の生物学的マーカーの存在又はレベルを関連付けるため、及び処置されるべき又は処置されるべきでない患者として患者を分類するために、臨床トライアル期間中になされた患者生検の非常に精密な分析に起因する。特に、本発明は、以下に記載するようなNASスコアリングも提供する。特に、本発明は、処置されるべきNASH患者について3つのクラスを非限定的に定義する。これらの患者はNASHの特徴のスコアリングに関して分類される。
【0042】
本明細書に提示される実験データより、スコア化された肝生検及び対応する血液、血漿、及び血清サンプルを用いることで、2つの独立した大規模な患者コホート、すなわちGOLDEN-DIAG(組み入れ時N=270;第52週においてN=223)及びOBESEコホート(N=253)から、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症に対する循環性のバイオマーカーとして、miR-193が驚くべきことに同定される。結果は、第3の独立したコホートRESOLVE-IT (N=263)において妥当性確認された。
【0043】
本発明は、ここでより詳細に提示される。
【0044】
定義
本発明によれば、用語「NAFLD」又は「非アルコール性脂肪性肝疾患」とは、過剰のアルコール摂取が認められない場合に、炎症及び線維症の兆候を伴う又は伴わないにかかわらず、脂肪が肝臓内に沈着している状態(肝臓脂肪過多症)を指す。
【0045】
本発明によれば、用語「NAFLD活動性レベル」とは、NAFLDの進行を指し、本明細書で定義するような脂肪過多症スコアの増加により定義される。NAFLD活動性レベルは、NAFLDがNASH又は線維症に進行すること、及びNASH重症度も指す。
【0046】
本発明によれば、用語「脂肪過多症」とは、肝臓における異常な脂質の保持、又は脂肪の蓄積を説明するプロセスを指す。
【0047】
本発明によれば、用語「NASH」又は「非アルコール性脂肪性肝炎」とは、過剰のアルコール摂取が認められず、そしてウイルス肝炎(HCV、HBV)のようなその他の肝疾患を除いた後、組織学的検査において脂肪肝、肝細胞風船様腫大、及び肝臓炎が同時に存在すること(すなわち、脂肪過多症につき少なくとも1ポイント、小葉内炎症につき少なくとも1ポイント、及び肝細胞風船様腫大スコアにつき少なくとも1ポイントを有するNAS≧3)により特徴づけられるNAFLDの状態を指す。
【0048】
本発明によれば、用語「NASH活動性レベル」とは、NASHの進行を指し、NASHを規定する最低限度のパラメーター(S=1、LI=1、及びHB=1である)を上回るNASスコアの増加により定義される。NASH活動性レベルは、NASHが不可逆的なNASH及び/又は線維症に進行すること、並びにNASH重症度も指す。
【0049】
本発明によれば、用語「活動性NASH」とは、脂肪過多症スコアにつき少なくとも1ポイント、小葉内炎症スコアにつき少なくとも1ポイント、及び肝細胞風船様腫大スコアにつき少なくとも1ポイントを有するNAS≧4により特徴づけられるNASHを指す。
【0050】
本発明によれば、用語「肝細胞風船様腫大」は、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色に基づき、光学顕微鏡レベルにおいて、細胞質が希薄化した、正常な肝細胞の直径に対して1.5~2倍の細胞の肥大として通常定義される。より一般的には、肝細胞の細胞死のプロセスを指す。
【0051】
本発明によれば、用語「小葉内炎症」とは、肝生検のヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色されたスライスを顕微鏡検査したときに、小葉内炎症病巣(グループ化された炎症細胞)が存在することを指す。
【0052】
本発明によれば、「NAFLD活動性スコア」又は「NAS」とは、以下に示すような脂肪過多症、肝細胞風船様腫大、小葉内炎症スコアの合計を指す:
- S:脂肪過多症スコア:0:<5%、1:5~33%、2:34~66%、及び3:>66%、
- LI:小葉内炎症スコア(×20の1視野当たりの病巣):0:無し、1:<2、2:2~4、及び3:>4、
- HB:風船様腫大変性スコア:0:無し、1:少数、2:多数。
【0053】
本発明によれば、「活動性指数」とは、肝細胞風船様腫大スコア及び小葉内炎症スコアの合計を指す。
【0054】
本発明によれば、用語「線維症」又は「肝線維症」とは、肝生検の染色された(H&E、トリクローム染色、又はピクロシリウスレッド染色)スライスを顕微鏡検査したときに、線維性結合組織が存在することを指す。
【0055】
本発明の文脈において、用語「線維化段階」とは、以下に示すように、組織学的検査における線維化の局在場所及び範囲を指す:
類洞周囲又は門脈周囲の線維化 1
軽度の類洞周囲の線維化(ゾーン3) 1a
中程度の類洞周囲の線維化(ゾーン3) 1b
門脈/門脈周囲の線維化 1c
類洞周囲及び門脈/門脈周囲の線維化 2
架橋線維化 3
肝硬変 4
【0056】
或いは、線維化段階は、本発明の文脈において、以下のように表され得る:
F=0:線維化無し
F=1:最低限度の線維化
F=2:有意な線維化
F=3:中程度の線維化
F=4:重度の線維化(すなわち、肝硬変)。
【0057】
本発明によれば、「処置されるべき(To-Be-Treated)対象」又は「TBT対象」とは、対象の疾患活動性スコア(例えば、NAS又は活動性指数)及び/又は肝線維化段階から、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症について処置することに対して適格性を有する対象である。反対に、「処置されるべきでない(Not-To-be-Treated)対象」又は「NTBT対象」は、対象の疾患活動性スコア(例えば、NAS又は活動性指数)及び/又は肝線維化段階が、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症について処置に値するほど十分高くない対象である。従って、TBT対象は、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症の処置について「受容者」又は「潜在的受容者」とも呼ばれる。本発明では、優先されるTBT対象は以下の通りである:
i)NASHを有する対象、
ii)活動性NASHを有する対象、
iii)有意な、中程度、又は重度の肝線維症を有する対象、
iv)NASH及び線維症を有する対象。
【0058】
定義は、本発明の異なる変形形態を定義する様々なNASH活動性スコア及び線維化段階を包含する。
【0059】
本発明の優先される変形形態は以下に詳記される。
【0060】
第1のTBTの変形形態(TBT2):
TBT2対象は、下記の肝生検由来のグレードを示す対象として定義される:
- S≧1
- HB≧1
- LI≧1
- NAS(NAFLD活動性スコア)≧4
- 線維化段階≧2 (例えば2、3、又は4、特に2又は3に等しい線維化段階等)。
【0061】
拡大解釈すれば、NTBT2の対象は、脂肪過多症、肝細胞風船様腫大、小葉内炎症スコア、NAS、及び/又は線維化段階において、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT2の対象とは異なる。明確化のために、NTBT2の対象は、例えばNAS=4、S≧1、LI≧1、HB≧1、及び線維化段階1 (例えば線維化段階1a、1b、又は1c等)、又はNAS=3及び線維化段階≧2 (例えば線維化段階2、3、又は4に等しい等)、又は上記で定義したような任意のその他のスコアの組合せを有するNASHの対象であり得る。
【0062】
第2のTBTの変形形態(TBT1):
TBT1の対象は、下記の肝生検由来のグレードを示す対象として定義される:
- 脂肪過多症スコア≧1
- 肝細胞風船様腫大スコア≧1
- 小葉内炎症スコア≧1
- NAS(NAFLD活動性スコア)≧4
- 線維化段階≧1(例えば、線維化段階1、2、3、又は4に等しい等)。
【0063】
拡大解釈すれば、NTBT1の対象は、脂肪過多症、肝細胞風船様腫大、小葉内炎症スコア、NAS、及び/又は線維化段階において、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT1の対象とは異なる。明確化のために、NTBT1の対象は、例えば、NAS=4、S≧1、LI≧1、HB≧1、及び線維化段階0、又はNAS=3及び線維化段階≧1 (例えば、線維化段階1a、1b、又は1c、2、3、又は4に等しい等)、又は上記で定義したような任意のその他のスコアの組合せを有するNASHの対象であり得る。
【0064】
第3のTBTの変形形態(TBT7):
TBT7の対象は、下記の肝生検由来のグレードを示す対象として定義される:
- 脂肪過多症スコア≧1
- 肝細胞風船様腫大スコア≧1
- 小葉内炎症スコア≧1
- NAS(NAFLD活動性スコア)≧4
- 線維化段階=1b、1c、2、3、又は4。
【0065】
拡大解釈すれば、NTBT7の対象は、脂肪過多症、肝細胞風船様腫大、小葉内炎症スコア、NAS、及び/又は線維化段階において、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT7対象と異なる。明確化のために、NTBT7の対象は、例えば、NAS=4、S≧1、LI≧1、HB≧1、及び線維化段階0若しくは1a、又はNAS=3、及び1b、1c、2、3、若しくは4に等しい線維化段階、又は上記で定義したような任意のその他のスコアの組合せを有するNASHの対象であり得る。
【0066】
特定の実施形態では、本発明に導入されるmiR-193マイクロRNAは、hsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-5p、及びhsa-miR-193b-3pからなる群から選択され、その配列は、それぞれmiRBase受け入れ番号MIMAT0000459、MIMAT0004614、MIMAT004767、及びMIMAT0002819として、miRBaseデータベース(http://miRBase.org)からそれぞれ入手可能である。
【0067】
別の実施形態では、本発明に導入されるmiR-193マイクロRNAは、miR-193ステムループ形態、例えばhsa-miR-193a (HGNC:MIR193Aとも呼ばれる)、及びhsa-miR-193b (HGNC:MIR193Bとも呼ばれる)からなる群から選択されるmiR-193マイクロRNA等であり、その配列は、miRBase受け入れ番号=MI0000487及びMI0003137としてmiRBaseデータベース(http://miRBase.org)からそれぞれ入手可能である。
【0068】
特定の実施形態では、本発明に導入されるmiR-193マイクロRNAは、hsa-miR-193b-3pである。
【0069】
サンプル及びサンプル調製
本発明によれば、用語「体液サンプル」は、対象から得られる任意の体液サンプル、例えば血液及び血液由来の液体(例えば血漿及び血清等)、リンパ液、脳脊髄液、滑液、尿、唾液、粘液、痰(phlegm)、及び喀痰(sputum)等を指す。特定の実施形態では、体液は、血液及び血液由来の液体(例えば血漿及び血清等)、唾液、脳脊髄液、及び尿から選択される。特定の実施形態では、体液サンプルは、血液又は血液由来の液体(例えば血漿及び血清等)、唾液、脳脊髄液、又は尿である。更なる特定の実施形態では、体液は、血液、血漿、又は血清である。体液サンプルは、任意の適する手段により収集され得る。好適な体液は、無細胞の液体であり得る。そのような無細胞の体液は、細胞を取り除くために、例えば遠心分離又は濾過によって細胞含有体液を処理することにより、一般的に生成される。一般的に、無細胞の体液は、天然の細胞を一切含有しないが、但し、一部は、細胞断片、又は細胞残屑を含有し得る。体液サンプルは、すぐに使用され得る、又は後に使用するために保管され得る。当技術分野において公知の任意の適する保管方法が、体液サンプルを保管するのに使用され得る:例えば、サンプルは、約-20℃~約-80℃において凍結され得る。
【0070】
miRNAの単離及び定量化
miRNAを含む全RNAは、様々な抽出法(フェノール:クロロホルム抽出とその後のアルコール沈殿(TRIzol)、フェノール:クロロホルムとその後の固相抽出法(カラムに基づく;例えば、miRVana及びmiRNeasy)、及びアフィニティー樹脂を用いる/用いない(Norgenトータル及びアイソレートII)固相分離法、磁性粒子、又はダイレクト溶解法を含む)により、サンプルから精製され得る。本発明の実践において、miRNAは、後続するRTqPCR分析用としてmiRVana Paris抽出キットを用いて抽出された、又は更なるHTG Edge配列分析用として特異的プローブを用いて捕捉された。
【0071】
次に、miRNAが、当業者にとって利用可能な任意の技術、例えばシークエンシングに基づく方法、増幅に基づく方法、又はハイブリダイゼーションに基づく方法等を使用して、臨床サンプルにおいて検出される。miRNA臨床試験に対する一般的なアプローチとして、小型RNAシークエンシング(Hafnerら、2012; Vigneaultら、2012)、HTG Edge全トランスクリプトームアッセイ法、次世代シークエンシングに基づくmiRNAプロファイリングプラットフォーム(Lizarragaら、2016; Satakeら、2018)、定量的miRNAリアルタイム逆転写PCR(qRT-PCR) (Chenら、2005)、miRNAマイクロアレイ(Castoldiら、2007)、カラーコード化されたプローブの対を用いた多重方式のmiRNA検出(NanoString n Counter発現系) (Geissら、2008)、逆転写後のドロップレットデジタルPCR (ddPCR) (Miottoら、2014)、及びmiRNAのin situハイブリダイゼーション(Nelsonら、2006)が挙げられる。miR-193のレベルは、当技術分野において周知の従来法、例えばイムノアッセイ法(例えば、ELISA)、又は分子生物学アッセイ法(定量的RT-PCR、又は次世代シークエンシング)、又は生化学的アッセイ法(比色分析法、又はその他)等により決定され得る。本発明の方法の特定の実施形態では、miRNAは、HTG Edge全トランスクリプトームアッセイ法、又はHTG Edgeシークエンシング、及びRT-qPCRにより検出される。
【0072】
本発明の実践において、上記方法のいずれも、対象に由来する体液サンプル中のmiR-193のレベルを、レベル又はマイクロRNA(そのレベルは、健康な患者と比較して、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症の対象で変化しない)を基準として標準化することを更に含み得る。技術的変動が入り込む余地を低下させるために、配列及び量が既知のスパイクイン又は外来の合成マイクロRNA、例えばC.エレガンス(C. elegans)miR-39等が、RNA抽出に先立ちサンプルに添加され得る。スパイクイン、又は外来の合成マイクロRNAは、ヒトサンプル中では発現されないmiRNA、例えばカエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans) cel-miR-38又はシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana) ath-miR-159a等であり得る。これらの合成マイクロRNAは、RNA抽出に先立ち血液由来のサンプルに溶解バッファーを添加した後に添加され得るが、またそれは技術的標準化を図るためのプロセスコントロールを提供する。RNA抽出、相補DNA合成、及びPCR増幅の効率は、従ってこのような外来の合成マイクロRNAを使用してモニタリングされ得る。
【0073】
qPCRデータを標準化するためのマイクロRNAノーマライザー、又は非コーディング小型RNAコントロールは、標的遺伝子と同一の変動源によって影響を受ける内在性コントロールを代表し、実験パイプラインのすべての工程において、標的miRNAであるmiR-193のレベルを標準化するのに使用され得る。
【0074】
定量的RT-PCRによりmiR-193を測定するための標準的なプロトコールが提供される。要するに、体液サンプル、例えば血液、血漿、又は血清サンプル等、特に無細胞、クエン酸塩由来の血小板を含まない血漿サンプルから抽出される全RNAについて、測定が実施される。ふさわしい内部コントロール(例えば、配列及び量が既知のマイクロRNA等、例としてC. elegans miR-39)が、RNA抽出に先立ちサンプルに添加され得る。Cq値が定量的RT-PCRを使用して決定される。市販キットがそのようなアッセイを実施するのに利用可能である。例えば、Taqman miRNA RT-qPCRアッセイ:Taqman MicroRNA逆転写キット、TaqMan MicroRNAアッセイ20X、及びTaqMan Universal Master Mix II(Applied Biosystems社)が、製造業者の指示に基づき使用され得る。容易に利用可能なPCRシステム、例えばGeneAmp(登録商標)PCRシステム9700サーマルサイクラー(Applied Biosystems社)等を使用しながら、例えば16℃で30分間、その後に42℃で30分間、及び85℃で5分間保った後、4℃で保持する等の該当するサイクリングパラメーター用いて、逆転写が実施され得る。逆転写は多重化されたフォーマットで実施され得る。定量的PCRが、次に定量的PCRシステム、例えばCFX96TMリアルタイムシステム(C1000 TouchTMサーマルサイクラー、BioRad社)等を使用して実施される。優先的には、定量的PCRは、CFX96-リアルタイムPCR検出システム-C1000 (体外診断薬(In Vitro Diagnostic: IVD)認可済み、Bio-Rad社)を使用して実施される。サイクリング条件は、95℃で10分間、その後95℃で15秒間、及び60℃で60秒間を合計50サイクル、次に30℃で30秒間であり得る。Cq決定モードは、例えば、定量的PCRシステム内の回帰モードであり得る。特定の実施形態では、本発明の方法に基づき決定されたCq値は、上記した所定のパラメーター及び材料を使用して取得可能であるCq値である。数値が各miRNAの標準曲線の最大Cqを上回る場合には、サンプルのCq値は分析から除外され得る。標準曲線は、PCR反応効率を評価するのに使用され得る。標準曲線が、試験期間中に遭遇し得るすべての考えられるテンプレート濃度にわたることを保証するために、連続稀釈が、最も濃縮されたcDNAサンプルから開始して、8ポイントにわたり実施され得る。標準曲線は、取得されたCq値に対してテンプレートの開始量の対数をプロッティングすることにより構築され得る。絶対定量的データを取得するために、例えば、3.125 fmol/mLに稀釈された合成miRNA (例えば、Integrated DNA Technologies社製、5'リン酸塩、3'OH、HPLC精製済み)、5μLが、血清サンプルから抽出されたRNAと同時に逆転写するために使用され得る。生成物は次に連続稀釈され得るが、またPCRはすべてのサンプル(標準、及び血清由来のRNA)について実施され得る。標準曲線は、1回、2回、又は3回実施され、そしてCqデータを液体1μL当たりのコピー数に変換するのに使用され得る。
【0075】
或いは、ΔCt(サイクル閾値)、又はΔCq(サイクル定量)法が、miR-193のレベルを推定するのに使用され得る。ΔCt又はΔCqは、患者テストサンプルに含まれる標的のCt又はCqと、参照サンプル(すなわち、健康な対象、参照サンプル)に含まれる標的のCt又はCqとの間の差異に対応する。
【0076】
或いは、miR-193のレベルは、ステムループ逆転写(RT)反応を使用する、TaqMan qPCRと組み合わせたRT-qPCR、又はSYBR Green検出法及びLock Nucleic Acid (LNA)プライマーと組み合わせたポリ(A)テール化RTにより決定され得る。
【0077】
本発明の方法
下記のすべての態様、実施形態、及び変形形態において、好ましい実施形態は、血液、血清、又は血漿サンプル中のhsa-miR-193レベルの決定に関する。この態様の好ましい変形形態は、hsa-miR-193b-3pレベルの決定に関する。
【0078】
本発明は、対象におけるNAFLDを診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法に関する。本発明は、対象における潜在的NAFLDを診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法に関する。特定の実施形態では、NAFLD又は潜在的NAFLDは、肝臓脂肪過多症を有さない対象由来のサンプルにおいて測定された参照レベルに対する、対象に由来の体液サンプルに含まれるmiR-193レベルの増加に基づき検出される。更なる特定の実施形態では、NAFLD又は潜在的NAFLDの診断又は検出は、肝臓脂肪過多症を有さない健康な対象において一般的に測定されるレベルに対する、体液サンプルに含まれるmiR-193レベルの増加の検出に基づく。特定の実施形態では、方法は、対象がNAFLDに罹患していることを確認する工程を更に含む。そのような確認は、当業者にとって公知の任意の方法に基づき、例えば肝生検を実施すること、又は超音波若しくはイメージング技術等(例えばウルトラソノグラフィー、トランジエントエラストグラフィーによる制御減衰パラメーター測定(FibroScan)、磁気共鳴イメージング法(MRI)、MRI推定プロトン密度脂肪分率(MRI-DPFF)、及び磁気共鳴分光密度脂肪分率(MRS-DPFF)等)による等して実施され得る。
【0079】
或いは、下記事項を非限定的に含む、いくつかの指数及びスコアが、肝臓脂肪過多症を評価し得る:
- BMI、腹囲、及びトリグリセリド及びγ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の血清レベルを含む脂肪性の肝臓(fatty liver)指数(FLI)、
- 血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST):アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)比、BMI、性別、及び糖尿病の存在を含む肝臓脂肪過多症指数(HIS)、
- NAFLD肝臓脂肪スコア(メタボリック症候群、2型糖尿病、空腹時血清インスリン、及びAST、AST:ALT比、
- ステアトテスト(SteatoTest)(α2マクログロブリン(A2M)、ハプトグロビン、アポリポタンパク質A1、総ビリルビン、GGT、空腹時血中グルコース、並びに年齢、性別、体重、及び身長についての調整)、並びに
- NAFLDリッジスコア(ALT、コレステロール、トリグリセリド、糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)、及び白血球数)、及び併存疾患データ(高血圧)。
【0080】
特定の実施形態では、遺伝子マーカー及びゲノムのマーカーが、NAFLDリスク及び重症度を評価し得る(一塩基多型(SNP):rs738409(PNPLA3中のSNP)、無細胞非コーディングRNA、miR-122、血清由来のオーミクスデータの複合パネル)。
【0081】
本発明は、対象におけるNASHを診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。本発明は、対象における潜在的NASHを診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193レベルを決定する工程を含む方法とも関連する。特定の実施形態では、NASH又は潜在的NASHの診断又は検出は、健康な対象において、NAS<3の対象において、又はNASの少なくとも1つのコンポーネントが0とスコア化された対象において測定された参照miR-193レベルに対する、対象由来の体液に含まれるmiR-193レベルの増加の検出に基づく。特定の実施形態では、参照サンプルは、NASの少なくとも1つのコンポーネントについて0とスコア化されたNAS<3の対象、例えば下記のスコア:S=1、LI=1、及びHB=0;S=1、LI=0、及びHB=1;S=0、LI=1、及びHB=1を有する対象等に由来する。特定の実施形態では、NASH又は潜在的NASHの診断又は検出は、健康な対象、NAS<3の対象、又はNASの少なくとも1つのコンポーネントについて0とスコア化された対象を含む非NASH対象において測定された参照レベルに対する、血液、血清、又は血漿に含まれるhsa-miR-193のレベル、特にhsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-3p、及びhsa-miR-193b-5pの発現レベル増加の検出に基づく。特定の実施形態では、方法は、対象がNASHに罹患していることを確認する工程を更に含む。そのような確認は、当業者により公知の任意の方法に基づき、例えば肝生検を実施すること、又はイメージング技術(例えばMRIに基づく技術、MRIで使用されるガドキセト酸、超常磁性酸化鉄MRI、32P-MRS及びMREを使用する細胞内ATPレベル等)により測定されるイメージングバイオマーカーによる等して実施され得る。或いは、いくつかの指数及びスコアが、下記事項を非限定的に含む潜在的NASHバイオマーカーを評価し得る:
- アポトーシスマーカー(CK18断片、総サイトケラチン、アポトーシスを媒介する表面抗原FASの血清レベル)、
- 炎症マーカー(C反応性タンパク質(CRP)、TNF、IL-8、CXCケモカインリガンド10(CXCL10))、
- 脂質酸化生成物(11-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(HETE)、9-ヒドロキシデカジエン酸(HODE)、13-HODE、13-オキソ-オクタデカジエン酸(ODE)、LA-13-HODE(oxNASHスコア)、11,12-ジヒドロキシ-エイコサトリエン酸(diHETrE))、
- アディポサイトカイン及びホルモン(アディポネクチン、レプチン、レジスチン、ビスファチン、レチノール結合タンパク質(RBP)4、脂肪酸結合タンパク質(FABP)4、線維芽細胞増殖因子(FGF21))、
- リソソーム酵素(カテプシンD)、及び
- 統合パネル(NASHテスト、NASH診断パネル)。
【0082】
本発明は、対象における活動性NASHを診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。本発明は、対象における潜在的活動性NASHを診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。特定の実施形態では、活動性NASH又は潜在的活動性NASHの診断又は検出は、健康な対象において、NAS<4の対象において、又はNASの少なくとも1つのコンポーネントについて0とスコア化された対象において測定された参照miR-193レベルに対する、対象由来の体液に含まれるmiR-193レベルの増加の検出に基づく。特定の実施形態では、参照サンプルは、S=1、LI=1、及びHB=1であるNAS=3の対象に由来する。特定の実施形態では、活動性NASH又は潜在的活動性NASHの診断又は検出は、健康な対象、NAS<4の対象、又はNASの少なくとも1つのコンポーネントについて0とスコア化された対象において測定された参照レベルに対する、対象の血液、血清、又は血漿サンプルに含まれるhsa-miR-193、特にhsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-3p、及びhsa-miR-193b-5pの発現レベル上昇を検出することに基づく。特定の実施形態では、方法は、対象が活動性NASHに罹患していることを確認する工程を更に含む。そのような確認は、当業者により公知の任意の方法に基づき、例えば肝生検を実施すること、又はイメージング技術(例えばMRIに基づく技術、超常磁性酸化鉄MRI、マルチパラメトリックMRI、MRS及びMRE等)による等して実施され得る。或いは、いくつかの指数及びスコアが、下記事項を非限定的に含む、潜在的NASHバイオマーカーを評価し得る:
- アポトーシスマーカー(CK18断片、総サイトケラチン、アポトーシスを媒介する表面抗原FASの血清レベル)、
- 炎症マーカー(C反応性タンパク質(CRP)、TNF、IL-8、CXCケモカインリガンド10(CXCL10))、
- 脂質酸化生成物(11-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(HETE)、9-ヒドロキシデカジエン酸(HODE)、13-HODE、13-オキソ-オクタデカジエン酸(ODE)、LA-13-HODE(oxNASHスコア)、11,12-ジヒドロキシ-エイコサトリエン酸(diHETrE))、
- アディポサイトカイン及びホルモン(アディポネクチン、レプチン、レジスチン、ビスファチン、レチノール結合タンパク質(RBP)4、脂肪酸結合タンパク質(FABP)4、線維芽細胞増殖因子(FGF21))、
- リソソーム酵素(カテプシンD)、及び
- 統合パネル(NASHテスト、NASH診断パネル)。
【0083】
そのような確認は、NAFLDリスク(NASH又は線維症への進行)、及び重症度マーカー(SNP(PNPLA3中のrs738409)のような遺伝子マーカーやゲノムマーカー等)、無細胞非コーディングRNA (miR-122、miR-1290、miR-192、及びmiR-7b)、血清由来のrs738409のようなオーミクスデータと、ACY1、SHBG、CTSZ、MET、GNS、LGALS3BP、CHL1、及びSERPINC1を含むプロテオミックデータからなる複合パネル、多重遺伝子座におけるSNP(PNPLA3、SOD2、KLF6、及びLPIN1)、miR-122、複合パネル(miR-122、miR-192、miR-21を含む)、ALT、CK18 Asp396、循環性メチル化PPARGのような無細胞DNAを測定することにより実施され得る。
【0084】
本発明は、対象における肝臓小葉内炎症の発生又はグレードを特徴づけるための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。
【0085】
本発明は、対象における肝細胞風船様腫大の発生又はグレードを特徴づけるための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193レベルを決定する工程を含む前記とも関連する。
【0086】
本発明は、対象における肝臓脂肪過多症の発生又はグレードを特徴づけるための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるhsa-miR-193レベルを決定する工程を含む方法とも関連する。
【0087】
本発明は、対象における肝線維症を診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベル(例えばhsa-miR-193等)を決定する工程を含む方法とも関連する。本発明は、対象における潜在的肝線維症を診断又は検出するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。特定の実施形態では、線維症は、最低限、有意な線維症(すなわち、F≧2)である。この実施形態の変形形態では、肝線維症又は潜在的肝線維症の診断又は検出は、全く又は最低限度でしか線維症を有さない、特に最低限度の線維症を有する対象において測定された参照miR-193レベルに対する、対象由来の体液に含まれるmiR-193レベルの増加の検出に基づく。更なる特定の実施形態では、線維症は、最低限、中程度の肝線維症又は肝硬変(すなわち、F≧3)である。この実施形態の変形形態では、肝線維症又は潜在的肝線維症の診断又は検出は、全く線維症を有さない、最低限度の線維症を有する、又は重度の線維症を有する、特に重度の線維症を有する対象において測定された参照miR-193レベルに対する、対象由来の体液に含まれるmiR-193レベルの増加の検出に基づく。特定の実施形態では、方法は、対象が肝線維症に罹患していることを確認する工程、又は肝線維症の段階を確認する工程を更に含む。そのような確認は、下記事項を非限定的に含む、当業者により公知の任意の方法に基づき、例えば肝生検を実施することにより、又はイメージングバイオマーカーによる等して実施され得る:
- FibroScan(トランジエントエラストグラフィー)、
- ポイントシアウェーブエラストグラフィー pSWE、音響放射力インパルス(ARFI)、
- 2D-3Dシアウェーブエラストグラフィー 2D-3D SWE、
- 磁気共鳴エラストグラフィー MRE、
- マルチパラメトリックMRI。
【0088】
或いは、肝線維症及び肝硬変のいくつかの非侵襲的テスト:
- AST:ALT比、及びAST:血小板比指数(APRI)、
- 線維症-4指数(FIB-4) (年齢、AST、ALT、及び血小板数を含む)
- NAFLD線維症スコア(年齢、BMI、空腹時血糖の異常及び/又は糖尿病、AST、ALT、血小板数、及びアルブミン)、
- BARDコア(AST、ALT、BMI、及び糖尿病)。
【0089】
別の実施形態では、特異的肝線維症マーカー及びパネルが肝線維症を評価し得る:
- 特異的線維症マーカー:ヒアルロン酸、コラーゲンIII型のN末端プロペプチド(PIIINP)、PIIINP (Pro-C3)に対するネオエピトープ特異的競合型酵素結合免疫吸着測定法、組織インヒビターメタロプロテイナーゼ1 (TIMP-1)、ラミニン。
- 特異的線維症パネル:強化型肝線維症(ELF) (PIIINP、ヒアルロン酸、及びTIMP-1);FibroTest (γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、総ビリルビン、α2マクログロブリン(A2M)、アポリポタンパク質A1、及びハプトグロビン);FibroMeter NAFLD (体重、プロトロンビン指数、ALT、AST、フェリチン、及び空腹時血糖)。
【0090】
本発明は、対象における肝線維化段階を決定するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193 (例えばhsa-miR-193等)のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。
【0091】
特定の実施形態では、F=4の段階は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルが、線維化段階F≦4、例えばF=0、F=1、F=2、又はF=3等の対象から得られた参照サンプルに含まれるmiR-193のレベルよりも高い場合に決定され得る。特定の変形形態では、参照サンプルは、F=3の対象に由来する。
【0092】
特定の実施形態では、F=3段階は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルが、線維化段階F≦3、例えばF=0、F=1、又はF=2等の対象から得られた参照サンプルに含まれるmiR-193のレベルよりも高い場合に決定され得る。特定の変形形態では、参照サンプルは、F=2の対象に由来する。
【0093】
特定の実施形態では、F=2段階は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルが、線維化段階F≦2、例えばF=0又はF=1等の対象から得られた参照サンプルに含まれるmiR-193のレベルよりも高い場合に決定され得る。特定の変形形態では、参照サンプルは、F=1の対象に由来する。
【0094】
特定の実施形態では、F=1段階は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルが、線維化段階F≦1、例えばF=0等の対象から得られた参照サンプルに含まれるmiR-193のレベルよりも高い場合に決定され得る。
【0095】
特定の実施形態では、方法は、NAFLD又はNASHを有する対象における有意な線維症~重度の線維症(F≧2)、及び進行した肝線維症(F≧3)の診断及び検出を目的とし、全く及び/又は最低限度の線維症しか有さない患者(F=0~1)において測定された参照レベルに対する、対象の血液、血清、又は血漿サンプルに含まれるhsa-miR-193の発現レベルの上昇、特にhsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-3p、及びhsa-miR-193b-5pの発現レベルの上昇を検出する工程に基づく。
【0096】
特定の実施形態では、肝線維症の段階を決定するための方法は、対象内の肝線維症の段階を確認する工程を更に含む。そのような確認は、当業者により公知の任意の方法に基づき、例えば肝生検を実施することにより、又は線維症の診断について上記リスト化したイメージングバイオマーカーのようなその他の手段による等して実施され得る。
【0097】
肝線維症は、ほとんどの慢性肝疾患に共通する結果であるので、本発明は、その他の線維化した肝疾患、例えばウイルス性肝炎(HBV、HCV,..)、アルコール性脂肪性肝炎、胆道疾患(原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症)等に起因する有意な又は進行した肝線維症の診断及び検出とも関連する。
【0098】
本発明は、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症に対する処置の潜在的受容者又は非受容者として対象を分類するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。特定の実施形態では、方法は、NAFLDに対する処置の潜在的受容者又は非受容者として対象を分類することを目的とする。別の特定の実施形態では、方法は、NASHに対する処置の潜在的受容者又は非受容者として対象を分類することを目的とする。更なる実施形態では、方法は、対象を肝線維症に対する処置の潜在的受容者又は非受容者として分類することを目的とする。
【0099】
本発明は、より具体的には、対象を、NASH及び/又は線維症に対する処置の潜在的受容者(TBT)又は非受容者(NTBT)として分類するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193 (例えばhsa-miR-193等)のレベルを決定する工程を含む方法に関する。
【0100】
特定の実施形態では、対象は、前記対象から得られた体液サンプル中のmiR-193のレベルが、NTBT2対象の参照サンプルに含まれるmiR-193のレベルよりも高い場合には、TBT2対象として分類される。特定の変形形態では、NTBT2の対象は、NAS=4、S≧1、LI≧1、HB≧1、及びF=1(例えば、1a、1b、又は1cの線維化段階)の対象である。
【0101】
特定の実施形態では、対象は、前記対象から得られた体液サンプル中のmiR-193のレベルが、NTBT1対象の参照サンプルに含まれるmiR-193のレベルよりも高い場合には、TBT1対象として分類される。特定の変形形態では、NTBT1対象は、NAS=4、S≧1、LI≧1、HB≧1、及びF=0の対象である。
【0102】
特定の実施形態では、対象は、前記対象から得られた体液サンプル中のmiR-193のレベルが、NTBT7対象の参照サンプルに含まれるmiR-193のレベルよりも高い場合には、TBT7対象として分類される。特定の変形形態では、NTBT7対象は、NAS=4、S≧1、LI≧1、HB≧1、及びF=1aの対象である。
【0103】
特定の実施形態では、本発明の方法は、対象をTBT2対象として分類することを目的とする。
【0104】
本発明のその他の変形形態は、NTBT患者において測定された参照hsa-miR-193レベルに対する、血液、血清、又は血漿中のhsa-miR-193発現レベル上昇、特にhsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-3p、及びhsa-miR-193b-5pの発現レベル上昇の検出に基づき、患者をNASH及び/又は線維症に対する処置の潜在的受容者(TBT)又は非受容者(NTBT)として分類するための方法に関する。
【0105】
そのような分類は、処置の決定を下す前に、対象が更なる肝臓調査、例えばMRI又は肝生検を含む超音波、エラストグラフィー、イメージング技術等の最新式の肝臓調査等を受けるべきであるか判断する基準にもなり得る。
【0106】
TBT又は受容者とNTBT又は非受容者である患者の定義は、上記提示の様々な疾患活動性数値(NAS又は活動性指数)、及び様々な線維化段階の数値を有する薬物の安全性に対する薬物の効能に応じて変化し得る。
【0107】
本発明は、対象におけるNAFLD又はNASH活動性を決定するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193 (例えばhsa-miR-193等)のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。
【0108】
本発明は、対象におけるNAFLD又はNASH活動性が進展するリスクを予後予測するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193 (例えばhsa-miR-193等)のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。特定の実施形態では、方法は、処置しなかったときのNAFLD又はNASH活動性が進展するリスクを予後予測することを目的とする。
【0109】
本発明は、対象における線維症が肝硬変及び肝臓臨床転帰に進展するリスクを予後予測するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるmiR-193 (例えばhsa-miR-193等)のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。特定の実施形態では、方法は、処置しなかったときの線維症が肝硬変及び肝臓臨床転帰に進展するリスクを予後予測することを目的とする。
【0110】
本発明は、対象におけるNAFLD又はNASH活動性の進展(すなわち、進行又は退縮)をモニタリングするための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるhsa-miR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。
【0111】
本発明は、対象における肝線維症の進展(すなわち、進行又は退縮)をモニタリングするための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるhsa-miR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。
【0112】
本発明は、NAFLD、NASH、及び/又は肝線維症の特定の処置に対する患者の応答を予測するための方法であって、前記対象の体液サンプルに含まれるhsa-miR-193のレベルを決定する工程を含む方法とも関連する。
【0113】
別の変形形態によれば、本発明は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルの検出に基づき、対象における脂肪過多症の段階を決定するための方法に関する。
【0114】
別の変形形態によれば、本発明は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルの検出に基づき、対象における肝細胞風船様腫大グレードを決定するため方法に関する。
【0115】
別の変形形態によれば、本発明は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルの検出に基づき、対象における小葉内炎症グレードを決定するため方法に関する。
【0116】
本発明の実践において、miR-193のカットオフ濃度は、本発明の方法を実施する者による意思決定に役立つように計算され得る。表現「カットオフ濃度」とは、本明細書で使用する場合、miR-193のある濃度を指し、その濃度を上回れば症状又は疾患の統計的予測がなされ、そしてその濃度を下回れば、疾患又は症状が存在しないという統計的予測がなされる。そのようなカットオフ濃度は、異なるシナリオについて以下のように決定され得る。
【0117】
NAFLD(又は潜在的NAFLD)を有する対象として、又はNAFLDを有さない健康な対象として対象を分類するためのカットオフ濃度は、
i)NAFLDを有する対象、及びNAFLDを有さない健康な対象の両方を含む対象の参照コホートから得られた体液サンプル中のmiR-193濃度を測定すること、
ii)最適なカットオフ濃度を決定するために、専用の統計分析を参照データセットに適用すること
により決定可能である。特に、最高技術水準の統計的手法ROC(受信者動作特性)が、参照コホート内のNAFLDと、健康な対象とを区別するための最適なカットオフ濃度を計算するのに使用可能である。
【0118】
NASH(又は潜在的NASH)を有する対象として、又はNASHを有さない対象として対象を分類するためのカットオフ濃度は、
i)NASHを有する対象、及びNASHを有さない対象の両方を含む対象の参照コホートの体液サンプルに含まれるmiR-193濃度を測定すること、
ii)最適なカットオフ濃度を決定するために、専用の統計分析を参照データセットに適用すること
により決定可能である。特に、最高技術水準の統計的手法ROC(受信者動作特性)が、参照コホート内のNASH(又は潜在的NASH)を有する対象と、NASHを有さない対象とを区別するための最適なカットオフ濃度を計算するのに使用可能である。
【0119】
活動性NASH(又は潜在的活動性NASH)を有する対象として、又は活動性NASHを有さない対象として、対象を分類するためのカットオフ濃度は、
i)活動性NASHを有する対象、及び活動性NASHを有さない対象の両方を含む対象の参照コホートの体液サンプルに含まれるmiR-193濃度を測定すること、
ii)最適なカットオフ濃度を決定するために、専用の統計分析を参照データセットに適用すること
により決定可能である。特に、最高技術水準の統計的手法ROC(受信者動作特性)が、参照コホート内の活動性NASH(又は潜在的活動性NASH)を有する患者と、活動性NASHを有さない対象とを区別するための最適なカットオフ濃度を計算するのに使用可能である。
【0120】
有意な肝線維症(F≧2) (又は潜在的有意な肝線維症)を有する対象として、又は全く若しくは最低限度の線維症しか有さない対象として対象を分類するためのカットオフ濃度は、
i)有意な肝線維症~重度の肝線維症(F≧2)、又は進行した肝線維症(F≧3)を有する対象、及び全く又は最低限度の線維症しか有さない(F=0~1)対象の両方を含む対象の参照コホートの体液サンプルに含まれるmiR-193濃度を測定すること、
ii)最適なカットオフ濃度を決定するために、専用の統計分析を参照データセットに適用すること
により決定可能である。特に、最高技術水準の統計的手法ROC(受信者動作特性)が、参照コホート内の有意な肝線維症(F≧2)又は進行した肝線維症(F≧3)を有する対象と、全く又は最低限度の線維症しか有さない(F=0~1)対象とを区別するための最適なカットオフ濃度を計算するのに使用可能である。
【0121】
TBT対象として、又はNTBT対象として対象を分類するためのカットオフ濃度は、
i)TBT対象及びNTBT対象の両方を含む対象の参照コホートの体液サンプルに含まれるmiR-193濃度を測定すること、
ii)最適なカットオフ濃度を決定するために、専用の統計分析を参照データセットに適用すること
により決定可能である。特に、最高技術水準の統計的手法ROC(受信者動作特性)が、参照コホート内のTBT対象と、NTBT対象とを区別するための最適なカットオフ濃度を計算するのに使用可能である。
【0122】
本明細書に提示されるデータは、miR-193は、組織学的病変(脂肪過多症、小葉内炎症、肝細胞風船様腫大)を非侵襲的にグレード化し、対象におけるNAFLD活動性レベル、NASH活動性レベルを評価し、また肝線維症の重症度を評価するための循環性診断バイオマーカーであることを示している。
【0123】
本発明の別の変形形態によれば、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルに基づき、処置を行わなかったときに、対象においてNAFLD又はNASH活動性が進展するリスクを予後予測する方法が提供される。
【0124】
本発明の別の変形形態は、対象の体液サンプル中で測定されたmiR-193レベルに基づき、NAFLD又はNASH患者において線維症が肝硬変及び肝臓転帰に進展するリスクを予後予測する方法に関する。本発明は、その他の線維化した肝疾患、例えばウイルス性肝炎(HBV、HCV,..)、アルコール性脂肪性肝炎、胆道疾患(原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症)等に罹患している患者において、線維症が進展するリスクを予後予測するためにも供される。
【0125】
本発明者らは、miR-193の循環レベル変化と組織学的スコアの進展、特に活動性指数、NAS、及び線維化段階の進展の間に相関関係が存在することも明らかにした。この分析から、対象が、抗NAFLD薬、抗NASH薬、又は抗線維化薬を用いて処置される又はされないにかかわらず、対象において組織学的進展をモニタリングするための方法において、miR-193を使用ことが支持される。更に、本発明の方法は、miR-193の血清レベル変化が組織学的進展に代替するものと仮定すれば、介入的トライアルにおいて、薬物の抗NAFLD、抗NASH、及び/又は抗線維化活動性を評価するのに使用可能である。
【0126】
従って、本発明の別の変形形態は、同一対象から2回又はそれ超、時間を置いて収集された体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルの進展に基づき、NAFLD又はNASH活動性の進展(すなわち、進行又は退縮)をモニタリングするための方法に関する。
【0127】
本発明の別の変形形態は、同一対象から2回又はそれ超、時間を置いて収集された体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルの進展に基づき、肝線維化段階の進展(すなわち、進行又は退縮)をモニタリングするための方法に関する。
【0128】
本発明は、その他の線維化した肝疾患、例えばウイルス性肝炎(HBV、HCV,..)、アルコール性脂肪性肝炎、胆道疾患(原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症)等において、線維化段階の進展を決定するために、やはり供される。
【0129】
本発明の別の変形形態は、非応答者の対象において測定された参照レベルに対する、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193の差次的発現レベルを検出することに基づき、特定の処置に対する対象の応答(応答者の対象)を予測する(NAFLD活動性、NASH活動性、及び肝線維化段階の変化の予測)方法に関する。
【0130】
従って、本発明によれば、方法は、
- 対象におけるNAFLDの発生を特徴づける、
- 対象におけるNASHの発生を特徴づける、
- 対象における肝線維症の発生を特徴づける、
- 対象における肝細胞風船様腫大の発生を特徴づける、
- 対象における小葉内炎症の発生を特徴づける、又は
- 対象における脂肪肝の発生を特徴づける
ために提供される。
【0131】
更に、本発明によれば、方法は、
- 対象がNAFLD及び/若しくはより進行したNAFLDを有すると診断する、
- 対象がNASH及び/若しくはより進行したNASHを有すると診断する、
- 対象が肝線維症及び/若しくはより進行した肝線維化段階を有すると診断する、
- 対象が肝細胞風船様腫大及び/若しくはより進行した肝細胞風船様腫大スコアを有すると診断する、
- 対象が小葉内炎症及び/若しくはより進行した小葉内炎症スコアを有すると診断する、又は
- 対象が脂肪肝及び/若しくはより進行した脂肪肝スコアを有すると診断する
ために提供される。
【0132】
更に、本発明による方法は、
- 対象におけるNAFLD若しくはNASHの活動性を決定すること、
- 対象における線維化段階を決定すること、
- 対象におけるNASHの重症度を決定すること、又は
- NASH患者における病理学の進行若しくは退縮を決定すること
を可能にする。
【0133】
更に、本発明による方法は、
- NAFLDに対する処置の受容者若しくは非受容者として対象を分類すること、
- NASHに対する処置の受容者若しくは非受容者として対象を分類すること、
- 肝線維症に対する処置の受容者若しくは非受容者として対象を分類すること、
- 肝細胞風船様腫大に対する処置の受容者若しくは非受容者として対象を分類すること、
- 小葉内炎症に対する処置の受容者若しくは非受容者として対象を分類すること、又は
- 脂肪肝に対する処置の受容者若しくは非受容者として対象を分類すること
を可能にする。
【0134】
更に、本発明による方法は、
- NAFLD疾患を処置するための薬剤投与に基づき、医学的処置の有効性を評価すること、
- NASH疾患を処置するための薬剤投与に基づき、医学的処置の有効性を評価すること、
- 線維症疾患を処置するための薬剤投与に基づき、医学的処置の有効性を評価すること、
- 肝細胞風船様腫大疾患を処置するための薬剤投与に基づき、医学的処置の有効性を評価すること、又は
- 小葉内炎症疾患を処置するための薬剤投与に基づき、医学的処置の有効性を評価すること
を可能にする。
【0135】
更に、本発明による方法は、
- 医学的処置を投与した後の、NAFLD患者における病理学の進行若しくは退縮を決定すること、
- 医学的処置を投与した後の、NASH患者における病理学の進行若しくは退縮を決定すること、
- 医学的処置を投与した後の、線維症に罹患している患者における病理学の進行若しくは退縮を決定すること、
- 医学的処置を投与した後の、肝細胞風船様腫大疾患に罹患している患者における病理学の進行若しくは退縮を決定すること、又は
- 医学的処置を投与した後の、小葉内炎症疾患に罹患している患者における病理学の進行若しくは退縮を決定すること
を可能にする。
【0136】
更に、本発明による方法は、
- NAFLDを処置するための特定の医学的処置に対して、患者が応答するか若しくはしないか、すなわち、潜在的応答者か若しくは非応答者かを予測すること、
- NASH疾患を処置するための医学的処置に対して、患者が受容性か若しくは非受容性か、すなわち、(潜在的)応答者若しくは(潜在的)非応答者かを予測すること、
- 肝線維症を処置するための医学的処置に対して、患者が受容性か若しくは非受容性か、すなわち、(潜在的)応答者若しくは(潜在的)非応答者かを予測すること、
- 肝細胞性疾患を処置するための医学的処置に対して、患者が受容性か若しくは非受容性か、すなわち、(潜在的)応答者若しくは(潜在的)非応答者かを予測すること、又は
- 小葉内炎症疾患を処置するための医学的処置に対して、患者が受容性か若しくは非受容性か、すなわち、(潜在的)応答者若しくは(潜在的)非応答者かを予測すること
を可能にする。
【0137】
いくつかの実施形態では、対象が、NAFLD、又はNASH、又は活動性NASH、又は肝線維症(例えば、有意な肝線維症等)、又は小葉内炎症、又は肝細胞風船様腫大を有するか、決定するための方法、或いは対象が、特定の薬物に対して薬物受容者(TBT)又は潜在的応答者であるか決定するための方法は、評価済みの状態を有するものと疑われる対象由来の体液のサンプルを収集する工程、及びmiR-193のレベルを検出する工程を含み、その場合、参照miR-193レベルよりも高いレベルは、評価済みの状態の存在、或いはNAFLD、又はNASH、又は活動性NASH、又は肝線維症(例えば、有意な線維症等)、又は小葉内炎症、又は肝細胞風船様腫大を有するとした対象の診断、或いは対象が潜在的薬物受容者(TBT)又は応答者であることを示唆する。
【0138】
特定の実施形態では、対象は、NALFD、NASH、活動性NASH、又は肝線維症を有するリスクに晒されている対象、或いはNAFLD、NASH、活動性NASH、又は肝線維症を将来発症するリスクに晒されている対象、例えば肥満、糖尿病を有する、メタボリック症候群に罹患している、及び/又は肝臓酵素が上昇している、及び/又は肝臓機能障害のその他の兆候を有する対象等である。対象は、これまでに同定されたNAFLD、NASH、又は活動性NASH、又は肝線維症を有する対象である可能性もあり、これにより、本発明の方法は、疾患活動性及び線維化段階を決定すること、並びに疾患が肝硬変、肝硬変の合併症、肝臓癌、肝臓移植、心血管系疾患、又は肝臓関連の死に進展するリスクを見積もることを可能にする。
【0139】
特定の実施形態では、対象はNASHに罹患しており、これにより、本発明の方法は、NASH疾患を処置するための薬物の有効性を決定すること、NASHの処置に対して応答者/非応答者として対象を分類すること、又は対象のNASH状態の進展をモニタリングすることを可能にする。
【0140】
本発明の特定の態様によれば、処置されるべき患者の種類の毎に、NASHスコアが取得され得る。
【0141】
本発明の特定の実施形態では、NAFLD、NASH、若しくは肝線維症を診断する場合、及び/又は対象における疾患活動性、線維化段階を決定する場合、及び/又は医学的処置の有効性を評価する場合、及び/又はNAFLD、NASH、若しくは肝線維症の対象における病理学の進展(進行又は退縮)を決定する場合、及び/又は医学的処置に対する潜在的応答者若しくは非応答者として対象を分類する場合、及び/又は対象の疾患転帰を予測する場合、miR-193レベルの指標が、その他の変数、例えば性別、年齢、肥満指数、体重、医学的状態、動脈圧等、又はその他の体液マーカー、例えば血液、血清、若しくは血漿の循環性マーカー等、特に下記の表に記載されるマーカーと組み合わせるために数学モデル(アルゴリズム)に導入され得る。
【0142】
【表3】
【0143】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、miR-193に加えて、その他のバイオマーカーのレベルを決定することを含む。
【0144】
特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、α2マクログロブリン(A2M)、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、空腹時血糖レベル、又はフルクトサミンレベル、コラーゲンIII型のN末端プロペプチド(PIIINP)、及びYKL-40からなる群より選択される。
【0145】
更なる特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、TIMP-1、YKL-40、血小板数、メタボリック症候群、ヒアルロン酸、及びHbA1cからなる群より選択される。
【0146】
別の更なる特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、TIMP-1、YKL-40、血小板数、及びメタボリック症候群からなる群より選択される。
【0147】
別の特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、TIMP-1、YKL-40、血小板数、ヒアルロン酸、及びHbA1cからなる群より選択される。
【0148】
より特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、YKL-40、TIMP-1、PIIINP、HbA1c、血小板数、又はA2Mである。
【0149】
別の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、磁気共鳴イメージ(MRI)、磁気共鳴エラストグラフィー(MRE)、磁気共鳴分光法(MRS)、制御減衰パラメーター(CAP)、及びトランジエントエラストグラフィー(TE)による肝硬度測定、超音波診断法(USG)、FibroScan、ポイントシアウェーブエラストグラフィー(pSWE)、2Dシアウェーブエラストグラフィー(2D-SWE)、一塩基多型(SNP)、無細胞DNA、無細胞非コーディングRNA、及び遺伝子多形性(例えばPNPLA3及びTM6SF2等)により推定されるNAFLD、NASH、又は肝線維症のマーカー、例えば脂肪過多症、壊死性炎症、及び線維症の程度等である。
【0150】
特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、脂肪性の肝臓指数関連マーカー、肝臓脂肪過多症指数関連マーカー、NAFLD肝臓脂肪スコア関連マーカー、SteatoTestパラメーター、NAFLDリッジスコアパラメーター、循環性トリグリセリド、肥満指数(BMI)のようなNAFLDマーカー;組織によるビーム散乱の程度(USG)、肝臓脂肪による超音波減弱の程度(CAP)、プロトン密度脂肪分率(MRI-PDFF)、肝臓トリグリセリド含有量、シグナル脂肪分率(MRS)のようなイメージングバイオマーカーである。
【0151】
特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、アポトーシスマーカー(CK18断片、総サイトケラチン、アポトーシス媒介性表面抗原FASの血清レベル)、炎症マーカー(C反応性タンパク質(CRP)、TNF、IL-8、CXCケモカインリガンド10(CXCL10))、脂質酸化生成物(11-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(HETE)、9-ヒドロキシデカジエン酸(HODE)、13-HODE、13-オキソ-オクタデカジエン酸(ODE)、LA-13-HODE(oxNASHスコア)、11,12-ジヒドロキシエイコサトリエン酸(diHETrE))、アディポサイトカイン、及びホルモン(アディポネクチン、レプチン、レジスチン、ビスファチン、レチノール結合タンパク質(RBP)4、脂肪酸結合タンパク質(FABP)4、線維芽細胞増殖因子(FGF21))、リソソーム酵素(カテプシンD)、及び/又は統合型パネル(NASHテスト、NASH診断パネル)のようなNASH生化学的血液マーカー;クッパー細胞取り込み機能(MRI)、ガドキセト酸の使用による肝臓増強の増加(MRI)、肝細胞膜ターンオーバー及び細胞内ATP(MRS)、肝硬度(MRE)のようなイメージングバイオマーカーである。
【0152】
特定の実施形態では、そのようなバイオマーカーは、肝線維症マーカー、すなわち機械的に誘発されたインパルス、シアウェーブスピードの定量測定(FibroScan-トランジエントエラストグラフィー、pSWE-ARFI、2D-3D-SWE)、死亡時における超音波誘発式集束放射力インパルス(pSWE-ARFI)、肝実質内のシアウェーブ伝播を画像化するための改変された位相差法の使用(MRE)のようなイメージングバイオマーカー;AST:ALT比、AST:血小板比指数(APRI)、FIB4指数パラメーター、NAFLD線維症スコアパラメーター、BARDスコアパラメーターのような生化学的血液マーカー; HA、PIIINP、Pro-C3、TIMP-1、ラミニン、ELF関連パネル、FibroTestパラメーター、FibroMeter NAFLDパラメーターのような特異的線維症マーカーである。
【0153】
別の更なる実施形態では、そのようなマーカーは、SNP (PNPLA3中のrs738409)のような遺伝子及びゲノムマーカー、無細胞非コーディングRNA (miR-122、miR-1290、miR-192、及びmiR-7b)、複合パネル(rs738409のような血清由来のオーミックスデータと、ACY1、SHBG、CTSZ、MET、GNS、LGALS3BP、CHL1、及びSERPINC1を含むプロテオミックデータとからなる)、多重遺伝子座におけるSNP (PNPLA3、SOD2、KLF6、及びLPIN1)、miR-122、複合パネル(miR-122、miR-192、miR-21を含む)、ALT、CK18Asp396、循環性メチル化PPARGのような無細胞DNA等のNAFLDリスク及び重症度マーカーである。
【0154】
更なる実施形態によれば、その他のバイオマーカーは、miR-193に加えて、その他の循環性マイクロRNAである。特に、本発明の実践において有用であり得る例証的な追加のマイクロRNAとして、miR-34a、miR-122、及びmiR-200が挙げられる。
【0155】
これらの実施形態によれば、方法は、
i)miR-193のレベル、及び少なくとも1つのその他の循環性肝臓障害マーカー(例えば、血液、血清、又は血漿の循環性肝臓障害マーカー等)を測定する工程と、
ii)生物情報学アプローチ(例えば、線形ロジスティック回帰分析又はランダムフォレスト)を経た数学モデル(アルゴリズム)を生成して、対象におけるNALFD、NASH、活動性NASH、又は肝線維症を評価するための高い診断/モニタリング/予後予測/予測性能を有するNAFLD、NASH、及び/又は肝線維症スコアを取得するために、これらの指標を統合する工程と
を含み得る。
【0156】
特定の実施形態では、本発明の方法は、
- hsa-miR-193、特にhsa-miR-193b、より具体的にはhsa-miR-193b-3p若しくはhsa-miR-193b-5p、又はhsa-miR-193a、より具体的にはhsa-miR-193a-5p若しくはhsa-miR-193a-3pのレベルを測定する工程と、
- 下記事項:
- メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP-1)、
- YKL-40、
- 血小板数、
- メタボリック症候群(ms)
からなる群において選択される、少なくとも1つ、好ましくはすべてのその他のマーカーのレベルを測定する工程と
を含む。
【0157】
特定の実施形態では、本発明の方法は、
- hsa-miR-193、特にhsa-miR-193b、より具体的にはhsa-miR-193b-3p若しくはhsa-miR-193b-5p、又はhsa-miR-193a、より具体的にはhsa-miR-193a-5p若しくはhsa-miR-193a-3pのレベルを測定する工程と、
- 下記事項:
- メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP-1)、
- YKL-40、
- 血小板数、
からなる群において選択される少なくとも1つ、好ましくはすべてのその他のマーカーのレベルを測定する工程と、
- 対象がメタボリック症候群を有するか決定する工程と
を含む。
【0158】
メタボリック症候群の診断は、Kotronenら、Gastroenterology 2009, 137: 865~872頁が教示する基準に従い実施され得る。
【0159】
特定の実施形態では、本発明の方法は、下記のマーカー:
- miR-193bのレベル(より具体的にはmiR-193b-3p)、及び
- TIMP-1のレベル、及び
- YKL-40のレベル、及び
- 血小板数、及び
- メタボリック症候群
のレベルを測定する工程を含む。
【0160】
特定の実施形態では、本発明の方法は、バイオマーカー(そのレベルが測定済み)のレベルからスコア又はNASHスコアを計算するのに使用され得る。
【0161】
特定の実施形態では、NASHスコアS1は、ロジスティック関数
【0162】
【数1】
【0163】
として定義され、
式中、
Y=k+a*A+b*B+c*C+d*D+f*Fであり、
式中、
S1は、本発明によるNASHスコアであり、
Aは、log10(コピー数)/μLで表されるhsa-miR-193b-3pのレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Cは、pg/mLで表されるYKL-40のレベルであり、
Dは、109個/Lで表される血小板数であり、
Fは、メタボリック症候群であり、
kは、ロジスティック関数の定数であり、
aは、hsa-miR-193b-3pのレベルと関連する係数であり、
bは、TIMP-1のレベルと関連する係数であり、
cは、YKL-40のレベルと関連する係数であり、
dは、血小板数と関連する係数であり、
fは、メタボリック症候群と関連する係数である。
【0164】
特定の実施形態では、メタボリック症候群は、対象がメタボリック症候群を有する場合、数値1を、対象がメタボリック症候群を有さない場合には、数値0を有するとして定義される。この特定の実施形態では、患者がメタボリック症候群を有するとき、係数fには数値1が適用される。
【0165】
NASHスコアは、従って中程度~高度のNASH活動性、又は重度のNASHを有する確率である。
【0166】
S1が閾値に等しい又はそれより大きい場合、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いはNASHについて処置される、若しくはNASHについて処置される可能性があるとして分類され、又はNASHについて処置される、及び/若しくは食事制限、及び/若しくはライフスタイルアドバイスの受容者として分類される。特定の実施形態によれば、S1が閾値よりも低い場合、対象は、処置される、又は処置されない、特に処置されないとして分類され得る、並びに/或いは対象は、その低いNASH活動性若しくは中程度のNASHを管理するための食事制限及び/又はライフスタイルアドバイスの受容者若しくは潜在的受容者として分類される。
【0167】
別の特定の実施形態では、本出願の実験部分に記載されるようなブートストラップモデルに由来するならば、
kは、-8.39~-2.67に含まれる数であり、
aは、0.58~2.50に含まれる数であり、
bは、2.29E-03~1.87E-02に含まれる数であり、
cは、2.14E-06~1.65E-05に含まれる数であり、
dは、-1.56E-02~-1.05E-03に含まれる数であり、
fは、0.03~1.63に含まれる数であり、
その場合、閾値は、0.3050~0.6518に含まれ、より具体的には0.3993 ± 10%に等しく、特に0.3993に等しい。
【0168】
特定の実施形態によれば、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いはNASHスコアS1が、0.3050~0.6518に含まれる閾値、より具体的には0.3993±10%に等しい、特に0.3993に等しい閾値に等しい又はそれよりも高い場合には、処置の受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0169】
特定の実施形態では、ブートストラップモデルにやはり由来するならば
kは、-5.53に等しく、
aは、1.54に等しく、
bは、0.0105に等しく、
cは、0.00000934に等しく、
dは、-0.00832に等しく、
fは、0.83に等しく、及び
閾値は、0.3050~0.6518に含まれ、より具体的には0.3993±10%に等しく、特に0.3993に等しい。
【0170】
特定の実施形態によれば、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いはNASHスコアS1が、0.3050~0.6518に含まれる閾値、より具体的には0.3993±10%に等しい、特に0.3993に等しい閾値に等しい又はそれよりも高い場合には、処置の受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0171】
この特定の実施形態によれば、AUCは、少なくとも0.80に等しい。
【0172】
特定の実施形態では、本発明の方法は、
- hsa-miR-193、特にhsa-miR-193b、より具体的にはhsa-miR-193b-3p若しくはhsa-miR-193b-5p、又はhsa-miR-193a、より具体的にはhsa-miR-193a-5p若しくはhsa-miR-193a-3pのレベルを測定する工程と
- 下記事項:
- YKL-40、
- メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP-1)、
- ヒアルロン酸(HYUA2)
- HbA1c、及び
- 血小板数
からなる群において選択される、少なくとも1つ、好ましくはすべてのその他のマーカーのレベルを測定する工程と
を含む。
【0173】
特定の実施形態では、本発明の方法は、下記のマーカー:
- miR-193bのレベル(より具体的にはmiR-193b-3p)、及び
- YKL-40のレベル、及び
- TIMP-1のレベル、及び
- ヒアルロン酸(HYUA2)
- HbA1c、及び
- 血小板数
を測定する工程を含む。
【0174】
特定の実施形態では、NASHスコアS2は、ロジスティック関数
【0175】
【数2】
【0176】
として定義され、
式中、
Y2=I+a2*A+c2*C+b2*B+e*E+g*G+d2*Dであり
式中、
S2は、本発明によるNASHスコアであり、
Aは、log10(コピー数)/μLで表されるhsa-miR-193b-3pレベルであり、
Cは、pg/mLで表されるYKL-40のレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Eは、%で表されるHbA1cのレベルであり、
Gは、ng/mLで表されるヒアルロン酸のレベルであり、
Dは、109個/Lで表される血小板数であり、
Iは、ロジスティック関数の定数であり、
a2は、hsa-miR-193b-3pのレベルと関連する係数であり、
c2は、YKL-40のレベルと関連する係数であり、
b2は、TIMP-1のレベルと関連する係数であり、
eは、HbA1cのレベルと関連する係数であり、
gは、ヒアルロン酸のレベルと関連する係数であり、
d2は、血小板数と関連する係数である。
【0177】
NASHスコアS2は、従って中程度~高度のNASH活動性、又は重度のNASHを有する確率である。
【0178】
S2が、閾値に等しい又はそれより大きい場合には、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いはNASHについて処置される、又はNASHについて処置される可能性があるとして分類される、又はNASHについて処置される、及び/又は食事制限及び/若しくはライフスタイルアドバイスの受容者として分類される。特定の実施形態によれば、S2が閾値よりも低い場合には、対象は、処置される、又は処置されない、特に処置されないとして分類され得、並びに/或いは対象は、その低いNASH活動性又は中程度のNASHを管理するための食事制限及び/又はライフスタイルアドバイスの受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0179】
別の特定の実施形態では、本出願の実験部分に記載されるようなブートストラップモデルに由来するならば、
Iは、-10.92~-3.89に含まれる数であり、
a2は、0.44~2.17に含まれる数であり、
c2は、0.0035~0.02に含まれる数であり、
b2は、0.0016~0.018に含まれる数であり、
eは、-0.0053~0.0057に含まれる数であり、
gは、0.13~1.08に含まれる数であり、
d2は、-0.017~-0.0027に含まれる数であり、
及び閾値は、0.2461~0.6252に含まれ、より具体的には0.4216±10%に等しく、特に0.4216に等しい。
【0180】
特定の実施形態によれば、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いはNASHスコアS2が、0.2461~0.6252に含まれる閾値、より具体的には0.4216±10 %に等しい、特に0.4216に等しい閾値に等しい又はそれよりも高い場合には、処置の受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0181】
特定の実施形態では、ブートストラップモデルにやはり由来するならば、
Iは、-7.52に等しく、
a2は、1.29に等しく、
c2は、0.01に等しく、
b2は、0.0092に等しく、
eは、-0.0024に等しく、
gは、0.59に等しく、
d2は、-0.009に等しく、及び
閾値は、0.2461~0.6252に含まれ、より具体的には0.4216±10%に等しく、特に0.4216に等しい。
【0182】
特定の実施形態では、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いは、NASHスコアS2が、0.2461~0.6252に含まれる閾値、より具体的には0.4216±10%に等しい、特に0.4216に等しい閾値に等しい又はそれよりも高い場合には、処置の受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0183】
この特定の実施形態によれば、AUCは、少なくとも0.80に等しい。
【0184】
特定の実施形態では、NASHスコアS3は、ロジスティック関数
【0185】
【数3】
【0186】
として定義され、
式中、
Y3=m+a3*A'+c3*C+b3*B+e2*E+g2*G+d3*Dであり、
式中、
S3は、本発明によるNASHスコアであり、
A'は、Cqで表されるhsa-miR-193b-3pのレベルであり、
Cは、pg/mLで表されるYKL-40のレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Eは、%で表されるHbA1cのレベルであり、
Gは、ng/mLで表されるヒアルロン酸のレベルであり、
Dは、109個/Lで表される血小板数であり、
mは、ロジスティック関数の定数であり、
a3は、hsa-miR-193b-3pレベルと関連する係数であり、
c3は、YKL-40のレベルと関連する係数であり、
b3は、TIMP-1のレベルと関連する係数であり、
e2は、HbA1cのレベルと関連する係数であり、
g2は、ヒアルロン酸のレベルと関連する係数であり、
d3は、血小板数と関連する係数である。
【0187】
NASHスコアS3は、従って中程度~高度のNASH活動性、又は重度のNASHを有する確率である。
【0188】
S3が閾値に等しい又はそれより大きい場合には、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いはNASHについて処置される、又はNASHについて処置される可能性があるとして分類され、又はNASHについて処置される、及び/又は食事制限及び/若しくはライフスタイルアドバイスの受容者として分類される。特定の実施形態によれば、S3が閾値よりも低い場合には、対象は、処置される、又は処置されない、特に処置されないとして分類され得、並びに/或いは対象は、その低いNASH活動性又は中程度のNASHを管理するための食事制限及び/又はライフスタイルアドバイスの受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0189】
別の特定の実施形態では、本出願の実験部分に記載されるようなブートストラップモデルに由来するならば、
mは、-1.27~17.54に含まれる数であり、
a3は、-0.64~-0.09に含まれる数であり、
c3は、0.005~0.019に含まれる数であり、
b3は、0.001~0.016に含まれる数であり、
e2は、-0.0054~0.0045に含まれる数であり、
g2は、0.12~1.08に含まれる数であり、
d3は、-0.0164~-0.0016に含まれる数であり、及び
閾値は、0.2270~0.6364に含まれ、より具体的には0.3741±10%に等しく、特に0.3741に等しい。
【0190】
特定の実施形態によれば、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類され、並びに/或いは、NASHスコアS3が、0.2270~0.6364に含まれる閾値、より具体的には0.3741±10%に等しい、特に0.3741に等しい閾値に等しい又はそれよりも高い場合には、処置の受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0191】
特定の実施形態では、ブートストラップモデルにやはり由来するならば、
mは、8.08に等しく、
a3は、-0.38に等しく、
c3は、0.01に等しく、
b3は、0.01に等しく、
e2は、-0.0024に等しく、
g2は、0.57に等しく、
d3は、-0.0090に等しく、及び
閾値は、0.2270~0.6364に含まれ、より具体的には0.3741±10%に等しく、特に0.3741に等しい。
【0192】
特定の実施形態によれば、対象は、NASHを有する、又は脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS≧4、及び線維化段階≧2を有する、若しくは潜在的に有するとして分類される、並びに/或いはNASHスコアS3が、0.2270~0.6364に含まれる閾値、より具体的には0.3741±10%に等しい、特に0.3741に等しい閾値に等しい又はそれよりも高い場合には、処置の受容者又は潜在的受容者として分類される。
【0193】
この特定の実施形態によれば、AUCは、少なくとも0.80に等しい。
【0194】
更なる特定の実施形態では、NASHスコアの計算について記載した上記方法は、血液、血清、又は血漿のサンプル、特に血漿サンプルにおいて実施される。
【0195】
別の実施形態では、診断、検出、モニタリング、NAFLD、NASH、若しくは肝線維症に対する処置のリスクの評価又は有効性の評価は、対象の体液サンプルに含まれるmiR-193のレベルを決定すること、及び対象を物理的、非侵襲的技術、例えば超音波、エラストグラフィー、又はMRI等のイメージング技術等に付すことにより実施される。
【0196】
その他の実施形態では、本発明の方法は、同一出願者が保有する国際公開第2017046181号で開示される方法と組合せ可能である。
【0197】
いくつかの実施形態では、本発明の方法の恩恵により、対象を医学的に介護するために(例えば、医師の下に定期的に訪問する又は定期的に検査を受ける、例えば肝臓障害マーカーを定期的にモニタリングするように設定することにより)、又はNAFLD、NASH、若しくは肝線維症療法の少なくとも1つを対象に投与するために、ライフスタイルの推奨案を対象に与える(例えば、献立又は推奨される身体活動性の提供等)決定を下すことができる。受容者又はTBT患者として対象をそのように分類することは、これまでに規定したように、非受容者患者(NTBT)において測定された参照miR-193レベルに対する、miR-193のレベル上昇に基づく。
【0198】
次いで、本発明は、それを必要としている対象のNAFLD、NASH又は肝線維症を処置するための方法における使用のための抗NAFLD、抗NASH又は抗線維症の化合物であって、対象が、本発明による方法のおかげで同定されている、抗NAFLD、抗NASH又は抗線維症の化合物に更に関する。
【0199】
特に、本発明は、それを必要としている対象のNAFLDを処置するための方法における使用のための抗NAFLD化合物であって、対象が、本発明による方法のおかげで、前記処置の受容者として分類されている、抗NAFLD化合物に関する。
【0200】
特に、本発明は、それを必要としている対象のNASHを処置するための方法における使用のための抗NASH化合物であって、対象が、本発明による方法のおかげで、前記処置の受容者として分類されている、抗NASH化合物に関する。
【0201】
特に、本発明は、それを必要としている対象の肝線維症を処置するための方法における使用のための抗線維症の化合物であって、対象が、本発明による方法のおかげで、前記処置の受容者として分類されている、抗線維症の化合物に関する。
【0202】
例示としての抗NAFLD、抗NASH及び抗線維症の化合物を以下に列挙する:
- 式(I):
【0203】
【化1】
【0204】
[式中
X1は、ハロゲン、R1、又はG1-R1基を表し、
Aは、CH=CH又はCH2-CH2基を表し、
X2は、G2-R2基を表し、
G1及びG2は、同一である又は異なり、酸素又はイオウの原子を表し、
R1は、水素原子、置換されていないアルキル基、1つ若しくは複数のハロゲン原子、アルコキシ若しくはアルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキルチオ基又は複素環基により置換されているアリール基又はアルキル基を表し、
R2は、少なくとも-COOR3基により置換されたアルキル基であって、R3が、水素原子、或いは1つ若しくは複数のハロゲン原子、シクロアルキル基、若しくは複素環基により置換されている、又は置換されていないアルキル基を表す、アルキル基を表し、
R4及びR5は、同一である又は異なり、1つ若しくは複数のハロゲン原子、シクロアルキル基、複素環基により置換されている、又は置換されていないアルキル基を表す]の化合物、又は薬学的に許容されるその塩である;
- GS-0976、ND-654、AC-8632、PF05175157、CP640186、Gemcabene、MK-4074、及びPF05175157のようなアセチル-CoAカルボキシラーゼインヒビター。
- 2-(1-ヘキシニル)-N-メチルアデノシン、Piclidenoson CF-101(IB-MECA)、Namodenoson CF-102、2-Cl-IB-MECA、CP-532,903、Inosine、LUF-6000、及びMRS-3558のようなアデノシンA3受容体アゴニスト。
- Apararenone (MT 3995)、Amiloride、Spironolactone、Eplerenone、Canrenone及びカンレノ酸カリウム、プロゲステロン、ドロスピレノン、ゲストデン、及びベニジピンのようなアルドステロンアンタゴニスト及びミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト。
- PXL-770、MB-11055 Debio-0930B メトフォルミン、CNX-012、O-304、マンギフェリンカルシウム塩、エルトロンボパグ、カロツキシマブ、及びImegliminのようなAMP活性化プロテインキナーゼ刺激物質。
- アミリン受容体アゴニスト及びカルシトニン受容体アゴニストとして、これらに限定されないが、KBP-042及びKBP-089が挙げられる。
- ARO-ANG3、IONIS-ANGGPTL3-LRx又はAKCEA-ANGPTL3LRx、エビナクマブ、及びALN-ANGのようなアンギオポエチン関連タンパク質3インヒビター。
- IMM-124-Eのような抗LPS抗体
- トランスフォーミング成長因子ベータ2を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドとして、これらに限定されないが、ASPH-0047、IMC-TR1及びISTH-0047が挙げられる。
- A-4250、ボリキシバット、マラリキシバット、以前はSHP-625、GSK-2330672、エロビキシバット、及びCJ-14199のような頂端側ナトリウム共依存性胆汁酸輸送体インヒビター。
- ベタイン無水物又はRM-003;
- オベチコール酸(OCA)及びUDCA、ノルウルソデオキシコール酸、及びウルソジオールのような胆汁酸。
- 5-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(15-HEPE、DS-102)、25 アラキドン酸、イコサペンタエチルエステル(icosapentethyl ester)、エイコサペンタエン酸(eicosapentaneoic acid)、及びドコサヘキサエン酸のような生理活性脂質。
- GRC-10801、MRI-1569、MRI-1867、DBPR-211、AM-6527、AM-6545、NESS-11-SM、CXB-029、GCC-2680、TM-38837、Org-50189、PF-514273、BMS-812204、ZYO-1、AZD-2207、AZD-1175、オテナバント、イビピナバント、スリナバント、リモナバント、トリナバント、SLV-326、V-24343、及びO-2093のようなカンナビノイドCB1受容体アゴニスト。
- アナバサム(Resunab、JKT-101)のようなカンナビノイドCB2受容体模倣体。
- デュアルカンナビノイドCB1受容体/iNOSインヒビター
- エムリカサン、ベルナカサン、ニボカサン、IDN-7314、F-573、VX-166、YJP-60107、MX-1122、IDN-6734、TLC-144、SB-234470、IDN-1965、VX-799、SDZ-220-976、及びL-709049のようなカスパーゼインヒビター。
- VBY-376、VBY-825、VBY-036、VBY-129、VBY-285、Org-219517、LY3000328、RG-7236、及びBF/PC-18のようなカテプシンインヒビター。
- セニクリビロク(CCR2/5アンタゴニスト)、PG-092、RAP-310、INCB-10820、RAP-103、PF-04634817、及びCCX-872のようなCCRアンタゴニスト。
- CCR3ケモカインモジュレーター及びエオタキシン2リガンドインヒビター
- IONIS-DGAT2Rx 以前はISIS-DGAT2Rx、ISIS 703802、LY-3202328、BH-03004、KR-69530、OT-13540、AZD-7687、PF-06865571、PF-06424439、及びABT-046のようなジアシルグリセロール-O-アセチルトランスフェラーゼ(DGAT)インヒビター。
- ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)インヒビター、エボグリプチン、ビダグリプチン、フォタグリプチン(fotagliptin)、アログリプチン、サキサグリプチン、チログリプチン(tilogliptin)、アナグリプチン、シタグリプチン、レタグリプチン、メログリプチン、ゴソグリプチン、トレラグリプチン、テネリグリプチン、デュートグリプチン、リナグリプチン、ゲミグリプチン、ヨグリプチン(yogliptin)、ベタグリプチン(betagliptin)、イミグリプチン、オマリグリプチン、ビダグリプチン、及びデナグリプチン。
- インスリンリガンド及びインスリン受容体アゴニスト;
- インスリン抵抗性改善薬及びMCH受容体-1アンタゴニスト
- Dual NOX(NADPHオキシダーゼ)1&4インヒビター等のNOX(NADPHオキシダーゼ)インヒビター;GKT-831(2-(2-クロロフェニル)-4-[3-(ジメチルアミノ)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3,6(2H,5H)-ジオン)、以前はGKT137831、及びGKT-901。
- CNX-024、CNX-025、及びSB-030のような細胞外マトリックスタンパク質モジュレーター
- TVB-2640;TVB-3664;TVB-3166、TVB-3150、TVB-3199、TVB-3693BZL-101、2-オクタデシン酸、MDX-2、Fasnall、MT-061、G28UCM、MG-28、HS-160、GSK-2194069、KD-023、及びシロスタゾールのような脂肪酸シンターゼ(FAS)インヒビター。
【0205】
特定の実施形態では、FASインヒビターは、以下の化合物のリスト:
【0206】
【化2A】
【0207】
【化2B】
【0208】
【化2C】
【0209】
及びTVB-2640において選択される化合物である。
【0210】
別の特定の実施形態では、FASインヒビターは、
【0211】
【化3】
【0212】
及びTVB-2640から選択される。
【0213】
特定の実施形態では、FASインヒビターは、TVB-2640である。
【0214】
- オメガ-3脂肪酸、Omacor又はMF4637、魚油、ポリ不飽和脂肪酸(efamax、optiEPA)のような脂肪酸。
- ステアロイルCoA不飽和酵素-1インヒビター/脂肪酸胆汁酸コンジュゲート(FABAC);
- ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト;オベチコール酸、(OCA)、GS-9674、LJN-452、EDP-305;AKN-083、INT-767、GNF-5120、LY2562175、INV-33、NTX-023-1、EP-024297、Px-103、SR-45023。
- 線維芽細胞成長因子19(FGF-19)受容体リガンド又はFGF-19機能的に操作されたバリアント
- NGM-282のような線維芽細胞成長因子19(FGF-19)組換え体。
- PEG-FGF21、以前はBMS-986036、YH-25348、BMS-986171、YH-25723、LY-3025876、及びNNC-0194-0499のような線維芽細胞成長因子21(FGF-21)アゴニスト。
- GR-MD-02、TD-139、ANG-4021、ガレクチン-3C、LJPC-201、TFD-100、GR-MD-03、GR-MD-04、GM-MD-01、GM-CT-01、GM-CT-02、Gal-100、及びGal-200のようなガレクチン3インヒビター。
- セマグルチド、リラグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、リキシセナチド、ロキセナチド、エフェグレナタイド(efpeglenatide)、タスポグルチド、MKC-253、DLP-205、及びORMD-0901のようなグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アナログ。
- LY-3305677、及びオキシントモジュリン長期作用型のようなグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニスト。
- CNX-023のようなGタンパク質共役受容体(GPCR)モジュレーター。
- PBI-4050、PBI-4265、PBI-4283、及びPBI-4299のようなGタンパク質共役受容体84アンタゴニスト(GPR84アンタゴニスト)、結合組織成長因子リガンドインヒビター及び遊離脂肪酸受容体1アゴニスト(FFAR1アゴニスト)。
- 成長ホルモン
- Vismodegib、TAK-441、IPI-926、Saridegib、Sonidegib/Erismodegib、BMS-833923/XL139、PF-04449913、Taladegib/LY2940680、ETS-2400、SHR-1539、及びCUR61414のようなHedgehog細胞-シグナル伝達経路インヒビター。
- A-4250、GSK-2330672、ボリキシバット、CJ-14199、及びエロビキシバットのような回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体インヒビター。
- PBI-4050、PBI-4265、PBI-4283、PBI-4299及びAIC-649のような免疫調整物質。
- MSDC-0602k、MSDC-0602、CSTI-100及びAMRIのようなインスリン抵抗性改善薬及びMCH受容体-1アンタゴニスト。
- インテグリンインヒビター;Pliant Therapeutic社のインテグリンインヒビター、Indalo Therapeutics社のインテグリンインヒビター、St Louis Universityのインテグリンインヒビター、ProAgio、及びGSK-3008348。
- JNJ-28165722;JNJ-42065426;JNJ-42152981;JNJ-42740815;JNJ-42740828、及びPF-06835919のようなケトヘキソキナーゼインヒビター。
- チペルカスト(tipelukast)(以前はMN-001)、トメルカスト(tomelukast)、スルカスト、マシルカスト(masilukast)、ザフィルルカスト、プランルカスト、モンテルカスト、ジェミルカスト、ベルルカスト、アクルカスト(aklukast)、ポビリカスト(pobilikast)、シナルカスト、及びイラルカストのようなロイコトリエン(LT)/ホスホジエステラオーゼ(PDE)/リポキシゲナーゼ(LO)インヒビター。
- Rappaport、InterMune、Pharmaxis、AB-0023、Simtuzumab、PXS-5382A、及びPXS-5338のようなリジルオキシダーゼホモログ2インヒビター。
- ソリスロマイシン、アジスロマイシン、及びエリスロマイシンのようなマクロライド。
- AB-0023、MT-1001、[18F]FB18mHSA、Xemys、テクネチウム Tc 99m tilmanocept、及びCDX-1307のようなマクロファージマンノース受容体モジュレーター。
- メチルCpG結合タンパク質2モジュレーター及びトランスグルタミナーゼインヒビターとして、これらに限定されないが、システアミン、EC Cysteamine、腸溶性システアミン酒石酸塩、システアミン酒石酸塩(腸溶性)、Bennu、システアミン酒石酸塩(腸溶性)、Raptor、システアミン酒石酸塩、DR Cysteamine、遅延放出腸溶性システアミン酒石酸塩、メルカプタミン、メルカプタミン(腸溶性)、Bennu、メルカプタミン(腸溶性)、Raptor、RP-103、RP-104、PROCYSBI、及びメルカプタミン(腸溶性)が挙げられる。
- RG-125、以前はAZD4076、RGLS-5040、RG-101、MGN-5804、及びMRG-201のようなmiRNAアンタゴニスト。
- Elastomic AbのMMP9刺激物質のようなメタロプロテイナーゼ-9(MMP9)刺激物質。
- ミトコンドリアキャリアファミリーインヒビター及びミトコンドリアリン酸キャリアタンパク質インヒビターとして、これらに限定されないが、TRO-19622、Trophos、オレソキシム(olesoxime)、RG-6083、又はRO-7090919が挙げられる。
- ミエロペルオキシダーゼインヒビターとして、これらに限定されないが、PF-06667272が挙げられる。
- ベルチリムマブ、NGM-313、IL-20を標的とするmAb、フレソリムマブ(抗TGFβ)、以前はGC1008、チモルマブ(timolumab)、以前はBTT-1023、ナマシズマブ(namacizumab)、オマリズマブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、レブリキズマブ、エプラツズマブ、フェルビズマブ、マツズマブ、モナリズマブ、レスリズマブ、フォラルマブ(NI-0401、抗CD3)、LOXL2に対するシムツズマブ(simtizumab)(GS-6624)mAb、ウステキヌマブ抗TNF抗体、及びイネビリズマブのようなモノクローナル抗体。
- 抗IL20 mAb、抗TGFβ抗体、抗CD3抗体、抗LOXL2抗体及び抗TNF抗体のようなモノクローナル抗体。
- NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン刺激物質;NS-0200のようなPDE 5インヒビター。
- LC-280126のようなNF-カッパBインヒビター。
- ナイアシン又はビタミンB3のようなニコチン酸
- ARI-3037MO、MMF、LUF 6283、Acifran、IBC 293、MK-1903、GSK256073、MK-6892、MK-0354、SLx-4090、ロミタピド、レキシブリン、アパベタロン、アシフラン、ラロピプラント、ダポリナド、アナセトラピブ、INCB-19602、ST-07-02、ロメフロキサシン、Niacin、及び制御放出/ラロピプラントのようなニコチン酸受容体(GPR109)アゴニスト。
- 非ステロイド抗炎症薬(NSAID)として、これらに限定されないが、F-351、サリチル酸エステル(アスピリン)、アセトアミノフェン、プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、ナプロキセン)、酢酸誘導体(インドメタシン、ジクロフェナク)、エノール酸誘導体(ピロキシカム、フェニルブタゾン)、アントラニル酸誘導体(メクロフェナム酸(meclofenalmic acid)、フルフェナム酸)、選択的COX-2インヒビター(セレコキシブ、パレコキシブ)、及びスルホンアニリド(ニメスリド)が挙げられる。
- MSDC-0602、及びSVP-シロリムスと同時投与されたAAV遺伝子療法のようなmTORモジュレーター。
- DUR-928、以前はDV 928のような核受容体リガンド。
- CER-209のようなP2Y13タンパク質アゴニスト
- BOT-501及びBOT-191のようなPDGFRモジュレーター。
- Pegvaliase、サプロプテリン、AAV-PAH、CDX-6114、セピアプテリン、RMN-168、ALTU-236、ETX-101、HepaStem、ロリプラム、及びアルプロスタジルのようなフェニルアラニンヒドロキシラーゼ刺激物質。
- PZ-235、及びNP-003のようなプロテアーゼ活性化受容体(PAR)-2アンタゴニスト。
- CNX-014、MB-11055、ALF-1、マンギフェリン、アンレキサノクス、GS-444217、REG-101、及びバリンのようなタンパク質キナーゼモジュレーター。
- フェノフィブレート、シプロフィブレート、ペマフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、ビニフィブレート、クリノフィブレート、クロフィブリン酸、ニコフィブレート、ピリフィブレート、プラフィブレート、ロニフィブレート、テオフィブレート、トコフィブレート、及びSR10171のようなPPARアルファアゴニスト;
- Pioglitazone、重水素化ピオグリタゾン、Rosiglitazone、エファツタゾン、ATx08-001、OMS-405、CHS-131、THR-0921、SER-150-DN、KDT-501、GED-0507-34-Levo、CLC-3001、及びALL-4のようなPPARガンマアゴニスト。
- GW501516(Endurabol又は({4-[({4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3-チアゾール-5-イル}メチル)スルファニル]-2-メチルフェノキシ}酢酸))、MBX8025(Seladelpar又は{2-メチル-4-[5-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2H-[l,2,3]トリアゾール-4-イルメチルシルファニル]-フェノキシ}-酢酸)、GW0742([4-[[[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチル-5-チアゾリル]メチル]チオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸)、L165041、HPP-593、及びNCP-1046のようなPPARデルタアゴニスト。
- Saroglitazar、Aleglitazar、Muraglitazar、Tesaglitazar、DSP-8658のようなPPARalpha/ガンマアゴニスト(グリタザールとも称される)。
- Elafibranor、及びT913659のようなPPARアルファ/デルタアゴニスト。
- 共役リノレイン酸(CLA)、T3D-959のようなPPARガンマ/デルタ。
- IVA337(Lanifibranor)、TTA(テトラデシルチオ酢酸)、Bavachinin、GW4148、GW9135、Bezafibrate、Lobeglitazone、及びCS038のようなPPARアルファ/ガンマ/デルタアゴニスト又はPPARパンアゴニスト。
- プレバイオティックファイバー、プロバイオティクス
- RifampicinのようなプレグナンX受容体。
- KD-025、TRX-101、BA-1049、LYC-53976、INS-117548、及びRKI-1447のようなRho-関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)インヒビター。
- GS-4997のようなシグナル調節キナーゼ1(ASK1)インヒビター
- LX-4212/LX-4211/ソタグリフロジン、SAR-439954、LIK-066(Licoglifozin)、LX-2761、GSK-161235、LP-925219、KGA-2727、SAR-7226、SAR-474832、SY-008、及びAVX-3030のようなナトリウム-グルコース輸送体(SGLT)1インヒビター。
- レモグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、ソタグリフロジン、イプラグリフロジン、チアナグリフロジン、カナグリフロジン、トホグリフロジン、ジャナグリフロジン(janagliflozin)、ベキサグリフロジン、ルセオグリフロジン、セルグリフロジン、HEC-44616、AST-1935、及びPLD-101のようなナトリウム-グルコース(SGLT)2インヒビター。
- アトルバスタチン又はシンバスタチンのようなスタチン。
- アラムコール、GRC-9332、ステアムコール、TSN-2998、GSK-1940029、及びXEN-801のようなステアロイルCoA不飽和酵素-1インヒビター/脂肪酸胆汁酸コンジュゲート。
- VK-2809、MGL-3196、MGL-3745、SKL-14763、ソベチローム、BCT-304、ZYT-1、MB-07811、及びエプロチロームのようなチロイド受容体β(THRβ)アゴニスト。
- VB-201としても知られているCI-201のようなToll様受容体2及び4(TLR-2)アンタゴニスト。
- ナルトレキソン、JKB-121、M-62812、レサトルビド、デンドロフィリン(dendrophilin)、CS-4771、AyuV-1、AyuV-25、NI-0101、EDA-HPVE7、及びエリトランのようなToll様受容体4(TLR-4)アンタゴニスト。
- GRI-0621のようなI型ナチュラルキラーT細胞インヒビター
- CNX-025、KBP-7018、ニンテダニブ、及びソラフェニブのようなチロシンキナーゼ受容体(RTK)モジュレーター。
- レシヌラド、RLBN-1001、ベリヌラド、KUX-1151、及びレシヌラド + アロプリノールのような尿酸陰イオン交換体1インヒビター及びキサンチンオキシダーゼインヒビター。
- BI-1467335、以前はPXS-4728A、CP-664511、PRX-167700、ASP-8232、RTU-1096、RTU-007、及びBTT-1023のような銅含有アミンオキシダーゼ2(AOC3)とも称される血管接着タンパク質-1(VAP-1)インヒビター。
- カルシフェロール、アルファカルシドール、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、ビタミンD2、ビタミンD3、カルシトリオール、ビタミンD4、ビタミンD5、ジヒドロタキステロール、カルシポトリオール、タカルシトール1,24-ジヒドロキシビタミンD3、及びパリカルシトールのようなビタミンD受容体(VDR)アゴニスト。
- ビタミンE及びアイソフォーム、ビタミンC及びアトルバスタチンと組み合わせたビタミンE。
【0215】
他の抗NASH剤として、KB-GE-001及びNGM-386及びNGM-395及びNC-10及びTCM-606Fが挙げられる。更に、抗NASH剤として、イコサブテート、NC-101、NAIA-101コレセベラム、及びPRC-4016が挙げられる。他の抗線維症剤(anti-fibrotic agent)として、HEC-585、INV-240、RNAi治療薬(Silence Therapeutics社)及びSAMiRNAプログラム(Bioneer Corp社)が挙げられる。
【0216】
他の例示的抗線維症剤として、ピルフェニドン又は受容体チロシンキナーゼインヒビター(RTKI)、例えば、ニンテダニブ、ソラフェニブ、及び他のRTKI、又はアンギオテンシンII(AT1)受容体ブロッカー、又はCTGFインヒビター、又はMMP2、MMP9、THBS1若しくは細胞表面インテグリン等の潜在TGFβ複合体の活性化剤を含むTGFβ及びBMP-活性化経路に干渉しやすい任意の抗線維化化合物、TGFβ受容体I型(TGFBRI)若しくはII型(TGFBRII)、及びこれらのリガンド、例えば、TGFβ、アクチビン、インヒビン、ノーダル、抗ミュラーホルモン、GDF若しくはBMP、補助共受容体(III型受容体としても知られている)、又は調節性若しくは阻害性のSMADタンパク質を含むSMAD依存性古典的経路の成分、又はMAPKシグナル伝達、TAK1、Rho様GTPaseシグナル伝達経路、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ/AKT経路、TGFβ誘導性EMTプロセス、又はHhリガンド若しくは標的遺伝子を含む古典的及び非古典的なヘッジホッグシグナル伝達経路の様々なブランチを含むSMAD非依存性若しくは非古典的な経路のメンバー、又はTGFβに影響を与えやすいWNT、若しくはノッチの経路の任意のメンバーが挙げられる。
【0217】
特定の実施形態では、NASH又は肝線維症の処置は、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]-プロパ-2-エン-1-オン、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルオキシフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン、1-[4-トリフルオロメチルオキシフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン、2-[2,6-ジメチル-4-[3-[4-(メチルチオ)フェニル]-3-オキソ-プロピル]フェノキシ]-2-メチルプロパン酸、及び2-[2,6-ジメチル-4-[3-[4-(メチルチオ)フェニル]-3-オキソ-プロピル]フェノキシ]-2-メチル-プロパン酸イソプロピルエステル、又は薬学的に許容されるその塩からなる群において選択される式(I)の化合物を投与する工程を含む。本発明の更なる特定の実施形態では、式(I)の化合物は、1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン又は薬学的に許容されるその塩である。
【0218】
特に、本発明は、それを必要としている対象の、NAFLD、NASH、活動性NASH、及び/又は肝線維症を処置する方法における使用のための少なくとも抗NAFLD、及び/又は抗NASH、及び/又は抗線維化剤を含む組合せ製品であって、対象が、本発明による方法のおかげで、前記処置の受容者として分類されている、組合せ製品に関する。
【0219】
更に特定の実施形態では、本発明は、抗NAFLD、抗NASH及び/若しくは抗線維症の化合物、又は薬学的に許容されるその塩の群から選択される少なくとも1つの薬剤を含む組合せ製品を用いる、NAFLD、NASH、活動性NASH、及び/又は肝線維症の処置に関する。
【0220】
更に特定の実施形態では、本発明は、Elafibranorを用いるNAFLD、NASH、活動性NASH、及び/又は肝線維症の処置に関する。
【0221】
更なる実施形態では、NASH又は肝線維症の処置は、ビタミンE又はピオグリタゾン、オベチコール酸、エラフィブラノール、セロンセルチブ、サログリタザール及び/又はセニクリビロクを投与する工程を含む。
【0222】
遺伝子発現のモジュレーションにおけるマイクロRNAの役割を考慮すると、本発明者らによって得られた結果はまた、NAFLD、NASH及び/又は肝線維症の発生及び進展におけるmiR-193の病態生理学的役割を支持する。
【0223】
よって、本発明の方法を使用して、miR-193の循環レベルに基づいて、NAFLD、NASH及び/又は肝線維症を有する対象の特異的亜集団を同定することができる。これらの亜集団は、これらの患者を、miR-193依存性経路に直接的に(miR-193模倣体又は抗miR-193)又は間接的に作用する特異的薬物に応答性にするmiR-193依存性疾患を有する場合がある。
【0224】
更に、この観察から、更なる態様では、本発明は、それを必要としている対象の、NAFLD、NASH又は肝線維症の処置における使用のためのmiR-193インヒビター化合物に関する。
【0225】
本明細書で使用する場合、用語「miR-193インヒビター化合物」及びその偏差は、miR-193及び、特に、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-3p又はhsa-miR-193b-5pの作用を妨げることができる任意の化合物、例えば、核酸化合物を指す。特定の実施形態では、本発明のmiR-193インヒビター化合物は、例えば、miR-193に結合することによって、miR-193の活性を阻害若しくは低減する、又はmiR-193の発現を阻害する化合物である。用語「miR-193の発現を阻害する」は、前記阻害する化合物による処置後に、肝臓又は肝細胞におけるmiR-193の産生が、処置前に産生された量より少ないことを意味する。当業者であれば、例えば、miRNA転写物のレベルを決定するための技法を使用して、miR-193の発現が肝臓又は肝細胞において阻害されたか否かを容易に決定することができる。
【0226】
好適なmiR-193インヒビター化合物として、二本鎖RNA(例えば、短鎖又は小分子干渉RNA又は「siRNA」)、アンタゴミア、アンチセンス核酸、及びリボザイム等の酵素RNA分子が挙げられる。これらの化合物のそれぞれは、所与のmiRNAに対して標的化され、標的miRNAを破壊する又はその破壊を誘導する場合がある。例えば、所与のmiRNAの発現は、miRNAの、miRNAの少なくとも一部、又は好ましくはその全体と少なくとも90%、例えば、95%、98%、99%又は100%の配列相同性を有する単離された二本鎖RNA(「dsRNA」)分子とのRNA干渉を誘導することによって阻害され得る。好ましい実施形態では、dsRNA分子は、siRNAである。本発明の方法において有用なsiRNAは、約17ヌクレオチドから約29ヌクレオチド長、好ましくは約19から約25ヌクレオチド長の短い二本鎖RNAを含む。siRNAは、センスRNA鎖及び標準的Watson-Crickの塩基対合相互作用(以下、「塩基対合」)によって一緒にアニールされた相補的アンチセンスRNA鎖を含む。センス鎖は、標的miRNA内に含有された核酸配列と実質的に同一である核酸配列を含む。
【0227】
キット
更なる態様によれば、本発明は、
(i)体液サンプル中のmiR-193、及び任意選択で
(ii)少なくとも1つの他の循環性肝障害マーカー
のレベルを決定するための手段を含むキットに関する。
【0228】
別の態様によれば、本発明はまた、
(i)体液サンプル中のmiR-193、及び任意選択で
(ii)少なくとも1つの他のNAFLD、NASH、又は肝線維症マーカー
のレベルを決定するための手段を含むキットに関する。
【0229】
本発明のキットは、上記の方法を実行するのに有用である。本発明のキットは、前記方法を実行するための機器を任意選択で更に含む。キットは、miR-193及び上記で提供される任意の他の循環性肝障害マーカーのレベルの測定を行うのに適切な試薬及び緩衝液を含んでもよい。特に、キットは、定量されるタンパク質に特異的な抗体、及び/又は有用なプライマーを含んでもよい。更に特定の実施形態では、キットは、当技術分野で周知のマイクロRNAレベルを定量するために、プライマー及び/又はプローブを含んでもよい。
【0230】
キットは、miR-193並びに任意の他のNAFLD及び/又はNASHマーカーのレベルの測定を行うのに適切な試薬及び緩衝液を含んでもよい。
【0231】
本発明はまた、
- hsa-miR-193(特に、hsa-miR-193b、より具体的にはmiR-193b-3p)からなる群において選択される少なくとも1つのマーカー;並びに
- TIMP-1;
- YKL-40;
- 血小板数;及び
- メタボリック症候群スコア
から選択される群において選択される少なくとも1つの他の、特に、すべてのマーカー
のレベルを決定するための手段を含むキットに関する。
【0232】
本発明はまた、
- hsa-miR-193(特に、hsa-miR-193b、より具体的にはmiR-193b-3p)からなる群において選択される少なくとも1つのマーカー;並びに
- YKL-40;
- TIMP-1;
- HbA1c
- ヒアルロン酸、及び
- 血小板数
から選択される群において選択される少なくとも1つの他の、特に、すべてのマーカー
のレベルを決定するための手段を含むキットに関する。
【0233】
本発明はまた、
- hsa-miR-193(特に、hsa-miR-193b、より具体的にはmiR-193b-3p)からなる群において選択される少なくとも1つのマーカー;並びに
- YKL-40;
- TIMP-1;
- HbA1c
- ヒアルロン酸;及び
- 血小板数
から選択される群において選択される少なくとも1つの他の、特に、すべてのマーカー
のレベルを決定するための手段を含むキットに関する。
【0234】
好ましい実施形態では、キットは、miR-193b-3pのレベルを決定するための手段を含む。
【0235】
本発明のキットは、上記の方法を実行するのに有用であり、前記方法を実行するための機器を任意選択で更に含んでもよい。キットは、上記で同定されたマーカーのレベルの測定を行うのに適切な試薬及び緩衝液を含んでもよい。特に、キットは、定量されるタンパク質に特異的な抗体、及び/又は当技術分野で周知のマイクロRNAレベルを定量するのに有用なプライマーを含んでもよい。
【0236】
上記記載及びそれに続く実施例は、本発明を例証することを意図し、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本発明の範囲内の他の態様、利点及び修正は、本発明が関係する技術分野の当業者に明らかであろう。
【実施例0237】
材料及び方法
A.臨床サンプル
臨床試験(NASHの第2相GOLDEN-505試験(GFT505-212-7 - NCT01694849)は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有する患者における脂肪性肝炎に関する、1日1回のElafibranor(1-[4-メチルチオフェニル]-3-[3,5-ジメチル-4-カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ-2-エン-1-オン)の有効性及び安全性を評価するための、他施設、無作為化、二重盲検、プラセボ制御試験である。他の病因の肝疾患を適切に排除した後、NASHの診断を確認するために肝生検を実施した。無作為化前の6カ月以内に、肝生検によって評価された脂肪性肝炎としてNASHを診断した。脂肪性肝炎の確認は、肝生検の中央評価に基づいた。NASH患者を、脂肪過多症スコア≧1及び肝細胞風船様腫大スコア≧1及び小葉内炎症スコア≧1を含むNAS≧3を用いて定義した。
【0238】
この研究は、各参加施設における適切な規制機関によって承認され、すべての患者は、医学的研究への参加に関して所与の同意を有した。
【0239】
このバイオマーカー研究において使用した血液サンプルは、組み入れ時のGOLDEN-DIAG研究(270個のサンプル)及び1年後(223個のサンプル)の患者から採取した。
【0240】
本発明者らはまた、肝生検を用いる対象由来のヒト血液サンプル及びUZA BiobankのOBESEコホート由来の関連する臨床及び生物学的データにアクセスした。病的な肥満患者から構成されるこのコホートはまた、NAFLD/非NASH患者、NASH患者、肝硬変の患者及び健康な対照を含む。253名の患者の血清を、それぞれ、次世代シーケンシング(NGS)技術及びRT-qPCRを用いるGOLDEN-DIAG研究において同定した候補循環miRNAについて検証するために処理した。
【0241】
GOLDENコホートとOBESEコホートの両方では、追加のサンプルの回収、保存及び使用に対する、書面のインフォームドコンセントを、すべての患者から得た。
【0242】
本発明者らはまた、肝生検を用いる対象由来のヒト血液サンプル及びRESOLVE-IT研究由来の関連する臨床及び生物学的データにアクセスした。RESOLVE-ITは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び線維症を有する患者におけるElafibranorの有効性及び安全性を評価するための、他施設、無作為化、二重盲検、プラセボ制御第III相研究(NCT02704403)である。この研究は、適切な規制機関によって承認され、すべての患者は、参加に関して所与のインフォームドコンセントを有した。組織学的病変の検査及びスコア化のために、組み入れ時の肝生検を使用した。血液サンプルは、スクリーニングにおいて採集した。専用のインフォームドコンセントにサインした患者において、NASHの新規診断用バイオマーカーの調査のために、追加の血液サンプルを回収した。
【0243】
263の対応する肝生検に関するスクリーニングにおいて、RESOLVE-IT研究の370名の患者の血清を、HTG Edgeシーケンス解析による循環miRNAの同定のために処理した。
【0244】
263の対応する肝生検に関するスクリーニングにおいて、RESOLVE-IT研究の370名の患者の血清を、HTG Edgeシーケンス解析及びRTqPCR解析において同定した候補循環miRNAの検証のために処理した。
【0245】
EFS(Etablissement Francais du Sang)由来の100名の対象の血清を、HTG Edgeシーケンス解析及びRT-qPCR解析を用いる健康体の候補循環miRNAレベルの評価のために処理した。
【0246】
血清サンプルを、NGS及びqPCR解析のために使用した。
【0247】
血液のサンプリング及び実験室試験
血液サンプルを、中央検査室のプロトコール及びManual- Genfit - GFT505-212-7に従って回収した。
【0248】
研究プロトコールに従って、以下の解析を実施した。
【0249】
血液学は、ヘモグロビン、ヘマトクリット、RBC数、白血球、白血球百分率(好中球、リンパ球、好酸球、単球、好塩基球 -abs.及び%値)、血小板数及び網状赤血球を含む。
【0250】
生化学パネルIは、血漿グルコース、トリグリセリド(TG)、クレアチニン、クレアチニンクリアランス、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、アルカリホスファターゼ、甲状腺刺激ホルモン(TSH)及びHbA1cを含む。
【0251】
生化学パネルIIは、血漿グルコース、クレアチニン、クレアチニンクリアランス、総タンパク質、アルブミン、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、尿酸、血液尿窒素(BUN)として発現された尿素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、総ビリルビン、ビリルビン共役C-反応性タンパク質(hsCRP)、AST/ALT比及びHbA1cを含む。
【0252】
検尿は、
- 尿試験紙解析(比重、pH、RBC、白血球、グルコース、タンパク質、ケトン、ビリルビン、ウロビリノーゲン及び亜硝酸塩)
- 顕微鏡解析は、RBC、WBC、キャスト、結晶、細菌、上皮細胞及び酵母を含む。
- 化学解析(アルブミン及びクレアチニン)
【0253】
血清学は、HIV ab I/ II、HCV ab、HCV RNA(HCV RNA Visitサンプルの受容時及びHCV Abに対して「反応性の」又は「不確定の」結果の場合にのみ試験される)及びHbsAgを含む。
【0254】
脂質パネルは、トリグリセリド(TG)、総コレステロール、非HDL-C(計算値)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、低密度リポタンパク質(LDL-C)(計算値)、計算した超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL-C)(計算値)、アポリポタンパク質 AI(ApoAI)及びアポリポタンパク質B(ApoB)を含む。
【0255】
尿化学は、アルファ-1-ミクログロブリン、ベータ-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ベータ-NAG)及び好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(N-Gal)を含む。
【0256】
安全性マーカーは、ホモシステイン、NT-ProBNP、Troponin T。Cystatin C、及びベータ2-ミクログロブリンを含む。
【0257】
血糖パラメーター及び他の脂質パラメーターは、レプチン、インスリン、恒常性モデル評価(HOMA-IR)、血清グルコース(HOMA-IRの計算用)、フルクトサミン、C-ペプチド及び遊離脂肪酸(FFA)を含む。
【0258】
炎症性マーカーは、ハプトグロビン、フィブリノーゲン、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン6(IL-6)及びプラスミノーゲン活性化インヒビター1(PAI-1)Ag(シトレート)を含む。
【0259】
肝臓マーカーは、サイトケラチン-18(CK18)(M65 & M30)、アジノペクチン、フェリチン、アルファ2マクログロブリン、FGF19 & FGF21、ヒアルロン酸(Advia centaur、Siemens Belgium社より入手され、パススルーのGenfit社に請求した)、III型コラーゲンのN末端プロペプチド(PIIINP)(Advia centaur、Siemens Belgium社より入手)及びマトリックスメタロプロテアーゼ-1(TIMP-1)(Advia centaur、Siemens社より入手)を含む。
【0260】
各生化学アッセイに関する方法、機器及び製造業者のリストをこの表において報告する:
【0261】
【表4】
【0262】
サンプルの回収及び保存
このバイオマーカー研究において使用された血液サンプルは、処置期間の前の505.212.7研究の患者から採取した。追加サンプルの回収、保存及び使用に関する書面のインフォームドコンセントをすべての患者から得た。
【0263】
シトレート含有チューブ中に回収した血液2.7mLを、1,500×gで15分間の遠心分離による15分の回収において血液細胞から無細胞血漿を分離することによって処理した。上清の血漿を新しいチューブに移した。チューブを-70℃に保った。RNA抽出に進むために、次いで、血漿チューブを13,000×gで2分間遠心分離して、血小板をペレット化させて除去した。上清の血小板を含まない血漿を新しいチューブに移し、液体窒素中で凍結させ、-80℃で保存した。
【0264】
血清分離チューブ(SST)中に回収した血液8.5mLを、1,300×gから2,000×gの間で10分間の遠心分離によって血液細胞から無細胞血清を分離することによって、サンプリングの1時間後に処理した。次いで、血清を新しいチューブに移した。チューブを-70℃に保った。更に遠心分離を行うことなく、RNA抽出を実施した。
【0265】
B.次世代シーケンシング
血清サンプルに含有されるmiRNAをシーケンシングするために、HTG Edgeシーケンシングシステムを使用した。
【0266】
HTG全トランスクリプトームmiRNA(WTA)キットを使用した。ライブラリー調製及びシーケンシングを、製造業者の推奨に従って実施した。各サンプルに対して、サンプル当たり平均931.000リードが生じた。データを製造業者の推奨に関して正規化し、リード数を調整して、異なるサンプル間の直接的比較を可能とした。
【0267】
Limma、R/Bioconductorソフトウェアパッケージ、HTG Edgeシーケンシング解析のための差分電力解析。
【0268】
C.血清中のmiRNAの定量的RTqPCR
保存miRNAを含む血清中総RNAを、miRVanaParis抽出キット(AM1556、Ambion社)により、製造業者の説明書に従って、100μLの血清から抽出した。合成スパイクイン線虫(C. elegans)miR-39を、RNA抽出プロセスの内部対照として、RNA抽出の前にサンプル[3,125fmol](MSY0000010、Qiagen社)に添加した。溶出を、100μLの溶出緩衝液中で実施した。
【0269】
成熟miRNAの発現を、Taqman miRNA qRT-PCRアッセイ:TaqMan MicroRNA逆転写キット(Ref: 4366596、Applied Biosystems社、Carlsbad、CA)、TaqMan MicroRNAアッセイ20X(Ref: 4440887、Applied Biosystems社)及びTaqMan Universal Master Mix II(Ref: 4440040、Applied Biosystems社)を使用して、製造業者の説明書に従って、検出した。
【0270】
GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700サーマルサイクラー(Ref: 200005、Applied Biosystems社)を使用して、逆転写を実施した。逆転写は、4つのmiRNA特異的リバースプライマーを用いてマルチプレックスした。
【0271】
定量的RCRを、CFX96(商標)Real-Time System(C1000 TouchTM Thermal Cycler、BioRad社)を使用して実施した。
【0272】
目的のmiRNAの配列及びTaq Manアッセイの識別名を以下の表に報告する:
【0273】
【表5】
【0274】
合成hsa-miRNAs(Integrated DNA Technologies社)を3.125fmol/mLに稀釈し、5μLを、血清サンプルから抽出したRNAと同時に逆転写に使用した。生成物を連続的に稀釈し、すべてのサンプル(標準物質及び血清由来RNA)に関してPCRを実施した。標準曲線を実施及び使用し、Cqデータを(コピー数)/μLに変換した。Cq DeterminationモードはRegressionであった。Quantitationは、血清フォーマットの(コピー数)/μLで表した。
【0275】
供給業者は、すべての合成hsa-miRNAに対してIDT社である。
【0276】
D.統計解析
目的及び定義
これらの解析の目的は、処置されるべきNASH患者の同定に関連し得るバイオマーカーを発見することであった。処置されるべき患者(TBT)は、研究の様々な部分によって様々に定義される。
【0277】
第1の分類により、TBTを以下のように定義する:
- 脂肪過多症スコア≧1
- 肝細胞風船様腫大スコア≧1
- 小葉内炎症スコア≧1
- NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア及び小葉内炎症スコアの合計として定義する)
- 線維化段階≧2(例えば、2、3又は4、特に2又は3に等しい線維化段階)。
【0278】
第2の分類により、TBTを以下のように定義する:
- 脂肪過多症スコア≧1
- 肝細胞風船様腫大スコア≧1
- 小葉内炎症スコア≧1
- NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア及び小葉内炎症スコアの合計として定義する)
- 線維化段階≧1(例えば、1、2、3又は4に等しい線維化段階)。
【0279】
第3の分類により、TBTを以下のように定義する:
- 脂肪過多症スコア≧1
- 肝細胞風船様腫大スコア≧1
- 小葉内炎症スコア≧1
- NAS(NAFLD活動性スコア)≧4(NASは、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア及び小葉内炎症スコアの合計として定義する)
- 線維化段階= 1b、1c、2、3又は4。
【0280】
他の患者は、処置されるべきではない(NTBT)と記載した。解析のために、TBT患者を、応答変数1、NTBTを0と類別した。上記に示したように、説明変数は、人口統計学(年齢、性別、人種)、領域(研究施設、国、大陸)又は医学的(糖尿病)記録の限り、血液(血液学、生化学、凝固、肝臓マーカー、循環miRNA)サンプル中又は尿(尿試験紙、沈降物)サンプル中で測定される広範なバイオマーカーを包含した。
【0281】
ブートストラップモデル
ブートストラップモデリングプロセスでは、説明変数(バイオマーカー)に関連する応答変数(TBT/NTBT患者を定義する)のロジスティック一般化線形モデルを、全体的データセットからすべての患者に関して算定する。後退的変数選択がなされ、最適なアルゴリズムがAICを使用して選択される。次いで、この最適なアルゴリズム由来の変数係数の有意性は、1000個のブートストラップサンプルを使用して、このアルゴリズムを実行することによって試験される。95%信頼区間(ゼロを除外する)を示す係数を有意とみなす。次いで、ROC、AUC、最適閾値、総精度、感度、特異度、陽性適中度及び陰性適中度を計算することによって、このアルゴリズムを検証する。
【0282】
結果
最初に、2083のmiRNA種の循環レベルを、その循環レベルが、TBT2患者(TBT2の定義=NAS≧4及びF≧2、並びに脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア及び肝細胞風船様腫大スコアの少なくとも1ポイント)とNTBT2対象(NTBT2対象は、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコア、NAS及び/又は線維化段階において、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT2と異なる)とを識別することができるmiRNAの不偏選択のためのEdgeシーケンシング次世代シーケンシングにより、GOLDEN-DIAG及びOBESE由来の517個の血清サンプルにおいて同時に測定した。TBT2患者は、肝硬変、HCC、肝不全、肝移植及び肝臓死のような重大な肝臓転帰への進展のリスクの増加に関して処置されるべきである。
【0283】
この解析から、本発明者らは、組み入れ時のGOLDEN-DIAG及びOBESEコホートにおいてNTBT2患者と比較して、TBT2患者の血清サンプル中で共通して過剰発現したmir193を同定した。
【0284】
table 1(表6)に示すように、注目すべき且つ驚くべきことに、GOLDEN-DIAGコホートとOBESEコホートの両方において、hsa-miR193a-5p、hsa-miR193a-3p及びhsa-miR193b-3pに関するリード・パー・ミリオンの数は、NTBT2患者におけるよりもTBT2患者において有意に高かった。
【0285】
例えば、それぞれ、hsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193a-5p及びhsa-miR-193b-3pに対してNTBT2患者では16、439及び392RPM(リード・パー・ミリオン)が得られたのに対して、TBT2患者では778、592及び632RPMが得られた。
【0286】
本発明者らはまた、肝生検及び第3の独立したデータセットとして、GOLDEN試験の1年の処置期間の終わりに回収した血清サンプルを回収し、hsa-miR193a-5p、及びhsa-miR193b-3pに関するリード・パー・ミリオン数がNTBT2患者よりもTBT2患者において有意に高いことをもう一度確認した。hsa-miR-193b-5pはまた、NTBT2患者におけるよりも、TBT2患者において有意に高かった。
【0287】
これらの結果を、TBT2患者とNTBT2患者の間の得率下OBESEコホートにおいて確認した。
【0288】
更に、独立した臨床コホート、RESOLVE-ITにおいて回収した生検及び血清サンプルを、HTG Edgeシーケンシング解析によっても処理した。hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193b-5p及びhsa-miR-193b-3pの上方調節を、この追加のデータセット及び臨床コホートにおいて検証した。
【0289】
試験したhsa-miR-193候補物のすべて、すなわち、hsa-miR-193a-5p、hsa-miR-193a-3p、hsa-miR-193b-5p、及びhsa-miR-193b-3pを、健康な対象由来の血清におけるよりも、最小限の組織学的病変を有するNAFLD患者(NTBT2)NAFLD患者において上方調節した(Table 1(表6))。
【0290】
【表6A】
【0291】
【表6B】
【0292】
次いで、確認のために、hsa-mir193a-5p、hsa-miR193b-3p及びhsa-miR-193b-5pのレベルを、体液中のオリゴヌクレオチドの定量のためのゴールドスタンダード方法であるRT-qPCRを使用し、特異的Taq Man miRNAアッセイを使用して測定した。結果について以下のように要約することができる:
【0293】
table 2(表7)及び図2に示すように、組み入れ時の両コホートにおいて及び52週目のGOLDEN-DIAGにおいて、hsa-mir193a-5p、hsa-miR193b-3p及びhsa-miR-193b-5p血清中濃度は、NTBT2患者において、TBT2患者において有意に高かった。GOLDEN-DIAGでは、hsa-miR193b-3p血清中濃度は、健康な対象由来の血清におけるよりも、最小限の組織学的病変を有する(NTBT2)NAFLD患者において有意に高かった(図1及び図4)。
【0294】
【表7】
【0295】
- 図1、2及び3に示すように、組み入れ時の2つのコホートにおいてTBT患者とNTBT患者(TBT1対NTNT1)の第2の定義を適用する場合、分析によって、hsa-miR193b-3p(図1)、hsa-miR193b-5p(図2)及びhsa-mir193a-5p(図3)の血清中濃度が、健康な対象由来の血清におけるよりも、最小限の組織学的病変を有する(NTBT1)NAFLD患者において有意に高いことが示された(図1)。これらの解析では、TBT1は、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア及び小葉内炎症スコアにおいて少なくとも1ポイントを有するNAS≧4並びに肝生検の組織学的検査において線維化段階≧1を有する患者を指す。NTBT1対象は、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコア、NAS及び/又は線維化段階において、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT1対象と異なる。
【0296】
- 図1、2及び3に示すように、組み入れ時の2つのコホートにおいてTBT患者とNTBT患者(TBT7対NTBT7)の第3の定義を適用する場合、分析によって、hsa-miR193b-3p(図1)、hsa-miR193b-5p(図2)及びhsa-mir193a-5p(図3)の血清中濃度は、NTBT7患者におけるよりも、TBT7患者において有意に高いことが示された。GOLDEN-DIAG、hsa-miR193b-3p 血清中濃度は、健康な対象由来の血清におけるよりも、最小限の組織学的病変を有する(NTBT7)患者において有意に高かった(図1)。これらの解析では、TBT7は、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア及び小葉内炎症スコアにおいて少なくとも1ポイントを有するNAS≧4並びに肝生検の組織学的検査において線維化段階≧1を有する患者を指す。NTBT1対象は、脂肪過多症スコア、肝細胞風船様腫大スコア、小葉内炎症スコア、NAS及び/又は線維化段階において、グレードが少なくとも1ポイント低いという点でTBT1対象と異なる。
【0297】
- 図4、5及び6に示すように、2つのコホートにおいて、hsa-mir193b-3p(図4)、hsa-miR193a-5p(図5)及びhsa-miR-193b-5p(図6)の血清中濃度は、非NASH患者及び軽度のNASH患者(NASH<4)におけるよりも、活動性NASH(脂肪過多症、小葉内炎症及び肝細胞風船様腫大において少なくとも1ポイントを有するNAS≧4)を有する患者において有意に高かった。GOLDEN-DIAGでは、hsa-miR-193b-3pの血清中濃度は、健康な対象由来の血清におけるよりも、最小限の疾患活性(NAS<4)を有する患者において有意に高かった。
【0298】
- 図4、5及び6に示すように、2つのコホートにおいて、hsa-miR-193b-3p(図4)、hsa-miR-193a-5p(図5)及びhsa-miR-193b-5p(図6)の血清中濃度は、線維症を有さない又は最小限の線維症しか有さない(F<2)患者におけるよりも、重大な線維症を有する又はより高い線維化段階を有する(F≧2)患者において有意に高かった。GOLDEN-DIAGでは、hsa-miR-193b-3pの血清中濃度は、健康な対象由来の血清におけるよりも、線維症を有さない又は最小限の線維症しか有さない(F<2)NAFLD患者において有意に高かった。
【0299】
これらの結果を、hsa-miR-193b-3p、hsa-miR-193a-5p、及びhsa-miR-193b-5pに関するRESOLVE-IT研究において確認した(図7)。
【0300】
- miR-193種の循環レベルと組織学的スコアと線維化段階の間の強い相関を示す組み入れ時のGOLDEN-DIAG由来の血清サンプルに関して実行したRT-qPCRの更なる解析を提供する(類似する結果を、OBASE及びRESOLVE-ITのサンプルを使用して得た):
【0301】
- 図8に示すように、hsa-miR193b-3pの循環レベルは、脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、肝細胞風船様腫大スコアと正に相関した。結果として、miR193b-3pの循環レベルは、NAS及び活動性指数と有意且つ正に相関した。最終的に、組み入れ時のGOLDEN-DIAGにおいて、193b-5pの循環レベルと線維化段階の間に強い相関が存在した。
【0302】
- 図9に示すように、hsa-miR193b-5pの循環レベルは、脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、肝細胞風船様腫大スコアと正に相関した。結果として、miR193b-3pの循環レベルは、NAS及び活動性指数と有意且つ正に相関した。最終的に、組み入れ時のGOLDEN-DIAGにおいて、miR193b-5pの循環レベルと線維化段階の間に強い相関が存在した。
【0303】
- 図10に示すように、miR193a-5pの循環レベルは、脂肪過多症スコア、小葉内炎症スコア、及び肝細胞風船様腫大スコアと正に相関した。結果として、miR193b-3pの循環レベルは、NAS及び活動性指数と有意且つ正に相関した。最終的に、組み入れ時のGOLDEN-DIAGにおいて、miR193a-5pと線維化段階の間に強い相関が存在した。
【0304】
以下のtable 3(表8)に表した結果は、hsa-miR-193a-5pの循環レベルにおける変化とGOLDEN患者における52週後のNAFLD及びNASH活動性の進展との間の有意な相関を例示する。同様に、table 3(表8)に表した結果は、hsa-miR-193b-3pの循環レベルにおける変化とGOLDEN患者における52週後のNAFLD及びNASH活動性の進展との間の有意な相関を例示する。
【0305】
【表8】
【0306】
TBT2患者をNTBT2患者から識別するために、ブートストラップ手法を使用するモデリングによって、miR-193b-3pに関する4つの重要な変数を選択した(Table 4(表9))。このモデルは、miR-193b-3p、組織インヒビターメタロプロテイナーゼ1(TIMP-1)、キチナーゼ3様タンパク質1(CHI3L1)とも称されるYKL-40、血小板数及びメタボリック症候群(MS)を組み合わせて、処置されるべきNASH患者又はリスクのあるNASH患者を診断する。
【0307】
処置されるべきリスクのある患者は、以下の肝生検に由来するグレードに対応する:脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS(NAFLD活動性スコア)≧4及び線維化段階≧2(例えば、2、3又は4、特に2又は3に等しい線維化段階)
【0308】
【表9】
【0309】
スコアをロジスティック関数として定義する:
【0310】
【数4】
【0311】
式中
Y1=k+a*A+b*B+c*C+d*D+f*Fであり、
式中
S1は、NASHスコアであり、
Aは、log10(コピー数)/μLで表されるhsa-miR-193b-3pのレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Cは、pg/mlで表されるYKL-40のレベルであり、
Dは、109個/Lで表される血小板数であり、
Fは、メタボリック症候群スコアであり、
kは、-8.39から-2.67の間に含まれる数である。
【0312】
以前に記載したリスクのある患者に対応し、いくつかの変数を組み合わせるブートストラップモデルに関するAUCスコアは、個々の変数に対して得られるAUCスコアより優れている。よって、本発明によるロジスティック関数を介するいくつかの変数の組合せは、変数単独の研究よりも優れており、より正確である(Table 5(表10)及び図11)。
【0313】
【表10】
【0314】
最適なモデルを、1000個のブートストラップサンプルのAUCを計算することによって検証する。AUCは、0.80のものであった(95% CI:0.73~0.86)。最適なモデルのAUCを使用して、患者をTBT又はNTBTと予測するために、3つの閾値を定義した:
【0315】
1. 1-特異度=0%及び感度=100%に関するポイントに最も近い閾値は、0.3993に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:72.62%
感度:81.25%
特異度:64.77%
PPV:67.71%
NPV(陰性適中度):79.17%
【0316】
2. 90%の感度を与える閾値は、0.3050に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:70.24%
感度:90.00%
特異度:52.27%
PPV(陽性適中度):63.16%
NPV(陰性適中度):85.19%
【0317】
3. 90%より優れた特異度を与える閾値は、0.6518に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:70.24%
感度:47.50%
特異度:90.91%
PPV(陽性適中度):82.61%
NPV(陰性適中度):65.57%
【0318】
TBT2患者をNTBT2患者から識別するために、log10((コピー数)/μL)のmiRNAレベルと生化学データを用いるブートストラップ手法を使用する第2のモデリングによって、miR-193b-3pに関する6つの重要な変数を選択した(Table 6(表11))。このモデルは、miR-193b-3p、キチナーゼ3様タンパク質1(CHI3L1)とも称されるYKL-40、組織インヒビターメタロプロテイナーゼ1(TIMP-1)、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、ヒアルロン酸(HYUA2)、及び血小板数を組み合わせて、処置されるべきNASH患者又はリスクのあるNASH患者を診断する。
【0319】
処置されるべきリスクのある患者は、以下の肝生検に由来するグレードに対応する:脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS(NAFLD活動性スコア)≧4及び線維化段階≧2(例えば、2、3又は4、特に2又は3に等しい線維化段階)
【0320】
【表11】
【0321】
スコアをロジスティック関数として定義する:
【0322】
【数5】
【0323】
式中
Y2=I+a2*A+c2*C+b2*B+e*E+g*G+d2*Dであり
式中
S2は、NASHスコアであり、
Aは、log10(コピー数)/μLで表されるhsa-miR-193b-3pのレベルであり、
Cは、pg/mLで表されるYKL-40のレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Eは、ng/mLで表されるHYUA2のレベルであり、
Gは、%で表されるHbA1cのレベルであり、
Dは、血小板数であり、109個/Lで表される血小板数であり、
Iは、-10.92から-3.89の間に含まれる数である。
【0324】
最適なモデルを、1000個のブートストラップサンプルのAUCを計算することによって検証する。AUCは、0.80のものであった(95% CI:0.74~0.86)。最適なモデルのAUCを使用して、患者をTBT又はNTBTと予測するために、最適な閾値を定義した:
【0325】
1. 1-特異度=0%及び感度=100%に関するポイントに最も近い閾値は、0.4216に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:74.31%
感度:73.68%
特異度:74.80%
PPV:69.31%
NPV :78.63%
【0326】
2. 90%より優れた感度を与える閾値は、0.2461に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:66.51%
感度:90.53%
特異度:45.97%
PPV :57.33%
NPV :86.76%
【0327】
3. 90%より優れた特異度を与える閾値は、0.6252に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:72.02%
感度:48.42%
特異度:90.24%
PPV :79.31%
NPV :69.38%
【0328】
TBT2患者をNTBT2患者から識別するために、Cqで表されるmiRNAレベルと生化学データを用いるブートストラップ手法を使用する第3のモデリングによって、miR-193b-3pに関する同一の6つの重要な変数を選択した(Table 6(表11))。このモデルは、miR-193b-3p、キチナーゼ3様タンパク質1(CHI3L1)とも称されるYKL-40、組織インヒビターメタロプロテイナーゼ1(TIMP-1)、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、ヒアルロン酸(HYUA2)、及び血小板数を組み合わせて、処置されるべきNASH患者又はリスクのあるNASH患者を診断する。
【0329】
処置されるべきリスクのある患者は、以下の肝生検に由来するグレードに対応する:脂肪過多症スコア≧1、肝細胞風船様腫大スコア≧1、小葉内炎症スコア≧1、NAS(NAFLD活動性スコア)≧4及び線維化段階≧2(例えば、2、3又は4、特に2又は3に等しい線維化段階)
【0330】
【表12】
【0331】
スコアをロジスティック関数として定義する:
【0332】
【数6】
【0333】
式中
Y3=m+a3*A'+c3*C+b3*B+e2*E+g2*G+d3*Dであり、
式中
S3は、NASHスコアであり、
Aは、log10(コピー数)/μLで表されるhsa-miR-193b-3pのレベルであり、
Cは、pg/mlで表されるYKL-40のレベルであり、
Bは、ng/mLで表されるTIMP-1のレベルであり、
Eは、ng/mLで表されるHYUA2のレベルであり、
Gは、%で表されるHbA1cのレベルであり、
Dは、血小板数であり
mは、-1.27から17.54の間に含まれる数である。
【0334】
最適なモデルを、1000個のブートストラップサンプルのAUCを計算することによって検証する。AUCは、0.80のものであった(95% CI:0.74~0.86)。最適なモデルのAUCを使用して、患者をTBT又はNTBTと予測するために、最適な閾値を定義した:
【0335】
1. 1-特異度=0%及び感度=100%に関するポイントに最も近い閾値は、0.3741に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:73.39%
感度:78.95%
特異度:69.11%
PPV:66.37%
NPV :80.95%
【0336】
2. 90%より優れた感度を与える閾値は、0.2270に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:63.76%
感度:90.53%
特異度:43.09%
PPV :55.13%
NPV :85.48%
【0337】
3. 90%より優れた特異度を与える閾値は、0.6364に等しい。対応する分割表により以下の指数を得た:
総精度:71.56%
感度:47.37%
特異度:90.24%
PPV :78.95%
NPV :68.94%
【0338】
図12及び13に示すように、独立したコホート、RESOLVE-ITにおけるアルゴリズムY2(hsa-miR-193b-3p(log10 cpul)、YKL-40又はCHI3L1、TIMP-1、ヒアルロン酸、HbA1c及び血小板数)及びY3(hsa-miR-193b-3p(Cq)、YKL-40又はCHI3L1、TIMP-1、ヒアルロン酸、HbA1c及び血小板数)の検証により、AUC0.81に匹敵する及び更にはそれを超える結果を得た。
【0339】
Table 7(表12)に示すように、リスクのある患者の同定は、陽性適中度によって示されるように、独立したコホートで更に改善される。
【0340】
【表13】
【0341】
結論として、
i)2つの異なる方法論(HTG Edge-Seq NGS及びRTqPCR)を使用する血清及び血漿サンプル中のmiRNAレベルの測定に基づくこれらの結果は、NAFLD(NAS≧1)、NASH(脂肪過多症スコアにおいて少なくとも1ポイント、小葉内炎症スコアにおいて少なくとも1ポイント及び肝細胞風船様腫大スコアにおいて少なくとも1ポイントを有するNAS≧3)、活動性NASH(脂肪過多症スコアにおいて少なくとも1ポイント、小葉内炎症スコアにおいて少なくとも1ポイント及び肝細胞風船様腫大スコアにおいて少なくとも1ポイントを有するNAS≧4)、重大な線維症(F≧2)、並びに/又は活動性NASH且つfibrosis(TBT1、TBT2、TBT7)を有する患者の同定のための循環診断用バイオマーカーとしてオリゴヌクレオチドに関するhsa-mir193a-5p、hsa-miR193b-3p及びhsa-193b-5p並びにより一般的には、hsa-miR193の使用を支持する。
ii)血清及び血漿サンプル中のmiRNAレベルの測定に基づくこれらの結果は、対象における組織学的病変(脂肪過多症、小葉内炎症、肝細胞風船様腫大)の非侵襲的グレーディング、NASH活動性(NAS又は活動性指数)の評価及び疾患重症度(線維化段階)の評価のための循環診断用バイオマーカーとしてのhsa-miR193種の使用を支持する。
iii)血清及び血漿サンプル中のmiRNAレベルの測定に基づくこれらの結果は、対象における組織学的病変(脂肪過多症、小葉内炎症、肝細胞風船様腫大)の非侵襲的グレーディング、NASH活動性(NAS又は活動性指数)の評価及び疾患重症度(線維化段階)の評価のための循環診断用バイオマーカーとしてのhsa-miR193種の使用を支持する。
iv)血清及び血漿サンプル中のmiRNAレベルの測定に基づくこれらの結果は、患者が抗NAFLD薬、抗NASH薬又は抗線維症薬で処置されるか又は処置されないかにかかわらず、同じ患者のNAFLD活動性、NASH活動性又は線維化段階の進展をモニタリングするための循環バイオマーカーとしてのhsa-miR193種の使用を支持する。
v)最終的に、線維症の進展のリスクに対するNASH活動性レベルに関連する、及び長期間の肝臓転帰(肝硬変、肝移植、HCC又は肝臓死)のリスクに対する線維化段階に関連する最新の技術は、肝硬変に対する線維症の進展のリスクを評価し、長期間の重大な合併症のリスクを推定するための診断用バイオマーカーとしてのhsa-miR193種の使用を支持する。
vi)以前に記載したリスクのある患者に対応し、いくつかの変数を組み合わせるブートストラップモデルに関するAUCスコアは、個々の変数に対して得られたAUCスコアよりも統計的に優れている。よって、本発明によるロジスティック関数を介するいくつかの変数の組合せは、変数単独の研究よりも優れており、より正確である。
vii)Cqで表されるhsa-miR-193b-3pに関するモデリング及びlog10(コピー数)/μLで表されるhsa-miR-193b-3pに関するモデリングにより、変数の同じ選択が得られる:YKL-40又はCHI3L1、TIMP-1、ヒアルロン酸、HbA1c及び血小板数。
viii)独立したコホートにおけるGOLDEN-DIAGとRESOLVE-ITの間のAUCの類似性並びにアルゴリズムY2及びY3の診断値の検証は、これらの複合的なバイオマーカーパネルのパワーを交差検証する。
(参照文献)
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【配列表】
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【外国語明細書】