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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118836
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230818BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230818BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
C12N5/071
C12M3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109779
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2021551272の分割
【原出願日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2019180848
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019180865
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019180866
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019180881
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019180896
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】508253111
【氏名又は名称】株式会社オーガンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂井 久
(72)【発明者】
【氏名】岸本 恭介
(72)【発明者】
【氏名】森 悠
(72)【発明者】
【氏名】辻 孝
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚一
(57)【要約】
【課題】再生毛包原基を収納し、それを観察し、品質を維持しつつ輸送することが可能な容器を提供することである。
【解決手段】上方に開口し、特定の領域20の少なくとも一部を囲む壁部12、15、18、19を内部に有する本体10と、開口を塞ぐように位置する蓋部30と、を備え、蓋部30または本体10は、透光性を有し、領域20よりも幅が狭く、領域20側に窪んだ窪み部21、34をさらに有することを特徴とする、容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口し、特定の領域の少なくとも一部を囲む壁部を内部に有する本体と、
前記開口を塞ぐように位置する蓋部と、を備え、
前記蓋部または前記本体は、透光性を有し、前記領域よりも幅が狭く、前記領域側に窪んだ窪み部をさらに有することを特徴とする、容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記窪み部は、前記領域の上方に位置する容器。
【請求項3】
請求項1に記載の容器であって、
前記窪み部は、前記容器を貫通している容器。
【請求項4】
請求項1に記載の容器であって、
前記領域の深さがその他領域よりも浅くなるように、前記窪み部が位置している容器。
【請求項5】
請求項4に記載の容器であって、
前記窪み部は、複数の外側傾斜面を有している、容器。
【請求項6】
請求項5に記載の容器であって、
前記本体の内部の前記領域の底面は、中央部に向かって深さが大きくなるように、複数の内側傾斜面を有している、容器。
【請求項7】
請求項6に記載の容器であって、
複数の前記外側傾斜面は、複数の前記内側傾斜面に沿って位置している、容器。
【請求項8】
請求項1に記載の容器であって、
前記蓋部は、前記領域に対応する位置に配され、かつ上方に開口した第2窪み部を有している、容器。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の容器であって、
ガイド糸と、前記ガイド糸の先端部に配された再生毛包原基とを収納可能であり、
前記本体の底面から上方に延びるとともに、前記ガイド糸の長手方向に交わるように配置された一対のストッパ壁部をさらに有し、
前記一対のストッパ壁部は、前記一対のストッパ壁部の間に、前記ガイド糸が配置可能なように離れている、容器。
【請求項10】
請求項9に記載の容器であって、
一対の前記ストッパ壁部の間に位置しており、前記本体の底面から上方に延びて、前記ガイド糸を支持可能な、少なくとも1つの台座部を、さらに有している、容器。
【請求項11】
請求項10に記載の容器であって、
前記蓋部は、前記蓋部の下面から下方に延びて、少なくとも1つの前記台座部と前記ストッパ壁部との間の領域に位置する凸部を有している、容器。
【請求項12】
請求項10に記載の容器であって、
前記蓋部は、前記蓋部の下面から下方に延びて、少なくとも1つの前記台座部の上面に接触している凸部を有している、容器。
【請求項13】
請求項11または12に記載の容器であって、
前記凸部の下端は、前記ストッパ壁部の上端よりも下方に位置する、容器。
【請求項14】
請求項11または12に記載の容器であって、
前記凸部の下端は、前記台座部の前記ガイド糸を支持する部分よりも上方に位置する、容器。
【請求項15】
請求項11または12に記載の容器であって、
前記台座部の上端は、前記ストッパ壁部の上端よりも下方に位置する、容器。
【請求項16】
請求項10~15の何れか1項に記載の容器であって、
前記台座部は、前記ガイド糸が配される溝を有している、容器。
【請求項17】
請求項9または10の何れか1項に記載の容器であって、
前記本体の開口を覆うとともに、前記ストッパ壁部の上面に接触している、蓋をさらに有している、容器。
【請求項18】
請求項10に記載の容器であって、
前記本体の開口を覆うとともに、前記台座部の上面に接触している、蓋をさらに有している、容器。
【請求項19】
請求項9~18の何れか1項に記載の容器であって、
一対の前記ストッパ壁部は、内側に傾斜している、容器。
【請求項20】
請求項11または12に記載の容器であって、
前記凸部の前記ガイド糸の長手方向に沿った長さは、前記台座部の前記ガイド糸に沿った長さよりも小さい、容器。
【請求項21】
請求項1~20の何れか1項に記載の容器であって、
ガイド糸と、前記ガイド糸の先端部に配された再生毛包原基とを収納可能であり、
複数の前記壁部を有し、
複数の前記壁部の一部は、前記ガイド糸を支持していることを特徴とする、容器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、何れも2019年9月30日に出願された5件の日本国特許出願2019-180848号、2019-180865号、2019-180866号、2019-180881号及び2019-180896号の優先権を主張するものであり、これらの先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は、再生毛包原基を収納可能な容器に関する。
【背景技術】
【0003】
男性型脱毛症(AGA)をはじめ、先天性脱毛、瘢痕(はんこん)、熱傷性脱毛、女性の休止期脱毛などの脱毛症の治療方法として、患者の正常な頭皮から摂取した少量の毛包器官から上皮性幹細胞と間葉性幹細胞とを分離し、これらの幹細胞からなる細胞集団を凝集させて再生毛包原基を製造し、この再生毛包原基を患者の脱毛症部位に移植するようにした治療方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このような毛包再生治療によれば、毛包器官から分離した上皮性幹細胞と間葉性幹細胞とを培養することで少量の検体から大量の再生毛包原基を製造することができるので、侵襲性を高めることなく、患者の頭皮の毛髪(毛包)の総数を増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/108069号
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態に係る容器は、上方に開口し、特定の領域の少なくとも一部を囲む壁部を内部に有する本体と、前記開口を塞ぐように位置する蓋部と、を備え、前記蓋部または前記本体は、透光性を有し、前記領域よりも幅が狭く、前記領域側に窪んだ窪み部をさらに有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1の実施形態に係る容器の、再生毛包原基を収容した状態の断面図である。
図2図1に示す容器本体部の斜視図である。
図3図1に示す容器本体部の平面図である。
図4図1に示す貫通部(溝)の断面図である。
図5】台座部の変形例を示す断面図である。
図6】台座部とストッパ壁部との高さの関係の変形例を示す断面図である。
図7図1に示す蓋部の斜視図である。
図8】押え凸部の変形例を示す断面図である。
図9】本開示の第2の実施形態に係る容器の、再生毛包原基を収容した状態の断面図である。
図10図9に示す容器本体部の斜視図である。
図11図9に示す容器本体部の平面図である。
図12】本開示の第3の実施形態に係る容器の、再生毛包原基を収容した状態の断面図である。
図13図12に示す容器本体部の斜視図である。
図14図12に示す窓壁の部分の断面図である。
図15図12に示す蓋部の斜視図である。
図16】本開示の第4の実施形態に係る容器の、再生毛包原基を収容した状態の断面図である。
図17図16に示す容器本体部の斜視図である。
図18図16に示す窓壁の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の毛包再生治療においては、製造した再生毛包原基を、患者の脱毛症部位に移植する治療現場にまで輸送するために、再生毛包原基を収納して、それを観察することができるとともに、輸送することが可能な容器の開発が求められている。
【0009】
本開示の目的は、再生毛包原基を収納し、それを観察し、輸送可能な容器を提供することにある。
【0010】
本開示の実施形態によれば、再生毛包原基を収納し、それを観察し、品質を維持しつつ輸送することが可能な容器を提供することができる。
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る容器を例示説明する。
【0012】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に係る容器1は、容器本体部10と蓋部30とを有している。容器1は、その内部に再生毛包原基2を収納し、それを観察し、輸送することができる。
【0013】
容器本体部10及び蓋部30は、例えば、それぞれ透明なポリスチレン、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂、アクリル、PFAなどの合成樹脂材料又は透明なガラス等の透明な材料で形成されたものとすることができるが、その材料は種々変更可能である。容器本体部10と蓋部30は、互いに同一の材料で形成されていてもよく、互いに異なる材料で形成されていてもよい。
【0014】
容器1に収納される再生毛包原基2は、ガイド糸3の先端部3aに配されてガイド糸3と一体化されたものである。容器1は、再生毛包原基2とともにガイド糸3を収納することができる。なお、本実施形態では、ガイド糸3は、再生毛包原基2を貫通している。
【0015】
再生毛包原基2は、複数の上皮性細胞2aを含む細胞集団と、複数の間葉性細胞2bを含む細胞集団とで構成されたものとすることができる。この場合、複数の上皮性細胞2aを含む細胞集団よりもガイド糸3の先端側(図1中で左側)に複数の間葉性細胞2bを含む細胞集団が配置されているのが好ましい。
【0016】
「上皮性細胞」とは、上皮組織から採取した細胞及び採取した細胞を培養して得られる細胞を意味し、例えば毛包由来バルジ領域の外毛根鞘の最外層から採取した細胞(バルジ領域由来の上皮性細胞)、成体又は胎児皮膚の表皮から採取した細胞、多能性幹細胞から誘導した上皮性細胞、毛包、皮膚を構成する上皮性幹細胞に分化する可能性がある上皮性前駆細胞やそれらの幹細胞などを挙げることができる。
【0017】
「間葉性細胞」とは、間葉組織から採取した細胞及び採取した細胞を培養して得られる細胞を意味し、例えば、毛乳頭由来の細胞(例えば、毛乳頭細胞)、毛母細胞、毛根鞘細胞、内毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞(最外層の細胞を除く)、成体又は胎児皮膚間葉性細胞、多能性幹細胞から誘導した毛包間葉性細胞、血液細胞を含まない骨髄細胞、骨髄由来の間葉性細胞、顎骨内部の骨髄細胞、頭部神経堤細胞に由来する間葉性細胞またはこれらの細胞に分化する可能性がある間葉性前駆細胞や幹細胞等を挙げることができる。
【0018】
「多能性幹細胞」とは、生体の様々な組織に分化する能力を有する細胞を意味し、例えば、ES細胞(Embryonic stem cells)、ntES細胞(nuclear transfer Embryonic stem cells)、EG細胞(Embryonic germ cells)、GS細胞(Germline stem cells)、iPS細胞(induced Pluripotent Stem cells)が挙げられる。
【0019】
なお、再生毛包原基2は、上記以外の他の構成のものであってもよい。また、再生毛包原基2は例えば、特許文献1に記載されている方法で作製することができる。
【0020】
ガイド糸3は、例えばナイロン等のポリマー、ステンレス等の金属、炭素繊維、ガラス繊維等の化学繊維などにより糸状(繊維状)に形成されたものである。本実施の形態では、ガイド糸3はナイロン製である。また、ガイド糸3の長さは3~10mmとすることができ、ガイド糸3の直径は0.02~1.20mmとすることができる。本実施の形態では、ガイド糸3の長さは5mm、ガイド糸3の直径は0.5mmである。
【0021】
容器1の内部には培養液4が収納されており、再生毛包原基2は培養液4に浸されている。培養液4は、再生毛包原基2を培養するために調製された液体である。培養液4としては、動物細胞の培養に用いられる基礎培地でよく、例えばダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)やAdvanced DMEM/F12培地などを挙げることができる。また、上皮性細胞又は間葉性細胞を効率的に増殖させるために血清やFGF(Fibroblast growth factor)、EGF(Epidermal growth factor)等の細胞増殖因子を添加することができる。また、細胞の機能を維持するための添加剤としてY27632、Noggin又はSAGなどを添加してもよく、PenicillinやStreptomycin等の抗生物質を必要に応じて添加してもよい。上皮性細胞又は間葉性細胞の性質によって基礎培地、血清、細胞増殖因子、添加剤を適宜変更する。
【0022】
図1図3に示すように、容器本体部10は、上方に開口した凹部11を有する箱型となっている。凹部11は、再生毛包原基2を収容することができる。本実施形態に係る凹部11は、例えば外形が矩形の底面11aと、底面11aの縁部に垂直に連なる4つの内壁面11b、11c、11d、11eで区画されている。凹部11の開口は、図3に示す平面視において、内壁面11bと内壁面11eとの間隔が内壁面11cと内壁面11dとの間隔よりも大きい長方形状となっており、例えば開口の縁11fは底面11aと平行な矩形で環状の平面となっている。なお、凹部11は、再生毛包原基2を収容することができれば、上記構成に限られない。
【0023】
なお、底面11aの面積は、10~200mmであり、内壁面11b、11c、11d、11eの高さは、3~10mmに設定されていればよい。また、凹部11の体積は、例えば30~2000mmに設定されていればよい。
【0024】
再生毛包原基2及びガイド糸3は、例えば、ガイド糸3の長手方向が底面11aに平行であるとともに内壁面11b、11eに垂直であり、且つ、ガイド糸3の再生毛包原基2が配される先端部3aが内壁面11bの側を向く姿勢で、凹部11の内部に収納される。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲においては、容器本体部10の底面11aに垂直で、底面11aから凹部11の開口に向けた方向を上方向とし、その反対を下方向とする。
【0026】
凹部11の内部には第1壁部12と第2壁部13とが設けられている。第1壁部12と第2壁部13は、それぞれ底面11aから上方に向けて延びる壁部として構成されており、凹部11の内部に再生毛包原基2とともに収納されたガイド糸3の長手方向に交わるように互いに対向して配置されている。第1壁部12の第2壁部13の側を向く面はストッパ面12aとなっており、第2壁部13の第1壁部12の側を向く面はストッパ面13aとなっている。すなわち、第1壁部12と第2壁部13は、それぞれストッパ壁部である。
【0027】
第1壁部12及び第2壁部13は、第1壁部12と第2壁部13との間(ストッパ面12aとストッパ面13aの間)にガイド糸3を配置することができるように離れて配置されている。本実施の形態では、第1壁部12と第2壁部13との間の距離(間隔)はガイド糸3の長さと再生毛包原基2の長さを足した長さ(ガイド糸3が再生毛包原基2を貫通している場合は、ガイド糸3の長さ)よりも大きくなっており、第1壁部12と第2壁部13との間に、真っ直ぐに延びたガイド糸3を、その長手方向の一端を第1壁部12に対向させるとともに他端を第2壁部13に対向させた姿勢で配置することができるようになっている。第1壁部12及び第2壁部13は、これらの間でガイド糸3の長手方向への移動を低減することができる。
【0028】
このように、容器本体部10に、凹部11の内部においてガイド糸3をその長手方向に位置決め可能な第1壁部12及び第2壁部13を設けたことにより、ガイド糸3の先端部3aに配された再生毛包原基2の凹部11の内部での移動を低減することができる。
【0029】
また、第1壁部12と第2壁部13との間の距離をガイド糸3の長さよりも大きくしてもよい。なお、第1壁部12と第2壁部13との間の距離(間隔)は3.2~11.0mmとすることができる。本実施の形態では、その距離(間隔)は7mmである。
【0030】
ストッパ面12aは、上方から下方に向けて徐々に第2壁部13に近づくように内側に傾斜してもよい。同様に、ストッパ面13aは、上方から下方に向けて徐々に第1壁部12に近づくように内側に傾斜してもよい。これにより、第1壁部12及び第2壁部13は、それぞれ上方に向けて薄くなっている。このような構成により、凹部11の内部に再生毛包原基2を収納する際に、ガイド糸3の長手方向の何れか一方の端部がストッパ面12a、13aに接したとしても、当該端部がストッパ面12a、13aにより案内されてストッパ面12a、13aに沿って移動するので、再生毛包原基2及びガイド糸3を凹部11の内部への配置を容易にすることができる。
【0031】
なお、ストッパ面12aあるいはストッパ面13aの傾斜角θ1あるいはθ2は2~50°とすることができる。本実施の形態では、その傾斜角θ1及びθ2は30°である。また、第1壁部12及び第2壁部13の高さは、例えば2~10mmに設定されていればよい。
【0032】
また、第1壁部12と第2壁部13との間の上端の距離は、ガイド糸3より大きく、第1壁部12と第2壁部13との間の下端の距離は、ガイド糸3より小さくしてもよい。この場合、例えば、第1壁部12と第2壁部13との間の上端の距離は、6~16mmに設定される。また、第1壁部12と第2壁部13との間の下端の距離は、5~15mmに設定される。
【0033】
第1壁部12と第2壁部13との間には、少なくとも一つの台座部が設けられていてもよい。本実施の形態では、第1壁部12と第2壁部13との間に2つの台座部14、15が設けられている。台座部14、15は、それぞれ凹部11の底面11aから上方に向けて延びるとともに凹部11に収納されたガイド糸3の長手方向に対して垂直な壁部として構成されている。台座部14、15は、互いにガイド糸3の長手方向に間隔を空けて離れて配置されるとともに、凹部11の内壁面11b、11c、11d,11eから離れて配置されている。また、台座部14、15の上端は、凹部11の開口の縁11fよりも下方に位置している。なお、第1壁部12と第2壁部13との間に、一つの台座部のみが設けられた構成としてもよい。また、第1壁部12と第2壁部13との間に、3つ以上の台座部が設けられた構成としてもよい。
【0034】
台座部14および台座部15は、台座部14と台座部15との距離、台座部15と第1壁部12との距離及び台座部14と第2壁部13との距離が、均一になるように配置されてもよい。または、ガイド糸3を中央でつかみ易くなるように台座部14と台座部15の距離を拡げた配置でもよい。なお、台座部14の中央と台座部15の中央との間隔(芯間距離)は1~5mmとすることができる。本実施の形態では、その間隔は2mmである。
【0035】
台座部14の上端にはガイド糸3が配される貫通部が配されていてもよい。貫通部は、台座部14をガイド糸の長手方向に貫通している。貫通部としての溝14aが設けられてもよい。溝14aは第1壁部12及び第2壁部13の一方側から他方側に向かう方向に沿うとともに底面11aと平行に延びている。台座部14は、溝14aにおいて、ガイド糸3の先端部3aとは反対側の基端側の部分を支持することができる。
【0036】
溝14aは断面がV字形状となっている。その結果、ガイド糸3を溝14aに挿入しやすく、溝14aの底部で固定しやすいという効果がある。なお、本発明において溝14aは、V字形状に限られない。また、V字形状の溝14aの各々の面に突起、凸部を設け、ガイド糸3が溝14aから抜けにくくしてもよい。
【0037】
台座部15の上端にはガイド糸3が配される貫通部が配されていてもよい。本実施形態では、台座部15の上端にはガイド糸3が配される溝15aが形成されている。溝15aは、台座部15の第1壁部12の側を向く一方面から第2壁部13の側を向く他方面に向けて貫通する貫通部として構成されている。溝15aは断面がV字形状となっており、その底部分は台座部14の溝14aの底部分と同軸に延びている。台座部15は、溝15aにおいてガイド糸3の先端部3aを支持することができる。V字形状の溝15aの各々の面に突起を設け、ガイド糸3が溝15aから抜けにくくしてもよい。
【0038】
ガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分は、それぞれ第1壁部12及び第2壁部13の上端よりも下方に位置している。これにより、溝14a、15aに配されたガイド糸3を、その長手方向の移動が第1壁部12及び第2壁部13により規制されるように、第1壁部12と第2壁部13との間に配置することができる。
【0039】
ガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分は、凹部11の底面11aから開口の縁11fまでの高さの半分の高さよりも下方に位置している。これにより、凹部11に収納した再生毛包原基2が、凹部11に収納された培養液4に効果的に浸されるようにすることができる。
【0040】
さらに、台座部14、15の底面11aからの高さは、凹部11の開口の縁11fと台座部14、15の上端との距離よりも大きくなっている。なお、台座部14、15の高さは、例えば、1.5~10mmに設定されていればよい。
【0041】
このように、容器本体部10に台座部14、15を設け、再生毛包原基2を凹部11に収納したときにガイド糸3を台座部14、15で支持する構成としたことにより、ガイド糸3の先端部3aに配された再生毛包原基2を、底面11aに対して上方に離れた位置に保持することができる。
【0042】
また、台座部14、15にガイド糸3が配される溝14a、15aを設けたことにより、台座部14、15に支持されたガイド糸3の横方向(ガイド糸3の長手方向に直交するとともに底面11aに平行な方向)への移動を規制して、ガイド糸3の先端部3aに配された再生毛包原基2の凹部11の内部での横方向への移動を低減することができる。
【0043】
さらに、2つの台座部14、15を、ガイド糸3の長手方向に離して配置するようにしたので、2つの台座部14、15の間においてガイド糸3の中間部を底面11aから浮いた状態に保持することができる。これにより、容器1を開封して凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出す際に、台座部14と台座部15との間において、ピンセット等の道具によりガイド糸3の中間部を容易に摘むようにすることができる。したがって、容器1から再生毛包原基2を取り出す作業を容易に行うことが可能となる。
【0044】
台座部14、15の溝14a、15aの底部分よりも上方側の部分は、それぞれ上方に向かって薄くなる形状となっている。より具体的には、台座部14の溝14aの底部分よりも上方側の部分は、台座部15の側を向く面及び第2壁部13の側を向く面の両方が下方から上方に向けて互いに接近するように傾斜することで上方に向かって薄くなっている。一方、台座部15の溝15aの底部分よりも上方側の部分は、台座部14の側を向く面のみが傾斜することで上方に向かって薄くなっている。
【0045】
なお、台座部14、15の溝14a、15aの底部分よりも上方側の部分の傾斜角θ3、θ4は30~88°とすることができる。本実施の形態では、それらの傾斜角θ3、θ4は45°である。
【0046】
また、台座部14の溝14aの幅は、台座部15の溝15a(貫通部)の幅よりも小さくしてもよい。その結果、溝14aで、ガイド糸を保持することができる。
【0047】
さらに、図4のように貫通部(溝)15aは、第1部25と、第1部25よりも傾斜角の大きい第2部26を有していていもよい。言い換えれば、貫通部(溝)15aは2段階の傾斜を有していてもよい。その結果、貫通部(溝)15aは、ガイド糸を保持することができるとともに、再生毛包原基2を培養液4に浸しやすくすることができる。なお、第1部25の傾斜角θ5は、例えば5~50°、第2部26の傾斜角θ6は、例えば30~88°であればよい。
【0048】
このように、台座部14、15の溝14a、15aの底部分よりも上方側の部分を、それぞれ上方に向かって薄くなる形状としたので、容器1を開封して凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出す際に、台座部14と台座部15との間にピンセット等の道具を挿入し易くして、台座部14と台座部15との間においてガイド糸3を摘む作業をさらに容易にすることができる。したがって、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業をさらに容易に行うことが可能となる。
【0049】
容器1に収納された再生毛包原基2は、台座部14と第2壁部13との間においてピンセット等の道具によりガイド糸3の先端部3aとは反対側の基端部を摘んで凹部11から取り出すこともできる。この場合においても、台座部14の第2壁部13の側を向く面と第2壁部13のストッパ面13aとを傾斜させた構成としているので、台座部14と台座部15との間にピンセット等の道具を容易に挿入することが可能となる。したがって、ピンセット等の道具によりガイド糸3の基端部を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業も容易に行うことができる。また、蓋部30の押え凸部32と押え凸部33が対向する受け台部16と受け台部17に挿入しやすくできる。
【0050】
台座部14、15のガイド糸3の長手方向の長さは、ガイド糸3の台座部14、15により支持される支持領域が、ガイド糸3の台座部14、15に支持されない非支持領域よりも小さくなるように設定されている。これにより、容器1に収納された状態において、ガイド糸3のピンセット等の道具により摘むことが可能な領域を大きくして、凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出す際に、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘む作業をより容易に行い得るようにすることができる。
【0051】
台座部14、15のガイド糸3を支持する部分の高さは、互いに同一の高さに限らず、図5に示す変形例のように、一方向に向かうにつれて段階的に高くなる構成とすることもできる。図5には、台座部14の溝14aの底部分を台座部15の溝15aの底部分よりも高くした構成を示す。この場合、台座部14、15の溝14a、15aの底部分は、互いに同軸に底面11aに対して傾斜して延びている。
【0052】
なお、台座部14、15の溝14a、15aの底部分は、互いに同軸に底面11aに対する傾斜角θ7は1~30°とすることができる。本実施の形態では、それらの傾斜角θ7は7°である。
【0053】
このような構成により、再生毛包原基2を培養液4に浸るように凹部11の内部の所定位置に収納しつつ、ガイド糸3をより凹部11の開口に近くなる配置として、容器1を開封して凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出す際に、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘む作業をより容易に行い得るようにすることができる。また、図5の変形例のように蓋部30と再生毛包原基2が平行に保持していないため、蓋部30に再生毛包原基2が貼り付かないので、蓋部30を容易に容器本体部10から取ることができる。
【0054】
図6に示す変形例のように、台座部14、15の上端が第1壁部12及び第2壁部13の上端よりも下方に位置する構成とすることもできる。これにより、再生毛包原基2を凹部11の内部に挿入する際に、ガイド糸3を予め第1壁部12及び第2壁部13により長手方向に位置決めしつつ、ガイド糸3を台座部14、15の溝14a、15aに挿入することができるので、再生毛包原基2及びガイド糸3を凹部11に収納する作業を容易にすることができる。
【0055】
図1図3図5および図6に示すように、台座部14と台座部15との間には、これらの台座部14、15に隣接して受け台部16が設けられている。また、台座部14と第2壁部13との間には、これらに隣接して受け台部17が設けられている。受け台部16、17は、それぞれ凹部11の底面11aから上方に向けて突出するとともに凹部11に収納されたガイド糸3の長手方向に対して垂直に延びる凸部として構成されている。受け台部16、17の高さは、台座部14、15のガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分よりも低くなっており、溝14a、15aに配されたガイド糸3と受け台部16、17の上面との間には所定の隙間が設けられるようになっている。
【0056】
台座部14と台座部15との間に受け台部16を設けたことにより、容器1を開封して凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出すために、台座部14と台座部15との間にピンセット等の道具を挿入してガイド糸3の中間部を摘む際に、当該道具の先端を受け台部16に当接させてガイド糸3を摘み易い位置に保持することができる。同様に、台座部14と第2壁部13との間に受け台部17を設けたことにより、台座部14と第2壁部13との間にピンセット等の道具を挿入し、当該道具でガイド糸3の基端部を摘んで凹部11から取り出す際においても、当該道具の先端を受け台部17に当接させてガイド糸3を摘み易い位置に保持することができる。したがって、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業をさらに容易に行うことが可能となる。
【0057】
受け台部16の底面11aと平行な平面方向におけるガイド糸3の長手方向に直交する方向の長さ(幅)は、受け台部17の当該長さ(幅)よりも長くなっている。より具体的には、受け台部17の長さは台座部14、15及び第2壁部13の長さと同一であるのに対して、受け台部16の長さは、台座部14、15及び第2壁部13の長さよりも長くなっている。これにより、受け台部16を見つけやすく、台座部14と台座部15との間にピンセット等の道具を挿入してガイド糸3を摘む際に、当該道具の先端を、その作業の最中に受け台部16に当接させることができる。よって、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業をさらに容易に行うことが可能となる。
【0058】
容器本体部10には、それぞれ台座部15の側部に一体に連なるとともに内壁面11c、11dから凹部11の内方に向けて突出する一対の側壁18、19が設けられている。一対の側壁18、19は、凹部11の底面11aから上方に延びるとともに凹部11に収納されたガイド糸3の長手方向に平行な壁部として構成されている。なお、一対の側壁18、19は、凹部11の内壁面11c、11dであってもよい。
【0059】
凹部11の内部には再生毛包原基2が格納される格納部20が設けられている。格納部20は、それぞれ壁部として構成された第1壁部12、台座部15及び一対の側壁18、19に取り囲まれた領域として凹部11の内部に区画形成されている。
【0060】
図1に示すように、第1壁部12、台座部15及び一対の側壁18、19の上端は、それぞれ凹部11の開口の縁11fよりも下方に位置しており、培養液4は、その液面が、第1壁部12、台座部15及び一対の側壁18、19の上端よりも上方に位置するように、容器1の内部に所定量(例えば300μL)だけ収納されている。
【0061】
容器1に収納された培養液4は、凹部11の内部の、第1壁部12、台座部15及び一対の側壁18、19の内側の格納部20に配されるとともに、凹部11の内部の当該格納部20を除いた他の領域にも配されている。
【0062】
また、凹部11の内部において、格納部20とそれ以外の他の領域は、第1壁部12、台座部15及び一対の側壁18、19の上端よりも上方側において、培養液4が流出入可能なように連続している。したがって、格納部20が、所定の量の培養液4が収納された状態となるようにして、再生毛包原基2を培養液4に浸した状態に維持することができる。
【0063】
なお、台座部15の溝15a(貫通部)は、培養液4の流出入にも寄与している。また、本実施形態では、第1壁部12と側壁18の間にも格納部20の内側から外側にかけて貫通する第2貫通部23が配されている。また、第1壁部12と側壁19の間にも格納部20の内側から外側にかけて貫通する第3貫通部24が配されている。すなわち、複数の壁部に第1貫通部(溝15a)と異なる第2貫通部23,第3貫通部24を有することによって、再生毛包原基2を培養液4に浸した状態に維持しやすくなる。なお、第1貫通部(溝15a)の幅は、第2貫通部23,第3貫通部24の幅よりも小さくてもよい。
【0064】
再生毛包原基2が格納部20に配された状態において、ガイド糸3は溝15aを介して格納部20から当該格納部20の外に延びている。また、ガイド糸3は溝14aを介してさらに外に延びている。
【0065】
このように、格納部20を区画する台座部15に設けた溝15aによりガイド糸3を支持する構成としたので、ガイド糸3の先端部3aに配された再生毛包原基2を格納部20の内部に保持することができる。これにより、格納部20に配される再生毛包原基2が側壁18、19等に接触することを低減して、再生毛包原基2の破損を低減することができる。
【0066】
また、格納部20の底面20aから台座部15の溝15aの底部分までの距離は、格納部20に配される再生毛包原基2の、ガイド糸3の長手方向に垂直な方向に沿った直径の半分(ガイド糸3の長手方向に垂直な方向へ向けた最大幅の半分)よりも大きくなっている。なお、この距離は、例えば、0.5~2mmに設定されていればよい。これにより、格納部20に配される再生毛包原基2が格納部20の底面20aに接触することを低減することができる。
【0067】
上記構成によれば、再生毛包原基2を容器1の格納部20に保持した状態で収納しつつ、格納部20に配された再生毛包原基2に培養液4の栄養が行き亘るようにすることができるので、再生毛包原基2の品質低下を低減することができる。
【0068】
図7に示すように、蓋部30は、容器本体部10の凹部11の開口の縁11fに対応した矩形板状の蓋本体31を備えている。
【0069】
図1に示すように、蓋部30が容器本体部10に固定されると、蓋本体31が凹部11の開口を覆い、容器本体部10は閉塞される。あるいは、蓋本体31は、凹部11の開口の縁11fの全周に、溶着、接着等の手段により液密に固定されることで凹部11の開口を密封してもよい。
【0070】
蓋本体31には、蓋本体31の下面から下方に延びる少なくとも一つの押え凸部が設けられてもよい。本実施の形態では、蓋本体31の下面に一対の押え凸部32、33が設けられている。押え凸部32、33は、ガイド糸3の長手方向に間隔を空けて互いに平行に配置されており、蓋部30が容器本体部10に固定されると、押え凸部32は台座部14と台座部15との間の領域に位置し、押え凸部33は台座部14と第2壁部13との間の領域に位置するようになっている。なお、蓋本体31は、一つの押え凸部のみが設けられた構成としてもよい。また、蓋本体31は、3つ以上の押え凸部が設けられた構成としてもよい。
【0071】
押え凸部32のガイド糸3の長手方向に沿った長さは受け台部16のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより、押え凸部32を台座部14と台座部15との間の領域に確実に配置することができる。同様に、押え凸部33のガイド糸3の長手方向に沿った長さは受け台部17のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより押え凸部33を台座部14と第2壁部13との間の領域に確実に配置することができる。
【0072】
また、押え凸部32のガイド糸3の長手方向に沿った長さは台座部14と台座部15との間のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより、台座部14と台座部15の間に押え凸部32を挿入しやすくすることができる。同様に、押え凸部33のガイド糸3の長手方向に沿った長さは台座部14と台座部15との間のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより、台座部14と第2壁部13の間に押え凸部33を挿入しやすくすることができる。
【0073】
押え凸部32、33の下端は、それぞれ第1壁部12及び第2壁部13の上端及び台座部14、15の上端よりも下方に位置する構成とすることができる。これにより、再生毛包原基2を凹部11の内部の格納部20に収納している状態において、ガイド糸3を、第1壁部12と第2壁部13との間に位置するように上下方向に位置決めすることができる。
【0074】
押え凸部32、33の下端は、それぞれ台座部14、15のガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分よりも上方に位置する構成とすることができる。これにより、台座部14、15の溝14a、15aに配置されたガイド糸3の、その上方側への移動を押え凸部32、33により規制して、ガイド糸3を上下方向に位置決めすることができる。
【0075】
図5に示す変形例のように、台座部14、15の溝14a、15aの底部分を一方向に向かうにつれて段階的に高くなる構成とした場合には、蓋部30の一対の押え凸部32、33を溝14a、15aの底部分に合わせて段階的に高さが低くなる構成とすることができる。これにより、図5に示す変形例の構成においても、台座部14、15の溝14a、15aに配置されたガイド糸3の、その上方側への移動を押え凸部32、33により規制して、ガイド糸3を上下方向に位置決めすることができる。また、これにより、台座部14、15の溝14a、15aに配置されたガイド糸3が傾いて配置でき、運搬中や保管中にガイド糸3付き再生毛包原基2が蓋部30に貼り付くのを抑制し、蓋部30を外した後の再生毛包原基2を取り易くすることができる。
【0076】
また、図8に示す変形例のように、押え凸部32の下面を台座部14の上面に接触させた構成とすることもできる。この場合、台座部14の上面は、底面11aに平行な平面であるのが好ましい。図8に示す変形例の構成においても、台座部14の溝14aに配置されたガイド糸3の、その上方側への移動を押え凸部32により溝14aの範囲内に規制して、ガイド糸3を溝14aの内部の範囲において上下方向に位置決めすることができる。また、複数の押え凸部32とそれに対向した台座部14を設け、接触させた構成とすることもできる。
【0077】
格納部20は、凹部11の外側から視認可能となっている。すなわち、格納部20を視認可能なように、容器本体部10などが透光性を有していればよい。本実施の形態では、容器本体部10及び蓋部30は、それぞれ全体が、透明な材質で構成されており、凹部11の外側の任意の方向から格納部20を視認可能となっている。これにより、凹部11に再生毛包原基2を収納し、蓋部30で凹部11の開口を閉塞した後に、容器1の平面35aあるいは平面22aを通して外部から再生毛包原基2を視覚又はカメラなどによって観察し、その状態を確認することができる。これにより、容器1に収納された再生毛包原基2の状態を適宜確認し、管理することが可能となる。なお、本実施形態では、容器本体部10及び蓋部30は、例えば光の透過率が70%以上の材料で形成されていればよい。
【0078】
図1図2に示すように、格納部20に収納された再生毛包原基2をより効果的に観察することができるようにするために、容器本体部10には窪み部21が設けられている。窪み部21は容器本体部10の格納部20に対応する位置に設けられており、凹部11の外側に開口して格納部20を狭くするように窪んでいる。すなわち、例えば、窪み部21は、容器本体部10の外側面に位置していてもよいし、底面に位置していてもよい。窪み部21が設けられた部分における容器本体部10の底壁は平らな窓壁22となっており、窓壁22の外側を向く平面22aは凹部11の外側底面11gよりも上方に位置している。これにより、平面22aから格納部20の底面20aまでの上下方向の距離は、凹部11の外側底面11gから格納部20の底面20aまでの上下方向の距離よりも小さくなっている。
【0079】
本実施形態では、格納部20(領域)の深さがその他領域よりも浅くなるように、窪み部21が位置している。言い換えれば、窪み部21は、容器本体部10の外側と凹部11の底面までの距離が小さくなるように、凹部11の外側の底面に位置している。すなわち、凹部11の外側に開口するように凹部11の外側底面11gから上方に向けて窪んでいる。容器本体部10の格納部20に対応する位置に窪み部21が設けられることにより、格納部20の底面20aは凹部11の底面11aよりも上方に位置し、その分、格納部20は上下方向に狭くなっている。
【0080】
上記の通り、容器本体部10の格納部20に対応する位置に窪み部21を設けたことにより、容器本体部10の外側と凹部11の格納部20の底面20aまでの距離を、窪み部21を設けない場合よりも小さくすることができる。したがって、格納部20に収納された再生毛包原基2の下方を向く部分を、平面22aの側から窓壁22を通して、より近接した位置から観察することができる。当該観察は、例えば顕微鏡等を用いて行うことができる。
【0081】
図1図7に示すように、格納部20に収納された再生毛包原基2を、窓壁22を介した下方側からの観察に加えて、蓋部30の側(上方側)からも観察することができるようにするために、蓋部30には第2窪み部34が設けられている。第2窪み部34は、蓋部30の格納部20に対応する位置に設けられており、上方に開口している。言い換えれば、第2窪み部34は、蓋本体31に対して下方に向けて凹んでいる。第2窪み部34の底部分は平らな窓壁35となっており、窓壁35の外側を向く平面35aから格納部20までの上下方向の距離は、蓋本体31の上面から格納部20までの上下方向の距離よりも小さくなっている。
【0082】
蓋部30の格納部20に対応する位置に第2窪み部34を設けたことにより、蓋部30の外側と凹部11の格納部20までの距離を、第2窪み部34を設けない場合よりも小さくすることができる。したがって、格納部20に収納された再生毛包原基2の上方を向く部分を、平面35aの側から窓壁35を通して、より近接した位置から観察することができる。当該観察も、例えば顕微鏡等を用いて行うことができる。また、再生毛包原基2を観察する際に、格納部20と窓壁35の外側の間に培養液4の上の空気層を低減することにより、再生毛包原基2をより鮮明に観察することができる。
【0083】
本実施の形態では、容器本体部10及び蓋部30を、それぞれ全体が透明なものとしたが、少なくとも容器本体部10の窓壁22及び蓋部30の窓壁35が透明であれば、その他の部分は不透明であっても透明であってもよい。
【0084】
図9は本開示の第2の実施形態に係る容器100の、再生毛包原基2を収容した状態の断面図であり、図10図9に示す容器本体部10の斜視図であり、図11図9に示す容器本体部10の平面図である。なお、図9図11においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0085】
図9に示す本開示の第2の実施形態に係る容器100は、凹部11の開口を閉塞する部材として、蓋本体31に一対の押え凸部32、33を備えた構成の蓋部30に替えて、合成樹脂材料、アルミニウム合金等により薄く柔軟なシート状に形成された蓋40を用いるようにしたものである。蓋40は、凹部11の開口の縁11fの全周に、溶着、接着等の手段により液密に固定されることで凹部11の開口を覆って密封している。
【0086】
容器100において、容器本体部10に設けられる第1壁部12及び第2壁部13の上端は凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しており、蓋40は第1壁部12及び第2壁部13の上端に接触している。なお、第1壁部12および第2壁部13のどちらか一方が接触していればよい。
【0087】
また、容器本体部10に設けられる一対の台座部14、15の上端も凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しており、蓋40は一対の台座部14、15の上端にも接触している。蓋40を一対の台座部14、15の上端に接触させた構成とすることにより、溝14a、15aの開口を蓋40により閉塞することができる。したがって、蓋40に押え凸部32、33に相当する部分を設けることなく、ガイド糸3を溝14a、15aの内部に保持することができる。
【0088】
容器100では、蓋40に押え凸部32、33に相当する部材が設けられていないので、ガイド糸3が一対の台座部14、15の溝14a、15aに沿って当該溝14a、15aの上端側にまで移動する可能性がある。これに対し、容器100では、培養液4が凹部11の内部の全体に満たされており、その液面は凹部11の開口の縁11fと同じ高さに位置している。したがって、ガイド糸3が溝14a、15aの上端側にまで移動しても、再生毛包原基2を培養液4に浸した状態に維持することができる。
【0089】
また、第1壁部12及び第2壁部13の上端は凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しているので、ガイド糸3が溝14a、15aの上端側にまで移動しても、第1壁部12及び第2壁部13により、ガイド糸3を長手方向に位置決めすることができる。
【0090】
さらに、台座部14、15の溝14a、15aは、台座部14、15の上端から下方に向けた長さが、それぞれ再生毛包原基2の、ガイド糸3の長手方向に垂直な方向に沿った半径よりも長くなるように構成することができる。これにより、ガイド糸3が溝14a、15aに支持された状態において、再生毛包原基2が蓋40に接触することを低減することができる。
【0091】
さらに、台座部14、15の溝14a、15aは、台座部14、15の上端から下方に向けた長さが、それぞれ再生毛包原基2の、ガイド糸3の長手方向に垂直な方向へ向けた最大幅の半分よりも長くなるように構成することができる。これにより、ガイド糸3が溝14a、15aに支持された状態において、再生毛包原基2が蓋40に接触することを低減することができる。
【0092】
上記構成においては、第1壁部12及び第2壁部13の上端及び一対の台座部14、15の上端を、それぞれ蓋40に溶着、接着等の手段により固定した構成とすることもできる。
【0093】
図12は本開示の第3の実施形態に係る容器200の、再生毛包原基2を収容した状態の断面図であり、図13図12に示す容器本体部10の斜視図であり、図14図12に示す窓壁22の部分の断面図であり、図15図12に示す蓋部30の斜視図である。なお、図12図15においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0094】
図12に示す本開示の第3の実施形態に係る容器200は、格納部20に収納された再生毛包原基2の下方を向く部分を、複数の方向から観察することができるようにしたものである。
【0095】
図12図14に示すように、容器200では、容器本体部10に設けられた窪み部21の窓壁22は、格納部20の下方の部分に2つの外側傾斜面22b、22cを有している。一方、凹部11の内部の格納部20の底面20aは中央部に向かって深さが大きくなるV字の溝状となっている。格納部20を区画する側壁18、19は、それぞれ底面11aに対して傾斜しており、側壁18、19の表面は、それぞれ底面20aの内側傾斜面を構成している。窪み部21の外側傾斜面22b、22cは、それぞれ側壁18、19の表面により構成される内側傾斜面に沿って位置している。これにより、図14に示すように、窓壁22は、厚みが一定の断面V字形状となっている。
【0096】
なお、格納部20を区画する側壁18、19は、それぞれ底面11aに対する傾斜角θ8は30~60°とすることができる。本実施の形態では、それらの傾斜角は45°である。
【0097】
このような構成により、格納部20に収納された再生毛包原基2の下方を向く部分を、外側傾斜面22bに垂直な方向から窓壁22を通して観察することができるとともに、外側傾斜面22cに垂直な方向からも窓壁22を通して観察することができる。これにより、2方向から再生毛包原基2を観察することができる。当該観察も、例えば顕微鏡等を用いて行うことができる。
【0098】
図15に示すように、第3の実施形態の容器200では、格納部20に収納された再生毛包原基2を2方向から観察することができるので、蓋部30として、第2窪み部34を備えていない構成のものが用いられている。しかし、第3の実施形態の容器200においても、図1、7に示すのと同様に第2窪み部34を備えている構成のものを用いることもできる。この場合、格納部20に収納された再生毛包原基2を、下方側の2方向と上方側の1方向の合計3方向から観察することができる。
【0099】
容器200では、窓壁22に2つの外側傾斜面22b、22cを設けた構成としたが、3つ以上の外側傾斜面22bを設けて、格納部20に収納された再生毛包原基2の下方を向く部分を、3方向以上から観察可能な構成とすることもできる。
【0100】
図16は本開示の第4の実施形態に係る容器300の、再生毛包原基2を収容した状態の断面図であり、図17図16に示す容器本体部10の斜視図であり、図18図16に示す窓壁22の部分の断面図である。なお、図16図18においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0101】
図16に示す本開示の第4の実施形態に係る容器300は、第3の実施形態に係る容器200において凹部11の開口を閉塞する部材として、蓋部30に替えて、図9に示す第2の実施形態に係る容器100と同様の、合成樹脂材料、アルミニウム合金等により薄く柔軟なシート状に形成された蓋40を用いるようにしたものである。蓋40は、凹部11の開口の縁11fの全周に、溶着、接着等の手段により液密に固定されることで凹部11の開口を覆って密封している。
【0102】
第4の実施形態に係る容器300においても、第3の実施形態に係る容器200と同様に、容器本体部10に設けられる第1壁部12及び第2壁部13の上端は凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しており、蓋40は第1壁部12及び第2壁部13の上端に接触している。
【0103】
また、容器本体部10に設けられる一対の台座部14、15の上端も凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しており、蓋40は一対の台座部14、15の上端に接触して溝14a、15aの開口を閉塞している。
【0104】
さらに、培養液4が凹部11の内部の全体に満たされており、その液面は凹部11の開口の縁11fと同じ高さに位置している。
【0105】
図18のように窪み部21の両端を窓壁22の端から内壁面11cおよび内壁面11dに向けて下る傾斜面を設けてもよい。これにより、第1壁部12の凹部11側と第2壁部13の凹部11側の培養液4の添加量を増やすことができる。しかし、第4の実施形態の容器300においても、図14に示すのと同様に窪み部21の両端に平面を設けている構成のものを用いることもできる。
【0106】
本開示は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0107】
例えば、容器1、100、200、300は、上方に開口した凹部11と、凹部11の底面11aから上方に延びるとともに、凹部11の内部の一部の領域を囲んだ複数の壁部12、15、18、19と、を備え、領域は、凹部11の外側から視認可能である、との構成を有していれば、その他の構成ないし部材の形状等は種々変更可能である。
【0108】
また、上記の実施形態では、貫通部が溝である場合を例に記載したが、貫通部にガイド糸3が配されない場合には、貫通部は、貫通孔であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18