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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118867
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】受信装置、及び受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20230818BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20230818BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20230818BHJP
【FI】
H04J99/00 100
H04L27/26 114
H04H20/28
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110424
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2022094884の分割
【原出願日】2018-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省、委託研究「地上テレビジョン放送の高度化技術に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】ロックラン ブルース マイケル
(57)【要約】
【課題】効率良くデータ伝送を行うことができるようにする。
【解決手段】伝送データを含む送信信号を受信するに際し、LDM(Layered Division Multiplexing)を施したパイロット信号を含む送信信号を処理し、パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる伝送データの一部を復調する処理部を備える受信装置が提供されることで、パイロット信号を用いて効率良くデータ伝送を行うことができる。本技術は、例えば、ISDB-TやATSC等の放送方式に対応した放送システムに適用することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送データを含む送信信号を受信するに際し、LDM(Layered Division Multiplexing)を施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を復調する処理部を備え、
前記LDMのコアレイヤは、前記パイロット信号を含み、
前記LDMのエンハンスレイヤは、前記伝送データの一部を含み、
前記送信信号は、FDM(Frequency Division Multiplexing)又はTDM(Time Division Multiplexing)により多重化されている放送信号を含む
受信装置。
【請求項2】
受信装置の受信方法において、
前記受信装置が、
伝送データを含む送信信号を受信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を復調し、
前記LDMのコアレイヤは、前記パイロット信号を含み、
前記LDMのエンハンスレイヤは、前記伝送データの一部を含み、
前記送信信号は、FDM又はTDMにより多重化されている放送信号を含む
受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、及び受信方法に関し、特に、効率良くデータ伝送を行うことができるようにした受信装置、及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地上デジタルテレビ放送の放送方式として、日本等が採用するISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)においては、放送信号の多重化の方式として、周波数分割多重化方式(FDM:Frequency Division Multiplexing)が採用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ARIB STD-B31 2.2版 一般社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地上デジタルテレビ放送の次世代に向けた高度化の検討が行われている。次世代の地上デジタルテレビ放送においては、FDMのほか、時分割多重化方式(TDM:Time Division Multiplexing)や階層分割多重化方式(LDM:Layered Division Multiplexing)などの多重化の方式を用いた放送システムが検討されている。一方で、各種の多重化の方式を採用した放送システムを構築するに際しては、効率良くデータ伝送を行うことが求められる。
【0005】
例えば、ISDB-T,DVB-T(Digital Video Broadcasting - Terrestrial),DVB-T2,ATSC(Advanced Television Systems Committee)3.0などの放送方式には、変動する無線チャネルを推定するために、伝送データのほかに、SP(Scattered Pilot)信号等のパイロット信号を伝送する必要がある。このパイロット信号ではデータが伝送されていないため、送信信号全体の伝送効率が落ちることになる。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、効率良くデータ伝送を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の受信装置は、伝送データを含む送信信号を受信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を復調する処理部を備える受信装置である。
【0008】
本技術の第1の側面の受信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。また、本技術の第1の側面の受信方法は、上述した本技術の第1の側面の受信装置に対応する受信方法である。
【0009】
本技術の第1の側面の受信装置、及び受信方法においては、伝送データを含む送信信号を受信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号が処理され、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部が復調される。
【0010】
本技術の第2の側面の送信装置は、伝送データを含む送信信号を送信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を変調する処理部を備える送信装置である。
【0011】
本技術の第2の側面の送信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。また、本技術の第2の側面の送信方法は、上述した本技術の第2の側面の送信装置に対応する送信方法である。
【0012】
本技術の第2の側面の送信装置、及び送信方法においては、伝送データを含む送信信号を送信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号が処理され、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部が変調される。
【発明の効果】
【0013】
本技術の第1の側面、及び第2の側面によれば、効率良くデータ伝送を行うことができる。
【0014】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本技術を適用した伝送システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図2】送信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】受信装置の構成例を示すブロック図である。
図4】次世代のISDB-Tのパイロット信号によるオーバーヘッドの例を示す図である。
図5】BPSKにおける基本的な信号空間の例を示す図である。
図6】パイロット信号にLDMを施した場合のBPSKにおける信号空間の例を示す図である。
図7】TDMを適用した場合の送信電力の例を示す図である。
図8】LDMを適用した場合の送信電力の第1の例を示す図である。
図9】LDMを適用した場合の送信電力の第2の例を示す図である。
図10】パイロット信号の配置の例を示す図である。
図11】送信側の処理と受信側の処理の流れを説明するフローチャートである。
図12】ISDB-Tに対応した物理層の処理の流れを説明するフローチャートである。
図13】ISDB-Tに対応した物理層の処理の流れを説明するための模式図である。
図14】ATSCに対応した物理層の処理の流れを説明するフローチャートである。
図15】ATSCに対応した物理層の処理の流れを説明するための模式図である。
図16】FDMを採用した場合の本技術を適用したパイロット信号の配置の例を示す図である。
図17】TDMを採用した場合の本技術を適用したパイロット信号の配置の例を示す図である。
図18】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
【0017】
1.本技術の実施の形態
2.変形例
3.コンピュータの構成
【0018】
<1.本技術の実施の形態>
【0019】
(伝送システムの構成)
図1は、本技術を適用した伝送システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、システムとは、複数の装置が論理的に集合したものをいう。
【0020】
図1において、伝送システム1は、送信装置10、及び受信装置20を含んで構成される。
【0021】
送信装置10は、例えば、テレビジョン放送の番組等の送信(伝送)を行う。
【0022】
すなわち、送信装置10は、例えば、映像データや音声データ等の番組のコンテンツを、送信の対象である伝送データとして、その伝送データに必要な送信処理を行う。送信装置10は、伝送データに送信処理を施すことで得られる送信信号(放送信号)を、例えば、地上波や、衛星回線、ケーブル(有線回線)等の伝送路を介して送信する。送信装置10が送信する送信信号(放送信号)には、番組のコンテンツ等の伝送データのほか、パイロット信号が含まれる。
【0023】
受信装置20は、送信装置10から伝送路を介して送信されてくる送信信号(放送信号)を受信し、その送信信号に含まれる伝送データに基づき、番組のコンテンツを復元して再生する。例えば、受信装置20は、映像(画像)を表示するディスプレイや、音声(音)を出力するスピーカを有するテレビ受像機として構成され、番組のコンテンツ等としての映像を表示し、音声を出力する。
【0024】
(送信装置の構成例)
図2は、図1の送信装置10の構成例を示すブロック図である。
【0025】
図2において、送信装置10は、上位層処理部101、及び物理層処理部102を含む。
【0026】
上位層処理部101には、番組のコンテンツの映像や音声等が供給される。上位層処理部101は、番組のコンテンツの映像や音声等から、上位層で規定されるフォーマットの伝送データを生成する上位層の処理を行い、物理層処理部102に供給する。
【0027】
すなわち、上位層処理部101は、例えば、上位層の処理として、コンテンツの映像や音声のエンコード等を行い、その結果得られる映像や音声等を含む伝送データを生成し、物理層処理部102に供給する。なお、伝送データには、映像や音声以外のデータ、例えば、シグナリングやアプリケーションのデータなども含めてもよい。
【0028】
物理層処理部102は、上位層処理部101から供給される伝送データに対し、物理層の処理を施し、その結果得られる送信信号を送信する。この送信信号は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号等の放送信号とされる。また、送信信号には、伝送データのほか、パイロット信号が含まれる。すなわち、伝送データは、パイロット信号を除いた各種のデータを含んでいる。
【0029】
物理層処理部102は、変調部111を含む。変調部111は、伝送データに対する変調処理を行う。この変調処理としては、例えば、伝送路符号化や、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)の演算、GI(Guard Interval)の付加などの処理が行われる。また、伝送路符号化では、例えば、誤り訂正符号化や、伝送データに従ったデータキャリアの変調としてのマッピング(伝送データのIQコンスタレーション上へのマッピング)、周波数インターリーブ、時間インターリーブ等が行われる。
【0030】
(受信装置の構成例)
図3は、図1の受信装置20の構成例を示すブロック図である。
【0031】
図3において、受信装置20は、物理層処理部201、及び上位層処理部202を含む。
【0032】
物理層処理部201は、送信装置10から送信されてくる送信信号(例えば、OFDM信号等の放送信号)を受信し、その送信信号に対し、物理層の処理を施し、その結果得られる伝送データを、上位層処理部202に供給する。
【0033】
物理層処理部201は、復調部211を含む。復調部211は、送信信号に対する復調処理を行う。この復調処理としては、例えば、直交復調やFFTの演算、伝送路復号などの処理が行われる。また、伝送路復号では、例えば、時間デインターリーブ、周波数デインターリーブ、データキャリアの復調としてのデマッピング、誤り訂正復号等が行われる。
【0034】
上位層処理部202は、物理層処理部201から供給される伝送データに対し、上位層の処理を行い、その結果得られる番組のコンテンツの映像や音声を、後段のディスプレイやスピーカに出力する。
【0035】
以上のように構成される伝送システム1では、送信装置10から送信される、所定の放送方式に準拠した送信信号(OFDM信号等の放送信号)が、受信装置20により受信される。ここで、所定の放送方式としては、例えば、ISDB-T(次世代のISDB-Tを含む)や、米国等で採用されている方式であるATSC(次世代の地上デジタルテレビ放送の方式の1つであるATSC3.0を含む)などの放送方式を含む。
【0036】
ところで、OFDM信号等の放送信号の物理層のオーバーヘッドとしては、例えば、パイロット信号やGI(Guard Interval)などが想定される。
【0037】
図4は、次世代のISDB-Tのパイロット信号によるオーバーヘッドの例を示している。
【0038】
図4においては、パイロットパターンごとに、FFTサイズが、8K,16K,32Kの場合におけるオーバーヘッドを示している。ここでは、パイロットパターンとして、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)信号,Lch信号,SP(Scattered Pilot)信号を含んでいる。
【0039】
なお、図4では、「SP」に続く数字が、パイロット信号の周波数方向の間隔周期Dxと、時間方向の間隔周期Dyを表している。例えば、「SP 3_2」は、パイロット信号の周波数方向の間隔周期Dx=3,時間方向の間隔周期Dy=2を表している。
【0040】
図4に示すように、16K,32KであるFFTサイズのSP 3_1と、8K,16K,32KであるFFTサイズのSP 3_2,SP 6_1と、8K,16K,32KであるFFTサイズのSP 3_4,SP 6_2,SP 12_1では、オーバーヘッドが8%以上となる。このように、8%以上のオーバーヘッドを持つSPパターンが多数存在しており、パイロット信号が非効率になる可能性がある。
【0041】
図5は、BPSKにおける基本的な信号空間(IQコンスタレーション)を示している。図5に示すように、BPSK(Binary Phase Shift Keying)では、180°分離された2つの位相を用いるが、それらの信号点は、実軸(横軸I)において、0°(図5のAの(1, 0))と、180°(図5のBの(-1, 0))に示される。そのため、誤った内容に復号される可能性が低く、BPSKである変調方式は、ロバストな方式であると言える。
【0042】
一方で、図6は、パイロット信号にLDMを施した場合のBPSKにおける信号空間(IQコンスタレーション)を示している。ここで、LDMでは、電力に差をつけて階層を多重化する方式であって、送信電力を分けて2層以上(以下、コアレイヤ(CL:Core Layer)とエンハンスレイヤ(EL:Enhanced Layer)の2層の場合を説明する)で信号を送るため、例えば、コアレイヤに対するエンハンスレイヤの分だけ、信号点がずれることになる。
【0043】
具体的には、図6のAでは、コアレイヤの信号ベクトルCAと、エンハンスレイヤの信号ベクトルEAとを合成した位置が信号点となるため、図5のAに示した0°の信号点と比べてずれている。同様に、図6のBでは、コアレイヤの信号ベクトルCBと、エンハンスレイヤの信号ベクトルEBとを合成した位置が信号点となるため、図5のBに示した180°の信号点と比べてずれている。
【0044】
このように、パイロット信号にLDMを施した場合、送信信号点がずれることにはなるが、適切なパラメータの条件が与えられれば、パイロット信号全体への影響を少なくする(エンハンスレイヤの信号がノイズとなるがその影響を少なくする)ことができる。このパラメータとしては、例えば、コアレイヤとエンハンスレイヤの電力の比を表すインジェクションレベルなどのインジェクションパラメータを含めることができる。
【0045】
そして、本技術では、パイロット信号にLDMを施すに際して、LDMのコアレイヤとエンハンスレイヤのうち、コアレイヤには実際のパイロット信号(既知の信号)を含めるようにし、エンハンスレイヤには伝送データ(パイロット信号を除いた各種のデータ)を含めるようにする。なお、本技術の実施の形態では、パイロット信号として、特にSP信号を代表して説明するが、CP(Continual Pilot)信号や、TMCC信号、AC(Auxiliary Channel)信号などの他のパイロット信号を用いるようにしてもよい。
【0046】
これにより、パイロット信号にLDMを施すに際し、エンハンスレイヤに、伝送データを含めることができるため、効率良くデータ伝送を行うことができる。また、コアレイヤには、実際のパイロット信号を含めているため、パイロット信号が存在する場合には復調することができる(例えば、TMCCやACにパイロット信号が存在する場合でも同様に復調することができる)。
【0047】
なお、コアレイヤのロバスト性に応じて、当該コアレイヤのチャネル推定の影響を抑制することが可能となる。また、エンハンスレイヤによるチャネル推定の影響であるが、ノイズが十分に除去されなければ、影響が大きくなる可能性はある。
【0048】
また、ここでは、説明を分かりやすくするために、変調方式として、BPSKを用いた場合を例示したが、BPSKに限らず、例えば、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying),16QAM(Quadrature Amplitude Modulation),64QAM,256QAM,1024QAM,4096QAMなどの他の変調方式に適用するようにしてもよい。
【0049】
次に、LDMの送信電力について説明する。図7は、LDMを用いた場合の送信電力との比較のために、TDMを用いた場合の送信電力を模式的に示している。図7においては、送信電力のレベルが、0~100で表されているが、図7のAは、ノイズがない場合を表す一方で、図7のBは、ノイズがある場合を表している。
【0050】
また、図8及び図9は、LDMを用いた場合の送信電力を模式的に表している。ただし、図8は、データキャリア(データシンボル)の送信電力を表す一方で、図9は、パイロット信号(例えばSP信号)の送信電力を表している。
【0051】
なお、図9に示すように、パイロット信号を含むコアレイヤは、電力レベルがブーストされている。そのため、図9において、パイロット信号の送信電力は、図8に示したデータキャリアの送信電力よりも大きくなっている。
【0052】
図8においては、インジェクションレベルを3dBとした場合に、ノイズがないときを、図8のAに表す一方で、ノイズがあるときを、図8のBに表している。また、インジェクションレベルを、6dBとした場合に、ノイズがないときを、図8のCに表す一方で、ノイズがあるときを、図8のDに表している。
【0053】
また、図9においては、パイロット信号にLDMを適用するに際し、コアレイヤとエンハンスレイヤに、実際のパイロット信号を含めた場合に、ノイズがないときを、図9のAに表す一方で、ノイズがあるときを、図9のBに表している。この場合には、コアレイヤとエンハンスレイヤに含まれるパイロット信号を用いてチャネル推定などが行われる。
【0054】
それに対し、本技術では、パイロット信号にLDMを適用するに際し、コアレイヤに、実際の(元々の)パイロット信号を含める一方で、エンハンスレイヤには、伝送データ(の一部)を含めるようにする。すなわち、LDMでは、送信電力を分けて2層以上(例えば、コアレイヤとエンハンスレイヤ)で送るが、実際のパイロット信号をコアレイヤで伝送するとともに、その上層のエンハンスレイヤを利用して伝送データ(の一部)を送るようにする。なお、ここでは、コアレイヤを、よりロバストなレイヤとすることが好ましい。
【0055】
図9においては、パイロット信号にLDMを適用するに際し、エンハンスレイヤに伝送データを含めた場合に、ノイズがないときを、図9のCに表す一方で、ノイズがあるときを、図9のDに表している。ここで、図9のDに示すように、ノイズがある場合には、パイロット信号に対し、エンハンスレイヤ(で伝送される伝送データ)を含めた信号がノイズとなるが、その影響を少なくする(パイロット信号全体への影響を少なくする)ために、適切なパラメータの条件を与える必要がある。
【0056】
例えば、インジェクションレベルが増加するとともに(例えば、図8に示したように、3dBから6dBに増加した場合に)、増加したノイズ(図9のDの「Noise」)の影響を減少させることができるので、それを考慮して、適切なパラメータを設定すればよい。なお、ここでは、インジェクションレベルとして、3dBと6dBを示したが、例えば、9dBなどが用いられるようにしてもよく、インジェクションレベルが増加するほど、スキームが良好になることが想定される(つまり、エンハンスレイヤが小さいほど、ノイズの影響は少なくなる)。
【0057】
また、上述した説明では、LDMとして、コアレイヤとエンハンスレイヤの2層の場合を説明しているが、2層以上であってもよい。さらに、上述した説明では、コアレイヤの上層が、エンハンスレイヤになるとして説明したが、エンハンスレイヤは、コアレイヤの下層であってもよい。
【0058】
なお、図10に示すように、パイロット信号は、図中の丸印で表した複数の伝送シンボルに対し、所定の間隔で配置される。図10においては、周波数方向と時間方向で表される領域に配置された複数の伝送シンボルに対し、SP3_4に応じた分布で、パイロット信号が配置されている。すなわち、図10において、パイロット信号は、周波数方向の間隔周期Dx=3,時間方向の間隔周期Dy=4に従って配置されている。そして、上述したように、これらのパイロット信号では、LDMが施され、コアレイヤに実際のパイロット信号が含められるとともに、エンハンスレイヤに伝送データ(の一部)が含められる。
【0059】
次に、図11乃至図15を参照して、送信側の送信装置10と、受信側の受信装置20で実行される処理の流れを説明する。
【0060】
(送信側の処理と受信側の処理の流れ)
まず、図11のフローチャートを参照して、送信側の処理と受信側の処理の流れを説明する。
【0061】
ステップS11において、送信装置10の上位層処理部101は、上位層の処理を行う。この上位層の処理では、番組のコンテンツの映像や音声等に基づき、伝送データが生成される。
【0062】
ステップS12において、送信装置10の物理層処理部102は、物理層の処理を行う。この物理層の処理では、伝送データを変調することで送信信号が生成され、生成された送信信号が、送信用アンテナを介して送信される。送信装置10から送信された送信信号は、受信用アンテナを介して受信装置20により受信される。
【0063】
ステップS21において、受信装置20の物理層処理部201は、物理層の処理を行う。この物理層の処理では、受信された送信信号を復調することで伝送データが生成される。なお、物理層の処理の詳細は、図12又は図14のフローチャートを参照して後述する。
【0064】
ステップS22において、受信装置20の上位層処理部202は、上位層の処理を行う。この上位層の処理では、伝送データに基づき、番組のコンテンツの映像や音声が生成され、ディスプレイやスピーカに出力される。
【0065】
(ISDB-Tに対応した物理層の処理)
次に、図12のフローチャートを参照して、図11のステップS21の処理で実行される物理層の処理の一例として、ISDB-Tに対応した物理層の処理の流れを説明する。ただし、図12の説明に際しては、適宜、図13に示した模式図を参照するものとする。
【0066】
ステップS211において、物理層処理部201は、データを復調する。
【0067】
ここでは、パイロット信号(例えばSP信号)にはLDMが適用され、コアレイヤがパイロット信号を含み、エンハンスレイヤが伝送データ(の一部)を含んでいるため、エンハンスレイヤを含めた部分がノイズ(図中の「Noise」)に相当している(図13のA)。なお、パイロット信号を含むコアレイヤは、電力レベルがブーストされている。
【0068】
ステップS212において、物理層処理部201は、パイロット信号を用いたチャネル推定と等化処理を行う。
【0069】
ただし、このパイロット信号は、ノイズ(図中の「Noise」)を含んでいる。また、ここでは、チャネル推定や等化処理が行われることで、データキャリアを含む送信信号の受信特性の劣化が改善される(図13のB)。
【0070】
ステップS213において、物理層処理部201は、コアレイヤのデータをデコードする。なお、ここでは、例えばコアレイヤをよりロバストなレイヤにすることで、ノイズを含むパイロット信号の影響を最小限に抑えるようにしている。
【0071】
ステップS214において、物理層処理部201は、ノイズを推定する。
【0072】
ここでは、例えば、OFDMフレームに含まれるTMCC信号やAC信号のパイロット信号を用いたノイズ推定を行うことができる(図13のC)。なお、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)信号は、復調処理等を行うための伝送制御情報である。また、AC(Auxiliary Channel)信号は、放送に関する付加情報を含む。
【0073】
ステップS215において、物理層処理部201は、LDMが適用されたパイロット信号(例えばSP信号)から、パイロット信号(例えば既知のSP信号)と推定ノイズを除去する。
【0074】
ここでは、図13のDに示すように、パイロット信号(SP信号)にLDMを施した場合に、コアレイヤには実際のパイロット信号(既知のSP信号)が含まれ、エンハンスレイヤには伝送データ(の一部)が含まれ、さらにノイズ(S214の処理で推定された推定ノイズに相当)が付加されている。そのため、LDMが適用されたパイロット信号(SP信号)から、既知のSP信号と推定ノイズを除去することで、エンハンスレイヤに含まれるデータ、すなわち、伝送データ(の一部)を得ることが可能となる(図13のE)。
【0075】
ステップS216において、物理層処理部201は、エンハンスレイヤの伝送データ(の一部)を復調する。
【0076】
ここでは、上述したように既知のSP信号と推定ノイズを除去することで、エンハンスレイヤに含まれる伝送データ(の一部)を得ることができるため、当該伝送データ(の一部)が復調される(図13のE)。このようにして、パイロット信号にLDMを施して伝送データを含めた場合に、当該伝送データを抽出することが可能となる。
【0077】
ステップS216の処理が終了すると、処理は、図11のステップS21の処理に戻され、それ以降の処理が実行される。
【0078】
(ATSCに対応した物理層の処理)
次に、図14のフローチャートを参照して、図11のステップS21の処理で実行される物理層の処理の一例として、ATSCに対応した物理層の処理の流れを説明する。ただし、図14の説明に際しては、適宜、図15に示した模式図を参照するものとする。
【0079】
ステップS231において、物理層処理部201は、データを復調する。ここでは、パイロット信号にはLDMが適用され、コアレイヤがパイロット信号を含み、エンハンスレイヤが伝送データ(の一部)を含んでいるため、エンハンスレイヤを含めた部分がノイズ(図中の「Noise」)に相当している(図15のA)。また、データキャリアにもLDMが適用され、コアレイヤとエンハンスレイヤが存在している(図15のA)。
【0080】
ステップS232において、物理層処理部201は、ノイズを含むパイロット信号を用いたチャネル推定と等化処理を行う。ここでは、チャネル推定や等化処理が行われることで、LDMが施されたデータキャリアを含む送信信号の受信特性の劣化が改善される(図15のB)。
【0081】
ステップS233において、物理層処理部201は、コアレイヤのデータをデコードする。なお、ここでも、例えばコアレイヤをよりロバストなレイヤにすることで、ノイズを含むパイロット信号の影響を最小限に抑えることができる。
【0082】
ステップS234において、物理層処理部201は、コアレイヤをキャンセルする。ここでは、コアレイヤと、エンハンスレイヤと、ノイズの合計を考えたときに、コアレイヤの部分をキャンセルすることで、エンハンスレイヤとノイズの部分が残ることになる(図15のC,D)。換言すれば、エンハンスレイヤを含めたノイズに相当する部分(図15のA,Bの「Noise」)が得られる。
【0083】
ステップS235において、物理層処理部201は、ノイズを推定する。ここでは、例えば、CP(Continual Pilot)信号を用いたノイズ推定を行うことができる(図15のD)。
【0084】
ステップS236において、物理層処理部201は、推定ノイズを除去する。ここでは、パイロット信号のほかに、データキャリアにもLDMが適用され、エンハンスレイヤが存在しているため、推定ノイズを除去することで、エンハンスレイヤに含まれるデータを得ることができる(図15のD,E)。
【0085】
ステップS237において、物理層処理部201は、エンハンスレイヤのデータを復調する。ここでは、LDMが適用されたデータキャリアとパイロット信号から、エンハンスレイヤのデータとして、伝送データ(の一部)がそれぞれ得られる(図15のE)。
【0086】
ステップS237の処理が終了すると、処理は、図11のステップS21の処理に戻され、それ以降の処理が実行される。
【0087】
以上、送信側の送信装置10と、受信側の受信装置20で実行される処理の流れを説明した。
【0088】
なお、上述した説明では、受信側の物理層の処理(図11のS21)として、ISDB-Tに対応した物理層の処理(図12)と、ATSCに対応した物理層の処理(図14)を説明したが、それらの物理層の処理は一例であって、放送方式に応じた物理層の処理が行われる。
【0089】
次に、放送信号の多重化の方式として、FDM又はTDMを採用した場合における、本技術を適用したパイロット信号の配置の例について説明する。
【0090】
(FDMの例)
図16は、FDMを採用した場合の本技術を適用したパイロット信号の配置の例を示す図である。
【0091】
FDMは、複数の送信信号(放送信号)を伝送する周波数帯域を分割して1つの伝送路で伝送を行うようにする多重化の方式である。例えば、現行のISDB-Tでは、放送信号の多重化の方式として、FDMが採用されている。
【0092】
図16においては、図中の左側から右側に向かう方向を周波数(Freq)の方向とし、図中の上側から下側に向かう方向を時間(Time)の方向としたときにおける、FDMを適用した場合の物理層フレームの構成を表している。FDMを適用することで、例えば、35セグメントに周波数分割する場合に、中央のA階層を9セグメントから構成し、左右のB階層を残りの26セグメント(それぞれ13セグメント)から構成することができる。
【0093】
このとき、A階層とB階層の階層ごとに異なる変調方式を適用した場合に、本技術を適用したパイロット信号を、よりロバストな変調方式が施された一方の階層にのみ含めるようにする。より具体的には、図16に示すように、A階層とB階層に適用される変調方式がそれぞれ、例えばQPSKと1024QAMである場合に、よりロバストな変調方式が施されているA階層にのみ、本技術を適用したパイロット信号が含まれるようにする。
【0094】
このように、放送信号の多重化の方式として、FDMを採用する場合に、A階層にのみ、本技術を適用したパイロット信号、すなわち、LDMが施されたパイロット信号であって、コアレイヤにパイロット信号を含み、エンハンスレイヤに伝送データ(の一部)を含むものを含めることで、チャネル推定や等化処理を行うに際しては、当該エンハンスレイヤを含めた部分がノイズに相当することになるが、その影響がA階層のみとなるようにする(B階層に影響が及ばないようにする)ことができる。
【0095】
また、A階層は、よりロバストな変調方式(例えば、QPSK)が適用された階層であるため、本技術を適用したパイロット信号を含めることで、ノイズを含むパイロット信号を用いたチャネル推定や等化処理を行うことになっても、その影響は極めて少ないものとなる(ノイズの影響を最小限に抑えることができる)。
【0096】
なお、ここでは、A階層とB階層の2階層を例に説明したが、3以上の階層であっても同様に、よりロバストな変調方式が適用されている階層に、本技術を適用したパイロット信号が含まれるようにすればよい。
【0097】
(TDMの例)
図17は、TDMを採用した場合の本技術を適用したパイロット信号の配置の例を示す図である。
【0098】
TDMは、複数の送信信号(放送信号)を時間的に配列して1つの伝送路で伝送を行うようにする多重化の方式である。例えば、次世代地上デジタルテレビ放送の放送方式の1つであるATSC3.0では、放送信号の多重化の方式として、TDMが採用されている。
【0099】
図17においては、図中の左側から右側に向かう方向を周波数(Freq)の方向とし、図中の上側から下側に向かう方向を時間(Time)の方向としたときにおける、TDMを適用した場合の物理層フレームの構成を表している。図17の例では、時間的に先行した第1の層(階層)と、当該第1の層に続く第2の層(階層)が示されている。なお、ここでは、説明の便宜上、第1の層や第2の層といった表現を用いているが、これらの層は、例えば、物理層フレームを構成するフレームやサブフレーム等と言い換えることもできる。
【0100】
このとき、第1の層と第2の層の階層(層)ごとに異なる変調方式を適用した場合に、本技術を適用したパイロット信号を、よりロバストな変調方式が施された一方の階層(層)にのみ含めるようにする。より具体的には、図17に示すように、第1の層と第2の層に適用される変調方式がそれぞれ、例えば1024QAMとQPSKである場合に、よりロバストな変調方式が施されている第2の層にのみ、本技術を適用したパイロット信号が含まれるようにする。
【0101】
このように、放送信号の多重化の方式として、TDMを採用する場合に、よりロバストな変調方式が施されている階層(層)にのみ、本技術を適用したパイロット信号、すなわち、LDMが施されたパイロット信号であって、コアレイヤにパイロット信号を含み、エンハンスレイヤに伝送データ(の一部)を含むものを含めることで、チャネル推定や等化処理を行うに際しては、当該エンハンスレイヤを含めた部分がノイズに相当することになるが、その影響が他の層に及ばないようにすることができる。また、よりロバストな変調方式(例えば、QPSK)が適用された階層(層)にのみ、本技術を適用したパイロット信号を含めることで、ノイズを含むパイロット信号を用いたチャネル推定や等化処理を行うことになっても、その影響は極めて少ないものとなる。
【0102】
以上のように、本技術によれば、送信信号(OFDM信号等の放送信号)の多重化の方式として、例えばFDMやTDMを採用する場合などにおいて、パイロット信号にLDMを適用して、コアレイヤに(実際の)パイロット信号を含める一方で、エンハンスレイヤに伝送データ(の一部)を含めることで、パイロット信号を利用して効率良くデータ伝送を行うことができる。
【0103】
なお、上述した説明では、本技術を適用したパイロット信号として、SP信号を代表して説明したが、本技術は、SP信号に限らず、例えば、CP信号、TMCC信号、AC信号などの他のパイロット信号に適用するようにしてもよい。
【0104】
ここで、本技術を適用したパイロット信号は、本技術の発明者による、詳細なるシミュレーションの結果、見出されたものである。以下のその一例として、次世代のISDB-Tを想定したシミュレーションの結果と、ATSC3.0を想定したシミュレーションの結果を示す。
【0105】
(次世代のISDB-Tを想定)

・1フレーム当たりの総セル数
最大に288 SP/segment * 35segment * 56symbols/frame = 564,480cells

・4096QAM:
- 564480 * 12 = 6773760bits = 6.7Mbps (max)
- 符号化率が12/16の場合には5.1Mbps

・1024QAM:
- 564480 * 10 = 5644800 bits = 5.6Mbps (max)
- 符号化率が12/16の場合には4.2Mbps

・256QAM:
- 564480 * 8 = 4515840bits = 4.5Mbps (max)
- 符号化率が12/16の場合には3.4Mbps
【0106】
(ATSC3.0を想定)

・Larger Data Rate for Enhanced Layer

・VV323
- CL: QPSK CR = 7/15
- EL: 256QAM CR = 10/15
- SP8_2 (every 16 carriers), GI4_768, Symbols 108
- Frame Length = 250ms

・NoC (16FFT) 13825

・Data Carriers per Symbol:12863 (non data carriers = 962)

・SP Carriers per Symbol:864

・Total SP carriers per frame:864 * 108 = 93,312cells

・Extra Data Rate = 93312 * 8bits/cell = 746,496bit = 750kbit -> 約3Mbps
符号化率が10/15の場合には、497,664 * 4 = 1.99Mbps

・Data for EL = 12863 * 108 * 8 = 11,113,632bit = 11.1Mbit -> 約44Mbps
符号化率が10/15の場合には、7,409,088 * 4 = 29.636Mbps

・伝送容量増加 = 6.7%
【0107】
<2.変形例>
【0108】
上述した説明としては、放送方式として、日本等が採用する方式であるISDB(特に、次世代のISDB-T)と、米国等で採用されている方式であるATSC(特に、ATSC3.0)を説明したが、本技術は、欧州の各国等が採用する方式であるDVB(特に、次世代のDVB-T)などの他の放送方式に適用するようにしてもよい。また、放送信号の伝送路(放送伝送路)としては、地上波放送のほか、例えば、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)や通信衛星(CS:Communications Satellite)等を利用した衛星放送や、ケーブルテレビ(CATV)等の有線放送などであってもよい。
【0109】
また、図1の伝送システム1においては、送信装置10が単独で、マルチプレクサ等の上位層処理部101と、変調部111等の物理層処理部102を有する構成を例示したが、一般的なデジタル放送のシステムでは、上位層処理部101と物理層処理部102とは異なる場所に設置されるものである。すなわち、例えば、上位層処理部101を有する第1の放送サーバ(上位層サーバ)を、放送局内に設置する一方で、物理層処理部102を有する第2の放送サーバ(物理層サーバ)を、送信所に設置することができる。換言すれば、送信装置10(又は伝送システム1)は、放送システムであって、1又は複数の放送サーバから構成されるとも言える。
【0110】
また、上述した説明では、伝送路として、地上波放送等の放送伝送路を説明したが、本技術は、放送伝送路に限らず、例えば、セルラー方式の通信(例えば、LTE-Advancedや5G等)や無線LAN(Local Area Network)等の無線通信を含む通信伝送路を伝送される通信信号(送信信号)に適用するようにしてもよい。すなわち、この場合、送信装置10(又は伝送システム1)は、通信システム(無線通信システム)であって、1又は複数の通信サーバから構成されることになる。また、この場合において、受信装置20は、例えば、スマートフォンや携帯電話機、タブレット型コンピュータ等の通信機能を有する機器とされる。
【0111】
<3.コンピュータの構成>
【0112】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。図18は、上述した一連の処理(例えば、上述した送信側の処理、又は受信側の処理)をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
【0113】
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。バス1004には、さらに、入出力インターフェース1005が接続されている。入出力インターフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記録部1008、通信部1009、及び、ドライブ1010が接続されている。
【0114】
入力部1006は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体1011を駆動する。
【0115】
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、ROM1002や記録部1008に記録されているプログラムを、入出力インターフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0116】
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0117】
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブル記録媒体1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インターフェース1005を介して、記録部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記録部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記録部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0118】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。
【0119】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0120】
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
【0121】
(1)
伝送データを含む送信信号を受信するに際し、LDM(Layered Division Multiplexing)を施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を復調する処理部を備える
受信装置。
(2)
前記LDMのコアレイヤは、前記パイロット信号を含み、
前記LDMのエンハンスレイヤは、前記伝送データの一部を含む
前記(1)に記載の受信装置。
(3)
前記送信信号は、放送信号を含む
前記(1)又は(2)に記載の受信装置。
(4)
前記放送信号は、FDM(Frequency Division Multiplexing)により多重化されている
前記(3)に記載の受信装置。
(5)
周波数方向に分割された層は、それぞれ異なる変調方式が施された第1の階層と第2の階層を含み、
前記パイロット信号は、前記第1の階層と前記第2の階層のうち、よりロバストな変調方式が施された一方の階層に含められる
前記(4)に記載の受信装置。
(6)
前記放送信号は、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)に準拠した信号である
前記(4)又は(5)に記載の受信装置。
(7)
前記放送信号は、TDM(Time Division Multiplexing)により多重化されている
前記(3)に記載の受信装置。
(8)
時間方向に分割された層は、それぞれ異なる変調方式が施された第1の階層と第2の階層を含み、
前記パイロット信号は、前記第1の階層と前記第2の階層のうち、よりロバストな変調方式が施された一方の階層に含められる
前記(7)に記載の受信装置。
(9)
前記放送信号は、ATSC(Advanced Television Systems Committee)に準拠した信号である
前記(7)又は(8)に記載の受信装置。
(10)
受信装置の受信方法において、
前記受信装置が、
伝送データを含む送信信号を受信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を復調する
受信方法。
(11)
伝送データを含む送信信号を送信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を変調する処理部を備える
送信装置。
(12)
前記LDMのコアレイヤは、前記パイロット信号を含み、
前記LDMのエンハンスレイヤは、前記伝送データの一部を含む
前記(11)に記載の送信装置。
(13)
前記送信信号は、放送信号を含む
前記(11)又は(12)に記載の送信装置。
(14)
前記放送信号は、FDMにより多重化されている
前記(13)に記載の送信装置。
(15)
周波数方向に分割された層は、それぞれ異なる変調方式が施された第1の階層と第2の階層を含み、
前記パイロット信号は、前記第1の階層と前記第2の階層のうち、よりロバストな変調方式が施された一方の階層に含められる
前記(14)に記載の送信装置。
(16)
前記放送信号は、ISDB-Tに準拠した信号である
前記(14)又は(15)に記載の送信装置。
(17)
前記放送信号は、TDMにより多重化されている
前記(13)に記載の送信装置。
(18)
時間方向に分割された層は、それぞれ異なる変調方式が施された第1の階層と第2の階層を含み、
前記パイロット信号は、前記第1の階層と前記第2の階層のうち、よりロバストな変調方式が施された一方の階層に含められる
前記(17)に記載の送信装置。
(19)
前記放送信号は、ATSCに準拠した信号である
前記(17)又は(18)に記載の送信装置。
(20)
送信装置の送信方法において、
前記送信装置が、
伝送データを含む送信信号を送信するに際し、LDMを施したパイロット信号を含む前記送信信号を処理し、前記パイロット信号を含む第1の層とは異なる第2の層に含まれる前記伝送データの一部を変調する
送信方法。
【符号の説明】
【0122】
1 伝送システム, 10 送信装置, 20 受信装置, 101 上位層処理部, 102 物理層処理部, 111 変調部, 201 物理層処理部, 202 上位層処理部, 211 復調部, 1000 コンピュータ, 1001 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18