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特開2023-118882高視覚解像度を呈する成形不織布を生産するために使用される形成ベルト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118882
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】高視覚解像度を呈する成形不織布を生産するために使用される形成ベルト
(51)【国際特許分類】
D04H 3/05 20060101AFI20230818BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20230818BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20230818BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
D04H3/05
D04H3/16
A61F13/51
A61F13/511 300
A61F13/511 500
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023110636
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2021555301の分割
【原出願日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】62/819,744
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーマン アシュラフ
(57)【要約】
【課題】形成ベルト上で形成される不織布を提供する。
【解決手段】形成ベルト上で形成される不織布が開示される。生産される不織布は、第1の表面及び第2の表面と、第1又は第2の表面のうちの一方の上の三次元特徴部の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含み得る。三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定することができる。第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有してもよく、第1の視覚的に区別可能な区域は、高視覚解像度を呈してもよい。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布であって、前記第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、前記三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
前記第1の視覚的に区別可能な区域は、ハラリック最大コントラスト試験方法に従って決定された、周期的なハラリック波応答によって定義される、視覚的に鮮明なパターンを有することを特徴とする不織布。
【請求項2】
請求項1に記載の不織布であって、前記示強的性質は、坪量であることを特徴とする不織布。
【請求項3】
請求項1に記載の不織布であって、前記示強的性質は、体積密度であることを特徴とする不織布。
【請求項4】
請求項1に記載の不織布を含む、吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品であって、前記不織布は、トップシートであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項4に記載の吸収性物品であって、前記不織布は、外側カバーであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布であって、前記第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、前記三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
前記示強的性質は、
a 厚さ
b 坪量、および、
c 体積密度、のうちの1つ以上であり、
前記第1の視覚的に区別可能な区域は、ハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定された、約80~約750のハラリック最大0°コントラスト値によって定義される、視覚的に鮮明なパターンを有することを特徴とする不織布。
【請求項8】
請求項7に記載の不織布であって、前記ハラリック最大0°コントラスト値は、約100~約600であることを特徴とする不織布。
【請求項9】
請求項7に記載の不織布であって、前記ハラリック最大0°コントラスト値は、80超であることを特徴とする不織布。
【請求項10】
請求項7に記載の不織布であって、前記示強的性質は、坪量であることを特徴とする不織布。
【請求項11】
請求項7に記載の不織布であって、前記示強的性質は、体積密度であることを特徴とする不織布。
【請求項12】
請求項7に記載の不織布を含む、吸収性物品。
【請求項13】
第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布であって、前記第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、前記三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
前記示強的性質は、
a 厚さ
b 坪量、および、
c 体積密度、のうちの1つ以上であり、
前記第1の視覚的に区別可能な区域は、ハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定された、周期的なハラリック波応答によって定義される、視覚的に鮮明なパターンを有することを特徴とする不織布。
【請求項14】
請求項13に記載の不織布であって、前記示強的性質は、坪量であることを特徴とする不織布。
【請求項15】
請求項13に記載の不織布であって、前記示強的性質は、体積密度または厚さであることを特徴とする不織布。
【請求項16】
請求項13に記載の不織布を含む、吸収性物品。
【請求項17】
請求項16に記載の吸収性物品であって、前記不織布は、トップシートであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項18】
請求項16に記載の吸収性物品であって、前記不織布は、外側カバーであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項19】
第1の表面及び第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域および第21の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布であって、前記第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、前記三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
前記第1および前記第2の視覚的に区別可能な区域は、ハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定された、約80~約750のハラリック最大0°コントラスト値によって定義される、視覚的に鮮明なパターンを有することを特徴とする不織布。
【請求項20】
請求項19に記載の不織布であって、前記ハラリック最大0°コントラスト値は、約100~約600であることを特徴とする不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高視覚解像度を呈する成形三次元不織布を生産する形成ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、吸収性パーソナルケア製品、衣類、医療用途、及びクリーニング用途をはじめとする多種多様な用途において有用である。不織布パーソナルケア製品としては、おむつなどの乳幼児用ケア物品、トレーニングパンツなどの小児用ケア物品、生理用ナプキンなどの女性用ケア物品、並びに失禁用製品、パッド、及びパンツなどの成人用ケア物品が挙げられる。不織布衣類としては、保護作業着及び手術衣などの医療用衣料が挙げられる。他の不織布の医療用途としては、不織布創傷ドレッシング材及び外科用ドレッシング材が挙げられる。不織布のクリーニング用途としては、タオル及び拭き取り用品が挙げられる。
【0003】
不織布の様々な性質によって、特定の用途に対する不織布の適性が決定され得る。したがって、不織布は、異なるニーズに合った異なる性質の組み合わせを有するように設計され得る。不織布の可変特性としては、湿潤性、配分、及び吸収性などの液体処理特性と、引張り強度及び引裂き強度などの強度特性と、柔軟性特性と、耐摩耗性などの耐久性と、が挙げられる。不織布の物理的形状/パターンもまた、不織布の機能性及び審美的魅力に影響を及ぼし得る。更に、不織布の審美性によって、製品の価値、品質、強度、柔軟性などが伝えられ得るので、不織布の審美性は、そのような不織布を含んだ商品に対する消費者の好みにおいて重要となり得る。パターン形成不織布における一般的に望ましい多くの特色を審美的に伝える1つの例示的な方法は、高視覚解像度(すなわち、視覚的に鋭いパターン)を呈するテクスチャ加工されたパターンによるものである。そのような不織布のパターンは、テクスチャコントラストによる明瞭かつ明確な線を呈するが、テクスチャコントラストによる色褪せた、不鮮明な、あるいは視覚的な識別が困難な線を呈することがないので、視覚的に鮮明なパターンは、より高品質であるという感覚を見る人にもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不織布の技術分野における従来の進歩にもかかわらず、三次元表面特徴部を備えた視覚的に区別可能な区域を有し、視覚的に区別可能な区域が高視覚解像度を呈する、改善された不織布が依然として必要とされている。
【0005】
更に、三次元表面特徴部を備えた視覚的に区別可能な区域を有し、視覚的に区別可能な区域が高視覚解像度を呈する、改善された不織布を製造するためのプロセス及び設備、特に形成ベルトが依然として必要とされている。
【0006】
更に、三次元表面特徴部を備えた視覚的に区別可能な区域を有し、視覚的に区別可能な区域が高視覚解像度を呈する、改善された不織布を利用した物品が、吸収性物品を含めて依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
不織布を生産するための形成ベルトが開示される。本不織布は、第1の表面及び第2の表面と、第1の表面又は第2の表面のうちの一方の上にある三次元特徴部の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含み得る。三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定することができる。第1の領域及び第2の領域は示強的性質の値の差を有してもよく、第1の視覚的に区別可能な区域は、高視覚解像度を呈してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図1に示される本開示の布の一部分の断面図である。
【
図5A】横並びの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図5B】偏心したシース/コアの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図5C】同心状のシース/コアの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図7】本開示の布を製造するための装置の概略図である。
【
図8】本開示の布の一部分を接着するための装置の部分詳細図である。
【
図9】本開示の布の一部分を接着するための装置の更なる部分詳細図である。
【
図10】本開示の布の一部分を必要に応じて更に接着するための装置の部分詳細図である。
【
図12】本開示に有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図13】
図12に示される形成ベルトの一部分の断面図である。
【
図14】
図12に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部分のイメージ図である。
【
図15】
図16に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部分のイメージ図である。
【
図16】本開示に有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図17】
図18に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部分のイメージ図である。
【
図18】本開示に有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図19】本開示に有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図20】
図19に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクのイメージ図である。
【
図21】
図19に示される形成ベルト上に製造された本開示の布の写真図である。
【
図23】本開示の不織布を含む不織布基材の平面図である。
【
図24】本開示の不織布を含む不織布基材の平面図である。
【
図25A】局所坪量を測定するために一部分が切り取られた本開示の布の平面図である。
【
図25B】局所坪量を測定するために一部分が切り取られた本開示の布の平面図である。
【
図26】本開示の布の坪量の横断方向の変化を示したグラフである。
【
図36】本開示の成形不織布の一例の写真図である。
【
図37】本開示の成形不織布の一例の写真図である。
【
図38】本開示の成形不織布の一例の写真図である。
【
図40】成形不織布の本開示の一例のマイクロCT斜視画像である。
【
図41】成形不織布の本開示の一例のマイクロCT斜視画像である。
【
図44】本開示の成形不織布の様々な効果のグラフによる描図である。
【
図45】成形不織布の本開示の一例の一部分の写真画像である。
【
図46】本開示の成形不織布の一例の一部分の写真画像である。
【
図47】本開示の成形不織布の一例の一部分の写真画像である。
【
図48】本開示の成形不織布の一例の一部分の写真画像である。
【
図50】本開示の成形不織布の一例の一部分の写真画像である。
【
図51】本開示の成形不織布の一例の一部分の写真画像である。
【
図52】本開示の成形不織布の一例の一部分の写真画像である。
【
図53】本開示の成形不織布の一例の一部分の写真画像である。
【
図54】更なる処理を行った後の
図40及び
図41に示される例のマイクロCT平面画像である。
【
図55】
図54に示される本開示の発明の様々な効果のグラフによる描図である。
【
図56】本開示の布を製造するための装置の概略図である。
【
図57】本開示の成形不織布の一例の写真図である。
【
図58】3つの特定された位置が物品内グレーレベル変動試験方法で利用されている、本開示の成形不織布の一例の写真図である。
【
図59】ハラリックの最大コントラスト試験方法を用いて、本開示の成形不織布の試料から生成された個々のデータ点を記入したグラフである。
【
図60】物品間グレーレベル変動試験方法を用いてグレーレベル変動を測定するために利用されている、本開示の成形不織布の6つの別個の試料の画像を含む。
【
図61】形成された不織布を生産するために使用される形成ベルトの試料から生成された個々のデータ点を記入したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、成形された形成ベルト上に連続的なスパンボンドフィラメントによって1回の形成プロセスで直接形成された成形不織布を提供するものである。本開示の布は、形成ベルトの形状に対応した形状をとることができる。本開示の方法において本開示の形成ベルト上で製造される本開示の布は、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品における使用に特に有用であり得る。成形不織布は、おむつのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は生理用ナプキンのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は成人用失禁パッド若しくはパンツのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は、床掃除器具のパッドとして使用するために流体透過性とすることができる。
【0010】
不織布の有用な特徴について、不織布の全体面積に関連して本明細書のいくつかの実施形態において説明する。全体面積は、本発明の様々な特徴が有用な特性をもたらす特定の用途に適した寸法によって決定される面積とすることができる。例えば、布の全体面積は、布を、おむつのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は生理用ナプキンのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は成人用失禁パッド若しくはパンツのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は床掃除用具のパッドとして使用するのに好適なものとするような寸法を有する布の全体面積とすることができる。このため、全体面積は、幅3cm~幅50cm、長さ10cm~長さ100cmの範囲の幅及び長さの寸法に基づいたものとすることができ、これにより全体面積は、30cm2~500cm2となる。上記の範囲には、範囲の境界間の全ての整数の寸法があたかも明確に記載されているかのように含まれる。例として、11cmの幅と16cmの長さとによって画定される176cm2の全体面積は、上記の範囲内に開示される。本明細書の説明から理解されるように、成形不織布の全体面積は、成形不織布が商業的に製造された場合に成形不織布がその一部となっている不織布材料のウェブの領域よりも小さい面積とすることができる。すなわち、所与の不織布材料の商業的に製造されたウェブに複数の本発明の成形不織布が含まれてよく、本発明の成形不織布の各々は、成形不織布が作製されたウェブの領域よりも小さい全体面積を有する。
【0011】
成形不織布10の代表的な例の写真図を、
図1~
図3に示す。成形不織布10は、第1の表面12と第2の表面14とを有するスパンボンド不織布基材とすることができる。
図1~
図3では、第2の表面14が観察者に面しており、第1の表面12の反対側であり、
図1~
図3では見えないが
図4には示されている。「表面」という用語は、説明の目的でウェブの両面のことを指して広い意味で用いられており、一切の必要な平坦度又は平滑度を示唆することを意図していない。成形不織布10は柔軟かつ可撓性であるが、
図1~
図3に示されるように、平坦な状態に対して平行であり、ウェブ製造技術においてはそれぞれ横断方向(cross-machine direction、CD)及び機械方向(machine direction、MD)の平面に対応する、1つ以上のXY平面に関連して平坦な状態で説明する。MD方向の長さL及びCD方向の幅Wにより、不織布10の全体面積Aが決まる。
図1に示される不織布10の一部分の断面である
図4に示されるように、説明の目的で成形不織布の三次元特徴部は、第1の表面16のXY平面からZ方向に外側に延在するものとして説明されている(
図4を参照)。一実施形態では、Z方向の三次元特徴部の最大寸法は、第1の表面16の平面と第2の表面18のXY平面との間の最大距離を画定することができ、この距離は不織布10の平均キャリパーACとして測定することができる。平均キャリパーは光学的な非接触的手段によって測定することができるか、又は離間された平坦なプレート間に所定の圧力下で置かれた不織布のキャリパーを測定する器具によって測定することができる。全ての三次元特徴部が同じZ方向の最大寸法を有する必要はないが、複数の三次元特徴部は、以下に述べる繊維敷設プロセス及び形成ベルトの特性によって決まる実質的に同じZ方向の最大寸法を有することができる。
【0012】
図1~
図4に示される代表的な布(及び本明細書に開示される他の布)は流体透過性である。一実施形態では、布全体を流体透過性と見なすことができる。一実施形態では、領域又は区域(以下で述べる)を流体透過性とすることができる。布に関連して本明細書で使用される流体透過性とは、布が、消費者製品の使用条件下で液体を通過させる少なくとも1つの区域を有することを意味する。例えば、布が使い捨ておむつのトップシートとして使用される場合、布は、尿、ゆるい糞便、月経液、又は任意のその他の体液を下層の吸収性コアへと通過させるような一定レベルの流体透過性を有する少なくとも1つの区域を有することができる。ある領域に関連して本明細書で使用される流体透過性とは、その領域が液体を通過させる多孔構造を呈することを意味する。
【0013】
図1~
図4に示されるように、不織布10は、
図2及び
図3に示されるように、第1の三次元特徴部20及び第2の三次元特徴部22、並びに第3の三次元特徴部24を含む、複数の個別の認識可能な程度に異なる三次元特徴部の規則的な繰り返しパターンを有することができる。例えば、
図1では、ハート形の第1の三次元特徴部20が、より小さい概ね三角形の第2の三次元特徴部22とは認識可能に異なっている。認識可能な程度の相違は、認識可能な程度に異なる大きさ及び/又は形状といった視覚的なものであってよい。
【0014】
不織布10の三次元特徴部は、対応する三次元特徴部のパターンを有する形成ベルト上に、カーディング、エアレイング、溶液紡糸、又は熔融紡糸などにより繊維を直接堆積することによって形成することができる。ある意味では、不織布10は、布10の三次元特徴部の形状を決定する形成ベルト上に成形される。しかしながら、重要な点として、本明細書で述べられるように、本発明の装置及び方法は、形成ベルトの形状をとること以外に、形成ベルト及び布を形成する装置の特質のために、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品に使用するうえで有益な特性が付与されるように、不織布10を生産する。詳細には、以下に述べるように、形成ベルト及び他の装置要素の性質のため、不織布10の三次元特徴部は、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品に使用される場合に不織布10の有益な特性を与えるように、微小区域内の第1の領域と第2の領域との間で(以下でより詳しく述べる)、又は特徴部ごとに異なり得る示強的性質を有する。例えば、第1の三次元特徴部20は、第2の三次元特徴部22の坪量又は密度とは異なる坪量又は密度を有してよく、また、どちらも第3の三次元特徴部24の坪量又は密度と異なる坪量又は密度を有してよく、これにより、おむつ又は生理用ナプキンにおける流体捕捉性、分配性及び/又は吸収性に関する有益な美的及び機能的特性を与える。
【0015】
不織布10の様々な三次元特徴部間の示強的性質の差は、以下に述べる装置及び方法から生じる繊維の分布及び圧縮によるものと考えられる。繊維の分布は、例えば水流交絡プロセス又はエンボスプロセスのような製造後プロセスと異なり、繊維敷設プロセスの間に生じる。繊維は溶融紡糸プロセスなどのプロセスの間に自由に動くことができ、その運動は形成ベルトの特徴部の性質及び空気透過性、並びに他の処理加工パラメータによって決まるため、繊維は不織布10内でより安定し、永久的に形成されるものと考えられる。
【0016】
図1~
図3に見られ、本明細書の説明から理解されるように、異なる三次元特徴部は、閉じた図形の形(
図1及び
図3のハート形、並びに
図2及び
図3の菱形など)であってよい視覚的に区別可能な領域(三次元特徴部の内部に対して)によって、その境界が画定され得る。このような閉じた図形は、
図1及び
図3のハート形などの曲線を含んだ閉じた図形とすることができる。輪郭をなす視覚的に区別可能な領域は、
図4に示される領域21のような、Z方向で第1の表面12に最も近接した不織布10の領域であり、平坦な状態にある場合に第1の平面16内、又は平面16上に少なくとも部分的に位置し得る領域とすることができる。例えば、
図1に示されるように、第1の三次元特徴部20はハート形をしており、図に示されるような例示的な1つの第1の三次元特徴部20Aは、曲線を含んだ閉じたハート形の要素により画定されている。曲線を含んだ要素とは、その長さに沿った任意の点で接線ベクトルVを有する直線状要素として理解することができ、閉じた形状は、接線ベクトルVが、閉じた図形の直線状要素の長さの50%を上回る部分にわたって値が変化するMD及びCD方向の成分の両方を有するようなものである。図形は100%完全に閉じている必要がないことは言うまでもないが、直線状要素は、閉じた図形の全体の印象を損なわない破断部を有してもよい。形成ベルトに関連して以下で考察されるように、輪郭をなす視覚的に区別可能な曲線を含んだ閉じたハート形要素は、布10上に閉じたハートの図形を形成するための形成ベルト上の対応する閉じたハート形の隆起した要素によって形成される。繰り返しパターンにおいて、個々の形状(
図1の第1の三次元特徴部の場合はハート形)は、布10の第2の表面14の全体面積OAにわたって美的に心地良い、柔らかな、枕様の特徴部をもたらすことができる。不織布10がおむつ又は生理用ナプキンのトップシートとして使用される実施形態では、不織布10の第2の表面14を身体に面する側として、優れた美的利益、並びに柔軟性、圧縮耐性、及び流体吸収性に関する性能利益を供給することができる。
【0017】
詳細には、
図1~
図3に示される閉じた三次元特徴部の規則的な繰り返しパターンでは、理論に束縛されるものではないが、様々な特徴部の寸法、全体面積にわたる布10全体の全体面積にわたる平均坪量、及び異なる示強的性質を定義する以下で述べられる他の処理加工パラメータが、圧縮回復の有益な改善に寄与するものと考えられる。複数の比較的近い間隔で離間された、比較的小さく、比較的に枕様の三次元特徴部は、圧縮に対抗し、圧縮力が除かれると回復するばねとして機能するものと考えられる。圧縮回復は、例えば、おむつ、生理用ナプキン、又は成人用失禁パッド、おむつ、若しくはパンツなどのパーソナルケア物品のトップシート、バックシートの不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層において、これらの物品が、一般的に、圧縮された状態でパッケージングされ、折り畳まれることから重要である。パーソナルケア製品の製造者にとっては、審美及び性能目的のために、製造時のキャリパーの、全てではないがほとんどを維持することが望まれる。形成された特徴部の三次元性は、柔らかそうな外見及び感触、並びに
図2に示される小さなハートのような極めて小さい形状を含むはっきりとした明瞭な形状の満足のいく外観のため、重要な美的利益をもたらすものである。このような三次元特徴部はまた、使用時の柔軟性、向上した吸収性、漏れの少なさ、及び改善された全体的使用体験を提供するものである。しかしながら、パーソナルケア物品の折り畳み、パッケージング、出荷及び保管時に必要とされる圧縮により、吸収性物品のトップシート、バックシートの不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層のキャリパーが永久的に失われ、これにより、製造時の機能的利益が損なわれ得る。本開示の不織布は、圧縮パッケージングされ、圧縮パッケージングされた状態で流通された後にも、その製造時の三次元特徴部をかなりの程度維持する。
【0018】
以下の表1に、本開示の2つの実施形態についての圧縮回復のデータを示す。実施例1は、
図1に示され、
図12及び
図14を参照して説明される形成ベルト上で形成される、不織布10に相当する。実施例2は、
図2に示され、
図15及び
図16を参照して説明される形成ベルト上で形成される、不織布10に相当する。データから分かるように、本発明の布10は、圧縮エイジング試験により測定した場合の圧縮回復に関して有意な利益を示している。1つの形態では、本開示の圧縮回復特性を有する吸収性物品のパッケージは、低減されたバッグ内積み重ね高さを有し得る一方で、製造時のおむつの、又はあたかもおむつが一度も圧縮パッケージングされていないのと同様の審美性、吸収性、及び柔軟性利益をもたらすことができる。本発明は、介護者によるパッケージの取り扱い及び保管を容易とする一方で、製造業者の流通コストを低減させ、吸収性物品の製造時の美的明瞭性、吸収性、又は柔軟性性能を維持しつつ両者を実現する、バッグ内積み重ね高さが低減されたパッケージを提供するものである。
【実施例0019】
図6に示されるように、ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産した。なお、
図6は、2成分三葉型繊維の断面を示した走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。不織布は、
図12で述べるような繰り返しパターンを有し、
図7及び
図8に関連して以下に述べるようにして約25m/分の線速度で動く形成ベルト上で30g/m
2の平均坪量で、
図1に示されるハート形の繰り返しパターンで紡糸した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70、72(後述する)により第1の面12上で更に接着させ、巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【実施例0020】
図6に示されるように、ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産した。なお、
図6は、2成分三葉型繊維の断面を示した走査型電子顕微鏡写真である。不織布は、
図16で述べるような繰り返しパターンを有し、
図7及び
図8に関連して以下に述べるようにして約25m/分の線速度で動く形成ベルト上で紡糸して、
図2に示される菱形の繰り返しパターンを有する平均坪量30g/m
2の布10を形成した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70、72(後述する)により第1の表面12上で更に接着させた。
【0021】
【0022】
表1から分かるように、本発明の布10は、比較的高い圧力での圧縮後に相当量のキャリパーを保持している。例えば、実施例1及び実施例2の試料は、35KPaの圧力での圧縮エイジング試験により試験した後、それらの最初の平均キャリパーの70%超のキャリパーを保持する。圧縮エイジング試験は、不織布がおむつの高圧縮パッケージ内にパッケージングされた後、消費者に流通される間、その状態に維持され、その後、パッケージが最終的に消費者によって開封される場合に、不織布が曝される条件のシミュレーションである。
【0023】
本開示では溶融紡糸法を用いることができる。溶融紡糸法では、押出品における質量の損失が生じない。溶融紡糸法は、溶媒が押出品からの揮発又は拡散によって除去されるために質量の損失につながる、溶液からの湿式又は乾式紡糸法などの他の紡糸法とは区別される。
【0024】
溶融紡糸は、約150℃~約280°、又はいくつかの実施形態では約190°~約230°で行うことができる。繊維の紡糸速度は100m/分よりも速くてよく、約1,000~約10,000m/分であってよく、約2,000~約7,000m/分であってよく、約2,500~約5,000m/分であってよい。紡糸速度は紡糸繊維の脆性に影響し得るが、一般的には紡糸速度が高いほど繊維の脆性は低くなる。連続繊維は、スパンボンド法又はメルトブローン処理によって生産することができる。
【0025】
本開示の不織布10は、一次ポリマー成分と二次ポリマー成分とを含む連続的な多成分ポリマーフィラメントを含むことができる。フィラメントは、一次ポリマー成分A及び二次ポリマー成分Bを含む連続的な2成分フィラメントであってよい。2成分フィラメントは、断面、長さ、及び外周表面を有する。成分A及びBは、2成分フィラメントの断面にわたって実質的に別個の区域に配置することができ、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に延在することができる。二次成分Bは、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に2成分フィラメントの外周表面の少なくとも一部分を構成する。ポリマー成分A及びBは、従来の溶融紡糸装置で多成分繊維に溶融紡糸することができる。装置は、多成分の所望の構成に基づいて選択される。市販の溶融紡糸装置は、Hills,Inc.(Melbourne,Florida所在)より入手可能である。紡糸の温度は、約180℃~約230℃の範囲である。処理温度は、各成分の化学的性質、分子量、及び濃度によって決まる。2成分スパンボンドフィラメントは、約6~40マイクロメートル、好ましくは約12~約40マイクロメートルの平均直径を有することができる。
【0026】
成分A及びBは、
図5Aに示されるような横並びの配置で、又は
図5Bに示されるような偏心したシース/コア配置で配置することで、天然の螺旋状捲縮を呈するフィラメントを得ることができる。あるいは、成分A及びBは、
図5Cに示されるような同心状のシースコア配置に配置することもできる。更に、成分A及びBは、
図6に示されるような多葉型のシースコア配置に配置することもできる。他の多成分繊維は、本開示の組成物及び方法を使用して生産することができる。2成分繊維及び多成分繊維は、分割パイ型の構成、リボン型の構成、海島型の構成、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。シースは、コアの周囲で連続的又は不連続的であり得る。シースとコアとの重量比は、約5:95~約95:5である。本開示の繊維は、円形、楕円形、星形、矩形、及びその他の様々な偏心形状を含む、異なる幾何学的形状を有し得る。
【0027】
多成分ポリマーフィラメントをこうした配置に押出すための方法は、当業者には周知である。
【0028】
ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エラストマー材料などを含む多種多様のポリマーが、本開示を実施するうえで好適である。フィラメントに紡糸することができるポリマー材料の非限定的な例としては、天然ポリマー(デンプン、デンプン誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、キチン、キトサン、ポリイソプレン(cis及びtrans)、ペプチド、ポリヒドロキシアルカノエートなど)、並びに合成ポリマー(熱可塑性ポリマー(ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体など)、ポリアクリル酸ナトリウム(吸収性ゲル材)、並びにポリエチレン-オクテンのようなポリオレフィンのコポリマー又はプロピレンとエチレンとのモノマーブレンドからなるポリマー、並びにポリ乳酸フィラメント、ポリビニルアルコール、フィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントなどの生分解性又は堆肥化可能な熱可塑性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。1つの例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。あるいは、ポリマーは、バイオポリエチレン又はバイオポリプロピレンなど生物由来のモノマーから誘導されたものを含んでもよい。
【0029】
一次成分A及び二次成分Bは、得られる2成分フィラメントが改善された不織布の接着及び基材の柔軟性をもたらすように選択することができる。一次ポリマー成分Aは、二次ポリマー成分Bの溶融温度よりも低い溶融温度を有する。
【0030】
一次ポリマー成分Aは、ポリエチレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。二次ポリマー成分Bは、ポリプロピレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。ポリエチレンには、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンが挙げられる。更に、二次ポリマー成分Bは、フィラメントの天然の螺旋状捲縮を向上させ、フィラメントの接着温度を低下させ、得られる布の耐摩耗性、強度及び柔軟性を高めるための添加剤を含むことができる。
【0031】
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、及びチタンの酸化物などの無機充填剤を、安価な充填剤又は加工助剤として添加してもよい。他の無機材料としては、水和ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、チョーク、窒化ホウ素、石灰石、珪藻土、雲母ガラス石英、及びセラミックスが挙げられる。
【0032】
本発明のフィラメントは、繊維に望ましい触感を付与するうえで充分な量のスリップ添加剤を更に含有する。本明細書で使用するところの「スリップ添加剤」又は「スリップ剤」とは、外部の潤滑剤を意味する。スリップ剤は、樹脂と溶融混合されると、冷却中又は製造後に表面に徐々に滲出又は移行することで均一で目に見えないほど薄いコーティングを形成し、これにより永続的な潤滑作用を与える。スリップ剤は、好ましくは高速ブルームスリップ剤であり、ヒドロキシド、アリール及び置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、不飽和炭素、アクリレート、酸素、窒素、カルボキシル、サルフェート、及びホスフェートから選択される1つ以上の官能基を有する炭化水素であってよい。
【0033】
製造時、又は後処理において、又は更にはその両方で、本発明の不織布を界面活性剤又は他の剤で処理することによって、ウェブを親水性化するか又はウェブを疎水性化することができる。これは、吸収性物品に使用される不織布では標準的な技法である。例えば、トップシートに使用される不織布を親水性化材料又は界面活性剤で処理することによって、尿などの身体排泄物に対して透過性にすることができる。他の吸収性物品では、トップシートはその天然の疎水性状態に保たれるか、又は疎水性化材料若しくは界面活性剤を添加することで更により疎水性にすることができる。
【0034】
本開示の布の多成分フィラメントの調製に適した材料としては、LyondellBasellより入手されるPH-835ポリプロピレン及びDow chemical companyより入手されるAspun-6850-Aポリエチレンが挙げられる。
【0035】
ポリエチレンが成分A(シース)であり、ポリプロピレンが成分B(コア)である場合、2成分フィラメントは、約5~95重量%のポリエチレンと約95~約5重量%のポリプロピレンとから構成されてよい。フィラメントは、約40~60重量%のポリエチレンと約60~約40重量%のポリプロピレンとから構成されてよい。
【0036】
図7を参照すると、本開示の布10を調製するための代表的なプロセスライン30が開示されている。プロセスライン30は2成分連続フィラメントの布を生産するように構成されているが、本開示は、1成分、又は2種よりも多い成分を有する多成分フィラメントで作製された不織布も包含する点が理解されるべきである。2成分フィラメントは三葉型であり得る。
【0037】
プロセスライン30は、一次ポリマー成分A及び二次ポリマー成分Bを別々に押出すために、それぞれ押出機駆動装置31及び33によって駆動される一対の押出機32及び34を含む。ポリマー成分Aは第1のホッパー36からそれぞれの押出機32に供給され、ポリマー成分Bは第2のホッパー38からそれぞれの押出機34に供給される。ポリマー成分A及びBは、押出機32及び34からそれぞれのポリマー導管40及び42を通ってフィルタ44及び45並びに溶融ポンプ46及び47に供給され得るが、溶融ポンプ46及び47はポリマーを紡糸パック48に圧送する。2成分フィラメントを押出すための紡糸口金は当業者には周知であるため、ここで詳細に述べることはしない。
【0038】
一般的に述べると、紡糸パック48はハウジングを含み、ハウジングは、ポリマー成分A及びBを紡糸口金を通して別々に案内するための流路を形成するように配置された所定のパターンの開口部を有する、互いに積み重ねられた複数のプレートを含む。紡糸パック48は、1つ以上の列に配列された開口部を有する。紡糸口金の開口部は、ポリマーが紡糸口金から押出されると、下方に延びるフィラメントのカーテンを形成する。本開示の目的では、紡糸口金は、
図5A、
図5B及び
図5Cに示されるシース/コア型、又は横並びの2成分フィラメント、並びに
図6に示される三葉型繊維のような非円形繊維を形成するように構成することができる。更に、繊維は、ポリプロピレンなどの1種のポリマー成分からなる1成分型であってもよい。
【0039】
プロセスライン30は、紡糸口金から延びるフィラメントのカーテンに隣接して配置される急冷ブロワ50も含む。急冷ブロワ50からの空気は、紡糸口金から延びるフィラメントを急冷する。急冷空気は、フィラメントカーテンの片側又はフィラメントカーテンの両側から送ることができる。
【0040】
アテニュエータ52が紡糸口金の下に配置され、急冷されたフィラメントを受けるようになっている。ポリマーの溶融紡糸においてアテニュエータとして使用される繊維ドロー装置又は吸引機は、周知のものである。本開示のプロセスで使用するのに適した繊維ドロー装置としては、米国特許第3,802,817号に示されるタイプの線状繊維アテニュエータ、並びに米国特許第3,692,618号及び同第3,423,266号に示されるタイプのエダクティブガン(eductive gun)が挙げられ、これらの特許の開示内容は参照により本明細書に組み込まれ。
【0041】
一般的に述べると、アテニュエータ52は、細長い垂直の通路を含み、この通路を通じて、通路の側面から流入し、通路を下方に流れる空気を吸引することによって、フィラメントが引き出される。成形された、エンドレスで少なくとも部分的に小孔が形成された形成ベルト60がアテニュエータ52の下に配置され、アテニュエータ52の出口開口部からの連続フィラメントを受け取る。形成ベルト60はベルトであり、ガイドローラ62に沿って移動する。形成ベルト60の、フィラメントが堆積する部分の下に配置された真空装置64が、形成表面に対してフィラメントを吸引する。
図8では、形成ベルト60はベルトとして示されているが、形成ベルトはドラムなどの他の形態であってもよいことを理解すべきである。成形された特定の形成ベルトの詳細を以下に説明する。
【0042】
プロセスライン30の操作において、ホッパー36及び38はそれぞれのポリマー成分A及びBで充填される。ポリマー成分A及びBは溶融され、それぞれの押出機32及び34によってポリマー導管40及び42並びに紡糸パック48を通って押出される。溶融ポリマーの温度は使用されるポリマーの温度に応じて異なるが、一次成分A及び二次成分Bとしてポリエチレン及びポリプロピレンがそれぞれ使用される場合、ポリマーの温度は約190℃~約240℃の範囲とすることができる。
【0043】
押出されたフィラメントが紡糸口金の下に延びる際に、急冷ブロワ50からの空気流がフィラメントを少なくとも部分的に急冷し、特定のフィラメントでは溶融フィラメントの結晶化を誘導する。急冷空気は、約0℃~約35℃の温度及び約100~約400フィート/分の速度で、フィラメントの長さに実質的に垂直な方向に流れることができる。フィラメントは形成ベルト60上に回収されるよりも充分前に急冷することができ、これにより、フィラメント及び形成表面を通過する強制空気によってフィラメントを配列させることができる。フィラメントを急冷することによりフィラメントの粘着性が低減されるため、フィラメント同士が接着される前に互いに密着しすぎることがなく、形成ベルト上へのフィラメントの回収中及びウェブの形成中に形成ベルト上でフィラメントを動かす又は配列させることができる。
【0044】
急冷後、フィラメントは、繊維ドロー装置の流れによってアテニュエータ52の垂直な通路内に引き込まれる。アテニュエータは、紡糸口金の底部の下方30~60インチに配置することができる。
【0045】
フィラメントは、アテニュエータ52の出口開口部から、成形された移動している形成ベルト60上に堆積させることができる。フィラメントが形成ベルト60の形成表面と接触している際に、真空装置64が空気及びフィラメントを形成ベルト60に対して引き込むことで、形成表面の形状に一致した形状を有する連続フィラメントの不織布ウェブを形成する。上記で述べたように、フィラメントは急冷されるため、フィラメントの粘着性は過度とならず、フィラメントが形成ベルト60上に回収され布10に形成されている際に、真空によって形成ベルト60上でフィラメントを動かすか又は配列することができる。
【0046】
プロセスライン30は、ニップを形成する円筒形状の圧縮ロール70及び72のような1つ以上の接着装置を更に含み、このニップを通じて布を圧縮(すなわちカレンダー加工)することができ、この圧縮ロールもやはり繊維を接着させるために加熱することができる。圧縮ロール70、72の一方又は両方を加熱することで、布の部分を接着させることによって不織布10に向上した特性及び利点をもたらすことができる。例えば、熱接着をもたらすのに十分な加熱によって布10の引張り特性が向上すると考えられている。圧縮ロールは、独立した加熱制御部を有する、一対の表面が滑らかなステンレス鋼製のロールであってよい。圧縮ロールは、電気素子又は高温のオイルの循環によって加熱することができる。圧縮ロール間の隙間は、布が形成ベルト上で圧縮ロールを通過する際に布に所望の圧力を加えるように油圧制御することができる。一実施形態では、形成ベルトのキャリパーが1.4mmであり、スパンボンド不織布が30gsmの坪量を有する場合、圧縮ロール70と72との間のニップ隙間は約1.4mmとすることができる。
【0047】
一実施形態では、上側圧縮ロール70は、布10の第1の表面12上の繊維を溶融接着させるだけ充分に加熱することができ、これにより布に強度を与えることで、一体性を失わずに布を形成ベルト60から取り外すことができる。例えば、
図8及び
図9に示されるように、ロール70及び72が矢印により示される方向に回転するに従って、スパンボンド布が敷設されたベルト60がロール70と72とによって形成されるニップに進入する。加熱されたロール70は、ベルト60の隆起した樹脂要素によってロール70に押しつけられる不織布10の部分(すなわち領域21)を加熱することで、布10の少なくとも第1の表面12上に接着繊維80を形成することができる。本明細書の説明により理解されるように、このようにして形成された接着領域は、形成ベルト60の隆起要素のパターンを有することができる。例えば、このようにして形成された接着領域は、
図1及び
図11のハートと同じパターンを形成する領域21の第1の表面12上の実質的に連続的な網目構造又は実質的に半連続的な網目構造となり得る。温度及び滞留時間を調節することにより、主として第1の表面12に最も近い繊維に接着を限定してもよく、又は熱接着を
図11(以下でより詳しく述べる点接着部90も示す)及び
図45~
図49に示されるように第2の表面14に行うことができる。接着は、例えば以下で述べる点接着部90として不連続的な網目構造であってもよい。
【0048】
形成ベルト60の隆起要素は、形成ベルト及び不織布基材11又は不織布10の接着領域の様々な網目構造特性を確立するように選択することができる。この網目構造は、形成ベルト60の隆起要素を構成する樹脂に対応しており、実質的に連続的、実質的に半連続的、不連続的、又はこれらの選択肢の組み合わせを含むことができる。これらの網目構造は、形成ベルト60のXY平面内の網目構造の外観若しくは構成、又は本発明の不織布基材11又は不織布10を構成する三次元特徴部に関するものであるため、形成ベルト60の隆起要素を記述したものとなり得る。
【0049】
「実質的に連続的」な網目構造とは、その線の長さ全体にわたってその領域内に全体的に延びる途切れのない線によって任意の2点を結ぶことができるような領域を指す。すなわち、実質的に連続的な網目構造は、第1の平面に平行な全ての方向において実質的な「連続性」を有し、その領域の縁部においてのみ終端する。「連続的な」と組み合わされる用語「実質的に」は、絶対的連続性を実現することが可能であるものの、絶対的連続性からの若干の逸脱は、そのような逸脱が設計及び意図される繊維構造(又は成形部材)の性能に大きく影響しない限りにおいて許容され得ることを示すためのものである。
【0050】
「実質的に半連続的な」網目構造とは、第1の平面に平行な少なくとも1つの方向を除いた全ての方向において「連続性」を有し、その線の長さ全体にわたってその領域内に全体的に延びる途切れのない線によって任意の2点を結ぶことができない領域を指す。半連続構造は、第1の平面に平行な1つの方向でのみ連続性を有し得る。上記に述べた連続的領域と同様、少なくとも1つの方向を除く全ての方向での絶対的連続性が好ましいものの、そのような連続性からの若干の逸脱は、そのような逸脱が繊維構造の性能に大きく影響しない限り許容され得るものである。
【0051】
「不連続的な」網目構造とは、個別的であり、かつ第1の平面に平行な全ての方向において不連続である互いに分離した領域を指す。
【0052】
圧縮後、布は形成ベルト60を離れ、カレンダーロール71、73によって形成されるニップを通ってカレンダー加工されることができ、その後、布をリール上に巻き取ることができる。
図10の概略断面図に示されるように、これらのカレンダーロールは、彫刻パターンロール84と滑らかなロール86とを有するステンレス鋼ロールとすることができる。彫刻ロールは、布10に更なる圧縮及び接着をもたらすことができる隆起部88を有することができる。隆起部88は、カレンダーロール71及び73のニップ内に比較的小さい点接着部90のパターンを形成する、比較的小さい、間隔を置いて離間された「ピン」の規則的なパターンとすることができる。不織布10の点接着部の割合(%)は、3%~30%、又は7%~20%とすることができる。彫刻パターンは、複数の狭い間隔で離間された規則的な概ね円筒形状で、かつ概ね平坦な頂部を有するピンの形状とすることができ、ピンの高さは0.5mm~5mm、好ましくは1mm~3mmの範囲である。ピン結合カレンダーロールは、
図11に示されるように、不織布10内に狭い間隔で規則的な点接着部90を形成することができる。更なる接着は、例えば熱風接着によって行うことができる。
【0053】
以下で
図56に関して説明するように、通過空気熱接着は、この用途に適したものとなり得る高ロフトの不織布構造を形成するための別の手法となり得る。通過空気熱接着は、不織布の表面に高温の空気を適用することを伴う。高温の空気は、不織布の真上に配置されたプレナムの穴を通って流れる。しかしながら、空気は、一般的な熱風オーブンにおけるのと同様に、不織布に押し通されない。陰圧又は吸引によって、不織布がオーブンを通過する際に不織布を支持する開放コンベヤエプロンを通って空気が引き込まれる。不織布を通って空気が引き込まれることにより、より迅速かつ均一な熱の伝達が可能となり、布の歪みが最小限に抑えられる。従来の通過空気接着ユニット以外に、真空装置がベルトの下に設置された状態で3Dベルトの上に接着ユニットを配置することで、この特定の用途において通過空気接着プロセスを模倣することが考えられる。
【0054】
通過空気熱接着で使用されるバインダーとしては、結晶性バインダー繊維、2成分バインダー繊維、及び粉末が挙げられる。結晶性バインダー繊維又は粉末を使用する場合、バインダーは完全に溶融し、不織布の断面全体に溶融液滴を形成する。冷却によりこれらの点で接着が生じる。シース/コア型のバインダー繊維の場合は、シースがバインダーであり、コアがキャリア繊維である。不織布がシース/コア型のバインダー繊維を含む一実施形態では、シースはポリエチレンからなり、コアはポリプロピレンからなる。かかる不織布では、通過空気熱接着の空気温度は110℃~150℃の範囲であってよく、通過空気熱接着時間が、坪量、所望の強度レベル、及び運転速度によって決まることから、滞留時間は、0.5~10秒、5~30秒、又は30~60秒の範囲とすることができる。通過空気オーブンを使用して製造された製品は、嵩高く、開放しており、柔軟で、強く、伸展性、通気性、及び吸収性を有する傾向がある。
【0055】
本明細書で用いられる点接着は、不織布、ウェブ、又は基材を熱接着する方法である。この方法では、ウェブを、加熱された雄パターンの又は彫刻を有する金属ロールと、平滑な又はパターン形成された金属ロールと、からなる2つのロールの間のニップに通過させる。雄パターンのロールは、円形の点接着部を生じさせる、複数の隆起した、概ね円筒状のピンを有することができる。平滑なロールは、用途に応じて加熱されてもされなくてもよい。不織布の製造ラインでは、非接着繊維のウェブである場合もある不織布が、カレンダニップに供給され、彫刻された点の先端部において、平滑ロールと接して繊維が互いに熱融合する点まで繊維温度が上げられる。加熱時間は、通常はミリ秒ほどである。繊維の特性は、ロール温度、ウェブのライン速度、及びニップ圧などのプロセスの設定値に依存し、これらはいずれも当業者によって所望の点接着度が得られるように決定することができる。高温カレンダー接着として一般に知られている他の種類の点接着は、楕円、線、円などの、(円形以外の)接着のための異なる幾何学的形状からなり得る。本明細書に開示される例示的な実施形態では、点接着は、10%の全体結合面積を有する直径0.5mmの円である点接着のパターンを生み出すことができる。他の実施形態は、隆起したピンが、約0.1mm~2.0mmのピンの接着面にわたる最長の寸法を有し、全体の接着面積が5%~30%の範囲であるような接着形状を含む。
【0056】
図11に示されるように、一実施形態では、加熱された圧縮ロール70によって、不織布10の第1の表面12(
図11では観察者から離れる方向に面しているために示されていない)上に実質的に連続的な網目構造の接着パターン80(例えば、相互接続されたハート形接着部)であり得る所定の接着パターンを形成することができ、彫刻カレンダーロール73によって、布10の第2の表面14上に比較的小さい点接着部90を形成することができる。点接着部90は、布10の使用時に毛羽立ち又はピリングを生じやすい、ほつれた繊維を固定する。不織布10の得られる構造の利点は、おむつ又は生理用ナプキンなどのパーソナルケア物品のトップシートとして使用される場合に最も明確となる。パーソナルケア物品に使用される場合、不織布10の第1の表面12は(第2の表面14と比べて)比較的平坦とすることができ、加熱された圧縮ロールが形成ベルト60の隆起要素によって押しつけられる布の領域に接着部80を形成するために比較的多くの接着を有し得る。この接着は不織布10に構造的一体性をもたらすが、使用者の皮膚に対して比較的固いか又は粗くなり得る。したがって、不織布10の第1の表面12は、おむつ又は生理用ナプキンでは、物品の内側に面して、すなわち、着用者の身体から離れる方向に向けるとよい。同様に、第2の表面14は使用時には身体に面する側であり、身体と接触させることができる。比較的小さい点接着部90は使用者によって視覚的又は触覚的に知覚されにくく、比較的柔らかい三次元特徴部は、使用時に身体に対して柔らかく感じる一方で視覚的に毛羽立ち及びピリングがない状態に保たれる。上記に述べた接着の代わりに、又はそれに加えて、更なる接着を用いることもできる。
【0057】
形成ベルト60は、2003年8月26日にLindsayらに発行された米国特許第6,610,173号、又は1996年5月7日にTrokhanらに発行された米国特許第5,514,523号、又は2002年6月4日にBurazinらに発行された米国特許第6,398,910号、又は2013年8月8日にStageらの名義で公開された米国特許出願公開第2013/0199741号に記載されている方法及びプロセスに従って作製され得、これらはそれぞれ、スパンボンド不織布ウェブを製造するための本明細書に開示される改良された特徴部及びパターンを有している。Lindsay、Trokhan、Burazin、及びStageによるこれらの開示は、織物強化部材上に硬化樹脂で作製された製紙用ベルトに代表されるベルトについて説明しているが、これらのベルトは、改良を加えることで本明細書に記載されるように本開示で用いることができる。
【0058】
本開示において有用なタイプであり、米国特許第5,514,523号の開示に従って製造することができる形成ベルト60の一例が、
図12に示されている。本明細書に教示されるように、強化部材94(フィラメント96の織物ベルトなど)を、予め選択された厚さにまで液体感光性ポリマー樹脂で完全にコーティングする。所望の隆起要素パターンの繰り返し要素(例えば
図14)を組み込むフィルム又はネガマスクを、液体感光樹脂上に並置する。樹脂は次いで、紫外線硬化性樹脂のための紫外線など、適切な波長の光にフィルムを通じて暴露される。この光への曝露によって、曝露された領域(すなわち、マスクの白い部分又は非印刷部分)の樹脂を硬化させる。未硬化の樹脂(マスクの不透明部分の下の樹脂)をシステムから取り除くと、図に示されるパターンを形成する硬化樹脂が残る(例えば
図12に示される硬化樹脂要素92)。本明細書に述べられるように、その他のパターンを形成することもできる。
【0059】
図12は、
図1に示される不織布10を製造するうえで有用な形成ベルト60の一部分を示している。図に示されるように、形成ベルト60は織物強化部材94上に硬化樹脂要素92を含むことができる。強化部材94は、樹脂コーティングされた製紙用ベルトなどの、製紙用ベルトの技術分野では既知のフィラメント織物96で形成することができる。硬化樹脂要素は、
図12に示される一般的な構造を有することができ、
図14に示される寸法を有するマスク97を使用して製造される。
図13の概略断面図に示されるように、硬化樹脂要素92は、強化部材94の周囲を流れ、硬化されて強化部材94に「固定」され、約0.020インチ~約0.060インチ、又は約0.025インチ~約0.030インチの遠位端における幅DWを有することができ、また、約0.015インチ~約0.060インチ、又は約0.020インチ~約0.050インチ、又は約0.025インチ~約0.045インチ、又は約0.030インチ~約0.040インチ、又は約0.030インチ~約0.035インチのオーバーバーデン(OB)と呼ばれる強化部材94よりも上の全体の高さを有することができる。
図14は、
図1に示される不織布10の繰り返しハート模様の1個の繰り返し単位の模様及び代表的な寸法を示すマスク97の一部分を表している。白い部分98は紫外線を透過し、米国特許第5,514,523号に記載されるベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は硬化されて強化部材94上に隆起要素92を形成する。未硬化の樹脂が洗い流された後、
図7に示されるように、装置の設計によって決定され得るベルトの長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図12に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0060】
同様に、
図15は、
図2に示される不織布10の繰り返し模様の1個の繰り返し単位の模様を示すマスク97の一部分を表している。白い部分98は紫外線を透過し、ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、
図7に示されるように、装置の設計によって決定され得るベルトの長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図16に示されるような硬化樹脂のパターンを有する形成ベルト60が得られる。
【0061】
更に、別の非限定的な例において、
図17は、
図18に示される不織布10の繰り返し模様の1個の繰り返し単位の模様を示すマスクの一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、布10の長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図18に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0062】
本開示において有用なタイプの形成ベルト60の一部分の別の例が
図19に示されている。
図19に示される形成ベルト60の部分は、不織布10の全体面積OAの長さL及び幅Wに対応する長さL及び幅Wを有することができる、個別のベルトパターン61である。すなわち、形成ベルト60は、不織布10の全体面積OAに対応する個別のベルトパターンの全体面積DPOAをそれぞれが有する、個別のベルトパターン61(以下で
図22を参照してより詳しく述べる)を有することができる。
図20は、
図21に示される不織布10の繰り返し模様の1個の繰り返し単位の模様を示すマスクの一部分を表している。白い部分98は紫外線を透過し、ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、ベルトの長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図19に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0063】
図19に示される形成ベルトの部分は、本開示の別の利点を示す。
図19に示される形成ベルト60の部分は、
図21に示される布10を作製することができる。
図21に示される不織布10は、布10を、例えば使い捨ておむつのトップシートとして使用するのに適したものとする幅W及び長さLの寸法、並びに全体面積OAを有することができる。
図19に例示される形成ベルト60上に作製される不織布10は、形成ベルト60上で個別の樹脂要素92によって形成される三次元特徴部のパターンが全体面積の全体にわたって規則的な繰り返しパターンとなっていない点で、
図1~
図3に示される不織布10と異なっている。むしろ、個別のベルトパターンの全体面積DPOA内の三次元隆起要素のパターンは、区域と呼ばれる異なる部分を含む不規則なパターンとして述べることができる。区域間の相違は、視覚的なもの、すなわち視覚的に区別可能な差であってもよく、あるいは不織布10においては、この相違は、坪量若しくは密度のような平均の示強的性質の差、又は視覚的性質と示強的性質との組み合わせの差を生じ得る。通常の屋内照明条件(例えば、視力20/20、文字を読むのに充分な照明下)の観測者が、第1の区域112及び第2の区域122のような区域間のパターンの差を視覚的に区別できる場合に、視覚的に区別可能な差が存在する。
【0064】
不織布10もまた、形成ベルトの区域に対応した視覚的に区別可能な区域を有することができる。例えば、
図21に示されるように、布10は、少なくとも2個、3個、又は4個の視覚的に区別可能な区域を有することができる。三次元特徴部の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質を有する第1の区域110は、全体面積OA内のほぼ中央に位置する第1の領域を有することができる。三次元特徴部の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有する第2の区域120は、全体面積OA内の第1の区域110のほぼ周囲に、一実施形態では、それを完全に包囲して分布する第2の領域を有することができる。三次元特徴部の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有する第3の区域130は、全体面積OA内の第2の区域120のほぼ周囲に、一実施形態では、それを完全に包囲して分布する第3の領域を有することができる。三次元特徴部の第4のパターン(fourth three-dimensional features)及び第4の平均の示強的性質を有する第4の区域140は、トップシートの前部など、全体面積OA内の任意の位置に配置された、
図21に示されるハート模様のような第4の領域を有することができる。一般的に、nを正の整数として、n個の区域が存在してよい。n個の区域のそれぞれは、三次元特徴部の第n番目のパターン、並びに第n番目の領域及び第n番目の平均の示強的性質を有することができる。
【0065】
図21に示されるような視覚的に区別可能な区域は、視覚的に区別可能な三次元特徴部を含み得る。これらの異なる三次元特徴部は、
図1及び
図3のハート形、並びに
図2及び
図3の菱形のような閉じた図形の形であってよい比較的密度の高い領域(三次元特徴部の内部と比べて)によって、その境界が画定され得る。一般に、微小区域との関連を含めて以下でより完全に述べるように、三次元特徴部は第1の領域と第2の領域とによって画定することができ、第1の領域と第2の領域とは視覚的に区別され、第1及び第2の領域のそれぞれに共通の示強的性質が関連付けられ、第1の領域と第2の領域の共通の示強的性質の値には差がある。一実施形態では、三次元特徴部は第1の領域と第2の領域とによって画定することができ、第1の領域は第1の表面の平面に対して第2の領域よりも高い高さ(Z方向に測定される寸法)にある。別の実施形態では、三次元特徴部は第1の領域と第2の領域とによって画定することができ、第1の領域は第2の領域よりも高い基部にある。
【0066】
理解されるように、本開示の形成ベルト60は、形成ベルト全体にわたって均一な一定の繰り返しパターンを有する代わりに、
図19に示される個別のベルトパターン61にそれぞれが似た、不規則な個別のベルトパターン61の繰り返しを有することができる不織布材料の製造を可能とする。個別のベルトパターン61はそれぞれ、例えばおむつ又は生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品における使用に適した全体面積OAを有する1つの不織布10を形成するために使用することができる。不織布10は、連続して(すなわちライン化して)、また、必要に応じて、各レーンが不織布10の連続的なラインである複数の平行なレーンで連続して生産することができる。不織布10の連続的なラインは、機械方向に平行な軸に沿って機械方向で生産することができる。次いで、この不織布材料を、おむつ又は生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品でトップシートとして使用される不織布10を生産するためのサイズとなるようにスリットを入れるか又は他の形で切断することができる。
【0067】
一実施形態では、個別の各ベルトパターンの全体面積DPOA内のパターンは、同じであっても異なっていてもよい。すなわち、連続的に離間された個別のベルトパターンは実質的に同じであってもよいし、あるいはこれらは視覚的外観において、及び/又はそこで製造される不織布基材に生じる示強的性質において異なっていてもよい。例えば、
図22に概略的に示されるように、個別のベルトパターン61Aの第1の形成区域112内の三次元隆起要素のパターンは、個別のベルトパターン61Bの第1の形成区域112内の三次元隆起要素のパターンと異なり得る。このように、形成ベルト60は、使い捨て吸収性物品をはじめとする消費者製品での使用に適した不織布ウェブ10の生産における柔軟性を与えるものである。例えば、おむつの1つのパッケージ内で、少なくとも2つのおむつのトップシートは、連続した個別のベルトパターンが異なる区域のパターンを有する、本明細書に述べられるようなスパンボンドプロセスによってこれらのトップシートが連続的に生産されたことによって、異なり得る。一実施形態では、あるサイズのおむつのトップシート又はバックシートの不織布のパターンは、別のサイズのおむつのトップシート又はバックシートの不織布のパターンと異なってよく、これにより、介護者におむつのサイズに関する視覚的な手がかりが与えられる。同様に、生理用ナプキンのトップシートに布10を使用することも可能であり、その場合、三次元特徴部の視覚的パターンは生理用ナプキンの吸収性を表す。いずれの場合も、個別のベルトパターンを必要に応じて異なるものとすることによって、様々なパターンの布10を単一のベルト上で生産することができる。
【0068】
図22を参照すると、形成ベルトが、機械方向である長手方向に平行な軸線Aを有している。形成ベルト60は、長手方向に対して少なくとも1つの連続的な関係で配列された複数の個別のベルトパターン61を有することができる。各個別のベルトパターン61は、個別のベルトパターン61Aに関して示したのと同様に、長さL及び幅Wによって長方形のパターンで画定される個別のベルトパターンの全体面積DPOAを有することができる。各個別のベルトパターンはその全体面積DPOA内に、第1の表面の平面から外側に延びている三次元隆起要素の第1のパターンを有する第1の形成区域112と、第1の表面の平面から外側に延びている第2の三次元隆起要素を有する第2の形成区域122と、を有することができる。第1の形成区域は第1の空気透過率の値を有してよく、第2の形成区域は第2の空気透過率の値を有してよく、第1の空気透過率の値は第2の空気透過率の値と異なっていてよい。各連続的に配列された個別のベルトパターンの全体面積DPOA内のパターンは、同じであっても異なってもよい。
【0069】
例として、また
図19に示される形成ベルト60の個別のベルトパターン61及び
図21に示される不織布10を参照して、以下の性質を測定した。不織布10の第1の区域110は、約5gsm~約30gsmの平均坪量を有することができる。第2の区域120は、約50gsm~約70gsmの平均坪量を有することができ、第3の区域130は、約25gsm~約60gsmの平均坪量を有することができる。区域ごとの坪量の差は、形成ベルト60の空気透過率の差に起因し得る。区域110、120、及び130の坪量がそれぞれ、15gsm、53gsm、及び25gsmであるような、
図20に示される不織布10を製造するために使用される実施形態では、形成ベルト60のそれぞれの区域112、122、及び132の空気透過率はそれぞれ、379cfm、805cfm、及び625cfmである。したがって、形成ベルト10の各区域の空気透過率を変えることにより、各区域の平均坪量及び平均密度の示強的性質を布10の全体面積にわたって高めることができる。
【0070】
図22で述べた形成ベルト60の説明から、また
図23を参照することで理解されるように、一実施形態では、ベルト60上に形成される不織布基材11は、長手方向、すなわち、形成ベルト60上に形成される場合には機械方向に対して少なくとも1つの連続的な関係で配列された布10として本明細書で述べられる複数の部分を有する不織布基材11として説明することができる。
図23は、連続的に配列された布10を示すスパンボンド不織布基材11の概略図であり、各布10が、様々な区域内に異なるパターンを有している。各布10は、長方形のパターンで、長さL及び幅Wによって画定された全体面積OAを有することができる。順番に配列された各布10は、その全体面積OA内に、三次元特徴部の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質、並びに全体面積OA内に位置する第1の領域を有する少なくとも第1の区域110と、三次元特徴部の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有し、全体面積OA内に位置する第2の領域を有する第2の区域120と、を有してよい。必要に応じて、更なる区域、例えば、三次元特徴部の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有し、全体面積OA内に第3の領域を有する第3の区域130が存在してもよい。
図23の例示的な概略図に示されるように、布10Aの第1のパターン110Aは、布10Bの第1のパターン110Bと異なっていてよく、また布10Cの第1のパターン110Cと異なっていてもよい。同じことが第2の区域120A、120B、及び120Cについても言える。
【0071】
一般的に、形成ベルト60上に形成された不織布材料11の連続的に配列された不織布10は、それぞれの全体面積、示強的性質、及び視覚的外観において異なり得る。共通の示強的性質とは、1つを超える区域(
図21に示されるような区域化パターンに関して)又は領域(
図1に示されるような規則的な繰り返しパターンのような三次元特徴部について)が有する示強的性質のことである。不織布10のこのような示強的性質は平均値であってよく、これらに限定されるものではないが、密度、体積密度、坪量、厚さ、及び不透明度を挙げることができる。例えば、密度が、2つの異なる区域又は領域の共通の示強的性質である場合、一方の区域又は領域の密度の値は、他方の区域又は領域の密度の値と異なっていてもよい。区域(例えば、第1の区域及び第2の区域など)は、視覚的に、また、その区域内で平均化された異なる示強的性質によって、互いに区別することが可能な識別可能な領域であり得る。
【0072】
生産された後、個々の不織布10は適当なサイズに切断され、例えば使い捨て吸収性物品のトップシートなどのそれらの意図される目的で使用することができる。例えば、使い捨ておむつ1006が平らに延ばされた向きで
図24に示されている。1つの布10が、当該技術分野で既知の手段によって適当な全体面積に切断され、おむつ1006に接着される。布10は、おむつ1006に組み付けられる前に切断してもよく、又はおむつの製造プロセスの間に、不織布基材11をウェブの形態のおむつの他の構成要素と一体に合わせ、組み立て後に適当なサイズに切断してもよい。
【0073】
図24を参照することで理解されるように、一実施形態では、ベルト60上に形成される不織布基材11は、長手方向(すなわち形成ベルト60上に形成される場合には機械方向)に対して少なくとも1つの連続的な関係で、かつ少なくとも1つの横並びの関係(すなわち形成ベルト60上に形成される場合には横断方向)で配列された布10として本明細書で述べられる複数の部分を有する不織布基材11として述べることができる。
図24は、隣接した機械方向レーン13に連続的に配列された布10を示すスパンボンド不織布基材11の概略図であり、隣接したレーンは、
図24で10D、10E、及び10Fと称される横並びの各布10を有している。各布10は、長方形のパターンで、長さL及び幅Wによって画定された全体面積OAを有することができる。順番に配列された各布10は、その全体面積OA内に、三次元特徴部の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質、並びに全体面積OA内に位置する第1の領域を有する少なくとも第1の区域110と、三次元特徴部の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有し、全体面積OA内に位置する第2の領域を有する第2の区域120と、を有してよい。必要に応じて、更なる区域、例えば、三次元特徴部の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有し、全体面積OA内に第3の領域を有する第3の区域130が存在してもよい。横並びのレーンの各布10は実質的に同じであってもよく、あるいは各布10は、サイズ、視覚的外観、及び/又は示強的性質に関して異なっていてもよい。生産された後、不織布基材11は巻き取ってからレーンへとスリットを入れて消費者製品に加工するか、又はスリットを入れてから巻き取ることができる。
【0074】
規則的な繰り返しの均一なパターンで作製された布10と不均一な区域化パターンで作製された布10との坪量の差を比較するための代表的な試料として、実施例1の不織布10を、
図21に示されるものと似たパターンを有する、実施例3と呼ばれる布と比較した。実施例3は、ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、本明細書に開示される装置で生産した2成分スパンボンド不織布ウェブである。このスパンボンド2成分三葉型繊維を、約25m/分の線速度で動く形成ベルト60上に、
図19に示されるような区域化パターンを有する形成ベルト上で30g/m
2の平均坪量となるように敷設した。第2の基材を同じ条件下で形成したが、
図16に示される形成ベルト上の規則的な繰り返しの均一なパターンを有する少なくとも1つの部分を有しており、ここから坪量を求めた。繊維の紡糸条件、スループット、形成ベルトのライン速度、及び圧縮ロールの接着温度は、両方の基材で同じとした。
【実施例0075】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で三葉型繊維の形態に、30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産した。約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に
図7及び
図8に関連して述べたようにして不織布を生産して、
図20に示されるような区域化パターンを有する布を形成した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70、72により第1の表面12上で更に接着させ、布を巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【実施例0076】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で三葉型繊維の形態に、30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産した。約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に
図7及び
図8に関連して述べたようにして不織布を生産して、
図2に示されるような繰り返し(非区域化)パターンを有する布を形成した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70、72により第1の表面12上で更に接着させ、巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【0077】
以下の表2に、本明細書の局所坪量試験法に従って測定し、10個の試料で平均をとった、平均局所坪量を示す。測定用の試料は、
図25A及び
図25Bに示される布から採取した。
図25A及び
図25Bにおいて黒い長方形は、測定用に3cm
2の試料を切り取った部分である。見て分かるように、布は、横断方向(CD)にわたってA~Eとして表示される。測定値は、区域化された布の区域間の坪量だけでなく、
図26にグラフで示されるようにCD方向の分布にも有意差が見られることを示している。
【0078】
【0079】
表2から分かるように、空気透過性が異なる区域を有する形成ベルト60上に形成された布10では、不織布10のCD方向における繊維の敷設量、したがって坪量の大きなばらつきが示され、繊維が空気と共に透過率の高い区域に移動できることを示している。区域化されていない、規則的な繰り返しパターンの布10は、布のCD方向において概ね同じ坪量を示す。
【0080】
形成ベルト60の様々な区域の空気透過率の差以外に、形成ベルト60の構造は、平均キャリパー、平均の柔軟性、平均の耐圧縮性、及び流体吸収特性といった布10の区域の他の示強的性質にも影響し得る。
【0081】
本発明の別の態様は、布の載置不透明度(laydown opacity)及び均一性を高めるために複数のビームが用いられるスパンボンドの商業的ラインに関するものである。場合によっては、装置は3本のスパンボンドビーム(当該技術分野では「SSS」として知られる)を含むことができ、例えば「SSMMS」スパンボンドラインとして知られる装置においてメルトブローン法(M)と組み合わせることができる。
【0082】
点接着部90を有するように不織布10をカレンダー加工することにより、毛羽立ちを低減することができる。毛羽立ちとは、繊維がほつれ、布10から分離してしまう傾向のことを指す。ほつれ及び分離は、使い捨て吸収性物品の製造時における製造装置との、又は布10に接触する人の皮膚などの別の表面との摩擦係合によって生じ得るものである。使い捨て吸収性物品のトップシートにおけるようないくつかの用途では、毛羽立ちは負の消費者現象である。しかしながら、繊維を定位置に接着することも、それを行わなければ柔軟であるはずの不織布基材の表面に粗さが生じ得ることから、消費者にとってやはり負の要素となり得る。本発明者らは、本開示の不織布基材及び不織布が、最小限の柔軟性の喪失で接着の増大(及びその結果としての毛羽立ちの低減)に耐えることができることを、予想に基づいて見出した。接着は、比較的近い間隔で離間される点接着部90によって実現することができ、この間隔は毛羽立ちの低減の所望の度合いによって決められる。接着は、熱接着、超音波接着、圧力接着、ラテックス接着剤による接着、及びそれらの方法の組み合わせなどの、不織布の繊維を化学的又は熱的に接着するための公知の方法によって行うこともできる。接着による毛羽立ちの低減について、以下に実施例5及び6に関して説明する。
【実施例0083】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で、三葉型繊維の形態に、約25m/分の線速度で動く
図7及び
図8に関して述べた形成ベルト上に約30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産して、
図36に示されるような繰り返しパターンを有する布を形成した。圧縮ロール70を130℃に加熱した状態で、布の繊維を更に圧縮ロール70、72によって第1の表面12に接着させて、実質的に連続した接着部80を形成した。
【実施例0084】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で、三葉型繊維の形態に、約25m/分の線速度で動く
図7及び
図8に関して述べた形成ベルト上に約30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産して、
図37に関して述べたような繰り返しパターンを有する布を形成した。圧縮ロール70を130℃に加熱した状態で、布の繊維を更に圧縮ロール70、72によって第1の表面12に接着させて、実質的に連続した接着部80を形成した。布の繊維をカレンダーロール71、73において更にカレンダー接着した。ここで、ロール73は、1.25mmのピン高さ及び0.62mmの開放隙間を有するピンの形態の隆起部分88を10%の点接着パターンで有する彫刻ロールとした。ロール73を135℃に加熱して、布10の第2の面14上に
図11に示されるような点接着部90を形成した。
【0085】
実施例5及び6の布10は、点接着部90がないかあるかの点においてのみ異なっていた。布10の第2の面14には、毛羽立ち度試験に従って毛羽立ち試験を行って、布の表面に繊維を固定するうえでの点接着部の効果を調べた。実施例5及び6の毛羽立ち試験の結果を表3に示す。
【0086】
【0087】
上に示したように、点接着部90によって、MD方向の毛羽立ち度の値が大幅に低下している。接着処理にもかかわらず、その柔軟性、吸収性、及び美的利益が維持され、この場合、消費者による使用に際して所望の耐毛羽立ち性も有している。
【0088】
本開示の吸収性物品は、一般的に、配送、保管、及び販売のためにパッケージ内に入れられる。パッケージは、高分子フィルム及び/又は他の材料を含み得る。吸収性物品の特性に関する図形及び/又は目印は、パッケージの外側部分に形成され、印刷され、位置付けられ、及び/又は配置されてよい。各パッケージは、複数の吸収性物品を含んでもよい。吸収性物品は、パッケージのサイズを小さくする一方で1パッケージ当たり十分な量の吸収性物品を提供するように圧縮下で包装することができる。吸収性物品を圧縮下で包装することによって、介護者はパッケージを容易に扱い、保管することができると共に、パッケージのサイズによる流通コストの削減を製造業者にもたらすこともできる。
図27は、複数の吸収性物品1004を含む例示的なパッケージ1000を示す。パッケージ1000は、複数の吸収性物品1004が置かれる内部空間1002を画定している。複数の吸収性物品1004は、1つ以上の積み重ね1006として配置されている。
【0089】
本明細書に記載されているバッグ内積み重ね高さ試験によると、本開示の吸収性物品のパッケージは、約100mm未満、約95mm未満、約90mm未満、約85mm未満、約85mm未満ただし約75mm超、約80mm未満、約78mm未満、約76mm未満、又は約74mm未満であり、具体的には、特定の範囲内及びその中又はそれによって形成された全ての範囲内において全て0.1mmの増分である、バッグ内積み重ね高さを有し得る。あるいは、本明細書に記載されているバッグ内積み重ね積層高さ試験によると、本開示の吸収性物品のパッケージは、約70mm~約100mm、約70mm~約95mm、約72mm~約85mm、約72mm~約80mm、又は約74mm~約78mmであり、具体的には、特定の範囲内及びその中又はそれによって形成された全ての範囲内において全て0.1mmの増分である、バッグ内積み重ね高さを有し得る。
【0090】
吸収性物品の概説
本開示の三次元不織布10は、おむつなどの吸収性物品、トレーニングパンツなどの小児用ケア用品、生理用ナプキンなどの女性用ケア用品、並びに失禁製品、パッド、及びパンツなどの成人用ケア用品の構成要素として使用することができる。おむつ220の形態の吸収性物品の一例は、
図28~
図30に示されている。
図28は、例示的おむつ220の平らに広げられた状態の平面図であり、おむつ220の構造をより分かりやすく示すために構造の一部分を切り欠いて示している。
図28のおむつ220の着用者に面する表面は、観察者に面している。本開示の三次元不織布材料は、トップシート、捕捉層、トップシートと捕捉層、又はトップシートと捕捉及び/若しくは分配システム(「ADS」)など、吸収性物品の1つ以上の構成要素として使用することができることから、このおむつ220はあくまでも説明の目的で示されるに過ぎない。いかなる場合でも、本開示の三次元不織布材料は液体透過性であり得る。
【0091】
吸収性物品220は、液体透過性材料又はトップシート224と、液体不透過性材料又はバックシート225と、トップシート224とバックシート225との中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コア228と、バリアレッグカフ234と、を含み得る。また、吸収性物品は、表示されている例では分配層254及び捕捉層252を含むADS250を含むことができ、これらについては以下に更に詳細に記述する。また、吸収性物品220は、通常はトップシート及び/又はバックシートを介して吸収性物品のシャーシと接合し、おむつのシャーシと実質的に平面である弾性体233を含む弾性ガスケットカフ232を含んでもよい。
【0092】
図28及び
図31はまた、タブ242を備える締着システムなどの典型的なテープ付きおむつ構成要素を示しており、タブ242は、物品の後縁部に向かって取り付けられ、吸収性物品の前方でランディング区域244と協働する。吸収性物品はまた、例えば、後側弾性腰部機構、前側弾性腰部機構、横方向バリアカフ(複数可)、及び/又はローションアプリケーションなど、図示されていない他の典型的な要素を含んでもよい。
【0093】
吸収性物品220は、前側腰部縁部210、前側腰部縁部210と長手方向に対向する後側腰部縁部212、第1の側縁部203、及び第1の側縁部203と横方向に対向する第2の側縁部204を備える。前側腰部縁部210は、着用時に使用者の前面に向かって配置されるように意図された物品の縁部であり、後側腰部縁部212は対向する縁部である。この吸収性物品220は、物品を平らに広げて置き、
図28のように上から見ると、前側腰部縁部210の側面中間点から物品の後側腰部縁部212の側面中間点へと延在し、かつ、長手方向軸線280に対して、物品を実質的に対称である2つの半分に分割している、長手方向軸線280を有し得る。また、吸収性物品220は、第1の側縁部203の長手方向中間点から第2の側縁部204の長手方向中間点まで延在する横方向軸線290を有してもよい。物品の長さLは、長手方向軸線280に沿って、前側腰部縁部210から後側腰部縁部212までの長さとして測定され得る。吸収性物品の幅Wは、横方向軸線290に沿って、第1の側縁部203から第2の側縁部204まで測定され得る。吸収性物品は、本明細書において、物品220の前縁部210から始まってLの5分の2(2/5)の距離に長手方向軸線上に配置された点として定義された股部の点Cを含み得る。本物品は、前側腰部領域205、後側腰部領域206、及び股部領域207を備え得る。前側腰部領域205、後側腰部領域206、及び股部領域207は、それぞれ、吸収性物品の長手方向の長さLの1/3を画定し得る。
【0094】
トップシート224、バックシート225、吸収性コア228、及び物品のその他の構成要素は、様々な構成で、具体的には、例えば、糊剤接着又は熱エンボス加工によって組み立てられ得る。
【0095】
吸収性コア228は、超吸収性ポリマーを少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%含む吸収性材料と、超吸収性ポリマーを密閉するコアラップと、を含み得る。コアラップは、典型的には、コアの上面及び底面に2つの材料、基材、すなわち不織布材料216及び216’を含み得る。これらのタイプのコアは、エアフェルトを含まないコアとして知られる。コアは、4つのチャネル226、226’及び227、227’として
図28に示される1つ以上のチャネルを含み得る。チャネル226、226’、227、及び227’は任意選択的な機構である。それどころか、コアはチャネルを全く有さずともよく、又はいかなる数のチャネルを有してもよい。
【0096】
例示的な吸収性物品のこれらの及びその他の構成要素を、以下により詳細に考察する。
【0097】
トップシート
本開示において、トップシート(着用者の皮膚に接触し、流体を受容する吸収性物品の部分)は、本明細書に記載されている1つ以上の三次元不織布材料の一部分若しくは全てで形成される、並びに/又はその上に位置付けられている、及び/若しくはそこに接合されている1つ2つ以上の不織布材を有することができ、それによって不織布材料(複数可)は着用者の皮膚に接触する。トップシートの他の部分(三次元不織布材料以外)も着用者の皮膚に接触し得る。三次元不織布材料は、典型的なトップシート224の上側にストリップ又はパッチとして位置付けられてもよい。あるいは、三次元不織布材料は、トップシートの中央のCD領域のみを形成してもよい。中央のCD領域は、トップシートの全MD長又はトップシートの全MD長未満で延在し得る。
【0098】
トップシート224は、当該技術分野で既知のように、バックシート225、吸収性コア228、及び/又は任意の他の層に接合することができる。通常は、トップシート224及びバックシート225は、いくつかの箇所(例えば、吸収性物品の周辺部又はその付近)で互いに直接接合され、また他の箇所では、トップシート及びバックシートを物品220の1つ以上の他の要素に直接接合することによって、間接的に一緒に接合される。
【0099】
トップシート224は、着用者の皮膚に対して適合性があり、柔らかい感触であり、かつ非刺激性のものとすることができる。更に、トップシート224の一部分又は全体は液体透過性であってよく、その厚みを通して液体を容易に浸透させることができる。更に、トップシート224の一部分又はその全体を界面活性剤又は他の剤で処理することで、ウェブを親水性化するか又は疎水性化してもよい。トップシート224の任意の部分は、当該技術分野で一般に開示されているローション及び/又はスキンケア組成物でコーティングしてもよい。トップシート224はまた、抗菌剤を含むか、又は抗菌剤で処理されてもよい。
【0100】
バックシート
バックシート225は概して、吸収性コア228の衣類に面する表面に隣接して配置され、その中に吸収し封じ込められた流体及び排泄物がベッドシーツ及び下着などの物品を汚すのを防止する又は少なくとも阻害する、吸収性物品220の部分である。バックシート225は典型的には、流体(例えば、尿)に対して不透過性、又は少なくとも実質的に不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm~約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムであってもよく、又はこれを含んでもよい。他の適切なバックシート材料は、流体がバックシート225を通過することを防止するか又は少なくとも妨害する一方で、吸収性物品220から蒸気を逃がすことを可能とする通気性材料を含むことができる。
【0101】
バックシート225は、当業者に既知の任意の取り付け方法によって、トップシート224、吸収性コア228、及び/又は吸収性物品220の任意の他の要素に接合され得る。
【0102】
吸収性物品は、外側カバー又は外側カバー不織布を含むバックシートを含むことができる。吸収性物品220の外側カバー又は外側カバー不織布は、吸収性物品の柔らかい、衣類に面する表面を形成するために、バックシート225の少なくとも一部分又は全てを被覆し得る。外側カバー又は外側カバー不織布は、本明細書に記載されている高ロフトの三次元不織布材料から形成され得る。あるいは、外側カバー又は外側カバー不織布は、1つ以上の既知の外側カバー材料を含んでよい。外側カバーが、本開示の三次元不織布材料のうちの1つを含む場合、外側カバーの三次元不織布材料は、吸収性物品のトップシートとして又はトップシート及び捕捉層として使用される三次元不織布材料に一致しても一致しなくてもよい(例えば、同一材料、同一パターン)。他の場合では、外側カバーは、吸収性物品のトップシートとして又はトップシート及び捕捉層の積層体として使用される三次元不織布材料のパターンと一致する又は視覚的に似ている、印刷された、ないしは別の方法で適用されたパターンを有してよい。外側カバーは、機械的接着、超音波、熱接着、接着剤接着、又はその他の好適な取り付け方法によって、バックシート225の少なくとも一部分に接合することができる。
【0103】
吸収性コア
吸収性コアは、最も高い吸収能力を有し、吸収性材料と、吸収性材料を封入するコアラップ又はコアバッグと、を含む、吸収性物品の構成要素である。吸収性コアは、捕捉及び/若しくは分配システム、あるいはコアラップ若しくはコアバッグの一体部分ではないか又はコアラップ若しくはコアバッグ内に配置されない、吸収性物品のいずれの他の構成要素も含まない。吸収性コアは、コアラップと、上述した吸収性材料(例えば、セルロース繊維をほとんど又はまったく含まない超吸収性ポリマー)と、糊剤と、を含み得るか、それらから本質的になり得るか、又はそれらからなり得る。
【0104】
吸収性コア228は、コアラップ内に封入された、大量の超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と略す)を有する吸収性材料を含み得る。SAP含有量は、コアラップに収容される吸収性材料の70重量%~100重量%、又は少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、若しくは100重量%を占め得る。コアラップは、吸収性コア内のSAPの百分率を評価する目的で、吸収性材料とは見なされない。吸収性コアは、超吸収性ポリマーを含むか又は含まないエアフェルトを含むことができる。
【0105】
「吸収性材料」とは、SAP、セルロース繊維及び合成繊維など、いくらかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。通常、吸収性コアの作製に使用される糊剤は、吸収特性を全く又はほとんど有さず、吸収性材料とは見なされない。SAP含有量は、コアラップ内に収容された吸収性材料の80重量%超、例えば少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、更には最大で100重量%となり得る。このエアフェルトを含まないコアは、典型的に40~60重量%のSAPと高含有量のセルロース繊維とを含む従来のコアと比較して、相対的に薄い。吸収性材料は、特に、天然繊維、セルロース繊維、又は合成繊維を15重量%未満、又は10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満含んでもよく、あるいは更には天然繊維、セルロース繊維、及び/又は合成繊維を実質的に含まなくともよい。
【0106】
上記を参照すると、天然繊維、セルロース繊維、及び/若しくは合成繊維をほとんど又はまったく含まないエアフェルトを含まないコアは、従来のコアに比べて非常に薄く、それによって、吸収性物品全体が、混合型のSAP及びセルロース繊維(例えば、40~60%のセルロース繊維)を含むコアを有する吸収性物品よりも薄くなる。このコアの薄さは、吸収力及び性能の低下という消費者知覚につながる可能性があるが、技術的には事実と異なる。現在、これらの薄いコアは通常、実質的に平面的な又は有孔のトップシートと共に使用されている。更に、これらの薄いエアフェルトを含まないコアを有する吸収性物品は、コアに天然繊維、セルロース繊維、又は合成繊維がほとんど又はまったく存在しないため、毛管間隙空間が減少している。したがって、時折、排泄物の複数回の放出又は1回の大きい放出を完全に受容するための十分な毛管間隙空間が、吸収性物品に存在しない場合がある。
【0107】
かかる問題を解決するために、本開示は、これらの薄いエアフェルトを含まないコアと、トップシート又はトップシートと捕捉層との積層体として本明細書に記載されている、高ロフトの三次元不織布材料のうちのいずれかとを併せ持つ吸収性物品を提供する。かかる場合には、高ロフトの三次元不織布材料がもたらす付加的な厚さによる吸収性物品の厚さの増大を通じて、吸収力及び性能の消費者知覚が向上する。更に、三次元不織布材料は、これらの薄いエアフェルトを含まないコアと共に、トップシート、又はトップシートと捕捉層との積層体として使用される場合、吸収性物品に毛管間隙空間を戻しながら、最小限の積み重ね高さを可能にすることで、消費者及び製造業者にコストの削減をもたらす。このように、本開示の吸収性物品は、この増加した毛管間隙空間のために複数回の排泄物放出又は1回の大きい放出を容易に吸収することができる。加えて、トップシート、又はトップシートと捕捉層との積層体としての不織布材料を含む吸収性物品は、平面的なトップシート又は有孔のトップシートに比べて、厚さ及びそれによる吸収力及び性能の消費者知覚の増した美的に満足なトップシートを消費者に提供する。
【0108】
図31~
図32の吸収性物品220の例示的な吸収性コア228は、
図33~
図35に単独で示されている。吸収性コア228は、前側部480と、後側部282と、前側部480と後側部282とを接合する2つの長手方向側部284、286と、を備え得る。吸収性コア228はまた、概ね平面状の上面、及び概ね平面状の底面を備え得る。コアの前側部480は、吸収性物品の前側腰部縁部210に向かって配置されるように意図されたコアの側である。コア228は、
図28に示すような平面図で上から見ると、吸収性物品220の長手方向軸線280に実質的に対応する長手方向軸線280’を有し得る。特定の吸収性物品では、前面にてより高い吸収性が要求され得るため、吸収性材料は、後側部282に向かうよりも前側部480に向かってより多くの量が分配されてよい。コアの前側部480及び後側部282は、コアの長手方向側部284及び286より短くてもよい。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、又はその他の材料216、216’により形成され得るが、それらは、吸収性コア228の側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止され得る。コアラップは、吸収性材料が吸収性コアラップから実質的に全く漏れ出さないように、その前側部480、後側部282、及び2つの長手方向側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止されてもよい。
図34に示されるように、第1の材料、基材、又は不織布216は、第2の材料、基材、又は不織布216’を少なくとも部分的に包囲して、コアラップを形成してもよい。第1の材料216は、第2の材料の216’の、第1の側縁部284及び第2側縁部286に近接した一部分を包囲してもよい。
【0109】
吸収性コアは、例えば、コアラップ内でSAPが動かないようにするのを助けるため、かつ/又は、特にコアラップが2つ以上の基材から作られている場合にコアラップの一体性を確保するため、接着剤を含み得る。接着剤は、例えばH.B.Fullerから供給されるホットメルト接着剤であってもよい。コアラップは、吸収性材料を内部に収容するために厳密に必要とされるよりも広い面積に延在してよい。
【0110】
吸収性材料は、コアラップ内に存在する連続層であってよい。あるいは、吸収性材料は、コアラップ内に封入された吸収性材料の個々のポケット又はストリップ(stripes)からなってよい。第1の事例では、吸収性材料は、例えば、吸収性材料の単一の連続層を適用することによって得ることができる。吸収性材料、特にSAPの連続層は、不連続的な吸収性材料の適用パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによっても得ることができ、結果として得られる層は、例えば米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されるように、吸収性粒子状ポリマー材料領域の全体にわたって実質的に連続的に分布している。吸収性コア228は、第1の吸収性層と第2の吸収性層とを備えてもよい。第1の吸収性層は、第1の材料216と、100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第1の層261と、を備え得る。第2の吸収性層は、第2の材料216’と、やはり100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第2の層262と、を備え得る。吸収性コア228はまた、吸収性材料261、262の各層を、それぞれの材料216又は216’に少なくとも部分的に結合する、繊維状の熱可塑性接着剤材料251を含んでよい。これは、一例として
図34~
図35に例示されており、図中、第1及び第2のSAP層は、横断ストライプ、つまり「ランド領域」として適用されており、これらは、組み合される前に、それぞれの基材上の所望の吸収性材料堆積領域と同じ幅を有するものである。ストライプは、コア280の長手方向軸線に沿って記載される坪量を提供するために異なる量の吸収性材料(SAP)を含み得る。第1の材料216及び第2の材料216’は、コアラップを形成することができる。
【0111】
繊維状の熱可塑性接着剤材料251は、ランド領域において、吸収性材料261、262と少なくとも部分的に接触していてよく、また、接合領域において、材料216、216’と少なくとも部分的に接触していてよい。これによって、それ自体では長さ及び幅方向の寸法と比べると相対的に厚みが薄い、本質的に二次元の構造である熱可塑性接着剤材料251の繊維層に、本質的に三次元の構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、吸収性材料のランド領域を被覆するキャビティを提供することができ、それによって100%以下のSAPであり得るこの吸収性材料を固定化させる。
【0112】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、SAPが膨潤するにつれて、繊維によってSAP層上に形成されたウェブを伸張させることができるように、エラストマー特性を有してもよい。
【0113】
超吸収性ポリマー(SAP)
本開示で有用なSAPとしては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収することができる、種々の水膨潤性ポリマーを挙げることができる。
【0114】
超吸収性ポリマーは、乾燥状態において流動性があるように、粒子形態であってよい。粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーで作られ得る。しかしながら、澱粉系の粒子状吸収性ポリマー材料、並びに、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフトコポリマーも使用できる。
【0115】
SAPは多様な形状であり得る。用語「粒子」は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態を指す。SAP粒子は、繊維の形状、すなわち、細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であり得る。繊維はまた、織布であり得る長フィラメントの形態であってもよい。SAPは、球状粒子であってもよい。吸収性コアは、1つ以上のタイプのSAPを含んでもよい。
【0116】
大部分の吸収性物品の場合、特におむつの場合、着用者からの液体排出は、主に吸収性物品の前半部で発生する。したがって、物品の前半部(前縁部と前側腰部縁部210又は後側腰部縁部212からLの半分の距離に位置する横断線との間の領域によって画定される)は、コアの吸収能力の大半を備え得る。したがって、SAPの少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%、80%、若しくは85%が、吸収性物品の前半部に存在し得、残りのSAPは吸収性物品の後半部に配置され得る。あるいは、SAPの分布は、コア全体で均一であってもよく、又は他の適した分布を有してもよい。
【0117】
また、吸収性コア内に存在するSAPの合計量は、想定される使用者によっても変動し得る。新生児用のおむつは、乳幼児用、小児用、又は成人用失禁おむつと比較して、必要なSAPが少ない場合がある。コア中のSAPの量は、約5~60g、又は5~50gであり得る。SAPの堆積領域8内の(又は複数存在する場合は「少なくとも1つの」堆積領域8の)平均SAP坪量は、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m2、又はそれ以上となり得る。吸収性材料堆積領域8内に存在するチャネル(例えば、226、226’、227、227’)の面積を吸収性材料堆積領域から推定して、この平均坪量を算出する。
【0118】
コアラップ
コアラップは、吸収性材料の周りに折り重ねられた単一の基材、材料、又は不織布で形成されてよく、あるいは互いに取り付けられた2つ(又はそれ以上)の基材、材料、又は不織布を含むものとしてもよい。一般的な取り付け方法は、いわゆるCラップ及び/又はサンドイッチラップである。例えば
図29及び
図34に示すように、Cラップでは、一方の基材の長手方向縁部及び/又は横方向縁部を他方の基材に折り重ねてフラップを形成する。次に、これらのフラップは、通常は糊剤接着によって、他方の基材の外表面に結合される。
【0119】
コアラップは、吸収性材料を受容し収容するのに適した任意の材料によって形成されてもよい。従来のコアを生産するのに使用される一般的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体若しくは複合材料が使用されてもよい。
【0120】
また、基材は通気性であってもよい(液体透過性又は流体透過性に加えて)。したがって、本明細書において有用なフィルムは微細孔を含み得る。
【0121】
コアラップは、吸収性材料がコアから実質的に漏れ出さないように、吸収性コアの全ての側部に沿って少なくとも部分的に封止されてもよい。「吸収性材料が実質的にない」とは、コアラップから漏れ出る吸収性材料が5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は約0重量%であることを意味する。「封止」という用語は、広義に理解されるべきである。封止は、コアラップの周辺部全体に沿って連続的である必要はないが、線上で離間された一連の封止点によって形成されるなど、その一部又は全体に沿って不連続であってもよい。封止は、糊剤接着及び/又は熱接着によって形成され得る。
【0122】
コアラップが2つの基材216、216’によって形成される場合、4つの封止を用いて吸収性材料260をコアラップ内に封入することができる。例えば、第1の基材216は、コアの1つの面上(
図33~
図35に示される上面)に配置され、コアの反対の底面を少なくとも部分的に包み込むようにコアの長手方向縁部の周りに延在してよい。第2の基材216’は、第1の基材216の包み込まれたフラップと吸収性材料260との間に存在してよい。強力な封止をもたらすために、第1の基材216のフラップを第2の基材216’に糊剤接着してよい。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ式の封止と比較して、湿潤負荷状態での耐破裂性の改善などの利点を提供することができる。次に、コアラップの前側部及び後側部も、第1の基材及び第2の基材を互いに糊剤接着することによって封止されて、コアの周辺部全体にわたる吸収性材料の完全な封入をもたらしてもよい。コアの前側部及び後側部に関しては、第1及び第2の基材が延在してもよく、実質的に平面方向で互いに接合されて、これらの縁部にいわゆるサンドイッチ構造を形成してもよい。いわゆるサンドイッチ構造では、第1及び第2の基材はまた、コアの全側部において外側に延在してよく、一般的には糊剤接着及び/又は熱接着/圧力接着によって、コアの周辺部の全体若しくは一部に沿って平坦に、又は実質的に平坦に封止されてよい。一例では、第1及び第2の基材のどちらも形状を成形する必要がないため、製造を簡易にするために矩形に切断されてもよいが、その他の形状も本開示の範囲内である。
【0123】
コアラップはまた、吸収性材料を風呂敷包み状に封入し、コアの前側部及び後側部、並びに一方の長手方向封止部に沿って封止され得る、単一の基材によって形成されてもよい。
【0124】
SAP堆積領域
吸収性材料堆積領域208は、吸収性コアの上面から見られるように、コアラップ内の吸収性材料260によって形成される層の周辺部によって画定され得る。吸収性材料堆積領域208は、コアの中央、つまり「股部」領域に向かってその幅に沿ってテーパーを示す、様々な形状、特にいわゆる「犬の骨」又は「砂時計」形状を有してもよい。このように、吸収性材料堆積領域8は、
図28に図示されるように、吸収性物品の股部領域内に配置されるように意図されたコアの領域で比較的狭い幅を有し得る。これにより、着用時の快適性をより高めることができる。また、吸収性材料堆積領域8は、例えば、
図31~
図33に示されるように、概ね矩形であってもよいが、矩形、「T」、「Y」、「砂時計」、又は「犬の骨」形状などの他の堆積領域も、本開示の範囲内である。吸収性材料は、比較的高速で比較的精密なSAPの堆積を可能にし得る任意の好適な技術を用いて堆積することができる。
【0125】
チャネル
吸収性材料堆積領域208は、
図28及び
図29に示されるように、物品280の長手方向に少なくとも部分的に向けられた(すなわち、長手方向のベクトル成分を有する)少なくとも1つのチャネル226を備え得る。他のチャネルは、横方向の向きに(すなわち、横方向ベクトル成分を有する)、又はその他の任意の方向に少なくとも部分的に向けられてもよい。以下、「チャネル」が複数形で用いられる場合は、「少なくとも1つのチャネル」を意味する。チャネルは、物品の長手方向軸線280上で突出する、物品の長さLの少なくとも10%である長さL’を有し得る。チャネルは、様々な方法で形成されることができる。例えば、チャネルは、吸収性材料、特にSAPを実質的に含まないか、又は全く含まなくてもよい、吸収性材料堆積領域208内の区域によって形成され得る。別の例では、チャネルは、コアの吸収性材料がセルロース、エアフェルト、SAP、又はこれらの組み合わせを含み、チャネルが吸収性材料、特にSAP、セルロース、又はエアフェルトを実質的に含まないか、又は含まなくてもよい吸収性材料堆積領域208内の区域によって形成され得る。更に又は代わりに、チャネルはまた、吸収材料堆積領域208を介してコアラップの上面をコアラップの底面に連続的又は不連続的に結合することによって形成され得る。チャネルは連続的であってよいが、チャネルが断続的であり得ることも考えられる。捕捉-分配システム若しくは層250、又は物品の別の層は、吸収性コアのチャネルに対応しても又はしなくてもよいチャネルを更に備え得る。
【0126】
場合によっては、2つの長手方向に延在するチャネル226、226’で
図28に示すように、チャネルは、吸収性物品の股部の点C又は横方向軸線260と少なくとも同じ長手方向の高さに存在し得る。また、チャネルは、股部領域207から延在してもよく、あるいは物品の前側腰部領域205及び/又は後側腰部領域206内に存在してもよい。
【0127】
吸収性コア228もまた、2つより多く、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれより多くのチャネルを備えてもよい。より短いチャネルが、例えばコアの後側腰部領域206又は前側腰部領域205において、物品の前側部に向かう
図28のチャネル227、227’の対によって表されるように、更に存在してもよい。チャネルは、対称に配置されるか、ないしは別の方法で長手方向軸線280に対して配置された、チャネルの1つ以上の対を備え得る。
【0128】
チャネルは、非矩形(に成形された)コアを使用することが不利になる程度までコアの可撓性を改善させ得るので、吸収性材料堆積領域が矩形のとき、チャネルは吸収性コア内で特に有用となり得る。当然ながら、チャネルは、成形された堆積領域を有するSAP層内にも存在してよい。
【0129】
チャネルは、完全に長手方向に向けられ長手方向軸線と平行であってもよく、あるいは完全に横方向に向けられ横方向軸線と平行であってもよいが、少なくとも部分的に湾曲してもよい。
【0130】
流体が漏出するリスクを低減するために、長手方向の主チャネルは、吸収性材料堆積領域208のいずれかの縁部に至るまで延在しなくてもよく、したがって、コアの吸収性材料堆積領域208内に完全に包囲され得る。チャネルと吸収性材料堆積領域208の最も近い縁部との間の最小距離は、少なくとも5mmであり得る。
【0131】
チャネルはその長さの少なくとも一部に沿って、例えば少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mmから最大で例えば20mm、16mm、又は12mmの幅Wcを有し得る。チャネルの幅は、チャネルの実質的に全長にわたって一定であってもよく、あるいはその長さに沿って変化してもよい。チャネルが吸収性材料堆積領域208内の吸収性材料非存在区域によって形成される場合、チャネルの幅は材料非存在区域の幅であると見なし、チャネル内に存在する可能性のあるコアラップは度外視する。チャネルが吸収性材料非存在区域によって形成されるのではなく、例えば主として、吸収性材料区域を通じたコアラップの結合によって形成される場合、チャネルの幅はこの結合部の幅となる。
【0132】
チャネルの少なくともいくつか又はその全てが恒久的なチャネルであってもよく、これはつまり、乾燥状態及び湿潤状態の両方でその完全性が少なくとも部分的に維持されることを意味する。恒久的なチャネルは、例えば、チャネルの壁内で基材を吸収性材料と接着する助けとなる、接着剤材料の繊維層又は構造用糊剤など、1つ以上の接着剤材料を提供することによって得ることができる。恒久的なチャネルはまた、チャネル全体を通して、コアラップの上側部及び下側部(例えば、第1の基材216及び第2の基材216’)、並びに/又はトップシート224及びバックシート225を互いに結合することによって形成されてもよい。典型的には、チャネルを通してコアラップの両側、又はトップシートとバックシートとを結合するために接着剤が用いられ得るが、圧着結合、超音波結合、熱結合、又はこれらの組み合わせなどの他の既知のプロセスによる結合も可能である。コアラップ、又はトップシート224及びバックシート225は、チャネルに沿って連続的に結合されてもよいし断続的に結合されてもよい。吸収性物品が完全に流体で満たされたとき、チャネルは有利には、少なくともトップシート及び/又はバックシートを通して可視状態を維持するか、又は可視状態となってもよい。これは、膨潤しないようにチャネルにSAPを実質的に含有させない、また湿潤時に閉じることがないようにチャネルを十分に大きくすることによって得ることができる。更に、チャネルを通してコアラップをそれ自体に結合させるか、又はトップシートをバックシートに結合させることが、有利となり得る。
【0133】
バリアレッグカフ
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34を備えてもよい。各バリアレッグカフは、吸収性物品に結合される一片の材料によって形成され得るため、吸収性物品の着用者に面する表面から上方向に延在することができ、また、着用者の胴体と脚部との接合部付近で流体及びその他の排泄物の改良された封じ込めをもたらすことができる。バリアレッグカフは、トップシート224及び/又はバックシート225と直接的又は間接的に接合された近位縁部64と、着用者の皮膚に接触して着用者の皮膚と封止を形成するように意図された自由端縁部266と、によって境界を定められる。バリアレッグカフ234は、長手方向軸線280の両側上で、吸収性物品の前側腰部縁部210と後側腰部縁部212との間に少なくとも部分的に延在し、かつ少なくとも股部の点(C)又は股部領域の高さに存在する。バリアレッグカフは、糊剤接着、溶融結合、又はその他の好適な結合プロセスの組み合わせによってなされ得る結合部265によって、近位縁部264で物品のシャーシと接合され得る。近位縁部264での結合部265は、連続的であっても断続的であってもよい。レッグカフの隆起区間と最も近接する結合部265は、レッグカフの立ち上がり区間の近位縁部264の境界を定める。
【0134】
バリアレッグカフは、トップシート224又はバックシート225と一体であってもよいか、又は物品のシャーシに接合された別々の材料であってもよい。各バリアレッグカフ234は、より良好な封止を提供するために、自由端縁部266付近に1つ、2つ、又はそれ以上の弾性ストリング235を備え得る。
【0135】
バリアレッグカフ234に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート224及び/又はバックシート225に接合され、かつバリアレッグカフに対して外方に設置された、ガスケットカフ232を備え得る。ガスケットカフ232は、着用者の大腿の周りにより良好な封止部を設けることができる。各ガスケットレッグカフは、吸収性物品のシャーシ内のトップシート224とバックシート225との間の脚部開口部の領域に、1つ以上の弾性ストリング又は弾性要素233を備え得る。バリアレッグカフ及び/又はガスケットカフの全部又は一部を、ローション又は別のスキンケア組成物で処理してもよい。
【0136】
捕捉-分配システム
本開示の吸収性物品は、捕捉-分配層又はシステム250(「ADS」)を備え得る。ADSの1つの機能は、流体のうちの1つ以上を迅速に捕捉し、これらを効率的に吸収性コアに分配することである。ADSは、1つ、2つ、又はそれ以上の層を備えてもよく、これらの層は一体の層を形成してもよく、あるいは、互いに取り付けられ得る個別の層のままでもよい。1つの例において、ADSは、2つの層、つまり吸収性コアとトップシートとの間に配置される分配層254及び捕捉層252を備え得るが、本開示はこのようには限定されない。
【0137】
1つの例において、本開示の高ロフトの三次元不織布材料は、トップシート及び捕捉層を積層体として含んでもよい。分配層はまた、トップシート/捕捉層の積層体の衣類に面する側に提供されてもよい。
【0138】
キャリア層
本開示の高ロフトの三次元不織布材料がトップシート及び捕捉層の積層体を包含する場合において、分配層は、1つ以上の不織布材料又はその他の材料を含み得るキャリア層(図示せず)によって支持される必要がある場合がある。分配層は、キャリア層に適用されるか、又はキャリア層上に位置付けられ得る。このような構成であることから、キャリア層は捕捉層と分配層との中間に位置付けられてよく、捕捉層及び分配層と面する関係にあってよい。
【0139】
分配層
ADSの分配層は、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮、加撚、若しくはカールされてもよく、又は捲縮、加撚、及びカールを含むこれらの組み合わせであってもよい。このタイプの材料は、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されている。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ条件下又は(例えば着用者の体重を受ける)使用条件下での圧縮に対する高い反発力、したがって高い耐性を第1の吸収性層に付与する。これによって、より高い空隙容積、透過性、及び液体吸収性がコアに付与されるため、漏れが減少し乾燥度が改善され得る。
【0140】
本開示の架橋セルロース繊維を含む分配層は、他の繊維を含み得るが、有利には、この層は、層の少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100%の架橋セルロース繊維(架橋剤を含む)を含み得る。
【0141】
捕捉層
本開示の三次元不織布材料が吸収性物品のトップシートとしてのみ提供される場合、ADS250は捕捉層252を含み得る。捕捉層は、分配層254とトップシート224との間に配置され得る。かかる場合において、捕捉層252は、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は代替として、カーディングを施された短繊維の化学接着された不織布を含む、親水性のSMS又はSMMS材料などの不織布材料であってもよいし、又はそのような不織布材料を含んでもよい。不織布材料は、ラテックス結合されてもよい。
【0142】
締結システム
吸収性物品は締結システムを含んでもよい。締着システムは、テープ式おむつでは典型的であるように、吸収性物品の外周の周りに横方向の張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。トレーニングパンツ物品の腰部領域は既に結合されているので、この締結システムはこれらの物品の場合は必須ではない場合もある。締結システムは、例えば、テープタブ、フックとループの締結要素、タブ及びスロットのような係合締結具、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体締結要素などの締結具を含んでよいが、他の任意の好適な締結機構も、本開示の範囲内である。通常、ランディングゾーン244は、締着具が着脱自在に取り付けられるように、前側腰部領域205の衣類に面する表面上に設けられる。
【0143】
前耳部及び後耳部
吸収性物品は、前耳部246と後耳部240とを備え得る。耳部は、トップシート224及び/又はバックシート226からサイドパネルとして形成されるような、シャーシと一体になった部分であり得る。あるいは、
図28に示すように、耳部は、糊剤接着、熱エンボス加工、及び/又は圧力接着により取り付けられる別個の要素であってもよい。タブ242をランディング区域244に容易に取り付け、テープ付きおむつを着用者の腰部周りの定位置に保つために、後耳部240は伸縮可能であってよい。後耳部240はまた、弾性の耳部によって吸収性物品の側部を伸縮させることができるので、最初に吸収性物品を着用者にぴったりとフィットさせ、続いて、吸収性物品が流体又は他の身体排泄物で充填されてからかなりの時間が過ぎたときに、着用時間全体を通じてこのフィットを維持することにより、より快適で、体型に合ったフィットをもたらすように、弾性又は伸長可能であってもよい。
【0144】
弾性腰部機構
吸収性物品220はまた、改善されたフィット性及び封じ込めを提供するうえで役立つ、少なくとも1つの弾性腰部機構(図示せず)を備え得る。弾性腰部機構は、概して、弾性的に伸縮して、着用者の腰部に動的にフィットすることが意図されている。弾性腰部機構は、吸収性コア228の少なくとも1つの腰部縁部から少なくとも長手方向外方に延在し、吸収性物品の端縁部の少なくとも一部分を概ね形成してもよい。使い捨ておむつは、2つの弾性腰部機構を有するように構成され得、一方は、前側腰部領域に位置付けられ、他方は、後側腰部領域に位置付けられる。
【0145】
色シグナル
1つの形態において、本開示の吸収性物品は、異なる層又はその一部分に異なる色を有することができる(例えば、トップシートと捕捉層、トップシートと不織布コアカバー、トップシートの第1の部分と第2の部分、捕捉層の第1の部分と第2の部分)。異なる色は、同じ色の濃淡(例えば、濃い青色と薄い青色)であってもよく、又は実際に異なる色(例えば、紫色と緑色)であってもよい。異なる色は、例えば、約1.5~約10、約2~約8、又は約2~約6の範囲のΔEを有することができる。他のΔEの範囲もまた、本開示の範囲内である。
【0146】
1つの例では、吸収性物品の異なる層同士を着色接着剤を使って接合することができる。着色接着剤は、任意の適切な層(複数可)上に所定のパターンで配置することができる。接着剤のパターンは、トップシートのパターンを補うものであってもそうでなくてもよい。そのようなパターンは、吸収性物品の視覚的な奥行きを大きくすることができる。場合によっては、着色接着剤は青色とすることができる。
【0147】
他の例においては、いずれかの層が、吸収性物品の外見、奥行きの印象、吸収性の印象、又は品質の印象の助けとなる印刷インクなどの標示を含んでもよい。
【0148】
他の例では、色は、吸収性物品の構成要素として用いられる不織布10の三次元特徴部のパターンと相補的であるか又は位置合わせされたものでもよい。例えば、三次元特徴部の視覚的に区別されるパターンの第1の区域及び第2の区域を有する布には、布10の外見を強調する、目立たせる、対比する、又は他の形で変えるための色が印刷されてもよい。色の強調は、吸収性物品の使用者に使用時の不織布10の特定の機能特性を伝えるうえで効果的であり得る。したがって、色は、1つの構成要素又は複数の構成要素の組み合わせにおいて、構造的な三次元特徴部と組み合わせて使用することによって、視覚的に目立つ吸収性物品を与えることができる。例えば、副次的なトップシート又は捕捉層に、吸収性物品のトップシートとして用いられる布10の三次元特徴部のパターンを補う色(複数可)のパターンを印刷してもよい。別の例は、1)チャネルを有する吸収性コア、2)コアのチャネル(複数可)と位置合わせ又はチャネルを強調する三次元パターンを有するトップシート、及び3)コアのチャネル(複数可)の機能的特徴及び吸収性物品の全体的性能を更に強調するためにトップシート観測面(身体に接触する表面)又はバックシート観測面(衣類に面する表面)から視認可能な図柄、着色要素、印刷インク、又は標示を有する吸収性物品である。
【0149】
本開示の新規な態様の更なる特性評価は、視覚的に区別可能な区域内の三次元特徴部に注目することによって行うことができる。上記に述べた区域110、120、及び130などの各区域については、微小区域に関連して更に説明することができる。微小区域は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を有する、1つの区域内の不織布10の一部分であり、これら2つの領域間には共通の示強的性質の差が存在する。微小区域は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を有する、2つ以上の区域の境界部と交差する不織布10の一部分を構成することができ、これら2つの領域間には共通の示強的性質の差が存在する。
【0150】
本開示において微小区域を考慮する利点は、上記に述べたような区域110、120、及び130などの区域での平均の示強的性質の差以外に、本開示はまた、区域内の三次元特徴部によって画定される各領域間の実際の、及び/又は平均の示強的性質の差を有し、布を生産するために使用される形成ベルトのデザインに従って三次元特徴部が正確に配置されている布も提供するものであることを説明することにある。三次元特徴部の各領域間の示強的性質の差により、機能的利点ばかりでなく、更なる視覚的効果も与えられる。各領域間の明瞭な視覚的コントラストは、1つの区域内及び複数の区域間で極めて良好な視覚的に明瞭なデザインを与えることができる。同様に、正確に製造された形成ベルトによって得られる領域の正確な配置によって、各区域の優良かつ調整された柔軟性、強度、及び流体処理特性を与えることができる。よって、本発明は、一実施形態において、各区域間の平均の示強的性質の差と、同時に微小区域を構成する領域の示強的性質の差との組み合わせを提供するものである。
【0151】
三次元特徴部によって画定される領域は、
図38及び
図39を参照して理解することができる。
図38は、本開示による布10の一部分の光学顕微鏡画像を示したものであり、
図39は、
図38に示される布の一部分の断面の走査型電子顕微鏡写真(scanning electron micrograph、SEM)である。すなわち、
図38及び
図39は、布の普通なら視覚的に区別可能な特徴部のより正確な説明のために拡大された不織布10の一部分を示したものである。
図38に示される不織布10の一部分は、CD方向に約36mmであり、以下で考察されるように少なくとも3つの視覚的に区別される区域の部分を呈する。
【0152】
不織布10の1つのパターンの一部分を示す
図38及び
図39において、第1の区域110(
図38の左側)は、変化する幅の第2の領域310のMD方向の列によって分離された、変化する幅の第1の領域300の概ねMD方向の列によって特徴付けられる。第1の領域は、第1及び第2の領域300、310を画定する三次元特徴部20でもある。一実施形態では、三次元特徴部は、本明細書では第1の領域300である、形成ベルトの隆起要素の間又はその周囲に形成された不織布10の一部分であり、得られる構造はZ方向において比較的大きな寸法を有する。隣接する第2の領域310は、通常は第1の領域300と共通の示強的性質を有しており、一実施形態では、比較的小さい厚さ(すなわち、Z方向において、より小さい寸法)の値を有する。上記に述べた第1の表面16の平面に対するZ方向の相対寸法を
図39に見ることができる。絶対寸法は重要ではないが、寸法の差は、拡大することなく不織布10上で視覚的に区別可能であり得る。
【0153】
本開示の発明は、微小区域内の三次元特徴部によって画定される領域に対して最もよく表される有用な特徴を可能とする。例えば、
図38に示されるように、各三次元特徴部20内の区域110内では、第1の領域300と第2の領域310との間に可視的な区別がある。上述したように、可視的な区別は、拡大なしで不織布10内に存在し得、本明細書で使用される拡大図は、明確な開示の目的のためである。第1の領域300と第2の領域310との間の境界部にわたって充分に延びていることにより、それぞれの示強的性質の差がその領域内にあるものと見なすことができるいずれの領域も、微小区域となり得る。更に、ある構造の光学顕微鏡像又はマイクロCT画像を用いて各領域の位置及び微小区域の面積を確立することができる。
【0154】
図38に示される不織布10の部分は、隣接領域間の示強的性質の差が区域全体にわたる差であり得るという点で、布10の別の有用な特徴を更に示している。したがって、区域120の第2の領域310及び区域130の第1の領域300を含む領域にわたる微小区域を識別することができる。
図38及び
図39に示される不織布10を含む特定の実施形態では、微小区域内の領域によって示される示強的性質の差は、区域境界が区域内の領域によって示される示強的性質の差とは大きさが大きく異なり得ることを示す。
【0155】
特定の微小区域がどの区域又はどの区域境界部を含むかにかかわらず、三次元特徴部は三次元特徴部によって画定される各領域の示強的性質の差によって特徴付けることができる。一般的に、本開示の不織布は、第1の表面の平面を画定する第1の表面を有するスパンボンド不織布であり得る。布は、それぞれが第1の領域及び第2の領域を画定する複数の三次元特徴部を有することができ、各領域は、それらの間で異なる値を有する共通の示強的性質を有する。一実施形態において、第1の領域は、第1の表面の平面に対して第2の領域よりも高い高さにあり、したがって、各領域の共通の厚さの示強的性質の差を示すものとして区別することができる。これら2つの領域は、異なる密度、坪量、及び体積密度を有するものとして区別することもできる。すなわち、2つの領域は、スパンボンド不織布の微小区域内で厚さ、密度、坪量、及び体積密度などの性質を含む共通の示強的性質に関して異なるものとして区別することができる。一実施形態では、微小区域の一方又は両方の領域を流体透過性とすることができる。一実施形態では、微小区域のより高密度の領域を流体透過性とすることができる。
【0156】
例えば、
図38に示される布の部分の区域110内には、第1の領域300及び第2の領域310の少なくとも2つの領域を画定する三次元特徴部20が存在し得る。
図38に示される区域110の第1の領域と第2の領域との間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、274マイクロメートル、1gsm、及び0.437g/ccであり得る。
【0157】
同様に、例えば
図38に示される布の部分の区域130内には、第1の領域300及び第2の領域310の少なくとも2つの領域を画定する三次元特徴部20が存在し得る。
図38に示される区域130の第1の領域と第2の領域との間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、2083マイクロメートル、116gsm、及び0.462g/ccであり得る。
【0158】
更に、例えば
図38に示される布の部分の区域120内には、第1の領域300及び第2の領域310の少なくとも2つの領域を画定する三次元特徴部20が存在し得る。
図38に示される布の部分の第1の領域と第2の領域との間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、204マイクロメートル、20gsm、及び0.53g/ccであり得る。示される実施形態では、区域120は、不織布10の非拡大図において、区域110と130との間の縫い合わされた境界部として見えているものを形成している。
【0159】
更に、例えば
図38に示される布の部分の区域120と130との間の境界部を含む区域では、区域130内の第1の領域300及び区域120内の第2の領域310の少なくとも2つの領域が存在している。
図38に示される布の部分の第1の領域と第2の領域との間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、2027マイクロメートル、58gsm、及び0.525g/ccであり得る。
【0160】
微小区域について、
図40~
図42、及び
図44に示されるデータを参照してより詳細に説明する。
図40~
図42は、
図38に示される不織布10の一部分と同様のパターンを有する不織布10の一部分のマイクロCTスキャンである。マイクロCTスキャンは、
図38に示されるものと同じ特徴部を若干異なる形で、かつ示強的性質の極めて正確な測定を可能とする形で説明することを可能とするものである。
【0161】
図40に示されるように、区域110、120、及び130は、それぞれの三次元特徴部20と共に明瞭に見えている。
図40及び
図41に示されるように、三次元特徴部は暗色部分であり、また、暗色は三次元特徴部20の第1の領域300も表しており、隣接する明色部分は三次元特徴部20の第2の領域310である。
【0162】
マイクロCTスキャンは、画像を
図41の切断面450によって示されるように「切断された」断面として示すことを可能とする。切断面は画像のどこに位置してもよいが、本開示の目的では、切断面450は、
図42の断面画像が得られるように、Z軸に実質的に平行な断面で切断している。
【0163】
マイクロCT技術によって示強的性質の正確かつ直接的な測定が可能である。厚さの測定は、
図42に示される断面のように、倍率に基づいて画像化された断面から直接行うことができる。更に、第1の領域と第2の領域との間の色の差は、坪量、体積密度、及び他の示強的性質の差を表し、かつこれに比例しており、これらも同様に直接測定することが可能である。マイクロCT法については、以下の試験法の項で説明する。
【0164】
図43は、
図40及び
図41に示される不織布10の部分のマイクロCTスキャン画像である。不織布10の番号付けされた部分として示される特定の第1及び第2の領域を用いて、分析を行うことができる。
図43において、特定の領域を手入力で選択し、分析を行って、厚さ、坪量及び体積密度を測定し、データを
図44に示す。
【0165】
図44は、
図44に示される3つの区域内で行った第1及び第2の領域の測定値のグループ分けのデータを示している。X軸は、
図43の番号付けされた領域に対応する数字を有する領域である。第1の領域の測定値はFn(例えば、F1)として表示され、第2の領域の測定値はSn(例えば、S1)として表示されている。したがって、領域1~5は第1の領域F1であり、各々区域110内にある。領域6~10は第2の領域S1であり、やはり区域110内にある。同様に、第1の領域F2は区域120内の領域16~20であり、領域11~15及び21~25は区域120内の第2の領域S2である。最後に、領域31~35は区域130内の第1の領域F3であり、領域26~30は区域130内の第2の領域S2である。番号付けされた各領域は、
図44の3つのグラフの全てで同様に示されているが、簡略化のために、区域110、120、及び130は厚さのマップにのみ示されている。
【0166】
図44に示されるグラフは、任意の1つの区域内の第1の領域と第2の領域との間の示強的性質の差の大きさをグラフで表したものであり、これらのグラフを使用して、微小区域を構成する領域の各対について示強的性質の差をグラフで見ることができる。例えば、区域110において、2つの領域間で坪量は実質的に同じであり得るが、厚さ(キャリパー)は、第1の領域の約400マイクロメートル~第2の領域の約40マイクロメートルで変化し得る(すなわち約10Xの差)。区域110内の体積密度は、約0.1g/cc~約0.6g/ccで変化し得る。同様の定量化可能な差異は、図に示された区域のそれぞれについて理解することができる。
【0167】
したがって、
図43及び
図44を合わせて参照すると、本開示の布10の有用な構造の更なる特性評価を理解することができる。不織布10は、少なくとも2つの視覚的に区別される区域、例えば、区域110及び120を有するものとして述べることができ、これらの区域のそれぞれは三次元特徴部のパターンを有しており、三次元特徴部のそれぞれは、第1及び第2の領域、例えば、領域300、310を含む微小区域を画定し、第1の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける値の差は、第2の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける値の差とは定量化可能に異なっている。例えば、
図43において、区域130内の2つの代表的な微小区域400は、領域31と27、及び領域33と26として示される領域の対として指定されている。すなわち、第1の領域31及び第2の領域27が1つの微小区域を形成し、第1の領域33及び第2の領域26が1つの微小区域を形成している。同様に、区域120内の2つの代表的な微小区域400が、領域19と24、及び領域17と22として示される領域の対として指定されている。
図44から、以下に示されるような表4~表7を得ることができる。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
2つの区域からの4つの代表的な微小区域を、説明のために表4~6に示す。しかしながら、理解されるように、
図43の第1及び第2の領域の各対も同様に、表4の追加的な列を更に構成するように定量化することもできるが、説明を簡潔にする目的でそうしていない。一般的に、微小区域を画定する三次元特徴部のパターンをそれぞれが有する2つ以上の区域を有する任意の布において、
図43及び
図44を参照して本明細書に示されるように示強的性質を測定して表にまとめることで、1つの区域内の示強的性質の値の差、及び第1の区域内の1つの領域と第2の区域内の別の領域との間の示強的性質の値の差の両方を理解することができる。
【0173】
区域110及び区域130のような2つの区域にわたる微小区域は、1つの区域内の微小区域と比較して、より大きな示強的性質の差を有し得る。例えば、区域130の第1の領域(例えば第1の領域32)と、区域110の第2の領域(例えば第2の領域8)とにわたる微小区域のデータを見ると、この微小区域は、厚さ、坪量及び体積密度の全てにおいて顕著な差を呈している。区域130の第1の領域32の厚さが約2100マイクロメートルであるのに対して、区域110の第2の領域8の厚さは約29マイクロメートルである(すなわち約72Xの差)。同様に、区域130の第1の領域32の坪量は150gsmと高い値となり得るのに対して、区域110の第2の領域8の坪量は約14gsmであり得る(すなわち約10Xの差)。更に、区域130の第1の領域32の体積密度は約0.069g/ccとなり得るのに対して、区域110の第2の領域8の体積密度は0.492g/ccであり得る(すなわち約7Xの差)。
【0174】
1つの微小区域の異なる領域の測定された示強的性質のパラメータの各々について、本明細書に述べられるマイクロCT法を用いてこのような測定を行う。この方法の解像度は、微小区域の領域の示強的性質を確立することを支持するため、本明細書に述べられる領域の差及び比の比較を表すことができる。
【0175】
不織布10及びその領域の特定の態様をより詳細に示すSEMである
図45~
図49を参照して布10の更なる特性評価を行うことができる。
図45~
図49は、
図38に示される布の区域110の拡大部分の写真図である。
図38に示される不織布10は、
図7を参照して上記に説明したプロセスに従って作製されたものであり、布は圧縮ロール70及び72によって形成されたニップに通されて加工され、第1の面12と接触するロール72が加熱されて第2の領域301内の繊維の部分的な接着をもたらす。
図45(ベルトに面する)及び
図46(加熱された圧縮ロールに面する)は、20倍に拡大された、それぞれ第2の表面14及び第1の表面12の一部分のSEMである。
図47(ベルトに面する)及び
図48(加熱された圧縮ロールに面する)は、90倍に拡大された、それぞれ第2の表面14及び第1の表面12の一部分の写真図であり、圧縮ロール70及び72によって形成された繊維の部分的な接着の有益な構造的特徴を詳細に示したものである。
【0176】
図47及び
図48、並びに
図49の断面図に最も分かりやすく見られるように、加熱された圧縮ロールは、異なる程度で繊維の熱接着を引き起こし、布10全体に有用な効果をもたらすことができる。図に示されるように、加熱されたロール(例えば布10の第1の表面12と接触しているロール70)と接触している繊維は溶融接着され得るため、第1の表面12は、第2の表面14よりも比較的高い繊維同士の接着を生じる。一実施形態では、第1の表面の接着繊維80は実質的に完全に溶融接着して接着繊維のフィルムスキンを事実上、形成し得るのに対して、第2の面14上の第2の領域310内の繊維は接着をほとんど、又はまったく生じない。この特徴のため、使い捨て吸収性物品の例えばトップシートとして使用される不織布10は、製造時及び使用時に物理的一体性を維持できるばかりでなく、使用者に面する皮膚接触面となり得る一方の側において比較的高い柔軟性を維持することができる。
【0177】
最も大きい厚さの差を有する微小区域であっても、この「接着皮膜」効果は、柔軟性、又は流体処理特性などの他の有益な特性に大きく影響することなく、ウェブの一体性を維持する役割を果たす。
図50~
図53を参照することで理解されるように、繊維の熱接着の程度の差は、第2の領域310における第1の表面12上の繊維が完全、又は実質的に完全であり得るようなものであるのに対して、第1の領域300における第2の表面14上の繊維の熱接着の程度は最小から熱接着なしであり得る。
【0178】
図50は、やはり
図38に示される不織布10の部分を示している。
図51~
図53は、視覚的には穴又は開口部のように見える、
図50において第1の領域300及び第2の領域310として示される1つの微小区域の拡大画像を示したものである。
図51及び
図52は、それぞれ40倍及び200倍に拡大された第2の表面14上に見られる微小区域を示している。
図53は、倍率200倍で第1の面12上に見られる第2の領域310を示している。第2の領域310内の繊維が完全に又は実質的に完全に接着されているのに対して、第1の領域300内の繊維は完全に又は実質的に完全に非接着状態である。図に示される構造の利点は、微小区域が流体透過性開口部として機能し得る一方で、同時に第2の領域310の接着領域が布10の物理的一体性を維持するように機能することである。
【0179】
したがって、微小区域は、本発明の布10の全体の物理的構造及び機能において重要な役割を果たす。本開示の形成ベルトによって実現される、比較的近い間隔の、正確に設計された三次元特徴部を生産することで、布10は、少なくとも柔軟性及び流体処理性の領域において優れた機能性を与えるばかりでなく、視覚的に魅力的な美的デザインを与える、視覚的に区別される区域、微小区域、及び三次元特徴部を呈することができる。第1の表面と第2の表面との物理的特性の潜在的な差により、強度及び柔軟性の両方、形態及び機能の両方の観点から不織布10を設計することが可能である。
【0180】
図54は、
図40及び
図41に示されるものと似ているが、カレンダーローラ71及び73のニップ内で点接着部90を形成する更なる加工工程に供された不織布10の部分のマイクロCTスキャン画像である。
図43及び
図44の説明に関する上記と同様に、特定の点接着部の微小区域400について、不織布10の番号付けされた部分として示される第1及び第2の領域を分析することができ、特に番号付けされた領域31~35において点接着部の領域を含み得る。例えば、隣接した領域32及び26は、第3の区域130内に微小区域400を形成している。
図54では、特定の領域は、付加された点接着領域を含む領域を識別するために視覚的に区別されており、これを解析して厚さ、坪量及び体積密度を測定し、データを
図55に示し、点接着領域を含む全ての領域の厚さ、坪量及び体積密度を定量化し比較した。
【0181】
図55は、
図54に示される3つの区域内で行った第1及び第2の領域の測定値のグループ分けのデータを示している。X軸は、
図43の番号付けされた領域に対応する数字を有する領域である。第1の領域の測定値はFn(例えば、F1)として表示され、第2の領域の測定値はSn(例えば、S1)として表示されている。したがって、領域1~5は第1の領域F1であり、各々区域110内にある。領域6~10は第2の領域S1であり、やはり区域110内にある。同様に、第1の領域F2は区域120内の領域16~20であり、領域11~15及び21~25は区域120内の第2の領域S2である。最後に、領域31~35は第2の領域であるが、
図55でB1として示される点接着部90であり、本開示においてこれらの点接着部90を点接着プロセスによって形成されたものとして区別している。区域130内の第1の領域F3は領域26~30及び36~40であり、領域41~44は区域130内の第2の領域S2である。番号付けされた各領域は、
図55の3つのグラフの全てで同様に示されているが、簡略化のために、区域110、120、及び130は厚さのマップにのみ示されている。
【0182】
図54に示されるグラフは、カレンダー加工による点接着工程に供された布の任意の1つの区域内の第1の領域と第2の領域との間の示強的性質の差の大きさをグラフで表したものであり、これらのグラフを使用して微小区域を構成する領域の対について示強的性質の差をグラフで見ることができる。例えば、区域110では、2つの領域間の坪量は、厚さ又は体積密度よりも狭い範囲内で変化し得ることが分かる。例えば、厚さ(キャリパー)は、区域110の第1の領域における約325マイクロメートル~第2の領域における約29マイクロメートルで変化し得る(すなわち約10Xの差)。区域110内の体積密度は、約0.08g/cc~約0.39g/ccで変化し得る。同様の定量化可能な差異は、図に示された区域のそれぞれについて理解することができる。
【0183】
一般に、微小区域の領域は、坪量、厚さ、及び体積密度について幅広く変化する値を有し得る。
【0184】
したがって、
図54及び
図55を合わせて参照すると、特に熱カレンダー点接着部90に関して、本開示の布10の有用な構造の更なる特性評価を理解することができる。説明の目的で区域130に注目すると、点接着された領域である第1及び第2の領域を含む微小区域を画定する三次元特徴部を識別し、示強的性質の値を定量化することができる。例えば、
図54において、区域130内の代表的な点接着微小区域400は、領域26と32、又は領域30と35として示される領域の対とすることができる。すなわち、第1の領域26及び第2の領域32が1つの点接着微小区域400を形成し、第1の領域30及び第2の領域35が1つの点接着微小区域400を形成している。
【0185】
点接着微小区域の特定の示強的性質の差は、
図55に見ることができる。例えば、上に記載される2つの点接着微小区域400(例えば、それぞれ、領域26と32及び領域30と35の2つの点接着微小区域400)を例にとると、第1の領域と第2の領域との間には約55~約60gsmの範囲の坪量のわずかな差があるが、その同じ領域が約430マイクロメートル~約460マイクロメートルから約125マイクロメートルの厚さの有意差、及び約0.13~0.14g/ccから約0.41~0.48g/ccの体積密度の有意差を呈することが分かる。示強的性質におけるその他の差は、
図55を参照して見ることができる。
【0186】
点接着部90は、本発明の布10の全体の物理的構造及び機能において重要な役割を果たし得る。本開示の形成ベルトによって実現される、比較的近い間隔の、正確に設計された三次元特徴部を含む布10に点接着部90を付加することにより、布10は、柔軟性、強度、低い毛羽立ち、及び流体処理性の高性能の組み合わせにおいて優れた機能性を与えるばかりでなく、視覚的に魅力的な美的デザインを与える、視覚的に区別される区域、微小区域、及び三次元特徴部の組み合わせを呈するように更に改良されることができる。接着点特徴部により、不織布10は、特に形態及び機能の両方を考慮した場合に、強度、柔軟性、液体処理性、及び視覚的美観の最も高い組み合わせ性能が得られるように設計される。
【0187】
本開示の成形不織布ウェブの1つの利点は、改善された柔軟性である。柔軟性は、Emtec Paper Testing Technology,Emtec Electronic,GmbHから入手可能なEmtec Tissue Softness Analyzerを使用して測定することができる。以下の表5は、以下のEmtec試験法に従った、Emtec Tissue Softness AnalyzerからのTS7測定値としての柔軟性値を示す。以下の実施例7~9の全てにおいて、
図16に記載のベルト上で不織布を作製し、不織布ウェブは
図2に示されるものと同様の外観を有するものとした。
【0188】
【実施例0189】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で、実施例2に関して上記に述べたように三葉型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布ウェブを生産した。不織布は、約25メートル/分の線速度で動く
図16で述べたような繰り返しパターンを有する形成ベルト上に紡糸して、
図2に示される菱形の繰り返しパターンを有する平均坪量25グラム/平方メートルの布地10を形成した。布の繊維は、圧縮ロール70、72によって圧縮したが、カレンダー加工ではなく、145℃の温度で、
図56に関して以下に述べるような通気結合ユニットによって更なる結合を得た。
【実施例0190】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(Borealisより入手したHG475FP)と、を30:70の比で、
図56で述べるように二重ビームスパンボンドプロセスを用いて丸型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産した。不織布は、
図7に関して上記に述べたようにして、約152m/分の線速度で動く
図16で述べた繰り返しパターンを有する形成ベルト上に平均坪量35g/m
2となるように紡糸して、
図2に示されるような菱形の繰り返しパターンを形成した。
図7のプロセスに従って製造された成形不織布ウェブと実施例8との相違は、実施例8が、
図7で述べたプロセスと以下の
図56で述べるプロセスとの組み合わせにより製造された点である。具体的には、このプロセスは、
図56に示されるような2個のスピンビームを用いるが、最終的な加熱工程は、通気結合ではなくカレンダーロール71、73により行った。布の繊維は、第1のビーム48Aの後で110℃に加熱された圧縮ロール70A及び72Aによって第1の表面12上に結合され、更に第2のビーム48Bの後で110℃の圧縮ロール70B及び72Bにより結合され、更にカレンダーロール71及び73で約140℃でカレンダー結合された後、巻き取り機75においてリールに巻き取られた。
【実施例0191】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(Borealisより入手したHG475FP)と、を30:70の比で、
図56で述べるように二重ビームスパンボンドプロセスを用いて丸型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を生産した。不織布は、約228m/分の線速度で動く
図16で述べた繰り返しパターンを有する形成ベルト上で平均坪量25g/m
2となるように紡糸して、
図2に示されるような菱形の繰り返しパターンを形成した。布の繊維は、第1のビーム48Aの後で110℃に加熱された圧縮ロール70A及び72Aによって第1の表面12上で更に結合され、更に第2のビーム48Bの後で110℃の圧縮ロール70B及び72Bにより結合され、更に通気接着機76(
図56に示される)の100℃、135℃及び135℃の3つの加熱区域において高温通気結合された後、巻き取り機75においてリールに巻き取られた。
【0192】
実施例7~9は、Emtec測定値によって示されるように、改良された柔軟性を示す本開示の成形不織布を代表するものである。Emtec測定値は、約1dB V2rms~約15dB V2rms、又は約3dB V2rms~約10dB V2rms、又は約5dB V2rms~約8dB V2rmsであり得る。一般に、第1の表面又は第2の表面のいずれかのEmtec測定値は、最大約15dB V2rmsの任意の整数値、及び1~15の任意の整数の範囲であり得る。更に、一般に、第2の面に対する第1の面のEmtec測定値の比は1~3であってよく、1~3の任意の実数であってよい。
【0193】
理論に束縛されるものではないが、本発明の成形不織布が呈する柔軟性の向上は、開示される区域及び微小区域などの比較的小さな区域において異なる示強的性質を可能にする本発明の方法及び装置によって実現されるものと考えられる。例えば坪量、密度、又は厚さにおける開示された相違を有する成形不織布を設計及び製造する一方で、例えば吸収性物品のトップシートに有用な固結された布を同時に与えることが可能であることにより、例えば、従来からの課題であった、表面テクスチャと柔軟性との間の技術的矛盾が解消される。すなわち、本開示の成形不織布は、不規則なパターンを含む視覚的に目立つ表面テクスチャと共に、Emtec測定値によって示されるような優れた柔軟性を提供することができる。更に、本開示の成形不織布は、視覚的に目立つ表面テクスチャと物理的一体性及び低い毛羽立ち特性との組み合わせを、Emtec測定値によって示されるような優れた柔軟性と共に提供することができる。
【0194】
上記に述べたように、1つの例では、成形不織布を製造するためのプロセスは、
図7に関して述べたプロセスを改変したものであり得る。かかる改変の1つを
図56に関連して説明する。
図56に示すように、このプロセスは、1つを超えるスピンビームを用いる溶融紡糸プロセスにおいて、上記に述べたようなベルト60を含むことができる。紡糸パック48A及び48Bのみを示して概略的に説明するように、2個のビームを使用してベルト60上に繊維を溶融紡糸し、各ビームの後にそれぞれ圧縮操作70A、72A及び70B、72Bを行うことができる。真空ボックス64A及び64Bもそれぞれ、各スピンビーム48A及び48Bと機能的に関連付けることができる。
【0195】
繊維をベルト60上に紡糸した後、また上記に述べたように圧縮中に必要に応じて熱接着を行って圧縮した後、それぞれが独立して温度制御される3つのチャンバ76A、76B及び76Cのような複数のチャンバを有することができる通気ヒーター76によって、成形不織布ウェブに更なる加熱を行うことができる。
【0196】
上記の実施例7及び9は、
図56に概略的に示されるプロセスにおいて二重ビームプロセスラインで作製され、通気結合されたものであった。理論に束縛されるものではないが、通気結合は、表5のTS7値の差によって示されるように、成形不織布の三次元特徴部の三次元特性の大部分を保持すると考えられる。あるいは、面形成部がより少ない不織布が望ましい場合、表5の実施例8に示されるように、カレンダー結合がTS7値を更に均一にする傾向があると考えられる。したがって、このプロセスのパラメータを本明細書に述べられるように制御することで、成形不織布の各面(すなわち表面)で所定の柔軟性を実現することができる。
【0197】
上記に詳述した利益に加えて、本開示の成形不織布ウェブの別の利点は、疎水性領域及び別個の親水性領域を有する微小区域を不織布ウェブに提供する能力である。微小区域の特定の領域における親水性及び/又は疎水性は、本明細書に記載されるウィック時間試験法を使用するウィック時間測定及び/又は本明細書に記載される接触角試験法を使用する接触角測定によって決定できる。微小区域の特定の領域に関して本明細書で使用するとき、「親水性」という用語は、ウィック時間試験法を使用して試験した場合、その特定の領域のウィック時間が10秒未満であることを意味する。微小区域の特定の領域に関して本明細書で使用するとき、「疎水性」という用語は、接触角試験法を使用して試験した場合、その特定領域の接触角が90°以上であることを意味する。
【0198】
以下の表6は、本明細書に詳述される成形不織布についての接触角及びウィック時間の測定の詳細を示す。下記実施例10及び11の両方において、
図16で説明されるベルト上で不織布を作製し、不織布ウェブは
図2に示されるものと同様の外観を有するものとした。
【0199】
【実施例0200】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で、実施例2に関して上記に述べたように三葉型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布ウェブを生産した。不織布は、約25メートル/分の線速度で動く
図16で述べたような繰り返しパターンを有する形成ベルト上に紡糸して、
図2に示される菱形の繰り返しパターンを有する平均坪量25グラム/平方メートルの布地10を形成した。布の繊維は、圧縮ロール70、72によって圧縮したが、カレンダー加工ではなく、145℃の温度で、
図56に関して下記に述べるような通気結合ユニットによって更なる結合を得た。
【0201】
次いで、Pulcra Chemicalsにより供給された界面活性剤、Stantex S 6327(ヒマシ油エトキシレートとPEGジエステルとの組み合わせ)を、キスコーティングプロセスを通して不織布の裏面側(すなわち、比較的に枕状の三次元特徴部が上に配置された側と反対の平坦側の表面)上に配置した。コーティングプロセスは、Reicofil Kiss Roll及びOmega乾燥プロセスを使用して実施され、それらは両方とも当技術分野で一般的に知られている。キスロールプロセスで使用される界面活性剤は、40℃の温度で水中6%界面活性剤濃度であった。キスロール接触角を250°に設定し、乾燥温度を80℃とした。次いで、不織布を、13rpmの速度で動作するキスロールと接触させ、0.45重量%の界面活性剤を不織布に供出した(界面活性剤%は、1m2当たりの添加界面活性剤の重量を1m2の不織布の重量で除算したものである)。
【実施例0202】
ポリエチレンシース(Dow chemical companyより入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(LyondellBasellより入手したPH-835)と、を50:50の比で、実施例2に関して上記に述べたように三葉型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布ウェブを生産した。不織布は、約25メートル/分の線速度で動く
図16で述べたような繰り返しパターンを有する形成ベルト上に紡糸して、
図2に示される菱形の繰り返しパターンを有する平均坪量25グラム/平方メートルの布地10を形成した。布の繊維は、圧縮ロール70、72によって圧縮したが、カレンダー加工ではなく、145℃の温度で、
図56に関して下記に述べるような通気結合ユニットによって更なる結合を得た。
【0203】
次いで、Pulcra Chemicalsにより供給された界面活性剤、Stantex S 6327(ヒマシ油エトキシレートとPEGジエステルとの組み合わせ)を、インクジェット印刷プロセスを通して不織布の前面側(すなわち、比較的に枕状の三次元特徴部が上に配置された側)に配置した。インクジェット印刷プロセスは、Dimatix DMP 2831インクジェットプリンタを使用して、カートリッジモデル#DMC-11610/PM 700-10702-01(10pL)を装着し、実施した。印刷ヘッド温度は、40℃であった。インクジェット印刷プロセスで使用された界面活性剤は、75重量/重量%のStantex S 6327及び25重量/重量%のエタノールから構成された。第1の列の微小区域の第2の領域が印刷ヘッド方向と位置合わせされるように不織布試料を配向し、液滴間隔を170μmに調整して、第1の一連の直線を印刷することによって、不織布の微小区域の第2の領域に界面活性剤を印刷した。次いで、不織布試料を、第2の列の微小区域の第2の領域が印刷ヘッドと位置合わせされ、第2の一連の直線が170μmで印刷されるような角度だけ回転させた。第2の領域の繊維の坪量は、約16.0gsmである。第2の領域上にインクジェット印刷された界面活性剤の坪量は、約0.25gsmである。したがって、第2の領域上に局所的に印刷された界面活性剤の量は、約1.6重量%の界面活性剤(0.25gsm/16.0gsm)になるように決定された。全体として、不織布試料上に印刷された界面活性剤の量は、印刷線幅と線間隔との比によって、約0.2重量%の界面活性剤になるように決定された。
【0204】
Stantex S 6327に加えて、特定の微小区域の第1及び/又は第2の領域を親水性及び/又は疎水性にするために、他の界面活性剤の使用(任意の適用方法による)が本開示の範囲内であると考えられる。本明細書で詳述されるプロセス及び不織布に使用される他の潜在的な界面活性剤としては、エステル、アミド、カルボン酸、アルコール、エーテル-ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ソルビタン、エトキシル化脂肪アルコール、アリルフェノールポリエトキシレート、レシチン、グリセロールエステル及びそれらのエトキシレート、並びに糖系界面活性剤(ポリソルベート、ポリグリコシド)を含む非イオン性界面活性剤、並びに、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸の脂肪アルコールモノエステル、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルジフェニルオキシドスルホネート、リグニンスルホネート、オレフィンスルホネート、スルホスクシネート、及び脂肪アルコールの硫酸化エトキシレートを含む陰イオン界面活性剤、並びに、アミン(一級、二級、三級)、四級アンモニウム、ピリジニウム、四級アンモニウム塩-クワット、アルキル化ピリジニウム塩、アルキル一級、二級、三級アミン、及びアルカノールアミドを含むカチオン性界面活性剤、並びに、アミノ酸及び誘導体、アミンオキシド、ベタイン、並びにアルキルアミンオキシドを含む両性イオン界面活性剤、並びに、ポリアミン、カルボン酸ポリマー及びコポリマー、EO/POブロックコポリマー、エチレンオキシドポリマー及びコポリマー、並びにポリビニルピロリドンを含む高分子界面活性剤、並びに、親水性を有するジメチルシロキサンポリマー、並びにペルフルオロカルボン酸塩及びフルオロ界面活性剤を含むシリコーン界面活性剤、が挙げられる。
【0205】
上記に詳述した成形不織布は、例えば坪量、密度、又は厚さなどの示強的性質の差がある領域を有する微小区域を有する。それらの同じ成形不織布はまた、特に及び別々に、疎水性及び/又は親水性である微小区域のそのような領域を同時に有することができる。本明細書に詳述される成形不織布の例のいずれも(例えば、厚さ、坪量及び/若しくは体積密度の差を有する領域を備える区域及び/若しくは微小区域、並びに/又は本明細書に開示される様々なTS7値を備える表面、を含む試料)、本明細書に詳述される親水性の差を有する微小区域の領域を更に有することができる。親水性は、成形不織布の微小区域の特定の領域上への界面活性剤(複数可)の標的化された適用(複数可)によって提供され得る。例えば、微小区域の第2の領域は、その上に配置された界面活性剤を有し得るが、同じ微小区域の第1の領域は、その上に配置された界面活性剤を有しなくてもよい。更に、微小区域の第1の領域は、その上に配置された界面活性剤を有し得るが、同じ微小区域の第2の領域は、その上に配置された界面活性剤を有しなくてもよい。例えば、1つの微小区域において、第1又は第2の領域は、約0.01%~約5.0%、約0.5%~約4.0%、約1.0%~約3.0%、及び約0.01%~約5.0%の範囲内の任意の同中心範囲の界面活性剤を有し得、他の領域は界面活性剤を有さない(すなわち、界面活性剤を含まない)。一例として、1つの微小区域において、第2の領域は、約0.01%~約5.0%、約0.05%~約4.0%、約1.0%~約3.0%、及び約0.01%~約5.0%の範囲内の任意の同中心範囲の界面活性剤を有し得、第1の領域は界面活性剤を有さない(すなわち、界面活性剤を含まない)。したがって、本明細書に開示されるいくつかの成形不織布は、界面活性剤を有する第1及び第2の領域のうちの少なくとも1つを有する微小区域を有し、第1の領域内の界面活性剤%と第2の領域内の界面活性剤%との比は、1未満である。更に、本明細書に開示されるいくつかの成形不織布は、界面活性剤を有する微小区域の少なくとも第2の領域を含む微小区域を有し、第1の領域内の界面活性剤%と第2の領域内の界面活性剤%との比は、1未満である。
【0206】
別の例として、微小区域の第2の領域は、その上に配置された特定の量の界面活性剤又は界面活性剤%を有し得、同じ微小区域の第1の領域は、異なる量の界面活性剤又はその上に配置された界面活性剤%を有し得る。例えば、1つの微小区域において、第1の領域は、約0.01%~約2.0%、約0.05%~約1.5%、約0.1%~約1.0%、及び約0.01%~約2.0%の範囲内の任意の同中心範囲の界面活性剤を有し得、第2の領域は、異なる量を有し得る。更に、1つの微小区域において、第2の領域は、約0.01%~約5.0%、約0.05%~約4.0%、約1.0%~約3.0%、及び約0.01%~約5.0%の範囲内の任意の同中心範囲の界面活性剤を有し得、第1の領域は、異なる量を有し得る。微小区域の特定の領域の界面活性剤%は、特定の領域に配置された界面活性剤の1平方メートル当たりのグラムをとり、それを、同じ領域内に含まれる成形不織布の繊維の坪量で除算することによって決定され得る。特定の領域に配置された界面活性剤の1平方メートル当たりのグラムは、当該分野において現在知られている任意の方法(例えば、重量測定値など)を使用して決定され得る。微小区域の特定の領域内に含まれる成形不織布の繊維の坪量もまた、当該分野において現在知られている任意の方法(例えば、重量測定法、マイクロCTなど)を使用して決定され得る。特定の微小区域の例について、第1及び第2の領域に含まれる繊維の坪量範囲/例は、上で詳述されている。
【0207】
界面活性剤は、当該分野において既知の任意の方法によって、成形不織布上に配置され得る。特定の例としては、キスコーティング、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセットグラビア印刷、界面活性剤のフレキソ印刷、及び界面活性剤の位置合わせ印刷が含まれる。任意のそのような方法は、成形不織布の第1及び/又は第2の表面のいずれかに界面活性剤を配置することができる。全成形不織布(布地上の個々の区域及び微小区域の全てを考慮して)に対して、界面活性剤は、約0.01%~約2.0%、約0.05%~約1.5%、約0.1%~約1.0%、及び約0.01%~約2.0%の範囲内の任意の同中心範囲の量で、成形不織布に添加され得る。全成形不織布に添加される界面活性剤%を計算するために、全成形不織布中の界面活性剤の1平方メートル当たりのグラム数を全成形不織布の坪量で除算する。全成形不織布中に配置された界面活性剤の1平方メートル当たりのグラムは、当該分野において現在知られている任意の方法(例えば、重量測定値など)を使用して決定され得る。全成形不織布の坪量もまた、当該分野において現在知られている任意の方法(例えば、重量測定法、マイクロCT法など)を用いて決定され得る。
【0208】
不織布10の1つのパターンの一部分を示した
図38及び
図39を再び参照すると、第1の区域110(
図38の左側)は、幅の変化する第2の領域310のMD方向の列によって分離された、幅の変化する第1の領域300の概ねMD方向の列によって特徴付けられる(第1及び第2の領域は、微小区域内にある)。第1の領域は、第1及び第2の領域300、310を画定する三次元特徴部20でもある。一実施形態では、三次元特徴部は、この説明文では第1の領域300である、形成ベルトの隆起要素の間又はその周囲に形成された不織布10の一部分であり、得られる構造は第2の領域310と比較して、Z方向に比較的大きな寸法、比較的高い坪量、及び低い体積密度を有する。更に、第1の領域300は、疎水性であり得、第2の領域310は、親水性であり得る。微小区域の第2の領域310への界面活性剤の標的化された添加は、第2の領域を親水性にし得る。したがって、微小区域の第1の領域300は、本明細書に詳述される接触角試験法によって試験されたとき、約90°よりも大きい、又は約90°~約140°、又は約110°~約135°、又約125°~約135°、又は約90°~約140°内に含まれる任意の同中心範囲の接触角を有し得る。微小区域の第2の領域310は、本明細書に詳述される接触角試験法によって試験されるとき、90°未満の接触角を有し得る。微小区域の第1の領域300は、本明細書に詳述されるウィック時間試験法によって測定されるとき、約10秒を超える、又は約10秒~60秒のウィック時間値を有し得る。微小区域の第2の領域310は、本明細書に詳述されるウィック時間試験法によって測定されるとき、約10秒未満、約5秒未満、又は約2.5秒未満、又は約1秒未満、又は約0.5秒未満のウィック時間値を有し得る。本明細書で企図される成形不織布は、接触角及び/又はウィック時間の測定、他の本明細書に開示された示強的性質/特性差のいずれかと組み合わせた第1の領域及び/又は第2の領域、成形不織布上の同じ又は異なる微小区域内の同じ又は異なる領域に関する、上記の詳細なパラメータ範囲のいずれかを含む。
【0209】
例えば、坪量、密度、又は厚さに差がある領域を有する上記の詳細な微小区域を有しながら、別個に疎水性及び/又は親水性である特定の微小区域のそのような領域も同時に有する成形不織布は、乳児ケア、女性ケア及び成人用失禁製品のトップシート材料、並びに医療用パッド、拭き取り用品、及び洗浄パッドなどにおける使用などの多くの有用な用途を提供することができる。
【0210】
テクスチャは、人間の視覚認知の主要な構成要素である。テクスチャ加工されたパターン形成不織布は、そのテクスチャ加工されたパターンが視覚的な鮮明性及び均一性を呈する場合、消費者にとってより審美的に心地良いものとなり得る。そのような均一で視覚的に鮮明なテクスチャ加工されたパターンは、不織布の品質を示すものとして視認され得る。不織布上の均一で視覚的に鮮明なテクスチャ加工されたパターンは、不織布の視覚認知とは対照的な、生地の明瞭かつ明確な線又は境界を付与する。まとめて、不織布上の均一で視覚的に鮮明なテクスチャ加工されたパターンは、高視覚解像度を呈するものとして記述され得る。
【0211】
したがって、上記に詳述した利益に加えて、本開示の成形不織布ウェブの別の利益は、視覚的な鮮明性及び均一性を呈する少なくとも第1の区別可能な区域をテクスチャ加工された不織布ウェブに設ける能力である。本明細書で使用するとき、用語「視覚的な鮮明性」は、何かをその構成部分に視覚的に分離することができる特性として定義される。換言すれば、視覚的な鮮明性は、単一の曖昧な対象物ではなく、2つの対象物を別個の構造体として視覚的に区別する能力である。別の実施形態では、視覚的な鮮明性は、テクスチャコントラストの線を視覚的に識別するために、色褪せた、曖昧な、又は視覚的に特定が困難なテクスチャコントラストの線ではなく、区域又は領域の間のテクスチャコントラストの明瞭かつ明確な線又は境界を観察することを伴う。
【0212】
本明細書に詳述されるテクスチャ加工された不織布の視覚的に鮮明なパターンは、様々な方法で定量化することができる。本明細書に詳述されるテクスチャ加工された不織布パターンの視覚的な鮮明性を測定する1つの方法は、ハラリックの特徴抽出及び解析(Haralick Features Extraction and Analysis)(「ハラリックのテクスチャ解析(Haralick Texture Analysis)」)によるものである。ハラリックのテクスチャ解析は、画像を解析して、より高レベルの情報(例えば、色、形状、テクスチャ)を取得する一般的なプロセスである。本明細書で採用される特定のハラリックテクスチャ解析は、グレー値の空間分布を測定するために1つ以上の画像を利用するものである。それらの分布は次いで、テクスチャ加工された不織布内のコントラスト値を計算するために用いられる。このようなコントラスト値は、パターン形成不織布の視覚的な鮮明性を示す。
【0213】
更に以下に試験方法の項において詳述するように、ハラリックテクスチャ解析における第1の工程は、グレーレベル共起行列(Gray-Level Co-occurrence Matrix、GLCM)を計算することである。GLCMは、ピクセルグレーレベルの異なる組み合わせが画像内で生じ得る頻度を集計したものである。換言すれば、GLCMは、互いのピクセルに対して一定の幾何学的位置に位置するピクセルにおいて各グレーレベルが発生する頻度を、グレーレベルの関数として示すものである。第2の工程では、GLCMからテクスチャ特徴が計算される。テクスチャ特徴は、スカラー数、個別のヒストグラム、又は経験的な分布であってよく、また画像におけるグレー値の規則的な変化を反映し得る。目標は、未知の試料画像を、既知のテクスチャクラスのセットのうちの1つに割り当てることである。本開示の成形不織布ウェブのハラリックテクスチャ解析を通じて取得される特定のパラメータとしては、ハラリック最大平均コントラスト値(Haralick Max Mean Contrast Value)、ハラリック最大90°コントラスト値(Haralick Maximum 90°Contrast Value)、ハラリック最大0°コントラスト値(Haralick Maximum 0°Contrast Value)、及び周期的なハラリック波応答(Haralick Wave Response)の存在又は非存在が挙げられる。視覚的な鮮明性の更なる尺度は、グレーレベルコントラスト勾配である。このようなパラメータ及びそれらの測定方法の更なる詳細は、本明細書で更に詳述される。
【0214】
視覚的に鮮明であることに加えて、本明細書に詳述されるテクスチャ加工された不織布のパターンは、外観において均一であり得る。本明細書に詳述されるテクスチャ加工された不織布パターンの均一性を測定するための1つの方法は、グレーレベル変動によるものである。グレーレベル変動は、本明細書で更に詳述されるように、単一の物品内で、又は複数の物品間で計算され得る。
【0215】
以下の表7A~表7Dは、本明細書に詳述される成形不織布についての詳細なハラリック解析データ、並びに平坦で標準的な非パターン形成不織布についての比較用データを示す。
【実施例0216】
ポリプロピレン(ExxonMobilcompanyから入手したPP3155)と、ポリプロピレンの75/25混合物(ExxonMobilcompanyより入手したPP3155及びPP3854)と、を30:70の比で、丸型繊維の形態に紡糸することによって、サイドバイサイドバイコンポーネントスパンボンド不織布ウェブを生産した。35グラム毎平方メートルの平均坪量を有する布地を形成するために、約20メートル毎分の線速度で移動する、繰り返しパターンを有する形成ベルト(
図12、
図16、
図18及び
図19に示されたものと同じタイプであるが、三次元の特徴部のパターンを有する、別個の視覚的に区別可能な区域を備えた硬化樹脂形成ベルト)上で不織布を紡糸した。
図7に示されるように、布の繊維を、140℃に加熱した圧縮ロール70、72によって圧縮した。布の繊維をカレンダーロール71、73において更にカレンダー接着した。ここで、ロール73は、ピンの形態の隆起部分88を有する彫刻ロールであった。ロール73を140℃まで加熱して、布の第2の側に点接着部90を形成した(本明細書に詳述される実施例6の説明と同様)。実施例12の不織布の画像が
図57に示されている。
【実施例0217】
ポリプロピレン(ExxonMobilcompanyから入手したPP3155)と、ポリプロピレンの75/25混合物(ExxonMobilcompanyより入手したPP3155及びPP3854)を30:70の比で、丸型繊維の形態に紡糸することによって、サイドバイサイドバイコンポーネントスパンボンド不織布ウェブを生産した。34グラム毎平方メートルの平均坪量を有する布地を形成するために、約20メートル毎分の線速度で移動する、平坦で標準的な透過性レイダウンベルト(すなわち、このベルトは、ベルト構造体に付与すべき硬化樹脂を含まない)上で、不織布を紡糸した。
図7に示されるように、布の繊維を、90℃に加熱した圧縮ロール70、72によって圧縮した。布の繊維をカレンダーロール71、73において更にカレンダー接着した。ここで、ロール73は、ピンの形態の隆起部分88を有する彫刻ロールであった。ロール73を140℃まで加熱して、布の第2の側に点接着部90を形成した(本明細書に詳述される実施例6の説明と同様)。実施例13の不織布は平坦であり、三次元特徴部のパターンを有する視覚的に区別可能な区域を持たないものである。
【0218】
実施例12は、改善された視覚的な鮮明性を呈する、本開示の成形不織布を代表するものである。この実施例では、また本明細書に記載される任意の他の形状の不織布では、成形不織布は開口部を含まない。換言すれば、本明細書に記載される不織布は、ゼロ坪量の区間を含まない。更に、本明細書に記載される成形不織布では、ある領域が示強的性質を有するものとして定義される場合、その領域は、その性質(坪量、キャリパー、体積など)に関してゼロを超える値を有さなければならない。実施例13は、三次元特徴部のパターンを有する視覚的に区別可能な区域を全く有さない、標準的で平坦な不織布である。実施例13は、高い視覚的な鮮明性を有するパターンを呈さず、また、本明細書に詳述される(本明細書で詳述される実施例12によって証明される)新しい成形不織布によって表示される視覚的に鮮明なパターンと比較するために利用される。
【0219】
表7A~表7D:改善された視覚的な鮮明性及び/又は均一性を呈する本開示の成形不織布並びに比較例のデータ
実施例12は、成形不織布上の視覚的に区別可能な区域の3つの異なる4インチ×4インチの走査で、以下に詳述する物品内グレーレベル変動試験方法を使用して、グレーレベル変動値について測定したものである。これら3つのスキャンの位置は、
図58に示されており、位置1、位置2及び位置3として識別される。実施例13もまた、1回の4インチ×4インチの走査での物品内グレーレベル変動試験方法を使用して、グレーレベル変動値についても測定したものである。実施例13のこれらの測定は、平坦な非パターン形成不織布上の異なる位置で2回実施されたものである。
【0220】
【0221】
実施例12は、成形不織布上の視覚的に区別可能な区域の3つの異なる4インチ×4インチの走査で、以下に詳述されるハラリック最大コントラスト試験方法を用いて、ハラリック最大90°コントラスト値、ハラリック最大0°コントラスト値、ハラリック最大45°コントラスト値、ハラリック最大135°コントラスト値、及びハラリック最大平均コントラスト値について測定したものである。これら3つのスキャンの位置は、
図58に示されており、位置1、位置2及び位置3として識別される。実施例13もまた、2回の4インチ×4インチの走査でハラリック最大コントラスト試験方法を用いて、ハラリック最大90°コントラスト値、ハラリック最大90°コントラスト値、ハラリック最大45°コントラスト値、ハラリック最大135°コントラスト値、及びハラリック最大平均コントラスト値について測定したものである。実施例13のこれらの測定は、平坦な非パターン形成不織布上の異なる位置で2回実施されたものである。
【0222】
明確にするために、
図59のチャートは、位置1(
図58)においてとられた、実施例12のハラリック0°コントラスト値のための150の個々のデータ点、ハラリック45°コントラスト値のための150の個々のデータ点、ハラリック90°コントラスト値のための150の個々のデータ点、ハラリック135°コントラスト値のための150の個々のデータ点、及びこれら600のデータ点から生成されたハラリック平均コントラスト値を視覚的に表したものである。これらの同じチャートは、実施例12の位置2及び位置3、並びに実施例13の第1及び第2の位置に関して生成されたものであるが、簡潔にするために本明細書では再現されない。
【0223】
【0224】
実施例12は、不織布上の10個のランダムな位置において、以下に詳述するグレーレベルコントラスト勾配試験方法を使用してグレーレベルコントラスト勾配について測定したものである。実施例12で測定されたグレーレベルコントラスト勾配は、23.9の高値及び11.0の低値を有した。実施例12で測定された平均グレーレベルコントラスト勾配は、16.7である。
【0225】
【0226】
実施例12に詳述される6つの不織布を、成形不織布上の同じ視覚的に区別可能な区域において、以下に詳述する物品間グレーレベル変動試験方法を使用して、グレーレベル変動値について測定した。6つの不織布の走査領域の画像が
図60に示されており、A、B、C、D、E、及びFとして識別される。平均グレーレベル値が、これら6つの不織布について以下に識別され、これらの値の標準偏差がグレーレベル変動値である。
【0227】
【0228】
6つの試料の間の標準偏差、又はグレーレベル変動値は1.8である。
【0229】
単一の物品内における均一性を証明する(すなわち、距離Xだけ分離したピクセルにおけるコントラストを定義する)ための1つの方法では、視覚的に区別可能な区域(例えば、第1の視覚的に区別可能な区域)に対するグレーレベル変動値は、約0.1~約10.0、又は約0.1~約7.0、又は約0.1~約5.0、又は約0.1~約4.7、又は約0.1~約4.2、又は約0.1~約4.1、又は約0.1~約4.0、又は約0.1~約3.8、又は約1.2~3.8、又は4.5未満、又は4.2未満、又は4.0未満、又は3.8未満、又は3.0未満、又は2.0未満、又は1.0未満であり得る。一般に、視覚的に区別可能な区域(単一の物品における)のグレーレベル変動測定値は、最大約10の任意の数値となり、0.1~10の任意の範囲の数値となり得る。単一物品内のこのグレーレベル変動は、本明細書に詳述される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される。
【0230】
単一の物品内の視覚的な鮮明性を証明するための第1の方法では、視覚的に区別可能な区域(例えば、第1の視覚的に区別可能な区域)に対するハラリック最大平均コントラスト値は、約80~約750、又は約90~約600、又は約100~約500、又は約200~約500、又は約300~約450、又は約80超、又は約90超、又は約100超、又は約150超、又は約200超、又は約250超、又は300超となり得る。一般に、視覚的に区別可能な区域内のハラリック最大平均コントラスト値は、80~750の任意の範囲の整数であり得る。
【0231】
単一の物品内のこの視覚的な鮮明性を証明するための第2の方法では、視覚的に区別可能部(例えば、第1の視覚的に区別可能な区域)に対するハラリック最大90°コントラスト値は、約80~約750、又は約90~約600、又は約100~約500、又は約200~約500、又は約300~約450、又は約80超、又は約90超、又は約100超、又は約150超、又は約200超、又は約250超、又は300超、又は315超となり得る。一般に、視覚的に区別可能な区域内のハラリック最大90°コントラスト値は、80~750の任意の範囲の整数であり得る。
【0232】
単一の物品内のこの視覚的な鮮明性を証明するための第3の方法では、視覚的に区別可能な区域(例えば、第1の視覚的に区別可能な区域)に対するハラリック最大0°コントラスト値は、約80~約750、又は約90~約600、又は約100~約500、又は約200~約500、又は約300~約450、又は約80超、又は約90超、又は約100超、又は約150超、又は約200超、又は約250超、又は300超、又は350超、又は381超となり得る。一般に、視覚的に区別可能な区域内のハラリック最大0°コントラスト値は、80~750の任意の範囲の整数であり得る。
【0233】
単一の物品内のこの視覚的な鮮明性を証明するための第4の方法では、第1の視覚的に区別可能な区域(例えば、第1の視覚的に区別可能な区域)に対するグレーレベルコントラスト勾配は、約5.0~約35.0、又は約10.0~約30.0、又は約11.0~約25.0、又は約11.0~約23.9、又は11.0超、又は約23.9未満となり得る。一般に、単一の物品内のグレーレベルコントラスト勾配は、10.0~30.0の任意の範囲の整数であり得る。
【0234】
単一の物品内のこの視覚的な鮮明性を証明するための第5の方法では、視覚的に区別可能な区域(例えば、第1の視覚的に区別可能な区域)は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト法に従って決定される、周期的なハラリック波応答を有し得る。明確にするために、ハラリック応答に少なくとも1つの頂きと少なくとも1つの谷が観測される場合、波応答は周期的であると定義され得る。本方法で更に定義されるように、周期的な応答は、ハラリック最大90°又は0°コントラスト値にのみ当てはまる。
【0235】
複数の物品間の一貫して高い均一性を証明するための1つの方法では、そのような均一性は、約0.1~約10.0、又は約0.1~約7.0、又は約0.1~約5.0、又は約0.1~約4.7、又は約0.1~約4.2、又は約0.1~4.1、又は約0.1~約4.0、又は約0.1~約3.8、又は約0.1~約1.2、又は4.5未満、又は4.2未満、又は4.0未満、又は3.8未満、又は3.0未満、又は2.0未満、又は1.2未満、又は1.0未満のグレーレベル変動値によって証明され得る。一般に、視覚的に区別可能な区域(例えば、複数の物品間における第1の視覚的に区別可能な区域)のグレーレベル変動測定値は、最大約10の任意の数値となり、0.1~10の任意の範囲の数値となり得る。複数の物品間のこのグレーレベル変動は、本明細書に詳述される物品間グレーレベル変動試験方法に従って測定される。
【0236】
成形不織布の視覚的な鮮明性を証明するための上記に詳述された個々のハラリックパラメータのいずれかが、成形不織布の視覚的な鮮明性を証明するための1つ以上の更なる方法(追加的なハラリックパラメータ又は他のパラメータ)と組み合わされてもよい。更に、上記に詳述した成形不織布は、例えば坪量、密度、又は厚さなどの示強的性質の差がある領域を有する微小区域を有する。同じ形状の不織布がまた、本明細書に詳述されるハラリック解析値のいずれか及び/又は全てを有する視覚的に鮮明なパターンを同時に有し得る。本明細書に詳述される成形不織布(例えば、厚さ、坪量及び/若しくは体積密度における差異を有する領域を備えた区域及び/若しくは微小区域、親水性及び/若しくは疎水性領域、並びに/又は本明細書に開示される様々なTS7値を備えた表面を含んだ試料)の例のいずれもが、グレーレベル変動、ハラリック最大平均コントラスト値、ハラリック最大90°コントラスト値、ハラリック最大0°コントラスト値、グレーレベルコントラスト勾配、及び周期的ハラリック波応答の存在又は非存在によって定量化され得る視覚的に鮮明なパターンを更に有し得る。更に、本明細書に詳述される成形不織布(例えば、厚さ、坪量及び/若しくは体積密度に差がある領域を備えた区域及び/若しくは微小区域、並びに/又は本明細書に開示される様々なTS7値を備えた表面を含んだ試料)の例のいずれかのパッケージは、インターグレーレベル変動によって定量化され得る視覚的に鮮明なパターンを更に有する不織布を含み得る。
【0237】
例えば、坪量、密度、又は厚さに差がある領域を備えた上記に詳述された微小区域を有すると共に、本明細書で詳述されたハラリック解析値のうちのいずれか及び/又は全てを備えた視覚的に鮮明なパターンを同時に有する成形不織布は、乳児ケア、女性ケア及び成人用失禁製品のトップシート材料、並びに医療用パッド、拭き取り用品、及び洗浄パッドなどにおける使用などの多くの有用な用途を提供することができる。
【0238】
更に、本明細書に詳述される方法を利用して、高視覚解像度のパターンを備えたかかる成形不織布を製造するために、本発明者らは予想外に、形成ベルトがナックルエリア率(以下、「%KA」)、及び/又は空気透過率、及び/又はオーバーバーデンの選択された組み合わせを有することが必要であることを見出した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、本発明の高視覚解像度のパターンを備えた成形不織布は、選択された%KA及び/又は空気透過率及び/又はオーバーバーデンを有する形成ベルトによってのみ実現され得ることを見出した。それは、これらのベルト設計によって、形成ベルトの開放領域の中への繊維の移動、ベルトのナックル又は樹脂領域に対する開放領域内のフィラメント数の増加、ベルトの開放領域内で堆積する際の冷却誘発性の繊維硬化の増大、ベルトの樹脂壁領域における繊維圧密化の損失の減少、圧密化/接合をなしたのちの繊維壁の険しさ及び構造の保持、生産ラインに供給するための中間ロールにおける繊維壁の険しさ及び構造、圧縮パッケージング下における物品の繊維壁の険しさ及び構造の保持、並びに/又は他の要素が促進され得るからであり、これらは全て、不織布の領域境界における繊維の険しい遷移勾配及び高視覚解像度のテクスチャの予期しない達成に、個別にあるいは同時に寄与する。
【0239】
形成ベルト全体の文脈において、%KAは、ナックルを含む形成ベルトの面積(すなわち、樹脂形成隆起部を伴う合計の面積)を、形成ベルト全体の全面積で割ることによって計算されてもよい。形成ベルト上の定義された区間では、%KAは、ナックルを含む定義された区間の面積(すなわち、樹脂形成隆起部を伴う合計の面積)を、定義された区間の全面積で割ることによって計算されてもよい。本明細書で定義される形成ベルトの空気透過率を測定する方法が、以下の方法の項において詳述される。
【0240】
%KA、空気透過率、及びオーバーバーデンは、1)形成ベルトの反復パターンの一部又は全部を含む定義済み区間(例えば、
図12、
図16若しくは
図18に示される形成ベルトの区間全体、又は
図12、
図16若しくは
図18に示される形成ベルトの任意の部)、2)形成ベルト上の別個のベルトパターンを含む定義済み区間(例えば、
図19の形成ベルト区間に示されるような別個のベルトパターン61)、3)形成ベルト上の任意の区別可能な区域を含む定義済み区間(例えば、視覚的に区別可能な区域を含む、
図19の別個のベルトパターン61の任意の定義済み区間)、並びに、4)形成ベルト上の識別可能な区域の任意の組み合わせを含む定義済み区間(例えば、1つ以上の視覚的に区別可能な区域の組み合わせを含んだ
図19の別個のベルトパターン61の任意の定義済み区間)を含めて、本明細書で定義される形成ベルト上の任意の定義済み区間において測定され得る。
【0241】
高視覚解像度のパターン形成不織布を送達する、本明細書で定義される形成ベルトに関して言えば、%KAは、約2%~約35%、又は約5%~約30%、又は約8%~約25%、又は約10%~約25%であってもよい。空気透過率は、約400~約1000cfm、又は約400~約800cfm、又は約500cfm~約750cfm、又は約650~約700cfmであってもよい。本明細書で定義されるオーバーバーデン、すなわちOBは、約0.015インチ~約0.060インチ、又は約0.020~約0.050インチ、又は約0.025インチ~約0.045インチ、又は約0.030インチ~約0.040インチ、又は約0.030インチ~約0.035インチであってもよい。
【0242】
表8A及び表8Aからのデータをグラフ化する
図61は、高視覚解像度のパターンを有する成形不織布の製造において利用される形成ベルトに対する%KAと空気透過率との望ましい組み合わせ範囲を示す。形成ベルトが、約2%~約35%である%KAと、約400cfm~約1000cfmである空気透過率とを有する場合、ベルトは、本明細書に記載されるような高視覚解像度のパターンを備えた成形不織布(すなわち、グレーレベル変動、ハラリック最大平均コントラスト値、ハラリック最大90°コントラスト値、ハラリック最大0°コントラスト値、グレーレベルコントラスト勾配、及び周期的なハラリック波応答の存在又は非存在によって定量化される高度な視覚的な鮮明性を呈する不織布)を製造することができる。このような形成ベルトは、高視覚解像度として識別される。
図61では、そのようなベルトによって表示される%KA及び空気透過率のパラメータの範囲を示すために、高視覚解像度の形成ベルトデータ点の周囲に箱が描かれている。形成ベルトが、35%より高い%KA、又は約350cfmより低い空気透過率、又は35%より高い%KAと400cfmより低い空気透過率との組み合わせを有する場合、ベルトは、本明細書に記載されるような高視覚解像度パターンを有する成形不織布を生成しない。このような形成ベルトは、低視覚解像度として識別される。いくつかの低視覚解像度のベルトの例に関するデータを以下の表8Bに詳述し、また
図61でグラフ化する。
【0243】
【0244】
【0245】
いくつかの興味深い高視覚解像度の形成ベルトでは、ベルトは、約8%~約25%の%KAと、約500~約850cfmの空気透過率とを有し得る。他の興味深い高視覚解像度の形成ベルトでは、ベルトは、約10%~約25%の%KAと、約650~約700cfmの空気透過率とを有し得る。他の興味深い高視覚解像度の形成ベルトでは、ベルトは、約8%~約25%の%KAと、約500~約850cfmの空気透過率と、約0.015インチ~約0.060インチのオーバーバーデンと、を有し得る。他の興味深い高視覚解像度の形成ベルトでは、ベルトは、約10%~約25%の%KAと、約650~約700cfmの空気透過率と、約0.025インチ~約0.045インチのオーバーバーデンと、を有し得る。
【0246】
成形不織布の視覚的な鮮明性を証明するための上記で詳述された個別のハラリックパラメータのいずれもが、成形不織布を製造するために利用される形成ベルトに関連する1つ以上のパラメータ(%KA及び/又は空気透過率及び/又はオーバーバーデン)と組み合わされてよい。更に、上記で詳述された形成ベルト上に作製された成形不織布は、例えば、坪量、密度、又は厚さなどの示強的性質の違いを有する領域を備えた微小区域を有し、また同時に、本明細書に詳述されるハラリック解析値のいずれか及び/又は全てを有する視覚的に鮮明なパターンを有し得る。本明細書に詳述される成形不織布(例えば、厚さ、坪量及び/若しくは体積密度における差異を有する領域を備えた区域及び/若しくは微小区域、親水性及び/若しくは疎水性領域、並びに/又は本明細書に開示される様々なTS7値を備えた表面を含んだ試料)の例のいずれもが、グレーレベル変動、ハラリック最大平均コントラスト値、ハラリック最大90°コントラスト値、ハラリック最大0°コントラスト値、グレーレベルコントラスト勾配、及び周期的ハラリック波応答の存在又は非存在によって定量化され得る視覚的に鮮明なパターンを更に有すること、及び/又は、本明細書で詳述されたような(%KA及び/又は空気透過率及び/又はオーバーバーデン)形成ベルト上に作製されることが更に同時に可能である。更に、本明細書に詳述される成形不織布(例えば、厚さ、坪量及び/若しくは体積密度に差がある領域を備えた区域及び/若しくは微小区域、並びに/又は本明細書に開示される様々なTS7値を備えた表面を含んだ試料)の例のいずれかのパッケージは、インターグレーレベル変動によって定量化され得る視覚的に鮮明なパターンを更に同時に有する不織布を含み得る。
【0247】
試験方法:
圧縮エイジング試験方法
初期キャリパーの測定:
・測定する不織布1枚当たり5つの3インチ×3インチの試料を切り出す。
・各試料に1~5まで番号を付ける。
・常法に従い、Thwing-Albertキャリパー試験機を使用して標準的な65mmフットを用い、0.5kPaでのキャリパーを測定する。
・5つの試料のそれぞれについて、初期キャリパーを報告する。
・5つの試料の平均キャリパーを報告する。
【0248】
エイジング圧縮方法及びエイジングキャリパー測定
・5つの試料を、それぞれをペーパータオルで分離し、試料番号1で始まり、5で終わる積み重ね体として交互に積み重ねる。
・交互に積み重ねられた試料を、試料の上に適当な重り(4kPa、14kPa、又は35kPa)を載せてアルミニウム製の試料ホルダーに入れる。
・重りを載せた積み重ね試料を40℃のオーブンの中に15時間置く。
・15時間後に重りを除き、試料を分離し、常法に従い、標準的な65mmフットのThwing-Albertキャリパー試験機を用いて0.5kPaでの各試料のキャリパーを測定する。
・5つの試料のそれぞれについてエイジング後のキャリパーの値を報告する。
・5つの試料のエイジング後の平均キャリパーを報告する。
【0249】
分析結果の報告:
・位置番号別に平均の初期及びエイジング後のキャリパーを報告する。
・キャリパー回復指数を報告する。すなわち、
(平均のエイジング後のキャリパー/平均の初期キャリパー)×100
【0250】
局所坪量試験方法
不織布の局所坪量は、いくつかの利用可能な方法によって測定することができるが、簡単な代表的な1つの方法では、3.0cm2の面積を有する打ち抜き型を用い、これを使用して、不織布の全体面積から選択された領域からウェブの試料片を切り出す。次に試料片を秤量し、その面積で除算することによって、不織布の局所坪量をグラム/平方メートルの単位で得る。結果を、選択された領域当たり2つの試料の平均として報告する。
【0251】
毛羽立ち度試験方法
毛羽立ち度試験を用いて、研磨力の作用によって不織布材料から剥離する繊維の量(すなわち、毛羽立ち度)を測定する。
【0252】
毛羽立ち度試験では以下の材料を使用する。
・Danilee Co(San Antonio,TX)から入手可能な、2lbの重りを備えたSutherlandインク摩擦試験機。
・Plymouth Coatings((617)447-7731)により製造される酸化アルミニウムクロス320砥粒ショップロール。この材料は、McMaster Carrより注文することもできる(部品番号468.7A51、(330)995-5500)。
・Netherland Rubber Company((513)733-1085)から入手可能な3M#409両面テープ。
・Netherland Rubber Company((513)733-1085)から入手可能な3M#3187繊維除去テープ。
・化学てんびん(+/-0.0001g)
・ペーパーカッター
・2200gの重り(金属製)170 mm×63mm。
・キャリパー0.0445インチ(1.13mm)の厚型剥離紙ライナボール紙。
【0253】
材料の調製
酸化アルミニウムクロスを長さ7.5インチ(19.0cm)に測定し切断する。長さ6.5インチ(16.5cm)の3M#3187テープ片を測定し切断する(各試料について2片のテープ)。取り扱いやすいように3M#3187テープの両端を約0.25インチ(0.6cm)、下に折り曲げる。3M#3187テープをその後の使用に備えて厚型剥離紙上に置く。
【0254】
試料の調製
どの材料を扱う、又は試験する前にも、石鹸と水で手を洗って余分な油分を手から取り除く。必要に応じてゴム手袋を着用してもよい。試験する不織布の試料を、MD方向に少なくとも11cm、CD方向に4cmの大きさに切断する。試験する不織布の試料を、試験する側を下に向けて広げて置く。3M#409両面テープの少なくとも11cmの長さをロールから出して切り取る。裏紙を剥がし、両面テープの裏紙に面していた側を試料不織布に機械方向(MD)に縦に貼りつける。露出したテープを覆うように裏紙を戻す。ペーパーカッターを用いて、試験試料をテープを貼った領域内でMD方向に11cm、CD方向に4cmに切断する。
【0255】
試験手順
1.酸化アルミニウムクロスの切片を、2lbの重りを使用してSutherlandインク摩擦試験機上に載せる。酸化アルミニウムクロスの第2の切片を厚型剥離紙ライナボール紙の上に置く(各試験ごとに新しい紙片を使用する)。両方を2lbの重りの上に置く。各辺がクリップの形に折れ曲がる(このとき、酸化アルミニウムクロス及び厚型剥離紙ライナボール紙が平らになるようにする)。
2.この試料をSutherlandインク摩擦試験機のプラットフォーム上に、金属プレート上に中心を合わせて載せる。2200gの重りを試料の上に20秒間置く。
3.金属プレートと2lbの重りをSutherlandインク摩擦試験機に取り付ける。
4.摩擦試験機を作動させる。カウンターのライトが点灯しない場合は、リセットボタンを押す。カウンターボタンを押して摩擦サイクルを20サイクルに設定する。速度ボタンを使用して、遅い速度である速度1を選択する(ライトは点灯しない)。「スタート」を押す。
5.摩擦試験機が停止したら、ほつれた微小繊維(毛羽)が失われないように注意しながら酸化アルミニウムクロス/重りを慎重に取り除く。場合によっては、微小繊維は酸化アルミニウムクロスと試料不織布の表面の両方に付着する。重りをひっくり返してベンチの上に置く。
6.剥離紙が付いたままの繊維除去テープを秤量する。繊維除去テープの折り曲げられた端をつまんで剥離紙を剥がし、脇に置く。テープを静かに酸化アルミニウムクロス上に置いて毛羽を全て取り除く。繊維除去テープを剥がし、剥離紙に再び付ける。この繊維除去テープを秤量し、重量を記録する。
7.予め秤量した別の繊維除去テープ片の折り曲げられた端をつまむ。この繊維除去テープを、摩擦された不織布試料の表面上に静かに置く。平坦な金属プレートを繊維除去テープの上に置く。
8.2200gの重りを金属プレートの上に20秒間置く。繊維除去テープを剥がす。指紋が付かないように、予め秤量した繊維除去テープの折り曲げられた端をつまむ。予め秤量した繊維除去テープを剥離紙に再び付ける。この繊維除去テープを秤量し、重量を記録する。
9.毛羽の重量は、両方の繊維除去テープの重量増分の合計である。
10.毛羽の重量を10回の測定の平均として報告する。
【0256】
計算
所与の試料について、酸化アルミニウムクロスから回収された毛羽の重量(g)と、摩擦された試料不織布から回収された毛羽の重量(g)とを加え合わせる。合計重量(g)に1000を掛けてミリグラム(mg)に変換する。この測定値を絶対重量損失から単位面積当たりの重量損失に変換するために、毛羽の総重量を、摩擦された領域の面積で割る。
【0257】
空気透過性試験方法
空気透過率試験を用いて、形成ベルトを通過する空気流の大きさを、立方フィート/分(cfm)の単位で測定する。空気透過率試験は、Textest AG(Sonnenbergstrasse 72,CH 8603 Schwerzenbach,Switzerland)から入手可能なTextest InstrumentsモデルFX3360 Portair空気透過率試験機で行う。この装置は、300~1000cfmの空気透過率の範囲では20.7mmのオリフィスプレートを用いる。空気透過率が300cfm未満である場合、オリフィスプレートを小さくする必要がある。1000cfmを超える場合、オリフィスプレートを大きくする必要がある。形成ベルトの複数の局所区域で空気透過率を測定することで、形成ベルト全体にわたる空気透過率の差を測定することができる。
【0258】
試験手順
1.FX3360装置を起動する。
2.以下の設定を有する既定の方式を選択する。
a.材料:標準
b.測定特性:空気透過率(AP)
c.試験圧力:125Pa(パスカル)
d.T係数:1.00
e.試験ポイントのピッチ:0.8インチ。
3.20.7mmのオリフィスプレートを形成ベルトの上面(三次元突起のある面)の対象とする位置に配置する。
4.試験装置のタッチスクリーンで「スポット測定」を選択する。
5.必要であれば測定の前にセンサーをリセットする。
6.リセット後、「スタート」ボタンを選択して測定を開始する。
7.測定値が安定するまで待ち、スクリーン上のcfrmの測定値を記録する。
8.再び「スタート」ボタンを選択して測定を停止する。
【0259】
バッグ内積み重ね高さ試験方法
吸収性物品のパッケージのバッグ内積み重ね高さは、以下のように測定する。
【0260】
機器
平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さ試験機を使用する。厚さ試験機は、水平スライディングプレートが平坦な剛性の水平ベースプレートのすぐ上で水平の向きに常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成されている。厚さ試験機は、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の間隙を±0.5mm以内で測定するのに好適なデバイスを含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(すなわち、各プレートは全ての方向において吸収性物品パッケージの接触表面を越えて延在する)。水平スライディングプレートは、吸収性物品パッケージに下方への力850±1重量グラム(8.34N)を加えるが、これは、スライディングプレートの合計質量に付加重量を足して850±1グラムとなるように、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上面の中央に好適な重しを置くことによって達成し得る。
【0261】
試験手順
吸収性物品パッケージを、測定前に、23±2℃及び50±5%の相対湿度で平衡化する。
【0262】
水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平の向きとなるようにして吸収性物品パッケージを水平スライディングプレート下で中心に置く(
図27参照)。プレートのいずれかに接触するであろうパッケージの表面上にある任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限にする。水平スライディングプレートを、パッケージの上面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の間隙を±0.5mm以内になるように測定する。5つの同じパッケージ(同じサイズのパッケージ及び同じ吸収性物品数)を測定し、算術平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内積み重ね高さ」=(パッケージ幅/積み重ね当たりの吸収性物品数)×10を計算し、±0.5mm以内で報告する。
【0263】
マイクロCTによる示強的性質の測定試験方法
このマイクロCTによる示強的性質の測定方法では、基材試料の視覚的に区別可能な領域内の坪量、厚さ、及び体積密度の値を測定する。この方法は、マイクロCT器具(好適な器具は、Scanco Medical AG(Switzerland)から入手可能なScanco μCT 50、又は同等のものである)で得られる3D X線試料画像の分析に基づいたものである。このマイクロCT器具は、遮蔽キャビネットを備えた円錐ビームマイクロトモグラフである。メンテナンスフリーX線管を、焦点の直径が調節可能な線源として使用する。X線ビームは試料を通過し、X線の一部は試料によって減衰される。減衰の程度は、X線が通過しなければならない材料の質量と相関する。透過したX線は継続してデジタル検出器アレイに入射し、試料の2D投射像を生成する。回転させた試料の複数の個別の投射像を収集し、次いでこれらの投射像を単一の3D画像として再構成することによって、試料の3D画像が生成される。器具は、コンピュータで動作するソフトウェアと連動されることで画像の取得を制御し、生データを保存する。次いで、画像解析ソフトウェア(好適な画像解析ソフトウェアは、The Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLAB又は同等のものである)を使用して3D画像を分析して、試料内の領域の坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質を測定する。
【0264】
試料の調製:
測定用の試料を得るため、1枚の層の乾燥した基材材料を平らに広げて置き、直径30mmの円形片を打ち抜く。
【0265】
基材材料が、例えば、トップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層などの吸収性物品の層である場合には、吸収性物品を固い平坦面にテープで貼り付けて平面状の形態とする。個々の基材層を吸収性物品から慎重に分離する。必要に応じて、メス及び/又は低温スプレー(Control Company(Houston TX)製Cyto-Freeze)を使用して、更なる下層から基材層を除去することにより、材料の縦方向及び横方向の伸長を防止することができる。基材層が物品から除去されたら、上述したように試料の打ち抜きを行う。
【0266】
基材材料が湿潤拭き取り用品の形態である場合には、湿潤拭き取り用品の新しいパッケージを開封し、パッケージから積み重ね全体を取り出す。積み重ねの中ほどから1枚の拭き取り用品を抜き取り、これを平らに広げて置き、完全に乾燥させた後、分析用の試料を打ち抜く。
【0267】
分析を行う視覚的に区別可能な区域を含む任意の位置から試料を切り取ることができる。1つの区域内において、分析を行う領域は、1つの微小区域を画定する三次元特徴部に不随した領域である。微小区域は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を含む。区域、三次元特徴部、又は微小区域は、質感、高さ、又は厚さが変化しているために視覚的に区別可能であり得る。同じ基材材料から採取された異なる試料内の領域を分析し、互いに比較してもよい。試料を採取する位置を選択する場合、折れ目、皺、又は破れを避けるように注意を払う必要がある。
【0268】
画像の取得:
製造業者の仕様書に従ってマイクロCT装置を準備し、較正する。試料を、適切なホルダー内の、25mmの内径を有する低密度材料の2つのリングの間に配置する。これにより、試料の中央部分が水平に置かれ、その上面及び下面に直接隣接する任意の他の材料を有さずに走査することができる。測定値はこの領域でとられなければならない。3D画像の視野はXY平面内で各辺が約35mmであり、約5000×5000ピクセルの解像度を有し、試料のZ方向を完全に含むだけの十分な数の厚さ7マイクロメートルのスライスが集められる。再構成された3D画像解像度は、7マイクロメートルの等方性ボクセルを含む。画像は、更なる低エネルギーフィルタなしに45kVp及び133μAの電源を用いて取得される。これらの電流及び電圧の設定値は、充分なX線が試料を透過して投射データのコントラストが最大となるように最適化することができるが、ひとたび最適化された後は全ての実質的に同様の試料について一定に維持される。積分時間1000ms及び3つの平均で、合計1500枚の投射画像が得られる。これらの投射画像は3D画像に再構成され、16ビットのRAWフォーマットで保存されることで、分析用の完全な検出器出力シグナルを保存する。
【0269】
画像処理:
画像解析ソフトウェアに3D画像をロードする。閾値3D画像は、空気によるバックグラウンドシグナルを分離及び除去するが、基材内の試料繊維からのシグナルは維持する。
【0270】
閾値3D画像から2Dの示強的性質の画像が3つ生成される。第1は、坪量の画像である。この画像を生成するには、XY平面のスライス内の各ボクセルの値を、試料からのシグナルを含む他のZ方向のスライス内の対応するボクセルの値の全てと合計する。これにより2D画像が生成され、ここでこの各ピクセルは、試料全体を通じた累積シグナルに等しい値を有する。
【0271】
坪量画像内の生データ値を実際の値に変換するために、坪量較正曲線が生成される。分析される試料と実質的に同様の組成を有し、均一な坪量を有する基材を得る。上記に述べた手順に従ってその較正曲線基材の少なくとも10個の複製試料を得る。質量を0.0001g単位で測定し、試料の面積で割り、g/平方メートル(gsm)に変換することによって、単一層の較正試料のそれぞれの坪量を正確に測定し、平均を0.01gsm単位で計算する。上記に述べた手順に従って、単一層の較正用試料基材のマイクロCT画像を取得する。上記に述べた手順に従って、マイクロCT画像を処理し、生データ値を含む坪量画像を生成する。この試料の実際の坪量の値は、較正用試料で測定された平均の坪量の値である。次に、2層の較正用基材試料を互いの上に積み重ね、2層の較正用基材のマイクロCT画像を取得する。両方の層を合わせた坪量の生データ画像を生成する。その実際の坪量の値は、較正用試料で測定した平均の坪量の値の2倍に等しい。単一層の較正用基材を積み重ね、全ての層のマイクロCT画像を取得し、実際の坪量の値が層の数に較正用試料で測定した平均の坪量の値を掛けたものに等しい、全ての層の生データの坪量画像を生成する、この手順を繰り返す。合計で少なくとも4つの異なる坪量較正画像が得られる。正確な較正を確実にするには、較正用試料の坪量の値は、分析される元の試料の坪量の値の上下の値を含む必要がある。較正曲線は、4つの較正用試料について実際の坪量の値に対する生データの線形回帰を行うことによって生成される。この線形回帰は少なくとも0.95のR2値を有していなければならず、そうでない場合には較正手順全体を繰り返す。次に、この較正曲線を用いて生データの値を実際の坪量に変換する。
【0272】
第2の示強的性質の2D画像は厚さの画像である。この画像を生成するには、試料の上面と下面を特定し、これらの表面の間の距離を計算して試料の厚さを得る。試料の上面は、最も上のZ方向のスライスから開始し、試料を通じて進みながら各スライスを評価していくことで、試料シグナルが最初に検出されたXY平面内の全てのピクセル位置についてZ方向のボクセルの位置を特定することによって特定される。試料の下面を特定するには、位置特定されるZ方向のボクセルが全て、試料シグナルが最後に検出されたXY平面内の位置である点を除いて同じ手順に従う。上面と下面が特定された時点で、これらを15×15のメディアンフィルタによって平滑化して逸脱繊維からのシグナルを除去する。次いで、XY平面内のピクセル位置の各々について上面と下面との間に存在するボクセルの数をカウントすることによって2Dの厚さ画像を生成する。次いで、ボクセル数に7μmスライスの厚さ解像度を掛けることにより、この生の厚さ値を、マイクロメートル単位の実際の距離に変換する。
【0273】
第3の示強的性質の2D画像は、体積密度の画像である。この画像を生成するには、gsm単位の坪量画像内の各XY平面のピクセル値を、マイクロメートル単位の厚さ画像内の対応するピクセルで除算する。体積密度画像の単位はg/立方センチメートル(g/cc)である。
【0274】
マイクロCTによる坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質:
分析を行う領域を特定することにより開始する。分析を行う領域は、1つの微小区域を画定する三次元特徴部に付随した領域である。微小区域は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を含む。区域、三次元特徴部、又は微小区域は、質感、高さ、又は厚さが変化しているために視覚的に区別可能であり得る。次に、分析を行う領域の境界を特定する。領域の境界は、試料内の他の領域と比較した場合の示強的性質の差の視覚的な区別によって特定される。例えば、領域の境界は、試料の別の領域と比較した場合の厚さの差を視覚的に区別することに基づいて特定することができる。いずれの示強的性質を用いても、マイクロCTによる示強的性質の画像のいずれかの物理的試料自体の領域の境界を区別することができる。領域の境界が特定された時点で、楕円形又は円形の「対象領域(region of interest、ROI)」をその領域の内側に描く。ROIは、少なくとも0.1mm2の面積を有し、特定された領域を表す示強的性質の値を有する面積を測定するように選択する必要がある。3つの示強的性質の画像のそれぞれから、ROI内の平均の坪量、厚さ、及び体積密度を計算する。これらの値を、その領域の坪量として0.01gsm単位で、厚さとして0.1マイクロメートル単位で、更に体積密度として0.0001g/cc単位で記録する。
【0275】
Emtec試験法
TS7及びTS750値は、Emtec TSAソフトウェア(バージョン3.19又はこれに相当するもの)を実行するコンピュータに接続されたEMTEC Tissue Softness Analyzer(「Emtec TSA」)(Emtec Electronic GmbH、Leipzig,Germany)を使用して測定される。Emtecによれば、TS7値は、実際の材料の柔らかさと相関し、TS750値は、材料のフェルト平滑度/粗さと相関している。Emtec TSAは、規定の較正された回転速度(製造業者によって設定される)及び100mNの接触力で試験試料上で回転する垂直ブレードを備えたロータを有している。垂直ブレードと試験片との接触によって振動が発生し、この振動が器具内のマイクによって記録される音を発生させる。次に、記録された音声ファイルは、Emtec TSAソフトウェアによって分析される。試料調製、器具操作、及び試験手順は、機器製造者の仕様書に従って行う。
【0276】
試料の調製
試験試料は、最終製品から正方形又は円形の試料を切り出すことによって調製される。試験試料は、試料をTSA機器内に適切に固定することができるように、約90mm以上及び約120mm以下の長さ及び幅(又は円形の場合は直径)にこれらの寸法のいずれにおいても切断される。試験試料は、試験領域内に穿孔、しわ、又は折り目がないように選択される。試験のために、8つの実質的に同様の複製試料を調製する。TSA試験を実施する前に、全ての試料をTAPPIの標準温度及び相対湿度条件(23℃±2℃及び50%±2%)で少なくとも2時間平衡化する。TSA試験もTAPPI条件下で行う。
【0277】
試験手順
Emtec参照基準(「参照2試料」)を用いた1点較正法を用いて、製造業者の指示に従って機器を較正する。これらの参照試料が入手可能ではない場合、製造業者によって提供される適当な参照試料を使用する。結果がEmtec参照標準(「参照2試料」)による1点較正法を用いた場合に得られるものと同等となるように、製造業者の推奨及び指示に従って機器を較正する。
【0278】
試験用に布地の8つの複製試料を提供する。試験試料を、1つの面を上にして器具に取り付け、製造業者の指示に従って試験を実施する。試験が完了すると、ソフトウェアがTS7及びTS750の値を表示する。これらの値のそれぞれを0.01 dB V2rms単位で記録する。次いで、試験試料を器具から取り外し処分する。この試験を複製試料のうちの4つのものの同じ表面上で、次いで、他の4つの複製試料の他の表面上で個別に実施する。第1の試験表面は、本明細書に開示される成形不織布の第1の表面12又は第2の表面14のいずれかとすることができる。
【0279】
第1の試験表面から得たTS7及びTS750の4つの試験結果値の平均を求める(単純な数値平均を用いる)。第2の試験表面から得たTS7及びTS750の4つの試験結果の値について同じ手順を行う。特定の試験試料の第1及び第2の試験表面の両方について、TS7及びTS750の個々の平均値を0.01 dB V2rms単位で報告する。更に、第2の試験表面に対する第1の試験表面のTS7の比を、第1の試験表面の平均TS7を第2の試験表面の平均TS7で割って計算する。
【0280】
接触角及びウィック時間試験法
接触角及びウィック時間測定値は、液滴実験を用いて決定される。特定の量のII型試薬蒸留水(ASTM D1193に定義される)を、自動液体供給システムを使用して試験試料の表面に適用する。高速ビデオカメラは、毎秒900フレームの速度で、60秒間にわたって液滴のタイムスタンプされた画像をキャプチャする。液滴と試験試料の表面との間の接触角は、画像解析ソフトウェアによって、各キャプチャされた画像について決定される。ウィック時間は、試験試料に吸収される液滴の接触角が<10°の接触角に減少するのにかかる時間として決定される。全ての測定は、一定温度(23℃±2℃)及び相対湿度(50%±2%)で実施される。
【0281】
この試験を実施するには、自動接触角試験機が必要である。このシステムは、光源、ビデオカメラ、水平試料台、ポンプ及びマイクロシリンジを備えた液体供給システム、並びにビデオ画像キャプチャ、画像解析、及び接触角データの報告に適したソフトウェアを備えたコンピュータからなる。適切な機器は、光学接触角測定システムOCA 20(DataPhysics Instruments(Filderstadt,Germany))、又は同等物である。このシステムは、8.2マイクロリットルの液滴を供給することができ、毎秒900フレームの速度で画像をキャプチャすることが可能でなければならない。この試験手順で特に明記されていない限り、システムは製造業者の指示に従って較正及び操作される。
【0282】
測定用の試験試料を得るために、単一層の乾燥基材材料を平らに置き、幅15mm及び長さ約70mmの長方形の試験試料を切り取る。試験中に対象の試験領域が周囲の特徴によって不明瞭にならないことを確実にするために、必要に応じて試料の幅は縮小され得る。試験中に液滴が試験試料の縁部に到達しないように、狭い試料片では注意が必要であり、そうでなければ、試験を繰り返す必要がある。試験前に、23℃±2℃及び50%±2%の相対湿度で試料を2時間、前処理する。
【0283】
試料の調製
分析を行う視覚的に区別可能な区域を含む任意の位置から試験試料を切り取ることができる。1つの区域内において、分析を行う領域は、1つの微小区域を画定する三次元特徴部に不随した領域である。微小区域は、少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を含む。区域、三次元特徴部、又は微小区域は、質感、高さ、又は厚さが変化しているために視覚的に区別可能であり得る。同じ基材材料から採取された異なる試験試料内の領域を分析し、互いに比較することができる。試料を採取する位置を選択する場合、折れ目、皺、又は破れを避けるように注意を払う必要がある。
【0284】
基材材料が、例えば、トップシート若しくはバックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層などの吸収性物品の層である場合には、吸収性物品を固い平坦面にテープで貼り付けて平面状の形態とする。個々の基材層を吸収性物品から慎重に分離する。必要に応じて、メス及び/又は低温スプレー(Control Company(Houston TX)製Cyto-Freeze)を使用して、更なる下層から基材層を除去することにより、材料の縦方向及び横方向の伸長を防止することができる。基材層が物品から除去されたら、試験試料の切り取りに進む。基材材料が湿潤拭き取り用品の形態である場合には、湿潤拭き取り用品の新しいパッケージを開封し、パッケージから積み重ね全体を取り出す。積み重ねの中ほどから1枚の拭き取り用品を抜き取り、これを平らに広げて置き、完全に乾燥させた後、分析用の試料を切り取る。
【0285】
試験手順
試験試料は、試験面を上に向けて、カメラの視野内の試験領域が液体供給システムの針の下にある状態で水平試料台上に配置される。試験試料は、平らであるがピンと張っていないように固定され、液滴とその下にある表面との間の全ての相互作用は、過度の毛管力を防止するために回避される。27ゲージの鈍い先端のステンレス鋼針(ID 0.23mm、OD 0.41mm)は、少なくとも2mmの針先がカメラの視野内にあるように試験試料の上方に配置される。針の先端と試験試料の表面との間が約3mmの距離になるように試料台を調整する。8.2マイクロリットルの液滴の試薬蒸留水が1マイクロリットル/秒の速度で形成され、試験試料の表面上に自由落下される。液滴が試験試料の表面に接触する前に、ビデオ画像キャプチャが開始され、続いて連続的な一連の画像が、液滴が試験試料の表面に接触した後、60秒間収集される。この手順を、合計5つの実質的に同様の複製試験領域で繰り返す。新しい試験試料を使用するか、又は後続の測定中に前の液滴の湿った領域が回避されることを確実にする。
【0286】
ビデオカメラによってキャプチャされた画像のそれぞれの上で、試験試料表面、及び液滴の輪郭は、画像解析ソフトウェアによって識別され使用されて、各液滴画像について接触角を計算し、0.1度単位で報告する。接触角は、試験試料の表面によって形成される角度であり、試験試料と接触している液滴の表面に対する正接である。試験からの各一連の画像について、時間ゼロは、液滴が試験試料の表面と接触する時間である。ゼロに5秒を加えた時間に対応する液滴画像の接触角を測定し、記録する。5秒での接触角は、液滴が試験試料によって5秒以内に完全に吸収された場合、0°として報告される。この手順を5つの複製試験領域で繰り返す。5つの複製試験領域について、ゼロに5秒を加えた時間での接触角の算術平均を計算し、この値を接触角として0.1度の単位で報告する。
【0287】
ウィック時間は、試験試料に吸収される液滴の接触角が<10°の接触角に減少するのにかかる時間として定義される。ウィック時間は、接触角が<10°の接触角まで減少した所与の一連の第1の画像を特定し、次いでその画像に基づいて、時間ゼロから経過した時間の長さを計算し報告することによって測定される。10°未満の接触角に60秒以内で達しない場合、ウィック時間は60秒として報告する。この手順を5つの複製試験領域で繰り返す。5つの複製試験領域のウィック時間の算術平均を計算し、この値を0.1ミリ秒単位で報告する。
【0288】
物品内グレーレベル変動試験方法
物品内グレーレベル変動試験方法を使用して、不織布画像の視覚的に区別可能な区域内のグレーレベル値の均一性を決定する。150dpiで24ビットカラーの最小値を走査することが可能で、カラーマネジメントの手動制御機能を有する、フラットベッドスキャナ(好適なスキャナは、Epson America Inc.(Long Beach CA)製のEpson Perfection V750 Pro又はその同等物である)を使用して画像を取得する。ANSI法IT8.7/2-1993(好適な色較正ソフトウェアは、X-Rite Grand Rapids,MIから入手可能なMonaco EZColor若しくはi1Studio、又はその同等物である)に準拠した対応する参照ファイルを利用して、カラー反射IT8標的に対してスキャナを較正することが可能なカラー較正ソフトウェアを実行するコンピュータに、スキャナをインターフェース接続する。カラー較正ソフトウェアは、スキャナのためのインターナショナルカラーコンソーシアム(ICC)のカラープロファイルを構築するが、これは、ICCプロファイルの適用をサポートする画像解析プログラムを用いて出力画像を色補正するために使用される(好適なプログラムは、Adobe Systems Inc.(San Jose,CA)から入手可能なPhotoshop CS4又はその同等物である)。次いで、色補正された画像を次のグレーレベル画像解析のためにグレースケールに変換する(好適な画像解析ソフトウェアは、Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLABである)。
【0289】
試験片を得るために、吸収性物品を平面構成の固い平坦面にテープで貼り付ける。あらゆる脚部の弾性体は、物品の平らな配置を容易にするために切断され得る。物品の吸収性コアの上に位置する領域の外側境界を、層の外向き表面上で識別及びマークする。かみそり刃を用いて物品の外周の周囲を切断することによって、試験片を物品の下層から取り出す。層試験片を、材料の歪みを回避するために長手方向及び横方向の伸長が維持されるように丁寧に取り出す。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TX)、又は等価物など)を使用して、試験片を下層から取り除いてもよい。試料は、試験前に、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で2時間にわたって調湿される。
【0290】
較正及び画像取得の前に、スキャナを30分間オンにする。スキャナソフトウェアに含まれる場合がある、あらゆる自動的色補正又はカラーマネジメントオプションの選択を解除する。自動カラーマネジメントを無効にすることができない場合、そのスキャナは、この用途には不適である。色較正ソフトウェアの推奨手順に続いて、スキャナのICC色プロファイルを作成し、エクスポートする。色較正ソフトウェアは、取得されたIT8標的画像を対応する参照ファイルと比較して、スキャナ用のICC色プロファイルを作成及びエクスポートし、このICC色プロファイルは、後続の出力画像の色を補正するために画像解析プログラム内で適用される。
【0291】
スキャナの蓋を開け、試料の外向き表面をガラスに向けた状態で、試料をスキャナガラスの中心に慎重に平らに置く。画像を取得する前に黒色ガラスタイル(HunterLab、Reston、VAから入手可能なP/N 11-0050-30、又は等価物)の裏地を試験片に貼る。視覚的に区別可能な区域の4インチ×4インチ(101.6mm×101.6mm)の走査を取得し、反射モードで150 dpi(約5.9ピクセル/mm)の解像度の24ビットカラーの画像解析ソフトウェアにインポートする。色補正されたRGB画像を生成する画像にICC色プロファイルを割り当てる。次いで、RGB画像を、R、G、及びB成分の以下の加重和に従って8ビットグレースケールに変換する。
グレーレベル=0.2989×R+0.5870×G+0.1140×B
【0292】
4に等しいガウス分布(σ)の標準偏差を有する2Dガウスフィルタを適用することによって画像を平滑化及びぼかし加工し、また境界要素を繰り返すことによって境界を埋める。この較正及びぼかし加工されたグレーレベル画像を、解析前にTIFFファイルなどの非圧縮形式で保存する。
【0293】
較正及びぼかし加工されたグレーレベル画像を、画像解析ソフトウェアで開き、4×4グリッドに分割する。算術平均グレーレベル値を、各16領域において測定し、記録する。記録された平均の標準偏差を計算し、グレーレベル変動として0.1単位で報告する。
【0294】
ハラリック最大コントラスト試験方法
ハラリック最大コントラスト値は、R.M.Haralick,K.Shanmugam,and I.Dinstein,「Textural feature for image classification,」IEEE Transactions on Systems,Man and Cybernetics,vol.3,no.6,pp.610-621,1973に記載されているハラリックテクスチャ特徴に基づくものである。コントラストテクスチャ特徴を、計算されたグレーレベル共起行列(Gray Level Co-occurrence Matrix、GLCM)から計算する。GLCMは、ピクセル輝度値(グレーレベル)の異なる組み合わせが画像内で生じる頻度を集計したものである。GLCMを、その要素の合計が1に等しくなるように正規化する。正規化GLCMにおける各要素(i,j)は、画像内にグレーレベル値i及びjを有する、定義された空間的関係、方向及び距離を有するピクセル対の結合確率発生率である。コントラストテクスチャ特徴を、以下の等式を使用して計算する。
【0295】
【数1】
式中、iは行番号であり、jは列番号であり、p(i,j)は、GLCM中の要素(i,j)について記録された確率値である。
【0296】
画像解析ソフトウェア(好適な画像解析ソフトウェアは、Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLABである)を使用して、物品内グレーレベル変動試験方法で取得及び保存された、較正及びぼかし加工されたグレーレベル画像を解析することによって、ハラリック最大コントラスト値を得る。ハラリックコントラスト値を、0°(水平)、45°、90°(垂直)、及び135°方向において、対象ピクセルとその隣接ピクセルとの間の1から150に及ぶ整数ピクセル距離のそれぞれ1つに対して、256のグレーレベルを伴う対称グレーレベル共起行列を使用して計算する。0°方向で得られた150のハラリックコントラスト値について、最大コントラスト値を特定し(最も近い整数に丸める)、ハラリック最大0°コントラスト値として報告する。90°方向で得られた150のハラリックコントラスト値について、最大コントラスト値を特定し(最も近い整数に丸める)、ハラリック最大90°コントラスト値として報告する。150の整数ピクセル距離のそれぞれについて、4方向全ての間の算術平均コントラスト値を計算する(すなわち、各特定の整数ピクセル距離において、1)その整数ピクセル距離における0°のハラリックコントラスト値と、2)その整数ピクセル距離における45°のハラリックコントラスト値と、3)その整数ピクセル距離における90°のハラリックコントラスト値と、4)その整数ピクセル距離における135°のハラリックコントラスト値と、の平均である算術平均を計算する)。また、これらの150の計算された平均から、これらの平均の最大値を特定し、ハラリック最大平均コントラスト値(最も近い整数に丸める)として報告する。
【0297】
グレーレベルコントラスト勾配試験方法
画像解析ソフトウェア(好適な画像解析ソフトウェアは、National Institute of Health(USA)から入手可能なImageJ v.1.52又はその同等物である)を使用して、物品内グレーレベル変動試験方法で取得及び保存された、較正及びぼかし加工されたグレーレベル画像を解析することによって、グレーレベルコントラスト勾配値を得る。
【0298】
画像を画像解析ソフトウェアで開き、2つの隣接する領域間の境界を特定する。領域間の境界は、試料内の他の領域と比較した場合に、視覚的区別によって、あるいは示強的性質の差によって特定される。例えば、領域の境界は、試料の別の領域と比較した場合に、差を視覚的に区別することに基づいて特定することができる。あるいは、本明細書に詳述される示強的性質のいずれかを使用して、坪量の変化など、物理的試料自体又はグレーレベル画像のいずれかの領域境界を識別することができる。2つの領域間の境界が特定されると、内接する円が2つの領域間の境界において互いに隣接するように、各領域内で内接することができる対象の最大円形領域が描かれる。2つの内接円のうちの小さい方が特定され、対象となるより大きい円形領域は、対象となる2つの領域が連続点で依然として接触するように、より小さい領域と同等のサイズのもので置き換えられる。対象となるこれらの円形領域の両方の中における算術平均グレーレベル値を計算する。直線距離を、2つの円の中心間で0.001mm単位で測定する。グレーレベルコントラスト勾配を、2つの領域の平均グレーレベルの絶対値差をそれらの中心間の距離で除算することによって計算する。この値を、グレーレベルコントラスト勾配として、0.01グレーレベル/mm単位で記録する。
【0299】
物品間グレーレベル変動試験方法
物品間グレーレベル変動試験方法を使用して、同じ視覚的に区別可能な区域パターンの6つの別個の複製不織布画像間のグレーレベル値の均一性を決定する。150dpiで24ビットカラーの最小値を走査することが可能で、カラーマネジメントの手動制御機能を有する、フラットベッドスキャナ(好適なスキャナは、Epson America Inc.(Long Beach CA)製のEpson Perfection V750 Pro又はその同等物である)を使用して画像を取得する。ANSI法IT8.7/2-1993(好適な色較正ソフトウェアは、X-Rite Grand Rapids,MIから入手可能なMonaco EXColor若しくはi1Studio、又はその同等物である)に準拠した対応する参照ファイルを利用して、カラー反射IT8標的に対してスキャナを較正することが可能なカラー較正ソフトウェアを実行するコンピュータに、スキャナをインターフェース接続する。カラー較正ソフトウェアは、スキャナのためのインターナショナルカラーコンソーシアム(ICC)のカラープロファイルを構築するが、これは、ICCプロファイルの適用をサポートする画像解析プログラムを用いて出力画像を色補正するために使用される(好適なプログラムは、Adobe Systems Inc.(San Jose,CA)から入手可能なPhotoshop CS4又はその同等物である)。次いで、色補正された画像を次のグレーレベル画像解析のためにグレースケールに変換する(好適な画像解析ソフトウェアは、Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLABである)。
【0300】
試験片の各々を得るために、吸収性物品を平面構成の固い平坦面にテープで貼り付ける。あらゆる脚部の弾性体は、物品の平らな配置を容易にするために切断され得る。物品の吸収性コアの上に位置する領域の外側境界を、層の外向き表面上で識別及びマークする。かみそり刃を用いて物品の外周の周囲を切断することによって、試験片を物品の下層から取り出す。層試験片を、材料の歪みを回避するために長手方向及び横方向の伸長が維持されるように丁寧に取り出す。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze,Control Company,Houston TX)、又は等価物など)を使用して、試験片を下層から取り除いてもよい。同じパッケージからの実質的に類似した6つの吸収性物品から得られた6つの複製試料を、解析のために調製する。試料は、試験前に、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で2時間にわたって調湿される。
【0301】
較正及び画像取得の前に、スキャナを30分間オンにする。スキャナソフトウェアに含まれる場合がある、あらゆる自動的色補正又はカラーマネジメントオプションの選択を解除する。自動カラーマネジメントを無効にすることができない場合、そのスキャナは、この用途には不適である。色較正ソフトウェアの推奨手順に続いて、スキャナのICC色プロファイルを作成し、エクスポートする。色較正ソフトウェアは、取得されたIT8標的画像を対応する参照ファイルと比較して、スキャナ用のICC色プロファイルを作成及びエクスポートし、このICC色プロファイルは、後続の出力画像の色を補正するために画像解析プログラム内で適用される。
【0302】
スキャナの蓋を開け、試料の外向き表面をガラスに向けた状態で、試料をスキャナガラスの中心に慎重に平らに置く。画像を取得する前に黒色ガラスタイル(HunterLab、Reston、VAから入手可能なP/N 11-0050-30、又は等価物)の裏地を試験片に貼る。視覚的に区別可能な区域の画像を取得し、反射モードで150 dpi(約5.9ピクセル/mm)の解像度の24ビットカラーの画像解析ソフトウェアにインポートする。色補正されたRGB画像を生成する画像にICC色プロファイルを割り当てる。次いで、RGB画像を、R、G、及びB成分の以下の加重和に従って8ビットグレースケールに変換する。
グレーレベル=0.2989×R+0.5870×G+0.1140×B
【0303】
4に等しいガウス分布(σ)の標準偏差を有する2Dガウスフィルタを適用することによって画像を平滑化及びぼかし加工し、また境界要素を繰り返すことによって境界を埋める。この較正及びぼかし加工されたグレーレベル画像を、解析前にTIFFファイルなどの非圧縮形式で保存する。この手順を6つの試料のそれぞれで繰り返して、同じ視覚的に区別可能な区域の6つの複製画像を得る。
【0304】
6つの較正及びぼかし加工されたグレーレベル画像の各々を画像解析ソフトウェアで開く。6つの画像の各々の算術平均グレーレベル値を測定及び記録する。記録された平均の標準偏差を計算し、グレーレベル変動として0.1単位で報告する。
【0305】
実施例/組み合わせ
1.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される、約0.1~約10.0のグレーレベル変動を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
2.グレーレベル変動が約0.1~約7.0である、段落1に記載の形成ベルト。
3.グレーレベル変動が約0.1~約4.1である、段落1に記載の形成ベルト。
4.グレーレベル変動が4.2未満である、段落1に記載の形成ベルト。
5.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大平均コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
6.ハラリック最大平均コントラスト値が約100~約600である、段落5に記載の形成ベルト。
7.ハラリック最大平均コントラスト値が80超である、段落5に記載の形成ベルト。
8.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大90°コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
9.ハラリック最大90°コントラスト値が約100~約600である、段落8に記載の形成ベルト。
10.ハラリック最大90°コントラスト値が80超である、段落8に記載の形成ベルト。
11.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大0°コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
12.ハラリック最大0°コントラスト値が約100~約600である、段落11に記載の形成ベルト。
13.ハラリック最大0°コントラスト値が80超である、段落11に記載の形成ベルト。
14.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される、約0.1~約10.0のグレーレベル変動を有し、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大平均コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
15.グレーレベル変動が約0.1~約7.0である、段落14に記載の形成ベルト。
16.グレーレベル変動が約0.1~約4.1である、段落14に記載の形成ベルト。
17.グレーレベル変動が4.2未満である、段落14に記載の形成ベルト。
18.ハラリック最大平均コントラスト値が約100~約600である、段落14に記載の形成ベルト。
19.ハラリック最大平均コントラスト値が80超である、段落14に記載の形成ベルト。
20.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域と第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、微小区域のうちの少なくとも1つは、本明細書で定義されるグレーレベルコントラスト勾配試験方法に従って測定される、約5.0~約35.0のグレーレベルコントラスト勾配を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
21.グレーレベルコントラスト勾配が約11.0~約25.0である、段落20に記載の形成ベルト。
22.グレーレベルコントラスト勾配が11.0超である、段落20に記載の形成ベルト。
23.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大平均コントラスト試験方法に従って決定される、周期的なハラリック波応答を有し、形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
24.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
a.厚さ、
b.坪量、及び
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される、約0.1~約10.0のグレーレベル変動を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
25.グレーレベル変動が約0.1~約7.0である、段落24に記載の形成ベルト。
26.グレーレベル変動が約0.1~約4.1である、段落24に記載の形成ベルト。
27.グレーレベル変動が4.2未満である、段落24に記載の形成ベルト。
28.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
a.厚さ、
b.坪量、及び
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大平均コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
29.ハラリック最大平均コントラスト値が約100~約600である、段落28に記載の形成ベルト。
30.ハラリック最大平均コントラスト値が80超である、段落28に記載の形成ベルト。
31.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
a.厚さ、
b.坪量、及び
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大90°コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
32.ハラリック最大90°コントラスト値が約100~約600である、段落31に記載の形成ベルト。
33.ハラリック最大90°コントラスト値が80超である、段落31に記載の形成ベルト。
34.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
a.厚さ、
b.坪量、及び
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大0°コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
35.ハラリック最大0°コントラスト値が約100~約600である、段落34に記載の形成ベルト。
36.ハラリック最大0°コントラスト値が80超である、段落34に記載の形成ベルト。
37.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
a.厚さ、
b.坪量、及び
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される、約0.1~約10.0のグレーレベル変動を有し、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大平均コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
38.グレーレベル変動が約0.1~約7.0である、段落37に記載の形成ベルト。
39.グレーレベル変動が約0.1~約4.1である、段落37に記載の形成ベルト。
40.グレーレベル変動が4.2未満である、段落37に記載の形成ベルト。
41.ハラリック最大平均コントラスト値が約100~約600である、段落37に記載の形成ベルト。
42.ハラリック最大平均コントラスト値が80超である、段落37に記載の形成ベルト。
43.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
a.厚さ、
b.坪量、及び
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
微小区域のうちの少なくとも1つは、本明細書で定義されるグレーレベルコントラスト勾配試験方法に従って測定される、約10.0~約30.0のグレーレベルコントラスト勾配を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
44.グレーレベルコントラスト勾配が約11.0~約25.0である、段落43に記載の形成ベルト。
45.グレーレベルコントラスト勾配が11.0超である、段落43に記載の形成ベルト。
46.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
a.厚さ、
b.坪量、及び
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、周期的なハラリック波応答を有し、形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
47.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1及び第2の視覚的に区別可能な区域の少なくとも一方は、本明細書で定義される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される、約0.1~約10.0のグレーレベル変動を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
48.グレーレベル変動が約0.1~約7.0である、段落47に記載の形成ベルト。
49.グレーレベル変動が約0.1~約4.1である、段落47に記載の形成ベルト。
50.グレーレベル変動が4.2未満である、段落47に記載の形成ベルト。
51.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大平均コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
52.ハラリック最大平均コントラスト値が約100~約600である、段落51に記載の形成ベルト。
53.ハラリック最大平均コントラスト値が80超である、段落51に記載の形成ベルト。
54.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大90°コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
55.ハラリック最大90°コントラスト値が約100~約600である、段落54に記載の形成ベルト。
56.ハラリック最大90°コントラスト値が80超である、段落54に記載の形成ベルト。
57.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大0°コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
58.ハラリック最大0°コントラスト値が約100~約600である、段落57に記載の形成ベルト。
59.ハラリック最大0°コントラスト値が80超である、段落57に記載の形成ベルト。
60.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、
第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される、約0.1~約10.0のグレーレベル変動を有し、
第1及び第2の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大平均コントラスト値を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
61.グレーレベル変動が約0.1~約7.0である、段落60に記載の形成ベルト。
62.グレーレベル変動が約0.1~約4.1である、段落60に記載の形成ベルト。
63.グレーレベル変動が4.2未満である、段落60に記載の形成ベルト。
64.ハラリック最大平均コントラスト値が約100~約600である、段落60に記載の形成ベルト。
65.ハラリック最大平均コントラスト値が80超である、段落60に記載の形成ベルト。
66.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面のうちの少なくとも一方の上の少なくとも第1の視覚的に区別可能な区域及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含む不織布を生産するための形成ベルトであって、第1の視覚的に区別可能な区域は、三次元特徴部のパターンを有し、三次元特徴部の各々は、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1の領域及び第2の領域は、示強的性質の値の差を有し、示強的性質は、
d.厚さ、
e.坪量、及び
f.体積密度、のうちの1つ以上であり、
不織布は、
1.第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義される物品内グレーレベル変動試験方法に従って測定される、約0.1~約10.0のグレーレベル変動を有することと、
2.第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大平均コントラスト値を有することと、
3.第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大90°コントラスト値を有することと、
4.第1の視覚的に区別可能な区域は、本明細書で定義されるハラリック最大コントラスト試験方法に従って測定される、約80~約750のハラリック最大0°コントラスト値を有することと、
5.微小区域のうちの少なくとも1つは、本明細書で定義されるグレーレベルコントラスト勾配試験方法に従って測定される、約5.0~約35.0のグレーレベルコントラスト勾配を有することと、のうちの1つ以上を有し、
形成ベルトは、約2%~約35%の%KAを有する、形成ベルト。
【0306】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0307】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0308】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【外国語明細書】
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