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特開2023-118944白ぶどう風味飲料、透明容器詰め飲料、透明容器詰め飲料の陳列方法、白ぶどう風味飲料の光劣化臭マスキング剤、及び白ぶどう風味飲料の光劣化臭のマスキング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118944
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】白ぶどう風味飲料、透明容器詰め飲料、透明容器詰め飲料の陳列方法、白ぶどう風味飲料の光劣化臭マスキング剤、及び白ぶどう風味飲料の光劣化臭のマスキング方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/56 20060101AFI20230818BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230818BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20230818BHJP
   A23L 2/68 20060101ALI20230818BHJP
   A23L 2/64 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A23L2/56
A23L2/00 B
A23L2/02 A
A23L2/68
A23L2/64
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111689
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2017233577の分割
【原出願日】2017-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐山 美奈穂
(72)【発明者】
【氏名】青山 千尋
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、酸化防止剤を含まないか、又は、酸化防止剤の配合量が少なく、かつ、光劣化臭がマスキングされた白ぶどう風味飲料を提供することである。
【解決手段】本発明は、白ぶどう風味飲料に対して、炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステル0.5ppb以上、モノテルペンアルコール50ppt以上、及びバニリン5ppt以上からなる群から選択される1以上を含む、白ぶどう風味飲料を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白ぶどう風味飲料に対して、炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステル0.5ppb以上、モノテルペンアルコール50ppt以上、及びバニリン5ppt以上からなる群から選択される1以上を含む、白ぶどう風味飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白ぶどう風味飲料、透明容器詰め飲料、透明容器詰め飲料の陳列方法、白ぶどう風味飲料の光劣化臭マスキング剤、及び白ぶどう風味飲料の光劣化臭のマスキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
果物の果汁や果汁の香りを有する香料等を含む飲料(以下、「果汁飲料」という。)は、嗜好性の高い飲料のひとつとして、消費者に幅広く受け入れられている。しかし、果汁飲料の原料として用いる果物や香料等の種類によっては、果汁飲料の保存期間中に、果汁中の成分が光等によって変化し、その結果、飲料から不快な臭気が発生することがある。
【0003】
光等による成分変化が生じ得る果汁としては、白ぶどう果汁が挙げられる。例えば、店舗等に陳列された白ぶどう果汁入り飲料は、蛍光灯やLED等からの光に照射されることによって、経時的に樹脂臭等の好ましくない臭気(以下、このような臭気を「光劣化臭」ともいう。)を生じ得る。このような飲料は、風味に劣り、商品価値が著しく低下してしまうという問題がある。同様の問題は、白ぶどう果汁を含まないか、又は、白ぶどう果汁の配合量が少ない、白ぶどう果汁の香りを有する香料等を含む飲料においても生じ得る。なお、以下、白ぶどう果汁入り飲料、及び、白ぶどう果汁の香りを有する香料等を含む飲料をあわせて「白ぶどう風味飲料」という。
【0004】
飲料における、このような風味劣化を抑制する方法として、酸化防止剤を飲料に配合することが知られている。また、特許文献1には、レモン等の柑橘系の果実フレーバーを含む透明飲料における果実フレーバー由来の異臭を、所定の香気成分を配合することでマスキングする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-127818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、酸化防止剤を用いる方法には、(1)酸化防止剤に含まれる乳化剤成分と果汁由来の成分とが反応することで乳化破壊が生じ、液面に浮遊物が発生し得ること、(2)酸化防止剤に含まれる脂溶性成分に由来する濁りが発生し得ること、(3)酸化防止剤の使用は、通常高いコストがかかること、等の問題が懸念される。
【0007】
特許文献1には、レモン等の柑橘系の果実フレーバー由来の異臭をマスキングする方法について記載されているものの、異臭の原因(異臭成分等)は果実の種類ごとに異なるため、柑橘系以外の果実フレーバー由来の異臭への効果は全くの不明である。また、果実フレーバーとは、通常、果物中の特定の香気成分を単離したもの等を意味するところ、柑橘系の果実フレーバーと、その他の果実由来の果汁やその香気成分とは、含まれる成分の種類や量等が大きく異なる。そのため、特許文献1の方法が白ぶどう果汁の異臭に対してどのような影響を及ぼすかは予測できない。
【0008】
したがって、従来は、酸化防止剤を配合する手段以外に、光劣化臭が少ない白ぶどう風味飲料を製造できる手段が得られにくかった。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、酸化防止剤を含まないか、又は、酸化防止剤の配合量が少なく、かつ、光劣化臭がマスキングされた白ぶどう風味飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、所定の香気成分を含む白ぶどう風味飲料によれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
(1) 白ぶどう風味飲料に対して、炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステル0.5ppb以上、モノテルペンアルコール50ppt以上、及びバニリン5ppt以上からなる群から選択される1以上を含む、白ぶどう風味飲料。
【0012】
(2) 前記脂肪酸エステルは、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、ノナン酸エチル、及びデカン酸エチルからなる群から選択される1以上を含む、(1)に記載の白ぶどう風味飲料。
【0013】
(3) 前記モノテルペンアルコールは、β-シトロネロール、α-テルピネオール及びネロールからなる群より選択される1以上を含む、(1)又は(2)に記載の白ぶどう風味飲料。
【0014】
(4) 酸化防止剤を含まない、(1)から(3)のいずれかに記載の白ぶどう風味飲料。
【0015】
(5) 白ぶどう果汁を含む、(1)から(4)のいずれかに記載の白ぶどう風味飲料。
【0016】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の白ぶどう風味飲料を含む、透明容器詰め飲料。
【0017】
(7) (6)に記載の透明容器詰め飲料を、4℃以上40℃以下で、積算照度500000lx・h以上の光を照射して陳列する、透明容器詰め飲料の陳列方法。
【0018】
(8) 炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステル、モノテルペンアルコール、及びバニリンからなる群から選択される1以上を含む、白ぶどう風味飲料の光劣化臭マスキング剤。
【0019】
(9) 白ぶどう風味飲料に、前記白ぶどう風味飲料に対して、炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステル0.5ppb以上、モノテルペンアルコール50ppt以上、及びバニリン5ppt以上からなる群から選択される1以上を配合する工程を含む、白ぶどう風味飲料の光劣化臭のマスキング方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、酸化防止剤を含まないか、又は、酸化防止剤の配合量が少なく、かつ、光劣化臭がマスキングされた白ぶどう風味飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0022】
<白ぶどう風味飲料>
本発明の白ぶどう風味飲料(以下、「本発明の飲料」ともいう。)は、白ぶどう風味飲料に対して、炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステル0.5ppb以上、モノテルペンアルコール50ppt以上、及びバニリン5ppt以上からなる群から選択される1以上を含む。「炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステル」を「本発明の脂肪酸エステル」ともいう。本発明の脂肪酸エステル、モノテルペンアルコール、及びバニリンを「本発明の香気成分」ともいう。本発明の香気成分が白ぶどう風味飲料に含まれることについては、報告が確認されていない。以下、本発明の飲料の構成について詳述する。
【0023】
(本発明の脂肪酸エステル)
本発明の脂肪酸エステルは、炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステルである。本発明の脂肪酸エステルは、白ぶどう風味飲料には通常含まれない。
【0024】
本発明の脂肪酸エステルを構成する脂肪酸部分の炭素数の下限は、本発明の効果がより奏されやすいという観点から、好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上、より好ましくは6以上である。脂肪酸エステルを構成する脂肪酸部分の炭素数の上限は好ましくは10以下である。
【0025】
本発明の脂肪酸エステルを構成する脂肪酸部分は、直鎖脂肪酸、分枝鎖脂肪酸、飽和脂肪鎖、不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。本発明の効果がより奏されやすいという観点から、本発明の脂肪酸エステルを構成する脂肪酸部分は、直鎖飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0026】
本発明の脂肪酸エステルは、好ましくは直鎖状エステル(有機酸エチルエステル、有機酸メチルエステル等)である。
【0027】
本発明の脂肪酸エステルとしては、ヘキサン酸メチル、ヘプタン酸メチル、オクタン酸メチル、ノナン酸メチル、デカン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果が奏されやすいという観点から、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチルが好ましく、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチルが特に好ましい。
【0028】
本発明の脂肪酸エステルとしては、沸点が150~250℃(好ましくは175~225℃)である脂肪酸エステルを好ましく使用できる。炭素数3以上12以下の脂肪酸と炭素数1以上2以下のアルコールとの脂肪酸エステルであり、かつ、沸点がかかる範囲にある脂肪酸エステルであれば、性質が類似する傾向にある。なお、上記で例示した本発明の脂肪酸エステルの沸点は、通常、下記の値である。
ヘキサン酸メチル 約149.5℃
ヘプタン酸メチル 約174.0℃
オクタン酸メチル 約192.9℃
ノナン酸メチル 約213.5℃
デカン酸メチル 約224.0℃
ヘキサン酸エチル 約167.0℃
ヘプタン酸エチル 約187.0℃
オクタン酸エチル 約208.5℃
ノナン酸エチル 約227.0℃
デカン酸エチル 約241.5℃
【0029】
本発明の脂肪酸エステルの配合量の下限は、白ぶどう風味飲料に対して、0.5ppb以上、好ましくは1.0ppb以上である。上限は、本発明の脂肪酸エステルの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは50000ppb以下、より好ましくは10000ppb以下である。
【0030】
香気成分としてヘキサン酸エチルを配合する場合、その下限は、光劣化臭を抑制しやすいという観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは0.5ppb以上、より好ましくは1.0ppb以上である。上限は、ヘキサン酸エチルの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは50000ppb以下、より好ましくは10000ppb以下である。
【0031】
香気成分としてヘプタン酸エチルを配合する場合、その下限は、光劣化臭を抑制しやすいという観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは0.5ppb以上、より好ましくは1.0ppb以上である。上限は、ヘプタン酸エチルの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは50000ppb以下、より好ましくは10000ppb以下である。
【0032】
香気成分としてオクタン酸エチルを配合する場合、その下限は、光劣化臭を抑制しやすいという観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは0.5ppb以上、より好ましくは1.0ppb以上である。上限は、オクタン酸エチルの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは50000ppb以下、より好ましくは10000ppb以下である。
【0033】
香気成分としてノナン酸エチルを配合する場合、その下限は、光劣化臭を抑制しやすいという観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは0.5ppb以上、より好ましくは1.0ppb以上である。上限は、ノナン酸エチルの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは50000ppb以下、より好ましくは10000ppb以下である。
【0034】
香気成分としてデカン酸エチルを配合する場合、その下限は、光劣化臭を抑制しやすいという観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは0.5ppb以上、より好ましくは1.0ppb以上である。上限は、デカン酸エチルの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは50000ppb以下、より好ましくは10000ppb以下である。
【0035】
(モノテルペンアルコール)
モノテルペンアルコールは、飲料に配合できるものであれば特に限定されない。本発明において使用できるモノテルペンアルコールとしては、β-シトロネロール、α-テルピネオール及びネロール等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果が奏されやすいという観点から、β-シトロネロールが好ましい。
【0036】
モノテルペンアルコールの配合量の下限は、白ぶどう風味飲料に対して、50ppt以上、好ましくは100ppt以上である。上限は、モノテルペンアルコールの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは1000000ppt以下、より好ましくは500000ppt以下である。
【0037】
モノテルペンアルコールとしてβ-シトロネロールを配合する場合、その下限は、白ぶどう風味飲料に対して、50ppt以上、好ましくは100ppt以上である。上限は、β-シトロネロールの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは1000000ppt以下、より好ましくは500000ppt以下である。
【0038】
モノテルペンアルコールとしてα-テルピネオールを配合する場合、その下限は、白ぶどう風味飲料に対して、50ppt以上、好ましくは100ppt以上である。上限は、α-テルピネオールの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは1000000ppt以下、より好ましくは500000ppt以下である。
【0039】
モノテルペンアルコールとしてネロールを配合する場合、その下限は、白ぶどう風味飲料に対して、50ppt以上、好ましくは100ppt以上である。上限は、ネロールの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは1000000ppt以下、より好ましくは500000ppt以下である。
【0040】
(バニリン)
バニリンは、分子式Cで表される化合物である。
【0041】
バニリンの配合量の下限は、白ぶどう風味飲料に対して、5ppt以上、好ましくは10ppt以上である。上限は、バニリンの配合量が過度でなくとも本発明の効果が奏され得るため、さらに、飲料の白ぶどうの香りを損なわず、不要なコストを抑える観点から、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは500000ppt以下、より好ましくは100000ppt以下である。
【0042】
(本発明の香気成分の配合)
本発明の香気成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の香気成分を2種以上組み合わせて使用する場合、各香気成分の含量が上記の範囲であればよい。本発明の香気成分の組み合わせとしては、ヘキサン酸エチル及びβ-シトロネロールが好ましい。
【0043】
本発明の飲料中における、本発明の香気成分の含有量は、固相マイクロ抽出-質量分析計付きガスクロマトグラフィー(Solid Phase MicroExtraction-Gas Chromatography-Mass Spectrometry:SPME-GC-MS)法により測定する。具体的な分析条件の例は以下のとおりである。
[香気成分含有量の分析条件]
分析対象である飲料を超純水で10倍希釈して試料溶液を調製する。試料飲料10mLを、あらかじめ3.5gのNaClを入れた固相マイクロ抽出(SPME)用バイアルに入れ、密栓する。各バイアルを70℃で10分間振盪した後、SPME用ファイバー(例えば、DVB/CAR/PDMS,Stableflex 23Ga(Gray)50/30μm:SIGMA-ALDRICH社製)をバイアル中のヘッドスペースに露出させる。70℃で5分間、揮発性成分をファイバーに吸着させた後、注入口で5分間脱着させ、GC/MSにより分析を行う。検量線は標準添加法にて作成する。
[GC/MSの分析条件]
GC:Agilent Technologies社製 7890B。MS:Agilent Technologies社製5977A MSD。カラム:Agilent Technologies社製 DB-WAX UI 30m×0.25mm、膜厚0.25μm。流量:1.0ml/min。注入法:スプリット注入(100:1)。スプリット流量:100mL/min。キャリアガス:He。
注入口温度:240℃。トランスファーライン:240 ℃。オーブン温度:40℃(5min)→5℃/min→240℃(0min)、ポストラン240℃(5min)。
MS条件:SIM 12.4min ヘキサン酸エチル m/z99、15.4min ヘプタン酸エチル m/z113、18.2min オクタン酸エチル m/z127、20.9min ノナン酸エチル m/z141、23.3min デカン酸エチル m/z101、26.3min β-シトロネロール m/z69。
【0044】
(白ぶどう果汁)
白ぶどう果汁は、白ぶどうの果実からの搾汁を用いて得られる。例えば、搾汁(ストレート果汁)をそのまま白ぶどう果汁として用いてもよく、搾汁を加工したものを白ぶどう果汁として用いてもよい。搾汁を加工したものとしては、搾汁液を濃縮した濃縮果汁、搾汁液の濃縮果汁を希釈した還元果汁等が挙げられる。
【0045】
搾汁を加工する方法としては、酵素処理法、精密濾過法、限外濾過法等が挙げられる。
【0046】
搾汁は清澄処理した透明果汁でもよく、混濁果汁でもよい。
【0047】
本発明の飲料に用いる白ぶどうの品種は特に限定されない。例えば、マスカット(マスカットオブアレキサンドリア)、ナイアガラ、ロザリオビアンコ、ピッテロビアンコ、シャルドネ、トムソン・シードレス等が挙げられる。これらのうち、本発明の香気成分を含まず、本発明の効果が特に奏されやすいという理由から、マスカットが好ましい。上記の白ぶどうは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0048】
白ぶどう果汁は、白ぶどう以外の果実等から得られる果汁(例えば、オレンジ果汁、ミカン果汁、マンダリン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁、赤ぶどう果汁、リンゴ果汁、モモ果汁、イチゴ果汁、バナナ果汁、マンゴー果汁等)と併用してもよい。このような果汁を白ぶどう果汁とともに併用する場合、その配合量は得ようとする風味等に応じて適宜調整できるが、本発明の効果が奏されやすいという観点から、果汁の合計量の過半が白ぶどう果汁であることが好ましい。
【0049】
本発明の飲料における果汁含有率は特に限定されない。白ぶどうの果汁含有率が高いほど本発明の効果が得られやすい。例えば、白ぶどうの果汁含有率の下限は、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であってもよい。また、白ぶどうの果汁含有率の上限は、白ぶどう風味飲料に対して、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下であってもよい。
【0050】
なお、「果汁含有率」とは、果実を搾汁して得られるストレート果汁を100%としたときの相対濃度であり、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)に示される糖用屈折計示度の基準(°Bx)に基づいて換算される。例えば、ぶどう果汁はJAS規格が11°Bxであるから、55°Bxの濃縮ぶどう果汁を飲料中10重量%配合した場合、果汁含有率は50%となる。ただし、果汁の果汁含有率をJAS規格の糖用屈折計示度に基づいて換算する際には、果汁に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。また、通常果汁量は重量%(すなわち飲料100gあたりの果汁量(g)(w/w))で表される。
【0051】
本発明において用いられる白ぶどう果汁は、「果実飲料の日本農林規格」の第2条の「濃縮果汁」の定義を満たすものであってもよい。
【0052】
本発明の飲料は、白ぶどう果汁とともに、又は白ぶどう果汁の代わりに白ぶどう果汁の香りを有する香料等を含んでいてもよい。白ぶどう果汁を含まないか、又は、白ぶどう果汁の配合量が少なくても(例えば、白ぶどう風味飲料に対して好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下)、白ぶどう果汁の香りを有する香料等を、飲用に適する溶媒(水等)に添加することで、白ぶどう風味飲料が得られる。このような香料等としては、飲料や食品等に白ぶどう果汁のような香りを付与できるものが挙げられる。具体的には、マスカットオブアレキサンドリアの主要香気成分(ヘキサノール、シス-3-ヘキセノール、トランス-2-ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール等)等が挙げられる。白ぶどう果汁の香りを有する香料等の配合量は得ようとする風味の強さや質等に応じて適宜設定される。
【0053】
(その他の成分)
本発明の飲料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、一般的な飲料に通常用いられる他の原材料や添加剤を適宜配合することができる。配合量は得ようとする効果に応じて適宜設定できる。
【0054】
本発明の飲料に配合し得る成分としては、下記のものが挙げられる;糖類(砂糖、果糖、ぶどう糖、乳糖、麦芽糖等の単糖や二糖)、糖アルコール(オリゴ糖、エリスリトールやマルチトール等)、異性化糖(果糖ぶどう糖液糖等)、甘味料(ステビア、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース等)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、増粘安定剤(大豆多糖類、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム等)、酸化防止剤(トコフェロール、塩酸システイン等)、色素(カロチノイド色素、アントシアニン色素、カラメル色素、各種合成着色料等)、香料、保存料、防腐剤、防かび剤、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE等)やミネラル類(カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等)、食物繊維等。
【0055】
本発明の飲料においては、酸化防止剤が含まれなくとも風味劣化や光劣化臭がマスキングされる。しかし、本発明の飲料において酸化防止剤が含まれる態様は排除されず、例えば、本発明の飲料に対して酸化防止剤が0.05質量%以下含まれていてもよい。ただし、本発明の飲料においては、酸化防止剤が含まれないことが好ましい。
【0056】
本発明の飲料は、水等の溶媒を含んでいてもよい。また、本発明の飲料の形態は特に限定されず、果汁をベースとしたソフトドリンク、炭酸を含む炭酸飲料、アルコールを含むアルコール飲料、ゲル化剤を含むゼリー飲料等であってもよいが、アルコールを含まない飲料が好ましい。
【0057】
(白ぶどう風味飲料の性質)
本発明の飲料は、蛍光灯やLED等によって光が照射されても、光劣化臭が生じにくい。これは、光照射によって生じる異臭成分の臭気を、本発明の香気成分がマスキングすることによると推察される。本発明における「光劣化臭」とは、光を原因とする成分変化の結果生じる臭気を意味し、樹脂やプラスチックのような異臭(樹脂臭)、カメムシのような異臭(カメムシ臭)とも称される臭気である。光劣化臭の有無は官能評価によって特定される。
【0058】
また、本発明の飲料は、光劣化臭が感じられにくいだけではなく、長期間保存(例えば常温で180~360日)しても、浮遊物の発生等の外観の劣化が抑制され得る。
【0059】
<白ぶどう風味飲料の製造方法>
本発明の飲料は、白ぶどう果汁に本発明の香気成分を配合する工程から得られ、通常の飲料の製造方法に用いられる装置や条件によって製造することができる。具体的な製造方法としては、例えば、白ぶどう果汁(白ぶどう搾汁液等)や白ぶどう果汁の香りを有する香料等を含む溶液に、本発明の香気成分を添加し、容器に充填する前又は後に、適宜殺菌処理する方法が挙げられる。
【0060】
白ぶどう果汁は、天然物に由来するため、酸度が白ぶどうの品種や収穫後の経過時間(熟度)によって異なる。風味のよい飲料が得られやすいという観点から、白ぶどう果汁はpHが2.5~4.5であるものが好ましい。白ぶどう果汁のpHがこの数値範囲にない場合は、pH調整剤や白ぶどう果汁以外の果汁を添加したり、複数種の白ぶどう果汁の混合比を調整したりすることで調整することができる。
【0061】
pH調整剤としては、酸味料として一般的に使用される有機若しくは無機の食用酸又はそれらの塩を用いることができる。有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸等が挙げられる。無機酸としては、リン酸等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等が挙げられる。pH調整剤の使用量は、所望のpHとすることができ、かつ飲料の風味に大きな影響がない範囲であれば特に限定されない。
【0062】
白ぶどう果汁のpH調整は、本発明の香気成分の添加前又は後のいずれのタイミングで行ってもよい。
【0063】
本発明の香気成分を白ぶどう果汁に配合する方法としては、本発明の香気成分を香料(果汁等の濃縮物、化学合成された化合物等)として白ぶどう果汁に添加する方法、本発明の香気成分を含む食品素材(果汁、エキス等)を白ぶどう果汁に添加する方法等が挙げられる。
【0064】
本発明の飲料は、風味のよい飲料が得られやすいという観点から、pHが2.5~4.5であるものが好ましい。本発明の飲料のpHがこの数値範囲にない場合は、上記のpH調整剤等を用いることで調整できる。
【0065】
本発明の飲料を充填する容器の種類としては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(PETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ガラス瓶等の密封容器が挙げられる。容器に入れた光劣化臭が生じやすく、本発明の効果が特に奏されやすいという観点から、本発明の飲料を充填する容器は透明容器であることが好ましい。
【0066】
殺菌処理の方法は特に限定されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等が挙げられる。
【0067】
<透明容器詰め飲料及びその陳列方法>
本発明の飲料を充填する容器として透明なもの(PETボトル等)を用いることで、本発明の飲料を含む透明容器詰め飲料(以下、「本発明の透明容器詰め飲料」ともいう。)を得ることができる。
【0068】
通常、透明容器に充填された白ぶどう風味飲料は、光に暴露されやすく、したがって、光劣化臭を生じやすい。しかし、本発明の透明容器詰め飲料においては、上記香気成分が配合されているため、光劣化臭がマスキングされている。なお、本発明において「マスキング」とは、光劣化臭等の異臭を、本発明の香気成分から生じる香気によって、感じにくくすることを意味する。
【0069】
例えば、店舗や家庭の棚等において陳列された本発明の透明容器詰め飲料に対し、4℃以上40℃以下で、積算照度500000lx・h以上の光を照射しても、光劣化臭の発生を好ましくマスキングできる。光の照射量は、4℃以上40℃以下で、積算照度2000000lx・h以下であってもよい。本発明の透明容器詰め飲料の陳列方法としては、本発明の透明容器詰め飲料における任意の部位に光を照射できる方法であれば特に限定されず、棚等に本発明の透明容器詰め飲料を1本のみ置いてもよいし、複数本を並べて置いてもよい。
【0070】
<白ぶどう風味飲料の光劣化臭マスキング剤>
上記のとおり、本発明の香気成分は、光照射によって生じる異臭成分の臭気をマスキングできるため、該香気成分は、白ぶどう風味飲料の光劣化臭マスキング剤として使用できる。該光劣化臭マスキング剤は、本発明の香気成分を含んでいれば特に限定されないが、本発明の香気成分からなることが好ましい。該光劣化臭マスキング剤に本発明の香気成分以外の成分が含まれる場合、その種類及び含量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。
【0071】
<白ぶどう風味飲料の光劣化臭のマスキング方法>
上記のとおり、白ぶどう風味飲料に本発明の香気成分を配合することで白ぶどう風味飲料の光劣化臭をマスキングできる。配合される本発明の香気成分の種類や量等の詳細は、上記<白ぶどう風味飲料>で説明したとおりである。
【実施例0072】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0073】
<白ぶどう風味飲料(白ぶどう果汁入り飲料)の製造及び評価>
(1)白ぶどう風味飲料の調製
15質量%の68°Bx白ぶどう(マスカットオブアレキサンドリア)透明濃縮果汁(物産フードマテリアル株式会社製)と5質量%の68°Bx白ぶどう(品種混合)透明濃縮果汁(株式会社エム・シー・フーズ製)を混合し、白ぶどう果汁含有率が20重量%となるように水で希釈した果汁希釈溶液を調製した。また、固相マイクロ抽出-質量分析計付きガスクロマトグラフィー法に基づき、得られた果汁希釈溶液には本発明の香気成分が含まれていないことを確認した。
【0074】
得られた果汁希釈溶液に、各種香気成分(オクタン酸エチル、デカン酸エチル、β-シトロネロール、ヘキサン酸エチル、バニリン、ヘキサン酸エチル及びβ-シトロネロール、又はマルトール)を添加し、白ぶどう果汁入り飲料を調製した。各飲料には、白ぶどう果汁及び各種香気成分が、飲料に対して、下記表1~7に示す濃度となるように配合されている。得られた白ぶどう果汁入り飲料は、PETボトル(500ml)に入れ、下記の光照射試験に供するまで遮光して冷蔵保管した。
【0075】
(2)白ぶどう果汁入り飲料への光照射
各白ぶどう果汁入り飲料を回転試料テーブル(商品名「EYELA LST-7型」、東京理化器械株式会社製)に載せて回転させつつ、光照射試験機(商品名「EYELA LST-300型」、東京理化器械株式会社製)を用いて、下記の条件で光照射を行った。
[光源]
蛍光灯(商品名「三波長型蛍光ランプ 400W型 ラピッドスタート形 白昼色 FLR40SEX-N/M/36AS10」、日立アプライアンス株式会社製)
[光照射試験機の設定条件]
温度調節:20℃
湿度調節:設定なし
照度調節:10000Lux
積算照度:500000Lux・hr
【0076】
(3)官能評価
白ぶどう果汁入り飲料への光照射後、各飲料について官能評価を行った。官能評価は習熟したパネル6~7名により、「風味劣化の程度」、「光劣化臭の程度」、「マスキング効果の程度」について行った。各評価は、下記の採点基準に従って各パネルが付けた評価点数に基づき実施した。
【0077】
(風味劣化の程度)
点数が高いほど(最高点:7点)、白ぶどう果汁特有の香味の劣化が抑制されていることを示す。
7点:劣化が全く認められない
6点:劣化がわずかに認められる
5点:劣化が少し認められる
4点:劣化が比較的認められる
3点:劣化が認められるが、飲料としての品質は満たしている
2点:劣化がかなり認められ、消費者からの苦情が懸念される
1点:劣化が非常に認められ、消費者からの苦情が来る可能性が高い
【0078】
(光劣化臭の程度)
点数が高いほど(最高点:4点)、光劣化臭が認められなかったことを示す。
4点:光劣化臭が認められない
3点:光劣化臭がわずかに認められるが、飲料としての品質は満たしている
2点:光劣化臭が認められ、消費者からの苦情が懸念される
1点:光劣化臭が明らかに認められ、消費者からの苦情が来る可能性が高い
【0079】
(香気成分によるマスキング効果の程度)
点数が高いほど(最高点:5点)、香気成分によるマスキング効果が高い(添加した香気成分由来の香気が強い)ことを示す。
5点:香気成分によるマスキング効果が認められる
4点:香気成分によるマスキング効果がやや認められる
3点:香気成分によるマスキング効果がわずかに認められる
2点:香気成分によるマスキング効果があまり認められない
1点:香気成分によるマスキング効果が認められない
【0080】
(4)結果
上記の官能評価の結果を表1~7に示す。表中、「風味劣化」の欄には、「風味劣化の程度」の結果を、各パネルが付けた評価点数の平均値によって示した。「光劣化臭」の欄には、「光劣化臭の程度」の結果を、評価点数ごとのパネルの人数によって示した。「マスキング効果」の欄には、「香気成分によるマスキング効果の程度」の結果を、各パネルが付けた評価点数の平均値によって示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】
各表から理解されるとおり、本発明の香気成分を白ぶどう風味飲料(白ぶどう果汁入り飲料)に配合すると、酸化防止剤を配合しなくとも、白ぶどう果汁特有の香味の劣化を抑制しつつ、光劣化臭の発生がマスキングされた。
【0089】
また、本発明の香気成分の濃度が高いほど、白ぶどう風味飲料の光劣化臭のマスキング効果が高い傾向にあった。
【0090】
他方、表7から理解されるとおり、本発明の香気成分の代わりに、飲料等の香料として知られるマルトールを用いても、白ぶどう風味飲料の光劣化臭のマスキング効果は十分に奏されなかった。
【0091】
<白ぶどう果汁希釈溶液(低濃度の白ぶどう果汁を含む飲料)の製造及び評価>
参考として、白ぶどう果汁の配合量が少ない(飲料に対して1重量%)飲料を調製し、<白ぶどう風味飲料(白ぶどう果汁入り飲料)の製造及び評価>と同様に光照射を行った。通常、飲料に対して1重量%しか白ぶどう果汁を含まない飲料は、白ぶどう果汁由来の香味をほぼ有さない。他方で、このような飲料であっても、下記のとおり、光照射による光劣化臭が生じ得る。しかし、本発明の香気成分を配合することで、白ぶどう果汁の含量に関わらず、飲料における光劣化臭をマスキングすることができた。
【0092】
(1)白ぶどう果汁希釈溶液の調製
68°Bx白ぶどう(マスカットオブアレキサンドリア)透明濃縮果汁(物産フードマテリアル株式会社製)を白ぶどう果汁含有率が1重量%となるように炭酸水で希釈した果汁希釈溶液を調製した。なお、該果汁希釈溶液には、果汁希釈溶液に対して、糖液糖10質量%、クエン酸0.1質量%も配合した。また、固相マイクロ抽出-質量分析計付きガスクロマトグラフィー法に基づき、得られた果汁希釈溶液には本発明の香気成分が含まれていないことを確認した。
【0093】
得られた果汁希釈溶液をPETボトル(500ml)に入れ、光照射試験に供するまで遮光して冷蔵保管した。
【0094】
(2)白ぶどう果汁希釈溶液への光照射及び官能評価
<白ぶどう風味飲料(白ぶどう果汁入り飲料)の製造及び評価>と同様に光照射及び官能評価(風味劣化の程度及び光劣化臭の程度)を行った。その結果を表8に示す。
【0095】
【表8】
【0096】
表8に示されるとおり、飲料に対して1重量%しか白ぶどう果汁を含まない飲料であっても、光照射による風味劣化及び光劣化臭が認められた。このような光照射による劣化は、白ぶどう果汁を含まず、白ぶどう果汁の香りを有する香料等を含む白ぶどう風味飲料においても認められた(データは示していない。)。