(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118947
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】動作玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 13/02 20060101AFI20230818BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A63H13/02 Z
A63H33/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111806
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2021205901の分割
【原出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】福原 進之介
(72)【発明者】
【氏名】村上 寛子
(57)【要約】
【課題】興趣性の高い動作玩具を提供する。
【解決手段】物品Bを用いた遊戯に使用される動作玩具1であって、第1の位置P1から第2の位置P2に変位可能に設けられた動作部10と、動作部10を第1の位置P1から第2の位置P2に変位させる方向へ付勢する付勢部30と、動作部10を第1の位置P1に保持可能な保持部40と、を備え、動作部10は、物品Bを受容可能に構成され、保持部40は、動作部10が物品Bを受容したことに応じて動作部10の保持を解除可能であり、保持を解除された動作部10は、第1の位置P1から第2の位置P2への変位によって、該動作部10で受容した物品Bの位置を変化させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、
第1の位置から第2の位置に変位可能に設けられた動作部と、
前記動作部を前記第1の位置から前記第2の位置に変位させる方向へ付勢する付勢部と、
前記動作部を前記第1の位置に保持可能な保持部と、
を備え、
前記動作部は、前記物品を受容可能に構成され、
前記保持部は、前記動作部が前記物品を受容したことに応じて前記動作部の保持を解除可能であり、
保持を解除された前記動作部は、前記第1の位置から前記第2の位置への変位によって、該動作部で受容した前記物品の位置を変化させる、
動作玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、前記第1の位置から前記第2の位置への変位によって、前記物品の高さ位置を該動作部に受容された位置よりも高い位置に変化させる、
動作玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、回転により、前記第1の位置と前記第2の位置の間で変位可能に構成される、
動作玩具。
【請求項4】
請求項3に記載の動作玩具であって、
前記動作部の回転は、高さ方向の回転である、
動作玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の動作玩具であって、
前記付勢部は、前記動作部を回転方向側に付勢する第1の弾性部材により構成される、
動作玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、前記第1の弾性部材の付勢力に抗して前記保持部にて係止される被係止部を有し、
前記保持部による前記被係止部の係止は、前記保持部の位置変位により解除される、
動作玩具。
【請求項7】
請求項6に記載の動作玩具であって、
前記保持部は、第2の弾性部材により前記被係止部を係止する方向に付勢され、
前記保持部は、前記動作部で受容した前記物品からの押圧により前記第2の弾性部材の付勢力に抗して前記被係止部の係止を解除する方向に移動する、
動作玩具。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の動作玩具であって、
前記動作部は、前記物品が受容される受容部と、該物品が放出される放出部と、前記受容部及び前記放出部を繋ぎ、該物品が移動可能な第1の軌道と、を含む、
動作玩具。
【請求項9】
請求項8に記載の動作玩具であって、
前記受容部に近い位置に前記物品が移動可能な第2の軌道を備え、
前記第2の軌道は、該第2の軌道上を移動した前記物品が前記受容部に受け入れ可能に構成される、
動作玩具。
【請求項10】
請求項8または9に記載の動作玩具であって、
前記放出部に近い位置に前記物品が移動可能な第3の軌道を備え、
前記第3の軌道は、前記放出部から放出された前記物品が移動可能に構成される、
動作玩具。
【請求項11】
請求項8~10の何れか一項に記載の動作玩具であって、
前記動作部が前記第1の位置にある状態にて、前記受容部は、前記受容部に進入した前記物品を前記保持部に案内するように構成される、
動作玩具。
【請求項12】
請求項8~11の何れか一項に記載の動作玩具であって、
前記動作玩具の少なくとも一部は、形象物を模した外観を有しており、
前記第1の軌道は、前記形象物の一部を構成する第1の部材によって覆われる、
動作玩具。
【請求項13】
請求項12に記載の動作玩具であって、
前記保持部は、前記形象物の一部を構成する第2の部材によって覆われる、
動作玩具。
【請求項14】
請求項12または13に記載の動作玩具であって、
前記形象物は、口を含む頭部と、尻を含む胴部と、を有する、
動作玩具。
【請求項15】
請求項14に記載の動作玩具であって、
前記受容部は、前記口を含んで構成され、
前記放出部は、前記口が受容した前記物品が前記尻から放出される構成である、
動作玩具。
【請求項16】
請求項15に記載の動作玩具であって、
前記保持部は、前記動作部が前記第1の位置にある状態にて、前記口に含まれる舌を模すように前記口の中に突出可能に設けられる、
動作玩具。
【請求項17】
請求項16に記載の動作玩具であって、
前記保持部は、前記物品からの押圧によって所定の方向に移動することで前記形象物の保持を解除し、
前記所定の方向は、前記動作部が前記第1の位置にある状態において前記物品が前記受容部に進入可能な方向である、
動作玩具。
【請求項18】
請求項14~17の何れか一項に記載の動作玩具であって、
前記形象物が前記第1の位置にある状態では、前記口の下顎と前記口の上顎とが、前記物品が前記受容部に進入する方向に向かって開く、
動作玩具。
【請求項19】
請求項12~18の何れか一項に記載の動作玩具であって、
前記形象物は、尾を有し、
前記尾は、前記物品が放出される方向から反れるように曲がって設けられる、
動作玩具。
【請求項20】
請求項12~19の何れか一項に記載の動作玩具であって、
前記形象物は、脚部を有し、
前記脚部は、前記第1の位置から前記第2の位置への変位動作に連動して伸縮する、
動作玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の軌道上に球状物品を置いて高所から低所に転がして遊ぶ、玉転がしの玩具がある。この種の玉転がしの玩具においては、例えば、転がす物品としてビー玉を用いて、このビー玉を、軌道の低所から高所に向けて移動させるビー玉上昇具が設けられている。このビー玉上昇具は、螺旋軌道部材が軌道の低所から高所に掛け渡されており、この螺旋軌道部材がビー玉を保持し回転することによってビー玉を高所まで移動し、もって玉転がしを連続的に行うようにした構成である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたビー玉上昇具は、螺旋軌道部材によってビー玉を低所から高所に移動するだけであり、その構造上からビー玉の搬送の移動速度も遅く、動作手段としての外観性や工夫が乏しく、玩具として興趣性が十分ではない。
【0005】
本発明は、従来に比べて興趣性の高い動作玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る動作玩具は、
物品を用いた遊戯に使用される動作玩具であって、
第1の位置から第2の位置に変位可能に設けられた動作部と、
前記動作部を前記第1の位置から前記第2の位置に変位させる方向へ付勢する付勢部と、
前記動作部を前記第1の位置に保持可能な保持部と、
を備え、
前記動作部は、前記物品を受容可能に構成され、
前記保持部は、前記動作部が前記物品を受容したことに応じて前記動作部の保持を解除可能であり、
保持を解除された前記動作部は、前記第1の位置から前記第2の位置への変位によって、該動作部で受容した前記物品の位置を変化させる、
ことを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記動作部は、前記第1の位置から前記第2の位置への変位によって、前記物品の高さ位置を該動作部に受容された位置よりも高い位置に変化させる、ようにしてもよい。
【0008】
また、本発明に係る動作玩具おいては、
前記動作部は、回転により、前記第1の位置と前記第2の位置の間で変位可能に構成される、ようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る動作玩具おいては、
前記動作部の回転は、高さ方向の回転である、ようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る動作玩具おいては、
前記付勢部は、前記動作部を回転方向側に付勢する第1の弾性部材により構成される、ようにしてもよい。
【0011】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記動作部は、前記第1の弾性部材の付勢力に抗して前記保持部にて係止される被係止部を有し、
前記保持部による前記被係止部の係止は、前記保持部の位置変位により解除される、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記保持部は、第2の弾性部材により前記被係止部を係止する方向に付勢され、
前記保持部は、前記動作部で受容した前記物品からの押圧により前記第2の弾性部材の付勢力に抗して前記被係止部の係止を解除する方向に移動する、ようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記動作部は、前記物品が受容される受容部と、該物品が放出される放出部と、前記受容部及び前記放出部を繋ぎ、該物品が移動可能な第1の軌道と、を含む、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記受容部に近い位置に前記物品が移動可能な第2の軌道を備え、
前記第2の軌道は、該第2の軌道上を移動した前記物品が前記受容部に受け入れ可能に構成される、ようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記放出部に近い位置に前記物品が移動可能な第3の軌道を備え、
前記第3の軌道は、前記放出部から放出された前記物品が移動可能に構成される、ようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記動作部が前記第1の位置にある状態にて、前記受容部は、前記受容部に進入した前記物品を前記保持部に案内するように構成される、ようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記動作玩具の少なくとも一部は、形象物を模した外観を有しており、
前記第1の軌道は、前記形象物の一部を構成する第1の部材によって覆われる、ようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記保持部は、前記形象物の一部を構成する第2の部材によって覆われる、
ようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記形象物は、口を含む頭部と、尻を含む胴部と、を有する、ようにしてもよい。
【0020】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記受容部は、前記口を含んで構成され、
前記放出部は、前記口が受容した前記物品が前記尻から放出される構成である、ようにしてもよい。
【0021】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記保持部は、前記動作部が前記第1の位置にある状態にて、前記口に含まれる舌を模すように前記口の中に突出可能に設けられる、ようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記保持部は、前記物品からの押圧によって所定の方向に移動することで前記形象物の保持を解除し、
前記所定の方向は、前記動作部が前記第1の位置にある状態において前記物品が前記受容部に進入可能な方向である、ようにしてもよい。
【0023】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記形象物が前記第1の位置にある状態では、前記口の下顎と前記口の上顎とが、前記物品が前記受容部に進入する方向に向かって開く、にしてもよい。
【0024】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記形象物は、尾を有し、
前記尾は、前記物品が放出される方向から反れるように曲がって設けられる、ようにしてもよい。
【0025】
また、本発明に係る動作玩具においては、
前記形象物は、脚部を有し、
前記脚部は、前記第1の位置から前記第2の位置への変位動作に連動して伸縮する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、従来に比べて興趣性の高い動作玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明にかかる動作玩具の一例を示す側面図である。
【
図3】動作玩具を含む玩具セットの遊戯状態の斜視図である。
【
図4】
図2におけるA-A断面図であって、動作玩具の形象物が第1の位置にある状態の断面図である。
【
図5】動作玩具を付勢する付勢部の拡大斜視図である。
【
図6】形象物の保持が解除される動作を説明するための断面図である。
【
図7】動作玩具の形象物が第2の位置にある状態の断面図である。
【
図8】動作玩具の形象物が第1の位置にある状態の脚部の拡大斜視図である。
【
図9】動作玩具の形象物が第2の位置にある状態の脚部の拡大斜視図である。
【
図10】動作玩具を使った玩具セットの遊戯状態の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態である動作玩具について、
図1から
図10を参照して説明する。
図1は、本実施形態の動作玩具1の一例を示す側面図である。
図2は、動作玩具1の斜視図である。
【0029】
図1及び
図2に示す動作玩具1は、その動作部10が例えばティラノサウルスを模した恐竜の形象物として表されており、動作部10が機台部20の上に位置した状態で、後述するように回転軸部32を中心に所定の動作をする玩具である。なお、以下の説明において、向きの記載については、
図1及び
図2のように動作玩具1が載置面上に置かれた状態で機台部20側を下とした上下方向とし、形象物(恐竜)が向いている方向を前方若しくは前側、その反対方向を後方若しくは後側、さらに形象物から見た時の左右を左側、右側、及び左右方向として記載する。また、これらの向きについては、
図1、
図2、及び
図3に図示する。
【0030】
動作玩具1は、物品であるボールBを用いて遊ぶ遊戯である。例えば、この動作玩具1は、ボールBが転動して移動する軌道70(
図3参照)の途中に配置し、ボールBの動きに変化を与えるように動作する。形象物は、例えば、鋭い歯を備える口10mを大きく開けた頭10hと、大きな穴の開いた尻10rを含む胴10bと、尻10rから後方右側に曲がるように連続した尾10tと、胴10bに連動し動くことができる脚部15と、を有している。また、形象物は、
図2に示すように、ボールBを口10m内に受容可能に構成されている。
【0031】
図3は、動作玩具1を含む玩具セット100の遊戯状態の斜視図であり、動作玩具1が軌道70内に配置された状態を示す。
玩具セット100においては、
図3に示すように、動作玩具1の前方側には、ボール投入部60が接続され、ボール投入部60の軌道70が、動作部10の前方側の第2の軌道72に接続されている。したがって、ボール投入部60から供給されたボールBは、動作部10の形象物の口10m内に受容される。すると、動作部10は、第2の軌道72に対応した低い位置の第1の位置P1から、高い位置の第2の位置P2に直ちに変位する。
【0032】
動作玩具1は、その詳細については後述するが、口10mがボールBを受容したときに、これに応じて保持部40が動作部10の保持を解除可能に構成されている。そして、保持(係止状態)が解除された動作部10は、動作部10の後部に設けられた付勢部30の回転軸部32を中心にして第1の位置P1から第2の位置P2へ上方に回転して位置が変位する。これによって、動作部10は、ボールBの位置を、低いところから高い位置に変化され、動作部10の後方側へボールBを放出することができる。
【0033】
図4は、
図2におけるA-A断面図であって、動作部10が第1の位置P1にある状態の断面図である。
図4に示すように、動作部10の内部には、第1の位置P1において口10mの上流側の第2の軌道72を介してボールBが進入する受容部11と、第2の位置P2(
図7参照)においてボールBが放出される放出部13と、受容部11及び放出部13を繋ぎ、ボールBが移動可能な第1の軌道71と、が設けられている。また、放出部13の後方側には、放出部13に連続したボールBの移動経路が確保できる第3の軌道73が設けられている。
【0034】
第2の軌道72は、その軌道面が断面円弧形状であって前後方向に所定の長さの軌道を構成している。第2の軌道72は、その前端側72fが前方側の軌道70(
図3参照)と接続可能に構成され、かつ、後端側72rが口10mの下顎部10hbに接近している。したがって、前方の軌道70から供給されたボールBは、第2の軌道72によって、受容部11を形成する下顎部10hbの内部に落ちるように入る。
【0035】
第1の軌道71は、受容部11の底面11bに連続した軌道底部10bbにより軌道面が構成され、軌道底部10bbが動作部10の第1の部材である胴10bの壁面により覆われたトンネル構造である。また、第1の軌道71の後方端は、ボールBを後方に放出する尻10rの開口である放出部13が形成されている。
【0036】
第3の軌道73は、放出部13の後方で放出部13に近い位置にボールBが移動可能な略水平な軌道として設けられている。第3の軌道73の後端部73rが後方の軌道70(
図3参照)に接続される。放出部13は、動作部10が後述するように第2の位置P2へ動作したときに(
図7参照)、第1の軌道71を通過し後方へ放出する。放出されたボールBは、第3の軌道73によって受けられ、第3の軌道73から後方の軌道70へ供給される。
【0037】
動作部10は、前述のように、回転軸部32を回転中心にして回転可能に設けられ、また、回転軸部32の軸回りに設けられた第1の弾性部材であるトーションばね31によって、所定方向(図において時計回りの方向)に付勢されている。そして、
図4に示すように、動作部10は、保持部40を介して付勢部30の回転力に抗して係止(保持)されていることで、第1の位置P1に保持されている。
【0038】
図5は、付勢部30の拡大斜視図である。
図5に示すように、付勢部30は、例えば、動作部10の回転中心を構成する回転軸部32と、回転軸部32の軸心回りに券回された第1の弾性部材であるトーションばね31と、トーションばね31の一端部31aが当接される形象物側壁部10wと、トーションばね31の他端部31bが当接する機台部側壁部20wと、から構成される。トーションばね31は、一端部31aと他端部31bとが離れる方向(トーションばね31が開く方向)に作用し、機台部20に対して、動作部10を時計回りの方向に常に付勢している。したがって、動作部10は、第1の位置P1に保持部40によって係止・保持されているが、保持部40による係止状態が解除されたときには、トーションばね31によって回動して第2の位置P2まで移動する。
【0039】
図6は、動作部10の保持が解除される動作を説明するための断面図である。
動作部10は、トーションばね31の付勢力に抗して保持部40にて係止されている。この保持部40は、
図6に示すように、側面視で矩形の基部40bと、基部40bの前方部から上方に突出し側面視で略台形状の被押圧部40aと、前方部から前方側に突出した係止部40cと、を有している。
【0040】
そして、保持部40は、基部40bが機台部20の基部収容部20a内に前後方向にスライド移動可能に保持されている。被押圧部40aは、基部収容部20aから上方且つ前方に突出している。係止部40cは、基部40bの前端側の外面から前方に向かって突出している。また、保持部40は、基部40bの後方側に配置された第2の弾性部材である圧縮ばね42によって、基部40bの後端側が前方へ押圧されている。
【0041】
一方、動作部10の頭10hを構成する下顎部10hbには、下端面に被押圧部40aが貫通可能な矩形状の下顎開口10cが形成されている。そして、下顎開口10cの前方側の開口縁部10iは、係止部40cによって係止される被係止部である。すなわち、開口縁部10iが係止部40cによって係止されることで、動作部10は第1の位置P1に保持される。
【0042】
ここで、動作部10が第1の位置P1に保持されているときには、保持部40は、動作部10の一部を構成する第2の部材である頭10hの下顎部10hbによって覆われている。したがって、機台部20から露出した被押圧部40aは、第1の位置P1に保持されているときは、下顎部10hbにより覆われて側面方向から見えない。一方、被押圧部40aは、動作部10が第1の位置P1にある状態で、動作部10の前方側から見える(
図2参照)ように構成されている。しかし、この被押圧部40aは、口10mの舌を模すような形状となっていることで、恐竜の一部として違和感のない構成となっている。
【0043】
このように構成された保持部40は、動作部10が第1の位置P1にある状態において、圧縮ばね42により開口縁部10iを係止する方向に付勢されて動作部10を保持しているが、
図6に示すように、ボールBが受容部11内に前方から供給されると、ボールBの慣性力により被押圧部40aが押されて圧縮ばね42の付勢力に抗して後方に移動する。この結果、係止部40cと開口縁部10iとの係合が外れて動作部10の保持が解除される。
【0044】
図7は、動作部10が第2の位置P2にある状態を示す断面図である。
保持部40による動作部10の保持が解除されると、
図7に示すように、動作部10は、回動して頭10hが上方の第2の位置P2に移動する。これにより、受容部11の位置は、第1の軌道71よりも上方の位置となる。この結果、ボールBは、受容部11から第1の軌道71へ下り降りるように移動し、放出部13から後方へ放出される。このように、ボールBは、動作部10が第2の位置P2に移動することで、第1の軌道71が後方に向かって低くなる傾斜となることで、後方の軌道70へ放出される。
【0045】
ボールBが後方に放出された後は、動作部10を、その上方側を押すように戻し操作することで、動作部10は、再び第1の位置P1に保持し、次のボールBに対応可能に準備する。この戻し操作は、動作部10を下方に向かって反時計回りの方向に回転するだけで良い。これは、係止部40cの上端面に、図示の如く、前方下方に向かって低くなる傾斜面40cdが設けられていること、更に、保持部40が、圧縮ばね42によって基部収容部20aの前方側に押された状態にあること、によって、動作部10はトーションばね31の付勢力に抗して回転するだけで第1の位置P1に係止することができる。すなわち、動作部10を戻し操作をしたときに、下顎開口10cの前方側の下端縁10jが、傾斜面40cdに当接して保持部40を後方に押して、開口縁部10iが再び係止部40cの下側に係止される。
【0046】
図8は第1の位置P1における脚部15の拡大斜視図であり、
図9は、第2の位置P2における脚部15の拡大斜視図である。
動作部10においては、前脚は、下顎部10hbの後方側の左右に固定されているが、後ろ脚は、動作部10の動きに連動する脚部15として構成されている。なお、左右の脚部15は同じ構成であるので、右側のものを図示して説明する。
【0047】
脚部15は、
図8に示すように、上腿部15aと、下腿部15bと、足部15cと、を有している。足部15cは、機台部20に一体的に形成された固定部分である。下腿部15bは、その下端部15beが足部15cの収容空間15d内に挿入された状態で中心軸C1を中心に足部15cに回動可能に軸支されて、足首部分を構成している。また、下腿部15bの上端部15hと上腿部15aの下端部15gとは、中心軸C2を中心にして下腿部15bと上腿部15aとが膝関節のように回動する。また、上腿部15aの上端部15hは、胴10bの側面に設けられた脚支持部10g内に脚軸15iを挿入するようにして、中心軸C3を中心にして回動可能に取り付けられている。
【0048】
したがって、
図9に示すように、動作部10が第1の位置P1から第2の位置P2に移動したときには、胴10bが上方に移動して脚支持部10gが上方側に移動する。これによって、上腿部15a及び下腿部15bは、各中心軸C1、C2、及びC3を支点にして、脚の折れ曲がった状態から伸びるように移動する。このように、脚部15は、胴10bの第1の位置P1から第2の位置P2への変位動作に連動して追従するように動くことができる。
【0049】
図10は、動作玩具1を使った玩具セット100の他の遊戯状態を示す斜視図である。
図10に示すように、動作玩具1を使用した玩具セット100においては、第2の軌道72と、その前方側の軌道70と、を離した状態の遊び方ができる。この場合、前方側の軌道70は、ボールBを上方に飛翔させるような放出角度有するスライダー形状となっている。したがって、ボールBの飛ぶ距離は、例えば、スライダーの傾斜角度、ボールBの放出角度、及びボールBの高さ(スライダーの高さ)等の設定によって任意に設定できる。これによって、ボールBを飛翔させて動作部10の口10mの中に上手く入れられるように調整する。これよって、ボールBが放物線を描いて飛ぶことを楽しく学ぶことができる。
【0050】
図10の(a)に示す形態おいては、ボールBが飛翔して口10mに直接入る場合である。一方、
図10(b)においては、飛翔したボールBが第2の軌道72に一端着して跳ね返るようにバウンドしてから口10mに入る場合である。この場合、ボールBの飛翔角度でバウンド角度や跳ね上がり高さが異なり、更に、第2の軌道72は、平坦な面でないことで、位置設定がより難しくなる。なお、
図10に示す何れの場合においても、ボールBは、口10mが大きく開口しているので、口10m内に比較的容易に入ることができる。
【0051】
以上述べたように、本実施形態の動作玩具1においては、動作部10は、ボールBを受容可能に構成されているので、例えば軌道70から供給されたボールBを保持することができる。また、ボールBが動作部10に供給されたときに、ボールBが保持部40による動作部10の保持を解除するので、ボールBは、動作部10に受容された状態でその位置を変化することができる。この結果、ボールBが動作部10によって運ばれて移動する動作玩具1できる。
【0052】
また、本実施形態の動作玩具1においては、第2の位置P2が第1の位置P1よりも高い位置であるので、ボールBを高い位置に移動でき、ボールBの軌道上の勢いを良くする演出できる。更に、本実施形態の動作玩具1においては、回転により第1の位置P1と第2の位置P2とを変えることができるので、位置変位が容易且つ迅速にできる。
【0053】
本実施形態の動作玩具1によれば、動作部10は、第2の位置P2の方向にトーションばね31にて常時付勢されているので、第1の位置P1の保持が解除されるだけで第2の位置P2に移動することができる。また、第1の位置P1において保持部40による開口縁部10iの係止は、保持部40の後方への位置変位で解除することができるので、ボールBの供給動作を利用して保持部40の解除を行なって動作部10の第2の位置P2への移動を開始することが可能である。この結果、ボールBの位置を変位させる動作部10の移動をボールBの移動と共に直ちに動く動きとして演出することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、保持部40は、ボールBの移動の押圧により圧縮ばね42の付勢力に抗して動作部10の係止を解除する方向に移動するので、ボールBの動作部10への供給によって動作部10の移動ができる。更に、動作部10の第1の位置P1への再度の保持は、第2の位置P2から第1の位置P1の戻すときは、回動方向の付勢力に抗して第1の位置P1まで戻すだけで、極めて容易にできる。
【0055】
また、本実施形態においては、保持部40の保持解除の動作は、第1の位置P1において、ボールBが供給される方向に一致しているので、ボールBの移動の力で保持部40の係止解除ができる。また、ボールBが口の中に投入されるとき勢いを保持部40の動きにより受け止めることができ、特に、勢い良く口に投入されるボールBの挙動の安定化を図ることができ、例えば、ボールBが口から跳ね返るようなトラブルを回避できる。
【0056】
本実施形態においては、第1の軌道71は、動作部10内に形成されて外部から見えない構成であり、更に、ボールBが動作部10の口10mから入って尻10rから出るようになっているので、外部から視認不可能に覆われているので、形象物内でのボールBの移動が見えず、ギミック性を醸し出すことができる。また、動作部10がボールBを食べて排泄するような演出を楽しむことができる。また、動物を表す動作部10であるので、ボールBを食べて頭10hを上げるので、ボールBを食べる効果的な演出ができる。
【0057】
本実施形態においては、保持部40は、外部から視認不可能に覆われていることで、動作部10の保持(係止)及び保持解除の状態が見えないことで、ボールBの供給と略同時に動作する動作部10を演出でき、ギミック性を演出できる。
【0058】
また、本実施形態においては、動作部10が第1の位置P1にあるときに、保持部40が動物の口10mの中に進入し動物の舌を模しているので、口10m内の構造に違和感がなく、動物の自然な形態を模すことができる。
【0059】
本実施形態においては、動作部10の口10mは、下顎部10hb及び上顎部10haをボールBが進入する方向に向かって大きく開いた形状となっているので、ボールBの供給方向の選択範囲を大きくできる。この結果、ボールBの供給の色々な仕方を楽しむことができる。また、動物が大きな口を開けた演出を楽しむことができる。
【0060】
また、本実施形態においては、下顎部10hbの前方に、ボールBを口10mへ移動可能な第2の軌道72が設けられているので、ボールBが口10mの前方側に供給された場合でも、ボールBを口内に誘導することができる。また、第2の軌道72は、下顎部10hbの前方の軌道70との連結を容易にする。
【0061】
本実施形態においては、尾10tは、ボールBが放出される方向からそれるように曲がって設けられているので、ボールBが尻10rから出るところを見ることができ、また、尾10tが曲がっていることで、動作部10が回動動作するときの支障とならないように構成できる。
【0062】
更に、本実施形態の動作玩具1においては、動物を模した動作部10は、その脚部15を模した部分が動物の立上がり動作に連動して動くので、動物の動きをよりリアルに演出することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態においては、ボールBを移動させる第1の位置P1と第2の位置P2とは、高さ方向の移動であるが、これに限るものではなく、例えば、ボールBの移動は、水平方向であっても良い。すなわち、動作部10の変位方向が水平方向であっても良い。
【0063】
また、上記実施形態においては、第1の位置P1と第2の位置P2との移動形態が回転移動としたが、平行移動であっても良い。また、上記実施形態においては、動作玩具1の少なくとも一部を恐竜としたが、これに限るものではなく、他の動物或いは動物以外の形象物であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 動作玩具
10 形象物(動作部)
10i 開口縁部(被係止部)
10h 頭
10b 胴(第1の部材)
10r 尻
10t 尾
11 受容部
10ha 上顎部
10hb 下顎部(第2の部材)
13 放出部
15 脚部
30 付勢部
31 トーションバネ(第1の弾性部材)
40 保持部
42 圧縮ばね(第2の弾性部材)
71 第1の軌道
72 第2の軌道
73 第3の軌道
B ボール(物品)
P1 第1の位置
P2 第2の位置