IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西部電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-搬送装置 図1
  • 特開-搬送装置 図2
  • 特開-搬送装置 図3
  • 特開-搬送装置 図4
  • 特開-搬送装置 図5
  • 特開-搬送装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119074
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/00 20060101AFI20230821BHJP
   B65G 47/64 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B65G43/00 D
B65G47/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021689
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝
【テーマコード(参考)】
3F027
3F070
【Fターム(参考)】
3F027AA01
3F027CA01
3F027DA15
3F027DA32
3F027EA01
3F027FA12
3F070AA06
3F070BD01
3F070BE04
3F070BF04
3F070EA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分岐位置で足止めとなる荷物が生じた場合、この停滞荷物が供給コンベヤに入れるようになる前に周回させて、停滞荷物の次の位置で停滞している荷物の停滞を解消させる搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置は、複数の作業エリアに対応して周回し、荷物を周回移動させる周回コンベヤと、前記周回コンベヤにおいて前記複数の作業エリアのそれぞれに対応する分岐位置から、前記作業エリアに荷物を収納移動させる複数の供給コンベヤと、前記周回コンベヤの周回移動を制御する周回コンベヤ制御部と、前記供給コンベヤでの収納移動を制御する供給コンベヤ制御部と、前記周回コンベヤでの荷物の周回状態を検出する周回コンベヤ状態検出部と、前記分岐位置で周回移動の停滞を制御する停滞制御部と、を、備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業エリアに対応して周回し、荷物を周回移動させる周回コンベヤと、
前記周回コンベヤにおいて前記複数の作業エリアのそれぞれに対応する分岐位置から、前記作業エリアに荷物を収納移動させる複数の供給コンベヤと、
前記周回コンベヤの周回移動を制御する周回コンベヤ制御部と、
前記供給コンベヤでの収納移動を制御する供給コンベヤ制御部と、
前記周回コンベヤでの荷物の周回状態を検出する周回コンベヤ状態検出部と、
前記分岐位置で周回移動の停滞を制御する停滞制御部と、を、備え、
前記複数の供給コンベヤは、前記複数の作業エリアのそれぞれである第1作業エリア、第2作業エリア、・・第N作業エリアに対応して、第1供給コンベヤ、第2供給コンベヤ、・・第N供給コンベヤを含み、
前記荷物は、前記第1作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第1荷物、前記第2作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第2荷物、・・前記第N作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第N荷物、を含み、
複数の前記分岐位置は、前記第1供給コンベヤ、第2供給コンベヤ、・・第Nコンベヤに対応して、第1分岐位置、第2分岐位置、・・第N分岐位置を含み、
前記周回コンベヤ制御部は、
前記第1荷物を、前記第1分岐位置において、前記第1供給コンベヤに分岐移動させ、
前記第2荷物を、前記第2分岐位置において、前記第2供給コンベヤに分岐移動させ、・・
前記第N荷物を、前記第N分岐位置において、前記第N供給コンベヤに分岐移動させ、
前記周回コンベヤ状態検出部は、前記第1分岐位置~第N分岐位置のいずれかにおける停止荷物および当該停止荷物の後方で停止している滞留荷物を検出可能であり、
前記停滞制御部は、前記滞留荷物が検出される場合には、前記停止荷物を、停止している前記分岐位置において、所定時間待機させ、
前記停滞制御部は、前記停止荷物に対応する前記供給コンベヤである「停滞供給コンベヤ」にある荷物の数、荷物の密度、荷物の上限個数との個数関係、該停滞供給コンベヤでの荷物の位置および前記停滞供給コンベヤの移動状態の少なくとも一つに基づいて、前記所定時間の待機の経過に対して、
(処理1)前記所定時間に延長時間を付与して待機を延長させる、もしくは、
(処理2)前記所定時間経過後に、前記停止荷物を、前記周回コンベヤで周回移動させる、搬送装置。
【請求項2】
前記停止荷物は、停止している分岐位置から対応する前記供給コンベヤへの分岐移動ができないことによって生じる、請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記供給コンベヤは、前記分岐位置から第1位置、第2位置、第3位置・・、第M位置を有し、
前記第1位置に荷物がある場合に、前記停止荷物が生じ、
前記停滞制御部は、前記第1位置~第M位置までの荷物の埋まり具合に基づいて、前記所定時間を決定する、請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記停滞制御部は、前記第1位置~第M位置までの荷物の埋まり具合に基づいて、前記延長時間を決定する、請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
前記停滞制御部は、前記第1位置が空き状態になることが予測できる場合には、前記第1位置が空き状態となるまでを、前記延長時間とする、請求項4記載の搬送装置。
【請求項6】
前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤにおける荷物の密度および荷物の上限個数との個数関係の少なくとも一方が、所定値以下である場合には、前記延長時間を付与する、請求項1から5のいずれか記載の搬送装置。
【請求項7】
前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤにおいて荷物の移動動作がある場合には、前記延長時間を付与する、請求項1から5のいずれか記載の搬送装置。
【請求項8】
前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤにおける荷物の密度および荷物の上限個数との個数関係の少なくとも一方が、所定値より大きい場合には、前記停止荷物を前記周回コンベヤで周回移動させる、請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項9】
前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤでの荷物移動が生じていない場合には、前記停止荷物を前記周回コンベヤで周回移動させる、請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項10】
前記停滞制御部は、前記第1位置~第M位置の内、少なくとも前記第1位置、第2位置および第3位置に荷物がある場合には、前記停止荷物を前記周回コンベヤで周回移動させる、請求項3記載の搬送装置。
【請求項11】
前記所定時間は、前記作業エリアの数、前記作業エリアの収納能力、前記供給コンベヤでの荷物の移動可能個数、前記供給コンベヤの移動能力、前記周回コンベヤの荷物の移動可能個数、前記周回コンベヤの移動能力および前記周回コンベヤの長さの少なくとも一つに基づいて定まる、請求項1から10のいずれか記載の搬送装置。
【請求項12】
前記供給コンベヤの前記作業エリア側に到達した前記荷物を、前記作業エリアに収納させる収納クレーンを更に備える、請求項1記載の搬送装置。
【請求項13】
前記所定時間が経過する前に、前記停滞供給コンベヤへの前記停止荷物の分岐が可能となる場合には、前記停滞制御部は、前記停止荷物を前記停滞供給コンベヤに分岐移動させる、請求項1から12のいずれか記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫などの収納庫を始めとした作業エリアに、収納すべき収納庫に対応する荷物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造工場や荷物の流通センターなどにおいて、様々な荷物(荷物)を、自動倉庫などの収納庫に搬送して収納させることが多く行われている。例えば、製造工場や流通センターなどに、複数の収納庫が備わっている。複数の収納庫のそれぞれは、保管規定や作業工程などに応じた役割を持っていることが多い。
【0003】
このような役割に応じて、複数の収納庫に対応する荷物を搬送して収納させる搬送装置が用いられている。ある種類の荷物Aは、対応する収納庫Aに収納される。別の種類の荷物Bは、対応する収納庫Bに収納される。この荷物と収納庫の対応関係に応じた収納に対応して、搬送装置は、荷物を対応する収納庫に搬送する。
【0004】
収納庫に収納された荷物は、次の製造工程や配送工程に移行される。すなわち、次の工程である次工程を、収納庫において待つことになる。荷物が収納される収納庫は、当該荷物の次工程に合わせた対応関係を持っている。
【0005】
例えば、収納庫Aに収納されている荷物Aは、次の製造工程に用いられる。収納庫Bに収納されている荷物Bは、次の配送工程に用いられる。収納庫と搬送装置が設置されている工場や流通センターでは、輸送機器により輸送されてきた荷物が、搬送装置によって搬送されて収納庫に収納されて行く。あるいは、別の工程から引き渡された荷物が、搬送装置によって対応する収納庫に収納されて行く。
【0006】
この対応する収納庫に対応する荷物を搬送するのが搬送装置である。
【0007】
工場や流通センターにおいては、複数の収納庫が備わっており、この複数の収納庫のいずれかに対応する荷物を収納させる。この収納のために、対応する収納庫に対応する荷物を搬送することが、搬送装置に求められる。
【0008】
このような要求に対応して、複数の収納庫を周回(ラウンド)する周回コンベヤと、収納庫のそれぞれに対応する位置において、周回コンベヤから収納庫に伸びる(分岐する)供給コンベヤとを、搬送装置は備える。周回コンベヤに供給された荷物は、周回コンベヤを周回しながら収納されるべき収納庫に近づいていく。
【0009】
近付くと周回コンベヤから分岐する供給コンベヤに移動して、供給コンベヤを移動する。供給コンベヤは分岐して入ってきた荷物を、収納庫に移動させる。移動することで収納庫に荷物が収納されるようになる。
【0010】
このような搬送装置やこれに関連する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2013-220362号公報
【特許文献2】特開2000-247406号公報
【特許文献3】特開2002-2928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1は、荷物の仕分先を検知する荷物検知装置と、この荷物検知装置で当該荷物の仕分先が検知できないときに、当該荷物検知装置で検知した画像を保存するビデオコーディックサーバと、係員が、このビデオコーディックサーバから受信した画像を確認しながら仕分先を入力できるビデオコーディッく装置などを有して構成される荷物仕分けシステムを開示する。
【0013】
特許文献2は、パレット倉庫から取り出したパレットを搬入コンベヤ13に載せると搬入コンベヤ13は、パレットを循環式搬送コンベヤ側11に送り出す。それに同期して、対応する搬送方向切り換え装置12が、「通過モード」から「合流モード」に切り替わるコンベヤを開示する。
【0014】
特許文献3は、届け先,搬送順序がランダムに投入された各種商品1を搬入して主幹搬送径路11に沿って搬送し、仕分け計画に従って当該商品を自動的に仕分けると共にロボット30を制御して所定の積み付け場所(A1~A3,B1~B3)に自動的に積み付けて搬出するように構成し、且つ、前記ロボット30の商品取出場所となる分岐搬送径路12a,12bの上流側に当該商品を循環させて一時的に待避する循環径路を有する渋滞緩衝手段20を備える仕分け装置を開示する。
【0015】
特許文献1は、作業員による確認を含めて、収納されるべき収納庫に荷物(荷物)を収納させる。特許文献2は、特許文献1とは逆で、収納庫から取り出しされた荷物を、周回コンベヤに送り出して荷物を必要な周回を行わせる技術を開示する。
【0016】
特許文献1~3のいずれも、複数の収納庫に必要となる荷物を周回させつつ、必要な分岐から供給コンベヤに移動させて収納庫に対応する荷物を搬送することを、直接的に開示しない。しかしながら、周回と収納庫との間での荷物の引き渡しについて開示する。
【0017】
しかしながら、従来技術においては、次のような問題があった。
【0018】
周回コンベヤは、複数の収納庫に対応するように周回している。この周回の途中において、複数の収納庫のそれぞれの位置に対応する複数の位置に分岐がある。この複数の分岐のそれぞれから、対応する収納庫に向けて供給コンベヤが伸びている。
【0019】
周回コンベヤにおいては、複数の荷物が移動している。複数の荷物のそれぞれは、収納されるべき収納庫が同じであったり異なったりする。ある荷物Aは収納庫Aに収納されるべきであり、別の荷物Bは収納庫Bに収納されるべきである。このように収納されるべき収納庫が異なる複数の荷物が、同時に周回コンベヤの上を移動している。
【0020】
また、供給コンベヤにおいては、移動させることのできる荷物の数に上限がある。このため、供給コンベヤにおいて荷物が満杯状態となってしまうことも、当然にあり得る。例えば、収納庫Aに繋がる供給コンベヤAが荷物で満杯になってしまっていることがある。
【0021】
周回コンベヤにおいては、収納庫Aに収納されるべき荷物Aや他の収納庫に収納されるべき荷物B、荷物Cなどが周回している。このとき、供給コンベヤAが満杯で、その供給コンベヤAと周回コンベヤとの分岐位置に次の荷物Aが到達することがあり得る。この荷物Aは、供給コンベヤAが満杯であることで、この分岐位置で足止めされてしまう。
【0022】
一方で、周回コンベヤはある方向に荷物を移動させる周回動作を行う。これにより、この分岐位置に収納庫A以外に移動させるべき別の荷物Bなどが到達することもある。この荷物Bは、分岐位置で足止めされている荷物Aによって、やはり周回コンベヤでの移動ができなくなり、足止めをされてしまう。
【0023】
もちろん、次の荷物も足止めされることもある。
【0024】
このように、複数の異なる収納庫に搬送する荷物が混在して周回コンベヤを周回移動している状態では、収納庫、収納庫への移動能力、供給コンベヤのキャパシティ、供給コンベヤの移動能力などによって、ある供給コンベヤへの分岐位置で、荷物が足止め状態となることがある。
【0025】
搬送装置による収納庫への荷物収納システムが大型化し、搬送する荷物の種類や量が増大化すると、このような問題がより顕在化する。
【0026】
荷物が足止めとなると、足止めの原因となっている供給コンベヤに空き状態が生じて、当該供給コンベヤに入るべき荷物Aが供給コンベヤAに移動するまで、この足止め状態が継続してしまう。
【0027】
このようになると、周回コンベヤでの周回動作に停滞時間が生じ、搬送全体での停滞時間が生じてしまう問題がある。上記の通り、荷物収納システムが大型化するほどに、この停滞時間の発生や長大化の問題が顕在化する。
【0028】
特許文献1~3などの従来技術は、荷物収納システムが大型になることが無く、荷物の種類や量が増大化することがなく、このような足止めと停滞時間の発生が生じることを想定していないものであった。
【0029】
また、特許文献3は、直線軌道の搬送路から枝分かれする分岐に荷物を仕分けする。このとき、分岐の手前に荷物のバッファを備えている。但し、バッファを備えているだけであり、バッファを超える個数の荷物が来てしまえば荷物の仕分けが停止する停滞状態が生じる問題がある。特に、直線軌道の搬送路を基準としているので、バッファがパンクすると搬送路も停滞状態が長く続くことになってしまう。
【0030】
本発明は、上記の課題に鑑み、分岐位置で足止めとなる荷物が生じた場合、この停滞荷物が供給コンベヤに入れるようになる前に周回させて、停滞荷物の次の位置で停滞している荷物の停滞を解消させる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記課題に鑑み、本発明の搬送装置は、複数の作業エリアに対応して周回し、荷物を周回移動させる周回コンベヤと、
前記周回コンベヤにおいて前記複数の作業エリアのそれぞれに対応する分岐位置から、前記作業エリアに荷物を収納移動させる複数の供給コンベヤと、
前記周回コンベヤの周回移動を制御する周回コンベヤ制御部と、
前記供給コンベヤでの収納移動を制御する供給コンベヤ制御部と、
前記周回コンベヤでの荷物の周回状態を検出する周回コンベヤ状態検出部と、
前記分岐位置で周回移動の停滞を制御する停滞制御部と、を、備え、
前記複数の供給コンベヤは、前記複数の作業エリアのそれぞれである第1作業エリア、第2作業エリア、・・第N作業エリアに対応して、第1供給コンベヤ、第2供給コンベヤ、・・第N供給コンベヤを含み、
前記荷物は、前記第1作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第1荷物、前記第2作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第2荷物、・・前記第N作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第N荷物、を含み、
複数の前記分岐位置は、前記第1供給コンベヤ、第2供給コンベヤ、・・第Nコンベヤに対応して、第1分岐位置、第2分岐位置、・・第N分岐位置を含み、
前記周回コンベヤ制御部は、
前記第1荷物を、前記第1分岐位置において、前記第1供給コンベヤに分岐移動させ、
前記第2荷物を、前記第2分岐位置において、前記第2供給コンベヤに分岐移動させ、・・
前記第N荷物を、前記第N分岐位置において、前記第N供給コンベヤに分岐移動させ、
前記周回コンベヤ状態検出部は、前記第1分岐位置~第N分岐位置のいずれかにおける停止荷物および当該停止荷物の後方で停止している滞留荷物を検出可能であり、
前記停滞制御部は、前記滞留荷物が検出される場合には、前記停止荷物を、停止している前記分岐位置において、所定時間待機させ、
前記停滞制御部は、前記停止荷物に対応する前記供給コンベヤである「停滞供給コンベヤ」にある荷物の数、荷物の密度、荷物の上限個数との個数関係、該停滞供給コンベヤでの荷物の位置および前記停滞供給コンベヤの移動状態の少なくとも一つに基づいて、前記所定時間の待機の経過に対して、
(処理1)前記所定時間に延長時間を付与して待機を延長させる、もしくは、
(処理2)前記所定時間経過後に、前記停止荷物を、前記周回コンベヤで周回移動させる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の搬送装置は、分岐位置に対応する供給コンベヤに入るべき分岐荷物が分岐位置で足止めされ、分岐荷物の後方で別の荷物が足止めにより停滞荷物となっている場合、所定時間が経過すると、分岐荷物を周回コンベヤに流す。すなわち、分岐荷物を周回コンベヤで再度の周回に回す。
【0033】
これにより、足止めされていた分岐荷物に妨げられて停滞していた停滞荷物も、周回コンベヤを移動できるようになる。停滞荷物は、分岐荷物に対応する供給コンベヤ以外に供給される荷物であれば、分岐荷物が再度一周するまでの間に、分岐されるべき供給コンベヤに分岐移動できる。
【0034】
これにより、停滞荷物は、分岐移動されるべき供給コンベヤに移動できる。同様に、分岐荷物も周回コンベヤを再度一周してくることで、分岐されるべき供給コンベヤに移動できる。
【0035】
以上のように、周回コンベヤから供給コンベヤへの分岐移動で停滞が生じる場合でも、停滞による周回コンベヤの停止時間を低減して搬送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】周回コンベヤと分岐コンベヤを備える搬送装置の平面図である。
図2】この周回コンベヤにおいて分岐位置で停止する停止荷物と、この停止荷物の後方で停滞している滞留荷物とが生じている状態を示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態における搬送装置の模式図である。
図4】本発明の実施の形態における停滞状態を示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態における搬送装置の一部の模式図である。
図6】本発明の実施の形態1における停滞供給コンベヤを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の第1の発明に係る搬送装置は、複数の作業エリアに対応して周回し、荷物を周回移動させる周回コンベヤと、
前記周回コンベヤにおいて前記複数の作業エリアのそれぞれに対応する分岐位置から、前記作業エリアに荷物を収納移動させる複数の供給コンベヤと、
前記周回コンベヤの周回移動を制御する周回コンベヤ制御部と、
前記供給コンベヤでの収納移動を制御する供給コンベヤ制御部と、
前記周回コンベヤでの荷物の周回状態を検出する周回コンベヤ状態検出部と、
前記分岐位置で周回移動の停滞を制御する停滞制御部と、を、備え、
前記複数の供給コンベヤは、前記複数の作業エリアのそれぞれである第1作業エリア、第2作業エリア、・・第N作業エリアに対応して、第1供給コンベヤ、第2供給コンベヤ、・・第N供給コンベヤを含み、
前記荷物は、前記第1作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第1荷物、前記第2作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第2荷物、・・前記第N作業エリアに収納されるべき種類の単数又は複数の第N荷物、を含み、
複数の前記分岐位置は、前記第1供給コンベヤ、第2供給コンベヤ、・・第Nコンベヤに対応して、第1分岐位置、第2分岐位置、・・第N分岐位置を含み、
前記周回コンベヤ制御部は、
前記第1荷物を、前記第1分岐位置において、前記第1供給コンベヤに分岐移動させ、
前記第2荷物を、前記第2分岐位置において、前記第2供給コンベヤに分岐移動させ、・・
前記第N荷物を、前記第N分岐位置において、前記第N供給コンベヤに分岐移動させ、
前記周回コンベヤ状態検出部は、前記第1分岐位置~第N分岐位置のいずれかにおける停止荷物および当該停止荷物の後方で停止している滞留荷物を検出可能であり、
前記停滞制御部は、前記滞留荷物が検出される場合には、前記停止荷物を、停止している前記分岐位置において、所定時間待機させ、
前記停滞制御部は、前記停止荷物に対応する前記供給コンベヤである「停滞供給コンベヤ」にある荷物の数、荷物の密度、荷物の上限個数との個数関係、該停滞供給コンベヤでの荷物の位置および前記停滞供給コンベヤの移動状態の少なくとも一つに基づいて、前記所定時間の待機の経過に対して、
(処理1)前記所定時間に延長時間を付与して待機を延長させる、もしくは、
(処理2)前記所定時間経過後に、前記停止荷物を、前記周回コンベヤで周回移動させる。
【0038】
この構成により、供給位置で停止荷物と滞留荷物が生じて停滞状態となる場合でも、全体の搬送効率を考慮した処理が行える。
【0039】
本発明の第2の発明に係る搬送装置では、第1の発明に加えて、前記停止荷物は、停止している分岐位置から対応する前記供給コンベヤへの分岐移動ができないことによって生じる。
【0040】
この構成により、分岐移動ができない場合には、そのまま待機するか次の荷物を優先するかを切り替えて処理できる。結果として全体の搬送効率を上げることができる。
【0041】
本発明の第3の発明に係る搬送装置では、第1または第2の発明に加えて、前記供給コンベヤは、前記分岐位置から第1位置、第2位置、第3位置・・、第M位置を有し、
前記第1位置に荷物がある場合に、前記停止荷物が生じ、
前記停滞制御部は、前記第1位置~第M位置までの荷物の埋まり具合に基づいて、前記所定時間を決定する。
【0042】
この構成により、全体の搬送効率に最適となる所定時間を決定できる。これにより、待機状態の時間を最適にできる。
【0043】
本発明の第4の発明に係る搬送装置では、第3の発明に加えて、前記停滞制御部は、前記第1位置~第M位置までの荷物の埋まり具合に基づいて、前記延長時間を決定する。
【0044】
この構成により、処理1での延長時間も、全体効率を考えた時間とすることができる。
【0045】
本発明の第5の発明に係る搬送装置では、第4の発明に加えて、前記停滞制御部は、前記第1位置が空き状態になることが予測できる場合には、前記第1位置が空き状態となるまでを、前記延長時間とする。
【0046】
この構成により、延長時間での待機の後で、停止荷物が分岐移動できる可能性が高まり、待機させることでの搬送効率へのメリットが高まるからである。
【0047】
本発明の第6の発明に係る搬送装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤにおける荷物の密度および荷物の上限個数との個数関係の少なくとも一方が、所定値以下である場合には、前記延長時間を付与する。
【0048】
この構成により、延長時間の追加による待機状態の継続のメリットが高まる。
【0049】
本発明の第7の発明に係る搬送装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤにおいて荷物の移動動作がある場合には、前記延長時間を付与する。
【0050】
この構成により、延長時間の追加による待機状態の継続のメリットが高まる。延長時間での待機により、停止荷物が分岐移動できる可能性が高いからである。
【0051】
本発明の第8の発明に係る搬送装置では、第1または第2の発明に加えて、前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤにおける荷物の密度および荷物の上限個数との個数関係の少なくとも一方が、所定値より大きい場合には、前記停止荷物を前記周回コンベヤで周回移動させる。
【0052】
この構成により、待機状態を継続させるよりも、滞留荷物の移動を優先して全体としての搬送効率を上げることができる。
【0053】
本発明の第9の発明に係る搬送装置では、第1または第2の発明に加えて、前記停滞制御部は、前記停滞供給コンベヤでの荷物移動が生じていない場合には、前記停止荷物を前記周回コンベヤで周回移動させる。
【0054】
この構成により、待機状態を継続させるよりも、滞留荷物の移動を優先して全体としての搬送効率を上げることができる。
【0055】
本発明の第10の発明に係る搬送装置では、第3の発明に加えて、前記停滞制御部は、前記第1位置~第M位置の内、少なくとも前記第1位置、第2位置および第3位置に荷物がある場合には、前記停止荷物を前記周回コンベヤで周回移動させる。
【0056】
この構成により、待機状態を継続させるよりも、周回移動による滞留荷物の分岐移動への処理を行う。
【0057】
本発明の第11の発明に係る搬送装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、前記所定時間は、前記作業エリアの数、前記作業エリアの収納能力、前記供給コンベヤでの荷物の移動可能個数、前記供給コンベヤの移動能力、前記周回コンベヤの荷物の移動可能個数、前記周回コンベヤの移動能力および前記周回コンベヤの長さの少なくとも一つに基づいて定まる。
【0058】
この構成により、全体の搬送効率を向上させた待機状態を行わせることができる。
【0059】
本発明の第12の発明に係る搬送装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、前記供給コンベヤの前記作業エリア側に到達した前記荷物を、前記作業エリアに収納させる収納クレーンを更に備える。
【0060】
この構成により、供給コンベヤを移動した荷物が適切に次工程に引き継がられる。
【0061】
本発明の第13の発明に係る搬送装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、前記所定時間が経過する前に、前記停滞供給コンベヤへの前記停止荷物の分岐が可能となる場合には、前記停滞制御部は、前記停止荷物を前記停滞供給コンベヤに分岐移動させる。
【0062】
この構成により、待機状態であっても、分岐移動となれば停止荷物を分岐移動させる。これにより、待機状態の途中でも(所定時間内あるいは延長時間内)、停滞状態を解消することができる。
【0063】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0064】
(実施の形態1)
【0065】
(発明者による分析)
図1は、周回コンベヤと分岐コンベヤを備える搬送装置の平面図である。図1を用いて、従来技術の周回コンベヤと分岐コンベヤを用いた搬送装置の問題点についての発明者による分析を説明する。
【0066】
図1は、搬送装置100を上から見た状態を示している。搬送装置100は、周回コンベヤ110と複数の供給コンベヤ120とを備える。供給コンベヤ120のそれぞれは、荷物を収納する収納庫に繋がっている。
【0067】
搬送装置100において、中央に荷物を周回移動させる周回コンベヤ110が備わる。周回コンベヤ110には、複数の分岐位置111が備わり、この分岐位置111から収納庫に荷物を収納移動させる供給コンベヤ120が繋がっている。すなわち、図1に示すように、周回形状を有する周回コンベヤ110があり、この周回コンベヤ110から、複数の供給コンベヤ120が突き出た形態である。突き出た複数の供給コンベヤ120のそれぞれは、収納庫に繋がって、収納庫への荷物の収納のための移動を行わせる(逆に、収納庫からの取り出しのための移動もあり得る)。
【0068】
例えば、収納庫に荷物を収納させる場合には、次のような動作処理が行われる。周回コンベヤ110の投入口に、荷物が投入される。荷物は、荷物の種類などによって、どの収納庫に収納されるかがあらかじめ決められている。搬送装置100全体を制御する制御部が、荷物のそれぞれの収納されるべき収納庫を把握して、これに合わせて収納動作を行う。
【0069】
投入された荷物は、周回コンベヤ110を周回移動する。周回コンベヤ110は、周回方向に荷物を移動させることができ、これに合わせて荷物が周回移動できる。
【0070】
この周回移動する過程で、荷物は複数の分岐位置に到達する。分岐位置には供給コンベヤ120が繋がっている。例えば、第1分岐位置には第1供給コンベヤが、第2分岐位置には第2供給コンベヤが、第N分岐位置には、第N供給コンベヤが接続されている。例えば、ある荷物Aは、第1供給コンベヤを通じて、第1収納庫に収納される。別の荷物Bは、第2供給コンベヤを通じて第2収納庫に収納される。
【0071】
このため、荷物Aは、第1分岐位置に到達すると、ここで分岐して周回コンベヤから第1供給コンベヤに移動する。荷物Bは、第2分岐位置に到達すると、ここで分岐して周回コンベヤから第2供給コンベヤに移動する。第1供給コンベヤに移動した荷物Aは、第1供給コンベヤにより第1収納庫に向けて収納移動する。この収納移動によって、荷物Aは、第1収納庫に収納される。同様に、荷物Bは、第2供給コンベヤを移動して第2収納庫に収納される。
【0072】
他の荷物も同様である。
【0073】
周回コンベヤ110の上を、複数の荷物がランダムに周回移動する。複数の荷物のそれぞれは、対応する収納庫に移動する。このため、対応する分岐位置で分岐して、対応する供給コンベヤ120に移動する。
【0074】
供給コンベヤ120が渋滞していなければ、周回コンベヤ110を周回移動している荷物は対応する分岐位置で次々と分岐して、対応する供給コンベヤ120に移動する。
【0075】
しかしながら、複数の供給コンベヤ120のいずれかが渋滞してしまうこともあり得る。例えば、第1供給コンベヤ120が渋滞してしまい、第1供給コンベヤに入るべき荷物が第1分岐位置で分岐できずに停止してしまうことが生じうる。周回コンベヤ110では、次々と荷物が周回移動してくる。このため第1分岐位置に停止している荷物がある限り、その後ろから周回コンベヤを周回移動してきた荷物が、第1分岐地で停止している荷物の後ろで停滞してしまう。停止している荷物が邪魔になって、それ以上、周回コンベヤ110を周回移動できなくなるからである。
【0076】
図2は、この周回コンベヤにおいて分岐位置で停止する停止荷物と、この停止荷物の後方で停滞している滞留荷物とが生じている状態を示す模式図である。第1供給コンベヤ120Aが渋滞している。この第1供給コンベヤ120Aに移動するべき荷物Aが第1分岐位置で停止状態となっている。第1供給コンベヤ120Aに入ることができず停止荷物の状態となっている。
【0077】
この停止荷物となっている荷物Aの後方に、周回コンベヤ110を移動してきた荷物Bが停滞している。荷物Bは、別の分岐位置から別の供給コンベヤに移動する荷物である。荷物Bは、更に進まなければならないのに周回コンベヤ110の第1停止位置の手間で停滞したままとなってしまう。すなわち、荷物Bは、滞留荷物である。
【0078】
この停止荷物である荷物Aと滞留荷物である荷物Bが、周回コンベヤ110の上で停滞状態となってしまっている。
【0079】
このため、従来技術の搬送装置100では、第1供給コンベヤ110Aの渋滞が終了するまで(第1供給コンベヤ110Aにある荷物が第1収納庫に移動することで渋滞が終了する)、荷物Bの周回コンベヤ110での周回移動は停滞したままとなる。第1供給コンベヤ110Aでの渋滞が解消しなければ、荷物Bは収納されるべき位置にも到達できない。
【0080】
すなわち、搬送装置100全体での荷物の収納の効率が低下してしまう。これが、従来技術の問題であり、発明者はこのような分析に基づいて本発明に至った。
【0081】
(実施の形態)
【0082】
(全体概要)
以下では、作業エリアの一例として、収納庫を例として説明する。作業エリアは、収納庫以外に軽作業をする設備であったり、次の工程に繋げる設備であったりする。以下において収納庫として説明するが、作業エリアの一例であり、収納庫に限定するものではない。
【0083】
図3は、本発明の実施の形態における搬送装置の模式図である。搬送装置1を上から見た状態を示している。搬送装置1は、複数の収納庫10のいずれかに収納対応する荷物200を収納するための搬送を行い、あるいは、複数の収納庫10のいずれかから荷物200を取り出して配送する搬送を行う。搬送装置1で搬送される荷物200は、複数の収納庫10の内、どの収納庫10へ収納されるかは、決まっている。荷物200の種類、カテゴリーなどによって、収納されるべき収納庫10が決まっている。上述のように、作業設備であったりする場合でも、どの作業エリアに移動されるべき荷物200であるかは決まっている。
【0084】
このため、搬送装置1は、複数の収納庫10に対応するように設けられている。
【0085】
搬送装置1は、周回コンベヤ2、複数の供給コンベヤ3、周回コンベヤ制御部21、供給コンベヤ制御部31、周回コンベヤ状態検出部6、停滞制御部7を備える。図3では、周回コンベヤ制御部21,供給コンベヤ制御部31,周回コンベヤ状態検出部6、停滞制御部7については、可視的には示されていないが、搬送装置1において備わっている。例えば、搬送装置1の機構部分のいずれかに組み込まれていたり、搬送装置1の制御装置や操作装置などに組み込まれていたりしてもよい。
【0086】
また、周回コンベヤ制御部21,供給コンベヤ制御部31,周回コンベヤ状態検出部6、停滞制御部7は、電子的、機構的、ソフトウェアプログラムなどの複合的な構成によって実現されればよい。
【0087】
周回コンベヤ2は、複数の収納庫10に対応して周回する形態を有し、荷物200を周回移動させる。図3に示されるように、周回コンベヤ2は、周囲に配置された複数の収納庫10に対応して周回する形態をもっている。このため、その周回形状や大きさは、配置されている収納庫10の数や配置位置によって定まる。
【0088】
周回コンベヤ2は、投入口51と排出口52を備えている。投入口51から荷物200が周回コンベヤ2に投入される。投入された荷物200は、周回コンベヤ2の上を周回する。周回する過程で、供給コンベヤ3に分岐して収納庫10に収納される。
【0089】
投入口51や排出口52では、フォークリフトなどの機器が、荷物200の投入や排出を行ってもよい。作業者による作業や自動運転による自動作業などが行われ、荷物200が投入口51から周回コンベヤ2に投入され、荷物200が排出口52から排出される。
【0090】
逆に収納庫10から搬出された荷物200は、供給コンベヤ3から周回コンベヤ2に移動する。周回コンベヤ2を周回した後で、排出口52から排出される。排出された荷物200は、別の工程に引き渡される。
【0091】
周回コンベヤ2は、このように荷物200を周回移動させて、決められた収納庫10への収納や、収納庫10からの搬出を行わせる。
【0092】
周回コンベヤ制御部21は、周回コンベヤ2の周回移動を制御する。荷物200の周回移動であったり、後述するような停止荷物や滞留荷物が生じる場合に、これらを停止状態にしたりするなどの制御を行う。また、周回移動の速度などを制御する。また、停滞制御部7による所定時間経過後の停止荷物の周回移動再開も制御できる。
【0093】
周回コンベヤ2の途中には、複数の供給コンベヤ3が分岐して繋がっている。分岐する位置は、分岐位置4である。すなわち、周回コンベヤ2の複数の位置に分岐位置4が備わり、この分岐位置4のそれぞれから供給コンベヤ3が繋がっている。供給コンベヤ3は、収納庫10に対応しているので、供給コンベヤ3の数と位置は、収納庫10の数と位置に対応する。
【0094】
図3では、収納庫10が周回コンベヤ2の外側にあるので、複数の供給コンベヤ3は、周回コンベヤ2の外側に向けて角のように突出している。収納庫10が周回コンベヤ2の内側にあれば、複数の供給コンベヤ3は、周回コンベヤ2の内側に向けて突出することになる。
【0095】
分岐位置4は、周回コンベヤ2を周回してきた荷物200を、供給コンベヤ3に分岐させる。供給コンベヤ3は、分岐して入ってきた荷物200を収納庫10に収納移動させる。勿論、収納庫10からの搬出の際には、収納庫10から搬出された荷物200を、周回コンベヤ2に向けて移動させる。いずれか一方に限定している意図ではない。
【0096】
周回コンベヤ2が、周回態様で荷物200を移動させるのに対して、供給コンベヤ3は、直線態様で荷物200を移動させる(完全な直線という限定ではなく線状の移動)。供給コンベヤ3は、荷物200を収納移動させていくことで、収納庫10に到達した荷物200は、収納庫10に収納される。
【0097】
供給コンベヤ制御部31は、供給コンベヤ3での荷物200の収納移動を制御する。分岐位置4から入ってきた荷物200を、収納庫10に向けて移動させる。また、収納庫10への収納可能状態を待ちつつの収納移動をさせる。これにより、スムーズかつ確実な収納を行わせる(搬出も同様)。
【0098】
第1収納庫10Aに収納されるべき荷物200は、第1荷物200Aである。第2収納庫10Bに収納されるべき荷物200は、第2荷物200Bである。第N収納庫10Nに収納されるべき荷物200は、第N荷物200Nである(図3においては、第1収納庫10Aなどのみをピックアップして符号として示している)。なお、第1荷物200Aなどは、複数であることもよい。要は第1収納庫10Aに入るべき荷物である。
【0099】
このように、第1収納庫10A~第N収納庫10Nに対応して、分岐位置4も、第1分岐位置4A、第2分岐位置4B、・・第N分岐位置4Nを含み、供給コンベヤ3も、第1供給コンベヤ3A、第2供給コンベヤ3B、・・第N供給コンベヤ3Nを含む。第1、第2・・第Nは、収納庫10,供給コンベヤ3,分岐位置4のそれぞれで対応関係を示すものである。
【0100】
周回コンベヤ制御部21は、分岐位置4において対応する荷物200を供給コンベヤ3に分岐移動させる。このとき、第1収納庫10Aに収納されるべき第1荷物200Aを、第1分岐位置4Aにおいて、第1供給コンベヤ3Aに分岐移動させる。第2収納庫10Bに収納されるべき第2荷物200Bを、第2分岐位置4Bにおいて、第2供給コンベヤ3Bに分岐移動させる。・・第N収納庫10Nに収納されるべき第N荷物200Nを、第N分岐位置4Nにおいて、第N供給コンベヤ3Nに分岐移動させる。
【0101】
周回コンベヤ制御部6による分岐制御により、荷物200のそれぞれは、収納されるべき収納庫10に移動していく(周回コンベヤ2から供給コンベヤ3を経由して)。
【0102】
周回コンベヤ制御部21や供給コンベヤ制御部31などは、図3に示されるように、制御盤として設けられ、この制御盤内部での制御がなされればよい。また、作業者が制御盤を操作することで、周回コンベヤ制御部21や供給コンベヤ31の制御がなされることもよい。
【0103】
ここで、図4のように、入るべき供給コンベヤ3が渋滞しているために、分岐移動で入ることのできずに分岐位置4で停止してしまう停止荷物が生じることがある。更に、この停止荷物が周回コンベヤ2を塞ぐことで、その後方からやってきた別の荷物がそれ以上進むことのできない滞留荷物となってしまうこともあり得る。図4は、本発明の実施の形態における停滞状態を示す模式図である。
【0104】
コンベヤ状態検出部6は、この停滞状態を検出する。この停滞状態となっている供給コンベヤ3は、停滞供給コンベヤである。
【0105】
図4において、荷物Aが、第1分岐位置4Aから第1供給コンベヤ3Aに入るべき荷物である。第1供給コンベヤ3Aは、第1収納庫10Aに収納されるための荷物で渋滞している。これにより、荷物Aは第1分岐位置4Aから分岐移動できない。このため、第1分岐位置4Aで停止した状態である。すなわち、荷物Aが停止荷物である。
【0106】
この停止荷物があることで、周回コンベヤ2を周回移動してきた次の荷物Bがそれ以上進めなくなってしまう。荷物Bは、停止荷物の後方で滞留荷物となってしまう。図4では、荷物Bが滞留荷物となっている。勿論、周回コンベヤ2での荷物200の周回移動が続いていれば、荷物Bの後方に別の荷物200が到達して更に滞留荷物が増えることもあり得る。
【0107】
このように停止荷物と滞留荷物とが生じている状態を、停滞状態として、コンベヤ状態検出部6は検出する。言い換えれば、コンベヤ状態検出部6は、滞留荷物を検出する。滞留荷物が生じていれば、停止荷物も生じていて停滞状態であるからである。
【0108】
コンベヤ状態検出部6は、この検出結果を、停滞制御部7に通知する。
【0109】
停滞制御部7は、滞留荷物が検出される場合には(停滞状態が検出される場合には)、まず、次の前提処理を行わせる。
【0110】
(前提処理)停止荷物を停止している分岐位置4において、所定時間待機させる(図4では、第1分岐位置4Aで、荷物Aを待機させる)。
【0111】
停滞状態になると、荷物Aは、分岐位置4Aから供給コンベヤ3Aに入ることはできない。停滞供給コンベヤとなっている供給コンベヤ3Aの渋滞が解消して、入ることができるようにならなければ、荷物Aは、供給コンベヤ3Aに分起動できない。
【0112】
このため、停滞制御部7は、前提処理として、停止荷物である荷物Aと滞留荷物である荷物Bを、所定時間において待機させる。これを前提処理として行う。所定時間の待機中に、供給コンベヤ3Aの渋滞が低減し、停止荷物である荷物Aが分岐移動可能となれば、停滞制御部7は、停止荷物を分岐移動させる。
【0113】
しかし、所定時間において分岐移動可能にならない可能性もある。また、どの程度で分岐移動可能になるのか、あるいはならないのかといったこともある。このため、停止荷物を長時間に渡って待機させておくことは、滞留荷物がいつまでもこの分岐位置4Aから進むことができず、搬送装置1全体での搬送効率を下げることになる。
【0114】
そこで、滞留荷物が生じている停滞状態の場合には、停止荷物を周回コンベヤ2により先に送って、停止荷物の後方で停止していた滞留荷物を周回コンベヤ2で先に進めさせることもあり得る。これにより、停止荷物は本来の分岐位置4Aに周回コンベヤ2を一周してくる必要があるが、滞留荷物は、周回コンベヤ2を進んで自らの分岐されるべき分岐位置に到達することができるようになる。
【0115】
しかし、後者の場合には、停止荷物を周回コンベヤ2で周回させ始めたすぐ後で、停滞供給コンベヤの渋滞が解消して、停止荷物が分岐位置4Aから供給コンベヤ4Aに分岐移動できる状態になることもある。このため、待機状態をすぐに解消して、停止荷物を周回コンベヤで周回再開させることも、全体効率の点から好ましくないこともある。
【0116】
このような前提により、本発明の搬送装置1では、停滞制御部は前提処理の所定時間での停止荷物の待機処理に続いて、次の処理を実行する。
【0117】
停滞制御部7は、停止荷物に対応する供給コンベヤ3である「停滞供給コンベヤ」(図4では供給コンベヤ3A)にある荷物200の数、荷物200の密度、荷物200の上限個数との実際の個数との個数関係、停滞供給コンベヤでの荷物200の位置および停滞供給コンベヤの移動状態の少なくとも一つに基づいて、所定時間の経過に対して、
【0118】
(処理1)所定時間に延長時間を付与して待機状態を延長させる、
もしくは、
(処理2)所定時間経過後に、停止荷物200を、周回コンベヤ2で周回移動させる、
の処理を実行する。
【0119】
停滞制御部7は、停滞供給コンベヤの状態に基づいて、処理1と処理2とを選択して実行する。停止荷物(図4では、荷物A)は、停止している分岐位置4Aから対応する供給コンベヤ3Aへの分岐移動ができないことによって生じる。この後ろに滞留荷物が生じる。
【0120】
このため、待機させている所定時間において、停滞制御部7は、停滞供給コンベヤの荷物の詰まり具合(密度や個数関係など)が低かったり、移動状況も好ましかったりすれば、停滞制御部7は、延長時間を付与して待機を延長させる。停滞供給コンベヤ3Aではいずれ渋滞状態が解消して、分岐位置4Aから停止荷物を分岐移動させることが可能となる可能性が高いからである。この状態であれば、停止荷物を周回コンベヤ2で再度周回移動させるよりも、滞留荷物を待機させてでも、停止荷物を分岐移動させることを優先するほうが、搬送装置1全体での効率が高まるからである。延長時間内において、分岐移動可能となれば、停止荷物はそのまま供給コンベヤ3に分岐移動する。
【0121】
逆に、停滞供給コンベヤ3Aの荷物の密度が高かったり、移動が停止したままの状態だったりする場合には、停滞制御部7は、所定時間経過後に、停止荷物を周回コンベヤ2で周回移動させる。すなわち、停止荷物を周回移動に移行させる。延長時間を付与して待機させても、停滞供給コンベヤ3Aの渋滞が解消せず、搬送装置1全体での搬送効率を下げてしまうと判断できるからである。
【0122】
この場合、周回移動に移行させて、停止荷物の後方の滞留荷物を、あるべき分岐位置4に周回移動させることが優先される。これにより、滞留荷物は供給コンベヤ3に分岐移動して、収納庫10に収納される(勿論、収納庫10以外の目的の作業エリアでの作業に用いられるようになる)。
【0123】
周回移動に移行された停止荷物は、更に周回コンベヤ2を一周して、対応する分岐位置4に戻り、供給コンベヤ3に分岐移動できる。このとき、戻ってきた分岐位置4で、停止荷物となる場合には、停滞制御部7による同じ処理が実行される。
【0124】
このよに、処理2となる場合でも、搬送装置1全体での搬送効率を高めることができる。
【0125】
このように、停滞状態(停止荷物に続いて滞留荷物が生じている状態)が生じている場合には、停滞制御部7は、前提処理を行った上で、処理1、処理2のいずれかを選択的に行う。勿論、この間に停滞供給コンベヤ3Aが分岐移動を受け入れ可能となれば、停止荷物は所定時間内であっても、分岐移動する。
【0126】
この制御によって、周回コンベヤ2と供給コンベヤ3とから構成される搬送装置1全体の、搬送効率を高めることができる。
【0127】
次に、各部の詳細やバリエーションについて説明する。
【0128】
(停止荷物と滞留荷物)
図4のように荷物Aが停止荷物である。停止荷物は、停止している分岐位置4から対応する供給コンベヤ3への分岐移動ができないことによって生じる。図4のように、供給コンベヤ3が渋滞しており、これにより分岐移動して入れない場合などによる。
【0129】
図5は、本発明の実施の形態における搬送装置の一部の模式図である。図5の搬送装置1は、供給コンベヤ状態検出部33を更に備えている。供給コンベヤ状態検出部33は、供給コンベヤ3での荷物200の移動状態および個数上限状態の少なくとも一方を検出する。移動状態は、供給コンベヤ3での荷物200の収納庫10へ向けた移動の状態である。個数上限状態は、供給コンベヤ3の収容個数の上限である。供給コンベヤ3も荷物200を移動させるので、この移動させることのできる上限個数がある。この上限個数に対しての状態を個数上限状態とする。
【0130】
供給コンベヤ状態検出部33は、供給コンベヤ3での異常状態(分岐位置4からの分岐移動ができない異常)を検出する。この異常状態は、分岐移動を受け付けることのできない状態を示す。
【0131】
一つには、供給コンベヤ状態検出部33は、供給コンベヤ3での移動状態が異常である場合に、分岐移動ができない異常状態であると判断する。例えば、供給コンベヤ3が渋滞で塞がっているあるいは動作不良などの理由により、供給コンベヤ3において荷物200が収納庫10に向けた移動を行なえない場合である。あるいは、供給コンベヤ3の分岐位置4から直後の位置の荷物200が移動してくれないような状態を異常状態として判断する。
【0132】
もう一つには、供給コンベヤ3の収容可能な個数上限の荷物数になっている場合にも、分岐移動ができないとして判断する。個数上限にまで供給コンベヤ3での荷物200の数が到達している場合には、次の荷物200が入ってくることができない。このときも、分岐移動できないとして、供給コンベヤ状態検出部33が判断する。
【0133】
このような判断に基づいて、分岐移動できない荷物200が、停止荷物となる。
【0134】
この停止荷物が生じることで、周回コンベヤ2において、後方に滞留荷物が生じる。滞留荷物は、停止荷物の停止している分岐位置4から入る荷物200である場合もあるし、この分岐位置4より先の分岐位置4から入る荷物200である場合もある。
【0135】
待機状態の間(所定時間の間あるいは延長時間の間)において、停滞供給コンベヤ3Aへの分岐移動が可能となれば、停滞制御部7は、停止荷物を分岐移動させる。これにより、停止荷物は自身が入るべき供給コンベヤ3に分岐移動して収納移動する。
【0136】
併せて、停止荷物の後方で停滞していた滞留荷物は、周回コンベヤ2での周回移動に移り、自身の分岐すべき分岐位置4に到達できる。到達すると、分岐位置4から供給コンベヤ3に分岐移動する。このとき、分岐コンベヤ3が渋滞している場合には、移動してきた滞留荷物が、停止荷物となることもある。
【0137】
(前提処理と所定時間)
停滞状態となると、停滞制御部7は、停止荷物を所定時間において待機状態とする(上述した前提処理)。分岐位置4から分岐コンベヤ3への分岐移動できるのを待たせて、可能となれば分岐移動させるためである。所定時間の経過後の処理については、上述した通り、停滞供給コンベヤの状態に応じて、処理1、処理2のいずれかを行わせる。
【0138】
この前提処理における所定時間は、停滞供給コンベヤ3の停滞状態により定められれば良い。図6は、本発明の実施の形態1における停滞供給コンベヤを示す模式図である。
【0139】
供給コンベヤ3は、分岐位置4から第1位置、第2位置、・・第M位置を有する。それぞれの位置に荷物200が入りながら、荷物200が移動する。第1位置に荷物200があってこれが第2位置に動いていない状態となっていることがある。このため、この供給コンベヤ3は、停滞供給コンベヤ3Aとなっている。
【0140】
この状態で分岐位置4Aに荷物200が到着する。この荷物200は、分岐位置4Aから停滞供給コンベヤ3Aに分岐移動すべき荷物である。しかし、分岐移動できない。また、停止荷物200Aの後ろに来た荷物200は、滞留荷物となる。
【0141】
停滞制御部7は、停止荷物200Aを、所定時間において待機状態とする。このとき、停滞供給コンベヤ3Aでの荷物200の埋まり具合で、所定時間を決定すればよい。すなわち、第1位置~第M位置までの荷物200の埋まり具合で、所定時間を決定する。埋まり具合によって、停滞供給コンベヤ3Aへの分岐移動が可能となるまでの時間の予測ができるからである。
【0142】
埋まり具合が高ければ、所定時間を長くして分岐位置4Aから停止荷物200Aが分岐移動できることを優先する。あるいは埋まり具合が高くて所定時間が長くなりすぎて全体の搬送効率を下げると判断できる場合には、所定時間を短く設定してもよい。
【0143】
埋まり具合が低い場合にも、同様の方向性で所定時間を決定すればよい。
【0144】
所定時間については、搬送装置1全体での搬送効率を考慮して定められるのが好ましい。例えば、所定時間は、収納庫10の数、収納庫10の収納能力、供給コンベヤ3での荷物200の移動可能個数、供給コンベヤ3の移動能力、周回コンベヤ2による荷物200の移動可能個数、周回コンベヤ2の移動能力および周回コンベヤ2の長さの少なくとも一つに基づいて定まればよい。
【0145】
これらの少なくとも一つに基づくことで、搬送装置1全体での搬送効率に対応した所定時間とすることができる。
【0146】
例えば、収納庫10の数や収納庫10の収納能力が高ければ、停止荷物が生じても、供給コンベヤ3への分岐移動が可能となりやすい。このため、所定時間を一定以上としてもその間に停止荷物の分岐移動が可能となりやすい。逆に、収納庫10の数や収納庫10の収納能力が低ければ、所定時間を長くしてもなかなか分岐移動可能とならない。所定時間を短くして、早目に周回コンベヤ2への周回移動させることも好ましい。
【0147】
逆に、収納力などが高い場合には、所定時間を短くしても分岐移動に移行しやすいとして所定時間を短くする考え方で所定時間を定めてもよい。
【0148】
これは、供給コンベヤ3や周回コンベヤ2の能力を基準とする場合でも、同様に所定時間を定めればよい。
【0149】
所定時間は、可変であることでもよい。これは、搬送装置1での搬送動作が行われるたびに、設定される所定時間が異なるということもあるし、搬送動作が行われている間に、所定時間を変更させることでもある。
【0150】
前者の場合には、例えばある搬送動作のルーティーンの時に、収納させるべき荷物200の総数が多い場合には、所定時間をある時間に設定し、別の搬送動作ルーティーンに切り替わる際に、荷物200の総数が少なくなる場合には、これに合わせた所定時間に設定する。
【0151】
後者の場合には、一つの搬送動作ルーティーンの中で、所定時間を変更させる。
【0152】
例えば、停滞制御部7は、停止荷物の後方に停滞している滞留荷物の個数に基づいて、所定時間を変更可能とする。滞留荷物の個数が多い場合には、所定時間を短くして、停止荷物の供給コンベヤ3への分岐移動を待つよりも、滞留荷物を周回コンベヤ2で周回移動させてそれぞれの分岐位置4に到達させることを優先する。
【0153】
逆に、滞留荷物の個数が少なければ、所定時間を長くして停止荷物の供給コンベヤ3への分岐移動を待つ。この方が全体としての効率が良いからである。
【0154】
このように、滞留荷物の個数で所定時間(停止荷物が待機する時間)を変動させることも、全体効率の向上のために好適である。
【0155】
(処理1と延長時間)
停滞制御部7は、停滞供給コンベヤ3Aにある荷物200の数、荷物200の密度、荷物200の上限個数との個数関係、停滞供給コンベヤ3Aでの荷物200の位置および停滞供給コンベヤ3Aの移動状態の少なくとも一つに基づいて、処理1か処理2のいずれかを決定する。
【0156】
停滞供給コンベヤ3Aでの停滞状態から見て、更に停止荷物200Aを待機させた方が分岐移動に移行できると判断する場合には、処理1に移行する。逆に、待機させる時間が長くなりすぎて全体の搬送効率を下げると判断する場合には、処理2に移行する。
【0157】
停滞制御部7は、停滞供給コンベヤ3Aにおける荷物200の密度および上限個数と個数関係との少なくとも一方が所定値以下である場合には、処理1に移行して延長時間を付与する。所定値以下であれば、延長時間により待機を延長させることで、停止荷物200Aの分岐移動が可能となる可能性が高いからである。分岐移動を待つ方が、全体としての搬送効率が高まる。
【0158】
あるいは、停滞制御部7は、停滞供給コンベヤ3Aにおいて荷物200の移動動作が生じている場合には、延長時間を付与して処理1に移行させる。停滞供給コンベヤ3Aが渋滞していても、移動動作が生じている場合には、第1位置に空きが生じる可能性が高く、延長時間を付与して分岐移動を待たせることが効率的だからである。
【0159】
停滞制御部7は、第1位置~第M位置までの荷物200の埋まり具合に基づいて、延長時間を決定することもよい。延長時間も停滞供給コンベヤ3Aでの第1位置~第M位置までの荷物200の埋まり具合で決定されればよい。延長時間の長さは、所定時間と同様の考え方で決定されればよい。
【0160】
また、停滞制御部7は、停滞供給コンベヤ3Aの第1位置が空き状態になることが予測できる場合には、第1位置が空き状態になるまでの時間を、延長時間として設定する。これにより、停滞供給コンベヤ3Aの渋滞状態が残っていても、停止荷物200Aが分岐移動できる状態であれば、それまでを延長時間での待機状態とできる。
【0161】
また、停滞制御部7は、延長時間を増減変化させることもできる。停滞供給コンベヤ3Aの状態変化に合わせて、延長時間を増減変化させることで、処理1の状態からの停止荷物200Aの分岐移動を待つか、分岐移動を待つ前に処理2に変化させるかを切り替える。これにより、全体での搬送効率を上げることができる。
【0162】
(処理2と周回移動)
停滞制御部7は、停滞供給コンベヤ3Aの状態に基づいて、処理2を行わせることもある。これは、所定時間の経過時に処理2に移行させてもよいし、処理1での延長時間の最中に処理2に移行させてもよい。停滞供給コンベヤ3Aの状態は、上述した停滞供給コンベヤ3Aでの荷物200の密度などである。
【0163】
停滞制御部7は、所定時間の待機が終わるところで停滞供給コンベヤ3Aの渋滞が解消しそうにない場合には、停止荷物200Aをそれ以上待機させることは、全体の効率を下げると判断する。この場合には、停止荷物200Aを周回移動に移行させて、後段にある滞留荷物200Bの周回移動と分岐位置4での分岐移動を優先する。この方が、全体としての搬送効率を向上させるからである。特に、停止荷物200Aがいつまでも分岐位置4Aで停止していると、後段の滞留荷物の数が増加してしまう。
【0164】
このような増加は、停滞状態をより複雑にさせるので好ましくない。
【0165】
よって、停滞制御部7は、処理2に移行させる。処理2に移行すると、停止荷物200Aが周回コンベヤ2を周回移動して、後段の滞留荷物200Bが、自身の分岐位置4に到達できるからである。また、停滞制御部7は、処理1における延長時間の経過前でも、この処理2への移行をさせることもよい。
【0166】
停滞制御部7は、停滞供給コンベヤ3Aにおける荷物200の密度および荷物200の上限個数と実際の個数関係の少なくとも一つが所定値より大きい場合には、処理2に移行させる。すなわち、停止荷物200Aを、周回コンベヤ2で周回移動させる。
【0167】
このような状態では、待機状態の解消(分岐移動となる状態)までにはかなりの時間を要する。待機状態を続けるよりも、後段の滞留荷物200Bの分岐位置4への移動と分岐移動を優先するほうが、全体効率を上げるからである。
【0168】
停止荷物200Aは周回移動に移行することで、周回コンベヤ2を更に一周する。この間に、滞留荷物200Bは、自身が分岐されるべき分岐位置4に到達できる。この分岐位置4からの分岐移動が行われる。これにより、滞留荷物200Bの供給コンベヤ3からの収納庫10(作業エリア)への収納移動ができる。なお収納移動は、作業エリアへの移動を示し、収納庫10への収納に限定される意図ではない。
【0169】
あるいは、停滞制御部7は、停滞供給コンベヤ3Aでの荷物移動が生じていない場合には、処理2に移行させて、停止荷物200Aを周回移動させる。荷物移動が生じていない状態では、延長時間の付与や延長時間終了を待つよりも、滞留荷物200Bの分岐移動を優先することのメリットが高いからである。
【0170】
あるいは、停滞制御部7は、第1位置~第M位置の内、少なくとも第1位置、第2位置および第3位置に荷物200がある場合には、処理2に移行させて、停止荷物200Aを周回移動させることもよい。一例として、第1位置~第3位置まで荷物200がある場合には、停滞供給コンベヤ3Aの渋滞の解消が難しい可能性がある。このような場合には、待機状態を継続させるよりも、停止荷物200Aを周回移動させて滞留荷物200Bを分岐位置4に到達させることがベターである。
【0171】
もちろん、第1位置~第3位置の埋まり具合ではなく、更に第4位置以降も含めた荷物200の埋まり具合で判断してもよいし、荷物200の密度で判断してもよい。
【0172】
停滞制御部7は、停止荷物200Aが分岐移動するまでに時間がかかり、全体の搬送効率を低下させると判断する場合には、処理2に移行して、停止荷物200Aを周回移動させる。これにより、全体の搬送効率を上げることができる。
【0173】
また、停滞制御部7は、滞留荷物200Bの個数も含めた判断基準で、処理1と処理2のいずれを行うかを選択することもよい。滞留荷物200Bの数が多い場合には、処理2に移行して、滞留荷物200Bの移動を優先させることも、全体においては良いからである。
【0174】
以上のように、停滞制御部7は、全体効率のために処理2に移行させることもよい。処理1、処理2を選択しながら制御し、処理1である延長時間の間においても、状況に応じて処理2に移行させてもよい。勿論、分岐移動できる状態となれば、停止荷物200Aを分岐移動させて、停滞状態を解消させる。
【0175】
(供給コンベヤでの収納庫への移動)
供給コンベヤ3は、収納庫10に荷物200を収納移動させる。この収納移動により、供給コンベヤ3に入ってきた荷物を収納庫10に収納させることができる。勿論、収納庫10から荷物200を取り出して搬出させることも行う。
【0176】
供給コンベヤ制御部31は、この供給コンベヤ3の収納移動を制御する。分岐位置4から供給コンベヤ3に荷物200が入ってきた場合には、これを収納庫10へ移動させるように供給コンベヤ3での収納移動を制御する。
【0177】
また、供給コンベヤ3の収納庫10側に到達した荷物200を、収納庫10に収納させる収納クレーン8を更に備えることも好適である。図3に、収納クレーン8が示されている。
【0178】
収納クレーン8が備わることで、収納庫10への荷物200の受け渡しが行われる。収納庫10に収納させるときには、供給コンベヤ3から荷物200を取り出して、収納庫10に収納させる。また、収納庫10から取り出して供給コンベヤ3に渡すことも行う。
【0179】
供給コンベヤ3は、荷物200を次々と収納移動させて、分岐位置4から入ってきた荷物200を、収納庫10に収納させる。この収納が間に合わずに供給コンベヤ3が満杯になった場合に、停止荷物や滞留荷物が生じる。
【0180】
この停滞状態を、全体の搬送効率を考慮して制御するのが、本発明の搬送装置1である。以上のように、本発明の搬送装置1は、全体の搬送効率を上げつつ、停滞状態に対して対応を行うことができる。
【0181】
なお、上述の通り、収納庫10は作業エリアの一例であり、他の作業工程などを含む。
【0182】
なお、実施の形態で説明された搬送装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【0183】
なお、実施の形態で説明された搬送装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0184】
1 搬送装置
2 周回コンベヤ
3 供給コンベヤ
4 分岐位置
51 投入口
52 搬出口
6 周回コンベヤ状態検出部
7 停滞制御部
8 収納クレーン
10 収納庫
200 荷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6