(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119086
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】光硬化型接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/16 20060101AFI20230821BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
C09J175/16 ZAB
C09J4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021711
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大谷 久貴
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040FA131
4J040FA231
4J040JA01
4J040JB08
4J040KA13
4J040KA19
(57)【要約】
【課題】環境問題に配慮した植物由来の原材料を使用すると共に、ガラスとの接着力に優れたバイオマス光硬化型接着剤組成物を提供する。
【解決手段】植物由来のバイオマスポリオールと脂環式ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートから合成されたウレタン(メタ)アクリレートと、極性基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と、脂肪族の(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、を含み、前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が1000~6000であることを特徴とする光硬化型接着剤組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来のバイオマスポリオール(a1)と脂環式ポリイソシアネート(a2)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)から合成されたウレタン(メタ)アクリレート(A)と、極性基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)と、脂肪族の(メタ)アクリレート(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、前記(A)の重量平均分子量が1000~6000であることを特徴とする光硬化型接着剤組成物。
【請求項2】
前記(a1)がポリプロパンジオールであることを特徴とする請求項1記載の光硬化型接着剤組成物。
【請求項3】
前記(a2)がイソホロンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の光硬化型接着剤組成物。
【請求項4】
前記(B)が水酸基を有する(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の光硬化型接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来成分からなる光硬化型の接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化、気候変動を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加問題から、原料を石油資源に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、粘着剤用途においても、植物由来のバイオマス資源から生産される様々なバイオマス型粘着剤が開発されるようになってきた。
【0003】
例えば、植物由来のジカルボン酸であるダイマー酸と植物由来のジオールであるダイマージオールとを縮合重合させたポリエステルと、放射線硬化型樹脂と、放射線反応開始剤を含有し、架橋剤により架橋処理された粘着層を有する粘着シートが提案されている(特許文献1)。
【0004】
一方、粘着剤以外の接着剤分野では、例えば植物由来成分を有する特定成分の芳香族ポリエステルウレタンポリオールを主剤とし、多官能イソシアネート化合物を硬化剤とした二液硬化型の接着剤組成物が提案されている(特許文献2)。しかしながら、未だにその多くの原料が石油由来のもので構成されていた。そのため最近ではバイオマス度の高い接着剤が要求されるようになり、特に短時間硬化が可能な光硬化型で、ガラスとの接着性にも優れる、透明性の高いバイオマス型の接着剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6097132号公報
【特許文献2】特許第5942032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、環境問題に配慮した植物由来の原材料を使用すると共に、短時間硬化が可能な光硬化型で、ガラスとの接着力にも優れた透明性の高い光硬化型接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、植物由来のバイオマスポリオール(a1)と脂環式ポリイソシアネート(a2)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)から合成されたウレタン(メタ)アクリレート(A)と、極性基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)と、脂肪族の(メタ)アクリレート(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、前記(A)の重量平均分子量が1000~6000であることを特徴とする光硬化型接着剤組成物を提供する。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記(a1)がポリプロパンジオールであることを特徴とする請求項1記載の光硬化型接着剤組成物を提供する。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記(a2)がイソホロンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の光硬化型接着剤組成物を提供する。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記(B)が水酸基を有する(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の光硬化型接着剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、環境問題に配慮した植物由来の原材料を使用し、紫外線等の光に対する硬化性が良好で、透明性とガラスとの接着性にも優れているため、光学用途でバイオマス型の光硬化型接着剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明の組成物の構成は、植物由来のバイオマスポリオールから合成されたウレタン(メタ)アクリレート(A)と、極性基を有する単官能(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)と、脂肪族の(メタ)アクリレート(C)と、光重合開始剤(D)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
【0014】
本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレート(以下ウレアクという)(A)は、粘着剤組成物を構成するベースオリゴマーであり、植物由来のバイオマスポリオール(a1)と脂環式ポリイソシアネート(a2)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a3)から合成される。(A)の官能基数は4官能以下が好ましく、2官能が更に好ましい。5官能以上では網目状の高分子構造となるため剛性が高くなりすぎ、ガラス面への吸着性や曲面への追従性が低下する場合がある。
【0015】
前記(a1)は植物由来の短鎖ジオールを重合させた成分であり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール等の重合体が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。これらの中では反応性が高く、低粘度でガラスとの接着性が良好な点で、1,3-プロパンジオールの重合体であるポリプロパンジオールが好ましい。ポリプロパンジオールは、例えばトウモロコシ等の植物資源を酵素によりグルコースに分解し、微生物によりバイオプロパンジオールとし、これを重合することで得ることができる。
【0016】
前記(a2)は(A)の硬化物に高い耐候性と剛性を付与することができる。例えばイソホロンジイソシアネート(以下IPDIという)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、IPDIイソシアヌレート体などが挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では反応性が比較的良好で、入手性も容易なIPDIが好ましい。
【0017】
前記(a3)は(A)の官能基を4以下とするため2官能以下が好ましく、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレートや、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では粘着物性の点でC2~4の単官能(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートが更に好ましい。
【0018】
前記(A)の合成方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。(a1)と(a2)の配合比率(モル比)は、(a1)の水酸基:(a2)のイソシアネート基=0.7:1~1:1であることが好ましく、0.8:1~1:1でであることが更に好ましい。上記反応には触媒を用いることが好ましく、例えばジブチルスズジラウレート等の錫系、ナフテン酸コバルト等の金属アルコキシド系が挙げられる。反応は無溶媒下でも良いが、イソシアネート基と反応する官能基を持たない有機溶剤、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、イソブチルケトン等のケトン類を用いることができる。反応温度は適宜設定可能であるが40~110℃が好ましく、50~90℃が更に好ましい。反応時間も適宜設定可能であるが2~14時間が好ましく、4~10時間が更に好ましい。
【0019】
前記(A)の重量平均分子量(以下Mwという)は1,000~6,000であり、2,000~5,000が好ましく、2,500~4,500が更に好ましい。1,000未満では硬化皮膜の凝集力が低く剥離強度が低下し、6,000超ではガラスとの接着力が弱くなる傾向がある。なおMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、スチレンジビニルベンゼン基材の充填剤を用いたカラムでテトラハイドロフラン溶離液を用いて、標準ポリスチレン換算の分子量を測定、算出した。
【0020】
前記(A)の固形分全量に対する配合量は10~70重量%が好ましく、15~65重量%が更に好ましく、18~60重量%が特に好ましい。10重量%以上とすることで、充分な凝集力と皮膜強度を確保でき、70重量%以下とすることで作業性に適した粘度にコントロールしやすくなる。
【0021】
本発明で使用する極性基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(B)は、(A)との併用によりガラスとの接着力を向上させる目的で配合する。水酸基、アミノ基を有する(メタ)アクリレートや、アクリルアミド等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。また硬化物の分子量を大きくしすぎない点で、単官能であることが好ましい。例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、N,N‐ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等のアクリルアミド等を挙げることができる。これらの中では、良好な接着性を得られる点で4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルフォリンが好ましい。
【0022】
前記(B)の固形分全量に対する配合量は10~60重量%が好ましく、12~55重量%が更に好ましく、15~50重量%が特に好ましい。この範囲内とすることで十分なガラス接着性を確保できる。
【0023】
本発明で使用する脂肪族の(メタ)アクリレート(C)は、反応性を向上させると共に、ガラスとの接着性をより安定化させる目的で配合する。硬化物の貯蔵弾性率を上げすぎないようにする点でC8~16の炭素数であることが好ましく、単官能であることが好ましい。例えばオクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシルアクリレート等の鎖状(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートを挙げることができ、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では、適度な剛性を有する点でイソボルニルアクリレートが、ガラスとの良好な接着性を得られる点でオクチルアクリレート、ラウリルアクリートが好ましい。
【0024】
前記(C)の固形分全量に対する配合量は3~55重量%が好ましく、5~50重量%が更に好ましく、8~48重量%が特に好ましい。この範囲とすることで、ガラスとの接着性をより安定化させることが可能となる。
【0025】
本発明で使用する光重合開始剤(D)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では、内部硬化性に優れるアシルフォスフィンオキサイド系を含むことが好ましい。
【0026】
前記(D)の配合量はラジカル重合性成分100重量部に対して、0.1~5.0重量部配合することが好ましく、0.2~2.0重量部がさらに好ましい。この範囲で配合する事により、組成物を効率的に硬化させる事ができる。アシルフォスフィンオキサイド系の市販品としてはOmniradTPO H(商品名:IGM Resins社製)がある。
【0027】
更に加えて本発明の接着剤組成物は、性能を損なわない範囲で、必要に応じ酸化防止剤、重合禁止剤、光増感剤、難燃剤、レベリング剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、有機微粒子、無機微粒子などの添加剤を添加することができる。
【0028】
前記酸化防止剤は、配合することにより硬化後の皮膜物性劣化を防止することができる。 酸化防止剤としてはフェノール系、リン系、フェノールリン系、硫黄系などが挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。酸化防止剤の配合量としては、全固形分に対し5重量%以下が好ましく、2重量%以下が更に好ましい。市販品ではスミライザーGP(商品名:住友化学社製、フェノールリン系)等が挙げられる。
【0029】
前記重合禁止剤は、配合することにより増粘を防ぎ保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としてはピロカテコール、ヒドロキノン誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン(以下BHTという)等が挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。重合禁止剤の配合量としては、全固形分に対し5重量%以下が好ましく、3重量%以下が更に好ましい。
【0030】
本発明の接着剤組成物は、プラスチックフィルムに塗布することで、タッチパネルやフラットパネルディスプレイ等の画像表示体を製造する生産工程で使用する保護フィルムとして使用できる。基材であるプラスチックフィルムとしては種々公知なものが使用でき、例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム、シクロオレフィン(コ)ポリマーフィルム等を挙げることができる。また基材であるプラスチックフィルムは単層であっても、2層以上の積層体であっても良い。これらの中では、耐熱性、寸法安定性、透光性、入手性等からポリエステル系のPETフィルムが好適である。
【0031】
本発明の接着剤組成物のプラスチックフィルムへの塗布方法としては特に限定されず、公知のロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等が利用できる。塗布する厚みは任意であり、例えば5~300μmが例示できるが、被着物の安定した固定及び糊残りを抑える点で20~100μmが好ましい。硬化に用いる光源は、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極ランプ等の公知の光源を使用でき、積算光量として例えば50~5,000mJ/cm2を照射して接着剤組成物を硬化させる。
【0032】
以下、本発明を実施例、比較例に基づき詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。また表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。なお配合量は重量部を示す。
【0033】
ウレアク1の調製
温度計、撹拌機、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた4つ口フラスコに、IPDI(NCO基37.5%)820重量部と、植物由来のバイオマスポリプロパンジオール(数平均分子量500)1550重量部とを仕込み、触媒を加えて60℃まで昇温し、4時間反応させ両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。次に2-HEAを130重量部添加し、70℃まで昇温し、2時間反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、Mw.3,500のウレアク1(骨格:HEA-IPDI-ポリプロパンジオール-IPDI-HEA)を得た。
【0034】
常法に倣い下記のウレアク2~5を調製した。
ウレアク2(骨格:HEA-IPDI-ポリプロパンジオール※-IPDI-HEA)、Mw7,000
ウレアク3(骨格:HEA-IPDI-ポリプロパンジオール※-IPDI-HEA)、Mw10,000
ウレアク4(骨格:HEA-IPDI-PPG※-IPDI-HEA)、Mw15,000
ウレアク5(骨格:HEA-IPDI-PTMG※-IPDI-HEA)、Mw5,000
※)ポリプロパンジオール:バイオマス、PPG:石油由来ポリプロピレングリコール、 PTMG:石油由来ポリテトラメチレングリコール
【0035】
実施例1~7
(A)としてウレアク1を、(B)として4-HBA(商品名:大阪有機化学工業社製、4‐ヒドロキシブチルアクリレート)及びHOP-A(商品名:共栄社化学社製、2-ヒドロキシプロピルアクリレート)及びACMO(商品名:KJケミカルズ社製、アクリロイルモルフォリン)を、(C)としてIBXA(商品名:大阪有機化学工業社製、イソボルニルアクリレート)及びNOAA(商品名:大阪有機化学工業社製、n-オクチルアクリレート)及びL-A(商品名:共栄社化学社製、ラウリルアクリレート)を、(D)としてOmniradTPO H(商品名:IGM Resins社製、アシルフォスフィンオキサイド系)を、添加剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)及びSumilizerGP(商品名:住友化学社製、フェノールリン系)を、表1記載の配合で均一に溶解するまで撹拌し、実施例1~7の光硬化型接着剤組成物を調製した。
【0036】
比較例1~5
実施例で用いた材料の他、バインダーとしてウレアク2~5を、表1記載の配合で均一に溶解するまで撹拌し、比較例1~5の光硬化型接着剤組成物を調整した。
【0037】
【0038】
評価方法は以下の通りとした。
【0039】
評価用板ガラスの作成
厚さ1mmの板ガラスS1126(商品名:松浪硝子工業社製)上に、硬化後の膜厚が30μmとなるよう光硬化型接着剤組成物を塗布し、Heraeus社製の無電極UV照射装置F300S/LC-6Bを用い、Dバルブ、照度100mW/cm2、積算光量2,000mJ/cm2の条件で硬化して評価用板ガラスを作成した。
【0040】
接着力:厚さ1mmの板ガラスS1126(商品名:松浪硝子工業社製)上に、硬化後の膜厚が30μmとなるよう光硬化型接着剤組成物を塗布し、幅25mm×150mmにカットしたコスモシャインA4300(商品名:東洋紡社製、厚さ50μmPETフィルム)を重ね、Heraeus社製の無電極UV照射装置F300S/LC-6Bを用い、Dバルブ、照度100mW/cm2、積算光量2,000mJ/cm2の条件で硬化させたものを試験片とし、ミネベア社製の引張り試験機TGI-1kNを用い、クロスヘッドスピード300mm/min.で、白板ガラス面に対し180°の剥離強度を測定し、3.0N/cm超を〇、1.0~3.0N/cmを△、1.0N/cm未満を×とした。
【0041】
全光線透過率:上記評価用板ガラスを用い、東洋精機製作所製のヘイズメーターHaze-gard2を用い、JISK7361-1に準拠して測定した。なおガラスの値は差し引いた。
【0042】
ヘイズ:上記評価用板ガラスを用い、東洋精機製作所製のヘイズメーターHaze-gard2を用い、JISK7361-1に準拠して測定した。なおガラスの値は差し引いた。
【0043】
b*値:上記評価用板ガラスを用い、日本分光社製の紫外可視光分光光度計V-770DS(測定ソフト:VWST-964)を用い、JISA5759に準拠して測定した。評価は全光線透過率が90%以上、ヘイズが0.3%以下、b*値が0.5以下の場合を〇、それ以外は×とした。
【0044】
【0045】
実施例の光硬化型接着剤組成物は、接着力、全光線透過率、ヘイズ、b*値いずれの評価においても良好な結果を得た。
【0046】
一方、(B)を含まない比較例1は接着力が低く、バイオマスポリオールから合成したウレアクでもMwが大きい比較例2~3は接着力が低かった。また石油由来のウレアクである比較例4は接着力が低く、比較例5も接着力は十分ではなく、いずれも本願発明に適さないものであった。