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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119088
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20230821BHJP
   B65H 35/06 20060101ALI20230821BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20230821BHJP
   B26D 1/00 20060101ALI20230821BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B41J11/70
B65H35/06
B26D1/08
B26D1/00
B26D7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021724
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政則
【テーマコード(参考)】
2C058
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AC06
2C058AE04
2C058AE14
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA23
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB24
3C021FC02
3C021FC03
3C027AA05
3C027JJ01
(57)【要約】
【課題】本発明に係るサーマルプリンタによれば、刃に設けられた溝に糊を効率的に溜め、プリンタの寿命まで糊を清掃する作業を減らすなど、メンテナンスの負荷を軽減することができる。
【解決手段】本発明に係るサーマルプリンタ1は、裏面に糊Sが付着した糊面が設けられたライナーレスラベルLへ印刷するサーマルプリンタ1であって、固定刃100と、ライナーレスラベルLを挟んで固定刃100と対向する第一位置と、固定刃100に少なくとも一部が重なりライナーレスラベルLに切れ目を入れる第二位置とを往復移動する可動刃200と、を有するカッターユニット4を備え、可動刃200は、第二位置において固定刃100と摺動する摺動面にエッジを有する溝300を備え、エッジは、摺動面上に形成される糊止めエッジ部321と、進行方向Bと交差し、摺動面上に形成される糊そぎエッジ部322と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に糊が付着した糊面が設けられたライナーレスラベルへ印刷するサーマルプリンタであって、
前記ライナーレスラベルの前記裏面側に設けられた固定刃と、
前記ライナーレスラベルを挟んで前記固定刃と対向する第一位置と、前記固定刃に少なくとも一部が重なり前記ライナーレスラベルに切れ目を入れる第二位置とを往復移動する可動刃と、
を有するカッターユニットを備え、
前記可動刃は、前記ライナーレスラベルに前記切れ目を入れる第一刃先と、前記第二位置において前記固定刃と摺動する摺動面にエッジを有する溝を備え、
前記エッジは、
進行方向に沿って前記摺動面上に形成される糊止めエッジ部と、
前記進行方向と交差し、前記摺動面上に形成される糊そぎエッジ部と、
を有する、
サーマルプリンタ。
【請求項2】
前記第一刃先は、前記進行方向において、前記第二位置側に、前記可動刃の中心部に向けてV字形状に形成される
請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記溝に、前記糊止めエッジ部が少なくとも3つ以上形成される
請求項1または請求項2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記溝の前記糊そぎエッジ部は、前記摺動面上に前記第一刃先と平行となるように形成された
請求項1から3のいずれかの1項に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記溝の前記糊そぎエッジ部は、前記摺動面上に前記進行方向と交差し、形成される
請求項1乃至3のいずれかの1項に記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
前記可動刃は、前記摺動面上に少なくとも1つ以上の前記溝を有し、
前記溝は前記進行方向と平行な対称軸に対して、線対称となるように配置される
請求項1から5のいずれかの1項に記載のサーマルプリンタ。
【請求項7】
前記可動刃は、前記摺動面上に複数の前記溝を有し、
隣り合う前記溝は、前記進行方向において重なるように配置される
請求項1から6のいずれかの1項に記載のサーマルプリンタ。
【請求項8】
前記ライナーレスラベルの幅で区切られた前記摺動面上の領域には、前記摺動面上で前記進行方向と垂直な幅方向の全域にわたって少なくとも一つ以上の前記溝が形成される
請求項1から7のいずれかの1項に記載のサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラテンローラとサーマルヘッドとで記録紙を挟み込んだ状態でプラテンローラを回転させることで、記録紙を搬送しながらサーマルヘッドにより記録紙の印刷面に対して印刷を行うサーマルプリンタが知られている。ところで、食品のPOSラベルや各種表示ラベル等には、環境負荷の低減や利便性の向上を目的として、いわゆるライナーレスラベルを記録紙に用いることがある。ライナーレスラベルとは、印刷面とは反対側の面に粘着用の糊を備える記録紙において、糊を覆う台紙を備えないものである。この糊は、裁断時に、裁断を行う固定刃及び可動刃に固着して、切断時の負荷となるため、固定刃または可動刃の刃先に沿って溝を形成し、糊を溝に落とし込む可動刃を備えたプリンタが知られている。固定刃または可動刃の刃先に沿って平行に形成された溝は、溝の一部に糊がたまるため、特許文献1に示すような、刃先部分に対して外部より接触可能な切欠き部を筐体に設け、刃先を清掃できるプリンタが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-211756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンタにおいては、刃先を定期的に清掃する必要があり、清掃などにより筐体蓋部(開閉カバー部)を開放すると、筐体蓋部に取り付けられた固定刃及び可動刃が露出するため、接触すると怪我をする可能性があった。また、使用者が、刃先に溜まる糊を目視確認して適当なタイミングで清掃するように管理しなければならず、メンテナンス作業が困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、刃に設けられた溝に糊を効率的に溜め、プリンタの寿命まで糊を清掃する作業を減らすなど、メンテナンスの負荷を軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るサーマルプリンタは、裏面に糊が付着した糊面が設けられたライナーレスラベルへ印刷するサーマルプリンタであって、前記ライナーレスラベルの前記裏面側に設けられた固定刃と、前記ライナーレスラベルを挟んで前記固定刃と対向する第一位置と、前記固定刃に少なくとも一部が重なり前記ライナーレスラベルに切れ目を入れる第二位置とを往復移動する可動刃と、を有するカッターユニットを備え、前記可動刃は、前記ライナーレスラベルに前記切れ目を入れる第一刃先と、前記第二位置において前記固定刃と摺動する摺動面にエッジを有する溝を備え、前記エッジは、進行方向に沿って前記摺動面上に形成される糊止めエッジ部と、前記進行方向と交差し、前記摺動面上に形成される糊そぎエッジ部と、を有する。
【0007】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様に係るサーマルプリンタは、前記第一刃先は、前記進行方向において、前記第二位置側に、前記可動刃の中心部に向けてV字形状に形成される。
【0008】
本発明の第三の態様によれば、第一の態様または第二の態様に係るサーマルプリンタは、前記溝に、前記糊止めエッジ部が少なくとも3つ以上形成される。
【0009】
本発明の第四の態様によれば、第一から三のいずれかの態様に係るサーマルプリンタは、前記溝の前記糊そぎエッジ部は、前記摺動面上に前記第一刃先と平行となるように形成される。
【0010】
本発明の第五の態様によれば、第一から三のいずれかの態様に係るサーマルプリンタは、前記溝の前記糊そぎエッジ部は、前記摺動面上に前記進行方向と交差し、形成される。
【0011】
本発明の第六の態様によれば、第一から五のいずれかの態様に係るサーマルプリンタは、前記可動刃は、前記摺動面上に少なくとも1つ以上の前記溝を有し、前記溝は前記進行方向と平行な対象軸に対して、線対称となるように配置される。
【0012】
本発明の第七の態様によれば、第一から六のいずれかの態様に係るサーマルプリンタは、前記可動刃は、前記摺動面上に複数の前記溝を有し、隣り合う前記溝は、前記進行方向において重なるように配置される。
【0013】
本発明の第八の態様によれば、第一から七のいずれかの態様に係るサーマルプリンタは、前記進行方向において、前記ライナーレスラベルの幅で区切られた前記摺動面上の領域が、前記摺動面上で前記進行方向と垂直な幅方向の全域にわたって少なくとも一つ以上の前記溝を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、刃に設けられた溝に糊を効率的に溜め、プリンタの寿命まで糊を清掃する作業を減らすなど、メンテナンスの負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタの斜視図である。
図2図1のA-A断面に沿う、同サーマルプリンタの内部構成を示す側面図である。
図3】同サーマルプリンタの可動刃の正面図である。
図4】同サーマルプリンタの可動刃の往復運動により、糊がカッターユニットへ固着し、糊塊部が形成される一連の流れを説明する図である。
図5】同サーマルプリンタの可動刃が固定刃に接近し、第二位置P2に達したときを示す図である。
図6】同サーマルプリンタの可動刃が固定刃から離反し、第一位置P1に達したときを示す図である。
図7】上記実施形態に係るサーマルプリンタのカッターユニットの変化例を説明する図である。
図8】上記実施形態に係るサーマルプリンタのカッターユニットの変化例を説明する図である。
図9】上記実施形態に係るサーマルプリンタのカッターユニットの変化例を説明する図である。
図10】上記実施形態に係るサーマルプリンタのカッターユニットの変化例を説明する図である。
図11】上記実施形態に係るサーマルプリンタのカッターユニットの変化例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。なお、以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0017】
[サーマルプリンタ1]
図1は、サーマルプリンタ1の斜視図である。また、図2は、図1のA-A断面側面に沿う、同サーマルプリンタ1の内部構成を示す断面図である。図1または図2に示すように、サーマルプリンタ1は、ケーシング2と、印刷ユニット3と、カッターユニット4と、ライナーレスラベルLと、を備える。サーマルプリンタ1は、設置面G上に設置されている。以下のケーシング2及び印刷ユニット3の説明において、設置面Gに対して垂直な方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する2方向を前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左方)とする。
【0018】
[ケーシング2]
ケーシング2は、箱型に形成されている。具体的に、ケーシング2は、筐体20と、上カバー21と、を備えている。
【0019】
筐体20は、上方に上端開口部20aを有する箱型に形成され、設置面G上に設置されている。筐体20は、後述する印刷ユニット3のプラテンローラ30と、カッターユニット4と、ライナーレスラベルLと、が内部に収納可能な程度の大きさを有する。
【0020】
上カバー21は、筐体20の上端開口部20aを開閉する。具体的に、上カバー21は、下方に開口する箱型に形成され、平面視において、筐体20と同等の形状を呈している。上カバー21は、閉位置において、筐体20に上方から重ね合わせられ、筐体20の上端開口部20aを閉塞する。また、このとき筐体20と上カバー21との間には、ケーシング2の内外を連通させるとともに、左右方向に延びるスリット状に形成された排出口23が形成される。排出口23は、印刷ユニット3で印刷されたライナーレスラベルLが前方に向けて排出される。一方、上カバー21は、開位置において、筐体20の上方から退避して、筐体20の上端開口部20aを開放する。
【0021】
[印刷ユニット3]
図2に示すように、印刷ユニット3は、プラテンローラ30と、サーマルヘッド31と、を備えている。
【0022】
プラテンローラ30は、左右方向に延びるゴムローラである。プラテンローラ30は、筐体20内の前端部(排出口23寄りに位置する部分)に設けられている。プラテンローラ30は、左右方向に沿う軸線O1回りに回転可能であり、ライナーレスラベルLの搬送時において、不図示の駆動モータの駆動力に応じて回転する。
【0023】
サーマルヘッド31は、上カバー21内において、排出口23寄りに位置する部分に設けられている。サーマルヘッド31は、左右方向に沿って直線状に並ぶ複数の発熱素子を備えている。サーマルヘッド31は、発熱素子が下方を向いた状態で上カバー21の前端部に固定されている。
【0024】
プラテンローラ30及びサーマルヘッド31は、上下方向においてライナーレスラベルLを間に挟んで向かい合っている。サーマルヘッド31は、上カバー21が閉位置にあるとき、プラテンローラ30に密接する。ライナーレスラベルLは、プラテンローラ30の回転に応じて、プラテンローラ30とサーマルヘッド31との間を通過する。サーマルヘッド31は、制御基板(不図示)から出力される信号に基づいて発熱素子の発熱パターンが制御される。発熱素子の熱がライナーレスラベルLの印刷面L1に伝わることで、発熱パターンに応じた情報(文字や図形等)が印刷面L1に印刷される。
【0025】
[カッターユニット4]
カッターユニット4は、図2に示すように、固定刃100と、可動刃200と、移動機構(不図示)と、を備える。カッターユニット4は、図示しない移動機構により、可動刃200をライナーレスラベルLに対して往復移動させ、可動刃200と固定刃100との間のライナーレスラベルLを挟みこむことにより、ライナーレスラベルLに切れ目をいれる。
【0026】
以下のカッターユニット4及びライナーレスラベルLの説明においては、ライナーレスラベルLが搬送される方向を搬送方向Aとする。搬送方向Aにおいて、ライナーレスラベルLが搬送される向きを搬送先側(下流側)A1とし、搬送先側A1に対し反対向きを搬送元側(上流側)A2とする。また、搬送方向Aに直交し、可動刃200が進行して固定刃100と可動刃200とによってライナーレスラベルLを切断する方向を進行方向Bとする。進行方向Bにおいて、可動刃200が固定刃100から離反する向きを離反側B1とし、可動刃200が固定刃100へ接近しライナーレスラベルLへ切れ目を入れる向きを切断側B2とする。さらに、搬送方向A及び進行方向Bに直交するライナーレスラベルLの紙幅方向を幅方向Cとする。
【0027】
なお、本実施形態においては、搬送方向Aは前後方向と略一致している。進行方向Bは上下方向と略一致している。また、幅方向Cは左右方向と略一致している。ただし、搬送方向Aは前後方向と一致していなくてもよい。進行方向Bは上下方向と一致していなくてもよい。また、幅方向Cは左右方向と一致していなくてもよい。
【0028】
固定刃100は、筐体20内において、プラテンローラ30と排出口23との間であって、ライナーレスラベルLの裏面である粘着面L2側に配置されている。固定刃100は、幅方向Cに延びる板状に形成されている。固定刃100は、筐体20内に備えられる支持部(不図示)によって所定の手段で固定される。また、固定刃100は、第二刃先110と、固定刃裏スキ面120と、を備える。
【0029】
第二刃先110は、進行方向Bにおける離反側B1に設けられた固定刃100の刃先である。固定刃裏スキ面120は、搬送方向Aにおける搬送先側A1に設けられた平面であり、固定刃100と可動刃200とによりライナーレスラベルLを切断するときに、搬送方向Aにおいて可動刃200と対向する面である。
【0030】
図2及び図3に示すように、可動刃200は、上カバー21内において、サーマルヘッド31と排出口23との間であって、ライナーレスラベルLの表面である印刷面L1側に配置されている。可動刃200は、幅方向Cに延びる板状に形成されている。また、可動刃200は、筐体20内に備えられる支持部(不図示)によって所定の手段で、固定される。さらに可動刃200は、図示しない移動機構によって進行方向Bにおいて往復移動する。可動刃200は、図3に示すように、第一刃先210と、可動刃裏スキ面220と、糊溜まり溝300(溝)と、を備える。
【0031】
移動機構(不図示)は、可動刃200を支持し、可動刃200を第一位置P1と第二位置P2との間を往復移動させる。第一位置P1は、進行方向Bにおいて、可動刃200を固定刃100から最も遠い位置まで離反側B1に離反した場合の可動刃200の第一刃先210の位置である。第二位置P2は、進行方向Bにおいて、可動刃200を切断側B2に移動させた場合の、可動刃200の第一刃先210の位置である。カッターユニット4は、可動刃200の第一刃先210が第二位置P2に位置する時、搬送方向Aから見て固定刃100と可動刃200とは重なる(図5参照)。進行方向Bにおいて、第二位置P2にある可動刃200の第一刃先210と固定刃100の第二刃先110とに挟まれた可動刃200の可動刃裏スキ面220上の領域を「領域T」とする。
【0032】
第一刃先210は、可動刃200において、ライナーレスラベルLへ切れ目を入れる刃先ある。第一刃先210は、進行方向Bにおいて、可動刃200の切断側B2に設けられている。カッターユニット4は、図示しない移動機構によって可動刃200を第二位置P2側に移動させ、固定刃100へ重ね合わせつつ摺動させることで、第一刃先210と第二刃先110との間でライナーレスラベルLを切断する。
【0033】
さらに、図3に示すように、可動刃200の第一刃先210は、幅方向Cの両端部から中央部211に向かうに従い、進行方向Bにおける離反側(第一方向側)B1に延びるV字状に形成されている。可動刃200の第一刃先210における幅方向Cの中央部211には、第一刃先210に対して離反側(第一方向側)B1に窪む凹部212が形成されている。凹部212の底部は、カッターユニット4によるライナーレスラベルLの切断時において、ライナーレスラベルLに接触しないように構成されている。これにより、カッターユニット4によりライナーレスラベルLを切断した際、ライナーレスラベルLのうち凹部212と向かい合う部分に切断残りが形成される(いわゆる、パーシャルカット)。なお、本実施形態では、凹部212が1つ形成されることで、切断残りが1ヵ所形成される(一点残し)構成について説明するが、この構成に限られない。例えば、凹部212を複数設けることで、切断残りを複数ヵ所形成してもよい(複数残し)。なお、凹部212は、必須の構成ではない。
【0034】
可動刃裏スキ面220は、搬送方向Aにおいて、可動刃200の搬送元側A2に備えられ、固定刃100と対向する面である。また、可動刃裏スキ面220は、一部に摺動面230を備える。ここで、可動刃裏スキ面220上にあって、第一刃先210の中央部211を通り、進行方向Bと水平な軸線を中心軸O2とする。さらに、幅方向Cにおいて、可動刃裏スキ面220の中心軸O2から第一端側C1の面を第一面221とする。また、可動刃裏スキ面220の中心軸O2から第二端側C2の面を第二面222とする。なお、中心軸O2は、必ずしも中央部211を通る軸線でなくてもよい。中心軸O2は、後述する第一面221の糊溜まり溝300と、第二面222の糊溜まり溝300と、が線対称となるような対称軸であればよい。
【0035】
摺動面230は、可動刃裏スキ面220のうち、搬送方向Aから見て領域T内と重なる部分である。
【0036】
糊溜まり溝300は、可動刃200の非可動刃裏スキ面側(不図示)に貫通していない周状の溝であり、可動刃裏スキ面220上に形成される。糊溜まり溝300は、可動刃裏スキ面220上に溝開口部310を有し、周縁にエッジ部320を形成する。なお、糊溜まり溝300の深さは、非可動刃裏スキ面側に貫通しない範囲で適宜設定可能である。また、糊溜まり溝300は、サーマルプリンタ1の寿命となるまでに後述する糊塊部SAを溜められる程度の大きさであることが望ましい。
【0037】
エッジ部320は、図3に示すように、糊溜まり溝300の周縁となる部分である。エッジ部320は、糊止めエッジ部321と、糊そぎエッジ部322と、を備える。
【0038】
糊止めエッジ部321は、進行方向Bに沿って形成された糊溜まり溝300のエッジである。糊止めエッジ部321は、進行方向Bに平行方向に延びるエッジと、進行方向Bに平行ではないが進行方向Bと交差角度が約45度以下で交差する方向に延びるエッジと、を含む。糊止めエッジ部321は、さらに、第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、を有する。
【0039】
第一糊止めエッジ部321aは、可動刃200の両端部側が溝開口部310となるエッジであり、後述する糊塊部SAが中心軸O2側へ移動するのを制止する。
【0040】
第二糊止めエッジ部321bは、中心軸O2側が溝開口部310となるエッジであり、幅方向Cにおいて糊塊部SAが中心軸O2から可動刃200の両端部側へ移動するのを制止する。
【0041】
第一糊止めエッジ部321aは、中心軸O2から可動刃200の第一端側C1の第一面221上に備えられる。第一糊止めエッジ部321aは、摺動面230上に形成されることで、後述するサーマルプリンタ1のカッターユニット4の作用により、糊塊部SAが中心軸O2側へ移動するのを制止することができる。なお、第一糊止めエッジ部321aは、摺動面230上へ少なくとも1つ以上備えられていればよい。また、糊止めエッジ部321は、刃先の形状や糊塊部SAの移動場所に応じて適宜設定できる。また、糊止めエッジ部321は、糊溜まり溝300に複数あってもよい。
【0042】
糊そぎエッジ部322は、進行方向Bと交差し、糊溜まり溝300に形成されるエッジである。糊そぎエッジ部322は、幅方向Cに平行方向に延びるエッジと、幅方向Cに平行ではないが幅方向Cと交差角度が約45度以下で交差する方向に延びるエッジと、を含む。糊そぎエッジ部322は、さらに、第一糊そぎエッジ部322aと、第二糊そぎエッジ部322bと、を有する。
【0043】
第一糊そぎエッジ部322aは、進行方向Bにおいて切断側B2が溝開口部310となるエッジであり、可動刃200が第二位置P2から第一位置P1へ移動した場合に、可動刃200へ固着した糊Sをそぎ落とす機能を有する。
【0044】
第二糊そぎエッジ部322bは、進行方向Bにおいて離反側B1が溝開口部310となるエッジであり、可動刃200が第一位置P1から第二位置P2へ移動した場合に、可動刃200へ固着した糊Sをそぎ落とす機能を有する。第一面221上において、少なくとも1つ以上第一糊そぎエッジ部322aが摺動面230に設けられている。なお、糊そぎエッジ部322は、糊溜まり溝300に複数あってもよい。
【0045】
糊溜まり溝300は、第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、第一糊そぎエッジ部322aと、第二糊そぎエッジ部322bと、を1つずつ備える。第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、第一糊そぎエッジ部322aと、第二糊そぎエッジ部322bとは、互いに連結する。糊溜まり溝300は、第一面221上に略同じ大きさで3つ備えられ、以降の説明において、それぞれ第一糊溜まり溝300a、第二糊溜まり溝300b、及び第三糊溜まり溝300cと区別する。なお、中心軸O2から第二面222上に形成される糊溜まり溝300は、中心軸O2おいて、第一面221上に形成される糊溜まり溝300と線対称に配置されているため、説明を省略する。
【0046】
第一面221上において、第一糊溜まり溝300aは、中心軸O2側に形成される。第三糊溜まり溝300cは可動刃200の第一面221の第一端側C1に形成される。第二糊溜まり溝300bは、第一糊溜まり溝300aと第三糊溜まり溝300cとの間に形成される。糊溜まり溝300は、第一面221において、幅方向Cに均等に配列される。なお、第一糊溜まり溝300a、第二糊溜まり溝300b、及び第三糊溜まり溝300cは、糊溜まり溝300の個数や大きさは特に限定されず、サーマルプリンタ1の種類や可動刃200の大きさに応じて適宜選定される。
【0047】
[ライナーレスラベルL]
ライナーレスラベルLは、図2に示すように、サーマルプリンタ1の印刷に用いられる記録紙である。ライナーレスラベルLは、表面が印刷面L1を構成し、切断側B2の裏面が糊Sで塗布された粘着面L2を構成する。印刷面L1は、剥離層(例えば、シリコンコート等)により覆われている。ライナーレスラベルLは、進行方向Bにおいて、印刷面L1が離反側B1を向き、粘着面L2が切断側B2を向いた状態で、筒状の芯材R1に巻き回されることで、ロール部Rを構成している。なお、ロール部Rは、芯材R1を有しない構成であってもよい。ライナーレスラベルLは、先端部LAが搬送先側A1へ引き出され、サーマルヘッド31とプラテンローラ30との間に挿通される。ロール部Rは、筐体20内の搬送元側A2に位置しており、上カバー21が開位置にあるとき、筐体20の上端開口部20aを通じて出し入れする。
【0048】
糊Sは、カッターユニット4の可動刃200の往復運動によって、ライナーレスラベルLの粘着面L2に塗布された糊Sが離反し、カッターユニット4に固着することで、糊塊部SAを形成する。
【0049】
糊塊部SAは、図4に示すように、カッターユニット4の可動刃200の往復運動により、糊Sがカッターユニット4へ固着することで形成される。まず、図4(a)において、まず、可動刃200が、進行方向Bに沿って、第一位置P1から第二位置P2まで移動する。すると、可動刃200は、固定刃100との間のライナーレスラベルLに切れ目を入れるとともに、ライナーレスラベルLの粘着面L2の糊Sを移動させ、ライナーレスラベルLから離反させる。ライナーレスラベルLから離反した糊Sは、可動刃200及び固定刃100に固着し、糊塊部SAを形成する。次に、図4(b)において、可動刃200は、進行方向Bに沿って、第二位置P2から第一位置P1まで移動し、第一位置P1及び第二位置P2を往復(第一往復)する。この時形成された糊塊部SAは、可動刃200によって固定刃100の第二刃先110付近へ移動する。次に、図4(c)において、可動刃200は、再度進行方向Bに沿って、第一位置P1から第二位置P2まで移動する。すると、固定刃100の第二刃先110付近に固着した糊塊部SAが、接近した可動刃200に貼りつき移動する。次に、図4(d)において、可動刃200は、進行方向Bに沿って、第二位置P2から第一位置P1まで移動し、第一位置P1及び第二位置P2を往復(第二往復)する。可動刃200に貼りついた糊塊部SAは、可動刃200と固定刃100とが摺動することで可動刃200へ押し込まれる。糊塊部SAは、上記の可動刃200による第一往復及び第二往復の一連の動作が所定回数行われることにより、変形したり、複数個形成されたりしながら、徐々に可動刃200へ付着され、溜められる。
【0050】
[作用]
次に、上述したサーマルプリンタ1のカッターユニット4の作用を図5及び図6を説明する。
【0051】
図5は、サーマルプリンタ1の可動刃200が固定刃100に接近し、第二位置P2に達したときを示す図である。上述したように、糊塊部SAは、図4において、可動刃200による第一往復及び第二往復の一連の動作が複数回行われることにより可動刃200へ固着する。可動刃200に固着した糊塊部SAは、可動刃200が固定刃100に接近し、第二位置P2へ向かう際に、第一糊溜まり溝300a、第二糊溜まり溝300b、及び第三糊溜まり溝300cが有する各第一糊そぎエッジ部322aまたは各第二糊そぎエッジ部322bによって、可動刃200からそぎ落とされ、各糊溜まり溝300へ落とし込まれる。この時、糊塊部SAは、切断側B2及び第一刃先210と略平行となるように形成された糊そぎエッジ部322に沿う方向に摩擦力が加えられる。糊塊部SAは、切断側B2に力が加えられるとともに、糊そぎエッジ部322に沿って、糊溜まり溝300内において中心軸O2側へ移動する力が加えられる。各第一糊そぎエッジ部322aは、糊溜まり溝300内に落とし込まれた糊塊部SAの進行方向Bの移動を制止する。また、各第一糊止めエッジ部321aは、中心軸O2側へ移動しようとする糊塊部SAを制止する。糊塊部SAは、図5に示すように、糊溜まり溝300内において、糊溜まり溝300の切断側B2であって中心軸O2側に溜まる。
【0052】
図6はサーマルプリンタ1の可動刃200が固定刃100から離反し、第一位置P1に達したときを示す図である。図6において、糊溜まり溝300へ落とし込まれた糊塊部SAは、可動刃200が固定刃100から離反し第一位置P1へ向かう際に、固定刃100の固定刃裏スキ面120と摺動する。この時、糊塊部SAは、離反側B1及び第一刃先210と略平行となるように形成された第二糊そぎエッジ部322bに沿う方向に摩擦力が加えられる。糊塊部SAは、離反側B1に力が加えられるとともに、第二糊そぎエッジ部322bに沿って、糊溜まり溝300内において第一端側C1へ移動する力が加えられる。各第二糊そぎエッジ部322bは、糊溜まり溝300内に落とし込まれた糊塊部SAの進行方向Bの移動を制止する。また、各第二糊止めエッジ部321bは、可動刃200の第一端側C1へ移動しようとする糊塊部SAを制止する。
【0053】
本実施形態では、図5に示すように、糊塊部SAは、そぎ落とされる際に糊溜まり溝300内において、搬送方向Aの搬送先側A1に押し込まれる。そのため、図6に示すように、可動刃200が固定刃100から離反し、第一位置P1に達した際には、糊溜まり溝300へ落とし込まれた糊塊部SAは、離反側B1及び第一端側C1に力が加えられても、図5に示す位置から移動しない。ただし、糊塊部SAの位置は特に限定されない。糊塊部SAは、力が加えられた方向へ移動していてもよい。
【0054】
本実施形態では、摺動面230に備えられた第一糊溜まり溝300a、第二糊溜まり溝300b及び第三糊溜まり溝300cが、それぞれ第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bとを有するため、中心軸O2側または第一端側C1に糊塊部SAが移動するのを制止して、糊溜まり溝300に溜めることができる。
【0055】
また、本実施形態では、各第一糊そぎエッジ部322aまたは各第二糊そぎエッジ部322bが、固定刃100及び可動刃200に固着した糊塊部SAを糊溜まり溝300へそぎ落とすため、糊塊部SAの付着の影響によるカッターユニット4の切断不良を解消し、刃の摺動負荷を減少することができる。
【0056】
また、本実施形態では、糊塊部SAを均等に溜まり溝へ長期に溜めることができるため、糊塊部SAの溜まり具合を確認することなく、メンテナンス作業を削減することができる。
【0057】
また、本実施形態では、糊塊部SAを清掃する必要がなく、カッターユニットの刃等によって手を切創するリスクを無くすことができる。
【0058】
上述のように、本実施形態に係るサーマルプリンタ1は、刃に設けられた溝に糊を効率的に溜め、プリンタの寿命まで糊を清掃する作業を減らすことができる。
【0059】
なお、上記の一実施形態により本発明が限定されるものではない。また、一実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、一実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0061】
(変形例)
本実施形態の可動刃200の糊溜まり溝300の変形例を図7図11を参照して説明する。なお、図7図8図9及び図10に示す糊溜まり溝300の変形例においては、第二面222上に形成される糊溜まり溝300は、中心軸O2おいて、第一面221と線対称となるため、説明を省略する。
【0062】
(変形例1)
図7に示すように、可動刃200Aの糊溜まり溝300Aは、中心軸O2から第一面221上に、略同じ大きさに複数個備えられ、幅方向Cへ均等に配置される。糊溜まり溝300Aは、本実施形態と同様に、第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、さらに、進行方向Bと直交する幅方向Cに沿って形成される第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bと、を連結し、溝開口部310Aを形成する。各第二糊そぎエッジ部322bは、摺動面230上に備えられる。各第二糊そぎエッジ部322bは、各糊溜まり溝300Aの下端となり、幅方向Cに沿って、一直線上に配置される。第一糊そぎエッジ部322aは、各糊溜まり溝300Aの上端となり、幅方向Cに、一直線上に配置される。
【0063】
図4に示すように、可動刃200Aが往復運動すると、糊塊部SAは、摺動面230上に備えられた第二糊そぎエッジ部322bによって、可動刃200Aからそぎ落とされ、糊溜まり溝300Aへ落とし込まれる。第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、進行方向Bに対して直交する幅方向Cに沿って形成されるため、糊塊部SAは、摩擦によって離反側B1にのみに力が加えられる。第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、糊溜まり溝300A内に落とし込まれた糊塊部SAの進行方向Bの移動を制止することができる。この場合においても、各糊溜まり溝300Aは、糊塊部SAをそれぞれの糊溜まり溝300Aへ均等に溜められることができる。
【0064】
(変形例2)
次に、図8に示すように、可動刃200Bの糊溜まり溝300Bは、中心軸O2から第一面221上に、大きさを変え複数個備えられ、幅方向Cへ均等に配置される。糊溜まり溝300Bは、本実施形態と同様に、第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、第一糊そぎエッジ部322aと、第二糊そぎエッジ部322bと、を連結し、溝開口部310Bを形成する。各第一糊止めエッジ部321a及び各第二糊そぎエッジ部322bは、摺動面230上に備えられる。各第二糊そぎエッジ部322bは、各糊溜まり溝300Bの下端となり、可動刃200Bの刃先210と略平行に配置される。第一糊そぎエッジ部322aは、各糊溜まり溝300Bの上端となり、幅方向Cに沿って一直線上に配置される。
【0065】
図4に示すように、可動刃200Bが往復運動すると、糊塊部SAは、摺動面230上に備えられた第二糊そぎエッジ部322bによって、可動刃200Bからそぎ落とされ、糊溜まり溝300Bへ落とし込まれる。第二糊そぎエッジ部322bは、可動刃200Bの第一刃先210と略平行となるように形成されるため、糊塊部SAは、切断側B2に摩擦による力が加えられるとともに、糊溜まり溝300B内において第二糊そぎエッジ部322bに沿って、中心軸O2側へ移動する力が加えられる。各第一糊そぎエッジ部322aは、糊溜まり溝300B内に落とし込まれた糊塊部SAの進行方向Bの移動を制止する。また、各第一糊止めエッジ部321aは、中心軸O2側へ移動しようとする糊塊部SAを制止する。この場合においても、各糊溜まり溝300Bは、糊塊部SAをそれぞれの糊溜まり溝300Bへ均等に溜められることができる。
【0066】
(変形例3)
次に、図9に示すように、可動刃200Cは、中心軸O2から第一面221上に、大きさの異なる糊溜まり溝300Ca及び糊溜まり溝300Cbを備え、幅方向Cへ配置される。中心軸O2側に配置される糊溜まり溝300Caは、第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、第一糊そぎエッジ部322aと、第二糊そぎエッジ部322bと、を連結し、溝開口部310Cを形成する。糊溜まり溝300Caの第一糊そぎエッジ部322aは、幅方向Cにおいて、第一刃先210に沿って第一面221の中央付近まで延在し、途中に屈曲部Fを備える。第二糊そぎエッジ部322bは、前述の第一糊そぎエッジ部322aに沿う形で形成される。糊溜まり溝300Caよりも可動刃200Cの第一面221に複数形成される糊溜まり溝300Cbは、各第一糊止めエッジ部321aが糊溜まり溝300Cbの切断側B2に、可動刃200Cの刃先と略平行に一直線上に配置される。また、各第二糊そぎエッジ部322bは糊溜まり溝300Cbの離反側B1に、幅方向Cと平行に一直線上に配置される。また、第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、刃先の角度に対して幅方向Cにおいて対称となるような角度に形成される。糊溜まり溝300Ca及び糊溜まり溝300Cbの各第一糊止めエッジ部321aは、摺動面230上に備えられる。糊溜まり溝300Ca及び糊溜まり溝300Cbの各第一糊そぎエッジ部322aについても、すくなくとも一部が摺動面230上に備えられる。さらに、進行方向Bにおいて、隣り合う糊溜まり溝300Caまたは糊溜まり溝300Cbは、可動刃200Cが往復運動する場合に、同一直線上に配置される。また、進行方向Bにそって、ライナーレスラベルLの幅で区切られた摺動面230上の一部である領域230Bには、摺動面230上で幅方向Cの全域にわたって糊溜まり溝300Ca内または糊溜まり溝300Cbが形成される。
【0067】
図4に示すように、可動刃200Cが往復運動すると、糊塊部SAは、摺動面230上に備えられた第二糊そぎエッジ部322bによって、可動刃200Cからそぎ落とされ、糊溜まり溝300Caまたは糊溜まり溝300Cbへ落とし込まれる。また、各第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、糊溜まり溝300Ca内または糊溜まり溝300Cb内に落とし込まれた糊塊部SAの進行方向Bの移動を制止する。さらに、各第一糊止めエッジ部321aは、中心軸O2側へ移動しようとする糊塊部SAを制止する。この場合においても、図9に示すように、糊溜まり溝300Caまたは糊溜まり溝300Cbは、均等に糊塊部SAを溜めることができる。また、さらに、進行方向Bにおいて、隣り合う糊溜まり溝300Caまたは糊溜まり溝300Cbは、可動刃200Cが往復運動する場合に、領域230Bに、糊溜まり溝300Ca内または糊溜まり溝300Cbが形成されるため、糊塊部SAをカッターユニット4から効率よくそぎ落とすことができる。
【0068】
(変形例4)
次に、図10に示すように、可動刃200Dの糊溜まり溝300Dは、中心軸O2から第一面221上に1つ備えられる。糊溜まり溝300Dは、本実施形態と同様に、第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、第一糊そぎエッジ部322aと、第二糊そぎエッジ部322bと、を連結し、溝開口部310Dを形成する。各第一糊止めエッジ部321a及び各第二糊止めエッジ部321bは、摺動面230上に備えられる。第一糊止めエッジ部321a及び第二糊止めエッジ部321bは、糊溜まり溝300Dの摺動面230上に、少なくとも3つ設けられる。各第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、可動刃200Dの第一刃先210と略平行になるように備えられる。
【0069】
図4に示すように、可動刃200Dが往復運動すると、糊塊部SAは、第二糊そぎエッジ部322bによって、可動刃200Dからそぎ落とされ、糊溜まり溝300Dへ落とし込まれる。第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、可動刃200Dの第一刃先210と略平行になるように形成されるため、糊塊部SAは、切断側B2に摩擦による力が加えられるとともに、第二そぎエッジ部322bに沿って、糊溜まり溝300D内においても中心軸O2側へ移動する力が加えられる。各第一糊そぎエッジ部322aは、糊溜まり溝300D内に落とし込まれた糊塊部SAの進行方向Bの移動を制止する。また、各第一糊止めエッジ部321aには、中心軸O2側へ移動しようとする糊塊部SAを制止する。この場合においても、各糊溜まり溝300Dは、糊塊部SAをそれぞれの糊溜まり溝300Dへ均等に溜められることができる。
【0070】
(変形例5)
次に、図11に示すように、可動刃200Eの糊溜まり溝300Eは、可動刃裏スキ面220上に1つ備える。糊溜まり溝300Eは、本実施形態と同様に、第一糊止めエッジ部321aと、第二糊止めエッジ部321bと、第一糊そぎエッジ部322aと、第二糊そぎエッジ部322bと、を連結し、溝開口部310Eを形成する。また、進行方向Bにそって、ライナーレスラベルLの幅で区切られ、進行方向Bの切断側B2に備えられた摺動面230上の一部の領域を領域230Bとする。糊溜まり溝300Eは、領域230Bに重なり、摺動面230上の幅方向Cの全域にわたって形成される。第一糊そぎエッジ部322aは、糊溜まり溝300Eの上端となり、幅方向Cに沿って、一直線上に配置される。第二糊そぎエッジ部322bは、糊溜まり溝300Eの下端であり、幅方向Cに沿って、一直線上に配置される。第二糊そぎエッジ部322bは、摺動面230上の領域230Bに重なる。第一糊止めエッジ部321a及び第二糊止めエッジ部321bは、摺動面230上に備えなくてもよい。
【0071】
図4に示すように、可動刃200Eが往復運動すると、糊塊部SAは、第二糊そぎエッジ部322bによって、可動刃200Eからそぎ落とされ、糊溜まり溝300Eへ落とし込まれる。第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、進行方向Bに対して直交する幅方向Cに沿って形成されるため、糊塊部SAは、離反側B1にのみ摩擦によって力が加えられる。第一糊そぎエッジ部322a及び第二糊そぎエッジ部322bは、糊溜まり溝300E内に落とし込まれた糊塊部SAの進行方向Bの移動を制止することができる。また、領域230Bに、糊溜まり溝300Eが形成されるため、糊塊部SAをカッターユニット4から効率よくそぎ落とすことができる。この場合においても、糊溜まり溝300Eは、糊塊部SAを糊溜まり溝300E内で均等に溜められることができる。
【0072】
いずれの上記形態においても、本発明に係るサーマルプリンタによれば、刃に設けられた溝に糊を効率的に溜め、プリンタの寿命まで糊を清掃する作業を減らすなど、メンテナンスの負荷を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、刃に設けられた溝に糊を効率的に溜め、プリンタの寿命まで糊を清掃する作業を減らすなど、メンテナンスの負荷を軽減することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 サーマルプリンタ
2 ケーシング
3 印刷ユニット
30 プラテンローラ
31 サーマルヘッド
4 カッターユニット
100 固定刃
110 第二刃先
120 固定刃裏スキ面
200 可動刃
210 第一刃先
220 可動刃裏スキ面
230 摺動面
230B 領域
300 糊溜まり溝(溝)
321 糊止めエッジ部
322 糊そぎエッジ部
A 搬送方向
B 進行方向
C 幅方向
L ライナーレスラベル
L1 印刷面
L2 粘着面(裏面)
O1 軸線
O2 中心軸
P1 第一位置
P2 第二位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11