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特開2023-119114バッチャープラントおよびバッチャープラントのセメントミルク製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119114
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】バッチャープラントおよびバッチャープラントのセメントミルク製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 9/02 20060101AFI20230821BHJP
   B28C 7/16 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B28C9/02
B28C7/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021779
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】関根 延明
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA07
4G056CD36
4G056CE02
4G056DA05
(57)【要約】
【課題】従来、アジテータ内の残存セメントミルク量が不明であったため、ミキサーの容積単位でセメントミルクを製造しなければならず、無駄にセメントミルクを製造し、また、セメントミルクが足りないときは追加でセメントミルクを製造するので、作業効率が悪いという課題がある。
【解決手段】ミキサー3と、セメントミルクを一時貯留するアジテータ4とをフレーム2に取付け、セメントサイロ5と貯水タンク6とをそれぞれ設け、ミキサー3は、ミキサー3の混練用樋10をプラントフレーム2内に上下動自在に吊設し、かつ、混練用樋10には重量計測器11を取付け、ミキサー3内のセメントミルクを排出する排出部26は、アジテータ4に接続すると共に、排出部26にはミキサー排出バルブ27を設け、アジテータ4の所定位置には、アジテータ4内のセメントミルク量を常時検出しうるセメントミルク検出器30を設けたバッチャープラント。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、ミキサー3で製造したセメントミルクを一時貯留するアジテータ4とをフレーム2に取付け、ミキサー3の近傍に、セメントを貯留するセメントサイロ5とセメントに加える水を貯留する貯水タンク6とをそれぞれ設け、前記ミキサー3は、ミキサー3の混練用樋10をプラントフレーム2内に上下動自在に吊設し、かつ、混練用樋10には重量計測器11を取付け、ミキサー3の下部所定位置に設けたミキサー3内のセメントミルクを排出する排出部26は、アジテータ4に接続すると共に、排出部26にはミキサー排出バルブ27を設け、アジテータ4の所定位置には、アジテータ4内のセメントミルク量を常時検出しうるセメントミルク検出器30を設けたバッチャープラント。
【請求項2】
ミキサー3に水とセメントを供給して所定時間混練してセメントミルクを製造し、ミキサー3で製造したセメントミルクはミキサー3の下方に設けたアジテータ4に排出供給し、アジテータ4にはアジテータ4内のセメントミルク量を常時検出するセメントミルク検出器30を設け、重量計測器11により計測したミキサー3内のミキサー残量とセメントミルク検出器30により計測したアジテータ4内のアジテータ残量とを比較しながらアジテータ4の排出制御を行うバッチャープラントのセメントミルク製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチャープラントおよびバッチャープラントのセメントミルク製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサーと、ミキサーで製造したセメントミルクを一時貯留するアジテータとを有し、アジテータの所定位置には、アジテータ内のセメントミルクが一定量貯留されたことを検出するセメントミルク検出器を設けたバッチャープラントの構成は、公知である(特許文献1)。
公知のバッチャープラントのミキサーとアジテータとの容積の関係は、ミキサーで混練したセメントミルクをアジテータに入れて一時貯留するため、ミキサーで混練したセメントミルクの全量がアジテータに受け入れられるように、アジテータの容積はミキサーの容積より大きく形成し、ミキサーの容積の全量分のセメントミルクを投入できるほどの空き容積がアジテータ内に余裕ができたことをセメントミルク検出器が検出すると、ミキサー内のセメントミルクをアジテータに排出供給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5ー86613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例では、ミキサーの容積以上の空き容積分の余裕がアジテータ内にできると、ミキサー内のセメントミルクをアジテータに排出供給していので、アジテータ内の一定水位のセメントミルクの検出で足り、リアルタイム(常時)でセメントミルクの水位を検出する必要はなく、リアルタイム(常時)でのセメントミルクの水位の検出はしていなかった。
そのため、アジテータ内のセメントミルクの現在量が不明であり、バッチャープラントが製造したセメントミルクを、地盤改良を行うアースオーガーに供給する際に、最適量のセメントミルクの製造ができず、無駄にセメントミルクを製造することになり、また、セメントミルクが足りないときには追加でセメントミルクを製造するので、その間杭打ちや地盤改良の作業ができず、作業効率が悪かった。
すなわち、アジテータ内の残存セメントミルク量が不明であったため、ミキサーの容積単位でセメントミルクを製造しなければならず、ミキサーの容積分より少量のセメントミルクのみが必要なときでも、ミキサーの容積単位でセメントミルクを製造し、残りのセメントミルクを廃棄することになって、セメントミルクが無駄になるという課題があった。
また、アジテータ内にミキサーの容積と同量の空間ができるまで、ミキサーでセメントミルクを製造することはできず、また、予め製造しておくこともできず、その分、セメントミルクの製造に時間を要し、作業効率が悪かった。
本発明は、常時アジテータ内の残存セメントミルク量を検出することができることにより、セメントミルクの製造効率を向上させ、セメントミルクの無駄な廃棄を防止し、セメントミルクの製造作業時間を短くし、製造作業全般の作業効率を向上させことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、ミキサー3で製造したセメントミルクを一時貯留するアジテータ4とをフレーム2に取付け、ミキサー3の近傍に、セメントを貯留するセメントサイロ5とセメントに加える水を貯留する貯水タンク6とをそれぞれ設け、前記ミキサー3は、ミキサー3の混練用樋10をプラントフレーム2内に上下動自在に吊設し、かつ、混練用樋10には重量計測器11を取付け、ミキサー3の下部所定位置に設けたミキサー3内のセメントミルクを排出する排出部26は、アジテータ4に接続すると共に、排出部26にはミキサー排出バルブ27を設け、アジテータ4の所定位置には、アジテータ4内のセメントミルク量を常時検出しうるセメントミルク検出器30を設けたバッチャープラントとしたものである。
請求項2の発明は、ミキサー3に水とセメントを供給して所定時間混練してセメントミルクを製造し、ミキサー3で製造したセメントミルクはミキサー3の下方に設けたアジテータ4に排出供給し、アジテータ4にはアジテータ4内のセメントミルク量を常時検出するセメントミルク検出器30を設け、重量計測器11により計測したミキサー3内のミキサー残量とセメントミルク検出器30により計測したアジテータ4内のアジテータ残量とを比較しながらアジテータ4の排出制御を行うバッチャープラントのセメントミルク製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1および請求項2の発明では、アジテータ4の所定位置には、アジテータ4内のセメントミルク量を常時検出しうるセメントミルク検出器30を設けているので、セメントミルク検出器30により常時アジテータ4内の残存セメントミルク量を把握することができ、これにより、残存セメントミルク量を考慮してミキサー3の容積分より少量であっても必要量のセメントミルクのみを製造することができ、廃棄される残存セメントミルクの発生を防止でき、生産効率を向上させることができ、また、常時アジテータ4内の残存セメントミルク量に応じてセメントミルクをいつでもミキサー3で製造できるので、製造作業時間を短くでき、作業効率を向上させらることができる。
すなわち、ミキサー3の残量とアジテータ4の残量を比較しながらアジテータ4の排出制御ができるため、ミキサー3の練り上がり量を考慮しなくてもアジテータ4に貯めておけるセメントミルクの利用を増量する事ができ効率の良いバッチ運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】バッチャープラントとセメントサイロと貯水タンクの配置関係概略図。
図2】ミキサーの縦断面図。
図3】同平面図。
図4】バッチャープラントの正面図。
図5】同側面図。
図6】アジテータの正面図。
図7】バッチャープラントの作動状態のフロー図。
図8】ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図により説明すると、1はセメントミルクを製造する可搬式のバッチャープラントであり、バッチャープラント1の構成は任意であり、以下、その一例について説明する。
バッチャープラント1のプラントフレーム2には、少なくとも、水とセメントとを撹拌してセメントミルクを製造するミキサー3と、このミキサー3で製造したセメントミルクを固まらないようにかき回しながら一時貯留するアジテータ4等を備えている(図1)。
バッチャープラント1の近傍にはミキサー3に供給するセメントを貯留するセメントサイロ5と、セメントに加える水を貯留する貯水タンク6とを設けている。
前記貯水タンク6の構成は任意であり、貯水タンク6は水を貯留できればよく、貯水タンク6は駆動源7により送水ホース6Aを介してバッチャープラント1(ミキサー3)に水を供給する構成としている(図1)。
【0009】
前記セメントサイロ5の構成は任意であり、セメントサイロ5はセメントを貯留できればよく、セメントサイロ5は駆動源7により搬送ホース8を介してバッチャープラント1(ミキサー3)にセメントを送れるように構成する(図1)。
前記ミキサー3は、混練用樋10をプラントフレーム2内に上下動自在に吊設し、混練用樋10には重量計測器(ロードセル)11を取付ける(図1)。重量計測器11はミキサー3の重量を正確に計測しうるように、ミキサー3の重量バランスを考慮して複数箇所に設置して計測する構成としている。
混練用樋10内には縦軸回転の撹拌翼12を設ける(図2)。撹拌翼12は撹拌翼12の撹拌軸13の上部を混練用樋10の天板14に軸装し、天板14より上方に突出する撹拌軸13にはプーリーまたは歯車で形成した回転入力部材15を設ける。16はミキサー3のセメントミルクを排出する排出部である。
【0010】
ミキサー3の天板14には、セメントサイロ5の搬送ホース8により搬送されたセメントを投入する開口部24を設け、開口部24より所定間隔をおいた上方のフレーム2にはホース支持部20を設け、ホース支持部20には搬送ホース8の先側所定部分を取付ける(図2)。搬送ホース8の先端(下端)はホース支持部20より下方に垂らし、搬送ホース8の先端は開口部24に挿入する。
このホース支持部20と開口部24との間の搬送ホース8自体を投入筒22とし、少なくとも、投入筒22は可撓性部材により形成し、かつ、投入筒22の下端は自由端とする。
そのため、投入筒22の重量はホース支持部20(フレーム2)で支持され、ミキサー3の重量に影響せず、ミキサー3の計量精度を低下させない。
ミキサー3の下部所定位置には、ミキサー3内のセメントミルクを排出する前記排出部16を設け、排出部16の下部はアジテータ4に接続する。排出部16にはミキサー排出バルブ27を設け、ミキサー排出バルブ27を開閉させて、ミキサー3内のセメントミルクをアジテータ4に排出供給する。
【0011】
アジテータ4内にはセメントミルクを撹拌する撹拌翼17を設け、撹拌翼17はアジテータ用モーター4Aにより駆動回転させる。
しかして、バッチャープラント1の、ミキサー3とアジテータ4との関係は、ミキサー3で混練したセメントミルクをアジテータ4に入れて一時貯留するため、ミキサー3で混練したセメントミルクの全量をアジテータ4が受け入れられるように、アジテータ4の容積はミキサー3の容積より大きく形成していた。
しかしながら、従来のバッチャープラント1では、ミキサー3で混練したセメントミルクをアジテータ4が受け入れらることができればよいので、例えば、アジテータ4内のセメントミルクの量がセメントミルク検出器30により、ミキサー3の容積と同じであるか否かを検出する構成であった。
そのため、従来のバッチャープラントでは、アジテータ4内の一定水位のセメントミルクの検出で足り、リアルタイム(常時)にセメントミルクの水位は検出せず、アジテータ4内のセメントミルクの現在量が不明であった。
【0012】
これにより、バッチャープラント1が製造したセメントミルクを、地盤改良を行うアースオーガー(図示省略)に供給する際に、最適量のセメントミルクを製造できず、無駄なセメントミルクを製造してしまった。
すなわち、アースオーガーの施工現場では、地盤箇所によりセメントミルクの必要量は変化するが、アジテータ4内のセメントミルク量の検出量は常時一定量であるから、余分に製造することになり、一部のセメントミルクが無駄になる。
本発明ではバッチャープラント1に搭載されているアジテータ4のセメントミルク量(水位W)をセメントミルク検出器30により常時(リアルタイム)取得し、ミキサー3内残量を考慮しながらアジテータ4へミキサー3からセメントミルクの排出を行うことができる。
そのため、ミキサー3内のセメントミルク量が少量計量であっても、常にアジテータ4内を満量状態にすることができ、その結果、従来のように、アジテータ4内の容積の減少が、ミキサー3の容積と同じ容積となる以前でも、アジテータ4内のセメントミルク量に見合ったセメントミルクをミキサー3で製造でき、効率よくセメントミルクを生成することが可能となる。
【0013】
また、ミキサー3内のセメントミルク量は重量計測器11で常時計測でき、アジテータ4内のセメントミルク量はセメントミルク検出器30により計測できるので、バッチャープラント1から離れた箇所(遠隔地)でミキサー3およびアジテータ4のセメントミルク量(水位W)のリアルタイム確認が可能となる。
すなわち、アジテータ4内のセメントミルク量をセメントミルク検出器30によりリアルタイム(常時)で検出するので、アジテータ4内のミキサー3の容積相当分のセメントミルクがアースオーガーで消費される前であっても、アジテータ4内のセメントミルク量をリアルタイムで把握することで、アジテータ4内でミキサー3の容積相当分のセメントミルクの消費を待たずに、随時ミキサー3を稼働させてセメントミルクの混練作業を行うことができ、従来のミキサー3を稼働させるための待機時間を省略することができ、作業効率を向上させられる。
【0014】
また、このことは、アジテータ4内のセメントミルクの正確な貯留量(残量)を常時把握できるので、アースオーガーによる地盤改良に必要量とアジテータ4内のセメントミルクの貯留量(残量)とを対比して、ミキサー3で必要量のセメントミルクを製造すれば良く、無駄なセメントミルクの製造を回避でき、その結果、セメントミルクの製造コストを低くできる。
換言すると、ミキサー3のセメントミルクの練り上がり量に、左右されず、アジテータ4内のセメントミルクの練り溜め量を維持あるいは増加が可能となり、この点でも、セメントミルクの製造効率を向上させられる。
【0015】
さらに、施工現場の地盤改良地点の相違によって、配合を代えたセメントミルクを製造したいときでも、従来では、既に製造済みのセメントミルクを廃棄するしかないが、本発明では、アジテータ4内の残っているセメントミルク量とミキサー3内のセメントミルク量とを計測することで、場合によっては、バッチャープラント1に残存のセメントミルクに対して所望の混合割合となる量のセメントまたは/および水を供給して、所望の配合となるセメントミルクを製造することも可能となる。
例えば、施工現場のある地点の地盤改良では、アジテータ4のセメントミルクより濃いセメントミルクが必要なときには、セメント割合を多くミキサー3へ供給し、反対に、施工現場の他の地点の地盤改良では、アジテータ4のセメントミルクより薄いセメントミルクが必要なときには水割合を多くミキサー3へ供給し、このミキサー3のセメントミルクをアジテータ4に供給すればよく、アジテータ4内のセメントミルクを廃棄せずに、セメントと水の配合割合の相違するセメントミルクを製造することも可能になる。
【0016】
また、ミキサー3の重量計測器11の重量情報とアジテータ4のセメントミルク検出器30により検出したセメントミルク量とを、バッチャープラント1の操作盤32に設けた情報送信手段31により、施工現場のアースオーガー(図示省略)等のバッチャープラント1から離れた場所に常時送信可能に構成する。
そのため、バッチャープラント1に作業員を立ち会わせていなくても、バッチャープラント1を稼働させることができ、セメントミルク製造工程における人員の削減を実現できる。
セメントミルク検出器30の構成は任意であり、例えば、アジテータ4内のセメントミルクに接触せずに水位Wを常時検出可能な、超音波距離センサー等により構成する。
【0017】
また、セメントミルク検出器30が、アジテータ4の水位W(セメントミルク)がミキサー3内のセメントミルクと同量の体積が入る量まで下がったとき、ミキサー3のミキサー排出バルブ27を自動的に開き、セメントミルクをアジテータ4に排出する。
セメントミルク検出器30は、前記操作盤32内に設けた制御部(コントローラー(PLC))33に接続する。図8において、3Aはミキサー3のモーター、4Aはアジテータ4のモーター、6Bはミキサー3に水を供給する給水モーター、35は操作盤32の開始ボタン、36はバルブ開閉センサーである。
【0018】
(実施形態の作用)
<通常運転>
本発明は上記構成であり、杭打ちあるいは地盤改良の作業現場、あるいは、作業現場近傍にバッチャープラント1を運搬して設置し、バッチャープラント1の近傍にセメントサイロ5と貯水タンク6とを設置し、セメントサイロ5の搬送ホース8とバッチャープラント1のミキサー3とを接続し、貯水タンク6の給水ホースをプラントフレーム2の内部給水管に接続する。
ミキサー3の排出部16の開閉バルブを閉塞した状態で、操作盤32の自動開始ボタン35を操作してセメントサイロ5とバッチャープラント1の作動を開始すると、制御部33は貯水タンク6の給水ポンプ6Bに通電して1バッチ(1工程)あたり設定した水をミキサー3に供給し、ミキサー3の重量を重量計測器11により計測して実際にミキサー3に供給された水量を検出し、1バッチ(1工程)あたり設定した水量になると、給水ポンプ6Bへの通電を遮断する。
【0019】
次に、操作盤32に、実際にミキサー3に供給された所定水量に対するセメント量を数値入力し、セメント設定数値が制御部33に入力されると、制御部33はセメントサイロ5の駆動源7へ通電でして駆動を開始し、駆動源7によりセメントの供給が開始されると、実際のミキサー3に供給搬送されるセメントの重量を、重量計測器11によりミキサー3の重量の増加量を所定時間毎に計測し、所定量のセメントがミキサー3に供給されると、制御部33はセメントサイロ5の駆動源7への通電を遮断してセメントの供給を停止させる。
【0020】
次に、制御部33はバッチャープラント1のミキサー用モーター3Aへ通電して、ミキサー3を駆動して所定時間混練すると、セメントミルクとなり、制御部33はミキサー排出バルブ27を開き、セメントミルクをアジテータ4に排出して貯留する。
この場合、バッチャープラント1の、ミキサー3とアジテータ4との関係は、ミキサー3で混練した全てのセメントミルクをアジテータ4が受入られるように、アジテータ4の容積はミキサー3の容積より大きく形成し、ミキサー3の容積の数倍の容積でアジテータ4を形成する。
例えば、ミキサー3の容積が1000リットルとすると、アジテータ4の容積は4倍の4000リットルとしており、この場合、ミキサー3は前記セメントミルクの混練作業を4回反復して、アジテータ4内をセメントミルクで満たす。
製造したセメントミルクはアースオーガー等に送り、アースオーガー等で杭打ち作業あるいは地盤改良作業を行う。
【0021】
この場合、バッチャープラント1の、ミキサー3の容量とアジテータ4の容量との関係は、ミキサー3で混練したセメントミルクをアジテータ4が受入れて一時貯留するため、ミキサー3で混練したセメントミルクの全量をアジテータ4が受け入れられるように、アジテータ4の受け入れ容積はミキサー3の排出容積より大きく(多く)なければならない。
しかしながら、従来のバッチャープラント1では、ミキサー3で混練したセメントミルクをアジテータ4が受け入れらることができればよいので、例えば、アジテータ4内のセメントミルクの量がセメントミルク検出器セメントミルク検出器30により、ミキサー3の容積と同じであるか否かを検出する構成であった。
【0022】
そのため、従来のバッチャープラントでは、アジテータ4内の一定水位のセメントミルクの検出で足り、リアルタイムにセメントミルクの水位は検出できず、アジテータ4内のセメントミルクの現在量が不明であり、その結果、セメントミルク検出器30がミキサー3の容積と同量のアジテータ4の空き容積をセメントミルク検出器30が検出してから、ミキサー3で混練したセメントミルクをアジテータ4に排出供給することになり、ミキサー3でセメントミルクを混練している間ミキサー3からアジテータ4への排出供給できず、作業効率が悪かった。
すなわち、アジテータ4の空容積が3500リットルの場合、ミキサー3で1000リットルのセメントミルクを混練していると、ミキサー3で混練したセメントミルクはアジテータ4に排出できないので、アジテータ4の空容積が3000リットルになったことをセメントミルク検出器30が検出してから、ミキサー3での混練作業を開始することになり、この待機時間が作業効率を低くさせていた。
【0023】
本発明では、セメントミルク検出器30によりアジテータ4内のセメントミルク量を常時(リアルタイム)で計測できるので、アジテータ4内のセメントミルクの消費量を予測し、この予測時間に対応してミキサー3でセメントミルクの混練を開始することができ、セメントミルクの製造の作業効率を向上させることができる。
したがって、アジテータ4の空容積が3500リットルの場合でも、4000リットルから500リットルへのセメントミルクの消費時間に基づいて、消費時間を制御部33は予測し、この予測時間に基づいてミキサー3で1000リットルのセメントミルクを混練すればよく、ミキサー3での製造待機時間を短縮でき、作業効率を向上させることができる。
【0024】
<所望量のセメントミルク製造>
従来のバッチャープラントでは、アジテータ4内の一定水位のセメントミルクの検出しかできないので、アジテータ4内のセメントミルクの現在量(残量)が不明であった。
これにより、バッチャープラント1が製造したセメントミルクを、地盤改良を行うアースオーガー(図示省略)に供給する際に、最適量のセメントミルクを製造できず、無駄なセメントミルクを製造し、また、セメントミルクが足りないときには追加でセメントミルクを製造するので、その間杭打ちや地盤改良の作業ができず、作業効率が悪かった。
【0025】
本発明ではバッチャープラント1に搭載されているアジテータ4のセメントミルク量(水位W)をセメントミルク検出器30により常時(リアルタイム)取得(計測)し、ミキサー3内残量を考慮しながらアジテータ4へミキサー3からセメントミルクの排出を行うことができる。
そのため、ミキサー3によるセメントミルクを少量製造であっても、常にアジテータ4内を満量状態にすることができ、その結果、従来のように、アジテータ4内の容積の減少が、ミキサー3の容積と同じ容積となる以前でも、アジテータ4内のセメントミルク量に見合ったセメントミルクをミキサー3で製造でき、無駄なセメントミルクの製造を回避でき、効率よくセメントミルクを生成することが可能となる。
【0026】
すなわち、例えば、アジテータ4の容量を4000リットルとし、ミキサー3の容量を1000Lとすると、従来ではミキサー3で1000Lのセメントミルクの混練で1バッチ500L練った時、アジテータ4内のセメントミルクが1000L減少したことをセメントミルク検出器30が検出してミキサー3からセメントミルクをアジテータ4に排出供給するが、本発明ではアジテータ4内のセメントミルクが4000L-500L=3500Lでミキサー3から排出するので、常にアジテータ4内を満量にすることができ、無駄なロスタイム無くセメントミルクを生成することができる。
また、ミキサー3内のセメントミルク量は重量計測器11で常時計測でき、アジテータ4内のセメントミルク量はセメントミルク検出器30により計測できるので、バッチャープラント1から離れた箇所(遠隔地)でミキサー3およびアジテータ4のセメントミルク量(水位W)のリアルタイム確認を可能となる。
【0027】
すなわち、アジテータ4内のセメントミルク量をセメントミルク検出器30によりリアルタイム(常時)で検出するので、アジテータ4内のミキサー3の容積相当分のセメントミルクがアースオーガーで消費される前であっても、アジテータ4内のセメントミルク量を把握することで、ミキサー3の容積相当分のセメントミルクの消費を待たずに、随時ミキサー3を稼働させてセメントミルクの混練作業を行うことができ、従来のミキサー3を稼働させるための待機時間を省略することができ、作業効率を向上させられる。
換言すると、ミキサー3のセメントミルクの練り上がり量に、左右されず、アジテータ4内のセメントミルクの練り溜め量を維持あるいは増加が可能となり、この点でも、セメントミルクの製造効率を向上させられる。
【0028】
<混合割合の相違するセメントミルクの製造>
施工現場の地盤改良地点の相違によって、配合を代えたセメントミルクを製造したいときでも、従来では、既に製造済みのセメントミルクを廃棄するしかないが、本発明では、アジテータ4内の残っているセメントミルク量とミキサー3内のセメントミルク量とを計測することで、場合によっては、ミキサー3とアジテータ4に残存のセメントミルクに対して所望の混合割合となる量のセメントまたは/および水をミキサー3に供給して、ミキサー3で混練してアジテータ4に供給すると、アジテータ4内のセメントミルクを所望の配合割合となるセメントミルクを製造することも可能となる。
【0029】
例えば、施工現場のA地点の地盤改良では、アジテータ4のセメントミルクより濃くするセメントミルクが必要なときには、セメント割合を多くミキサー3へ供給し、反対に、施工現場のB地点の地盤改良では、アジテータ4のセメントミルクより薄いセメントミルクが必要なときには水割合を多くミキサー3へ供給し、このミキサー3のセメントミルクをアジテータ4に供給し、アジテータ4内のセメントミルクを廃棄せずに、セメントと水の配合割合の相違するセメントミルクを製造することも可能になる。
【0030】
<遠隔操作>
ミキサー3の重量計測器11の重量情報とアジテータ4のセメントミルク検出器30により検出したセメントミルク量とを、バッチャープラント1の操作盤32に設けた情報送信手段31により、アースオーガー等のバッチャープラント1から離れた場所に常時送信可能に構成しているので、バッチャープラント1に作業員を立ち会わせていなくても、バッチャープラント1を稼働させることができ、セメントミルク製造工程における人員の削減を実現できる。
また、セメントミルク検出器30がミキサー3内のセメントミルク体積が入る量まで、アジテータ4の水位W(セメントミルク)が下がった時、ミキサー3のミキサー排出バルブ27を自動的に開き、セメントミルクをアジテータ4に排出するので、この点でも、セメントミルク製造の自動化を図ることができる。
【符号の説明】
【0031】
1…バッチャープラント、2…プラントフレーム、3…ミキサー、3A…ミキサー用モーター、4…アジテータ、4A…アジテータ用モーター、5…セメントサイロ、6…貯水タンク、6A…送水ホース、6B…給水ポンプ、7…駆動源、8…搬送ホース、8A…投入ホース、10…混練用樋、11…重量計測器、12…撹拌翼、13…撹拌軸、14…天板、15…回転入力部材、16…排出部、17…攪拌翼、20…ホース支持部、22…投入筒、23…下端投入口、24…開口部、26…排出部、27…ミキサー排出バルブ、30…セメントミルク検出器、31…情報送信手段、32…操作盤、33…制御部、35…開始ボタン、36…バルブ開閉センサー、W…水位。
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