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特開2023-119130シートヒータ及びシートヒータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119130
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】シートヒータ及びシートヒータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20230821BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20230821BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20230821BHJP
   H05B 3/34 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 B
H05B3/20 348
H05B3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021807
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高谷 伸二
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3K034
【Fターム(参考)】
3B084JA06
3B084JF02
3B084JF03
3B087DE09
3B087DE10
3K034AA02
3K034AA06
3K034AA12
3K034AA15
3K034BA08
3K034BA13
3K034FA39
3K034HA04
3K034HA08
3K034HA10
3K034JA09
(57)【要約】
【課題】ヒータ線の断線を抑制するとともに、座席に着座する人に与える違和感を抑制することができるシートヒータ等を提供できる。
【解決手段】シートヒータ5は、座席1の内部に吊り込まれる吊り込み部(第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22)を有する基材10と、基材10の一方面10aに配置されたヒータ線30と、吊り込み部に配置されたヒータ線30を覆う保護材40と、を備える。また、吊り込み部の両端側には、ヒータ線30を回避する位置に切り込み部(一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23b)がそれぞれ設けられる。そして、保護材40の一方端部41及び他方端部42は、それぞれの切り込み部に一対一で対応するように挿入されて基材10に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の内部に吊り込まれる吊り込み部を有する基材と、
前記基材の一方面に配置されたヒータ線と、
前記吊り込み部に配置された前記ヒータ線を覆う保護材と、を備え、
前記吊り込み部の両端側には、前記ヒータ線を回避する位置に切り込み部がそれぞれ設けられ、
前記保護材の両端部は、それぞれの前記切り込み部に一対一で対応するように挿入されて前記基材に固定される
シートヒータ。
【請求項2】
前記両端部は、それぞれの前記切り込み部に挿入された位置で前記基材に固定される
請求項1に記載のシートヒータ。
【請求項3】
前記基材は、前記一方面とは反対側の面である他方面にトリコット面が形成されたウレタンであり、
前記両端部は、前記基材の前記トリコット面に固定される
請求項1又は2に記載のシートヒータ。
【請求項4】
前記吊り込み部における、前記ヒータ線が配置される側の前記一方面とは反対側の面である他方面には、裏面保護材が固定される
請求項1~3の何れか1項に記載のシートヒータ。
【請求項5】
前記保護材の前記両端部は、それぞれの前記切り込み部に一対一で対応するように挿入された後、前記基材の前記一方面とは反対側の面である他方面に固定される
請求項1~4の何れか1項に記載のシートヒータ。
【請求項6】
前記吊り込み部の前記一方面であり、かつ、前記吊り込み部に配置される前記ヒータ線を回避する位置で、前記保護材と前記基材とが固定される
請求項1~5の何れか1項に記載のシートヒータ。
【請求項7】
前記保護材は、両面テープにより前記基材に固定される
請求項1~6の何れか1項に記載のシートヒータ。
【請求項8】
前記保護材は、帯状をなしたシートであり、
前記保護材には、長手方向における前記両端部がそれぞれの前記切り込み部に一対一で対応するように挿入されたとき、それぞれの前記切り込み部に向かって先細るようなテーパ状に切り欠かれた切欠き部が形成されている
請求項1~7の何れか1項に記載のシートヒータ。
【請求項9】
前記両端部の幅は、前記切り込み部の幅よりも大きい
請求項1~8の何れか1項に記載のシートヒータ。
【請求項10】
座席に隣接して配置される第1本体部及び第2本体部と、前記第1本体部と前記第2本体部とを連結し、座席の内部に吊り込まれる吊り込み部とを有する基材と、
前記基材の一方面において、前記第1本体部、前記吊り込み部及び前記第2本体部に渡って配置されたヒータ線と、
前記吊り込み部に配置された前記ヒータ線を覆うように、前記吊り込み部と重ねて配置された保護材と、を備え、
前記基材において、前記吊り込み部の両端側には、前記ヒータ線を回避する位置に一方側切り込み部及び他方側切り込み部が形成され、
前記保護材は、前記一方側切り込み部に挿入されて前記基材に固定される一方端部と、前記一方端部と反対側の端部であり、前記他方側切り込み部に挿入されて前記基材に固定される他方端部とを有する
シートヒータ。
【請求項11】
座席の内部に吊り込まれる吊り込み部を有する基材の一方面に配置されたヒータ線の一部である前記吊り込み部に配置された前記ヒータ線を覆うように、保護材を前記吊り込み部に配置し、
前記吊り込み部の両端側であり、前記ヒータ線を回避する位置に形成された切り込み部に一対一で対応するように前記保護材の両端部を挿入し、前記保護材を前記基材に固定する
シートヒータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるシートヒータ及びシートヒータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に用いられるシートヒータを開示している。このシートヒータは、基材と、所定のパターン形状にて基材上に配設されるコード状ヒータとからなる。基材には、開口部が形成されている。シートヒータは、クッション材の吊り込み部が位置にする箇所に、コード状ヒータ及び開口部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-3543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のシートヒータの基材は、座席に着座する人の臀部に対応する箇所及び大腿部に対応する箇所を一体化して構成されている。このため、臀部に対応する箇所と大腿部に対応する箇所とを連結する基材の連結部分にも、コード状ヒータが配置されている。基材の連結部分及びコード状ヒータは、金具及び断面が錨型形状の樹脂によってクッション材の厚み方向に押し込まれてクッション材の内部に配置される。
【0005】
連結部分に配置されたコード状ヒータの断線を防ぐために、例えば両面テープを貼付した不織布でコード状ヒータとともに連結部分に接着し、コード状ヒータを保護する構成が考えられる。この場合、両面テープで接着されたコード状ヒータの部分は、外力によって動き難い。しかし、両面テープで接着されていないコード状ヒータの部分は、縫製糸によって固定されているため、外力で動き易い。したがって、両面テープによる接着部分と非接着部分の境界にあるコード状ヒータの一部は、人が座席に着座及び退座したときの外力によって応力が集中することで、繰返し屈曲する。このため、コード状ヒータは、断線してしまうことがある。
【0006】
また、このような不織布は、クッション材の座面とクッション材の吊り込み部との角部に配置される。人が座席に着座及び退座したときの応力、座席の組み立て時の負荷が不織布に加えられることで、不織布が基材から剥がれ易くなる。不織布の剥がれは、座席に着座する人に対して違和感を与えてしまう要因になる。
【0007】
そこで、本開示は、ヒータ線の断線を抑制するとともに、座席に着座する人に与える違和感を抑制することができるシートヒータ及びシートヒータの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るシートヒータは、座席の内部に吊り込まれる吊り込み部を有する基材と、前記基材の一方面に配置されたヒータ線と、前記吊り込み部に配置された前記ヒータ線を覆う保護材と、を備え、前記吊り込み部の両端側には、前記ヒータ線を回避する位置に切り込み部がそれぞれ設けられ、前記保護材の両端部は、それぞれの前記切り込み部に一対一で対応するように挿入されて前記基材に固定される。
【発明の効果】
【0009】
本開示のシートヒータ等では、ヒータ線の断線を抑制するとともに、座席に着座する人に与える違和感を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態におけるシートヒータを装備した座席を示す図である。
図2図2は、実施の形態におけるシートヒータを示す図である。
図3A図3Aは、図2のIII-III線におけるシートヒータを示す断面図である。
図3B図3Bは、別のシートヒータを示す断面図である。
図4図4は、シートヒータの製造方法を示すフローチャートである。
図5図5は、座席の吊り込み溝にシートヒータを吊り込んだ様子を示す断面図である。
図6図6は、実施の形態の変形例におけるシートヒータを示す図である。
図7図7は、図6のVII-VII線におけるシートヒータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係るシートヒータは、座席の内部に吊り込まれる吊り込み部を有する基材と、前記基材の一方面に配置されたヒータ線と、前記吊り込み部に配置された前記ヒータ線を覆う保護材と、を備え、前記吊り込み部の両端側には、前記ヒータ線を回避する位置に切り込み部がそれぞれ設けられ、前記保護材の両端部は、それぞれの前記切り込み部に一対一で対応するように挿入されて前記基材に固定される。
【0012】
これによれば、保護材と吊り込み部とでヒータ線を覆うことができるため、座席の内部に配置されるヒータ線を保護することができる。また、保護材及び吊り込み部は、ヒータ線を両面テープ等で直接接着せずに、ヒータ線を覆っているだけであるため、人が座席に着座及び退座したときの応力がヒータ線に加わると、ヒータ線は応力に応じて移動することができる。このため、ヒータ線において同じ個所が繰返し、屈曲し難くなる。このため、ヒータ線が断線し難くなる。
【0013】
また、保護材の両端部は、基材に形成されたそれぞれの切り込み部に一対一で対応するように挿入されて、基材に固定されている。このため、人が座席に着座及び退座したときの応力及び座席の組み立て時の負荷が保護材に加えられても、保護材が基材から剥がれ難くなる。
【0014】
また、基材を座席の内部に吊り込んだとき、座席の座面と座席の吊り込み溝との角部に保護材の両端部が配置されたとしても、保護材が基材から剥がれるといったことが生じ難い。このため、保護材の剥がれによって座席の厚みが増すといったことが生じ難くなり、座席に着座する人に対して違和感を与え難くなる。
【0015】
したがって、シートヒータは、ヒータ線の断線を抑制するとともに、座席に着座する人に与える違和感を抑制することができる。
【0016】
本開示の一態様に係るシートヒータは、座席に隣接して配置される第1本体部及び第2本体部と、前記第1本体部と前記第2本体部とを連結し、座席の内部に吊り込まれる吊り込み部とを有する基材と、前記基材の一方面において、前記第1本体部、前記吊り込み部及び前記第2本体部に渡って配置されたヒータ線と、前記吊り込み部に配置された前記ヒータ線を覆うように、前記吊り込み部と重ねて配置された保護材と、を備え、前記基材において、前記吊り込み部の両端側には、前記ヒータ線を回避する位置に一方側切り込み部及び他方側切り込み部が形成され、前記保護材は、前記一方側切り込み部に挿入されて前記基材に固定される一方端部と、前記一方端部と反対側の端部であり、前記他方側切り込み部に挿入されて前記基材に固定される他方端部とを有する。
【0017】
このシートヒータにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0018】
本開示の一態様に係るシートヒータの製造方法は、座席の内部に吊り込まれる吊り込み部を有する基材の一方面に配置されたヒータ線の一部である前記吊り込み部に配置された前記ヒータ線を覆うように、保護材を前記吊り込み部に配置し、前記吊り込み部の両端側であり、前記ヒータ線を回避する位置に形成された切り込み部に一対一で対応するように前記保護材の両端部を挿入し、前記保護材を前記基材に固定する。
【0019】
このシートヒータの製造方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0020】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記両端部は、それぞれの前記切り込み部に挿入された位置で前記基材に固定される。
【0021】
これによれば、人が座席に着座及び退座したときの応力及び座席の組み立て時の負荷が保護材に加えられても、保護材が基材から剥がれ難くなるため、座席に着座する人に対して違和感を与え難くなる。また、両端部がそれぞれの切り込み部に挿入された位置で固定されるため、保護材を基材に容易に固定することができる。
【0022】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記基材は、前記一方面とは反対側の面である他方面にトリコット面が形成されたウレタンである。そして、前記両端部は、前記基材の前記トリコット面に固定される。
【0023】
これによれば、例えば保護材の両端部をトリコット面に接着固定する場合、両端部は、強い強度で基材に固定することができる。
【0024】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記吊り込み部における、前記ヒータ線が配置される側の前記一方面とは反対側の面である他方面には、裏面保護材が固定される。
【0025】
これによれば、吊り込み部及びヒータ線を座席の内部に吊り込む際に、ヒータ線に加えられる負荷を抑制することができる。その結果、ヒータ線の断線をより抑制することができる。
【0026】
また、裏面保護材は、基材の他方面に固定されるため、座席の内部に吊り込む際に、座席の座面と座席の吊り込み溝との角部で剥がれるといったことが生じ難い。
【0027】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記保護材の前記両端部は、それぞれの前記切り込み部に一対一で対応するように挿入された後、前記基材の前記一方面とは反対側の面である他方面に固定される。
【0028】
これによれば、保護材が、吊り込み部及びヒータ線を包むようにリング状に形成される。このため、保護材が基材から、より剥がれ難くなることで、座席に着座する人に対してより違和感を与え難くなる。
【0029】
また、基材の他方面に保護材を配置することができるため、吊り込み部及びヒータ線を座席の内部に吊り込む際に、ヒータ線に加えられる負荷を抑制することができる。その結果、ヒータ線の断線をより抑制することができる。
【0030】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記吊り込み部の前記一方面であり、かつ、前記吊り込み部に配置される前記ヒータ線を回避する位置で、前記保護材と前記基材とが固定される。
【0031】
これによれば、保護材を吊り込み部に固定することができるため、保護材が基材から浮き上がってしまうことを抑制することができる。このため、吊り込み部及びヒータ線を座席の内部に吊り込む際に、保護材を座席に引っ掛けてしまうことを抑制することができる。
【0032】
また、ヒータ線を回避する位置で保護材が基材に固定されるため、人が座席に着座及び退座を繰り返すことによる応力によってヒータ線が断線してしまうことを抑制することができる。
【0033】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記保護材は、両面テープにより前記基材に固定される。
【0034】
これによれば、保護材と基材との固定に両面テープを用いれば、シートヒータの管理が容易となる。
【0035】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記保護材は、帯状をなしたシートであり、前記保護材には、長手方向における前記両端部がそれぞれの前記切り込み部に一対一で対応するように挿入されたとき、それぞれの前記切り込み部に向かって先細るようなテーパ状に切り欠かれた切欠き部が形成されている。
【0036】
これによれば、両端部がそれぞれの切り込み部に挿入された際に、基材の一方面に配置される保護材の一部が捲れてしまうことを抑制することができる。
【0037】
本開示の一態様に係るシートヒータにおいて、前記両端部の幅は、前記切り込み部の幅よりも大きい。
【0038】
これによれば、両端部がそれぞれの切り込み部に挿入された際に、両端部がそれぞれの切り込み部から抜け難くなる。このため、人が座席に着座及び退座したときの応力及び座席の組み立て時の負荷が保護材に加えられても、保護材が基材からより剥がれ難くなるため、座席に着座する人に対して違和感をより与え難くなる。
【0039】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0040】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0041】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0042】
また、以下の実施の形態において、略矩形又は枕状等の表現を用いている。例えば、略矩形又は枕状は、完全に矩形又は枕であることを意味するだけでなく、実質的に矩形又は枕である、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略矩形又は枕状は、本開示による効果を奏し得る範囲において矩形又は枕という意味である。他の「略」、「状」を用いた表現についても同様である。
【0043】
(実施の形態)
<構成>
まず、シートヒータ5を含む座席1の構成について図1図3Bを用いて説明する。
【0044】
図1は、実施の形態におけるシートヒータ5を装備した座席1を示す図である。図2は、実施の形態におけるシートヒータ5を示す図である。図3Aは、図2のIII-III線におけるシートヒータ5を示す断面図である。図3Bは、別のシートヒータ5を示す断面図である。
【0045】
図1及び図2に示すように、シートヒータ5は、移動体の座席1に設けられている。移動体は、例えば自動車であるが、例えば飛行機又は船舶等であってもよい。本実施の形態では、座席1の一例として、自動車の運転席を例示している。なお、座席1は、自動車の助手席又は後部座席であってもよい。
【0046】
座席1は、例えば、シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4とを備えている。シートクッション2は、座席1に着座するユーザの臀部及び大腿部を支持する座部である。シートバック3は、座席1に着座するユーザの背部を支持する背もたれ部である。ヘッドレスト4は、座席1に着座するユーザの頭部を支持する枕状の頭当て部である。
【0047】
[シートヒータ5]
シートヒータ5は、座席1に装備され、ユーザが座席1に着座した際に、ヒータ線30の発熱によりユーザの身体の少なくとも一部を温める機能を有する。本実施の形態では、シートヒータ5は、シートクッション2に内蔵され、ヒータ線30の発熱によりシートクッション2を温めることで、ユーザの身体の少なくとも一部を温めることができる。なお、シートヒータ5と同様の構成を、座席1のシートバック3に内蔵することで、シートバック3の背面部も温めてもよい。
【0048】
シートヒータ5は、基材10と、ヒータ線30と、保護材40と、裏面保護材45と、第1温度検出部61と、第2温度検出部62とを有する。
【0049】
基材10は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によってシート状に形成されている。基材10は、布状のウレタン等の発泡性樹脂によって構成されている。本実施の形態では、基材10は、一方面10aと反対側の面である他方面10bにトリコット面が形成されたウレタンによって構成されている。トリコット面とは、基材10の他方面10b側に設けられたトリコット生地によって形成された面である。
【0050】
本実施の形態の基材10は、第1本体部11と、第2本体部12と、第3本体部13と、第1吊り込み部21と、第2吊り込み部22とを有する。
【0051】
第1本体部11、第2本体部12及び第3本体部13のそれぞれは、略矩形状に形成されている。
【0052】
第1本体部11は、座席1に着座する人の臀部対応する位置に配置される。第2本体部12及び第3本体部13は、座席1に着座する人の大腿部に対応する位置に配置される。つまり、第1本体部11、第2本体部12及び第3本体部13は、所定方向に沿ってこの順番で隣接して配列されている。
【0053】
第1吊り込み部21は、第1本体部11と第2本体部12とを連結している。また、第2吊り込み部22は、第2本体部12と第3本体部13とを連結している。このため、第1本体部11、第1吊り込み部21、第2本体部12、第2吊り込み部22及び第3本体部13は、一体的に構成されている。第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22は、吊り込み部の一例である。
【0054】
第1吊り込み部21は、第1本体部11と第2本体部12とを連結した状態で、シートクッション2の内部に吊り込まれている。具体的には、第1吊り込み部21は、シートクッション2に形成された吊り込み溝に押し込まれて固定されることで、座席1の内部に引き込まれる。また、第2吊り込み部22は、第2本体部12と第3本体部13とを連結した状態で、シートクッション2の内部に吊り込まれている。具体的には、第2吊り込み部22は、シートクッション2に形成された別の吊り込み溝に押し込まれて固定されることで、座席1の内部に引き込まれる。
【0055】
なお、本実施の形態では、基材10は、3つの本体部及び2つの吊り込み部を有しているが、この構成には限定されない。つまり、基材10は、(n+1)個の本体部及びn個の吊り込み部を有する構成であればよい。nは、1以上の自然数である。
【0056】
また、基材10は、座席1におけるシートクッション2の座面に応じた大きさである。基材10は、平面視で矩形状に形成される。基材10の一方面10aには、ヒータ線30が配置されている。
【0057】
ヒータ線30は、銅合金等の金属線である。ヒータ線30は、ジグザグ状のパターンが形成されるように、基材10の一方面10aに縫い付けられている。具体的には、ヒータ線30は、第1本体部11、第1吊り込み部21、第2本体部12、第2吊り込み部22及び第3本体部13を通り、別の第2吊り込み部22、第2本体部12、別の第1吊り込み部21、第1本体部11に戻るように、数箇所の折り返しを経て一繋ぎで基材10の一方面10aに縫い付けられている。
【0058】
ヒータ線30は、基材10の一方面10aに縫製糸で縫い付けられている。縫製糸は、ヒータ線30を基材10に固定するために、ヒータ線30の延在方向に沿ってヒータ線30を基材10に縫い付ける糸である。
【0059】
また、ヒータ線30は、ヒータ線30に供給する電流を制御するための第1温度検出部61及び第2温度検出部62等の温度制御部と電気的に接続されている。このため、ヒータ線30は、温度制御部で制御された電源部70からの電力によって発熱する。
【0060】
保護材40は、帯状をなしたシートである。保護材40は、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22のそれぞれに配置され、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22に配置されたヒータ線30を覆っている。つまり、保護材40は、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22とともに筒状に構成される。このため、保護材40は、ヒータ線30を接着固定していない。
【0061】
また、保護材40は、基材10に固定されている。具体的には、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22の両端側には、ヒータ線30を回避する位置に一方側切り込み部23aと他方側切り込み部23bとが設けられている。保護材40の両端部(一方端部41及び他方端部42)は、一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bに一対一で対応するように挿入されている。つまり、保護材40の一方端部41が一方側切り込み部23aに挿入され、保護材40の他方端部42が他方側切り込み部23bに挿入されている。保護材40の一方端部41及び他方端部42は、一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bに挿入された位置で基材10に固定されている。一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bは、切り込み部の一例である。
【0062】
本実施の形態では、一方端部41及び他方端部42は、両面テープ51により基材10のトリコット面(他方面10b)に固定されている。このため、一方端部41及び他方端部42は、強い強度で基材10に固定される。なお、一方端部41及び他方端部42は、溶着により基材10に固定されてもよく、接着剤により基材10に固定されてもよい。
【0063】
また、保護材40は、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22の一方面10aであり、かつ、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22に配置されるヒータ線30を回避する位置で、基材10に固定されている。つまり、保護材40は、ヒータ線30を直接的に固定しないように、基材10に固定されている。本実施の形態では、基材10の一方面10aに配置された両面テープ53により保護材40が基材10に固定されている。なお、保護材40は、溶着により基材10に固定されてもよく、接着剤により基材10に固定されてもよい。
【0064】
また、保護材40には、切欠き部43が形成されている。切欠き部43は、保護材40の長手方向における一方端部41及び他方端部42が一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bに一対一で対応するように挿入されたとき、一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bに向かって先細るようなテーパ状に切り欠かれている。つまり、保護材40の一方端部41及び他方端部42を一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bに一対一で対応するように挿入したときに、保護材40の角部となる部分がテーパ状に切り欠かれているため、保護材40の角部が捲れ難くなる。
【0065】
また、保護材40における一方端部41の幅Aは一方側切り込み部23aの幅Bよりも大きく、保護材40における他方端部42の幅Aは他方側切り込み部23bの幅Bよりも大きい。このため、保護材40の一方端部41及び他方端部42を一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bに一対一で対応するように挿入した状態では、一方端部41及び他方端部42が基材10に引っ掛かるため、保護材40が基材10に固定される。
【0066】
第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22において、基材10の他方面10bには、裏面保護材45が固定されている。つまり、裏面保護材45は、基材10の一方面10a側に配置された保護材40と反対側に配置される。これにより、第1吊り込み部21、第2吊り込み部22及びヒータ線30を座席1の内部に吊り込む際に、ヒータ線30に加えられる負荷を抑制することができる。
【0067】
また、裏面保護材45は、両面テープ52により基材10のトリコット面に固定されている。具体的には、裏面保護材45は、図3Aに示すように、両面テープ52により全面が基材10の他方面10bに接着されて固定されてもよい。また、図3Bに示すように、裏面保護材45は、両面テープ52により部分的に基材10の他方面10bに接着されて固定されてもよい。この場合、裏面保護材45とともに基材10を折り曲げても、裏面保護材45が基材10から剥がれ難くなる。その結果、基材10を折り曲げた状態で容易に輸送することができる。
【0068】
なお、裏面保護材45は、溶着により基材10に固定されてもよく、接着剤により基材10に固定されてもよい。
【0069】
上述したように、保護材40は、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22とともに筒状に構成される。また、第1吊り込み部21の一方面10aには、ヒータ線30の一部が縫い付けられている。これらのため、第1吊り込み部21及びヒータ線30と第2吊り込み部22及びヒータ線30とがシートクッション2の吊り込み溝に吊り込まれた際に折り曲げられても、保護材40は、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22に縫い付けられたヒータ線30の一部が互いに接触しないようにすることができる。
【0070】
第1温度検出部61及び第2温度検出部62は、基材10に配置されている。具体的には、第1温度検出部61及び第2温度検出部62は、基材10の上において、ヒータ線30近傍又はヒータ線30に接触するように配置される。第1温度検出部61は、ヒータ線30の一端側に配置され、第2温度検出部62は、第1温度検出部61とは離れた位置においてヒータ線30の他端側に配置されている。本実施の形態では、第1温度検出部61及び第2温度検出部62は、基材10の一方面10aにおけるヒータ線30の上に重ねて配置されている。これにより、第1温度検出部61及び第2温度検出部62は、ヒータ線30の温度を検出することができる。第1温度検出部61は、サーミスタである。また、第2温度検出部62は、サーモスタットである。
【0071】
<製造方法>
図4は、シートヒータ5の製造方法を示すフローチャートである。なお、図4では、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22を総称して単に吊り込み部と呼ぶことがある。また、一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bについても、総称して単に切り込み部と呼ぶことがある。
【0072】
まず、ヒータ線30が配置された基材10と保護材40とを用意する。吊り込み部に配置されたヒータ線30を覆うように保護材40を配置する(S11:配置工程)。具体的には、座席1の内部に吊り込まれる吊り込み部を有する基材10の吊り込み部の一方面10aに配置されたヒータ線30を覆うように、保護材40を吊り込み部に配置する。
【0073】
次に、基材10の吊り込み部に形成されている切り込み部に保護材40の両端部を挿入する(S12:挿入工程)。具体的には、ヒータ線30を回避する位置であり、吊り込み部の両端側に形成された切り込み部に一対一で対応するように保護材40の両端部を挿入する。つまり、保護材40の一方端部41が一方側切り込み部23aに挿入され、保護材40の他方端部42が他方側切り込み部23bに挿入される。
【0074】
次に、保護材40の一方端部41と基材10の他方面10bとを両面テープ51で接着する。また、保護材40の他方端部42と基材10の他方面10bとを両面テープ51で接着する。さらに、保護材40と基材10の一方面10aとを両面テープ53で接着する。さらに、基材10の他方面10bに裏面保護材45を両面テープ52で接着する(S13:接着工程)。こうして、保護材40及び裏面保護材45が基材10に接着固定される。そして、基材10に保護材40及び裏面保護材45が固定されたシートヒータ5を得ることができる。
【0075】
<作用効果>
次に、本実施の形態におけるシートヒータ5の作用効果について説明する。
【0076】
上述したように、本実施の形態のシートヒータ5は、座席1の内部に吊り込まれる吊り込み部(第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22)を有する基材10と、基材10の一方面10aに配置されたヒータ線30と、吊り込み部に配置されたヒータ線30を覆う保護材40と、を備える。また、吊り込み部の両端側には、ヒータ線30を回避する位置に切り込み部(一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23b)がそれぞれ設けられる。そして、保護材40の一方端部41及び他方端部42は、それぞれの切り込み部に一対一で対応するように挿入されて基材10に固定される。
【0077】
これによれば、保護材40と吊り込み部とでヒータ線30を覆うことができるため、座席1の内部に配置されるヒータ線30を保護することができる。また、保護材40及び吊り込み部は、ヒータ線30を両面テープ等で直接接着せずに、ヒータ線30を覆っているだけであるため、人が座席1に着座及び退座したときの応力がヒータ線30に加わると、ヒータ線30は応力に応じて移動することができる。このため、ヒータ線30において同じ個所が繰返し、屈曲し難くなる。このため、ヒータ線30が断線し難くなる。
【0078】
また、保護材40の一方端部41及び他方端部42は、基材10に形成されたそれぞれの切り込み部に一対一で対応するように挿入されて、基材10に固定されている。このため、人が座席1に着座及び退座したときの応力及び座席1の組み立て時の負荷が保護材40に加えられても、保護材40が基材10から剥がれ難くなる。
【0079】
また、図5は、座席1の吊り込み溝にシートヒータ5を吊り込んだ様子を示す断面図である。図5では、第2吊り込み部22を例示し、吊りワイヤー等は省略している。図5に示すように、基材10を座席1の内部に吊り込んだときに、座席1の座面と座席1の吊り込み溝との角部に保護材40の一方端部41及び他方端部42が配置されたとしても保護材40が基材10から剥がれるといったことが生じ難い。このため、保護材40の剥がれによって座席1の厚みが増すといったことが生じ難くなり、座席1に着座する人に対して違和感を与え難くなる。
【0080】
したがって、シートヒータ5は、ヒータ線30の断線を抑制するとともに、座席1に着座する人に与える違和感を抑制することができる。
【0081】
本実施の形態のシートヒータ5は、座席1に隣接して配置される第1本体部11及び第2本体部12と、第1本体部11と第2本体部12とを連結し、座席1の内部に吊り込まれる吊り込み部とを有する基材10と、基材10の一方面10aにおいて、第1本体部11、吊り込み部及び第2本体部12に渡って配置されたヒータ線30と、吊り込み部に配置されたヒータ線30を覆うように、吊り込み部と重ねて配置された保護材40と、を備える。また、基材10において、吊り込み部の両端側には、ヒータ線30を回避する位置に一方側切り込み部23a及び他方側切り込み部23bが形成される。そして、保護材40は、一方側切り込み部23aに挿入されて基材10に固定される一方端部と、一方端部と反対側の端部であり、他方側切り込み部23bに挿入されて基材10に固定される他方端部とを有する。
【0082】
このシートヒータ5においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0083】
また、本実施の形態のシートヒータ5の製造方法は、座席1の内部に吊り込まれる吊り込み部を有する基材10の一方面10aに配置されたヒータ線30の一部である吊り込み部に配置されたヒータ線30を覆うように、保護材40を吊り込み部に配置し、吊り込み部の両端側であり、ヒータ線30を回避する位置に形成された切り込み部に一対一で対応するように保護材40の一方端部41及び他方端部42を挿入し、保護材40を基材10に固定する。
【0084】
このシートヒータ5の製造方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0085】
また、本実施の形態のシートヒータ5において、保護材40の一方端部41及び他方端部42は、それぞれの切り込み部に挿入された位置で基材10に固定される。
【0086】
これによれば、人が座席1に着座及び退座したときの応力及び座席1の組み立て時の負荷が保護材40に加えられても、保護材40が基材10から剥がれ難くなるため、座席1に着座する人に対して違和感を与え難くなる。また、一方端部41及び他方端部42がそれぞれの切り込み部に挿入された位置で基材10に固定されるため、保護材40を基材10に容易に固定することができる。
【0087】
また、本実施の形態のシートヒータ5において、基材10は、一方面10aとは反対側の面である他方面10bにトリコット面が形成されたウレタンである。そして、保護材40の一方端部41及び他方端部42は、基材10のトリコット面に固定される。
【0088】
これによれば、例えば保護材40の一方端部41及び他方端部42をトリコット面に接着固定する場合、一方端部41及び他方端部42は、強い強度で基材10に固定することができる。
【0089】
また、本実施の形態のシートヒータ5において、吊り込み部における、ヒータ線30が配置される側の一方面10aとは反対側の面である他方面10bには、裏面保護材45が固定される。
【0090】
これによれば、吊り込み部及びヒータ線30を座席1の内部に吊り込む際に、ヒータ線30に加えられる負荷を抑制することができる。その結果、ヒータ線30の断線をより抑制することができる。
【0091】
また、裏面保護材45は、基材10の他方面10bに固定されるため、座席1の内部に吊り込む際に、座席1の座面と座席1の吊り込み溝との角部で剥がれるといったことが生じ難い。
【0092】
また、本実施の形態のシートヒータ5において、吊り込み部の一方面10aであり、かつ、吊り込み部に配置されるヒータ線30を回避する位置で、保護材40と基材10とが固定される。
【0093】
これによれば、保護材40を吊り込み部に固定することができるため、保護材40が基材10から浮き上がってしまうことを抑制することができる。このため、吊り込み部及びヒータ線30を座席1の内部に吊り込む際に、保護材40を座席1に引っ掛けてしまうことを抑制することができる。
【0094】
また、ヒータ線30を回避する位置で保護材40が基材10に固定されるため、人が座席1に着座及び退座を繰り返すことによる応力によってヒータ線30が断線してしまうことを抑制することができる。
【0095】
また、本実施の形態のシートヒータ5において、保護材40は、両面テープ51、53により基材10に固定される。
【0096】
これによれば、保護材40と基材10との固定に両面テープ51、53を用いれば、シートヒータ5の管理が容易となる。
【0097】
また、本実施の形態のシートヒータ5において、保護材40は、帯状をなしたシートである。そして、保護材40には、長手方向における一方端部41及び他方端部42がそれぞれの切り込み部に一対一で対応するように挿入されたとき、それぞれの切り込み部に向かって先細るようなテーパ状に切り欠かれた切欠き部43が形成されている。
【0098】
これによれば、一方端部41及び他方端部42がそれぞれの切り込み部に挿入された際に、基材10の一方面10aに配置される保護材40の一部が捲れてしまうことを抑制することができる。
【0099】
また、本実施の形態のシートヒータ5において、一方端部41及び他方端部42の幅Aは、切り込み部の幅Bよりも大きい。
【0100】
これによれば、一方端部41及び他方端部42がそれぞれの切り込み部に挿入された際に、一方端部41及び他方端部42がそれぞれの切り込み部から抜け難くなる。このため、人が座席1に着座及び退座したときの応力及び座席1の組み立て時の負荷が保護材40に加えられても、保護材40が基材10からより剥がれ難くなるため、座席1に着座する人に対して違和感をより与え難くなる。
【0101】
(実施の形態の変形例)
<構成>
本変形例では、保護材40の一方端部41と保護材40の他方端部42とが固定される点で、実施の形態のシートヒータと相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0102】
まず、本変形例のシートヒータ5の構成について図6図7を用いて説明する。
【0103】
図6は、実施の形態の変形例におけるシートヒータ5を示す図である。図7は、図6のVII-VII線におけるシートヒータ5を示す断面図である。
【0104】
本変形例では、図6及び図7に示すように、保護材40の一方端部41が一方側切り込み部23aに挿入され、保護材40の他方端部42が他方側切り込み部23bに挿入された後、基材10の他方面10bで保護材40の一方端部41と保護材40の他方端部42とが両面テープで連結される。つまり、保護材40は、第1吊り込み部21及び第2吊り込み部22のそれぞれを基材10の一方面10a及び基材10の他方面10bから挟むように、リング状に構成される。
【0105】
また、保護材40の一方端部41と保護材40の他方端部42とが基材10の他方面10bから離間しないように、保護材40が両面テープ52で基材10に固定される。
【0106】
なお、一方端部41及び他方端部42は、溶着により互いに連結されてもよく、接着剤により互いに連結されてもよい。また、保護材40と基材10も、溶着により互いに連結されてもよく、接着剤により互いに連結されてもよい。
【0107】
<作用効果>
次に、本実施の形態におけるシートヒータ5の作用効果について説明する。
【0108】
上述したように、本実施の形態のシートヒータ5において、保護材40の一方端部41及び他方端部42は、それぞれの切り込み部に一対一で対応するように挿入された後、基材10の一方面10aとは反対側の面である他方面10bに固定される。
【0109】
これによれば、保護材40が、吊り込み部及びヒータ線30を包むようにリング状に形成される。このため、保護材40が基材10から、より剥がれ難くなることで、座席1に着座する人に対してより違和感を与え難くなる。
【0110】
また、基材10の他方面10bに保護材40を配置することができるため、吊り込み部及びヒータ線30を座席1の内部に吊り込む際に、ヒータ線30に加えられる負荷を抑制することができる。その結果、ヒータ線30の断線をより抑制することができる。
【0111】
<その他の変形例>
以上、本開示に係るシートヒータについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0112】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるシートヒータに利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 座席
5 シートヒータ
10 基材
10a 一方面
10b 他方面
11 第1本体部
12 第2本体部
21 第1吊り込み部(吊り込み部)
22 第2吊り込み部(吊り込み部)
23a 一方側切り込み部(切り込み部)
23b 他方側切り込み部(切り込み部)
30 ヒータ線
40 保護材
41 一方端部(保護材の両端部)
42 他方端部(保護材の両端部)
43 切欠き部
45 裏面保護材
51、52、53 両面テープ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7