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  • 特開-皮膚洗浄用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119131
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】皮膚洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230821BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230821BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230821BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230821BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/37
A61K8/34
A61Q19/10
A61Q1/14
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021808
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】501208497
【氏名又は名称】株式会社 ナチュラル
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 正治
(72)【発明者】
【氏名】町田 茂
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB052
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AD092
4C083CC23
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】洗浄力があり、且つ、ヒリヒリ感・ツッパリ感が抑制され、シットリ感・サッパリ感のある、優れた使用感を与える皮膚洗浄用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)還元水、(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、及び、(C)多価アルコールを含む皮膚洗浄用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)還元水
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル
(C)多価アルコール
を含む皮膚洗浄用組成物。
【請求項2】
前記(A)還元水が電解水である、請求項1記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項3】
前記(A)還元水が電解槽由来の電解水である、請求項1又は2記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項4】
前記(A)還元水の量が、組成物の全質量を基準として、45.0質量%~70.0質量%である、請求項1乃至3のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項5】
前記(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルがポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルである、請求項1乃至4のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項6】
前記(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの量が、組成物の全質量を基準として、13.0質量%~23.0質量%である、請求項1乃至5のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項7】
前記(C)多価アルコールが、二価アルコールである、請求項1乃至6のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項8】
前記(C)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコールの混合物である、請求項1乃至7のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項9】
前記(C)多価アルコールの量が、組成物の全質量を基準として、7.0質量%~13.0質量%である、請求項1乃至8のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ、UV遮蔽性化粧料、汚れ等を洗い落す皮膚洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄用組成物に関し、さらに詳しくは、口紅、ファンデーション、アイライナー等によるメイクアップ、サンスクリーン(UV遮蔽性化粧料)等の除去効果に優れ、洗浄後の使用感の良いものが望まれている。
【0003】
一方、近年、メイクアップにおいては西洋風の目元を強調した濃い色調が好まれたり、サンスクリーンにおいては耐水性(撥水性)のものが使用されたりして、非常に洗浄乃至除去しづらい製品が増えている。そのようなメイクアップやサンスクリーンを除去するために、強い洗浄力を備えた皮膚洗浄用組成物が提案されており、具体的には、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、アシルアミノ酸多価アルコールエステル化合物、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルジカルボン酸エステル等の強力な洗浄効果をもたらす成分を含む皮膚洗浄用組成物が提案されている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010―248131号公報
【特許文献2】特開2017―165660号公報
【特許文献3】特許第5096829号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】International Journal of Cosmetic Science Vol. 43, Issue 5, pp. 495-509, October 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、強力な洗浄効果をもたらす成分を含む皮膚洗浄用組成物を使用すると、ヒリヒリ感、更には、ツッパリ感が発生し、その一方で、シットリ感、サッパリ感といった好ましい使用感が得られにくい場合がある。
【0007】
本発明は、洗浄力があり、且つ、ヒリヒリ感・ツッパリ感が抑制され、シットリ感・サッパリ感のある、優れた使用感を与える皮膚洗浄用組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、
(A)還元水
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル
(C)多価アルコール
を含む皮膚洗浄用組成物によって達成することができる。
【0009】
前記(A)還元水は電解水であることが好ましい。
【0010】
前記(A)還元水は電解槽由来の電解水であることが好ましい。
【0011】
前記(A)還元水の配合量は、組成物の全質量を基準として、45.0質量%~70.0質量%であることが好ましい。
【0012】
前記(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルがポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルであることが好ましい。
【0013】
前記(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの配合量は、組成物の全質量を基準として、13.0質量%~23.0質量%であることが好ましい。
【0014】
前記(C)多価アルコールは二価アルコールであることが好ましい。
【0015】
前記(C)多価アルコールは1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコールの混合物であることが好ましい。
【0016】
前記(C)多価アルコールの配合量は、組成物の全質量を基準として、7.0質量%~13.0質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、洗浄力があり、且つ、ヒリヒリ感・ツッパリ感が抑制され、シットリ感・サッパリ感のある、優れた使用感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明で使用される還元水の製造の一態様で使用される電解槽の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは鋭意検討の結果、(A)還元水と共に(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、及び、(C)多価アルコールを含む皮膚洗浄用組成物が、洗浄力があり、且つ、ヒリヒリ感・ツッパリ感が抑制され、シットリ感・サッパリ感のある、優れた使用感を与えることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
特に、洗浄時に、洗浄効果を高めようとして、強くマッサージをしながら削ぎ落すような物理的除去方法を実施すると、強い物理作用にさらされた肌は強い酸化ストレスを受け、活性酸素が増え、メイクアップ等は落ちるが、シワ、シミ、肌のくすみ等の原因になり得る。酸化ストレスとは、皮膚が過剰な物理的摩擦や紫外線等の刺激を受けると活性酸素が過剰に発生し、皮膚に害を及ぼすことを言う(非特許文献1参照)。
【0021】
還元水は電子の豊富な水であるところ、活性酸素はその電子軌道において非共有電子対があり電子が不足しているため、還元水の電子が非共有結合に供給されて活性酸素は活性が失われ不活化される。そこで、本発明では、酸化ストレスの原因になる活性酸素を還元水によって除去することにより、酸化ストレスを抑制しつつ、洗浄効果を発揮することができる。
【0022】
したがって、本発明では、強力な洗浄力及び優れた使用感を発揮しつつ、洗浄による酸化ストレスに起因するシワ、シミ、肌のくすみ等の発生を抑制することもできる。
【0023】
斯くして、本発明の皮膚洗浄用組成物は、
(A)還元水
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル
(C)多価アルコール
を含む。
【0024】
以下、各成分について詳述する。
【0025】
[還元水]
本発明の組成物は、(A)還元水を含む。本発明において、還元水とは0mV未満の酸化還元電位(ORP)を有する水を有する。
【0026】
(A)還元水の酸化還元電位は-150mV~-900mV(銀/塩化銀電極)が好ましく、-200mV~-900mVがより好ましく、-300mV~-900mVが更により好ましく、-500mV~-900mVが更により好ましく、-700mV~-900mVが更により好ましい。
【0027】
(A)還元水のpHは6.5~12.5が好ましく、7.5~12.5がより好ましく、8.5~12.5が更により好ましく、9.5~12.5が更により好ましく、10.5~12.5が更により好ましい。
【0028】
還元水の製造手段は特には限定されるものではなく、各種の物理的・化学的方法により得られた還元水を使用することができるが、水の電気分解で得られた電解水を使用することが好ましい。電気分解の対象となる水も特には限定されるものではないが、水道水、イオン交換水、純水等を使用することができる。
【0029】
水の電気分解は、例えば、正負の電極間にイオン交換膜を介在させた状態で行い、負極周囲に生成する所謂アルカリイオン水を還元水として使用することができる。
【0030】
電気分解を行うにあたり、電解槽を使用することが好ましい。例えば、図1に示す3室型電解槽Aは、カソード室1とアノード室2との間に、間隔を有して隔膜3・4を配設して中間室5を設け、且つ、カソード室1とアノード室2の中に、それぞれ、カソード極6とアノード極7を配設して形成されている。そして、3室型電解槽Aでは、カソード室1とアノード室2に純水を入れると共に、中間室5に必要に応じて食塩等を入れて電気分解すると、カソード室1内において還元水が生成される。電解槽を使用することにより、pHの高い還元水を容易に製造することができる。したがって、還元水は電解槽由来の電解水であることが好ましい。
【0031】
なお、(A)還元水は、特許第5394323号公報に記載されるように、セラミックを用いて製造された還元水でもよい。
【0032】
本発明の組成物中の(A)還元水の量は、組成物の全質量を基準として、30.0質量%~95.0質量%が好ましく、45.0質量%~70.0質量%がより好ましい。
【0033】
[ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル]
本発明の組成物は(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを含む。(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、1種類のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを使用してもよく、2種類以上のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを併用してもよい。
【0034】
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、脂肪酸とグリセリンのモノ又はジエステルである脂肪酸グリセリルに酸化エチレンを付加重合させた非イオン界面活性剤である。ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルはポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリルであることが好ましい。
【0035】
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。不飽和脂肪酸の場合は不飽和結合の数は限定されず、例えば、1~4であってよく、1~3が好ましく、1又は2がより好ましい。また、脂肪酸は直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
【0036】
脂肪酸としては、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヤシ油脂肪酸等を例示することができる。
【0037】
酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、2~50が好ましく、4~20がより好ましく、5~9が更により好ましい。
【0038】
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンカプリル酸グリセリル、ポリオキシエチレン(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ラウリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル等が挙げられる。
【0039】
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルであることが好ましく、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノグリセリルであることがより好ましく、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルであることが更により好ましい。
【0040】
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、例えば、クローダジャパン(株)社製「SPグリセロックスHE MBAL」、BASFジャパン(株)製「セチオール HE-JP」、ミヨシ油脂(株)社製「MファインオイルCOG-7M」、EVONIK OPERATIONS社製「TEGOSOFT GC」、日光ケミカルズ社製「NIKKOL TMGCO―7」等の市販品を使用することができる。
【0041】
(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルのHLBは7.5~18.0が好ましく、8.5~16.0がより好ましく、9.5~14.0が更により好ましい。
【0042】
本発明の組成物中の(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの量は、組成物の全質量を基準として、10.0質量%~26.0質量%が好ましく、13.0質量%~23.0質量%がより好ましい。
【0043】
[多価アルコール]
本発明の組成物は(C)多価アルコールを含む。(C)多価アルコールとして、1種類の多価アルコールを使用してもよく、2種類以上の多価アルコールを併用してもよい。
【0044】
(C)多価アルコールは糖アルコールではない。
【0045】
(C)多価アルコールとしては、二価アルコール又は三価アルコールを使用することができる。二価アルコールとしては、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサングリコール、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。三価アルコールとしてはグリセリン等が挙げられる。
【0046】
(C)多価アルコールとして市販品を用いてもよく、例えば、デュポン社製「Zemea Select(登録商標)Propanediol」(プロパンジオール);ダイセル化学工業(株)製「1,3-ブチレングリコール」、高級アルコール工業(株)製「ハイシュガーケインBG」、IMCDジャパン合同会社製「1,3-ブタンジオール」(1,3-ブチレングリコール);交洋ファインケミカル(株)製「DPG」、AGC(株)製「DPG―FC」、ダウ・ケミカル日本(株)/ダウ・東レ(株)製「DIPROPYLENE GLYCOL」(ジプロピレングリコール);シムライズ社製「ハイドロライト(登録商標)5」(ペンチレングリコール);感光社(株)製「KMO-6」(1,2-ヘキサンジオール);シムライズ社製「シムジオール(登録商標)68」(1,2-ヘキサンジオールと1,2-オクタンジオールの混合物);阪本薬品工業(株)製「化粧品用濃グリセリン」(グリセリン)等を例示することができる。
【0047】
(C)多価アルコ-ルとしては、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、又は、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコールの混合物が好ましい。1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコールの混合物における両者の混合割合は特に限定されるものではなく、例えば、重量割合で、1,3-ブチレングリコール:ジプロピレングリコール=90:10~10:90とすることができ、90:10~50:50が好ましく、80:20~50:50がより好ましく、70:30~50:50が更により好ましい。
【0048】
本発明の組成物中の(C)多価アルコールの量は、組成物の全質量を基準として、3.0質量%~23.0質量%が好ましく、7.0質量%~13.0質量%がより好ましい。
【0049】
[任意成分]
本発明の組成物は任意成分を含むこともできる。
【0050】
任意成分としては、例えば、(A)成分以外の水(精製水等)、エタノール等の低級一価アルコール、カチオン化セルロース等のカチオン性ポリマー;脂肪酸ジエタノールアミド;液体油脂;炭化水素;高級脂肪酸;高級一価アルコール;エステル類;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、(B)成分以外の非イオン性界面活性剤;増粘剤;保湿剤;被膜剤;金属イオン封鎖剤;糖類;糖アルコール類;アミノ酸類;有機アミン類;アルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物等の無機アルカリ剤)等のpH調整剤;皮膚栄養剤;ビタミン類;酸化防止剤;香料;顔料;染料等を挙げることができる。
【0051】
(B)成分以外の非イオン界面活性剤としては、皮膚洗浄用組成物に通常用いられている成分を使用することができ、例えば、ポリソルベート20(商品名:NIKKOL TL-10 日光ケミカルズ(株)製、商品名:レオドール TW-L120 花王(株)製、商品名:ノニオン LT-20 日油(株)製、商品名:SP ツイーン20 MBAL クローダジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0052】
増粘剤としては、皮膚洗浄用組成物に通常用いられている成分を使用することができ、特に、親水性増粘剤を使用することが好ましい、親水性増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸(商品名:カーボポール940)等が挙げられる。
【0053】
本発明の組成物は皮膚の洗浄に使用される。ここでの「皮膚」には、通常の皮膚に加えて、唇等の外皮上の粘膜も含まれる。
【0054】
本発明の組成物はクレンジング化粧料として使用されることが好ましく、口紅、ファンデーション、アイライナー等のメイクアップ、サンスクリーン、特に、耐水性(ウォータープルーフ型)のUV遮蔽性化粧料等を除去するためのクレンジング化粧料として使用されることがより好ましく、皮膚メイクアップ除去用であることが更により好ましい。
【0055】
本発明の組成物の形態は特に限定されるものではなく、液状、ゲル状、クリーム状等の各種の流体の形態とすることができる。
【0056】
本発明の組成物は、皮膚に適用後に、水で洗い流してもよく、或いは、水で洗い流さずに拭き取ってもよい。拭き取る場合は、例えば、本発明の組成物の適量をコットン等に含浸させ、これを皮膚上で拭くことで使用することができる。
【0057】
本発明の組成物は、(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルに基づく洗浄力があり、且つ、ヒリヒリ感・ツッパリ感が抑制され、シットリ感・サッパリ感のある、優れた使用感を与えることができる。
【実施例0058】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0059】
[実施例1~9及び比較例1]
(調製)
表1に示される実施例1~9及び比較例1の洗浄用組成物を、 表1に示される成分を混合して調製した。
【0060】
実施例1~9及び比較例1では、(A)還元水及び(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの配合量を変化させ、且つ、(C)多価アルコールの配合量は一定とした。表1中の「還元水」は電解槽で得られた還元水で(A)還元水の代表例であり、「ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル」は(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの代表例である。(C)「多価アルコール混合物」は(C)多価アルコールの代表例であり、1,3-ブチレングリコールとジプロピレングリコールの6:4(質量比)混合物である。
【0061】
表1に示される成分の量に関する数値は、全て純分としての重量(質量)%に基づくものである。なお、「精製水」の「残部」とは、洗浄用組成物のうち表1に示される成分以外は全て全て精製水であるという意味である。
【0062】
【表1】
【0063】
(官能評価)
実施例1~9及び比較例1の各組成物を官能評価で評価した。評価法は以下のとおりである。
【0064】
ノーマルスキンの10名の女性パネルに、撥水性のBBクリーム((株)ナチュラル製京彩菜BBクリーム)1.0gを顔全体に塗布し、1分間放置後、実施例1~9及び比較例1の組成物で、手で強くマッサージしながら、洗い落し、水洗して、BBクリームを除去した。各パネルが、洗浄力、ヒリヒリ感、シットリ感、ツッパリ感、サッパリ感を下記の基準に従って評価した。
【0065】
(ア)洗浄力
洗浄力が非常に良い 5点
洗浄力が良い 4点
洗浄力が普通 3点
洗浄力があまりない 2点
洗浄力が全くない 1点
(イ)ヒリヒリ感
ヒリヒリ感が全くない 5点
ヒリヒリ感がほとんどない 4点
ヒリヒリ感があまりない 3点
ヒリヒリ感少しある 2点
ヒリヒリ感がある 1点
(ウ)シットリ感
シットリ感が非常にある 5点
シットリ感がある 4点
シットリ感は普通 3点
シットリ感があまりない 2点
シットリ感が全くない 1点
(エ)ツッパリ感
ツッパリ感が全くない 5点
ツッパリ感がほとんどない 4点
ツッパリ感があまりない 3点
ツッパリ感が少しある 2点
ツッパリ感がある 1点
(オ)サッパリ感
サッパリ感が非常にある 5点
サッパリ感がかなりある 4点
サッパリ感がある 3点
サッパリ感があまりない 2点
サッパリ感が全くない 1点
【0066】
そして、全パネルの評価の平均値に基づき、以下の判定基準に従って、総合評価を行った。
全パネルの評価の平均値 総合評価
平均値が4.0以上 ◎
平均値が3.0以上4.0未満 ○
平均値が2.0以上3.0未満 △
平均値が2.0未満 ×
【0067】
結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
(結果)
実施例1~9の組成物は比較例1の組成物に比して肌への洗浄力があることが分かる。また、実施例1~9の組成物は、ヒリヒリ感・ツッパリ感がなく、その一方で、シットリ感・サッパリ感がある、優れた使用感を与えることができる。
【0070】
なお、実施例1の組成物は、還元水及びヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルの量が他の実施例に比べて少ないので、洗浄力、ツッパリ感の無さの点で他の実施例に比して若干劣る。また、実施例1~3においては、還元水の量が他の実施例に比べて少ないので、ヒリヒリ感の無さ、ツッパリ感において他の実施例よりも若干劣る。
【0071】
また、実施例9の組成物は、還元水の量が若干少ないので、ヒリヒリ感の無さ、ツッパリ感の無さの点で他の実施例よりも若干劣る。
【0072】
[実施例10及び11]
(調製)
表3に示される実施例10及び11の洗浄用組成物を、 表3に示される成分を混合して調製した。
【0073】
実施例10及び11では、(C)多価アルコールの配合量を変化させ、且つ、(A)還元水及び(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの配合量は一定とした。表3中の「還元水」は電解槽で得られた還元水で(A)還元水の代表例であり、「ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル」は(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの代表例である。(C)「多価アルコール混合物」は(C)多価アルコールの代表例であり、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコールの6:4(質量比)混合物である。なお、表3には実施例5で使用された組成物を再掲する。
【0074】
表3に示される成分の量に関する数値は、全て純分としての重量(質量)%に基づくものである。なお、「精製水」の「残部」とは、洗浄用組成物のうち表3に示される成分以外は全て精製水であるという意味である。
【0075】
【表3】
【0076】
(官能評価)
実施例10及び11の各組成物を官能評価で評価した。評価法は実施例1~9及び比較例1の官能評価における評価法と同一である。結果を表4に示す。なお、表4には実施例5の結果を再掲する。
【0077】
【表4】
【0078】
(結果)
実施例10及び11の組成物も、洗浄力があり、ヒリヒリ感・ツッパリ感がなく、シットリ感・サッパリ感がある、優れた使用感を与えることができる。
【0079】
なお、実施例10の組成物は、多価アルコールの量が実施例11の組成物に比べて少ないので、シットリ感が他の実施例の組成物より若干劣る。また、実施例11においては、多価アルコールの量が実施例10に比べ多いので、実施例11の組成物はシットリ感において実施例10の組成物よりも優れる。
【0080】
[評価]
実施例1~11より、還元水、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル及び多価アルコールを含む洗浄用組成物は、洗浄力があり、ヒリヒリ感・ツッパリ感が抑制され、シットリ感・サッパリ感のある、優れた使用感を与えることが分かる。実施例1~11のうち、最も好ましいものは実施例5である。
【0081】
上記の効果は、組成物の全質量を基準として45.0質量%~70.0質量%の還元水と共に、比較的多量(組成物の全質量を基準として13.0質量%~23.0質量%)のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを併用する場合に顕著である。特に、還元水の配合量が組成物の全質量を基準として60.0質量%~70.0質量%の場合にヒリヒリ感・ツッパリ感がより抑制され、より低刺激性を発揮することができ、また、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの配合量が組成物の全質量を基準として18.0質量%~23.0質量%の場合に、サッパリ感より改善され、より優れた使用感を提供することができる。
【0082】
また、上記の効果は、組成物の全質量を基準として7.0質量%~13.0質量%の多価アルコールを使用する場合に顕著である。特に、多価アルコールの配合量が組成物の全質量を基準として10.0質量%~13.0質量%の場合に、シットリ感がより改善され、より優れた使用感を提供することができる。
図1