(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119183
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20230821BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20230821BHJP
H05K 7/20 20060101ALN20230821BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20230821BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H02G3/22
H05K7/20 B
B60R16/02 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021906
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 直樹
(72)【発明者】
【氏名】深町 聡
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
5G363
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360BA08
4E360BB22
4E360BD02
4E360BD03
4E360BD05
4E360BD10
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA18
4E360ED03
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA53
4E360GB94
4E360GC08
4E360GC14
5E322AA01
5E322AA03
5E322EA10
5G363AA01
5G363CB01
5G363CB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】防水性を持たせつつ、組立を容易に行う電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、筐体2と、第1部材(バスバー4)と、第2部材(グロメット5)とを備える。第1部材は、筐体の孔部から突出する。第2部材は、筐体の孔部に装着され、第1部材が挿入される挿入口を有する。第2部材は、孔部の先端に隙間を形成した状態で先端の周囲を密着して覆う被覆部51と、被覆部に連結し、第1部材と接した状態で配置され、先端が第1部材の外面に沿って先細りのテーパ形状である当接部52とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の孔部から突出する第1部材と、
前記筐体の孔部に装着され、第1部材が挿入される挿入口を有する第2部材と、
を備え、
前記第2部材は、
前記孔部の先端に隙間を形成した状態で前記先端の周囲を密着して覆う被覆部と、
前記被覆部に連結し、前記第1部材と接した状態で配置され、先端が前記第1部材の外面に沿って先細りのテーパ形状である当接部とを有する
電子機器。
【請求項2】
前記当接部は、
前記被覆部に対して撓み可能な形状である
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2部材は、
前記被覆部と、前記当接部と、前記被覆部および前記当接部の連結部とが断面視で湾曲形状である
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記連結部は、
前記被覆部のうち、前記筐体の内部側における端部に位置し、
前記当接部は、
前記端部から前記筐体の外部側に向かって延伸した前記湾曲形状である
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記被覆部は、
断面視でコ字状であり、前記筐体の外部側における先端が前記筐体に向かって突出した突出部である
請求項1~4のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1部材は、
バスバーであり、
前記第2部材は、
グロメットである
請求項1~5のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項7】
前記筐体の内部に配置され、前記バスバーが実装される第1の基板と、
前記第1の基板よりも前記孔部に近い位置に配置され、前記バスバーが貫通する貫通孔を有する第2の基板と、
前記第2の基板よりも前記孔部に近い位置において前記バスバーの周囲を覆うコア部と、前記コア部に接続され、前記第2の基板に実装される回路部とを有する電流センサと
を備える請求項6に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に搭載される電子機器に関し、筐体内の基板から筐体外部に大電流を流すバスバーと、カバーとの間をグロメットにより防水する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、かかる構造では、カバーにグロメットを装着してから複数のバスバーに同時に通す組立工程の場合に、各部品の公差により組立が難しくなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、防水性を持たせつつ、組立を容易に行うことができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、筐体と、第1部材と、第2部材とを備える。第1部材は、前記筐体の孔部から突出する。前記第2部材は、前記筐体の孔部に装着され、前記第1部材が挿入される挿入口を有する。前記第2部材は、前記孔部の先端に隙間を形成した状態で前記先端の周囲を密着して覆う被覆部と、前記被覆部に連結し、前記第1部材と接した状態で配置され、先端が前記第1部材の外面に沿って先細りのテーパ形状である当接部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、防水性を持たせつつ、組立を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電子機器の搭載位置を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、電子機器を上方側(Y軸正側)から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電子機器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係る電子機器の搭載位置を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る電子機器1は、車両Cに搭載される。電子機器1は、例えば、車両Cに搭載される駆動用モータに対して電力を供給するインバータであり、例えば、車両Cにおける外側の底部に配置される。つまり、電子機器1は、車両Cの外部に露出した状態で配置される。
【0011】
なお、
図1を含む以降の図では、3軸の直交座標軸を示している。具体的には、X軸は、車両Cの進行方向(前後方向)に対応しており、正側が前方、負側が後方として規定される。Y軸は、車両Cの高さ方向に対応しており、正側が高い側、負側が低い側として規定される。Z軸は、車両Cの車幅方向に対応しており、正側が車両右方向、負側が車両左方向として規定される。なお、
図2以降において、Z軸が示されていない場合があるが、かかる場合は、Z軸における正負の向きは問わないことを意味する。
【0012】
次に、
図2および
図3を用いて、実施形態に係る電子機器1の外観構成について説明する。
図2は、実施形態に係る電子機器1の外観を示す斜視図である。
図3は、電子機器1を上方側(Y軸正側)から見た図である。
【0013】
図2に示すように、実施形態に係る電子機器1は、略直方体の外観形状を有している。
図2に示すように、電子機器1は、筐体2と、蓋部3と、バスバー4と、グロメット5と、放熱フィン6とを備える。なお、電子機器1の内部構成等の他の構成については後述する。
【0014】
筐体2は、電子機器1に関する電子部品等の各種部品を内部に収容する。なお、筐体2の内部構造については、
図4で後述する。また、筐体2は、上方側(Y軸正側)が開口しており、蓋部3によってかかる開口が覆われる。
【0015】
また、筐体2は、下方側(Y軸負側)には、ヒートシンクとして機能する複数の放熱フィン6を有する。放熱フィン6は、筐体2の外部面21(
図4参照)から突出する放熱部材であり、筐体2に内蔵された電子部品で発生した熱を外部へ放熱する。
【0016】
蓋部3は、筐体2の開口を塞ぐ蓋として機能する。蓋部3は、筐体2の開口を塞ぐことで、筐体2の内部への異物(水分や、塵、埃等)の混入を防止する。なお、本開示では、筐体2および蓋部3をまとめて筐体2と称する場合がある。
【0017】
バスバー4(第1部材の一例)は、電子機器1により生成された電流を車両Cに搭載された駆動用モータへ流す導通部材であり、筐体2の内部から蓋部3(筐体2)に設けられた孔部を通り、孔部から外部に突出するように組付けられる。バスバー4は、筐体2の内部において、基板7(
図4参照)に実装されている。なお、本開示では、
図2に示すように、複数(5本)のバスバー4が配置された例を示している。
【0018】
グロメット5(第2部材の一例)は、筐体2(蓋部3)と、バスバー4との間に介在し、バスバー4を電気的に筐体2から絶縁し、筐体2の内部への異物(水分や、塵、埃等)の混入を防止する。具体的には、
図3に示すように、グロメット5は、筐体2(蓋部3)の孔部に装着され、バスバー4が挿入される挿入口50を有する。グロメット5は、例えば、樹脂材料等で構成される弾性部材である。
【0019】
次に、
図4を用いて、電子機器1の内部構成について説明する。
図4は、電子機器1の断面図である。
図4の断面図は、
図3におけるA-A線で切断した断面を示している。
【0020】
図4に示すように、電子機器1は、上述した筐体2、蓋部3、バスバー4、グロメット5および放熱フィン6に加え、第1の基板7と、第2の基板8と、低背部品9と、高背部品10と、電流センサ11とをさらに備える。
【0021】
第1の基板7はパワー基板であり、第2の基板8は制御系基板である。パワー基板とは大電流が流れる基板であり、負荷に大電流を流すスイッチング素子などのパワーICが搭載される。通常、パワーICは発熱が大きいためパワー基板に搭載され、制御系基板には搭載されない。制御系基板とは制御回路に関する電子部品が実装された基板である。
【0022】
低背部品9および高背部品10は、第1の基板7に実装される電子部品である。低背部品9は、高背部品10に比べて、部品高さ(
図4のY軸方向の長さ)が低く、発熱性が高い。例えば、低背部品9は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のトランジスタであり、高背部品10は、コンデンサである。
【0023】
低背部品9および高背部品10は、第1の基板7において、異なる実装面に実装される。
図4に示す例では、高背部品10は、第1の基板7の主面のうち、一方の面である第1面71に実装され、低背部品9は、他方の面である第2面72に実装される。
【0024】
なお、低背部品9および高背部品10はあくまでも一例であって、同じ部品高さの電子部品や、同じ発熱性の電子部品であってもよい。
【0025】
電流センサ11は、第2の基板8に実装され、バスバー4を流れる電流を検出する。
図4に示すように、電流センサ11は、コア部11aと、回路部11bとを備える。コア部11aは、コア、ホール素子およびコイルを備え、円柱状のバスバー4の周囲を覆うように配置される。
【0026】
コア部11aが配置されるバスバー4は、第2の基板8の貫通孔から貫通して第1の基板7に実装される。つまり、コア部11aは、第2の基板8の貫通孔の位置において第2の基板8に実装される。
【0027】
回路部11bは、オペアンプや電流変換回路を備えた回路であって、コア部11aに接続されるとともに、コア部11aから離れた位置において第2の基板8に実装される。つまり、回路部11bは、コア部11aの位置に制約されることなく第2の基板8の任意の位置に実装可能である。
【0028】
これにより、回路部11bの実装基板が不要となり、かつ、第2の基板8に回路部11bを接続するための、ケーブルやコネクタ等の接続部材も不要となるため、電子機器1のコストを抑えつつ、小型化が可能となる。
【0029】
さらに、バスバー4を円柱状とすることで、電流経路の断面積を大きく取ることができ、例えば、板状のバスバーのように大きな幅を要さないため、電子機器1の小型化が可能となる。
【0030】
本開示では、グロメット5が、被覆部51と、当接部52とを有することで、電子機器1の防水性を持たせつつ、組立容易性を高める。ここで、
図5を用いて、グロメット5の形状について具体的に説明する。
【0031】
図5は、グロメット5の断面図である。
図5に示すように、グロメット5は、被覆部51と、当接部52とを備える。
【0032】
被覆部51は、筐体2(蓋部3)の孔部の先端に隙間510を形成した状態で、かかる先端の周囲を密着して覆う。これにより、蓋部3やグロメット5の公差を隙間510で吸収できるため、グロメット5の装着容易性(組立容易)を高めつつ、被覆部51と蓋部3との間から水分が筐体2の内部へ侵入することを防止できる。特に、複数のバスバー4を同時にグロメット5に挿入する場合において、各バスバー4の公差がバラついたとしても、各グロメット5の隙間510により吸収することで、複数のバスバー4の装着容易性を高めることができる。
【0033】
また、被覆部51は、
図5に示す断面視でコ字状であり、筐体2(蓋部3)の外部側(Y軸正側)における先端51aが筐体2(蓋部3)に向かって突出した突出部である。
【0034】
また、被覆部51は、筐体2(蓋部3)の内部側(Y軸負側)における先端51bが筐体2(蓋部3)に沿った平坦面を有し、かかる平坦面により蓋部3の内部側に密着する。
【0035】
つまり、被覆部51は、先端51aの突出部と、先端51bの平坦面とが蓋部3に密着することで蓋部3に装着される。これにより、先端51a付近に隙間を形成できる、言い換えれば、被覆部51と蓋部3との密着面積を少なくできるため、グロメット5の着脱を容易に行うことができる。
【0036】
当接部52は、被覆部51に連結し、バスバー4と当接した状態で配置され、先端52aがバスバー4の外面に沿って先細りのテーパ形状である。これにより、先端52aとバスバー4との密着面積を少なくできるため、バスバー4の挿入容易性を高めつつ、先端52aとバスバー4との間から水分が筐体2の内部へ侵入することを防止できる。
【0037】
すなわち、グロメット5は、被覆部51および当接部52により、電子機器1に防水性を持たせつつ、組立を容易に行うことができる。
【0038】
また、当接部52は、被覆部51に対して撓み可能な形状である。具体的には、グロメット5は、被覆部51と、当接部52と、連結部500とにより形成される形状が、
図5に示す断面視で湾曲形状である。
【0039】
これにより、バスバー4の挿入時に被覆部51および当接部52の連結部500と当接部52とにより形成される湾曲形状が撓む(当接部52が被覆部51の方向へ撓む)ため、バスバー4の挿入性を高めることができる。
【0040】
さらに、上記した湾曲形状が撓むことで、グロメット5やバスバー4に公差が生じた場合であっても、かかる公差を湾曲形状の撓みにより吸収可能となる。すなわち、バスバー4のグロメット5への挿入性を高めることができる。
【0041】
また、
図5に示すように、連結部500は、被覆部51のうち、筐体2の内部側(先端51b側、
図5ではY軸負側)における端部に位置する。そして、当接部52は、連結部500が位置する端部から筐体2の外部側(
図5ではY軸正側)に向かって延伸した湾曲形状である。
【0042】
これにより、当接部52の先端52aに付近に付着した水分は、連結部500側の凹みに流れるため、先端52aとバスバー4との間に水分が溜まりにくくなることで、防水性を高めることができる。
【0043】
上述してきたように、実施形態に係る電子機器1は、筐体2(蓋部3含む)と、第1部材(バスバー4)と、第2部材(グロメット5)とを備える。第1部材は、筐体2の孔部から突出する。第2部材は、筐体2の孔部に装着され、第1部材が挿入される挿入口を有する。第2部材は、孔部の先端に隙間を形成した状態で先端の周囲を密着して覆う被覆部51と、被覆部51に連結し、第1部材と接した状態で配置され、先端52aが第1部材の外面に沿って先細りのテーパ形状である当接部52とを有する。これにより、防水性を持たせつつ、組立を容易に行うことができる。
【0044】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 電子機器
2 筐体
3 蓋部
4 バスバー
5 グロメット
6 放熱フィン
7 第1の基板
8 第2の基板
9 低背部品
10 高背部品
11 電流センサ
11a コア部
11b 回路部
21 外部面
50 挿入口
51 被覆部
52 当接部
71 第1面
72 第2面
500 連結部
C 車両