(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011920
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】色合い付与可能窓のための制御方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/15 20190101AFI20230117BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G02F1/15 502
E06B9/24 C
【審査請求】有
【請求項の数】51
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180244
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2021142788の分割
【原出願日】2015-05-07
(31)【優先権主張番号】61/991,375
(32)【優先日】2014-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509335373
【氏名又は名称】ビュー, インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】195 S. Milpitas Blvd., Milpitas, CA 95035 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ステファン シー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建物の室内での占有者の快適さの説明となるために色合い付与可能窓の色合いを制御する方法。
【解決手段】色合い付与可能窓は、建物の内部と外部との間にある。方法は、未来時に色合い付与可能窓を通って室内へ入射する直射日光の侵入深さ及び室内の空間のタイプに基づいて未来時での色合い付与可能窓の色合いレベルを予測する。また、方法は、ネットワークを介して色合いレベルに色合い付与可能窓の色合いを移行させる指示も提供する。
【選択図】
図25A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に配置された1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御する装置であって、
(a)前記建物の外部に配置された少なくとも1つのセンサに通信可能に結合すること、
(b)リアルタイムの放射照度の値を生成するべく前記少なくとも1つのセンサから測定値を受信するか、当該受信を指示すること、
(c)前記リアルタイムの放射照度および晴天放射照度に少なくとも部分的に基づいて前記1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いレベルを計算するか、当該計算を指示すること、
(d)計算された前記色合いレベルに前記1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを移行する色合い命令を送信するか、当該送信を指示すること、
を行うよう構成された少なくとも1つのコントローラを備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記建物の部屋の内側放射照度を計算するか、当該計算を指示するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記晴天放射照度の予測により前記内側放射照度を計算するか、当該計算を指示するよう構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記少なくとも1つのセンサからの前記測定値を用いたフィードバック制御方式を用いて前記色合いレベルを計算するか、当該計算を指示するよう構成される、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低いかを判定することにより前記色合いレベルを計算するか、当該計算を指示するよう構成される、請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低い場合に前記色合いレベルが明るくされる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低い場合に前記色合いレベルが徐々に明るくされる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記色合いレベルが閾値に釣り合うか、閾値より低くなるまで明るくされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低くない場合に前記色合いレベルが暗くされる、請求項5から8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低くない場合に前記色合いレベルが徐々に暗くされる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記建物に対する周囲環境の影響を動的に決定するか、当該決定を指示するよう構成される、請求項1から10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
建物に配置された1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御する方法であって、
(a)前記建物の外部に配置された少なくとも1つのセンサから測定値を用いてリアルタイムの放射照度の値を生成することと、
(b)前記リアルタイムの放射照度および晴天放射照度に少なくとも部分的に基づいて前記1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いレベルを計算することと、
(c)計算された前記色合いレベルに前記1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを移行させることと、
を備える方法。
【請求項13】
前記建物の部屋の内側放射照度を計算することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記内側放射照度の計算は前記晴天放射照度の予測を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記色合いレベルの計算は、前記少なくとも1つのセンサからの前記測定値を用いたフィードバック制御方式を用いることを有する、請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記色合いレベルの計算は、前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低いかを判定することを有する、請求項12から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低い場合に前記色合いレベルが明るくされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低い場合に前記色合いレベルが徐々に明るくされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記色合いレベルが閾値に釣り合うか、閾値より低くなるまで明るくされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低くない場合に前記色合いレベルが暗くされる、請求項16から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低くない場合に前記色合いレベルが徐々に暗くされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記建物に対する周囲環境の影響を動的に決定することをさらに備える、請求項12から21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
建物に配置された1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御するプログラムであって、
1つまたは複数のプロセッサにより読み込まれる場合に、請求項12から22の何れか一項に記載の複数の処理を実行するよう構成される、プログラム。
【請求項24】
建物に配置された1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御するシステムであって、
a 前記建物の外部に配置された少なくとも1つのセンサと、前記1つまたは複数の色合い付与可能窓とに通信可能に結合すること、
b 前記少なくとも1つのセンサからの測定値を通信すること、
c (i)前記少なくとも1つのセンサから前記測定値を用いて生成されたリアルタイムの放射照度と、(ii)晴天放射照度とに少なくとも部分的に基づく色合いレベルの計算を通信すること、
d 前記色合いレベルに前記1つまたは複数の色合い付与可能窓を色付ける色合い命令を通信すること、
を行うよう構成されたネットワークを備えるシステム。
【請求項25】
前記ネットワークは、前記建物の部屋の内側放射照度の計算を通信するようさらに構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記内側放射照度の前記計算は、前記晴天放射照度の予測を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記色合いレベルの前記計算は、前記少なくとも1つのセンサからの前記測定値を用いたフィードバック制御方式を用いる、請求項24から26の何れか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記色合いレベルの前記計算は、前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低いかを判定することを用いる、請求項24から27の何れか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低い場合に前記色合いレベルが明るくされる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低い場合に前記色合いレベルが徐々に明るくされる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記色合いレベルの前記計算は、前記色合いレベルを閾値に釣り合うか、閾値より低くなるまで明るくする、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低くない場合に前記色合いレベルが暗くされる、請求項28から31の何れか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記リアルタイムの放射照度の値が前記晴天放射照度よりも低くない場合に前記色合いレベルが徐々に暗くされる、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記ネットワークは、前記建物に対する周囲環境の影響の動的な決定を通信するようさらに構成される、請求項24から33の何れか一項に記載のシステム。
【請求項35】
建物の部屋のエレクトロクロミック窓の色合いを制御する方法であって、
(a)1つの時刻及び日付での太陽位置を計算することと、
(b)前記エレクトロクロミック窓を通る日光を減らすよう構造物または他の障害物が構成されているかを含むサイトのデータに基づき、前記太陽位置を用いて、前記エレクトロクロミック窓を通って前記部屋の中に入る日光の進入深さを決定することと、
(c)前記進入深さと、前記部屋内の1つまたは複数の占有領域の位置とを用いて前記時刻および日付での前記エレクトロクロミック窓の色合いレベルを決定することと、
を備える方法。
【請求項36】
前記色合いレベルは、前記進入深さと、前記部屋内の前記1つまたは複数の占有領域の前記位置と、1つまたは複数のセンサにより測定される太陽測定値とを用いて(c)において決定される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つまたは複数のセンサはフォトセンサを有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1つまたは複数のセンサは前記建物の屋根に配置される、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記1つまたは複数のセンサにより測定される前記太陽測定値は、前記エレクトロクロミック窓で、または前記エレクトロクロミック窓の近傍での太陽光の測定値を示す、請求項36から38の何れか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記太陽位置は、前記建物の経度および緯度を用いて計算される、請求項35から39の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記構造物はオーバーハング、ひれ状部、または他の建物である、請求項35から40の何れか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記他の障害物は、雲によるものである、請求項35から41の何れか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記雲が存在するか判定すること、および/または、1または複数のパラメータを用いて前記雲による前記他の障害物を数量化することをさらに備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記1または複数のパラメータは、可視光データ、赤外光データ、湿度データ、および温度データのうちの1または複数を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記エレクトロクロミック窓の色合いを(c)で決定された前記色合いレベルに移行する命令を提供することをさらに備える、請求項35から44の何れか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記1つまたは複数の占有領域のそれぞれは、関心のある平面の領域である、請求項35から45の何れか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記関心のある平面は、机の面である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
建物の1つまたは複数のエレクトロクロミック窓の色合いを制御する方法であって、
(a)1つの時刻及び日付での太陽の方位角および太陽高度を計算することと、
(b)前記太陽の方位角および太陽高度が、前記1つまたは複数のエレクトロクロミック窓にグレアをもたらす太陽の方位角および太陽高度の範囲内であるか判定することであって、前記太陽の方位角および太陽高度の前記範囲は、3次元の建物モデルを用いて自動で決定される、判定することと、
(c)(b)での前記判定に少なくとも部分的に基づいて前記1つまたは複数のエレクトロクロミック窓の色合いレベルを決定することと、
を備える方法。
【請求項49】
前記色合いレベルは、(b)での前記判定と、前記1つまたは複数のエレクトロクロミック窓が配置された部屋内の1つまたは複数の占有領域の位置とに基づいて(c)で決定される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記1つまたは複数の占有領域のそれぞれは、関心のある平面の領域である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記関心のある平面は、机の面である、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
【0002】
本願は、ともに参照することによりその全体として及びすべての目的のために本明細書に組み込まれる、2014年5月9日に出願された「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題する米国仮特許出願第61/991,375号の利益を主張し、2013年2月21日に出願された「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題する米国特許出願第13/772,969号の一部継続出願である。
【0003】
本明細書に開示される実施形態は、概して窓コントローラ、及び色合い付与可能窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合い及び他の機能を制御する方法を実装するための関連する予測制御論理に関する。
【背景技術】
【0004】
エレクトロクロミズムは、材料が異なる電子状態に置かれるときに、通常、電圧の変化にさらされることによって、光学特性の電気化学的に仲介された可逆変化を示す現象である。光学特性は、通常、色、透過率、吸光度、及び反射率の内の1つまたは複数である。1つの周知のエレクトロクロミック材料は酸化タングステン(WO3)である。酸化タングステンは、青に対して透明な配色移行が電気化学的還元によって発生する陰極エレクトロクロミック材料である。
【0005】
エレクトロクロミック材料は、例えば、家庭用、商業用、及び他の用途の窓に組み込まれて良い。係る窓の色、透過率、吸光度、及び/または反射率は、エレクトロクロミック材料に変化を起こさせることによって変更されて良い。すなわち、エレクトロクロミック窓は電子的に暗くするまたは明るくすることができる窓である。窓のエレクトロクロミック素子に印加された小さい電圧は窓を暗くさせ、電圧を逆にすることが窓を明るくさせる。この能力は、窓を通過する光の量の制御を可能にし、エレクトロクロミック窓が省エネ装置として使用される機会を提供する。
【0006】
エレクトロクロミズムは1960年代に発見されたが、エレクトロクロミック素子、及び特にエレクトロクロミック窓は、エレクトロクロミックの技術、装置、及びエレクトロクロミック素子を作る及び/または使用する関連方法の最近の多くの進展にも関わらず、残念なことにいまだに多様な問題に悩まされ、エレクトロクロミック素子の完全な商業的可能性を実現し始めていない。
【0007】
エレクトロクロミック窓及び他の色合い付与可能窓の異なる色合いレベルへの移行を制御するためのシステム、方法、及び装置が提供される。概して、実施形態はエレクトロクロミック窓または他の色合い付与可能窓の色合いレベルを制御する方法を実装するための予測制御論理を含む。通常、制御論理は、建物の内部と外部との間に位置する1つまたは複数のエレクトロクロミック窓を有する建物または他の建築物で使用できる。窓は異なる構成を有して良い。例えば、いくつかは事務所またはロビーの垂直窓であって良く、他は廊下の明かり窓であって良い。より詳細には、開示されている実施形態は、直接的に占有者の快適さの説明となるために1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いレベルを予測し、変更する方法を提供する予測制御論理を含む。方法は、例えば色合い付与可能窓の予測移行時間を可能にするために未来時の色合いレベルを決定できる。
【0008】
快適さは直接グレア及び/または占有者若しくは占有者の活動の領域に導かれる総放射エネルギーを削減することと関係がある。ある場合には、快適さは領域に十分な採光を可能にすることとも関係がある。また、制御論理はエネルギー節約に対する考慮点も利用して良い。特定の実装では、制御論理は1つまたは複数のモジュールを含んで良く、該モジュールの内の少なくとも1つは占有者の快適さの考慮点と関連付けられている。モジュールの内の1つまたは複数はエネルギー消費にも関係して良い。
【0009】
一態様では、制御論理の1つまたは複数のモジュールは、占有者または占有者の机等の占有者の活動領域に対する直射日光または直接グレアによる占有者の快適さに基づいて決定される色合いレベルを決定して良い。これらのモジュールは、太陽光が特定の瞬間に部屋の中にどれほど遠くまで浸透するかを決定して良い。モジュールは、次いで占有者にとって快適となるレベルの光を透過させる適切な色合いレベルを決定して良い。
【0010】
別の態様では、制御論理の1つまたは複数のモジュールは、晴天の条件下での予測放射照度からエネルギー的考察も考慮に入れるために占有者の快適さに基づいて決定された色合いレベルを修正して良い。この態様では、色合いレベルは、それが地方自治体の規則または基準によって規定される建物内で必要とされる基準窓と少なくとも同程度によく機能することを確認するために暗くされて良い。修正された色合いレベルは基準窓と少なくとも同じくらい多くの省エネを冷房で実現する。ある場合には、色合いレベルは、暖房で省エネを実現するために代わりに明るくされて良い。
【0011】
さらに別の態様では、制御論理の1つまたは複数のモジュールは、実際の放射照度の説明となるために占有者の快適さ及び予測晴天放射照度に基づいて決定された色合いレベルを修正して良い。実際の放射照度は、光の妨害及び反射のために予測放射照度とは異なることがある。光検出器または放射レベルを測定できる他のセンサが、実際の放射照度を決定するために使用できる。これらの1つまたは複数のモジュールは、占有者の快適さ及び予測晴天放射照度に基づいて決定された色合いレベルよりも多いまたは少ない光を部屋の中に透過させる最も明るい色合いレベルを決定する。
【0012】
一実施形態は、建物の室内での占有者の快適さの説明となるために色合い付与可能窓の色合いを制御する方法である。色合い付与可能窓は、建物の内部と外部との間に位置する。方法は、未来時に色合い付与可能窓を通って室内へ入射する直射日光の侵入深さ及び室内の空間タイプに基づいて、未来時での色合い付与可能窓の適切な色合いレベルを予測する。方法は、ネットワークを介して色合い付与可能窓の色合いを色合いレベルに移行する命令を提供する。
【0013】
別の実施形態は、建物の室内での占有者の快適さの説明となるために色合い付与可能窓の色合いを制御するためのコントローラである。色合い付与可能窓は、建物の内部と外部との間に位置する。コントローラは、色合い付与可能窓を通して部屋の中に入射する直射日光の侵入深さ、及び室内の空間タイプに基づいて、色合い付与可能窓の色合いレベルを決定するように構成されたプロセッサを含む。また、コントローラは、ネットワークを介してプロセッサと、及び色合い付与可能窓と通信するパルス幅変調器(「PWM」)も含む。パルス幅変調器は、プロセッサから色合いレベルを受信し、ネットワークを介して、決定された色合いレベルに色合い付与可能窓の色合いを移行する色合い命令を有する信号を送信するように構成される。
【0014】
別の実施形態は、建物での占有者の快適さの説明となるために色合い付与可能窓の色合いを制御するためのマスタコントローラである。色合い付与可能窓は、建物の内部と外部との間に位置する。マスタコントローラは、コンピュータ可読媒体、並びにコンピュータ可読媒体と通信する、及び色合い付与可能窓のための局所窓コントローラと通信するプロセッサを含む。コンピュータ可読媒体は、色合い付与可能窓と関連付けられた空間タイプを有する構成ファイルを有する。プロセッサはコンピュータ可読媒体から空間タイプを受信し、色合い付与可能窓を通して部屋の中に入射する直射日光の侵入深さ及び室内の空間タイプに基づいて、色合い付与可能窓の色合いレベルを決定し、ネットワークを介して局所窓コントローラに、決定された色合いレベルに色合い付与可能窓の色合いを移行する色合い命令を送信するように構成される。
【0015】
別の実施形態は、占有者の快適さの説明となるために建物のゾーンの1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御する方法である。方法は、現在の時刻に基づいて、及びゾーンの代表的な窓の予測移行時間に基づいて未来時を計算する。また、方法は、未来時での太陽の位置も予測し、スケジュールの中でユーザーによって指定されているプログラムを決定する。プログラムは、1つまたは複数の独立変数に基づいて色合いレベルを決定するための論理を含む。また、方法は未来時での予測される太陽の位置及び占有者の快適さに基づいて色合いレベルを決定するために、決定されたプログラムを利用する。また、方法は、決定された色合いレベルに色合いを移行する命令を1つまたは複数の色合い付与可能窓に通信する。
【0016】
別の実施形態は、占有者の快適さの説明となるために建物のゾーンの1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御するための窓コントローラである。窓コントローラは、予測制御論理、並びにゾーンと関連付けられたサイトデータ及びゾーン/グループデータを有するコンピュータ可読媒体を含む。窓コントローラは、さらにコンピュータ可読媒体と通信する、及び色合い付与可能窓と通信するプロセッサを含む。プロセッサは、現在の時刻及びゾーンの代表的な窓の予測移行時間に基づいて未来時を計算するように構成される。また、プロセッサは、将来の時間での太陽の位置を予測し、スケジュールの中でユーザーによって指定されているプログラムを決定するように構成される。プログラムは、1つまたは複数の独立変数に基づいて色合いレベルを決定するための論理を含む。また、プロセッサは、将来の時間での予測される太陽の位置を使用し、及び占有者の快適さに基づいて色合いレベルを決定するために、決定されたプログラムを利用するように構成される。また、プロセッサは、決定された色合いレベルに色合いを移行する命令をゾーンの1つまたは複数の色合い付与可能窓に通信するように構成される。
【0017】
特定の態様は、建物の室内での占有の快適さの説明となるために1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御する方法を含む。1つの方法は、占有領域と1つまたは複数の色合い付与可能窓を通る光の3次元映像との交差部分を決定することと、1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いレベルを決定するために交差部分を使用することと、決定された色合いレベルに1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを移行する命令を提供することとを含む。ある場合には、3次元映像は、太陽の光線から室内への1つまたは複数の色合い付与可能窓の映像である。映像の方向は、ある場合には、太陽の方位角及び高度に基づいて決定されて良い。ある場合には、光の3次元映像の関心のある平面との交差部分はP画像であり、色合いレベルはP画像の占有領域との重複の量、及び重複量に基づいて色合いレベルを決定することに基づいて決定される。ある場合には、色合いレベルは、P画像の占有領域との重複のパーセンテージに基づいて決定される。
【0018】
特定の態様は、室内での占有の快適さの説明となるために1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御するためのコントローラを含む。ある場合には、コントローラは、1つまたは複数の色合い付与可能窓を通る光の3次元映像の関心のある平面との交差部分を決定し、占有領域との交差部分の重複を決定し、1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いレベルを決定するために決定された重複を使用し、決定された色合いレベルに1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを移行する命令を提供するように構成されたプロセッサを含む。いくつかの態様では、コントローラは、ネットワークを介してプロセッサと、及び色合い付与可能窓と通信するパルス幅変調器をさらに含む。パルス幅変調器は、プロセッサから決定された色合いレベルを受信し、ネットワークを介して決定された色合いレベルに1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを移行する命令を有する信号を送信するように構成される。いくつかの態様では、光の3次元映像の関心のある平面との交差部分はP画像であり、P画像を決定することは、1つまたは複数の色合い付与可能窓の実効開口及び実効開口の幾何学的中心を決定することと、太陽の方位角及び高度に基づいて幾何学的中心からのP画像変位を決定すること、及び関心のある平面でP画像偏位の回りに実効開口領域を生成することによってP画像を決定することとを含む。
【0019】
特定の態様は、建物の室内での占有の快適さの説明となるために1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを制御する方法を含む。ある場合には、方法は、1つまたは複数のタイマが現在時刻でセットされているかどうかを判断することと、1つまたは複数のタイマがセットされていない場合、フィルタにかけられた色合いレベルを決定することと、フィルタにかけられた色合いレベルに1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いを移行するための命令を提供することとを含む。ある場合には、フィルタにかけられた色合いレベルを決定することは、1つまたは複数のセンサ測定値に基づいて、短いボックスカーの短いボックスカー値を決定することと、1つまたは複数のセンサ測定値に基づいて第1の長いボックスカーの第1の長いボックスカー値を決定することと、短いボックスカー値に照度値を設定することと、短いボックスカー値と長いボックスカー値の差が正であり、正の閾値よりも大きい場合に第1のタイマをセットすることと、短いボックスカー値と長いボックスカー値の差が正であり、正の閾値未満である、または負であり、負の閾値よりもより負である場合に、第1の長いボックスカー値に照度値を設定することと、を含む。
【0020】
これらの及び他の特徴及び実施形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1A~
図1Cは、ガラス基板上に形成されたエレクトロクロミック素子、つまりエレクトロクロミックライトの概略図である。
【
図3A】エレクトロクロミック素子の概略断面を示す図である。
【
図3B】色あせした状態の(または色あせた状態に移行中の)エレクトロクロミック素子の概略断面を示す図である。
【
図3C】
図3Bに示されているが、着色された状態の(または着色された状態に移行中の)エレクトロクロミック素子の概略断面を示す図である。
【
図4】窓コントローラの構成要素の簡略されたブロック図である。
【
図5】開示されている実施形態に従って、色合い付与可能窓及び少なくとも1つのセンサを含む部屋の概略図である。
【
図6】
図6A~
図6Cは、開示されている実施形態に従って、例示的な制御論理の3つのモジュールA、B、及びCのそれぞれによって収集される情報を示す図である。
【
図7】開示されている実施形態に従って、建物内の1つまたは複数のエレクトロクロミック窓を制御する方法のための予測制御論理のいくつかのステップを示すフローチャートである。
【
図8】
図7に示される制御論理の一部分の特定の実装を示すフローチャートである。
【
図9】開示されている実施形態に係るモジュールAの詳細を示すフローチャートである。
【
図10】開示されている実施形態に係る占有率ルックアップテーブルの例を示す図である。
【
図11A】開示されている実施形態に従って、窓の近くに位置する机1に基づいた空間タイプのエレクトロクロミック窓を含む部屋の概略図である。
【
図11B】開示されている実施形態に従って、
図11Aにおいてよりも窓からさらに離れて位置する机2に基づいた空間タイプのエレクトロクロミック窓を含む部屋の概略図である。
【
図12】開示されている実施形態によるモジュールBの詳細を示すフローチャートである。
【
図13】開示されている実施形態によるモジュールCの詳細を示すフローチャートである。
【
図14】
図7に示される制御論理の一部分の別の実装を示す図である。
【
図15】建物管理システムの実施形態の概略図である。
【
図16】建物ネットワークの実施形態のブロック図である。
【
図17】建物の1つまたは複数の色合い付与可能窓の機能を制御するためのシステムの構成要素のブロック図である。
【
図18】建物内の1つまたは複数の色合い付与可能窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合いレベルの移行を制御する方法のための予測制御論理を示すブロック図である。
【
図19】実施形態に従って、スケジュール情報を入力して窓コントローラによって利用されるスケジュールを生成するために使用されるユーザーインタフェースのスクリーンショットを示す図である。
【
図20】占有率ルックアップテーブルの例であり、実施形態に従って受光角と太陽の角度と侵入深さの関係性を示す、机及び窓がある部屋の概略図である。
【
図22】実施形態に従って、1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いレベルを制御するために使用される窓コントローラに存在して良いサブシステムのブロック図である。
【
図23】霧で始まり、1日の遅くに急速に消散して晴れとなる1日に採取されるセンサ照度測定値のグラフを示す図である。
【
図24A】
図7に示される制御論理の一部分の特定の実装を示すフローチャートである。
【
図24B】1日の早くに曇っており、次いで1日の遅くに日がよく照る1日の間の照度測定値、及び対応する上限及び下限のグラフを示す図である。
【
図25A】実施形態に従って、色合い付与決定を下すためにボックスカーを使用する制御方法のフローチャートである。
【
図25B】机を有する部屋、及び机に座っている占有者の上に日が照っている部屋の臨界角を示す図である。
【
図26A】実施形態に従って、いつもの1日の間のセンサ測定値、及びボックスカーフィルタを使用する制御方法の決定された、関連付けられた決定された色合い状態と関連付けられた2つのグラフを示す図である。
【
図26B】実施形態に従って、間欠的な急上昇のある曇りの1日の間のセンサ測定値、及びボックスカーフィルタを使用する制御方法の決定された、関連付けられた決定された色合い状態と関連付けられた2つのグラフを示す図である。
【
図27A】1日の間の時間tの間に決定されたセンサ測定値、短いボックスカー値、及び長いボックスカー値を含む照度値のプロットを示す図である。
【
図27B】
図27Aのセンサ測定値、及びモジュールBによって決定された関連付けられた色合いレベル、及び1日の間にモジュールCによって決定された色合いレベルのプロットを示す図である。
【
図28A】実施形態に従って、色合い付与決定を下すためにボックスカー値を使用する制御方法のフローチャートである。
【
図28B】1日の間の時間tの間に決定されたセンサ測定値、短いボックスカー値、及び長いボックスカー値を含む照度値のプロットを示す図である。
【
図29A】実施形態に従って、色合い付与決定を下すためにボックスカー値を使用する制御方法のフローチャートである。
【
図29B】1日の間の時間tの間に決定されたセンサ測定値、短いボックスカー値、及び長いボックスカー値を含む照度値のプロットを示す図である。
【
図30】実施形態に従って、床への部屋を通る光の3次元映像を示すために明かり窓の形をとる水平の円形開口を有する部屋の側面図の概略図である。
【
図31】一実施形態に従って、室内の机への映像を有する、
図30の部屋の側面図及び平面図の概略図である。
【
図32】一実施形態に従って、明かり窓の形をとる単一の水平円形開口を有する部屋の側面図及び平面図の概略図である。
【
図33】一実施形態に従って、第1の開口及び第2の開口を含む多面明かり窓を有する部屋の側面図の概略図である。
【
図34】一実施形態に従って、第1の開口及び第2の開口を含む多面明かり窓を有し、机を有する部屋の側面図の概略図である。
【
図35】一実施形態に従って、光を遮るファセットを含む多面明かり窓を有する部屋の側面図の概略図である。
【
図36】一実施形態に従って、グレア領域によってカバーされる占有領域の相対部分に対応する端部色合い状態を提供する方法を示す概略図である。
【
図37】3次元光映像を使用するモジュールAの一実施形態に係る、
図8のステップ700の詳細を有するフローチャートである。
【
図38】実施形態に従って複数の多面明かり窓、及び映像を有する部屋の側面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、示されている実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。開示されている実施形態は、これらの具体的な詳細のいくらかまたはすべてがなくても実践され得る。他の例では、周知のプロセス動作は、開示されている実施形態を不必要に分かりにくくしないために詳細に説明されていない。開示されている実施形態は具体的な実施形態と併せて説明されるが、開示されている実施形態を制限することが意図されないことが理解される。
【0023】
I.エレクトロクロミック素子の概要
開示されている実施形態はエレクトロクロミック窓(スマートウィンドウとも呼ばれる)に焦点を当てているが、本明細書に開示される概念は他のタイプの色合い付与可能窓にも適用して良いことが理解されるべきである。例えば、エレクトロクロミック素子の代わりに液晶デバイスまたは懸濁粒子デバイスを組み込んだ色合い付与可能窓を開示されている実施形態のいずれかによって組み込むことができるだろう。
【0024】
読者を本明細書に開示されるシステム、窓コントローラ、及び方法の実施形態になじませるために、エレクトロクロミック素子の簡略な説明が提供される。エレクトロクロミック素子のこの初期の説明は文脈のためだけに提供され、システム、窓コントローラ、及び方法の以後に説明される実施形態は、この初期の説明の特定の特徴及び製作プロセスに制限されない。
【0025】
エレクトロクロミックライトの特定の例は、本明細書に説明される実施形態を示すために
図1A~
図1Cを参照して説明される。
図1Aは、ガラス板105で開始して製作されるエレクトロクロミックライト100の断面表現(
図1CのX'-X'断面切断部を参照)である。
図1Bは、エレクトロクロミックライト100の端面図(
図1Cの視点Y-Y'を参照)を示し、
図1Cはエレクトロクロミックライト100の上下図を示す。
図1Aは、ライトの外周の回りに領域140を作り出すために端縁が削除された、ガラス板105上での製作後のエレクトロクロミックライトを示す。また、エレクトロクロミックライトはレーザで刻み付けられ、バスバーが取り付けられている。ガラスライト105は拡散障壁110、及び拡散障壁上に第1の透明導電性酸化物層(TCO)115を有する。この例では、端縁削除プロセスはTCO115と拡散障壁110の両方とも取り除くが、他の実施形態では、TCOだけが取り除かれ、拡散障壁をそのままにしておく。TCO115は、ガラス板の上に製作されたエレクトロミック素子の電極を形成するために使用される2つの導電層の内の第1の導電層である。この例では、ガラス板は下層のガラス及び拡散障壁層を含む。したがって、この例では、拡散障壁が形成され、次いで第1のTCO、(例えば、エレクトロクロミック層、イオン伝導体層、及び対電極層を有する)エレクトロクロミックスタック125、及び第2のTCO130が形成される。一実施形態では、エレクトロクロミック素子(エレクトロクロミックスタック及び第2のTCO)は、ガラス板がスタックの製作中の任意の時点で統合付着システムを離れない統合付着システム内で製作される。一実施形態では、第1のTCO層も、ガラス板がエレクトロクロミックスタック及び(第2の)TCO層の付着中の任意の時点で統合付着システムを離れない統合付着システムを使用し、形成される。一実施形態では、層のすべて(拡散障壁、第1のTCO、エレクトロクロミックスタック、及び第2のTCO)は、ガラス板が付着中に統合付着システムを離れない統合付着システムで付着される。この例では、エレクトロクロミックスタック125の付着の前に分離溝120がTCO115及び拡散障壁110を通して切断される。溝120は、製作が完了した後にバスバーの下に存在するTCO115の領域を電気的に隔離することを計画して作られる(
図1Aを参照)。これは、望ましくない場合がある、バスバーの下のエレクトロクロミック素子の電荷蓄積及び着色を回避するために行われる。
【0026】
エレクトロクロミック素子の形成後、端縁削除プロセス及び追加のレーザ刻み付けが実行される。
図1Aは、この例ではレーザ刻み付け溝150、155、160、及び165を取り囲む外周領域から素子が取り除かれた領域140を示す。溝150、160、及び165はエレクトロクロミックスタックを、並びに第1のTCO及び拡散障壁も通る。溝155は第2のTCO130及びエレクトロクロミックスタックを通るが、第1のTCO115は通らない。レーザ刻み付け溝150、155、160、及び165は、操作可能なエレクトロクロミック素子から、端縁削除プロセスの間に潜在的に損傷を受けたエレクトロクロミック素子135、145、170、及び175の部分を隔離するために作られる。この例では、レーザ刻み付け溝150、160、及び165は素子の隔離に役立つために第1のTCOを通過する(レーザ刻み付け溝155は第1のTCOを通過せず、それ以外の場合、レーザ刻み付け溝155はバスバー2'の第1のTCO、及びしたがってエレクトロクロミックスタックとの電気通信を切断するだろう)。レーザ刻み付けプロセスに使用される1つまたは複数のレーザは、通常、例えばダイオード励起ソリッドステートレーザ等のパルスタイプレーザであるが、必ずしもこれに限らない。例えば、レーザ刻み付けプロセスは、(マサチューセッツ、オックスフォードの)IPG Photonicsのまたは(リトアニア、ヴィルニアスの)Eksplaの適切なレーザを使用し、実行できる。刻み付けは、例えばダイヤモンドが先端に付けられたスクライブによって機械的に実行することもできる。当業者は、レーザ刻み付けプロセスが、異なる深さで実行できる、及び/またはレーザ切削深さを変えられる単一のプロセスで実行できる、若しくはエレクトロクロミック素子の外周の回りの連続経路の間に実行できないことを理解するだろう。一実施形態では、端縁削除は第1のTCOの深さまで実行される。
【0027】
レーザ刻み付けが完了した後、バスバーが取り付けられる。非貫通バスバー1は第2のTCOに適用される。非貫通バスバー2は、第1のTCOと接触して(例えば、素子付着から第1のTCOを保護するマスクから)素子が付着されなかった領域、つまり、この例では、端縁削除プロセス(例えば、XY検流計またはXYZ検流計を有する装置を使用するレーザ切断)が第1のTCOまで材料を取り除くために使用された領域に適用される。この例では、バスバー1とバスバー2の両方とも非貫通バスバーである。貫通バスバーは、通常、エレクトロクロミックスタックの中に及びエレクトロクロミックスタックを通して押し込まれてスタックの底部でTCOと接触するバスバーである。非貫通バスバーは、エレクトロクロミックスタック層の中に貫通しないが、むしろ例えばTCO等の導電層の表面で電気的接触及び物理的接触を行うバスバーである。
【0028】
TCO層は、非従来型のバスバー、例えばスクリーンパターニング方法及びリソグラフィパターニング方法を用いて製作されるバスバーを使用し、電気的に接続できる。一実施形態では、熱硬化が後に続く導電インクをシルクスクリーニングすることによって(若しくは別のパターニング方法を使用して)、またはインクを焼結させることによって、素子の透明導電層と電気通信が確立される。上述された素子構成を使用する優位点は、貫通バスバーを使用する従来の技法よりも、例えばより簡略な製造、及びより少ないレーザ刻み付けを含む。
【0029】
バスバー接続後、素子は例えばバスバーの配線等を含む断熱ガラスユニット(IGU)の中に統合される。いくつかの実施形態では、バスバーの片方または両方は完成したIGUの内側にあるが、一実施形態では、1本のバスバーはIGUのシールの外側にあり、1本のバスバーはIGUの内側にある。前者の実施形態では、領域140はIGUを形成するために使用されるスペーサの一面とのシールを作るために使用される。したがって、バスバーへのワイヤまたは他の接続はスペーサとガラスとの間を通る。多くのスペーサは、例えば、導電性であるステンレス鋼等の金属製であるので、バスバーとバスバーに対するコネクタと金属スペーサとの間の電気通信に起因する短絡を回避するための処置を講じることが望ましい。
【0030】
上述されたように、バスバー接続後、エレクトロクロミックライトは、例えばバスバーのための配線等を含むIGUの中に統合される。本明細書で説明される実施形態では、バスバーの両方とも完成したIGUの一次シールの内側にある。
【0031】
図2Aは、IGU200の中に統合された
図1A~
図1Cに関して説明されたエレクトロクロミック窓の断面概略図を示す。スペーサ205は、第2のライト210からエレクトロクロミックライトを離すために使用される。IGU200内の第2のライト210は非エレクトロミックライトであるが、本明細書に開示される実施形態はこのように制限されていない。例えば、ライト210はその上にエレクトロクロミック素子及び/または低Eコーティング等の1つまたは複数のコーティングを有することがある。ライト201は、
図2Bに示されるような合わせガラスであることもある(ライト201は、樹脂235によって補強窓ガラス230に重ね合わせられる)。スペーサ205とエレクトロクロミックライトの第1のTCO層との間には、一次シール材215がある。この一次シール材は、スペーサ205と第2のガラスライト210との間にもある。スペーサ205の外周の回りには二次シール220がある。バスバー配線/リード線はコントローラへの接続のためにシールを横切る。二次シール220は、示されているシールよりもはるかに厚いことがある。これらのシールはIGUの内部空間225から水分を締め出すのに役立つ。また、該シールはIGUの内部のアルゴンまたは他の気体が漏れるのを防ぐためにも役立つ。
【0032】
図3Aは、断面でエレクトロクロミック素子300を概略で示す。エレクトロクロミック素子300は基板302、第1の導電層(CL)304、エレクトロクロミック層(EC)306、イオン伝導性層(IC)308、対電極層(CE)310、及び第2の導電層(CL)314を含む。層304、306、308、310、及び314は、集合的にエレクトロクロミックスタック320と呼ばれる。エレクトロクロミックスタック320全体に電位を印加するために操作可能な電源316は、例えば色あせた状態から着色状態(図示)へのエレクトロクロミック素子の移行を達成する。層の順序は基板に対して逆にすることができる。
【0033】
説明されるような別個の層を有するエレクトロクロミック素子は、低い欠陥性(defectivity)を有するすべてのソリッドステートデバイス及び/またはすべての無機デバイスとして製作できる。それらを製作する係る素子及び方法は、ともに参照することによりその全体として本明細書に組み込まれる、2009年12月22日に出願され、Mark Kozlowskiらを発明者として指名する「Fabrication of Low-Defectivity Electrochromic Devices」と題する米国特許出願第12/645,111号、及び2009年12月22日に出願され、Zhongchun Wangらを発明者として指名する「Electrochromic Devices」と題する米国特許出願第12/645,159号により詳細に説明される。ただし、スタック内の層のいずれか1つまたは複数がなんらかの量の有機物質を含有して良いことが理解されるべきである。1つまたは複数の層に少量で存在することがある液体についても同じことを言うことができる。また、固体状物質が、付着される、またはそれ以外の場合、ゾルゲル若しくは化学蒸着を利用する特定のプロセス等の、液体構成要素を利用するプロセスによって形成されて良いことも理解されるべきである。
【0034】
さらに、色あせた状態と着色状態の間の移行に対する参照が非制限的であり、実装されて良いエレクトロクロミック移行の、多くの中で1つの例だけを示唆することが理解されるべきである。(上述の説明を含む)本明細書で特別の定めのない限り、色あせ‐着色移行に対して参照が行われるときはつねに、対応する素子またはプロセスは、非反射‐反射、透明‐不透明等他の光学状態移行を包含する。さらに、用語「色あせた」は、例えば、無着色、透明、または半透明等の光学的に中立な状態を指す。なおさらに、本明細書に特別の定めのない限り、エレクトロクロミック移行の「色」はいずれの特定の波長または波長の範囲に制限されない。当業者によって理解されるように、適切なエレクトロクロミック材料及び対電極材料の選択が関連する光学遷移を制限する。
【0035】
本明細書に説明される実施形態では、エレクトロクロミック素子は色あせた状態と着色状態の間で可逆的に循環する。ある場合には、素子が色あせた状態にあるとき、スタック内の利用可能なイオンがおもに対電極310に存在するようにエレクトロクロミックスタック320に電位が印加される。エレクトロクロミックスタックの電位が逆にされると、イオンはエレクトロクロミック材料306にイオン伝導性層308を横切って運ばれ、材料を着色状態に移行させる。同様にして、本明細書に説明される実施形態のエレクトロクロミック素子は異なる色合いレベル(例えば、色あせた状態、最も濃い着色状態、及び色あせた状態と最も濃い着色状態との間の中間レベル)の間で可逆的に循環できる。
【0036】
再び
図3Aを参照すると、電源316は放射センサ及び他の環境センサと連動して動作するように構成されて良い。本明細書に説明されるように、電源316は装置コントローラ(この図では図示されていない)とインタフェースで接続する。さらに、電源316は、時節、時刻、及び測定された環境条件等の多様な基準に従ってエレクトロクロミック素子を制御するエネルギー管理システムとインタフェースで接続して良い。係るエネルギー管理システムは、広域エレクトロクロミック素子(例えば、エレクトロクロミック窓)と連動して、建物のエネルギー消費を劇的に引き下げることができる。
【0037】
適切な光学特性、電気特性、熱的特性、及び機械特性を有するいかなる材料も基板302として使用されて良い。係る基板は、例えば、ガラス材料、プラスチック材料、及び鏡材を含む。適切なガラスは、ソーダ石灰フロートガラスを含む、透明なソーダ石灰ガラスまたは薄い色付きのソーダ石灰ガラスのどちらかを含む。ガラスは強化されていることもあれば、強化されていないこともある。
【0038】
多くの場合、基板は住宅用窓の用途の大きさに作られた窓ガラスである。係る窓ガラスのサイズは住宅の特定のニーズに応じて大きく変わることがある。その他の場合、基板は建築用ガラスである。建築用ガラスは、通常商業ビルで使用されるが、住宅用建物で使用されても良く、通常、屋外環境から屋内環境を分離するが、必ずしもこれに限定されるものではない。特定の実施形態では、建築用ガラスは少なくとも20インチかける20インチであり、例えば約80インチかける120インチほど大きい等、はるかに大きいことがある。建築用ガラスは通常少なくとも約2mmの厚さであり、通常約3mmと約6mmの間の厚さである。言うまでもなく、エレクトロクロミック素子は、建築用ガラスよりも小さいまたは大きい基板に拡大縮小可能である。さらに、エレクトロクロミック素子は、任意のサイズ及び形状の鏡の上に設けられて良い。
【0039】
基板302の上部には、導電層304がある。特定の実施形態では、導電層304及び314の一方または両方とも無機及び/または固形である。導電層304及び314は、導電性酸化物、薄い金属被覆、導電性金属窒化物、及び組合せ導体を含むいくつかの異なる材料から作られて良い。通常、導電層304及び314は、少なくともエレクトロクロミズムがエレクトロクロミック層によって示される波長の範囲内では透明である。透明な導電性酸化物は、金属酸化物及び1つまたは複数の金属を添加された金属酸化物を含む。係る金属酸化物及びドープ金属酸化物の例は、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、ドープ酸化インジウム、酸化スズ、ドープ酸化スズ、酸化亜鉛、アルミニウム酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ドープ酸化ルテニウム等を含む。酸化物は多くの場合これらの層に使用されるので、酸化物は「透明導電性酸化物(TCO)」層と呼ばれることがある。TCOと金属被覆の組合せだけではなく、実質的に透明である薄い金属被覆も使用されて良い。
【0040】
導電層の機能は、相対的にほとんど抵抗電位降下なく、スタックの内部領域に、エレクトロクロミックスタック320の表面上で電源316によって提供される電位を拡散することである。電位は導電層に対する電気接続を通して導電層に移される。いくつかの実施形態では、1本が導電層304と接触し、1本が導電層314と接触するバスバーが電源316と導電層304及び314との間に電気接続を提供する。導電層304及び314は、他の従来の手段を用いて電源316に接続されても良い。
【0041】
導電層304を覆っているのは、エレクトロクロミック層306である。いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック層306は無機及び/または固形である。エレクトロクロミック層は金属酸化物を含むいくつかの異なるエレクトロクロミック材料の内の任意の1つまたは複数を含んで良い。係る金属酸化物は、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化チタン(TiO2)、酸化銅(CuO)、酸化イリジウム(Ir2O3)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化マンガン(Mn2O3)、酸化バナジウム(V2O5)、酸化ニッケル(Ni2O3)、酸化コバルト(Co2O3)等を含む。動作中、エレクトロクロミック層306は光学遷移を引き起こすために対電極層310にイオンを移し、対電極層310からイオンを受け取る。
【0042】
概して、エレクトロクロミック材料の着色(または任意の光学特性‐例えば、吸光度、反射率、及び透過率‐の変化)は、材料への可逆イオン挿入(例えば、インターカレーション)及び電荷平衡電子の対応する注入によって引き起こされる。通常、光学遷移の原因となるイオンのなんらかの部分はエレクトロクロミック材料の中で不可逆的に拘束されている。不可逆的に拘束されたイオンのいくつかまたはすべては材料での「ブラインド電荷」を補償するために使用される。大部分のエレクトロクロミック材料では、適切なイオンはリチウムイオン(Li+)及び水素イオン(H+)(すなわち陽子)を含む。ただし、ある場合には、他のイオンが適切となる。多様な実施形態では、リチウムイオンは、エレクトロクロミック現象を生じさせるために使用される。リチウムイオンの酸化タングステンの中へのインターカレーション(WO3-y(0<y≦~0.3))は、酸化タングステンを透明(色あせた状態)から青(着色状態)に変化させる。
【0043】
再び
図3Aを参照すると、エレクトロクロミックスタック320で、イオン伝導性層308はエレクトロクロミック層306と対電極層310との間に挟まれる。いくつかの実施形態では、対電極層310は無機及び/または固形である。対電極層は、エレクトロクロミック素子が色あせた状態にあるときにイオンの貯留層として役立ついくつかの異なる材料の内の1つまたは複数を含んで良い。例えば適切な電位の印加によって開始されるエレクトロクロミック移行の間、対電極層は、対電極層が保持するイオンのいくらかまたはすべてをエレクトロクロミック層に移し、エレクトロクロミック層を着色状態に変更する。同時に、NiWOの場合、対電極層はイオンの損失で色づく。
【0044】
いくつかの実施形態では、WO3に対して補完的な対電極にとって適切な材料は酸化ニッケル(NiO)、酸化ニッケルタングステン(NiWO)、酸化ニッケルバナジウム、酸化ニッケルクロム、酸化ニッケルアルミニウム、酸化ニッケルマンガン、酸化ニッケルマグネシウム、酸化クロム(Cr2O3)、酸化マンガン(MnO2)、及びプルシアンブルーを含む。
【0045】
電荷が酸化ニッケルタングステン製の対電極310から除去される(つまり、イオンが対電極310からエレクトロクロミック層306に運ばれる)と、対電極層は透明な状態から着色状態に移行する。
【0046】
示されているエレクトロクロミック素子では、エレクトロクロミック層306と対電極層310との間に、イオン伝導性層308がある。イオン伝導性層308は、エレクトロクロミック素子が色あせた状態と着色状態との間で移行するときに(電解質のように)イオンが中を通って運ばれる媒質として働く。好ましくは、イオン伝導性層308は、エレクトロクロミック層及び対電極層にとって関連性のあるイオンに高伝導性であるが、無視できるほどの電子移動が通常の動作中に起こる十分に低い電子伝導性を有する。高いイオン伝導性を有する薄いイオン伝導性層は、高速イオン伝導、したがって高性能エレクトロクロミック素子のための高速切替えを可能にする。特定の実施形態では、イオン伝導性層308は無機及び/または固形である。
【0047】
(別個のIC層を有するエレクトロクロミック素子用の)適切なイオン伝導性層の例は、ケイ酸塩、酸化ケイ素、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化ニオブ、及びホウ酸塩を含む。これらの材料はリチウムを含む異なるドーパントを添加されて良い。リチウムが添加された酸化ケイ素は、リチウムケイ素‐アルミニウム‐酸化物を含む。いくつかの実施形態では、イオン伝導性層はケイ酸塩をベースにした構造を含む。いくつかの実施形態では、ケイ素‐アルミニウム‐酸化物(SiAlO)がイオン伝導性層308に使用される。
【0048】
エレクトロクロミック素子300は、1つまたは複数の不動態層等、1つまたは複数の追加層(不図示)を含んで良い。特定の光学特性を改善するために使用される不動態層は、エレクトロクロミック素子300に含まれて良い。水分またはひっかき抵抗性を提供するための不動態層もエレクトロクロミック素子300に含まれて良い。例えば、導電層は、反射防止用酸化物または保護酸化物または窒化物の層で処理されて良い。他の不動態層は、エレクトロクロミック素子300を密閉するために役立つことがある。
【0049】
図3Bは、色あせた状態の(または色あせた状態への移行中の)エレクトロクロミック素子の概略断面である。具体的な実施形態に従って、エレクトロクロミック素子400は、酸化タングステンエレクトロクロミック層(EC)406及び酸化ニッケルタングステン対電極層(CE)410を含む。エレクトロクロミック素子400は、基板402、導電層(CL)404、イオン伝導性層(IC)408、及び導電層(CL)414も含む。
【0050】
電源416は、導電層404及び414への適切な接続(例えばバスバー)を通してエレクトロクロミックスタック420に電位及び/または電流を印加するように構成される。いくつかの実施形態では、電源は、ある光学状態から別の光学状態への素子の移行を駆動するために数ボルトの電位を印加するように構成される。
図3Aに示される電位の極性は、イオン(この例ではリチウムイオン)が(破線矢印で示されるように)おもに酸化ニッケルタングステン対電極層410に存在するほどである。
【0051】
図3Cは、
図3Bに示されるが、着色状態(または着色状態に移行中の)エレクトロクロミック素子400の概略断面である。
図3Cでは、電源416の極性は逆にされ、これによりエレクトロクロミック層は追加のリチウムイオンを受け入れるためにより負にされ、それによって着色状態に移行する。破線矢印により示されるように、リチウムイオンはイオン伝導性層408を横切って酸化タングステンエレクトロクロミック層406に運ばれる。酸化タングステンエレクトロクロミック層406は、着色状態で示される。酸化ニッケルタングステン対電極410も着色状態で示される。説明されるように、酸化ニッケルタングステンは、それがリチウムイオンを放棄する(デインターカレーション(deintercalate)する)につれ、漸次的により不透明になる。この例では、両方の層406及び410の着色状態への移行がスタック及び基板を通して透過される光の量の削減に対して付加的である相乗効果がある。
【0052】
上述されたように、エレクトロクロミック素子は、イオンに対して高伝導性であり、電子に対して高抵抗性であるイオン伝導性(IC)層によって分離されるエレクトロクロミック(EC)電極層及び対電極(CE)層を含んで良い。したがって、従来理解されるように、イオン伝導性層はエレクトロクロミック層と対電極層との間の短絡を防ぐ。イオン伝導性層は、エレクトロクロミック電極及び対電極が電荷を保持し、それによってその色あせた状態または着色状態を維持できるようにする。別個の層を有するエレクトロクロミック素子では、構成要素が、エレクトロクロミック電極層と対電極層との間に挟まれたイオン伝導性層を含むスタックを形成する。これらの3つのスタック構成要素間の境界は組成及び/または微細構造の急激な変化によって画定される。したがって、素子は2つの急激な界面がある3つの別個の層を有する。
【0053】
特定の実施形態に従って、対電極及びエレクトロクロミック電極は互いに直接隣接して形成され、イオン伝導性層を別々に付着することなく、直接的に接触することもある。いくつかの実施形態では、別個のIC層よりむしろ界面領域を有するエレクトロクロミック素子が利用される。係る素子及び係る素子を製作する方法は、2010年4月30日に出願された米国特許第8,300,298号及び米国特許出願第12/772,075号、並びに2010年6月11日に出願された米国特許出願第12/814,277号及び第12/814,279号に説明される‐3つの特許出願及び特許のそれぞれが「Electrochormic Devices」と題され、それぞれがZhongchun Wangらを発明者として指名し、それぞれが参照することによりその全体として本明細書に組み込まれる。
【0054】
II.窓コントローラ
窓コントローラは、エレクトロクロミック窓のエレクトロクロミック素子の色合いレベルを制御するために使用される。いくつかの実施形態では、窓コントローラは2つの色合い状態(レベル)、つまり色あせた状態と着色状態との間でエレクトロクロミック窓を移行することができる。他の実施形態では、コントローラは中間色合いレベルに(例えば、単一のエレクトロクロミック素子を有する)エレクトロクロミック窓をさらに移行できる。いくつかの開示された実施形態では、窓コントローラは、4つ以上の色合いレベルにエレクトロクロミック窓を移行できる。特定のエレクトロクロミック窓は、各ライトが2状態ライトである単一のIGUで2つ(以上の)エレクトロクロミックライトを使用することによって中間色合いレベルを可能にする。これは、本項で
図2A及び
図2Bを参照して説明される。
【0055】
図2A及び
図2Bに関して上述されるように、いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック窓は、IGU200の一方のライト上にエレクトロクロミック素子400を、IGU200の他方のライト上に別のエレクトロクロミック素子400を含むことがある。窓コントローラが2つの状態、つまり色あせた状態と着色状態との間で各エレクトロクロミック素子を移行できる場合、エレクトロクロミック窓は4つの異なる状態(色合いレベル)、つまり両方のエレクトロクロミック素子とも着色されている着色状態、一方のエレクトロクロミック素子が着色されている第1の中間状態、他方のエレクトロクロミック素子が着色されている第2の中間状態、及び両方のエレクトロクロミック素子とも色あせている色あせた状態を達成できる。マルチペインエレクトロクロミック窓の実施形態は、参照することによりその全体として本明細書に組み込まれる、「MULTI-PANE ELECTROCHROMIC WINDOWS」と題する、Robin Friedmanらを発明者として指名する米国特許第8,270,059号にさらに説明される。
【0056】
いくつかの実施形態では、窓コントローラは2つ以上の色合いレベルの間で移行できるエレクトロクロミック素子を有するエレクトロクロミック窓を移行できる。例えば、窓コントローラはエレクトロクロミック窓を色あせた状態、1つまたは複数の中間レベル、及び着色状態に移行できて良い。いくつかの他の実施形態では、窓コントローラは色あせた状態と着色状態の間の任意の数の色合いレベルの間にエレクトロクロミック素子を組み込むエレクトロクロミック窓を移行できる。1つまたは複数の中間色合いレベルにエレクトロクロミック窓を移行するための方法及びコントローラの実施形態は、参照することによりその全体として本明細書に組み込まれる、「CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES」と題する、発明者としてDisha Mentaniらを指名する米国特許第8,254,013号にさらに説明される。
【0057】
いくつかの実施形態では、窓コントローラはエレクトロクロミック窓内の1つまたは複数のエレクトロクロミック素子に電力を供給できる。通常、窓コントローラのこの機能は以下により詳細に説明される1つまたは複数の他の機能で増強される。本明細書に説明される窓コントローラは、それが制御のために関連付けられるエレクトロクロミック素子に電力を供給する機能を有する窓コントローラに限られない。すなわち、エレクトロクロミック窓用の電源は、コントローラが専用の電源を有し、窓電源から窓に電力の適用を向ける窓コントローラとは別個であって良い。しかしながら、窓コントローラを有する電源を含み、コントローラを窓に直接的に電力を供給するように構成することは、それがエレクトロクロミック窓に電力を供給するための別個の配線の必要性を取り除くため便利である。
【0058】
さらに、本項で説明される窓コントローラは、建物制御ネットワークまたは建物管理システム(BMS)に窓コントローラを統合することなく単一の窓または複数のエレクトロクロミック窓の機能を制御するように構成されて良いスタンドアロンコントローラとして説明される。ただし、窓コントローラは、本開示の建物管理システムの項にさらに説明されるように、建物制御ネットワークまたはBMSの中に統合されても良い。
【0059】
図4は、窓コントローラ450のいくつかの構成要素、及び開示されている実施形態の窓コントローラシステムの他の構成要素のブロック図を示す。
図4は窓コントローラの簡略化されたブロック図であり、窓コントローラに関するより多くの詳細は、そのすべてが参照することによりその全体として本明細書に組み込まれる、ともにStephan Brownを発明者として指名し、ともに「CONTROLLER FOR OPTICALLY SWITCHABLE WINDOWS」と題し、ともに2012年4月17日に出願される米国特許出願第13/449,248号及び第13/449,251号に、並びに「CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES」と題し、Stephan Brownを発明者として指名し、2012年4月17日に出願された米国特許第13/449,235号に記載されている。
【0060】
図4では、窓コントローラ450の示されている構成要素は、マイクロプロセッサ455または他のプロセッサ、パルス幅変調器460、信号調整モジュール465、及び構成ファイル475を有するコンピュータ可読媒体(例えばメモリ)を有する窓コントローラ450を含む。窓コントローラ450は、1つまたは複数のエレクトロクロミック素子400に命令を送信するために、ネットワーク480(有線または無線)を通してエレクトロクロミック窓の1つまたは複数のエレクトロクロミック素子400と電子通信する。いくつかの実施形態では、窓コントローラ450は、ネットワーク(有線または無線)を通してマスタ窓コントローラに通信する局所窓コントローラであって良い。
【0061】
開示されている実施形態では、建物は建物の外部と内部の間にエレクトロクロミック窓を有する少なくとも1部屋を有して良い。1つまたは複数のセンサは、建物の外部に対して及び/または部屋の内部に位置して良い。実施形態では、1つまたは複数のセンサからの出力は窓コントローラ450の信号調整モジュール465に入力されて良い。ある場合には、1つまたは複数のセンサからの出力は、建物管理システムの項にさらに説明されるようにBMSに入力されて良い。示されている実施形態のセンサは建物の外側垂直壁に位置するとして示されているが、これは簡略にするためであり、センサは部屋の内部または外部に対する他の表面上等、他の場所にあっても良い。ある場合には、2つ以上のセンサは同じ入力を測定するために使用されて良く、このことが1つのセンサが故障する、またはそれ以外の場合、間違った測定値を有する場合に冗長性を提供できる。
【0062】
図5は、少なくとも1つのエレクトロクロミック素子を有するエレクトロクロミック窓505を有する部屋500の概略(側面)図である。エレクトロクロミック窓505は、部屋500を含む建物の外部と内部との間に位置する。また、部屋500はエレクトロクロミック窓505に接続され、エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを制御するように構成された窓コントローラ450も含む。外部センサ510は建物の外部の垂直表面に位置する。他の実施形態では、部屋500内の周囲光を測定するために内部センサも使用されて良い。さらに他の実施形態では、いつ占有者が部屋500にいるのかを判断するために、占有者センサも使用されて良い。
【0063】
外部センサ510は、太陽等の光源から、または表面、大気中の粒子、雲等からセンサに反射される光から流れる素子に入射する放射光を検出できる、光検出器等の素子である。外部センサ510は光電効果から生じる電流の形をとる信号を生成して良く、信号はセンサ510に入射する光の関数であって良い。ある場合には、素子はワット/m2の単位でまたは他の類似した単位で放射照度に関して放射光を検出して良い。その他の場合、装置はフートキャンドルの単位でまたは類似する単位で波長の可視範囲で光を検出して良い。多くの場合、放射照度のこれらの値及び可視光の間には直線関係がある。
【0064】
太陽光からの放射照度の値は、太陽光が地面に当たる角度が変化するので、時刻及び時節に基づいて予測できる。外部センサ510はリアルタイムで放射光を検出することができ、このことが建物、天気の変化(例えば雲)等に起因する反射された光及び妨害された光の説明となる。例えば、曇りの日には、太陽光は雲によって遮られ、外部センサ510によって検出される放射光は雲のない日においてよりも低くなるだろう。
【0065】
いくつかの実施形態では、単一のエレクトロクロミック窓505と関連付けられた1つまたは複数の外部センサ510があって良い。1つまたは複数の外部センサ510からの出力は、例えば、外部センサ510の内の1つが、例えば外部センサ510の上に着地した鳥によって等、物体によって影を付けられるかどうかを判断するために互いに比較できるだろう。ある場合には、いくつかのセンサは信頼できない及び/または高価である場合があるため、建物内のセンサを相対的にほとんど使用しないことが望ましい場合がある。特定の実装では、単一のセンサまたは数台のセンサが、建物または建物のおそらく1つの側面に当たる太陽からの放射光の現在のレベルを決定するために利用されて良い。雲は太陽の前を通過することがある、または建設車両が沈みかけた太陽の前に駐車することがある。これらは通常建物に当たると計算される日光の放射光の量からの逸脱を生じさせる。
【0066】
外部センサ510は、一種の光検出器であって良い。例えば、外部センサ510は、電荷結合素子(CCD)、フォトダイオード、フォトレジスタ、または太陽電池であって良い。当業者は、光検出器及び他のセンサは光輝度を測定し、光レベルを表す電気出力を提供するので、光検出器及び他のセンサの技術での将来の進展も機能することを理解するだろう。
【0067】
いくつかの実施形態では、外部センサ510からの出力は、信号調整モジュール465に入力されて良い。入力は、信号調整モジュール465への電圧信号の形をとって良い。信号調整モジュール465は窓コントローラ450に出力信号を渡す。窓コントローラ450は、構成ファイル475からの多様な情報、信号調整モジュール465からの出力、オーバーライド値に基づいてエレクトロクロミック窓505の色合いレベルを決定する。窓コントローラ450は次いでPWM460に、エレクトロクロミック窓505に電圧及び/または電流を印加して所望されるレベルに移行するように命令する。
【0068】
開示されている実施形態では、窓コントローラ450はPWM460に、エレクトロクロミック窓505に電圧及び/または電流を印加してエレクトロクロミック窓505を4つ以上の異なる色合いレベルの内の任意の1つに移行するように命令できる。開示されている実施形態では、エレクトロクロミック窓505は、0(最も明るい)、5、10、15、20、25、30、及び35(最も暗い)として説明される少なくとも8つの異なる色合いレベルに移行できる。色合いレベルは、エレクトロクロミック窓505を通して透過される光の可視透過率値及び太陽熱利得係数(SHGC)値に線状に相当して良い。例えば、上記の8つの色合いレベルを使用すると、0の最も明るい色合いレベルは0.80のSHGC値に相当して良く、5の色合いレベルは0.70のSHGC値に相当して良く、10の色合いレベルは0.60のSHGC値に相当して良く、15の色合いレベルは0.50のSHGC値に相当して良く、20の色合いレベルは0.40のSHGC値に相当して良く、25の色合いレベルは0.30のSHGC値に相当して良く、30の色合いレベルは0.20のSHGC値に相当して良く、35(最も暗い)の色合いレベルは0.10のSHGC値に相当して良い。
【0069】
窓コントローラ450または窓コントローラ450と通信するマスタコントローラは、外部センサ510からの信号及び/または他の入力に基づいて所望される色合いレベルを決定するために任意の1つまたは複数の予測制御論理構成要素を利用して良い。窓コントローラ450は、PWM460にエレクトロクロミック窓505に電圧及び/または電流を印加してエレクトロクロミック窓505を所望される色合いレベルに移行するように命令できる。
【0070】
III.予測制御論理の例
開示されている実施形態では、予測制御論理は、エレクトロクロミック窓505または占有者の快適さ及び/またはエネルギー節約の考慮点の説明となる他の色合い付与可能窓の所望される色合いレベルを決定し、制御する方法を実装するために使用される。予測制御論理は、1つまたは複数の論理モジュールを利用して良い。
図6A~
図6Cは、開示されている実施形態の例示的な制御論理の3つの論理モジュールA、B、及びCのそれぞれによって収集されるなんらかの情報を示す図を含む。
【0071】
図6Aは、部屋500を含む建物の内部と外部との間のエレクトロクロミック窓505を通して部屋500の中に入射する直射日光の侵入深さを示す。侵入深さは直射日光がどの程度遠くまで部屋500の中に浸透するのかの基準である。示されるように、侵入深さは窓505の敷居(底部)から水平方向に離れて測定される。概して、窓は直射日光に受光角を提供する開口を画定する。侵入深さは、窓の幾何学形状(例えば、窓の寸法)、部屋の中での窓の位置及び向き、窓の外部のあらゆるひれ状部または他の外部日よけ、並びに太陽の位置(例えば、特定の時刻及び日付の直射日光の角度)に基づいて計算される。エレクトロクロミック窓505に対する外部日よけは、オーバーハング、ひれ状部等の窓を遮ることができる任意のタイプの構造によって良い。
図6Aでは、エレクトロクロミック窓505の上方に、直射日光の一部分が部屋500の中に進入するのを阻止し、このようにして侵入深さを短くするオーバーハング520がある。また、部屋500はエレクトロクロミック窓505に接続され、エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを制御するように構成された局所窓コントローラ450も含む。外部センサ510は、建物の外部の垂直平面に位置する。
【0072】
モジュールAは、エレクトロクロミック窓505を通って占有者または占有者の活動領域の上に入射する直射日光による占有者の快適さを考慮する色合いレベルを決定するために使用できる。色合いレベルは、部屋の中に入射する直射日光の計算された侵入深さ、及び特定の瞬間での室内の空間タイプ(例えば、窓に近い机、ロビー等)に基づいて決定される。ある場合には、色合いレベルは、部屋の中への十分な採光を提供することに基づいても良い。多くの場合、侵入深さは、ガラス転移時間(窓が例えば所望される色合いレベルの80%、90%、または100%まで色合いが付くのに要する時間)を説明するための未来のときに計算される値である。モジュールAで対応される問題は、直射日光が室内の机または他の作業面で作業している占有者に直接的に見えるようになるほど深く部屋500の中に浸透することがある点である。公に利用できるプログラムは、太陽の位置の計算を提供し、侵入深さの容易な計算を可能にできる。
【0073】
また、
図6Aは活動領域(つまり、机)及び活動領域の場所(つまり机の場所)に関連付けられた空間タイプの例として部屋500内の机も示す。各空間タイプは占有者の快適さのために異なる色合いレベルと関連付けられる。例えば、活動が机またはコンピュータで行われている事務所での仕事等の重大な活動であり、机が窓の近くに位置する場合、所望される色合いレベルは、机が窓からさらに離れている場合よりも高くなることがある。別の例として、活動が、ロビーでの活動等、重大ではない場合、所望される色合いレベルは机を有する同じ空間の場合よりも低くて良い。
【0074】
図6Bは、エレクトロクロミック窓505を通して部屋500に進入する、晴天の条件下での直射日光及び放射を示す。放射は大気中の分子及び粒子によって散乱された太陽光からであって良い。モジュールBは、検討中のエレクトロクロミック窓505を通って流れる晴天条件下での放射照度の予測値に基づいて色合いレベルを決定する。オープンソースRADIANCEプログラム等の多様なソフトウェアが、特定の緯度、経度、時節、及び時刻での、並びに所与の窓の向きの晴天放射照度を予測するために使用できる。
【0075】
図6Cは、建物等の物体または晴天予測では説明されない気象条件(例えば雲)によって妨害されるまたは物体から反射される光の説明となるために外部センサ510によってリアルタイムで測定される窓からの放射光を示す。モジュールCによって決定される色合いレベルは、外部センサ510によって採取される測定値に基づいたリアルタイム放射照度に基づく。
【0076】
予測制御論理は、建物内のエレクトロクロミック窓505ごとに別々に論理モジュールA、B、及びCの内の1つまたは複数を実装して良い。各エレクトロクロミック窓505は、寸法、向き(例えば、垂直、水平、ある角度で傾斜)、位置、関連付けられた空間タイプ等の一意のセットを有することがある。この情報及び他の情報を有する構成ファイルは、エレクトロクロミック窓505ごとに維持できる。構成ファイル475(
図4を参照)は、エレクトロクロミック窓505の局所窓コントローラ450のコンピュータ可読媒体470の中に、または本開示で下記に説明される建物管理システム(「BMS」)の中に記憶されて良い。構成ファイル475は、窓の構成、占有率ルックアップテーブル、関連付けられたデータムガラスについての情報、及び/または予測制御論理によって使用された他のデータ等の情報を含むことがある。窓の構成はエレクトロクロミック窓505の寸法、エレクトロクロミック窓505の向き、エレクトロクロミック窓505の位置等の情報を含んで良い。
【0077】
ルックアップテーブルは、特定の空間タイプ及び侵入深さの場合に占有者の快適さを提供する色合いレベルを説明する。すなわち、占有率ルックアップテーブルの色合いレベルは、占有者(複数の場合がある)または占有者の作業空間に対する直射日光から部屋500の中にいることがある占有者(複数の場合がある)に快適さを提供するように設計される。占有率ルックアップテーブルの例は
図10に示される。
【0078】
空間タイプは、所与の侵入深さの場合に占有者の快適さの懸念に対応する、及び/または室内で快適な自然採光を提供するためにどの程度多くの色合いが必要とされるのかを判断するための基準である。空間タイプパラメータは、多くの要因を考慮に入れて良い。これらの要因の中には特定の部屋及び活動の場所において実施されている作業または他の活動のタイプがある。大きな注目を要する詳細な研究と関連付けられた密接な作業は、1つの空間タイプにおいてである可能性がある。一方、ラウンジまたは会議室は異なる空間タイプを有する可能性がある。さらに、窓に対する室内の机または他の作業面の位置は、空間タイプを定義する上での考慮点である。例えば、空間タイプはエレクトロクロミック窓505の近くに位置する机または他の作業面を有する単一の占有者の事務所と関連付けられて良い。別の例として、空間タイプはロビーであって良い。
【0079】
特定の実施形態では、予測制御論理の1つまたは複数のモジュールが占有者の快適さに加えてエネルギー節約の説明となりつつ、所望される色合いレベルを決定できる。これらのモジュールは特定の色合いレベルと関連付けられたエネルギー節約を、その色合いレベルでのエレクトロクロミック窓505の性能をデータムガラスまたは他の標準的な基準窓と比較することによって決定して良い。この基準窓を使用する目的は、予測制御論理が地方自治体の建築基準法の要件または建物の場所で使用される基準窓の他の要件に適合していることを保証することである場合がある。多くの場合、地方自治体は、建物での空調負荷の量を制御するために従来の低放射率ガラスを使用し、基準窓を定義する。基準窓505がどのようにして予測制御論理に適合するのかの例として、論理は、所与のエレクトロクロミック窓505を通して入ってくる放射照度がそれぞれの地方自治体によって規定される基準窓を通って入ってくる最大放射照度を絶対に超えないように設計されて良い。開示されている実施形態では、予測制御論理は、色合いレベルを使用することのエネルギー節約を決定するために、特定の色合いレベルでのエレクトロクロミック窓505の太陽熱利得係数(SHGC)及び基準窓のSHGCを使用して良い。概して、SHGCの値は窓を通って透過されるすべての波長の入射光の部分である。データムガラスは多くの実施形態で説明されているが、他の標準的な基準窓を使用できる。概して、基準窓(例えば、データムガラス)のSHGCは、異なる地理的場所及び窓の向きについて異なることがある変数であり、それぞれの地方自治体によって規定される条例の要件に基づいている。
【0080】
概して、建物は任意の瞬間に必要とされる最大予想暖房負荷及び/または空調負荷を達成するための能力を有する暖房・換気及び空調システム(「HVAC」)を有するように設計される。必要とされる能力の計算は、建物が建設されている特定の場所での建物内で必要とされるデータムガラスまたは基準窓を考慮に入れて良い。したがって、予測制御論理が、建物の設計者が特定の建物の中にどの程度多くのHVAC能力を入れるのかを自信をもって判断できるようにするためにデータガラスの機能要件を満たすまたは超えることが重要である。予測制御論理は窓に色合いを付与してデータムガラスを超える追加のエネルギー節約を提供するために使用できるので、予測制御論理は、建物の設計者が条例及び規格によって規定されるデータムガラスを使用し、必要とされるだろうよりもより低いHVAC能力を有することができるようにする上で役立つだろう。
【0081】
本明細書で説明される特定の実施形態は、エネルギー節約が建物内の空調負荷を削減することによって達成されると仮定する。したがって、実装の多くは、占有者の快適さレベル及びおそらく検討中の窓を有する室内の照明負荷の説明となる一方で、最大可能色合い付与を達成しようと試みる。しかしながら、極北での気候及び南部の緯度の気候等のいくつかの気候では、暖房は空調よりも懸念となることがある。したがって、予測制御論理は修正、具体的にはいくつかの事柄でロードリバース(road reverse)することができ、これにより建物の暖房負荷が削減されることを保証するためにより少ない色合い付与が発生する。
【0082】
特定の実装では、予測制御論理は、占有者(エンドユーザー)、建物設計者、または建物運営者)によって制御できる2つの独立変数を有するだけである。これらは所与の窓及び所与の窓と関連付けられたデータムガラスの空間タイプである。多くの場合、データムガラスは、予測制御論理が所与の建物について実装されるときに指定される。空間タイプは変わることがあるが、通常静的である。特定の実装では、空間タイプは、建物によって維持されるまたは局所窓コントローラ450に記憶される構成ファイルの部分であって良い。ある場合には、構成ファイルは建物内での多様な変化の説明となるために更新されて良い。例えば、建物内の空間タイプに変化がある場合(例えば、事務所で移動された机、机の追加、事務所区域に変更されたロビー、移動された壁等)、修正された占有率ルックアップテーブルを有する更新された構成ファイルはコンピュータ可読媒体470に記憶されて良い。別の例として、占有者が繰り返しマニュアルオーバーライドをヒットしている場合、次いで構成ファイルはマニュアルオーバーライドを反映するために更新されて良い。
【0083】
図7は、実施形態に従って建物内の1つまたは複数のエレクトロクロミック窓505を制御する方法のための予測制御論理を示すフローチャートである。予測制御論理は、窓(複数の場合がある)の色合いレベルを計算するためにモジュールA、B、及びCの内の1つまたは複数を使用し、窓(複数の場合がある)を移行する命令を送信する。制御論理における計算は、ステップ610でタイマにより計時された間隔で1回~n回実行される。例えば、色合いレベルはモジュールA、B、及びCの内の1つまたは複数によって1回からn回再計算し、時間t
i=t
1、t
2...t
nのインスタンスについて計算できる。nは実行された再計算の数であり、nは少なくとも1であることがある。論理計算は、ある場合には一定の時間間隔で行うことができる。ある場合、論理計算は2分~5分おきに行われて良い。しかしながら、大きいエレクトロクロミックガラス(例えば、最高で6'x10フィートまで)の色合い移行は最高で30分以上要することがある。これらの大きい窓の場合、計算は30分毎等のより少ない頻度で行われて良い。
【0084】
ステップ620で、論理モジュールA、B、及びCは、時間tiの一瞬での各エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを決定するために計算を実行する。これらの計算は窓コントローラ450によって実行できる。特定の実施形態では、予測制御論理は、窓が実際の移行よりも先にどの程度移行する必要があるのかを予測計算する。これらの場合、モジュールA、B、及びCでの計算は、移行が完了する頃または移行が完了した後の未来時に基づくことがある。これら場合、計算に用いられる未来時は、色合い命令を受信後に移行を完了できるようにするのに十分である未来の時間であって良い。これらの場合、コントローラは実際の移行よりも先に現在の時間で色合い命令を送信できる。移行の完了までに、窓はその時間のために所望される色合いレベルに移行しているだろう。
【0085】
ステップ630で、予測制御論理は、モジュールA、B、及びCでアルゴリズムを切り離し、なんらかの他の考慮点に基づいてステップ640でオーラ―ライド色合いレベルを定める特定のタイプのオーバーライドを可能にする。1つのタイプのオーバーライドはマニュアルオーバーライドである。これは、部屋を占有しており、特定の色合いレベル(オーバーライド値)が望ましいと判断するエンドユーザーによって実装されるオーバーライドである。ユーザーのマニュアルオーバーライドがそれ自体オーバーライドされる状況があり得る。オーバーライドの例は、建物内のエネルギー消費が削減される旨のユーティリティの要件と関連付けられる高需要(つまりピーク負荷)オーバーライドである。例えば、大都市圏での特に暑い日には、地方自治体のエネルギー生成システム及びエネルギー送達システムに過度に課税しないために地方自治体全体でエネルギー消費を削減することが必要な場合がある。係る場合、建物は、すべての窓が特に高レベルの色合い付与を有することを保証するために、本明細書に説明される予測制御論理から色合いレベルをオーバーライドして良い。オーバーライドの別の例は、商業オフィスビルにおける例えば週末に部屋に占有者がいない場合であることがある。これらの場合、建物は、占有者の快適さに関係する1つまたは複数のモジュールを切り離して良く、すべての窓は寒冷な気候では高レベルの色合い付与、及び温暖な気候では低レベルの色合い付与を有して良い。
【0086】
ステップ650で、色合いレベルは建物内の1つまたは複数のエレクトロクロミック窓505のエレクトロクロミック素子(複数の場合がある)にネットワークを介して送信される。特定の実施形態では、色合いレベルの建物のすべての窓への送信は、効率を考慮して実施されて良い。例えば、色合いレベルの再計算が、現在の色合いレベルからの色合いの変化が必要とされていないことを示唆する場合、次いで更新された色合いレベルを有する命令の送信はない。別の例として、建物は窓のサイズに基づいてゾーンに分けられて良い。予測制御論理は、より小さい窓を有するゾーンの色合いレベルを、より大きい窓を有するゾーンに対してよりもより頻繁に再計算して良い。
【0087】
いくつかの実施形態では、建物全体での複数のエレクトロクロミック窓505のための制御方法を実装するための
図7の論理は、例えば単一マスタ窓コントローラ等、単一の装置上にあることがある。この装置は建物内のありとあらゆる色合い付与可能窓に計算を実行し、例えばマルチゾーン窓の、または断熱ガラスユニットの複数のECライト上の個々のエレクトロクロミック窓505で1つまたは複数のエレクトロクロミック素子に色合いレベルを送信するためのインタフェースも提供できる。マルチゾーン窓のいくつかの例は参照することによりその全体として本明細書に組み込まれる、「MULTI‐ZONE EC WINDOWS」と題する、PCT出願第PCT/US14/71314号に記載されている。
【0088】
また、実施形態の予測制御論理の特定の適応構成要素があることもある。例えば、予測制御論理は、エンドユーザー(例えば、占有者)がどのようにして日の特定の時刻でのアルゴリズムをオーバーライドしようと試み、所望される色合いレベルを決定するためにより予測的にこの情報を利用するのかを決定して良い。ある場合、エンドユーザーが毎日特定の時刻での予測論理によって提供される色合いレベルをオーバーライド値にオーバーライドするために壁面スイッチを使用していることがある。予測制御論理はこれらのインスタンスについての情報を受信し、その時刻でのオーバーライド値に色合いレベルを変更するために予測制御論理を変更して良い。
【0089】
図8は、
図7からのブロック620の特定の実装を示す図である。この図は、時間t
iでの一瞬の特定のエレクトロクロミック窓505の最終色合いレベルを計算するために順に3つすべてのモジュールA、B、及びCを実行する方法を示す。最終色合いレベルは検討中の窓の最大許容透過率であって良い。また、
図8は、モジュールA、B、及びCのいくつかの例示的な入力及び出力も含む。モジュールA、B、及びCの計算は実施形態の局所窓コントローラ450の窓コントローラ450によって実行される。他の実施形態では、モジュールの1つまたは複数は別のプロセッサによって実行できる。示されている実施形態は使用されている3つすべてのモジュールA、B、及びCを示しているが、他の実施形態はモジュールA、B、及びCの1つまたは複数を使用して良い、または追加のモジュールを使用して良い。
【0090】
ステップ700で、窓コントローラ450はモジュールAを使って占有者の快適さのために色合いレベルを決定し、部屋500に浸透する日光による直接グレアを防ぐ。窓コントローラ450は、空における太陽の位置及び構成ファイルからの窓構成に基づいて部屋500の中へ入射する直射日光の侵入深さを計算するためにモジュールAを使用する。太陽の位置は建物の緯度及び経度、並びに時刻並びに日付に基づいて計算される。占有率ルックアップテーブル及び空間タイプは、特定の窓のために構成ファイルから入力される。モジュールAはAからの色合いレベルをモジュールBに出力する。
【0091】
モジュールAの目標は、直射日光またはグレアが占有者または占有者の作業空間に当たらないことを保証することである。モジュールAからの色合いレベルがこの目的を達成するために決定される。モジュールB及びCでの色合いレベルの以後の計算はエネルギー消費を削減することがあり、より大きい色合いを必要とすることがある。ただし、エネルギー消費に基づいた色合いレベルの以後の計算が、占有者に干渉することを回避するために必要とされるよりも少ない色合い付与を示唆する場合、予測論理は占有者の快適さを保証するために、計算されたより大きいレベルの透過率が実行されることを防ぐ。
【0092】
ステップ800で、モジュールAで計算された色合いレベルはモジュールBに入力される。色合いレベルは晴天条件の下の放射照度(晴天放射照度)の予測に基づいて計算される。窓コントローラ450は、構成ファイルからの窓の向きに基づいて、並びに建物の緯度及び経度に基づいてエレクトロクロミック窓505の晴天放射照度を予測するためにモジュールBを使用する。これらの予測は時刻及び日付にも基づいている。オープンソースプログラムであるRADIANCEプログラム等の公に利用できるソフトウェアは、晴天放射照度を予測するための計算を提供する。データムガラスのSHGCも構成ファイルからモジュールBに入力される。窓コントローラ450は、Aでの色合いレベルよりも暗い色合いレベルを決定するためにモジュールBを使用し、最大晴天放射照度の下で伝達することが予測されるデータムガラスよりも少ない熱を伝達する。最大晴天放射照度は、晴天条件について予測されるすべてのときの最高レベルの放射照度である。
【0093】
ステップ900で、Bからの色合いレベル及び予測された晴天放射照度がモジュールCに入力される。リアルタイム放射照度値は外部センサ510からの測定値に基づいてモジュールCに入力される。窓コントローラ450は、窓が晴天条件下でのモジュールBからの色合いレベルまで色合いを付与される場合に部屋の中に透過される放射照度を計算するためにモジュールCを使用する。窓コントローラ450は、この色合いレベルの窓を通した実際の放射照度がモジュールBからの色合いレベルの窓を通した放射照度以下である適切な色合いレベルを見つけるためにモジュールCを使用する。モジュールCで決定された色合いレベルは最終色合いレベルである。
【0094】
予測制御論理に入力される情報の多くは、緯度及び経度、時刻、並びに日付についての固定情報から決定される。この情報は、太陽が建物に対して、及びより詳細には予測制御論理が実装されている窓に対してどこにあるのかを説明する。窓に対する太陽の位置は、窓で支援される部屋の中に入射する直射日光の侵入深さ等の情報を提供する。また、窓に対する太陽の位置は、最大放射照度または窓を通って入ってくる放射エネルギー束の表示も提供する。放射照度のこの計算されたレベルは、最大量の放射照度からの減少があることを示す可能性があるセンサ入力によって修正できる。再び、係る減少は雲または窓と太陽との間の他の障害物によって引き起こされる可能性がある。
【0095】
図9は、
図8のステップ700の詳細を示すフローチャートである。ステップ705で、モジュールAは開始する。ステップ710で、窓コントローラ450は建物の緯度座標及び経度座標、並びに日付及び時間の特定の瞬間t
iの時刻のための太陽の位置を計算するためにモジュールAを使用する。緯度座標及び経度座標は、構成ファイルから入力されて良い。日付及び時刻はタイマによって提供される現在時刻に基づいて良い。太陽の位置は、ある場合には未来であることがある時間の特定の瞬間t
iで計算される。他の実施形態では、太陽の位置は予測制御論理の別の成分(例えば、モジュール)で計算される。
【0096】
ステップ720で、窓コントローラ450は、ステップ710で使用された時間の特定の瞬間で部屋500の中に入射する直射日光の侵入深さを計算するためにモジュールAを使用する。モジュールAは、太陽の計算された位置、並びに窓の位置、窓の寸法、窓の向き(つまり、向いている方向)、及び任意の外部日よけの詳細を含む窓構成情報に基づいて侵入深さを計算する。窓構成情報はエレクトロクロミック窓505と関連付けられた構成ファイルから入力される。例えば、モジュールAは、時間の特定の瞬間に計算された太陽の位置に基づいて直射日光の角度θを最初に計算することによって、
図6Aに示される垂直窓の侵入深さを計算するために使用できる。侵入深さは計算された角度θ及びまぐさ(窓の上部)の場所に基づいて決定できる。
【0097】
ステップ730で、ステップ720で計算された侵入深さに占有者の快適さを提供する色合いレベルが決定される。占有率ルックアップテーブルは、窓と関連付けられた空間タイプにとって、計算された侵入深さにとって、及び窓の受光角にとって所望される色合いレベルを見つけるために使用される。空間タイプ及び占有率ルックアップテーブルは、特定の窓の構成ファイルからの入力として提供される。
【0098】
占有率ルックアップテーブルの例は
図10に示される。表の値は色合いレベル及び括弧に入れられた関連SHGCの値を単位としている。
図10は、計算された侵入深さ値及び空間タイプの異なる組合せの異なる色合いレベル(SHGC値)を示す。表は0(最も明るい)、5、10、15、20、25、30、及び35(最も明るい)を含む8つの色合いレベルに基づいている。0の最も明るい色合いレベルは0.80のSHGC値に相当し、5の色合いレベルは0.70のSHGC値に相当し、10の色合いレベルは0.60のSHGC値に相当し、15の色合いレベルは0.50のSHGC値に相当し、20の色合いレベルは0.40 のSHG レベルは0.30のSHGC値に相当し、30の色合いレベルは0.20のSHGC値に相当し、35(最も暗い)の色合いレベルは0.10のSHGC値に相当する。示されている例は、3つの空間タイプ、つまり机1、机2、及びロビー、並びに6つの侵入深さを含む。
図11Aは部屋500内の机1の場所を示す。
図11Bは部屋500内の机2の場所を示す。
図10の占有率ルックアップテーブルに示されるように、窓に近い机1の色合いレベルは、机が窓により近いときにグレアを防ぐために、窓から遠い机2の色合いレベルよりも高い。他の値を有する占有率ルックアップテーブルは、他の実施形態で使用されて良い。例えば、1つの他の占有率ルックアップテーブルは、浸透値と関連付けられた4つの色合いレベルだけを含んで良い。4つの侵入深さと関連付けられた4つの色合いレベルを有する占有率テーブルの別の例は、
図20に示される。
【0099】
図12は、
図8のステップ800の追加詳細を示す図である。ステップ805で、モジュールBは開始する。ステップ810で、モジュールBは、t
iで晴天条件下の窓で放射照度を予測するために使用できる。t
iでのこの晴天放射照度は、建物の緯度座標及び経度座標、並びに窓の向き(つまり、窓が向いている方向)に基づいて予測される。ステップ820で、つねに窓に入射する最大晴天放射照度が予測される。これらの晴天放射照度の予測値は、Radiance等のオープンソースソフトウェアを使用し、計算できる。
【0100】
ステップ830で、窓コントローラ450は、そのときに部屋500の中にデータムガラスを通って透過されるだろう放射照度の最大量を決定するためにモジュールBを使用する(つまり、最大データム内側放射照度を決定する)。ステップ820からの計算された最大晴天放射照度及び構成ファイルからのデータムガラスSHGC値は、方程式、つまり最大データム内側放射照度=データムガラスSHGCx最大晴天放射照度を使用し、空間の内側の最大放射照度を計算するために使用できる。
【0101】
ステップ840で、窓コントローラ450は、方程式に基づいて現在の色合いレベルの窓を有する部屋500の中への内側放射照度を決定するためにモジュールBを使用する。ステップ810からの計算された晴天放射照度及び現在の色合いレベルと関連付けられたSHGC値は、方程式、色合いレベル放射照度=色合いレベルSHGCx晴天放射照度を使用し、内側放射照度の値を計算するために使用できる。
【0102】
一実施形態では、ステップ705、810、及び820の1つまたは複数は、モジュールA及びモジュールBとは別個の太陽位置計算機によって実行されて良い。太陽位置計算機は、特定の未来時の太陽の位置を決定し、その未来時の太陽の位置に基づいて予測決定を下す(例えば、晴天放射照度を予測する)論理を指す。太陽位置計算機は、本明細書に開示される方法の1つまたは複数のステップを実行して良い。太陽位置計算機は、マスタ窓コントローラ(例えば、
図17に示されるマスタ窓コントローラ1402)の構成要素の1つまたは複数によって実行される予測制御論理の一部分であって良い。例えば、太陽位置計算機は、(
図17に示される)窓コントローラ1410によって実装される、
図18に示される予測制御論理の部分であって良い。
【0103】
ステップ850で、窓コントローラ450は、現在の色合いレベルに基づいた内側放射照度が最大データム内側放射照度以下であり、色合いレベルがAからの色合いレベルよりも暗いかどうかを判断するためにモジュールBを使用する。判断がいいえである場合、現在の色合いレベルは、ステップ860で増分的に増加され(暗くされ)、内側放射照度はステップ840で計算し直される。判断がステップ850ではいである場合、モジュールBは終了する。
【0104】
図13は、
図8のステップ900の追加の詳細を示す図である。ステップ905で、モジュールCが開始する。Bからの色合いレベル及び時間の瞬間t
iでの予測された晴天放射照度は、モジュールBから入力される。リアルタイム放射照度値は外部センサ510からの測定値に基づいてモジュールCに入力される。
【0105】
ステップ910で、窓コントローラ450は、晴天条件下でBから色合いレベルに色合いを付与されたエレクトロクロミック窓505を通して部屋の中に透過された放射照度を計算するためにモジュールCを使用する。この計算内側放射照度は、方程式、つまり、計算内側放射照度=Bからの色合いレベルのSHGC x Bからの予測晴天放射照度、を使用し、決定できる。
【0106】
ステップ920で、窓コントローラ450は、この色合いレベルの窓を通る実際の放射照度(=SRx色合いレベルSHGC)が、Bからの色合いレベル(つまり、実際の内側放射照度≦計算内側放射照度)の窓を通る放射照度以下である適切な色合いレベルを見つけるためにモジュールCを使用する。ある場合には、モジュール論理はBからの色合いレベルで開始し、実際の内側放射照度≦計算内側放射照度となるまで色合いレベルを増分的に増加する。モジュールCで決定された色合いレベルは最終色合いレベルである。この最終色合いレベルは、エレクトロクロミック窓505のエレクトロクロミック素子(複数の場合がある)にネットワークを介して色合い命令で送信されて良い。
【0107】
図14は、
図7からのブロック620の別の実装を含む図である。この図は、実施形態のモジュールA、B、及びCを実行する方法を示す。この方法では、太陽の位置は、時間t
iの一瞬の建物の緯度座標及び経度座標に基づいて計算される。侵入深さは、窓の位置、窓の寸法、窓の向き、及び任意の外部日よけについての情報を含む窓の構成に基づいてモジュールAで計算される。モジュールAは、計算された浸透及び空間タイプに基づいてAからの色合いレベルを決定するためにルックアップテーブルを使用する。Aからの色合いレベルは次いでモジュールBに入力される。
【0108】
オープンソースプログラムRadiance等のプログラムは、時間tiの一瞬とすべての時間の最大値の両方について窓の向き並びに建物の緯度座標及び経度座標に基づいて晴天放射照度を決定するために使用される。データムガラスSHGC及び計算された最大晴天放射照度はモジュールBに入力される。モジュールBは、モジュールAで計算された色合いレベルを次第に増加し、内側放射限度が、内側放射照度=色合いレベルSHGCx晴天放射照度及びデータム内側放射照度=データムSHGCx最大晴天放射照度、であるデータム内側放射照度以下である色合いレベルを選ぶ。しかしながら、モジュールAがガラスの最大色合いを計算するとき、モジュールBは色合いをより明るくするために色合いを変更しない。Bで計算された色合いレベルは次いでモジュールCに入力される。予測晴天放射照度もモジュールCに入力される。
【0109】
モジュールCは、方程式、計算内側放射照度=Bからの色合いレベルのSHGC x Bからの予測晴天放射照度、を使用し、Bからの色合いレベルを有するエレクトロクロミック窓505を有する部屋の内側放射照度を計算する。モジュールCは、次いで実際の内側放射照度が計算内側放射照度以下である条件を満たす適切な色合いレベルを見つける。実際の内側放射照度は、方程式、実際の内側放射照度=SRx色合いレベルSHGC、を使用し、決定される。モジュールCによって決定される色合いレベルは、エレクトロクロミック窓505に送信された色合い命令の最終色合いレベルである。
【0110】
IV.建物管理システム(BMS)
本明細書に説明される窓コントローラは、BMSとの統合にも適している。BMSは、換気、照明、電力系統、エレベータ、火災システム、及びセキュリティシステム等の建物の機械設備及び電気設備を監視し、制御する、建物内に設置されたコンピュータベースの制御システムである。BMSは、1台または複数のコンピュータへの通信チャネルによる相互接続を含むハードウェア、及び占有者によって及び/または建物管理者によって設定された好みに従って建物内の状態を維持するための関連ソフトウェアから成る。例えば、BMSは、イーサネット(登録商標)等のローカルエリアネットワークを使用し、実装されて良い。ソフトウェアは、例えばインターネットプロトコル及び/またはオープンスタンダードに基づくことがある。一例は、(バージニア、リッチモンドの)Tridium,Inc.のソフトウェアである。BMSと一般に使用される1つの通信プロトコルはBACnet(建物自動化ネットワーク及び制御ネットワーク)である。
【0111】
BMSは大型ビルでは最も一般的であり、通常、建物の中の環境を少なくとも制御するために機能する。例えば、BMSは建物の中の温度、二酸化炭素濃度、及び湿度を制御して良い。通常、加熱器、空調装置、ブロワ、ベント等のBMSによって制御される多くの機械的な装置がある。建物環境を制御するために、BMSは定められた条件下でこれらの多様な装置をオン及びオフにして良い。典型的な現代のBMSの中心機能は、暖房及び冷房の費用/需要を最小限に抑えながら建物の占有者にとって快適な環境を維持することである。したがって、現代のBMSは、例えばエネルギーを節約し、建物の運営費を下げるために多様なシステム間の相乗効果を、監視し、制御するだけではなく最適化するためにも使用される。
【0112】
いくつかの実施形態では、窓コントローラはBMSと統合され、窓コントローラは1つまたは複数のエレクトロクロミック窓505または他の色合い付与可能窓を制御するように構成される。一実施形態では、1つまたは複数のエレクトロクロミック窓は、少なくとも1つのすべてのソリッドステートデバイス及び無機エレクトロクロミック素子を含むが、例えばIGUの各ライトまたはペインが色合い付与可能である複数のエレクトロクロミック素子を含んで良い。一実施形態では、1つまたは複数のエレクトロクロミック窓はすべてのソリッドステートデバイス及び無機エレクトロクロミック素子だけを含む。一実施形態では、エレクトロクロミック窓は、2010年8月5日に出願され、「Multipane Electrochromic Windows」と題する米国特許出願第12/851,514号に説明されるようにマルチステートエレクトロクロミック窓である。
【0113】
図15は、セキュリティシステム、暖房/換気/空調(HVAC)、建物の照明、電力系統、エレベータ、火災システム等を含む建物1101のいくつかのシステムを管理するBMS100の実施形態の概略図を示す。セキュリティシステムは磁気カードアクセス、回転ドア、ソレノイド駆動ドアロック、監視カメラ、盗難警報器、金属探知機等を含んで良い。火災システムは火災警報器及び給水配管制御を含む消火システムを含んで良い。照明システムは内部照明、外部照明、緊急警告灯、非常出口サイン、及び緊急フロア退出照明を含んで良い。電力系統は主電源、非常用発電機、及び無停電電源(UPS)グリッドを含んで良い。
【0114】
また、BMS1100は、マスタ窓コントローラ1102を管理する。この例では、マスタ窓コントローラ1102は、マスタネットワークコントローラ1103、中間ネットワークコントローラ1105a及び1105b、並びにエンドコントローラまたはリーフコントローラ1110を含む窓コントローラの分散ネットワークとして示される。エンドコントローラまたはリーフコントローラ1110は、
図4に関して説明された窓コントローラ450に類似して良い。例えば、マスタネットワークコントローラ1103は、BMS1100に近接して良く、建物1101の各フロアは1つまたは複数の中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bを有して良い。一方、建物の各窓は独自のエンドコントローラ1110を有する。この例では、コントローラ1110のそれぞれが建物1101の特定のエレクトロクロミック窓を制御する。
【0115】
コントローラ1110のそれぞれは、それが制御するエレクトロクロミック窓から別の場所にある、またはエレクトロクロミック窓の中に統合されることがある。簡略にするために、建物1101の10のエレクトロクロミック窓だけが、マスタ窓コントローラ1102によって制御されるとして示されている。典型的な状況では、マスタ窓コントローラ1102によって制御される建物内に多数のエレクトロクロミック窓があって良い。マスタ窓コントローラ1102は窓コントローラの分散ネットワークである必要はない。例えば、単一のエレクトロクロミック窓の機能を制御する単一のエンドコントローラも、上述されたように、本明細書に開示される実施形態の範囲内に入る。BMSとともに本明細書に説明されるエレクトロクロミック窓コントローラを組み込むことの優位点及び特徴は、以下により詳細に、及び適切な場合には
図15に関して説明される。
【0116】
開示されている実施形態の一態様は、本明細書に説明される多目的エレクトロクロミック窓コントローラを含んだBMSである。エレクトロクロミック窓は自動的に制御できるため、エレクトロクロミック窓コントローラからのフィードバックを組み込むことによって、BMSは例えば、強化された1)環境制御、2)省エネ、3)セキュリティ、4)制御オプションの柔軟性、5)他のシステムに対するより少ない依存、したがってそのより少ない保守による他のシステムの改善された信頼性及び耐用期間、6)情報の可用性及び診断、7)スタッフ及びこれらの多様な組合せの効果的な使用並びにスタッフ及びこれらの多様な組合せによるより高い生産性を提供できる。いくつかの実施形態では、BMSが存在しないことがある、またはBMSは存在することがあるが、マスタネットワークコントローラと通信しない、若しくはマスタネットワークコントローラと高レベルで通信しないことがある。特定の実施形態では、BMSでの保守は、エレクトロクロミック窓の制御を中断しないだろう。
【0117】
図16は、建物のための建物ネットワーク1200の実施形態のブロック図を示す。上述されたように、ネットワーク1200は、BACnetを含む任意の数の異なる通信プロトコルを利用して良い。示されるように、建物ネットワーク1200は、マスタネットワークコントローラ1205、照明コントロールパネル1210、建物管理システム(BMS)1215、セキュリティ制御システム1220、及びユーザーコンソール1225を含む。建物内のこれらの異なるコントローラ及びシステムは、建物のHVACシステム1230、ライト1235、セキュリティセンサ1240、ドアロック1245、カメラ1250、及び色合い付与可能窓1255から入力を受信する、及び/または建物のHVACシステム1230、ライト1235、セキュリティセンサ1240、ドアロック1245、カメラ1250、及び色合い付与可能窓1255を制御するために使用されて良い。
【0118】
マスタネットワークコントローラ1205は、
図15に関して説明されたマスタネットワークコントローラ1103と同様に機能して良い。照明コントロールパネル1210は、内部照明、外部照明、緊急警告灯、非常口サイン、及び緊急フロア退出照明を制御するための回路を含んで良い。また、照明コントロールパネル1210は、建物の部屋の中の占有者センサを含んでも良い。BMS1215は、他のシステム及びネットワーク1200のコントローラからデータを受信し、他のシステム及びネットワーク1200のコントローラにコマンドを発行するコンピュータサーバを含んで良い。例えば、BMS1215は、マスタネットワークコントローラ1205、照明コントロールパネル1210、及びセキュリティ制御システム1220のそれぞれからデータを受信し、マスタネットワークコントローラ1205、照明コントロールパネル1210、及びセキュリティ制御システム1220のそれぞれにコマンドを発行して良い。セキュリティ制御システム1220は、磁気カードアクセス、回転ドア、ソレノイド駆動ドアロック、監視カメラ、盗難警報器、金属探知器等を含んで良い。ユーザーコンソール1225は、建物の異なるシステムの運用を予定する、建物の異なるシステムを制御する、監視する、最適化する、及びトラブルシュートするために、建物管理者によって使用できるコンピュータ端末であって良い。Tridium,Inc.のソフトウェアは、ユーザーコンソール1225のために異なるシステムからのデータの視覚表現を生成して良い。
【0119】
異なる制御装置のそれぞれが、個々の素子/装置を制御して良い。マスタネットワークコントローラ1205は窓1255を制御する。照明コントロールパネル1210はライト1235を制御する。BMS1215はHVAC1230を制御して良い。セキュリティ制御システム1220は、セキュリティセンサ1240、ドアロック1245、及びカメラ1250を制御する。データは、異なる素子/装置及び建物ネットワーク1200の部分であるコントローラのすべての間で交換されて良い、及び/または共有されて良い。
【0120】
ある場合には、BMS1100または建物ネットワーク1200のシステムは、毎日のスケジュール、毎月のスケジュール、3カ月ごとのスケジュール、または年間スケジュールに従って実行して良い。例えば、照明制御システム、窓制御システム、HVAC、及びセキュリティシステムは、作業日の間にいつ人が建物内にいるのかの説明となる24時間スケジュールで動作して良い。夜間、建物は省エネモードに入って良く、日中、システムは、占有者の快適さを提供しながら建物のエネルギー消費を最小限に抑えるように動作して良い。別の例として、システムは休暇期間中、停止するまたは省エネモードに入って良い。
【0121】
スケジューリング情報は、地理情報と結合されて良い。地理情報は建物の緯度及び経度を含んで良い。地理情報は、建物の各側面が面する方向についての情報を含んでも良い。係る情報を使用し、建物の異なる側面の異なる部屋は異なる方法で制御され得る。例えば、冬の建物の東向きの部屋の場合、窓コントローラは、部屋が室内で輝く日光にために暖かくなるように窓に朝には色合いを有さないように命令して良く、照明コントロールパネルは日光からの照明のため、ライトに薄暗くなるように命令して良い。西向きの部屋は、西側の窓の色合いが省エネに影響を与えないことがあるため、朝は部屋の占有者によって制御可能であって良い。ただし、東向きの窓及び西向きの窓の動作モードは夜には切り替わって良い(例えば、太陽が沈んでいくとき、西向きの窓は、日光が熱及び照明の両方のために入ることができるようにするために色合いを付与されない)。
【0122】
以下に説明されるのは、例えば、建物ネットワークまたはBMS、建物の外部窓用の色合い付与可能窓(つまり、建物の外部から建物の内部を分離する窓)、及びいくつかの異なるセンサを含む、
図5の建物1101のような建物の例である。建物の外部窓からの光は、概して窓から約20フィートまたは約30フィート、建物内の内部照明に影響を与える。すなわち、外部窓から約20フィートまたは約30フィートを超える建物内の空間は外部窓からほとんど光を受光しない。建物内の外部窓から離れた係る空間は建物の照明システムによって照らされる。
【0123】
さらに、建物の中の温度は外部光及び/または外部温度によって影響されることがある。例えば、寒い日に、及び建物が暖房システムで暖房されている状態では、ドア及び/または窓により近い部屋は建物の内部領域よりも速く熱を失い、内部領域と比較するとより冷たくなる。
【0124】
外部センサの場合、建物は建物の屋根に外部センサを含んで良い。代わりに、建物は各外部窓(例えば、
図5に関して説明されるように、部屋500)と関連付けられた外部センサまたは建物の各側面の外部センサを含んで良い。建物の各側面の外部センサは、太陽が一日を通して位置を変更するにつれ、建物の側面での放射照度を追跡できるだろう。
【0125】
図7、
図8、
図9、
図12、
図13、及び
図14に関して説明された方法に関して、窓コントローラが建物ネットワークまたはBMSに統合されるとき、外部センサ510からの出力はBMSのネットワークに入力され、局所窓コントローラ450に対する入力として提供されて良い。例えば、いくつかの実施形態では、あらゆる2つ以上のセンサからの出力信号が受信される。いくつかの実施形態では、1つの出力信号しか受信されず、いくつかの他の実施形態では、3つ、4つ、5つ以上の出力が受信される。これらの出力信号は建物ネットワークまたはBMSを介して受信されて良い。
【0126】
いくつかの実施形態では、受信された出力信号は、建物の中の暖房システム、冷房システム、及び/または照明によるエネルギー消費または電力消費を示す信号を含む。例えば、建物の暖房システム、冷房システム、及び/または照明によるエネルギー消費または電力消費は、エネルギー消費または電力消費を示す信号を提供するために監視されて良い。素子は、この監視を可能にするために建物の回路及び/または配線とインタフェースで接続されて良い、または建物の回路及び/または配線に取り付けられて良い。代わりに、建物の電力系統は、建物の中の個々の部屋または建物の中の部屋のグループのための暖房システム、冷房システム、及び/または照明により消費される電力が監視できるように設置されて良い。
【0127】
色合い命令は、決定されたレベルの色合いに色合い付与可能窓の色合いを変更するために提供できる。例えば、
図15を参照すると、これは、マスタネットワークコントローラ1103が1つまたは複数の中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bにコマンドを発行することを含んで良く、中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bは同様に、建物の各窓を制御するエンドコントローラ1110にコマンドを発行する。エンドコントローラ1100は、命令に従って色合いの変更を駆動するために窓に電圧及び/または電流を印加して良い。
【0128】
いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック窓及びBMSを含む建物は、建物に電力を供給する1つまたは複数の公益企業によって運用される需要応答プログラムに登録されて良い、または参加して良い。プログラムは、ピーク負荷発生が予想されると、建物のエネルギー消費が削減されるプログラムであって良い。公益企業は予想されるピーク負荷発生の前に警告信号を送出して良い。例えば、警告は予想されるピーク負荷発生の前日、予想されるピーク負荷発生の朝、または予想されるピーク負荷発生の約1時間前に送信されて良い。ピーク負荷発生は、例えば冷房システム/空調装置が公益企業から大量の電力を取る暑い夏の日に発生すると予想されることがある。警告信号は、建物のBMSによって、または建物のエレクトロクロミック窓を制御するように構成された窓コントローラによって、受信されて良い。警告信号は、
図7に示されるようにモジュールA、B、及びCを切り離すオーバーライド機構であることがある。BMSは、次いでピーク負荷が予想されるときの建物の冷房システムの電力採取を削減するのを助けるために、窓コントローラ(複数の場合がある)にエレクトロクロミック窓505の適切なエレクトロクロミック素子を暗い色合いレベルに移行するように命令できる。
【0129】
いくつかの実施形態では、建物の外部窓(つまり、建物の外部から建物の内部を分離する窓)用の色合い付与可能窓はゾーンにグループ化されて良く、ゾーン内の色合い付与可能窓は同様に指示される。例えば、建物の異なる階または建物の異なる側面のエレクトロクロミック窓のグループは異なるゾーンにあって良い。例えば、建物の1階では、東向きのエレクトロクロミック窓のすべてはゾーン1にあって良く、南向きのエレクトロクロミック窓のすべてはゾーン2にあって良く、西向きのエレクトロクロミック窓のすべてはゾーン3にあって良く、北向きのエレクトロクロミック窓のすべてはゾーン4にあって良い。別の例として、建物の1階のエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン1にあって良く、2階のエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン2にあって良く、3階のエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン3にあって良い。さらに別の例として、東向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン1にあって良く、南向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン2にあって良く、西向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン3にあって良く、北向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン4にあって良い。さらに別の例として、1つの階の東向きのエレクトロクロミック窓は異なるゾーンに分けることができるだろう。建物の同じ側面及び/または異なる側面及び/または異なる階の任意の数の色合い付与可能窓がゾーンに割り当てられて良い。個々の色合い付与可能窓が別々に制御可能なゾーンを有する実施形態では、色合い付与ゾーンは、例えば個々の窓がそのゾーンのすべてに色合いを付けることもあれば、付けないこともある、個々の窓のゾーンの組合せを使用する建物ファサードに作られて良い。
【0130】
いくつかの実施形態では、ゾーンのエレクトロクロミック窓は同じ窓コントローラによって制御されて良い。いくつかの他の実施形態では、ゾーン内のエレクトロクロミック窓は異なる窓コントローラによって制御されて良いが、窓コントローラはすべてセンサから同じ出力信号を受信し、同じ機能またはルックアップテーブルを使用してゾーン内の窓の色合いのレベルを決定して良い。
【0131】
いくつかの実施形態では、ゾーン内のエレクトロクロミック窓は透過率センサから出力信号を受信する1つまたは複数の窓コントローラによって制御されて良い。いくつかの実施形態では、透過率センサはゾーン内の窓に近接して取り付けられて良い。例えば、透過率センサは、ゾーンに含まれるIGUを含むフレームの中またはフレームの上に取り付けられて(例えば、中枠の中または中枠の上、フレームの水平サッシに取り付けられて)良い。いくつかの他の実施形態では、建物の単一の側面に窓を含むゾーンのエレクトロクロミック窓は、透過率センサから出力信号を受信する1つまたは複数の窓コントローラによって制御されて良い。
【0132】
いくつかの実施形態では、センサ(例えば、光検出器)は、第1のゾーン(例えば、マスタ制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓505を制御するために窓コントローラに出力信号を提供して良い。また、窓コントローラは第1のゾーンと同じ方法で第2のゾーン(例えば、スレーブ制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓505を制御しても良い。いくつかの他の実施形態では、別の窓コントローラは第1のゾーンと同じ方法で第2のゾーンのエレクトロクロミック窓505を制御して良い。
【0133】
いくつかの実施形態では、建物管理者、第2のゾーンの部屋の占有者、または他の人は、第2のゾーン(つまり、スレーブ制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓に着色状態(レベル)または透明な状態等の色合いレベルに入るように(例えば、色合いコマンドまたは透明コマンドまたはBMSのユーザーコンソールからのコマンドを使用し)手作業で指示して良い。いくつかの実施形態では、第2のゾーンの窓の色合いレベルが、かかる手作業のコマンドでオーバーライドされるとき、第1のゾーン(つまり、マスタ制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓は透過率センサから出力を受信する窓コントローラの制御の下に留まる。第2のゾーンは一時期マニュアルコマンドモードに留まり、次いで透過率センサから出力を受信する窓コントローラの制御下に戻って良い。例えば、第2のゾーンはオーバーライドコマンドの受信後1時間、マニュアルモードに留まって良く、次いで透過率センサからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻って良い。
【0134】
いくつかの実施形態では、建物管理者、第1のゾーンの部屋の占有者、または他の人は、第1のゾーン(つまり、マスタ制御ゾーン)の窓に着色状態または透明状態等の色合いレベルに入るように(例えば、色合いコマンドまたはBMSのユーザーコンソールからのコマンドを使用して)手作業で指示して良い。いくつかの実施形態では、第1のゾーンの窓の色合いレベルが係るマニュアルコマンドでオーバーライドされるとき、第2のゾーン(つまり、スレーブ制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓は外部センサから出力を受信する窓コントローラの制御下に留まる。第1のゾーンは、一時期マニュアルコマンドモードに留まり、次いで透過率センサから出力を受信する窓コントローラの制御下に戻って良い。例えば、第1のゾーンはオーバーライドコマンド受信後1時間、マニュアルモードに留まって良く、次いで透過率センサから出力を受信する窓コントローラの制御下に戻って良い。いくつかの他の実施形態では、第2のゾーンのエレクトロクロミック窓は、第1のゾーンのマニュアルオーバーライドが受信されるときに該エレクトロクロミック窓がいる色合いレベルに留まって良い。第1のゾーンは一時期マニュアルコマンドモードに留まり、次いで第1のゾーンと第2のゾーンの両方とも透過率センサから出力を受信する窓コントローラの制御下に戻って良い。
【0135】
窓コントローラがスタンドアロン窓コントローラであるのか、それとも建物ネットワークとインタフェースで接続されるのかに関わりなく、本明細書に説明される色合い付与可能窓の制御の方法のいずれも、色合い付与可能窓の色合いを制御するために使用されて良い。
【0136】
無線通信または有線通信
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される窓コントローラは、窓コントローラとセンサと別々の通信ノードとの間の有線通信または無線通信のための構成要素を含む。無線通信または有線通信は、窓コントローラと直接的にインタフェースで接続する通信インタフェースによって達成されて良い。係るインタフェースはマイクロプロセッサに固有であるだろう、またはこれらの機能を有効にする追加の回路網を介して提供されるだろう。
【0137】
無線通信用の別個の通信ノードは、例えば別の無線窓コントローラ、及びエンドコントローラ、中間コントローラ、若しくはマスタ窓コントローラ、遠隔制御装置、またはBMSであることがある。無線通信は以下の動作、つまりエレクトロクロミック窓505をプログラムすること及び/または操作すること、本明細書に記載される多様なセンサ及びプロトコルからEC窓505のデータを収集すること、並びに無線通信のための中継点としてエレクトロクロミック窓505を使用することのうちの少なくとも1つのために窓コントローラで使用される。エレクトロクロミック窓505から収集されたデータは、EC素子が活性化された回数、EC素子の継時的な効率等のカウントデータを含んでも良い。これらの無線通信特徴は以下により詳細に説明される。
【0138】
一実施形態では、無線通信は、例えば赤外線(IR)信号及び/または無線周波数(RF)信号を介して関連付けられたエレクトロクロミック窓505を操作するために使用される。特定の実施形態では、コントローラは、Bluetooth(登録商標)、EnOcean、WiFi、Zigbee(登録商標)等の無線プロトコルチップを含む。窓コントローラはネットワークを介する無線通信を有しても良い。窓コントローラへの入力は、壁面スイッチでエンドユーザーによって直接的に若しくは無線通信を介してのどちらかで手作業で入力できる、または入力はエレクトロクロミック窓が構成要素である建物のBMSからであることがある。
【0139】
一実施形態では、窓コントローラがコントローラの分散ネットワークの部分であるとき、無線通信は、それぞれが無線通信構成要素を有するコントローラの分散ネットワークを介して複数のエレクトロクロミック窓のそれぞれに及び複数のエレクトロクロミック窓のそれぞれからデータを転送するために使用される。例えば、再び
図15を参照すると、マスタネットワークコントローラ1103は中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bのそれぞれと無線で通信し、中間ネットワークコントローラ1105a及び1105bは同様に、それぞれがエレクトロクロミック窓と関連付けられているエンドコントローラ1110と無線で通信する。また、マスタネットワークコントローラ1103はBMS1100と無線で通信しても良い。一実施形態では、少なくとも1つのレベルの窓コントローラでの通信が無線で実行される。
【0140】
いくつかの実施形態では、無線通信の複数のモードが窓コントローラ分散ネットワークで使用される。例えば、マスタ窓コントローラは、WiFiまたはZigbee(登録商標)を介して中間コントローラに無線で通信して良い。一方、中間コントローラはBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、EnOcean、または他のプロトコルを介してエンドコントローラと通信する。別の例では、窓コントローラは、無線通信のためのエンドユーザーの選択肢での柔軟性のために冗長な無線通信システムを有する。
【0141】
例えばマスタ及び/または中間窓コントローラとエンド窓コントローラとの間の無線通信は、確かな通信回線の設置を未然に防ぐ優位点を提供する。また、これは窓コントローラとBMSとの間の無線通信にも当てはまる。一態様では、これらの役割における無線通信は、窓を操作するため、並びに建物内での環境及び省エネを最適化するために、例えばBMSにデータを提供するためのエレクトロクロミック窓への及びエレクトロクロミック窓からのデータ転送に役立つ。センサからのフィードバックだけではなく窓場所データも係る最適化のために相乗作用を与えられる。例えば、粒状レベル(ウィンドウごと)の微気候情報は、建物の多様な環境を最適化するためにBMSに送られる。
【0142】
VI.色合い付与可能窓の機能を制御するためのシステムの例
図17は、実施形態に従って、建物(例えば、
図15に示される建物1101)の1つまたは複数の色合い付与可能窓の機能(例えば、異なる色合いレベルへの移行)を制御するためのシステム1400の構成要素のブロック図である。システム1400は、BMS(例えば、
図15に示されるBMS1100)によって管理されるシステムの1つであって良い、またはBMSとは無関係に動作して良い。
【0143】
システム1400は、その機能を制御するために色合い付与可能窓に制御信号を送信できるマスタ窓コントローラ1402を含む。また、システム1400はマスタ窓コントローラ1402と電子通信するネットワーク1410も含む。色合い付与可能窓(複数の場合がある)の機能を制御するための予測制御論理、他の制御論理、及び命令、及び/またはセンサデータはネットワーク1410を通してマスタ窓コントローラ1402に通信されて良い。ネットワーク1410は有線ネットワークまたは無線ネットワーク(例えば、クラウドネットワーク)であることがある。一実施形態では、ネットワーク1410は、BMSが建物内の色合い付与可能窓(複数の場合がある)にネットワーク1410を通して色合い付与可能窓(複数の場合がある)を制御するための命令を送信できるようにするためにBMSと通信して良い。
【0144】
また、システム1400は、ともにマスタ窓コントローラ1402と電子通信する色合い付与可能窓(不図示)のEC素子400及び壁面スイッチ1490も含む。この示されている例では、マスタ窓コントローラ1402は、EC素子(複数の場合がある)400を有する色合い付与可能窓の色合いレベルを制御するためにEC素子(複数の場合がある)400に制御信号を送信できる。また、各壁面スイッチ1490は、EC素子(複数の場合がある)400及びマスタ窓コントローラ1402と通信する。エンドユーザー(例えば、色合い付与可能窓を有する部屋の占有者)は、EC素子(複数の場合がある)400を有する色合い付与可能窓の色合いレベル及び他の機能を制御するために壁面スイッチ1490を使用できる。
【0145】
図17では、マスタ窓コントローラ1402は、マスタネットワークコントローラ1403、マスタネットワークコントローラ1403と通信する複数の中間ネットワークコントローラ1405、及び多数の複数のエンド窓コントローラまたはリーフ窓コントローラ1410を含む窓コントローラの分散ネットワークとして示される。それぞれの複数のエンド窓コントローラまたはリーフ窓コントローラ1410は、単一の中間ネットワークコントローラ1405と通信する。マスタ窓コントローラ1402は窓コントローラの分散ネットワークとして示されているが、マスタ窓コントローラ1402は他の実施形態で単一の色合い付与可能窓の機能を制御する単一の窓コントローラでもあるだろう。
図17のシステム1400の構成要素はいくつかの点で
図15に関して説明される構成要素に類似して良い。例えば、マスタネットワークコントローラ1403はマスタネットワークコントローラ1103に類似して良く、中間ネットワークコントローラ1405は中間ネットワークコントローラ1105に類似して良い。
図17の分散ネットワークの窓コントローラのそれぞれは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)及びプロセッサと電気通信するコンピュータ可読媒体を含んで良い。
【0146】
図17では、各リーフ窓コントローラまたはエンド窓コントローラ1410は、単一の色合い付与可能窓のEC素子(複数の場合がある)400と通信して、建物内のその色合い付与可能窓の色合いレベルを制御する。IGUの場合、リーフ窓コントローラまたはエンド窓コントローラ1410は、IGUの複数のライト上のEC素子400と通信し、IGUの色合いレベルを制御して良い。他の実施形態では、各リーフ窓コントローラまたはエンド窓コントローラ1410は複数の色合い付与可能窓と通信して良い。リーフ窓コントローラまたはエンド窓コントローラ1410は、色合い付与可能窓の中に統合されて良い、またはリーフ窓コントローラまたはエンド窓コントローラ1410が制御する色合い付与可能窓とは別個であって良い。
図17のリーフ窓コントローラまたはエンド窓コントローラ1410は、
図15のリーフ窓コントローラまたはエンド窓コントローラ1110に類似して良い、及び/または
図4に関して説明された窓コントローラ450に類似しても良い。
【0147】
各壁面スイッチ1490は、壁面スイッチ1490と通信する色合い付与可能窓の色合いレベル及び他の機能を制御するためにエンドユーザー(例えば、部屋の占有者)によって操作できる。エンドユーザーは、関連付けられた色合い付与可能窓のEC素子400に制御信号を通信するために壁面スイッチ1490を操作できる。壁面スイッチ1490からのこれらの信号は、ある場合にはマスタ窓コントローラ1402からの信号をオーバーライドして良い。他の場合(例えば、高需要)では、マスタ窓コントローラ1402からの制御信号は壁面スイッチ1490からの制御信号をオーバーライドして良い。また、各壁面スイッチ1490は、壁面スイッチ1490からマスタ窓コントローラ1402に送り返された制御信号についての情報(例えば、時間、日付、要求された色合いレベル等)を送信するためにリーフ窓ウィンドウまたはエンド窓ウィンドウ1410と通信する。ある場合には、壁面スイッチ1490は手動で操作されて良い。その他の場合、壁面スイッチ1490は、例えば赤外線(IR)信号、及び/または無線周波数(RF)信号を使用し、制御信号との無線通信を送信する遠隔装置(例えば、携帯電話、タブレット等)を使用し、エンドユーザーによって無線で制御されて良い。ある場合には、壁面スイッチ1490は、Bluetooth(登録商標)、EnOcean、WiFi、Zigbee(登録商標)等の無線プロトコルチップを含んで良い。
図17に示されるスイッチ1490は壁(複数の場合がある)に位置しているが、システム1400の他の実施形態はスイッチを室内のどこか他の場所に位置させて良い。
【0148】
VII.予測制御論理の別の例
図18は、実施形態に従って、建物の異なるゾーンの1つまたは複数の色合い付与可能窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合いレベルを制御する方法のための予測制御論理を示すブロック図である。この論理は、色合い付与可能窓のEC素子400の移行時間の説明となる未来のときでの予測決定を下す。この予測制御論理は
図17に関して説明されたシステム1400の構成要素によって、または他の開示されている実施形態のシステムの構成要素によって利用されることがある。示されている例では、予測制御論理の一部分は窓コントローラ1410によって実行され、別の部分はネットワークコントローラ1408によって実行され、モジュール1 1406の論理は窓コントローラ1410及びネットワークコントローラ1408からの別々の構成要素によって実行される。代わりに、モジュール1 1406は、窓コントローラ1410にロードされることもあれば、ロードされないこともある別の論理であって良い。
【0149】
図18では、窓コントローラ1410によって利用される予測制御論理の部分及びモジュール1 1406はBMS1407によって管理される。BMS1407は、
図15に関して説明されたBMS1100に類似して良い。BMS1407はBACnetインタフェース1408を通して窓コントローラ1410と電子通信する。他の実施形態では、他の通信プロトコルが使用されて良い。
図18には示されていないが、モジュール1 1406もBACnetインタフェース1408を通してBMS1407と通信する。他の実施形態では、
図18に示される予測制御論理はBMSとは無関係に動作して良い。
【0150】
ネットワークコントローラ1408は1つまたは複数のセンサ(例えば、外部光センサ)からセンサ測定値を受信し、センサ測定値をW/m
2に変換しても良い。ネットワークコントローラ1408は、CANbusまたはCANOpenプロトコルのどちらかを介して窓コントローラ1410と電子通信する。ネットワークコントローラ1408は、変換されたセンサ測定値を窓コントローラ1410に通信する。ネットワークコントローラ1408は、中間ネットワークコントローラ1405または
図17のマスタネットワークコントローラ1403のどちらかに類似して良い。
【0151】
図18では、窓コントローラ1410によって利用された予測制御論理の部分は、マスタスケジューラ1502を含む。マスタスケジューラ1502は、ユーザー(例えば、建物アドミニストレータ)が異なる時刻及び/または日付で異なるタイプの制御プログラムを使用できるスケジュールを作成できるようにする論理を含む。制御プログラムのそれぞれは、または複数の独立変数に基づいて色合いレベルを決定するための論理を含む。1つのタイプの制御プログラムは純粋な状態にすぎない。純粋な状態は、他の条件に関わりなく、特定の期間中固定される特定のレベルの色合い(例えば、透過率=40%)を指す。例えば、建物管理者は、窓が毎日午後3時の後は透明であると指定して良い。別の例として、建物管理者は毎日午後8時と午前6時の時間の間の期間の純粋な状態を指定して良い。他の時刻では、例えば、はるかに高いレベルの精緻化を利用する制御プログラム等、異なるタイプの制御プログラムが利用されて良い。高レベルの精緻化を提供する1つのタイプの制御プログラム。例えば、このタイプのきわめて高度な制御プログラムは、
図18を参照して説明された予測制御論理を含み、モジュール1 1406の論理モジュールA、B、及びCの1つまたは複数の実装を含んで良い。別の例として、このタイプのきわめて高度な制御プログラムは、
図18を参照して説明された予測制御論理を含み、モジュール1 1406の論理モジュールA、B、及びC、並びに本VII項で以下に説明されるモジュールDの内の1つまたは複数の実装を含んで良い。別の例として、このタイプの別のきわめて高度な制御プログラムは、
図7を参照して説明された予測制御論理であり、
図8、
図9、及び
図12を参照して説明された論理モジュールA、B、及びCの完全なマルチモジュール実装を含む。この例では、予測制御論理はモジュールCのセンサフィードバック及びモジュールA及びBの太陽情報を使用する。きわめて高度な制御プログラムの別の例は、
図7に関して説明された予測制御論理であり、論理モジュールA、B、及びCのうちの1つまたは2つの部分的な論理モジュール実装が
図8、
図9、及び
図12に関して説明される。別のタイプの制御プログラムは1つまたは複数のセンサ(例えば、光検出器)からのフィードバックに依存し、太陽の位置を考慮せずに色合いレベルを相応して調整する閾値制御プログラムである。マスタスケジューラ1502を使用する技術的な優位点の1つは、ユーザーが色合いレベルを決定するために使用される制御プログラム(方法)を選択し、スケジューリングできる点である。
【0152】
マスタスケジューラ1502は、日付及び1日24時間に基づいた時刻の観点からの時間に従ってスケジュールの制御プログラムを実行する。マスタスケジューラ1502は、5日の平日(月曜日から金曜日)及び2日の週末の日(土曜日及び日曜日)の7日間1週に基づいて暦日及び/または曜日の観点から日付を決定して良い。また、マスタスケジューラ1502は、特定の日が休日であるかどうかも判断して良い。マスタスケジューラ1502は、サイトのデータ1506によって決定される、色合い付与可能窓の場所に基づいて夏時間調整のために時刻を自動的に調整して良い。
【0153】
一実施形態では、マスタスケジューラ1502は別個の休日スケジュールを使用して良い。ユーザーは、休日スケジュールの間にどの制御プログラム(複数の場合がある)を使用するのかを決定した可能性がある。ユーザーは、休日のスケジュールにどの日が含まれるのかを決定して良い。マスタスケジューラ1502は、ユーザーによってセットアップされた基本スケジュールをコピーし、ユーザーが休日スケジュールの休日について自分の修正をセットアップできるようにする。
【0154】
マスタスケジューラ1502によって利用されるスケジュールを作成するとき、ユーザーは、選択されたプログラム(複数の場合がある)が利用される建物の1つまたは複数のゾーンを選択して良い(ゾーン選択)。各ゾーンは1つまたは複数の色合い付与可能窓を含む。ある場合には、ゾーンは空間タイプ(例えば、特定の位置、会議室等に机を有する事務所)と関連付けられた領域であって良い、または複数の空間タイプと関連付けられて良い。例えば、ユーザーは、1)月曜日から金曜日:朝午前8時から70度まで暖房し、80度まで事務所内の温度を保つために午後3時に空調をオンにし、次いで全空調をオフにし、平日中午後5時に暖房するために、及び2)(土曜日及び日曜日)暖房及び空調をオフにするために、事務所を有するゾーン1を選択して良い。別の例として、ユーザーは、論理モジュールA、B、及びCのすべてを使用し、モジュール1の完全モジュール実装を含む、
図18の予測制御論理を実行するために会議室を有するゾーン2を設定して良い。別の例では、ユーザーは午前8時から午後3時までモジュール1を実行し、午後3時以降閾値プログラムまたは純粋な状態を実行するために会議室を有するゾーン1を選択して良い。その他の場合、ゾーンは建物全体であって良い、または建物の1つまたは複数の窓であって良い。
【0155】
センサ入力を使用してよいプログラムを用いてスケジュールを作成するとき、ユーザーはプログラムで使用される1つまたは複数のセンサを選択できることもある。例えば、ユーザーは屋根に位置するセンサまたは色合い付与可能窓の近くにまたは色合い付与可能窓に位置するセンサを選択して良い。別の例として、ユーザーは特定のセンサのID値を選択して良い。
【0156】
また、窓コントローラ1410によって利用される予測制御論理の部分は、マスタスケジューラ1502と電子通信するユーザーインタフェース1504も含む。ユーザーインタフェース1504は、サイトデータ1506、ゾーン/グループデータ1508、及び検知論理1516とも通信する。ユーザーは、ユーザーインタフェース1504を使用しスケジュールを作成する(新しいスケジュールを生成する、または既存のスケジュールを修正する)ためにそのスケジュール情報を入力して良い。ユーザーインタフェース1504は、例えば、キーパッド、タッチパッド、キーボード等の入力装置を含んで良い。ユーザーインタフェース1504は、スケジュールについての情報を出力し、スケジュールをセットアップするための選択可能なオプションを提供するためにディスプレイも含んで良い。ユーザーインタフェース1504はプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と電子通信し、プロセッサはコンピュータ可読媒体(CRM)と電子通信する。プロセッサとCRMの両方とも、窓コントローラ1410の構成要素である。マスタスケジューラ1502の論理及び予測制御論理の他の構成要素は、窓コントローラ1410のコンピュータ可読媒体に記憶されて良い。
【0157】
ユーザーは、ユーザーインタフェース1504を使用し、そのサイトデータ1506及びゾーン/グループデータ1508を入力して良い。サイトデータ1506は、建物の場所の緯度、経度、及びGMTオフセットを含む。ゾーン/グループデータは、建物の各ゾーンの1つまたは複数の色合い付与可能窓について、位置、寸法(例えば、窓の幅、窓の高さ、敷居幅等)、向き(例えば、窓の傾斜)、外部日よけ(例えば、オーバーハング深さ、窓の上方のオーバーハング場所、側面寸法に対する左/右ひれ状部、左/右ひれ状部深さ等)、データムガラスSHGC、及び占有率ルックアップテーブルを含む。
図18では、サイトデータ1506及びゾーン/グループデータ1508は静的情報(つまり、予測制御論理の構成要素によって変更されない情報)である。他の実施形態では、このデータはオンザフライで生成されて良い。サイトデータ1506及びゾーン/グループデータ1508は、窓コントローラ1410のコンピュータ可読媒体に記憶されて良い。
【0158】
スケジュールを作成する(または修正する)とき、ユーザーは、マスタプログラム1502が建物のゾーンのそれぞれで異なる期間実行する制御プログラムを選択する。ある場合には、ユーザーは複数の制御プログラムから選択できることがある。1つの係る場合、ユーザーはユーザーインタフェース1405に表示されたすべての制御プログラムのリスト(例えば、メニュー)から制御プログラムを選択することによってスケジュールを作成して良い。その他の場合、ユーザーはすべての制御プログラムのリストからユーザーが利用可能なオプションを制限した可能性がある。例えば、ユーザーは2つの制御プログラムの使用に対してだけ支払った可能性がある。この例では、ユーザーは、ユーザーによって支払われた2つの制御プログラムの内の1つを選択できるに過ぎないだろう。
【0159】
ユーザーインタフェース1405の例は
図19に示される。この示されている例では、ユーザーインタフェース1405は、マスタスケジューラ1502によって利用されるスケジュールを生成するまたは変更するために使用されるスケジュール情報を入力するための表の形をとる。例えば、ユーザーは開始時刻及び停止時刻を入力することによって表の中に期間を入力できる。また、ユーザーは、プログラムによって使用されるセンサを選択することもできる。ユーザーは、サイトデータ1506及びゾーン/グループデータ1508も入力できる。また、ユーザーは「太陽浸透ルックアップ」を選択することによって使用される占有率ルックアップテーブルを選択することもできる。
【0160】
図18に戻ると、窓コントローラ1410によって利用される予測制御論理の部分は、時刻(先読み)論理1510も含む。時刻(先読み)論理1510は、その予測決定を下すために予測制御論理によって使用される未来のときを決定する。この未来のときは、色合い付与可能窓のEC素子400の色合いレベルを移行するために必要とされる時間の説明となる。移行時間の説明となる時間を使用することによって、予測制御論理は、EC素子400が制御信号受信後の色合いレベルに移行するための時間を有するだろう未来時にとって適切な色合いレベルを予測できる。時刻部分1510は、ゾーン/グループデータからの代表的な窓についての情報(例えば、窓寸法等)に基づいて代表的な窓のEC素子(複数の場合がある)の移行時間を推測して良い。時刻論理1510は、次いで移行時間及び現在時刻に基づいて未来時を決定して良い。例えば、未来時は移行時間に加算された現在時刻以上であって良い。
【0161】
ゾーン/グループデータは、各ゾーンの代表的な窓についての情報を含む。ある場合、代表的な窓は、ゾーン内の窓の内の1つであってよい。別の場合、代表的な窓は、そのゾーンのすべての窓からすべての特性を平均化することに基づいた平均特性(例えば、平均寸法)を有する窓であって良い。
【0162】
また、窓コントローラ1410によって利用される予測制御論理は、太陽位置計算機1512も含む。太陽位置計算機1512は、時間のあるインスタンスにおける太陽の位置、太陽の方位角、及び太陽の高度を決定する論理を含む。
図18では、太陽位置計算機1512は、時刻論理1510から受信される時間の未来のインスタンスに基づいてその決定を下す。太陽位置計算機1512は、時刻部分1510及びサイトデータ1506と通信して、未来時、建物の緯度座標及び経度座標、並びに太陽の位置の計算等、その計算(複数の場合がある)を行うために必要とされることがある他の情報を受信する。また、太陽位置計算機1512は、計算された太陽の位置に基づいて1つまたは複数の決定も実行して良い。一実施形態では、太陽位置計算機1512は晴天放射照度を計算して良い、またはモジュール1 1406のモジュールA、B、及びCから他の決定を下して良い。
【0163】
また、窓コントローラ1410によって利用される制御論理は、検知論理1516、ユーザーインタフェース1405、太陽位置計算機1512、及びモジュール1 1406と通信するスケジュール論理1518も含む。スケジュール論理1518は、モジュール1 1406からインテリジェンス論理1520を通過する色合いレベルを使用するのか、それとも他の考慮点に基づいて別の色合いレベルを使用するのかを決定する論理を含む。例えば、日の出時刻及び日没時刻は年を通して変化するので、ユーザーはこれらの変化の説明となるためにスケジュールをプログラムすることを望まないことがある。スケジュール論理1518は、ユーザーがこれらの変化する時刻のためにスケジュールをプログラムし直すことを必要とせずに、日の出前及び日没後の適切な色合いレベルを設定するために、太陽位置計算機1512からの、日の出時刻及び日没時刻を使用して良い。例えば、スケジュール論理1508は、太陽位置計算機1512から受信された日の出時刻に従って、日が昇らなかった、及び日の出前の色合いレベルがモジュール1 1406から渡された色合いレベルの代わりに使用されるべきであると判断することがある。スケジュール論理1518によって決定された色合いレベルは検知論理1516に渡される。
【0164】
検知論理1516は、オーバーライド論理1514、スケジュール論理1518、及びユーザーインタフェース1405と通信する。検知論理1516は、スケジュール論理1516から渡された色合いレベルを使用するのか、それとも1つまたは複数のセンサからBACnetインタフェース1408を通して受信されたセンサデータに基づいた別の色合いレベルを使用するのかを決定する論理を含む。上記段落の例を使用すると、スケジュール論理1518が、太陽が昇らず、日の出前色合いレベルを渡し、センサデータが太陽が実際には上っていることを示していると判断する場合、次いで検知論理1516は、スケジュール論理1518を通してモジュール1 1406から渡された色合いレベルを使用するだろう。検知論理1516によって決定された色合いレベルは、オーバーライド論理1514に渡される。
【0165】
BMS1407及びネットワークコントローラ1408も、高需要(またはピーク負荷)オーバーライドの必要性を伝える信号を受信するために需要応答(例えば、公益企業)と電子通信する。需要応答からこれらの信号を受信したことに応えて、BMS1407及び/またはネットワークコントローラ1408は、需要応答からのオーバーライド情報を処理するオーバーライド論理1514にBACnetインタフェース1408を通して命令を送信して良い。オーバーライド論理1514は、BACnetインタフェース1408を通してBMS1407及びネットワークコントローラ1408と通信し、検知論理1516とも通信する。
【0166】
オーバーライド論理1514は、特定のタイプのオーバーライドが予測制御論理を切り離し、別の考慮点に基づいてオーバーライド色合いレベルを使用できるようにする。予測制御論理を切り離して良いオーバーライドのタイプのいくつかの例は、高需要(またはピーク負荷)オーバーライド、マニュアルオーバーライド、空室オーバーライド等を含む。高需要(またはピーク負荷)オーバーライドは需要応答から色合いレベルを定める。マニュアルオーバーライドの場合、エンドユーザーは、手動でまたは遠隔装置によってのどちらかで(
図17に示される)壁面スイッチ1490でオーバーライド値を入力して良い。空室オーバーライドは、空室(つまり、部屋に占有者なし)に基づいてオーバーライド値を定める。この場合、検知論理1516は、部屋が空であることを示すセンサデータをセンサ(例えば、運動センサ)から受信してよく、検知論理1516はオーバーライド値を決定し、オーバーライド論理1514にオーバーライド値を中継して良い。オーバーライド論理1514は、オーバーライド値を受信し、オーバーライド値を使用するのか、それともより高い優先順位(つまり、需要応答)を有するソースから受信された別のオーバーライド値等、別の値を使用するのかを判断することがある。ある場合には、オーバーライド論理1514は、
図7に関して説明されたオーバーライドステップ630、640、及び650に類似するステップで動作して良い。
【0167】
窓コントローラ1410によって利用される制御論理はモジュールA 1550、B 1558、及びC 1560の内の1つまたは複数を遮断できるインテリジェンス論理1520も含む。ある場合、インテリジェンス論理1520は、ユーザーがそれらのモジュールについて支払っていない1つまたは複数のモジュールを遮断するために使用されて良い。インテリジェンス論理1520は、モジュールAで行われた浸透計算等の特定のより高度な特徴の使用を防いで良い。係る場合、太陽計算器情報を「短絡」し、おそらく1つまたは複数のセンサの支援を受けて、それを使用して色合いレベルを計算する基本論理が使用される。基本論理からの色合いレベルはスケジュール論理1518に通信される。
【0168】
インテリジェンス論理1520は、窓コントローラ1410とモジュール1 1406の間の特定の通信を迂回させることによって、モジュール(モジュールA 1550、モジュールB 1558、及びモジュールC1560)のうちの1つまたは複数を遮断できる。例えば、太陽位置計算機1512とモジュールA 1550の間の通信はインテリジェンス論理1520を通過し、モジュールA 1550、モジュールB 1558、及びモジュールC 1560を遮断するためにインテリジェンス論理1520によってスケジュール論理1518に迂回できる。別の例として、1552でのモジュールAからの色合いレベルの1554での晴天放射照度計算への通信はインテリジェンス論理1520を通過し、モジュールB 1558及びモジュールC 1560を遮断するために代わりにスケジュール論理1518に迂回できる。さらに別の例では、1558でのモジュールBからの色合いレベルのモジュールC1560への通信は、インテリジェンス論理1520を通過し、モジュールC1560を遮断するためにスケジュール論理1518に迂回できる。
【0169】
モジュール1 1406は、色合いレベルを決定し、窓コントローラ1410のスケジュール論理1518に返す論理を含む。論理は、時刻部分1510によって提供される未来時に適切となるだろう色合いレベルを予測する。色合いレベルは、スケジュールのゾーンのそれぞれと関連付けられた代表的な色合い付与可能窓について決定される。
【0170】
図18では、モジュール1 1406は、いくつかの点において
図8、
図9、
図12、及び
図13に関して説明されたモジュールA、B、及びCで実行されたステップに類似するいくつかのステップを有することがあるモジュールA 1550、モジュールB 1558、及びモジュールC 1560を含む。別の実施形態では、モジュール1 1406は、
図8、
図9、
図12、及び
図13に関して説明されたモジュールA、B、及びCを具備して良い。さらに別の実施形態では、モジュール1 1406は、
図14に関して説明されたモジュールA、B、及びCを具備して良い。
【0171】
図18では、モジュールA 1550は、代表的な色合い付与可能窓を通して侵入深さを決定する。モジュールA 1550によって予測される侵入深さは未来時にある。モジュールA 1550は、太陽位置計算機1512から受信された太陽の決定された位置(つまり、太陽の方位角及び太陽の高度)に基づいて、及びゾーン/グループデータ1508から取り出された代表的な色合い付与可能窓の位置、受光角、窓の寸法、窓の向き(つまり、向いている方向)、及び任意の外部日よけの詳細に基づいて侵入深さを計算する。
【0172】
モジュールA 1550は、次いで計算された侵入深さについて占有者の快適さを提供する色合いレベルを決定する。モジュールA 1550は、代表的な色合い付与可能窓に関連付けられた空間タイプに対する、計算された侵入深さに対する、及び窓の受光角に対する所望された色合いレベルを決定するためにゾーン/グループデータ1508から取り出された占有率ルックアップテーブルを使用する。モジュールA1550は、ステップ1552で色合いレベルを出力する。
【0173】
代表的な色合い付与可能窓に入射する最大晴天放射照度は、論理1554でつねに予測される。また、未来時の晴天放射照度は、サイトデータ1506及びゾーン/グループデータ1508からの建物の緯度座標及び経度座標、並びに代表的な窓の向き(つまり、窓が向いている方向)に基づいて予測される。これらの晴天放射照度計算は、他の実施形態では太陽位置計算機1512によって実行できる。
【0174】
モジュールB 1556は次いで色合いレベルを増分的に増加することによって新しい色合いレベルを計算する。これらの増分ステップのそれぞれで、新しい色合いレベルに基づいた室内の内側放射照度が、方程式、つまり、内側放射照度=色合いレベルSHGCx晴天放射照度、を使用し、決定される。モジュールBは、内側放射照度がデータム内側放射照度(データムSHGCx最大晴天放射照度)以下であり、色合いレベルがAからの色合いレベルよりも明るくない色合いレベルを選択する。モジュールB 1556はBから選択された色合いレベルを出力する。Bからの色合いレベルから、論理1558は外部放射照度及び計算明かり窓放射照度を計算する。
【0175】
モジュールC 1560は、放射照度のセンサ測定値が晴天放射照度未満であるかどうかの決定を下す。決定結果が、はい、である場合、次いで計算されている色合いレベルは、値が、Bからのデータム内側放射照度を超えないが、センサ測定値x色合いレベルSHGCとして計算された色合いレベルに一致するまたは未満となるまで、増分的により明るく(より透明に)される。判断結果が、いいえ、の場合、次いで計算されている色合いレベルは、モジュールB 1556で行われるように増分ステップでより暗くされる。モジュールCは色合いレベルを出力する。論理1562は、モジュールCからの色合いレベルが最終色合いレベルであると判断し、この最終色合いレベル(モジュールCからの色合いレベル)を窓コントローラ1410のスケジュール論理1518に返す。
【0176】
一態様では、モジュール1 1406は、ゾーンの色合い付与可能窓を通る日光の輝度及び方向に対する周囲環境の影響を予測できる第4のモジュールDを含んでも良い。例えば、近隣の建物または他の構造が建物を遮り、なんらかの光が窓を通過するのを阻止することがある。別の例として、近隣の建物からの反射面(例えば、雪、水等を有する面)または建物を取り囲む環境の他の面が、色合い付与可能窓の中に光を反射して良い。この反射された光は色合い付与可能窓の中への光の輝度を高め、占有者の空間でグレアを引き起こすことがある。モジュールDによって予測された輝度の値及び日光の方向に応じて、モジュールDは、モジュールA、B、及びCから決定された色合いレベルを修正して良い、または例えばゾーン/グループデータの代表的な窓の侵入深さ計算若しくは受光角等のモジュールA、B、及びCからの特定の決定を修正して良い。
【0177】
ある場合には、建物を取り囲む環境を決定するためにサイト研究が実施されて良い、及び/または取り囲む環境の影響を決定するために1つまたは複数のセンサが使用されて良い。サイト研究からの情報は、ある期間(例えば、1年)の反射率及び日陰(周囲)効果を予測することに基づいた静的な情報であって良い、または周期的に若しくは他の次元ベースで更新できる動的情報であって良い。ある場合、モジュールDは、ゾーン/グループデータから取り出された各ゾーンの代表的な窓の(
図20に示される)標準的な受光角並びに関連付けられたθ
1及びθ
2を修正するためにサイト研究を使用して良い。モジュールDは、代表的な窓に関するこの修正された情報を予測制御論理の他のモジュール伝えて良い。周囲の環境の影響を決定するためにモジュールDによって利用される1つまたは複数のセンサは、他のモジュールによって(例えば、モジュールCによって)使用される同じセンサであって良い、または異なるセンサであって良い。これらのセンサはモジュールDのための周囲環境の影響を決定するように特に設計されて良い。
【0178】
図18に示される予測制御論理を操作するために、ユーザーは最初に、時間及び日付、ゾーン、センサ、並びに使用プログラムの詳細を有するスケジュールを作成する。代わりに、デフォルトスケジュールが提供されて良い。いったんスケジュールが実施される(記憶される)と、特定の時間間隔(1分毎、5分毎、10分毎等)で、時刻部分1510が現在時刻、及び代表的な窓またはスケジュールの各ゾーンのEC素子(複数の場合がある)400の移行時間に基づいて未来時を決定する。ゾーン/グループデータ1508及びサイトデータ1506を使用し、太陽位置計算機1512はスケジュールの各ゾーンのそれぞれの代表的な窓の未来(先読み)時での太陽の位置を決定する。ユーザーによって作成されたスケジュールに基づいて、インテリジェンス論理1520は、スケジュールのゾーンごとにどのプログラムを利用するのかを決定するために使用される。ゾーンごとに、スケジュールされたプログラムが利用され、その将来のときの適切な色合いレベルを予測する。実施されているオーバーライドがある場合、オーバーライド値が使用される。実施されているオーバーライドがない場合、次いでプログラムによって決定された色合いレベルが使用される。ゾーンごとに、窓コントローラ1410は将来のときまでにそのゾーンの色合い付与可能窓(複数の場合がある)の色合いレベルを移行するために関連付けられたEC素子(複数の場合がある)400に、スケジュールされたプログラムによって決定されたゾーン特有の色合いレベルを有する制御信号を送信する。
【0179】
VIII.占有率ルックアップテーブルの例
図20は、占有率ルックアップテーブルの例を含む図である。表の中の色合いレベルはT
vis(可視透過)単位である。表は、特定の空間タイプの場合、及び太陽の角度θ
Sunが窓の受光角θ
1=30度とθ
2=120度の間であるとき、計算された侵入深さ値(2フィート、4フィート、8フィート、及び15フィート)の異なる組合せの異なる色合いレベル(T
vis値)を含む。表は、4%(最も明るい)、20%、40%、及び63%を含む4つの色合いレベルに基づく。また、
図20は、窓の近くの机、及びθ
1とθ
2の角度間の角度θ
Sunを有する日光に対する窓の受光角の図も示す。この図は太陽の角度θ
Sunと机の場所の関係性を示す。太陽の角度θ
Sunがθ
1とθ
2の間の受光角の間であるとき、次いで日光は机の表面に当たるだろう。太陽の角度θ
Sunがθ
1とθ
2(θ
1<θ
Sun<θ
2)の間の受光角の間であり、侵入深さが窓に色合いを付与する基準を満たすとき、次いで占有率ルックアップテーブルによって決定されるその色合いレベルは窓コントローラに送信され、窓コントローラは、決定された色合いレベルに窓を移行するために窓のEC素子の制御信号を送信する。これらの2つの角度θ
1及びθ
2は、ウィンドウごとに計算または測定でき、そのゾーンの他の窓パラメータとともにゾーン/グループデータ1508に記憶できる。
【0180】
図21A、
図21B、及び
図21Cは、実施形態に従って、建物2100の一部分の平面図である。建物2100はいくつかの点で
図15の建物1101に類似して良く、建物2100の部屋はいくつかの点で
図5、
図6A、
図6B、及び
図6Cに説明される部屋500に類似して良い。建物2100の部分は、事務所内の机、小区画のグループ、及び建物2100の会議室を含んだ3つの異なる空間タイプを含む。
図21A、
図21B、及び
図21Cは、異なる角度θ
sunでの太陽を示す。また、これらの図は、建物2100の異なるタイプの窓の異なる受光角も示す。例えば、最大窓を有する会議室は、部屋の中へ入射する最も多くの光を可能にする最大の受光角を有する。この例で、関連付けられた占有率ルックアップテーブルのT
vis値は会議室について相対的に低く(低い透過率)て良い。ただし、同じ受光角を有する類似した窓が代わりに日光浴室にあると、次いで関連付けられた占有率ルックアップテーブルのT
vis値はより多くの日光が室内に進入できるようにするためにより高い値(より高い透過率)になって良い。
【0181】
IX.サブシステム
図22は、実施形態に従って、1つまたは複数の色合い付与可能窓の色合いレベルを制御するために使用される窓コントローラに存在して良いサブシステムのブロック図である。例えば、
図17に示される窓コントローラはプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)及びプロセッサと電子通信するコンピュータ可読媒体を有して良い。
【0182】
他の項の図で説明された多様な構成要素は、本明細書に説明される機能を容易にするために本項のサブシステムの1つまたは複数を使用し、動作して良い。図中の構成要素のいずれも、本明細書に説明される機能を容易にするために任意の適切な数のサブシステムを使用して良い。係るサブシステム及び/または構成要素の例は
図22に示される。
図22に示されるサブシステムは、システムバス2625を介して相互接続される。プリンタ2630、キーボード2632、固定ディスク2634(またはコンピュータ可読媒体を含む他のメモリ)、ディスプレイアダプタ2638に結合されるディスプレイ2430、及び他等の追加のサブシステムが示される。周辺装置及びI/Oコントローラ2640に結合する入出力(I/O)装置は、シリアルポート2642等、技術で既知の任意の数の手段によってコンピュータシステムに接続できる。例えば、シリアルポート2642または外部インタフェース2644は、インターネット等の広域ネットワーク、マウス入力装置、またはスキャナにコンピュータ装置を接続するために使用できる。システムバスを介した相互接続は、プロセッサ2410が各サブシステムと通信し、サブシステム間の情報の交換だけではなく、システムメモリ2646または固定ディスク2634からの命令の実行も制御できるようにする。システムメモリ2646及び/または固定ディスク2634は、コンピュータ可読媒体を実施して良い。これらの要素のいずれも上述の特徴に存在して良い。
【0183】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のシステムのプリンタ2630またはディスプレイ2430等の出力装置は、多様な形のデータを出力できる。例えば、システム1400は、ユーザーに対してディスプレイ上でスケジュール情報を出力して良い。
【0184】
X.急激に変化する条件に基づいて色合い付与決定を下すためのフィルタ(複数の場合がある)
いくつかのシステムでは、いったん色合い付与可能窓を特定の最終状態に色合い付ける決定が下されると、窓は最終状態に到達するまでその移行を完了することにコミットしている。係るシステムは移行中に最終色合い状態を調整できず、移行が完了するまで待機できるに過ぎない。不適切な最終色合い状態がこれらのシステムによって選択されると、窓は移行サイクル中に、及びさらにより適切な色合いレベルに窓を移行するのに要する任意の時間、この不適切な色合いレベルにコミットする。色合い時間/クリア時間は、例えば5~30分かかるので、不適切な選択は、状況を占有者にとって心地よくないものにするだろうかなりの期間、不適切な色合いレベルに窓を結び付ける。
【0185】
長い移行時間と結び付けられた急激に変化する条件(例えば、晴れた日の断続的な雲、入ったり出たりする霧堤、消散して晴れる霧等の天気の変化)は、いくつかの制御方法を、最終色合い状態間で「弾ませる」ことができる。さらに、係る制御方法は方法が移行にコミットした直後に変化する条件に基づいて最終色合い状態に関して決定でき、その場合、窓は移行が完了するまで不適切な色合いレベルにロックされる。例えば、まばらな雲がある大部分は晴れの日を考える。制御方法は、雲が通り過ぎるときの照度値の低下に反応して良く、値が跳ね返ると、グレア条件が存在するだろう。雲が素早く通り過ぎても、窓は少なくとも移行サイクルの持続時間に不適切な低い最終色合いへの移行にコミットされる。この時間中、太陽放射は、それを占有者にとって不快なほどに暖かくするだろう部屋に進入する。
【0186】
急速に変化する天気条件の例は、急に日が差す霧の朝である。
図23は、当日の後に急激に消散して晴れる霧で始まる日に採取されたセンサ照度測定値のグラフである。特定の制御システムは、朝霧の間の低い照度測定値に基づいて1日の始まりに低い色合いレベルを決定するだろう。この低い色合いレベルは、霧が消散した後に天気が素早く晴天に移行するとき一時期不適切に低くなるだろう。この例では、晴天のためのより適切なより高い色合いレベルは、かなりの期間(例えば、霧が消散した後の35~45分)、決定されなくてよい。急激に変化する条件の別の例は、例えば、駐車されている車または隣接する建物の窓等の物体からの反射の始まりである。
【0187】
本明細書に説明される特定の実施形態は、急速に変化する条件に対応する色合い付与決定を下すために複数のフィルタを使用する窓制御方法を含む。特定の場合、これらのフィルタは、現在の移行サイクルの間により適切な最終色合い状態を決定して、現在の状況に適切なレベルに窓の色合いレベルを調整するために使用できる。1つのタイプのフィルタはボックスカーフィルタ(スライド窓フィルタと呼ばれることもある)であり、ボックスカーフィルタは継時的にサンプリングされた照度値の複数のセンサ測定値を利用する。ボックスカー値は、連続センササンプル(継時的に測定された照度値の測定値)の数nの計算された中心傾向(例えば、中数、平均値、または中央値)である。通常、センササンプルは(例えば、建物の外部に位置するセンサによる)外部放射の測定値である。ある場合には、建物の特定のゾーンの窓等の複数の窓のセンササンプルを採取するために単一のセンサが使用できる。センサは、概してサンプリングレートに基づいて一様な頻度でサンプルを採取して良い。例えば、センサは、30秒毎に約1サンプルから20分毎に1サンプルの範囲のサンプリングレートでサンプルを採取して良い。一実施形態では、センサは毎分1サンプルのレートでサンプルを採取する。ある場合には、1つまたは複数のタイマも、ボックスカー値を使用し決定された現在の設定値で色合いを維持するための制御方法によって使用されて良い。
【0188】
特定の態様では、制御方法は色合い付与決定を下すために、短期ボックスカー及び1つまたは複数の長期ボックスカー(フィルタ)を使用する。短期ボックスカー(例えば、10分、20分、5分等にわたって採取されるサンプル値を利用するボックスカー)は、長いボックスカー(例えば、1時間、2時間等にわたって採取されるサンプル値を利用するボックスカー)でのより多数のセンササンプル(例えば、n=10、20、30、40等)に比してより少ない数のセンササンプル(例えば、n=1、2、3、...10、等)に基づいている。ボックスカー(照度)値は、ボックスカーでのサンプル値の中数、平均値、中央値、または他の代表的な値に基づいて良い。ある場合、短いボックスカー値はセンササンプルの中央値であり、長いボックスカー値はセンササンプルの平均値である。短いボックスカー値はより少ない数のセンササンプルに基づいているので、短いボックスカー値は長いボックスカー値よりもより密接に現在のセンサ測定値に従う。したがって、短いボックスカー値は、より長いボックスカー値よりも、急速に変化する状況により迅速に及びより大きな程度まで対応する。両方の計算された短いボックスカー値及び長いボックスカー値ともセンサ測定値に遅れを取っているが、短いボックスカー値は長いボックスカー値よりもより少ない程度で後れを取る。
【0189】
多くの場合、短いボックスカー値は長いボックスカー値よりもより迅速に現在の状況に反応する。これに基づいて、長いボックスカーフィルタは、窓コントローラの対応を頻繁な短期間の天気の変動を平滑化するために使用できる。一方、短いボックスカーは急速で著しい天気の変化を平滑化するのではなく、より迅速に急速で著しい天気の変化に対応する。通り過ぎる雲の状況の場合、長いボックスカー値だけを使用する制御アルゴリズムは現在通過する雲の状況には迅速に反応しない。この場合、長いボックスカー値は、適切な高い色合いレベルを決定する色合い付与決定で使用されるべきである。霧が消散する状況の場合、色合い付与決定で短期間ボックスカー値を使用する方がより適切であることがある。この場合、短期間ボックスカーは、霧が消散した後の新しい晴れた状況により迅速に反応する。短期間ボックスカー値を使用し、色合い付与決定を下すことによって、色合い付与可能窓は晴れた状況に迅速に調整し、霧が迅速に消散するので占有者を快適に保つ。
【0190】
特定の態様では、制御方法は短期間ボックスカー値と長期間ボックスカー値の差を評価して色合い付与決定でどちらのボックスカー値を使用するのかを決定する。例えば、差(長期間ボックスカー値を引いた短期間ボックスカー値)が正であり、第1の(正の)閾値(例えば、20W/m2)を超えるとき、短期間ボックスカーの値は色合いレベル(状態)を計算するために使用されて良い。正の値は、通常、増光(つまり、窓の外の放射強度を増すこと)への移行に相当する。いくつかの実装では、第1のタイマは、正の閾値が超えられるときにセットされ、その場合、現在計算されている色合いレベルは第1のタイマの所定の時間量維持される。第1のタイマを使用することは、より色合いが付与された状態に窓を保持し、占有者を悩ませる可能性がある多すぎる移行を防ぐことによるグレア制御を好む。他方、短い車値と長い車値の間の差が第1の閾値未満であるまたは負であるとき、長期ボックスカー値は次の色合い状態を計算するために使用される。そして、差が負であり、第2の負の閾値よりもより負である場合、次いで第2のタイマがセットされて良い。特定の場合、正の閾値は約1ワット/m2~200ワット/m2の範囲にあり、負の閾値は約-200ワット/m2~-1ワット/m2の範囲にある。長いボックスカーに基づいて計算された色合い値は、第2のタイマの規定の時間量の間維持される。いったん制御方法がどのボックスカー値を使用するのかを決定すると、方法は、ボックスカー値が上限を超えるのか、下限以下なのか、それとも上限と下限の間なのかに基づいて色合い付与決定を下す。上限を超えている場合、モジュールA及びB(またはある場合には単にB)が色合いレベル変更を決定するために使用される。下限を超え、上限以下の場合、モジュールA、B、及びC(またはある場合には単にB及びC)が、色合い変更を決定するために使用される。下限以下の場合、定められた色合いレベルが適用される(例えば、名目上透明)。特定の場合、下限は5ワット/m2~200ワット/m2の範囲にあって良く、上限は50ワット/m2~400ワット/m2の範囲にあって良い。
【0191】
図24Aは、
図7に示される制御論理の特定の実装を示すフローチャート3600である。ステップ3610で、制御方法は現在時刻が日の出と日没の間であるかどうかを判断する。ステップ3610で現在時刻が日の出前または日没後である場合、制御方法は色合い付与可能窓の色合いを取り除き、ステップ3920に進んでオーバーライドがあるかどうかを判断する。ステップ3610で現在時刻が日の出と日没の間であると判断されると、制御方法は、太陽の方位角が臨界角の間であるかどうかを判断する(ステップ3620)。特定の制御方法は単一の色合い付与可能窓に対して説明されているが、これらの制御方法が1つ若しくは複数の色合い付与可能窓または1つ若しくは複数の色合い付与可能窓のゾーンを制御するために使用できることが理解されるだろう。
【0192】
図25Bは、机を有する部屋、及び室内の色合い付与可能窓を通って照る太陽の臨界角を示す。太陽の方位角が臨界角の範囲内にある場合、次いで太陽のグレアは机のところに座っている占有者により画定された占有領域の上で輝いている。
図25Bでは、太陽の方位角は示されている臨界角の外に示される。
【0193】
図24Aのフローチャートに戻ると、ステップ3620で、太陽方位角が臨界角の外にあることが判断され、モジュールAは使用されず、モジュールBはステップ3800で使用される。太陽方位角が臨界角の間にあると判断される場合、モジュールAはステップ3700で使用され、次いでモジュールBはステップ3800で使用される。ステップ3820で、制御方法は、センサ値が閾値1以下であるのか、それとも閾値2を超えているのかを判断する。センサ値が閾値1以下または閾値2を超えている場合、モジュールC(ステップ3900)は使用されない。センサ値が閾値1を超え、閾値2以下である場合、モジュールCが使用される。どちらの場合でも、制御方法はステップ3920に進んで、実施されているオーバーライドがあるかどうかを判断する。
【0194】
図24Bは、日中早くは曇り(例えば、霧がかかっている)、日中遅くは晴れている(晴天)1日の間に採取されたセンサの照度測定値のグラフである。示されるように、照度測定値の値は午前7時前に下限以下であり、下限、次いで上限を超えて上昇し、次いで雲が午前10時過ぎに消散するので、照度測定値は日中の後半ではるかに高くなる。センサは午前7時前に下限以下の照度レベル(例えば、10ワット/m
2)を読み取るが、色合い付与可能窓を通る放射の量は占有者の快適さに影響を及ぼすほど著しくない。この場合、色合いレベルの再評価は行う必要がなく、定められた色合いレベル(例えば、最大窓透過率)が適用される。センサは、午前7時過ぎ及び午前10時前に下限と上限(例えば、100ワット/m
2)の間で読み取るが、モジュールA、B、及びCは最終色合い状態を計算すために使用される。センサは午前10時過ぎに上限(例えば、100ワット/m2)を超えて読み取るが、モジュールA及びBが最終色合い状態を計算するために使用される。
【0195】
図25Aは、いくつかの実施形態に従って、色合い付与決定を下すために短いボックスカー値及び長いボックスカー値を使用する制御方法のフローチャート4000である。フローチャートは1つの短期ボックスカー値及び1つの長期ボックスカー値を使用し、示されているが、他の実施形態は例えば第2の長期ボックスカー値等の1つまたは複数のボックスカー値を含んで良い。示されている制御方法は、照度値のセンサ測定値を周期的に受信し、長期ボックスカー値及び短期ボックスカー値を更新する。タイマがセットされる場合、次いで現在の色合いレベルが現在の色合い設定値で維持される。方法は、どのボックスカー値を使用するのかを決定するために短期ボックスカー値及び長期ボックスカー値の差を評価する。値の差が閾値よりも大きい場合、次いで短期ボックスカー値が使用され、現在の色合い設定値が維持される間、第1のタイマがセットされる。値の差が閾値よりも低い場合、長期ボックスカー値が使用され、異なるタイマが(差の大きさに応じて)セットされて良い。方法は、以前に決定されたボックスカー値を照度値として使用し、照度値が下限以下であるかどうかを判断し、以下である場合、所定の色合いレベルが適用される(例えば、名目上は透明)。照度値が上限を超える場合、方法は、太陽が臨界角の外にあるかどうかを判断する。
【0196】
図25Bは、机を有する部屋、及び太陽からのグレアが机のところに座っている占有者により画定された占有領域で輝く部屋の臨界角を示す。図中、太陽は臨界角の外にある。方法が、太陽が臨界角の外にあると判断すると、モジュールBだけが色合いレベルを決定するために使用される。臨界角の中にある場合、モジュールA及びBが色合いレベルを決定するために使用される。照度値が下限を超え、上限以下である場合、方法は太陽が臨界角の外にあるかどうかを判断する。臨界角の外にある場合、モジュールB及びCが色合いレベルを決定するために使用される。臨界角の中にある場合、モジュールA、B、Cが色合いレベルを決定するために使用される。
【0197】
図25Aを参照してより詳細には、ステップ4010で、照度値のセンサ測定値(例えば、外部照射測定値)がセンサによって送信され、プロセッサによって受信される。概して、センサは一様な速度(例えば、1つのサンプルが毎分採取される)で周期的にサンプルを採取する。ステップ4012で、長期ボックスカー照度値及び短期ボックスカー照度値は受信されたセンサ測定値で更新される。言い換えると、ボックスカーフィルタの最も古い測定値は最も新しい測定値で置換され、新しいボックスカー測定値が、通常はボックスカーの測定値の中心的な傾向として計算される。
【0198】
ステップ4020で、タイマがセットされるかどうかが判断される。タイマがセットされる場合、次いでステップ4022で現在の色合い設定値が維持され、プロセスはステップ4010に戻る。言い換えると、プロセスは新しい色合いレベルを計算しない。タイマがセットされない場合、ステップ4030で短期ボックスカー照度値と長期ボックスカー照度値の差(△)の大きさ及び符号が決定される。すなわち、△=短期ボックスカー値-長期ボックスカー値、である。
【0199】
ステップ4040で、△が正であり、第1の正の閾値を超えているかどうかが判断される。△が正であり、第1の閾値よりも大きい場合、次いでシステムの照度値は短期ボックスカー照度値に設定され、ステップ4042で第1のタイマはセットされ、方法はステップ4050に進む。△が正であるが、第1の正の閾値を超えない場合、次いでステップ4044でシステムの照度値は長期ボックスカー照度値に設定される。ステップ4046で、△は第2の負の閾値よりもより負であるかどうかが判断される。△が第2の負の閾値よりもより負である場合、次いで4048で第2のタイマはセットされ、方法はステップ4050に進む。より負ではない場合、方法は直接的にステップ4050に進む。
【0200】
ステップ4050で、システムに設定された照度値が下限未満であるかどうかが判断される。システムに設定された照度値が下限未満である場合、ステップ4052で所定の色合いレベル(例えば、名目上は透明)が適用され、プロセスはステップ4010に戻る。システムに設定された照度値が下限よりも大きい場合、ステップ4060でシステムに設定された照度値が上限よりも大きいかどうかが判断される。システムに設定された照度値が上限よりも大きいと判断される場合、次いで、4070で太陽方位角が臨界角の外であるかどうかが判断される。太陽が臨界角の外にない場合、モジュールA及びBが色合い付与可能窓に適用される最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスがステップ4010に戻る。太陽が臨界角の外にある場合、ステップ4074でモジュールBだけが最終色合い状態を決定するために使用され、プロセスはステップ4010に戻る。ステップ4060でシステムに設定された照度値が上限を超えていないと判断される場合、次いで4080で太陽が臨界角の外にあるかどうかが判断される。太陽が臨界角の外にない場合、ステップ4082でモジュールA、B、及びCは色合い付与可能窓に適用された最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ4010に戻る。太陽が臨界角の外にある場合、ステップ4090でモジュールB及びCだけが最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ4010に戻る。
【0201】
図26Aは、通常の1日の間のセンサ測定値、及び
図25Aを参照して説明された制御方法によって決定された関連色合い状態と関連付けられた2つのグラフを示す。下部のグラフは参照のために時間tにわたる晴天放射照度値の鐘の形をした曲線を含む。この特定の鐘状の曲線は、(つまり、鐘は夜明けから夕暮れまでの時間スケールでほぼ中心に置かれるため)90(東)から270(西)の臨海角を有する南向きの窓で測定された値の例だろう。また、下部のグラフは、天気が周期的に晴天から外れるときの1日の間の時間tにわたって採取されるセンサ測定値の曲線も含む。センサ測定値は通常外部放射の測定値である。また、下部グラフは、時間tで計算された、更新された短いボックスカー値及び長いボックスカー値の曲線も含む。これらの値は、通常、時間tで更新されたボックスカーのサンプルの中心的な傾向として計算される。また、センサ測定値の曲線は、4つの雲1、2、3、及び4の通過時の照度の低下も示し、次いで雲のそれぞれが通過した後に晴天に戻る。短いボックスカー曲線はセンサ測定値曲線をたどり、4つの雲による照度の低下に迅速に反応する。長いボックスカー値は照度のセンサ測定値低下に後れを取り、雲による照度のこれらの低下に対して短いボックスカー値と同程度に反応しない。上部グラフは、時間、tで制御方法によって決定された色合い付与可能窓を通る色合い状態透過率(T
vis)を示す。事象0の直前まで、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の正の差は第1の(正の)閾値(例えば、20ワット/m
2)未満であり、照度値は更新された長いボックスカー値に設定される。照度値は下限以下であるので、60%のT
visと関連付けられた定められた色合いレベル(名目上は透明な状態)が適用される。示されるように、制御方法は、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の間の正の差が第1の正の閾値(例えば、20ワット/m
2)を超えるまで60%のT
visを適用し、次いで照度値は短いボックスカー値(事象0)に設定される。このとき、タイマ1はセットされ、事象0で計算された色合い状態は、タイマ1が雲1の通過直後に期限切れになるまで維持される。(短いボックスカー値に基づいた)照度値は下限よりも大きく、上限未満であり、太陽は臨界角の範囲内にあるので、モジュールA、B、及びCが20%のT
visに対応する事象での色合いレベルを決定するために使用される。その後、短期ボックスカーの値が上位を通過し、モジュールA及びBだけに基づいた計算をトリガする。ただし、タイマ1がセットされるので、色合いレベルの変化は発生しない。該時間直後に雲1が通過し、タイマ1が期限切れとなる。このときから雲3の直前まで、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の正の差は第1の正の閾値よりも大きく、照度値は更新された短期間ボックスカー値に設定される。この時間中、(更新された短期間ボックスカー値に基づいた)照度値は上限を超えたままとなり、太陽は臨界角の範囲内のままとなり、したがってモジュールA及びBは色合いレベルを決定するために再び使用され、モジュールA及びBは4%のT
visに対応する色合いレベルを計算する。雲3で、長いボックスカー値は短いボックスカー値よりも大きく、差は現在負であり、したがって照度値は長いボックスカー値に設定される。差は第2の負の閾値よりもより負ではないので、タイマはセットされない。照度値は上限より大きく、太陽は臨界角の外にあるので、モジュールA及びBは4%のT
visに対応する色合いレベルを決定するために再び使用される。雲4で、長いボックスカー値は再び短いボックスカー値を超え、差は負の閾値よりもより負ではない。このとき、照度値は更新された長いボックスカー値に設定されるが、タイマはセットされない。照度値は下限より大きく、上限未満であり、太陽は臨界角の範囲内にあるので、モジュールA、B、及びCが色合いレベルを計算するために使用され、モジュールA、B、及びCは4%のT
visに対応する色合いレベルを計算する。
【0202】
図26Bは、間欠的な急上昇のある曇った1日の間のセンサ測定値、及び
図25Aを参照して説明された制御方法によって決定された関連色合い状態と関連付けられた2つのグラフを示す。下部のグラフは曇った日の時間tでのセンサ測定値を示す。また、下部のグラフは参考のために時間tにわたる晴天照度値の鐘形の曲線も示す。また、下部のグラフは、時間tで計算された、更新された短いボックスカー値及び長いボックスカー値の曲線も含む。センサ測定値の曲線は、状況が短い期間晴れになるときのポイント3まで午前中曇りであり、ポイント4で再び曇りになる前に2回の低下があることを示している。上部のグラフは時間tで制御方法によって計算された色合い付与可能窓を通る色合い状態透過率T
visを示す。ポイント1の前、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の正の差は第1の正の閾値未満であり、照度値は長いボックスカー値に設定される。照度値は下限以下であるので、60%のT
visと関連付けられた所定の色合いレベル(例えば、名目上は透明)が適用される。ポイント1で、短期間ボックスカー値と長期間ボックスカー値の差は正であり、第1の正の閾値未満であり、照度値は更新された長いボックスカー値に設定される。この場合、照度値は下限と上限の間であり、太陽が臨界角の外にあるように1日の早くであり、これによりモジュールAは室内へのグレアを決定するために使用される必要はない。この場合、モジュールB及びCだけが使用され、モジュールB及びCは窓を暗くするために40%のT
visで色合いレベルを計算する。ポイント2で、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の差は正であり、第1の正の閾値未満であり、照度値は更新された長期ボックスカー値に設定される。このポイントで、依然として1日は早く、太陽は臨界角の外にある。照度値は、照度値がポイント1にあった時より高いが、依然として条件と下限の間にあり、モジュールB及びCは窓をさらに暗くするために20%のT
visで色合いレベルを決定する。ポイント3で、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の差は正であり、閾値よりも大きいため、照度値は更新された短期ボックスカー値に設定され、タイマ1がセットされる。照度値は上限を超え、太陽は臨界角の範囲内にあるので、モジュールA及びBは、4%のT
visに対応する色合いレベルに色合いを増加することを決定するために使用される。タイマの長さの間、色合い状態は維持される。ポイント4の直前で、タイマ1は期限切れになる。ポイント4で、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の正の差は第1の正の閾値よりも大きく、照度値は更新された短いボックスカー値に設定される。モジュールBだけが40%のT
visに相当する色合いレベルを決定するために使用されるように、この時刻に照度値は上限を超え、太陽は臨界角の外にある。ポイント5で、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値の正の差は第1の閾値未満であり、照度値は長いボックスカー値に設定される。タイマはセットされない。当日のこの遅い時点で、モジュールB及びCが60%のT
visに対応する色合いレベルを決定するために使用されるように、照度値は下限以下であり、太陽は臨界角の外にある。
【0203】
図27Aは、1日の間の時間tで決定されたセンサ測定値、短いボックスカー値、及び長いボックスカー値を含む照度値のプロットである。
図27Bは
図27Aのセンサ測定値、並びにモジュールBにより決定された関連色合いレベル、及び1日の間にモジュールCによって決定された色合いレベルのプロットである。
【0204】
いくつかの態様では、長いボックスカー値はセンサ測定値で更新され、当日中に絶対にリセットされない。センサ測定値は当日中に(例えば、暴風雨前線が到着したとき)大きく変化するなら、これらの長いボックスカー値はセンサ測定値の急激な変化に大幅に遅れを取り、急激な変化を反映しないだろう。例えば、長いボックスカー値は、外部照度の著しい低下後、センサ測定値よりも著しく高くなる。これらの高い長いボックスカー値が色合いレベルを計算するために使用される場合、窓は、長いボックスカーがより最新のセンサ測定値をロードする時間を有するまで過剰に色合いを付与されることがある。特定の態様では、制御方法は、長いボックスカーにより最新のセンサ測定値をロードできるように照度の急激な変化後に長いボックスカーをリセットする。
図28A~
図28Bは長いボックスカーのロードをリセットする制御方法の図である。他の態様では、制御方法は照度状態の著しい変化で開始される第2の長いボックスカーを使用する。
図29A~
図29Bは、第2の長いボックスカーを有する制御方法の図である。これらの場合、制御方法は最新のセンサ測定値により近い長いボックスカー値を使用することができ、照度の急激な低下の後に窓を過剰に色合い付与するのを回避し得る。
【0205】
図28Aは、実施形態に従って、長いボックスカーのロードをリセットする制御方法のフローチャート5000である。長いボックスカーはリセットされ、センサ測定値の急激な変化の後に最新のセンサ測定値を再ロードし始める。長いボックスカーは、短いボックスカー値と長いボックスカー値の負の差が第2の負の閾値よりもより負であるときにリセットされる。すなわち、負の閾値よりもより負である負の差はセンサ測定値の急激な変化を示す。同時に、制御方法は第2のタイマを起動する。制御方法はリセットされた長いボックスカー値を使用して、第2のタイマ中に維持される色合いレベルを計算する。長いボックスカーは、状況が急激に変化するときに新しいセンサ測定値の再ロードを開始するので、長いボックスカー値は一時の間センサ測定値に密接に従い、制御方法は、急激な変化の後に最新の変化するセンサ測定値に密接に対応する色合いレベルを決定する。
【0206】
さらに詳細には、
図28Aを参照すると、ステップ5010で、センサ測定値はセンサによって送信され、プロセッサによって受信される。ステップ5012で、長期ボックスカー照度値及び短期ボックスカー照度値は受信されたより最新のセンサ測定値で更新される。ステップ5020で、タイマがセットされると判断される場合、次いで5022で現在の色合い設定値が維持され、プロセスはステップ5010に戻る。ステップ5020でタイマがセットされないと判断されると、次いでステップ5030で短期ボックスカー照度値と長期ボックスカー照度値の差(△)の大きさ及び符号が決定される。すなわち、△=短期ボックスカー値-長期ボックスカー値、である。ステップ5030で、△が正であり、第1の正の閾値よりも大きいと判断される場合、次いで照度値は短期ボックスカー照度値に設定され、ステップ5042で第1のタイマがセットされ、方法はステップ5050に進む。ステップ5030で、△が正であり、正の閾値未満であるまたは負の値であると判断される場合、次いでステップ5044で照度値は長期ボックスカー照度値に設定される。ステップ5046で、△が第2の負の閾値よりもより負であるかどうかが判断される。△が第2の閾値よりもより負である場合、これは照度の著しい低下のしるしである。この場合、第2のタイマがセットされ、ステップ5048で長いボックスカーはロードを再び開始するためにリセットされ(値を取り出され空にされ)、方法はステップ5050に進む。△が第2の負の閾値よりもより負ではない場合、方法はステップ5050に直接的に進む。ステップ5050で、設定された照度値が下限未満であるかどうかが判断される。下限未満である場合、ステップ5052で定められた色合いレベル(例えば、名目上は透明)が適用され、プロセスはステップ5010に戻る。システムに設定された照度値が下限よりも低い場合、ステップ5060でシステムに設定された照度値が上限よりも大きいかどうかが判断される。システムに設定された照度値が上限よりも大きいと判断される場合、次いで、太陽方位角が5070で臨界角の外にいるかどうかが判断される。太陽が臨界角の範囲内にある場合、モジュールA及びBは色合い付与可能窓に適用された最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ5010に戻る。太陽が臨界角の外にある場合、ステップ5074でモジュールBだけが最終色合い状態を決定するために使用され、プロセスはステップ5010に戻る。ステップ5060でシステムに設定された照度値が上限よりも大きくないと判断される場合、ステップ5080で太陽が臨界角の外にあるかどうかが判断される。太陽が臨界角の範囲内にある場合、ステップ5082でモジュールA、B、及びCは色合い付与可能窓に適用された最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ5010に戻る。太陽が臨界角の外にある場合、ステップ5090でモジュールB及びCだけが色合い付与可能窓に適用された最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ5010に戻る。
【0207】
図28Bは、1日の一部分の間の時間tの間のセンサ測定値及びボックスカー値にシナリオを示す。このシナリオは、正午の明るい晴れた日(500W/m
2)を想定し、ボックスカー曲線は、今回大部分ともに進み、計算は5分ごとに継続している。第1の縦の黒の点線(規則正しい5分間隔の計算)では、センサ測定値にわずかな低下があり、短期ボックスカー値は、センサ測定値に後れを取る長期ボックスカー値よりもわずかに高い。短期値と長期値の負の差は負の閾値よりもより負であるので、長期ボックスカー値は色合いレベルを決定するために使用される。まさに次の計算では、センサ測定値は外部照度の大きい低下を示している(例えば、暴風雨前線が到着した)。負の差は負の閾値よりもより負であり、制御方法は1時間タイマをトリガし(変化する状況がこの事象を引き起こし、デルタを、タイマをトリガするほど十分にした)、長いボックスカーがリセットされる。制御方法は、色合いレベルを決定してタイマ期間中に使用するために、照度値をリセットされた長いボックスカー値に設定する。長期ボックスカー値が上限を超え、太陽は臨界角の範囲内にあるので、モジュールA及びBは、リセットされた長いボックスカー値に基づいて色合いレベルを決定するために使用される。第2のタイマ期間の最後で、短いボックスカー値と長いボックスカー値の負の差は、照度が、リセット以来採取された測定値を有する長期間ボックス値に設定されるように、負の閾値よりもより負である。
【0208】
第2タイマ期間の最後で、論理が長いボックスカーをリセットしないならば、第2のタイマは再び実装され、長いボックスカー値は(以前のように)期間中使用されただろう。分かるように、現在のセンサ測定値(及び関連する短いボックスカー値)が、どんよりとした日であり、長いボックスカー値が示すだろうと考えられるほど高く窓が色合いを付与される必要がないことを示すので、これは不適切に窓に過剰に色合いを付与しただろう。このシナリオでは、長期ボックスカーはタイマ開始期間でリセットされる。言い換えると、いったんタイマがトリガされると、これは同時に長いボックスカーのリセットをトリガして、新しいセンサデータのロードを開始する。このリセット論理を使用し、第2のタイマの最後で、短期ボックスカー値はリセットされた長いボックスカー値と比較され、デルタはより密接に最新のセンサ測定値を反映するだろう。
【0209】
図29Aは、センサ測定値に急激な変化があるときに第2の長いボックスカーを開始する制御方法のフローチャート6000である。新規に開始された第2の長いボックスカー値の値は急激な変化の間、センサ測定値を密接に追跡する。第1の長いボックスカーは第2の測定値に後れを取る。
【0210】
図29Aを参照し直すと、ステップ6010で、照度値のセンサ測定値はセンサによって送信され、プロセッサによって受信される。ステップ6012で、ボックスカー照度値は受信されたセンサ測定値で更新される。ステップ6020で、タイマがセットされると判断される場合、次いでステップ6022で現在の色合い設定値は維持され(つまり、新しい色合いレベルの計算なし)、プロセスはステップ6010に戻る。ステップ6020でタイマがセットされないと判断される場合、ステップ6024で第2の長いボックスカーが開始されたかどうかが判断される。ステップ6024で、第2の長いボックスカーが開始されると判断される場合、値1は短いボックスカー照度値及び第1の長いボックスカー照度値の大きい方に設定され、値2は第2の長いボックスカー照度値に設定される。第2の長いボックスカーが開始されていない場合、値1は短いボックスカー照度値に設定され、値2は長いボックスカー照度値に設定される。ステップ6030で、値1と値2の差(△)の大きさ及び符号が決定される。ステップ6030で、△が正であり、第1の正の閾値よりも大きいと判断されると、次いでステップ6042で、照度値は値1に設定され、第1のタイマがセットされ、次いで方法はステップ6050に進む。ステップ6030で、△が正であり、第1の正の閾値未満であるまたは△が負の値であると判断されると、次いでステップ6044で、照度値は値2に設定される。ステップ6046で、△が第2の負の閾値よりもより負であるかどうか判断される。△が第2の負の閾値よりもより負である場合、次いで照度には著しい低下があった。この場合、第2のタイマがセットされ、第2の長いボックスカーが開始され、ステップ6048で、照度値は第2の長いボックスカーの初期値に設定され、方法はステップ6050に進む。△が第2の閾値よりもより負ではない場合、方法はステップ6050に直接的に進む。ステップ6050で、設定された照度値は下限未満であるかどうかが判断される。下限未満である場合、ステップ6052で定められた色合いレベル(例えば、名目上は透明)が適用され、プロセスはステップ6010に戻る。システムに設定された照度値が下限よりも大きい場合、ステップ6060で、システムに設定された照度値が上限よりも大きいかどうかが判断される。システムに設定された照度値が上限よりも大きいと判断される場合、次いでステップ6070で、太陽方位角が臨界角の外にあるかどうかが判断される。太陽が臨界角の外にない場合、モジュールA及びBは色合い付与可能窓に適用された最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ6010に戻る。太陽が臨界角の外にある場合、ステップ6074で、方法Bだけが最終色合い状態を決定するために使用され、プロセスはステップ6010に戻る。ステップ6060で、システムに設定された照度値が上限より大きくないと判断される場合、次いでステップ6080で、太陽が臨界角の外にあるかどうかが判断される。太陽が臨界角の外にない場合、ステップ6082でモジュールA、B、及びCは、色合い付与可能窓に適用された最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ6010に戻る。太陽が臨界角の外にある場合、ステップ6090で、モジュールB及びCだけが色合い付与可能窓に適用された最終色合いレベルを決定するために使用され、プロセスはステップ6010に戻る。
【0211】
図29Bは、1日の一部分の間の時間tの間のセンサ測定値及びボックスカー値にシナリオを示す。このシナリオは、正午の明るい晴れた日(500W/m
2)を想定し、ボックスカー曲線は、今回大部分ともに進み、記載は5分ごとに継続している。第1の縦の黒の線(規則正しい5分間隔の計算)では、センサ測定値にわずかな低下があり、短期ボックスカー値は、センサ測定値に後れを取る第1の長期ボックスカー値よりもわずかに高い。短いボックスカー値と第1の長いボックスカー値の負の差は閾値以下であるので、第2の長いボックスカー値は色合いレベルを決定するために使用される。まさに次の計算では、センサ測定値は外部照度の大きい低下を示している。この場合、負の差は負の閾値よりもより負であり、制御方法は1時間タイマをトリガし(変化する状況がこの事象を引き起こし、デルタを、タイマをトリガするほど十分にした)、第2の長いボックスカーが開始される。さらに、照度値は初期の第2の長いボックスカー値に設定される。この初期の第2の長期ボックスカー値が上限を超え、太陽が臨界角の範囲内にあるので、モジュールA及びBが初期の第2の長いボックスカー値に基づいて色合いレベルを決定するために使用される。第2のタイマ期間の最後で、第1の長いボックスカー値は短いボックスカー値よりも大きく、第2の長いボックスカー値と第1の長いボックスカー値の正の差は第1の閾値以下である。制御方法は、第1のタイマの間に使用される色合いレベルを決定するために第1の長いボックスカー照度値を使用する。
【0212】
特定の実施形態では、モジュールAは、窓を通る太陽放射の計算された方向が窓を有する部屋の占有領域内のグレアシナリオと関連付けられた臨界受光角の範囲内にある場合、窓の色合いを増して良い。太陽放射の方向は、太陽方位角及び/または太陽高度に基づいて計算される。例えば、
図25Bは、室内の机と関連付けられた臨界受光角Z1及びZ2を示す。この例では、太陽が臨界受光角Z1及びZ2の中の方位角で太陽放射を提供する位置に位置するとき、太陽放射は机によって占有されている領域の上にグレアを生成している。それに応じて、モジュールAは窓の色合い状態を高めてグレアから快適さを提供するために制御信号を送信して良い。臨界受光角Z1及びZ2の外で、太陽放射の直接的な平行光線は机領域に当たらず、モジュールAは「色合い状態をクリア」の制御コマンドを戻して良い。太陽方位角と関連付けられた臨界受光角θ
1及びθ
2の別の例が
図20に示される。ある場合には、別々に太陽方位角及び太陽高度と関連付けられた臨界角の2つのセットは丁重に使用されて良い。これらの場合、モジュールAは、計算された太陽方位角が臨界角の第1のセットの範囲内にあり、太陽高度が臨界角の第2のセットの範囲内にある場合、色合い状態を増すためにオンになって良い。
【0213】
XI.光の3次元映像に基づいたモジュール
特定の実施形態では、モジュールAは、1つまたは複数の開口(例えば、色合い付与可能窓)から部屋を通る光の3次元映像を使用することによってグレアが占有領域上にあるかどうかを判断する。光の3次元映像は、外部の光が直接的に部屋の中に浸透する部屋の光の量であると見なされて良い。例えば、3次元映像は、窓を通る太陽からの平行光線によって画定されて良い。室内への3次元映像の方向は太陽方位角及び/または太陽高度に基づく。光の3次元映像は、室内の1つまたは複数の平面の交差部分での3次元光映像(P画像)を決定するために使用できる。開口からのP画像のサイズ及び形状は、開口の寸法及び向き、並びに太陽方位角及び/または太陽高度に基づいて計算された太陽放射の方向ベクトルに基づいている。P画像は、太陽が開口から無限距離離れた平行光線を生成するという仮定に基づいて決定される。この仮定を用いて、水平に向けられた開口は、実際の開口と同じ形状及びサイズの水平面の上に2次元光映像を提供する。
【0214】
特定の場合、モジュールAはP画像偏位を計算することによって特定の関心のある平面でP画像を決定する。P画像偏位は、投影された画像の幾何学的中心と開口の幾何学的中心での垂直軸との間の特定の平面での偏位距離を指すことがある。P画像偏位は、開口の寸法、太陽の方位角及び高度、並びに開口の平面と関心のある平面との間の垂線距離に基づいて決定できる。P画像偏位を用いて、モジュールAはP画像偏位の回りに投影開口領域を構築することによって投影像を決定できる。
【0215】
モジュールAがいったん特定の平面で光投影を決定すると、モジュールAは、光投影または光投影と関連付けられたグレア領域が占有領域(つまり、室内で占有されている領域)に重なる量を決定する。占有領域は、3次元光映像またはグレア領域によって交差されるときにグレアシナリオを暗示する空間内の境界を画定する関心のある平面での領域(例えば、机での平面)を指すことがある。ある場合には、占有領域は、おそらく机の上面を含む占有者の頭部の前の領域等の2次元表面(例えば、机の上面)のすべて若しくは一部または体積であって良い。光投影またはグレア領域が占有領域の外であると判断される場合、グレアシナリオは存在しないと判断される。
【0216】
ある場合には、モジュールAは、1つまたは複数の開口を通って投影される光に基づいて関心のある平面でグレア領域を計算して良い。グレア領域は、1つまたは複数の開口を通して投影される光が衝突する関心のある平面での領域を指すことがある。ある場合には、モジュールAは、実効開口の幾何学的中心での垂直軸と、関心のある平面でのP画像の外側境界との間の領域としてグレア領域を定義する。ある場合、開口の幾何学的中心は開口の形状の重心または質量の中心を指すことがある。例えば、矩形、円形、または環状の形状等の異なる形状を有するグレア領域が画定されて良く、直交座標または極座標内にあって良い。1つまたは複数の開口からグレア領域を決定した後、モジュールAは次いでグレア領域が占有領域と重なる場合、グレアシナリオが存在すると判断して良い。
【0217】
特定の場合、モジュールAは占有領域との光投影またはグレア領域の計算された重複量に基づいて色合いレベルを決定する。例えば、光投影が占有領域と任意の重複を有する場合、モジュールAは色合い状態を増してグレアシナリオに対応するためにオンして良い。光投影が占有領域と重ならない場合、モジュールAは「色合い状態をクリア」コマンドを返して良い。
【0218】
図30は、実施形態に従って、天井の明かり窓の形をとる単一の水平で円形の開口7010を有する部屋の側面図の概略図を示す。部屋は、室内の占有領域を画定する机7030を有する。円形開口7010はw
hの直径を有する。開口7010は、α
1の窓方位角においてである。円形開口7010の幾何学的中心はw
h/2での円形開口7010の中心においてである。開口7010の幾何学的中心7011での垂直軸7012が示されている。太陽からの太陽放射は床に投影される光線の3次元円筒形として示される。θの太陽高度を有する太陽放射が示される。この図では、開口7010の光投影(P画像)7020は、dzでの机7030の平面での映像の近似として床の平面で決定される。他の例では、開口7010は、机7030の上面での平面で等、他の平面に投影されて良い。モジュールAの特定の実施形態では、P画像偏位は開口7010の幾何学的中心を、床での平面または太陽の方位角及び高度と関連付けられた方向ベクトル7013に沿った他の関心のある平面に対して投影することによって決定されて良い。ある場合には、開口7010の光投影(P画像)7022はP画像偏位の回りに開口7010を「構築する」ことによって決定される。
図30では、P画像7020は、垂直軸7012から偏位されたP画像の距離分、床で側面方向に偏位されて示される。この例では、モジュールAは床の平面での投影像7020の外側端縁によってグレア領域を画定する。
【0219】
図31は、実施形態に従って、明かり窓の形をとる単一水平円形開口7010を有する
図30に示される部屋の側面図(上部)及び断面図(底部)の概略図である。この例では、部屋は占有領域を画定する机7031を有し、光投影(P画像)7022はdzのz位置にある机7031の平面で決定される。この例では、P画像偏位は、太陽の方位角及び高度と関連付けられた方向ベクトル7013に沿って、机7031の平面に開口7010の幾何学的中心を投影することによって決定される。開口7010の光投影(P画像)7022は、P画像偏位の回りに開口を「構築する」ことによって決定されて良い。その他の場合、光投影は、例えば
図30に示されるように、床の平面で決定できる。
図31では、P画像7022は、開口7010の幾何学的中心にある垂直軸7012からのP画像偏位の距離分、側面方向に偏位されて示される。
【0220】
図31では、下部の図はz=dzでの部屋の断面図である。この図では、占有領域7030は、dzのz位置での机7031での関心のある平面でdx及びdyによって垂直軸7012から偏位される重心を有する。
図31に示されるように、計算されたグレア領域は、重複領域7040分、関心のある平面で机7031によって画定された占有領域7030に部分的に重なる。グレア領域が所定の閾値を(寸法または‐及び/または面積分)所定の閾値を超えると、モジュールAはグレアを削減するために色合い変更を生じさせて良い。占有領域7030は矩形開口の場合図中の寸法O
xxO
yを有する、または円の直径、多角形、三角形、台形のファセット長、または開口に適切な他の座標として指定されて良い。他の例では、占有領域は、机7031によって画定された領域と、机7031にいる占有者によって画定された領域7032の両方を含んで良い。他の例では、複数の占有者と関連付けられた複数の占有領域があって良い。P画像の位置は、太陽の方位角及び高度により決定される方向ベクトル7013に従う時刻とともに変化し、1日の過程で占有領域の1つまたは複数を照明する。重複が所定の閾値を超えるとき、モジュールAはその占有領域及び時刻のために規定された値にガラスに色合いを付与する。
【0221】
図32は、実施形態に従って、2つの床及び明かり窓の形をとる水平変形開口7060を有する部屋の側面図(上)及び断面図(下)の概略図を示す。この例では、第1の床は机7090を有し、第2の床は机7090を有する。開口7060は幾何学的中心7061を有する。P画像偏位は、太陽の方位角及び高度と関連付けられた方向ベクトル7063に沿って、この場合、例えばdzでの机の平面での映像の近似として第1の床の床での平面である、関心のある平面に幾何学的中心7061を投影することによって決定されて良い。開口7060の光投影(P画像)7070は、関心のある平面でのP画像偏位で開口を構築することによって決定される。開口7060の光投影(P画像)7070は床の平面に設けられて示され、幾何学的中心7061での垂直軸7062からP画像偏位分の距離によって側面方向に偏位されて示される。この図では、机7090の占有領域7091は机7090の平面でdx2及びdy2分、垂直軸7062から偏位される重心を有し、机7080の占有領域7081は机7080の平面でdx1及びdy1分、垂直軸7062から偏位される重心を有する。
図32に示されるように、光投影7070の計算されたグレア領域は、重複領域7095で机7080によって画定された占有領域7081に部分的に重なる。示されるように、光投影は第2の床の上の机7090にグレアを提供しない。
【0222】
図33は、実施形態に従って、机7150、第1の開口7110、及び第2の開口7112を有する部屋の側面の概略図を示す。第1の開口7110の幅はw
h1であり、第2の開口7112の幅はw
h2である。第1の開口7110は、この場合135度であるα
1の水平面から傾斜している。2つの開口7110及び7112は重心7121を有する実効開口7120を有する。第1の開口7110はα
1の水平面から傾斜している。第2の開口7112はα
2の水平面から傾斜している。P画像偏位は、太陽の方位角及び高度と関連付けられた方向ベクトル7141に沿って、床の平面に実効開口7120の幾何学的中心を投影することによって決定されて良い。実効開口7120の光投影(P画像)7130は、例えばdzでの机の平面での映像の近似として床の平面に設けられる。P画像7130は、実効開口7120の幾何学的中心での垂直軸7140からP画像偏位の距離分、側面方向に偏位されて示される。P画像7130のグレア領域は、机7150によって画定された占有領域に部分的に重なる。
【0223】
図34は、実施形態に従って、第1の開口7210及び第2の開口7212を含む多面明かり窓を有する、並びに机7250を有する部屋の側面の概略図を示す。第1の開口7210の幅はw
h1であり、第2の開口7212の幅はw
h2である。第1の開口7210は、α
1の水平面から傾斜している。第2の開口7212は、α
2の水平面から傾斜している。2つの開口7210及び7212は、幾何学的中心7221を有する実効開口7220を有する。画像P画像偏位は実効開口7220の幾何学形状を、太陽の方位角及び高度と関連付けられた方向ベクトル7241に沿って、この場合、例えばdzでの机の平面での映像の近似としての床の平面である関心のある平面に投影することによって決定されて良い。実効開口7220の光投影(P画像)7230は床の平面で提供される。P画像7230は、実効開口7220の幾何学的中心で垂直軸7240からP画像偏位の距離分、側面方向に偏位され、示される。P画像7230のグレア領域は、机7250によって画定された占有領域に部分的に重なる。
【0224】
図35は、本発明に従って、第1の開口7310、第2の開口7312、及び開口のないファセット7314を含む多面明かり窓を有する部屋の側面図の概略図を示す。また、部屋は机7350も有する。2つの開口7310及び7312はそれぞれ幾何学的中心7341及び7342を有する。第1の開口7310の幅はw
h1であり、第2の開口7312の幅はw
h2である。第1の開口7310は、この場合90度である、α
1の水平面から傾斜している。第2の開口7212は、この場合270度である、α
2の水平面から傾斜している。この図では、第1の開口7310の光投影(P画像)7330は、dzでの机の平面での映像の近似として床の平面に設けられる。この場合、開口のないファセット7314が、太陽放射の方向に応じて第1の及び/または第2の開口7312から光を遮ることがある。すなわち、太陽高度θが第2の開口7321のα
2の角度未満であるとき、ファセット7314が遮っているので、太陽放射線は第2の開口7321に直接的に当たらない。図中、太陽高度θは、第2の開口7312が太陽放射を受け取らないように、角度α
2未満である。この場合、実効開口は第1の開口7310だけに基づき、第1の開口7310の幾何学的中心はP画像偏位及び映像を決定するために使用される。P画像偏位は、太陽の方位角及び高度と関連付けられた方向ベクトル7341に沿って、開口7310の幾何学的中心を床に投影することによって決定されて良い。第1の開口7312のP画像7330は、第1の開口7310と第2の開口7312の両方の幾何学的中心での垂直軸7340からP画像偏位の距離分、側面方向に偏位されて示される。P画像7330のグレア領域は、机7350によって画定された占有領域に部分的に重なる。
【0225】
ある場合には、占有領域のP画像のグレア領域との重複の量は、適切な色合い状態を決定するためにモジュールAによって使用できる。これらの場合、モジュールAは重複のより高いレベルにより高い色合い状態を決定して良い。ある場合には、色合い状態は重複の量に基づいて決定される。その他の場合、色合い状態は、使用されている占有領域の量に対する重複のパーセンテージに基づいて決定される。
図36は、実施形態に従って、開口8010及び机8012を有する、明かり窓を有する部屋の概略図を示す。垂直軸8020は、開口8010の幾何学的中心を通って示される。この図では、太陽は5つの太陽高度で示され、5つのグレア領域の端縁は5つの方向ベクトルと関連付けられた5つの太陽高度と対応して示される。また、概略図は、異なる重複に適切な色合い状態を決定する方法も示す。それぞれ増加するグレア領域が机8010によって画定される占有領域に重なり、色合いレベルはT1からT5に増加する。
【0226】
図37は、実施形態に従って、3次元光映像を使用するモジュールAとともに
図8のステップ700の詳細を示すフローチャートである。ステップ1905で、モジュールAが開始する。ステップ1910で、窓コントローラ450は、建物の緯度座標及び経度座標、並びに時間の特定の瞬間t
iの日付及び時刻のために太陽の位置を計算するためにモジュールAを使用する。移動座標及び経度座標は構成ファイルから入力されて良い。日付及び時刻はタイマによって提供される現在時刻に基づいて良い。太陽の位置は、ある場合には未来であって良い時間の特定の瞬間t
iに計算される。他の実施形態では、太陽の位置は予測制御論理の別の構成要素(例えば、モジュール)で計算される。太陽の位置は、太陽方位角及び/または太陽高度に関して計算される。
【0227】
ステップ1920で、窓コントローラ450は、モジュールAを使って部屋の中へのグレアの量、またはステップ1910で使用された時間の特定の瞬間にグレアがあるかどうかを計算する。モジュールAは、太陽の方位角及び高度によって決定された方向ベクトルに基づいて1つまたは複数の遮られていない開口(例えば窓)から部屋を通る光線の3次元映像を使用し、グレアの量を計算する。モジュールAは、方向ベクトル及び構成情報を使用し、1つまたは複数の遮られていない開口のP画像(複数の場合がある)を決定する。構成情報は、1つまたは複数の開口(例えば、エレクトロクロミック窓)の場所、1つまたは複数の開口の寸法、開口が遮られているか、それとも遮られていないか、1つまたは複数の開口のそれぞれの向き、部屋の寸法、及び太陽放射が1つまたは複数の開口に進入するのを遮って良い外部日よけまたは他の構造に関するあらゆる詳細を含んで良い。窓構成情報は、エレクトロクロミック窓505と関連付けられた構成ファイルから入力される。モジュールAは、特定の関心のある平面の占有領域との、遮られていない開口のP画像の交差部分に基づいて、グレアの量または室内のグレアの決定を決定する。ある場合には、モジュールAは、1つまたは複数の開口のどれが遮られていないのか、つまり太陽放射を受け取っているのかを決定する。例えば、
図35では、270度で向けられた第2の開口7342が図で太陽放射を受け取ることから遮られている。特定の関心のある平面で遮られていない開口のP画像(複数の場合がある)を決定するために、モジュールAは最初に1つまたは複数の遮られていない開口の幾何学的中心を決定する。ある場合には、幾何学的中心は、開口の形状の組み合わされた重心であってよい。モジュールAは次いで、太陽の方位角と高度に基づいて光の3次元映像の方向ベクトルの方向で1つまたは複数の遮られていない開口の幾何学的中心を関心のある平面に投影することによってP画像偏位を決定する。光の3次元映像の方向ベクトルは、ステップ1910での時間の特定の瞬間で計算された太陽方位角及び太陽高度に基づいている。モジュールAは、1つまたは複数の遮られていない開口の幾何学的中心、太陽の方位角及び高度と関連付けられた方向ベクトル、及び1つまたは複数の開口と関心のある平面との間の垂線距離に基づいてP画像偏位を決定する。モジュールAは、次いで関心のある平面の1つまたは複数の遮られていない開口の投影された幾何学的中心の回りに実効開口を生成することによってP画像を「構築する」。特定の場合、モジュールAは関心のある平面でのP画像の外側境界に基づいてグレア領域を決定する。異なる開口配置について決定されたグレア領域の図は、
図31~
図37に示される。
【0228】
ステップ1930で、ステップ1920で決定された遮られていない開口のP画像(複数の場合がある)からのグレア量から、占有者の快適さを実現する色合いレベルが決定される。ステップ1930で、モジュールAは、遮られていない開口の占有領域とp画像(複数の場合がある)との重複量を決定する。重複量に基づいて、モジュールAは占有率ルックアップテーブルでの決定された重複の量に所望される色合いレベルを決定する。占有ルックアップテーブルは、特定の開口のための構成ファイルからの入力として提供される。ある場合には、重複する領域の量または侵食のパーセンテージ(つまり、占有領域の重複領域のパーセンテージ)が最終色合い状態を決定するために使用されて良い。例えば、重複する領域が少しある(例えば、机の小さい角)場合に、モジュールAは色合い状態を増加しないことがある。より大量のまたはより多くのパーセンテージが重複する領域(例えば、机の50%を超えて)はより高い色合い状態を生じさせることがある。
【0229】
図38は、実施形態に従って、グレアを有する表面の一部分を交差する光の3次元映像の概略図を示す。
【0230】
修正、追加、または省略は、本開示の範囲から逸脱することなく、上述された予測制御論理、他の制御論理、及びそれらの関連付けられた制御方法(例えば、
図18を参照して説明された論理、
図7、
図8、
図9、
図12、及び
図13に関して説明された論理、並びに
図14に関して説明された論理)のいずれかに加えられて良い。上述された論理のいずれかは本開示の範囲から逸脱することなく、より多くの論理構成要素、より少ない論理構成要素、または他の論理構成要素を含んで良い。さらに、説明されている論理のステップは、本開示の範囲から逸脱することなく任意の適切な順序で実行されて良い。
【0231】
また、修正、追加、または省略は、本開示の範囲から逸脱することなく、上述されたシステム(例えば、
図17に関して説明されたシステム)またはシステムの構成要素に加えられて良い。の構成要素は、特定の必要性に従って統合されて良い、または分離されて良い。例えば、マスタネットワークコントローラ1403及び中間ネットワークコントローラ1405は単一の窓コントローラの中に統合されて良い。さらに、システムの動作はより多くの構成要素、より少ない構成要素、または他の構成要素によって実行できる。さらに、システムの動作は、ソフトウェア、ハードウェア、他の論理、または前記の任意の適切な組合せを使用し、実行されて良い。
【0232】
上述された本発明は、モジュール式でまたは統合された方法でコンピュータソフトウェアを使用する制御論理の形で実装できることが理解されるべきである。本開示及び本明細書に示される教示に基づいて、当業者は、ハードウェア並びにハードウェア及びソフトウェアの組合せを使用し、本発明を実装するために、他のやり方及び/または方法を知り、理解するだろう。
【0233】
本願に説明されたソフトウェアコンポーネント及び機能のいずれも、例えばJava(登録商標)、C++、または例えば、従来のオブジェクト指向型技法を使用するPython等の任意の適切なコンピュータ言語を使用し、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装されて良い。ソフトウェアコードはランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ若しくはフロッピー(登録商標)ディスク等の磁気媒体、またはCD-ROM等の光媒体等、コンピュータ可読媒体で一連の命令またはコマンドとして記憶されて良い。任意の係るコンピュータ可読媒体は、単一の計算装置上または中に常駐して良く、システムまたはネットワークの中の異なる計算装置の上または中に存在して良い。
【0234】
上記に開示された実施形態は、理解を容易にするためになんらかの詳細で説明されてきたが、説明された実施形態は制限的ではなく例示的と見なされるべきである。特定の変更及び修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内で実践できることが当業者に明らかになるだろう。
【0235】
任意の実施形態からの1つまたは複数の特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わされて良い。さらに、修正、追加、または省略は本開示の範囲から逸脱することなく任意の実施形態に加えられて良い。任意の実施形態の構成要素は、本開示の範囲から逸脱することなく特定の必要性に従って統合されて良い、または分離されて良い。
【外国語明細書】