(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119207
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】首掛けラベル付きボトル、及び首掛けラベル
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20230821BHJP
B65D 23/14 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B65D23/00 Z
B65D23/00 H
B65D23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021946
(22)【出願日】2022-02-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 理紀
(72)【発明者】
【氏名】上村 紘樹
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AC02
3E062BA08
3E062BA20
3E062BB06
3E062BB10
3E062DA02
3E062DA07
(57)【要約】
【課題】試供品を収納してもボトル外方に大きく膨らんでしまうことなく、表示部も見やすい状態を維持でき、複数本、箱に詰め込んで輸送する際にも、表示部や試供品が破損したり、首掛けラベルが箱内に外れてしまうことを回避して輸送効率を維持でき、更に、環境負荷に低減できる首掛けラベル付きボトルを提供せんとする。
【解決手段】紙製のシート材30を折り曲げて構成され、ボトルの首部20に装着された天板31と、天板31の前側の端辺31aで下方に折り曲げられ、表面に商品情報11が表示される表示板32と、表示板32の左右の端辺32b,32cで表示板32の裏面側に折り曲げられた左右の押さえ片33,34と、表示板32の天板31と反対側の端辺32aで表示板32の裏面側に折り曲げられた折り曲げ板35と、該折り曲げ板35の表示板32と反対側の端辺35で折り曲げ板35の裏面側に折り曲げられ、左右の押さえ片33、34と表示板32との間の隙間に差し込まれた差し込み片36とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル本体の首部に紙製の首掛けラベルが装着された首掛けラベル付きボトルであって、
前記首掛けラベルは、
一枚の紙製のシート材より構成され、
前記ボトルの首部が挿入される開口部を有する天板と、
該天板の前側又は後側に連設され、表面に商品情報が表示される表示板と、
前記表示板の左右の端辺にそれぞれ連設され、該端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられている左右の押さえ片と、
前記表示板の前記天板と反対側の端辺に連設され、該表示板の形状と略対称な形状を有し、前記端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられる折り曲げ板と、
該折り曲げ板の前記表示板と反対側の端辺に連結され、該端辺で前記折り曲げ板の裏面側に折り曲げられるとともに、前記左右の押さえ片と前記表示板との間の隙間に差し込まれる差し込み片とを備えており、
前記首掛けラベルの前記表示板と左右の押さえ片と折り曲げ板と挿し込み片とで囲まれる内部に、オーラルケア試供品が収納される、
首掛けラベル付きボトル。
【請求項2】
前記左右の押さえ片の前記天板側に近い端辺が、それぞれ外側の位置ほど折り曲げ板に近くなる傾斜辺であり、
前記差し込み片と折り曲げ板の間の前記端辺の左右側端部には、それぞれ左右外方に開放された所定長さの切り込み部が設けられ、
前記差し込み片が前記左右の押さえ片と前記表示板との間の隙間に差し込まれた状態で、前記傾斜辺が前記切り込み部に係入する、
請求項1記載の首掛けラベル付きボトル。
【請求項3】
前記傾斜辺の前記表示板の左右の端辺に対する傾斜角が65°以上に設定されている、請求項2記載の首掛けラベル付きボトル。
【請求項4】
前記差し込み片の左右の端辺が、それぞれ折り曲げ板から遠い位置ほど左右内側となる傾斜辺であり、
該傾斜辺の前記折り曲げ板との間の端辺に対する傾斜角が50°以上に設定されている、請求項2又は3記載の首掛けラベル付きボトル。
【請求項5】
一枚の紙製のシート材より構成され、
ボトルの首部に挿入される開口部を有する天板と、
該天板の前側又は後側に連設され、表面に商品情報が表示される表示板と、
前記表示板の左右の端辺にそれぞれ連設され、該端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられる左右の押さえ片と、
前記表示板の前記天板と反対側の端辺に連設され、該表示板の形状と略対称な形状を有し、前記端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられる折り曲げ板と、
該折り曲げ板の前記表示板と反対側の端辺に連結され、該端辺で前記折り曲げ板の裏面側に折り曲げられるとともに、前記左右の押さえ片と前記表示板との間の隙間に差し込まれる差し込み片とを備え、
前記表示板と、折り曲げられた前記左右の押さえ片、折り曲げ板及び挿し込み片で囲まれる内部に、オーラルケア試供品が収納される、
首掛けラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試供品を収納できる首掛けラベル付きボトル、及び首掛けラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の首掛けラベルとしては、可撓性フィルム材料からなり、ボトル本体の首部が挿入される開口部と、表示部を備え、表示部にポケットを設け、試供品等が収納されるものが提案されている(特許文献1の段落[0024]、
図1等参照。)。このような首掛けラベルでは、試供品等を収納するポケットを、ボトル本体の傾斜した肩部の位置に設けると、試供品が入れにくく、入れた状態でラベルが膨らみ、表示部の表示内容が見にくくなってしまうことから、必然的にボトル本体の胴部の位置に設けられることになる。
【0003】
しかしながら、胴部の位置に試供品等を収納すると、試供品等の大きさの分だけ胴部からラベルが大きく外方に膨らんでしまうことになる。このような首掛けラベルを装着したボトルを複数本、箱に詰め込んで輸送する際には、膨らんだ首掛けラベルが隣のボトルに強く接触し、表示部や試供品が破損したり、輸送時の振動により首掛けラベルが箱内に外れてしまうということが生じ得、ボトル間の隙間を維持するなど輸送効率が低下する原因となる。また、近年、海洋プラスチックごみが問題となっているなど、環境負荷にも考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、試供品を収納してもボトル外方に大きく膨らんでしまうことなく、表示部も見やすい状態を維持でき、複数本、箱に詰め込んで輸送する際にも、表示部や試供品が破損したり、首掛けラベルが箱内に外れてしまうことを回避して輸送効率を維持でき、更に、環境負荷に低減できる首掛けラベル付きボトルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、かかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、紙製のシート材を折り曲げて構成することにより、保形性を有する試供品の収納空間を形成でき、このような空間を表示部の裏側に折り曲げることで形成すれば、表示部も保形性により平坦を維持できること、同時に環境負荷も低減できることを見出し、更に、このような折り曲げによる保形性の創出効果により、前記収納空間をボトルの肩部に位置付けることが可能になること、これによりボトル外方にラベルが大きく突出して輸送時に嵩張ったり互いに干渉して破損したり脱落したりすることを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) ボトル本体の首部に紙製の首掛けラベルが装着された首掛けラベル付きボトルであって、前記首掛けラベルは、一枚の紙製のシート材より構成され、
前記ボトルの首部が挿入される開口部を有する天板と、該天板の前側又は後側に連設され、表面に商品情報が表示される表示板と、前記表示板の左右の端辺にそれぞれ連設され、該端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられている左右の押さえ片と、前記表示板の前記天板と反対側の端辺に連設され、該表示板の形状と略対称な形状を有し、前記端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられる折り曲げ板と、該折り曲げ板の前記表示板と反対側の端辺に連結され、該端辺で前記折り曲げ板の裏面側に折り曲げられるとともに、前記左右の押さえ片と前記表示板との間の隙間に差し込まれる差し込み片とを備えており、前記首掛けラベルの前記表示板と左右の押さえ片と折り曲げ板と挿し込み片とで囲まれる内部に、オーラルケア試供品が収納される、首掛けラベル付きボトル。
【0008】
(2) 前記左右の押さえ片の前記天板側に近い端辺が、それぞれ外側の位置ほど折り曲げ板に近くなる傾斜辺であり、前記差し込み片と折り曲げ板の間の前記端辺の左右側端部には、それぞれ左右外方に開放された所定長さの切り込み部が設けられ、前記差し込み片が前記左右の押さえ片と前記表示板との間の隙間に差し込まれた状態で、前記傾斜辺が前記切り込み部に係入する、(1)記載の首掛けラベル付きボトル。
【0009】
(3) 前記傾斜辺の前記表示板の左右の端辺に対する傾斜角が65°以上に設定されている、(2)記載の首掛けラベル付きボトル。
【0010】
(4) 前記差し込み片の左右の端辺が、それぞれ折り曲げ板から遠い位置ほど左右内側となる傾斜辺であり、該傾斜辺の前記折り曲げ板との間の端辺に対する傾斜角が50°以上に設定されている、(2)又は(3)記載の首掛けラベル付きボトル。
【0011】
(5) 一枚の紙製のシート材より構成され、ボトルの首部に挿入される開口部を有する天板と、該天板の前側又は後側に連設され、表面に商品情報が表示される表示板と、前記表示板の左右の端辺にそれぞれ連設され、該端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられる左右の押さえ片と、前記表示板の前記天板と反対側の端辺に連設され、該表示板の形状と略対称な形状を有し、前記端辺で前記表示板の裏面側に折り曲げられる折り曲げ板と、該折り曲げ板の前記表示板と反対側の端辺に連結され、該端辺で前記折り曲げ板の裏面側に折り曲げられるとともに、前記左右の押さえ片と前記表示板との間の隙間に差し込まれる差し込み片とを備え、前記表示板と、折り曲げられた前記左右の押さえ片、折り曲げ板及び挿し込み片で囲まれる内部に、オーラルケア試供品が収納される、首掛けラベル。
【発明の効果】
【0012】
以上にしてなる本願発明の首掛けラベル付きボトルによれば、紙製のシート材を折り曲げることより、表示板と左右の押さえ片と折り曲げ板と差し込み片とで囲まれる内部に、オーラルケア試供品が収納される保形性の有する空間が維持されるので、試供品が破損することを防止できるとともに、表示部も保形性により平坦を維持でき、表示内容が見にくくなってしまうこともない。また、収納空間の組み付けは、左右の押さえ片と表示板との間の隙間に差し込み片を差し込むことで容易に行うことができ、且つ容易に外れてしまうこともなく、糊付け等をする必要なく、試供品を安定した姿勢にしっかりと保持でき、取り出しも容易である。
【0013】
また、このような保形性のある収納空間をボトルの肩部に位置付けることが可能になるため、これによりボトル外方にラベルが大きく突出して輸送時に嵩張ったり互いに干渉して破損したり脱落したりすることを防止できる。また、紙製のシート材を折り曲げるものなので、材料や加工、組み立ての製造コストを低く抑えることができ、環境負荷も低減できる。
【0014】
とくに、左右の押さえ片の天板側に近い端辺が、それぞれ外側の位置ほど折り曲げ板に近くなる傾斜辺であり、差し込み片と折り曲げ板の間の前記端辺の左右側端部には、それぞれ左右外方に開放された所定長さの切り込み部が設けられ、差し込み片が前記左右の押さえ片と前記表示板との間の隙間に差し込まれた状態で、前記傾斜辺が前記切り込み部に係入するものでは、上記傾斜辺によって差し込み片の差し込み、脱離の作業がよりスムーズになるとともに、上記傾斜辺が切込み部に係入するので、容易に外れてしまうことなく、試供品をより安定した姿勢にしっかりと保持でき、傾斜辺であるので係入状態を解除して取り出すことも容易である。
【0015】
ここで、前記傾斜辺の表示板の左右の端辺に対する傾斜角が65°以上に設定されているものでは、より差し込みやすく、且つ容易に外れずによりしっかり試供品を保持できる。
【0016】
また、差し込み片の左右の端辺が、それぞれ折り曲げ板から遠い位置ほど左右内側となる傾斜辺であり、該傾斜辺の前記折り曲げ板との間の端辺に対する傾斜角が50°以上に設定されているものでは、より差し込みやすく、且つ容易に外れずによりしっかり試供品を保持できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の代表的実施形態にかかる首掛けラベル付きボトルを示す正面図。
【
図2】同じく首掛けラベル付きボトルを示す側面図。
【
図3】同じく表示部を下方に折り曲げる前の状態の首掛けラベルを、裏面側から見た斜視図。
【
図4】同じく首掛けラベルの折り曲げ前の平坦な状態を示す表側の平面図。
【
図5】同じく首掛けラベルにオーラルケア試供品を収納して組み立てる工程の前半を示す説明図。
【
図7】本発明の首掛けラベル付きボトルの変形例を示す正面図。
【
図9】同じく変形例の首掛けラベルの折り曲げ前の平坦な状態を示す表側の平面図。
【
図10】実施例1~4の収納空間の組立に要する時間とホールド力を測定した結果を示すグラフ。
【
図11】実施例2、5~7の収納空間の組立に要する時間とホールド力を測定した結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
本発明に係るボトル1は、
図1及び
図2に示すように、ボトル本体2の首部20に紙製の首掛けラベル3が装着された首掛けラベル付きボトルである。ボトル本体2は、オーラルケア用の液体商品のボトル、たとえばハミガキ液などのボトルなどが好適であるが、これに限らず、種々の商品ボトルが該当する。首掛けラベルは、この液体商品に関する情報や、その他の関連情報などの商品情報(商品情報)が表示されるラベルである。
【0020】
首掛けラベル3は、
図1~
図3に示すように、紙製のシート材30を折り曲げて構成されており、ボトルの首部20に装着された天板31と、天板31の前側の端辺31aで下方に折り曲げられ、表面に商品情報11が表示される表示板32と、表示板32の左右の端辺32b,32cで表示板32の裏面側に折り曲げられた左右の押さえ片33,34と、表示板32の天板31と反対側の端辺32aで表示板32の裏面側に折り曲げられた折り曲げ板35と、該折り曲げ板35の表示板32と反対側の端辺35で折り曲げ板35の裏面側に折り曲げられ、左右の押さえ片33、34と表示板32との間の隙間に差し込まれた差し込み片36とより構成されている。
【0021】
首掛けラベル3の表示板32と左右の押さえ片33、34と折り曲げ板35と差し込み片36とで囲まれる内部には、オーラルケア試供品4が収納される保形性を有する収納空間s1が形成される。オーラルケア試供品は、たとえばボトル本体の内容物である液体商品に関連した品である。
【0022】
本発明の首掛けラベル3によれば、紙製のシート材を折り曲げることで、上記保形性の有する収納空間s1が維持されるので、オーラルケア試供品4は破損することなく保護され、表示板32も保形性により平坦を維持するので、表面の商品情報11が見にくくなってしまうこともない。さらに、収納空間s1をボトルの肩部21に位置付けることが可能になるため、ボトル外方に首掛けラベルが大きく突出して輸送時に嵩張ったり互いに干渉して破損したり脱落したりすることを防止できるのである。
【0023】
首掛けラベル3は、
図4に示すように、一枚の紙製のシート材30より構成されている。シート材30の紙は、当該紙自体が保形性を有する厚紙を用いることが好ましい。厚みは、0.3mm~0.6mmが好ましい。中でも、パッケージなどに一般に用いられるコートボール紙などの板紙を好適に用いることができる。森林管理協議会(FSC)で認証された環境にやさしい板紙を使用することで、プラスチック削減効果を年間5.6トン見込むことができる。
【0024】
天板31のサイズは、ボトルのサイズに応じて設定されるが、好ましくは縦30mm~80mm、横45mm~100mmに設定される。天板31には、ボトルの首部20が挿入される貫通した開口部310が設けられている。開口部310は、その縁の形が円形を基本とし、内側に湾出した突部311を複数個所、本例では4箇所に設けた異形の形状とされている。基本となる円形部分の内径は、ボトルの種類に応じて設定され、好ましくは35mm~45mmに設定される。このような突部311は、当首掛けラベル3のボトル本体2からの脱落を防止できるとともに、緩衝性の効果もあり、首径が異なるボトルに使用しても挿入時に破れてしまうことなくしっかりと装着することを可能とする。
【0025】
天板31の上記開口部310の前縁の位置から表示板32が連設される前側(又は後側)の端辺31aまでの距離a1は、表示板32の寸法にもよるが、ボトル本体2の肩部21の外側で表示板32が略垂直の姿勢を維持できるように、所定の距離、たとえば5mm~15mmの所定距離だけの領域が設定されている。このように表示板32が略垂直の姿勢に折り曲げられた状態を維持できることで、その裏面側に形成される上記収納空間s1も、ボトル本体2の肩部21の外側の空間に無理なく位置付けられる。
【0026】
天板31の端辺31aには、表面に商品情報11が表示される表示板32が連設され、表示板32の左右の端辺32b,32cに、左右の押さえ片33,34がそれぞれ連設されている。表示板32のサイズは、ボトルのサイズに応じて設定されるが、好ましくは縦20mm~80mm、横45mm~100mmに設定される。商品情報11は、ボトル本体2の内容物である液体商品に関する情報や、その他の関連情報などの情報であり、表面に印刷表示される。左右の押さえ片33、34の天板31側に近い端辺33a,34aは、それぞれ外側の位置ほど折り曲げ板35に近くなる傾斜辺とされている。
【0027】
表示板32の天板31と反対側の端辺32aには、該表示板32の形状と略対称な形状(同じ形状、大きさ)を有する折り曲げ板35が連設され、該折り曲げ板35の表示板32と反対側の端辺35aには、差し込み片36が連結されている。折り曲げ板35の突出長さ(端辺32aに直交する方向の長さ)は、好ましくは45mm~80mmに設定される。また、差し込み片36の突出長さは、好ましくは5mm~15mmに設定される。折り曲げ板35は、表示板32の裏側に折り返されて間に収納空間s1を形成し、収納したオーラルケア試供品4を挟み込む保持部として機能するものである。
【0028】
また、折り曲げ板35の表面には、収納されるオーラルケア試供品4に関する情報12が印刷表示される。さらに、折り曲げ板35の適宜な位置には、収納空間s1に収納されるオーラルケア試供品4の存在を確認するための貫通した通孔からなる小窓13が設けられている。これにより、オーラルケア試供品4の入れ忘れを防止することができる。また、差し込み片36と折り曲げ板35の間の端辺35aの左右側端部には、それぞれ左右外方に開放された所定長さの切り込み部351,352が設けられている。
【0029】
図5及び
図6は、以上説明したシート状のラベル3の各部を折り曲げ、オーラルケア試供品4を内側に収納した状態に組み立てる過程を示す説明図である。
【0030】
まず、
図5(a)、(b)に示すように、表示板32の裏面側にオーラルケア試供品4を配置させた状態で、まず左右の押さえ片33、34を試供品4の左右を押さえるように表示板32裏面側に折り返す。
【0031】
さらにその上に、折り曲げ板35を折り返して、
図6(a)に示すように差し込み片36を左右の押さえ片33、34と表示板32との間の隙間に差し込み、
図6(b)に示すように押さえ片33、34の傾斜辺(端辺33a,34a)を切り込み部351,352に係入させる。これにより、表示板32と左右の押さえ片33、34と折り曲げ板35と差し込み片36とで囲まれる内部の収納空間s1に、オーラルケア試供品4が収納され、試供品の収納工程が完了する。
【0032】
このように試供品4の収納は、左右の押さえ片33、34と表示板32との間の隙間に差し込み片36を差し込むことで容易に行うことができ、且つ容易に外れてしまうこともなく、糊付け等をする必要なく、試供品4を安定した姿勢にしっかりと保持でき、取り出しも容易である。このように、貼り加工やテープ封緘が必要ないので、資材コストや組み立て作業工数を大幅に削減できる。
【0033】
とくに、押さえ片33、34の傾斜辺(端辺33a,34a)の表示板32の左右の端辺32b、32cに対する傾斜角(θ1)が65°以上に設定されることや、差し込み片36の左右の傾斜辺(端辺36b、36c)の折り曲げ板35との間の端辺35aに対する傾斜角(θ2)が50°以上に設定されることで、より簡単に梱包でき、且つより確実に収納状態を保持できる。
【0034】
最後に、表示板32に対して天板31を折り曲げて組み立て完了となる。この表示板32と天板31の折り曲げは、天板31をボトル首部20に装着してから行うこともできる。本発明の首掛けラベル3は、紙製のシート材を折り曲げて構成されるものであり、材料や加工、組み立ての製造コストを低く抑えることができ、環境負荷も低減できる。
【0035】
次に、本発明の首掛けラベル付きボトルの変形例を説明する。ボトル本体2の肩部21が水平に近く、肩部外側のスペースが上下に短い場合、上述した代表的実施形態の首掛けラベル3を装着すると、収納空間s1がボトル本体2の胴部22の位置になり、表示板とともにボトル胴部22の外方に突出してしまう。そこで、このようなボトル本体の場合には、
図7~
図9に示すように、オーラルケア試供品4の収納空間s1が裏面側に形成される表示板32Aを、天板31Aの後方に連設し、肩部21の上に収納空間s1を位置させる形態が好ましい例となる。
【0036】
具体的には、首掛けラベル3Aは、
図7~
図9に示すように、同じく紙製のシート材30を折り曲げて構成され、ボトルの首部20に装着される天板31の後側に、表面に商品情報11Aが表示される表示板32Aが連設される。天板31の前側には、端辺31aを介して表示板32が連設され、下方に折り曲げられている。表示板32A,32の表面には、それぞれ商品情報11A,11が表示される。本例では、表示板32を省略してもよいが、表示板32Aの縦寸法は限られるため、商品情報の表示面積を確保するために表示板32を設けることが好ましい。
【0037】
表示板32Aの左右の端辺には、表示板32Aの裏面側に折り曲げられる左右の押さえ片33A,34Aが連設されている。また、表示板32Aの天板31と反対側の端辺には、表示板32Aの形状と略対称な形状(同じ形状、大きさ)を有し、表示板32Aの裏面側に折り曲げられる折り曲げ板35Aが連設される。また、該折り曲げ板35Aの表示板32Aと反対側の端辺には、折り曲げ板35Aの裏面側に折り曲げられ、左右の押さえ片33A、34Aと表示板32Aとの間の隙間に差し込まれる差し込み片36Aが連設されている。差し込み片36Aと折り曲げ板35Aの間の端辺35aの左右側端部には、それぞれ左右外方に開放された所定長さの切り込み部351,352が設けられている。
【0038】
そして、首掛けラベル3Aの表示板32Aと左右の押さえ片33A、34Aと折り曲げ板35Aと差し込み片36Aとで囲まれる内部には、オーラルケア試供品4が収納される保形性を有する収納空間s1が形成される。折り曲げ板35Aの表面には、収納されるオーラルケア試供品4に関する情報12が印刷表示される。
【0039】
このような変形例にかかる首掛けラベル3Aによっても、保形性の有する収納空間s1が維持されるので、オーラルケア試供品4は破損することなく保護され、表示板32Aも保形性により平坦を維持するので、表面の商品情報11Aが見にくくなってしまうこともない。本例では、表示板32Aや折り曲げ板35Aの縦寸法が短くなりがちであり、短くても収納空間s1を維持できるとともに収納/取り出し作業が容易となるように、折り曲げ板35Aの縦方向途中部には、該折り曲げ板35Aを途中で山折りできるように山折りの折り曲げ線353が横方向に延びて設けられている。
【0040】
また、本例の収納空間s1は、ボトルの肩部21の上に位置付けることが可能になるため、同じくボトル外方にラベルが大きく突出して輸送時に嵩張ったり互いに干渉して破損したり脱落したりすることを防止できる。肩部21の上の位置から外部に多少突出しても、たとえば輸送時に隣に配される同一ボトルの肩部上の空間に突出するので、互いに干渉することなく、輸送時の嵩張りを回避できる。
【0041】
本例のオーラルケア試供品4の収納の手順や組み付けの手順、その他の構成、変形例などは、
図1ないし
図6で説明した上記代表的実施形態の首掛けラベル3と同じであるので、同一構成には同一符号を付し、説明は省略する。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施の例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【実施例0043】
以下、
図1ないし
図6で説明した上記代表的実施形態の首掛けラベル3について、押さえ片33、34の傾斜辺(端辺33a,34a)の表示板32の左右の端辺32b、32cに対する傾斜角(θ1)(以下、「押さえ片側の傾斜角」という。)のみ、50°/70°/80°/90°にそれぞれ変更した各実施例、及び、差し込み片36の左右の傾斜辺(端辺36b、36c)の折り曲げ板35との間の端辺35aに対する傾斜角(θ2)(以下、「差し込み片側の傾斜角」)のみ、45°/60°/75°/90°にそれぞれ設定した各実施例について、収納空間の組立に要する時間と、組立て後の収納空間の特に差し込み片が外れるのに要する力(ホールド力)を測定した結果について説明する。
【0044】
実施例1~7の押さえ片側の傾斜角、差し込み片側の傾斜角の各値は、次の表1のとおりである。その他は共通とした。具体的には、天板の寸法を縦×横60mm×80m、表示板の寸法を50mm×80mm、押さえ板の寸法を47mm×80mm、押さえ片の突出長さを15mm、差し込み片の突出長さを11mmとした。
【0045】
【0046】
ホールド力の測定は、組立てた各サンプル(実施例1~7)の表示板32と差し込み片36の隙間にプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製)を引掛け、開封するまで引張することで測定した。
【0047】
結果は、
図10及び
図11に示す。
図10は、差し込み片側の傾斜角が一定(60°)である実施例1~4の結果をグラフに纏めたものである。
図11は、押さえ片側の傾斜角が一定(70°)である実施例2、5~7の結果をグラフに纏めたものである。ここで、「短縮組立時間」とは、テープ封緘作業を伴う可撓性フィルム材料の従来技術品と比較し、短縮された組立にかかる時間である(どれだけ短縮できたか、すなわち短縮できた時間であり、数値が大きいほど短時間で組み立てできたことを示す。)。
【0048】
図10の結果から、押さえ片側の傾斜角は、65°以上75°以下に設定することで、より簡単に梱包でき、且つより確実に収納状態を保持できることがわかる。また、
図11の結果から、差し込み片側の傾斜角は、50°以上65°以下に設定されることで、同じくより簡単に梱包でき、且つより確実に収納状態を保持できることがわかる。