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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119213
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20230821BHJP
【FI】
H01L33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021953
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小酒 達
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】中井 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142BA32
5F142CB07
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD15
5F142CD44
5F142CG27
5F142DB24
5F142GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】効率良く高輝度を得る。
【解決手段】LEDディスプレイ装置1は、基板表面10Sに設けられ薄膜LED30Gのバンドギャップの薄膜LED30Gを含む第1の薄膜層20Gと、薄膜LED30Gのバンドギャップと異なる薄膜LED30Bのバンドギャップの薄膜LED30Bを含む第2の薄膜層20Bと、薄膜LED30Gのバンドギャップ及び薄膜LED30Bのバンドギャップよりも小さい薄膜LED30Rのバンドギャップの薄膜LED30Rを含む第3の薄膜層20Rとを設け、第2の薄膜LED30B及び第3の薄膜層20Rは第1の薄膜層20Gの上方に所定の順序で重なって形成され、薄膜LED30Rは、積層方向から見たとき、薄膜LED30Rが薄膜LED30G及び30Bと重なる領域である光吸収領域ARaが、薄膜LED30Gと薄膜LED30Bとが重なる領域である光透過領域ARtよりも小さくなるように配置されるようにする。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面を有する基板と、
前記基板面に設けられ、第1のバンドギャップを有する第1の発光素子を含む第1の層と、
前記第1のバンドギャップと異なる第2のバンドギャップを有する第2の発光素子を含む第2の層と、
前記第1のバンドギャップ及び前記第2のバンドギャップよりも小さい第3のバンドギャップを有する第3の発光素子を含む第3の層と
を有し、
前記第2の層及び前記第3の層は、前記第1の層の上方に所定の順序で重なって形成され、
前記第3の発光素子は、
前記基板面に直交する方向から見たとき、前記第3の発光素子が前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子と重なる領域が、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置される
発光装置。
【請求項2】
前記第2の層は、前記第1の層上に積層され、
前記第3の層は、前記第2の層上に積層される
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第3の層は、前記第1の層上に積層され、
前記第2の層は、前記第3の層上に積層される
請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第3の発光素子は、
前記基板面に直交する方向から見たときに前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子に対して重ならないように配置される
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の発光装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に設けられ、第1のバンドギャップを有する第1の発光素子を含む第1の層と、
前記第1のバンドギャップと異なる第2のバンドギャップを有する第2の発光素子を含む第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間に積層され、前記第1のバンドギャップ及び前記第2のバンドギャップよりも小さい第3のバンドギャップを有する第3の発光素子を含む第3の層と
を有し、
前記第1の発光素子は、
積層方向から見たときに、前記第1の発光素子が前記第2の発光素子及び前記第3の発光素子と重なる領域が、前記第2の発光素子と前記第3の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置される
発光装置。
【請求項6】
前記第2のバンドギャップは、前記第1のバンドギャップよりも大きい
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の発光装置。
【請求項7】
基板面を有する基板と、
前記基板面に設けられ、第1の波長の光を発光する第1の発光素子を含む第1の層と、
前記第1の波長と異なる第2の波長の光を発光する第2の発光素子を含む第2の層と、
前記第1の波長及び前記第2の波長よりも長い第3の波長の光を発光する第3の発光素子を含む第3の層と
を有し、
前記第2の層及び前記第3の層は、前記第1の層の上方に所定の順序で重なって形成され、
前記第3の発光素子は、
前記基板面に直交する方向から見たとき、前記第3の発光素子が前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子と重なる領域が、前記第1の発光素子と前記第2の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置される
発光装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に設けられ、第1の波長の光を発光する第1の発光素子を含む第1の層と、
前記第1の波長と異なる第2の波長の光を発光する第2の発光素子を含む第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間に積層され、前記第1の波長及び前記第2の波長よりも長い第3の波長の光を発光する第3の発光素子を含む第3の層と
を有し、
前記第1の発光素子は、
積層方向から見たときに、前記第1の発光素子が前記第2の発光素子及び前記第3の発光素子と重なる領域が、前記第2の発光素子と前記第3の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置される
発光装置。
【請求項9】
前記第1の発光素子は、青色又は緑色の何れか一方の光を発光し、
前記第2の発光素子は、青色又は緑色の何れか他方の光を発光し、
前記第3の発光素子は、赤色の光を発光する
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の発光装置。
【請求項10】
前記第3の層において前記第3の発光素子よりも前記基板側に設けられ、前記第3の発光素子と前記基板とを電気的に導通すると共に、前記第3の発光素子が発光した光を反射する電極
をさらに有する請求項9に記載の発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関し、例えば半導体素子が回路基板に実装された発光装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板にマトリクス状に実装された複数の半導体素子を選択的に駆動して発光させることにより、画像を表示する発光装置が提案されている。またそのような発光装置においては、半導体のバンドギャップ波長が長いものから短いものに向かって、下層側から赤色半導体発光素子、緑色半導体発光素子及び青色半導体発光素子の順番で半導体発光素子が積層方向に沿って積層されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-62351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発光装置においては、効率良く高輝度を得ることが望まれている。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、効率良く高輝度を得る発光装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の発光装置においては、基板面を有する基板と、基板面に設けられ、第1のバンドギャップを有する第1の発光素子を含む第1の層と、第1のバンドギャップと異なる第2のバンドギャップを有する第2の発光素子を含む第2の層と、第1のバンドギャップ及び第2のバンドギャップよりも小さい第3のバンドギャップを有する第3の発光素子を含む第3の層とを設け、第2の層及び第3の層は、第1の層の上方に所定の順序で重なって形成され、第3の発光素子は、基板面に直交する方向から見たとき、第3の発光素子が第1の発光素子及び第2の発光素子と重なる領域が、第1の発光素子と第2の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置されるようにした。
【0007】
また本発明の発光装置においては、基板と、基板上に設けられ、第1のバンドギャップを有する第1の発光素子を含む第1の層と、第1のバンドギャップと異なる第2のバンドギャップを有する第2の発光素子を含む第2の層と、第1の層と第2の層との間に積層され、第1のバンドギャップ及び第2のバンドギャップよりも小さい第3のバンドギャップを有する第3の発光素子を含む第3の層とを設け、第1の発光素子は、積層方向から見たときに、第1の発光素子が第2の発光素子及び第3の発光素子と重なる領域が、第2の発光素子と第3の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置されるようにした。
【0008】
さらに本発明の発光装置においては、基板面を有する基板と、基板面に設けられ、第1の波長の光を発光する第1の発光素子を含む第1の層と、第1の波長と異なる第2の波長の光を発光する第2の発光素子を含む第2の層と、第1の波長及び第2の波長よりも長い第3の波長の光を発光する第3の発光素子を含む第3の層とを設け、第2の層及び第3の層は、第1の層の上方に所定の順序で重なって形成され、第3の発光素子は、基板面に直交する方向から見たとき、第3の発光素子が第1の発光素子及び第2の発光素子と重なる領域が、第1の発光素子と第2の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置されるようにした。
【0009】
さらに本発明の発光装置においては、基板と、基板上に設けられ、第1の波長の光を発光する第1の発光素子を含む第1の層と、第1の波長と異なる第2の波長の光を発光する第2の発光素子を含む第2の層と、第1の層と第2の層との間に積層され、第1の波長及び第2の波長よりも長い第3の波長の光を発光する第3の発光素子を含む第3の層とを設け、第1の発光素子は、積層方向から見たときに、第1の発光素子が第2の発光素子及び第3の発光素子と重なる領域が、第2の発光素子と第3の発光素子とが重なる領域よりも小さくなるように配置されるようにした。
【0010】
本発明は、発光装置の外部へ向かう少なくとも第1の発光素子から発せられた光の経路から第3の発光素子の少なくとも一部分を退避させ、第3の発光素子によって吸収されずに発光装置の外部へ出射される第1の発光素子から発せられた光を増加させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、効率良く高輝度を得る発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】LEDディスプレイ装置の構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の構成を示し、図1における数画素分のエリアであるA部の拡大平面図である。
図3】第1の実施の形態による回路基板の構成を示し、図2から薄膜層群を除いた状態の拡大平面図である。
図4】第1の実施の形態による画素部の構成を示し、図2におけるA-A矢視断面図である。
図5】第1の実施の形態による画素部の構成を示し、図2におけるB-B矢視断面図である。
図6】第1の実施の形態による第1の薄膜層の構成を示す平面図である。
図7】第1の実施の形態による第2の薄膜層の構成を示す平面図である。
図8】第1の実施の形態による第3の薄膜層の構成を示す平面図である。
図9】第1の実施の形態による第1の薄膜層の製造工程を示し、図6におけるC-C矢視断面図である。
図10】第1の実施の形態による第2の薄膜層の製造工程を示し、図7におけるD-D矢視断面図である。
図11】第1の実施の形態による第3の薄膜層の製造工程を示し、図8におけるE-E矢視断面図である。
図12】第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の製造工程を示す断面図である。
図13】第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の発光状態を示し、図2におけるA-A矢視断面図である。
図14】第1の実施の形態による薄膜層の重複の様子を示す平面図である。
図15】第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の構成を示し、図1における数画素分のエリアであるA部の拡大平面図である。
図16】第2の実施の形態による回路基板の構成を示し、図15から薄膜層群を除いた状態の拡大平面図である。
図17】第2の実施の形態による画素部の構成を示し、図15におけるA-A矢視断面図である。
図18】第2の実施の形態による画素部の構成を示し、図15におけるB-B矢視断面図である。
図19】第2の実施の形態による第1の薄膜層の構成を示す平面図である。
図20】第2の実施の形態による第2の薄膜層の構成を示す平面図である。
図21】第2の実施の形態による第3の薄膜層の構成を示す平面図である。
図22】第2の実施の形態による第1の薄膜層の製造工程を示し、図19におけるC-C矢視断面図である。
図23】第2の実施の形態による第2の薄膜層の製造工程を示し、図20におけるD-D矢視断面図である。
図24】第2の実施の形態による第3の薄膜層の製造工程を示し、図21におけるE-E矢視断面図である。
図25】第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の製造工程を示す断面図である。
図26】第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の発光状態(1)を示し、図15におけるF-F矢視断面図である。
図27】第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の発光状態(2)を示し、図15におけるG-G矢視断面図である。
図28】第2の実施の形態による薄膜層の重複の様子を示す平面図である。
図29】第3の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の構成を示し、図1における数画素分のエリアであるA部の拡大平面図である。
図30】第3の実施の形態による回路基板の構成を示し、図29から薄膜層群を除いた状態の拡大平面図である。
図31】第3の実施の形態による画素部の構成を示し、図29におけるA-A矢視断面図である。
図32】第3の実施の形態による画素部の構成を示し、図29におけるB-B矢視断面図である。
図33】第3の実施の形態による第1の薄膜層の構成を示す平面図である。
図34】第3の実施の形態による第2の薄膜層の構成を示す平面図である。
図35】第3の実施の形態による第3の薄膜層の構成を示す平面図である。
図36】第3の実施の形態による第1の薄膜層の製造工程を示し、図33におけるC-C矢視断面図である。
図37】第3の実施の形態による第2の薄膜層の製造工程を示し、図34におけるD-D矢視断面図である。
図38】第3の実施の形態による第3の薄膜層の製造工程を示し、図35におけるE-E矢視断面図である。
図39】第3の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の製造工程を示す断面図である。
図40】第3の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の発光状態を示し、図29におけるB-B矢視断面図である。
図41】第3の実施の形態による薄膜層の重複の様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1及び図2に示すように、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2、放熱部材3、接続ケーブル4、接続端子部5及び駆動ドライバ6等を有している。LEDディスプレイ装置1は、マイクロLEDディスプレイとも呼ばれており、赤色、緑色及び青色でなる1組のLED素子を1つの画素と対応させたディスプレイデバイスとなっている。すなわち、LEDディスプレイ表示部2は、アクティブマトリクス回路基板である回路基板10上にマトリクス状に無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む素子をピクセル(1画素)として配列した表示装置である。回路基板10は、ピクセル内のLEDを選択的に駆動するために、配線層と、配線層に接続される駆動素子や駆動回路が配置されており、LEDとの電気的接続を行う基板である。以下では図1において紙面上で左から右へ向かう方向を+X方向とし、紙面上で右上から左下へ向かう方向を+Y方向とし、紙面上で下から上へ向かう方向を+Z方向とする。
【0015】
[1-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
LEDディスプレイ表示部2は、図4及び図5に示すように、平板状の回路基板10における+Z方向側の表面(以下ではこれを基板表面10Sとも呼ぶ)に設定された表示領域内に、第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20Rの3つの薄膜層からなる薄膜層群18が積層された構成となっている。以下では、第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20Rをまとめて、薄膜層20とも呼ぶ。それぞれの薄膜層20は、発光素子が格子状に並んだフィルム形状であり、そのフィルムサイズは、LEDディスプレイ表示部2のディスプレイサイズと同等となっている。このためLEDディスプレイ表示部2は、各薄膜層20のフィルムが、1画素毎に独立している訳ではなく、ディスプレイ全面のサイズとなっており、各薄膜層20の1枚のフィルムの範囲がディスプレイ全面の範囲を占めている。
【0016】
放熱部材3(図1)は、例えばアルミニウムのように比較的高い熱伝導性を有する金属材料により、全体として扁平な直方体状に構成されている。この放熱部材3は、LEDディスプレイ表示部2の-Z方向側、すなわち画像等を表示する面の反対側において、該LEDディスプレイ表示部2に当接するように設置されていることにより、回路基板10の熱を放熱する。接続ケーブル4は、接続端子部5を介して所定の制御装置(図示せず)と電気的に接続されることにより、該制御装置から供給される画像信号を伝送して駆動ドライバ6に供給する。
【0017】
駆動ドライバ6は、例えば回路基板10の表面に実装されており、接続ケーブル4及びLEDディスプレイ表示部2とそれぞれ電気的に接続されている。この駆動ドライバ6は、例えば接続ケーブル4を介して供給される画像信号を基に赤色、緑色及び青色それぞれの駆動信号すなわち回路基板10のゲート駆動信号を生成し、これらの駆動信号に基づいた駆動電流をLEDディスプレイ表示部2に供給する。この結果、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2の表示領域に、制御装置(図示せず)等から供給される画像信号に基づいた画像を表示する。
【0018】
以下では、LEDディスプレイ表示部2における回路基板10及び薄膜層群18のうち、1画素分の領域である画素部8について説明する。また以下では、カソード端子に関わる部材の符号の末尾には「C」を付し、第1の薄膜層20Gの薄膜LED30Gに関わる部材の符号の末尾には「G」を付し、第2の薄膜層20Bの薄膜LED30Bに関わる部材の符号の末尾には「B」を付し、第3の薄膜層20Rの薄膜LED30Rに関わる部材の符号の末尾には「R」を付す。さらに以下では、薄膜LED30G、30B及び30Rの+Z方向側の面である上面(発光面)に直交する方向(すなわちZ方向)を、発光方向Deとも呼ぶ。さらに以下では、第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20Rが積層される方向(すなわちZ方向)を、積層方向とも呼ぶ。さらに以下では、図4において紙面上で左右に沿う方向、すなわち、図2におけるA-A矢視断面に沿う方向をAA断面方向Daとも呼ぶ。また以下では、図5において紙面上で左右に沿う方向、すなわち、図2におけるB-B矢視断面に沿う方向をBB断面方向Dbとも呼ぶ。
【0019】
[1-3.回路基板の構成]
図3図4及び図5に示すように、回路基板10は、シリコンプロセスにより製造されたCMOS(Complementary MOS)バックプレーン回路基板である。回路基板10は、基材部10M、絶縁層11、接続パッド12(接続パッド12R、12G、12B及び12C)、アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G及び14B)並びに配線層16を有している。
【0020】
基材部10Mは、シリコンウェハである。絶縁層11は、十分な絶縁性を備えており、配線層16を+Z方向側から覆うように配設されている。
【0021】
接続パッド12(接続パッド12R、12G、12B及び12C)は、基板表面10Sにおいてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、接続パッド12R、12G、12B及び12Cをまとめて接続パッド12とも呼ぶ。この接続パッド12は、1画素に対応しており、4個の接続パッド12R、12G、12B及び12Cにより、接続パッド組12Tが構成されている。接続パッド組12Tは、接続パッド12R、12G、12B及び12Cの外接矩形よりも内側(すなわち画素エリア内)に、発光部24(図2)が位置するように配置されている。
【0022】
接続パッド12Rは、導電性を有する材料でなり、+Z方向側から見た際に例えば正方形状であり、接続パッド組12Tのうちの+X-Y方向側に位置している。また接続パッド12Rは、垂直方向配線22Rにおけるアノードピラー42aR1の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12RSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12Rは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Rと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面12RSが第1の薄膜層20Gにおけるアノードピラー42aR1の-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードピラー下面42aR1S2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0023】
接続パッド12Gは、接続パッド12Rと同様に構成されており、接続パッド組12Tのうちの-X+Y方向側に位置している。また接続パッド12Gは、垂直方向配線22G(すなわちアノードパッド44G)の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12GSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12Gは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Gと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面12GSが第1の薄膜層20Gにおけるアノードパッド44Gの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードパッド表面44GSとも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0024】
接続パッド12Bは、接続パッド12Rと同様に構成されており、接続パッド組12Tのうちの+X+Y方向側に位置している。また接続パッド12Bは、垂直方向配線22Bにおけるアノードピラー42aBの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12BSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12Bは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Bと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面12BSが第1の薄膜層20Gにおけるアノードピラー42aBの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードピラー下面42aBS2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0025】
接続パッド12Cは、接続パッド12Rと同様に構成されており、接続パッド組12Tのうちの-X-Y方向側に位置している。また接続パッド12Cは、垂直方向配線22Cにおけるカソードピラー40cGの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド12Cの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面12CSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド12Cは、回路基板10の内部において配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されていると共に、接続パッド表面12CSが第1の薄膜層20Gにおけるカソードピラー40cGの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをカソードピラー下面40cGS2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0026】
アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G及び14B)は、回路基板10内部においてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、アクティブ素子14R、14G、及び14Bをまとめてアクティブ素子14とも呼ぶ。
【0027】
アクティブ素子14Rは、2個のMOSトランジスタと1個のコンデンサとにより構成されており、接続パッド12Rの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。アクティブ素子14G及び14Bは、アクティブ素子14Rと同様に構成されており、それぞれ接続パッド12G及び12Bの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。
【0028】
配線層16内部の配線は、詳細には図示されないが、マトリクス状(すなわち格子状)に配置されており、アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G及び14B)並びに接続パッド12(12R、12G、12B及び12C)と適宜電気的に接続されていると共に、駆動ドライバ6と電気的に接続されている。
【0029】
回路基板10は、基板表面10Sが極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち回路基板10では、絶縁層11の上面である絶縁層表面11S、接続パッド表面12RS、接続パッド表面12GS、接続パッド表面12BS及び接続パッド表面12CSが何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面12RS、接続パッド表面12GS、接続パッド表面12BS及び接続パッド表面12CSは、それぞれ同一平面上に位置している。
【0030】
具体的に回路基板10では、基板表面10Sの表面粗さ、すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面12RS、接続パッド表面12GS、接続パッド表面12BS及び接続パッド表面12CSにおける表面粗さ(ラフネス、表面最大段差とも呼ぶ)Rpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0031】
[1-4.薄膜層群の構成]
図4及び図5に示すように、薄膜層群18は、第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20Rの3つの薄膜層20が、-Z方向から+Z方向へ向かって積層されている。薄膜層群18は、回路基板10上に分子間力により物理的に接合されると共に、該回路基板10と電気的にも接続されている。
【0032】
薄膜層群18には、LEDディスプレイ表示部2の領域内においてマトリクス状に配列された複数の画素(画素部8)が配置されている。画素部8は、主に、Z方向から見た際に、四隅に配置されアノードやカソードに対応した4つの垂直方向配線22(垂直方向配線22C、22R、22G及び22B)と、垂直方向配線22に囲まれ画素部8の内部に配置される1つの発光部24とにより構成されている。以下では、垂直方向配線22C、22R、22G及び22Bをまとめて、垂直方向配線22とも呼ぶ。
【0033】
垂直方向配線22Cは、導電性を有する材料でなり、カソード電極34R、カソードピラー40cB及び40cGにより構成されている。垂直方向配線22Rは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド44R、アノードピラー42aR2及び42aR1により構成されている。垂直方向配線22Gは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド44Gにより構成されている。垂直方向配線22Bは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド44B及びアノードピラー42aBにより構成されている。
【0034】
発光部24は、-Z方向側から+Z方向側へ向かって並ぶように薄膜LED30G、30B及び30RがZ方向(発光方向De)から見た際に重複することにより構成されている。本実施の形態においては、薄膜LED30G及び30Bは、互いの中心が一致し、該中心が画素部8の中心(すなわち画素エリアの中央)に位置すると共に、外形のX方向及びY方向の位置が一致するように、Z方向に重なっている。また、薄膜LED30Rは、薄膜LED30G及び30Bに対し、中心が-X-Y方向側にずれているものの、一部分が重なっている。また、薄膜LED30G、30B及び30Rが、互いの中心が一致するようにZ方向に重なっていなくとも、Z方向から見た際に少なくとも一部分が重なっている場合、薄膜LED30G、30B及び30Rが重複しているとする。以下では、薄膜LED30G、30B及び30Rをまとめて、薄膜LED30とも呼ぶ。
【0035】
回路基板10の内部には、カソード共通配線が設けられている。カソード共通配線は、LEDディスプレイ表示部2の領域外においてX方向及びY方向に沿って直線状に配置されていると共に、X方向に並ぶ複数の発光部24からなる1列の発光部列と、該発光部列に対しY方向に隣接する発光部列との間において、X方向に沿って直線状に配置されている。またこのカソード共通配線は、駆動ドライバ6の共通カソード接続端子に終端している。
【0036】
[1-4-1.第1の薄膜層の構成]
図4図5及び図6に示すように、第1の薄膜層20Gは、下地透明絶縁材料26G、透明絶縁材料28G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cG、層間絶縁膜38aG及び38cG、アノードピラー42aB及び42aR1、アノードパッド44G並びにカソードピラー40cGにより構成されている。
【0037】
下地透明絶縁材料26Gは、例えば、SiO、SiNや透明ポリイミド等により構成されており、十分な絶縁性を備えている。この下地透明絶縁材料26Gは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板10におけるそれぞれ接続パッド12B及び12CとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料26Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面26GS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面26GS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料26GをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口48aB及び48cGが形成されている。
【0038】
また下地透明絶縁材料26Gは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板10におけるそれぞれ接続パッド12G及び12RとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面26GS1から下地透明絶縁材料下面26GS2までに亘って下地透明絶縁材料26GをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口48G及び48aR1が形成されている。
【0039】
薄膜LED30Gは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料28G内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Gの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Gは、例えばGaP系材料により形成された、緑色の光を発するLEDである。アノード電極32Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0040】
引出配線36aG(図5)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Gにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド44Gとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aGは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aGは、引出配線36aGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0041】
引出配線36cG(図4)は、引出配線36aG(図5)と同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極34Gにおける+Z方向側の面(上面)とカソードピラー40cGとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38cGは、層間絶縁膜38aG(図5)と同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36cGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36cGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38cGは、引出配線36cGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0042】
上述したアノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cGは、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜38aG及び38cGは、薄膜LED30Gが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0043】
アノードピラー42aB(図4)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、回路基板10の接続パッド12BとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。具体的にアノードピラー42aBは、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属46aPL1G上(+Z方向側)に該コンタクト金属46aPL1Gと一体化して形成されている。またアノードピラー42aBは、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属46aPL1G上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するアノードピラー42aR1及びカソードピラー40cGにおいても同様であり、アノードピラー42aR1(図5)は、コンタクト金属46aPL2G上(+Z方向側)に該コンタクト金属46aPL2Gと一体化して形成されている。カソードピラー40cG(図4)は、コンタクト金属46cG上(+Z方向側)に該コンタクト金属46cGと一体化して形成されている。このアノードピラー42aBは、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面42aBS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Gから露出させている。またアノードピラー42aBは、-Z方向側の面(アノードピラー下面42aBS2)を、下地透明絶縁材料26Gから露出させている。
【0044】
アノードピラー42aR1(図5)は、アノードピラー42aBと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板10の接続パッド12RとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Rの一部分を構成している。このアノードピラー42aR1は、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面42aR1S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Gから露出させている。またアノードピラー42aR1は、-Z方向側の面(アノードピラー下面42aR1S2)を、下地透明絶縁材料26Gから露出させている。
【0045】
アノードパッド44G(図5)は、アノードピラー42aBと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板10の接続パッド12GとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Gを構成している。このアノードパッド44Gは、-Z方向側の面(アノードパッド表面44GS)を、下地透明絶縁材料26Gから露出させている。
【0046】
カソードピラー40cG(図4)は、アノードピラー42aBと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板10の接続パッド12CとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Cの一部分を構成している。このカソードピラー40cGは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面40cGS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Gから露出させている。またカソードピラー40cGは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー下面40cGS2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Gから露出させている。
【0047】
透明絶縁材料28Gは、例えば、下地透明絶縁材料26Gと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Gが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料28Gは、アノードピラー42aB及び42aR1並びにカソードピラー40cGを除いた、下地透明絶縁材料26G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cG、層間絶縁膜38aG及び38cG並びにアノードパッド44Gを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cG、層間絶縁膜38aG及び38cG並びにアノードパッド44Gを、下地透明絶縁材料26Gとの間において内部に埋め込んでいる。
【0048】
この透明絶縁材料28G(図4)は、下地透明絶縁材料開口48aBの+Z方向側において、透明絶縁材料28Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面28GSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48aBの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28GをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口50aBが形成されている。
【0049】
また透明絶縁材料28G(図5)は、下地透明絶縁材料開口48aR1の+Z方向側において、透明絶縁材料表面28GSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48aR1の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28GをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口50aR1が形成されている。
【0050】
さらに透明絶縁材料28G(図4)は、下地透明絶縁材料開口48cGの+Z方向側において、透明絶縁材料表面28GSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48cGの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28GをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口50cGが形成されている。
【0051】
このような下地透明絶縁材料開口48aBと透明絶縁材料開口50aBとにより第1の薄膜層開口52aBが形成されている。第1の薄膜層開口52aBは、第1の薄膜層20Gの+Z方向側の上面(以下ではこれを第1の薄膜層上面20GS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(第1の薄膜層下面20GS2)にかけて形成されており、内部にアノードピラー42aBが形成されている。また下地透明絶縁材料開口48aR1と透明絶縁材料開口50aR1とにより第1の薄膜層開口52aR1が形成されている。第1の薄膜層開口52aR1は、第1の薄膜層上面20GS1から第1の薄膜層下面20GS2にかけて形成されており、内部にアノードピラー42aR1が形成されている。さらに下地透明絶縁材料開口48cGと透明絶縁材料開口50cGとにより第1の薄膜層開口52cGが形成されている。第1の薄膜層開口52cGは、第1の薄膜層上面20GS1から第1の薄膜層下面20GS2にかけて形成されており、内部にカソードピラー40cGが形成されている。
【0052】
また第1の薄膜層20Gは、第1の薄膜層上面20GS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層20Gでは、透明絶縁材料表面28GS、アノードピラー上面42aBS1及び42aR1S1並びにカソードピラー上面40cGS1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面28GS、アノードピラー上面42aBS1、アノードピラー上面42aR1S1及びカソードピラー上面40cGS1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0053】
具体的に第1の薄膜層20Gでは、第1の薄膜層上面20GS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面28GS、アノードピラー上面42aBS1及び42aR1S1並びにカソードピラー上面40cGS1における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0054】
さらに第1の薄膜層20Gは、第1の薄膜層下面20GS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層20Gでは、下地透明絶縁材料下面26GS2、アノードピラー下面42aBS2及び42aR1S2、アノードパッド表面44GS、カソードピラー下面40cGS2、並びに引出配線36aG及び36cGの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面26GS2、アノードピラー下面42aBS2及び42aR1S2、アノードパッド表面44GS、カソードピラー下面40cGS2、並びに引出配線36aG及び36cGの-Z方向側の下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0055】
具体的に第1の薄膜層20Gでは、第1の薄膜層下面20GS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面26GS2、アノードピラー下面42aBS2及び42aR1S2、アノードパッド表面44GS、カソードピラー下面40cGS2、並びに引出配線36aG及び36cGの-Z方向側の下面における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0056】
[1-4-2.第2の薄膜層の構成]
図4図5及び図7に示すように、第2の薄膜層20Bは、下地透明絶縁材料26B、透明絶縁材料28B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cB、層間絶縁膜38aB及び38cB、アノードピラー42aR2、アノードパッド44B並びにカソードピラー40cBにより構成されている。
【0057】
下地透明絶縁材料26Bは、下地透明絶縁材料26Gと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Bが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料26Bは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層20Gにおけるそれぞれ第1の薄膜層開口52aB及び52cGとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料26Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面26BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面26BS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料26BをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口48B及び48cBがそれぞれ形成されている。
【0058】
また下地透明絶縁材料26Bは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層20Gにおける第1の薄膜層開口52aR1とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面26BS1から下地透明絶縁材料下面26BS2までに亘って下地透明絶縁材料26BをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口48aR2が形成されている。
【0059】
薄膜LED30Bは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料28B内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Bの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Bは、例えばGaN系材料により形成された、青色の光を発するLEDである。アノード電極32Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0060】
引出配線36aB(図4)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Bにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド44Bとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aBは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aBは、引出配線36aBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0061】
引出配線36cB(図4)は、引出配線36aBと同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極34Bにおける+Z方向側の面(上面)とカソードピラー40cBとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38cBは、層間絶縁膜38aBと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36cBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36cBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38cBは、引出配線36cBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0062】
上述したアノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cBは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜38aB及び38cBは、薄膜LED30G及び30Bが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0063】
アノードピラー42aR2(図5)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層20Gのアノードピラー42aR1とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Rの一部分を構成している。具体的にアノードピラー42aR2は、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属46aPLB上(+Z方向側)に該コンタクト金属46aPLBと一体化して形成されている。またアノードピラー42aR2は、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属46aPLB上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するカソードピラー40cBにおいても同様であり、カソードピラー40cB(図4)は、コンタクト金属46cB上(+Z方向側)に該コンタクト金属46cBと一体化して形成されている。このアノードピラー42aR2は、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面42aR2S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Bから露出させている。またアノードピラー42aR2は、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー下面42aR2S2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Bから露出させている。
【0064】
アノードパッド44B(図4)は、アノードピラー42aR2と同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層20Gのアノードピラー42aBとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。このアノードパッド44Bは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードパッド表面44BSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Bから露出させている。
【0065】
カソードピラー40cB(図4)は、アノードピラー42aR2と同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層20Gのカソードピラー40cGとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Cの一部分を構成している。このカソードピラー40cBは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面40cBS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料28Bから露出させている。またカソードピラー40cBは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー下面40cBS2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Bから露出させている。
【0066】
透明絶縁材料28Bは、例えば、下地透明絶縁材料26Bと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30G及び30Bが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料28Bは、アノードピラー42aR2及びカソードピラー40cBを除いた、下地透明絶縁材料26B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cB、層間絶縁膜38aB及び38cB並びにアノードパッド44Bを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cB、層間絶縁膜38aB及び38cB並びにアノードパッド44Bを、下地透明絶縁材料26Bとの間において内部に埋め込んでいる。
【0067】
この透明絶縁材料28B(図5)は、下地透明絶縁材料開口48aR2の+Z方向側において、透明絶縁材料28Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面28BSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48aR2の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口50aR2が形成されている。
【0068】
また透明絶縁材料28B(図4)は、下地透明絶縁材料開口48cBの+Z方向側において、透明絶縁材料表面28BSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口48cBの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料28BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口50cBが形成されている。
【0069】
このような下地透明絶縁材料開口48aR2と透明絶縁材料開口50aR2とにより第2の薄膜層開口52aR2が形成されている。第2の薄膜層開口52aR2は、第2の薄膜層20Bの+Z方向側の上面(以下ではこれを第2の薄膜層上面20BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(以下ではこれを第2の薄膜層下面20BS2とも呼ぶ)にかけて形成されており、内部にアノードピラー42aR2が形成されている。また下地透明絶縁材料開口48cBと透明絶縁材料開口50cBとにより第2の薄膜層開口52cBが形成されている。第2の薄膜層開口52cBは、第2の薄膜層上面20BS1から第2の薄膜層下面20BS2にかけて形成されており、内部にカソードピラー40cBが形成されている。
【0070】
また第2の薄膜層20Bは、第2の薄膜層上面20BS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層20Bでは、透明絶縁材料表面28BS、アノードピラー上面42aR2S1及びカソードピラー上面40cBS1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面28BS、アノードピラー上面42aR2S1及びカソードピラー上面40cBS1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0071】
具体的に第2の薄膜層20Bでは、第2の薄膜層上面20BS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面28BS、アノードピラー上面42aR2S1及びカソードピラー上面40cBS1における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0072】
さらに第2の薄膜層20Bは、第2の薄膜層下面20BS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層20Bでは、下地透明絶縁材料下面26BS2、アノードピラー下面42aR2S2、アノードパッド表面44BS、カソードピラー下面40cBS2、並びに引出配線36aB及び36cBの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面26BS2、アノードピラー下面42aR2S2、アノードパッド表面44BS、カソードピラー下面40cBS2、並びに引出配線36aB及び36cBの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0073】
具体的に第2の薄膜層20Bでは、第2の薄膜層下面20BS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面26BS2、アノードピラー下面42aR2S2、アノードパッド表面44BS、カソードピラー下面40cBS2、並びに引出配線36aB及び36cBの下面における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0074】
[1-4-3.第3の薄膜層の構成]
図4図5及び図8に示すように、第3の薄膜層20Rは、下地透明絶縁材料26R、透明絶縁材料28R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR、層間絶縁膜38aR及びアノードパッド44Rにより構成されている。
【0075】
下地透明絶縁材料26Rは、下地透明絶縁材料26Gと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30G、30B及び30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料26Rは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層20Bにおける第2の薄膜層開口52cBとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料26Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面26RS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面26RS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料26RをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口48cRが形成されている。下地透明絶縁材料開口48cRは、内部にカソード電極34Rが形成されている。
【0076】
また下地透明絶縁材料26Rは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層20Bにおける第2の薄膜層開口52aR2とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面26RS1から下地透明絶縁材料下面26RS2までに亘って下地透明絶縁材料26RをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口48Rが形成されている。
【0077】
薄膜LED30Rは、BB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配されるものの、画素部8における中央部から-X-Y方向側に位置ずれして配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料28R内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Rの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Rは、例えばGaAs系材料等のIII-V族化合物半導体材料により形成された、赤色の光を発する四元LEDである。アノード電極32Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Rは、薄膜LED30Rの-Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0078】
引出配線36aR(図5)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Rにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド44Rとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aRは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aRは、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0079】
カソード電極34Rは、第2の薄膜層20Bのカソードピラー40cBとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Cの一部分を構成している。このカソード電極34Rは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソード電極表面34RSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Rから露出させている。このカソード電極34Rは、例えば、アノードパッド44Rと同等の範囲の広さを有している。
【0080】
上述したアノード電極32R、カソード電極34R及び引出配線36aRは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜38aRは、薄膜LED30G、30B及び30Rが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0081】
アノードパッド44R(図5)は、金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第2の薄膜層20Bのアノードピラー42aR2とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Rの一部分を構成している。このアノードパッド44Rは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードパッド表面44RSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料26Rから露出させている。
【0082】
透明絶縁材料28Rは、例えば、下地透明絶縁材料26Rと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30G、30B及び30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料28Rは、下地透明絶縁材料26R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR、層間絶縁膜38aR及びアノードパッド44Rを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR、層間絶縁膜38aR及びアノードパッド44Rを、下地透明絶縁材料26Rとの間において内部に埋め込んでいる。
【0083】
また第3の薄膜層20Rは、第3の薄膜層下面20RS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第3の薄膜層20Rでは、下地透明絶縁材料下面26RS2、アノードパッド表面44RS、カソード電極表面34RS、及び引出配線36aRの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面26RS2、アノードパッド表面44RS、カソード電極表面34RS、及び引出配線36aRの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0084】
具体的に第3の薄膜層20Rでは、第3の薄膜層下面20RS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面26RS2、アノードパッド表面44RS、カソード電極表面34RS、及び引出配線36aRの下面における表面粗さPpvが何れも10[nm]以下となっている。また以下では、引出配線36aB、36aG、36aR、36cB及び36cGをまとめて、引出配線36とも呼ぶ。
【0085】
[1-5.薄膜層及び回路基板の接続関係]
[1-5-1.回路基板及び薄膜層の物理的接続関係]
回路基板10の基板表面10Sと、第1の薄膜層20Gの第1の薄膜層下面20GS2とは、分子間力により物理的に接合されている。また、第1の薄膜層20Gの第1の薄膜層上面20GS1と、第2の薄膜層20Bの第2の薄膜層下面20BS2とは、分子間力により物理的に接合されている。さらに、第2の薄膜層20Bの第2の薄膜層上面20BS1と、第3の薄膜層20Rの第3の薄膜層下面20RS2とは、分子間力により物理的に接合されている。
【0086】
このようにLEDディスプレイ表示部2においては、それぞれ、基板表面10Sと第1の薄膜層下面20GS2と、第1の薄膜層上面20GS1と第2の薄膜層下面20BS2と、第2の薄膜層上面20BS1と第3の薄膜層下面20RS2とが、金属接合ではなく、分子間力接合されている。
【0087】
[1-5-2.回路基板及び薄膜層の電気的接続関係]
接続パッド12G(図5)は、接続パッド表面12GSが第1の薄膜層20Gのアノードパッド44Gのアノードパッド表面44GSに分子間力により物理的に接合されており、導電経路Rgaのように、アノードパッド44G及び引出配線36aGを介し薄膜LED30Gのアノード電極32Gに電気的に接続されている。
【0088】
接続パッド12B(図4)は、接続パッド表面12BSが第1の薄膜層20Gのアノードピラー42aBのアノードピラー下面42aBS2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aBは、アノードピラー上面42aBS1が第2の薄膜層20Bのアノードパッド44Bのアノードパッド表面44BSに分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド44Bは、引出配線36aBと物理的に接触している。このため接続パッド12Bは、導電経路Rbaのように、アノードピラー42aB、アノードパッド44B及び引出配線36aBを介し薄膜LED30Bのアノード電極32Bに電気的に接続されている。
【0089】
接続パッド12R(図5)は、接続パッド表面12RSが第1の薄膜層20Gのアノードピラー42aR1のアノードピラー下面42aR1S2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aR1は、アノードピラー上面42aR1S1が第2の薄膜層20Bのアノードピラー42aR2のアノードピラー下面42aR2S2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aR2は、アノードピラー上面42aR2S1が第3の薄膜層20Rのアノードパッド44Rのアノードパッド表面44RSに分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド44Rは、引出配線36aRと物理的に接触している。このため接続パッド12Rは、導電経路Rraのように、アノードピラー42aR1、アノードピラー42aR2、アノードパッド44R及び引出配線36aRを介し薄膜LED30Rのアノード電極32Rに電気的に接続されている。
【0090】
接続パッド12C(図4)は、接続パッド表面12CSが第1の薄膜層20Gのカソードピラー40cGのカソードピラー下面40cGS2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー40cGは、カソードピラー上面40cGS1が第2の薄膜層20Bのカソードピラー40cBのカソードピラー下面40cBS2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー40cBは、カソードピラー上面40cBS1が第3の薄膜層20Rのカソード電極34Rのカソード電極表面34RSに分子間力により物理的に接合されている。カソード電極34Rは、薄膜LED30Rと物理的に接触している。このため、カソード電極34Rは、導電経路Rcのように、カソードピラー40cB、コンタクト金属46cB、カソードピラー40cG、コンタクト金属46cG及び接続パッド12Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0091】
また引出配線36cBは、コンタクト金属46cBと物理的に接触している。このため、カソード電極34Bは、導電経路Rcのように、引出配線36cB、コンタクト金属46cB、カソードピラー40cG、コンタクト金属46cG及び接続パッド12Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0092】
さらに引出配線36cGは、コンタクト金属46cGと物理的に接触している。このため、カソード電極34Gは、導電経路Rcのように、引出配線36cG、コンタクト金属46cG及び接続パッド12Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。カソード共通配線は、他の画素部8の垂直方向配線22Cにも電気的に接続されており、駆動ドライバ6の共通カソード接続端子(コモン端子)にも接続されている。
【0093】
[1-6.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
次に、LEDディスプレイ装置1におけるLEDディスプレイ表示部2の製造方法の一例を、図9図10図11及び図12を用いて説明する。因みに、図9図10図11及び図12は、何れも+Z方向を上方向に向けた状態を表す模式的な断面図となっている。説明の都合上、ここでは、+Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0094】
[1-6-1.第1の薄膜層の製造方法]
まず、第1の薄膜層20Gの製造方法について、図9を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図9(A)に示すように、所定のLED成長基板62Gの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層66Gを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板62Gとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0095】
次に製造装置60は、図9(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層66GをLED成長基板62Gから分離する。分離した薄膜LED層66Gは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0096】
次に製造装置60は、図9(C)に示すように、第1の薄膜層20Gの形成基板68Gに、犠牲層70G及び下地透明絶縁材料26Gを順次製膜し、薄膜LED層66Gを分子間力により下地透明絶縁材料26Gに接合する。このとき、犠牲層70R及び下地透明絶縁材料26Gの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0097】
次に製造装置60は、図9(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層66Gをエッチングすることにより、薄膜LED30Gを形成すると共に、下地透明絶縁材料26Gの下地透明絶縁材料開口48aB、48cG、48aR1(図5)及び48G(図5)のパターニングを行う。
【0098】
次に製造装置60は、図9(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30G及び下地透明絶縁材料26Gの上に、アノード電極32G、カソード電極34G、層間絶縁膜38cG及び38aG(図5)、引出配線36cG及び36aG(図5)並びにコンタクト金属46aPL1G、46cG、46aPL2G(図5)及び46aPDG(図5)を形成する。
【0099】
次に製造装置60は、図9(F)に示すように、透明絶縁材料28Gにより埋め込みを行い該透明絶縁材料28Gに透明絶縁材料開口50aB、50cG及び50aR1(図5)のパターニングを行った後に、メッキ法により、透明絶縁材料開口50aB、50cG及び50aR1(図5)から露出しているコンタクト金属46aPL1G、46cG及び46aPL2G(図5)上に、アノードピラー42aB、カソードピラー40cG及びアノードピラー42aR1(図5)を形成する。またコンタクト金属46aPDG(図5)は、アノードパッド44Gとなる。
【0100】
次に製造装置60は、図9(G)に示すように、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料28G、アノードピラー42aB及び42aR1(図5)並びにカソードピラー40cGの上面を平坦化することにより、アノードピラー42aB及び42aR1(図5)の上面にそれぞれアノードピラー上面42aBS1及び42aR1S1(図5)を、カソードピラー40cGの上面にカソードピラー上面40cGS1を、透明絶縁材料28Gの上面から露出するように形成する。
【0101】
[1-6-2.第2の薄膜層の製造方法]
次に、第2の薄膜層20Bの製造方法について、図10を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図10(A)に示すように、所定のLED成長基板62Bの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層66Bを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板62Bとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0102】
次に製造装置60は、図10(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層66BをLED成長基板62Bから分離する。分離した薄膜LED層66Bは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0103】
次に製造装置60は、図10(C)に示すように、第2の薄膜層20Bの形成基板68Bに、犠牲層70B及び下地透明絶縁材料26Bを順次製膜し、薄膜LED層66Bを分子間力により下地透明絶縁材料26Bに接合する。このとき、犠牲層70B及び下地透明絶縁材料26Bの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0104】
次に製造装置60は、図10(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層66Bをエッチングすることにより、薄膜LED30Bを形成すると共に、下地透明絶縁材料26Bの下地透明絶縁材料開口48B、48cB及び48aR2(図5)のパターニングを行う。
【0105】
次に製造装置60は、図10(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30G及び下地透明絶縁材料26Gの上に、アノード電極32B、カソード電極34B、層間絶縁膜38cB及び38aB、引出配線36cB及び36aB、コンタクト金属46aPDB、46cB及び46aPLB(図5)を形成する。
【0106】
次に製造装置60は、図10(F)に示すように、透明絶縁材料28Bにより埋め込みを行い該透明絶縁材料28Bに透明絶縁材料開口50cB及び50aR2(図5)のパターニングを行った後に、メッキ法により、透明絶縁材料開口50cB及び50aR2(図5)から露出しているコンタクト金属46cB及び46aPLB(図5)上に、カソードピラー40cB及びアノードピラー42aR2(図5)を形成する。またコンタクト金属46aPDBは、アノードパッド44Bとなる。
【0107】
次に製造装置60は、図10(G)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料28B、カソードピラー40cB及びアノードピラー42aR2(図5)の上面を平坦化することにより、カソードピラー40cB及びアノードピラー42aR2(図5)の上面にそれぞれカソードピラー上面40cBS1及びアノードピラー上面42aR2S1を、透明絶縁材料28Bの上面から露出するように形成する。
【0108】
[1-6-3.第3の薄膜層の製造方法]
次に、第3の薄膜層20Rの製造方法について、図11を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図11(A)に示すように、所定のLED成長基板62Rの上側、すなわち+Z方向側に、格子整合がされた犠牲層64Rを形成し、さらにその上側に薄膜LED層66Rを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板62RとしてGaAsが、犠牲層64RとしてAlを含むGaAs等の材料が一例として使用される。
【0109】
次に製造装置60は、図11(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層64Rをエッチングして除去することにより、薄膜LED層66RをLED成長基板62Rから分離する。分離した薄膜LED層66Rは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0110】
次に製造装置60は、図11(C)に示すように、第3の薄膜層20Rの形成基板68Rに、犠牲層70R及び下地透明絶縁材料26Rを順次製膜し、エッチング処理により下地透明絶縁材料26Rの下地透明絶縁材料開口48cR及び48G(図5)のパターニングを行う。
【0111】
次に製造装置60は、図11(D)に示すように、メッキ法により、下地透明絶縁材料開口48cRにカソード電極34Rを形成する。
【0112】
次に製造装置60は、図11(E)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、下地透明絶縁材料26R及びカソード電極34Rの上面を平坦化することにより、カソード電極34Rの上面を透明絶縁材料28Rの上面から露出するように形成する。続いて製造装置60は、薄膜LED層66Rを分子間力により下地透明絶縁材料26Rに接合する。
【0113】
次に製造装置60は、図11(F)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層66Rをエッチングすることにより、薄膜LED30Rを形成すると共に、下地透明絶縁材料26Rの下地透明絶縁材料開口48R(図5)のパターニングを行う。
【0114】
次に製造装置60は、図11(G)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30R及び下地透明絶縁材料26Rの上に、アノード電極32R、層間絶縁膜38aR(図5)、引出配線36aR及びコンタクト金属46aPDR(図5)を形成する。またコンタクト金属46aPDR(図5)は、アノードパッド44Rとなる。
【0115】
次に製造装置60は、図11(H)に示すように、透明絶縁材料28Rにより埋め込みを行う。製造装置60は、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料28Rの上面を平坦化しても良い。
【0116】
[1-6-4.積層接合の工程]
次に、上述した製造方法により製造された第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20Rを、回路基板10に積層させる積層接合の工程について、図12を参照しながら説明する。
【0117】
まず製造装置60は、図12(A)に示すように、エッチング処理により犠牲層70G(図9)をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層20Gを形成基板68Gから分離する。これにより、アノードピラー下面42aBS2、カソードピラー下面40cGS2、アノードピラー下面42aR1S2(図5)、アノードパッド表面44GS(図5)が、下地透明絶縁材料下面26GS2から露出する。これらアノードピラー下面42aBS2、カソードピラー下面40cGS2、アノードピラー下面42aR1S2(図5)、アノードパッド表面44GS(図5)は、犠牲層70G(図9)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第1の薄膜層20Gを公知のボンディング方法により、回路基板10の上面に分子間力により接合する。
【0118】
次に製造装置60は、図12(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層70B(図10)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層20Bを形成基板68Bから分離する。これにより、カソードピラー下面40cBS2、アノードパッド表面44 BS及びアノードピラー下面42aR2S2(図5)が、下地透明絶縁材料下面26BS2から露出する。これらカソードピラー下面40cBS2、アノードパッド表面44BS及びアノードピラー下面42aR2S2(図5)は、犠牲層70B(図10)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第2の薄膜層20Bを公知のボンディング方法により、図12(A)で回路基板10に接合させた第1の薄膜層20Gの上面に分子間力により接合する。
【0119】
次に製造装置60は、図12(C)に示すように、エッチング処理により犠牲層70R(図11)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層20Rを形成基板68Rから分離する。これにより、カソード電極表面34RS及びアノードパッド表面44RGS(図5)が、下地透明絶縁材料下面26RS2から露出する。これらカソード電極表面34RS及びアノードパッド表面44RS(図5)は、犠牲層70R(図11)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第3の薄膜層20Rを公知のボンディング方法により、図12(B)で第1の薄膜層20Gに接合させた第2の薄膜層20Bの上面に分子間力により接合する。
【0120】
[1-7.動作]
かかる構成において、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2を駆動する際、図示しない外部回路から接続端子部5を介し駆動ドライバ6に電源、クロック信号及び画像データ等が入力される。続いてLEDディスプレイ装置1は、駆動ドライバ6から回路基板10の配線層16に、アクティブ素子14R、14G及び14Bのオンオフ信号及び駆動電流を選択的に供給する。供給された駆動電流は、接続パッド12を介し、垂直方向配線22R、22G及び22Bと、各薄膜層(第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20R)内の引出配線36とを通過し、薄膜LED30R、30G及び30Bに、アクティブ素子14R、14G及び14Bのオンオフに応じて供給される。これによりLEDディスプレイ表示部2が発光する。
【0121】
[1-8.LEDディスプレイ表示部の発光の様子]
図13に示すように、LEDディスプレイ表示部2が発光すると、薄膜LED30BがGaN基板で構成されておりEg=3.4[eV]に相当する365[nm](青色)よりも短い波長を吸収するため、薄膜LED30Gから発せられた緑色光LGは、薄膜LED30Bによって吸収されず、透過する。また、第2の薄膜層20Bにおける薄膜LED30B以外の箇所と、第3の薄膜層20Rにおける薄膜LED30R以外の箇所とは、緑色光LGの波長に対し透明であるため、緑色光LGは、第2の薄膜層20Bにおける薄膜LED30B以外の箇所と、第3の薄膜層20Rにおける薄膜LED30R以外の箇所とを透過する。一方、薄膜LED30RがGaAs基板で構成されておりEg=1.9[eV]に相当する660[nm](赤色)よりも短い波長を吸収するため、第3の薄膜層20Rに向かって出射された緑色光LGは、薄膜LED30Rで吸収される。また、第3の薄膜層120Rに向かって出射された緑色光LGは、カソード電極34Rで反射される。
【0122】
また、第3の薄膜層20Rにおける薄膜LED30R以外の箇所は、薄膜LED30Bから発せられた青色光LBの波長に対し透明であるため、青色光LBは、第3の薄膜層20Rにおける薄膜LED30R以外の箇所を透過する。一方、薄膜LED30RがGaAs基板で構成されておりEg=1.9[eV]に相当する660[nm](赤色)よりも短い波長を吸収するため、第3の薄膜層20Rに向かって出射された青色光LBは、薄膜LED30Rで吸収される。また、第3の薄膜層120Rに向かって出射された緑色光LGは、カソード電極34Rで反射される。
【0123】
さらに、第3の薄膜層20Rにおける薄膜LED30R以外の箇所は、薄膜LED30Rから発せられた赤色光LRの波長に対し透明であるため、赤色光LRは、第3の薄膜層20Rにおける薄膜LED30R以外の箇所を透過する。
【0124】
本実施の形態による画素部8は、薄膜LED30G及び30Bの中心に対し、薄膜LED30Rが、その中心を-X-Y方向側に位置ずれさせた状態で(すなわちオフセットさせた状態で)配されている。このため第3の薄膜層20Rは、緑色光LG及びLBのうち薄膜LED30Rに向かって来た一部の光は薄膜LED30Rによって吸収する共にカソード電極34Rに向かって来た一部の光はカソード電極34Rによって反射するものの、緑色光LG及びLBのうち薄膜LED30R及びカソード電極34R以外の箇所に向かって来た緑色光LG及びLBは透過させ、+Z方向へ向かわせる。
【0125】
[1-9.薄膜層の重複の様子]
ここで、+Z方向側から発光方向Deに沿って画素部8を見たとき、図14(A)に示すように、最も+Z方向側に位置する薄膜LED30Rが、該薄膜LED30Rよりも-Z方向側に位置する薄膜LED30G及び薄膜LED30Bの両方と重複する、ハッチングを付した領域を、光吸収領域ARaと呼ぶ。第1の実施の形態においては薄膜LED30G及び薄膜LED30Bが互いにオフセットされていないため、光吸収領域ARaは、薄膜LED30Rが薄膜LED30Gと重複する領域となっている。また、+Z方向側から発光方向Deに沿って画素部8を見たとき、図14(B)に示すように、薄膜LED30Rよりも-Z方向側に位置する薄膜LED30Gと薄膜LED30Bとが重なる、ハッチングを付した領域を、光透過領域ARtと呼ぶ。本実施の形態による画素部8は、光吸収領域ARa(図14(A))が、光透過領域ARt(図14(B))よりも小さくなるように、薄膜LED30G、30B及び30Rが配置されている。
【0126】
[1-10.効果]
ここで、薄膜LED30Rは、GaAs基板であるためEg=1.9[eV]に相当する660[nm](赤色)よりも短い波長を吸収し、薄膜LED30Gは、GaP基板であるためEg=2.2[eV]に相当する564[nm](緑色)よりも短い波長を吸収し、薄膜LED30Bは、GaN基板であるためEg=3.4[eV]に相当する365[nm](青色)よりも短い波長を吸収する。すなわち薄膜LED30は、その半導体のバンドギャップが大きい程、広い範囲の波長の光を透過する性質がある。
【0127】
このような特性があるため、積層半導体発光装置であるLEDディスプレイ装置においては、最も-Z方向側(最下層側)から最も+Z方向側(最上層側)に向かって、バンドギャップの小さい薄膜LED30からバンドギャップの大きい薄膜LED30が配置されるように、薄膜LED30R、薄膜LED30G及び薄膜LED30Bの順番に積層することにより、下層側の薄膜LED30の光が上層側の薄膜LED30に吸収されないようにすることが行われていた。
【0128】
しかしながら、それぞれの薄膜LED30R、薄膜LED30G及び薄膜LED30Bは、互いに発光効率が等しい訳ではなく、特に、薄膜LED30G及び薄膜LED30Bよりも薄膜LED30Rの発光効率が低いことが一般的である。すなわち、同じ電流を薄膜LED30R、薄膜LED30G及び薄膜LED30Bに流したとしても、薄膜LED30G及び薄膜LED30Bよりも薄膜LED30Rの方が暗く発光する。また、最上層における薄膜LED30B以外の箇所に透明樹脂を用いたとしても、薄膜LED30Rから発せられた赤色光LRに対する最上層の透過率を100[%]にすることはできない。さらに、最上層と最下層との間の中間層における薄膜LED30G以外の箇所に透明樹脂を用いたとしても、薄膜LED30Rから発せられた赤色光LRに対する中間層の透過率を100[%]にすることはできない。
【0129】
よって、薄膜LED30Rを最下層に配置した場合、該最下層に対する上層である中間層の薄膜LED30Gと最上層の薄膜LED30Bとのバンドギャップが大きく赤色光LRを透過するとしても、薄膜LED30Rの発光効率が低く、且つ、中間層及び最上層の赤色光LRに対する透過率は100[%]よりは低い値であるため、LEDディスプレイ表示部から外部へ出射される赤色光LRは減衰する。このため、LEDディスプレイ表示部から外部へ出射される赤色光LRが暗くなってしまう。その場合、赤色、緑色及び青色を混色させることにより白色を表現するLEDディスプレイ表示部においては、白色の最大輝度は、LEDディスプレイ表示部から外部へ出射される光が薄膜LED30G及び30Bに対し相対的に低い、薄膜LED30Rの最大輝度に依存してしまうこととなる。よって、LEDディスプレイ表示部は、白色の輝度を上げにくくなり、全体としてのディスプレイ輝度を向上させにくくなってしまう。
【0130】
これに対し、薄膜LED30R、30G及び30Bの互いの中心を一致させた状態で、薄膜LED30Rを最上層に配置することにより、赤色光LRが薄膜LED30G及び30Bによって減衰されないようにすることも考えられる。しかしながら、上述したように、薄膜LED30Rは、GaAs基板であるためEg=1.9[eV]に相当する660[nm](赤色)よりも短い波長である青色光LB及び緑色光LGを吸収し、透過させない。このためLEDディスプレイ表示部から外部へ出射される青色光LB及び緑色光LGが暗くなってしまう。
【0131】
これに対し第1の形態によるLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Gの薄膜LED30G、第2の薄膜層20Bの薄膜LED30B及び第3の薄膜層20Rの薄膜LED30Rの順番に積層することにより、最上層に薄膜LED30Rを配置するようにした。またLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30Rの中心を薄膜LED30G及び30Bに対しオフセットさせて配置するようにした。
【0132】
このためLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30G、30B及び30Rを互いの中心を一致させた状態で配置する場合と比較して、+Z方向へ向かう緑色光LG及び青色光LBの経路から薄膜LED30Rの少なくとも一部分を退避させ、薄膜LED30Rによって吸収されずにLEDディスプレイ装置1の外部へ出射される緑色光LG及び青色光LBを増加させることができる。これによりLEDディスプレイ装置1は、最上層の第3の薄膜層20Rの薄膜LED30Rよりも下層側に配置された、該薄膜LED30Rによって吸収される緑色光LG及び青色光LBを、効率良く外部へ取り出すことができる。
【0133】
このためLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30G及び30Bの発光強度が薄膜LED30Rに対し相対的に十分高い場合は、薄膜LED30Rを最下層に配置する場合と比較して、発光強度が低い薄膜LED30Rを最上層に配置することが可能となり、白色の最大輝度が薄膜LED30Rの最大輝度に依存してしまわないようにでき、LEDディスプレイ表示部2全体のディスプレイ輝度を向上させることができる。
【0134】
またLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30Rの赤色光LRが他の薄膜層20によって減衰されないため、発光効率が悪い薄膜LED30Rの発光強度を上げるために薄膜LED30Rに大きな電流を流す必要をなくし、少ない電力でLEDディスプレイ表示部2全体のディスプレイ輝度を向上させ、LEDディスプレイ表示部2全体の発光効率を向上させることができる。
【0135】
かくしてLEDディスプレイ装置1は、発光効率が低い薄膜LED30Rを最上層に配置することが可能となりLEDディスプレイ表示部2全体のディスプレイ輝度を向上させることができると共に、薄膜LED30Rによって吸収される緑色光LG及び青色光LBを、効率良く外部へ取り出すことができる。
【0136】
以上の構成によればLEDディスプレイ装置1は、基板面としての基板表面10Sを有する回路基板10と、基板表面10Sに設けられ、第1のバンドギャップとしての薄膜LED30Gのバンドギャップを有し第1の波長としての薄膜LED30Gの波長の光を発光する第1の発光素子としての薄膜LED30Gを含む第1の薄膜層20Gと、薄膜LED30Gのバンドギャップと異なる第2のバンドギャップとしての薄膜LED30Bのバンドギャップを有し薄膜LED30Gの波長と異なる第2の波長としての薄膜LED30Bの光を発光する第2の発光素子としての薄膜LED30Bを含む第2の薄膜層20Bと、薄膜LED30Gのバンドギャップ及び薄膜LED30Bのバンドギャップよりも小さい第3のバンドギャップとしての薄膜LED30Rのバンドギャップを有し薄膜LED30Gの波長及び薄膜LED30Bの波長よりも長い第3の波長としての薄膜LED30Rの光を発光する薄膜LED30Rを含む第3の薄膜層20Rとを設け、第2の薄膜LED30B及び第3の薄膜層20Rは、第1の薄膜層20Gの上方(+Z方向側)に所定の順序で重なって形成され、薄膜LED30Rは、基板表面10Sに直交する積層方向から見たとき、薄膜LED30Rが薄膜LED30G及び薄膜LED30Bと重なる領域である光吸収領域ARaが、薄膜LED30Gと薄膜LED30Bとが重なる領域である光透過領域ARtよりも小さくなるように配置されるようにした。
【0137】
これによりLEDディスプレイ装置1は、+Z方向へ向かう少なくとも緑色光LGの経路から薄膜LED30Rの少なくとも一部分を退避させ、薄膜LED30Rによって吸収されずにLEDディスプレイ装置1の外部へ出射される緑色光LGを増加させることができる。
【0138】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1と、図2と対応する部材に同一符号を付した図15とに示すように、第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置101は、LEDディスプレイ装置1と比較して、LEDディスプレイ表示部102がLEDディスプレイ表示部2と相違するものの、他の点については同様に構成されている。LEDディスプレイ表示部102は、アクティブマトリクス回路基板である回路基板110上にマトリクス状に無機発光ダイオード(LED)を含む素子をピクセル(1画素)として配列した表示装置である。
【0139】
[2-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
LEDディスプレイ表示部102は、図4及び図5と対応する部材に同一符号を付した図17及び図18に示すように、平板状の回路基板110における+Z方向側の表面(以下ではこれを基板表面10Sとも呼ぶ)に設定された表示領域内に、第1の薄膜層120B、第2の薄膜層120G及び第3の薄膜層120Rの3つの薄膜層からなる薄膜層群118が積層された構成となっている。以下では、第1の薄膜層120B、第2の薄膜層120G及び第3の薄膜層120Rをまとめて、薄膜層120とも呼ぶ。それぞれの薄膜層120は、発光素子が格子状に並んだフィルム形状であり、そのフィルムサイズは、第1の実施の形態による薄膜層20と同様となっている。
【0140】
以下では、LEDディスプレイ表示部102における回路基板110及び薄膜層群118のうち、1画素分の領域である画素部108について説明する。また以下では、カソード端子に関わる部材の符号の末尾には「C」を付し、第1の薄膜層120Bの薄膜LED30Bに関わる部材の符号の末尾には「B」を付し、第2の薄膜層120Gの薄膜LED30Gに関わる部材の符号の末尾には「G」を付し、第3の薄膜層120Rの薄膜LED30Rに関わる部材の符号の末尾には「R」を付す。
【0141】
[2-3.回路基板の構成]
図3と対応する部材に同一符号を付した図16と、図17及び図18とに示すように、回路基板110は、シリコンプロセスにより製造されたCMOSバックプレーン回路基板である。第2の実施の形態による回路基板110は、回路基板10と比較して、接続パッド112(接続パッド112R、112G、112B及び112C)並びにアクティブ素子114(アクティブ素子114R、114G及び114B)が接続パッド12(接続パッド12R、12G、12B及び12C)並びにアクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G及び14B)と相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0142】
接続パッド112(接続パッド112R、112G、112B及び112C)は、基板表面10Sにおいてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、接続パッド112R、112G、112B及び112Cをまとめて接続パッド112とも呼ぶ。この接続パッド112は、1画素に対応しており、4個の接続パッド112R、112G、112B及び112Cにより、接続パッド組112Tが構成されている。接続パッド組112Tは、接続パッド112R、112G、112B及び112Cの外接矩形よりも内側(すなわち画素エリア内)に、発光部124(図15)が位置するように配置されている。
【0143】
接続パッド112Rは、導電性を有する材料でなり、+Z方向側から見た際に例えば正方形状であり、接続パッド組112Tのうちの+X-Y方向側に位置している。また接続パッド112Rは、垂直方向配線122Rにおけるアノードピラー142aR1の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド112Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面112RSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド112Rは、回路基板110の内部においてアクティブ素子114Rと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面112RSが第1の薄膜層120Bにおけるアノードピラー142aR1の-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードピラー下面142aR1S2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0144】
接続パッド112Bは、接続パッド112Rと同様に構成されており、接続パッド組112Tのうちの-X+Y方向側に位置している。また接続パッド112Bは、垂直方向配線122B(すなわちアノードパッド144B)の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド112Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面112BSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド112Bは、回路基板110の内部においてアクティブ素子114Bと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面112BSが第1の薄膜層120Bにおけるアノードパッド144Bの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードパッド表面144BSとも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0145】
接続パッド112Gは、接続パッド112Rと同様に構成されており、接続パッド組112Tのうちの+X+Y方向側に位置している。また接続パッド112Gは、垂直方向配線122Gにおけるアノードピラー142aGの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド112Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面112GSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド112Gは、回路基板110の内部においてアクティブ素子114Gと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面112GSが第1の薄膜層120Bにおけるアノードピラー142aGの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードピラー下面142aGS2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0146】
接続パッド112Cは、接続パッド112Rと同様に構成されており、接続パッド組112Tのうちの-X-Y方向側に位置している。また接続パッド112Cは、垂直方向配線122Cにおけるカソードピラー140cBの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド112Cの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面112CSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド112Cは、回路基板110の内部において配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されていると共に、接続パッド表面112CSが第1の薄膜層120Bにおけるカソードピラー140cBの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをカソードピラー下面140cBS2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0147】
アクティブ素子114(アクティブ素子114R、114G及び114B)は、回路基板110内部においてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、アクティブ素子114R、114G、及び114Bをまとめてアクティブ素子114とも呼ぶ。
【0148】
アクティブ素子114Rは、2個のMOSトランジスタと1個のコンデンサとにより構成されており、接続パッド112Rの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。アクティブ素子114G及び114Bは、アクティブ素子114Rと同様に構成されており、それぞれ接続パッド112G及び112Bの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。
【0149】
配線層16内部の配線は、詳細には図示されないが、マトリクス状(すなわち格子状)に配置されており、アクティブ素子114(アクティブ素子114R、114G及び114B)並びに接続パッド112(112R、112G、112B及び112C)と適宜電気的に接続されていると共に、駆動ドライバ6と電気的に接続されている。
【0150】
回路基板110は、基板表面10Sが極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち回路基板110では、絶縁層11の上面である絶縁層表面11S、接続パッド表面112RS、接続パッド表面112GS、接続パッド表面112BS及び接続パッド表面112CSが何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面112RS、接続パッド表面112GS、接続パッド表面112BS及び接続パッド表面112CSは、それぞれ同一平面上に位置している。
【0151】
具体的に回路基板110では、基板表面10Sの表面粗さ、すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面112RS、接続パッド表面112GS、接続パッド表面112BS及び接続パッド表面112CSにおける表面粗さ(ラフネス、表面最大段差とも呼ぶ)Rpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0152】
[2-4.薄膜層群の構成]
図17及び図18に示すように、薄膜層群118は、第1の薄膜層120B、第2の薄膜層120G及び第3の薄膜層120Rの3つの薄膜層120が、-Z方向から+Z方向へ向かって積層されている。薄膜層群118は、回路基板110上に分子間力により物理的に接合されると共に、該回路基板110と電気的にも接続されている。
【0153】
薄膜層群118には、LEDディスプレイ表示部102の領域内においてマトリクス状に配列された複数の画素(画素部108)が配置されている。画素部108は、主に、Z方向から見た際に、四隅に配置されアノードやカソードに対応した4つの垂直方向配線122(垂直方向配線122C、122R、122G及び122B)と、垂直方向配線122に囲まれ画素部108の内部に配置される1つの発光部124とにより構成されている。以下では、垂直方向配線122C、122R、122G及び122Bをまとめて、垂直方向配線122とも呼ぶ。
【0154】
垂直方向配線122Cは、導電性を有する材料でなり、カソード電極134R、カソードピラー140cG及び140cBにより構成されている。垂直方向配線122Rは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド144R、アノードピラー142aR2及び142aR1により構成されている。垂直方向配線122Bは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド144Bにより構成されている。垂直方向配線122Gは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド144G及びアノードピラー142aGにより構成されている。
【0155】
発光部124は、-Z方向側から+Z方向側へ向かって並ぶように薄膜LED30B、30G及び30RがZ方向(発光方向De)から見た際に重複することにより構成されている。本実施の形態においては、薄膜LED30B、30G及び30Rは、互いの中心が一致しないように、Z方向に重なっている。具体的に、薄膜LED30Bは、その中心が画素部108の中心(すなわち画素エリアの中央)に位置している。薄膜LED30Gは、薄膜LED30Bに対し、中心が-X+Y方向側にずれているものの、一部分が重なっている。薄膜LED30Rは、薄膜LED30Bに対し、中心が-X-Y方向側にずれているものの、一部分が重なっている。
【0156】
回路基板110の内部には、カソード共通配線が設けられている。カソード共通配線は、LEDディスプレイ表示部102の領域外においてX方向及びY方向に沿って直線状に配置されていると共に、X方向に並ぶ複数の発光部124からなる1列の発光部列と、該発光部列に対しY方向に隣接する発光部列との間において、X方向に沿って直線状に配置されている。またこのカソード共通配線は、駆動ドライバ6の共通カソード接続端子に終端している。
【0157】
[2-4-1.第1の薄膜層の構成]
図17及び図18と、図6と対応する部材に同一符号を付した図19とに示すように、第1の薄膜層120Bは、下地透明絶縁材料126B、透明絶縁材料128B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線136aB及び136cB、層間絶縁膜138aB及び138cB、アノードピラー142aG及び142aR1、アノードパッド144B並びにカソードピラー140cBにより構成されている。
【0158】
下地透明絶縁材料126Bは、例えば、SiO、SiNや透明ポリイミド等により構成されており、十分な絶縁性を備えている。この下地透明絶縁材料126Bは、AA断面方向Da(図17)に関して、画素部108における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板110におけるそれぞれ接続パッド112G及び112CとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料126Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面126BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面126BS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料126BをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口148aG及び148cBが形成されている。
【0159】
また下地透明絶縁材料126Bは、BB断面方向Db(図18)に関して、画素部108における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板110におけるそれぞれ接続パッド112B及び112RとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面126BS1から下地透明絶縁材料下面126BS2までに亘って下地透明絶縁材料126BをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口148B及び148aR1が形成されている。
【0160】
薄膜LED30Bは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部108における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料128B内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Bの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Bは、例えばGaN系材料により形成された、青色の光を発するLEDである。アノード電極32Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0161】
引出配線136aB(図18)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Bにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド144Bとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜138aBは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線136aBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線136aBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜138aBは、引出配線136aBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0162】
引出配線136cB(図17)は、引出配線136aB(図18)と同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極34Bにおける+Z方向側の面(上面)とカソードピラー140cBとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜138cBは、層間絶縁膜138aB(図18)と同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線136cBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線136cBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜138cBは、引出配線136cBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0163】
上述したアノード電極32B、カソード電極34B、引出配線136aB及び136cBは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜138aB及び138cBは、薄膜LED30Bが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0164】
アノードピラー142aG(図17)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、回路基板110の接続パッド112GとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Gの一部分を構成している。具体的にアノードピラー142aGは、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属146aPL1B上(+Z方向側)に該コンタクト金属146aPL1Bと一体化して形成されている。またアノードピラー142aGは、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属146aPL1B上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するアノードピラー142aR1及びカソードピラー140cBにおいても同様であり、アノードピラー142aR1(図18)は、コンタクト金属146aPL2B上(+Z方向側)に該コンタクト金属146aPL2Bと一体化して形成されている。カソードピラー140cB(図17)は、コンタクト金属146cB上(+Z方向側)に該コンタクト金属146cBと一体化して形成されている。このアノードピラー142aGは、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面142aGS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料128Bから露出させている。またアノードピラー142aGは、-Z方向側の面(アノードピラー下面142aGS2)を、下地透明絶縁材料126Bから露出させている。
【0165】
アノードピラー142aR1(図18)は、アノードピラー142aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板110の接続パッド112RとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Rの一部分を構成している。このアノードピラー142aR1は、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面142aR1S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料128Bから露出させている。またアノードピラー142aR1は、-Z方向側の面(アノードピラー下面142aR1S2)を、下地透明絶縁材料126Bから露出させている。
【0166】
アノードパッド144B(図18)は、アノードピラー142aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板110の接続パッド112BとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Bを構成している。このアノードパッド144Bは、-Z方向側の面(アノードパッド表面144BS)を、下地透明絶縁材料126Bから露出させている。
【0167】
カソードピラー140cB(図17)は、アノードピラー142aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板110の接続パッド112CとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Cの一部分を構成している。このカソードピラー140cBは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面140cBS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料128Bから露出させている。またカソードピラー140cBは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー下面140cBS2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料126Bから露出させている。
【0168】
透明絶縁材料128Bは、例えば、下地透明絶縁材料126Bと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Bが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料128Bは、アノードピラー142aG及び142aR1並びにカソードピラー140cBを除いた、下地透明絶縁材料126B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線136aB及び136cB、層間絶縁膜138aB及び138cB並びにアノードパッド144Bを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線136aB及び136cB、層間絶縁膜138aB及び138cB並びにアノードパッド144Bを、下地透明絶縁材料126Bとの間において内部に埋め込んでいる。
【0169】
この透明絶縁材料128B(図17)は、下地透明絶縁材料開口148aGの+Z方向側において、透明絶縁材料128Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面128BSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口148aGの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料128BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口150aGが形成されている。
【0170】
また透明絶縁材料128B(図18)は、下地透明絶縁材料開口148aR1の+Z方向側において、透明絶縁材料表面128BSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口148aR1の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料128BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口150aR1が形成されている。
【0171】
さらに透明絶縁材料128B(図17)は、下地透明絶縁材料開口148cBの+Z方向側において、透明絶縁材料表面128BSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口148cBの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料128BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口150cBが形成されている。
【0172】
このような下地透明絶縁材料開口148aGと透明絶縁材料開口150aGとにより第1の薄膜層開口152aGが形成されている。第1の薄膜層開口152aGは、第1の薄膜層120Bの+Z方向側の上面(以下ではこれを第1の薄膜層上面120BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(第1の薄膜層下面120BS2)にかけて形成されており、内部にアノードピラー142aGが形成されている。また下地透明絶縁材料開口148aR1と透明絶縁材料開口150aR1とにより第1の薄膜層開口152aR1が形成されている。第1の薄膜層開口152aR1は、第1の薄膜層上面120BS1から第1の薄膜層下面120BS2にかけて形成されており、内部にアノードピラー142aR1が形成されている。さらに下地透明絶縁材料開口148cBと透明絶縁材料開口150cBとにより第1の薄膜層開口152cBが形成されている。第1の薄膜層開口152cBは、第1の薄膜層上面120BS1から第1の薄膜層下面120BS2にかけて形成されており、内部にカソードピラー140cBが形成されている。
【0173】
また第1の薄膜層120Bは、第1の薄膜層上面120BS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層120Bでは、透明絶縁材料表面128BS、アノードピラー上面142aGS1及び142aR1S1並びにカソードピラー上面140cBS1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面128BS、アノードピラー上面142aGS1、アノードピラー上面142aR1S1及びカソードピラー上面140cBS1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0174】
具体的に第1の薄膜層120Bでは、第1の薄膜層上面120BS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面128BS、アノードピラー上面142aGS1、アノードピラー上面142aR1S1及びカソードピラー上面140cBS1における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0175】
さらに第1の薄膜層120Bは、第1の薄膜層下面120BS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層120Bでは、下地透明絶縁材料下面126BS2、アノードピラー下面142aGS2及び142aR1S2、アノードパッド表面144BS、並びに引出配線136aB及び136cBの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面126BS2、アノードピラー下面142aGS2及び142aR1S2、アノードパッド表面144BS、並びに引出配線136aB及び136cBの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0176】
具体的に第1の薄膜層120Bでは、第1の薄膜層下面120BS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面126BS2、アノードピラー下面142aGS2及び142aR1S2、アノードパッド表面144BS、並びに引出配線136aB及び136cBの下面における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0177】
[2-4-2.第2の薄膜層の構成]
図17及び図18と、図7と対応する部材に同一符号を付した図20とに示すように、第2の薄膜層120Gは、下地透明絶縁材料126G、透明絶縁材料128G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線136aG及び136cG、層間絶縁膜138aG及び138cG、アノードピラー142aR2、アノードパッド144G並びにカソードピラー140cGにより構成されている。
【0178】
下地透明絶縁材料126Gは、下地透明絶縁材料126Bと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Gが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料126Gは、AA断面方向Da(図17)に関して、画素部108における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層120Bにおけるそれぞれ第1の薄膜層開口152aG及び152cGとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料126Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面126GS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面126GS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料126GをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口148G及び148cGがそれぞれ形成されている。
【0179】
また下地透明絶縁材料126Gは、BB断面方向Db(図18)に関して、画素部108における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層120Bにおける第1の薄膜層開口152aR1とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面126GS1から下地透明絶縁材料下面126GS2までに亘って下地透明絶縁材料126GをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口148aR2が形成されている。
【0180】
薄膜LED30Gは、AA断面方向Daに関し画素部108における中央部に配されるものの、画素部108における中央部から-X+Y方向側に位置ずれして配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料128G内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Gの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Gは、例えばGaP系材料により形成された、緑色の光を発するLEDである。アノード電極32Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0181】
引出配線136aG(図17)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Gにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド144Gとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜138aGは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線136aGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線136aGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜138aGは、引出配線136aGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0182】
引出配線136cG(図17)は、引出配線136aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極34Gにおける+Z方向側の面(上面)とカソードピラー140cGとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜138cGは、層間絶縁膜138aGと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線136cGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線136cGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜138cGは、引出配線136cGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0183】
上述したアノード電極32G、カソード電極34G、引出配線136aG及び136cGは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜138aG及び138cGは、薄膜LED30B及び30Gが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0184】
アノードピラー142aR2(図18)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層120Bのアノードピラー142aR1とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Rの一部分を構成している。具体的にアノードピラー142aR2は、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属146aPLG上(+Z方向側)に該コンタクト金属146aPLGと一体化して形成されている。またアノードピラー142aR2は、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属146aPLG上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するカソードピラー140cGにおいても同様であり、カソードピラー140cG(図17)は、コンタクト金属146cG上(+Z方向側)に該コンタクト金属146cGと一体化して形成されている。このアノードピラー142aR2は、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面142aR2S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料128Gから露出させている。またアノードピラー142aR2は、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー下面142aR2S2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料126Gから露出させている。
【0185】
アノードパッド144G(図17)は、アノードピラー142aR2と同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層120Bのアノードピラー142aGとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Gの一部分を構成している。このアノードパッド144Gは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードパッド表面144GSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料126Gから露出させている。
【0186】
カソードピラー140cG(図17)は、アノードピラー142aR2と同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層120Bのカソードピラー140cBとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Cの一部分を構成している。このカソードピラー140cGは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面140cGS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料128Gから露出させている。またカソードピラー140cGは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー下面140cGS2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料126Gから露出させている。
【0187】
透明絶縁材料128Gは、例えば、下地透明絶縁材料126Gと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30B及び30Gが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料128Gは、アノードピラー142aR2及びカソードピラー140cGを除いた、下地透明絶縁材料126G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線136aG及び136cG、層間絶縁膜138aG及び138cG並びにアノードパッド144Gを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線136aG及び136cG、層間絶縁膜138aG及び138cG並びにアノードパッド144Gを、下地透明絶縁材料126Gとの間において内部に埋め込んでいる。
【0188】
この透明絶縁材料128G(図18)は、下地透明絶縁材料開口148aR2の+Z方向側において、透明絶縁材料128Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面128GSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口148aR2の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料128GをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口150aR2が形成されている。
【0189】
また透明絶縁材料128G(図17)は、下地透明絶縁材料開口148cGの+Z方向側において、透明絶縁材料表面128GSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口148cGの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料128GをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口150cGが形成されている。
【0190】
このような下地透明絶縁材料開口148aR2と透明絶縁材料開口150aR2とにより第2の薄膜層開口152aR2が形成されている。第2の薄膜層開口152aR2は、第2の薄膜層120Gの+Z方向側の上面(以下ではこれを第2の薄膜層上面120GS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(以下ではこれを第2の薄膜層下面120GS2とも呼ぶ)にかけて形成されており、内部にアノードピラー142aR2が形成されている。また下地透明絶縁材料開口148cGと透明絶縁材料開口150cGとにより第2の薄膜層開口152cGが形成されている。第2の薄膜層開口152cGは、第2の薄膜層上面120GS1から第2の薄膜層下面120GS2にかけて形成されており、内部にカソードピラー140cGが形成されている。
【0191】
また第2の薄膜層120Gは、第2の薄膜層上面120GS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層120Gでは、透明絶縁材料表面128GS、アノードピラー上面142aR2S1及びカソードピラー上面140cGS1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面128GS、アノードピラー上面142aR2S1及びカソードピラー上面140cGS1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0192】
具体的に第2の薄膜層120Gでは、第2の薄膜層上面120GS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面128GS、アノードピラー上面142aR2S1及びカソードピラー上面140cGS1における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0193】
さらに第2の薄膜層120Gは、第2の薄膜層下面120GS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層120Gでは、下地透明絶縁材料下面126GS2、アノードピラー下面142aR2S2、アノードパッド表面144GS、カソードピラー下面140cGS2、並びに引出配線136aG及び136cGの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面126GS2、アノードピラー下面142aR2S2、アノードパッド表面144GS、カソードピラー下面140cGS2、並びに引出配線136aG及び136cGの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0194】
具体的に第2の薄膜層120Gでは、第2の薄膜層下面120GS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面126GS2、アノードピラー下面142aR2S2、アノードパッド表面144GS、カソードピラー下面140cGS2、並びに引出配線136aG及び136cGの下面における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0195】
[2-4-3.第3の薄膜層の構成]
図17及び図18と、図8と対応する部材に同一符号を付した図21に示すように、第3の薄膜層120Rは、下地透明絶縁材料126R、透明絶縁材料128R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極134R、引出配線136aR、層間絶縁膜138aR及びアノードパッド144Rにより構成されている。
【0196】
下地透明絶縁材料126Rは、下地透明絶縁材料126Bと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30B、30G及び30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料126Rは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部108における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層120Gにおける第2の薄膜層開口152cGとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料126Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面126RS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面126RS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料126RをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口148cRが形成されている。下地透明絶縁材料開口148cRは、内部にカソード電極134Rが形成されている。この下地透明絶縁材料開口148cRは、XY方向に関し下地透明絶縁材料開口48cR(図5)よりも大きく形成されている。
【0197】
また下地透明絶縁材料126Rは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部108における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層120Gにおける第2の薄膜層開口152aR2とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面126RS1から下地透明絶縁材料下面126RS2までに亘って下地透明絶縁材料126RをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口148Rが形成されている。
【0198】
薄膜LED30Rは、BB断面方向Dbに関し画素部108における中央部に配されるものの、画素部108における中央部から-X-Y方向側に位置ずれして配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料128R内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Rの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Rは、例えばGaAs系材料等のIII-V族化合物半導体材料により形成された、赤色の光を発する四元LEDである。アノード電極32Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極134Rは、薄膜LED30Rの-Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0199】
引出配線136aR(図5)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Rにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド144Rとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜138aRは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線136aRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線136aRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜138aRは、引出配線136aRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0200】
カソード電極134Rは、第2の薄膜層120Gのカソードピラー140cGとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Cの一部分を構成している。またカソード電極134Rは、XY方向に関しカソード電極34R(図8)よりも大きく形成されている。このカソード電極134Rは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソード電極表面134RSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料126Rから露出させている。
【0201】
上述したアノード電極32R、カソード電極134R及び引出配線136aRは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜138aRは、薄膜LED30B、30G及び30Rが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0202】
アノードパッド144R(図8)は、金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第2の薄膜層120Gのアノードピラー142aR2とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線122Rの一部分を構成している。このアノードパッド144Rは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードパッド表面144RSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料126Rから露出させている。
【0203】
透明絶縁材料128Rは、例えば、下地透明絶縁材料126Rと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30B、30G及び30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料128Rは、下地透明絶縁材料126R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極134R、引出配線136aR、層間絶縁膜138aR及びアノードパッド144Rを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極134R、引出配線136aR、層間絶縁膜138aR及びアノードパッド144Rを、下地透明絶縁材料126Rとの間において内部に埋め込んでいる。
【0204】
また第3の薄膜層120Rは、第3の薄膜層下面120RS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第3の薄膜層120Rでは、下地透明絶縁材料下面126RS2、アノードパッド表面144RS、カソード電極表面134RS、及び引出配線136aRの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面126RS2、アノードパッド表面144RS、カソード電極表面134RS、及び引出配線136aRの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0205】
具体的に第3の薄膜層120Rでは、第3の薄膜層下面120RS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面126RS2、アノードパッド表面144RS、カソード電極表面134RS、及び引出配線136aRの下面における表面粗さPpvが何れも10[nm]以下となっている。また以下では、引出配線136aB、136aG、136aR、136cB及び136cGをまとめて、引出配線136とも呼ぶ。
【0206】
[2-5.薄膜層及び回路基板の接続関係]
[2-5-1.回路基板及び薄膜層の物理的接続関係]
回路基板110の基板表面10Sと、第1の薄膜層120Bの第1の薄膜層下面120BS2とは、分子間力により物理的に接合されている。また、第1の薄膜層120Bの第1の薄膜層上面120BS1と、第2の薄膜層120Gの第2の薄膜層下面120GS2とは、分子間力により物理的に接合されている。さらに、第2の薄膜層120Gの第2の薄膜層上面120GS1と、第3の薄膜層120Rの第3の薄膜層下面120RS2とは、分子間力により物理的に接合されている。
【0207】
このようにLEDディスプレイ表示部102においては、それぞれ、基板表面10Sと第1の薄膜層下面120BS2と、第1の薄膜層上面120BS1と第2の薄膜層下面120GS2と、第2の薄膜層上面120GS1と第3の薄膜層下面120RS2とが、金属接合ではなく、分子間力接合されている。
【0208】
[2-5-2.回路基板及び薄膜層の電気的接続関係]
接続パッド112B(図18)は、接続パッド表面112BSが第1の薄膜層120Bのアノードパッド144Bのアノードパッド表面144BSに分子間力により物理的に接合されており、導電経路Rbaのように、アノードパッド144B及び引出配線136aBを介し薄膜LED30Bのアノード電極32Bに電気的に接続されている。
【0209】
接続パッド112G(図17)は、接続パッド表面112GSが第1の薄膜層120Bのアノードピラー142aGのアノードピラー下面142aGS2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー142aGは、アノードピラー上面142aGS1が第2の薄膜層120Gのアノードパッド144Gのアノードパッド表面144GSに分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド144Gは、引出配線136aGと物理的に接触している。このため接続パッド112Gは、導電経路Rgaのように、アノードピラー142aG、アノードパッド144G及び引出配線136aGを介し薄膜LED30Gのアノード電極32Gに電気的に接続されている。
【0210】
接続パッド112R(図18)は、接続パッド表面112RSが第1の薄膜層120Bのアノードピラー142aR1のアノードピラー下面142aR1S2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー142aR1は、アノードピラー上面142aR1S1が第2の薄膜層120Gのアノードピラー142aR2のアノードピラー下面142aR2S2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー142aR2は、アノードピラー上面142aR2S1が第3の薄膜層120Rのアノードパッド144Rのアノードパッド表面144RSに分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド144Rは、引出配線136aRと物理的に接触している。このため接続パッド112Rは、導電経路Rraのように、アノードピラー142aR1、アノードピラー142aR2、アノードパッド144R及び引出配線136aRを介し薄膜LED30Rのアノード電極32Rに電気的に接続されている。
【0211】
接続パッド112C(図17)は、接続パッド表面112CSが第1の薄膜層120Bのカソードピラー140cGのカソードピラー下面140cGS2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー140cGは、カソードピラー上面140cGS1が第2の薄膜層120Gのカソードピラー140cGのカソードピラー下面140cGS2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー140cGは、カソードピラー上面140cGS1が第3の薄膜層120Rのカソード電極134Rのカソード電極表面134RSに分子間力により物理的に接合されている。カソード電極134Rは、薄膜LED30Rと物理的に接触している。このため、カソード電極134Rは、導電経路Rcのように、カソードピラー140cG、コンタクト金属146cG、カソードピラー140cB、コンタクト金属146cB及び接続パッド112Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0212】
また引出配線136cGは、コンタクト金属146cGと物理的に接触している。このため、カソード電極134Gは、導電経路Rcのように、引出配線136cG、コンタクト金属146cG、カソードピラー140cB、コンタクト金属146cB及び接続パッド112Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0213】
さらに引出配線136cBは、コンタクト金属146cBと物理的に接触している。このため、カソード電極134Bは、導電経路Rcのように、引出配線136cB、コンタクト金属146cB及び接続パッド112Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。カソード共通配線は、他の画素部108の垂直方向配線122Cにも電気的に接続されており、駆動ドライバ6の共通カソード接続端子(コモン端子)にも接続されている。
【0214】
[2-6.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
次に、LEDディスプレイ装置101におけるLEDディスプレイ表示部102の製造方法の一例を、それぞれ図9図10図11及び図12と対応する部材に同一符号を付した図22図23図24及び図25を用いて説明する。因みに、図22図23図24及び図25は、何れも+Z方向を上方向に向けた状態を表す模式的な断面図となっている。説明の都合上、ここでは、+Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0215】
[2-6-1.第1の薄膜層の製造方法]
まず、第1の薄膜層120Bの製造方法について、図22を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図22(A)に示すように、所定のLED成長基板162Bの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層166Bを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板162Bとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0216】
次に製造装置60は、図22(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層166BをLED成長基板162Bから分離する。分離した薄膜LED層166Bは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0217】
次に製造装置60は、図22(C)に示すように、第1の薄膜層120Bの形成基板168Bに、犠牲層170B及び下地透明絶縁材料126Bを順次製膜し、薄膜LED層166Bを分子間力により下地透明絶縁材料126Bに接合する。このとき、犠牲層170B及び下地透明絶縁材料126Bの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0218】
次に製造装置60は、図22(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層166Bをエッチングすることにより、薄膜LED30Bを形成すると共に、下地透明絶縁材料126Bの下地透明絶縁材料開口148aG、148cB、148aR1(図18)及び148B(図18)のパターニングを行う。
【0219】
次に製造装置60は、図22(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30B及び下地透明絶縁材料126Bの上に、アノード電極32B、カソード電極34B、層間絶縁膜138cB及び138aB(図18)、引出配線136cB及び136aB並びにコンタクト金属146aPL1B、146cB、146aPL2B(図18)及び146aPDB(図18)を形成する。
【0220】
次に製造装置60は、図22(F)に示すように、透明絶縁材料128Bにより埋め込みを行い該透明絶縁材料128Bに透明絶縁材料開口150aG、150cB及び150aR1(図18)のパターニングを行った後に、メッキ法により、透明絶縁材料開口150aG、150cB及び150aR1(図18)から露出しているコンタクト金属146aPL1B、146cB及び146aPL2B(図18)上に、アノードピラー142aG、カソードピラー140cB及びアノードピラー142aR1(図18)を形成する。またコンタクト金属146aPDB(図18)は、アノードパッド144Bとなる。
【0221】
次に製造装置60は、図22(G)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料128B、アノードピラー142aG、カソードピラー140cB及びアノードピラー142aR1(図18)の上面を平坦化することにより、アノードピラー142aG及び142aR1(図18)の上面にそれぞれアノードピラー上面142aGS1及び142aR1S1(図5)を、カソードピラー140cBの上面にカソードピラー上面140cBS1を、透明絶縁材料128Bの上面から露出するように形成する。
【0222】
[2-6-2.第2の薄膜層の製造方法]
次に、第2の薄膜層120Gの製造方法について、図23を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図23(A)に示すように、所定のLED成長基板162Gの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層166Gを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板162Gとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0223】
次に製造装置60は、図23(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層166GをLED成長基板162Gから分離する。分離した薄膜LED層166Gは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0224】
次に製造装置60は、図23(C)に示すように、第2の薄膜層120Gの形成基板168Gに、犠牲層170G及び下地透明絶縁材料126Gを順次製膜し、薄膜LED層166Gを分子間力により下地透明絶縁材料126Gに接合する。このとき、犠牲層170G及び下地透明絶縁材料126Gの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0225】
次に製造装置60は、図23(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層166Gをエッチングすることにより、薄膜LED30Gを形成すると共に、下地透明絶縁材料126Gの下地透明絶縁材料開口148G、148cG及び148aR2(図18)のパターニングを行う。
【0226】
次に製造装置60は、図23(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30G及び下地透明絶縁材料126Gの上に、アノード電極32G、カソード電極34G、層間絶縁膜138cG及び138aG、引出配線136cG及び136aG並びにコンタクト金属146aPDG、146cG及び146aPLG(図18)を形成する。
【0227】
次に製造装置60は、図23(F)に示すように、透明絶縁材料128Gにより埋め込みを行い該透明絶縁材料128Gに透明絶縁材料開口150cG及び150aR2(図18)のパターニングを行った後に、メッキ法により、透明絶縁材料開口150cG及び150aR2(図18)から露出しているコンタクト金属146cG及び146aPLG(図18)上に、カソードピラー140cG及びアノードピラー142aR2(図18)を形成する。またコンタクト金属146aPDGは、アノードパッド144Gとなる。
【0228】
次に製造装置60は、図23(G)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料128G、カソードピラー140cG及びアノードピラー142aR2(図18)の上面を平坦化することにより、カソードピラー140cG及びアノードピラー142aR2(図18)の上面にそれぞれカソードピラー上面140cGS1及びアノードピラー上面142aR2S1を、透明絶縁材料128Gの上面から露出するように形成する。
【0229】
[2-6-3.第3の薄膜層の製造方法]
次に、第3の薄膜層120Rの製造方法について、図24を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図24(A)に示すように、所定のLED成長基板162Rの上側、すなわち+Z方向側に、格子整合がされた犠牲層164Rを形成し、さらにその上側に薄膜LED層166Rを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板162RとしてGaAsが、犠牲層164RとしてAlを含むGaAs等の材料が一例として使用される。
【0230】
次に製造装置60は、図24(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層164Rをエッチングして除去することにより、薄膜LED層166RをLED成長基板162Rから分離する。分離した薄膜LED層166Rは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0231】
次に製造装置60は、図24(C)に示すように、第3の薄膜層120Rの形成基板168Rに、犠牲層170R及び下地透明絶縁材料126Rを順次製膜し、エッチング処理により下地透明絶縁材料126Rの下地透明絶縁材料開口148cR及び148G(図18)のパターニングを行う。
【0232】
次に製造装置60は、図24(D)に示すように、メッキ法により、下地透明絶縁材料開口148cRにカソード電極134Rを形成する。
【0233】
次に製造装置60は、図24(E)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、下地透明絶縁材料126R及びカソード電極134Rの上面を平坦化することにより、カソード電極134Rの上面を透明絶縁材料128Rの上面から露出するように形成する。続いて製造装置60は、薄膜LED層166Rを分子間力により下地透明絶縁材料126Rに接合する。
【0234】
次に製造装置60は、図24(F)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層166Rをエッチングすることにより、薄膜LED30Rを形成すると共に、下地透明絶縁材料126Rの下地透明絶縁材料開口148R(図18)のパターニングを行う。
【0235】
次に製造装置60は、図24(G)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30R及び下地透明絶縁材料126Rの上に、アノード電極32R、層間絶縁膜138aR(図18)、引出配線136aR及びコンタクト金属146aPDR(図18)を形成する。またコンタクト金属146aPDR(図18)は、アノードパッド144Rとなる。
【0236】
次に製造装置60は、図24(H)に示すように、透明絶縁材料128Rにより埋め込みを行う。製造装置60は、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料128Rの上面を平坦化しても良い。
【0237】
[2-6-4.積層接合の工程]
次に、上述した製造方法により製造された第1の薄膜層120B、第2の薄膜層120G及び第3の薄膜層120Rを、回路基板110に積層させる積層接合の工程について、図12と対応する部材に同一符号を付した図25を参照しながら説明する。
【0238】
まず製造装置60は、図25(A)に示すように、エッチング処理により犠牲層170B(図22)をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層120Bを形成基板168Bから分離する。これにより、アノードピラー下面142aGS2、カソードピラー下面140cBS2、アノードピラー下面142aR1S2(図18)、アノードパッド表面144BS(図18)が、下地透明絶縁材料下面126BS2から露出する。これら
アノードピラー下面142aGS2、カソードピラー下面140cBS2、アノードピラー下面142aR1S2(図18)、アノードパッド表面144BS(図18)は、犠牲層170B(図22)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第1の薄膜層120Bを公知のボンディング方法により、回路基板110の上面に分子間力により接合する。
【0239】
次に製造装置60は、図25(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層170G(図23)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層120Gを形成基板168Gから分離する。これにより、カソードピラー下面140cGS2、アノードパッド表面144GS及びアノードピラー下面142aR2S2(図18)が、下地透明絶縁材料下面126GS2から露出する。これらカソードピラー下面140cGS2、アノードパッド表面144GS及びアノードピラー下面142aR2S2(図18)は、犠牲層170G(図22)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第2の薄膜層120Gを公知のボンディング方法により、図25(A)で回路基板110に接合させた第1の薄膜層120Bの上面に分子間力により接合する。
【0240】
次に製造装置60は、図25(C)に示すように、エッチング処理により犠牲層170R(図24)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層120Rを形成基板168Rから分離する。これにより、カソード電極表面134RS及びアノードパッド表面144RS(図18)が、下地透明絶縁材料下面126RS2から露出する。これらカソード電極表面134RS及びアノードパッド表面144RS(図18)は、犠牲層170R(図24)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第3の薄膜層120Rを公知のボンディング方法により、図25(B)で第1の薄膜層120Bに接合させた第2の薄膜層120Gの上面に分子間力により接合する。
【0241】
[2-7.LEDディスプレイ表示部の発光の様子]
図26及び図27に示すように、LEDディスプレイ表示部102が発光すると、薄膜LED30GがGaP基板で構成されておりEg=2.2[eV]に相当する564[nm](緑色)よりも短い波長を吸収するため、第2の薄膜層120Gに向かって出射された青色光LBは、薄膜LED30Gによって吸収される。また、薄膜LED30RがGaAs基板で構成されておりEg=1.9[eV]に相当する660[nm](赤色)よりも短い波長を吸収するため、第3の薄膜層120Rに向かって出射された青色光LBは、薄膜LED30Rで吸収される。さらに、第3の薄膜層120Rに向かって出射された青色光LBは、カソード電極134Rで反射される。一方、第2の薄膜層120Gにおける薄膜LED30G以外の箇所と、第3の薄膜層120Rにおける薄膜LED30R以外の箇所とは、青色光LBの波長に対し透明であるため、青色光LBは、第2の薄膜層120Gにおける薄膜LED30G以外の箇所と、第3の薄膜層120Rにおける薄膜LED30R以外の箇所とを透過する。
【0242】
また、薄膜LED30RがGaAs基板で構成されておりEg=1.9[eV]に相当する660[nm](赤色)よりも短い波長を吸収するため、第3の薄膜層120Rに向かって出射された緑色光LGは、薄膜LED30Rで吸収される。さらに、第3の薄膜層120Rに向かって出射された緑色光LGは、カソード電極134Rで反射される。一方、第3の薄膜層120Rにおける薄膜LED30R及びカソード電極134R以外の箇所は、緑色光LGの波長に対し透明であるため、緑色光LGは、第3の薄膜層120Rにおける薄膜LED30R及びカソード電極134R以外の箇所を透過する。
【0243】
さらに、第3の薄膜層120Rにおける薄膜LED30R以外の箇所は、薄膜LED30Rから発せられた赤色光LRの波長に対し透明であるため、赤色光LRは、第3の薄膜層120Rにおける薄膜LED30R以外の箇所を透過する。
【0244】
本実施の形態による画素部108は、薄膜LED30Rの中心に対し、薄膜LED30Gが、その中心を+Y方向側に位置ずれさせた状態で(すなわちオフセットさせた状態で)配されている。このため第3の薄膜層120Rは、緑色光LGのうち薄膜LED30Rに向かって来た一部の光は薄膜LED30Rによって吸収すると共にカソード電極134Rに向かって来た一部の光はカソード電極134Rによって反射するものの、緑色光LGのうち薄膜LED30R及びカソード電極134R以外の箇所に向かって来た緑色光LGは透過させ、+Z方向へ向かわせる。
【0245】
また画素部108は、薄膜LED30Bが、その中心をそれぞれ薄膜LED30Rの中心に対し+X+Y方向側に、薄膜LED30Gの中心に対し+X-Y方向側に位置ずれさせた状態で(すなわちオフセットさせた状態で)配されている。このため第3の薄膜層120R及び第2の薄膜層120Gは、青色光LBのうち薄膜LED30R又は30Gに向かって来た一部の光は薄膜LED30R又は30Gによって吸収すると共にカソード電極134Rに向かって来た一部の光はカソード電極134Rによって反射するものの、青色光LBのうち薄膜LED30R及び30G並びにカソード電極134R以外の箇所に向かって来た青色光LBは透過させ、+Z方向へ向かわせる。
【0246】
なお図26及び図27においては説明に必要な部材以外の部材は説明の都合上適宜省略する。
【0247】
[2-8.薄膜層の重複の様子]
ここで、+Z方向側から発光方向Deに沿って画素部108を見たとき、図14(A)と対応する部材に同一符号を付した図28(A)に示すように、最も+Z方向側に位置する薄膜LED30Rが、該薄膜LED30Rよりも-Z方向側に位置する薄膜LED30G及び薄膜LED30Bの両方と重複する、ハッチングを付した領域を、光吸収領域ARaと呼ぶ。また、+Z方向側から発光方向Deに沿って画素部108を見たとき、図14(B)と対応する部材に同一符号を付した図28(B)に示すように、薄膜LED30Rよりも-Z方向側に位置する薄膜LED30Gと薄膜LED30Bとが重なる、ハッチングを付した領域を、光透過領域ARtと呼ぶ。本実施の形態による画素部108は、光吸収領域ARa(図28(A))が、光透過領域ARt(図28(B))よりも小さくなるように、薄膜LED30B、30G及び30Rが配置されている。
【0248】
[2-9.効果]
以上の構成において第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置101は、第1の薄膜層120Bの薄膜LED30B、第2の薄膜層120Gの薄膜LED30G及び第3の薄膜層120Rの薄膜LED30Rの順番に積層することにより、最上層に薄膜LED30Rを配置するようにした。またLEDディスプレイ装置101は、薄膜LED30R、30G及び30Bを互いにオフセットさせて配置するようにした。
【0249】
このためLEDディスプレイ装置101は、薄膜LED30B、30G及び30Rを互いの中心を一致させた状態で配置する場合と比較して、+Z方向へ向かう青色光LBの経路から薄膜LED30G及び30Rの少なくとも一部分を退避させ、薄膜LED30Rによって吸収されずにLEDディスプレイ装置101の外部へ出射される青色光LBを増加させることができる。またLEDディスプレイ装置101は、+Z方向へ向かう緑色光LGの経路から薄膜LED30Rの少なくとも一部分を退避させ、薄膜LED30Rによって吸収されずにLEDディスプレイ装置101の外部へ出射される緑色光LGを増加させることができる。
【0250】
またLEDディスプレイ装置101は、第3の薄膜層120Rにおいて薄膜LED30Rよりも回路基板110側に、薄膜LED30Rと回路基板110とを電気的に導通すると共に、薄膜LED30Rが発光した赤色光LRを反射するカソード電極134Rを設けるようにした。さらにLEDディスプレイ装置101は、LEDディスプレイ装置1のカソード電極34R(図8)と比較して、カソード電極134R(図21)を大きくするようにした。このためLEDディスプレイ装置101は、赤色光LRを反射して+Z方向へ向かわせることができ、薄膜LED30Rの発光効率の低さを補い、効率良く赤色光LRを外部に出射させることができる。カソード電極134Rは、大きくなる程、赤色光LRをより多く反射できるものの、青色光LB及び緑色光LGを-Z方向側へ反射させてLEDディスプレイ装置101へは出射させないようになる。
【0251】
その他、第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置101は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0252】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1と、図2と対応する部材に同一符号を付した図29とに示すように、第3の実施の形態によるLEDディスプレイ装置201は、LEDディスプレイ装置1と比較して、LEDディスプレイ表示部202がLEDディスプレイ表示部2と相違するものの、他の点については同様に構成されている。LEDディスプレイ表示部202は、アクティブマトリクス回路基板である回路基板210上にマトリクス状に無機発光ダイオード(LED)を含む素子をピクセル(1画素)として配列した表示装置である。
【0253】
[3-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
LEDディスプレイ表示部202は、図4及び図5と対応する部材に同一符号を付した図31及び図32に示すように、平板状の回路基板210における+Z方向側の表面(以下ではこれを基板表面10Sとも呼ぶ)に設定された表示領域内に、第1の薄膜層220B、第2の薄膜層220R及び第3の薄膜層220Gの3つの薄膜層からなる薄膜層群218が積層された構成となっている。以下では、第1の薄膜層220B、第2の薄膜層220R及び第3の薄膜層220Gをまとめて、薄膜層220とも呼ぶ。それぞれの薄膜層220は、発光素子が格子状に並んだフィルム形状であり、そのフィルムサイズは、第1の実施の形態による薄膜層20と同様となっている。
【0254】
以下では、LEDディスプレイ表示部202における回路基板210及び薄膜層群218のうち、1画素分の領域である画素部208について説明する。また以下では、アノード端子に関わる部材の符号の末尾には「A」を付し、第1の薄膜層220Bの薄膜LED30Bに関わる部材の符号の末尾には「B」を付し、第2の薄膜層220Rの薄膜LED30Rに関わる部材の符号の末尾には「R」を付し、第3の薄膜層220Gの薄膜LED30Gに関わる部材の符号の末尾には「G」を付す。
【0255】
[3-3.回路基板の構成]
図3と対応する部材に同一符号を付した図30と、図31及び図32とに示すように、回路基板210は、シリコンプロセスにより製造されたCMOSバックプレーン回路基板である。第3の実施の形態による回路基板210は、回路基板10と比較して、接続パッド212(接続パッド212R、212G、212B及び212A)並びにアクティブ素子214(アクティブ素子214R、214G及び214B)が接続パッド12(接続パッド12R、12G、12B及び12C)並びにアクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G及び14B)と相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0256】
接続パッド212(接続パッド212R、212G、212B及び212A)は、基板表面10Sにおいてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、接続パッド212R、212G、212B及び212Aをまとめて接続パッド212とも呼ぶ。この接続パッド212は、1画素に対応しており、4個の接続パッド212R、212G、212B及び212Aにより、接続パッド組212Tが構成されている。接続パッド組212Tは、接続パッド212R、212G、212B及び212Aの外接矩形よりも内側(すなわち画素エリア内)に、発光部224(図29)が位置するように配置されている。
【0257】
接続パッド212Rは、導電性を有する材料でなり、+Z方向側から見た際に例えば正方形状であり、接続パッド組212Tのうちの+X+Y方向側に位置している。また接続パッド212Rは、垂直方向配線222Rにおけるカソードピラー240cRの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド212Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面212RSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド212Rは、回路基板210の内部においてアクティブ素子214Rと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面212RSが第1の薄膜層220Bにおけるカソードピラー240cRの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをカソードピラー下面240cRS2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0258】
接続パッド212Gは、接続パッド212Rと同様に構成されており、接続パッド組212Tのうちの+X-Y方向側に位置している。また接続パッド212Gは、垂直方向配線222G(すなわちカソードピラー240cG1)の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド212Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面212GSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド212Gは、回路基板210の内部においてアクティブ素子214Gと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面212GSが第1の薄膜層220Bにおけるカソードピラー240cG1の-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをカソードピラー下面240cG1S2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0259】
接続パッド212Bは、接続パッド212Rと同様に構成されており、接続パッド組212Tのうちの-X+Y方向側に位置している。また接続パッド212Bは、垂直方向配線222Bにおけるカソード電極234Bの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド212Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面212GSとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド212Bは、回路基板210の内部においてアクティブ素子214Bと電気的に接続されていると共に、接続パッド表面212BSが第1の薄膜層220Bにおけるカソード電極234Bの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをカソード電極表面234BSとも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0260】
接続パッド212Aは、接続パッド212Rと同様に構成されており、接続パッド組212Tのうちの-X-Y方向側に位置している。また接続パッド212Aは、垂直方向配線222Aにおけるアノードピラー242aBの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、接続パッド212Aの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを接続パッド表面212ASとも呼ぶ)を露出させている。さらに接続パッド212Aは、回路基板210の内部において配線層16のアノード共通配線と電気的に接続されていると共に、接続パッド表面212ASが第1の薄膜層220Bにおけるアノードピラー242aBの-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれをアノードピラー下面242aBS2とも呼ぶ)に接触しており、電気的に接続されている。
【0261】
アクティブ素子214(アクティブ素子214R、214G及び214B)は、回路基板210内部においてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、アクティブ素子214R、214G、及び214Bをまとめてアクティブ素子214とも呼ぶ。
【0262】
アクティブ素子214Rは、2個のMOSトランジスタと1個のコンデンサとにより構成されており、接続パッド212Rの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。アクティブ素子214G及び214Bは、アクティブ素子214Rと同様に構成されており、それぞれ接続パッド212G及び212Bの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。
【0263】
配線層16内部の配線は、詳細には図示されないが、マトリクス状(すなわち格子状)に配置されており、アクティブ素子214(アクティブ素子214R、214G及び214B)並びに接続パッド212(212R、212G、212B及び212A)と適宜電気的に接続されていると共に、駆動ドライバ6と電気的に接続されている。
【0264】
回路基板210は、基板表面10Sが極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち回路基板210では、絶縁層11の上面である絶縁層表面11S、接続パッド表面212RS、接続パッド表面212GS、接続パッド表面212BS及び接続パッド表面212ASが何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面212RS、接続パッド表面212GS、接続パッド表面212BS及び接続パッド表面212ASは、それぞれ同一平面上に位置している。
【0265】
具体的に回路基板210では、基板表面10Sの表面粗さ、すなわち、絶縁層表面11S、接続パッド表面212RS、接続パッド表面212GS、接続パッド表面212BS及び接続パッド表面212ASにおける表面粗さ(ラフネス、表面最大段差とも呼ぶ)Rpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0266】
[3-4.薄膜層群の構成]
図31及び図32に示すように、薄膜層群218は、第1の薄膜層220B、第2の薄膜層220R及び第3の薄膜層220Gの3つの薄膜層220が、-Z方向から+Z方向へ向かって積層されている。薄膜層群218は、回路基板210上に分子間力により物理的に接合されると共に、該回路基板210と電気的にも接続されている。
【0267】
薄膜層群218には、LEDディスプレイ表示部202の領域内においてマトリクス状に配列された複数の画素(画素部208)が配置されている。画素部208は、主に、Z方向から見た際に、四隅に配置されアノードやカソードに対応した4つの垂直方向配線222(垂直方向配線222A、222R、222G及び222B)と、垂直方向配線222に囲まれ画素部208の内部に配置される1つの発光部224とにより構成されている。以下では、垂直方向配線222A、222R、222G及び222Bをまとめて、垂直方向配線222とも呼ぶ。
【0268】
垂直方向配線222Aは、導電性を有する材料でなり、アノードパッド244G、アノードピラー242aR及び242aBにより構成されている。垂直方向配線222Rは、導電性を有する材料でなり、カソードパッド241R及び240cRにより構成されている。垂直方向配線222Gは、導電性を有する材料でなり、カソードパッド241G、カソードピラー240cG2及び240cG1により構成されている。垂直方向配線222Bは、導電性を有する材料でなり、カソード電極234Bにより構成されている。
【0269】
発光部224は、-Z方向側から+Z方向側へ向かって並ぶように薄膜LED30B、30R及び30GがZ方向(発光方向De)から見た際に重複することにより構成されている。本実施の形態においては、薄膜LED30R及び30Gは、互いの中心が一致し、該中心が画素部208の中心(すなわち画素エリアの中央)に位置すると共に、外形の位置におけるX方向及びY方向の位置が一致するように、Z方向に重なっている。また、薄膜LED30Bは、薄膜LED30R及び30Gに対し、中心が-X+Y方向側にずれているものの、一部分が重なっている。
【0270】
回路基板210の内部には、アノード共通配線が設けられている。アノード共通配線は、LEDディスプレイ表示部202の領域外においてX方向及びY方向に沿って直線状に配置されていると共に、X方向に並ぶ複数の発光部224からなる1列の発光部列と、該発光部列に対しY方向に隣接する発光部列との間において、X方向に沿って直線状に配置されている。またこのアノード共通配線は、駆動ドライバ6の共通アノード接続端子に終端している。
【0271】
[3-4-1.第1の薄膜層の構成]
図31及び図32と、図6と対応する部材に同一符号を付した図33とに示すように、第1の薄膜層220Bは、下地透明絶縁材料226B、透明絶縁材料228B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極234B、引出配線236aB、層間絶縁膜238aB、アノードピラー242aB、カソードピラー240cR及び240cG1により構成されている。
【0272】
下地透明絶縁材料226Bは、例えば、SiO、SiNや透明ポリイミド等により構成されており、十分な絶縁性を備えている。この下地透明絶縁材料226Bは、AA断面方向Da(図31)に関して、画素部208における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板210におけるそれぞれ接続パッド212R及び212AとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料226Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面226BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面226BS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料226BをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口248cR及び248aBが形成されている。
【0273】
また下地透明絶縁材料226Bは、BB断面方向Db(図32)に関して、画素部208における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、回路基板210におけるそれぞれ接続パッド212B及び212GとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面226BS1から下地透明絶縁材料下面226BS2までに亘って下地透明絶縁材料226BをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口248cB1及び248cG1が形成されている。下地透明絶縁材料開口248cBは、内部にカソード電極234Bが形成されている。
【0274】
薄膜LED30Bは、AA断面方向Daに関し画素部208における中央部に配されるものの、画素部208における中央部から-X+Y方向側に位置ずれして配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料228B内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Bの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Bは、例えばGaN系材料により形成された、青色の光を発するLEDである。アノード電極32Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極234Bは、薄膜LED30Bの-Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0275】
引出配線236aB(図31)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Bにおける+Z方向側の面(上面)とアノードピラー242aBとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜238aBは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線236aBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線236aBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜238aBは、引出配線236aBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0276】
カソード電極234Bは、接続パッド212BとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Bを構成している。このカソード電極234Bは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソード電極表面234BSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料226Bから露出させている。このカソード電極234Bは、例えば、カソードピラー240cG1と同等の範囲の広さを有している。
【0277】
上述したアノード電極32B、カソード電極234B及び引出配線236aBは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜238aBは、薄膜LED30Bが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0278】
カソードピラー240cR(図31)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、回路基板210の接続パッド212RとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Rの一部分を構成している。具体的にカソードピラー240cRは、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属246cPL1B上(+Z方向側)に該コンタクト金属246cPL1Bと一体化して形成されている。またカソードピラー240cRは、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属246cPL1B上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するアノードピラー242aB及びカソードピラー240cG1においても同様であり、アノードピラー242aB(図31)は、コンタクト金属246aB上(+Z方向側)に該コンタクト金属246aBと一体化して形成されている。カソードピラー240cG1(図32)は、コンタクト金属246cPDG1上(+Z方向側)に該コンタクト金属246cPDG1と一体化して形成されている。このカソードピラー240cRは、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面240cRS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料228Bから露出させている。
【0279】
アノードピラー242aB(図31)は、カソードピラー240cRと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板210の接続パッド212AとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Aの一部分を構成している。このアノードピラー242aBは、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面242aBS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料228Bから露出させている。またアノードピラー242aBは、-Z方向側の面(アノードピラー下面242aBS2)を、下地透明絶縁材料226Bから露出させている。
【0280】
カソードピラー240cG1(図32)は、カソードピラー240cRと同様に導電性を有する材料により構成されており、回路基板210の接続パッド212GとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Gの一部分を構成している。このカソードピラー240cG1は、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面240cG1S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料228Bから露出させている。またカソードピラー240cG1は、-Z方向側の面(カソードピラー下面240cG1S2)を、下地透明絶縁材料226Bから露出させている。
【0281】
透明絶縁材料228Bは、例えば、下地透明絶縁材料226Bと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Bが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料228Bは、アノードピラー242aB、カソードピラー240cR及び240cG1を除いた、下地透明絶縁材料226B、薄膜LED30B、アノード電極32B、引出配線236aB及び層間絶縁膜238aBを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30B、アノード電極32B、引出配線236aB及び層間絶縁膜238aBを、下地透明絶縁材料226Bとの間において内部に埋め込んでいる。
【0282】
この透明絶縁材料228B(図31)は、下地透明絶縁材料開口248cRの+Z方向側において、透明絶縁材料228Bの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面228BSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口248cRの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料228BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口250aRが形成されている。
【0283】
また透明絶縁材料228B(図32)は、下地透明絶縁材料開口248cG1の+Z方向側において、透明絶縁材料表面228BSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口248cG1の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料228BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口250cG1が形成されている。
【0284】
さらに透明絶縁材料228B(図31)は、下地透明絶縁材料開口248aBの+Z方向側において、透明絶縁材料表面228BSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口248aBの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料228BをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口250aBが形成されている。
【0285】
このような下地透明絶縁材料開口248cRと透明絶縁材料開口250cRとにより第1の薄膜層開口252cRが形成されている。第1の薄膜層開口252cRは、第1の薄膜層220Bの+Z方向側の上面(以下ではこれを第1の薄膜層上面220BS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(第1の薄膜層下面220BS2)にかけて形成されており、内部にカソードピラー240cRが形成されている。また下地透明絶縁材料開口248cG1と透明絶縁材料開口250aG1とにより第1の薄膜層開口252aR1が形成されている。第1の薄膜層開口252aR1は、第1の薄膜層上面220BS1から第1の薄膜層下面220BS2にかけて形成されており、内部にカソードピラー240cG1が形成されている。さらに下地透明絶縁材料開口248aBと透明絶縁材料開口250aBとにより第1の薄膜層開口252aBが形成されている。第1の薄膜層開口252aBは、第1の薄膜層上面220BS1から第1の薄膜層下面220BS2にかけて形成されており、内部にアノードピラー242aBが形成されている。
【0286】
また第1の薄膜層220Bは、第1の薄膜層上面220BS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層220Bでは、透明絶縁材料表面228BS、アノードピラー上面242aBS1並びにカソードピラー上面240cRS1及び240cG1S1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面228BS、アノードピラー上面242aBS1並びにカソードピラー上面240cRS1及び240cG1S1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0287】
具体的に第1の薄膜層220Bでは、第1の薄膜層上面220BS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面228BS、アノードピラー上面242aBS1並びにカソードピラー上面240cRS1及び240cG1S1における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0288】
さらに第1の薄膜層220Bは、第1の薄膜層下面220BS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層220Bでは、下地透明絶縁材料下面226BS2、カソード電極表面234BS、アノードピラー下面242aBS2、カソードピラー下面240cRS及び240cG1S2、並びに引出配線236aBの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面226BS2、カソード電極表面234BS、アノードピラー下面242aBS2、カソードピラー下面240cRS2及び240cG1S2、並びに引出配線236aBの-Z方向側の下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0289】
具体的に第1の薄膜層220Bでは、第1の薄膜層下面220BS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面226BS2、カソード電極表面234BS、アノードピラー下面242aBS2、カソードピラー下面240cRS2及び240cG1S2、並びに引出配線236aBの-Z方向側の下面における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0290】
[3-4-2.第2の薄膜層の構成]
図31及び図32と、図7と対応する部材に同一符号を付した図34とに示すように、第2の薄膜層220Rは、下地透明絶縁材料226R、透明絶縁材料228R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極234R、引出配線236aR及び236cR、層間絶縁膜238aR及び238cR、アノードピラー242aR、カソードパッド241R並びにカソードピラー240cG2により構成されている。
【0291】
下地透明絶縁材料226Rは、下地透明絶縁材料226Bと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料226Rは、AA断面方向Da(図31)に関して、画素部208における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層220Bにおけるそれぞれ第1の薄膜層開口252aB及び252cRとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料226Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面226RS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面226RS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料226RをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口248aR及び248Rがそれぞれ形成されている。
【0292】
また下地透明絶縁材料226Rは、BB断面方向Db(図32)に関して、画素部208における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第1の薄膜層220Bにおける第1の薄膜層開口252cR1とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面226RS1から下地透明絶縁材料下面226RS2までに亘って下地透明絶縁材料226RをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口248cR2が形成されている。
【0293】
薄膜LED30Rは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部208における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料228R内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Rの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Rは、例えばGaAs系材料等のIII-V族化合物半導体材料により形成された、赤色の光を発する四元LEDである。アノード電極32Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極234Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側における+X+Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0294】
引出配線236aR(図31)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Rにおける+Z方向側の面(上面)とアノードピラー242aRとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜238aRは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線236aRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線236aRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜238aRは、引出配線236aRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0295】
引出配線236cR(図31)は、引出配線236acRと同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極234Rにおける+Z方向側の面(上面)とカソードパッド241Rとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜238cRは、層間絶縁膜238cRと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線236cRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線236cRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜238cRは、引出配線236cRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0296】
上述したアノード電極32R、カソード電極234R、引出配線236aR及び236cRは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜238aR及び238cRは、薄膜LED30B及び30Rが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0297】
アノードピラー242aR(図31)は、例えば金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層220Bのアノードピラー242aBとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Aの一部分を構成している。具体的にアノードピラー242aRは、プロセス安定化のための金系の金属であるコンタクト金属246aR上(+Z方向側)に該コンタクト金属246aRと一体化して形成されている。またアノードピラー242aRは、銅の拡散防止膜でありコンタクト金属246aR上に形成されたチタン製のバリア層と、バリア層上に形成された銅製のシード金属と、シード金属上に成長充填された銅であるめっき部とにより構成されている。後述するカソードピラー240cG2においても同様であり、カソードピラー240cG2(図32)は、コンタクト金属246cPDG2上(+Z方向側)に該コンタクト金属246cPDG2と一体化して形成されている。このアノードピラー242aRは、+Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー上面242aRS1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料228Rから露出させている。またアノードピラー242aRは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードピラー下面242aRS2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料226Rから露出させている。
【0298】
カソードパッド241R(図31)は、アノードピラー242aRと同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層220Bのカソードピラー240cRとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Rの一部分を構成している。このカソードパッド241Rは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードパッド表面241RSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料226Rから露出させている。
【0299】
カソードピラー240cG2(図32)は、アノードピラー242aRと同様に導電性を有する材料により構成されており、第1の薄膜層220Bのカソードピラー240cG1とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Gの一部分を構成している。このカソードピラー240cG2は、+Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー上面240cG2S1とも呼ぶ)を、透明絶縁材料228Rから露出させている。またカソードピラー240cG2は、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードピラー下面240cG2S2とも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料226Rから露出させている。
【0300】
透明絶縁材料228Rは、例えば、下地透明絶縁材料226Rと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30B及び30Rが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料228Rは、アノードピラー242aR及びカソードピラー240cG2を除いた、下地透明絶縁材料226R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極234R、引出配線236aR及び236cR、層間絶縁膜238aR及び238cR並びにカソードパッド241Rを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極234R、引出配線236aR及び236cR、層間絶縁膜238aR及び238cR並びにカソードパッド241Rを、下地透明絶縁材料226Rとの間において内部に埋め込んでいる。
【0301】
この透明絶縁材料228R(図31)は、下地透明絶縁材料開口248aRの+Z方向側において、透明絶縁材料228Rの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを透明絶縁材料表面228RSとも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口248aRの+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料228RをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口250aRが形成されている。
【0302】
また透明絶縁材料228R(図32)は、下地透明絶縁材料開口248cR2の+Z方向側において、透明絶縁材料表面228RSから-Z方向側の表面(下面)(すなわち下地透明絶縁材料開口248cR2の+Z方向側端部)までに亘って透明絶縁材料228RをZ方向(発光方向De)に貫通する透明絶縁材料開口250cR2が形成されている。
【0303】
このような下地透明絶縁材料開口248aRと透明絶縁材料開口250aRとにより第2の薄膜層開口252aRが形成されている。第2の薄膜層開口252aRは、第2の薄膜層220Rの+Z方向側の上面(以下ではこれを第2の薄膜層上面220RS1とも呼ぶ)から-Z方向側の下面(以下ではこれを第2の薄膜層下面220RS2とも呼ぶ)にかけて形成されており、内部にアノードピラー242aRが形成されている。また下地透明絶縁材料開口248cR2と透明絶縁材料開口250cR2とにより第2の薄膜層開口252cR2が形成されている。第2の薄膜層開口252cR2は、第2の薄膜層上面220RS1から第2の薄膜層下面220RS2にかけて形成されており、内部にカソードピラー240cG2が形成されている。
【0304】
また第2の薄膜層220Rは、第2の薄膜層上面220RS1が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層220Rでは、透明絶縁材料表面228RS、アノードピラー上面242aRS1及びカソードピラー上面240cG2S1が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、透明絶縁材料表面228RS、アノードピラー上面242aRS1及びカソードピラー上面240cG2S1は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0305】
具体的に第2の薄膜層220Rでは、第2の薄膜層上面220RS1の表面粗さ、すなわち、透明絶縁材料表面228RS、アノードピラー上面242aRS1及びカソードピラー上面240cG2S1における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0306】
さらに第2の薄膜層220Rは、第2の薄膜層下面220RS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層220Rでは、下地透明絶縁材料下面226RS2、アノードピラー下面242aRS2、カソードピラー下面240cG2S2、カソードパッド表面241RS、並びに引出配線236aR及び236cRの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面226RS2、アノードピラー下面242aRS2、カソードピラー下面240cG2S2、カソードパッド表面241RS、並びに引出配線236aR及び236cRの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0307】
具体的に第2の薄膜層220Rでは、第2の薄膜層下面220RS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面226RS2、アノードピラー下面242aRS2、カソードピラー下面240cG2S2、カソードパッド表面241RS、並びに引出配線236aR及び236cRの下面における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0308】
[3-4-3.第3の薄膜層の構成]
図31及び図32と、図8と対応する部材に同一符号を付した図35に示すように、第3の薄膜層220Gは、下地透明絶縁材料226G、透明絶縁材料228G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極234G、アノードパッド244G、カソードパッド241G、引出配線236aG及び236cG並びに層間絶縁膜238aG及び238cGにより構成されている。
【0309】
下地透明絶縁材料226Gは、下地透明絶縁材料226Bと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30B、30R及び30Gが発する光の波長に対して透明となっている。この下地透明絶縁材料226Gは、AA断面方向Da(図31)に関して、画素部208における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層220Rにおける第2の薄膜層開口252aRとZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料226Gの+Z方向側の表面(上面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料上面226GS1とも呼ぶ)から-Z方向側の表面(下面)(以下ではこれを下地透明絶縁材料下面226GS2とも呼ぶ)までに亘って下地透明絶縁材料226GをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口248aGが形成されている。
【0310】
また下地透明絶縁材料226Gは、BB断面方向Db(図32)に関して、画素部208における一端部から他端部までに亘って延設されているものの、第2の薄膜層220Rにおける第2の薄膜層開口252cR2とZ方向に対向する箇所において、下地透明絶縁材料上面226GS1から下地透明絶縁材料下面226GS2までに亘って下地透明絶縁材料226GをZ方向(発光方向De)に貫通する下地透明絶縁材料開口248Rが形成されている。
【0311】
薄膜LED30Gは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、透明絶縁材料228G内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Gの+Z方向側の上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Gは、例えばGaP系材料により形成された、緑色の光を発するLEDである。アノード電極32Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極234Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側における+X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0312】
引出配線236aG(図31)は、導電性を有する材料により構成されており、アノード電極32Gにおける+Z方向側の面(上面)とアノードパッド244Gとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜238aGは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線236aGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線236aGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜238aGは、引出配線236aGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0313】
引出配線236cG(図32)は、引出配線236aGと同様に導電性を有する材料により構成されており、カソード電極234Gにおける+Z方向側の面(上面)とカソードパッド241Gとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜238cGは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線236cGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線236cGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜238cGは、引出配線236cGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0314】
上述したアノード電極32G、カソード電極234G及び引出配線236aGは、例えばITO等の透明導電性材料により構成されており、層間絶縁膜238aRは、薄膜LED30B、30R及び30Gが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0315】
アノードパッド244G(図31)は、金、銅やチタン等の導電性を有する材料により構成されており、第2の薄膜層220Rのアノードピラー242aRとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Aの一部分を構成している。このアノードパッド244Gは、-Z方向側の面(以下ではこれをアノードパッド表面244GSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料226Gから露出させている。
【0316】
カソードパッド241G(図32)は、アノードパッド244Gと同様に導電性を有する材料により構成されており、第2の薄膜層220Rのカソードピラー240cG2とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線222Gの一部分を構成している。このカソードパッド241Gは、-Z方向側の面(以下ではこれをカソードパッド表面241GSとも呼ぶ)を、下地透明絶縁材料226Gから露出させている。
【0317】
透明絶縁材料228Gは、例えば、下地透明絶縁材料226Gと同一の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30B、30R及び30Gが発する光の波長に対して透明となっている。この透明絶縁材料228Gは、下地透明絶縁材料226G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極234G、アノードパッド244G、カソードパッド241G、引出配線236aG及び236cG並びに層間絶縁膜238aG及び238cGを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極234G、アノードパッド244G、カソードパッド241G、引出配線236aG及び236cG並びに層間絶縁膜238aG及び238cGを、下地透明絶縁材料226Gとの間において内部に埋め込んでいる。
【0318】
また第3の薄膜層220Gは、第3の薄膜層下面220GS2が極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第3の薄膜層220Gでは、下地透明絶縁材料下面226GS2、アノードパッド表面244GS、カソードパッド表面241GS、並びに引出配線236aG及び236cGの-Z方向側の表面(下面)が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、下地透明絶縁材料下面226GS2、アノードパッド表面244GS、カソードパッド表面241GS、並びに引出配線236aG及び236cGの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0319】
具体的に第3の薄膜層220Gでは、第3の薄膜層下面220GS2の表面粗さ、すなわち、下地透明絶縁材料下面226GS2、アノードパッド表面244GS、カソードパッド表面241GS、並びに引出配線236aG及び236cGの下面における表面粗さPpvが何れも10[nm]以下となっている。また以下では、引出配線236aB、236aG、236aR、236acR、236cB、236cG、236cRをまとめて、引出配線236とも呼ぶ。
【0320】
[3-5.薄膜層及び回路基板の接続関係]
[3-5-1.回路基板及び薄膜層の物理的接続関係]
回路基板210の基板表面10Sと、第1の薄膜層220Bの第1の薄膜層下面220BS2とは、分子間力により物理的に接合されている。また、第1の薄膜層220Bの第1の薄膜層上面220BS1と、第2の薄膜層220Rの第2の薄膜層下面220RS2とは、分子間力により物理的に接合されている。さらに、第2の薄膜層220Rの第2の薄膜層上面220RS1と、第3の薄膜層220Gの第3の薄膜層下面220GS2とは、分子間力により物理的に接合されている。
【0321】
このようにLEDディスプレイ表示部202においては、それぞれ、基板表面10Sと第1の薄膜層下面220BS2と、第1の薄膜層上面220BS1と第2の薄膜層下面220RS2と、第2の薄膜層上面220RS1と第3の薄膜層下面220GS2とが、金属接合ではなく、分子間力接合されている。
【0322】
[3-5-2.回路基板及び薄膜層の電気的接続関係]
接続パッド212B(図32)は、接続パッド表面212BSが第1の薄膜層220Bのカソード電極234Bのカソード電極表面234BSに分子間力により物理的に接合されており、導電経路Rbcのように、薄膜LED30Bのカソード電極234Bに電気的に接続されている。
【0323】
接続パッド212R(図31)は、接続パッド表面212RSが第1の薄膜層220Bのカソードピラー240cRのカソードピラー下面240cRSに分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー240cRは、カソードピラー上面240cRS1が第2の薄膜層220Rのカソードパッド241Rのカソードパッド表面241RSに分子間力により物理的に接合されている。カソードパッド241Rは、引出配線236cRと物理的に接触している。このため接続パッド212Rは、導電経路Rrcのように、カソードピラー240cR、カソードパッド241R及び引出配線236cRを介し薄膜LED30Rのカソード電極234Rに電気的に接続されている。
【0324】
接続パッド212G(図32)は、接続パッド表面212GSが第1の薄膜層220Bのカソードピラー240cG1のカソードピラー下面240cG1S2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー240cG1は、カソードピラー上面240cG1S1が第2の薄膜層220Rのカソードピラー240cG2のカソードピラー下面240cG2S2に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー240cG2は、カソードピラー上面240cG2S1が第3の薄膜層220Gのカソードパッド241Gのカソードパッド表面241GSに分子間力により物理的に接合されている。カソードパッド241Gは、引出配線236cGと物理的に接触している。このため接続パッド212Bは、導電経路Rgcのように、カソードピラー240cG1、カソードピラー240cG2及び引出配線236cGを介し薄膜LED30Gのカソード電極234Gに電気的に接続されている。
【0325】
接続パッド212A(図31)は、接続パッド表面212ASが第1の薄膜層220Bのアノードピラー242aBのアノードピラー下面242aBS2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー242aBは、アノードピラー上面242aBS1が第2の薄膜層220Rのアノードピラー242aRのアノードピラー下面242aRS2に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー242aRは、アノードピラー上面242aRS1が第3の薄膜層220Gのアノードパッド244Gのアノードパッド表面244GSに分子間力により物理的に接合されている。引出配線236aGは、アノードパッド244Gと物理的に接触している。このため、アノード電極32Gは、導電経路Raのように、引出配線236aG、アノードパッド244G、アノードピラー242aR、アノードピラー242aB及び接続パッド212Aを介し、配線層16のアノード共通配線と電気的に接続されている。
【0326】
また引出配線236aRは、コンタクト金属246aRと物理的に接触している。このため、アノード電極32Rは、導電経路Raのように、引出配線236aR、コンタクト金属246aR、アノードピラー242aR、アノードピラー242aB及び接続パッド212Aを介し、配線層16のアノード共通配線と電気的に接続されている。
【0327】
さらに引出配線236aBは、コンタクト金属246aBと物理的に接触している。このため、アノード電極32Bは、導電経路Raのように、引出配線236aB、コンタクト金属246aB、アノードピラー242aB及び接続パッド212Aを介し、配線層16のアノード共通配線と電気的に接続されている。
【0328】
[3-6.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
次に、LEDディスプレイ装置201におけるLEDディスプレイ表示部202の製造方法の一例を、それぞれ図9図10図11及び図12と対応する部材に同一符号を付した図36図37図38及び図39を用いて説明する。因みに、図36図37図38及び図39は、何れも+Z方向を上方向に向けた状態を表す模式的な断面図となっている。説明の都合上、ここでは、+Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0329】
[3-6-1.第1の薄膜層の製造方法]
まず、第1の薄膜層220Bの製造方法について、図36を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図36(A)に示すように、所定のLED成長基板262Bの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層266Bを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板262Bとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0330】
次に製造装置60は、図36(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層266BをLED成長基板262Bから分離する。分離した薄膜LED層266Bは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0331】
次に製造装置60は、図36(C)に示すように、第1の薄膜層220Bの形成基板268Bに、犠牲層270B及び下地透明絶縁材料226Bを順次製膜し、薄膜LED層266Bを分子間力により下地透明絶縁材料226Bに接合する。このとき、犠牲層270B及び下地透明絶縁材料226Bの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0332】
次に製造装置60は、図36(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層266Bをエッチングすることにより、薄膜LED30Bを形成すると共に、下地透明絶縁材料226Bの下地透明絶縁材料開口248aB、248cR、248cB(図32)及び248aG1(図32)のパターニングを行う。
【0333】
次に製造装置60は、図36(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30B及び下地透明絶縁材料226Bの上に、アノード電極32B、カソード電極234B(図32)、層間絶縁膜238aB、引出配線236aB並びにコンタクト金属246aB、246cPL1B及び246cPDG1(図32)を形成する。
【0334】
次に製造装置60は、図36(F)に示すように、透明絶縁材料228Bにより埋め込みを行い該透明絶縁材料228Bに透明絶縁材料開口250aB、250cR及び250cCG1(図32)のパターニングを行った後に、メッキ法により、透明絶縁材料開口250aB、250cR及び250cG1(図32)から露出しているコンタクト金属246aB、246cPL1B及び246cPDG1(図32)上に、アノードピラー242aB、カソードピラー240cR及び240cG1(図32)を形成する。
【0335】
次に製造装置60は、図36(G)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料228B、アノードピラー242aB、カソードピラー240cR及び240cG1(図32)の上面を平坦化することにより、アノードピラー242aBの上面にアノードピラー上面242aBS1を、カソードピラー240cR及び240cG1(図32)の上面にそれぞれカソードピラー上面240cRS1及び240cG1S1(図32)を、透明絶縁材料228Bの上面から露出するように形成する。
【0336】
[3-6-2.第2の薄膜層の製造方法]
次に、第2の薄膜層220Rの製造方法について、図37を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図37(A)に示すように、所定のLED成長基板262Rの上側、すなわち+Z方向側に、格子整合がされた犠牲層264Rを形成し、さらにその上側に薄膜LED層266Rを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板262RとしてGaAsが、犠牲層264RとしてAlを含むGaAs等の材料が一例として使用される。
【0337】
次に製造装置60は、図37(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層264Rをエッチングして除去することにより、薄膜LED層266RをLED成長基板262Rから分離する。分離した薄膜LED層266Rは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0338】
次に製造装置60は、図37(C)に示すように、第2の薄膜層220Rの形成基板268Rに、犠牲層270R及び下地透明絶縁材料226Rを順次製膜し、薄膜LED層266Rを分子間力により下地透明絶縁材料226Rに接合する。このとき、犠牲層270R及び下地透明絶縁材料226Rの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0339】
次に製造装置60は、図37(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層266Rをエッチングすることにより、薄膜LED30Rを形成すると共に、下地透明絶縁材料226Rの下地透明絶縁材料開口248aR、248R及び248cR2(図32)のパターニングを行う。
【0340】
次に製造装置60は、図37(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30R及び下地透明絶縁材料226Rの上に、アノード電極32R、カソード電極234R、層間絶縁膜238aR及び238cR、引出配線236aR及び236cR並びにコンタクト金属246aR、246cPDR及び246cPDG2(図32)を形成する。
【0341】
次に製造装置60は、図37(F)に示すように、透明絶縁材料228Rにより埋め込みを行い該透明絶縁材料228Rに透明絶縁材料開口250aR及び250cR2(図32)のパターニングを行った後に、メッキ法により、透明絶縁材料開口250aR及び250cR2(図32)から露出しているコンタクト金属246aR及び246cPDG2(図32)上に、アノードピラー242aR及びカソードピラー240cG2(図32)を形成する。またコンタクト金属246cPDRは、カソードパッド241Rとなる。
【0342】
次に製造装置60は、図37(G)に示すように、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料228R、アノードピラー242aR及びカソードピラー240cG2(図32)の上面を平坦化することにより、アノードピラー242aR及びカソードピラー240cG2(図32)の上面にそれぞれアノードピラー上面242aRS1及びカソードピラー上面240cG2S1(図32)を、透明絶縁材料228Rの上面から露出するように形成する。
【0343】
[3-6-3.第3の薄膜層の製造方法]
次に、第3の薄膜層220Gの製造方法について、図38を参照しながら説明する。まず製造装置60は、図38(A)に示すように、所定のLED成長基板262Gの上側、すなわち+Z方向側に、薄膜LED層266Gを成長させる工程を行う。本実施の形態においては、LED成長基板262Gとしてサファイア基板が一例として使用される。
【0344】
次に製造装置60は、図38(B)に示すように、公知のレーザーリフトオフ法により、薄膜LED層266GをLED成長基板262Gから分離する。分離した薄膜LED層266Gは、分離面を研磨する等して平坦化を行うことが望ましい。
【0345】
次に製造装置60は、図38(C)に示すように、第3の薄膜層220Gの形成基板268Gに、犠牲層270G及び下地透明絶縁材料226Gを順次製膜し、薄膜LED層266Gを分子間力により下地透明絶縁材料226Gに接合する。このとき、犠牲層270G及び下地透明絶縁材料226Gの上面(+Z方向側面)はRpv=10[nm]以下に平坦とする必要があるため、製造装置60は、研磨等の平滑化工程を行っても良い。
【0346】
次に製造装置60は、図38(D)に示すように、エッチング処理により薄膜LED層266Gをエッチングすることにより、薄膜LED30Gを形成すると共に、下地透明絶縁材料226Gの下地透明絶縁材料開口248aG及び248R(図32)のパターニングを行う。
【0347】
次に製造装置60は、図38(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30G及び下地透明絶縁材料226Gの上に、アノード電極32G、カソード電極234G(図32)、層間絶縁膜238aG及び238cG(図32)、引出配線236aG及び236cG(図32)並びにコンタクト金属246aG及び246cPDG(図32)を形成する。コンタクト金属246aGは、アノードパッド244Gとなり、コンタクト金属246cPDG(図32)は、カソードパッド241Gとなる。
【0348】
次に製造装置60は、図38(F)に示すように、透明絶縁材料228Gにより埋め込みを行う。製造装置60は、化学機械研磨(CMP)による平坦化処理を行い、透明絶縁材料128Rの上面を平坦化しても良い。
【0349】
[3-6-4.積層接合の工程]
次に、上述した製造方法により製造された第1の薄膜層220B、第2の薄膜層220R及び第3の薄膜層220Gを、回路基板210に積層させる積層接合の工程について、図12と対応する部材に同一符号を付した図39を参照しながら説明する。
【0350】
まず製造装置60は、図39(A)に示すように、エッチング処理により犠牲層270B(図36)をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層220Bを形成基板268Bから分離する。これにより、アノードピラー下面242aBS2、カソードピラー下面240cRS2、カソード電極表面234BS(図32)及びカソードピラー下面240cG1S2(図32)が下地透明絶縁材料下面226BS2から露出する。これらアノードピラー下面242aBS2、カソードピラー下面240cRS2、カソード電極表面234BS(図32)及びカソードピラー下面240cG1S2(図32)は、犠牲層270B(図36)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第1の薄膜層220Bを公知のボンディング方法により、回路基板210の上面に分子間力により接合する。
【0351】
次に製造装置60は、図39(B)に示すように、エッチング処理により犠牲層270R(図37)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層220Rを形成基板268Rから分離する。これにより、アノードピラー下面242aRS2、カソードパッド表面241RS、カソードピラー下面240cG1S2(図32)が、下地透明絶縁材料下面226RS2から露出する。これらアノードピラー下面242aRS2、カソードパッド表面241RS、カソードピラー下面240cG2S2(図32)は、犠牲層270R(図37)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第2の薄膜層220Rを公知のボンディング方法により、図39(A)で回路基板210に接合させた第1の薄膜層220Bの上面に分子間力により接合する。
【0352】
次に製造装置60は、図39(C)に示すように、エッチング処理により犠牲層270G(図38)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層220Gを形成基板268Gから分離する。これにより、アノードパッド表面244GS及びカソードパッド表面241GS(図32)が、下地透明絶縁材料下面226GS2から露出する。これらアノードパッド表面244GS及びカソードパッド表面241GS(図32)は、犠牲層270G(図38)の上面に追従して同一平面上に平坦に形成されている。続いて製造装置60は、分離した第3の薄膜層220Gを公知のボンディング方法により、図39(B)で第1の薄膜層220Bに接合させた第2の薄膜層220Rの上面に分子間力により接合する。
【0353】
[3-7.LEDディスプレイ表示部の発光の様子]
図40に示すように、LEDディスプレイ表示部202が発光すると、薄膜LED30RがGaAs基板で構成されておりEg=1.9[eV]に相当する660[nm](赤色)よりも短い波長を吸収するため、第2の薄膜層220Rに向かって出射された青色光LBは、薄膜LED30Rで吸収される。一方、第2の薄膜層220Rにおける薄膜LED30R以外の箇所は、青色光LBの波長に対し透明であるため、青色光LBは、第2の薄膜層220Rにおける薄膜LED30R以外の箇所を透過する。また、薄膜LED30GがGaP基板で構成されておりEg=2.2[eV]に相当する564[nm](緑色)よりも短い波長を吸収するため、第3の薄膜層220Gに向かって出射された青色光LBは薄膜LED30Gによって吸収されるものの、赤色光LRは薄膜LED30Gによって吸収されず透過する。一方、第3の薄膜層220Gにおける薄膜LED30G以外の箇所は青色光LBの波長に対し透明であるため、青色光LBは、第3の薄膜層220Gにおける薄膜LED30G以外の箇所を透過する。
【0354】
さらに、第3の薄膜層220Gにおける薄膜LED30G以外の箇所は、赤色光LRの波長に対し透明であるため、赤色光LRは、第3の薄膜層220Gにおける薄膜LED30G以外の箇所を透過する。
【0355】
本実施の形態による画素部208は、薄膜LED30R及び30Gの中心に対し、薄膜LED30Bが、その中心を-Y+Y方向側に位置ずれさせた状態で(すなわちオフセットさせた状態で)配されている。このため第2の薄膜層220Rは、青色光LBのうち薄膜LED30Rに向かって来た一部の光は薄膜LED30Rによって吸収するものの、緑色光LGのうち薄膜LED30R以外の箇所に向かって来た緑色光LGは透過させ、+Z方向へ向かわせる。
【0356】
[3-8.薄膜層の重複の様子]
ここで、+Z方向側から発光方向Deに沿って画素部208を見たとき、図14(A)と対応する部材に同一符号を付した図41(A)に示すように、薄膜LED30Bが、該薄膜LED30Bよりも+Z方向側に位置する薄膜LED30G及び薄膜LED30Rの両方と重複する、ハッチングを付した領域を、光吸収領域ARaと呼ぶ。第3の実施の形態においては薄膜LED30G及び薄膜LED30Rが互いにオフセットされていないため、光吸収領域ARaは、薄膜LED30Bが薄膜LED30Gと重複する領域となっている。また、+Z方向側から発光方向Deに沿って画素部208を見たとき、図14(B)と対応する部材に同一符号を付した図41(B)に示すように、薄膜LED30Bよりも+Z方向側に位置する薄膜LED30Rと薄膜LED30Gとが重なる、ハッチングを付した領域を、光透過領域ARtと呼ぶ。本実施の形態による画素部208は、光吸収領域ARa(図41(A))が、光透過領域ARt(図41(B))よりも小さくなるように、薄膜LED30B、30G及び30Rが配置されている。
【0357】
[3-9.効果]
以上の構成において第3の実施の形態によるLEDディスプレイ装置201は、第1の薄膜層220Bの薄膜LED30B、第2の薄膜層220Rの薄膜LED30R及び第3の薄膜層220Gの薄膜LED30Gの順番に積層することにより、中心層に薄膜LED30Rを配置するようにした。またLEDディスプレイ装置201は、薄膜LED30Bの中心を薄膜LED30R及び30Gに対しオフセットさせて配置するようにした。
【0358】
このためLEDディスプレイ装置201は、薄膜LED30B、30R及び30Gを互いの中心を一致させた状態で配置する場合と比較して、+Z方向へ向かう青色光LBの経路から薄膜LED30R及び30Gの少なくとも一部分を退避させ、薄膜LED30R及び30Gによって吸収されずにLEDディスプレイ装置201の外部へ出射される青色光LBを増加させることができる。
【0359】
またLEDディスプレイ装置101は、第2の薄膜層220Rを最上層に配置せず、第2の薄膜層220Rよりも上層側に第3の薄膜層220Gを配置するものの、赤色光LRは第3の薄膜層220Gに吸収されないため、赤色光LRを大きく減衰させることなくLEDディスプレイ装置201の外部へ出射させることができる。
【0360】
その他、第3の実施の形態によるLEDディスプレイ装置201は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0361】
以上の構成によればLEDディスプレイ装置201は、回路基板210と、回路基板210上に設けられ、第1のバンドギャップとしての薄膜LED30Bのバンドギャップを有する第1の発光素子としての薄膜LED30Bを含む第1の薄膜層220Bと、薄膜LED30Bのバンドギャップと異なる第2のバンドギャップとしての薄膜LED30Gのバンドギャップを有する第2の発光素子としての薄膜LED30Gを含む第3の薄膜層220Gと、第1の薄膜層220Bと第3の薄膜層220Gとの間に積層され、薄膜LED30Bのバンドギャップ及び薄膜LED30Gのバンドギャップよりも小さい第3のバンドギャップとしての薄膜LED30Rのバンドギャップを有する薄膜LED30Rを含む第2の薄膜層220Rとを設け、 薄膜LED30Bは、積層方向から見たときに、薄膜LED30Bが薄膜LED30R及び薄膜LED30Gと重なる領域である光吸収領域ARaが、薄膜LED30Gと薄膜LED30Rとが重なる領域である光透過領域ARtよりも小さくなるように配置されるようにした。
【0362】
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、-Z方向側から+Z方向側へ向かって薄膜LED30G、30B及び30Rが順次積層する場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30Gと薄膜LED30Bとの位置を入れ替え、-Z方向側から+Z方向側へ向かって薄膜LED30B、30G及び30Rが順次積層するようにしても良い。その場合、薄膜LED30Gが薄膜LED30Bの青色光LBを吸収するため、最下層側の薄膜LED30Bを薄膜LED30R及び薄膜LED30Gに対しオフセットさせても良い。
【0363】
また上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30Rを最上層側に配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30Rを最上層と最下層との間の中間層に配置しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0364】
さらに上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30Gと薄膜LED30Bとが互いにオフセットせず中心を一致させている場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、薄膜LED30G及び薄膜LED30Bに対する薄膜LED30Rのオフセット量よりも短い距離だけ、薄膜LED30Gと薄膜LED30Bとが互いに多少オフセットしていても良い。第3の実施の形態における薄膜LED30Rと薄膜LED30Gとの関係においても同様である。
【0365】
さらに上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30Rが薄膜LED30G及び薄膜LED30Bに対しZ方向から見た際に一部分が重複するようにオフセットする場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30Rが薄膜LED30G及び薄膜LED30Bに対しZ方向から見た際に一部分が重複せずにオフセットしても良い。その場合、Z方向から見た際に薄膜LED30Rが薄膜LED30G及び薄膜LED30Bと重なる領域の大きさは0となる。このように、Z方向から見た際に薄膜LED30同士の重なる領域が小さいことは、重なる領域が0(すなわち光吸収領域ARa(図14(A))の大きさが0)であることも含むこととなる。第2の実施の形態においても同様に、薄膜LED30Rが薄膜LED30B及び薄膜LED30Gに対しZ方向から見た際に一部分が重複せずにオフセットしても良い。第3の実施の形態においては、薄膜LED30Bが薄膜LED30R及び薄膜LED30Gに対しZ方向から見た際に一部分が重複せずにオフセットしても良い。
【0366】
また上述した第2の実施の形態においては、-Z方向側から+Z方向側へ向かって薄膜LED30B、30G及び30Rが順次積層する場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30Bと薄膜LED30Gとの位置を入れ替え、-Z方向側から+Z方向側へ向かって薄膜LED30G、30B及び30Rが順次積層するようにしても良い。
【0367】
さらに上述した第3の実施の形態においては、-Z方向側から+Z方向側へ向かって薄膜LED30B、30R及び30Gが順次積層する場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30Bと薄膜LED30Gとの位置を入れ替え、-Z方向側から+Z方向側へ向かって薄膜LED30G、30R及び30Bが順次積層するようにしても良い。
【0368】
さらに上述した第3の実施の形態においては、薄膜LED30Rを薄膜LED30Bに対しオフセットさせるものの薄膜LED30Gに対しオフセットさせない場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30Rを薄膜LED30G及び薄膜LED30Bに対しオフセットさせても良い。
【0369】
さらに上述した第3の実施の形態において、第2の薄膜層220Rにおける薄膜LED30Rよりも-Z方向側において、赤色光LRを反射する部材を設けても良い。
【0370】
さらに上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30G、30B及び30Rの大きさを平面視で互いに同じ大きさに形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30を互いに異なる大きさとしても良い。要はZ方向から見た際に少なくとも一部分が重なっていれば良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0371】
さらに上述した第1の実施の形態においては、薄膜LED30Rは薄膜LED30G及び30Bに対し中心が-X-Y方向側にずれている場合について述べた。本発明はこれに限らず、薄膜LED30Rを薄膜LED30G及び30Bに対しピクセル内の任意の方向に避けるように位置ずれさせても良い。しかしながら、第1の形態のように薄膜LED30Rをカソードピラー40cB及び40cGと重なる方向にずらし、カソード電極34Rを薄膜LED30Rの下面に直接接続することにより、薄膜LED30Rを、アノードとカソードとの配置が薄膜LED30Rの上面と下面とに配置される垂直型LED(縦型LED)とすることができる。垂直型LEDである薄膜LED30Rは、アノード及びカソードが薄膜LED30の一方の面に配置される水平型LED(横型LED)である薄膜LED30G及び30Bのように、引出配線36cG及び36cBのような引出配線を設けるための面積が必要ない。さらに薄膜LED30Rは、薄膜LED30G及び30Bのようにカソード電極34G及び34Bを設けるための非発光領域が必要なく、面積当たりの発光効率を向上させることができる。このため、薄膜LED30Rの面積当たりの発光効率が向上した分だけ薄膜LED30Rのサイズを小さくすることにより、薄膜LED30G及び30Bからの光を効率良く取り出すようにしても良い。第2の実施の形態による第3の薄膜層120Rにおける薄膜LED30Rと、第3の実施の形態による第1の薄膜層220Bにおける薄膜LED30Bとにおいても同様である。
【0372】
さらに上述した第1の実施の形態においては、カソード共通配線を回路基板10の内部に配線する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カソード共通配線を第3の薄膜層20Rの上面又は基板表面10Sに配線しても良い。第2の実施の形態においても同様である。また第3の実施の形態によるアノード共通配線においても同様である。
【0373】
さらに上述した第1の実施の形態においては、それぞれの薄膜層20のフィルムサイズをLEDディスプレイ表示部2のディスプレイサイズと同等する場合について述べた。本発明はこれに限らず、各薄膜層20が含む画素自体はディスプレイ全体としては同数同ピッチを保ちつつ、例えば、第3の薄膜層20Rのフィルムをディスプレイサイズの半分ずつとなるように例えば2分割等に分割しても良い。例えば2分割した場合、第3の薄膜層20Rが含む画素の数は、第3の薄膜層20Rがディスプレイ全体のサイズであった場合の半分になる。その場合、各薄膜層20が含む画素の数は、ディスプレイ全体の画素数から1画素までの、任意の画素数であっても原理的には製造可能である。またその場合、第3の薄膜層20Rのフィルムサイズが小さくなるため、該薄膜層20のフィルムを他の薄膜層20のフィルムに重ねて接合させる際に、位置合わせがしやすくなる。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0374】
さらに上述した第1の実施の形態においては、2個のMOSトランジスタと1個のコンデンサとによりアクティブ素子14を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、アクティブ素子14は、基本構造である2個のMOSトランジスタ及び1個のコンデンサに対し、階調制御を行う回路、補償回路や冗長回路等、他の種々の機能を有する回路が加えられても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0375】
さらに上述した第1の実施の形態においては、駆動ドライバ6を回路基板10の表面に実装する場合について述べた。本発明はこれに限らず、駆動ドライバ6を接続ケーブル4の表面に実装しても良く、又は、駆動ドライバ6を回路基板10の内部に半導体プロセスによりCMOS回路で形成しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0376】
さらに上述した第1の実施の形態においては、回路基板10をCMOS回路基板により構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、回路基板10を薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)回路基板により構成しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0377】
さらに上述した第1の実施の形態においては、LEDディスプレイ表示部2に第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20Rの3層の薄膜層20を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、第4の薄膜層や第5の薄膜層を第3の薄膜層20Rに接合し、光出力や色域を拡張しても良い。又は、第1の薄膜層20G、第2の薄膜層20B及び第3の薄膜層20Rの3層の薄膜層20のうち、何れか2層のみを組み合わせ、2色のディスプレイとしても良い。すなわち、LEDディスプレイ表示部2は、3層の薄膜層20以外の、2層又は4層以上の任意の層数の薄膜層20を設けても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0378】
さらに上述した第1の実施の形態においては、直視型であるLEDディスプレイ装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、プロジェクタや光源として使用されるディスプレイに本発明を適用しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0379】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0380】
さらに上述した第1の実施の形態においては、基板としての回路基板10と、第1の層としての第1の薄膜層20Gと、第2の層としての第2の薄膜層20Bと、第3の層としての第3の薄膜層20Rとによって、発光装置としてのLEDディスプレイ装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる基板と、第1の層と、第2の層と、第3の層とによって、発光装置を構成しても良い。
【0381】
さらに上述した第2の実施の形態においては、基板としての回路基板110と、第1の層としての第1の薄膜層120Bと、第2の層としての第2の薄膜層120Gと、第3の層としての第3の薄膜層120Rとによって、発光装置としてのLEDディスプレイ装置101を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる基板と、第1の層と、第2の層と、第3の層とによって、発光装置を構成しても良い。
【0382】
さらに上述した第3の実施の形態においては、基板としての回路基板210と、第1の層としての第1の薄膜層220Bと、第2の層としての第3の薄膜層220Gと、第3の層としての第2の薄膜層220Rとによって、発光装置としてのLEDディスプレイ装置201を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる基板と、第1の層と、第2の層と、第3の層とによって、発光装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0383】
本発明は、例えば複数のLEDを配置してなるLEDディスプレイで利用できる。
【符号の説明】
【0384】
1、101、201……LEDディスプレイ装置、2、102、202……LEDディスプレイ表示部、3……放熱部材、4……接続ケーブル、5……接続端子部、6……駆動ドライバ、8、108、208……画素部、10、110、210……回路基板、10M……基材部、10S……基板表面、11……絶縁層、11S……絶縁層表面、12B、12C、12G、12R、112B、112C、112G、112R、212A、212B、212G、212R……接続パッド、12BS、12CS、12GS、12RS、112BS、112CS、112GS、112RS、212AS、212BS、212GS、212RS……接続パッド表面、12T、112T、212T……接続パッド組、14B、14G、14R、114B、114G、114R、214B、214G、214R……アクティブ素子、16……配線層、18、118、218……薄膜層群、20G、120B、220B……第1の薄膜層、20B、120G、220R……第2の薄膜層、20R、120R、220G……第3の薄膜層、20GS1、120BS1、220BS1……第1の薄膜層上面、20GS2、120BS2、220BS2……第1の薄膜層下面、20BS1、120GS1、220RS1……第2の薄膜層上面、20BS2、120GS2、220RS2……第2の薄膜層下面、20RS2、120RS2、220GS2……第3の薄膜層下面、22B、22C、22G、22R、122B、122C、122G、122R、222A、222B、222G、222R……垂直方向配線、24、124、224……発光部、26B、26G、26R、126B、126G、126R、226B、226G、226R……下地透明絶縁材料、26BS1、26GS1、26RS1、126BS1、126GS1、126RS1、226BS1、226GS1、226RS1……下地透明絶縁材料上面、26BS2、26GS2、26RS2、126BS2、126GS2、126RS2、226BS2、226GS2、226RS2……下地透明絶縁材料下面、28B、28G、28R、128B、128G、128R、228B、228G、228R……透明絶縁材料、28BS、28GS、128BS、128GS、228BS、228RS……透明絶縁材料表面、30B、30G、30R……薄膜LED、32B、32G、32R、132R……アノード電極、34B、34G、34R、134B、134G、134R、234B、234G、234R……カソード電極、34RS、134RS、234BS……カソード電極表面、36aB、36aG、36aR、36cB、36cG、136aB、136aG、136aR、136cB、136cG、236aB、236aG、236aR、236acR、236cB、236cG、236cR……引出配線、38aB、38aG、38aR、38cB、38cG、138aB、138aG、138aR、138cB、138cG、238aB、238aG、238aR、238cG、238cR……層間絶縁膜、40cB、40cG、140cB、140cG、240cG1、240cG2、240cR……カソードピラー、40cBS1、40cGS1、140cBS1、140cGS1、240cG1S1、240cG2S1、240cRS1……カソードピラー上面、40cBS2、40cGS2、140cBS2、140cGS2、240cG1S2、240cG2S2、240cRS2……カソードピラー下面、241G、241R……カソードパッド、241GS、241RS……カソードパッド表面、42aB、42aR1、42aR2、142aG、142aR1、142aR2、242aB、242aR……アノードピラー、42aBS1、42aR1S1、42aR2S1、142aGS1、142aR1S1、142aR2S1、242aBS1、242aRS1……アノードピラー上面、42aBS2、42aR1S2、42aR2S2、142aGS2、142aR1S2、142aR2S2、242aBS2、242aRS2……アノードピラー下面、44R、44G、144B、144G、144R、244G……アノードパッド、44BS、44GS、44RS、144BS、144GS、144RS、244GS……アノードパッド表面、46aPDB、46aPDG、46aPDR、46aPL1G、46aPL2G、46aPLB、46cB、46cG、146aPDB、146aPDG、146aPDR、146aPL1B、146aPL2B、146aPLG、146cB、146cG、246aB、246aG、246aR、246cPDG1、246cPDG2、246cPDG、246cPDR、246cPL1B……コンタクト金属、48B、48G、48R、48aB、48aR1、48aR2、48cB、48cG、48cR、148B、148G、148R、148aG、148aR1、148aR2、148cB、148cG、148cR、248R、248aB、248aG、248aR、248cB、248cG1、248cR、248cR2……下地透明絶縁材料開口、50aB、50aR1、50aR2、50cB、50cG、150aG、150aR1、150aR2、150cB、150cG、250aB、250aG1、250aR、250cR、250cR2……透明絶縁材料開口、52aB、52aR1、52cG、152aG、152aR1、152cB、252aB、252aR1……第1の薄膜層開口、52aR2、52cB、152aR2、152cG、252aR、252cR2……第2の薄膜層開口、60……製造装置、62B、62G、62R、162B、162G、162R、262B、262G、262R……LED成長基板、64R、70B、70G、70R、164R、170B、170G、170R、264R、270B、270G、270R……犠牲層、66B、66G、66R、166B、166G、166R、266B、266G、266R……薄膜LED層、68B、68G、68R、168B、168G、168R、268B、268G、268R……形成基板、ARa……光吸収領域、ARt……光透過領域、Da……AA断面方向、Db……BB断面方向、De……発光方向、LB……青色光、LG……緑色光、LR……赤色光、Rc、Rra、Rga、Rba、Ra、Rrc、Rgc、Rbc……導電経路。
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