(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119217
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】ルーフドレン
(51)【国際特許分類】
E04D 13/04 20060101AFI20230821BHJP
E04D 15/00 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
E04D13/04 B
E04D15/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021958
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健治
(57)【要約】
【課題】通水溝路を構成する側面パネルと底面パネルとを溝路成形用の型枠に代えて用いる、バルコニー等の施工に適したルーフドレンを提案する。
【解決手段】ドレン受皿部7の左右両側に側面パネルの下縁を嵌入支持する側板支持溝部27,27を夫々備えると共に、ドレン受皿部7の溝長手方向両側に底面パネルの端縁を嵌入支持する底板支持凹部33とを備えたものである。かかる構成によれば、施工時にコンクリートが周囲から流出することを抑制できると共に、底面パネルが浮き上がってしまうことを抑制できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝長手方向に列設された複数の底面パネルと、該底面パネルの左右両側縁に夫々立設された左右の側面パネルとにより構成された通水溝路に付設されるものであって、
前記通水溝路下に設けられる排水孔に挿通される排水筒部と、該排水筒部が下方に連成されたドレン受皿部とを備えたルーフドレンにおいて、
前記ドレン受皿部の左右両側に夫々設けられ、上方開口され且つ前記側面パネルの下縁を嵌入可能な溝幅で形成されて、嵌入された該側面パネルの下縁を支持する側板支持溝部と、
前記ドレン受皿部の前記溝長手方向両側に夫々設けられ、溝長手方向外方へ開口され且つ前記底面パネルの端縁を嵌入可能な上下幅で形成されて、嵌入された該底面パネルの端縁を支持する底板支持凹部と
を備えたものであることを特徴とするルーフドレン。
【請求項2】
前記ドレン受皿部の前記溝長手方向両端部には、
該ドレン受皿部の下面に固結される固結板部と、該固結板部の左右両端から上方へ夫々延出されて、側面パネルを嵌入可能な間隔をおいて該ドレン受皿部の左右側部に対向配置される左右一対の側板部とを備えてなる取付支持部材が夫々配設され、
さらに、前記ドレン受皿部の左右側部には、
該左右側部から左右外方へ突出されて、前記側面パネルの下縁が載置される載置部が夫々設けられており、
前記側板支持溝部は、
前記ドレン受皿部の左右側部、前記取付支持部材の側板部、および前記載置部により構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のルーフドレン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダ、バルコニー、および廊下などの床に配設されるルーフドレンに関する。
【背景技術】
【0002】
建物のベランダ、バルコニー、廊下などの床における雨水の排出手段として、該床の側部に設けられた通水溝路にルーフドレンが配設されており、該通水溝路を流れる雨水がルーフドレンを介して排出される。ルーフドレンは、例えば特許文献1のように、ドレン受皿部と該ドレン受皿部の中央から下方へ突成された排水筒部とを具備するドレン本体と、該ドレン本体に取り付けられるストレーナとを備えた構成が知られている。かかるルーフドレンは、コンクリート製建物のベランダやバルコニー等を施工する際に、コンクリートの打設によって埋設される。
【0003】
一方、コンクリート製建物におけるベランダ等の施工方法としては、近年、通水溝路の側壁を形成する板状の側面パネルと、該通水溝路の底壁を形成する底面パネルとを配置した後に、コンクリートを打設して、該側面パネルと底面パネルとにより通水溝路を構成する方法が行われている。この施工方法では、従来の型枠としての役割を有する側面パネルと底面パネルとを取り外さないことから、溝路成形用の型枠を配置してコンクリートの打設後に取り外す従来工法に比して、施工作業に要する手間とコストとを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記ルーフドレンは、そのドレン受皿部を通水溝路の底面に露出させて配設されることから、ベランダ等の床を施工する際には、前記底面パネルにドレン受皿部を露出させる開口を形成し、該底面パネルとドレン本体とを配置した後にコンクリートを打設して該ドレン本体を埋設していた。ここで、底面パネルに形成される開口は、ドレン受皿部との位置合わせ等に要する手間を軽減するために、通常、該ドレン受皿部よりも若干大きく形成される。ところが、こうした施工では、コンクリートを打設した際に、ドレン受皿部と底面パネルの開口との隙間からコンクリートが流出したり、前記開口の口縁で底面パネルが浮き上がったりする等の問題が生じていた。
【0006】
本発明は、前述した問題を解決でき、側面パネルと底面パネルとを用いた施工に適したルーフドレンを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、溝長手方向に列設された複数の底面パネルと、該底面パネルの左右両側縁に夫々立設された左右の側面パネルとにより構成された通水溝路に付設されるものであって、前記通水溝路下に設けられる排水孔に挿通される排水筒部と、該排水筒部が下方に連成されたドレン受皿部とを備えたルーフドレンにおいて、前記ドレン受皿部の左右両側に夫々設けられ、上方開口され且つ前記側面パネルの下縁を嵌入可能な溝幅で形成されて、嵌入された該側面パネルの下縁を支持する側板支持溝部と、前記ドレン受皿部の前記溝長手方向両側に夫々設けられ、溝長手方向外方へ開口され且つ前記底面パネルの端縁を嵌入可能な上下幅で形成されて、嵌入された該底面パネルの端縁を支持する底板支持凹部とを備えたものであることを特徴とするルーフドレンである。
【0008】
ここで、「溝長手方向」は、通水溝路の長手方向を示しており、「ドレン受皿部の前記溝長手方向」は、通水溝路に付設された状態におけるドレン受皿部の溝長手方向を言う。
【0009】
かかる構成にあっては、左右の側板支持溝部に夫々嵌入支持された側面パネルと溝長手方向両側の底板支持凹部に夫々嵌入支持された底面パネルとによって、ドレン受皿部が隙間無く囲まれることから、前述した施工時にコンクリートがドレン受皿部の周囲から流出することを抑制できると共に、コンクリートの打設によって底面パネルの端縁が浮き上がってしまうことを抑制できる。こうしたことから、本発明の構成によれば、通水溝路を所望の形状寸法で正確かつ容易に形成できると共に、前述した従来構成における、ドレン受皿部の周囲から流出したコンクリートの除去作業と底面パネルの浮き上がりを修正する作業とを削減でき、これら作業に要する手間とコストとを抑制できる。さらに、本構成は、前記した底面パネルの浮き上がりを抑制する作用効果と同様に、コンクリートの打設によって側面パネルの下縁が通水溝路の内方へ膨出することも抑制できるから、該膨出の修正作業に要する手間とコストとを抑制できると共に、前述した通水溝路を正確に形成するという作用効果を一層向上できる。
【0010】
また、本構成によれば、側面パネルを側板支持溝部に嵌入して、底面パネルを底板支持凹部に嵌入することにより、該側面パネルと底面パネルとに対する相対位置を比較的容易に位置合わせできることから、施工作業の作業性を向上することもできる。
【0011】
前述した本発明のルーフドレンにあって、前記ドレン受皿部の前記溝長手方向両端部には、該ドレン受皿部の下面に固結される固結板部と、該固結板部の左右両端から上方へ夫々延出されて、側面パネルを嵌入可能な間隔をおいて該ドレン受皿部の左右側部に対向配置される左右一対の側板部とを備えてなる取付支持部材が夫々配設され、さらに、前記ドレン受皿部の左右側部には、該左右側部から左右外方へ突出されて、前記側面パネルの下縁が載置される載置部が夫々設けられており、前記側板支持溝部は、前記ドレン受皿部の左右側部、前記取付支持部材の側板部、および前記載置部により構成されたものである構成が提案される。
【0012】
かかる構成にあっては、側面パネルの下縁を嵌入可能な溝幅(ドレン受皿部の側縁と側板部との間隔)を形成する取付支持部材を備えたものである。そのため、側面パネルの板厚に応じた溝幅の側板支持溝部を形成する取付支持部材を適用することによって、板厚の異なる側面パネルに対応できる。さらに、取付支持部材がドレン受皿部の下面に着脱可能に固結されるものであれば、側面パネルの板厚に応じて取付支持部材を変更できることから、様々な板厚の側面パネルに対応容易であると共に、施工現場で側面パネルに応じて取付支持部材を変更することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のルーフドレンにあっては、施工時にドレン受皿部の周囲からコンクリートが流出することと、底面パネルの端縁が浮き上がることとを抑制できるから、前述した従来構成に比して、これらの修正作業に要する手間とコストとを抑制できると共に、通水溝路を正確且つ容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施例のルーフドレン1の施工状態を示す、通水溝路51の幅方向の縦断面図である。
【
図2】ルーフドレン1の施工状態を示す、通水溝路51の長手方向の縦断面図である。
【
図3】取付支持部材21を取り付けた状態のドレン本体2の、(A)平面図と、(B)底面図である。
【
図4】取付支持部材21を取り付けた状態のドレン本体2の、(A)通水溝路51の長手方向の側面図と、(B)通水溝路51の幅方向の側面図である。
【
図5】ドレン本体2の、(A)底面図と、(B)通水溝路51の幅方向の側面図である。
【
図6】取付支持部材21の、(A)平面図と、(B)通水溝路51の長手方向の側面図と、(C)X-X線断面図である。
【
図7】(A)側面パネル54を嵌入した状態を示す部分拡大断面図と、(B)底面パネル52を嵌入した状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
図1,2に示すように、マンションやビル等の建屋に設けられるバルコニー71の床72には、通水溝路51が設けられており、該通水溝路51にルーフドレン1が配設されている。本実施例では、コンクリート躯体から成るバルコニー71の床72に、前記通水溝路51が設けられており、該通水溝路51は、水平方向に沿って配設される矩形板状の底面パネル52と、該底面パネル52の左右両側縁に夫々立設された矩形板状の側面パネル53,54とにより形成される。
【0016】
こうしたバルコニー71は、該バルコニー71の底面を形成する型枠(図示せず)上の所定位置に前記底面パネル52と側面パネル53,54とを設置して、該底面パネル52と側面パネル53,54とに囲まれていない領域にコンクリートを打設することによって形成される。本実施例では、底面パネル52と側面パネル53,54とにより通水溝路51が構成されており、該底面パネル52と側面パネル53,54とが、コンクリート打設領域を区画する役割を有する仕上げ材となっている。この施工方法では、底面パネル52と側面パネル53,54とが従来の溝路成形用の型枠としての役割を有し且つ該底面パネル52と側面パネル53,54とを養生後に取り外さないことから、養生後に前記溝路成形用の型枠を取り外す従来工法に比して、施工作業に要する手間とコストとを低減できる。尚ここで、底面パネル52および側面パネル53,54としては、例えば、繊維強化セメント板が好適に用いられ、通水溝路51側を化粧面とし且つ他側を凹凸面とする構成が好ましい。
【0017】
ルーフドレン1は、ドレン本体2とストレーナ3とを備えた構成であり、該ドレン本体2が前記バルコニー71の通水溝路51の底部に埋設される。ドレン本体2は、略長方形の皿状に形成されたドレン受皿部7と、該ドレン受皿部7の略中央から下方へ連成された排水筒部8とを備える。ストレーナ3は、前記ドレン受皿部7を覆う略長方形の蓋状を成し、雨水を通水するための貫通孔(図示せず)が複数形成されている。このストレーナ3がドレン受皿部7を覆うように配置されてネジ9,9により該ドレン受皿部7に固結されることで、ドレン本体2と該ストレーナ3とが連結される。尚、ドレン本体2とストレーナ3とは、鋳鉄、ステンレス、ステンレス鋳鋼、アルミニウム合金などの金属製や、塩化ビニル、FRP等の硬質合成樹脂製のものが好適である。
【0018】
ドレン本体2のドレン受皿部7は、
図3~5に示すように、略長方形の底部11と、該底部11の両長辺から上方へ夫々延出された側壁部12,12と、該底部11の両短辺から上方へ夫々延出された端壁部13,13とにより構成され、該底部11の中央に通水孔14が開口形成されてなる。ドレン本体2の排水筒部8は、前記通水孔14を囲繞するように、前記ドレン受皿部7の底部11から下方へ延出されている。本実施例のドレン本体2は、ドレン受皿部7と排水筒部8とが一体的に成形された構成である。
【0019】
こうしたドレン本体2は、前述したバルコニー71を施工する際に通水溝路51の底部に埋設施工される。すなわち、バルコニー71の底面を形成する型枠(以下、躯体底用の型枠という)の所定位置に、図示しない固定装置を取り付けると共に、該固定装置によって円筒状スペーサ64を該躯体底用の型枠上に位置決めして配置する。そして、円筒状スペーサ64の上端にドレン本体2のドレン受皿部7を載置することにより、ドレン受皿部7の下面と前記型枠との間に、該ドレン本体2の排水筒部8を囲繞するように前記円筒状スペーサ64を介装させて、該円筒状スペーサ64によってドレン本体2が前記型枠上の所定高さ位置に配置される。そして、ドレン本体2を前記固定装置によって前記躯体底用の型枠に固定する。これにより、ドレン本体2は、ドレン受皿部7の側壁部12,12が通水溝路51の長手方向(溝長手方向)に沿うと共に該ドレン受皿部7の端壁部13,13が通水溝路51の幅方向(溝幅方向)に沿うように位置決め固定される。こうして配置された状態で、コンクリートが打設され、養生後に前記躯体底用の型枠を取り外すことによって、ドレン本体2を埋設した前記バルコニー71が形成される。ここで、躯体底用の型枠を取り外す際には、ドレン本体2と前記固定装置との固定を解除して、該固定装置を該ドレン本体2から取り外す。このようにバルコニー71を形成した後に、円筒状スペーサ64に、下方から排水管61を挿通させて配置することにより、
図1,2に示すように、ドレン本体2の排水筒部8が該排水管61に嵌入される。尚、排水管61の内部空域が、本発明にかかる排水孔に相当する。
【0020】
このようにドレン本体2が埋設された通水溝路51では、ドレン本体2のドレン受皿部7が該通水溝路51の底部で上方へ露出されており、該ドレン受皿部7を覆う前記ストレーナ3が連結されることによって、本実施例のルーフドレン1が通水溝路51に付設される。
【0021】
尚、本実施例の通水溝路51は、その底部に長手方向でルーフドレン1に向かって下り勾配が形成されている。この下り勾配は、通水溝路51を構成する前記底面パネル52上にモルタルで形成される。
【0022】
次に本発明の要部について説明する。
以下では、ルーフドレン1の長手方向を、該ルーフドレン1を通水溝路51に付設した状態における該通水溝路51の長手方向により規定し、該ルーフドレン1の幅方向を、付設した状態における該通水溝路51の幅方向により幅方向を規定して説明する。尚、通水溝路51の幅方向(ルーフドレン1の幅方向)を、左右方向とも言う。
【0023】
ルーフドレン1のドレン本体2には、
図3,4に示すように、長手方向両端部に取付支持部材21,21がネジ29,29により固結されている。ここで、ドレン受皿部7には、
図5に示すように、各端壁部13,13に長手方向外方へ突出された突部31,31が夫々設けられており、各突部31,31に、前記ネジ29を螺号するネジ穴32が夫々形成されている。各突部31のネジ穴32に、取付支持部材21を介して該ネジ29を締結させることによって、該取付支持部材21がドレン受皿部7に固結される。尚、突部31は、ドレン受皿部7の幅方向中央部に設けられており、ドレン受皿部7と一体成形されている。
【0024】
取付支持部材21は、所定形状の金属板を折曲げ加工して成形されたものであり、
図3,4,6に示すように、ドレン受皿部7の底部11の下面に当接される固結板部22と、該固結板部22の左右両端から上方へ夫々延出された側板部23,23とを備える。固結板部22が、ドレン受皿部7の幅方向寸法(左右方向の寸法)よりも長い所定寸法で形成されており、該ドレン受皿部7に固結された状態で、左右の側板部23,23が該ドレン受皿部7の側壁部12,12に所定間隔をおいて対向配置される。ここで、側板部23と側壁部12との間隔は、前記した側面パネル53,54の板厚よりも僅かに長い寸法に設定されている。こうした取付支持部材21の側板部23とドレン受皿部7の側壁部12とによって、
図1,7(A)に示すように、側面パネル53,54の下縁を嵌入支持する側板支持溝部27が構成されている。尚、側板部23と側壁部12との間隔が、側板支持溝部27の溝幅に相当し、側壁部12が、本発明にかかるドレン受皿部の左右側部に相当する。
【0025】
さらに、ドレン受皿部7には、
図3~5に示すように、左右の側壁部12,12から幅方向外方へ延出された載置部26,26が設けられている。載置部26は、側壁部12の長手方向中央部に設けられており、ドレン受皿部7と一体成形されている。載置部26は、通水溝路51に付設された状態で水平方向に沿う略弓形状の上面を有しており、該上面に、前記取付支持部材21の側板部23と側壁部12との間に嵌入された側面パネル53,54の下縁が載置される。すなわち、載置部26の上面が、前記側板支持溝部27の溝底面を構成しており、該載置部26と側板部23と側壁部12とによって該側板支持溝部27が構成されている。
【0026】
一方、ドレン受皿部7には、両端壁部13,13の突部31,31に、長手方向外方へ開口する底板支持凹部33,33が夫々設けられている。底板支持凹部33は、突部31を幅方向に横断して形成されており、上下間隔が前記底面パネル52の板厚よりも僅かに長い寸法に設定されている。
図2,7(B)に示すように、こうした底板支持凹部33に底面パネル52の長手方向端縁が嵌入されて支持される。
【0027】
本実施例にあって、前記底板支持凹部33と載置部26とは、該載置部26の上面に載置された側面パネル53,54の下縁が、該底板支持凹部33に長手方向端縁を嵌入した底面パネル52上に載置されるように、夫々の高さ位置が設定されている。
【0028】
本実施例のドレン本体2は、前記取付支持部材21,21が固結された状態で、通水溝路51に付設される。詳述すると、バルコニー71の施工作業で、前述したように躯体底用の型枠上に円筒状スペーサ64を介してドレン本体2が配置される。そして、通水溝路51を構成する複数の底面パネル52が、所定高さ位置で列設され、ドレン本体2の端壁部13,13に夫々対向配置される底面パネル52,52の長手方向端縁が、当該ドレン本体2の各底板支持凹部33,33に嵌入されて支持される。一方、通水溝路51を構成する左右の側面パネル53,54が、該通水溝路51の溝幅をおいて対向配置される。ここで、各側面パネル53,54は、その下縁の一部が前記ドレン本体2の各側板支持溝部27,27に嵌入されて支持されると共に、該側板支持溝部27,27に嵌入されない該下縁の他部が底面パネル52の左右両側縁に乗載される。このようにドレン本体2、底面パネル52、および側面パネル53,54が配置された後に、前述したようにコンクリートが打設されて、前記通水溝路51を有するバルコニー71が形成される。
【0029】
こうしたドレン本体2にあっては、施工時に、ドレン受皿部7が側面パネル53,54と底面パネル52,52とによって隙間無く囲まれて配置されることから、該ドレン受皿部7の周囲からコンクリートが流出することを抑制できる。さらに、底面パネル52,52の端縁が底板支持凹部33,33に嵌入支持されることから、コンクリートの打設によって該底面パネル52,52が浮き上がることを抑制できる。ここで、底面パネルと側面パネルとを用いた施工法では、従来、底面パネルに開口を形成して、該開口でドレン受皿部が露出配置された状態でコンクリートを打設していたことから、該ドレン受皿部の周囲からコンクリートが流出する不具合や、底面パネルの端縁が浮き上がる不具合が生じていた。こうした不具合を、本実施例の構成によれば抑制できることから、該不具合の修正に要する作業を削減でき、該作業の手間とコストとを抑制できる。
【0030】
さらに、本実施例のドレン本体2は、底板支持凹部33,33で底面パネル52,52を嵌入支持し且つ側板支持溝部27,27で側面パネル53,54を嵌入支持することから、底面パネル52と側面パネル53,54とに対する相対位置を正確かつ容易に位置合わせできる。これにより、ドレン本体2の配置にかかる作業を容易に行うことができ、総じて施工作業の作業性を向上できる。
【0031】
このように本実施例のルーフドレン1は、バルコニー71の床72と通水溝路51とを、該通水溝路51を構成する底面パネル52と側面パネル53,54とを用いて施工する工法に好適なものであり、通水溝路51を所望の形状寸法で正確かつ容易に成形することができる。
【0032】
また、本実施例のルーフドレン1は、取付支持部材21をネジ29によりドレン本体2に固結したものであり、脱着することも可能である。これにより、側面パネル53,54の板厚に応じた取付支持部材21を適用することができ、様々な板厚の側面パネル53,54に容易に対応可能である。例えば、異なる溝幅の側板支持溝部27を形成する取付支持部材21を準備しておくことで、施工現場で、側面パネルに応じて取付支持部材21を変更することが可能である。
【0033】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、実施例では、バルコニー71に配設される具体例であるが、これに限らず、ベランダや廊下などにも同様に配設することが可能である。
【0034】
実施例では、側板支持溝部27を構成する載置部26がドレン本体2に一体成形されたものであるが、これに限らず、ドレン本体2に着脱可能な構成であっても良い。具体的には、取付支持部材が、側面パネルの下縁を支持する載置部(例えば、段状の部位等)を備えた構成とすることができる。
【0035】
実施例では、側板支持溝部27が、ドレン本体2に着脱可能な取付支持部材21により構成されたものであるが、これに限らず、ドレン受皿部に側板支持溝部が一体成形された構成とすることもできる。具体的には、ドレン受皿部の外周縁部に長手方向に亘って溝が形成され、該溝により側板支持溝部が構成されるものとできる。
【0036】
実施例では、底板支持凹部33がドレン本体2に一体成形されたものであるが、これに限らず、該ドレン本体に着脱可能に形成されるものであっても良い。例えば、取付支持部材が、ドレン本体に取り付けられることで、底板支持凹部が形成されるものとできる。
【0037】
実施例では、通水溝路51が左右の側面パネル53,54を夫々一枚ずつ配設してなる構成としたが、これに限らず、夫々複数枚を長手方向に列設させた構成としても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 ルーフドレン
2 ドレン本体
3 ストレーナ
7 ドレン受皿部
8 排水筒部
9 ネジ
11 底部
12 側壁部
13 端壁部
14 通水孔
21 取付支持部材
22 固結板部
23 側板部
26 載置部
27 側板支持溝部
29 ネジ
31 突部
32 ネジ穴
33 底板支持凹部
51 通水溝路
52 底面パネル
53,54 側面パネル
61 排水管
64 円筒状スペーサ
71 バルコニー
72 床