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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119222
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】開封検知ラベルおよび包装体
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230821BHJP
   B65D 77/36 20060101ALI20230821BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230821BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20230821BHJP
   G09F 3/03 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
G06K19/077 304
B65D77/36
B65D25/20 P
G09F3/00 M
G09F3/03 F
G06K19/077 152
G06K19/077 224
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021970
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徳顕
(72)【発明者】
【氏名】中林 貴光
【テーマコード(参考)】
3E062
3E067
【Fターム(参考)】
3E062BB02
3E062BB10
3E062DA07
3E067BA01A
3E067BC03A
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB27
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】開封動作時に開封検知回路を確実に断線できるとともに、ICタグが損傷したり剥がれたりすることを防止できる開封検知ラベルおよび包装体を提供する。
【解決手段】基材5と、基材5に設けられるICタグ6と、基材5に設けられ断線するとICチップに検知される開封検知回路7と、を有し、基材5は、第1包装部材2に貼り付けられる第1基材部51と、第2包装部材3に貼り付けられる第2基材部52と、第1基材部51と第2基材部52との間に設けられる境界基材部53と、を有し、ICタグ6は、第1基材部51および第2基材部52のいずれかに設けられ、開封検知回路7は、第1基材部51、境界基材部53および第2基材部52に跨って設けられ、境界基材部53には、第1包装部材2と第2包装部材3とが相対変位する相対変位方向の両端部それぞれに相対変位方向に交差する方向に間隔をあけて複数のスリット54が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対変位可能な第1包装部材と第2包装部材とに跨って貼り付けられる基材と、
ICチップとアンテナとを備え前記基材に設けられるICタグと、
前記基材に設けられ断線すると前記ICチップに検知される開封検知回路と、を有し、
前記基材は、
前記第1包装部材に貼り付けられる第1基材部と、
前記第2包装部材に貼り付けられる第2基材部と、
前記第1基材部と前記第2基材部との間に設けられ、前記第1包装部材と前記第2包装部材との境界部分に設けられる境界基材部と、を有し、
前記ICタグは、前記第1基材部および前記第2基材部のいずれかに設けられ、
前記開封検知回路は、前記第1基材部、前記境界基材部および前記第2基材部に跨って設けられ、
前記境界基材部には、
前記第1包装部材と前記第2包装部材とが相対変位する相対変位方向の両端部それぞれに前記相対変位方向に交差する方向に間隔をあけて複数のスリットが設けられている開封検知ラベル。
【請求項2】
前記境界基材部には、前記相対変位方向の両端部にそれぞれ設けられた前記スリットの間に、前記相対変位方向全体にわたって延びるミシン目が設けられている請求項1に記載の開封検知ラベル。
【請求項3】
相対変位可能な第1包装部材および第2包装部材と、
前記第1包装部材と前記第2包装部材とに跨って設けられる開封検知ラベルと、を有し、
前記開封検知ラベルは、
前記第1包装部材と前記第2包装部材とに跨って貼り付けられる基材と、
ICチップとアンテナとを備え前記基材に設けられるICタグと、
前記基材に設けられ断線すると前記ICチップに検知される開封検知回路と、を有し、
前記基材は、
前記第1包装部材に貼り付けられる第1基材部と、
前記第2包装部材に貼り付けられる第2基材部と、
前記第1基材部と前記第2基材部との間に設けられ、前記第1包装部材と前記第2包装部材との境界部分に設けられる境界基材部と、を有し、
前記ICタグは、前記第1基材部および前記第2基材部のいずれかに設けられ、
前記開封検知回路は、前記第1基材部、前記境界基材部および前記第2基材部に跨って設けられ、
前記境界基材部には、
前記第1包装部材と前記第2包装部材とが相対変位する相対変位方向の両端部それぞれに前記相対変位方向に交差する方向に間隔をあけて複数のスリットが設けられている包装体。
【請求項4】
前記第1包装部材と前記第2包装部材とは、相対回転可能に構成され、
前記開封検知ラベルは、前記相対回転の軸線に直交する面に沿って設けられる請求項3に記載の包装体。
【請求項5】
前記第1包装部材と前記第2包装部材とは、相対回転可能であるとともに、前記相対回転の軸線に直交する面に交差する方向に相対変位可能である請求項4に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封検知ラベルおよび包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
UHF-RFIDやNFC等のICタグを商品に取り付けることにより、商品のトレーサビリティや入出庫管理、在庫管理、決済管理などの商品管理を行ったり、商品の真正品証明、偽造防止、消費者向けサービスへの誘導などを行ったりすることが知られている。
また、ICタグを取り付けることにより、開封されたことが検知される包装体も知られている。例えば、特許文献1には、ICタグと、ICタグと接続される開封検知回路と、が設けられ、開封動作によって開封検知回路が断線されたことをICタグが検知可能なキャップ(包装体)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-190138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開封検知回路が断線されることで開封が検知される包装体では、開封動作時に開封検知回路が確実に断線される必要がある。また、開封動作の外力によってICタグが損傷したり剥がれたりすることを防止する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、開封動作時に開封検知回路を確実に断線できるとともに、ICタグが損傷したり剥がれたりすることを防止できる開封検知ラベルおよび包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る開封検知ラベルは、相対変位可能な第1包装部材と第2包装部材とに跨って貼り付けられる基材と、ICチップとアンテナとを備え前記基材に設けられるICタグと、前記基材に設けられ断線すると前記ICチップに検知される開封検知回路と、を有し、前記基材は、前記第1包装部材に貼り付けられる第1基材部と、前記第2包装部材に貼り付けられる第2基材部と、前記第1基材部と前記第2基材部との間に設けられ、前記第1包装部材と前記第2包装部材との境界部分に設けられる境界基材部と、を有し、前記ICタグは、前記第1基材部および前記第2基材部のいずれかに設けられ、前記開封検知回路は、前記第1基材部、前記境界基材部および前記第2基材部に跨って設けられ、前記境界基材部には、前記第1包装部材と前記第2包装部材とが相対変位する相対変位方向の両端部それぞれに前記相対変位方向に交差する方向に間隔をあけて複数のスリットが設けられている。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る包装体は、相対変位可能な第1包装部材および第2包装部材と、前記第1包装部材と前記第2包装部材とに跨って設けられる開封検知ラベルと、を有し、前記開封検知ラベルは、前記第1包装部材と前記第2包装部材とに跨って貼り付けられる基材と、ICチップとアンテナとを備え前記基材に設けられるICタグと、前記基材に設けられ断線すると前記ICチップに検知される開封検知回路と、を有し、前記基材は、前記第1包装部材に貼り付けられる第1基材部と、前記第2包装部材に貼り付けられる第2基材部と、前記第1基材部と前記第2基材部との間に設けられ、前記第1包装部材と前記第2包装部材との境界部分に設けられる境界基材部と、を有し、前記ICタグは、前記第1基材部および前記第2基材部のいずれかに設けられ、前記開封検知回路は、前記第1基材部、前記境界基材部および前記第2基材部に跨って設けられ、前記境界基材部には、前記第1包装部材と前記第2包装部材とが相対変位する相対変位方向の両端部それぞれに前記相対変位方向に交差する方向に間隔をあけて複数のスリットが設けられている。
【0008】
本発明では、包装体を開封(開口)させるために第1包装部材と第2包装部材とを相対変位させると、この相対変位に伴って開封検知ラベルの基材が変形し、基材の境界基材部に設けられたスリットから切断される。スリットは、相対変位方向に交差する方向に間隔をあけて複数設けられているため、基材が複数個所で切断される。これにより、基材を第1基材部、第2基材部および境界基材部の3つ以上に切断することができる。
基材が切断されることで第1包装部材と第2包装部材との相対変位量が大きくなるため、第1基材部、境界基材部および第2基材部とに跨って設けられた開封検知回路が引っ張られて、確実に断線される。
更に、境界基材部は、複数のスリットが設けられていることによって第1基材部および第2基材部よりも切断しやすく、外力が集中する。このため、第1基材部および第2基材部や、これらのいずれかに設けられたICタグには外力が作用しにくく、ICタグが破断したり、剥がれたりすることを防止できる。
【0009】
また、本発明に係る開封検知ラベルでは、前記境界基材部には、前記相対変位方向の両端部にそれぞれ設けられた前記スリットの間に、前記相対変位方向全体にわたって延びるミシン目が設けられていてもよい。
【0010】
このような構成とすることにより、境界基材部をミシン目によってより確実に切断することができる。また、ミシン目によって境界基材部が切断される方向がガイドされるため、切れ目が第1基材部や第2基材部に達して第1基材部や第2基材部が切断されることが防止される。これにより、第1基材部および第2基材部のいずれかに設けられたICタグが破断したり、剥がれたりすることを防止できる。
【0011】
また、本発明に係る包装体では、前記第1包装部材と前記第2包装部材とは、相対回転可能に構成され、前記開封検知ラベルは、前記相対回転の軸線に直交する面に沿って設けられていてもよい。
【0012】
このような構成とすることにより、第1包装部材と第2包装部材とが相対回転した際に開封検知ラベルに作用する外力が設置面に沿った方向の外力となるため、開封検知ラベルが第1包装部材および第2包装部材から容易に剥がれることを防止できる。
【0013】
また、本発明に係る包装体では、前記第1包装部材と前記第2包装部材とは、相対回転可能であるとともに、前記相対回転の軸線に直交する面に交差する方向に相対変位可能であってもよい。
【0014】
このような構成とすることにより、第1包装部材と第2包装部材とが相対回転した際に開封検知ラベルに作用する外力の方向が設置面に沿った方向と、設置面に交差する方向の2方向となる。このため、2方向の少なくとも1つの方向の外力によって境界基材部を確実に切断させることができ、開封検知回路を確実に断線させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開封動作時に開封検知回路を確実に断線できるとともに、ICタグが損傷したり剥がれたりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態による閉鎖状態の包装体の斜視図である。
図2】第1実施形態による包装体の平面図である。
図3】第1実施形態による開封状態の包装体の斜視図である。
図4】第1実施形態による開封検知ラベルの平面図である。
図5】第2実施形態による閉鎖状態の包装体の斜視図である。
図6】第2実施形態による閉鎖状態の包装体の正面図である。
図7】第2実施形態による開封検知ラベルの平面図である。
図8】第2実施形態による開封状態の包装体の斜視図である。
図9】スリットおよびミシン目の第1変形例を示す図である。
図10】スリットおよびミシン目の第2変形例を示す図である。
図11】スリットおよびミシン目の第3変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による開封検知ラベルおよび包装体について、図1から図4に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、第1実施形態による包装体1は、容器に取り付けられるキャップなどで、第1包装部材2と、第1包装部材2と相対移動可能な第2包装部材3と、第1包装部材2と第2包装部材3とに跨って設けられる開封検知ラベル4と、を有している。
第1包装部材2は、円柱状である。
第2包装部材3は、円柱状に形成され、第1包装部材2の内側に同軸に配置されている。第1包装部材2の内周面と、第2包装部材3の外周面とは、接触または隙間をあけて対向している。
第1包装部材2および第2包装部材3の軸線回りの方向を周方向と表記し、軸線に対して垂直に近接・離反する方向を径方向と表記する。
【0018】
第1包装部材2と第2包装部材3とは、軸線回り(周方向)に相対回転可能であるとともに、軸線回りの回転に伴って軸線方向に相対変位可能である。本実施形態の包装体1は、軸線が上下方向に延びる向きに配置される。すなわち、第1包装部材2と第2包装部材3とは、軸線回りの回転に伴って上下方向に相対変位可能である。
【0019】
包装体1は、第1包装部材2と第2包装部材3とが軸線回りに相対回転し、図3に示すように、第2包装部材3が第1包装部材2よりも下方に移動して第2包装部材3の上面が第1包装部材2の上面よりも下方に配置されると、第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面とが上下方向に離れてその間が開口した開口状態となる。包装体1は、第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面とが同じ高さに隣接している状態では、第1包装部材2と第2包装部材3との間が開口していない閉鎖状態となる。
【0020】
図1に示すように、開封検知ラベル4は、閉鎖状態の第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面とにわたって貼り付けられる。図3に示すように、開封検知ラベル4は、包装体1が閉鎖状態から開口状態となると、第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面とが離れることによって引っ張られ切断されるように構成されている。
開封検知ラベル4について、閉鎖状態の第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面とにわたって貼り付けられ切断されていない状態を初期状態と表記し、第1包装部材2と第2包装部材3との間が開口して切断された状態を開封状態と表記する。
開封検知ラベル4は、一度切断されて開封状態となると、第1包装部材2と第2包装部材3とが閉鎖状態に戻っても初期状態には復元されない。
【0021】
図1から図4に示すように、開封検知ラベル4は、基材5と、ICタグ6と、開封検知回路7と、を有している。
基材5は、合成樹脂製のフィルム基材などで、第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面とに跨って接着されている。基材5は、シート状である。基材5の一方の面には、第1包装部材2の上面および第2包装部材3の上面に接着されるための接着層(例えば、アクリル系粘着剤、ホットメルト系粘着剤など)が設けられている。
【0022】
基材5における第1包装部材2の上面に貼り付けられている部分を第1基材部51と表記し、第2包装部材3の上面に貼り付けられている部分を第2基材部52と表記し、第1基材部51と第2基材部52との間に設けられ第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面との境界部分に重なる部分を境界基材部53と表記する。境界基材部53は、一部が第1包装部材2の上面と重なり、一部が第2包装部材3の上面と重なっている。第1基材部51、第2基材部52および境界基材部53は一体に設けられている。
第1基材部51は、第1包装部材2の上面に沿った円弧状である。第2基材部52は、第2包装部材3の上面と略同じ円形である。境界基材部53は、第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面との境界部分に沿った円弧状である。
本実施形態では、境界基材部53は、第1基材部51よりも周方向の寸法が小さい。
【0023】
ICタグ6は、第2基材部52に設けられる。ICタグ6は、ICチップ61と基材5に形成されたアンテナ62と、を有する(図2および図4参照)。アンテナ62は、基材5に金属箔をエッチングして形成される。アンテナ62は、境界基材部53には形成されない。
本実施形態では、第1基材部51の少なくとも一方の面に接着層(硬化型ウレタン接着剤)でアンテナ62をエッチングしてICタグ6の回路を積層している。
【0024】
開封検知回路7は、第1基材部51、境界基材部53および第2基材部52にわたるように設けられる。開封検知回路7は、ICチップ61に接続される。開封検知回路7が接続されるICタグ6の端子は、アンテナ62が接続されるICタグ6の端子と異なる。開封検知回路7とアンテナ62とは、別の回路である。開封検知回路7は、基材5に金属箔をエッチングして形成される。
【0025】
境界基材部53には、周方向の両側それぞれに径方向に間隔をあけてスリット54が形成されている。スリット54とは、境界基材部53に径方向の両側から切り込まれた切込みである。スリット54は、周方向に延びる線状である。
境界基材部53の周方向の両側のスリット54の間には、周方向全体にわたって周方向に延びるミシン目55が形成されている。本実施形態では、境界基材部53にスリット54およびミシン目55が径方向に間隔をあけて2列設けられている。ミシン目55それぞれの目は、周方向に延びる線状である。
スリット54およびミシン目55は、基材5を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
開封検知回路7は、ミシン目55の上にも配置される。なお、境界基材部53における開封検知回路7の金属箔が設けられる部分にはミシン目55を形成しないようにしてもよい。
【0026】
本実施形態による開封検知ラベル4は、以下のように製作される。
基材5の材料となるフィルム基材にICタグ6および開封検知回路7を形成する。
フィルム基材のいずれかの面に接着層を付与する。
フィルム基材を開封検知ラベル4の外形に合わせて打ち抜く。このフィルム基材の打ち抜きと同時、または前後してスリット54およびミシン目55を形成する。
このようにして開封検知ラベル4が製作される。
【0027】
包装体1が開封動作によって第1包装部材2と第2包装部材3とが閉鎖状態から相対変位して離れて開口状態となると、第1包装部材2に貼り付けられた第1基材部51と、第2包装部材3に貼り付けられた第2基材部52とが周方向および上下方向に離れる。これにより、境界基材部53は、周方向および上下方向に引っ張られる。すなわち、境界基材部53は、その面に沿った方向および面に交差する方向に引っ張られる。上記のように引っ張られた境界基材部53は、スリット54およびミシン目55が開き、スリット54およびミシン目55の位置で切断される。これにより、第1包装部材2と第2包装部材3とが更に離れ、開封検知回路7が断線され、開封検知ラベル4が開封状態となる。
ICチップ61が開封検知回路7の断線を検知することで、包装体1が開封(開口)されたことが検知される。
境界基材部53には、スリット54およびミシン目55が径方向に間隔をあけて2列設けられている。これにより、境界基材部53が2列のスリット54およびミシン目55それぞれで切断され、基材5が3つに分断される。基材5が3つに分断されることで、開封検知回路7の基材5との接着箇所が少なくなるため、開封検知回路7を確実に断線できる。
【0028】
本実施形態では、境界基材部53の少なくともスリット54およびミシン目55が設けられる部分は、第1包装部材2および第2包装部材3に接着されていない。境界基材部53の少なくともスリット54およびミシン目55が設けられる部分には、接着層が設けられていないか、設けられた接着層を覆う部材が貼り付けられている。
このようにすることにより、境界基材部53は、スリット54およびミシン目55の位置で切断されやすくなる。
【0029】
次に、本発明の第1実施形態による開封検知ラベルおよび包装体の作用・効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による開封検知ラベル4および包装体1では、スリット54が相対変位方向に交差する方向に間隔をあけて複数設けられているため、基材5が複数個所で切断される。これにより、基材5を第1基材部51、第2基材部52および境界基材部53の3つ以上に切断することができる。
基材5が切断されることで第1包装部材2と第2包装部材3との相対変位量が大きくなるため、第1基材部51、境界基材部53および第2基材部52に跨って設けられた開封検知回路7が引っ張られて、確実に断線される。
更に、境界基材部53は、複数のスリット54が設けられていることによって第1基材部51および第2基材部52よりも切断しやすく、外力が集中する。このため、第1基材部51および第2基材部52や、第1基材部51に設けられたICタグ6には外力が作用しにくく、ICタグ6が破断したり、剥がれたりすることを防止できる。
【0030】
また、本実施形態による開封検知ラベルでは、境界基材部53には、スリット54の間に、相対変位方向全体にわたって延びるミシン目55が設けられている。
このような構成とすることにより、境界基材部53をミシン目55によってより確実に切断することができる。また、ミシン目55によって境界基材部53が切断される方向がガイドされるため、切れ目が第1基材部51や第2基材部52に達して第1基材部51や第2基材部52が切断されることが防止される。これにより、第2基材部52に設けられたICタグが破断したり、剥がれたりすることを防止できる。
【0031】
また、本実施形態による包装体1では、第1包装部材2と第2包装部材3とは、相対回転可能に構成され、開封検知ラベル4は、相対回転の軸線に直交する面(第1包装部材2および第2包装部材3の上面)に沿って設けられている。
このような構成とすることにより、第1包装部材2と第2包装部材3とが相対回転した際に開封検知ラベル4に作用する外力が第1包装部材2および第2包装部材3の上面に沿った方向の外力となるため、開封検知ラベル4が第1包装部材2および第2包装部材3から容易に剥がれることを防止できる。
【0032】
また、本実施形態による包装体1では、第1包装部材2と第2包装部材3とは、周方向に相対回転可能であるとともに、上下方向(相対回転の軸線に直交する面に交差する方向)に相対変位可能である。
このような構成とすることにより、第1包装部材2と第2包装部材3とが相対回転した際に開封検知ラベル4に作用する外力の方向がその面に沿った方向と、面に交差する方向の2方向の外力となる。このため、2方向の少なくとも1つの方向の外力によって境界基材部53を確実に切断させることができ、その結果、開封検知回路7を確実に断線させることができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図5および図6に示すように、第2実施形態による包装体1Bでは、円柱状または円筒状の第1包装部材2Bと、円柱状または円筒状の第2包装部材3Bとが同軸かつ、軸線方向に並んで配置される。第1包装部材2Bと第2包装部材3Bとは同径であり、それぞれの外周面が連続している。第1包装部材2Bと第2包装部材3Bとは、軸線回りに相対回転可能に構成されている。本実施形態では、第1包装部材2Bと第2包装部材3Bとは上下に配置され、軸線が上下方向に延びている。
【0034】
第2実施形態による開封検知ラベル4Bは、第1包装部材2Bの外周面と第2包装部材3Bの外周面とにわたるように貼り付けられている。
開封検知ラベル4Bの基材5Bは、第1包装部材2Bの外周面と第2包装部材3Bの外周面とにわたるように貼り付けられている。基材5における第1包装部材2Bの外周面に貼り付けられている部分を第1基材部51Bと表記し、第2包装部材3Bの外周面に貼り付けられている部分を第2基材部52Bと表記し、第1包装部材2Bと第2包装部材3Bとの間に設けられ第1包装部材2Bの外周面と第2包装部材3Bの外周面との境界部分に重なる部分を境界基材部53Bと表記する。第1基材部51B、第2基材部52Bおよび境界基材部53Bは、一体に設けられている。
【0035】
図5から図7に示すように、開封検知ラベル4Bは、第2基材部52BにICタグ6が設けられ、境界基材部53B、第1基材部51Bおよび第2基材部52Bにわたるように開封検知回路7Bが設けられている。
基材5Bの境界基材部53Bには、周方向の両端部にスリット54が上下2列に設けられている。周方向の両側のスリット54の間には、ミシン目55が設けられている。ミシン目55も、上下2列に設けられている。
【0036】
図8に示すように、本実施形態による包装体1Bは、閉鎖状態から第1包装部材2Bと第2包装部材3Bとが相対回転すると、基材5Bの第1基材部51Bと第2基材部52Bとが互いに周方向に離れて境界基材部53Bが周方向に引っ張られる。すなわち、境界基材部53Bは、その面に沿った方向に引っ張られる。境界基材部53Bは、上記のように引っ張られると、スリット54およびミシン目55が開き、スリット54およびミシン目55の位置で切断される。これにより、第1包装部材2Bと第2包装部材3Bとが更に離れ、開封検知回路7Bが断線される。
ICチップ61が開封検知回路7Bの断線を検知することで、包装体1Bが開封されたことが検知される。
【0037】
第2実施形態による開封検知ラベル4Bおよび包装体1Bは、開封動作の形態が異なるが、第1実施形態の開封検知ラベル4および包装体1と同様の効果を奏する。
【0038】
以上、本発明による開封検知ラベルおよび包装体の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1包装部材2と第2包装部材3とは、同軸配置され、少なくとも一方が軸線回りに回転することで相対変位している。これに対し、第1包装部材2と第2包装部材3とは、任意の直線方向に相対変位可能であってもよい。第1包装部材2と第2包装部材3とは、互いの間の距離を変えないようにスライドして相対変位してもよいし、互いが近接・離反するように相対変位してもよい。いずれの場合も、開封検知ラベル4が第1包装部材2と第2包装部材3とにわたって貼り付けられていればよい。
【0039】
上記の実施形態では、第2基材部52,52BにICタグ6が設けられているが、第2基材部52,52Bに代わって第1基材部51,51BにICタグ6が設けられていてもよい。第1基材部51,51B、第2基材部52,52B、境界基材部53,53Bの形状は上記以外であってもよい。
上記の第1実施形態では、第1基材部51は、第1包装部材2の上面に沿った円弧状であり、第2基材部52は、第2包装部材3の上面と略同じ円形であり、境界基材部53は、第1包装部材2の上面と第2包装部材3の上面との境界部分に沿った円弧状である。第1基材部51、第2基材部52および境界基材部53の形状は適宜設定されてよい。
【0040】
上記の実施形態では、境界基材部53には、スリット54の間に、相対変位方向全体にわたって延びるミシン目55が設けられているが、スリット54のみが設けられていてもよい。
上記の実施形態では、スリット54およびミシン目55が2列に設けられているが3列以上設けられ、開封状態となると境界基材部53がスリット54およびミシン目55で複数に切断され、開封検知回路7,7Bがより確実に断線するように構成されていてもよい。
【0041】
上記の実施形態では、境界基材部53に設けられるスリット54およびミシン目55の目は、相対変位方向に延びる線状であるが、図9に示すスリット54およびミシン目55のような相対変位方向に延びる波形状や、図10に示すスリット54およびミシン目55のような相対変位方向に連なる十字形状や、図11に示すスリット54およびミシン目55のような相対変位方向に連なるY字形状やT字形状であってもよい。また、異なる形状のスリット54やミシン目55が混在していてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1,1B 包装体
2,2B 第1包装部材
3,3B 第2包装部材
4,4B 開封検知ラベル
5,5B 基材
6 ICタグ
7,7B 開封検知回路
51,51B 第1基材部
52,52B 第2基材部
53,53B 境界基材部
54 スリット
55 ミシン目
61 ICチップ
62 アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11