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特開2023-11923HOELP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)を使用するBPH処置の最適化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011923
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】HOELP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)を使用するBPH処置の最適化
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/067 20060101AFI20230117BHJP
   A61B 18/22 20060101ALI20230117BHJP
   A61B 17/3205 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A61N5/067
A61B18/22
A61B17/3205
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180405
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2020551799の分割
【原出願日】2019-03-28
(31)【優先権主張番号】62/649,930
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520365230
【氏名又は名称】ルミナス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ハチャトゥーロフ,アルカディ
(72)【発明者】
【氏名】ワイズマン,タル
(72)【発明者】
【氏名】ベニスティ,エイアル
(72)【発明者】
【氏名】フェルドチテイン,ミカエル
(57)【要約】
【課題】ファイバのバーンバックを排除または減少し、焼灼および凝固を促進し、より良好な処置パラメータが得られ、泡の形成および形状を制御する。
【解決手段】レーザーデバイスは、ファイバの遠位送達端で液体媒体中に1つ以上の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有するように制御器によって構成される、1つ以上のレーザーパルスを提供するように構成される。1つ以上のパルスは、制御器によって、第1に、内視鏡の遠位端部の遠位および光ファイバの遠位送達端の周りで、蒸気泡を形成させることと、第2に、第1の泡の遠位で第2の泡を形成させることと、第3に、第1の泡が崩壊し始めたら、ファイバの遠位送達端と標的組織との間の空間から液体媒体のかなりの部分をずらすのに十分な量を膨らませるように、第2の泡を膨張させることとを行うように構成される。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織のレーザービームでの処置のための装置であって、
液体媒体に取り囲まれた標的組織を有する体管腔内に挿入されるように構成された光ファイバに接続されるように構成されたレーザー源と、
前記液体媒体の部分を気化して複数の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有する複数のレーザーパルスを前記レーザー源に発生させるように構成された制御器と、を備え、
前記複数の蒸気泡の他の1つが崩壊する間に、前記複数の蒸気泡の1つが膨張し、前記複数の蒸気泡の1つ以上を通してレーザーの放射が前記標的へ送達される、装置。
【請求項2】
前記複数のレーザーパルスの隣接パルス間の時間間隔は不均一である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記標的組織は、前立腺組織である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記標的組織は、結石である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の蒸気泡の第1の蒸気泡は第1の直径まで膨らみ、前記複数の蒸気泡の第2の蒸気泡は前記第1の直径とは異なる第2の直径まで膨らむ、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の直径は、前記第2の直径より小さい、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の蒸気泡の1つは、前記光ファイバの遠位端を少なくとも部分的に囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の蒸気泡の1つは、前記光ファイバの遠位端から離れて位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の蒸気泡の第1の蒸気泡は前記光ファイバの遠位端を少なくとも部分的に囲み、前記複数の蒸気泡の第2の蒸気泡は前記複数の蒸気泡の第1の蒸気泡の遠位に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の蒸気泡は、第1の蒸気泡と第2の蒸気泡を含み、前記第2の蒸気泡の形成は、前記第1の蒸気泡の直径が減少し前記第1の蒸気泡内の圧力が増加している期間に開始される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
医療システムであって、
レーザー源と、
前記レーザー源に接続されるように構成された光ファイバであって、前記光ファイバがさらに液体媒体に取り囲まれた標的組織を有する体管腔内に挿入されるように構成された、前記光ファイバと、
前記液体媒体の部分を気化して複数の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有する複数のレーザーパルスを前記レーザー源に発生させるように構成された制御器と、を備え、
前記複数の蒸気泡の他の1つが崩壊する間に、前記複数の蒸気泡の1つが膨張し、前記複数の蒸気泡の1つ以上を通してレーザーの放射が前記標的へ送達される、システム。
【請求項12】
前記複数のレーザーパルスの隣接パルス間の時間間隔は不均一である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記標的組織は、前立腺組織である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記標的組織は、結石である、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の蒸気泡の第1の蒸気泡は第1の直径まで膨らみ、前記複数の蒸気泡の第2の蒸気泡は前記第1の直径とは異なる第2の直径まで膨らむ、請求項11に記載システム。
【請求項16】
前記第1の直径は、前記第2の直径より小さい、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の蒸気泡の1つは、前記光ファイバの遠位端を少なくとも部分的に囲む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の蒸気泡の1つは、前記光ファイバの遠位端から離れて位置する、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の蒸気泡の第1の蒸気泡は前記光ファイバの遠位端を少なくとも部分的に囲み、前記複数の蒸気泡の第2の蒸気泡は前記複数の蒸気泡の第1の蒸気泡の遠位に形成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の蒸気泡は、第1の蒸気泡と第2の蒸気泡を含み、前記第2の蒸気泡の形成は、前記第1の蒸気泡の直径が減少し前記第1の蒸気泡内の圧力が増加している期間に開始される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる2018年3月29日に出願された米国仮出願第62/649,930号に関し、その優先権を主張するものである。本出願はまた、2018年11月1日に出願された係属中の米国特許出願第16/177,800号に関し、その優先権を主張し、その一部継続出願である。両出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、良性前立腺肥大症(BPH)の処置に有用なレーザーデバイス、具体的には、例えば、レーザー前立腺核出術(LEP)を行うのに有用なデバイスを対象とし、ホルミウムレーザーデバイスを使用して行われる場合はHoLEPと略され、ツリウムレーザーデバイスを使用して行われる場合はThuLEPと略される。本発明はまた、前立腺レーザー焼灼術(LAP)を行うのに有用であり得、ホルミウムレーザーを使用して行われる場合はHoLAPとして知られる。
【0003】
本発明は、レーザー光エネルギー源に関し、レーザー砕石術、光ファイバのバーンバックおよび標的組織の後方移動の低減、LEP、ならびに液体環境中でレーザーが使用される他の関連分野において、標的組織へ液体環境中を通過することになるレーザービームの減衰を低減するための方法ならびにデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
良性前立腺肥大症(BPH)は、成長した前立腺組織(前立腺腺腫)が、その周囲の前立腺被膜ならびに精丘および他のランドマークなどの他の器官から、被膜自体を害することなく前立腺を切断することによって分離される手術(業界では「LEP」として知られる)である、周知のレーザー核出手術を使用して上手く処置されてきた。分離された組織は、通常いくつかの小片に切断されており、次いで、膀胱に押し込まれる。次いで、小片は、身体から除去され得る大きさに小片を粉砕する機械的細切デバイスを使用して細切されてよい。2017年9月20日に出願され、“System and Method for Morcellation of Tissue”と題される係属中の米国特許出願第15/710,316号(この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたようなデバイスは、この組織除去作業を行うのに好適であり得る。加えて、レーザーを基にした細切デバイスが採用されてよい。手術全体は、内視鏡技術を使用して、自然な身体開口部を通して行われる。
【0005】
LEP手術は、(TURPなどの)他の種類の手術と異なり前立腺組織のすべてが除去されるため前立腺の再成長がないという事実により、一般に非常に低い再手術率を有するため、患者にとって非常に有益であることが見出されている。非常に低い合併症率のため、患者の回復はいくつかの他の手術より早く、痛みが少ない。
【0006】
典型的なLEP手術の第1のステップでは、被膜に到達するように前立腺組織の切開が行われてよい。これは通常、例えば、「1時」、「11時」の位置のような、外科医の向きを助ける所定の位置で行われる。一部の医師は、「5時」および「7時」、「12時」またはその他などの異なる切断を行っている。前立腺-被膜境界に到達した後、外科医は、前立腺物質と被膜との解剖学的境界に沿ってレーザーを発射してよく、したがって2つの間に分離面を作り出す。
【0007】
LEP手術中、光ファイバは、尿管鏡の作業チャネル、ならびに灌水および可視化システムを通して挿入される。光ファイバの先端から標的組織へ向けて放出されたレーザー放射線の作業環境は、したがって、液体環境である。液体環境は、光エネルギーを吸収する傾向があり、したがって、隣接する液体環境自体、および標的組織に到達する放出されたレーザービーム特性の両方に影響し得る。前述の米国特許出願第16/177,800号およびその組み込まれた参考文献で述べられているように、レーザービームと作業環境内の周囲の液体との相互作用、ならびに砕石術および結石後方移動の低減において光エネルギーの有効性をどのように高めるかに、多大な注目が注がれている。
【0008】
より具体的には、組み込まれた参考文献のいくつかの態様は、その光エネルギー吸収特性による、液体作業環境内での砕石術中の蒸気泡の生成および制御を開示する。MOSES(商標)効果はこれらの文献中で記載および最適化され、制御されたエネルギー量は環境中の液体を気化させる蒸気泡を作り出し、次いで、残りのエネルギーは、標的結石へ向けて蒸気泡を通じて送達される。機械的組織分離を改善する泡を作り出すために、異なるレーザーおよびビーム特性を制御することによって、LEP手術中、このレーザー-液体相互作用を使用および最適化することは、本発明の1つの態様である。
【0009】
前述の米国特許出願第16/177,800号に記載されているように、レーザーが発射されると、ファイバ先端の前に蒸気泡を作り出してよく、泡は、部位に存在する液体物質をレーザー気化することによって引き起こされる。前述の米国特許出願第16/177,800号に記載された砕石手術では、レーザーデバイスによって作り出された1つ以上の蒸気泡は、そのような手術において、例えば、尿路、腎臓、または膀胱に存在および「浮遊」し得る腎臓結石または他の異常成長を、破壊または分解する「経路」を作り出すのに使用される。標的となる物体と、例えば、ホルミウムレーザーまたはツリウムレーザーまたはエルビウムレーザーからのレーザーエネルギーを標的結石へ運ぶレーザーファイバ先端との間の液体物質を気化することによって、「経路」中に液体が存在しないため、より効率的な処置がもたらされてよい。本発明の態様によれば、外科医は、LEP手術中、液体作業環境中にレーザーで1つ以上の泡を作り出すことができてよく、レーザーパルスによって作り出された蒸気泡を、前立腺を機械的に切断するか、またはその被膜もしくは他の器官から前立腺を分離するのに採用することができてよい。また、1つ以上の泡の標的組織への通路は、レーザー切断面のより容易な視覚追跡を可能とする。
【0010】
LEP手術では、3つの用語が、この外科手術に関連し得る:1.MOSES(商標)効果に関する上述のおよび組み込まれた技術ならびにその最適化;2.光-機械的効果-(標的組織上の砕石術におけるMOSES(商標)光-機械的効果とは対照的に)レーザーエネルギーは、蒸気泡を作り出し、LEP手術においておよび本発明に従って上で議論されたように、蒸気泡は、その膨張中、またはその崩壊中のキャビテーションによって、組織を機械的に分離するのに使用されている;3.光-熱効果-(再び、標的組織上の砕石術におけるMOSES(商標)光-熱効果とは対照的に)レーザーエネルギーは、組織に直接送達され、熱損傷を引き起こし、したがって、切開部を作り出すか、または焼灼もしくは凝固効果を生み出す。
【0011】
今日の砕石手術における、典型的な機器構成を図1に示す。機器100は、その近位端104で、ホルミウム、ツリウム、エルビウムまたはその他であってよいレーザー源106に接続された光レーザーファイバまたは導光体102を含む。レーザーファイバまたは導光体102は、内視鏡108に通され、その遠位端または先端110は、内視鏡の遠位端112から外に伸びる。通常モードパルスは、ファイバ遠位端110から、ファイバを取り囲む液体環境中、およびファイバと標的組織114との間に、連続的なエネルギー量を発射する。この発射は、成長する泡の膨張を引き起こし、その崩壊が後に続き、典型的には、その中心がファイバ先端110周りに位置する対称な泡116が膨張する。
【0012】
図1のこの先行技術の構成に関連した1つの問題は、(一つまたは複数の)泡が、ファイバ先端および内視鏡の遠位端の両方に引き起こす恐れがある悪影響である。蒸気泡116は、図1に見られるように、標的組織の方向だけでなく後方にも同様に膨張し、その含有エネルギーとともにこの泡は内視鏡の遠位端に衝突し得、その崩壊中、ファイバまたは尿管鏡自体にさえ衝突し得、したがって、ファイバのいわゆる「バーンバック」またはファイバの劣化を生み出す。ファイバのバーンバックは、処置パラメータを妨害するか、または少なくともより低効率にするような程度までファイバ先端の劣化を引き起こし得る状態として知られている。さらに、泡の後方発達は、液体に吸収されたがMOSES(商標)効果を改善していない光エネルギー損失を表し、したがって、例えば、前立腺または尿路結石などの、標的組織の処置に影響を与えるのに利用可能なエネルギーを低減することによって、組織処置の効率を低下させる。
【0013】
したがって、内視鏡上の摩耗を低減し、標的組織に送達されるより多くの光エネルギーを提供する付随効果を有する、ファイバのバーンバックを排除または減少する装置および方法を提供すること、ならびにMOSES(商標)効果を利用し、組織分離を促進する泡を作り出しかつ制御することによって、焼灼および凝固を促進することが望ましいであろう。本発明は、少なくとも部分的に、この目的を対象とする。
【0014】
さらに、前述の米国特許出願第16/177,800号では、図3Bに関して、ユーザが「パルス対」繰り返し数を選択してよいステップ400が記載されている。明細書は、このステップ400をパルス対間の繰り返し数としてさらに記載しており、そのうちの1つは泡開始パルスであってよく、2つ目は処置パルスであってよい。パルス対のタイミングを操作することによって、そのより良好な処置パラメータが得られることが見出されている。本発明はさらに、この目的も対象とする。
【0015】
また、前述の米国特許出願第16/177,800号は、概してファイバ先端について記載しているが、泡の形成および形状を制御するさらなる機構を提供しない。本発明は、泡の形成および形状を制御する機構も対象とする。
【発明の概要】
【0016】
ある態様では、標的組織をレーザービームで処置する方法であって、標的組織が体管腔内で液体媒体中に浸漬されている、方法は、レーザービームを発生させるためのレーザーデバイスを提供することと、体管腔中に導入されるように構成され、遠位端部を有する内視鏡を提供することと、内視鏡中に収容されるように構成され、レーザービームを標的組織へ導くための遠位送達端を有する光ファイバまたは導光体を提供することであって、遠位送達端は、内視鏡の遠位端部からある距離突出する、提供することと、レーザーデバイスに、同じ長手方向軸に実質的に沿って1つ以上のレーザーパルスを発生させるための制御器を提供することと、を含む。LAP手術(前立腺レーザー焼灼術)では、側方発射ファイバまたは導波路が使用されてよい。制御器によってレーザーデバイスは1つ以上のレーザーパルスを提供し、1つ以上のレーザーパルスは、ファイバの遠位送達端で液体媒体中に1つ以上の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有するように、制御器によって構成され、1つ以上のパルスは、制御器によって、第1に、内視鏡の遠位端部の遠位および光ファイバまたは導光体の遠位送達端の周りで、蒸気泡を形成させることと、第2に、第1の泡の遠位で第2の蒸気泡を形成させることであって、第2の蒸気泡は、内視鏡遠位端部および光ファイバ遠位送達端の両方の遠位にある、形成させることと、第3に、第1の泡が崩壊し始めたら、ファイバの遠位送達端と標的組織との間の空間から液体媒体のかなりの部分をずらすのに十分な量を膨らませるように、第2の泡を膨張させることであって、1つ以上のパルスは、膨張した第2の泡を通じて標的組織に送達される、膨張させることとを行うように構成され、内視鏡の遠位部および光ファイバの遠位送達端から離れる第2の泡のずれは、内視鏡および光ファイバの1つ以上の、摩耗および/または損傷を低減する。
【0017】
別の態様では、標的組織が体管腔内で液体媒体中に浸漬されている、標的組織のレーザービームでの処置のための装置は、レーザービームを発生させるためのレーザーデバイスと、体管腔中に導入されるように構成され、遠位端部を有する内視鏡と、内視鏡中に収容されるように構成され、レーザービームを標的組織へ導くための遠位送達端を有する光ファイバまたは導光体であって、遠位送達端は、内視鏡の遠位端部からある距離突出する、光ファイバまたは導光体と、レーザーデバイスに、同じ長手方向軸に実質的に沿って、または同じ長手方向軸の傍らに、1つ以上のレーザーパルスを発生させるための制御器と、を含む。レーザーデバイスは1つ以上のレーザーパルスを提供するように構成され、1つ以上のレーザーパルスは、ファイバの遠位送達端で液体媒体中に1つ以上の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有するように、制御器によって構成される。1つ以上のパルスは、制御器によって、第1に、内視鏡の遠位端部の遠位および光ファイバまたは導光体の遠位送達端の周りで、蒸気泡を形成させることと、第2に、第1の泡の遠位で第2の蒸気泡を形成させることであって、第2の蒸気泡は、内視鏡遠位端部および光ファイバ遠位送達端の両方の遠位にある、形成させることと、第3に、第1の泡が崩壊し始めたら、ファイバの遠位送達端と標的組織との間の空間から液体媒体のかなりの部分をずらすのに十分な量を膨らませるように、第2の泡を膨張させることであって、1つ以上のパルスは、膨張した第2の泡を通じて標的組織に送達される、膨張させることと、を行うように構成される。内視鏡の遠位部および光ファイバの遠位送達端から離れる第2の泡のずれは、内視鏡および光ファイバの1つ以上の、摩耗および/または損傷を低減する。
【0018】
さらなる態様では、1つ以上のレーザーパルスは、2つ以上のパルス列であり、方法は、2つ以上のレーザーパルスの送達のための繰り返し数を選択する制御器のステップをさらに含む。方法はまた、制御器を通じて以下のパラメータの少なくとも1つを選択することであって:標的組織に送達される1つ以上のパルスの全エネルギーを選択すること、標的組織に送達される1つ以上のパルスのパルス長を選択すること、パルスエネルギーを選択すること、連続する1つ以上のパルス列間の時間遅延を選択すること、1つ以上のパルスに使用されるレーザー(波長)を選択すること、ファイバの大きさを選択すること、要求される臨床結果を選択すること、および送達端から標的組織までの距離を選択することを含んでよい。
【0019】
さらに別の態様では、方法は、レーザーデバイスによって照射された実際のエネルギーを測定するステップ、測定された実際のエネルギーを制御器によって選択された全エネルギーと比較するステップ、ならびに比較が、測定された実際のエネルギーの、選択された全エネルギーとの相違を実証する場合、制御器が、標的組織に送達される選択されたエネルギーを達成するように任意の後続パルスのエネルギーまたはパルス長を調節するステップをさらに含んでよい。標的組織は、人体内の組織、器官、または形成された結石であってよい。
【0020】
ある態様では、方法は、標的組織を照射するのに使用される光ファイバまたは導光体の種類を選択し、レーザーデバイスに設置するステップも含んでよい。光ファイバまたは導波路の種類は、ファイバ直径、ファイバ材料、ファイバ開口数、および遠位送達端の形状のパラメータの少なくとも1つを含む。送達端から標的組織までの距離を選択するステップは、距離を測定し、測定された距離を選択するさらなるステップを含んでよい。レーザーによって送達された実際のエネルギーを測定するステップは、レーザー放射線の光路中、または標的組織からの後方散乱レーザー光の光路中の、光検出器によって行われる。
【0021】
別の態様では、制御器がエネルギーを調節するステップは、制御器に動作可能に接続された閉ループフィードバック回路によって達成される。制御器は、レーザーデバイスに設置されたファイバの種類に関連したパラメータを断続的に認識してよい。自動的に認識するステップは、送達デバイス上および導波路または光ファイバ上に設置されたRFID識別タグによって行われる。制御器は、光ファイバの種類が選択された処置と適合するかどうかを、制御器に関連したユーザインタフェース上に示してよい。
【0022】
ある態様では、標的組織が体管腔内で液体媒体中に浸漬されているか、またはレーザービームが標的組織までの途中で液体媒体を横断しなければならない、標的組織をレーザービームで処置する方法は、レーザービームを発生させるためのレーザーデバイスを提供することと、レーザービームを標的組織へ導くための遠位送達端を有する光ファイバまたは導光体を提供することと、レーザーデバイスに、同じ長手方向軸に実質的に沿って、または同じ長手方向軸の横に、1つ以上のレーザーパルスを発生させるための制御器を提供することとを含み、制御器によってレーザーデバイスは複数のレーザーパルスを提供し、複数のレーザーパルスは、ファイバの遠位送達端で液体媒体中に1つ以上の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有するように、制御器によって構成され、複数のレーザーパルスは、1つ以上の蒸気泡を、ファイバの送達端と標的組織との間の空間から液体媒体のかなりの部分をずらすのに十分な量膨らませるように、制御器によって選択されてよく、複数のパルスは、1つ以上の蒸気泡を通じて標的組織に送達され、複数のパルスの隣接パルス間の時間間隔は不均一である。処置は前立腺核出術であってよく、1つ以上のパルスは、まず、機械的組織分離用に構成されてよく、機械的に分離された組織を切開するように構成された1つ以上のパルスが後に続く。一方、処置は、腎臓結石を小さくするための結石砕石術であってよく、1つ以上のパルスは、まず、レーザーファイバの前に結石を運ぶキャビテーションを引き起こすように構成され、腎臓結石を小さくする結石ダスティング(stone dusting)をもたらす一連の低エネルギー高繰り返し数パルスが後に続く。さらに、処置は前立腺核出術または蒸散術であってよく、1つ以上のパルスは、まず、標的組織の切開または焼灼の1つ以上を行うように構成されてよく、切開または焼灼の1つ以上が行われた組織を凝固させるように構成された1つ以上のパルスが後に続く。
【0023】
さらなる態様では、標的組織が体管腔内で液体媒体中に浸漬されてよいか、またはレーザービームが標的組織までの途中で液体媒体を横断しなければならない、標的組織をレーザービームで処置するための装置は、レーザービームを発生させるためのレーザーデバイスと、レーザービームを標的組織へ導くための遠位送達端を有する光ファイバまたは導光体と、レーザーデバイスに、同じ長手方向軸に実質的に沿って、または横方向に、1つ以上のレーザーパルスを発生させるように構成された制御器とを含み、制御器は、レーザーデバイスに複数のレーザーパルスを提供させるようにさらに構成され、複数のレーザーパルスは、ファイバの遠位送達端で液体媒体中に1つ以上の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有するように、制御器によって構成され、複数のレーザーパルスは、1つ以上の蒸気泡を、ファイバの送達端と標的組織との間の空間から液体媒体のかなりの部分をずらすのに十分な量膨らませるように、制御器によって構成されてよく、複数のパルスは、1つ以上の蒸気泡を通じて標的組織に送達され、複数のパルスの隣接パルス間の時間間隔は不均一である。
【0024】
別の態様では、処置は前立腺核出術であってよく、1つ以上のパルスは、まず、機械的組織分離用に構成され、機械的に分離された組織を切開するように構成された1つ以上のパルスが後に続く。加えて、処置は、腎臓結石を小さくするための結石砕石術であってよく、1つ以上のパルスは、まず、レーザーファイバまたは導光体の前に結石を運ぶキャビテーションを引き起こすように構成され、腎臓結石を小さくする結石ダスティングをもたらす一連の低エネルギー高繰り返し数パルスが後に続く。また、処置は前立腺核出術または蒸散術であってよく、1つ以上のパルスは、まず、標的組織の切開または焼灼の1つ以上を行うように構成され、切開または焼灼の1つ以上が行われた組織を凝固させるように構成された1つ以上のパルスが後に続く。
【0025】
さらなる態様では、標的組織が体管腔内で液体媒体中に浸漬されているか、またはレーザービームが標的組織までの途中で液体媒体を横断しなければならない、標的組織のレーザービームでの処置のための装置は、レーザービームを発生させるためのレーザーデバイスと、体管腔中に導入されるように構成され、遠位端部を有する内視鏡と、内視鏡中に収容されるように構成され、レーザービームを標的組織へ導くための遠位送達端を有する光ファイバであって、遠位送達端は、内視鏡の遠位端部からある距離突出する、光ファイバとを含む。管状中空チョークは、光ファイバもしくは導光体の遠位送達端または内視鏡の遠位端部の1つに設置されるように構成されてよく、チョークは、レーザーデバイスがレーザービームを発生させると、内視鏡の遠位端部または光ファイバもしくは導光体の遠位端の1つの遠位に形成される蒸気泡を整形するように構成されてよい。管状中空チョークは、円筒形状またはテーパ円錐台形状の1つであってよい。さらに、テーパは、円錐台形中空チョークの近位端から遠位端へ増加または減少するテーパ形状のいずれかであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】先行技術のデバイスの図を示す。
図2】本発明の泡の形成の態様を示す。
図3A】本発明に関連する、一連の泡の形成を示す。
図3B】本発明に関連する、一連の泡の形成を示す。
図3C】本発明に関連する、一連の泡の形成を示す。
図3D】本発明における泡の形成のグラフ表示である。
図4A】本発明におけるパルス形成のタイミングの態様を示す。
図4B】本発明におけるパルス形成のタイミングの態様を示す。
図4C】本発明におけるパルス形成のタイミングの態様を示す。
図5A】光ファイバまたは内視鏡のいずれかの遠位端で利用されてよい様々なチョークを示す。
図5B】光ファイバまたは内視鏡のいずれかの遠位端で利用されてよい様々なチョークを示す。
図5C】光ファイバまたは内視鏡のいずれかの遠位端で利用されてよい様々なチョークを示す。
図5D】光ファイバまたは内視鏡のいずれかの遠位端で利用されてよい様々なチョークを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ファイバ先端のバーンバックおよび内視鏡の損傷を低減するための泡の操作
上記のように、バーンバックを低減し、内視鏡の摩耗を低減し、上記のような光-機械的効果をより効率的に使用するために、ファイバの前のある距離だけ「前方」に(またはその他の方法でファイバ先端から離れて)形成された(一つまたは複数の)泡の「移動」を引き起こすように、レーザーデバイスの発射によって引き起こされる泡の形成を操作できることが望ましい場合がある。前述の特許出願に開示された技術の1つは、業界ではMOSES(商標)技術として知られ、一般に2つ以上の泡を発生させることを含み、その第1の泡は、存在する流体を気化してよく、その第2の泡は、標的組織に処置を提供してよい。しかしながら、今提供された説明は、決して開示を限定するものではなく、前述の特許出願の徹底的な再調査および理解の代わりとなるものではないことが理解される。
【0028】
次に図2を見ると、この図は、蒸気泡が、図1のようにファイバ先端および内視鏡の両方にぶつかる位置から、泡202が内視鏡200先端およびファイバ先端204から遠ざかり、標的組織206により近づいた図2に示す位置へと遠位に移っている、本発明の一実施形態を示す。
【0029】
このように、泡202は、内視鏡およびファイバの両方から遠位にさらに離れて形成されるように位置付けられる。図1に関して上で述べたように、泡は、ファイバの先端を中心としてその周りに発達する傾向がある。レーザーによって作り出された泡は、キャビテーションを通じてその中心に向かって崩壊する傾向もあるため、ファイバの先端または隣接する内視鏡の先端を損傷し得る。泡が大きくなればなるほど、損傷の可能性は大きくなる。泡の形成場所を遠位に移すことの利点は、泡が崩壊するとき、ファイバまたは内視鏡の先端上で崩壊せず、標的組織により強い光-機械的効果を引き起こし得ることである。別の利点は、泡が、内視鏡200に衝突しないこと、またはファイバ先端204のバーンバックを引き起こさないことであり、したがって、損傷ならびに損耗の可能性を低減する。また、泡がファイバ先端から離れて位置するその中心に向かって崩壊すると、これは、泡崩壊の衝撃波によるファイバ先端のバーンバックおよび劣化を低減する。
【0030】
図2に示すような上記目的を達成するために、以下の議論が、望ましい手順であり得る。図3Aに見られるように、第1のレーザーパルスが、ファイバ300を通して開始されて、小さい泡302をファイバ300の先端304の周りに作り出す。図3Bに見られるように、時間遅延後、第2のレーザーパルスが開始されて、第1の泡302の遠位に形成される第2の泡306を作り出す。次に、第1の泡302が崩壊すると、第2の泡306は寸法において大きくなる。より大きな、第1の近位泡より大きい第2の遠位泡は、内視鏡およびファイバの先端からキャビテーション損傷力を押しのけるために好ましい結果である。そのことについて、図3Cに見られるように、その泡306は、ファイバ先端304もしくは内視鏡先端に触れていないか、またはファイバ先端304もしくは内視鏡先端を中心としていない。
【0031】
次に、図3Dを参照すると、典型的な、経時的な泡の動力学が示されている。発達した泡の内部の圧力が線a’で定性的に表され、泡の直径が線b’で定性的に表される。泡の開始時では、泡の内部は高圧であり、それは泡の直径が大きくなると低下することがわかる。周囲環境圧力とのいくつかの平衡点では、泡はその成長を止め、内部の蒸気は冷却し始める。これは、最終的に、直径が減少し始め、内圧が再び大きくなり始める反対の動力学をもたらす。このプロセスは、キャビテーションとして終わる。本来、第1の泡はファイバの先端の周りに集中し、本来、泡が大きくなればなるほど、キャビテーションエネルギーは強くなるため、第1のより小さい泡、および第2のより大きい「主要な」泡を開始することは、発明の1つの態様である。第2の形成された泡の内部の圧力が線a’’で定性的に表され、泡の直径が線b’’で定性的に表される。したがって、本発明の態様によれば、第1の泡が作り出され、その後、特定の時間遅延で、特定の時間枠で、第2の泡が作り出され、その結果、その崩壊中に増加した第1の泡の圧力は、第2の泡の膨張を促進することになる。
【0032】
上記の議論および図は、2つのパルスについて記載するが、レジメンは、連続した3つのパルスであってもよいことが理解されるべきである。第1および第2のパルスは、泡を形成および維持するのに利用されてよく、第3のパルスは処置パルスとして利用されてよい。しかしながら、本発明は、3つのパルスに制限されず、処置の種類、それぞれのパルスのエネルギー、液体環境、ファイバ先端から標的組織までの距離等のような因子によって決まる任意の数であり得る。
【0033】
したがってわかるように、泡の形成技術を操作することによって、組織分離での光-機械的な、または組織焼灼もしくは凝固での光-熱的な、標的組織とレーザーの相互作用の効率を高める泡を作り出しながら、ファイバ先端および内視鏡の遠位先端の劣化が低減される。
【0034】
レーザーパルス繰り返し数のインターリーブ
本発明の譲受人によって実装されるような現在のMOSES(商標)システムでは、レーザーは、レーザーパルス列を発射してよく、各パルスについて同一の設定を使用してよく、一定の繰り返し数を使用してよく、図4Aに見られるように、400の記号Tは、連続するパルス対402a、402b、402n間の時間を表す。したがって、これらの前述のパラメータ下では、等間隔の時間で、同一パルス列が発生する。したがって、各パルスは、同じエネルギー設定、同じピークパワー(またはパルス幅)、およびMOSES(商標)モードが使用される場合、同じMOSES(商標)モードパラメータを使用して開始されてよい。
【0035】
しかしながら、図4Aでのような、同一タイミングのパルスを使用して実装するのではなく、パルスレジメンは、図4Bに図示されるように、周期的なパルス列パケットを発生させるように作成されてよく、パケット中の各パルスは、異なるパラメータを有してよく、パケット内のパルスの間隔は、同様に変えられ得る。図4Bに示す、パルスMOSES(商標)1、2、kと指定された各パルスは、サブパルスの数(典型的に述べると、MOSES(商標)は2つのサブパルスレジメンで実装される)、全エネルギー、サブパルス間のエネルギー分布、およびサブパルス間の時間間隔が、他のものから変わっていてよい。
【0036】
図4Bに関連して記載されたインターリーブは、インターリーブされていない同一パルスの連続で可能なものと比べて改善された、組織の機械的分離、組織の熱焼灼、または組織の熱凝固などの組織効果を達成するための、異なるパルスモードの性質の最適化された組み合わせを可能とする。
【0037】
さらに、図4Cに示すように、各パルスはその固有パラメータを有してよく、パルスの間隔は同様に変えられ得る、非周期的なレーザー活性化プロセスを提供することが、有用な場合がある。この可変性は、所望の処置の種類によって有用であり得る。MOSES(商標)パルスは、焼灼、凝固、または標的組織に光-機械的効果を生み出す目的で標的組織または液体媒体に送達される光エネルギー量を最適化するのに使用されてよい。パルス列は、光ファイバの先端を中心とした第1の泡を発生させるように構成される第1の1つ以上のサブパルスからなってよく、第2の泡を発生させるように構成される第2の1つ以上のサブパルスが後に続いてよい。第1の泡は、第2の泡の中心が光ファイバの先端から長手方向にずれるように、第2の泡と間隔をあける。したがって、第2の泡の崩壊は、ファイバのバーンバックを低減し、標的組織の機械的分離を増加してよい。1つ以上の第1のパルスは、第1の波長を有するレーザーで発生されてよく、1つ以上の第2のパルスは、第2の波長を有するレーザーで発生されてよい。一実施形態によれば、第1のレーザー波長および第2のレーザー波長は同じであり、例えば、ホルミウム、ツリウム、またはエルビウムなどの、同じ種類のレーザーで発生されてよい。別の実施形態によれば、第1のレーザー波長および第2のレーザー波長は異なる。例えば、第1のレーザー波長はツリウムレーザー波長であってよく、第2のレーザー波長はホルミウムレーザー波長であってよい。
【0038】
例えば、この技術のいくつかの考えられる使用としては、以下が挙げられてよい:
【0039】
1.結石砕石術-ポップコーン(popcorn)モード。このモードでは、流体の対流が、ファイバの前に結石を運ぶのに使用され、次いで、結石はレーザーパルスによって破壊される。対流は、レーザーパルスによって引き起こされ、この場合、大きい泡を有するべきである。結石破壊は、MOSES(商標)モードパルス、例えば、低エネルギー高繰り返し数「ダスティングモード」設定によって最も良く行われ、これは、十分な対流を引き起こさない。結石ダスティングに最適化されたパルスとともに、キャビテーションを引き起こすように最適化されたインターリーブパルスは、ポップコーンまたはポップダスティング(pop-dusting)手術を著しく改善し得る。
【0040】
2.前立腺核出術-改善された組織分離。このモードでは、いくつかのパルスは、パケット内で接近して配置され得る。パルスのいくつかは、最良の機械的組織分離(光-機械的効果)を提供するように最適化され得、一方、後続パルスは、最良の組織切断(光-熱効果)に最適化され得る。このように、第1のパルスは、組織を「伸展」させ、後続パルスのために組織を準備し、切開をより有効に行う。
【0041】
3.前立腺核出術または焼灼術-止血を改善する。この組み合わせは、血管性前立腺(vascular prostate)を処置するために使用され得る。パケットのいくつかのパルスは、最良の組織処置(切開または焼灼)に最適化されることになり、一方、後続は、最良の凝固性に最適化されることになる。
【0042】
4.結石処置-(接触/距離/破砕/ダスティング)などのパルス最適化の動的変化。
【0043】
泡整形要素
これまでに、何らかの目的に適した(一つまたは複数の)泡の形成を制御およびカスタマイズするための多くの技術が記載された。これらは、例えば、レーザー開始のタイミング等の操作を含む、非物理的変更によって主に達成された。しかしながら、レーザー装置、具体的には、内視鏡の遠位部に対する物理的変更は、泡の形状、大きさ等を操作する能力をもたらしてよい。
【0044】
次に図5A~5Dを見ると、内視鏡の遠位端またはファイバ自体の遠位端に取り付けられてよい様々な種類の「チョーク」が示されている。泡整形要素は、液体環境でのレーザー処置中、光ファイバの先端で作り出された1つ以上の泡を整形するように構成されてよい。泡整形要素502、510、512および514のような泡整形要素は、内視鏡500の遠位部またはファイバ508に設置されてよいか、または取り付けられてよく、光ファイバ508の遠位端または内視鏡500の遠位端に隣接する領域と接続または係合するように構成される近位端504を有する。ファイバ整形要素の遠位端は、泡整形要素中の内部空洞と処置環境との間の流体連通を可能とするように構成される。
【0045】
レーザー処置中、光ファイバの遠位端で発達する泡は、特定の寸法においては膨らむのを制限され、他の寸法においては自由に膨らむ。図5A~5Dに示す本発明の実施形態によれば、泡整形要素502、510、512および514は、1つ以上の泡が、光ファイバの長手方向軸516にほぼ垂直な軸に沿って膨らむことを制限し、泡600が、光ファイバの長手方向軸516に沿って成長することを可能とする。
【0046】
泡整形要素は、広がった形状(502)、収束する形状(510)、直線形状(512)、狭い断面(514)を有してよいか、または円錐台形状、もしくは泡の寸法および形成を制御するための他の形状であってよい。
【0047】
図5A~5Dに示す泡整形要素は、泡600が、光ファイバの遠位端と標的組織とを接続する軸に沿って、より成長することを可能とし、この軸にほぼ垂直な軸に沿った泡600の成長を制限する。液体環境中の気泡は、周囲の液体環境より低いその吸収により、標的組織に光エネルギーを送達するためのより有効なチャネルであり、泡整形要素は、泡を作り出すのに必要なエネルギー量と泡の長手方向の大きさとの間の比の改善を可能とする。この場合、最適化は、要求されるMOSES(商標)または他の所望の効果を生み出すために、泡を発達させ、標的組織に到達するまで泡を成長させるのに「浪費」されるエネルギーがより少なく、次いで、所望の処置効果を得るために、泡を通じて標的組織中に送達されるのに利用可能なエネルギーがより多いことを意味する。
【0048】
4つの異なる種類のチョークが図5A~5Dに示されているが、多くの他の種類が実現可能であることが提示される。加えて、調節可能なチョークが実装されてよく、ショットガンに採用される調節可能なチョークとほとんど同じであり、それにより、機構は、特定の処置パラメータに合わせてチョークの形状を変化させるように調節される。
【0049】
本発明の実施態様を以下に説明する。
(実施態様1)標的組織のレーザービームでの処置のための装置であって、前記標的組織は、体管腔内で液体媒体中に浸漬されており、前記装置は、
レーザービームを発生させるためのレーザーデバイスと、
前記体管腔中に導入されるように構成された内視鏡であって、前記内視鏡は遠位端部を有する、内視鏡と、
前記内視鏡中に収容されるように構成され、前記レーザービームを前記標的組織へ導くための遠位送達端を有する光ファイバであって、前記遠位送達端は、前記内視鏡の遠位端部からある距離突出する、光ファイバと、
前記レーザーデバイスに、同じ長手方向軸に実質的に沿って複数のレーザーパルスを発生させるための制御器と、を含み、
前記レーザーデバイスは前記複数のレーザーパルスを提供するように構成され、前記複数のレーザーパルスは、前記光ファイバの遠位送達端で前記液体媒体中に複数の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有するように、前記制御器によって構成され、
前記複数のレーザーパルスは、前記制御器によって、
第1に、前記内視鏡の遠位端部の遠位および前記光ファイバの遠位送達端の周りで、第1の蒸気泡を形成させることと、
第2に、前記第1の蒸気泡の遠位で第2の蒸気泡を形成させることであって、前記第2の蒸気泡は、前記内視鏡遠位端部および前記光ファイバ遠位送達端の両方の遠位にある、前記形成させることと、
第3に、前記第1の蒸気泡が崩壊し始めたら、前記光ファイバの遠位送達端と前記標的組織との間の空間から前記液体媒体の一部分をずらすように、前記第2の蒸気泡を膨張させることであって、前記複数のレーザーパルスは、膨張された前記第2の蒸気泡を通じて前記標的組織に送達される、前記膨張させることと、
を行うように構成され、
前記内視鏡の遠位部および前記光ファイバの遠位送達端から離れる前記第2の蒸気泡のずれは、前記内視鏡および前記光ファイバの1つ以上の、摩耗および/または損傷を低減する、装置。
(実施態様2)標的組織をレーザービームで処置するための装置であって、前記標的組織は、体管腔内で液体媒体中に浸漬されており、前記装置は、
レーザービームを発生させるためのレーザーデバイスと、
前記レーザービームを前記標的組織へ導くための遠位送達端を有する光ファイバと、
前記レーザーデバイスに、同じ長手方向軸に実質的に沿って複数のレーザーパルスを発生させるように構成された制御器と、を含み、
前記制御器は、前記レーザーデバイスに前記複数のレーザーパルスを提供させるようにさらに構成され、前記複数のレーザーパルスは、前記光ファイバの遠位送達端で前記液体媒体中に複数の蒸気泡を形成するのに十分なエネルギーを有するように、前記制御器によって構成され、前記複数の蒸気泡は第1の蒸気泡及び前記第1の蒸気泡の遠位に形成される第2の蒸気泡とを備え、
前記複数のレーザーパルスは、一旦前記第1の蒸気泡が崩壊をはじめると、前記複数の蒸気泡のうちの前記第2の蒸気泡を、前記光ファイバの送達端と前記標的組織との間の空間から前記液体媒体の一部をずらすのに十分な量膨らませるように、前記制御器によって構成され、前記複数のレーザーパルスは、前記複数の蒸気泡を通じて前記標的組織に送達され、前記複数のレーザーパルスの隣接パルス間の時間間隔は不均一である、装置。
(実施態様3)前記処置は前立腺核出術であり、前記複数のレーザーパルスは、まず、機械的組織分離用に構成され、前記機械的に分離された組織を切開するように構成された前記複数のレーザーパルスが後に続く、実施態様2に記載の装置。
(実施態様4)前記処置は、腎臓結石を小さくするための結石砕石術であり、前記複数のレーザーパルスは、まず、前記光ファイバの前に結石を運ぶキャビテーションを引き起こすように構成され、腎臓結石を小さくする結石ダスティングをもたらす一連の低エネルギー高繰り返し数パルスが後に続く、実施態様2に記載の装置。
(実施態様5)前記処置は前立腺核出術であり、前記複数のレーザーパルスは、まず、前記標的組織の切開または焼灼の1つ以上を行うように構成され、切開または焼灼の1つ以上が行われた組織を凝固させるように構成された前記複数のレーザーパルスが後に続く、実施態様2に記載の装置。
(実施態様6)さらに、前記光ファイバの遠位送達端または内視鏡の遠位端部の1つに設置されるように構成された管状中空チョークであって、前記内視鏡は前記体管腔中に導入され、前記光ファイバの遠位送達端は前記内視鏡を通される、前記管状中空チョーク、を含み、
前記チョークは、前記レーザーデバイスがレーザービームを発生させると、前記内視鏡の遠位端部または前記光ファイバの遠位端の1つの遠位に形成される前記複数の蒸気泡のうちの1つ又は2つ以上の蒸気泡を整形するように構成される、実施態様2に記載の装置。
(実施態様7)前記管状中空チョークは、円筒形状またはテーパ円錐台形状の1つである、実施態様6に記載の装置。
(実施態様8)前記テーパは、前記円錐台形中空チョークの近位端から遠位端へ広がるか、または収束するテーパ形状のいずれかである、実施態様7に記載の装置。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D