(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011924
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】凍結療法デバイスの流れ制御
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
A61B18/02
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180406
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2019542588の分割
【原出願日】2018-02-04
(31)【優先権主張番号】62/454,753
(32)【優先日】2017-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】519281631
【氏名又は名称】ヴェッシー メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VESSI MEDICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】The Trendlines Building, Misgav Business Park, 17 Tchelet Street, Mobile Post Misgav, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コシャヴィ エヤル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】圧力および/または体積を制御する能力を有し、さらに湿気またはさらには液体の存在下で動作する能力を有する、身体内腔内の組織の切除を可能にする改良された内視鏡凍結療法デバイスを提供する。
【解決手段】凍結療法システムが、近位端および身体内腔内に配置されるような形状およびサイズの遠位端1113を有する細長い凍結療法デバイス1102を含み、凍結療法デバイスが、凍結療法デバイスの遠位端に極低温流体源を流体連結する極低温流入経路であって、極低温流体源から身体内腔に入る極低温流を可能にするように構成された極低温流入経路と、遠位端と身体内腔内の標的領域との間の視野を視覚化するように構成された光学系アセンブリと、少なくとも1つの洗浄開口に洗浄流体源を流体連結する洗浄流入経路であって、遠位端内の光学系アセンブリおよび/または視野の方へ洗浄流体を向けるように構成された洗浄流入経路と、を含む。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および身体内腔内に配置されるような形状およびサイズの遠位端を有する細長い凍結療法デバイスを備え、前記凍結療法デバイスが、
前記凍結療法デバイスの前記遠位端内の極低温流開口に極低温流体源を流体連結し、前記身体内腔に入る極低温流体流を可能にするように構成された極低温流入経路と、
前記極低温流入経路上に位置し、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る極低温流体流を制御するように構成された少なくとも1つの極低温流レギュレータと、
前記極低温流入経路と部分的に重複するパージ流入経路上に位置し、前記極低温流体流が低減されたとき、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る非極低温流体流を可能にし、それによって前記内腔から前記極低温流入経路に入る逆流を低減させるように構成された少なくとも1つのパージ流レギュレータと、を備える、
凍結療法システム。
【請求項2】
前記凍結療法デバイスが、前記身体内腔から体外へ延びる流出経路と、
前記流出経路上に位置し、前記身体内腔から出る流体流を制御するように構成された少なくとも1つの流出レギュレータと、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記凍結療法デバイスに接続された制御ユニットを備え、前記制御ユニットが、
前記少なくとも1つの極低温流レギュレータおよび前記少なくとも1つのパージ流レギュレータに接続された制御回路であって、前記極低温流体流が低減された、および/または前記極低温流レギュレータが閉鎖されたとき、前記パージ流レギュレータを開放して、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る低圧流体流を可能にする制御回路を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御回路に接続され、前記身体内腔内の圧力レベルを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記流出レギュレータが、前記制御回路に接続され、前記身体内腔内の圧力が所定の圧力値より高いとき、前記流出レギュレータへ信号を送ることによって、前記流出経路を開放するように構成される、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記流出レギュレータが、前記制御回路に接続され、前記身体内腔内の圧力が所定の圧力値より低いとき、前記流出レギュレータへ信号を送ることによって、前記流出経路を閉鎖するように構成される、請求項3~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御回路が、前記身体内腔内の前記圧力レベルが所定の圧力値より高いかまたは低いかどうかを判定し、前記判定に応じて、前記極低温流入経路を通る極低温流体流を調節するように、前記極低温流レギュレータへ信号を送る、請求項4~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記所定の圧力値が、10~100ミリバールの範囲内である、請求項5~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御回路に接続され、前記身体内腔または前記流出経路内の温度レベルを測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを備える、請求項3~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御回路が、前記身体内腔内の前記測定された温度レベルが所定の温度値より低いかどうかを判定し、前記温度判定に応じて、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る極低温流体流を調節するように、前記極低温流レギュレータへ信号を送る、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御回路が、前記温度判定に応じて、前記流体流を調節するように、前記少なくとも1つの流出レギュレータへ信号を送る、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記低圧流体が、摂氏15度より高い温度を有する温かい低圧流体を含み、前記制御回路が、前記温度判定に応じて、前記パージ流レギュレータを開放して、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る前記温かい低圧流体の流れを可能にする、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記低圧流体流が、前記極低温流入経路内の凍結粒子の蓄積を低減させるのに十分に温かい、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記所定の温度値が10℃である、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの流出レギュレータが、前記身体内腔内の圧力が所定の値より高いときに開くように構成された逆止め弁を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項16】
前記凍結療法デバイスが、前記身体内腔内で前記凍結療法デバイスの前記遠位端と前記身体内腔内の標的領域との間に治療空間を画定するように構成された少なくとも1つの体積細分器を備える、請求項3~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御回路が、前記治療空間内の温度レベルおよび/または湿度レベルを制御するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記体積細分器が、前記極低温流開口を取り囲む流体流を含む、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記極低温流開口は、極低温流体を前記身体内腔の内面内の標的領域に向けるように構成される、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記極低温流入経路は、前記標的領域に向けて極低温流体を噴霧するように構成されたノズルを、前記極低温流開口に備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記身体内腔が膀胱を含み、前記凍結療法デバイスの前記遠位端が、前記膀胱内へ導入可能な形状およびサイズである、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記身体内腔が子宮頸、前立腺、尿道、尿管、胃、または子宮を含み、前記凍結療法デバイスの前記遠位端が、前記身体内腔内へ導入可能な形状およびサイズである、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法(35 USC)第119条(e)に基づき、2017年2月4日出願の米国特許仮出願第62/454,753号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明は、凍結アブレーション、凍結手術、または凍結療法デバイスを含むアブレーションに関し、より具体的には、これに限定されないが、身体内腔疾患の凍結療法に関する。
【背景技術】
【0003】
凍結アブレーション、凍結手術、または凍結療法は、望ましくない症状、病変、または自由神経終末を含みうる標的部位を凍結によって破壊または切除する技法である。凍結による組織破壊には、氷晶の形成によって引き起こされる細胞への直接的な損傷、ならびにアポトーシス(制御された細胞死)および/または血管効果によって引き起こされうる遅発性損傷が含まれる。凍結療法は、加圧された冷却剤(CO2、LN2、および/または亜酸化窒素など)を利用することによって、治療組織に極低温流体を直接噴霧するために、および/または間接的なジュール-トムソン効果の発生(アルゴン、窒素、および/またはクリプトンなどの冷却剤を使用)を可能にするために実行される。
【0004】
腫瘍を切除するための凍結手術の使用は、主にその技術的な容易さと低い罹患率のために拡大しつつある。悪性疾患の原位置凍結において潜在的な二次的な利点は、凍結免疫学的応答、すなわち悪性組織の自然吸収によって誘発される抗腫瘍免疫応答の生成である。臨床報告では、凍結アブレーションが全身性抗腫瘍免疫応答を誘起しうることを示唆しており、これは動物モデルでも確認されている。
【0005】
身体内腔には、膀胱、子宮などが含まれる。膀胱がんは、最も一般的ながんの1つである。診断が初期になされたとき、膀胱がんと診断された患者の大部分は表在性疾患を有し、本質的に低グレードであるが、それ以外の患者は後期に診断され、がんはより侵襲的かつ攻撃的であり、したがって外科的介入(膀胱切除を含む)が利用される可能性がある。膀胱がんは再発の確率が高く、したがって再発および進行を防止する上で、治療および継続管理が肝要である。膀胱の病変に対する治療を改善し、再発を低減させ、場合により膀胱温存率を増大させるために、凍結療法を使用することが提案されている。
【0006】
膀胱の病気に対する追加の例としては、軽い不快感から激痛まで様々な膀胱および/または骨盤痛の慢性的な症状である膀胱痛症候群としても知られている間質性膀胱炎(IC)が挙げられる。ICを確実に解消する治療法は存在しないが、痛みを軽減するために薬物治療および他の療法が施される。たとえば、膀胱内のボトックス注射は、痛みを伝える膀胱内の感覚神経をブロックすると考えられる。ICおよび類似の症状に対する治療を改善し、患者の快適さをより長い時間にわたって増大させるために、凍結療法を使用して、自由神経終末を切除/損傷することが提案されている。
【0007】
子宮の病気および病変に関しては、子宮切除または子宮筋腫切除などの大規模な外科的介入を避けるために、子宮鏡処置が利用されることがある。子宮の病変には、粘膜下筋腫、大きいポリープ、または正常子宮内膜を伴う月経過多が含まれる。追加の子宮に関連する病気には、薄い子宮内膜および/またはアッシェルマン症候群(AS)が含まれ、どちらも受胎を妨げる。子宮の病気および病変に対する治療を改善し、したがって治療を容易にし、場合により子宮温存率を増大させるために、凍結療法を使用することが提案されている。概して、凍結療法は、子宮内膜の回復を支援し、したがって受胎の成功確率を増大させることができる。
【0008】
内視鏡のワーキングチャネルを通って身体内腔内へ挿入される周知の凍結療法デバイスは存在しない。他方では、内視鏡を介して挿入され、胃腸(GI)管を治療するために使用されるカテーテルデバイスが、当技術分野では知られている。身体内腔の治療に必要とされるデバイスに対する現在のGIデバイスの主な違いは、必要な挿入空洞のサイズ(食道または結腸は直径が著しく大きい)、内腔を開いた状態で保ちながら過剰圧力を避けるための感知および閉ループ圧力制御の必要性、ならびにアブレーションの効力に干渉して視覚化をさらに著しく困難にするおそれのある湿気およびさらには残留液に対処する必要性である。たとえば、いくつかの凍結療法デバイスは、極低温流体噴射の使用を含み、したがって極低温流体または冷却剤がノズルから出て、噴霧の形態で組織上に直接塗布される。噴霧を利用する凍結療法デバイスのいくつかでは、噴霧の拡張流体を排出し、したがって望ましくない内腔の膨張または組織の穿孔を防止するために、追加の吸引チャネルが必要とされる。周知の吸引チャネルには、感知手段および適当な制御機構がないため、内腔の体積または圧力を制御する能力がない。追加として、標的部位からのノズルの距離は明確ではなく、したがってその結果、治療結果を予測することができず、医師が凍結手術プロトコルに従うのが困難になる可能性がある。
【0009】
内視鏡を使用するか否かにかかわらず、身体内腔内で免疫調節療法と組み合わせて凍結療法デバイスを使用することは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、圧力および/または体積を制御する能力を有し、さらに湿気またはさらには液体の存在下で動作する能力を有する、身体内腔内の組織の切除を可能にする改良された内視鏡凍結療法デバイスが必要とされている。また、制限されたサイズの身体内腔入口を通って冷却剤の拡張流体を排出する能力を有する改良された凍結療法デバイスが必要とされている。また、特に極低温噴霧と治療組織との間の距離を画定することが必要とされている。また、凍結免疫学的方法を改善し、身体内腔内の凍結アブレーションに適合させることが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態のいくつかの例を以下に挙げる。
【0012】
例1.近位端および身体内腔内に配置されるような形状およびサイズの遠位端を有する細長い凍結療法デバイスを備え、前記凍結療法デバイスが、
前記凍結療法デバイスの前記遠位端に極低温流体源を流体連結する極低温流入経路であって、前記極低温流体源から前記身体内腔に入る極低温流を可能にするように構成された極低温流入経路と、
前記遠位端と前記身体内腔内の標的領域との間の視野を視覚化するように構成された光学系アセンブリと、
前記遠位端内の前記光学系アセンブリおよび/または前記視野の方へ洗浄流体を向けるように構成された少なくとも1つの洗浄開口に洗浄流体源を流体連結する洗浄流入経路であって、前記洗浄流体源から前記洗浄流入経路および前記開口を通って前記光学系アセンブリの方へ洗浄流体を導入することによって、前記光学系アセンブリの洗浄を可能にするように構成された洗浄流入経路と、を備える、
凍結療法システム。
【0013】
例2.前記極低温流入経路上に位置し、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る前記極低温流体の流れを制御するように構成された少なくとも1つの極低温流レギュレータと、
前記凍結療法デバイスに接続された制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットが、
前記少なくとも1つの極低温流レギュレータに接続され、前記極低温流レギュレータへ信号を送信することによって、前記身体内腔に入る前記極低温流体流を制御するように構成された制御回路を備える、
例1に記載のシステム。
【0014】
例3.前記制御回路に接続された前記洗浄流入経路上に位置する少なくとも1つの洗浄流レギュレータを備え、前記洗浄流レギュレータが、前記制御回路からの信号に応じて、前記洗浄流入経路を通る流れを制御する、例2に記載のシステム。
【0015】
例4.前記制御回路が、極低温流が停止されたとき、前記身体内腔に入る洗浄流を調節するように、前記洗浄流レギュレータへ信号を送る、例3に記載のシステム。
【0016】
例5.前記制御回路に接続された前記極低温流入経路上に位置し、前記極低温流体源からの前記極低温流が停止されたとき、前記極低温流入経路を通る低圧流体流を制御するように構成された少なくとも1つのパージ流レギュレータを備える、例2に記載のシステム。
【0017】
例6.前記デバイスが、前記遠位端に位置する遠位開口から前記凍結療法デバイスの近位開口の方へ流体を排出するように構成された少なくとも1つの流出経路と、
前記流出経路上に位置し、前記身体内腔から前記少なくとも1つの流出経路を通る流体排出を制御するように構成された少なくとも1つの流出レギュレータと、を備える、例2~5のいずれか一項に記載のシステム。
【0018】
例7.前記流出レギュレータが、前記身体内腔内の圧力が所定の値より高いときに開くように構成された逆止め弁を備える、例6に記載のシステム。
【0019】
例8.前記流出レギュレータが、前記制御回路に接続されたバルブを備え、前記制御回路が、前記身体内腔内の圧力が所定の値より高いときに前記バルブを開放する、例6または7に記載のシステム。
【0020】
例9.前記制御回路に接続され、身体内腔圧力または前記身体内腔圧力の変化を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサを備え、前記制御回路が、前記少なくとも1つのセンサ測定に基づいて、前記極低温流入経路および/または前記洗浄流入経路内の流れを制御する、例2~8のいずれか一項に記載のシステム。
【0021】
例10.前記制御回路に接続され、前記身体内腔内の温度レベルおよび/または温度変化を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを備え、前記制御回路が、前記測定された温度値に基づいて、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る前記極低温流体の前記流れを制御する、例2~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0022】
例11.前記凍結療法デバイスの前記遠位端が、膀胱を含む身体内腔内へ導入可能な形状およびサイズである、例1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【0023】
例12.前記凍結療法デバイスが、前記洗浄開口に位置し、前記洗浄流体を前記光学系アセンブリおよび/または前記視野の方へ誘導するように構成された洗浄流誘導器を備える、例1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【0024】
例13.前記洗浄流誘導器が、ノズルおよび/または偏向面を備える、例12に記載のシステム。
【0025】
例14.前記光学系アセンブリが、少なくとも1つのレンズおよび/または少なくとも1つの照射源を備える、例1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【0026】
例15.前記洗浄流体が、摂氏15度より高い温度を有する温かい流体を含む、例1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【0027】
例16.近位端および身体内腔内に配置されるような形状およびサイズの遠位端を有する細長い凍結療法デバイスを備え、前記凍結療法デバイスが、
前記凍結療法デバイスの前記遠位端内の極低温流開口に極低温流体源を流体連結し、前記身体内腔に入る極低温流体流を可能にするように構成された極低温流入経路と、
前記極低温流入経路上に位置し、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る極低温流体流を制御するように構成された少なくとも1つの極低温流レギュレータと、
前記極低温流入経路と部分的に重複するパージ流入経路上に位置し、前記極低温流体流が停止されたとき、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る低圧パージ流体流を可能にし、それによって前記内腔から前記極低温流入経路に入る逆流を低減させるように構成された少なくとも1つのパージ流レギュレータと、を備える、
凍結療法システム。
【0028】
例17.前記凍結療法デバイスが、前記身体内腔から体外へ延びる流出経路と、
前記流出経路上に位置し、前記身体内腔から出る流体流を制御するように構成された少なくとも1つの流出レギュレータと、を備える、例16に記載のシステム。
【0029】
例18.前記流出レギュレータが、前記身体内腔内の圧力が所定の値より高いときに開くように構成された逆止め弁を備える、例17に記載のシステム。
【0030】
例19.前記凍結療法デバイスに接続された制御ユニットを備え、前記制御ユニットが、
前記少なくとも1つの極低温流レギュレータおよび前記少なくとも1つのパージ流レギュレータに接続された制御回路であって、前記極低温流レギュレータが閉鎖されたとき、前記パージ流レギュレータを開放して、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る低圧流体流を可能にする制御回路を備える、
例17に記載のシステム。
【0031】
例20.前記制御回路に接続され、前記身体内腔内の圧力レベルを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを備える、例16~19のいずれか一項に記載のシステム。
【0032】
例21.前記流出レギュレータが、前記制御回路に接続され、前記身体内腔内の圧力が所定の圧力値より高いとき、前記流出レギュレータへ信号を送ることによって、前記流出経路を開放するように構成される、例19に記載のシステム。
【0033】
例22.前記制御回路が、前記身体内腔内の前記圧力レベルが所定の圧力値より高いかどうかを判定し、前記判定に応じて、前記極低温流入経路を通る極低温流体流を調節するように、前記極低温流レギュレータへ信号を送る、例20に記載のシステム。
【0034】
例23.前記所定の圧力値が、25~100ミリバールの範囲内である、例21または22に記載のシステム。
【0035】
例24.前記制御回路に接続され、前記身体内腔または前記流出経路内の温度レベルを測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを備える、例19~23のいずれか一項に記載のシステム。
【0036】
例25.前記制御回路が、前記身体内腔内の前記測定された温度が所定の温度値より低いかどうかを判定し、前記温度判定に応じて、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る極低温流体流を調節するように、前記極低温流レギュレータへ信号を送る、例24に記載のシステム。
【0037】
例26.前記制御回路が、前記温度判定に応じて、前記流体流を調節するように、前記流出レギュレータへ信号を送る、例25に記載のシステム。
【0038】
例27.前記低圧流体が、摂氏15度より高い温度を有する温かい低圧流体を含み、前記制御回路が、前記温度判定に応じて、前記パージ流レギュレータを開放して、前記極低温流入経路を通って前記身体内腔に入る前記温かい低圧流体の流れを可能にする、例24~26のいずれか一項に記載のシステム。
【0039】
例28.前記所定の温度値が10℃である、例25~27のいずれか一項に記載のシステム。
【0040】
例29.前記凍結療法デバイスが、前記身体内腔内で前記凍結療法デバイスの前記遠位端と前記身体内腔内の標的領域との間に治療空間を画定するように構成された少なくとも1つの体積細分器を備える、例16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【0041】
例30.前記制御回路が、前記治療空間内の温度レベルおよび/または湿度レベルを制御するように構成される、例29に記載のシステム。
【0042】
例31.前記体積細分器が、前記極低温流体流開口を取り囲む流体流を含む、例29または30に記載のシステム。
【0043】
例32.前記身体内腔が膀胱を含み、前記凍結療法デバイスの前記遠位端が、前記膀胱内へ導入可能な形状およびサイズである、例16~31のいずれか一項に記載のシステム。
【0044】
例33.前記低圧パージ流体流が、前記極低温流入経路内の凍結粒子の蓄積を低減させるのに十分に温かい、例16~32のいずれか一項に記載のシステム。
【0045】
例34.身体内腔内の流れを制御する方法であって、
前記身体内腔内に少なくとも部分的に配置された凍結療法デバイスの極低温流入経路および極低温ノズルを通って前記内腔内へ極低温流体を噴霧することと、
前記極低温ノズルと前記身体内腔内の標的領域との間の治療空間を、前記凍結療法デバイスの洗浄流入経路を通って前記治療空間内へ洗浄流体を導入することによって除去する(clear)ことと、
前記身体内腔内の圧力レベルに応じて、前記噴霧および/または前記除去を変更することと、を含む方法。
【0046】
例35.前記噴霧前に低圧流体によって前記身体内腔を膨張させることを含む、例34に記載の方法。
【0047】
例36.前記身体内腔内の圧力レベルに応じて、前記極低温流体の少なくとも一部を前記身体内腔から前記凍結療法デバイスの流出経路を通って排出することを含む、例34または35に記載の方法。
【0048】
例37.前記変更が、前記圧力値が所定の値より高い場合、前記極低温物質の前記導入を調節することを含む、例34~36のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
例38.前記調節後に前記極低温流入経路から前記極低温物質の少なくとも一部を抜くことを含む、例37に記載の方法。
【0050】
例39.前記調節後に前記極低温ノズルの詰まりを防止するために、前記極低温流入経路および前記極低温ノズルを通って低圧流体をパージすることを含む、例37または38に記載の方法。
【0051】
例40.前記凍結療法デバイスの光学アセンブリによって前記治療空間を視覚化することを含む、例34~39のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
例41.前記除去が、前記洗浄流体によって前記光学アセンブリを洗浄することを含む、例40に記載の方法。
【0053】
例42.前記光学アセンブリが、光源、レンズ、光センサ、および/または光ファイバ束のうちの1つまたは複数を備える、例40または41に記載の方法。
【0054】
例43.前記排出が、前記圧力値が所定の圧力値より高い場合、前記流出経路内の流れレギュレータを開放することを含む、例36~42のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
例44.前記排出が、前記流出経路内に負圧を生成するようにポンプを起動することを含む、例36~43のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
例45.前記凍結療法デバイスの遠位端と前記標的領域との間の距離および/または角度を判定することを含む、例34~44のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
例46.前記判定に応じて、前記極低温流体の噴霧持続時間および/または圧力を含む少なくとも1つの凍結療法パラメータを修正することを含む、例45に記載の方法。
【0058】
例47.前記距離および/または角度を判定することが、前記凍結療法デバイスからの流体流を前記標的領域に対して吹き付けることと、前記流体流によって前記標的領域内に形成されるくぼみのサイズおよび/または形状を視覚化することによって、前記距離および/または角度を判定することとを含む、例45または46に記載の方法。
【0059】
例48.近位端および身体内腔内に配置されるような形状およびサイズの遠位端を有する細長い凍結療法デバイスであって、
前記凍結療法デバイスの前記遠位端に極低温流体源を流体連結する極低温流入経路であり、前記遠位端内の極低温開口を通って前記身体内腔内の選択された標的領域で前記極低温流体の噴霧を可能にするような形状およびサイズである極低温流入経路と、
前記遠位端に位置する遠位開口から前記身体内腔の外側に配置された近位開口への流体流を可能にするように構成された少なくとも1つの流出経路と、
前記流出経路内に配置され、少なくとも1つの微小環境パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記遠位端と前記選択された標的領域との間に治療空間を、前記治療空間と前記内腔の他の部分との間の流体の混合を低減させることによって画定するように構成された少なくとも1つの体積細分器と、を備える凍結療法デバイスと、
前記凍結療法デバイスに接続された制御ユニットであって、
前記少なくとも1つのセンサに接続された制御回路であり、前記少なくとも1つのセンサから受け取った信号に基づいて、前記画定された治療空間内の前記少なくとも1つの微小環境パラメータのレベルを判定する制御回路を備える制御ユニットと、
を備える凍結療法システム。
【0060】
例49.前記微小環境パラメータが、圧力、温度、および/または湿度レベルを含む、例48に記載のシステム。
【0061】
例50.前記体積細分器が、前記極低温開口を取り囲む流体流を含む、例48または49に記載のシステム。
【0062】
例51.近位端および身体内腔内に配置されるような形状およびサイズの遠位端を有する細長い凍結療法デバイスであって、
前記凍結療法デバイスの前記遠位端に極低温流体源を流体連結する極低温流入経路と、
前記遠位端と前記身体内腔内の標的領域との間の視野を視覚化するように構成された光学系アセンブリと、を備える凍結療法デバイスと、
前記凍結療法デバイスに接続された制御ユニットであって、
前記光学系アセンブリに接続された制御回路であり、前記光学系アセンブリから受け取った信号に基づいて、前記遠位端と前記標的領域との間の幾何学的関係を判定するように構成された制御回路を備える制御ユニットと、
を備える凍結療法システム。
【0063】
例52.前記光学系アセンブリが、前記標的領域上に光点を投影するように構成された少なくとも1つの照射源を備え、前記制御回路が、前記光点のサイズおよび/または形状に基づいて、前記遠位端と前記標的領域との間の前記幾何学的関係を判定する、例51に記載のシステム。
【0064】
例53.前記凍結療法デバイスが、前記凍結療法デバイスの内腔内に位置し、前記身体内腔内へ広がり、前記標的領域に接触点で少なくとも部分的に接触するように構成された少なくとも1つの折り畳み可能要素を備え、
前記制御回路が、前記接触点の視覚化に基づいて、前記遠位端と前記標的領域との間の前記幾何学的関係を判定する、例51または52に記載のシステム。
【0065】
例54.前記極低温流入経路が、前記標的領域の表面に一時的なくぼみを引き起こすのに十分な力で、前記標的領域で前記極低温流入経路を通る低圧流体の流れを解放するように構成された低圧流体源に接続され、
前記制御回路が、前記くぼみのサイズ、形状、および深さの視覚化に基づいて、前記遠位端と前記標的領域との間の前記幾何学的関係を判定する、例51~53のいずれか一項に記載のシステム。
【0066】
例55.前記幾何学的関係が、前記遠位端と前記標的領域との間の距離および/または角度を含む、例51~54のいずれか一項に記載のシステム。
【0067】
例56.凍結療法デバイスの制御ユニットであって、
身体内腔に入る流体流を可能にするように構成された凍結療法デバイスの流入経路上の少なくとも1つの流入レギュレータ、および前記身体内腔からの流体の排出を可能にするように構成された前記凍結療法デバイスの流出経路上の少なくとも1つの流出レギュレータに接続された制御回路を備え、
前記制御回路が、前記身体内腔内の圧力レベルを所定の圧力値より低い圧力レベルに調節するように、前記流入レギュレータおよび前記流出レギュレータを制御する、制御ユニット。
【0068】
例57.前記制御回路が、前記身体内腔内の温度レベルを所定の温度値より高い温度レベルに調節するように、前記流入レギュレータおよび前記流出レギュレータを制御する、例56に記載の制御ユニット。
【0069】
例58.前記制御回路が、前記制御回路に接続されたインターフェースから受け取った信号に応じて、前記身体内腔内の環境パラメータを調節するように、前記流入レギュレータおよび前記流出レギュレータを制御する、例56または57に記載の制御ユニット。
【0070】
本発明の実施形態は、
- 少なくとも1つの流入チャネルと、
- 少なくとも1つの流出チャネルと、
- 身体内腔からの拡張極低温流体の排出を制御する制御手段と、
- 視野を視覚化する視覚化手段と、を備え、
制御手段が、身体内腔の少なくとも1つのパラメータに関するデータを集める少なくとも1つのセンサからデータを受け取り、凍結療法デバイスが、内視鏡またはシースを介して身体内腔内へ導入される、凍結療法デバイスを対象とする。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、デバイスは、転がり構成要素をさらに備え、流入チャネルは、転がり構成要素の方へ誘導される。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、デバイスは、治療部位からデバイスの遠位端を隔て、身体内腔の周辺体積から治療体積を少なくとも部分的に分離し、またはその両方を行う延長部をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、視覚化手段の遠位端、流入チャネルの遠位端、またはその両方が、治療体積内に位置する。いくつかの実施形態によれば、延長部は、流入チャネルと流出チャネルとの間を分離する。いくつかの実施形態によれば、治療体積内、治療体積外、または治療体積の内外両方に、感知手段が位置する。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、延長部は、折り畳まれた構成、部分的に折り畳まれた構成、および広げられた構成を含み、治療体積の体積および形状は、延長部の構成に応じて異なる。いくつかの実施形態によれば、延長部は、支持構成要素、延長可能な構成要素、柔軟性構成要素、非柔軟性構成要素、半柔軟性構成要素、可撓性構成要素、非可撓性構成要素、またはこれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態によれば、延長部は重複構成要素を含み、重複構成要素間の重複度は変更可能である。いくつかの実施形態によれば、延長部は任意の数の通気孔を含む。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、デバイスの遠位端は旋回構成要素を備え、旋回構成要素は、旋回構成要素とともに旋回する少なくとも1つの流入ノズルを備える。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、流入チャネルおよび流出チャネルは同じチャネルである。いくつかの実施形態によれば、流入チャネル、流出チャネル、および導入されるあらゆる他のチャネルもしくはデバイスの全体的な直径は、0.8~9.0mmである。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのチューブまたはカテーテルが、少なくとも1つのチャネルを通って供給され、前記チューブまたはカテーテルは、少なくとも部分的に可撓性、屈曲性、耐キンク性、またはこれらの任意の組合せを有する。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの流入チャネルおよび少なくとも1つの流出チャネルは、複数のチャネルを有する製作または押出成形されたチューブまたはカテーテルの一部である。いくつかの実施形態によれば、流入チャネル、流出チャネル、またはその両方は、少なくとも部分的に編目状、コイル状、またはその両方である。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、流入チャネルは、少なくとも1つの流入ノズルに取り付けられ、流入ノズルのいずれか1つの内径は、0.05~0.3mmの範囲内である。いくつかの実施形態によれば、流出チャネルは、少なくとも1つの流出開口に取り付けられ、流出開口のいずれか1つの内径は、0.5~4.0mmの範囲内である。
【0077】
本発明のさらなる実施形態は、身体内腔内の組織を治療する方法であって、
- 内視鏡またはシースを介して、視覚化手段を備える凍結療法デバイスを身体内腔内へ導入することと、
- 視覚化手段によって視野を視覚化することと、
- 凍結療法デバイスの少なくとも1つの流入チャネルを通って、直接または間接的に、身体内腔内へ極低温流体を注入することであり、したがって極低温流体が直接または間接的に身体内腔内で拡張し、それによって治療組織の少なくとも一部を凍結させる、極低温流体を注入することと、
- 凍結療法デバイスの少なくとも1つの流出チャネルを通って、直接または間接的に、拡張極低温流体を身体内腔から排出することと、を含み、
極低温流体の排出が、身体内腔の少なくとも1つのパラメータに関するデータを集める少なくとも1つのセンサからデータを受け取る制御手段によって制御される、方法を対象とする。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、
- 極低温流体が視野内へ注入され、
- 治療部位または体積が視野内にあり、
- 極低温流体が視野から排出され、またはこれらの任意の組合せである。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの少なくとも1つの流入チャネルを通って、直接または間接的に、身体内腔内へ少なくとも1つの追加の流体を注入することをさらに含み、前記追加の流体は、画定された圧力を上回るように身体内腔を維持し、治療体積もしくは部位の少なくとも一部を乾燥させ、またはこれらの任意の組合せを行う。いくつかの実施形態によれば、画定された圧力は、10~20ミリバールである。いくつかの実施形態によれば、追加の流体は、CO2、空気、アルゴン、N2、より低圧のガス、および/または温かいガスから選択される。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスは転がり構成要素を含み、前記方法は、
- 転がり構成要素の中または上へ極低温流体を注入することと、
- 身体内腔内の治療組織の少なくとも一部にわたって転がり構成要素を転がすことと、を含む。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスは延長部を含み、延長部は、
- 凍結療法デバイスの遠位端と治療組織との間の距離、
- 身体内腔の周辺体積から少なくとも部分的に分離された治療体積、または
- その両方を形成し、前記方法は、
- 治療体積内へ極低温流体を注入することと、
- 視覚化手段によって治療体積を視覚化することであり、視覚化手段の遠位端が治療体積の内側または外側にある、治療体積を視覚化することと、
- 任意選択で、治療体積内へ追加の流体を注入することと、を含み、追加の流体は、治療体積内の湿度を低下させ、画定された圧力を上回るように身体内腔もしくは治療体積の圧力を維持し、またはその両方を行う。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、前記デバイスは追加の感知手段を備え、感知手段のそれぞれの遠位端は、治療体積内、治療体積外、またはその両方にある。いくつかの実施形態によれば、延長部の構成は凍結治療中に変更され、したがって延長部は、凍結治療中に折り畳まれ、部分的に折り畳まれ、広げられ、またはこれらの任意の組合せが行われ、それによって治療体積の体積および形状が変更される。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの遠位端は、少なくとも1つの流入ノズルを備える旋回構成要素を含み、極低温流体は、旋回構成要素とともに旋回する流入ノズルを通って注入され、これにより極低温流体が部位または体積をカバーしやすくする。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの流入チャネルおよび少なくとも1つの流出チャネルは同じチャネルであり、これらのチャネルを通る流れの方向は、制御手段によって制御される。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの流入チャネルおよび少なくとも1つの流出チャネルは、複数のチャネルを有する製作または押出成形されたチューブまたはカテーテルの一部である。いくつかの実施形態によれば、内視鏡またはシースの鋭い角度の動きは、流入チャネルまたは流出チャネルにキンクを生じさせない。いくつかの実施形態によれば、流入チャネルおよび流出チャネルは、少なくとも部分的に屈曲性、可撓性、または耐キンク性を有する。いくつかの実施形態によれば、流入チャネル、流出チャネル、またはその両方は、少なくとも部分的に編目状、コイル状、またはその両方である。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、身体内腔は、膀胱、子宮頸、前立腺、尿道、尿管、胃、または子宮である。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの流出チャネルを通って身体内腔から体液が排出される。いくつかの実施形態によれば、制御手段は、治療される身体内腔内の内部圧力、治療される身体内腔の温度、流量、流れ時間、またはこれらの任意の組合せに関するパラメータを受け取る。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、極低温流体は、身体内腔内へ間接的に注入され、折り畳まれた構成要素内へ注入される。いくつかの実施形態によれば、折り畳まれた構成要素は極低温バルーンである。いくつかの実施形態によれば、極低温流体はカテーテル内へ注入され、カテーテルは、身体内腔内への開口を有していないが身体内腔内へ挿入され、拡張極低温流体は、カテーテル内から排出される。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、極低温流体は、少なくとも1つの追加の活性成分とともに注入される。いくつかの実施形態によれば、活性成分は、生物学的、免疫学的、化学的、ナノ粒子、または化学療法の実体である。いくつかの実施形態によれば、活性成分は、マイトマイシンC、ドキソルビシン、および樹状細胞から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、極低温流体は、液体窒素、二酸化炭素(CO2)、亜酸化窒素(N2O)、またはこれらの任意の組合せから選択される。
【0090】
本発明のさらなる実施形態は、内視鏡またはシースに通される、身体内腔内の少なくとも1つの標的領域を治療する凍結療法デバイスであって、
- 折り畳まれた切除用極低温バルーンと、
- 内視鏡またはシースを通って折り畳まれた極低温バルーンを身体内腔内へ導入する手段と、
- 身体内腔内で極低温バルーンを広げる手段と、
- 広げられた極低温バルーンの少なくとも一部および標的領域の少なくとも一部を含む視野を視覚化する視覚化手段と、を備えるデバイスを対象とする。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、極低温バルーンは、異なる柔軟度を有する領域を有し、極低温バルーンのうち低い温度を標的領域へ伝達する際に活動的な領域が、バルーンの膨張、バルーンの動き、またはバルーンの膨張および動きの両方によって、標的領域に接触する。いくつかの実施形態によれば、極低温バルーンは、少なくとも1つの非柔軟性のある支持領域と、少なくとも1つの柔軟性または半柔軟性のある活動領域とを含み、視覚化手段は、支持領域、活動領域の一部、またはその両方を含む視野を視覚化する。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、身体内腔内で極低温バルーンを広げる手段は、極低温流体の噴射、追加の流体の噴射、またはこれらの任意の組合せを含み、これらの噴射はいずれも、任意の数のノズルによって行われ、任意選択でこれらのノズルはいずれも、任意の度数だけ軸の周りを旋回する。いくつかの実施形態によれば、極低温バルーンは、柔軟性、半柔軟性、非柔軟性、またはこれらの任意の組合せを有する。いくつかの実施形態によれば、折り畳まれたときの極低温バルーンの直径または平均直径は、2.5mmを下回る。
【0093】
本発明のさらなる実施形態は、内視鏡またはシースに通される、身体内腔内の少なくとも1つの治療部位を治療する凍結療法デバイスであって、
- 転がり構成要素と、
- 内視鏡またはシースを通って身体内腔内へ転がり構成要素を導入する手段と、
- 転がり構成要素内へ極低温流体を注入する手段と、を備えるデバイスを対象とする。
【0094】
別途定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および/または科学的な用語は、本発明が関係する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験において、本明細書に記載するものに類似または同等の方法および材料を使用することができるが、例示的な方法および/または材料について以下に説明する。矛盾する場合、定義を含む本特許明細書が優先する。追加として、材料、方法、および例は例示のみを目的とし、必ずしも限定することを意図したものではない。
【0095】
当業者には理解されるように、本発明のいくつかの実施形態は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として実施することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアの態様およびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができ、これらをすべて、本明細書では全体として、「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶことができる。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが実施される1つまたは複数のコンピュータ可読媒体で実施されるコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。本発明のいくつかの実施形態の方法および/またはシステムの実装は、選択されたタスクを手動、自動、またはこれらの組合せで実行および/または完了することを伴うことができる。さらに、本発明の方法および/またはシステムのいくつかの実施形態の実際の器械および機器に応じて、ハードウェア、ソフトウェア、もしくはファームウェア、および/またはこれらの組合せによって、たとえばオペレーティングシステムを使用して、いくつかの選択されたタスクを実施することができる。
【0096】
たとえば、本発明のいくつかの実施形態に係る選択されたタスクを実行するハードウェアは、チップまたは回路として実施することができる。ソフトウェアとして、本発明のいくつかの実施形態に係る選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載する方法および/またはシステムのいくつかの例示的な実施形態に係る1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行する演算プラットホームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令および/もしくはデータを記憶する揮発性メモリ、ならびに/または不揮発性記憶装置、たとえば磁気ハードディスク、ならびに/または命令および/もしくはデータを記憶するリムーバブルメディアを含む。任意選択で、ネットワーク接続も同様に提供される。任意選択で、ディスプレイおよび/またはキーボードもしくはマウスなどのユーザ入力デバイスも同様に提供される。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態に対して、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、これらに限定されないが、たとえば、電子、磁気、光学、電磁、赤外、もしくは半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または上記の任意の好適な組合せとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非排他的な一覧)には、1つもしくは複数のワイヤを有する電気的接続、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または上記の任意の好適な組合せが含まれる。本文献の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによってまたはそれに関連して使用される、プログラムを収容または記憶することができる任意の有形の媒体とすることができる。
【0098】
コンピュータ可読信号媒体は、たとえばベースバンド内に、または搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードが実施された伝播データ信号を含むことができる。そのような伝播信号は、これらに限定されないが、電磁気、光学、またはこれらの任意の好適な組合せを含む様々な形態のいずれかをとることができる。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによってまたはそれに関連して使用されるプログラムを通信、伝播、または輸送することができる、コンピュータ可読記憶媒体でない任意のコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0099】
コンピュータ可読媒体上で実施されるプログラムコードおよび/またはそれによって使用されるデータは、これらに限定されないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、または上記の任意の好適な組合せを含む任意の適当な媒体を使用して送信することができる。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態に対する動作を実施するコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書くことができる。プログラムコードは、完全に使用者のコンピュータ上で、部分的に使用者のコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、部分的に使用者のコンピュータ上かつ部分的に遠隔コンピュータとして、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介して、使用者のコンピュータに接続することができ、または接続は、外部コンピュータに対して行うことができる(たとえば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態について、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品の流れ図および/またはブロック図を参照して、以下に説明することができる。流れ図および/またはブロック図の各ブロック、ならびに流れ図および/またはブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実施することができることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、特定目的コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供して、機械を作製することができ、したがってコンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令は、流れ図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実施する手段をもたらす。
【0102】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体内に記憶することができ、特定の形で機能するようにコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスに指示することができ、したがってコンピュータ可読媒体内に記憶されている命令は、流れ図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実施する命令を含む製品を作製する。
【0103】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイス上へロードし、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で実行して、コンピュータ実施プロセスを作製することができ、したがってコンピュータまたは他のプログラム可能装置上で実行される命令は、流れ図および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/動作を実施するプロセスを提供する。
【0104】
本明細書に記載する方法のいくつかは、概して、コンピュータによって使用するためだけに設計されており、専門家によって純粋に手動で実行するには実行可能または実際的ではない。凍結療法中の圧力および/または温度の監視などの類似のタスクを手動で実行しようと考えた専門家は、本明細書に記載する方法のステップを手動で行うより非常に効率的な完全に異なる方法、たとえば人間の脳の専門知識および/またはパターン認識能力を使用することを予期することができる。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態について、その例示のみを目的として添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下、特に図面を詳細に参照して示す細部は、例示を目的とし、また本発明の実施形態の詳細な説明を目的とすることを強調する。同様に、図面と共に説明を見ることで、本発明の実施形態をどのように実践し得るかが当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1-1】
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法システムのブロック図である。
【
図1-2】
図1Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る概略的な凍結療法プロセスのフローチャートである。
【
図1-3】
図1Cおよび
図1Dは、本発明のいくつかの実施形態に係る内視鏡を介して治療内腔内へ導入される凍結療法処置中の凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図1-4】
図1Eおよび
図1Fは、本発明のいくつかの実施形態に係る内視鏡を介して治療内腔内へ導入される凍結療法処置中の凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図2】
図2A~
図2Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る流体が治療部位の内外へ進むことができる手段を具体的に提示する、凍結療法システムの概略縦断面図である。
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの実施形態に係るデバイスの遠位端が配置および固定される手段を具体的に示す、凍結療法システムの概略縦断面図である。
【
図4-1】
図4A~
図4Dは、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図4-2】
図4Eは、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図であり、
図4F~
図4Hは、該遠位端の概略横断面図である。
【
図5】
図5A~
図5Dは、本発明のいくつかの実施形態に係る鋭角形成シナリオ中に内視鏡を通って導入された凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図6-1】
図6A~
図6Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る異なるタイプの噴霧を提供する特有のノズルを含む凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図6-2】
図6Dおよび
図6Eは、本発明のいくつかの実施形態に係る異なるタイプの噴霧を提供する特有のノズルを含む凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る内視鏡、特に内視鏡の流入および流出チャネルの使用を介して導入された凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図8-1】
図8Aおよび
図8Bは、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中に治療内腔内に内視鏡を介して導入された凍結療法デバイスの概略縦断面図であり、
図8Cおよび
図8Dは、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中に治療内腔内に内視鏡を介して導入された膨張した凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図8-2】
図8E~
図8Gは、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中に内腔内に導入された膨張した凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る極低温バルーンを具体的に提示する、凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図10-1】
図10Aおよび
図10Bは、本発明の追加の実施形態に係る内視鏡またはシースを介して治療内腔内へ導入された凍結療法処置中の凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図10-2】
図10Cおよび
図10Dは、本発明の追加の実施形態に係る内視鏡またはシースを介して治療内腔内へ導入された凍結療法処置中の凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図11】
図11は、本発明のいくつかの実施形態に係る流体が治療内腔の内外へ進むことができる流路および手段を提示する凍結療法システムの概略縦断面図である。
【
図12】
図12Aおよび
図12Bは、本発明のいくつかの実施形態に係るローラを有する転がり式凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図13】
図13は、本発明のいくつかの実施形態に係る延長部を含む凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図14】
図14は、本発明のいくつかの実施形態に係る回転ノズルを含む凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図15】
図15Aおよび
図15Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る内視鏡の流入および流出チャネルの使用を含む、内視鏡を介して導入された凍結療法デバイスの概略縦断面図である。
【
図16】
図16A~
図16Cは、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中の延長部を含む膨張した凍結療法デバイスの概略縦断面図であり、
図16Dおよび
図16Eは、本発明のいくつかの実施形態に係る延長部を含む凍結療法デバイスの遠位端の概略上面図である。
【
図17-1】
図17A~
図17Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る延長部を含む凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図17-2】
図17D~
図17Fは、本発明のいくつかの実施形態に係る延長部を含む凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図である。
【
図18】
図18A~
図18Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る内視鏡の視覚化手段および延長部を含む凍結療法デバイスの遠位端の概略横断面図である。
【
図19】
図19A~
図19Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る延長部を含む凍結療法デバイスの遠位端の概略横断面図である。
【
図20】
図20Aおよび
図20Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る流入経路を含む凍結療法デバイスの遠位端の概略横断面図である。
【
図21A】
図21Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法デバイスを通る冷却剤流および低圧流のフローチャートである。
【
図21B】
図21Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る流れおよび/またはパージ制御のためのプロセスのフローチャートである。
【
図22A】
図22Aは、本発明のいくつかの実施形態に係る流れおよび時間に応じた身体内腔内の圧力変化を示すグラフである。
【
図22B】
図22Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る流れおよび時間に応じた身体内腔内の圧力変化を示すグラフである。
【
図22C】
図22Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る流れおよび時間に応じた身体内腔内の圧力変化を示すグラフである。
【
図22D】
図22Dは、本発明のいくつかの実施形態に係る流れおよび時間に応じた身体内腔内の圧力変化を示すグラフである。
【
図22E】
図22Eは、本発明のいくつかの実施形態に係る流れおよび時間に応じた身体内腔内の圧力変化を示すグラフである。
【
図22F】
図22Fは、本発明のいくつかの実施形態に係る流れおよび時間に応じた身体内腔内の圧力変化を示すグラフである。
【
図23-1】
図23Aおよび
図23Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る異なる距離および角度測定手段を有する凍結療法デバイスの遠位端の概略図である。
【
図23-2】
図23Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る異なる距離および角度測定手段を有する凍結療法デバイスの遠位端の概略図である。
【
図23-3】
図23Dは、本発明のいくつかの実施形態に係る異なる距離および角度測定手段を有する凍結療法デバイスの遠位端の概略図であり、
図23Eは、光ビームまたは低圧流の投影後の標的領域の概略上面図である。
【
図23-4】
図23Fは、本発明のいくつかの実施形態に係る異なる距離および角度測定手段を有する凍結療法デバイスの遠位端の概略図であり、
図23Gは、光ビームまたは低圧流の投影後の標的領域の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
説明を簡単かつ明確にするため、これらの図に示されている要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていないことが理解されよう。たとえば、これらの要素のいくつかの寸法は、見やすいように他の要素に対して強調されていることがある。さらに、適当と考えられる場合、対応または類似する要素を指すために、これらの図の間で参照番号を繰り返すことがある。
【0108】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、凍結アブレーション、凍結手術、または凍結療法デバイスを含むアブレーションに関し、より具体的には、これに限定されないが、身体内腔疾患の凍結療法に関する。
【0109】
いくつかの実施形態の一態様は、身体内腔内の少なくとも1つの微小環境パラメータを制御しながら、凍結療法を実行することに関する。いくつかの実施形態では、パラメータは、画定された治療空間、たとえば凍結療法デバイスと標的領域との間の治療空間内で制御される。いくつかの実施形態では、パラメータは、治療領域のより良好な視覚化を可能にするように制御される。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、パラメータは、凍結療法デバイスの少なくとも1つの流入経路を通って治療空間に入る流れを制御することによって制御される。別法または追加として、少なくとも1つのパラメータは、任意選択で凍結療法デバイスの少なくとも1つの流出経路を通る、治療空間からの物質の排出を制御することによって制御される。いくつかの実施形態では、治療空間内の流れは、凍結療法の効力を増大させ、たとえば標的組織とのより良好な係合を可能にするように制御される。別法または追加として、治療空間内の流れは、凍結療法の安全を増大させるように、たとえば組織の損傷を招きうる最大の圧力および/または温度値を超過しないように制御される。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、治療空間に入る流れは、たとえば光学系アセンブリ(たとえばレンズおよび/または光源)の洗浄を可能にするように制御される。別法または追加として、流れはたとえば、光学系アセンブリと標的部位との間の視野を邪魔する蒸気、極低温ミスト、および/または液滴を治療空間から除去することを可能にするように制御される。いくつかの実施形態では、蒸気、極低温ミスト、および/または液滴を治療空間から除去することで、たとえば身体内腔内の治療部位の凍結療法および視覚化を改善および/または最適化することが可能になる。いくつかの実施形態では、治療空間に入る流れは、たとえば、凍結療法プロセス前および/または凍結療法プロセス中に身体内腔の膨張を可能にするように制御される。別法または追加として、極低温流体を噴霧するために使用されるノズルを通る流れは、液滴または凍結粒子によるノズルの詰まりを防止するように制御される。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、治療空間は、治療空間の幾何学的パラメータを調整することによって画定される。いくつかの実施形態では、たとえば、内腔内の凍結療法に影響を与える微小環境パラメータをより良好に制御するために、任意選択で身体内腔内に治療空間を画定するように構成された体積細分器によって、凍結療法デバイスと標的領域との間の治療部位および/または体積の境界が定められ、体積細分器は、治療空間と内腔の他の部分との間の流体の混合を低減させることによって、前記遠位端と前記選択された標的領域との間に治療空間を画定するように構成される。いくつかの実施形態では、体積細分器は、幾何学的要素を備える。いくつかの実施形態では、幾何学的要素、たとえば延長部、円錐、またはドレスは、任意選択で、身体内腔内に配置された凍結療法デバイスの遠位端から広がる。別法または追加として、体積細分器は、凍結療法デバイスの遠位端内で凍結療法デバイスの遠位端または極低温流入の開口の周りに周辺流体流を含む。いくつかの実施形態では、周辺流体流、たとえば周辺空気またはガス流が、身体内腔内に治療空間を画定する仮想の円錐を、遠位端または極低温流開口の周りに生成する。任意選択で、周辺流体流は、たとえば身体内腔内の極低温流の周りのガス、任意選択で低圧ガスの集束された流れを使用して生成される。
【0113】
いくつかの実施形態によれば、幾何学的要素は、たとえば凍結アブレーションサイクル中および/またはサイクル間に、内腔内の制御された体積を制限することによって、たとえば内腔内の視覚化に干渉する蒸気および/または湿度をより良好に制御することを可能にする。いくつかの実施形態では、配備された幾何学的要素は、任意選択で異なる、より低い、またはより高い湿度、圧力、および/または温度を有する別個の微小環境を、身体内腔内に生成することを可能にする。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、身体内腔内の圧力は、凍結療法中に増大する。いくつかの実施形態では、圧力は、低圧ガスによる身体内腔の膨張によって増大して、たとえば選択された標的領域のより良好な視覚化および/またはアクセスを可能にする。別法または追加として、身体内腔内の圧力は、身体内腔内の極低温流体の膨張によって増大する。いくつかの実施形態では、圧力レベルを低減させるために、たとえば最大の許容される圧力値を超過しないように、制御ユニットが、少なくとも1つの流入経路を通って身体内腔に入る流れを調節する。いくつかの実施形態では、身体内腔に入る流れは停止され、かつ/または体外の流路へ少なくとも部分的にそらされる。別法として、流出経路に連結された少なくとも1つの流れレギュレータが、身体内腔内の物質の一部を排出するように開放される。いくつかの実施形態では、流れレギュレータは受動的に開放される。別法として、流れレギュレータは、たとえば電気信号によって、能動的に開放される。いくつかの実施形態では、流れレギュレータは、バルブ、たとえば逆止め弁および/またはポンプ、たとえば真空ポンプを構成する。いくつかの実施形態では、流れレギュレータは、身体内腔内の圧力を制御するために使用される。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、最大の圧力値は、組織のタイプおよび/または圧力の持続時間に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、身体内腔、たとえば膀胱内で30~70分続く凍結療法中の圧力値は、10~30ミリバールの範囲内の通常の膨張圧力、10~30秒の凍結療法サイクル中の20~50ミリバールの範囲内のより高い圧力値を含み、1秒以下の期間にわたって50~150ミリバールの範囲内のピークを可能にする。いくつかの実施形態では、身体内腔、たとえば膀胱内で30~70分続く凍結療法セッション中の最大の圧力値は、約80ミリバール、たとえば50ミリバール、60ミリバール、70ミリバール、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値である。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、身体内腔内の温度は、たとえば極低温冷却剤の膨張によって、凍結療法中に低下する。いくつかの実施形態では、身体内腔内の温度は、たとえば身体内腔に入る冷却剤の流れを制御することによって制御される。別法または追加として、温度は、流出経路を開放して身体内腔内から物質の一部を排出することによって制御される。いくつかの実施形態では、たとえば治療空間内の温度レベルを増大させるために、温められた洗浄流体、たとえば温められたガスが、身体内腔内へ押し込まれる。追加または別法として、温められたガスは、光学系アセンブリのレンズの方へ押されて、たとえばレンズを一定の温度で保ち、かつ/またはレンズ表面上の水滴の凝結を防止する。
【0117】
いくつかの実施形態の一態様は、治療に関係する幾何学的パラメータを調整することによって、身体内腔内で凍結療法を実行することに関する。いくつかの実施形態では、身体内腔内に配置された凍結療法デバイスの遠位端と身体内腔内の標的部位との間の幾何学的関係、たとえば距離および/または角度が判定される。任意選択で、判定された距離および/または角度に応じて、少なくとも1つの凍結療法パラメータ、たとえば極低温流体の噴霧持続時間、噴霧セッション間の時間、および/または極低温流体の圧力が判定および/または調整される。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、距離および/または角度は、少なくとも1つの幾何学的要素の配置に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、幾何学的要素、たとえば延長部、円錐、またはドレスは、任意選択で、身体内腔内に配置された凍結療法デバイス部分の遠位端から広がる。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、幾何学的要素は、たとえば、身体内腔内に配置された凍結療法デバイスの極低温ノズルと選択された標的領域との間の距離および/または角度を判定することを可能にする。いくつかの実施形態では、幾何学的要素の配置は、任意選択で知られているサイズおよび/または形状とともに、幾何学的要素と内腔の内面との間の接触点を視覚化することによって、たとえば選択された標的領域までの距離および/または極低温ノズルと標的領域との間の角度を判定することを可能にする。別法または追加として、標的領域までの距離は、幾何学的要素が内面に接触したときに信号を受け取ることによって判定される。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、極低温ノズルからのガス、たとえば低圧ガスの集束された流れにより、極低温ノズルと選択された標的領域との間の距離、および/または極低温ノズルと標的領域との間の角度を判定することが可能になる。いくつかの実施形態では、距離および/または角度は、内腔の内面とのガスの接触点を視覚化することによって判定される。任意選択で、集束されたガス流は、凍結アブレーションセッション間に極低温ノズルを通って送達される。いくつかの実施形態では、集束されたガス流は、たとえば内面との接触点にくぼみ(または楕円形の変形)を形成することによって、内腔の内面の形状を部分的に変形させる。いくつかの実施形態では、くぼみのサイズおよび/または形状を視覚化することで、たとえば標的領域までの距離および/または凍結療法デバイスと標的領域との間の角度を判定することが可能になる。
【0121】
いくつかの例示的な実施形態によれば、距離および/または角度は、標的領域の表面上の投影光点を視覚化することによって判定される。いくつかの実施形態では、距離および/または角度は、光点の形状および/またはサイズおよび/または色の変化に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、光点は、身体内腔内に配置された凍結療法デバイスの遠位端に配置された光源からの光ビームによって生成される。任意選択で、光源は、レーザ光源または集束光源を生成することが可能な任意の他の光源によって生成される。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスと標的領域と間の距離および/または角度は、標的領域を、任意選択で凍結療法デバイスの少なくとも一部とともに視覚化し、1つまたは複数の画像処理アルゴリズムによって画像を処理することによって判定される。
【0122】
いくつかの実施形態の一態様は、本明細書では一掃材料とも呼ばれる洗浄流体を身体内腔内へ加えながら、凍結療法を実行することに関する。いくつかの実施形態では、洗浄流体、たとえばガス、任意選択で低圧ガスは、冷却剤が標的領域に噴霧されている間に、身体内腔内へ導入される。別法または追加として、洗浄流体は、噴霧サイクル間に身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、凍結療法デバイスの遠位端またはその付近の少なくとも1つの開口を通って身体内腔内へ押し込まれる。
【0123】
いくつかの実施形態によれば、洗浄流体は、身体内腔内へ押し込まれて、内腔を膨張させる。いくつかの実施形態では、内腔は、凍結療法標的領域のより良好な視覚化を可能にするように膨張させられる。別法または追加として、内腔は、凍結療法デバイスの遠位端を選択された標的領域へより良好に操作することを可能にするように膨張させられる。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、洗浄流体は、凍結療法デバイスの光学アセンブリ、たとえばレンズを清浄にするために、身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、洗浄ガスは、たとえばレンズを覆うことのある湿気および/または汚れからレンズを清浄にする。別法または追加として、洗浄流体は、光学アセンブリと標的領域との間の視野(FOV)を一掃する(clear)ために、身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、冷たい湿気ガス、たとえばミストを光学アセンブリから洗い流すために使用される。いくつかの実施形態では、洗浄ガスは、内腔の加湿空間内の拡張極低温ガスと液体粒子との相互作用によって形成されるミストおよび/または氷結した液滴をFOVから一掃する。
【0125】
いくつかの実施形態によれば、洗浄流体、任意選択で温かい洗浄流体は、たとえばミストの残り(または排出されたミスト)がレンズ方向へ流れるのを防止するために、レンズ表面の周りに動的なバッファ(「光学系洗浄液」)を生成する。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、ミストおよび/または凍結粒子を光学系アセンブリから押しのける。別法または追加として、温かい洗浄流体は、レンズ表面上のミストまたは液滴の形成を防止するために、光学系アセンブリ、たとえば光学系アセンブリのレンズを、一定の温かい温度で保つ。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、洗浄流体は、圧力測定に使用される。いくつかの実施形態では、内腔内の圧力変化の結果、内腔内の圧力を測定/近似することができる(たとえば制御および/または安全手段に使用することができる)ように、洗浄圧力源のより近くで(上流、たとえば制御ユニット内で)、圧力変化を測定することができる。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、前述したように、洗浄流体は、任意選択で、光学系アセンブリの洗浄、FOVからのミストの一掃、任意選択で凍結療法プロセス中の身体内腔の膨張、および身体内腔圧力レベルの測定のうちの2つ以上に対して同時に使用される。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスの制御ユニットは、光学系アセンブリに向かう流れとFOVからミストを一掃する流れとの間の洗浄流体の流れ分布を制御する。別法または追加として、制御ユニットは、たとえば身体内腔の最大の圧力値を超過しないように、極低温冷却剤の噴霧に対する洗浄流体流の流れおよびタイミングの調和を制御する。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、たとえば身体内腔の膨張レベルが最小の圧力値より高くなることを確実にするために、身体内腔に入る洗浄流体の流れを単独で、またはノズルを通る極低温冷却剤流もしくはパージ流、たとえば低圧流と組み合わせて制御する。
【0128】
いくつかの実施形態の一態様は、ノズルを通る流れを制御することによって、極低温流入経路の極低温ノズルの閉塞を防止することに関する。いくつかの実施形態では、極低温ノズルを通る流れは、極低温冷却剤流が停止されたときに閉塞を防止するように制御される。いくつかの実施形態では、冷却剤流が停止されたとき、極低温ノズルを通るパージ流が開始される。いくつかの実施形態では、パージ流は、極低温でないガス、任意選択で低圧ガスの流れである。いくつかの実施形態では、極低温冷却剤流体が停止されたとき、流入経路内に閉じ込められた残留極低温流体を解放するために、任意選択で所定の時間期間にわたって、通気孔が開放される。別法として、通気孔は、極低温流入経路内に閉じ込められた残留極低温冷却剤の量に応じて調整された時間期間にわたって開放される。
【0129】
いくつかの実施形態によれば、本出願の明細書に記載する極低温流体は、極低温源内で約50~80バールの圧力レベルで、極低温圧縮流体、液体のCO2を含む。別法として、極低温流体は、極低温流体源内で約200バールの圧力で、流体、たとえば窒素ガスを含む。いくつかの実施形態では、極低温流体は、数バール、たとえば1~10バールの圧力で液体として存在し、この液体が気体、たとえばLN2に拡張し、液体窒素は任意選択で、約1:1000の液体:気体比で拡張する。いくつかの実施形態では、いかなる理論にも拘束されるものではないが、身体内腔内の高圧流体の膨張により、流体の圧力が減少し、極低温効果、たとえばジュール-トムソン効果がもたらされる。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、洗浄流体は、その供給源で1~4バールの圧力を有し、任意選択で膀胱内へ拡張すると数十ミリバールの圧力になる低圧ガスを含む。いくつかの実施形態では、身体内腔の洗浄および/または膨張のために、任意の低圧ガスを使用することができる。任意選択で、貯蔵されている高圧ガスが、圧力の低減後、たとえば凍結療法デバイスの内腔内で、身体内腔内への解放前に使用される。洗浄および凍結アブレーションの両方に同じタイプのガスを使用する可能な利点は、凍結アブレーションおよび洗浄の両方に対して別個の供給源の必要がないことである。洗浄流体として空気を使用する可能な利点は、追加のシリンダ/キャニスタの連結/交換/空間/コストなどの必要が低減されることである。いくつかの実施形態では、たとえば治療空間内のミストの低減および/または光学アセンブリの洗浄のために、洗浄流体は温められかつ/または乾燥される。いくつかの実施形態では、洗浄ガスがシリンダ/キャニスタ内に貯蔵されているとき、その水分(PPM(百万分の1)単位で測定される)は、通常の空気と比較するとはるかに少ない。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、洗浄流体は、少なくとも毎分4リットル(空気値)、たとえば毎分5リットル(空気値)、毎分7リットル(空気値)、毎分10リットル(空気値)、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値の速度で、身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、低圧流体、たとえば低圧ガスのパージは、最高1リットル/分(空気値)、たとえば1リットル/分(空気値)、0.7リットル/分(空気値)、0.5リットル/分(空気値)、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値の速度で、身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、極低温流体は、少なくとも5リットル/分、たとえば5リットル/分、7リットル/分、10リットル/分、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値の流量で、身体内腔内へ導入される。
【0132】
いくつかの実施形態の一態様は、可動の極低温流入開口によって、大きい標的部位または大きい治療空間に凍結療法を施すことに関する。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスは、可動ノズルを有する極低温流入経路を備え、たとえば可動ノズルは、たとえば身体内腔内の大きい標的部位をカバーすることが可能になるように、選択された方向および/または選択された角度に回転するノズルである。いくつかの実施形態では、ノズルは軸の周りを回転する。別法または追加として、凍結療法デバイスは、極低温ノズルと組み合わせて旋回要素を備える。いくつかの実施形態では、極低温流体は、旋回構成要素とともに旋回することが可能なノズルを通って噴霧され、それによって身体内腔内の部位または体積をカバーすることを支援する。
【0133】
以下の詳細な説明では、本発明の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について述べる。しかし、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施することができることが、当業者には理解されよう。他の例では、本発明を曖昧にしないために、よく知られている方法、処置、および構成要素については詳細に説明しない。
【0134】
本明細書では、別途具体的に言及しない限り、「身体内腔」、「治療内腔」、「標的内腔」などの用語は交換可能であることに留意されたい。同様に、別途具体的に言及しない限り、「治療組織」、「治療部位」、「標的組織」、「標的部位」、「標的領域」、「治療領域」などの用語は交換可能である。さらに、感知手段の遠位端に関する要素は、特有の感知要素が特に感知手段の遠位端に配置されていない場合でも、感知手段のうち必要とされるパラメータを感知する部分を指すことを意図したものである。
【0135】
本発明の実施形態は、内視鏡または任意の他の適当な手段(たとえば、超音波、CTなどの視覚化または外部撮像手段なしで、カテーテルを内腔内へ直接挿入する)を介して身体内腔内へ導入することができる凍結療法のためのデバイスおよびシステムを対象とする。本発明は、身体内腔内の凍結療法をさらに対象とする。いくつかの実施形態によれば、凍結療法は、凍結免疫学的プロセスを含む。
【0136】
本明細書では、「内視鏡」という用語は、体内へ挿入することができ、それによって任意の必要なワーキングチャネル、視覚化手段などを身体内腔内に配置することができる、任意のタイプの知られている内視鏡、ならびに任意のタイプのシース、カテーテル、チューブなどを含むことを意図したものであることに留意されたい。したがって、内視鏡は、固有の視覚化手段などを含むことができ、視覚化手段は、任意のタイプのシースなどを介して挿入することができ、したがって処置中に視覚化手段を変更することができ、すなわち処置全体にわたっていくつかの異なる種類の視覚化手段を使用することができる。本明細書で使用される「視覚化手段」という用語、または任意の他の同等の用語は、光学的手段、超音波、MRI、X線などを含むことを意図したものであることに留意されたい。任意の他のセンサはまた、内視鏡内で固有とすることができ、またはその内視鏡を介して身体内腔内へ挿入することができる。本明細書で使用される「ワーキングチャネル」という用語、または任意の他の同等の用語は、それによって視覚化手段などの任意のデバイスおよび/またはセンサを身体内腔内へ挿入することができる、内視鏡を通る一体経路、またはシース、カテーテル、チューブなどの任意の手段によって利用可能な経路とすることができることに留意されたい。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスは、加圧流体の注入および拡張流体の排出の両方を可能にする2つ以上のチャネル、チューブ、カテーテルなどを含み、少なくとも1つのチャネルを介して内腔内へ加圧流体が注入され、拡張流体は、少なくとも1つの第2のチャネルを通って内腔から排出される。別途具体的に言及しない限り、カテーテル、チューブなどは、本明細書で区別なく使用されることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの注入チャネルおよび少なくとも1つの排出チャネルが、内視鏡を介して身体内腔内へ挿入される。いくつかの実施形態によれば、任意のチャネルが、他のチャネルのいずれか1つを通過することができ、または他のチャネルのいずれか1つを通って供給することができる。他の実施形態によれば、流れ方向、相対量、およびタイミングを制御するために、任意の適当なタイプのセンサおよび/または個別アルゴリズムを使用して、この同じチャネルを注入および排出の両方に使用することができる。加圧および拡張流体について上述したが、上記の実施形態のいずれか一項によれば、任意のタイプの流体をシステムから導入/解放することができることに留意されたい。当技術分野で知られているように、「流体」という用語は、気体および液体の両方を含むことに留意されたい。
【0138】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの排出手段ならびに制御手段を備える凍結療法デバイスをさらに含み、それによって拡張流体の排出、および場合により加圧流体の注入が制御される。制御手段は、自動、事前定義、電子、手動などとすることができる。凍結療法デバイスは、任意の数またはタイプのセンサをさらに含むことができ、制御手段は、これらのセンサからデータを受け取り、事前定義された値、手動の決定、プロセス中に変更することができる値などに応じて、排出および/または注入を制御する。そのような制御手段がなければ、排出が不十分になりうるため、標的臓器内で圧力が上昇し、さらに場合により破断を引き起こす可能性がある。さらに、特定の、場合により事前定義された値を下回らないように、標的内腔の内部圧力を制御することが必要になる可能性がある。特に、圧力が低すぎる(たとえば、10ミリバールを下回る)場合、低圧では内腔が潰れうるため、内腔内で動作することおよび/または内腔の内側を視覚的に見ることが困難になり、またはさらには不可能になる可能性がある。したがって、制御手段は、圧力が内腔に損傷を引き起こすほど高くなりすぎないこと、または内腔が潰れるほど低くなりすぎないことを確実にすることができる。さらに、治療される身体内腔内には体液が存在することがある(たとえば、膀胱内の尿)。その体液は、凍結療法プロセスによって凍結することがあり、場合により膨張極低温流体の排出を妨げることがあり、したがってシステム内にセンサを含むことが重要であり、制御手段は、このセンサに応じて、治療内腔が傷付けられないように、排出、および場合により注入を制御する。いくつかの実施形態によれば、任意の数のセンサが身体内腔内へ挿入される。いくつかの実施形態によれば、超音波、X線などの任意の数の外部センサを、内部センサとともに、または場合により内部センサの代わりに使用することができる。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、内腔内の圧力が約30ミリバール~100ミリバールを上回るとき、流入を停止することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の圧力が約20ミリバール~10ミリバールを下回るまで、流出の排出を継続することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の温度が約5~10℃を下回るとき、流入を停止することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の温度が約15~20℃を上回るとき、流入を開始することができる。いくつかの実施形態によれば、システムを制御するために、温度および圧力の両方、ならびに任意の他の適当なパラメータを使用することができる。
【0140】
したがって、本発明によれば、子宮、胃、膀胱、腎盂、尿道、および尿管などの内腔は、ガスをそこから自然に安全に排出することができない場合でも、治療することができる。いくつかの実施形態によれば、極低温流体の注入ならびにその排出の両方を含むシステムの動力学により、プロセス全体にわたって注入および排出の両方を監視および制御しながら、内腔内の液体または蒸気を凍結から防止し、したがって閉塞などを防止する。いくつかの実施形態によれば、極低温流体の注入に加えて、システムは、所望されるとき、極低温でない流体を内腔内へ導入する追加の流れ注入源を含む。たとえば、内腔の特定の体積を残しておき、使用者が必要な動作を実行することを可能にしながら、場合により内腔の内側を視覚化するために、内腔内へ流体を注入することができる。これは、特に任意の2つの凍結サイクル間、または最後の凍結サイクル後に、必要となることがある。さらに、内腔またはその中の部位を乾燥させるために、内腔内へ流体を注入することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔は、乾燥状態および/または温かい状態のガスによって乾燥させることができ、さらに内腔内の圧力は、CO2、空気、アルゴン、N2などのガスによって、事前定義された値、たとえば10ミリバールを上回るように維持することができる。注入、排出、および制御を組み合わせて、システムが適切に動作するのに必要な動力学が提供される。さらに、注入および排出チューブの直径を比較的小さくすることができるため(特に視覚化手段などを含む場合、すべてのチューブを合わせて全体的な直径は約0.8~4mm、またはすべてのチューブで全体的な直径は約4.0~9.0mm)、尿管などの直径の小さい入口を有する内腔でも治療することができ、さらに、追加の各チューブを使用すると全体的な直径が増加するため、直径をさらに制限するために、1つのチューブまたは2つの隣接するチューブを使用することができる。小さい直径、たとえば約0.8~9.0mmの全体的な直径は、注入および排出チャネルだけでなく、身体内腔内へ導入される任意の他のチャネル、デバイス、センサなど、たとえば視覚化手段も含むことができることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、流入および流出チャネルの全体的な直径は、約0.8~4.0mmである。外側シースの直径は、約5.0~9.0mmとすることができ、視覚化手段の外径は、約3.0~5.0mmである。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、膀胱、子宮頸、胃、前立腺、尿道、尿管、または子宮の症状が治療される。さらなる実施形態によれば、膀胱、子宮頸、胃、前立腺、尿道、尿管、または子宮のがんが治療される。良性腫瘍も同様に治療することができる。膀胱、胃、子宮頸、前立腺、または子宮内の痛みの症状も治療することができる。さらなる実施形態によれば、上部尿路がん、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群、過活動膀胱(OAB)などを含む、任意のタイプの尿路の症状を治療することができる。
【0142】
凍結療法デバイスの遠位端は、任意の数の孔、ノズル、割れ目などを含むことができ、そこを通って身体内腔内へ流体を注入/導入/解放することができる。いくつかの実施形態によれば、流体は、化学療法、免疫療法、および/または他の化学的もしくは生物学的な作用薬などの任意の追加の材料とともに、内腔内へ注入することができる。追加の材料は、最適の結果のために、凍結療法と同時、凍結療法前、および/または凍結療法後に導入することができる。本明細書では、導入される流体は、「冷却剤」、「極低温流体」などとも呼ばれる。冷却剤は、任意の所望の治療領域を切除/凍結することが可能であることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの遠位端は、標的部位および/またはその周辺に流体を直接噴霧するように設計されたノズルを含む。凍結療法デバイスの遠位端は、身体内腔から拡張流体を排出するために、排出手段をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、極低温流体は、液体窒素、二酸化炭素(CO2)、亜酸化窒素(N2O)、またはこれらの任意の組合せから選択される。いくつかの実施形態によれば、極低温流体は、アルゴン、窒素、クリプトン、またはこれらの任意の組合せから選択され、これはさらに、極低温流体が身体組織に直接接触しないときに重要となりうる。他の実施形態によれば、極低温流体は、化学的または生物学的な作用薬などの化学療法、免疫療法、および/または他の療法などの任意の追加の材料をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、追加の材料は、凍結治療前、凍結治療中、および/または凍結治療後に身体内腔内へ導入される。
【0143】
「標的領域」、「標的部位」、「治療領域」、「治療部位」、「治療内腔」、「標的内腔」などの用語は交換可能であり、具体的な原因が完全には理解されないときでも、病変(癌性および良性の腫瘍、嚢胞、ポリープなどを含む)、神経/神経終末、ならびに様々な症状など、凍結治療することができる任意のタイプの症状を含むことを意図したものであることに留意されたい。
【0144】
他の実施形態によれば、冷却剤は注入チャネル(たとえば、カテーテル、チューブなど)内に残って拡張し、その結果、凍結療法デバイスの仲介する遠位区分によって、低い温度が組織内へ伝達される。そのような実施形態によれば、冷却剤が注入チャネル内に残るため、身体内腔から冷却剤を排出する必要がない。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの仲介する遠位区分は極低温バルーンであり、極低温バルーンは、内視鏡を介して治療内腔内へ導入される。極低温バルーンは、非柔軟性を有することができ、したがって高圧に耐える。バルーンが非柔軟性である場合、バルーンのサイズは、バルーンが挿入される内腔のサイズまたは治療部位の形状に応じて選択される。他の実施形態によれば、バルーンは、半柔軟性または柔軟性を有することができる。さらなる実施形態によれば、極低温バルーンの異なる区分は、異なる柔軟度を有することができる。バルーンの様々な区分の柔軟性、極低温バルーンの形状、極低温バルーンのサイズなどを含むバルーンの異なるパラメータは、治療内腔、内腔内の標的部位などに応じて変化することができる。バルーンは、円形、楕円形、管状とすることができ、または任意の平坦もしくは部分的に平坦な表面を有することができる。バルーンはまた、意図される用途に応じて、特定の部位で広くし、他の部位で狭くすることができる。膨張し、または部分的に膨張したとき、バルーンは、バルーンが使用される内腔全体ではなく、治療部位のみに局所的に接触することができる。他の実施形態によれば、たとえば尿道または尿管内の極低温バルーンの膨張により、バルーンまたはバルーンの部分を治療部位の円周全体に接触させることができる。いくつかの実施形態によれば、外力、たとえばデバイスの使用者による動きにより、場合により膨張とともに、極低温バルーンの少なくとも一部を治療部位に接触させる。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、折り畳まれたとき(内視鏡またはワーキングチャネルを介して挿入されたとき)の極低温バルーンの直径または平均直径は、2.5mmを下回る。いくつかの実施形態によれば、折り畳まれたとき(内視鏡またはワーキングチャネルを介して挿入されたとき)の極低温バルーンの直径または平均直径は、2.0mmを下回る。いくつかの実施形態によれば、折り畳まれたとき(内視鏡またはワーキングチャネルを介して挿入されたとき)のバルーンの直径または平均直径は、1.5mmを下回る。
【0147】
さらに、使用者および/または任意の適当な機械および/または電子手段によって外部から制御することができるバルーンの膨張、部分的なバルーンの膨張、および/またはバルーンの動きによって、バルーンを標的部位に接触させることができる。バルーンの膨張および/または動きは、任意の内部または外部のセンサから受け取ったデータに応じてさらに制御することができる。
【0148】
本明細書では、注入および排出チャネルは、カテーテル、チューブなどとも呼ばれることに留意されたい。
【0149】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスは、鋭い角度の動きを可能にすることができる、編目状またはコイル状のチューブなど、可撓性または耐キンク性のカテーテルを含むことができ、したがって体内の標的部位の位置にかかわらず、標的部位に容易に標的を合わせることが可能になる。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスは、操作者が内視鏡の視野内で治療を実行することを可能にする単一のノズルを、デバイスの遠位端に含む。他の実施形態によれば、デバイスは、少なくとも2つのノズルを含み、任意の2つのノズルを、互いに対して同じまたは異なる方向で配置することができる。たとえば、ノズルのいずれか1つは、遠位方向に下向きにすることができ、他のノズルは、デバイスの遠位端から任意の所望の角度および距離で横向きにすることができ、それによって同じ標的領域の異なる部分を治療すること、いくつかの標的部位を一度に治療することなどができる、多方向の治療が可能になる。いくつかの実施形態によれば、ノズルの1つまたは複数は、開閉構成を有する。さらに、ノズルのいずれか1つは、必要とされる任意の時間期間にわたって、部分的に開放または閉鎖することができる。いくつかの実施形態によれば、任意の数のノズルを電子的に制御することができ、したがってデバイスを使用する開業医は、所望の治療に応じて、任意の数の既存のノズルを任意の時点で使用することができる。いくつかの実施形態によれば、使用者は、使用すべき特有のノズルを事前定義する。他の実施形態によれば、所望される場合、個別のセンサ、コンピュータ化アプリケーション、ユーザコマンドなどを含む任意の適当な手段によって、処置中にノズルのいずれか1つを任意の時点で開放し、部分的に開放し、または閉鎖することができる。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、極低温バルーンなどの折り畳まれた構成要素を、凍結療法デバイスの遠位端の任意の部分に取り付けることができる。したがって、注入される極低温流体は、場合により任意の他の適当な圧力源とともにバルーンを膨張させ、バルーンは治療組織の少なくとも一部を凍結させる。いくつかの実施形態によれば、極低温流体の注入前、バルーンは、任意の他の適当な圧力源によって膨張させられて、凍結治療に対するバルーンの準備、システムまたはシステムの特定のパラメータの検査または試験などを可能にする。ノズルを介した注入に関して上記で詳述したように、バルーンの膨張は、膨張率、サイズなどを含めて、任意の数のセンサによって制御することができる。さらに、ノズルのいずれか1つは、ノズルの外側で極低温バルーンに取り付けることができ、その結果、極低温流体がノズルを出るとき、ノズルの外側に取り付けられたバルーンを膨張させる。
【0152】
したがって、いくつかの実施形態によれば、極低温流体は、身体内腔内へ直接注入され、すなわち身体内腔の組織の少なくとも一部に直接接触する。そのような実施形態によれば、極低温流体は、本明細書に詳述したように、任意の数のノズル、孔、割れ目、および/またはバルブを通って、身体内腔内へ直接注入される。さらに、極低温流体が身体内腔内へ直接注入された場合、極低温流体はまた、本明細書に詳述する任意の手段によって、身体内腔から直接排出される。他の実施形態によれば、極低温流体は、身体内腔内へ間接的に導入することができ、したがって身体内腔の組織に直接接触するのではなく、極低温流体は、身体内腔内への開口を含まない、身体内腔内に配置された任意の適当な構成要素、たとえばカテーテル、極低温バルーン、チューブなどへ注入される。極低温流体は、その構成要素内で拡張し、それによって治療組織の少なくとも一部を冷却する。次いで極低温流体は、身体内腔から間接的に排出することができ、すなわち極低温流体が注入された構成要素から排出される。極低温流体は、能動または受動手段によって排出することができる。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、折り畳まれた構成要素は、所望の部位を治療するために内腔内で冷却剤によって膨張および/または充填される極低温バルーンである。
【0154】
本発明の他の実施形態によれば、身体内腔内へ物質を導入するため、または身体内腔内から物質を排出するために(たとえば、凍結療法の膨張流体を排出する)、内視鏡の既存の「流入」および「流出」チャネルのいずれか1つを使用することができる。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法処置は、腔内化学療法および/または免疫療法の作用薬を含む任意の他のタイプの治療と組み合わせて実行される。極低温流体は、任意の他の活性成分とともに注入することができることに留意されたい。上述したように、追加の活性成分は、凍結治療と同時、凍結治療前、および/または凍結治療後に導入することができる。
【0156】
凍結治療によって凍結された組織細胞は、特にリンパ系を通って体から除去され、凍結療法によって治療される部分だけでなく、体内の任意の部分のそのような細胞に作用することができる免疫学的応答を誘発することができる。いくつかの実施形態によれば、凍結治療前または凍結治療中の身体内腔内への追加の活性成分の導入により、治療組織は、凍結治療に異なる形で反応することができ、さらにリンパ系内へ導入されたとき、細胞は追加の活性成分とともに、強化された免疫応答を引き起こすことができる。
【0157】
追加の活性成分は、これらに限定されないが、マイトマイシンC、ドキソルビシン、樹状細胞などを含む、任意の免疫学的、化学的、化学療法的、生物学的、またはナノ粒子的な実体とすることができる。
【0158】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、必ずしもその用途が、以下の記載に示す、および/または図面および/または実施例で例示する、構成の詳細および要素の配置および/または方法に限定されるものではないことを理解するべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、また、さまざまな手段で実施または実行することが可能である。
【0159】
例示的な凍結療法システム
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法システムは、身体内腔内へ少なくとも部分的に挿入されるように構成された凍結療法プローブと、凍結療法デバイスに接続された制御ユニットとを備える。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、体外に配置される。次に、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る凍結療法システムを示す
図1Aを参照する。
【0160】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法システム1000は、凍結療法プローブ、たとえば凍結療法デバイス1002と、凍結療法デバイス1002に接続された制御ユニット1004とを備える。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイス1002は細長いプローブであり、任意選択で身体内腔内へ導入可能になり、内腔の内面内で標的領域に面するような形状およびサイズの遠位端1021と、任意選択で身体内腔の外側に配置された近位端1025とを有する。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイス1002は円筒形であり、凍結療法デバイスおよびその周りのシースの遠位端1021における直径は、3~15mmの範囲内、たとえば3mm、5mm、7mm、9mm、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値である。いくつかの実施形態では、シースを含まない凍結療法デバイスの直径は、0.3~5mmの範囲内、たとえば0.5mm、1mm、2mm、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値である。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイス1002は、内視鏡のワーキングチャネルを通って身体内腔内へ導入されるような形状およびサイズである。別法として、凍結療法デバイス1002は、シース1024を通って身体内腔内へ導入される。
【0161】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイス1002は、前記凍結療法デバイスの内腔を前記近位端1025から遠位端1021へ通過する少なくとも1つの流路、たとえばチャネルを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流路は、遠位端1021に向かって身体内腔に入る流入経路としても、身体内腔から近位端1025に向かう流出経路としても使用される。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイス1002は、身体内腔内へ流体またはガスを送達するための少なくとも1つの流入経路、たとえば流入チャネル1006を備える。追加としてまたは任意選択で、凍結療法デバイス1002は、身体内腔から流体、粒子、および/またはガスを排出するための少なくとも1つの流出経路、たとえば流出チャネル1010を備える。
【0162】
いくつかの例示的な実施形態によれば、流出経路、たとえば流出チャネル1010は、流出経路を通る物質、たとえばガスまたは流体の通過を制御するための少なくとも1つの流出レギュレータ、たとえばバルブ1023を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバルブは、身体内腔内の圧力が所定の値を超過したとき、任意選択で受動的に開放されるように構成された少なくとも1つの逆止め弁を構成する。任意選択で、流出レギュレータは、体外に配置された凍結療法デバイス1002の近位端1025付近に配置される。
【0163】
いくつかの例示的な実施形態によれば、流入チャネル1006は、極低温流体、たとえば極低温ガスおよび/または極低温液を内腔の内面内の選択された標的領域の方へ噴霧するように構成された少なくとも1つの前向き極低温ノズルを備える。任意選択で、極低温流体は高圧で貯蔵される。いくつかの実施形態では、いかなる理論にも拘束されるものではないが、身体内腔内の高圧極低温流体の膨張により、流体の圧力を急速に低下させ、その結果、身体内腔内の極低温効果、たとえばジュール-トムソン効果をもたらす。
【0164】
いくつかの例示的な実施形態によれば、極低温ノズルは、標的領域に対して90度より小さいまたは大きい角度で極低温流体を噴霧するように構成された調整可能な極低温ノズルである。別法として、極低温ノズルは、固定された角度の極低温ノズルであり、90度とは異なる角度、たとえば15度、30度、45度、55度、または90度より小さいもしくは大きい異なる任意の中間角度で固定されている。いくつかの実施形態では、調整可能な極低温ノズルは、たとえば極低温ノズルの開口径を調整することによって、噴霧されノズルを通って内腔へ解放される極低温流体の量を制御するように構成される。
【0165】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイス1002は、少なくとも1つの光学アセンブリ、たとえば光学系経路、任意選択で光学系チャネル1018を備え、光学アセンブリは、凍結療法デバイス1002の遠位端1021に面している組織の画像および/または視覚信号を、体外に位置する光センサ、たとえば制御ユニット1004内の光センサへ、または外部光学アセンブリ、たとえば異なる制御ユニットの光学アセンブリへ送達する。別法として、光学アセンブリは、凍結療法デバイス1002の遠位端1021に面する組織の視覚信号、たとえば身体内腔内の標的領域の画像および/または視覚信号を感知するように構成された少なくとも1つの光センサ、たとえば光センサ1022を、凍結療法デバイス1002の遠位端1021に備える。別法として、光学アセンブリは、センサ、任意選択で超音波(US)センサまたは磁気共鳴センサ(MR)を備える。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイス1002は、少なくとも1つの照射源、たとえば照射源1019を備える。いくつかの実施形態では、照射源1019は、凍結療法デバイスの遠位端1021に配置されており、任意選択で身体内腔の組織に面している。別法として、少なくとも1つの光源は、凍結療法デバイス内のチャネル、たとえば光学系チャネル1018内に配置される。いくつかの実施形態では、光学系チャネル1018は、1つの光ファイバ、1群の光ファイバ、もしくは1つの光ファイバケーブルであり、または1つの光ファイバ、1群の光ファイバ、もしくは1つの光ファイバケーブルを備える。いくつかの実施形態では、光学系チャネル1018が、1つの光ファイバ、1群の光ファイバ、もしくは1つの光ケーブルであり、または1つの光ファイバ、1群の光ファイバ、もしくは1つの光ケーブルを備えるとき、光源は体外に配置され、任意選択で光センサも体外に配置される。
【0166】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイス1002は、洗浄ガス、任意選択で低圧ガスを身体内腔内へ挿入するための少なくとも1つの流路、たとえば洗浄チャネル1014を備える。いくつかの実施形態では、洗浄ガスは、たとえば内腔の内面のより良好な視覚化、および/または身体内腔内の所望の領域、任意選択で凍結療法のために選択された領域へのより良好なアクセスを可能にするように、身体内腔を膨張させるために使用される。追加または別法として、洗浄ガスは、たとえば身体内腔内の加湿環境と極低温ガスとの相互作用によって形成される凝縮粒子および/または多数の凝縮粒子を吹き飛ばすように、洗浄ガスノズルを通って治療領域内へ噴霧される。
【0167】
いくつかの例示的な実施形態によれば、洗浄チャネル1014は、組織に面している少なくとも1つの前向き洗浄ノズルを、凍結療法デバイスの遠位端に備える。任意選択で、前向き洗浄ノズルは、ガス、たとえば低圧ガスを凍結療法デバイス1002と標的領域との間の空間内へ噴霧するように構成される。いくつかの実施形態では、前向きノズルは、たとえば洗浄ガスを標的領域に対して横からまたは角度を付けて噴霧することを可能にするように、調整可能な洗浄ノズルである。いくつかの実施形態では、前向き洗浄ノズルは、光センサ1022のFOVまたは光学系チャネル1018の視野内へ洗浄ガスを噴霧する。
【0168】
いくつかの例示的な実施形態によれば、洗浄チャネル1014は、任意選択で凍結療法デバイス1002の遠位端1021付近に配置された少なくとも1つの開口、たとえば前面洗浄開口および/または側面洗浄開口を備える。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスは、光学アセンブリ、たとえばレンズの方へ、かつ/または光センサ1022のFOVもしくは光学系チャネル1018のFOV内へ、洗浄流体を誘導するように構成された少なくとも1つの洗浄誘導器、たとえばノズルおよび/または偏向面を、洗浄開口に備える。任意選択で、少なくとも1つの洗浄誘導器は、調整可能な洗浄誘導器であり、たとえばFOVに対して角度を付けて洗浄ガスを噴霧することを可能にするように構成される。
【0169】
いくつかの例示的な実施形態によれば、洗浄流入経路上の少なくとも1つの洗浄流レギュレータは、任意選択で制御ユニットから受け取った信号に応じて、洗浄開口を通って解放された洗浄流体の量を調整するように構成される。
【0170】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイス1002は、少なくとも1つの折り畳み可能要素、たとえば折り畳み可能要素1001および1003を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの折り畳み可能要素は、凍結療法デバイス1002の内側内腔内で折り畳まれ、任意選択で凍結療法デバイス1002の遠位端1021付近で広げられるように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの折り畳み可能要素は、凍結療法デバイス1002の遠位端1021と標的領域との間の空間へ広げられる。いくつかの実施形態では、この空間を治療空間と呼ぶ。いくつかの実施形態では、折り畳み可能要素は、延長部、円錐、またはドレスを備える。いくつかの実施形態では、折り畳み可能要素は、たとえば凍結療法デバイスの遠位端と標的領域との間の距離または角度を判定するために、治療空間内で広げられる。別法として、折り畳まれた要素は、たとえば極低温ノズルと標的領域との間の距離および/または角度を判定するために、治療空間内で広げられる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの折り畳み可能要素または1つの円錐状の折り畳み可能要素が広げられ、たとえば広げられた折り畳み可能要素によって形成される内側空間内に微小環境をもたらすことによって治療空間を狭くする。
【0171】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御ユニット1004は、少なくとも1つの制御回路、たとえば制御回路1026を備える。いくつかの実施形態では、制御回路は、流入経路、たとえば流入チャネル1006を通る極低温流体の流れを制御する。いくつかの実施形態では、制御回路1026は、少なくとも1つの極低温流レギュレータ、たとえば流入経路内に配置されたバルブ、および/または極低温源1034と流入チャネル1006との間の少なくとも1つのバルブ、たとえば極低温源1006を制御ユニット1004に接続するチューブ内の少なくとも1つのバルブ、および/または極低温源および流入経路を接続するチューブ内の少なくとも1つのバルブを制御することによって、極低温流体の流れを制御する。別法または追加として、制御ユニット1004は、極低温源の少なくとも1つのバルブ、たとえば極低温源の出口バルブを制御する。
【0172】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路1026は、洗浄流入経路、たとえば洗浄チャネル1014を通る洗浄流体の流れを制御する。いくつかの実施形態では、制御回路1026は、少なくとも1つの洗浄流レギュレータ、たとえば洗浄流入経路、たとえば洗浄チャネル1014上に配置されたバルブを制御することによって、洗浄流体の流れを制御する。別法または追加として、制御回路1026は、洗浄源1008と洗浄チャネル1014との間の少なくとも1つの流れレギュレータ、たとえば洗浄源1008を制御ユニット1004に接続するチューブ内の少なくとも1つのバルブ、および/または洗浄源1008および洗浄チャネル1014を接続するチューブ内の少なくとも1つのバルブを制御することによって、洗浄流体の流れを制御する。別法または追加として、制御回路1026は、洗浄源の少なくとも1つのバルブ、たとえば洗浄源1008の出口バルブを制御する。
【0173】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路1026は、流出経路、たとえば流出チャネル1010を通って身体内腔から出る流体、たとえば気体および/または液体の流れを制御する。いくつかの実施形態では、制御回路は、流出レギュレータ、たとえば流出チャネルの近位端内またはその付近の流出バルブ、たとえばバルブ1023を制御することによって、流出チャネル1010を通る流れを制御する。別法または追加として、制御回路1026は、排出ポンプ1007、たとえば流出チャネルに連結された真空ポンプの起動を制御する。いくつかの実施形態では、排出ポンプ1007は、凍結療法デバイスの流出経路を通って、流体、たとえば液体または気体を身体内腔から能動的に排出するために使用される。任意選択で、制御回路1026は、少なくとも1つの排出流レギュレータ、たとえば排出ポンプ1007および流出チャネルを連結するチューブ上の排出バルブを制御する。
【0174】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路は、光学アセンブリ、たとえば凍結療法デバイス1002上に配置された光センサ、たとえば光センサ1022を制御する。別法または追加として、制御回路1026は、制御ユニット1002内の少なくとも1つの光センサを制御する。いくつかの実施形態では、制御回路1026は、任意選択で光学系チャネル1018内のアパーチャを制御することによって、光学系チャネル1018の開放または閉鎖を制御する。いくつかの実施形態では、制御回路は、光学系1010、たとえば視覚化手段の起動を制御する。
【0175】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイス1002は、たとえば身体内腔の少なくとも1つの環境パラメータを感知するために、遠位端1021に位置する少なくとも1つのセンサ1011を備える。いくつかの実施形態では、環境パラメータは、温度、圧力、および/もしくは湿度レベル、または任意の他の環境パラメータを含む。別法または追加として、凍結療法デバイス1002は、環境パラメータを感知するために、流出経路内に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つのセンサ、たとえばセンサ1005を備える。
【0176】
いくつかの例示的な実施形態によれば、センサ1011および/またはセンサ1005は、制御回路1026に電気的に接続される。別法または追加として、制御回路1026は、体内または体外に配置された1つまたは複数のセンサに電気的に接続される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサは、凍結アブレーション標的領域付近に、または凍結アブレーション標的領域から距離をあけて配置される。別法として、いくつかの実施形態では、センサの少なくとも1つは、測定した環境パラメータ値を制御回路1026へ送信する。いくつかの実施形態では、制御回路は、これらの測定値をメモリ1028内に記憶する。いくつかの実施形態では、メモリ1028は、少なくとも1つの環境パラメータの所定の値、たとえば最大の圧力値、最大の温度値、もしくは任意の他の所定の環境パラメータ値、またはその表示を含む。いくつかの実施形態では、メモリ1028は、少なくとも1つの凍結療法プロトコル、少なくとも1つの凍結療法パラメータの値、またはその表示を含む。いくつかの実施形態では、メモリは、凍結療法デバイス1002の動作または凍結療法システム1000の動作に関係するログファイルを含む。
【0177】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御ユニット1002は、制御回路1026に電気的に接続された少なくとも1つのインターフェース1030を備える。いくつかの実施形態では、インターフェース1030は、音源および/またはディスプレイを備える。いくつかの実施形態では、制御回路1026は、凍結療法デバイスまたは凍結療法システムの使用者に対して、少なくとも1つの表示、たとえば人間が検出できる表示を生成するように、インターフェース1030へ信号を送る。いくつかの実施形態では、制御回路1026は、たとえば身体内腔内で測定された環境パラメータ値が所定の値を超過するとき、警報を生成するようにインターフェース1030へ信号を送る。
【0178】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路1026は、極低温流入経路上の少なくとも1つの極低温流レギュレータ、たとえばバルブに電気的に接続される。いくつかの実施形態では、制御回路は、たとえば極低温流レギュレータへ信号を送達することによって、極低温流入経路を通る流れを調節し、たとえば流入経路内の流れを低減させ、たとえば流入経路内の流れを止め、かつ/または流入経路内の流れを増大させる。いくつかの実施形態では、制御回路は、たとえば身体内腔内の圧力が所定の圧力値より高いとき、極低温流入経路内の極低温流体流を調節する。別法として、制御回路は、たとえば身体内腔内の温度が所定の温度値を下回るとき、極低温流入経路内の極低温流体流を調節する。
【0179】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路1026は、極低温流入経路上の少なくとも1つのパージ流レギュレータを制御する。いくつかの実施形態では、パージ流レギュレータは、たとえば極低温流体流が制御回路によって停止、低減、または調節されたとき、極低温流入経路および任意選択で極低温ノズルを通って身体内腔に入る低圧流体の流れを制御するように構成される。
【0180】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路1026は、流出レギュレータ、たとえばバルブに接続される。いくつかの実施形態では、制御回路は、たとえば身体内腔内の圧力が所定の値より高いとき、および/または温度が所定の温度値より低いとき、たとえば流出経路を開放することによって、流出レギュレータを調節する。いくつかの例示的な実施形態によれば、制御ユニット1004は、電源、たとえば電源1032を備える。別法として、制御ユニット1004は、電気配線によって外部電源に接続される。いくつかの実施形態では、電源は、電池、任意選択で充電可能な電池を備える。
【0181】
いくつかの例示的な実施形態によれば、流体流源から身体内腔に入る流体流を可能にするように構成された凍結療法デバイスの少なくとも1つの流入経路に、制御ユニット、たとえば制御ユニット1004が接続される。任意選択で、制御ユニットは、流入経路を通って身体内腔に入る流体流を調節するように構成された流入経路上の少なくとも1つの流入流レギュレータに接続される。
【0182】
いくつかの実施形態では、制御ユニット、たとえば制御ユニット1004は、身体内腔からの流体の排出を可能にするように構成された凍結療法デバイスの少なくとも1つの流出経路に接続される。任意選択で、制御ユニットは、身体内腔から流出経路を通る流体の排出を調節するように構成された流出経路上の少なくとも1つの流出レギュレータ、たとえばバルブまたは逆止め弁に接続される。
【0183】
いくつかの実施形態では、制御ユニット1004は、所定の値より低い圧力レベルに到達するように身体内腔内の圧力レベルを調節するように、流入レギュレータおよび流出レギュレータを制御する。別法または追加として、制御ユニット1004は、所定の温度値より高い温度レベルに身体内腔内の温度レベルを調節するように、流入レギュレータおよび流出レギュレータを制御する。
【0184】
いくつかの例示的な実施形態によれば、洗浄源1008は、流体容器、たとえばガス容器または液体容器を備える。いくつかの実施形態では、極低温源1006は、室温で高圧または低圧の液体または気体として貯蔵することができる極低温流体、たとえば液体窒素、液体二酸化炭素、または任意の他の極低温化合物の容器を備える。
【0185】
いくつかの例示的な実施形態によれば、洗浄源1008、光学系1036、極低温源1006、および/または排出ポンプ1007のうちの少なくとも1つは、凍結療法システムの一部である。別法として、洗浄源1008、光学系1010、極低温源1006、および/または排出ポンプ1007は外部要素であり、任意選択でシステム1000に接続される。
【0186】
例示的な凍結療法プロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、身体内腔、たとえば膀胱の内面から物質、たとえば組織、病変、腫瘍を切除するための凍結療法プロセスが使用される。いくつかの実施形態では、たとえば細胞または組織が癌性または腫瘍形成性の細胞である場合、本明細書ではいくつかの実施形態において凍結アブレーションとも呼ばれる凍結切除中、膀胱の内面内の細胞のいくつかまたは組織の一部が切除される。いくつかの実施形態では、拡張した冷却剤材料により、身体内腔の内面内の細胞のいくつかおよび/または組織の一部が、急速なアブレーション効果、たとえば即時型ネクローシスにおいて、またはゆっくりとしたアブレーションプロセスにおいて、たとえばアポトーシスとして生体プロセスによって分解されることにより死滅する。
【0187】
次に、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る凍結療法プロセスを示す
図1Bを参照する。
【0188】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1050で、凍結療法デバイスの少なくとも一部が身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、
図1Aに示す凍結療法システム1000の凍結療法デバイス、たとえば凍結療法デバイス1002が、内視鏡のワーキングチャネルを通って身体内腔へ挿入される。別法として、凍結療法デバイスは、シース、たとえば内視鏡シース、または凍結療法デバイスの個別シースを通って、身体内腔内へ導入される。
【0189】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1052で、身体内腔を膨張させる。いくつかの実施形態では、デバイスは、内腔の膨張を可能にするために、身体内腔内へ少なくとも部分的に挿入される。いくつかの実施形態では、身体内腔は、たとえば凍結療法デバイスの光センサ、任意選択でカメラ、または異なるデバイスの光センサによる身体内腔の内面のより良好な検査を可能にするように膨張させる。別法または追加として、身体内腔は、身体内腔内の異なる領域または選択された標的領域へのより良好なアクセスを可能にするように膨張させる。いくつかの実施形態では、身体内腔は、洗浄流体、任意選択で低圧ガスを身体内腔に入れることによって膨張させられる。いくつかの実施形態では、身体内腔の膨張中、身体内腔内の圧力は、身体内腔または凍結療法デバイスの流出チャネル、たとえば流出チャネル1010内に配置された少なくとも1つのセンサによって監視される。別法または追加として、この圧力は、洗浄流経路内の圧力または圧力の変化を、任意選択で洗浄流経路内に配置された圧力センサによって測定することによって監視される。いくつかの実施形態では、この圧力は、少なくとも1つのセンサ、たとえば体外に配置された圧力センサによって監視される。いくつかの実施形態では、身体内腔の膨張は、任意選択で少なくとも1つのセンサから受け取った信号に基づいて、制御回路、たとえば制御回路1026によって制御される。いくつかの実施形態では、身体内腔は、所望または選択された膨張度に膨張させる。
【0190】
いくつかの例示的な実施形態によれば、身体内腔は、たとえば光学アセンブリ、たとえばレンズを清浄状態および/または乾燥状態および/また特定の温度で保つために、光学アセンブリへ進む洗浄流体によって膨張させられる。別法または追加として、身体内腔は、極低温ノズルを通って身体内腔に入る低圧流体のパージ流によって膨張させられる。
【0191】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1054で、身体内腔の内面を視覚化する。いくつかの実施形態では、内面は、少なくとも凍結療法デバイスの光センサ、たとえば任意選択でカメラである光センサ1022によって視覚化される。別法として、体の内面は、凍結療法デバイス内の光学系チャネル、たとえば光学系チャネル1018を介して光信号を受け取る、身体内腔の外側に配置された少なくとも1つの光センサによって視覚化される。いくつかの実施形態では、光信号は、任意選択で体外に配置された光学系ユニット、たとえば光学系1018によって受け取られる。いくつかの実施形態では、身体内腔が視覚化されるとき、少なくとも1つの光源、たとえば凍結療法デバイス上の身体内腔内に配置された光源または体外に配置された光源が起動される。
【0192】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1056で、凍結療法に対する標的領域を判定する。いくつかの実施形態では、標的領域は、身体内腔の内面を示す画像の分析に基づいて判定する。任意選択で、標的部位は、撮像結果および/または他の臨床データに基づいて判定する。
【0193】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1058で、凍結療法デバイスまたは凍結療法デバイスの遠位端、たとえば遠位端1021を、判定された標的領域から選択された距離のところへ、たとえば標的領域から最高50mmの距離、たとえば標的領域から5mm、10mm、15mm、20mm、25mmの距離、またはより小さいもしくは大きい任意の中間距離のところへナビゲートする。追加または別法として、凍結療法デバイスまたは遠位端は、判定された標的領域に対して選択された角度でナビゲートする。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスの遠位端は、内視鏡の遠位端を選択された角度に回すことによって、受動的にナビゲートされる。別法または追加として、凍結療法デバイスの少なくとも一部は、所望の標的領域へ、かつ/または極低温流入経路の開口と選択された標的領域内の組織との間の所望の角度へ、能動的にナビゲートする。
【0194】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1060で、標的領域までの距離を判定する。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスの遠位端と標的領域との間の距離は、ルーラまたは既知の長さを有する付属品、たとえばワイヤを広げて、身体内腔の内面内の標的領域に接触することによって判定される。いくつかの実施形態では、距離は、光ビーム、たとえばレーザ光ビームによって光学的に判定する。任意選択で、距離は、凍結療法デバイス、任意選択で凍結療法デバイスの遠位端に接続された光距離計、たとえばレーザ露出計によって測定する。
【0195】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイス、たとえば凍結療法デバイスの遠位端と標的領域との間の距離は、凍結療法デバイスの流入経路、たとえば洗浄チャネル1014または極低温ノズルから標的領域の方へ空気またはガスの噴射を放ち、空気またはガス噴射が組織に与えた作用を視覚化することによって判定する。いくつかの実施形態では、空気またはガス噴射は、身体内腔の内面との接触部位にくぼみを形成する。任意選択で、接触部位からの距離および/または凍結療法デバイスと標的領域との間の角度は、くぼみの深さ、サイズ、および/または形状を視覚化することによって判定する。いくつかの実施形態では、凍結療法プロセスの少なくとも1つのパラメータ値が、距離および/または角度、たとえば治療の所望の結果に到達するために必要とされる凍結療法の持続時間ならびに/または極低温流体の圧力および/もしくは量に基づいて判定する。
【0196】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1062で、治療空間を確立する。いくつかの実施形態では、治療空間は、身体内腔内の凍結療法デバイスと標的領域との間の治療空間を密閉する少なくとも1つの折り畳み可能要素、たとえば円錐またはドレスを広げることによって確立する。いくつかの実施形態では、治療空間は、極低温流体の解放による標的領域の周辺組織への損傷を低減させるように確立する。別法および/または追加として、治療空間は、治療空間の制限された体積内の微小環境パラメータに対するより良好な制御を可能にするように確立する。
【0197】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1064で、凍結療法デバイスを標的領域に向ける。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスの遠位端を標的領域に向ける。別法または追加として、極低温流体を噴霧するように構成されたノズル、任意選択で調整可能なノズルが、標的領域に向けられる。
【0198】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1066で、極低温流体を適用する。いくつかの実施形態では、極低温流体は、標的領域でノズルを通って適用、たとえば噴霧する。いくつかの実施形態では、極低温流体は、任意選択で異なる流入チャネルを通って身体内腔に入る空気またはガスによって、身体内腔が膨張している間に適用する。別法として、極低温流体が適用されたとき、身体内腔は、極低温流体の適用のみによって、また任意選択で内腔内の極低温流体の膨張によって膨張させられる。別法として、身体内腔は、任意選択で光学系を乾燥状態および/またはほぼ一定の温度で保つ洗浄流体のみによって膨張させられる。
【0199】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1068で、極低温洗浄液および/または光学系洗浄液を適用する。いくつかの実施形態では、洗浄流体、たとえばガス、任意選択で低圧ガスが、極低温流体の噴霧セッション間に適用する。別法として、極低温流体の噴霧中に洗浄液が適用する。任意選択で、洗浄流体は、身体内腔を膨張させるために使用される。いくつかの実施形態では、洗浄液は、洗浄流入経路、たとえば
図1Aの洗浄チャネル1014を通って適用する。いくつかの実施形態では、洗浄液は、たとえば身体内腔内に極低温流体によって形成された粒子を一掃しおよび/または押しのけるために、光学系チャネル1018の遠位開口の前の空間、ならびに/または光センサ1022および/もしくは光源1019の前の空間内へ適用する。別法または追加として、洗浄液は、粒子を一掃するために、極低温ノズルと標的領域との間の空間に適用する。いくつかの実施形態では、これらの粒子は、1066における標的領域上の極低温流体の適用のより良好な視覚化を可能にするために一掃される。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、摂氏15度より高い温度、たとえば摂氏15度、摂氏20度、摂氏25度、またはより小さいもしくは大きい任意の中間温度値を有する温かいガスまたは温かい流体を含む。いくつかの実施形態では、温かい流体は、たとえば身体内腔内の温度を増大させ、任意選択で湿度を低減させるために使用する。
【0200】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1070で、身体内腔内から物質を排出する。いくつかの実施形態では、物質、たとえば液体、粒子、ガスの一部を、凍結療法デバイス内の流出チャネル、たとえば
図1Aに示す流出チャネル1010を通って、身体内腔から排出する。いくつかの実施形態では、物質は、身体内腔内の圧力が所定の値を超過したとき、たとえば流出経路内のバルブ、たとえば逆止め弁を開放することによって、受動的に排出される。別法または追加として、物質は、任意選択で真空ポンプの起動によって、流出経路内に負圧を能動的に生成することによって、能動的にパージする。いくつかの実施形態では、1066で、極低温流体の噴霧間または噴霧中に物質が排出される。いくつかの実施形態では、物質は、圧力が所定の圧力値を超過したときに排出される。別法として、物質は、身体内腔内の温度が所定の値より低いときに排出される。
【0201】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1072で、標的領域を視覚化する。いくつかの実施形態では、標的領域は、極低温流体の噴霧後、たとえば極低温流体が標的領域に与えた影響を判定するために視覚化する。任意選択で、標的領域は、凍結療法セッションの成功を判定するために視覚化する。いくつかの実施形態では、治療が効果的でなかった場合、デバイスを任意選択で、異なる標的領域に向け、かつ/または標的領域に対して異なる角度および/もしくは距離で配置する。
【0202】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1074で、凍結療法デバイスを身体内腔から後退させる。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスは、凍結療法セッションが所望の目標、たとえば標的領域の凍結アブレーションに到達すると後退させる。任意選択で、デバイスは、身体内腔内の異なる領域への再ナビゲーションを可能にするために後退させる。
【0203】
身体内腔内の例示的な凍結療法デバイス
次に、
図1C~
図1Fを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る凍結療法デバイス、たとえば内視鏡16を通って治療内腔11へ供給される凍結療法処置中の凍結療法デバイス10の実施形態の概略縦断面図を示す。
【0204】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図1Cに示すように、具体的な原因が知られていない場合でも、拡張した高圧の(または圧縮された)極低温流体を含むことができる噴射13が、デバイス10の遠位端14から噴霧され、良性もしくは癌性の腫瘍、嚢胞、ポリープ、自由神経終末とすることができる治療領域12、または特定の症状(痛みなど)が生じている領域へ誘導され、任意選択で治療領域12を凍結し、それによって治療または切除する。
【0205】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図1Dに提示するように、身体内腔11が、2つ以上の標的領域、たとえば領域12a、12b、および12cを含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、デバイス10の遠位端14は、2つ以上のノズル(図示せず)を含むことができ、各ノズルから出る噴射13a、13b、および13cが、それぞれの標的領域へ誘導される。いくつかの例示的な実施形態によれば、遠位端14は多数のノズルを含み、各ノズルは、開放および閉鎖構成を有することができる。これらのノズルは、標的領域を指しているノズルが開放され、したがってそれらのノズルを出る極低温流体が標的領域に直接噴霧されるように、標的領域に対する相対位置に応じて、利用、すなわち開放することができる。
【0206】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図1Eに提示するように、デバイス10は、噴射13(または
図1Bに提示するように、任意の数の噴射)を提供する流入133と、たとえば拡張流体17を内腔11から排出する流出177との両方を含む。いくつかの実施形態では、デバイス10の拡大部分は、流入133に対するチューブを流出177に対するチューブ内に配置することができることを示すが、異なる実施形態によれば、これらを互いに対して任意の関係で配置することができる。追加として、任意の数の流出および流入チューブが存在することができる。
【0207】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図1Fに示すように、内視鏡16は、治療領域12が身体内腔11内でどこに配置されているかにかかわらず、噴射13が治療領域12に到達するように、鋭い角度でも使用することができる。
【0208】
流入および流出手段を有する例示的な凍結療法システム
次に、
図2A、
図2B、および
図2Cを参照する。これらの図は、いくつかの例示的な本発明の実施形態に係る凍結療法システムの概略縦断面図を示し、具体的には流体が治療部位の内外へ流れる手段を提示する。いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法システム、たとえば凍結療法システム20は、加圧冷却剤源201および排出手段202を含む。いくつかの実施形態では、排出手段202は、凍結療法システム20、概略的な排出手段、周辺雰囲気への出口、または物質、たとえば拡張流体をシステムから排出することができる任意の他の適当な手段にとって個別のものとすることができる。いくつかの実施形態によれば、排出手段202は、任意の適当なポンプ、真空などによって提供される吸引を含む。いくつかの実施形態によれば、排出手段202は、凍結療法デバイス10の近位端に取り付けることができる。いくつかの実施形態によれば、排出手段202は、接合部28を介して凍結療法デバイス10に取り付けられる。
【0209】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図2Aおよび
図2Bに示すように、凍結療法カテーテル224が内視鏡16内へ挿入され、したがって凍結療法カテーテルの近位端25は内視鏡16の近位端の外側に残ったまま、カテーテル224の遠位端24が内視鏡の遠位端に到達する。いくつかの実施形態によれば、本明細書に詳述するように、近位端25は接合部28に連結される。本発明のいくつかの実施形態によれば、同時の流入133および流出177が可能にされる(
図2B)。いくつかの実施形態では、シール28aが、2つの流れ同士の間の潜在的な混合を防止することができる。いくつかの実施形態では、これは、2つの流れが内視鏡内で同軸に向けられているときに必要になることがあり、したがって内視鏡の外側で流れを分離する必要がなくなる。任意選択の吸引トラップ203が、排出された流体を収集することができ、排出手段202を汚染から保護することができる。
【0210】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図2Cに示すように、接合部28は、同時に流れないように流入133および流出177を制御するバルブ28bを含み、バルブ28bは、流入133が起動されるか、それとも流出177が起動されるかを判定する。いくつかの実施形態では、バルブ28bは、事前定義された設定、電子手段、手動動作などを含む任意の適当な手段に応じて動作させることができる。いくつかの実施形態では、バルブ28bの制御において、圧力、時間、標的領域反応などを考慮に入れることができる。
【0211】
いくつかの実施形態によれば、内腔内の圧力が約30ミリバール~100ミリバールを上回るとき、流入を停止することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の圧力が約20ミリバール~10ミリバールを下回るまで、流出の排出を継続することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の温度が約5~10℃を下回るとき、流入を停止することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の温度が約15~20℃を上回るとき、流入を開始することができる。いくつかの実施形態によれば、システムを制御するために、温度および圧力の両方、ならびに任意の他の適当なパラメータを使用することができる。
【0212】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法システムは、冷却剤の注入および/または拡張流体の排出を制御する制御機構、たとえば
図1Aに示す制御ユニット1004を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御機構は、所定のパラメータ(たとえば、周期的)を含むことができ、かつ/または遠位圧力、遠位温度、近位圧力、近位温度、入る流れと排出される流れとの比較、動作時間、および他の任意選択の測定されたパラメータなど、任意の適当なセンサによってシステムから収集されたデータへのフィードバックによって定義されるパラメータを含むことができる。いくつかの実施形態では、そのようなフィードバックに関連する制御が実施されるとき、関係する感知および制御手段は、実施形態の一部(CPU、ファームウェア、流量センサ、圧力センサ、クロックなど)となる。
【0213】
次に、
図3を参照する。
図3は、凍結療法システムの一実施形態の概略縦断面図を示し、具体的には本発明のいくつかの例示的な実施形態に係るデバイスの遠位端の位置付けおよび可能な固定を示す。いくつかの実施形態によれば、凍結療法システム、たとえば凍結療法システム20は、加圧冷却剤源201および排出手段202を含み、加圧冷却剤源201および排出手段202は任意選択で、接合部28で凍結療法デバイス10の近位端35に相互に連結される。いくつかの実施形態では、任意選択の吸引トラップ203が、排出された流体を必要に応じて収集することができる。
【0214】
カテーテルの遠位端と内視鏡の遠位端との間の距離の例示的な画定
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの遠位端、たとえばカテーテルの遠位端24と内視鏡16の遠位端との間の距離を画定するために、固定機構が実施される。いくつかの実施形態では、固定手段は、凍結療法デバイス10の近位端35に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、ノッチ35aが、カテーテルの遠位端24と内視鏡16の遠位端との間の特有の距離を提供し、操作者による所望の距離の画定範囲内で特有の各ノッチまたはスケールに応じて、リミッタ35bを移動および/または固定することができる。所望の距離は、事前定義すること、任意の適当な電子手段によって制御すること、手動で制御することなどができる。所望の距離は、デバイスの動作中に変更することができ、または凍結療法全体にわたって一定とすることができる。リミッタ35bは、クリップ、ねじ、弾性バンドなどの任意の適当な固定手段によって、特定のノッチ35a内で固定することができる。
【0215】
例示的な凍結療法デバイスの遠位端
次に、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図を示す
図4A~
図4Dを参照する。いくつかの例示的な実施形態によれば、それぞれシステムへの流入およびシステムからの流出の両方に、任意の数のチューブ/カテーテルを使用することができる。いくつかの例示的な実施形態によれば、一方が他方の中に位置する構成、2つのチューブが隣接する構成など、それらのチューブ/カテーテルの互いに対する任意の適当な構成が可能であることにさらに留意されたい。いくつかの実施形態は、流体が任意の画定された方向に流れることができるいくつかの経路を備えるチューブ/カテーテルを含む。いくつかの実施形態によれば、遠位端24は、ノズル49を通って噴霧される加圧冷却剤の流入133と、排出される拡張流体の流出177との同時の流れのための経路を備える。
【0216】
いくつかの実施形態によれば、
図4Aに提示するように、遠位端24は、近接または類似した平面内に流入ノズル49および流出開口407を有する。
【0217】
他の実施形態によれば、
図4Bに示すように、流入ノズル49および流出開口407は、遠位端24の異なる平面内に配置される。いくつかの実施形態では、異なる平面内にあるとき、流入および流出が互いに干渉せず、それによって流入133の凍結効力ならびに流出177の排出を最適化することが可能である。
【0218】
他の実施形態によれば、
図4Cに示すように、流出開口407は、流入ノズル49からの距離が変化するように配置され、たとえば傾斜した横断面を有する。いくつかの実施形態では、これはまた、互いに干渉しない流入および流出を提供することができる。いくつかの実施形態では、流入ノズル49と流出開口407との間の変化する距離を有することによって、ノズル49に少なくとも部分的になお密接しているが、流出開口407を通過する排出流体が流入133に干渉しないはずであり、したがって流出開口を通る流出177の効率的な排出/吸引が可能になる。
【0219】
他の実施形態によれば、
図4Dに示すように、遠位端24は、いくつかの側面流出開口407を含む。いくつかの実施形態では、側面流出開口407は、円周または部分的に円周とすることができる。そのような側面開口を利用することで、流出177および流入133を互いから隔て、したがって互いに干渉しないようにする。さらに、いくつかの流出開口407が存在するため、これらの流出開口407は、遠位端24の側面に配置されるが、流体を効率的に排出することができる。
【0220】
次に、本発明の別の実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端24の概略縦断面図を示す
図4Eを参照する。いくつかの実施形態によれば、遠位端24は、治療内腔に入るいかなる開口も備えず、したがって冷却剤は遠位端24内に残って拡張する。そのような実施形態によれば、組織内への冷たい温度の伝達は、遠位端24の仲介領域44によって仲介される。したがって、治療される身体内腔内に圧力が蓄積しない。いくつかの実施形態によれば、温度低下、すなわち治療部位の凍結をさらに最適化するために、フィードバックコイル409を使用して、流出177のすでに冷却された拡張流体によって加圧冷却剤の流入133を事前に冷却することができる。
【0221】
いくつかの実施形態によれば、仲介領域44は、ステンレス鋼、銅、または真鍮などの硬質材料から準備される。他の実施形態によれば、仲介領域44は、バルーンなどの拡張可能または膨張性の材料から少なくとも部分的に準備することができ、それによって遠位端24が治療内腔の幾何形状を帯びることが可能になり、それによって治療が最適化される。さらなる実施形態によれば、仲介領域44の膨張性/拡張性の部分は、標的領域に触れたり取り囲んだりすることは可能であるが、治療内腔を必ずしも満たさない形状を帯びるように膨張/拡張させることができる。いくつかの実施形態によれば、仲介領域44の膨張性/拡張性の部分は、事前定義されたパラメータに応じて、任意の適当なセンサから受け取った信号に応じて、自動で、または手動で膨張/拡張させることができる。さらに、膨張/拡張の速度およびサイズは、凍結療法治療全体にわたって異なることができる。上記で詳述したように、仲介領域は、柔軟性の材料(15~200%、たとえばポリウレタン、ナイロンエラストマ、および他の熱可塑性エラストマから準備される)、非柔軟性の材料(0~8%、たとえばPET、ナイロンなどから準備される)、または半柔軟性の材料(5~15%、たとえばポリアミド、およびポリエーテルブロックアミドとしての加工ナイロン(Pebax(登録商標))、ならびにPETおよびポリウレタンから準備される)から準備することができ、任意の適当なサイズおよび形状とすることができ、さらに仲介領域の膨張および/または移動によって、場合により外部から使用者によって、治療領域に接触させることができる。いくつかの実施形態では、膨張および/または移動は、任意の適当な手段によって制御することができ、任意の内部または外部のセンサによって集められたデータに応じてさらに制御することができる。
【0222】
次に、凍結療法デバイスの概略横断面図を示す
図4F~
図4Hを参照する。いくつかの実施形態によれば、流入133は、流出177が流れるチューブ/カテーテル77内に配置されたチューブ/カテーテル33を通って流れる。いくつかの実施形態によれば、チューブ/カテーテル33および77は、互いに別個とすることができ、所望される場合、凍結療法治療中またはその前に配置することができる。他の実施形態によれば、チューブ/カテーテル33および77は、ともに一体化され、したがって本質的に、流出177および流入133の両方に対する通路を含む1つのそのようなチューブ/カテーテルのみが存在する。したがって、所望の形状を製作するために2つのチューブを使用することができ、またはそうでない場合、適当なチャネルを有するように1つのチューブを押出成形することができる。
図4Fに提示する実施形態は、チューブ77内にチューブ33を示すが、他の実施形態によれば、チューブ77をチューブ33内またはチューブ33のそばに配置することができることに留意されたい。これは、
図4Gおよび
図4Hに示す実施形態にも同様に当てはまり、システム/使用者の要件に応じて、チューブのいずれかの位置を変更することができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、外側のチューブ、図ではチューブ77を内視鏡のワーキングチャネルとすることができ、このワーキングチャネルをチューブ33が通過する(または逆も同様である)。
【0223】
さらなる実施形態によれば、
図4Gおよび
図4Hに提示するように、遠位端24の横断面はいくつかの開口を有し、流出177はこれらの開口のうちのいくつかを通過し、流入133は他の開口を通過する。これらの開口のいずれか1つは、システム/使用者の要件に応じて、流入、流出、または感知通路として働くことができる。感知通路は、少なくとも1つのセンサが通過する通路であり、そのセンサから集められたデータを使用して、システムおよびその使用を制御することができる。さらに、それらの通路のいずれか1つは、凍結療法治療中の異なる時間の流出または流入のために、事前定義された条件に応じて、任意の適当なセンサから受け取ったデータに応じて定義されたパラメータに応じて、電子的に、または手動で働くことができる。
図4A~
図4Hは、デバイスの遠位端の特有の実施形態を提示するが、流入/流出チューブの任意の数または位置を含む任意の他の実施形態を実施することができることに留意されたい。いくつかのチューブ、製作、および/または押出成形の組合せから、任意のそのようなチューブを準備することができることにも留意されたい。
【0224】
他の実施形態によれば、圧力感知および/もしくは温度感知などの身体内腔の圧力もしくは温度を制御するために必要とされることがある感知手段、または必要とされる任意の他のセンサに対して、内視鏡16を通過する任意の数の経路/チューブ/カテーテルを使用することができる。追加の感知手段には、内腔の体積(たとえば、内部体積ならびに流入および流出による体積の変化)を計算するセンサ、内腔の壁厚さを感知するセンサ(たとえば、超音波またはレーザ光による)などを含むことができる。
【0225】
凍結療法デバイスの例示的な角形成
次に、
図5A~
図5Dを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る鋭角形成シナリオ中に内視鏡を介して身体内腔内へ供給される凍結療法デバイスの概略縦断面図を示す。いくつかの実施形態によれば、
図5Aに示す凍結療法デバイス、たとえば凍結療法デバイス10が、内視鏡16のワーキングチャネル内へ挿入され、したがって凍結療法デバイス10の遠位端24が内視鏡16の遠位端に到達する。いくつかの実施形態では、特定の通路を通過するためおよび/または治療領域に標的を合わせるために、鋭角形成を含む内視鏡16の角形成が必要であるとき、凍結療法デバイス10内にキンクが形成されないことが必要である。いくつかの実施形態では、
図5Aに示すように、そのようなキンク、たとえばキンク505aは、凍結療法デバイス10を通る流体の流入および流出に干渉することがある。したがって、凍結療法デバイス10は、治療内腔全体にわたって任意の治療領域に標的を合わせて、ならびに任意の必要な通路を通過して、身体内腔に到達することを可能にする、鋭角形成を含む角形成を支援するために、編目状チューブ505b(
図5B)またはコイル状チューブ505c(
図5C)などの可撓性、屈曲性、および/または耐キンク性を有するチューブ/カテーテルを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイス10は、チューブ/カテーテルを含み、チューブ/カテーテルの特定の区分のみが、可撓性、屈曲性、および/または耐キンク性を有する。他の実施形態によれば、凍結療法デバイス10は、その長さ全体に可撓性、屈曲性、および/または耐キンク性を有するチューブ/カテーテルを含む。
【0226】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスは、デバイスの流れ(加圧または拡張流体)のうちの1つによってワーキングチャネルの幾何形状に膨張させることができる非剛性、可撓性、半膨張性のカテーテル54a(
図5D)を含むことができる。これは、ワーキングチャネルが角形成を受けるとき、特に重要である。いくつかの実施形態によれば、より剛性の構成要素54bをカテーテルの遠位端の周りに見ることができ(
図5D)、したがってこれらの剛性の構成要素は、所望の噴霧流53を保つために、拡張したときでも、カテーテルのオリフィスの形状および方向を維持することを支援する。
【0227】
例示的なノズル
次に、
図6A~
図6Eを参照する。これらの図は、凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図を示し、具体的には本発明のいくつかの実施形態に係る流入チューブ/カテーテル内のノズル/孔/バルブおよび関連する極低温流体の流入噴霧の実施形態を提示する。本発明の実施形態に係る凍結療法デバイスは、加圧冷却剤チューブ/カテーテルを備えることができ、極低温流体は、この加圧冷却剤チューブ/カテーテルを通過することができ、その後、ノズル/孔/バルブを通ってチューブ/カテーテルを出て、したがって治療される身体内腔に入る。そのようなノズル/孔/バルブは、極低温流体の流れが身体内腔に入り、場合により治療領域に誘導されるように、任意の適当な形で設計することができる。一実施形態によれば、たとえば
図6Aに提示するように、流入経路、たとえば流入133は、チューブ60の遠位端に位置する開口である孔(ノズル/オリフィス)69aを介して、チューブ60を出る。図示されていないが、本明細書に記載する孔/ノズルはいずれも、任意のタイプのバルブなどを含むことができる留意されたい。
【0228】
いくつかの実施形態によれば、
図6Bに提示するように、流入133は、チューブ60の直径に対して低減された直径を有する孔(ノズル/オリフィス)69bを介して出る。そのように直径が低減されることで、画定された圧力で治療領域上へ噴霧される極低温流体を提供することができ、かつ/またはより効率的かつ正確なジュール-トムソン効果を可能にすることができる。
【0229】
本発明のいくつかの実施形態によれば、
図6Aおよび
図6Bに示すように、孔/ノズル/オリフィス69aまたは69bは、流入133の前面噴霧が得られるようにチューブ60の方向に位置合わせされる。本発明の他の実施形態によれば、孔/ノズル/オリフィスは、チューブ60の側面を含む任意の適当な方向に誘導される。いくつかの実施形態によれば、ノズルのいずれか1つを出る噴霧の方向は、任意の適当な方向に誘導することができるノズル内の要素によって変更することができ、この要素の方向は、自動、手動、電子手段、任意の適当なセンサから受け取ったデータへの応答などによって変更することができる。
【0230】
いくつかの実施形態によれば、
図6Cに示すように、流入133が複数の孔69cを通って出ることを可能にする任意の数の孔が、チューブ60内に存在することができる。さらに、孔69cは、任意の所望の構成で配置することができ、さらに各孔69cは、必要に応じて閉鎖または開放または部分的に開放することができるバルブを含むことができる。
【0231】
いくつかの実施形態によれば、ノズルはチューブ60の一部であり、他の実施形態によれば、たとえば
図6Dに提示するように、ノズル69dは、任意の適当な手段によってチューブ60に取り付けられまたは接続された追加の構成要素である。この接続または取付けは、製作上の利点または制約に由来することがある。いくつかの実施形態によれば、ノズルはいずれも、個別の形状またはサイズを有することができ、たとえば
図6Eに示すように、先細りしたノズル69eを利用することができる。いくつかの実施形態では、ノズルのサイズおよび形状、ならびにノズルの数は、各治療、たとえば治療領域/病変のサイズまたはタイプ、治療領域/病変が見られた身体内腔のサイズ、膨張した極低温バルーンのサイズおよび形状などに応じて最適化することができる。いくつかの実施形態では、ノズル69eに対する個別の形状を実現するために、熱処理または機械加工などの追加のプロセスが必要とされることがある。いくつかの実施形態では、流入または注入ノズルのいずれか1つの内径は、平均で約0.05~0.3mmの範囲内とすることができ、排出または流出ノズルのいずれか1つの内径は、約0.5~4mmの範囲内とすることができる。ノズルの横断面は、円形、非円形、楕円形、スリット形などを含む任意の適当な形状とすることができることに留意されたい。
【0232】
例示的な排出流出経路
次に、
図7Aおよび
図7Bを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る流入および流出経路、たとえば流入および流出チャネルを有する内視鏡内の凍結療法デバイスの遠位端の概略横断面図を示す。いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの遠位端24は、冷却剤噴射の流入133を治療される標的領域へ誘導する。凍結療法カテーテルは、内視鏡の近位端からその流入チャネルを通って挿入される。
【0233】
本発明のいくつかの実施形態によれば、
図1A~
図6に詳細に示すように、内視鏡を介して臓器内へ挿入されるカテーテル/チューブ、たとえば内視鏡のワーキングチャネルを介して臓器内へ挿入される凍結療法デバイスを通って、拡張した冷却剤、ならびに治療臓器内に存在する任意の他の流体の排出が実行される。いくつかの実施形態によれば、排出は、1つまたはいくつかの固有のチューブまたは経路を通って実行することができ、チューブまたは経路は、内視鏡の一部とすることができ、または内視鏡に追加することができ、または内視鏡を通って供給することができる。たとえば、いくつかの内視鏡は後側に開口を有し(たとえば、膀胱鏡検査および子宮鏡検査用の切除鏡)、この開口に凍結療法デバイスを挿入することができる。そのような内視鏡では、この後側(773)で排出の少なくとも一部を行うことができ、流出出口(771)および/または流入入口(772)を通って一部の排出を行うことができる。そのような開口を使用して、流入、流出、および流入/流出による影響を受ける内腔圧力を制御することができることにさらに留意されたい。
【0234】
本発明のいくつかの実施形態によれば、排出チューブ/カテーテルへの開口は、流入133に密接することができ、または流入133と同じもしくは類似の平面に位置することができる(たとえば、
図7Aに示す開口77a参照)。他の実施形態によれば、
図7Bに示すように、いくつかの円周側排出開口77bが提供される。本明細書に詳述するように、必要とされる場合、排出チューブの位置、数、サイズ、直径などを変えることができ、画定することができる。さらに、これらの開口のいずれか1つは、開口を開放、閉鎖、または部分的に閉鎖することを可能にするバルブを備えることができ、したがって必要とされる場合、開口のいずれか1つを使用することができる。バルブの動作は、任意の適当なセンサなどから受け取った信号に応じて、電子、手動、自動とすることができる。
【0235】
例示的な折り畳まれた切除構成要素
次に、
図8Aおよび
図8Bを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中に内視鏡を通って治療内腔内へ供給される凍結療法デバイスの概略縦断面図を示す。いくつかの実施形態では、
図8Aに示す個別の切除構成要素83aまたは
図8Bに示す個別の切除構成要素83bは、広げられた極低温バルーン(
図4Eに部分的に示す)とすることができる。
【0236】
いくつかの例示的な実施形態によれば、標的領域82を治療するために、凍結療法デバイス、たとえば切除デバイス80が、
図8Aに示すように、デバイスの近位端85が内視鏡の近位端の外側および治療される患者の外側に残ったまま、デバイスの遠位端24が身体内腔81内の内視鏡の遠位端を出るように、内視鏡16内へそのワーキングチャネルを通って挿入される。本発明のいくつかの実施形態によれば、個別の切除構成要素83aは、
図8Aに示すように、標的領域82を治療するために、身体内腔81内で広げられる。
【0237】
本発明他の実施形態によれば、
図8Bに示すように、標的領域82および82b、場合によりさらに多くの領域を同時に治療するために、より広い切除構成要素83bが身体内腔81内で広げられる。場合により、必要な場合、内腔全体を治療することができる。
【0238】
次に、
図8Cおよび
図8Dを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中に治療内腔内に内視鏡を介して導入された膨張した凍結療法デバイスの概略縦断面図を示す。いくつかの実施形態では、膨張した構成要素はいくつかの領域を含むことができ、各領域が異なる柔軟性を有することができる。いくつかの実施形態では、膨張した構成要素は、非柔軟性または半柔軟性の部分(0~8%)(
図8Cおよび
図8Dに示す要素83c参照)、ならびに半柔軟性または柔軟性の部分(5~200%)(
図8Cおよび
図8Dに示す要素83d参照)から構築することができる。いくつかの実施形態によれば、要素83cは、任意の適当なタイプの金属またはプラスチックから準備することができる。いくつかの実施形態によれば、要素83cは、折り畳まれたり広げられたりする構成を有することができる。
【0239】
いくつかの実施形態によれば、柔軟性/半柔軟性の要素83dを介して組織へ冷熱エネルギーが伝達される。いくつかの実施形態によれば、これらの図に示すように、極低温バルーンの特定の部分のみが治療部位に接触することができ、治療内腔内の他の領域は極低温バルーンに直接接触しない。いくつかの実施形態では、要素83dは、膨張性の構成要素とすることができ、要素83cは、要素83dの形状を保持しかつ/または部分的に画定するように設計された構造化要素とすることができる。いくつかの実施形態では、膨張した構成要素83dは、内視鏡16(
図8C)内にありながら広げられた状態で保つことができ、その形状は、膨張させられたとき(流入133または他の手段による)、要素83dが標的部位の方へ誘導されて標的部位に冷熱エネルギーを伝達するようになっている。
【0240】
次に、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中に内腔内に導入される膨張した凍結療法デバイスの概略縦断面図を示す
図8E~
図8Gを参照する。
図8Eは、活動部分83dを有する、治療部位82cに近接している内腔内の膨張した構成要素を示す。
図8Fは、低い柔軟性(0~8%)の活動領域83d1を有する膨張した構成要素を示し、
図8Gは、高い柔軟性または半柔軟性(5~200%)の活動領域83d2を有する膨張した構成要素を示す。これらの図に示すように、高い柔軟性または半柔軟性の膨張した要素を使用する結果、デバイスと治療部位との接触が最適になるため、デバイスは治療部位に最適に適合することができる。
【0241】
次に、本発明のいくつかの実施形態に係るデバイスの遠位端93のアブレーションの概略縦断面図を示す
図9Aおよび
図9Bを参照する。いくつかの実施形態によれば、
図9Aに示す折り畳まれた遠位端934aは、支持リブならびに極低温バルーン構成要素を備えることができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、折り畳まれた遠位端934aは、カテーテルまたはワイヤ931を押し込むことによって、シース99(内視鏡のワーキングチャネル自体とすることができる)を通って身体内腔内へ挿入される。切除遠位端934aが身体内腔内で標的領域に近接して配置されているとき(
図8Aおよび
図8B参照)、使用者は、
図9Bに示すように切除遠位端934bを広げ、次いで切除凍結機構を起動するように、棒(またはレバー、バルブ、蛇口、もしくはコントローラ)933を操作することができる。
【0242】
内視鏡内の視覚化手段を有する例示的な凍結療法デバイス
次に、
図10A~
図10Dを参照する。これらの図は、
図1Aの実施形態に関連して、凍結療法デバイス10が内視鏡16を通って治療内腔11内へ導入される凍結療法処置中の凍結療法デバイス、たとえば凍結療法デバイス10の追加の実施形態の概略縦断面図を示す。
【0243】
いくつかの実施形態によれば、
図10Aに示すように、内視鏡16は、視野19(FOV)を視覚化する視覚化手段18を含むことができ、噴射13および/または治療部位12がFOV19内にある。
【0244】
他の実施形態によれば、たとえば
図10B~
図10Dに示すように、内視鏡16はシース状のデバイスであり、たとえば
図10Dに示すように、様々な手段によって、たとえば空間188を使用して、シースを通って内腔内へデバイスを挿入することができる。したがって、シース16は、FOV19、凍結療法デバイス14などを見るために、異なるタイプの視覚化手段18の挿入を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、流出177はたとえば、たとえば
図10Dに示すように、個別の流出チャネルを有することができ、または内視鏡の自由空間188を通って流れることができる(
図10D)。
【0245】
流体を注入する手段を有する例示的な凍結療法システム
次に、
図11を参照する。
図11は、
図1Aまたは
図2に示すシステムに類似している凍結療法システムの概略縦断面図を示すが、具体的には、たとえば極低温流体以外の流体を注入する手段を含めて、本発明のいくつかの実施形態に係る治療内腔の内外へ流体が流れる流路および手段を提示する。いくつかの実施形態によれば、凍結療法システム20は、加圧冷却剤源201ならびに排出手段202aおよび202bを含む。排出手段202aおよび202bのいずれか一方または両方を利用することができ、さらに任意の他の適当な排出手段を使用することもできることに留意されたい。いくつかの実施形態では、システム20は、流体を内腔内へ誘導する流入経路204aと、流体を内腔から排出する流出経路204bとをさらに含む。任意の適当な数の流入および流出経路を利用することができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、排出手段202aおよび/または202bは、凍結療法システム20に個別のものとすることができ、さらに、周辺雰囲気への出口を含む任意の知られている排出手段、または物質、たとえば拡張流体をシステムから排出することができる任意の他の適当な手段とすることができる。いくつかの実施形態によれば、排出手段202aおよび/または202bは、任意の適当なポンプ、真空などによって提供される吸引を含む。いくつかの実施形態によれば、排出手段、たとえば排出手段202aおよび/または202bは、凍結療法デバイス、たとえば
図1Aに示す凍結療法デバイス1002の近位端に、任意選択で流出経路1010の近位端に、または
図11に示す流出経路204bに取り付けることができる。いくつかの実施形態によれば、任意選択の吸引トラップ、たとえば吸引トラップ203は、排出された流体を収集することができ、排出手段、たとえば排出手段202aおよび/または202bを汚染から保護することができる。
【0246】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図11に示すように、流入および流出流体は、供給源201などの供給源の組合せから発生することができる。任意の数の供給源をともに使用することができ、または必要とされる任意の順序で使用することができることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、レジューサ206のいずれか一方または両方によって、供給源201を低減させる(たとえば、圧力および/または流量を低減させる)ことができ、したがって異なる時間または同時に加圧冷却剤205および/または低減された流体207の流入を提供する(たとえば
図11に示すように、経路208を使用することによる)。異なる圧力および/または流量を提供するために、異なる供給源を使用することができ(図示せず)、さらに詳述するように、同じ供給源を使用することもできることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、経路205は、標的組織へ冷却剤を送達するために使用することができ、経路207は、内腔を膨張した状態で保ちかつ/または凍結サイクル間に脱水するために使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、経路205、207などのそれぞれにおける流体の圧力は、必要に応じて、同じであっても異なってもよく、さらに時間とともに変化することができる。他の実施形態によれば、経路208は、経路205に対して平行に使用することができ、圧力測定に、膨張制御に、および/または脱水手段として使用することができる。
【0247】
他の実施形態によれば、レジューサ206を使用する代わりに、流れ207および208は、追加の圧力源(図示せず)から発生することができ、任意選択で個別ポンプによって伝達することができる。
【0248】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図11に示すように、排出手段202aおよび/または202bは、同時または異なる時間に利用することができる。いくつかの実施形態では、供給源202aは、高い圧力および/または高い流量などを取り扱う能力を有することができ、供給源202bは、精度を可能にし、かつ/またはシステムがより低い圧力、より低い流量などを提供することを可能にする微調整能力を有することができる。
【0249】
いくつかの例示的な実施形態によれば、様々な圧力および排出手段は、事前定義された設定、電子手段、手動動作などを含む任意の適当な手段に応じて動作させることができる。いくつかの実施形態では、異なる手段(205、206、207、208、202a、202b)の制御において、圧力、時間、標的領域反応などを考慮に入れることができる。
【0250】
いくつかの実施形態によれば、内腔内の圧力が約30ミリバール~100ミリバールを上回るとき、流入を停止することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の圧力が約20ミリバール~10ミリバールを下回るまで、流出の排出を継続することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の温度が約5~10℃を下回るとき、流入を停止することができる。いくつかの実施形態によれば、内腔内の温度が約15~20℃を上回るとき、流入を開始することができる。いくつかの実施形態によれば、システムを制御するために、温度および圧力の両方、ならびに任意の他の適当なパラメータを使用することができる。
【0251】
いくつかの実施形態によれば、凍結療法システムは、冷却剤の注入および/または拡張流体の排出を制御する制御ユニット、たとえば制御機構を含むことができる。制御機構は、所定のパラメータ(たとえば、周期的)を含むことができ、かつ/または任意の適当なセンサによってシステムから収集されたデータに応じてフィードバックによって定義されるパラメータ、遠位圧力、遠位温度、近位圧力、近位温度、入る流れと排出される流れとの比較、動作時間などの測定パラメータ、および他の任意選択の測定されたパラメータを含むことができる。いくつかの実施形態では、そのようなフィードバックに関連する制御が実施されたとき、制御回路などの関係する感知および制御手段、たとえばCPU、ファームウェア、流量センサ、圧力センサ、クロックなどを、デバイス内に含むことができ、またはデバイスに隣接して動作させることができる。
【0252】
例示的な転がり式凍結療法デバイス
次に、
図12Aおよび
図12Bを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る外部(
図12A)または内部(
図12B)から冷却することができる転がり構成要素53を含む転がり式凍結療法デバイス54の概略縦断面図を示す。いくつかの実施形態によれば、たとえば
図12Aに示す凍結療法デバイス54は、噴射13としての外部供給源からの極低温エネルギーを吸収して治療組織52を冷却する能力を有する転がり構成要素53(たとえば、金属製)を有する。他の実施形態によれば、たとえば
図12Bに示すように、転がり構成要素53は、転がり構成要素53内で拡張する内部冷却噴射13を有することができる。いくつかの実施形態によれば、転がり構成要素53は、外部および内部の両方から冷却される。いくつかの実施形態によれば、治療部位52上へ冷却剤を直接噴霧するのではなく、治療部位52上に転がり構成要素53を配置することによって、凍結治療を実行することができる。いくつかの実施形態によれば、転がり構成要素53は、摺動構成要素またはアイアニング構成要素など、極低温エネルギーを治療部位52へ伝達することができる任意の構成要素に交換することができる。
【0253】
凍結先端部の例示的な幾何配置
次に、
図4に提示した実施形態に対する追加の実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図を示す
図13を参照する。
【0254】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図4A~
図4Cに提示するように、遠位端24は、近接または類似した平面内に流入ノズル49および流出開口407を有する。
【0255】
他の実施形態によれば、
図13に示すように、流入ノズル49および流出開口407は、延長部4100(たとえば、円錐、ドレス、フラップ)によって分離される。いくつかの実施形態では、流入ノズル49と流出開口407との間の分離のため、延長部4100を使用するとき、流入および流出が互いに干渉せず、それによって流入133の凍結効力ならびに流出177の排出を最適化することが可能である。追加として、いくつかの実施形態によれば、延長部4100は、少なくとも部分的に治療部位と非治療部位との間を本質的に分離し、治療部位のみが極低温エネルギーなどを受け取るように治療部位を分離するため、治療部位のサイズを少なくともある程度制御する。いくつかの実施形態によれば、延長部4100は、凍結療法デバイスの遠位端を治療部位から隔てる。いくつかの実施形態では、延長部4100が凍結療法デバイスの遠位端を治療部位から隔てるとき、延長部4100は、本明細書に詳述するように、流入133と流出177との間、治療部位と非治療部位との間、または治療体積4200と周辺の身体内腔体積との間を分離してもしなくてもよい。この点で、いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスの遠位端は、内視鏡/シース、流入または流出チャネル、光学系または視覚化手段などを含む凍結療法デバイス内の任意の要素の遠位端を含むことを意図したものである。
【0256】
いくつかの実施形態によれば、延長部4100は、本質的には凍結療法デバイスの遠位端と、治療部位と、延長部4100との間に形成された体積である治療空間、たとえば治療体積4200を画定する。したがって、治療体積4200は、少なくとも部分的に治療内腔の周辺体積から分離される。延長部4100は治療部位に必ずしも接触せず、したがって閉鎖された体積は形成されないが、治療体積4200は、治療部位に接触するように延長部4100を長くした場合に形成される体積として画定されることに留意されたい。
【0257】
いくつかの実施形態によれば、延長部4100は、治療体積内の水和レベル、ならびに治療部位および/または治療体積4200を視覚化するのに必要な状態を維持することができるように、治療体積を周辺の内腔体積から少なくとも部分的に分離する。特に上記で詳述したように、いくつかの実施形態では、治療部位および/または治療体積4200内で乾燥し、または少なくとも湿度を下げることができる極低温流体以外の流体を導入することが可能である。いくつかの実施形態では、視認性を強化するために、水和したガスまたはさらには液体を治療体積から排出することも可能である。いくつかの実施形態では、治療部位および/または治療体積4200が、延長部4100などの任意の要素によって、周辺の内腔環境から少なくとも部分的に分離されるとき、任意選択で、その水和およびその中の視認性状態を含む治療体積内ならびに治療部位上の状態を制御することがより容易になる。
【0258】
次に、
図14を参照する。
図14(
図6A~
図6Eに関連する)は、凍結療法デバイスの遠位端の概略縦断面図を示し、具体的には本発明のいくつかの実施形態に係る流入チューブ/カテーテル内の回転/旋回する、または少なくとも部分的に回転するノズル/孔/バルブ、および関連する極低温流体の流入噴霧を提示する。同様に、流出チューブ/カテーテルもそのような任意の回転要素を備えることができることに留意されたい。
【0259】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図6A~
図6Eに示すように、極低温流体(または任意の他の流体)の噴射を特有の方向(前面、側面など)に誘導することができる。他の実施形態によれば、方向の組合せ(たとえば、前面および側面の両方)によって、部位/体積が均一に冷却されるように、その部位/体積を噴霧でカバーすることを支援することができる。いくつかの実施形態では、噴霧方向の組合せはまた、膨張性デバイスを膨張させるだけでなく任意選択で均一に冷却するように幾何学的な形状の膨張性デバイスを膨張させるときに使用することができる(たとえば、より平坦な形状のバルーン)。
【0260】
いくつかの実施形態によれば、ノズルは、チューブ60の一部である(
図6A~
図6C)。他の実施形態によれば、たとえば
図14に提示するように、ノズル69cは、少なくとも部分的に(たとえば、軸の周りで)旋回することを可能にする任意の適当な手段によってチューブ60に取り付けられまたは接続された追加の構成要素601の一部である。1つのノズル69cのみが示されているが、任意の数のそのようなノズルを含むことができ、構成要素601上の任意の箇所に配置することができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、流入または注入ノズルのいずれか1つの内径は、約0.05~0.3mmの範囲内とすることができるが、ノズルの横断面は、円形、非円形、楕円形、スリット形などを含む任意の適当な形状とすることができることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、スイベル状のノズル(たとえば、601の一部である69c)が、部位/体積が均一に冷却されるように、その部位/体積を噴霧でカバーすることを提供することができる。いくつかの実施形態では、噴霧方向の組合せはまた、膨張性デバイスを膨張させるだけでなく均一に冷却するように幾何学的な形状の膨張性デバイスを膨張させるときに使用することができる(たとえば、より平坦な形状のバルーン)。構成要素601は、任意の適当な軸の周りを旋回することができ、さらに任意の度数だけ旋回することができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、旋回は、手動で、機械的に、自動で、フィードバックによって、事前定義されたパラメータによって、または任意の他の適当な手段によって制御することができる。いくつかの実施形態によれば、チューブ60およびノズル69cは直線内にないため、流入133の力により、構成要素601が任意の適当な軸の周りを旋回することができる。
【0261】
視覚化手段を有する凍結療法デバイスの例示的な遠位端
次に、
図15Aおよび
図15Bを参照する。これらの図は、
図7Aおよび
図7Bに提示した実施形態に対する追加の実施形態に係る流入および流出チャネルを有する内視鏡内の凍結療法デバイスの遠位端の概略横断面図を示す。いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの遠位端24は、冷却剤噴射13の流入133を治療される標的領域へ誘導する。いくつかの実施形態では、凍結療法カテーテルは、内視鏡の近位端からその流入チャネルを通って挿入される。いくつかの実施形態では、凍結療法動作の起動前、起動中、および/または起動後に治療部位の視覚化を可能にするために、内視鏡を通って視覚化手段78が挿入される。
【0262】
本発明のいくつかの実施形態によれば、排出チューブ/カテーテルへの開口は、噴射13(
図15Aに示す)に密接することができ、または噴射13と同じもしくは類似した平面に位置することができる。他の実施形態によれば、
図15Bに示すように、凍結療法デバイス76は、延長部7100を含むことができる。いくつかの実施形態では、延長部7100は、治療体積7200および/または治療部位を周辺の内腔環境から少なくとも部分的に分離することによって、治療体積7200内の状態、ならびに治療部位およびその状態を制御することができる。上記で詳述したように、いくつかの実施形態では、治療体積7200および/または治療部位を内腔の全体的な周辺から分離することで、治療体積7200および/または治療部位の脱水を制御することができ、治療体積7200、治療部位などのより良好な視覚化(たとえば、視覚化手段78による)を提供することができる。いくつかの実施形態では、
図13に示す延長部4100と比較して、凍結療法および視覚化手段の両方を治療体積7200内に含むことができ、
図13に提示する実施形態では、凍結療法手段のみが延長部の内側体積、すなわち治療体積4200内に存在する。いくつかの実施形態では、周辺の内腔環境を制御するために、
図15Bに示すように、治療体積7200の外側に感知手段25が位置することができる。いくつかの他の実施形態では、感知手段は、治療体積7200内の状態を制御するために、治療体積7200内に位置することができる。いくつかの実施形態によれば、治療体積7200内および治療体積7200外の両方にセンサを配置することができ、それによって任意選択で治療体積および周辺の内腔環境の両方の状態を制御することができる。
【0263】
いくつかの実施形態によれば、延長部7100は、凍結療法デバイスの遠位端を治療部位から隔てる。いくつかの実施形態では、延長部7100が凍結療法デバイスの遠位端を治療部位から隔てるとき、延長部7100は、本明細書に詳述するように、流入13と流出17との間、治療部位と非治療部位との間、または治療体積7200と周辺の身体内腔体積との間を分離してもしなくてもよい。この点で、凍結療法デバイスの遠位端は、内視鏡/シース、流入または流出チャネル、光学系または視覚化手段などを含む凍結療法デバイス内の任意の要素の遠位端を含むことを意図したものである。いくつかの実施形態では、特に極低温噴射13と標的部位との間のそのような画定された距離により、凍結アブレーションの結果の予測可能性および潜在的な効力を最適化することができる。
【0264】
いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスと標的領域または標的領域内の組織との間の画定される距離は、5mm、10mm、15mm、20mm、またはより小さいもしくは大きい任意の中間距離である。いくつかの実施形態では、極低温流体を噴霧する最小距離は、少なくとも4mm、たとえば4mm、5mm、6mm、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値である。いくつかの実施形態では、4mm未満の距離から極低温流体を噴霧することで、たとえば極低温接着特性により、先端部/ノズルが組織にくっつくことがある。追加として、先細りした極低温ノズルまたは凍結先端部を使用するとき、4mmより近づくことで、組織を突き刺すリスクが増大する。
【0265】
例示的な膨張性の凍結療法デバイス
次に、
図16A~
図16Cを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係るアブレーション処置中の膨張性の凍結療法デバイスの概略縦断面図を示す。
図16Aは、膨張性の構成要素83をその折り畳まれた構成で示す。いくつかの実施形態では、膨張性の構成要素83がその折り畳まれた構成にある間に、凍結療法デバイスの遠位端24を治療部位82に密接させることができ、したがって視覚化手段18が、治療部位82を明白に観察して、明白な視野、FOV19を提供することができる。
【0266】
図16Bは、いくつかの例示的な実施形態に係る活動領域/区分/部分/要素83aおよび支持領域/区分/部分/要素83bを有する広げられた膨張性の構成要素83を示す。いくつかの実施形態では、支持要素83bは、膨張性の構成要素83の一体部分とすることができ、たとえば支持要素83bは、膨張性の構成要素83の塗装領域、折り畳まれた構成要素83の表面処理領域などとすることができる。他の実施形態によれば、支持要素83bは追加または外部の要素とすることができ、折り畳まれた構成要素83上に追加され、折り畳まれた構成要素83に溶融され、または折り畳まれた構成要素83に隣接している。いくつかの実施形態では、膨張性の要素83に支持を提供すること以外に、支持要素83bは、いくつかの機能を有することができる。いくつかの実施形態では、たとえば支持要素83bは、視覚化手段18の照射を吸収することができ、したがってあらゆるタイプのグレアが克服され、したがって使用者は、治療部位82の周辺を視覚化することができる。別法または追加として、支持要素83bは、反射防止染料で塗装することができ、かつ/またはその表面は、吸光性(拡散対正反射)をより高めるように、任意の適当なタイプの表面処理を受けることができる。たとえば、支持要素83bは、低温を伝達することができない(たとえば、この領域で2重壁にすることができ、または絶縁材料から作ることができる)。追加として、支持要素83bは、活動要素83aが完全に丸い形状ではなく比較的平坦な形状を帯びるように支持を提供することができ、たとえば活動要素83aは、円錐またはベルのような形状とすることができる。
【0267】
図16Cは、いくつかの例示的な実施形態に係る活動中の凍結療法中のデバイスの遠位端24を示す。いくつかの実施形態では、たとえば
図16Cに示すように、活動要素83aが治療部位82に接触している間に、視覚化手段18は、活動要素83aをカバーする支持要素83bを視覚化する。これは、以下に詳述するように有用となりうる。活動要素83aは、
図8C~
図8Gに詳細に示す要素83d、83d1、および/または83d2のいずれか1つと同等とすることができ、したがって83d、83d1、および/または83d2に関して本明細書に詳述する実施形態はいずれも、
図16B~
図16Eの要素83aに対する可能な実施形態であると考えられることにさらに留意されたい。
【0268】
次に、
図16Dおよび
図16Eを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端24の概略上面
図19(
図16Cの視覚化手段18から見る)を示す。いくつかの実施形態によれば、たとえば
図16Dに示すように、支持要素83b1は、活動中の膨張要素83aの視覚化を完全に阻止しながら、それでもなお治療組織の周辺82の良好な視覚化を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、そのような阻止は、活動要素83aがアブレーション処置を実行する能力に干渉する反射(光沢、グレア)を引き起こすときに必要とされることがある。
【0269】
他の実施形態によれば、たとえば
図16Eに示すように、支持要素83b2は、活動中の膨張要素83aの視覚化を部分的にのみ阻止しながら、治療組織の周辺82に加えて活動要素83aのある程度の視覚化を可能にすることができる。支持要素83b2は、活動部分83aが干渉反射を引き起こさないとき、そのような部分的な阻止のみを提供するように設計することができ、支持要素83b2は主に、膨張性の活動構成要素83aを形成する支持体として機能し、たとえば活動構成要素83aは、支持要素83b2によって比較的平坦な形状を帯びることができる。
【0270】
いくつかの実施形態によれば、膨張性の構成要素は、簡単な前面流れノズルを使用して、膨張性の体積を(内側から)冷却することができる。いくつかの実施形態によれば、膨張性の構成要素は、極低温流体によって膨張させられる。いくつかの実施形態によれば、膨張した構成要素は、任意の組合せおよび/または順序の流体によって膨張させることができる。他の実施形態によれば、特別な内側ノズル、
図14に示すスイベル噴射(または
図6bおよび
図6Cに示す前面ノズルと側面ノズルとの組合せ)が、成形された膨張性の構成要素(たとえば
図16B~
図16Eに示すように、より平坦なバルーン)内で極低温流体を分散させることを支援することができる。
【0271】
幾何学的な延長部を有する例示的な凍結療法デバイス
次に、
図17A~
図17Fを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端90の概略縦断面図を示す。いくつかの実施形態によれば、たとえば
図17Aに示すように、内腔のスクリーニングまたは内腔への挿入中、凍結療法デバイスの構成要素を内視鏡またはシース16内で保持しながら、視覚化手段18からの入力を使用して、シース/内視鏡を治療部位に近接するように誘導することができる。いくつかの実施形態によれば、凍結療法デバイスの構成要素は、延長部、感知手段25、および凍結療法カテーテル24を含み、延長部は、折り畳まれた構成93a(
図17A)および広げられた構成93b(
図17B)、ならびに任意選択で任意の他の部分的に折り畳まれた構成を含む異なる構成とすることができる。いくつかの実施形態では、遠位端90は、個別の排出手段をさらに含むことができる。他の実施形態によれば、ワーキングチャネルまたはシース内の残りの体積は、排出手段として使用することができる。いくつかの実施形態によれば、使用者は、たとえば
図17Bに示すように、遠位端の構成要素を広げ、次いで切除機構を起動するように、棒(またはレバー、バルブ、蛇口、またはコントローラ)933を操作することができる。いくつかの実施形態では、広げられた延長部93bは、支持リブまたはワイヤならびに支持構成要素(たとえば、可撓性ポリマー)を備えることができ、延長部4100および7100(それぞれ
図13および
図15Bに示す)と同様に、治療部位および/または治療体積930bを全体的な内腔環境から少なくとも部分的に分離することができ、延長部によって画定される内側体積、すなわち治療体積930b内の状態をさらに制御することができる。いくつかの実施形態では、凍結療法および視覚化手段はどちらも、治療体積930b内に含むことができる。いくつかの実施形態では、感知手段25は、周辺の内腔環境を制御するために、
図17Bに示すように、治療体積930bの外側に位置することができる。いくつかの他の実施形態では、感知手段は、相互制御を改善するために、治療体積930b内、または治療体積930bの内外両方に位置することもできる。
図17Cは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る内腔11内の凍結療法の起動を示す。いくつかの実施形態では、たとえば広げられた延長部93bによって画定される治療体積930bから排出流17が誘導されて押し出される間に、極低温噴射13が治療部位12を治療する。いくつかの実施形態によれば、たとえば
図17Bおよび
図17Cに示すように、広げられた延長部93bはまた、広げられた延長部93bが治療部位12を取り囲む組織に接触または密接すると仮定して、極低温噴射13と治療部位12との間の距離を画定することができる。いくつかの実施形態では、そのような画定される距離は、アブレーションパラメータならびに治療によって得られる結果を最適化するのを助けることができる。
【0272】
他の実施形態によれば、たとえば
図17D~
図17Fに示すように、使用者は、延長部(たとえば、903a、903b、903c)の幾何形状および/または機能性を変化させるように、コントローラ(またはレバー、バルブ、蛇口、もしくは棒)933を操作することができる。いくつかの実施形態によれば、たとえば
図17Dに示すように、延長部903aは、任意選択で内腔への内視鏡16の挿入を可能にする平滑化要素として機能しながら、他の構成要素(たとえば、凍結療法カテーテル24、感知手段25など)の干渉なく、それらの構成要素が必要とされたときのアブレーション処置の起動まで、視覚化手段18によって内腔ならびに内腔への経路を視覚化するように、視覚化手段18の周りに配置することができる。
【0273】
いくつかの実施形態によれば、たとえば
図17Eに示すように、延長部903bは、コントローラ933の操作に応じて、
図17Bおよび
図17Cに示す延長部93bと同様に使用することができる。いくつかの実施形態では、延長部93b(
図17Bおよび
図17C)と同様に、延長部903bの事前定義された幾何形状により、極低温噴射13と治療部位との間の距離を画定することができ、したがってデバイスの性能を最適化することができる。他の実施形態によれば、たとえば
図17Fに示すように、異なる設定点を適用する(たとえば、組織から隔てる)ために、または異なる制約(たとえば、制限された空間、平滑でない標的部位、鋭角形成)中にアブレーションを可能にするために、コントローラ933を使用して、延長部903cの追加の幾何形状を使用することができる。したがって、コントローラ933を使用して、延長部によって画定される内側体積、すなわち治療体積9030c、および治療部位からのデバイスの遠位端の距離の両方を制御することができる。
【0274】
例示的な幾何学的な延長部
次に、
図18A~
図18Cを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る内視鏡の視覚化手段および凍結療法デバイスの遠位端の概略横断面図を示す。いくつかの実施形態によれば、たとえば
図18Aに示すように、延長部903a(
図17Dに縦断面図で示す)は、重複する薄片またはいくつかの材料(たとえば、剛性の薄片903a1および可撓性の薄片903a2)から準備することができる。いくつかの実施形態では、
図18B(
図17Eの縦断面図)に示すように、延長部903bを広げたとき、重複する薄片903b1および903b2または異なる材料は、任意選択で、円錐状またはドレス上の分離延長部903を形成することができる。
図18Bに示すように、視覚化手段18および凍結療法カテーテル24はどちらも、広げられた延長部によって画定される治療体積(たとえば円錐、ドレス)内に位置し、したがって使用者は、アブレーションプロセスを視覚化することができる。
【0275】
他の実施形態によれば、広げて使用する前、たとえば
図18Cに示すように、延長部93を内視鏡またはシース16内に折り畳むことができる(
図17Aに縦断面図で示す93a)。いくつかの実施形態では、延長部は次いで、たとえば
図17D、
図17F、および
図18Aに示すように、たとえば内視鏡/シースから部分的に延ばすことによって、部分的に広げることができる。さらに、延長部は任意選択で、たとえば
図17B、
図17C、
図17E、および
図18Bに提示するように、完全に広げることができる。延長部が完全に折り畳まれ、部分的に折り畳まれ、かつ/または完全に広げられているとき、凍結治療の任意の部分を実行することができることに留意されたい。
【0276】
次に、
図19A~
図19Cを参照する。これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る凍結療法デバイスの遠位端の概略横断面図を示し、具体的には治療部位/体積を分離する手段を提示する。いくつかの実施形態によれば、たとえば
図19Aに示すように、広げられた延長部93bは、拡張流体17が延長部93bによって画定された内側体積から出てまたは除去されて、排出手段開口(図示せず)の方へ流れることを可能にする通気孔94を含むことができる。いくつかの実施形態では、延長部93b(または円錐、ドレス)は、支持構造(ニチノール、超弾性材料のワイヤ/リブ)および布/ポリマー/折り畳まれた表面から、または剛性および可撓性の重複する薄片(たとえば、
図18Aおよび
図18Bに示す)によって準備することができる。
【0277】
いくつかの実施形態によれば、広げられた延長部93bは、治療部位112から特定の距離、場合により事前定義された距離をあけて配置することができ、したがって拡張流体17が、延長部93bによって画定される内側体積を自然に出ることができる。他の実施形態によれば、たとえば
図19Aに示すように、広げられた延長部93bは、治療部位112に密接または接触し、したがって通気孔94は、拡張流体17が排出手段開口(図示せず)の方へ流れることを可能にする。
【0278】
図19Bは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る平坦な末端94aを備える延長部(または円錐、ドレス)93b1を示す。いくつかの実施形態では、延長部93b1は、たとえば
図19Bに示すように、延長部93b1が治療部位から特定の距離、場合により事前定義された距離をあけて保持されるとき、もしくは組織が平滑でないとき、または膨張流体17が延長部93b1によって画定される内側体積を出ることができるときはいつでも、任意の適当な手段によって使用することができる。他の実施形態によれば、たとえば
図19Cに示すように、広げられた延長部93b2は、延長部によって画定される内側体積から出る拡張流体17の流れを容易にするために、延長部の壁の中に通気孔94bを含む。いくつかの実施形態では、たとえば
図19Cに実証するように、延長部93b2は、異なるサイズおよび位置の通気孔を含むことができる。
【0279】
洗浄流入経路を有する例示的な凍結療法デバイスの遠位端
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイスは、たとえば洗浄流体、たとえば洗浄液または洗浄ガスを身体内腔内へ導入することを可能にするために、少なくとも1つの流入洗浄経路を備える。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、凍結療法デバイスの遠位端、任意選択で冷却剤材料の解放に使用される流入経路の開口付近に位置する少なくとも1つの洗浄開口、たとえば少なくとも1つの側面開口および/または少なくとも1つの前面開口を通って、身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの側面開口は、光学アセンブリおよび/または光学系チャネルの遠位開口の方へ洗浄流体を誘導するように、選択された角度で配置される。いくつかの実施形態では、凍結療法デバイスは、少なくとも1つの洗浄流誘導器、たとえば少なくとも1つの洗浄開口内のノズルまたは偏向面を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流れ誘導器が、光学アセンブリ、凍結療法デバイスと標的領域との間のFOV、および/または前記身体内腔内の選択された治療空間の方へ洗浄流体を誘導するように構成される。
【0280】
次に、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る身体内腔に入る少なくとも1つの流入洗浄経路を有する凍結療法デバイスの遠位端を示す
図20Aおよび
図20Bを参照する。
【0281】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイスの遠位端、たとえば遠位端1113は、たとえば内視鏡またはシース、任意選択で剛性シース1116内のワーキングチャネルを通って、身体内腔内へ挿入されるような形状およびサイズである。いくつかの実施形態では、遠位端1113は、標的領域、たとえば身体内腔の内面に位置する治療組織1104の方へナビゲートされる。
【0282】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイスは、治療組織の凍結アブレーションのために冷却剤を身体内腔内へ送達する少なくとも1つの流入経路を備える。いくつかの実施形態では、冷却剤は、極低温流入経路、たとえば極低温流入チャネルを通って送達される。いくつかの実施形態では、極低温噴霧1106は、ノズルを通って標的領域内の治療組織に噴霧される。
【0283】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイスは、少なくとも1つの光学系要素、たとえば光学系1110を備える。いくつかの実施形態では、光学系1110は、FOV1112内の視覚化を可能にし、任意選択で極低温噴霧1106が治療組織1104に与える効果を視覚化することを可能にする。いくつかの実施形態では、身体内腔内への冷却剤の解放中、任意選択で身体内腔内の加湿環境における冷却剤材料と液滴との相互作用のため、凝縮粒子が形成される。いくつかの実施形態では、凝縮粒子の形成により、極低温噴霧効果の視覚化を阻止または限定する1群の粒子が生成される。
【0284】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法デバイスは、洗浄流体、たとえばガスを身体内腔内へ送達して、凝縮粒子をFOV1112から押しのけるために、少なくとも1つの洗浄流入経路を備える。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、たとえば極低温洗浄1108を可能にするために、流入洗浄経路および開口、たとえば治療組織に面している開口1115を通って導入される。別法または追加として、流入洗浄経路は、たとえば光学系洗浄1114を可能にするために、少なくとも1つの側面開口、たとえば光学系1110の遠位開口付近に洗浄流体を導入する側面開口1117を備える。
【0285】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図20Bに示すように、凍結療法デバイスは、たとえばガス、粒子、および/または液体の一部を身体内腔から排出することを可能にする少なくとも1つの流出経路を備え、そのような排出を、本明細書ではパージとも呼ぶ。いくつかの実施形態では、たとえば
図20Bに示すように、流出経路は、流入経路および光学系を取り囲む経路であり、任意選択でシース、たとえば剛性シース1116内に密閉される。いくつかの実施形態では、流出経路は、戻されるまたは排出される拡張ガス1118のために使用される。いくつかの実施形態では、流出経路は、剛性シース内で、流入経路および/または光学系1110の間の空間によって画定される。
【0286】
例示的な流れ制御
いくつかの例示的な実施形態によれば、身体内腔内の流れは、たとえば高い圧力レベルおよび/または低い温度レベルによる組織への損傷を回避するように調節される。いくつかの実施形態では、流れは、効果的な凍結療法プロセスおよび/または標的領域のより良好な視覚化を可能にするように調節される。
【0287】
次に、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る流れ制御要素の方式を示す
図21Aを参照する。
【0288】
いくつかの例示的な実施形態によれば、極低温冷却剤は、極低温源1202内に貯蔵されており、少なくとも1つの流入経路、たとえば凍結療法デバイスの極低温流路を通って、ノズル1208へ送達される。いくつかの実施形態では、極低温流レギュレータ、たとえば極低温制御部1204が、
図1Aに示す凍結療法デバイス、たとえば凍結療法デバイス1002、および/または制御ユニット、たとえば制御ユニット1004内に配置される。いくつかの実施形態では、極低温制御部1204は、極低温冷却剤を体外に解放することを可能にするように構成されている、ノズル1208の方へまたは通気孔1206を通って流れる極低温流体、たとえば極低温冷却剤の量、たとえば割合を制御する。いくつかの実施形態では、極低温制御部は、制御回路1026の制御下にある。いくつかの実施形態では、極低温制御部は、内側オリフィスを有するバルブ、たとえばソレノイドバルブを備え、このバルブは、通常はばねによって閉鎖されており(常時閉)、流路を開放するソレノイドの電気誘起力によって開放される。
【0289】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路は、ノズル1208への100%の通過および任意選択で通気孔1206への0%の通過を可能にするように、極低温制御部へ信号を送る。別法として、制御回路は、ノズル1208への0%の通過および通気孔1206への100%の通過を可能にするように、極低温制御部へ信号を送る。いくつかの実施形態では、制御回路は、身体内腔または流路内の圧力レベルおよび/または温度に基づいて、通気孔1206とノズル1208との間の極低温冷却剤流分布を判定する。別法または追加として、制御回路は、標的領域からの距離または凍結療法デバイスの遠位端もしくは極低温ノズルと標的領域との間の角度に基づいて、通気孔1206とノズル1208との間の極低温冷却剤流分布を判定する。
【0290】
いくつかの例示的な実施形態によれば、低圧源1210が、凍結療法デバイスの異なる流入経路を通って、洗浄開口1218、たとえば洗浄開口へ接続される。いくつかの実施形態では、洗浄開口は、スロットまたはノッチを備える。いくつかの実施形態では、調節機構、たとえば調節部1212が、極低温流路を通ってノズル1208に向かう低圧ガスの流れを調節する。いくつかの実施形態では、極低温冷却剤流が停止され、任意選択で通気孔が閉鎖されたとき、たとえばノズルを「清浄にする」ため、および/または極低温流が流れていない間に湿気が入ることを防止するために、低圧ガスが調節部1212によって極低温ノズル1208の方へ誘導される。追加または別法として、凍結療法デバイスの遠位端が標的組織に近接したときに極低温ノズル1208を通る低圧流により、たとえば浅いくぼみによって組織に印を付け、それにより、たとえば最適の凍結起動のため、および/または先端部が内腔壁を突き刺すのを防止するため、および/または極低温流による組織の付着を防止するために、凍結療法デバイスの遠位端または凍結カテーテルの先端部が組織に十分に近いことを示す。
【0291】
いくつかの例示的な実施形態によれば、低圧流は、調節機構1214によって洗浄制御ユニット1216の方へ誘導され、洗浄制御ユニット1216は、洗浄開口1218を通る流れの量および圧力を判定する。いくつかの実施形態では、たとえば冷却剤噴霧セッション間、または冷却剤噴霧セッション中に、低圧流が治療空間を洗浄し、かつ/またはたとえば光学系の視野を洗浄するために凍結療法デバイスの光学系の方へ誘導される。
【0292】
凍結療法中の例示的な制御
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法治療空間の少なくとも1つの微小環境パラメータが制御される。いくつかの実施形態では、凍結療法システムは、身体内腔内の治療空間を判定する。いくつかの実施形態では、治療空間は、制限された、任意選択でより制御可能な空間内で、少なくとも1つの微小環境パラメータを制御するように判定される。
【0293】
いくつかの実施形態では、凍結療法治療空間は、選択された標的領域からの凍結療法デバイスの距離に基づいて判定される。別法または追加として、治療空間は、凍結療法デバイスと治療領域との間の角度に基づいて判定される。任意選択で、治療空間は、凍結療法デバイスの撮像器の視野に基づいて判定される。
【0294】
いくつかの例示的な実施形態によれば、身体内腔内の凍結療法プロセスの効力が制御される。いくつかの実施形態では、身体内腔内への極低温冷却剤材料の解放が制御される。追加としてまたは任意選択で、身体内腔からの極低温冷却剤流体の排出が制御される。いくつかの実施形態では、極低温冷却剤材料が身体内腔の内部組織に与える効果が、たとえば治療の効力を増大させるように制御される。
【0295】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法プロセスの少なくとも1つの安全パラメータが制御される。いくつかの実施形態では、凍結療法プロセス中の身体内腔内の圧力および/または温度が制御される。いくつかの実施形態では、身体内腔内の圧力が所定の圧力値より高い場合、身体内腔内への極低温流体の導入が停止される。別法または追加として、身体内腔の一掃および/または膨張のための非極低温ガスの導入が停止される。いくつかの実施形態では、流体、たとえば極低温ガスまたは極低温液の一部が、逆止め弁を開放することによって受動的に、またはポンプ、たとえば真空ポンプを起動することによって能動的に、流出チャネルを通って排出される。
【0296】
画定された治療空間内の例示的な制御
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療空間が、たとえば標的領域のより良好な視覚化を可能にするために、凍結療法デバイスと標的領域との間の空間を制限することによって画定される。いくつかの実施形態では、治療空間は、任意選択で広げられかつ/または延ばされた要素である少なくとも1つの延長部、たとえば円錐またはドレスによって画定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの延長部は、任意選択で選択された標的部位の周りで、身体内腔の内面に接触させられる。別法または追加として、治療空間は、洗浄流によって形成される円錐形の流れによって画定される。
【0297】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの環境パラメータ、たとえば標的領域の視覚化に影響を与える環境パラメータが、画定された治療空間内で制御される。いくつかの実施形態では、環境パラメータは、治療空間内の温度および/または湿度を含む。
【0298】
いくつかの例示的な実施形態によれば、画定された治療空間内の温度レベルが、極低温流体の一部を画定された空間から排出することによって制御される。別法として、温かい空気が、凍結療法デバイスの流入経路を通って、画定された治療空間へ導入される。別法として、IR光源が、温度レベルを増大させるため、またはミストを通って視覚化を可能にするために、治療空間を照射する。いくつかの実施形態では、画定された治療空間内の湿度レベルは、ガスを導入して空間を脱水することによって制御される。
【0299】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえばFOVから湿度を除去して標的領域のより良好な視覚化を可能にするために、洗浄流体を使用することによって、ミストまたは形成された粒子が、画定された治療部位から一掃される。別法として、ミスト粒子の一部が、画定された空間から、凍結療法デバイス内の流出経路を通って排出される。
【0300】
例示的な流れ制御プロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの微小環境パラメータ、たとえば身体内腔内の圧力、温度、および/または湿度が、凍結療法プロセス前、その間、および/またはその後に監視される。いくつかの実施形態では、身体内腔に入る低圧流および/または冷却剤流は、少なくとも1つの微小環境パラメータの測定に基づいて、たとえば最大の圧力値を超過しないように、または身体内腔内の温度が所定の値を下回るほど低下しないように制御される。次に、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る流れ制御プロセスを示す
図21Bを参照する。
【0301】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1050で前述したように、凍結療法デバイスの少なくとも一部が身体内腔内へ導入される。
【0302】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1220で、身体内腔が膨張させられる。いくつかの実施形態では、身体内腔は、低圧流によって、または低圧流および膨張した冷却剤流の組合せによって膨張させられる。
【0303】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1222で、内腔内の圧力レベルが判定される。いくつかの実施形態では、圧力レベルは、少なくとも1つのセンサ、たとえば身体内腔内に配置された圧力センサから受け取った信号に基づいて、かつ/または身体内腔の外側もしくは凍結療法デバイスの流路、たとえば流出経路内に配置された少なくとも1つのセンサに基づいて判定される。いくつかの実施形態では、内腔内の圧力レベルは、任意選択で体外に配置されたセンサによって、洗浄流入経路内の圧力レベルおよび/または圧力変化を監視することによって判定される。別法として、センサは、体内に配置された洗浄流入経路の一部内に配置される。
【0304】
いくつかの例示的な実施形態によれば、膨張後に判定された圧力が正常であり、かつ/または所望の値の範囲内にある場合、1224で、冷却剤は選択された標的領域の凍結アブレーションのために身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、冷却剤は、所定の時間期間中に導入される。別法として、判定された圧力レベルが高すぎる場合、1226で、身体内腔内のガスの少なくとも一部が、任意選択で流出チャネルを通って排出される。
【0305】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1228で、洗浄が起動され、身体内腔内へ導入される。別法として、1220で、洗浄流体は身体内腔を膨張させるために使用される。いくつかの実施形態では、洗浄は、たとえば光学アセンブリおよび/または凍結療法デバイスの遠位端と標的領域との間の治療空間を洗浄するために、パージ中に極低温ノズルを通って、または洗浄流入チャネルを通って導入される。別法または追加として、洗浄は、たとえば極低温噴霧を光学アセンブリから押しのけるため、および/または任意選択で微小環境を画定する仮想の円錐/ドレスを得るため、極低温噴霧の周りで使用される。
【0306】
いくつかの例示的な実施形態によれば、1230で、身体内腔内の圧力および/または温度が判定される。いくつかの実施形態では、圧力は、身体内腔内の圧力が最大の可能な圧力値を超過しないかどうかを判定するために、凍結アブレーション後および/または洗浄後に判定される。追加または別法として、温度は、導入された冷却剤が身体内腔内の温度レベルを所定の値を下回るほど下げなかったかどうかを判定するために、凍結療法前、凍結療法中、および凍結療法後に判定される。いくつかの実施形態では、圧力および温度が可能な値の範囲内である場合、1224で、任意選択で連続する凍結アブレーション冷却剤流が身体内腔内へ導入される。
【0307】
いくつかの例示的な実施形態によれば、圧力は正常な値の範囲内にあるが、温度は低すぎた場合、1238で、凍結アブレーションプロセスが停止される。いくつかの実施形態では、1240で、身体内腔内の流体、たとえばガスまたは液体の少なくとも一部が排出される。別法または追加として、1242で、たとえば身体内腔内の温度を増大させるために、温かいガスが身体内腔内へ導入される。別法として、温かいガスは、凍結療法中、および任意選択で身体内腔の膨張中に、流入洗浄チャネルを通って身体内腔内へ導入される。いくつかの実施形態では、1230で、ガスの一部が排出され、かつ/または温かいガスが身体内腔内へ導入された後、圧力および/または温度が判定される。
【0308】
いくつかの例示的な実施形態によれば、身体内腔内の圧力が高すぎる場合、1232で、凍結アブレーションが停止され、1234で、任意選択で洗浄が停止される。いくつかの実施形態では、1236で、身体内腔内のガスの一部が排出される。
【0309】
内腔内の例示的な圧力監視
次に、身体内腔内の所定の圧力レベルの範囲内の圧力監視を示す
図22A~
図22Fを参照する。いくつかの例示的な実施形態によれば、圧力グラフ1502内で、圧力は、最小の膨張圧力値1508と最大の膨張圧力値1506との間で維持されることが望ましい。いくつかの実施形態では、グラフ1504に示すように、洗浄流、極低温流、およびパージ流が起動されたとき、それに応じて身体内腔内の圧力レベルが変化する。
【0310】
いくつかの実施形態では、身体内腔内の圧力は、たとえば標的領域のより良好な視覚化を可能にするため、および/または標的領域へのより良好なアクセス性を可能にするために、最小の膨張圧力値を上回るように維持される。いくつかの実施形態では、膀胱内の最小の圧力は、少なくとも10ミリバール、たとえば10ミリバール、12ミリバール、15ミリバール、またはより小さいもしくは大きい任意の中間値である。いくつかの実施形態では、身体内腔内の圧力は、たとえば組織の損傷を防止するために、最大の圧力値を下回るように維持される。いくつかの実施形態では、膀胱内の最大の圧力は約30ミリバールである。
【0311】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図22Aに示すように、凍結起動サイクルにおいて、1516で、洗浄およびパージ流が加えられるとき、圧力は、最小の圧力値1508と最大の圧力値1506との間の所望の範囲内である。いくつかの実施形態では、1510で、極低温流が起動されるとき、圧力は最大の可能な圧力値を上回って増大し、その後1512で、極低温流が停止される。
【0312】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図22Bに示すように、全体的な流れ1520内で一定の洗浄流およびパージ流が起動され、排出開口がより広いとき、身体内腔内の圧力は最小の圧力値1508を下回る。いくつかの実施形態では、低い膨張圧力によって身体内腔が部分的または完全に潰れると、標的領域の良好な視覚化が阻止され、かつ/または身体内腔内の凍結療法デバイスのナビゲーションが制限もしくは阻止され、それにより凍結アブレーション治療の効力が低減される可能性がある。いくつかの実施形態では、1510で、極低温流が起動されるとき、全体的な流れ1518により、凍結アブレーション中に所望の範囲内の全体的な圧力が生じる。
【0313】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図22Cに示すように、バルブ、たとえば逆止め弁を使用するとき、身体内腔からの流体排出が、任意選択で制御され、一定の流れ1522により、圧力は、たとえば極低温流が起動されていないとき、膨張に必要とされる最小の圧力より高くなる。いくつかの実施形態では、凍結が起動されるとき、圧力は上昇するが、それでもなお最大の圧力値を下回っている。いくつかの実施形態では、この状況は安全であり、たとえば身体内腔内の良好な視覚化および操作性を可能にすることによって、内腔内での作業を可能にするはずである。
【0314】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図22Dに示すように、最大の圧力値を下回るように身体内腔内の圧力を維持するために、流れ制御に関する能動的フィードバックが使用される。いくつかの実施形態では、1510で、冷却剤を身体内腔内へ洗浄流とともに導入するために、極低温流が起動される。いくつかの実施形態では、1524で、極低温流および洗浄流は、任意選択でセンサによって、任意選択で流入経路、たとえば流入洗浄経路を通って測定されるように、圧力レベルを最大の可能な圧力値まで増大させる。いくつかの実施形態では、圧力レベルが最大の可能な圧力レベルに到達したとき、能動的流れ制御または能動的流れレギュレータにより、極低温流を停止させる。追加として、圧力がそれでもなお増大する場合、能動的流れ制御により、洗浄流も停止させる。
【0315】
いくつかの例示的な実施形態によれば、「洗浄」流にはいくつかの目的があり、たとえば、内腔を一定に膨張させること、たとえば部分的または完全な潰れを防止して、任意選択で、内腔内で良好な視覚化および操作性を可能にすることが挙げられる。追加または別法として、洗浄流は、光学アセンブリ、たとえば光学系レンズを湿気および他の汚れから清浄にするため、および任意選択で、光学アセンブリの光学系を比較的一定の温度、たとえば最高30%、たとえば10%、15%、20%の範囲内で変動、またはより小さいもしくは大きい任意の中間変動割合を伴う温度レベルで保つために使用される。いくつかの実施形態では、洗浄流は、冷たい湿気ガス(ミスト)を光学系から洗い流すため(「極低温洗浄液」は、極低温噴霧の周りに絶縁を形成する)、および任意選択で、レンズ表面の周りに動的なバッファを構築するため(「光学系洗浄液」)、ミストの残り(または排出されたミスト)がレンズ方向へ流れることが困難になるように使用される。別法および/または追加として、極低温洗浄液は、圧力測定に使用される。いくつかの実施形態では、内腔内の圧力変化の結果、内腔内の圧力を測定/近似することができるように、ならびに任意選択でたとえば制御および/または安全手段に使用することができるように、圧力変化を洗浄圧力源のより近くで(上流で、たとえば制御コンソール内で)測定することができる。
【0316】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図22Eに示すように、1528で、たとえば圧力レベルが身体内腔の膨張に必要な最小の圧力値とより低い最大の圧力値との間にあることを確実にするために、洗浄流の能動的制御が適用される。任意選択で、洗浄流を制御することで、たとえば極低温噴霧セッション間の長い観察または視覚化時間期間中に、洗浄流体を節約することが可能になる。いくつかの実施形態では、1504で、凍結が適用されるとき、能動的洗浄流制御が非活動状態にされる。
【0317】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図22Fに示すように、能動的流れ制御に加えて、身体内腔からの物質の排出に対する能動的制御も起動される。いくつかの実施形態では、1510で、極低温流が起動されるとき、1532で、たとえば一部の流体および/または他の物質を身体内腔から排出するように真空ポンプを起動することによって、能動的排出制御が起動され、それにより任意選択で圧力レベルが低減される。
【0318】
標的領域に対する距離および角度の例示的な判定
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば冷却剤が組織に与える効果のより良好な制御を可能にするために、凍結療法デバイスの遠位端と標的領域との間の距離が判定される。いくつかの実施形態では、組織にあまりに近接して冷却剤を噴霧することで、組織のうち凍結療法に対する標的として選択されなかったより深い層を損傷するおそれがある。別法として、大きい距離をあけて標的領域上に冷却剤を噴霧する結果、たとえばミストの生成および/または視覚化の難しさのため、非効果的な治療を招くおそれがある。追加として、標的領域までの距離を判定することで、たとえば凍結療法プロセスの少なくとも1つのパラメータ、たとえば冷却剤圧力および/または冷却剤噴霧の持続時間を調整することが可能になる。
【0319】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図23Aに示すように、凍結療法デバイスの遠位端1602が、標的領域1608の方へ前進させられる。いくつかの実施形態では、低圧ガス流1604が、任意選択で洗浄流路1612から標的領域1608の方へ解放され、かつ/または極低温流体流が停止されたときはパージ流によって極低温ノズルを通って解放される。いくつかの実施形態では、低圧ガスの圧力は、身体内腔表面内にくぼみ1622を生成する。いくつかの実施形態では、遠位端1602と標的領域1608との間の距離1610は、光学系1614を使用してくぼみ1622の深さおよび/または形状を視覚化することによって判定される。
【0320】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図23Bに示すように、凍結療法デバイスの遠位端1603は、標的領域1608の方へ光ビームを投影するように構成された少なくとも1つの照射源1620を備える。いくつかの実施形態では、遠位端1603と標的領域1608との間の距離1610は、たとえば手動で、または画像処理によって自動で、標的領域1608における投影点1621のサイズおよび/または形状を視覚化することによって判定される。別法または追加として、凍結療法デバイスは、標的領域までの距離を測定するために、露出計、任意選択でレーザ露出計を備える。
【0321】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図23Cに示すように、凍結療法デバイスは、任意選択で延長部、ドレス、または円錐である少なくとも1つの折り畳み可能要素、たとえば折り畳まれた要素1626を備える。任意選択で、折り畳まれた要素は、広げられた状態で知られている長さを有する。いくつかの実施形態では、折り畳まれた要素1626は、標的領域へのナビゲーション中は凍結療法デバイスの内腔内で折り畳まれ、標的領域に到達すると広がるように構成される。いくつかの実施形態では、これらの要素は、広げられたとき、標的領域またはその付近で組織に接触する。いくつかの実施形態では、折り畳まれた要素と組織との間の接触点を視覚化することで、たとえば遠位端1605と標的領域との間の距離1610を判定することが可能になる。
【0322】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図23Dおよび
図23Eに示すように、遠位端1702と標的領域1711との間の角度が、標的領域上に投影された光点1712の形状およびサイズに基づいて判定される。いくつかの実施形態では、たとえば
図23Dに示すように、光ビーム1708が、照射源によって標的領域1711上に90度の角度1710で投影される。いくつかの実施形態では、光点の形状および/またはサイズを視覚化することで、遠位端1702と標的領域1711との間の相対角度を判定することが可能になる。いくつかの実施形態では、90度の角度で投影されたとき、光点1712は、他の投影角度に比べて最も小さいサイズ、長さ、および/または直径を有する。任意選択で、90度の角度で投影されたとき、光点は、たとえば
図23Eに標的領域の上面図で示すように、丸い形状を有する。
【0323】
いくつかの例示的な実施形態によれば、たとえば
図23Fに示すように、光ビーム1708は、90度より大きい角度1716で投影される。いくつかの実施形態では、90度より大きい角度で光ビームを投影するとき、たとえば標的領域1711の上面図を示す
図23Gに示すように、光点1712と比較すると、光点1714はより大きくなり、任意選択でより楕円形になる。別法または追加として、照射効果と同様に、パージ流の結果、角度に関係する同じ楕円形の形状、または凍結先端部と治療される標的組織との間のより大きい距離に関係するより大きい円が生じることがある。
【0324】
いくつかの例示的な実施形態によれば、凍結療法の少なくとも1つのパラメータ、たとえば身体内腔内へ解放される極低温流体の圧力、凍結療法デバイスの遠位端の位置、および/または極低温噴霧の持続時間は、判定される距離および/または角度に基づいて、任意選択で、自動で修正または調整される。いくつかの実施形態では、新しい治療空間および/または新しいFOVが、判定された角度および/または距離に基づいて画定される。いくつかの実施形態では、たとえば洗浄流体を新しい画定された治療空間および/または新しい画定されたFOVの方へ誘導するように、洗浄流体流の方向が調整または修正される。
【0325】
前述した特有の実施形態は、本開示の技法の実施の例示である。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、当業者には知られているまたは本明細書に開示されている他の方策を用いることができることを理解されたい。
【0326】
本出願から満期になる特許の寿命中に、多くの関連する凍結療法デバイスが開発されることが予期される。凍結療法デバイスという用語の範囲は、すべてのそのような新しい物品を演繹的に含むことを意図したものである。本明細書では、数量または値を参照するとき、「約」という用語は「±10%の範囲内」を意味する。
【0327】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」およびその活用形は、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味する。
【0328】
「からなる」という用語は、「含み、限定される」ことを意味する。
【0329】
「から実質的になる」という用語は、組成物、方法または構造が追加の成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。但しこれは、追加の成分、工程および/または部分が、請求項に記載の組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限られる。
【0330】
本明細書において、単数形を表す「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数をも対象とする。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1種の化合物」には、複数の化合物が含まれ、それらの混合物をも含み得る。
【0331】
本願全体を通して、本発明のさまざまな実施形態は、範囲形式にて示され得る。範囲形式での記載は、単に利便性および簡潔さのためであり、本発明の範囲の柔軟性を欠く制限ではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、可能な下位の範囲の全部、およびその範囲内の個々の数値を特異的に開示していると考えるべきである。例えば、1~6といった範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5および6も具体的に開示するものとする。これは、範囲の大きさに関わらず適用される。
【0332】
本明細書において数値範囲を示す場合(例えば、「10~15」、「10から15」、または、範囲指示としてリンクされた数値のペア)、それは常に示す範囲内の任意の引用数(分数または整数)を含むことを意図する。第1の指示数と第2の指示数「との間の範囲」という表現と、第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という表現は、本明細書で代替可能に使用され、第1の指示数および第2の指示数と、それらの間の分数および整数の全部を含むことを意図する。
【0333】
別途示されていない限り、本明細書で使用される数およびそれに基づくあらゆる数の範囲は、当業者には理解されるように、妥当な測定および丸め誤差の精度範囲内の近似である。
【0334】
本明細書で使用する「方法」という用語は、所定の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を意味し、化学、薬理学、生物学、生化学および医療の各分野の従事者に既知のもの、または既知の様式、手段、技術および手順から従事者が容易に開発できるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0335】
異常な活性、疾病または病態と関連して本明細書で使用する「治療する」という用語は、病態の進行の抑止、実質的な阻害、遅延または逆転、病態の臨床的または審美的な症状の実質的な寛解、あるいは病態の臨床的または審美的な症状の悪化の実質的な予防を含む。
【0336】
明確さのために別個の実施形態に関連して記載した本発明の所定の特徴はまた、1つの実施形態において、これら特徴を組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔さのために1つの実施形態に関連して記載した本発明の複数の特徴はまた、別々に、または任意の好適な部分的な組み合わせ、または適当な他の記載された実施形態に対しても提供され得る。さまざまな実施形態に関連して記載される所定の特徴は、その要素なしでは特定の実施形態が動作不能でない限り、その実施形態の必須要件であると捉えてはならない。
【0337】
本発明をその特定の実施形態との関連で説明したが、多数の代替、修正および変種が当業者には明らかであろう。したがって、そのような代替、修正および変種の全ては、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に含まれることを意図するものである。
【0338】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許および特許出願のそれぞれについて具体的且つ個別の参照により本明細書に援用する場合と同程度に、それらの全体が参照により本明細書に援用される。加えて、本願におけるいかなる参考文献の引用または特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として使用できることの容認として解釈されるべきではない。また、各節の表題が使用される範囲において、必ずしも限定として解釈されるべきではない。