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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119273
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】建具装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20230821BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20230821BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20230821BHJP
   G01S 13/58 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
E06B7/28 A
E06B1/04 Z
E05B1/00 311Z
G01S13/58 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022080
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】長峰 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 諒平
(72)【発明者】
【氏名】中▲崎▼ 悠介
(72)【発明者】
【氏名】井部 弘美
(72)【発明者】
【氏名】慶野 雄大
(72)【発明者】
【氏名】小峰 正子
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】野末 嵩博
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC06
5J070AE09
5J070AF01
5J070AK02
5J070BF02
5J070BF03
5J070BF10
5J070BF12
(57)【要約】
【課題】 開閉体が開放する可能性があることを効果的に報知する。
【解決手段】 内側に開口部を有する枠体10と、枠体10内で前記開口部を開放する開閉体20と、開閉体20の開放側に対する反開放側で閉鎖状態の開閉体20に接近する人を感知する感知部30と、感知部30による感知に応じて光を発する発光部40とを備え、発光部40は、発する光が枠体10と開閉体20の隙間から前記開放側へもれるように設けられている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に開口部を有する枠体と、前記枠体内で前記開口部を開放する開閉体と、前記開閉体の開放側に対する反開放側で閉鎖状態の前記開閉体に接近する人を感知する感知部と、前記感知部による感知に応じて光を発する発光部とを備え、
前記発光部は、発する光が前記枠体と前記開閉体の隙間から前記開放側へもれるように設けられていることを特徴とする建具装置。
【請求項2】
前記枠体は、閉鎖状態の前記開閉体の戸先部に対向する戸先側枠部材を備え、
前記発光部は、前記隙間へ光を発するように、前記戸先側枠部材に設けられていることを特徴とする請求項1記載の建具装置。
【請求項3】
前記戸先側枠部材には、見付け方向へ光を通過させる光通過部が設けられ、
前記発光部が、前記戸先側枠部材の裏側に設けられ、発した光を前記光通過部に通過させることを特徴とする請求項2記載の建具装置。
【請求項4】
前記光通過部が、縦長のスリット孔であることを特徴とする請求項3記載の建具装置。
【請求項5】
前記開閉体が前記開放側へ回動して開口部を開放し反開放側へ回動して該開口部を閉鎖する扉体であり、
前記感知部が、前記開閉体を反開放側で操作するための操作部に設けられていることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の建具装置。
【請求項6】
前記感知部が、閉鎖状態の前記開閉体と反開放側の人との距離を感知し該距離に応じた信号を発する距離センサを含み、前記距離センサの感知信号に応じて、前記発光部による光の発光態様を変化させることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の建具装置。
【請求項7】
前記距離センサが、ToFセンサであることを特徴とする請求項6記載の建具装置。
【請求項8】
前記感知部が、反開放側の人が前記開閉体に近づく速度を感知し該速度に応じた信号を発する速度センサを含み、前記速度センサの感知信号に応じて、前記発光部による光の発光態様を変化させることを特徴とする請求項1~7何れか1項記載の建具装置。
【請求項9】
前記発光態様の変化として、前記発光部による発光色を変化させることを特徴とする請求項6~8何れか1項記載の建具装置。
【請求項10】
前記発光部による発光に伴って音声を発するようにしたことを特徴とする請求項1~9何れか1項記載の建具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体を移動させ開口部を開放する建具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建具装置には、例えば特許文献1に記載されるように、開口部を開放するように回動する扉体(開閉体)と、この扉体の左右端部及び上端部をコ字状に囲む枠体と、開閉操作のために手が掛けられる手掛け部(ドアノブ等)を具備したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-176189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術によれば、扉体の開放方向側に人が居る状態で、扉体が開放動作し、前記人が扉体の開放動作に気が付かないでいると、扉体がその人に衝突してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
内側に開口部を有する枠体と、前記枠体内で前記開口部を開放する開閉体と、前記開閉体の開放側に対する反開放側で閉鎖状態の前記開閉体に接近する人を感知する感知部と、前記感知部による感知に応じて光を発する発光部とを備え、前記発光部は、発する光が前記枠体と前記開閉体の隙間から前記開放側へもれるように設けられていることを特徴とする建具装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、開閉体が開放する可能性があることを効果的に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る建具装置の一例を示す正面図である。
図2】戸先側枠部材及び発光部等の一例を示す要部斜視図である。
図3】ドアノブユニットの一例を示す斜視図である。
図4】同建具装置の動作を模式的に示す側面図である。
図5】同建具装置の制御例を示すフローチャートである。
図6】本発明に係る建具装置の他例について、制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、内側に開口部を有する枠体と、前記枠体内で前記開口部を開放する開閉体と、前記開閉体の開放側に対する反開放側で閉鎖状態の前記開閉体に接近する人を感知する感知部と、前記感知部による感知に応じて光を発する発光部とを備え、前記発光部は、発する光が前記枠体と前記開閉体の隙間から前記開放側へもれるように設けられている(図1図6参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記枠体は、閉鎖状態の前記開閉体の戸先部に対向する戸先側枠部材を備え、前記発光部は、前記隙間へ光を発するように、前記戸先側枠部材に設けられている(図1及び図2参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記戸先側枠部材には、見付け方向へ光を通過させる光通過部が設けられ、前記発光部が、前記戸先側枠部材の裏側に設けられ、発した光を前記光通過部に通過させる(図2参照)。
【0011】
第四の特徴として、前記光通過部が、縦長のスリット孔である(図2参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記開閉体が前記開放側へ回動して開口部を開放し反開放側へ回動して該開口部を閉鎖する扉体であり、前記感知部が、前記開閉体を反開放側で操作するための操作部に設けられている(図3及び図4参照)。
【0013】
第六の特徴として、前記感知部が、閉鎖状態の前記開閉体と反開放側の人との距離を感知し該距離に応じた信号を発する距離センサを含み、前記距離センサの感知信号に応じて、前記発光部による光の発光態様を変化させる(図6参照)。
【0014】
第七の特徴として、前記距離センサが、ToFセンサである。
【0015】
第八の特徴として、前記感知部が、反開放側の人が前記開閉体に近づく速度を感知し該速度に応じた信号を発する速度センサを含み、前記速度センサの感知信号に応じて、前記発光部による光の発光態様を変化させる。
【0016】
第九の特徴として、前記発光態様の変化として、前記発光部による発光色を変化させる(図6参照)。
【0017】
第十の特徴として、前記発光部による発光に伴って音声を発する。
【0018】
なお、後述する実施態様では、以下の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明の一つは、回動して開口部を開放する開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体の反開放側に接近する人を感知する感知部と、前記感知部による感知に応じて報知を行う報知部とを備え、前記感知部が、閉鎖状態の前記開閉体と前記人の距離に応じた信号を発する距離センサであり、前記距離センサの感知信号に応じて、前記報知部による報知態様を変化させることを特徴とする建具装置。ここで、前記報知部には、前記報知として光を発する発光部や、前記報知として音声を発する音声発信部等を含む。
この発明によれば、開放側にいる人が、開閉体の反開放側に人がどの程度近づいているのかを直感的に把握することができる。
【0019】
また、他の発明としては、回動して開口部を開放する開閉体と、閉鎖状態の前記開閉体の反開放側に接近する人を感知する感知部と、前記感知部による感知に応じて報知を行う報知部とを備え、前記感知部が、前記人の速度を感知してその速度に応じた感知信号を発する速度センサであり、前記感知信号に応じて、前記報知部による報知態様を変化させることを特徴とする建具装置。前記報知部には、前記報知として光を発する発光部や、前記報知として音声を発する音声発信部等を含む。
この発明によれば、開放側にいる人が、開閉体の反開放側に近づく人の速度を直感的に把握することができる。
【0020】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「開放側」とは、全閉状態の開閉体の厚さ方向の一方側であって該開閉体が開放する方向側を意味する(図4参照)。また、「反開放側」とは、前記開放側に対する反対の方向側を意味する。
【0021】
図1は、本発明に係る建具装置の一例を示す。
建具装置1は、内側に開口部を有する枠体10と、枠体10内で回動して前記開口部を開放したり閉鎖したりする開閉体20と、開閉体20の開放側に対する反開放側で閉鎖状態の開閉体20に接近する人を感知する感知部30と、感知部30による感知に応じて光を発する発光部40と、感知部30の感知に応じて発光部40を制御する制御部(図示せず)とを備え、扉装置(開き戸)を構成している。
【0022】
枠体10は、閉鎖状態の開閉体20の戸尻部に対向する戸尻側枠部材11と、開閉体20の戸先部に対向する戸先側枠部材12と、開閉体20の上端部に対向する上側枠部材13とを具備して、中央側の開口部を囲む正面視逆凹字状に構成される。
この枠体10は、当該建具装置1の設置対象である建築物等の躯体壁面の開口に固定される。
【0023】
枠体10の下方側は、床面や地面としてもよいし、戸尻側枠部材11と戸先側枠部材12の下端部間にわたる沓摺(下枠部材)等としてもよい。
枠体10の枠内側には、全閉した際の開閉体20を受ける断面略段状の戸当たり部10aが設けられる(図2及び図4参照)。
開閉体20は、閉鎖状態から開放側へ回動することで、戸当たり部10aから離れ、反開放側へ回動することで、戸当たり部10aに接触又は近接する。
【0024】
戸先側枠部材12は、矩形板状の板金材料を曲げ加工することで、戸当たり部10aと戸先対向面10bを横断面L字状に配置するとともに、戸先対向面10bの裏側を中空にした長尺状の部材である(図2参照)。
【0025】
戸先対向面10bの上下方向の中途部分には、矩形状の貫通孔が設けられ、この貫通孔には、デッドボルト35及びラッチ38(図3参照)を受ける受け部材42が装着される。
また、戸先対向面10bにおいて、受け部材42の上側及び下側には、上下方向へ間隔を置いて光通過部12aが複数設けられる。
【0026】
各光通過部12aは、戸先側枠部材12を見付け方向へ貫通する縦長のスリット孔(別表現をすれば、上下方向の長孔)である。この光通過部12aは、戸先対向面10bの裏側で発光部40が発した光を通過させる。
【0027】
開閉体20は、厚み方向に間隔を置いた二枚の外板21をその内側の芯材及び骨材等(図示せず)により支えて、所定の厚みを有する正面視矩形状の扉体を構成している。
この開閉体20は、開放側(図4参照)へ回動して、枠体10内の開口部を開放し、反開放側へ回動して同開口部を閉鎖する。
この開閉体20の戸先側には、厚み方向の両側の外板21の間に位置するように、ドアノブユニットA(図3参照)が装着される。ドアノブユニットAは、厚み方向両側の外板21に、それぞれ、開放側操作部36と反開放側操作部37を貫通させている。
【0028】
開閉体20の戸尻側部分は、ヒンジ23を介して、戸尻側枠部材11に対し回転自在に接続されている(図1参照)。ヒンジ23は、開閉体20の回動支点となる部材であり、周知の平蝶番や旗蝶番、ピボットヒンジ等を用いることが可能である。
【0029】
ドアノブユニットAは、図3に例示するように、扉厚方向に扁平な矩形箱状のユニット本体31と、このユニット本体31の上部側で開放側へ突出するシリンダー34と、シリンダー34に抜き差しされる鍵33と、同ユニット本体31の上部側で反開放側へ突出するサムターン32と、鍵33又はサムターン32の回転操作によりユニット本体31から戸先方向へ出没するデッドボルト35と、同ユニット本体31の下部側から開放側へ突出する開放側操作部36と、同ユニット本体31の下部側から反開放側へ突出する反開放側操作部37と、これら開放側操作部36及び反開放側操作部37の操作により戸先方向へ出没するラッチ38と、戸先側枠部材12に設けられてデッドボルト35及びラッチ38に嵌り合う受け部材42とを具備している。これらの部品は、着脱可能(言い換えれば、組み立て及び分解可能)に構成される。
このドアノブユニットAのラッチ機構や施錠機構は、周知構造の機構を適用可能である。
【0030】
開放側操作部36と反開放側操作部37は、開閉体20を開放するために操作される部材であり、図示例によれば、回転操作された際の回転力によりラッチ38を没入させて開閉体20を開放可能にするドアノブである。
開放側操作部36は、軸状部36aと、この軸状部36aの後端側から径方向外側へ突出する把持部36bと一体に有する略L字状に形成される。
軸状部36aには、反開放側操作部37に連結される連結軸36cが設けられる。
【0031】
反開放側操作部37は、軸状部37aと、この軸状部37aの後端側から径方向外側へ突出する把持部37bと一体に有する略L字状に形成される。
軸状部37aは、反開放側操作部37に対し、連結軸36cを介して一体回転可能に連結される。
そして、把持部37bには、感知部30が設けられる。
【0032】
感知部30は、開閉体20の反開放側に接近する人を非接触で感知するセンサである。
この感知部30には、例えば、エリアセンサや、3Dセンサ、焦電センサ等と呼称される周知のセンサを適用すればよい。
【0033】
なお、図3中、符号44は、開閉体20に対する開放側操作部36の挿通部分を環状に覆う丸座であり、符号43は、開閉体20に対する反開放側操作部37の挿通部分を環状に覆う丸座である。
また、符号42aは、デッドボルト35とラッチ38をそれぞれ貫通する板状のストライクであり、符号42bは、デッドボルト35及びラッチ38に対し凹状に嵌り合うトロヨケである。これらストライク42aとトロヨケ42bは、一体的に接続されて受け部材42を構成する。
【0034】
また、発光部40は、戸先側枠部材12の複数の光通過部12aに対応するように配置された複数のLEDと、これらLEDを発光するための電源及び電源回路等を具備した照明装置である。
この発光部40は、戸先側枠部材12における戸先対向面10bの裏側の面に止着固定される(図2参照)。この発光部40には、LEDテープライト等と呼称される照明装置を適用可能である。
【0035】
発光部40の光は、光通過部12aを通過するようにして、枠体10と開閉体20の隙間sへ発せられ、さらに、隙間sから開閉体20の開方向側へもれる(図4参照)。
【0036】
発光部40の発光は、当該建具装置1の適宜箇所に設けられた制御部(図示せず)によって制御される。この制御部は、感知部30の感知信号に応じて発光部40を制御する電子回路であり、例えば、戸先側枠部材12の内部(裏側)や、開閉体20の内部、又はユニット本体31の内部、当該建具装置1の設置対象である壁部の内部、発光部40内等に設けることが可能である。
この制御部は、感知部30の感知信号を無線又は有線により受信し、発光部40に対する制御信号を無線又は有線により送信する。
【0037】
図5は、上記制御部による制御フローの一例を示す。
この制御フローのステップS1では、感知部30による感知信号を受信するのを待ち、受信すれば次のステップへ処理を進める。
【0038】
ステップS2は、発光部40を発光するための制御信号を送信し、発光部40を発光させて、次のステップへ処理を進める。
【0039】
ステップS3では、感知部30による感知信号がなくなったかどうかを判断し、感知部30の感知信号がなくなれば、次のステップへ処理を移行し、そうでなければ、処理をステップS1へ戻す。
【0040】
ステップS4では、発光部40を消灯するための制御信号を送信し、発光部40を消灯し、処理をステップS1へ戻す。
【0041】
よって、上記構成の建具装置1によれば、反開放側の人を感知部30によって感知した場合に、発光部40が発光して、この光が、光通過部12aを通って開閉体20と戸先側枠部材12の隙間sに入る。さらに、この光は、隙間sから開放側へもれるため、開放側の人は、開閉体20が開放する可能性があることを直感的に認識することができる(図4参照)。
【0042】
<第二の実施態様>
第二の実施態様は、上記建具装置1について、感知部30の構成、及び上記制御部による制御フローを変更したものである。
【0043】
第二の実施態様において、感知部30は、閉鎖状態の開閉体20と反開放側の人との距離を感知し該距離に応じた信号を発する距離センサである。この距離センサには、好ましくはToF(Time of Flight)センサを用いる。
ToFセンサは、電磁波(例えば、赤外光やレーザ光、超音波等)を発し、この電磁波が対象物に反射して戻ってきた時間を測定し、この時間から対象物までの距離を求める方式の距離センサである。
【0044】
この第二の実施態様において、制御部(図示せず)は、感知部30による感知信号(距離)に応じて、発光部40による光の発光態様を変化させる。
この発光態様の変化は、好ましい一例としては、発光部40による発光色を変化させる。
すなわち、第二の実施態様における発光部40は、制御信号に応じて色温度を調整可能なものを用いる。
【0045】
図6は、第二の実施態様における制御部の制御フローを示す。
開閉体20の全閉状態において、前記制御部は、感知部30による遠距離感知信号があるか否かを判断し(ステップS11)、遠距離感知信号があれば処理を次のステップへ進め、そうでなければ、処理をステップS13へ移行する。
ここで、遠距離感知信号とは、閉鎖状態の開閉体20と反開放側のとの距離が比較的大きい場合に、感知部30から発生せられる信号である。この信号は、前記距離に応じた幅を有する信号の範囲としてもよいし、所定の距離範囲内に人が存在することを示す信号としてもよい。
【0046】
次のステップ12では、発光部40を所定色(図示例によれば、緑色)に点滅し、次のステップへ処理を進める。
【0047】
また、ステップ13では、感知部30による中距離感知信号があるか否かを判断し、中距離感知信号があれば処理を次のステップへ進め、そうでなければ、処理をステップS15へ移行する。
ここで、中距離感知信号とは、閉鎖状態の開閉体20と反開放側のとの距離が、上記遠距離感知信号により示される距離よりも小さく後述する近距離感知信号により示される距離よりも大きい中間距離である場合に、感知部30から発生せられる信号である。この信号は、前記中間距離に応じた幅を有する信号の範囲としてもよいし、所定の中間距離の範囲内に人が存在することを示す信号としてもよい。
【0048】
次のステップS14では、発光部40をステップS12及びS16の場合とは異なる所定色(図示例によれば、黄色)に点滅し、次のステップへ処理を進める。
【0049】
また、ステップ15では、感知部30による近距離感知信号があるか否かを判断し、近距離感知信号があれば処理を次のステップへ進め、そうでなければ、処理をステップS18へ移行する。
ここで、近距離感知信号とは、閉鎖状態の開閉体20と反開放側のとの距離が、上記中距離感知信号による距離以下の近距離である場合に、感知部30から発生せられる信号である。この信号は、前記近距離に応じた幅を有する信号の範囲としてもよいし、所定の近距離の範囲内に人が存在することを示す信号としてもよい。
【0050】
次のステップS18では、感知部30による感知信号(遠距離感知信号、中距離感知信号及び近距離感知信号の全て)がなくなったか否かを判断し、感知部30の感知信号がなくなれば、次のステップへ処理を移行し、そうでなければ、処理をステップS11へ戻す。
【0051】
次のステップS19では、発光部40を消灯するための制御信号を送信し、発光部40を消灯し、処理をステップS11へ戻す。
【0052】
よって、第二の実施態様によれば、反開放側の人を感知した場合に、開閉体20の戸先側枠部材12の隙間から、反開放側の人と開閉体20の距離に応じた所定色の光がもれる。したがって、開放側の人は、開閉体20に反開放側の人がどの程度近づいているか、及び開閉体20が開放されるタイミング等を直感的に把握することができる。
また、距離センサとしてToFセンサを用いているため、電灯等の光のない暗所であっても距離の感知に応じた発光をすることができる。
【0053】
<その他の変形例>
上記第二の実施態様では、反開放側の人と開閉体20の距離に応じて発光部40による発光態様を変化させたが、他例としては、反開放側の人が開閉体20に近づく速度に応じて発光部40による発光態様を変化させることも可能である。
すなわち、この他例では、上記感知部30を、反開放側から開閉体20に近づく人の速度を感知してその感知信号を発する速度センサとする。そして、制御部は、前記速度センサによる速度信号に応じて、発光部40による発光態様(例えば、発光色)を変化させる。
この他例によれば、開放側の人は、反開放側から開閉体20に近づく人の速度を、発光部40の発光態様により、直感的に把握することができる。
【0054】
また、更に他例としては、感知部30として、上記距離センサと上記速度センサの両方を備え、開閉体20に近づく人の距離及び速度に応じて、発光部40による発光態様を変化させることも可能である。
【0055】
また、更に他例としては、発光部40による光の発光態様の変化として、発光部40の照度を変化させる態様や、発光部40の点滅パターンを変化させる態様等とすることも可能である。
【0056】
また、上記実施態様に付加する構成として、感知部30により感知に応じて、発光部40の発光に伴って音声を発するようにしてもよい。
具体的に説明すれば、この態様では、開閉体20の近傍に、音声発生装置(例えば、図示しないスピーカや、ブザー等)を設ける。そして、上記制御部は、感知部30の感知信号に応じて、発光部40により光を発するとともに、前記音声発生装置により音声を発する。
この態様によれば、開放側の人に対し、開閉体20が開放される可能性があることを、より効果的に報知することができる。
【0057】
また、上記実施態様に付加する構成として、発光部40及び上記制御部等に電力を供給するソーラ発電装置を具備してもよい。
前記ソーラ発電装置は、ソーラパネル(図示せず)と、このソーラパネルにより発生した電力を蓄える蓄電池(図示せず)とを備える。前記ソーラパネルは、例えば、開閉体20の外板21面に設けられ、前記蓄電池は、開閉体20又はドアユニットAの内部に設けられる。そして、前記蓄電池から出力される電力は、発光部40や上述した制御部等の電源として用いる。
この態様によれば、電池交換や商用電源等を要することなく、発光部40を永続的に動作可能な状態にすることができる。
【0058】
また、図示例では、感知部30をドアノブに設けたが、他例としては、感知部30を、開閉体20の外面や、枠体10等、当該建具装置1の設置対象となる壁部等に設けることも可能である。
【0059】
また、上記実施態様によれば、特に好ましい一例として光通過部12aを縦長のスリット孔としたが、この光通過部の他例として、横長や斜めのスリット孔や、円形孔、角孔、星形孔、文字や模様状の孔、その他の形状の貫通孔等とすることも可能である。
さらに、前記光通過部の他例としては、前記した各種孔を、透明や透光性のフィルムにより覆った態様とすることも可能であり、このようにすれば、水滴等が発光部40側へ侵入するのを阻むことができる。
【0060】
また、上記実施態様によれば、開放側操作部36及び反開放側操作部37をドアノブとしたが、これら開放側操作部及び反開放側操作部は、開閉体20を手等で操作するための部材であればよく、他例としては、手を掛けて開閉体20を開閉操作するための手掛け部や、開閉体20を押して開放するための手押し板等とすることも可能である。
【0061】
また、上記実施態様によれば、全閉状態から一方向へ開閉体20が開放回動するように戸当たり部10aを設けたが、他例としては、戸当たり部10aを省き開閉体20が両側へ開放回動するように構成し、開閉体20の両側に人を感知する感知部を設け、この感知部の感知信号に応じて発光部40を発光させ、この発光部40の光が隙間sを介して開閉体20の両側にもれるようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施態様によれば、開閉体20と戸先側枠部材12の隙間sから、発光部40の光がもれる構成としたが、他例としては、戸尻側枠部材11側に発光部40を配置して、開閉体20と戸尻側枠部材11の隙間から発光部40の光がもれる構成にしたり、同様にして開閉体20と上側枠部材13の隙間から発光部40の光がもれる構成にしたりすることが可能である。
【0063】
また、上記実施態様によれば、上記構成の建具装置1をドア装置に適用したが、上述した各構成は、折戸装置、バランスドア装置、開閉窓等、回動する扉体(開閉体や戸体等と呼称される場合もある)を具備する各種建具装置に適用することが可能である。
【0064】
本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1:建具装置
10:枠体
10a:戸当たり部
10b:戸先対向面
12:戸先側枠部材
12a:光通過部
20:開閉体
30:感知部
36:開放側操作部
37:反開放側操作部
40:発光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6