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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119296
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】鉄道車両及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/18 20060101AFI20230821BHJP
   B61D 17/12 20060101ALI20230821BHJP
   B61D 17/00 20060101ALI20230821BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B61D17/18
B61D17/12
B61D17/00 C
F16B5/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022111
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小畑 亮二
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA10
3J001KA19
3J001KA26
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】スペーサ部材の調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材の脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造を備えた鉄道車両とその製造方法を提供する。
【解決手段】鉄道車両の支持部1にスペーサ部材2を挟んで部材7の固定部3をネジ部材4で締結する締結構造TKを備えた鉄道車両10である。スペーサ部材には、ネジ部材を板厚方向へ挿通可能に形成され、ネジ部材の挿通部21から端縁部22まで切り欠かれた略U字状の切欠き孔23を備え、支持部にスペーサ部材を挟んで固定部をネジ部材で締結した状態では、切欠き孔は、スペーサ部材の端縁側に着脱可能に係止された閉じ部材5によって閉塞されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の支持部にスペーサ部材を挟んで部材の固定部をネジ部材で締結する締結構造を備えた鉄道車両であって、
前記スペーサ部材には、前記ネジ部材を板厚方向へ挿通可能に形成され、前記ネジ部材の挿通部から端縁部まで切り欠かれた略U字状の切欠き孔を備え、
前記支持部に前記スペーサ部材を挟んで前記固定部を前記ネジ部材で締結した状態では、前記切欠き孔は、前記スペーサ部材の端縁側に着脱可能に係止された閉じ部材によって閉塞されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材には、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部を含む三辺の端縁部に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出し前記スペーサ部材の端縁交差部に係止する一対の係止突起部と、を備えていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項2に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略正方形状の板体であることを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材には、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部を含む三辺の端縁部に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出し前記スペーサ部材の端縁部に形成された凹溝部又は凸部に係止する一対の係止突起部と、を備えていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項4に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略正方形状の板体であり、
前記切欠き孔と前記凹溝部とが、前記スペーサ部材の端縁部における中間位置に同一の溝幅で形成されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載された鉄道車両において、
前記支持部は、前記スペーサ部材の端縁部に沿って所定の断面で長尺状に形成され、
前記支持部には、前記切欠き孔に挿通する前記ネジ部材の頭部と雄ネジ部とを長手方向へ挿通可能に形成された略T字状断面の溝部と、前記溝部の幅方向両側に形成された前記スペーサ部材の受け部とを備え、
前記閉じ部材の本体部には、前記溝部内に挿入可能に形成されたガイド部を備えていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材は、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部に当接する本体部と、当該本体部の中間部から略U字状に突出して前記切欠き孔の切欠き開口部内へ嵌入可能に形成された係止突起部とで構成され、
前記切欠き開口部は、前記ネジ部材の挿通部より溝幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材は、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部と当該端縁部に隣接する一方の端縁部と当接し略L字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出して前記スペーサ部材の端縁交差部と係止する1つの係止突起部とを備え、
前記本体部の長手方向基端部は、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部と当該端縁部に隣接する他方の端縁部とが交差する箇所にヒンジ部を介して連結されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載された鉄道車両の製造方法であって、
前記ネジ部材の締結を緩めた状態で、前記スペーサ部材のみを、前記切欠き孔の切欠き方向と反対方向へ引き出して前記支持部から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材と交換するスペーサ調整工程と、
前記支持部に交換した前記スペーサ部材を挟んで前記固定部を前記ネジ部材で締結するネジ部材締結工程と、
前記支持部に前記スペーサ部材を挟んで前記固定部を前記ネジ部材で締結した状態で、前記スペーサ部材の端縁側に前記閉じ部材を着脱可能に係止して前記切欠き孔を閉塞する切欠き孔閉塞工程と、を備えていることを特徴とする鉄道車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両及びその製造方法に関し、詳しくは、鉄道車両の支持部にスペーサ部材を挟んで各種の部材を締結する締結構造を備えた鉄道車両及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両は、床部材、内装部材、天井部材等で仕切られた客室を備え、客室内の快適性や利便性を向上させる空調装置や照明装置等を備えている。例えば、空調装置には、調和空気を形成する空調機と、空調機の調和空気を客室の天井部材等に形成した吹出口に送給する空調ダクトとを有している。そして、鉄道車両では、このような空調ダクトや天井部材、内装部材等の各種の部材は、屋根構体や側構体等に形成又は固定した支持部に、屋根構体や側構体等における製作・組付による製作誤差や溶接等での熱による膨張・収縮等に起因する歪を吸収するため、スペーサ部材を挟んで締結している場合が多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、鉄道車両の支持部にスペーサ部材を挟んで内装材を締結する締結構造を備えた鉄道車両が開示されている。具体的には、図14図15に示すように、上記鉄道車両100は、内装材101を支持するとともに、屋根構体102と一体に鉄道車両の長手方向に沿って備えられた支持部103と、内装材101に備えられるととともに支持部103に固定される固定部104と、支持部103と固定部104との間隔を調整するスペーサ部材105と、断熱材106と、を有しており、支持部103に離散的に備えられた複数のボルト107が、支持部103の側から重ね置きされたスペーサ部材105と断熱材106と固定部104を貫通する態様で締結されている。
【0004】
また、上記鉄道車両100には、ボルト107に沿う方向に設けられるとともに支持部103、スペーサ部材105、断熱材106、固定部104を貫通する貫通孔108と、貫通孔108に挿入されるとともに支持部103とスペーサ部材105と断熱材106とに跨って配設される全ネジ(拘束部材)109とを備えている。そして、この全ネジ(拘束部材)109が、支持部103とスペーサ部材105と断熱材106とに跨って配設されるので、支持部103に対するスペーサ部材105の脱落を防止させると共に、ボルト107の緩み、折損を抑止させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-103596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された鉄道車両100では、以下のような問題があった。
すなわち、上記鉄道車両100では、支持部103に離散的に備えられた複数のボルト107が、支持部103の側から重ね置きされたスペーサ部材105と断熱材106と固定部104とを貫通する態様で締結されている。そのため、スペーサ部材105の厚さを調節する際、各部材のボルト貫通孔110に挿通したボルト107の雄ネジ部107aから、固定部104と断熱材106とスペーサ部材105とを全て取り外した後、再度、雄ネジ部107aに厚さの異なるスペーサ部材105と断熱材106と固定部104とを挿通して、雄ネジ部107aとナット部107bとを係合して締結する作業が必要となる。すなわち、スペーサ部材105の調整に当たり、ボルト107に締結された全ての部材を一旦取り外した後、再度取り付け直すという作業が必要となる。したがって、スペーサ部材105の調整作業が煩雑になり、手間が掛かるという問題があった。
【0007】
また、上記鉄道車両100には、ボルト107に沿う方向に設けられるとともに支持部103、スペーサ部材105、断熱材106、固定部104を貫通する貫通孔108と、貫通孔108に挿入されるとともに支持部103とスペーサ部材105と断熱材106とに跨って配設される全ネジ(拘束部材)109とを備えている。そのため、支持部103と固定部104とスペーサ部材105と断熱材106とを、ボルト107とナット部107bとで締結した後に、支持部103、スペーサ部材105、断熱材106、固定部104を貫通する貫通孔108の孔加工と、貫通孔108に全ネジ(拘束部材)109を配設するための雌ネジ加工とを、鉄道車両内で行う必要がある。この貫通孔108の孔加工と貫通孔108に対する雌ネジ加工とを行うことによって生じる切粉の清掃処理には、細心の注意が必要であり、手間が掛かるという問題があった。なお、仮に、スペーサ部材105のボルト貫通孔110がU字形の切欠き孔である場合でも、車両走行時の振動等によりスペーサ部材105が脱落しないように、貫通孔108に全ネジ(拘束部材)109を配設することなり、切粉の清掃処理の問題は、同様に生じることになる。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、スペーサ部材の調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材の脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造を備えた鉄道車両及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両及びその製造方法は、以下の構成を備えている。
(1)鉄道車両の支持部にスペーサ部材を挟んで部材の固定部をネジ部材で締結する締結構造を備えた鉄道車両であって、
前記スペーサ部材には、前記ネジ部材を板厚方向へ挿通可能に形成され、前記ネジ部材の挿通部から端縁部まで切り欠かれた略U字状の切欠き孔を備え、
前記支持部に前記スペーサ部材を挟んで前記固定部を前記ネジ部材で締結した状態では、前記切欠き孔は、前記スペーサ部材の端縁側に着脱可能に係止された閉じ部材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、スペーサ部材には、ネジ部材を板厚方向へ挿通可能に形成され、ネジ部材の挿通部から端縁部まで切り欠かれた略U字状の切欠き孔を備えているので、スペーサ部材の厚さを調節する際、ネジ部材の締結を僅かに緩めた状態で、スペーサ部材のみを、切欠き孔の切欠き方向と反対方向へ引き出して支持部から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材と交換することができる。そのため、スペーサ部材の調整に当たり、ネジ部材によって締結された全ての部材を支持部から一旦取り外した後、再度取り付け直すという手間の掛かる作業が不要となる。したがって、スペーサ部材の調整作業を、手間を掛けずに簡単に行うことができる。
【0011】
また、支持部にスペーサ部材を挟んで固定部をネジ部材で締結した状態では、切欠き孔は、スペーサ部材の端縁側に着脱可能に係止された閉じ部材によって閉塞されているので、支持部にスペーサ部材を挟んで固定部をネジ部材で締結した状態において、スペーサ部材が切欠き孔を介してネジ部材から抜け落ちることを、スペーサ部材の端縁側に係止された閉じ部材によって阻止できる。また、切欠き孔を閉塞する閉じ部材は、スペーサ部材の端縁側に着脱可能に係止されているので、閉じ部材をスペーサ部材の端縁側から嵌め込むだけで良く、閉じ部材をスペーサ部材にネジ止めする必要がない。そのため、ネジ止め用の孔加工や雌ネジ加工によって生じる切粉の清掃処理を不要にできる。
【0012】
よって、本発明によれば、スペーサ部材の調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材の脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造を備えた鉄道車両を提供することができる。
【0013】
(2)(1)に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材には、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部を含む三辺の端縁部に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出し前記スペーサ部材の端縁交差部に係止する一対の係止突起部と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、閉じ部材には、切欠き孔が切り欠かれた端縁部を含む三辺の端縁部に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出しスペーサ部材の端縁交差部に係止する一対の係止突起部と、を備えているので、スペーサ部材の切欠き孔が切り欠かれた端縁部を含む三辺の端縁部に対して、閉じ部材の略コ字状に屈曲して形成された本体部を弾性変形させて当接させることによって、スペーサ部材の端縁交差部に閉じ部材の係止突起部を係止させることができる。そのため、スペーサ部材に対して閉じ部材を簡単に係止することができ、スペーサ部材の調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材の切欠き孔を閉じ部材の本体部によって閉塞して、スペーサ部材の脱落をより一層確実に防止することができる。
【0015】
また、スペーサ部材が略四角形状の板体として形成されたものであれば、既に支持部に締結されたスペーサ部材であっても、閉じ部材の係止突起部を当該スペーサ部材の端縁交差部に係止させることができる。そのため、支持部にスペーサ部材を挟んで固定部をネジ部材で締結した既存の締結構造に対しても、スペーサ部材の端縁側に閉じ部材を係止させることによって、支持部に対するスペーサ部材の脱落防止対策を、効果的かつ迅速に行うことができる。
【0016】
(3)(2)に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略正方形状の板体であることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、スペーサ部材は、略正方形状の板体であるので、切欠き孔が切り欠かれた端縁部を含む三辺の端縁部に対して、閉じ部材の本体部を三つの異なる方向から当接させても、スペーサ部材の切欠き孔を閉塞しつつ、係止突起部をスペーサ部材の端縁交差部に係止させることができる。そのため、スペーサ部材の端縁側に閉じ部材を係止させる方向を選択する自由度が増加して、狭い場所でも、スペーサ部材の調節作業をより一層簡単に行うことができる。また、既存の締結構造に対しても、スペーサ部材の端縁側に閉じ部材を係止させる方向の自由度が増加して、スペーサ部材の脱落防止対策をより簡単且つ迅速に行うことができる。
【0018】
(4)(1)に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材には、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部を含む三辺の端縁部に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出し前記スペーサ部材の他の端縁部に形成された凹溝部又は凸部に係止する一対の係止突起部と、を備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、閉じ部材には、切欠き孔が切り欠かれた端縁部を含む三辺の端縁部に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出しスペーサ部材の他の端縁部に形成された凹溝部又は凸部に係止する一対の係止突起部と、を備えているので、スペーサ部材の切欠き孔が切り欠かれた端縁部を含む三辺の端縁部に対して、閉じ部材の略コ字状に屈曲して形成された本体部を弾性変形させて当接させることによって、凹溝部又は凸部に閉じ部材の係止突起部を係止させることができる。そのため、スペーサ部材に対して閉じ部材を簡単に係止することができ、スペーサ部材の調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材の切欠き孔を閉じ部材の本体部によって閉塞して、スペーサ部材の脱落をより一層確実に防止させることができる。
【0020】
また、本体部の長手方向先端部から突出した一対の係止突起部は、スペーサの他の端縁部に形成された凹溝部又は凸部に係止するので、本体部の長手方向先端部をスペーサ部材の端縁交差部まで延伸する必要がなく、本体部をよりコンパクトに形成できる。そのため、狭い場所でも、スペーサ部材に対して閉じ部材を簡単に係止でき、スペーサ部材の脱落防止効果を発揮しつつ、閉じ部材の軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0021】
(5)(4)に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略正方形状の板体であり、
前記切欠き孔と前記凹溝部とが、前記スペーサ部材の端縁部における中間位置に同一の溝幅で形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、スペーサ部材は、略正方形状の板体であり、切欠き孔と凹溝部とが、スペーサ部材の端縁部における中間位置に同一の溝幅で形成されているので、切欠き孔と凹溝部とが、スペーサ部材の端縁部同士が交差する端縁交差部から等間隔の位置に形成されている。したがって、切欠き孔が切り欠かれた端縁部を含む三辺の端縁部に対して、閉じ部材の本体部を三つの異なる方向から当接させても、スペーサ部材の切欠き孔を閉塞しつつ、係止突起部をスペーサ部材の切欠き孔又は凹溝部に係止させることができる。そのため、スペーサ部材の端縁側に閉じ部材を係止させる方向を選択する自由度が増加して、狭い場所でも、スペーサ部材に対して閉じ部材をより一層簡単に係止でき、スペーサ部材の調節作業をより一層簡単に行うことができる。
【0023】
(6)(2)乃至(5)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記支持部は、前記スペーサ部材の端縁部に沿って所定の断面で長尺状に形成され、
前記支持部には、前記切欠き孔に挿通する前記ネジ部材の頭部と雄ネジ部とを長手方向へ挿通可能に形成された略T字状断面の溝部と、前記溝部の幅方向両側に形成された前記スペーサ部材の受け部とを備え、
前記閉じ部材の本体部には、前記溝部内に挿入可能に形成されたガイド部を備えていることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、支持部は、スペーサ部材の端縁部に沿って所定の断面で長尺状に形成され、支持部には、切欠き孔に挿通するネジ部材の頭部と雄ネジ部とを長手方向へ挿通可能に形成された略T字状断面の溝部と、溝部の幅方向両側に形成されたスペーサ部材の受け部とを備え、閉じ部材の本体部には、溝部内に挿入可能に形成されたガイド部を備えているので、ガイド部を溝部内に挿入させ、閉じ部材のスペーサ部材に対する適正な姿勢を保持した状態で、閉じ部材をスペーサ部材の端縁側に係止させることができる。そのため、閉じ部材をスペーサ部材の端縁側により一層適正に係止させることができる。その結果、スペーサ部材の調節作業をより一層正確かつ簡単に行うことができる。
【0025】
また、閉じ部材をスペーサ部材の端縁側に係止した状態では、ガイド部が支持部の溝部内に挿入されているので、閉じ部材に係止されたスペーサ部材が、支持部に対してネジ部材を中心に回転することを阻止できる。そのため、支持部にスペーサ部材を挟んで固定部をネジ部材で締結し、且つ、閉じ部材をスペーサ部材の端縁側に係止した状態では、スペーサ部材の回転やスペーサ部材の回転に伴うネジ部材の緩み等を抑止することができる。その結果、支持部に対するスペーサ部材の脱落防止効果をより一層高めることができる。
【0026】
(7)(1)に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材は、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部に当接する本体部と、当該本体部の中間部から略U字状に突出して前記切欠き孔の切欠き開口部内へ嵌入可能に形成された係止突起部とで構成され、
前記切欠き開口部は、前記ネジ部材の挿通部より溝幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、閉じ部材は、切欠き孔が切り欠かれた端縁部に当接する本体部と、当該本体部の中間部から略U字状に突出して切欠き孔の切欠き開口部内へ嵌入可能に形成された係止突起部とで構成され、切欠き開口部は、ネジ部材の挿通部より溝幅が狭くなるように形成されているので、切欠き孔の切欠き開口部に対して、閉じ部材の係止突起部を嵌入させるように押し込み、切欠き孔が切り欠かれた端縁部に本体部を当接させることによって、スペーサ部材の切欠き孔を閉じ部材によって閉塞させることができる。また、切欠き開口部は、ネジ部材の挿通部より溝幅が狭くなるように形成されているので、切欠き孔を閉じ部材によって閉塞させた状態で、係止突起部の先端側が基端側より拡幅されて、切欠き孔に対する係止突起部の係止力を増大させることができる。そのため、切欠き孔を閉じ部材の係止突起部によって閉塞した状態を、安定的に維持することができる。
【0028】
また、閉じ部材は、切欠き孔が切り欠かれた端縁部に当接する本体部と、当該本体部の中間部から略U字状に突出して切欠き孔の切欠き開口部内へ嵌入可能に形成された係止突起部とで構成されているので、閉じ部材の本体部を、切欠き孔が切り欠かれた端縁部のみに当接する大きさに形成すればよく、切欠き孔が切り欠かれた端縁部を含む三辺の端縁部に当接するように延伸する必要がない。そのため、閉じ部材をよりコンパクトに形成し、その重量を軽減することができる。その結果、支持部に対する閉じ部材によるスペーサ部材の脱落防止効果を維持しつつ、閉じ部材の軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0029】
(8)(1)に記載された鉄道車両において、
前記スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、
前記閉じ部材は、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部と当該端縁部に隣接する一方の端縁部と当接し略L字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出して前記スペーサ部材の端縁交差部と係止する1つの係止突起部とを備え、
前記本体部の長手方向基端部は、前記切欠き孔が切り欠かれた前記端縁部と当該端縁部に隣接する他方の端縁部とが交差する箇所にヒンジ部を介して連結されていることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、スペーサ部材は、略四角形状の板体として形成され、閉じ部材は、切欠き孔が切り欠かれた端縁部と当該端縁部に隣接する一方の端縁部と当接し略L字状に屈曲して形成された本体部と、当該本体部の長手方向先端部から突出してスペーサ部材の端縁交差部と係止する1つの係止突起部とを備えているので、スペーサ部材の切欠き孔が切り欠かれた端縁部と当該端縁部に隣接する一方の端縁部とに対して、閉じ部材の略L字状に屈曲して形成された本体部を弾性変形させて当接させることによって、端縁交差部に閉じ部材の係止突起部を係止させることができる。そのため、スペーサ部材に対して閉じ部材を簡単に係止することができ、スペーサ部材の調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材の切欠き孔を閉じ部材の本体部によって閉塞して、スペーサ部材の脱落をより一層確実に回避させることができる。
【0031】
また、本体部の基端部は、切欠き孔が切り欠かれた端縁部と当該端縁部に隣接する他方の端縁部とが交差する箇所にヒンジ部を介して連結されているので、閉じ部材とスペーサ部材とを一体にした状態で、支持部に対して着脱させることができる。また、本体部は、略L字状に屈曲して形成されているので、本体部を長手方向でコンパクトに形成できる。そのため、狭い場所でも、スペーサ部材と閉じ部材とを、例えば、片手で持って支持部に装着し、閉じ部材をスペーサ部材の端縁側に簡単に係止できる。その結果、スペーサ部材と閉じ部材の着脱作業の効率化を図りつつ、閉じ部材の軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0032】
(9)(1)乃至(8)のいずれか1つに記載された鉄道車両の製造方法であって、
前記ネジ部材の締結を緩めた状態で、前記スペーサ部材のみを、前記切欠き孔の切欠き方向と反対方向へ引き出して前記支持部から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材と交換するスペーサ調整工程と、
前記支持部に交換した前記スペーサ部材を挟んで前記固定部を前記ネジ部材で締結するネジ部材締結工程と、
前記支持部に前記スペーサ部材を挟んで前記固定部を前記ネジ部材で締結した状態で、前記スペーサ部材の端縁側に前記閉じ部材を着脱可能に係止して前記切欠き孔を閉塞する切欠き孔閉塞工程と、を備えていることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、ネジ部材の締結を緩めた状態で、スペーサ部材のみを、切欠き孔の切欠き方向と反対方向へ引き出して支持部から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材と交換するスペーサ調整工程を備えているので、スペーサ部材の厚さ調整に当たり、スペーサ部材のみを取り出して交換できる。そのため、ネジ部材に締結された全ての部材を一旦取り外した後、再度取り付け直すという手間の掛かる作業が不要となる。したがって、スペーサ部材の調整作業を、手間を掛けずに簡単に行うことができる。
【0034】
また、支持部に交換したスペーサ部材を挟んで固定部をネジ部材で締結するネジ部材締結工程を備えているので、スペーサ部材の厚さ調整量に対応してネジ部材を締めることによって、支持部に固定部を締結することができる。そのため、ネジ部材に締結された全ての部材を一旦取り外した後、再度取り付け直す従来の締結構造に比較して、ネジ部材の締付量を大幅に低減できる。したがって、スペーサ部材の調節作業に伴うネジ部材の締結時間を大幅に短縮できる。
【0035】
また、支持部にスペーサ部材を挟んで固定部をネジ部材で締結した状態で、スペーサ部材の端縁側に閉じ部材を着脱可能に係止して切欠き孔を閉塞する切欠き孔閉塞工程を備えているので、スペーサ部材が切欠き孔を介してネジ部材から抜け落ちることを、スペーサ部材の端縁側に係止された閉じ部材によって阻止できる。また、切欠き孔を閉塞する閉じ部材は、スペーサ部材の端縁側に着脱可能に係止されているので、閉じ部材をスペーサ部材にネジ止めする必要がない。そのため、ネジ止め用の孔加工や雌ネジ加工によって生じる切粉の清掃処理を不要にできる。
【0036】
よって、本発明によれば、スペーサ部材の調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材の脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造を備えた鉄道車両の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、スペーサ部材の調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材の脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造を備えた鉄道車両とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本実施形態に係る鉄道車両の概略構成図である。
図2図1に示すA-A断面図である。
図3図2に示すB-B断面図であって、第1実施例の本鉄道車両における締結構造を示す。
図4図3に示すC-C断面図である。
図5図3に示す閉じ部材の詳細図であって、(A)は閉じ部材の平面図を示し、(B)は(A)に示すD矢視図を示し、(C)は(A)に示すE矢視図を示す。
図6図3に示す閉じ部材に対するスペーサ部材の切欠き孔の向きと閉じ部材によるスペーサ部材の脱落防止効果との関係を表わす説明図である。
図7図2に示すB-B断面図であって、第2実施例の本鉄道車両における締結構造を示す。
図8図7に示すF-F断面図である。
図9図7に示す閉じ部材の詳細図であって、(A)は閉じ部材の平面図を示し、(B)は(A)に示すG矢視図を示し、(C)は(A)に示すH矢視図を示す。
図10図1に示す鉄道車両の製造方法を表す工程図である。
図11図3に示すスペーサ部材と閉じ部材とにおける第1変形例の概略構成図である。
図12図3に示すスペーサ部材と閉じ部材とにおける第2変形例の概略構成図である。
図13図3に示すスペーサ部材と閉じ部材とにおける第3変形例の概略構成図である。
図14】特許文献1に記載された鉄道車両の部分断面図である。
図15図14に示す鉄道車両の締結構造を表す詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本実施形態の一態様を表す鉄道車両について、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的には、本実施形態に係る第1実施例と第2実施例の鉄道車両を詳細に説明した上で、その鉄道車両の製造方法を説明する。また、本実施形態における鉄道車両の締結構造に使用するスペーサ部材と閉じ部材の変形例(第1変形例~第3変形例)について、具体的に説明する。
【0040】
<本実施形態に係る鉄道車両(第1実施例)>
まず、本実施形態に係る第1実施例の鉄道車両について、図1図6を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る鉄道車両の概略構成図を示す。図2に、図1に示すA-A断面図を示す。図3に、図2に示すB-B断面図であって、第1実施例の本鉄道車両における締結構造を示す。図4に、図3に示すC-C断面図を示す。図5に、図3に示す閉じ部材の詳細図であって、(A)は閉じ部材の平面図を示し、(B)は(A)に示すD矢視図を示し、(C)は(A)に示すE矢視図を示す。図6に、図3に示す閉じ部材に対するスペーサ部材の切欠き孔の向きと閉じ部材によるスペーサ部材の脱落防止効果との関係を表わす説明図を示す。
【0041】
図1図6に示すように、本実施形態に係る第1実施例の鉄道車両10は、鉄道車両10の支持部1にスペーサ部材2を挟んで部材7の固定部3をネジ部材4で締結する締結構造TKを備えた鉄道車両10である。
【0042】
図1に示すように、鉄道車両10には、車体6を構成するため、レールRL上を走行する台車61に支持された台枠62と、台枠62の車両幅方向の両端部に起立する側構体63と、台枠62の車両前後方向の両端部に起立する妻構体64と、側構体63と妻構体64の上端部に連結される屋根構体65とを備えている。側構体63には、車体6の室内に乗降する側扉631が開閉自在に装着されている。また、屋根構体65には、車体6の室内における快適性を確保する空調装置(部材)7が装着されている。空調装置(部材)7には、調和空気を形成する空調機71と空調機71から供給される調和空気を室内に送給する空調ダクト72とを備えている。
【0043】
ここでは、図2に示すように、屋根構体65には、空調ダクト72の固定部3(3a、3b)を支持する支持部1(1a、1b)が一体に形成されている。この支持部1(1a、1b)は、屋根構体65を押し出し成形する方向に沿って、長尺状に形成されている。また、空調ダクト72には、天井部材73の固定部3(3c)を支持する支持部1(1c)が一体に形成されている。それぞれ、各支持部1(1a、1b、1c)にスペーサ部材2を挟んで各部材7(72、73)の固定部3(3a、3b、3c)をネジ部材4で締結する締結構造TK(TK1、TK2、TK3)を備えている。
【0044】
なお、支持部1に締結される部材7には、空調ダクト72や天井部材73等の他にも、鉄道車両10に装着される各種部材(例えば、側構体63の室内側に装着される内装部材や内装部材上部に締結される荷棚等)が含まれる。また、支持部1には、屋根構体65等の他にも、車体6を構成する台枠62、側構体63、妻構体64等の各種強度部材やその補強部材等に形成又は連結されている物も含まれる。
【0045】
また、図3図5に示すように、スペーサ部材2には、ネジ部材4を板厚方向へ挿通可能に形成され、ネジ部材4の挿通部21から端縁部22まで切り欠かれた略U字状の切欠き孔23を備え、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態では、切欠き孔23は、スペーサ部材2の端縁側に着脱可能に係止された閉じ部材5によって閉塞されている。
【0046】
ここでは、スペーサ部材2に切欠き孔23が1つ形成されているが、スペーサ部材2には、切り欠き方向が同一であれば、複数の切欠き孔23を形成しても良い。また、スペーサ部材2は、複数の板体2Tが板厚方向に積層された状態で形成され、各板体2Tは、接着剤SZ等を介して互いに接合されている。この場合、各板体2Tは、板厚がそれぞれ同一になるように形成しても良いが、板厚がそれぞれ異なるように形成しても良い。各板体2Tの板厚が異なる場合には、スペーサ部材2の板厚の微調整を行う際に便利である。ただし、スペーサ部材2は、必ずしも、複数の板体2Tが接合された物に限る必要はなく、板厚の異なるスペーサ部材2を複数種類用意しておき、適正な板厚のスペーサ部材2に交換しても良い。
【0047】
また、ここでは、ネジ部材4は、角形の頭部41と、頭部41に連結された雄ネジ部42とを有するボルトと、雄ネジ部42に係合するナット部43とから成るが、必ずしも、これに限る必要はない。例えば、図2に示す締結構造TK3の場合のように、ネジ部材4は、頭部を有する雄ネジ部と支持部1cに形成した雌ネジ部とが係合する物でも良い。
【0048】
本鉄道車両10において、上述のように、スペーサ部材2には、ネジ部材4を板厚方向へ挿通可能に形成され、ネジ部材4の挿通部21から端縁部22まで切り欠かれた略U字状の切欠き孔23を備えているので、スペーサ部材2の厚さを調節する際、ネジ部材4の締結を僅かに緩めた状態で、スペーサ部材2のみを、切欠き孔23の切欠き方向と反対方向へ引き出して支持部1から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材2と交換することができる。そのため、スペーサ部材2の調整に当たり、ネジ部材4によって締結された全ての部材を支持部1から一旦取り外した後、再度取り付け直すという手間の掛かる作業が不要となる。したがって、スペーサ部材2の調整作業を、手間を掛けずに簡単に行うことができる。
【0049】
また、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態では、切欠き孔23は、スペーサ部材2の端縁側に着脱可能に係止された閉じ部材5によって閉塞されているので、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態において、スペーサ部材2が切欠き孔23を介してネジ部材4から抜け落ちることを、スペーサ部材2の端縁側に係止された閉じ部材5によって阻止できる。
【0050】
また、切欠き孔23を閉塞する閉じ部材5は、スペーサ部材2の端縁側に着脱可能に係止されているので、閉じ部材5をスペーサ部材2の端縁側から嵌め込むだけで良く、閉じ部材5をスペーサ部材2にネジ止めする必要がない。そのため、ネジ止め用の孔加工や雌ネジ加工によって生じる切粉の清掃処理を不要にできる。
【0051】
よって、本鉄道車両10によれば、スペーサ部材2の調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材2の脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造TKを備えた鉄道車両10を提供することができる。
【0052】
また、図3図5に示すように、本鉄道車両10では、スペーサ部材2は、略四角形状の板体2Tとして形成され、閉じ部材5には、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22(22a、22b、22c)に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部51と、当該本体部51の長手方向先端部51aから突出しスペーサ部材2の端縁交差部24に係止する一対の係止突起部52と、を備えていることが好ましい。ここで、端縁交差部24とは、スペーサ部材2の端縁部22同士が交差する角部を意味する。
【0053】
この場合、スペーサ部材2の切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5の略コ字状に屈曲して形成された本体部51を、一対の係止突起部52の間隔が開く方向へ、弾性変形させて当接させることによって、スペーサ部材2の端縁交差部24に閉じ部材5の係止突起部52を係止させることができる。そのため、スペーサ部材2に対して閉じ部材5を簡単に係止することができ、スペーサ部材2の調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材2の切欠き孔23を閉じ部材5の本体部51によって閉塞して、スペーサ部材2の脱落をより一層確実に防止することができる。
【0054】
また、スペーサ部材2が略四角形状の板体2Tとして形成されたものであれば、既に支持部1に締結されたスペーサ部材2であっても、閉じ部材5の係止突起部52を当該スペーサ部材2の端縁交差部24に係止させることができる。そのため、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結した既存の締結構造TKに対しても、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を係止させることによって、支持部1に対するスペーサ部材2の脱落防止対策を、効果的かつ迅速に行うことができる。
【0055】
また、図3に示すように、スペーサ部材2は、略正方形状の板体2STであることが、より好ましい。この場合、図6(a)、(b)、(c)に示すように、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5の本体部51を三つの異なる方向から当接させても、スペーサ部材2の切欠き孔23を閉塞しつつ、係止突起部52をスペーサ部材2の端縁交差部24に係止させることができる。
【0056】
すなわち、閉じ部材5の本体部51は、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する他の二辺の端縁部22b、22cに対して当接させること(図6(a))、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する他の一辺の端縁部22cと当該端縁部22cに隣接する他の一辺の端縁部22dに対して当接させること(図6(b))、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する他の一辺の端縁部22bと当該端縁部22bに隣接する他の一辺の端縁部22dに対して当接させること(図6(c))の内の、いずれか1つを選択できる。
【0057】
そのため、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を当接させて端縁交差部24に係止させる方向を選択する自由度が増加して、狭い場所でも、スペーサ部材2の調節作業をより一層簡単に行うことができる。また、既存の締結構造TKに対しても、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を係止させる方向の自由度が増加して、スペーサ部材2の脱落防止対策をより簡単且つ迅速に行うことができる。
【0058】
<本実施形態に係る鉄道車両(第2実施例)>
次に、本実施形態に係る第2実施例の鉄道車両について、図1図2図7図9を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る鉄道車両の概略構成図を示す。図2に、図1に示すA-A断面図を示す。図7に、図2に示すB-B断面図であって、第2実施例の本鉄道車両における締結構造を示す。図8に、図7に示すF-F断面図を示す。図9に、図7に示す閉じ部材の詳細図であって、(A)は閉じ部材の平面図を示し、(B)は(A)に示すG矢視図を示し、(C)は(A)に示すH矢視図を示す。
【0059】
図1図2図7図9に示すように、本実施形態に係る第2実施例の鉄道車両10Bは、鉄道車両10Bの支持部1にスペーサ部材2を挟んで部材7の固定部3をネジ部材4で締結する締結構造TKを備えた鉄道車両10Bである。ここでは、上述した第1実施例の鉄道車両10との相違点を中心に説明し、共通点については、同一の符号を附して、その説明を原則として割愛する。
【0060】
本第2実施例の鉄道車両10Bにおいては、図2図7図9に示すように、締結構造TK1の支持部1(1a)は、スペーサ部材2の端縁部22(22b、22c)に沿って所定の断面で長尺状に形成され、支持部1(1a)には、切欠き孔23に挿通するネジ部材4の頭部41と雄ネジ部42とを長手方向へ挿通可能に形成された略T字状断面の溝部11と、溝部11の幅方向両側に形成されたスペーサ部材2の受け部12とを備えている。締結構造TK2の支持部1(1b)も、締結構造TK1の支持部1(1a)と同様に形成されている。
【0061】
ここでは、支持部1(1a、1b)は、屋根構体65と一体に形成され、屋根構体65を押し出し成形する方向に沿って、長尺状に形成されているが、必ずしも、これに限らず、屋根構体65と別体に形成され、屋根構体65を押し出し成形する方向と異なる方向に沿って、長尺状に形成されていても良い。なお、ネジ部材4の頭部41は、溝部11の内壁に規制されて回転できない大きさに形成されている。支持部1(1a、1b)には、ネジ部材4の頭部41を溝部11内に挿入する挿入口(図示しない)が形成されている。
【0062】
また、閉じ部材5Bの本体部51には、溝部11内に挿入可能に形成されたガイド部53を備えている。ガイド部53は、切欠き孔23の溝幅と略同一の幅で、略矩形状に形成されている。また、ガイド部53は、受け部12の隙間から溝部11内に挿入され、また、本体部51からスペーサ部材2の端縁部22aと反対方向へ突出している。なお、ここでは、スペーサ部材2は、切欠き孔23の切欠き方向が、溝部11の長手方向と一致するように配置されているが、溝部11の長手方向と直交する方向になるように配置しても良い。
【0063】
したがって、本第2実施例の鉄道車両10Bでは、閉じ部材5Bのガイド部53を溝部11内に挿入させ、閉じ部材5Bのスペーサ部材2に対する適正な姿勢を保持した状態で、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側に係止させることができる。そのため、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側により一層適正に係止させることができる。その結果、スペーサ部材2の調節作業をより一層正確かつ簡単に行うことができる。
【0064】
また、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側に係止した状態では、ガイド部53が支持部1の溝部11内に挿入されているので、閉じ部材5Bに係止されたスペーサ部材2が、支持部1に対してネジ部材4を中心に回転することを阻止できる。そのため、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結し、且つ、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側に係止した状態では、スペーサ部材2の回転やスペーサ部材2の回転に伴うネジ部材4の緩み等を抑止することができる。その結果、支持部1に対するスペーサ部材2の脱落防止効果をより一層高めることができる。
【0065】
<本他の実施形態に係る鉄道車両の製造方法>
次に、本他の実施形態に係る鉄道車両の製造方法について、図1図10を用いて説明する。図10に、図1に示す鉄道車両の製造方法を表す工程図を示す。
【0066】
図1図10に示すように、本他の実施形態に係る鉄道車両の製造方法は、ネジ部材4の締結を緩めた状態で、スペーサ部材2のみを、切欠き孔23の切欠き方向と反対方向へ引き出して支持部1から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材2と交換するスペーサ調整工程S1と、支持部1に交換したスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結するネジ部材締結工程S2と、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態で、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を着脱可能に係止して切欠き孔23を閉塞する切欠き孔閉塞工程S3と、を備えている。ここでは、上述した第1実施例、第2実施例の鉄道車両10、10Bとの共通点については、同一の符号を附して、その説明を原則として割愛する。
【0067】
本鉄道車両10、10Bの製造方法においては、ネジ部材4の締結を緩めた状態で、スペーサ部材2のみを、切欠き孔23の切欠き方向と反対方向へ引き出して支持部1から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材2と交換するスペーサ調整工程S1を備えているので、スペーサ部材2の厚さ調整に当たり、スペーサ部材2のみを取り出して交換できる。そのため、ネジ部材4に締結された全ての部材を一旦取り外した後、再度取り付け直すという手間の掛かる作業が不要となる。したがって、スペーサ部材2の調整作業を、手間を掛けずに簡単に行うことができる。
【0068】
また、支持部1に交換したスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結するネジ部材締結工程S2を備えているので、スペーサ部材2の厚さ調整量に対応してネジ部材4を締めることによって、支持部1に固定部3を締結することができる。そのため、ネジ部材4に締結された全ての部材を一旦取り外した後、再度取り付け直す従来の締結構造に比較して、ネジ部材4の締付量を大幅に低減できる。したがって、スペーサ部材2の調節作業に伴うネジ部材4の締結時間を大幅に短縮できる。
【0069】
また、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態で、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を着脱可能に係止して切欠き孔23を閉塞する切欠き孔閉塞工程S3を備えているので、スペーサ部材2が切欠き孔23を介してネジ部材4から抜け落ちることを、スペーサ部材2の端縁側に係止された閉じ部材5によって阻止できる。また、切欠き孔23を閉塞する閉じ部材5は、スペーサ部材2の端縁側に着脱可能に係止されているので、閉じ部材5をスペーサ部材2にネジ止めする必要がない。そのため、ネジ止め用の孔加工や雌ネジ加工によって生じる切粉の清掃処理を不要にできる。
【0070】
よって、本鉄道車両10、10Bの製造方法によれば、スペーサ部材2の調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材2の脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造TKを備えた鉄道車両10、10Bの製造方法を提供することができる。
【0071】
<変形例>
次に、本実施形態の鉄道車両のスペーサ部材と閉じ部材とにおける変形例(変形例1~3)について、図11図13を用いて具体的に説明する。図11に、図3に示すスペーサ部材と閉じ部材とにおける第1変形例の概略構成図を示す。図12に、図3に示すスペーサ部材と閉じ部材とにおける第2変形例の概略構成図を示す。図13に、図3に示すスペーサ部材と閉じ部材とにおける第3変形例の概略構成図を示す。なお、前述した本実施形態の鉄道車両10、10Bと共通する構成は、共通の符号を附して、原則としてその説明を割愛する。
【0072】
(第1変形例)
第1変形例では、図11に示すように、スペーサ部材2Cは、略四角形状の板体2CTとして形成され、閉じ部材5Cには、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部51Cと、当該本体部51Cの長手方向先端部51Caから突出しスペーサ部材2Cの他の端縁部22b、22c、22dに形成された凹溝部25又は凸部25Bに係止する一対の係止突起部52Cと、を備えている。他の端縁部22b、22c、22dとは、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと異なる他の端縁部を意味する。ここでは、他の端縁部22b、22c、22dに凹溝部25が形成されているが、他の端縁部22b、22c、22dに係止突起部52Cが係止する凸部25Bが形成されていても良い。凸部25Bは、他の端縁部22b、22c、22dに対して外方へ突出した形状に形成されている。
【0073】
この第1変形例によれば、スペーサ部材2Cの切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5Cの略コ字状に屈曲して形成された本体部51Cを弾性変形させて当接させることによって、凹溝部25又は凸部25Bに閉じ部材5Cの係止突起部52Cを係止させることができる。そのため、スペーサ部材2Cに対して端縁側から閉じ部材5Cを簡単に係止することができ、スペーサ部材2Cの調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材2Cの切欠き孔23を閉じ部材5Cの本体部51Cによって閉塞して、スペーサ部材2Cの脱落をより一層確実に防止させることができる。
【0074】
また、本体部51Cの長手方向先端部51Caから突出した一対の係止突起部52Cは、スペーサ部材2Cの他の端縁部22b、22c、22dに形成された凹溝部25又は凸部25Bに係止するので、本体部51Cの長手方向先端部51Caをスペーサ部材2Cの端縁交差部24まで延伸する必要がなく、本体部51Cをよりコンパクトに形成できる。そのため、狭い場所でも、スペーサ部材2Cに対して閉じ部材5Cを簡単に係止でき、スペーサ部材2Cの脱落防止効果を発揮しつつ、閉じ部材5Cの軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0075】
なお、凹溝部25又は凸部25Bは、スペーサ部材2Cの切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを除く他の端縁部22b、22c、22dにおいて、端縁交差部24に近接した位置に形成すると良い。この場合、略コ字状に屈曲して形成された本体部51Cの長手方向の長さをより一層短縮でき、閉じ部材5Cの軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0076】
また、スペーサ部材2Cは、略正方形状の板体2CSTであり、切欠き孔23と凹溝部25とが、スペーサ部材2Cの端縁部22における中間位置に同一の溝幅ωで形成されていることが好ましい。この場合、切欠き孔23の切欠き開口部231と凹溝部25とが、スペーサ部材2Cの端縁部22同士が交差する端縁交差部24から等間隔の位置に形成されている。また、スペーサ部材2Cの端縁部22には、凸部25Bは形成されていない。したがって、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5Cの本体部51Cを三つの異なる方向から当接させても、スペーサ部材2Cの切欠き孔23を閉塞しつつ、係止突起部52Cをスペーサ部材2Cの切欠き孔23又は凹溝部25に係止させることができる。ここでは、一対の係止突起部52Cは、2つの凹溝部25に係止されているが、後述するように、切欠き孔23と凹溝部25とに係止されても良い。
【0077】
図11では、閉じ部材5Cの本体部51Cを、切欠き孔23の切欠き方向から切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aに近接させて、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと隣接する二辺の端縁部22b、22cに対して、閉じ部材5Cの本体部51Cを当接させ、当該二辺の端縁部22b、22cにおける中間位置に溝幅ωで形成されている凹溝部25に係止突起部52Cを係止させている。
【0078】
しかし、これに限らず、例えば、閉じ部材5Cの本体部51Cを、切欠き孔23の切欠き方向と直交する方向から他の端縁部22bに近接させて、当該他の端縁部22bに隣接する他の端縁部22dと切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aとに対して、閉じ部材5Cの本体部51Cを当接させ、切欠き孔23と他の端縁部22dに形成されている凹溝部25とに、係止突起部52Cを係止させても良い。この場合、切欠き孔23は、係止突起部52Cによって閉塞されている。
【0079】
そのため、第1変形例においても、スペーサ部材2Cの端縁側に閉じ部材5Cを係止させる方向を選択する自由度が増加して、狭い場所でも、スペーサ部材2Cに対して閉じ部材5Cをより一層簡単に係止でき、スペーサ部材2Cの調節作業をより一層簡単に行うことができる。
【0080】
なお、閉じ部材5Cの本体部51Cの中央部には、切欠き孔23又は凹溝部25に係止される第2の係止突起部54が形成されている。この場合、本体部51Cの長手方向先端部51Caから突出した一対の係止突起部52Cの内、いずれか一方の係止突起部52Cを廃止して、本体部51Cを略L字状に屈曲する形状にしても良い。これによって、本体部51Cの長手方向の長さを更に短縮でき、閉じ部材5Cのより一層の軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0081】
(第2変形例)
第2変形例では、図12に示すように、スペーサ部材2Dは、略四角形状の板体2DTとして形成され、閉じ部材5Dは、切欠き孔23Dが切り欠かれた端縁部22aに当接する本体部51Dと、当該本体部51Dの中間部から略U字状に突出して切欠き孔23Dの切欠き開口部231D内へ嵌入可能に形成された係止突起部52Dとで構成され、切欠き開口部231Dは、ネジ部材4の挿通部21より溝幅が狭くなるように形成されている。
【0082】
この第2変形例によれば、切欠き孔23Dの切欠き開口部231Dに対して、閉じ部材5Dの係止突起部52Dを嵌入させるように押し込み、切欠き孔23Dが切り欠かれた端縁部22aに本体部51Dを当接させることによって、スペーサ部材2Dの切欠き孔23Dを閉じ部材5Dの係止突起部52Dによって閉塞させることができる。
【0083】
また、切欠き開口部231Dは、ネジ部材4の挿通部21より溝幅が狭くなるように形成されているので、切欠き孔23Dを閉じ部材5Dの係止突起部52Dによって閉塞させた状態で、係止突起部52Dの先端側が基端側より拡幅されて、切欠き孔23Dに対する係止突起部52Dの係止力を増大させることができる。そのため、切欠き孔23Dを閉じ部材5の係止突起部52Dによって閉塞した状態を、安定的に維持することができる。例えば、切欠き孔23Dが切り欠かれた端縁部22aに対する切欠き開口部231Dの傾斜角αは、70~80度程度に形成すると良い。
【0084】
また、閉じ部材5Dは、切欠き孔23Dが切り欠かれた端縁部22aに当接する本体部51Dと、当該本体部51Dの中間部から略U字状に突出して切欠き孔23Dの切欠き開口部231D内へ嵌入可能に形成された係止突起部52Dとで構成されているので、閉じ部材5Dの本体部51Dを、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aのみに当接する大きさに形成すれば良い。
【0085】
この場合、閉じ部材5Dの本体部51Dを、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に当接するように延伸する必要がない。そのため、閉じ部材5Dをよりコンパクトに形成し、その重量を軽減することができる。その結果、支持部1に対する閉じ部材5Dによるスペーサ部材2Dの脱落防止効果を維持しつつ、閉じ部材5Dの軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0086】
(第3変形例)
第3変形例では、図13に示すように、スペーサ部材2Eは、略四角形状の板体2ETとして形成され、閉じ部材5Eは、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する一方の端縁部22cと当接し略L字状に屈曲して形成された本体部51Eと、当該本体部51Eの長手方向先端部51Eaから突出してスペーサ部材2Eの端縁交差部24Eと係止する1つの係止突起部52Eとを備え、本体部51Eの長手方向基端部51Ebは、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する他方の端縁部22bとが交差する箇所にヒンジ部55Eを介して連結されている。
【0087】
なお、図13では、スペーサ部材2Eの板厚t1は、閉じ部材5Eの板厚t2より薄く形成されている。したがって、スペーサ部材2Eには、厚さ調整用の別のスペーサ部材2(図3に示すスペーサ部材2を参照)を積層した状態で、支持部1に締結されることになる。また、スペーサ部材2Eの厚さを調節するときには、厚さ調整用の別のスペーサ部材2を交換する。
【0088】
この第3変形例によれば、スペーサ部材2Eは、略四角形状の板体2ETとして形成され、閉じ部材5Eは、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する一方の端縁部22cと当接し略L字状に屈曲して形成された本体部51Eと、当該本体部51Eの長手方向先端部51Eaから突出してスペーサ部材2Eの端縁交差部24Eと係止する1つの係止突起部52Eとを備えているので、スペーサ部材2Eの切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する一方の端縁部22cとに対して、閉じ部材5Eの略L字状に屈曲して形成された本体部51Eを弾性変形させて当接させることによって、端縁交差部24に閉じ部材5Eの係止突起部52Eを係止させることができる。
【0089】
そのため、スペーサ部材2Eに対して閉じ部材5Eを簡単に係止することができ、スペーサ部材2Eの調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材2Eの切欠き孔23を閉じ部材5Eの本体部51Eによって閉塞して、スペーサ部材2Eの脱落をより一層確実に回避させることができる。
【0090】
また、本体部51Eの基端部51Ebは、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する他方の端縁部22bとが交差する箇所にヒンジ部55Eを介して連結されているので、閉じ部材5Eとスペーサ部材2Eとを一体にした状態で、支持部1に対して着脱させることができる。また、本体部51Eは、略L字状に屈曲して形成されているので、本体部51Eを長手方向でコンパクトに形成できる。
【0091】
そのため、狭い場所でも、スペーサ部材2Eと閉じ部材5Eとを、片手で持って支持部1に装着し、閉じ部材5Eをスペーサ部材2Eの端縁側に簡単に係止できる。その結果、スペーサ部材2Eと閉じ部材5Eの着脱作業の効率化を図りつつ、閉じ部材5Eの軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0092】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る鉄道車両10、10Bによれば、スペーサ部材2、2C、2D、2Eには、ネジ部材4を板厚方向へ挿通可能に形成され、ネジ部材4の挿通部21から端縁部22aまで切り欠かれた略U字状の切欠き孔23を備えているので、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの厚さを調節する際、ネジ部材4の締結を僅かに緩めた状態で、スペーサ部材2、2C、2D、2Eのみを、切欠き孔23の切欠き方向と反対方向へ引き出して支持部1から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材2、2C、2D、2Eと交換することができる。そのため、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの調整に当たり、ネジ部材4によって締結された全ての部材を支持部1から一旦取り外した後、再度取り付け直すという手間の掛かる作業が不要となる。したがって、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの調整作業を、手間を掛けずに簡単に行うことができる。
【0093】
また、支持部1にスペーサ部材2、2C、2D、2Eを挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態では、切欠き孔23、23Dは、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの端縁側に着脱可能に係止された閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eによって閉塞されているので、支持部1にスペーサ部材2、2C、2D、2Eを挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態において、スペーサ部材2、2C、2D、2Eが切欠き孔23、23Dを介してネジ部材4から抜け落ちることを、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの端縁側に係止された閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eによって阻止できる。また、切欠き孔23、23Dを閉塞する閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eは、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの端縁側に着脱可能に係止されているので、閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eをスペーサ部材2、2C、2D、2Eにネジ止めする必要がない。そのため、ネジ止め用の孔加工や雌ネジ加工によって生じる切粉の清掃処理を不要にできる。
【0094】
よって、本実施形態によれば、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造TKを備えた鉄道車両10、10Bを提供することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、スペーサ部材2は、略四角形状の板体2Tとして形成され、閉じ部材5には、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部51と、当該本体部51の長手方向先端部51aから突出しスペーサ部材2の端縁交差部24に係止する一対の係止突起部52と、を備えているので、スペーサ部材2の切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5の略コ字状に屈曲して形成された本体部51を弾性変形させて当接させることによって、スペーサ部材2の端縁交差部24に閉じ部材5の係止突起部52を係止させることができる。そのため、スペーサ部材2に対して閉じ部材5を簡単に係止することができ、スペーサ部材2の調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材2の切欠き孔23を閉じ部材5の本体部51によって閉塞して、スペーサ部材2の脱落をより一層確実に防止することができる。
【0096】
また、スペーサ部材2が略四角形状の板体2Tとして形成されたものであれば、既に支持部1に締結されたスペーサ部材2であっても、閉じ部材5の係止突起部52を当該スペーサ部材2の端縁交差部24に係止させることができる。そのため、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をボルト4で締結した既存の締結構造TKに対しても、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を係止させることによって、支持部1に対するスペーサ部材2の脱落防止対策を、効果的かつ迅速に行うことができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、スペーサ部材2は、略正方形状の板体2STであるので、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5の本体部51を三つの異なる方向から当接させても、スペーサ部材2の切欠き孔23を閉塞しつつ、係止突起部52をスペーサ部材2の端縁交差部24に係止させることができる。そのため、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を係止させる方向を選択する自由度が増加して、狭い場所でも、スペーサ部材2の調節作業をより一層簡単に行うことができる。また、既存の締結構造TKに対しても、スペーサ部材2の端縁側に閉じ部材5を係止させる方向の自由度が増加して、スペーサ部材2の脱落防止対策をより簡単且つ迅速に行うことができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、スペーサ部材2Cは、略四角形状の板体2CTとして形成され、閉じ部材5Cには、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に当接し略コ字状に屈曲して形成された本体部51Cと、当該本体部51Cの長手方向先端部51Caから突出しスペーサ部材2Cの他の端縁部22b、22c、22dに形成された凹溝部25又は凸部25Bに係止する一対の係止突起部52Cと、を備えているので、スペーサ部材2Cの切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5Cの略コ字状に屈曲して形成された本体部51Cを弾性変形させて当接させることによって、凹溝部25又は凸部25Bに閉じ部材5Cの係止突起部52Cを係止させることができる。そのため、スペーサ部材2Cに対して閉じ部材5Cを簡単に係止することができ、スペーサ部材2Cの調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材2Cの切欠き孔23を閉じ部材5Cの本体部51Cによって閉塞して、スペーサ部材2Cの脱落をより一層確実に防止させることができる。
【0099】
また、本体部51Cの長手方向先端部51Caから突出した一対の係止突起部52Cは、スペーサ2Cの他の端縁部22b、22c、22dに形成された凹溝部25又は凸部25Bに係止するので、本体部51Cの長手方向先端部51Caをスペーサ2Cの端縁交差部24まで延伸する必要がなく、本体部51Cをよりコンパクトに形成できる。そのため、狭い場所でも、スペーサ部材2Cに対して閉じ部材5Cを簡単に係止でき、スペーサ部材2の脱落防止効果を発揮しつつ、閉じ部材5Cの軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0100】
また、本実施形態によれば、スペーサ部材2Cは、略正方形状の板体2CSTであり、切欠き孔23と凹溝部25とが、スペーサ部材2Cの端縁部22における中間位置に同一の溝幅ωで形成されているので、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に対して、閉じ部材5Cの本体部51Cを三つの異なる方向から当接させても、スペーサ部材2Cの切欠き孔23を閉塞しつつ、係止突起部52Cをスペーサ部材2Cの切欠き孔23又は凹溝部25に係止させることができる。そのため、スペーサ部材2Cの端縁側に閉じ部材5Cを係止させる方向を選択する自由度が増加して、狭い場所でも、スペーサ部材2Cに対して閉じ部材5Cをより一層簡単に係止でき、スペーサ部材2Cの調節作業をより一層簡単に行うことができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、支持部1は、スペーサ部材2の端縁部22に沿って所定の断面で長尺状に形成され、支持部1には、切欠き孔23に挿通するネジ部材4の頭部41と雄ネジ部42とを長手方向へ挿通可能に形成された略T字状断面の溝部11と、溝部11の幅方向両側に形成されたスペーサ部材2の受け部12とを備え、閉じ部材5Bの本体部51には、溝部11内に挿入可能に形成されたガイド部53を備えているので、ガイド部53を溝部11内に挿入させ、閉じ部材5Bのスペーサ部材2に対する適正な姿勢を保持した状態で、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側に係止させることができる。そのため、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側により一層適正に係止させることができる。その結果、スペーサ部材2の調節作業をより一層正確かつ簡単に行うことができる。
【0102】
また、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側に係止した状態では、ガイド部53が支持部1の溝部11内に挿入されているので、閉じ部材5Bに係止されたスペーサ部材2が、支持部1に対してネジ部材4を中心に回転することを阻止できる。そのため、支持部1にスペーサ部材2を挟んで固定部3をネジ部材4で締結し、且つ、閉じ部材5Bをスペーサ部材2の端縁側に係止した状態では、スペーサ部材2の回転やスペーサ部材2の回転に伴うネジ部材4の緩み等を抑止することができる。その結果、支持部1に対するスペーサ部材2の脱落防止効果をより一層高めることができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、スペーサ部材2Dは、略四角形状の板体2DTとして形成され、閉じ部材5Dは、切欠き孔23Dが切り欠かれた端縁部22aに当接する本体部51Dと、当該本体部51Dの中間部から略U字状に突出して切欠き孔23Dの切欠き開口部231D内へ嵌入可能に形成された係止突起部52Dとで構成され、切欠き開口部231Dは、ネジ部材4の挿通部21より溝幅が狭くなるように形成されているので、切欠き孔23Dの切欠き開口部231Dに対して、閉じ部材5Dの係止突起部52Dを嵌入させるように押し込み、切欠き孔23Dが切り欠かれた端縁部22aに本体部51Dを当接させることによって、スペーサ部材2Dの切欠き孔23Dを閉じ部材5Dによって閉塞させることができる。また、切欠き開口部231Dは、ネジ部材4の挿通部21より溝幅が狭くなるように形成されているので、切欠き孔23Dを閉じ部材5Dによって閉塞させた状態で、係止突起部52Dの先端側が基端側より拡幅されて、切欠き孔23Dに対する係止突起部52Dの係止力を増大させることができる。そのため、切欠き孔23Dを閉じ部材5の係止突起部52Dによって閉塞した状態を、安定的に維持することができる。
【0104】
また、閉じ部材5Dは、切欠き孔23Dが切り欠かれた端縁部22aに当接する本体部51Dと、当該本体部51Dの中間部から略U字状に突出して切欠き孔23Dの切欠き開口部231D内へ嵌入可能に形成された係止突起部52Dとで構成されているので、閉じ部材5Dの本体部51Dを、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aのみに当接する大きさに形成すればよく、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aを含む三辺の端縁部22に当接するように延伸する必要がない。そのため、閉じ部材5Dをよりコンパクトに形成し、その重量を軽減することができる。その結果、支持部1に対する閉じ部材5Dによるスペーサ部材2Dの脱落防止効果を維持しつつ、閉じ部材5Dの軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0105】
また、本実施形態によれば、スペーサ部材2Eは、略四角形状の板体2ETとして形成され、閉じ部材5Eは、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する一方の端縁部22cと当接し略L字状に屈曲して形成された本体部51Eと、当該本体部51Eの長手方向先端部51Eaから突出してスペーサ部材2Eの端縁交差部24Eと係止する1つの係止突起部52Eとを備えているので、スペーサ部材2Eの切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する一方の端縁部22cとに対して、閉じ部材5Eの略L字状に屈曲して形成された本体部51Eを弾性変形させて当接させることによって、端縁交差部24に閉じ部材5Eの係止突起部52Eを係止させることができる。そのため、スペーサ部材2Eに対して閉じ部材5Eを簡単に係止することができ、スペーサ部材2Eの調節作業をより一層簡素化することができる。また、スペーサ部材2Eの切欠き孔23を閉じ部材5Eの本体部51Eによって閉塞して、スペーサ部材2Eの脱落をより一層確実に回避させることができる。
【0106】
また、本体部51Eの基端部51Ebは、切欠き孔23が切り欠かれた端縁部22aと当該端縁部22aに隣接する他方の端縁部22bとが交差する箇所にヒンジ部55Eを介して連結されているので、閉じ部材5Eとスペーサ部材2Eとを一体にした状態で、支持部1に対して着脱させることができる。また、本体部51Eは、略L字状に屈曲して形成されているので、本体部51Eを長手方向でコンパクトに形成できる。そのため、狭い場所でも、スペーサ部材2Eと閉じ部材5Eとを、片手で持って支持部1に装着し、閉じ部材5Eをスペーサ部材2Eの端縁側に簡単に係止できる。その結果、スペーサ部材2Eと閉じ部材5Eの着脱作業の効率化を図りつつ、閉じ部材5Eの軽量化、低コスト化に寄与できる。
【0107】
また、本他の実施形態に係る鉄道車両の製造方法によれば、ネジ部材4の締結を緩めた状態で、スペーサ部材2、2C、2D、2Eのみを、切欠き孔23、23Dの切欠き方向と反対方向へ引き出して支持部1から取り外し、厚さの異なる他のスペーサ部材2、2C、2D、2Eと交換するスペーサ調整工程S1を備えているので、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの厚さ調整に当たり、スペーサ部材2、2C、2D、2Eのみを取り出して交換できる。そのため、ネジ部材4に締結された全ての部材を一旦取り外した後、再度取り付け直すという手間の掛かる作業が不要となる。したがって、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの調整作業を、手間を掛けずに簡単に行うことができる。
【0108】
また、支持部1に交換したスペーサ部材2、2C、2D、2Eを挟んで固定部3をネジ部材4で締結するネジ部材締結工程S2を備えているので、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの厚さ調整量に対応してネジ部材4を締めることによって、支持部1に固定部3を締結することができる。そのため、ネジ部材4に締結された全ての部材を一旦取り外した後、再度取り付け直す従来の締結構造に比較して、ネジ部材4の締付量を大幅に低減できる。したがって、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの調節作業に伴うネジ部材4の締結時間を大幅に短縮できる。
【0109】
また、支持部1にスペーサ部材2、2C、2D、2Eを挟んで固定部3をネジ部材4で締結した状態で、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの端縁側に閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eを着脱可能に係止して切欠き孔23、23Dを閉塞する切欠き孔閉塞工程S3を備えているので、スペーサ部材2、2C、2D、2Eが切欠き孔23、23Dを介してネジ部材4から抜け落ちることを、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの端縁側に係止された閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eによって阻止できる。また、切欠き孔23、23Dを閉塞する閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eは、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの端縁側に着脱可能に係止されているので、閉じ部材5、5B、5C、5D、5Eをスペーサ部材2、2C、2D、2Eにネジ止めする必要がない。そのため、ネジ止め用の孔加工や雌ネジ加工によって生じる切粉の清掃処理を不要にできる。
【0110】
よって、本発明によれば、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの調整作業を簡単にできると共に、スペーサ部材2、2C、2D、2Eの脱落を防止しつつ、切粉の清掃処理を不要にできる締結構造TKを備えた鉄道車両10、10Bの製造方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、鉄道車両の支持部にスペーサ部材を挟んで各種の部材を締結する締結構造を備えた鉄道車両及びその製造方法として利用できる。
【符号の説明】
【0112】
1、1a、1b、1c 支持部
2、2C、2D、2E スペーサ部材
2T、2CT、2DT、2ET 板体
2ST、2CST 板体
3、3a、3b、3c 固定部
4 ネジ部材
5、5B、5C、5D、5E 閉じ部材
6 車体
7 部材
10、10B 鉄道車両
11 溝部
12 受け部
21 挿通部
22、22a、22b、22c 端縁部
22d 端縁部
23、23D 切欠き孔
24、24E 端縁交差部
25 凹溝部
25B 凸部
41 頭部
42 雄ネジ部
51、51C、51D、51E 本体部
51a、51Ca、51Ea 長手方向先端部
51Eb 長手方向基端部
52、52C、52D、52E 係止突起部
53 ガイド部
55E ヒンジ部
231、231D 切欠き開口部
S1 スペーサ調整工程
S2 ネジ部材締結工程
S3 切欠き孔閉塞工程
TK、TK1、TK2、TK3 締結構造
ω 溝幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図12
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図15