(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119301
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】車載器及び車両警報装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022117
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 景介
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181CC04
5H181FF03
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL20
5H181MB01
5H181MB02
5H181MC19
5H181MC24
5H181MC25
(57)【要約】
【課題】運転状況に応じて適切に車間距離警報を発生させることができる車載器及び車両警報装置を提供する。
【解決手段】車載器は、自車両と前方車両との距離、及び、自車両の速度に基づいて、前方車両との車間時間を計算し(S1)、周辺車両を撮像した画像に基づき、自車両の周囲の混雑度を計算する(S2)。車載器は、警報発生のための閾値を、混雑度に応じて設定し(S4)、S1で計算した車間時間、及びS4で設定された閾値に基づいて、警報を発生するか否かを判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載器であって、
前記車両と同じ走行レーンにおいて前記車両の前方を走行する前方車両と、前記車両との距離を取得する距離取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記距離及び前記速度に基づいて、前記車両と前記前方車両との車間時間を計算する計算部と、
前記車両の周辺を走行する周辺車両を撮像した画像に基づき、前記車両の周囲の混雑度を判定する判定部と、
警報発生のための閾値を、前記混雑度に応じて設定する閾値設定部と、
前記車間時間及び前記閾値に基づいて、前記警報を発生するか否かを判定する警報判定部と、を備える、
車載器。
【請求項2】
前記判定部は、前記画像に対する画像認識結果に基づいて、前記車両の周辺を走行する複数の前記周辺車両間の距離を算出し、算出した前記周辺車両間の距離に応じて、前記混雑度を判定する、
請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記判定部は、前記画像に対する画像認識結果に基づいて、検知可能範囲内に存在する前記周辺車両の数を計算し、前記数に応じて、前記混雑度を判定する、
請求項1に記載の車載器。
【請求項4】
前記判定部は、前記混雑度が維持された時間を加味して、前記混雑度を判定する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項5】
前記判定部は、前記車両のドライバーの疲労度及び不注意度の少なくともいずれか一方を算出し、
前記閾値設定部は、前記疲労度及び前記不注意度の少なくともいずれか一方を加味して、前記閾値を設定する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項6】
前記警報判定部は、前記警報を無効とするための無効フラグが、オンされてから一定時間が経過するまでは前記警報の判定を行わず、前記混雑度に応じて前記一定時間を延長し、延長された前記一定時間が経過した時点で前記警報の判定を行う、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項7】
車両と同じ走行レーンにおいて前記車両の前方を走行する前方車両と、前記車両との距離を取得する距離取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記距離及び前記速度に基づいて、前記車両と前記前方車両との車間時間を計測する計算部と、
前記車両の周辺を走行する周辺車両を撮像した画像に基づき、前記車両の周囲の混雑度を判定する判定部と、
警報発生のための閾値を、前記混雑度に応じて設定する閾値設定部と、
前記車間時間及び前記閾値に基づいて、前記警報を発生するか否かを判定する警報判定部と、を備える、
車両警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器及び車両警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルタコグラフには、自車両と前方車両との車間時間が、一定以下となった場合に車間距離警報を発生させるものがある(例えば、特許文献1参照)。車間時間は、「前方車両との距離/自車両の速度」にて求めることができる。車間時間は、自車両が一定の速度で前方車両との距離が近付いた場合に、小さくなる。デジタルタコグラフは、車間時間が予め定められた閾値より小さくなった場合に車間距離警報を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のデジタルタコグラフにおいては、閾値が固定値のため、道路が混雑していて自車両の速度が遅いと、実際には前方車両に近接する危険性が高い状況であっても、車間時間が大きく算出されて閾値に至らず、警報発生のタイミングが遅い場合があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転状況に応じて適切に車間距離警報を発生させることができる車載器及び車両警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載器は、下記を特徴としている。
車両に搭載された車載器であって、
前記車両と同じ走行レーンにおいて前記車両の前方を走行する前方車両と、前記車両との距離を取得する距離取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記距離及び前記速度に基づいて、前記車両と前記前方車両との車間時間を計算する計算部と、
前記車両の周辺を走行する周辺車両を撮像した画像に基づき、前記車両の周囲の混雑度を判定する判定部と、
警報発生のための閾値を、前記混雑度に応じて設定する閾値設定部と、
前記車間時間及び前記閾値に基づいて、前記警報を発生するか否かを判定する警報判定部と、を備える、
車載器。
【0007】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係る車両警報装置は、下記を特徴としている。
車両と同じ走行レーンにおいて前記車両の前方を走行する前方車両と、前記車両との距離を取得する距離取得部と、
前記車両の速度を取得する速度取得部と、
前記距離及び前記速度に基づいて、前記車両と前記前方車両との車間時間を計測する計算部と、
前記車両の周辺を走行する周辺車両を撮像した画像に基づき、前記車両の周囲の混雑度を判定する判定部と、
警報発生のための閾値を、前記混雑度に応じて設定する閾値設定部と、
前記車間時間及び前記閾値に基づいて、前記警報を発生するか否かを判定する警報判定部と、を備える、
車両警報装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転状況に応じて適切に車間距離警報を発生させることができる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る運行管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した車載器による車間距離警報発生に関する動作例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、車載器による車間時間の計算についての動作例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、車載器による混雑度の計算についての動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、混雑度の算出に関する説明図である。
【
図6】
図6は、車載器によるドライバーの疲労度及び不注意度の計算についての動作例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、車載器による車間時間閾値設定についての動作例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、車載器による車間距離警報の判定についての動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
本発明の一実施形態における運行管理システム1の構成例を
図1に示す。
図1に示した運行管理システム1は、トラックやタクシー等の車両の運行を管理する事業者を顧客(ユーザ)とするサービス提供者により運用される運行管理システムである。
【0013】
図1に示した運行管理システム1は、車両の運行管理を行うサーバー80と、トラック等の車両に搭載した状態で使用される、車両警報装置としての車載器10と、事業者側の管理者に使用される事務所PC30とを含む。車載器10は、ドライブレコーダ機能及びデジタルタコグラフ機能を有し、自車両91(
図5参照)周辺の混雑度、ドライバーの疲労度及び/又は不注意度に合わせて、車間時間警報を発生させるための閾値を動的に変更する機能を有する。運行管理システム1は、サーバー80が、車載器10によって収集された、運行データや、車両に設置された車載カメラにより撮影された映像データを収集、蓄積し、顧客の要望に応じて事務所PC30に運行管理に関する解析結果等を提供するものである。
【0014】
事務所PC30は、各車両、ドライバー、作業内容等を管理するために所定の事務所に設置される。サーバー80は、車載器10から収集した車両運行情報に基づく解析を行い、解析結果を用いた各種サービスを顧客側に提供するサービス提供者(サポートセンター)側の設備である。運行管理システム1は、複数の顧客の事務所等に設置される複数の事務所PC30及び複数の車載器10を含む。
【0015】
車載器10において、車両の運行中に、車載カメラ(カメラ23A、23B)により撮影された動画データ(映像データ)及び運行データを含む車両運行情報は、メモリカード等の記録媒体65に記録される。運行データは、一例として、車両の位置、速度、エンジン回転数、警報(車間距離警報、脇見運転警報等)・急旋回等のトリガの情報を含み、動画データが撮影された時刻を示す時刻情報に対応付けて、記録される。記録媒体65に記録された車両運行情報は、例えば一日の運行終了後に車両が事務所へ戻ったときに、事務所PC30にて読み出される。サーバー80は、複数の顧客が保有する各車両の車載器10から収集した運行データを、データベース内に蓄積する。
【0016】
事務所PC30は、事務所に設置された汎用のコンピュータ装置で構成される。事務所PC30は、車両の運行状況などを管理する。サーバー80は、車載器10が収集した動画データ、イベント情報等を含む車両運行情報の解析、事務所PC30への情報提供などを行う。
図1の例では、車載器10とサーバー80との間で行われるデータ通信は、基地局71を介して行われる。車載器10と事務所PC30との間で行われるデータ通信は、基地局71、サーバー80及びネットワーク70によって中継される。基地局71と車載器10との間の無線通信については、LTE(Long Term Evolution)/5G(5th Generation)等のモバイル通信網(携帯回線網)で行われてもよいし、無線LAN(Local Area Network)で行われてもよい。また、ネットワーク70は、インターネット等のネットワーク(パケット通信網)であり、事務所PC30とサーバー80との間で行われるデータ通信を中継する。
【0017】
車載器10は、様々な信号の入力又は出力を可能にするために、様々なインタフェース(I/F)12A、12B、13、14、16、19、及び29を備えている。
速度I/F12Aは、車両側に搭載されている車速センサ51の出力する車速パルス信号を入力するための機能を有する。エンジン回転I/F12Bは、車両側から出力されるエンジン回転パルス信号を入力するための機能を有する。外部入力I/F13は様々な外部信号の入力に利用される。
【0018】
センサ入力I/F14は、様々なセンサの信号を入力するために利用される。
図1の例では、Gセンサ28及びジャイロセンサ52がセンサ入力I/F14に接続されている。Gセンサ28は、この車載器10を搭載する車両に加わった様々な方向、一例として、車両の前後方向、左右方向、上下方向の各加速度の大きさ(前後G、右左G、上下G)を検知する。ジャイロセンサ52は、この車載器10を搭載する車両のピッチ軸、ヨー軸、及びロール軸の各軸周りの回転角速度を検知することにより、ピッチ角、ヨー角、及びロール角の各変化を示す信号を出力できる。ジャイロセンサ52及びGセンサ28の出力に基づいて、制御部11は車両の急旋回を検出する。
【0019】
アナログ入力I/F29は、様々なアナログ信号の入力に利用される。
カメラI/F16は、カメラ23A、23Bを接続するための機能を有している。すなわち、カメラI/F16は、カメラ23A、23Bが出力する映像信号をそれぞれ取り込んで、コンピュータの処理に適した所定のデジタル画像データにそれぞれ変換して、動画データを取得する機能を有している。カメラ23Aは、車両の前方に設置されたフロントカメラであり、車両の周囲を撮影する。カメラ23Aは、例えば車両の前方及び側方を撮影し、車両周辺に位置する他車両を撮影できる。カメラ23Bは、車室内の例えば運転席前方に設置された車内カメラであり、ドライバーの顔を含む車内の情景を撮影する。尚、カメラI/F16に接続されるカメラの数は3以上でもよい。
【0020】
音声I/F19は、音声による注意喚起などに利用可能な所定の音声信号を生成する機能を有している。
【0021】
車載器10における主要な機能を実現する制御部11は、マイクロコンピュータ(CPU)のプロセッサを主体とする電子回路により構成されている。このマイクロコンピュータは、不揮発メモリ26Aなどに予め保持されているプログラムを実行することにより、後述する車載器10の制御機能を実現する。
【0022】
制御部11の入力に、上述の各インタフェース12A、12B、13、14、16、及び29が接続されている。また、制御部11の出力に音声I/F19を介してスピーカ20が接続されている。スピーカ20は、車間距離警報等の警報音を出力する。
【0023】
また、記録部17、表示部27、電源部25、通信部24、不揮発メモリ26A、揮発メモリ26B、カードI/F18、RTC部21、ビーコン受信部15、及びGPS受信部9が制御部11に接続されている。
【0024】
記録部17は、例えばカメラ23A、23Bが出力する動画データなどの車両運行情報を所定の記憶領域(記録媒体65)に記録する。
表示部27は、車載器10の操作に必要な文字などの可視情報や、運転操作に関する注意喚起の情報などをドライバーが視認できるように表示するために利用できる。また、表示部27は、車間距離警報等の警報発生に係る表示を行う。
【0025】
電源部25は、車両側から供給される電源電力に基づいて安定した電源電力を生成し、生成した電源電力を、制御部11を含む車載器10内の各回路に対して供給する。
通信部24は、この車載器10と基地局71との間でデータ通信するための無線通信機能を提供する。
【0026】
不揮発メモリ26Aは、半導体メモリにより構成され、制御部11のマイクロコンピュータが実行可能なプログラムや、制御上必要になる各種定数データ、テーブルなどを予め保持している。
揮発メモリ26Bは、制御部11が処理中に生成するデータなどを一時的に保持するために利用される。
【0027】
カードI/F18には、ドライバーが所持する記録媒体65が挿抜自在に接続される。制御部11は、カードI/F18に装着された記録媒体65からデータを読み出すことができ、制御部11が生成した各種データをカードI/F18を介して記録媒体65に書き込むこともできる。
【0028】
RTC(Real Time Clock)部21は、時計の機能を有する集積回路により構成されている。すなわち、RTC部21は、現在時刻の情報を生成したり、経過時間などを把握することができる。
【0029】
ビーコン受信部15は、所定範囲内に位置するビーコンからの電波を、アンテナ15aを介して受信する。ビーコンには、ドライバービーコンが含まれる。ドライバーに所持されるドライバービーコンからのビーコン信号がビーコン受信部15を介して車載器10に受信されると、制御部11がドライバーIDを自動認識し、ドライバーを特定する。すなわち、ドライバーが、自身のドライバーIDが記憶されたドライバービーコンを所持して運転席に乗り込むだけで、車載器10がドライバーIDを認識するため、ドライバーに特定の操作を行わせることなく、人別のデータ管理が可能となる。また、制御部11は、敷地内の所定位置に固定配置された固定ビーコンからのビーコン信号を受信することで、現在位置の情報を把握することができる。なお制御部11は、ビーコンに加えて、後述するGPS受信部9が受信した信号に基づく測位を行ってもよい。
【0030】
GPS受信部9は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を、アンテナ9aを介して受信する。GPS受信部9が受信した複数の受信信号に基づいて、車両の現在位置を表す位置情報を計算して得ることができる。また、GPS受信部9が受信した信号に基づく位置情報を用いて、車両の移動を検知することができる。さらに、GPS受信部9が受信した信号に基づいて、時刻情報を取得することができる。
【0031】
事務所PC30は、汎用のオペレーティングシステムで動作するPCである。事務所PC30は、車両の運転状況や、稼働状況等を把握・管理するための管理装置として利用できる。事務所PC30は、制御部(CPU)31、通信部32、表示部33、記憶部34、カードI/F35、操作部36、外部I/F37、及び音声I/F38を有する。
【0032】
制御部31は、事務所PC30の各部を統括的に制御する。通信部32は、ネットワーク70を介してサーバー80と通信可能である。
表示部33は、各車両の稼働管理に利用可能な様々な情報を表示することができる。記憶部34は、各車両に搭載された車載器10が生成したデータを取得して管理することができる。
【0033】
カードI/F35には、記録媒体65が挿抜自在に装着される。カードI/F35は、車載器10で記録された様々なデータを記録媒体65から入力するために利用される。
操作部36は、キーボードやマウス等を有し、事務所PC30の管理者の操作を受け付ける。外部I/F37には、運行データデータベース(DB)、ハザードマップデータベース(DB)といった外部記憶装置(図示せず)等が接続可能である。音声I/F38には、マイク41及びスピーカ42が接続される。管理者は、マイク41及びスピーカ42を用いて音声通話を行うことも可能である。
【0034】
サーバー80は、制御部(CPU)81、通信部82、記憶部83、及び外部I/F84を有する。通信部82は、基地局71を介して車載器10と通信を行う。また、通信部82は、ネットワーク70を介して、事務所PC30と通信を行うことができる。記憶部83は、各種データを記憶可能なメモリである。外部I/F84には、データベース(DB)85等が接続可能である。DB85は、複数の車載器10から収集した車両運行情報を記憶することができる。
【0035】
制御部81は、サーバー80の各部を統括的に制御し、車両の運行データを解析し、解析結果である稼働データをDB85に蓄積する。運行データの解析例を以下に示す。制御部81は、警報種類及び回数を解析して、同種類の警報回数が閾値を越えた場合に警報増を一覧リストや動画データに表示する。制御部81は、各ドライバー(乗務員)の運行データを分析した分析レポートから、危険挙動の発生頻度等に基づいて安全点数を算出し、ドライバーの安全教育に活用可能とする。
【0036】
上記のように構成された運行管理システム1において、車載器10が行う車間距離警報発生に関する動作について、
図2~
図10を参照して説明する。
【0037】
まず、
図2を参照して、車載器10による車間距離警報発生動作の概要について説明する。各処理の詳細については後述する。
【0038】
車載器10は、自車両91と同じ走行レーンL1において自車両91の前方を走行する前方車両との車間時間を計算し(S1)、自車両91周囲の混雑度を計算する(S2)。また、車載器10は、ドライバーの疲労度及び不注意度を計算する(S3)。
【0039】
車載器10は、車間距離警報を発生するための車間時間に関する閾値である警報閾値を設定する(S4)。S4において、車載器10は、車両周囲の混雑度に応じて、警報閾値を、予め定められた閾値から、車両周囲の混雑度等に応じて変更する。その後、車載器10は、車間時間が警報閾値を下回ったか否かに応じて、警報を発生させるか否かを判定する(S5)。警報を発生させると判定した場合、車載器10は、スピーカからの音声出力又は表示部における表示により、警報を発生させて、前方車両との車間距離が近すぎる旨を、自車両91のドライバーに報知する。
【0040】
図3を参照して、車載器10による、車間時間の計算について説明する。車載器10は、CPU11が、フロントカメラ(カメラ23A)から取得した映像について画像認識を行い、認識結果に基づいて前方車両との距離を取得する(S11)。尚、車載器10は、測距センサ等の出力から、自車両91と前方車両との車間距離を取得してもよい。
【0041】
車載器10は、車速センサ51の出力に基づいて、自車両91の速度を取得する(S12)。車載器10は、「前方車両との距離/自車両の速度」の計算式にて、車間時間を計算する(S13)。車載器10は、S13の処理後、
図4に示す処理に進む。
【0042】
図4及び
図5を参照して、車載器10による、自車両91周囲の混雑度の計算について説明する。
【0043】
図5に示すように、自車両91がレーンL1(以下、自レーンL1ともいう。)を走行しており、レーンL1の両側に隣接するレーンL2、L2(以下、周辺レーンL2ともいう。)を、各3台の他車両92が、それぞれ走行している。自レーンL1を走行する自車両91と、周辺レーンL2を走行する他車両92とは、進行方向が同じである。レーンL2に隣接するレーンL3(対向レーンL3ともいう。)には、車両91,92の進行方向と逆方向に走行する2台の他車両93が走行している。
【0044】
車載器10は、
図4に示す自車両周囲の混雑度の計算において、対向レーンL3を走行する他車両93は考慮しない。対向レーンL3における混雑度は、自レーンL1及び周辺レーンL2における混雑度と関連せず、自車両91の運転状況に直接関係しないためである。自車両91周辺を走行する他車両92、93の進行方向が、自車両91と同じか否か、すなわち、他車両92、93が周辺レーンL2及び対向レーンL3のいずれを走行しているかは、例えば、自車両91と他車両92、93との相対速度に基づいて判定できる。
【0045】
車載器10は、自レーンL1以外のレーンである周辺レーンL2に他車両92がいるか否かを判定し(S21)、周辺レーンL2に他車両92が存在する場合、車載器10は混雑度の計算方法がケース1及びケース2のいずれに設定されているかを判定する(S22)。S21において車載器10は、一例として、フロントカメラから取得した映像について画像認識を行い、自レーンL1と周辺レーンL2とを区分する区分線を検出し、区分線の外側、すなわち区分線よりも自車両91から離れた位置に存在する他車両92を検出する。S21において、自レーンL1について他車両の有無を判定しない理由は、自車両91の直前を走行中の車両については、車載器10が、車間時間の計算式で適切に車間距離警報を出すことができるので、混雑度の計算を行う必要がないからである。
【0046】
S22でケース1の場合、車載器10はフロントカメラから取得した映像について画像認識を行い、画像認識結果に基づいて、進行方向において互いに隣接する他車-他車間の距離Dを取得する(S23)。車載器10は、他車-他車間距離Dが未計算の車両が存在する間はS23の処理を繰り返し(S24)、全ての他車-他車間距離Dを積算して、「総他車-他車間距離」を計算する(S25)。
図5に示す例において、自レーン91の左右側の周辺レーン92にそれぞれ存在する3台の他車両92について、車載器10は、他車-他車間距離Dを取得し、4つの他車-他車間距離Dを積算して、「総他車-他車間距離」を計算する。尚、他車-他車間距離Dの取得方法は、画像認識に限らない。例えば、車載器10は、車車間通信又は路車間通信により取得した他車両92の位置情報等に基づいて、他車-他車間距離Dを取得してもよい。
【0047】
車載器10は、S25で計算した「総他車-他車間距離」が所定の第1閾値を下回るか否かを判定し(S26)、S26でYesの場合、混雑状態と判定して、混雑度を1段階上げて(S27)、S28の処理に進む。車載器10は、S26で「総他車-他車間距離」が第1閾値を下回るか否かを判定する際に、S25で計算した「総他車-他車間距離」を他車-他車間距離Dの数で割った、平均値を用いても良い。平均値を用いることでノイズの影響を排除し、より正確な判定が可能になる。また、平均値を用いるかどうかについてはユーザが適宜設定できるようにしても良い。
【0048】
一方、車載器10は、S22でケース2の場合、車載器10は、フロントカメラから取得した映像に対する画像認識を行い、認識結果に基づいて、検知可能距離内に存在する車両の台数を計算する(S29)。一例として、車載器10は、フロントカメラから取得した映像に対する、車両のモデルパターンとの照合により、車両の台数を計算する。
【0049】
車載器10は、S29で「検知した車の数」が所定の第2閾値より多いか否かを判定し(S30)、S30でYesの場合、混雑状態と判定し、混雑度を1段階上げる(S27)。
【0050】
S21において、周辺レーンL2に他車両92がいない場合、混雑緩和状態と判定して、車載器10は、混雑度を1段階下げて(S31)、S28の処理に進む。
【0051】
S28において、車載器10は、S27又はS31で求められた混雑度が所定の第3閾値を上回るか否かを判定し、上回る場合は車間時間閾値変数aを有効にする(S32)。一方、S28において、混雑度が第3閾値を上回らない場合、車載器10は、車間時間閾値変数aを無効、すなわち0にする(S33)。
【0052】
S28、S32及びS33の各処理において、車載器10は、S27及びS31の混雑状態又は混雑緩和状態の継続性を、混雑度に反映させる。すなわち、車載器10は、混雑状態が一定時間以上継続していた場合は、車間時間閾値変数aを有効にし、混雑緩和状態が一定時間以上継続していた場合は、車間時間閾値変数aを無効とする。車載器10は、S32又はS33の処理後、
図6に示す処理に進む。
【0053】
図6を参照して、車載器10による、ドライバーの疲労度及び不注意度の計算について説明する。車載器10は、車速センサ51からの入力又は、エンジン回転パルスの入力等に基づいて、連続走行時間を計算し、連続走行時間が第4閾値を上回るか否かを判定する(S41)。連続走行時間が第4閾値を上回る場合、車載器10は、ドライバーの疲労度を示す車間時間閾値変数bを有効にして(S42)、S43の処理に進む。疲労度は、ドライバーの労働時間に比例するため、連続走行時間を計算することにより疲労度を算出できる。
【0054】
続いて車載器10は、脇見運転警報の累計回数を計算し、この累計回数が第5閾値を上回るか否かを判定し(S43)、Yesの場合、車間時間閾値変数cを有効にして(S44)、
図7に示す処理に進む。車載器10は、車内カメラ(カメラ23B)から取得した映像に対する画像認識結果に基づいて、例えば、ドライバーの顔が、車両91の進行方向に対して左右方向に向く回数又は時間が規定値を越える等、ドライバーの表情を検知して、脇見運転警報を発生する。
【0055】
一方、S41において、連続走行時間が第4閾値を上回らない場合、車載器10は、車間時間閾値変数bを無効、すなわち0にして(S45)、S43の処理に進む。ドライバーが休憩した場合等、自車両91の走行中に停止時間が一定以上である場合等には、車載器10は連続走行時間を0にリセットするので、車間時間閾値変数bは無効とされる。
【0056】
また、S43において、脇見運転警報の累計回数が第5閾値を上回らない場合、車載器10は、車間時間閾値変数cを無効、すなわち0にして(S46)、
図7に示す処理に進む。
【0057】
図7を参照して、車載器10による、車間時間閾値、すなわち警報閾値の設定について説明する。車載器10は、車間距離警報のための警報閾値の初期値である規定警報閾値に、上述の車間時間閾値変数a,b,cを加算し、その結果が、予め定められた、警報閾値の最大値である最大_車間時間閾値を上回るか否かを判定する(S51)。加算結果が最大_車間時間閾値を上回らない場合、車載器10は、警報閾値を、規定警報閾値に上述の車間時間閾値変数a,b,cを加算した値に設定する(S52)。一方、加算結果が最大_車間時間閾値を上回る場合、車載器10は、警報閾値を、最大_車間時間閾値に設定する(S53)。車載器10は、S52、S53の処理後、
図8に示す処理に進む。
【0058】
図8を参照して、車載器10による車間距離警報の判定について説明する。車載器10は、車間距離警報を無効とするための無効フラグがオフになっているか否かを判定する(S61)。無効フラグの詳細については、
図9及び
図10を参照して後述する。無効フラグがオフになっている場合(S61でYes)、車載器10は、車間時間がS52又はS53で設定した警報閾値を下回るか否かを判定し(S62)、下回る場合、車間距離警報を発生させる(S63)。一方、S61で無効フラグがオンになっている場合(S61でNo)、及び、S62で車間時間が警報閾値を下回らない場合(S62でNo)、車載器10は、車間距離警報を発生させない(S64)。
【0059】
図9及び
図10を参照して、無効フラグの詳細について説明する。
図9は、自車両91周辺の混雑度を考慮しない場合における無効フラグの猶予時間を示し、
図10は、自車両91周辺の混雑度が高い場合における無効フラグの猶予時間を示す。
【0060】
無効フラグは、他車両が、自車両の前方に割り込んだ場合にオンされる。車載器10は、
図9に示すように、割り込み発生から一定時間、車間距離警報の発生を停止する。車間距離警報は、ドライバー自身の責めにより前方車両との車間距離を詰め過ぎた場合に発報して、ドライバーに注意を促すためのものであるところ、他責により車間距離が短くされた場合に警報が発生すると、警報音がうるさく煩わしい。そこで、他車両に割り込まれた場合には、車載器10は無効フラグをオンし、車間距離警報の発生を一定時間(以下、猶予時間ともいう。)停止する。
【0061】
しかし、
図9に示す例の場合、割り込まれた後、車間距離が短い、すなわち車間時間が小さい状態で猶予時間が経過すると、無効フラグがオフとなるため、例えば、渋滞で前方車両との車間距離を離せない状況であっても、車間距離警報が鳴ってしまう。
【0062】
そこで、
図10に示すように、混雑度が高い場合、車載器10は、無効フラグがオフになるまでの猶予時間を通常より延長する。また、車載器10は、混雑度を定期的に判定し、混雑状態が継続している場合には、無効フラグがオフになるまでの猶予時間を再延長する。このように、車載器10は、混雑度に応じて猶予時間を延長し、延長された猶予時間が経過した時点で警報判定を行うので、混雑度が高く、自車両の努力により車間距離を離せない場合に、車間距離警報の不要な発生を防止できる。尚、混雑度が低い場合、すなわち混雑緩和状態の場合には、
図9に示すように、猶予時間の延長は行われない。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の車載器10によれば、道路の混雑度、並びに、ドライバーの疲労度及び不注意度を判断材料として、複合的に考慮することで、運転状況に応じて、適切なタイミングで車間距離警報を発生させることができる。すなわち、車載器10は、一定台数以上の他車両92が自車両91周辺に位置する混雑状態のように、他車両92と接近する危険性が高まる場合には、警報発生のための閾値を大きく設定する。この結果、車載器10は、車間距離警報を通常の混雑緩和状態よりも、早いタイミングで発生させることができる。また、自車両91のドライバーの疲労度及び/又は不注意度が高まり、ブレーキをかける判断が遅れる可能性のある場合にも、閾値を大きく設定することで、車間距離警報を早いタイミングで発生させることができる。
【0064】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、上記実施形態では、車載器10が一連の処理の主体であったが、必要なデータを例えば送受信により取得することにより、処理の一部又は全部を事務所PC30又はサーバー80が行ってもよい。
【0065】
上記実施形態では、混雑度等に応じて閾値を変更し、前方車両との車間時間が変更後の閾値を下回るか否かに応じて、警報を発生させたが、車間時間、及び混雑度等に応じて設定された警報閾値に基づいて警報を発生するか否かを判定してもよい。例えば、警報閾値の設定に連動するように、前方車両との接近警戒度を設定し、前方車両との車間時間が、接近警戒度に応じて定められた閾値を超えるか否かに応じて警報を発生させるか否かを判定してもよい。
【0066】
ここで、上述した本発明に係る車載器及び車両警報装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[8]に簡潔に纏めて列記する。
【0067】
[1]車両(自車両91)に搭載された車載器(10)であって、
前記車両と同じ走行レーン(レーンL1)において前記車両の前方を走行する前方車両と、前記車両との距離を取得する距離取得部(CPU11、S11)と、
前記車両(91)の速度を取得する速度取得部(車速センサ51、CPU11、S12)と、
前記距離及び前記速度に基づいて、前記車両と前記前方車両との車間時間を計算する計算部(CPU11、S1、
図3)と、
前記車両の周辺を走行する周辺車両(車両92)を撮像した画像に基づき、前記車両の周囲の混雑度を判定する判定部(CPU11、S2、
図4)と、
警報発生のための閾値を、前記混雑度に応じて設定する閾値設定部(CPU11、S4、
図7)と、
前記車間時間及び前記閾値に基づいて、前記警報を発生するか否かを判定する警報判定部(CPU11、S5、
図8)と、を備える、
車載器(10)。
【0068】
上記[1]の構成の車載器によれば、車両の周囲の混雑度に応じて、車間距離警報発生のための閾値を設定するので、混雑度が高い場合には警報発生のための閾値を大きく設定し、前方車両との車間距離が通常よりも大きい、早いタイミングで、警報を発生できる。よって、混雑状態で自車両とその周辺を走行中の他車両との接近危険性が高まる場合においては、閾値が大きく設定されるので、他車両に割り込みをされて自車両の直前に突然他車両が現れた場合でも、早いタイミングで警報を発生できドライバーに注意喚起できる。
【0069】
[2]前記判定部は、前記画像に対する画像認識結果に基づいて、前記車両の周辺を走行する複数の前記周辺車両間の距離(D)を算出し(S23、S24、S25)、算出した前記周辺車両間の距離に応じて、前記混雑度を判定する、
上記[1]に記載の車載器。
【0070】
上記[2]の構成の車載器によれば、画像認識結果に基づいて算出した周辺車両間の距離に応じて、混雑度を判定できる。
【0071】
[3]前記判定部は、前記画像に対する画像認識結果に基づいて、検知可能範囲内に存在する前記周辺車両の数を計算し、前記数に応じて、前記混雑度を判定する(S29)、
上記[1]に記載の車載器。
【0072】
上記[3]の構成の車載器によれば、画像認識結果に基づいて計算した、周辺車両の数に応じて、混雑度を判定できる。
【0073】
[4]前記判定部は、前記混雑度が維持された時間を加味して、前記混雑度を判定する(S27、S31)、
上記[1]~[3]のいずれか一に記載の車載器。
【0074】
上記[4]の構成の車載器によれば、混雑度が維持された時間を加味して、混雑度を判定するので、例えば、一定時間以上継続して混雑していた場合に混雑度を高め、一定時間以上混雑が緩和されていた場合に混雑度を0と判定する。よって、実際の運転状況に合わせて、警報発生のための閾値を変更できる。
【0075】
[5]前記判定部は、前記車両のドライバーの疲労度及び不注意度の少なくともいずれか一方を算出し(S3、
図6)、
前記閾値設定部は、前記疲労度及び前記不注意度の少なくともいずれか一方を加味して、前記閾値を設定する(S52、S53)、
上記[1]~[4]のいずれか一に記載の車載器。
【0076】
上記[5]の構成の車載器によれば、混雑度に加えドライバーの状況を考慮して閾値を変更するので、ドライバー毎の運転状況に合わせて警報発生のための閾値を変更できる。
【0077】
[6]前記警報判定部は、前記警報を無効とするための無効フラグが、オンされてから一定時間が経過するまでは前記警報の判定を行わず、前記混雑度に応じて前記一定時間を延長し、延長された前記一定時間が経過した時点で前記警報の判定を行う(
図10)、
上記[1]~[5]のいずれか一に記載の車載器。
【0078】
上記[6]の構成の車載器によれば、無効フラグがオフされるまでの時間が混雑度に応じて延長されるので、例えば、混雑度が高く、自車両の努力により車間距離を離せない場合に、車間距離警報の不要な発生を防止できる。
【0079】
[7]車両(91)と同じ走行レーン(レーンL1)において前記車両の前方を走行する前方車両と、前記車両との距離を取得する距離取得部(CPU11、S11)と、
前記車両(91)の速度を取得する速度取得部(車速センサ51、CPU11、S12)と、
前記距離及び前記速度に基づいて、前記車両と前記前方車両との車間時間を計測する計算部(CPU11(画像認識部、センサであってもよい)、S1、
図3)と、
前記車両の周辺を走行する周辺車両(車両92)を撮像した画像に基づき、前記車両の周囲の混雑度を判定する判定部(CPU11、S2、
図4)と、
警報発生のための閾値を、前記混雑度に応じて設定する閾値設定部(CPU11、S4、
図7)と、
前記車間時間及び前記閾値に基づいて、前記警報を発生するか否かを判定する警報判定部(CPU11、S5、
図8)と、を備える、
車両警報装置(車載器10)。
【0080】
上記[7]の構成の車両警報装置によれば、車両の周囲の混雑度に応じて、車間距離警報発生のための閾値を設定するので、混雑度が高い場合には警報発生のための閾値を大きく設定し、前方車両との車間距離が通常よりも大きい、早いタイミングで、警報を発生できる。よって、混雑状態で、自車両と、その周辺を走行中の他車両との接近危険性が高まる場合においては、閾値が大きく設定されるので、他車両に割り込みをされて、自車両の直前に突然他車両が現れた場合でも、早いタイミングで警報を発生でき、ドライバーに注意喚起できる。
【0081】
[8]車両(自車両91)に搭載された車載器(10)であって、
前記車両と同じ走行レーン(レーンL1)において前記車両の前方を走行する前方車両と、前記車両との距離を取得する距離取得部(CPU11、S11)と、
前記車両(91)の速度を取得する速度取得部(車速センサ51、CPU11、S12)と、
前記距離及び前記速度に基づいて、前記車両と前記前方車両との車間時間を計算する計算部(CPU11、S1、
図3)と、
前記車両のドライバーの疲労度及び不注意度、並びに、前記車両の周辺を走行する周辺車両(車両92)を撮像した画像に基づく、前記車両の周囲の混雑度のうち、少なくともいずれか2つに基づいて、警報発生のための閾値を設定する閾値設定部(CPU11、S4、
図7)と、
前記車間時間及び前記閾値に基づいて、前記警報を発生するか否かを判定する警報判定部(CPU11、S5、
図8)と、を備える、
車載器(10)。
【0082】
上記[8]の構成の車載器によれば、道路の混雑度、並びに、ドライバーの疲労度及び不注意度を判断材料として、複合的に考慮することで、自車両周辺の混雑状況及びドライバーの状況を含む運転状況に応じて、適切なタイミングで車間距離警報を発生できる。
【符号の説明】
【0083】
1 運行管理システム
9 GPS受信部
10 車載器(車両警報装置)
11、31、81 制御部(CPU)
15 ビーコン受信部
23A、23B 車載カメラ
24、32、82 通信部
26A 不揮発メモリ
26B 揮発メモリ
27、33 表示部
28 Gセンサ
30 事務所PC
34、83 記憶部
36 操作部
65 記録媒体
70 ネットワーク
71 基地局
80 サーバー
85 データベース(DB)