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特開2023-119303料金算出装置および料金算出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119303
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】料金算出装置および料金算出システム
(51)【国際特許分類】
   G07B 13/00 20060101AFI20230821BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230821BHJP
   G07B 15/02 20110101ALI20230821BHJP
【FI】
G07B13/00 H
G06Q50/30
G07B15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022119
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 克充
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA19
3E127BA06
3E127CA31
3E127CA38
3E127CA47
3E127CA50
3E127CA59
3E127EA02
3E127EA33
3E127FB06
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】タクシーの需給変動に合わせて適切な割増運賃や割引運賃の適用を容易にすること。
【解決手段】タクシーの利用者がサーバ31でタクシーを予約するような場合に、サーバ31が利用者に提示する事前確定料金に乗車場所のエリアや時間帯に対応する繁忙、閑散の状況を反映した割増、割引料金を適用可能にする。サーバ31は、営業記録データベースDB1に事前に蓄積された過去のデータをエリア別、時間帯別で統計処理して繁忙度合データをデータベースDB2に登録する。更に、繁忙度合に応じた料金補正係数をエリア別、時間帯別で割り当てたデータベースDB3を利用する。利用者の予約時などにサーバ31が事前確定料金を算出する際にエリア、時間帯に該当する料金補正係数の割増、割引料金を適用する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも事前に蓄積された過去の車両の営業記録データを需給動向について統計処理した結果として、車両の走行エリア毎、及び走行時間帯毎の少なくとも一方について複数に層別区分された繁忙状況、又は閑散状況を表す運賃補正データを保持する補正データ保持部と、
少なくともユーザからタクシーの予約を受け付ける際に、ユーザから指定された乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを取得する補正データ取得部と、
少なくともユーザからタクシーの予約を受け付ける際に、ユーザから指定された乗車場所および降車場所に基づいて算出したタクシー車両の予想走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出した運賃を事前確定料金としてユーザに提示する運賃提示部と、
を備える料金算出装置。
【請求項2】
タクシー車両と、
前記タクシー車両を管理するサーバと、を有し、
前記サーバは、
少なくとも事前に蓄積された過去の車両の営業記録データを需給動向について統計処理した結果として、車両の走行エリア毎、及び走行時間帯毎の少なくとも一方について複数に層別区分された繁忙状況、又は閑散状況を表す運賃補正データを保持する補正データ保持部と、
少なくともタクシー利用者のユーザ端末から前記タクシー車両の予約を受け付ける際に、前記ユーザ端末から指定された乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを取得する補正データ取得部と、
少なくとも前記ユーザ端末から前記タクシー車両の予約を受け付ける際に、前記ユーザ端末から指定された乗車場所および降車場所に基づいて算出した前記タクシー車両の予想走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出した運賃を事前確定料金としてユーザに提示する運賃提示部と、
を備える料金算出システム。
【請求項3】
前記タクシー車両に搭載された車載器を含み、
前記車載器は、
乗客の乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを前記サーバから取得する車載補正データ取得部と、
前記乗客の乗車場所および降車場所に基づいて算出した前記タクシー車両の走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出した運賃を前記乗客に提示する車載運賃提示部と、
を備える、請求項2に記載の料金算出システム。
【請求項4】
前記タクシー車両に搭載された車載器を含み、
前記車載器は、
事前に予約したユーザが乗客として乗車した場合に、当該ユーザの予約状況を前記サーバと通信して確認する予約確認部を有する、
請求項2又は請求項3に記載の料金算出システム。
【請求項5】
前記運賃提示部は、前記運賃補正データを適用して運賃の割り増し又は割引を行う際に、事前確定料金と共に繁忙又は閑散の状況を表す情報をユーザに提示する、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の料金算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーを予約する場合やタクシーに乗車する場合などに利用可能な料金算出装置および料金算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タクシーにおいては、車両外部に設置されたサーバを利用して運賃算出などの処理を行うことが試みられている。
例えば、特許文献1は、タクシー運転手の負担を軽減、あるいは不要にするためのタクシーメータシステムを開示している。具体的には、無人タクシー車両に搭載されたタクシーメータ車載器と、外部サーバとを無線通信により運行中は常時接続する。タクシーメータ車載器は、乗客の乗降などの状態を検知し、乗客の指定した行き先、現在地の位置情報などを外部サーバに送信する。外部サーバは、タクシーメータの空車、実車、支払い等の状態の自動切り替え、料金の算出、料金の確定などの処理を実施する。タクシーメータ車載器は、外部サーバの指示に従って、料金の表示、料金の確定や決済を実施する。外部サーバは、各車両の異常を検知して自動的に対処する。更に、各地点の乗車需要の高低を予想して空車状態の車両を効率的に配車する。更に、乗客に応じて適切な商業施設情報を提供する。
【0003】
また、特許文献2は、目的地到着時に、タクシー運転手の負担を軽減、あるいは不要にするためのタクシーメータシステムを開示している。具体的には、タクシーが目的地に到着したときに、システムが乗客に対して到着したことを音声等を用いて報知する。タクシーが目的地に到着したときに、システムが運賃の金額を確定し、この金額を乗客のスマートフォン等に通知する。乗客のスマートフォン等と車載決済端末との通信により、クレジットカード等を用いて運賃の電子決済を行う。決済が正常に完了したことをシステムが認識すると、領収書を発行し、車両ドアを解錠制御して乗客が降車できる状態にする。無線通信によりタクシーメータ車載器と外部サーバとを接続し、目的地までの経路の算出や、距離および時間に応じた運賃の算出を外部サーバ側で行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-128842号公報
【特許文献2】特開2019-20984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タクシー会社等が保有しているタクシー車両の台数や乗務員の数はあまり変化しないが、タクシーを利用する利用者の数は、場所、季節、時間帯などの違いに応じて変動する。つまり、タクシー業界においては、タクシーの需要と供給のバランスが状況に応じて大きく変化し、繁忙状態と閑散状態とが存在する。
【0006】
一方、繁忙状態、閑散状態とは無関係にタクシーの運賃は一定であることが一般的である。つまり、タクシー会社毎に事前に定めた料金制と、走行距離、走行時間などに応じて定まる運賃が乗客に提示される。
【0007】
なお、例えば国土交通省はタクシーの利便性向上を目的として、ダイナミックプライシングをタクシーの運賃に適用することを実験的に行いつつある。しかし、ダイナミックプライシングの実用化などは今後の課題である。
【0008】
例えば、繁忙状態のエリアにおいては、タクシーへの乗車を希望している利用者の数が多いにもかかわらず乗車可能なタクシー車両の台数は増えない。そのため、利用者側はタクシーへの乗車が困難になる場合が多くなる。
【0009】
また、タクシー車両の運転手は、仮に閑散状態のエリアで営業している時に別の特定エリアが繁忙状態であることを示す情報を入手できたとしても、その特定エリアまでの距離が長かったり、その特定エリアの道路をよく知らないような場合は余分な手間がかかりモチベーションが上がらないので、積極的に特定エリアまで移動して営業する状況にはなりにくい。したがって、繁忙状態のエリアで運行するタクシー車両の数を増やすことが難しい。
【0010】
一方、閑散状態のエリアにおいては、利用可能なタクシー車両の数に比べて実際にタクシーを利用する利用者の数が少ないので、各タクシー車両は、利用者が現れるまで空車状態で長い間待機しなければならず、営業収入を増やすことが難しい。
【0011】
また、閑散状態のエリアであっても、潜在的なタクシーの利用者は存在すると考えられる。例えば、現在のタクシー運賃よりも低い運賃で乗車できるのであれば、潜在的なタクシー利用者が実際にタクシーを利用する状態になり、タクシー需要を増やすことができる。しかし、実際のタクシー運賃は一定であるので、潜在的なタクシー利用者によりタクシー需要を喚起することはできない。
【0012】
一方、ダイナミックプライシングをタクシーの運賃に適用し、運賃を可変にしようとする場合には、適切な運賃の決定が難しい。例えば、繁忙状態のエリアで高すぎる割増運賃を適用すると、タクシー利用者の数が急速に減少する可能性がある。また、閑散状態のエリアで安すぎる割引運賃を適用すると、タクシー利用者の数が増えるものの、タクシー車両毎の営業収益を増やすことができなくなる。
【0013】
特に、実際の繁忙状態又は閑散状態の程度に合わせて適切に割増運賃や割引運賃を決めないと、ダイナミックプライシングにより得られる効果よりもデメリットの方が増える可能性がある。しかし、各タクシー事業者が実際の繁忙状態又は閑散状態の程度を正しく把握して適切な運賃を決定することは困難である。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タクシーの需給変動に合わせて適切な割増運賃や割引運賃を決めることが容易な料金算出装置および料金算出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
【0016】
少なくとも事前に蓄積された過去の車両の営業記録データを需給動向について統計処理した結果として、車両の走行エリア毎、及び走行時間帯毎の少なくとも一方について複数に層別区分された繁忙状況、又は閑散状況を表す運賃補正データを保持する補正データ保持部と、
少なくともユーザからタクシーの予約を受け付ける際に、ユーザから指定された乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを取得する補正データ取得部と、
少なくともユーザからタクシーの予約を受け付ける際に、ユーザから指定された乗車場所および降車場所に基づいて算出したタクシー車両の予想走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出した運賃を事前確定料金としてユーザに提示する運賃提示部と、
を備える料金算出装置。
【0017】
タクシー車両と、
前記タクシー車両を管理するサーバと、
を有し、前記サーバは、
少なくとも事前に蓄積された過去の車両の営業記録データを需給動向について統計処理した結果として、車両の走行エリア毎、及び走行時間帯毎の少なくとも一方について複数に層別区分された繁忙状況、又は閑散状況を表す運賃補正データを保持する補正データ保持部と、
少なくともタクシー利用者のユーザ端末から前記タクシー車両の予約を受け付ける際に、前記ユーザ端末から指定された乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを取得する補正データ取得部と、
少なくとも前記ユーザ端末から前記タクシー車両の予約を受け付ける際に、前記ユーザ端末から指定された乗車場所および降車場所に基づいて算出した前記タクシー車両の予想走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出した運賃を事前確定料金としてユーザに提示する運賃提示部と、
を備える料金算出システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明の料金算出装置および料金算出システムによれば、タクシーの需給変動に合わせて適切な割増運賃や割引運賃を決めることが容易になる。すなわち、事前に蓄積された過去の車両の営業記録データの統計処理により得られた需給動向が繁忙状況、又は閑散状況を表す運賃補正データとして保持されているので、繁忙状態や閑散状態のエリアや時間帯を把握して運賃に適切に反映することが可能になる。
【0019】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態に係る料金算出システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、サーバにおける機能上の主要な構成要素を示すブロック図である。
図3図3は、ソフトメータにおける機能上の主要な構成要素を示すブロック図である。
図4図4は、営業実績を繁忙度合について統計処理する動作の詳細を示すフローチャートである。
図5図5は、サーバが事前確定料金を算出する場合の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、システム全体の動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る料金算出システム100の構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示した料金算出システム100は、タクシー車両25上に搭載されたソフトメータ10と、データセンタ等に設置されたサーバ31とを備えている。勿論、ソフトメータ10の代わりに一般的なタクシーメータを利用することも可能である。
【0024】
また、タクシー車両25を利用する各タクシー利用者40A、40Bは、例えば予約の際にユーザ端末41、42を利用してサーバ31と通信することができる。ユーザ端末41、42としては、例えば一般的なスマートフォンのような携帯端末や、パーソナルコンピュータ(PC)を利用できる。
【0025】
ソフトメータ10は、タクシー車両に搭載される一般的なタクシーメータと同等の機能を果たすことが可能な装置である。但し、タクシーメータは計量法の規制対象となる特定計量器に該当するのに対し、ソフトメータ10は現時点では特定計量器に該当しない。
【0026】
具体的には、タクシーメータは距離の実測値を計量するために、車輪などの回転部の円周の長さの積算によって長さを計量する。一方、ソフトメータ10は、GPSのような全地球航法衛星システム(GNSS)を利用して特定した車両の位置情報に基づいて距離を算出し、その距離に基づいてタクシーの運賃を特定する。
【0027】
図1のソフトメータ10は、制御部(CPU)11、インタフェース(I/F)12、料金制情報保持部13、インタフェース14、操作ボタン部15、慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)16、メモリユニット17、タッチパネル18、表示器19、及びインタフェース20を備えている。
【0028】
また、GPS受信機21がインタフェース12を介して制御部11と接続され、ETC車載器22がインタフェース14を介して制御部11と接続され、外部機器入力装置24がインタフェース20を介して制御部11と接続され、LTE通信モジュール23が制御部11と接続されている。
【0029】
制御部11は、例えばマイクロコンピュータを主体とする電子回路により構成され、予め用意されたプログラムを実行することにより、ソフトメータ10に必要とされる機能を実現するための制御を実施する。
【0030】
GPS受信機21は、複数(3以上)のGPS衛星から到来する電波の信号を受信して、受信した信号の時間に基づいて、現在位置を表す緯度/経度の算出、すなわち測位を行うことができる。したがって、所定数以上の衛星からの電波を同時に受信できる通常の状態であれば、GPS受信機21は正しい現在位置を特定できる。
【0031】
GPS受信機21が定期的に(例えば1秒毎)検出した位置情報は、インタフェース12を介して制御部11に入力される。また、GPS受信機21が測位中か否かを表す情報も、位置情報と共に制御部11に入力される。
【0032】
料金制情報保持部13は、読み出し専用メモリ(ROM)などにより構成され、事前に定めた料金制のデータを保持している。例えば、事前に定めた基本料金の金額、単位走行距離、単位走行距離あたりの増額運賃、単位時間の長さ、単位時間あたりの増額運賃のようなデータが料金制情報保持部13に保持されている。
【0033】
ETC車載器22は、例えば、高速道路あるいは有料道路上の路側装置(図示せず)との間で、路車間の無線通信を行う。この無線通信によりETC車載器22は、路側装置との間で通行料金の精算に必要な情報(タクシー車両の車種情報、ETCカードの番号、入口料金所、出口料金所、通行料金など)を交換する。
【0034】
操作ボタン部15は、ソフトメータ10の前面に配置され、タクシー車両25の運転手が操作可能な「空車」、「実車」、「支払」などのボタンを備えている。制御部11は、操作ボタン部15の各ボタンの状態を読み取り、一般的なタクシーメータの場合と同様に「空車」、「実車」、「支払」などの状態およびその変化を把握できる。
【0035】
慣性計測ユニット16は、3軸方向の加速度を検出するジャイロセンサや、3軸方向の回転角加速度を検出するセンサを内蔵している電子デバイスである。制御部11は、慣性計測ユニット16が計測した結果を利用して、自車両の運動量を算出することが可能である。したがって、例えばGPS受信機21の測位ができないときに、慣性計測ユニット16の計測結果から自車両の現在位置の推定値を得ることも可能である。
【0036】
メモリユニット17は、RAM(ランダムアクセスメモリ)及びROMを内蔵している。メモリユニット17内のRAMは、様々なデータを制御部11が一時的に格納するために利用される。メモリユニット17内のROMは、制御部11が使用可能な予め用意されたプログラム、定数データ、予め用意されたテーブルなどを保持している。
【0037】
タッチパネル18は、表示器19の画面上に表示されたタッチボタンに対するユーザ(運転手や乗客)のタッチ装置を制御部11が読み取るために利用できる。
表示器19は、例えば液晶表示器(LCD)により構成され、「空車」、「実車」、「支払」などのタクシーの状態、運賃、入力操作に必要な数字や文字などの情報を運転手や乗客に見える状態で表示することができる。表示器19はソフトメータ10の前面に配置されている。
【0038】
LTE通信モジュール23は、ソフトメータ10の制御部11がLTE網33を利用してサーバ31と接続しデータ通信するための装置である。
外部機器入力装置24は、例えば、カメラ、テンキー、磁気カードリーダ、ICカードリーダ等を有する外付け端末である。この外付け端末は、例えばQRコード(登録商標)の読み取りや、クレジットカード、電子マネーカード等による賃走料金の精算の際に利用する。
【0039】
一方、サーバ31は、インターネット32を介してLTE網33と接続されている。タクシー車両25に搭載されたソフトメータ10、及び各ユーザ端末41、42は、LTE通信モジュール23を利用して無線通信によりサーバ31と接続することができる。
【0040】
図1に示したサーバ31は、特徴的な機能としてダイナミックプライシングを実現するための機能を備えている。具体的には、タクシー車両25の運賃を算出する際に、エリアの違いや時間帯の違いに応じた繁忙状況に合わせて、割増料金や割引料金を適用するための機能を有している。
【0041】
例えば、タクシー利用者40Aがタクシー車両25を予約する際に、サーバ31は、事前確定料金を利用者に提示できる。この事前確定料金を算出する際に、乗降地のエリアや乗車する時間帯を考慮してダイナミックプライシングを適用することができる。
【0042】
実際には、サーバ31は、過去の実績である営業記録のデータベース(DB)DBAを蓄積し保持している。したがって、過去の実績を統計処理することで、乗降地のエリアや乗車する時間帯毎に層別化した繁忙状況を処理済みデータベースDBBを構築することができる。サーバ31は、処理済みデータベースDBB上の繁忙状況を事前確定料金などに反映することができる。
【0043】
図2は、サーバ31における機能上の主要な構成要素を示すブロック図である。
図2に示したサーバ31は、営業記録データベースDB1、繁忙度合データベースDB2、補正係数データベースDB3、及びタクシー予約データベースDB4を有している。
【0044】
図2中の営業記録データベースDB1は、図1中の営業記録DBAに相当する。ソフトメータ10又は通信可能なタクシーメータを搭載している各タクシー車両25は、営業を行う毎に、あるいは営業日単位で営業の実績データをサーバ31に送信する。サーバ31は、各タクシー車両25からの営業実績データを収集して営業記録データベースDB1に蓄積する(S11)。
【0045】
営業記録データベースDB1が蓄積した営業実績データの中には、営業毎の乗降地点の緯度/経度、乗降時の日付、曜日、時間(時分秒)、走行距離、運賃などの情報が含まれている。
【0046】
サーバ31は、例えば1日毎の定期的な処理、1週間毎の処理、1ヶ月毎の処理などにおいて、営業記録データベースDB1に蓄積されている過去のデータを用いて統計処理を行い(S12)、エリア別、および時間帯別に層別化された繁忙度合データを生成する。この処理の詳細については後で説明する。この繁忙度合データが繁忙度合データベースDB2に保持され管理される。具体的には、それぞれのエリア(例えば〇駅から〇km以内)においてそれぞれの時間帯(例えば〇曜日〇時~〇時)が繁忙であるかの度合を表すデータが繁忙度合データベースDB2に蓄積される。この繁忙度合データベースDB2は、図1中の処理済みデータベースDBBに相当する。
【0047】
また、サーバ31は、エリア別、および時間帯別に層別化された繁忙度合データのそれぞれに対して、繁忙度合に応じた料金補正係数を割り当てる(S13)。この料金補正係数は補正係数データベースDB3に登録され保持される。したがって、繁忙度合データベースDB2上のエリア別、および時間帯別の各項目は、補正係数データベースDB3上の各料金補正係数と紐付けされている。なお、補正係数データベースDB3のデータを繁忙度合データベースDB2の中に含めても良い。
【0048】
また、サーバ31は、各タクシー利用者40A、40Bからタクシー予約を受け付けるための予約機能(S15)を有している。具体的には、予め所定のアプリケーションソフトウェア(アプリ)を組み込んだ各ユーザ端末41、42からサーバ31へのアクセスに対して、サーバ31は、タクシーを利用するための回数券やタクシーチケットを発行することができる。
【0049】
例えば、利用者が乗車地、降車地、乗車時間などを指定すると、サーバ31は、事前確定料金を利用者に提示して、該当する回数券やタクシーチケットを発行する。サーバ31が発行した回数券やタクシーチケットは、個別に割り当てられた番号により管理され、例えばそれぞれ異なるQRコードが割り当てられる。利用者は、ユーザ端末41、42により回数券やタクシーチケットのQRコードを取得できる。
【0050】
サーバ31が発行した回数券やタクシーチケットの情報は、タクシー予約データベースDB4に登録されて管理される。利用者がタクシー車両25に乗車してユーザ端末41で回数券やタクシーチケットのQRコードを提示すると、ソフトメータ10に接続された外部機器入力装置24がQRコードを読み取る。ソフトメータ10は、読み取ったQRコードの回数券やタクシーチケットをサーバ31に問い合わせる。サーバ31は、タクシー予約データベースDB4に登録された予約情報を参照して、回数券やタクシーチケットの認証を実施する(S16)ことができる。
【0051】
図3は、ソフトメータ10における機能上の主要な構成要素を示すブロック図である。
【0052】
図3に示した例では、ソフトメータ10は乗降地点情報取得部51、時間帯特定部52、補正係数取得部53、通信部54、事前確定料金算出部55、運賃提示部56、及び予約コード認証部57を備えている。
【0053】
乗降地点情報取得部51は、例えばタクシー車両25の運転手が「実車」ボタンを操作した時にGPS受信機21から取得した最新の車両位置の緯度/経度を乗車地点の位置として取得する。また、例えばタクシー車両25の運転手が「支払」ボタンを操作した時にGPS受信機21から取得した最新の車両位置の緯度/経度を降車地点の位置として取得する。或いは、例えば乗客が指定した地図上の目的地の位置を降車地点の位置として取得する。
【0054】
時間帯特定部52は、例えばGPS受信機21から取得した最新の現在時刻、日付、曜日等の時間情報に基づいて時間帯を特定する。
補正係数取得部53は、乗降地点情報取得部51が取得した乗降地点の情報と、時間帯特定部52が取得した時間帯の情報とに基づき、繁忙度合いに応じた運賃の補正係数を取得する。具体的には、乗降地点および時間帯の情報を通信部54を介してサーバ31に送信し、サーバ31から補正係数を取得する。
【0055】
事前確定料金算出部55は、料金制情報保持部13が保持している料金制の情報と、道路地図上で算出される乗降地点間の距離と、補正係数取得部53が取得した補正係数とに基づいて事前確定料金を算出する。或いは、一定時間毎に検出される位置情報の変化に基づいて乗車地点からの走行距離を逐次計測し、その距離と料金制情報保持部13が保持している料金制の情報と、補正係数取得部53が取得した補正係数とに基づいて通常のタクシー料金をリアルタイムで算出する。
【0056】
運賃提示部56は、事前確定料金算出部55が算出した事前確定料金、通常のタクシー料金、又は利用者が事前に予約した際に確定した事前確定料金を、利用者および運転手が視認できるように表示器19で表示する。
【0057】
予約コード認証部57は、利用者が提示したタクシーの回数券やタクシーチケットの予約コード(例えばQRコード)を外部機器入力装置24で読み取って、利用可能な正規の予約コードか否かを認証する。実際には、予約コード認証部57は、通信部54を介してサーバ31との間で通信を行い、事前に登録された予約コードと一致するかどうかをサーバ31に問い合わせる。また、予約の際に確定した事前確定料金がサーバ31に登録されている場合には、予約コード認証部57は、その事前確定料金の情報をサーバ31から取得する。
【0058】
図4は、営業実績を繁忙度合について統計処理する動作の詳細を示すフローチャートである。すなわち、サーバ31による図2中の処理S12の具体例が図4に示されている。図4の動作について以下に説明する。
【0059】
サーバ31は、営業記録データベースDB1が蓄積している過去の営業記録の中から一定期間の範囲のデータをS21で取得する。例えば、その時点から過去1ヶ月、又は2ヶ月分の営業記録を抽出し取得する。
【0060】
サーバ31は、S21で取得した範囲の全データを、曜日毎、時間帯毎に区分する(S22)。
サーバ31は、S22で区分したデータに基づいて、曜日毎、時間帯毎に「実車開始」の記録が多いエリアをS23で抽出する。例えば、鉄道の各駅のように人の通行が多い特徴的な地点からの半径が一定距離(例えば1km、2km)の円形範囲内としてそれぞれの営業記録のエリアを特定する。
【0061】
サーバ31は、S23で抽出したエリアの営業記録について、平均実車開始回数をエリア毎に算出する(S24)。
サーバ31は、S23で抽出したエリアの営業記録について、平均空車台数をエリア毎に算出する(S25)。なお、当該エリアで営業しているタクシー事業者の営業台数を平均空車台数の代わりにS25で採用してもよい。
【0062】
サーバ31は、時間帯別の実車率をS26でそれぞれ算出する。
実車率=実車台数/(実車台数+空車台数)
サーバ31は、S26で算出した実車率をS27で閾値(例えば90%)と比較して、エリア毎のそれぞれの時間帯について、繁忙状況を識別する。なお、S27で比較する閾値については必要に応じて変更できる。
【0063】
サーバ31は、実車率が閾値以上の条件に該当する時間帯、及びエリアを「繁忙」の状況として認識する(S28)。また、「繁忙」の状況に該当しない時間帯、及びエリアは「閑散」の状況として認識する(S29)。
【0064】
サーバ31は、図4中のS28、S29で認識した結果を図2中に示した繁忙度合データベースDB2に登録する。つまり、エリア別、時間帯別の繁忙度合を表すデータが、繁忙度合データベースDB2に登録される。
【0065】
また、繁忙度合データベースDB2に登録されたエリア別、時間帯別の繁忙度合に合わせた料金補正係数が、図2中のS13でエリア別、時間帯別に割り当てられ、補正係数データベースDB3に登録される。
【0066】
図5は、サーバ31が事前確定料金を算出する場合の動作を示すフローチャートである。すなわち、サーバ31による図2中に示した処理S14の具体的な動作例が図5に示されている。図5の動作について以下に説明する。
【0067】
例えばタクシー利用者40Aが予約を行う際に、予約するタクシーの乗車場所および乗車時間を指定すると、その情報がサーバ31に入力される。そしてサーバ31は入力された乗車場所および乗車時間をS31で読み取り次のS32の処理に進む。
【0068】
サーバ31は、S32で繁忙度合データベースDB2を検索し、S31で指定された乗車場所および乗車時間が、繁忙状態の時間帯・エリアに該当するか否か、或いは当該時間帯・エリアにおける繁忙の程度を識別する。
【0069】
指定された乗車場所および乗車時間が繁忙状態の時間帯・エリアに該当する場合には、サーバ31は、その時間帯・エリアに割り当てられた割増料金用の料金補正係数を、補正係数データベースDB3から読み出して今回の料金算出用のパラメータとしてセットする(S33)。
【0070】
また、割増料金用の料金補正係数を適用する場合には、サーバ31は、今回の料金算出対象のエリア・時間帯が「繁忙エリア・時間帯」に該当することを利用者に対して通知する(S34)。例えば、サーバ31は、ユーザ端末41上で動作しているアプリの画面上に「繁忙エリア・時間帯」のメッセージを表示したり、音声出力のメッセージによりアナウンスするように制御する。或いは、サーバ31、又はソフトメータ10は、タクシー車両25に乗車した乗客に対して、ソフトメータ10が「繁忙エリア・時間帯」に該当することを示すメッセージを表示したり、音声出力のメッセージによりアナウンスするように制御する。
【0071】
一方、指定された乗車場所および乗車時間が繁忙状態以外(閑散状態)の時間帯・エリアに該当する場合には、サーバ31は、その時間帯・エリアに割り当てられた割引料金用の料金補正係数を、補正係数データベースDB3から読み出して今回の料金算出用のパラメータとしてセットする(S35)。
【0072】
また、割引料金用の料金補正係数を適用する場合には、サーバ31は、今回の料金算出対象のエリア・時間帯が「閑散エリア・時間帯」に該当することを利用者に対して通知する(S36)。例えば、サーバ31は、ユーザ端末41上で動作しているアプリの画面上に「閑散エリア・時間帯」のメッセージを表示したり、音声出力のメッセージによりアナウンスするように制御する。或いは、サーバ31、又はソフトメータ10は、タクシー車両25に乗車した乗客に対して、ソフトメータ10が「閑散エリア・時間帯」に該当することを示すメッセージを表示したり、音声出力のメッセージによりアナウンスするように制御する。
【0073】
例えばタクシー利用者40Aが予約を行う際に、予約するタクシーの降車場所、すなわち目的地を指定すると、その情報がサーバ31に入力される。そしてサーバ31は、入力された降車場所をS37で読み取り次のS38の処理に進む。
【0074】
サーバ31は、S31で指定された乗車場所と、S37で指定された降車場所との間の距離をS38で算出する。例えば、道路地図のデータベース上で乗車場所の地点から降車場所の地点まで道路上を走行して移動する場合の予定経路を探索し、予定経路上の走行距離を求める。
【0075】
サーバ31は、事前に定めたタクシーの料金制と、S38で求めた予定走行距離とに基づいて事前確定料金を算出すると共に、S33又はS35でセットした料金補正係数を加味して最終的な料金をS39で算出する。勿論、走行距離だけでなく所要時間の長さも料金に反映する。
【0076】
サーバ31は、S39で算出した料金をS40で利用者に提示する。例えば、タクシー利用者40Aが予約によりタクシーの回数券やタクシーチケットを購入する際に、サーバ31が事前確定料金として算出された回数券やタクシーチケットの金額をユーザ端末41に出力してタクシー利用者40Aが購入前に確認できるようにする。
【0077】
図6は、システム全体の動作例を示すシーケンス図である。図6に示した動作について以下に説明する。
【0078】
ユーザ、すなわちタクシー利用者40A、40Bは、ユーザ端末41、42を用いてインターネット32を経由してサーバ31と接続し、サーバ31の通信サービスを利用することができる。具体的には、タクシーの回数券やタクシーチケットをサーバ31から購入してタクシー利用の予約をすることができる(S51)。
【0079】
ユーザがタクシー予約手続きを行う際に、乗車場所、降車場所、曜日、時間帯などを指定した場合には、サーバ31は、例えば図5に示した処理を実行することで事前確定料金の金額を決めることができる。サーバ31は、決めた事前確定料金の金額をユーザに提示する(S52)。
【0080】
ユーザが事前確定料金の金額を確認し、回数券やタクシーチケットの購入手続きを実行すると、サーバ31は、当該ユーザの予約を受け付けて回数券又はタクシーチケットの固有の予約コードを発行し、タクシー予約データベースDB4に登録する(S53)。
回数券又はタクシーチケットを購入したユーザは、サーバ31の発行した予約コードをユーザ端末41、42で受け取る。
【0081】
一方、事前に回数券又はタクシーチケットを購入したユーザが実際にタクシー車両25に乗車したときに、ユーザは、事前に取得した予約コードをユーザ端末41で提示する(S55)。例えば予約コードがQRコードの場合には、タクシー車両25に搭載されたソフトメータ10等の車載器は、外部機器入力装置24のカメラを用いてユーザ端末41の画面に表示された画像を撮影し、QRコードを読み取る(S56)。
【0082】
ソフトメータ10は、ユーザ端末41から読み取った予約コードが利用可能な正規のコードであることを確認するために、LTE通信モジュール23を利用してサーバ31と接続し、認証の問い合わせを実施する。
【0083】
サーバ31は、タクシー予約データベースDB4を検索して、ソフトメータ10からの問い合わせのあった予約コードの認証処理を実行する(S58)。予約コードの認証に成功した場合には、当該予約コードに紐付けられた回数券又はタクシーチケットの情報をタクシー予約データベースDB4から取得できるので、サーバ31は、その情報をソフトメータ10に通知する。
【0084】
ソフトメータ10は、予約コードの認証結果をサーバ31から受け取り、回数券又はタクシーチケットの情報を把握する。ソフトメータ10が事前確定料金の情報をサーバ31から受け取った場合は、ソフトメータ10は、その金額をユーザに提示する(S57)。
【0085】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0086】
例えば、上述の料金算出システム100においては、利用者がタクシーを事前予約する際にサーバ31が提示する事前確定料金に過去の営業実績から予想される繁忙状況を反映した料金の割増や割引を適用する場合を想定しているが、予約時に料金を確定せずに予約だけを行うことも可能である。
【0087】
その場合は、利用者の乗降地点や乗降時間帯の予定が確定してなくても、料金の割増や割引が適用される可能性があることや、料金の割増や割引が適用されるエリア、時間帯、割増/割引の程度などの条件をサーバ31等が予約時に利用者に提示することも想定される。
【0088】
また、その場合はサーバ31との通信が可能なソフトメータ10をタクシー車両25に搭載することで、事前に予約した乗客に対してエリア及び時間帯の繁忙状況に応じた料金の割増や割引を適用可能になる。
【0089】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る料金算出システムの特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 少なくとも事前に蓄積された過去の車両の営業記録データ(営業記録データベースDB1)を需給動向について統計処理した結果として、車両の走行エリア毎、及び走行時間帯毎の少なくとも一方について複数に層別区分された繁忙状況、又は閑散状況を表す運賃補正データを保持する補正データ保持部(補正係数データベースDB3)と、
少なくともユーザからタクシーの予約を受け付ける際に、ユーザから指定された乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを取得する補正データ取得部(S33、S35)と、
少なくともユーザからタクシーの予約を受け付ける際に、ユーザから指定された乗車場所および降車場所に基づいて算出したタクシー車両の予想走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出(S39)した運賃を事前確定料金としてユーザに提示する運賃提示部(S15、S40)と、
を備える料金算出装置(サーバ31)。
【0090】
上記[1]の構成の料金算出装置によれば、タクシーを予約するユーザに対して、エリア毎、走行時間帯毎に想定される繁忙状況、又は閑散状況を反映した割増/割引料金を適用した事前確定料金を提示することが可能になる。しかも、事前に蓄積された過去の車両の営業記録データから想定される需給動向を割増/割引料金に反映できるので、実際の繁忙状況、又は閑散状況を常時監視する必要がない。したがって、サーバにおける処理の負荷を大きくすることなく、適切なダイナミックプライシングの適用が可能になる。また、繁忙時に割増料金を適用することで、タクシー運転手のモチベーションを高めることができ、その結果として繁忙状態を早期に解消する効果も得られる。また、閑散時に割引料金を適用することで、タクシーの新規顧客の需要を喚起し、閑散状態を早期に解消する効果が得られる。
【0091】
[2] タクシー車両(25)と、
前記タクシー車両を管理するサーバ(31)と、を有し、
前記サーバは、
少なくとも事前に蓄積された過去の車両の営業記録データ(営業記録データベースDB1)を需給動向について統計処理した結果として、車両の走行エリア毎、及び走行時間帯毎の少なくとも一方について複数に層別区分された繁忙状況、又は閑散状況を表す運賃補正データを保持する補正データ保持部(補正係数データベースDB3)と、
少なくともタクシー利用者のユーザ端末から前記タクシー車両の予約を受け付ける際に、前記ユーザ端末から指定された乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを取得する補正データ取得部(S33、S35)と、
少なくとも前記ユーザ端末から前記タクシー車両の予約を受け付ける際に、前記ユーザ端末から指定された乗車場所および降車場所に基づいて算出した前記タクシー車両の予想走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出した運賃を事前確定料金としてユーザに提示する運賃提示部(S15、S40)と、
を備える料金算出システム(100)。
【0092】
上記[2]の構成の料金算出システムによれば、タクシーを予約するユーザに対して、エリア毎、走行時間帯毎に想定される繁忙状況、又は閑散状況を反映した割増/割引料金を適用した事前確定料金を提示することが可能になる。しかも、事前に蓄積された過去の車両の営業記録データから想定される需給動向を割増/割引料金に反映できるので、実際の繁忙状況、又は閑散状況を常時監視する必要がない。したがって、サーバにおける処理の負荷を大きくすることなく、タクシー車両における適切なダイナミックプライシングの適用が可能になる。
【0093】
[3] 前記タクシー車両に搭載された車載器(ソフトメータ10)を含み、
前記車載器は、
乗客の乗車場所および乗車時間帯の少なくとも一方に基づいて適切な前記運賃補正データを前記サーバから取得する車載補正データ取得部(補正係数取得部53)と、
前記乗客の乗車場所および降車場所に基づいて算出した前記タクシー車両の走行距離と、事前に定めた料金体系と、前記補正データ取得部が取得した前記運賃補正データとに基づいて算出した運賃を前記乗客に提示する車載運賃提示部(事前確定料金算出部55、運賃提示部56)と、
を備える、上記[2]に記載の料金算出システム。
【0094】
上記[3]の構成の料金算出システムによれば、事前にタクシーを予約した乗客や、予約なしでタクシー車両に乗車した乗客のタクシー料金について、適切なダイナミックプライシングを適用することが可能になる。
【0095】
[4] 前記タクシー車両に搭載された車載器(ソフトメータ10)を含み、
前記車載器は、
事前に予約したユーザが乗客として乗車した場合に、当該ユーザの予約状況を前記サーバと通信して確認する予約確認部(予約コード認証部57)を有する、
上記[2]又は[3]に記載の料金算出システム。
【0096】
上記[4]の構成の料金算出システムによれば、事前に予約したユーザが乗客としてタクシー車両に乗車した場合に、タクシー運転手や乗客は、車載器を利用して該当するユーザの予約状況を確認できる。したがって、例えば予約時にユーザが確認した事前確定料金と、実際にタクシーに乗車した際に提示される料金との間に不整合が生じる可能性を抑制できる。
【0097】
[5] 前記運賃提示部は、前記運賃補正データを適用して運賃の割り増し又は割引を行う際に、事前確定料金と共に繁忙又は閑散の状況を表す情報をユーザに提示する(S34、S36)、
上記[2]から[4]のいずれかに記載の料金算出システム。
【0098】
上記[5]の構成の料金算出システムによれば、ユーザは運賃の割り増し又は割引が適用されているか否かを確認したり、繁忙、閑散などの割り増し、割引の理由を確認することが可能になる。また、ユーザはタクシーを利用するエリアや時間帯毎の繁忙、閑散の状況を把握可能になる。
【符号の説明】
【0099】
10 ソフトメータ
11 制御部
12,14,20 インタフェース
13 料金制情報保持部
15 操作ボタン部
16 慣性計測ユニット
17 メモリユニット
18 タッチパネル
19 表示器
21 GPS受信機
22 ETC車載器
23 LTE通信モジュール
24 外部機器入力装置
25 タクシー車両
31 サーバ
32 インターネット
33 LTE網
40A,40B タクシー利用者
41,42 ユーザ端末
51 乗降地点情報取得部
52 時間帯特定部
53 補正係数取得部
54 通信部
55 事前確定料金算出部
56 運賃提示部
57 予約コード認証部
100 料金算出システム
DB1,DBA 営業記録DB
DB2 繁忙度合DB
DB3 補正係数DB
DB4 タクシー予約DB
DBB 処理済みDB
図1
図2
図3
図4
図5
図6