(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119307
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20230821BHJP
G06F 3/023 20060101ALI20230821BHJP
G06F 3/04886 20220101ALI20230821BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20230821BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20230821BHJP
【FI】
G06F3/02 530
G06F3/023 470
G06F3/023 460
G06F3/0488 160
G06F3/0481
G07D11/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022132
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】大塚 直希
【テーマコード(参考)】
3E141
5B020
5E555
【Fターム(参考)】
3E141BA07
3E141FH02
3E141FH04
3E141GA06
5B020AA01
5B020AA02
5B020AA04
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5E555AA54
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5E555BA34
5E555BA82
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5E555BC19
5E555CA12
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5E555CB12
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5E555CB34
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5E555CC05
5E555DB41
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5E555DC26
5E555DD03
5E555EA03
5E555EA14
5E555EA20
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】文字入力における誤入力の推定精度を向上させることが可能な、新規かつ改良された技術を提供する。
【解決手段】ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定する推定部を備える、情報処理装置が提供される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定する推定部
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記訂正履歴に基づき、ユーザにより入力された1以上の文字に対して削除操作が行われた後に最初に入力された文字を特定し、当該文字に訂正フラグを設定する入力結果処理部をさらに備え、
前記推定部は、前記2以上の文字の各々に前記訂正フラグが設定されているか否かに基づいて前記各文字の誤入力可能性を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記各文字の入力間隔に基づいて、前記各文字の誤入力可能性を推定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記入力結果処理部は、ユーザにより2以上の文字が入力された場合に、入力された文字列の中で連続する2つの文字の後ろの文字が入力された時点と、その直前に行われた文字の入力操作または削除操作の時点との間の時間を、前記後ろの文字の前記入力間隔として特定し、
前記情報処理装置は、各文字の前記入力間隔を、前記入力間隔の平均値および標準偏差を用いて標準化した値を、前記2つの文字のうちの後ろの文字の入力戸惑い度として算出する算出部をさらに備え、
前記推定部は、前記入力戸惑い度に基づいて、前記誤入力可能性を推定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記入力戸惑い度に基づいて、前記2つの文字のうちの後ろの文字が誤入力された仮の可能性を示す仮定値を推定し、
前記各文字の前記仮定値に基づいて、前記各文字の前記誤入力可能性を推定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記2つの文字のうちの後ろの文字が訂正フラグを有する場合、当該文字の前記仮定値を減衰した値を、前記誤入力可能性として推定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの操作により文字入力を受け付けるタッチパネルをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザにより入力された前記2以上の文字が、前記推定部により推定された各文字の誤入力可能性に応じた態様で表現された表示画面を生成する表示制御部、をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、各文字の誤入力可能性に応じて、前記誤入力可能性が相対的に高いほど各文字の表示サイズを相対的に大きく変化させ、
前記誤入力可能性が相対的に高い文字を強調表示する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記推定部は、前記ユーザの年齢情報を取得し、
当該年齢情報に基づいて前記各文字の誤入力可能性を推定する、請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記推定部は、複数組の連続する2以上の文字、当該2以上の文字における前記入力間隔、前記訂正履歴、前記入力戸惑い度、および、前記2以上の文字に含まれる各文字が誤入力であったか否かを示す入力結果との関係を、機械学習を用いて学習したモデルを用いて、各文字の誤入力可能性を確率として推定する、
請求項4~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定する推定部
を含む、情報処理システム。
【請求項13】
ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定すること
を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、
ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定する推定部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子機器の普及に伴い、ユーザがキーボードまたはタッチパネル等を操作して、電子機器に情報を入力する機会が増加している。そこで、ユーザにより文字入力が行われた際に、入力された文字が誤入力であるか否かを検出する様々な技術が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ATM(Automated Teller Machine)での文字入力に際し、2以上の文字において、前の文字が入力されてから次の文字が入力されるまでの時間間隔が所定値以下の場合、当該次の文字が誤入力である可能性があると検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような技術では、各人による入力速度の違いを考慮していないため、例えば操作に慣れているために入力速度が速いユーザが文字入力を行ったような場合に、誤入力でない文字についても、一律に、誤入力であると検出されてしまう可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、文字入力における誤入力の推定精度を向上させることが可能な、新規かつ改良された技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定する推定部を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
前記情報処理装置は、前記訂正履歴に基づき、ユーザにより入力された1以上の文字に対して削除操作が行われた後に最初に入力された文字を特定し、当該文字に訂正フラグを設定する入力結果処理部をさらに備えていてもよく、前記推定部は、前記2以上の文字の各々に前記訂正フラグが設定されているか否かに基づいて前記各文字の誤入力可能性を推定してもよい。
【0009】
前記推定部は、前記各文字の入力間隔に基づいて、前記各文字の誤入力可能性を推定してもよい。
【0010】
前記入力結果処理部は、ユーザにより2以上の文字が入力された場合に、入力された文字列の中で連続する2つの文字の後ろの文字が入力された時点と、その直前に行われた文字の入力操作または削除操作の時点との間の時間を、前記後ろの文字の前記入力間隔として特定してもよく、前記情報処理装置は、各文字の前記入力間隔を、前記入力間隔の平均値および標準偏差を用いて標準化した値を、前記2つの文字のうちの後ろの文字の入力戸惑い度として算出する算出部をさらに備えていてもよく、前記推定部は、前記入力戸惑い度に基づいて、前記誤入力可能性を推定してもよい。
【0011】
前記推定部は、前記入力戸惑い度に基づいて、前記2つの文字のうちの後ろの文字が誤入力された仮の可能性を示す仮定値を推定し、前記各文字の前記仮定値に基づいて、前記各文字の前記誤入力可能性を推定してもよい。
【0012】
前記推定部は、前記2つの文字のうちの後ろの文字が訂正フラグを有する場合、当該文字の前記仮定値を減衰した値を、前記誤入力可能性として推定してもよい。
【0013】
前記情報処理装置は、ユーザの操作により文字入力を受け付けるタッチパネルをさらに備えていてもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、ユーザにより入力された前記2以上の文字が、前記推定部により推定された各文字の誤入力可能性に応じた態様で表現された表示画面を生成する表示制御部、をさらに備えていてもよい。
【0015】
前記表示制御部は、各文字の誤入力可能性に応じて、前記誤入力可能性が相対的に高いほど各文字の表示サイズを相対的に大きく変化させてもよく、前記誤入力可能性が相対的に高い文字を強調表示してもよい。
【0016】
前記推定部は、前記ユーザの年齢情報を取得し、当該年齢情報に基づいて前記各文字の誤入力可能性を推定してもよい。
【0017】
前記推定部は、複数組の連続する2以上の文字、当該2以上の文字における入力間隔、訂正履歴、入力戸惑い度、および、前記2以上の文字に含まれる各文字が誤入力であったか否かを示す入力結果との関係を、機械学習を用いて学習したモデルを用いて、各文字の誤入力可能性を確率として推定してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定する推定部を含む、情報処理システムが提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定することを含む、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、ユーザが入力した2以上の文字について、各文字が前記ユーザにより訂正されたか否かを示す訂正履歴に基づき、前記各文字の誤入力可能性を推定する推定部として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、文字入力における誤入力の推定精度を向上させることが可能な、新規かつ改良された技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による情報処理装置10の概要を説明する説明図である。
【
図2】本実施形態による情報処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】制御部120の制御に従って操作表示部110に表示される画面の一例を示す説明図である。
【
図4】入力結果処理部122が操作表示部110から取得する、文字入力操作の検出結果の一例を示す説明図である。
【
図5】入力結果処理部122による入力結果処理を説明するための説明図である。
【
図6】入力結果処理部122により抽出される入力文字列Tn、入力間隔tn、および、訂正フラグDnを説明するための説明図である。
【
図7】算出部124による入力戸惑い度tNnの算出結果の一例を示す説明図である。
【
図8】表T4と比べて入力間隔tnが3倍の長さである場合の、入力戸惑い度tNnを示す説明図である。
【
図9】推定部126による仮定値pnおよび誤入力可能性Pnの推定結果の一例を説明する為の説明図である。
【
図10】表示制御部128の制御に従って操作表示部110に出力される確認画面の一例を示す説明図である。
【
図11】本実施形態による情報処理装置10の動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<1.本発明の一実施形態による情報処理装置10の概要>
本発明の実施形態は、キーボードまたはタッチパネル等の操作により、ユーザの文字入力を受け付ける多様な情報処理装置に適用され得る。多様な情報処理装置として、例えば、金融機関において用いられるATM、または、小売店において用いられる決済端末などが挙げられる。あるいは、上記情報処理装置は、スマートフォン、携帯電話、または、パーソナルコンピュータ等であってもよい。本明細書では、主に本発明の実施形態が金融機関において用いられるATMに適用される例を説明するが、本発明の実施形態の適用先が金融機関において用いられるATMに限定されないことは上述した通りである。以下では、まず、本発明の実施形態における、情報処理装置10の概要を説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による情報処理装置10の概要を説明する説明図である。情報処理装置10は、金融機関のユーザによる操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。情報処理装置10は、例えば、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、ショッピングセンター、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置されてもよい。
【0026】
情報処理装置10は、
図1に示したように、ユーザが操作し文字入力を行うことが可能な操作表示部110を備える。操作表示部110は、ユーザが文字を入力する入力画面等を表示する表示部の機能、および、ユーザによる操作を検出する操作検出機能を兼ね備える。また、操作検出機能は例えばタッチパネルにより実現され、ユーザにより情報が入力される入力部の機能を含む。なお、
図1においては表示部の機能および操作検出機能が情報処理装置10において一体的に構成される例を示しているが、表示部の機能および操作検出機能は分離して構成されてもよい。なお、本明細書においては、文字は、ユーザが入力した英字、ひらがな、記号、数字を含むものとする。
【0027】
また、情報処理装置10は、通帳挿入口、カード挿入口、レシート排出口、紙幣口および硬貨口等の構成を備えていてもよい。
【0028】
このような情報処理装置10は、ユーザにより入力された2以上の文字について、各文字の誤入力可能性を推定し、ユーザに各文字が誤入力であるか否かを確認する確認画面を出力する機能を有する。
【0029】
(課題の整理)
ここで、
図1に示した情報処理装置10のように、ユーザの操作により文字入力を受け付ける電子機器において、入力された文字が誤入力であるか否かを検出する様々な技術が検討されている。例えば、ATMでの文字入力に際し、2以上の文字において、前の文字が入力されてから次の文字が入力されるまでの時間間隔が所定値以下の場合、当該次の文字が誤入力である可能性があると検出する技術が開示されている。
【0030】
しかし、上記のような技術では、各人による入力速度の違いを考慮していないため、例えば操作に慣れているために入力速度が速いユーザが文字入力を行ったような場合に、誤入力でない文字についても、一律に、誤入力であると検出されてしまう可能性があった。
【0031】
また、ユーザがキーボートまたはタッチパネル等を操作して文字入力を行う際には、キーの配置、各キーの位置関係、および、前後にどのキーを押すかの順序等によって、一連のキーの押しやすさの度合いが存在することが考えられる。さらに、ある一連の文字列を入力する際、当該文字列に対応する一連のキーの人間にとっての押しやすさから生ずる、普遍的なテンポ感が存在し得る。すなわち、ユーザが2以上の文字列を入力する際には、前後に押すキーがどのキーであるかと、各キーを押下する操作を行った時間間隔とが、上記普遍的なテンポ感に収まっているかが、ユーザが入力した文字列が誤入力であるか否かを検出する一つの判断材料となり得る。
【0032】
また、ユーザが一度入力した文字を削除して改めて文字を入力する、訂正操作を行った場合には、文字入力の時間間隔が所定の閾値以下であったとしても、当該改めて入力された文字が誤入力である可能性は低いことが推定される。
【0033】
そこで、本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、文字入力における誤入力の推定精度を向上させることが可能である。以下、このような本発明の実施形態による情報処理装置10の機能構成例および動作を、順次詳細に説明する。
【0034】
<2.機能構成例>
図2は、本実施形態による情報処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。情報処理装置10は、ユーザの操作に基づいて、金融機関システムとの通信を行い、ユーザが金融機関に保有する口座における現金の預け入れおよび支払い、または、振込等の金融サービスを提供するATMとしての機能を有する。ここでは、本願に特徴的な機能構成のみを抽出して説明する。
図2に示したように、本実施形態による情報処理装置10は、操作表示部110、制御部120、および、記憶部130を有する。
【0035】
(操作表示部110)
操作表示部110は、
図1を参照して説明したように、ユーザが文字を入力する入力画面等を表示する表示部の機能およびユーザによる操作を検出する操作検出機能を兼ね備える。操作表示部110が有する操作検出機能には、ユーザにより情報が入力される入力部の機能が含まれる。なお、操作検出機能を実現する方式は、抵抗膜方式、赤外線方式、静電容量方式等であってもよい。このような操作表示部110は、制御部120の制御に従って、画面の出力を行う。
【0036】
図3は、制御部120の制御に従って操作表示部110に表示される画面の一例を示す説明図である。
図3に示したように、表示画面D1は、案内文言M1、文字入力エリアIA1、テンキーK1、訂正ボタンK2、および、次へボタンK3を含む。
【0037】
表示画面D1では、ユーザは、テンキーK1および訂正ボタンK2を操作して、情報処理装置10に金額を入力することが出来る。案内文言M1は、ユーザに振込金額の入力操作を誘導する案内文言である。また、文字入力エリアIA1は、ユーザが入力した文字列が表示されるエリアである。
【0038】
テンキーK1は、0~9の数字に対応したテンキーであり、ユーザが押下した数字が文字入力エリアIA1に表示される。訂正ボタンK2がユーザにより押下されると、1回の押下毎に、すでに入力された文字のうち最後の1文字が削除される。
【0039】
また、操作表示部110は、ユーザによる次へボタンK3の押下の操作に基づいて、ユーザが金額入力を完了したことを検出する。
【0040】
なお、本実施例においては、ユーザが操作表示部110を操作することにより、「¥12,365」と入力するつもりが、「¥12,385」と、誤って入力を行ってしまった状態で、次へボタンK3を押下したものとして、説明を行う。
【0041】
(制御部120)
制御部120は、情報処理装置10の動作全般を制御する機能を有する。制御部120は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムがRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより実現されてもよい。このような制御部120は、入力結果処理部122、算出部124、推定部126、および、表示制御部128としての機能を有する。
【0042】
入力結果処理部122は、操作表示部110において検出された、ユーザによる文字入力操作の検出結果を、操作表示部110から取得する機能を有する。また、入力結果処理部122は、操作表示部110においてユーザによる文字入力操作が検出されるたびに、操作表示部110から当該検出の結果を受信した時点の時刻情報を取得する機能を有する。入力結果処理部122は、取得した上記検出結果、および、上記時刻情報に基づいて、入力文字列Tn、入力間隔tn、訂正フラグDnを生成する機能を有する。ここで、
図4~
図6を参照して、入力結果処理部122の機能をより詳細に説明する。
【0043】
まず、
図4は、入力結果処理部122が操作表示部110から取得する、文字入力操作の検出結果の一例を示す説明図である。
図4に示した通り、表T1は、ユーザの操作、入力された文字、および、削除された文字の3つの項目を含む。また、表T1の2列目以降各列に示されている内容は、表T1の2列目から最右列に向かって、時系列順に示されているものとする。
【0044】
ユーザの操作は、操作表示部110において検出されたユーザの操作の種類を示す。
図3に示した例では、ユーザの操作は、入力、訂正、または、次へ、を含む。入力は、
図3に示したテンキーK1のいずれか1文字が押下されたことを示す。削除は、訂正ボタンK2が押下されたことを示す。次へ、は、次へボタンK3が押下されたことを示す。
【0045】
図4に示した例では、2列目から4列目のユーザの操作は、いずれも、入力である。従って、ユーザにより、テンキーK1が押下され、「1」、「3」、「3」、「6」の順に文字が入力されたことが理解される。このとき、操作表示部110において表示されている表示画面D1内の文字入力エリアIA1には、「¥1336」の文字が表示される。なお、文字入力エリアIA1に表示される文字には、金額の桁数を分かりやすく表示するために、3文字ごとにカンマが表示されてもよい。すなわち、文字入力エリアIA1には、「¥1,336」が表示されていてもよい。
【0046】
次に、5列目から7列目のユーザの操作は、いずれも、訂正である。従って、ユーザが「1」、「3」、「3」、「6」と4文字目まで入力操作を行った後に、2文字目の「3」が入力間違いであったことに気づき、「6」、「3」、「3」の順に入力済みの文字を削除する操作を3回行ったことが理解される。このとき、3回の削除操作が行われた後には、IA1の表示は「¥1」となる。
【0047】
次に、8~11列目のユーザの操作は、いずれも、入力である。従って、ユーザにより、テンキーK1が押下され、「2」、「3」、「8」、「5」の順に文字が入力されたことが理解される。このとき、操作表示部110において表示されている表示画面D1内の文字入力エリアIA1には、「¥12,385」の文字が表示される。
【0048】
最後に、最右列のユーザの操作は、次へ、である。従って、ユーザにより、文字入力エリアIA1に「¥12,385」が表示された状態で、次へボタンK3が押下され、文字入力を完了する操作が行われたことが理解される。このとき、最終的な入力文字列は「¥12,385」となる。
【0049】
入力結果処理部122は、表T1に示した、ユーザの操作、各操作において入力された文字、および、削除された文字を関連付けた情報を、操作表示部110から取得する。さらに、入力結果処理部122は、操作表示部110において、ユーザによる最初の操作が検出された時点から次へボタンK3が押下された時点までの間、ユーザによる文字入力操作が検出されるたびに、当該検出の結果を操作表示部110から受信した時点の時刻情報を取得する。入力結果処理部122は、取得したこれらの情報から、後述する算出部124および推定部126の処理に必要な、入力文字列Tn、入力間隔tn、訂正フラグDnの情報を生成する入力結果処理を行う。
【0050】
図5は、入力結果処理部122による入力結果処理を説明するための説明図である。
図5に示したように、表T2は、文字位置、入力文字列、入力間隔、および、訂正履歴を含む。入力結果処理部122は、入力結果処理として、まず、操作表示部110から取得した情報に基づき、文字位置、入力文字列、入力間隔、および、訂正履歴の情報を生成する。
【0051】
文字位置は、操作表示部110においてユーザによる入力操作が行われた最終的な入力文字列に含まれる各文字が、先頭から数えて何文字目の位置であるかを示す情報である。なお、
図5に示した例は一例であり、入力された文字数に応じて、文字位置の最大値は、5以上、または、5以下であってもよい。
【0052】
入力文字列は、操作表示部110においてユーザにより入力操作が行われた、最終的な入力文字列のデータである。入力結果処理部122は、操作表示部110から取得した表T1の情報から、最終的な入力文字列を抽出する。
図5に示した例では、左から順に、「1」、「2」、「3」、「8」、「5」、の5文字であることが理解される。
【0053】
入力間隔は、入力文字列のうち、2文字目以降の各文字について算出される情報である。本実施形態において、各文字の入力間隔は、ユーザにより2以上の文字が入力された場合に、入力された文字列の中で連続する2つの文字の後ろの文字が入力された時点と、その直前のキー操作が行われた時点との間の時間を示す。キー操作は、文字の入力操作、または、削除操作を含む。例えば、ユーザにより「1」を入力する操作が行われた3秒後に、「2」を入力する操作が行われた場合、入力結果処理部122は、「2」の入力間隔を3秒と算出する。
【0054】
または、ユーザにより「1」の入力操作が行われた後に、「2」の入力操作が行われたとする。続けて、訂正ボタンK2が押下され、訂正ボタンK2が押下された時点からさらに4秒後に「3」の入力操作が行われたとする。この場合、最終的な入力文字列は1文字目の「1」と2文字目の「3」となる。この場合、入力結果処理部122は、2文字目の「3」の入力間隔を、「3」の入力操作の直前に行われた、訂正ボタンK2が押下された操作の時点と、「3」の入力操作が行われた時点との間の時間である、4秒と算出する。入力結果処理部122は、上記時刻情報に基づいて、各文字間の入力間隔を算出する。
【0055】
図5に示した例では、入力間隔は秒単位で示されている。例えば、2文字目の「2」の入力間隔は、入力結果処理部122により、0.5秒と算出されたことが理解される。同様に、3文字目の「3」の入力間隔は、2.3秒と算出されたことが理解される。また、4文字目の「8」の入力間隔は、0.2秒と算出されたことが理解される。さらに、5文字目の「5」の入力間隔は、0.6秒と算出されたことが理解される。
【0056】
訂正履歴は、操作表示部110において文字入力の完了操作が検出されるまでの間にユーザにより行われた文字の入力または削除操作に基づき、各文字位置において、ユーザによる訂正操作が検出されたか否かを示す情報である。なお、訂正操作とは、ユーザが訂正ボタンK2を押下することにより、ある文字位置に入力した文字を一度削除したうえで、テンキーK1のいずれかを押下することにより、当該文字位置に改めて文字を入力する操作を指す。
図5に示した例では、2文字目の「2」、3文字目の「3」、4文字目の「8」の3文字について、訂正履歴が「有」となっている。これは、2文字目、3文字目、および、4文字目の文字位置において、一度以上ユーザの削除操作が検出されたことを示す。さらに、入力文字列の2文字目の「2」、3文字目の「3」、および、4文字目の「8」は、当該文字位置に改めて入力された文字であることが理解される。入力結果処理部122は、
図4に示した表T1の5列目~7列目の訂正操作と、8列目~10列目の入力操作に基づいて、上記訂正履歴の情報を抽出する。
【0057】
次に、入力結果処理部122は、表T1に示した上記入力文字列、入力間隔、および、訂正履歴に基づいて、入力文字列Tn、入力間隔tn、訂正フラグDnを生成する処理を行う。
【0058】
図6は、入力結果処理部122により抽出される入力文字列Tn、入力間隔tn、および、訂正フラグDnを説明するための説明図である。
図6に示したように、表T3は、入力文字列Tn、入力間隔tn、および、訂正フラグDnを含む。また、入力文字列Tn、入力間隔tn、および、訂正フラグDnは、同一の列の値同士で互いに関連付けられている。また、表T3の一行目は、tn、tNn、および、Dnの添え字nの数を表しており、n=0が入力文字列の1文字目に対応する。
【0059】
入力文字列Tnは、
図5に示した表T2において抽出された入力文字列を、1文字ずつ格納した配列である。入力結果処理部122は、表T2に示した入力文字列12385を、1字ずつ、配列Tnに格納する。例えば、T
0には、上記入力文字列の1文字目である「1」が格納されていることが理解される。
【0060】
入力間隔tnは、表T2において算出された各文字の入力間隔を格納した配列である。連続する2つの文字の入力間隔は、2つの文字のうちの後ろの文字に関連付けられる。例えば、1文字目と2文字目の間の入力間隔は、後ろの文字である2文字目に関連付けられて、入力間隔t
1として格納される。
図6に示した例では、1文字目の「1」と、2文字目の「2」の間の入力間隔である0.5秒が、2文字目の「2」に対応するt
1に格納されていることが理解される。また、1文字目である「1」には入力間隔の情報が関連付けられておらず、t
0には値が格納されていないことが理解される。
【0061】
訂正フラグDnは、表T2における訂正履歴に基づいて設定される情報である。訂正フラグDnにおいて、TはTrue、FはFalseを示す。入力結果処理部122は、操作表示部110において、訂正ボタンK2が押下されることにより入力済みの文字の削除操作が行われた後に、最初に入力された文字を特定し、当該文字に訂正フラグとしてTrueを設定する。なお、入力結果処理部122による文字の特定とは、ユーザによる入力操作が検出された文字の内容(例えば、「2」)に関連付けて、当該文字の入力文字列における文字位置(例えば、2文字目)を決定することを指す。より詳細には、入力結果処理部122は、
図4に示したような文字入力操作の検出結果に基づき、ユーザによる削除操作が行われた直後に入力操作が行われた文字の内容に関連付けて、入力文字列における当該文字の文字位置を決定する。
図4に示した例では、まず、入力結果処理部122は、上記文字に該当する文字の内容として9列目の「2」を特定する。さらに、
図5に示したように、入力結果処理部122は、
図4に示した文字入力操作の検出結果に基づいて、当該文字「2」の文字位置を2文字目として決定する。さらに、
図7に示したように、入力結果処理部122は、文字位置が2文字目(n=1)のT
1である「2」に対応したD
1に、Trueを設定したことが理解される。また、その他の入力文字列Tnの訂正フラグDnは、Falseであることが理解される。
【0062】
入力結果処理部122は、表T2に示した入力文字列Tn、入力間隔tnおよび訂正フラグDnを生成すると、入力文字列Tn、入力間隔tn、および訂正フラグDnを算出部124および推定部126に供給する。以上が、入力結果処理部122による入力結果処理である。
【0063】
算出部124は、入力結果処理部122から供給された入力間隔tnに基づき、上記入力文字列のうち、2文字目以降の各文字の入力戸惑い度tNnを算出する機能を有する。入力戸惑い度tNnとは、入力結果処理部122により算出された上記入力間隔を標準化した値を指す。算出部124は、例えば、以下の式を用いて入力戸惑い度tNnを算出してもよい。
【0064】
tNn=(tn-A(tn))/S(tn))
(数式1)
n :1~(入力文字列の入力文字数―1)
A(tn):入力間隔tnの平均値
S(tn):入力間隔tnの標準偏差
tNn :入力戸惑い度
【0065】
算出部124が上記数式1により算出した入力戸惑い度tNnは、ユーザによる文字入力操作において、各文字の入力間隔を標準化することにより、ユーザの各々による平均入力速度の違いによる影響を排除し、入力操作のテンポ感を抽出したものということが出来る。
【0066】
図7は、算出部124による入力戸惑い度tNnの算出結果の一例を示す説明図である。
図7に示した通り、表T4は、入力間隔tnと、入力戸惑い度tNnを含む。入力間隔tnは、
図6に示した表T3に含まれる入力間隔tnと同一の内容である。
【0067】
入力戸惑い度tNnは、算出部124が、入力間隔tnに基づき上記数式を用いて算出した、入力文字列Tnの各文字の入力戸惑い度である。
図7に示した例では、文字入力のテンポが、入力間隔tnの平均値である0.9秒に対して、遅くなる方向で乱れたtN
2は正の値となっている。一方、上記平均値0.9秒に対して、早くなる方向でテンポが乱れた入力戸惑い度tN
1、tN
3およびtN
4は、負の値となっている。
【0068】
また、
図8は、
図7に示した表T4と比べて入力間隔tnが3倍の長さである場合の、入力戸惑い度tNnを示す説明図である。
図8に示した通り、表T5に含まれる入力間隔tnの各値は、表T4の入力間隔tnの各値と比べて、3倍の値となっていることが理解される。しかし、表T6に示した入力戸惑い度tNnの算出結果は、表T5に含まれる入力戸惑い度tNnの算出結果と同じであることが理解される。以上、
図8および
図7を参照して、算出部124による入力戸惑い度の算出について説明した。
【0069】
推定部126は、入力結果処理部122から供給された入力文字列Tnおよび訂正フラグDnと、算出部124により入力間隔tnに基づき算出された入力戸惑い度tNnに基づいて、入力文字列Tnに含まれる各文字のうち、2文字目以降の文字の各々が誤入力された仮の可能性を示す仮定値を推定する機能を有する。さらに、推定部126は、推定した仮定値を用いて、2文字目以降の文字の各々の誤入力可能性を推定する機能を有する。
【0070】
ここで、推定部126による仮定値および誤入力可能性の推定方法として、例えば機械学習をはじめとする種々の方法が考えられる。一例として、推定部126は、複数組の2以上の文字、当該2以上の文字の入力間隔、訂正履歴、入力戸惑い度、および、各文字が誤入力であったか否かを示す入力結果との関係を、機械学習を用いて学習したモデルを用いて、各文字の仮定値および誤入力可能性を確率として推定することができる。この場合、機械学習アルゴリズムは、本願出願時点において既知の方法を用いてよい。例えば、ランダムフォレスト、または、GradientBoostingを用いた教師有り学習により、学習が行われてもよい。または、教師無し学習により、学習が行われてもよい。
【0071】
本実施形態では、上記のように、予め様々なユーザによる文字入力における複数組の2以上の文字、当該2以上の文字の入力間隔、訂正履歴、入力戸惑い度、および、各文字が誤入力であったかどうかの入力結果との関係が学習されたモデルを用いて、推定部126が、上記仮定値および誤入力可能性を推定するものとする。なお、予め学習された上記モデルは、記憶部130に記憶されているものとする。また、上記モデルは、文字入力操作に用いられるキーボードまたはタッチパネルにおける、キーの位置関係、および、含まれているキーの種類ごとに、作成されてもよい。さらに、上記モデルは、上記ユーザの年齢ごとに作成されてもよい。この場合は、推定部126は、文字入力操作を行うユーザの年齢情報を取得し、当該年齢情報に基づいて各文字の誤入力可能性を推定してもよい。この構成により、推定部126による、文字入力における誤入力推定の精度を、さらに向上させることが出来る。
【0072】
推定部126は、記憶部130に記憶された当該モデルを用いて、入力文字列Tnに含まれる各文字のうち、2文字目以降の各文字の仮定値および誤入力可能性を推定する。
【0073】
図9は、推定部126による仮定値pnおよび誤入力可能性Pnの推定結果の一例を説明する為の説明図である。
図9に示した通り、表T6は、入力文字列Tn、入力間隔tn、訂正フラグDn、入力戸惑い度tNn、仮定値pn、および、誤入力可能性Pnを含む。なお、入力文字列Tnから入力戸惑い度tNnまでの各行に示された内容は、
図6に示した表T3と、
図7に示した表T4に含まれる入力文字列Tn、入力間隔tn、訂正フラグDn、および、入力戸惑い度tNnと同一の内容であり、上記で説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0074】
仮定値pnは、推定部126により、記憶部130に記憶された学習モデルを用いて推定された、入力文字列T
1~T
4の各文字の仮定値である。
図9に示した例では、仮定値pnは、0~1.0の範囲の値をとる。なお、推定部126が用いる学習済みのモデルにおける予測アルゴリズムに応じて、仮定値pnの値の範囲は変化してよい。例えば、上記モデルの予測アルゴリズムにMT法(マハラノビス・タグチシステム)が用いられる場合には、仮定値pnの値の範囲は0以上無限であってもよい。
【0075】
誤入力可能性Pnは、推定部126により推定された、各文字が誤入力である可能性を示す値である。推定部126は、入力文字列Tnの各文字に関連付けられた訂正フラグDnがFである場合には、当該文字に関連付けられた仮定値pnの値を当該文字の誤入力可能性Pnとする。
図9に示した例では、入力文字列T
2の訂正フラグD
3はFである。そして、入力文字列T
2の誤入力可能性P
2は、仮定値p
2の値と同じ0.29と推定されていることが理解される。
【0076】
また、推定部126は、入力文字列Tnの各文字に関連付けられた訂正フラグDnがTである場合には、当該文字に関連付けられた仮定値pnを減衰した値を、誤入力可能性Pnとして推定する。
図9に示した例では、入力文字列T
1の訂正フラグD
1はTである。そして、入力文字列T
1の仮定値p
1は、0.09である。推定部126は、p
1の値0.09を減衰係数R(本実施形態では3)で除算することにより得られた減衰後の値0.03を、入力文字列T
1の誤入力可能性P
1として推定していることが理解される。この構成により、推定部126は、ユーザが訂正操作を行った文字については誤入力である可能性が低いことに対応して、訂正操作が行われた文字の誤入力可能性Pnを低く算出することが出来る。なお、上記減衰係数Rの値は一例であり、仮定値pnの値の範囲に応じて適宜設定されてよい。例えば、仮定値pnが0~1.0の値の範囲をとる場合には、減衰係数Rは、3~10の間の値であってもよい。
【0077】
表示制御部128は、操作表示部110に出力させる画面を生成する機能を有する。また、表示制御部128は、生成した画面の操作表示部110への出力を制御する。このような表示制御部128は、推定部126により算出された入力文字列Tnの各文字の誤入力可能性Pnに応じて、ユーザへの確認画面を生成し、操作表示部110に出力させる。
【0078】
図10は、表示制御部128の制御に従って操作表示部110に出力される確認画面の一例を示す説明図である。
図10に示したように、表示画面D2は、案内文言M2、案内文言M3、入力文字列表示L1、次へボタンK4、および、再入力ボタンK5を含む。
【0079】
案内文言M2は、ユーザにより入力された文字列が間違っていないかを、ユーザに確認するための案内文言である。案内文言M2は、入力文字列表示L1を含む。
【0080】
入力文字列表示L1は、ユーザによる最終的な入力文字列の情報であり、入力文字列Tnに対応している。
図10に示した例では、「¥12,385」が表示されている。また、
図10に示したように、表示制御部128は、上記入力文字列を、推定部126により算出された各文字の誤入力可能性Pnに応じた態様で表現した表示画面を生成し、操作表示部110に表示させる。例えば、表示制御部128は、各文字の誤入力可能性Pnに応じて、各文字の表示サイズを変化させてもよい。さらに、表示制御部128は、各文字の誤入力可能性Pnが相対的に高いほど、当該文字の表示サイズが相対的に大きくなるように、上記表示画面を生成してもよい。または、表示制御部128は、各文字の誤入力可能性Pnが相対的に高い文字を、強調表示してもよい。強調表示の方法は、例えば、文字の背景色を変化させる、または、文字色の濃度を変化させる、等の方法が考えられる。
【0081】
例えば、
図10に示した例では、表示制御部128は、各文字の誤入力可能性Pnに応じて、入力文字列表示L1に含まれる各文字の表示サイズを変更していることが理解される。表示制御部128は、各文字の誤入力可能性Pnが10%(0.10)未満である場合、当該文字の表示サイズを、相対的に最も小さい、小サイズとしてもよい。また、表示制御部128は、各文字の誤入力可能性Pnが30%(0.30)以上である場合、当該文字の表示サイズを、相対的に最も大きい、大サイズとしてもよい。表示制御部128は、各文字の誤入力可能性Pnが10%以上、30%(0.30)未満の場合、当該文字の表示サイズを、小サイズより大きく、大サイズよりも小さい、中サイズとしてもよい。案内文言M3は、入力文字列表示L1の各文字の表示サイズごとの、誤入力可能性の度合いを視覚的に表現する凡例である。
【0082】
図10に示した例では、
図9の表T6に示した誤入力可能性Pnが10%未満の入力文字列である、入力文字列T
0にあたる「1」、T
1にあたる「2」、および、T
4にあたる「5」は、小サイズで表示されていることが理解される。この構成により、「1」、「2」、および、「5」は、誤入力可能性が低いことが視覚的に表現されている。
【0083】
また、誤入力可能性Pnが10%以上30%未満であるT2にあたる「3」は、中サイズで表示されていることが理解される。この構成により、「3」の誤入力可能性は、「1」、「2」、および「5」よりも高く、「8」よりも低いことが視覚的に表現されている。
【0084】
また、誤入力可能性Pnが30%以上であるT3にあたる「8」は、大サイズで表示されていることが理解される。この構成により、「8」は、誤入力可能性が、最も高いことが視覚的に表現されている。
【0085】
上記のように、表示制御部128が、各文字の誤入力可能性Pnに応じた態様で各文字が表現された表示画面を生成することにより、ユーザに、視覚的により分かりやすい形で、各文字の誤入力可能性を示すことが出来る。従って、ユーザは、より容易に、入力した金額に誤入力がないかを確認することができる。
【0086】
(記憶部130)
記憶部130は、制御部120が使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する。また、記憶部130は、制御部120の実行において使用するプログラム、および、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶してもよい。このような記憶部130は、RAM、ハードディスクドライブまたフラッシュメモリ等のメモリによって構成されてよい。
【0087】
以上、
図2~
図10を参照して、本実施形態による情報処理装置10の機能構成例を説明した。続いて、
図11を参照して、本実施形態による情報処理装置10の動作例を説明する。
【0088】
<3.動作例>
図11は、本実施形態による情報処理装置10の動作例を説明するフローチャートである。まず、操作表示部110を操作することにより、ユーザによる金額入力が行われる(202)。
【0089】
次に、入力結果処理部122は、入力された金額の文字列について、入力結果処理を行う(S204)。その結果、入力文字列Tn、入力間隔tn、および、訂正フラグDnが生成される。
【0090】
続いて、算出部124は、入力結果処理部122により生成された入力間隔tnに基づいて、ユーザにより入力された文字列のうち、2文字目以降の各文字の、入力戸惑い度tNnを算出する(S206)。
【0091】
次に、推定部126は、入力文字列Tn、訂正フラグDn、および、入力戸惑い度tNnに基づいて、各文字の仮定値pnを推定する(S208)。
【0092】
推定部126は、入力文字列Tn、訂正フラグDn、および、仮定値pnに基づいて、各文字の誤入力可能性を推定する(S210)。
【0093】
表示制御部128は、推定部126により推定された各文字の誤入力可能性に応じて、金額の文字の表示サイズを変えて、ユーザに上記文字列の入力内容に誤入力がないか、および、入力文字列を訂正するか否かを確認させるための確認画面を生成する。表示制御部128は、生成した確認画面を、操作表示部110に出力させる(S212)。
【0094】
上記確認画面において、ユーザが入力文字列を訂正しない操作を行ったことが検出された場合(S214/N)、情報処理装置10は、入力文字列の誤入力可能性を推定する処理を終了する。例えば、情報処理装置10は、操作表示部110において次へボタンK4が押下されたことに基づいて、ユーザが入力文字列を訂正しない操作を行ったと検出してもよい。
【0095】
上記確認画面において、ユーザが入力文字列を訂正する操作を行ったことが検出された場合(S214/Y)、情報処理装置10は、再度S202~S212の処理を繰り返す。例えば、情報処理装置10は、操作表示部110において再入力ボタンK5が押下されたことに基づいて、ユーザが入力文字列を訂正する操作を行ったと検出してもよい。
【0096】
以上、
図11を参照して、本実施形態による情報処理装置10の動作例を説明した。
【0097】
<4.むすび>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0098】
例えば、上記実施形態では、表示制御部128により生成される確認画面が、操作表示部110に出力されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、情報処理装置10は、
図2において図示しないプリンタを備えていてもよく、表示制御部128は、生成した確認画面を当該プリンタに出力させてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、情報処理装置10が金融機関において利用されるATMである例を説明したが、本発明は係る例に限定されない。例えば、情報処理装置10は、スマートフォン、または、パーソナルコンピュータであってもよい。さらに、情報処理装置10は、ATMまたはスマートフォン等のユーザによる文字入力操作が行われる電子機器とは別の構成であってもよく、たとえばクラウドサーバとして構成されてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、操作表示部110が有する操作検出機能、すなわち、ユーザによる文字入力操作を受け付ける入力部としての機能が、タッチパネルにより実現されるとしたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、情報処理装置10は、操作表示部110の他にハードウェアキーボードまたはテンキー等を備えていてもよく、当該ハードウェアキーボードまたはテンキー等によりユーザによる文字入力操作を受け付けてもよい。
【0101】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0102】
また、本実施形態による情報処理装置10の動作の処理におけるステップは、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、情報処理装置10の動作の処理における各ステップは、フローチャートに記載した順序と異なる順序で処理されてもよく、並列的に処理されてもよい。
【0103】
また、コンピュータに内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した情報処理装置10が有する構成と同等の機能を発揮させるための1以上のプログラムも作成可能である。
【符号の説明】
【0104】
10 情報処理装置
110 操作表示部
120 制御部
122 入力結果処理部
124 算出部
126 推定部
128 表示制御部
130 記憶部