(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119321
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車の表示機
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230821BHJP
B62J 50/22 20200101ALI20230821BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022156
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103528
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 一男
(72)【発明者】
【氏名】村上 修
(72)【発明者】
【氏名】白川 弘和
(72)【発明者】
【氏名】大宮 永伸
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼岡 太一
(57)【要約】
【課題】回生機能を有する電動アシスト自転車のユーザが、当該電動アシスト自転車に関連するエネルギーについての情報を適切に把握できるようにする。
【解決手段】電動アシスト自転車用の表示機は、電動アシスト自転車に搭乗しているユーザの消費カロリーの値又は当該消費カロリーの値を換算した値である第1の値と、前記電動アシスト自転車のバッテリに回生した回生電力量又は当該回生電力量を換算した値である第2の値と、前記電動アシスト自転車のモータを駆動するのに消費した駆動電力量又は当該駆動電力量を換算した値である第3の値とを同時に表示可能な表示部を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アシスト自転車に搭乗しているユーザの消費カロリーの値又は当該消費カロリーの値を換算した値である第1の値と、前記電動アシスト自転車のバッテリに回生した回生電力量又は当該回生電力量を換算した値である第2の値と、前記電動アシスト自転車のモータを駆動するのに消費した駆動電力量又は当該駆動電力量を換算した値である第3の値とを同時に表示可能な表示部を有する、電動アシスト自転車用の表示機。
【請求項2】
前記表示部には、表示切り替え操作に応じて、前記第1の値と前記第2の値と前記第3の値とのうち少なくとも2つを用いて演算される指標値を表示可能である
請求項1記載の表示機。
【請求項3】
前記指標値が、
前記第3の値に対する前記第2の値の割合から得られる回生率である
請求項2記載の表示機。
【請求項4】
前記指標値が、
前記第1の値と前記第2の値の積から得られ、且つ消費カロリーとエコロジーとのバランスを表す指標値である
請求項2記載の表示機。
【請求項5】
前記指標値が、
前記第3の値に対する前記第1の値の割合から得られ、且つ運動効果を表す指標値である
請求項2記載の表示機。
【請求項6】
前記第2の値の表示に、エコロジーを表すマークが付されている
請求項1乃至5のいずれか1つ記載の表示機。
【請求項7】
前記エコロジーを表すマークが、前記第2の値に応じた表示態様となる
請求項6記載の表示機。
【請求項8】
前記表示部が、
前記第1乃至第3の値と同時に、
現在、前記バッテリに回生中である状態と前記バッテリから電力を出力中である状態とのいずれであるかを示すマークを表示可能である
請求項1記載の表示機。
【請求項9】
前記マークが、前記電動アシスト自転車を模したマークと前記電動アシスト自転車に搭乗中のユーザを模したマークとを含む
請求項8記載の表示機。
【請求項10】
前記電動アシスト自転車を模したマークが、前記第1の値に応じた表示態様となる
請求項9記載の表示機。
【請求項11】
前記電動アシスト自転車に搭乗中のユーザを模したマークが、前記第1の値及び前記第3の値とに応じた表示態様となる
請求項9又は10記載の表示機。
【請求項12】
前記表示部の一方の側辺側に複数の操作ボタンが列を成して設けられており、
前記複数の操作ボタンの列が前記表示部の上から下に向かって前記表示部から徐々に離れるように湾曲している
請求項1記載の表示機。
【請求項13】
前記複数の操作ボタンとは異なる操作ボタンが、前記複数の操作ボタンの列より前記表示部寄りに設けられている
請求項12記載の表示機。
【請求項14】
前記複数の操作ボタンのうち少なくとも1つの高さが、前記複数の操作ボタンの残りの操作ボタン及び前記複数の操作ボタンとは異なる操作ボタンの高さより高くなっている
請求項13記載の表示機。
【請求項15】
前記電動アシスト自転車のハンドルバーへの結合部を有し、
前記結合部が、
前記表示部を正面から見て、前記表示機の上端又は前記表示部の上端が、前記ハンドルバーの中心線以下になるように、前記表示機を前記ハンドルバーに結合させる
請求項14記載の表示機。
【請求項16】
外部の無線通信機器と通信を行う無線通信部をさらに有する請求項1記載の表示機。
【請求項17】
前記無線通信部が、前記第1乃至第3の値を前記無線通信機に送信する
請求項16記載の表示機。
【請求項18】
前記無線通信部が、さらに前記電動アシスト自転車の速度、アシストモード、推定航続距離のうち少なくともいずれかを前記無線通信機に送信する
請求項17記載の表示機。
【請求項19】
前記無線通信部が、前記無線通信機から時刻データを受信し、
前記表示部は、表示切り替え操作に応じて、前記時刻データに基づく時刻表示が可能である
請求項18記載の表示機。
【請求項20】
請求項1記載の表示機を有する電動アシスト自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車の表示機に関する。
【背景技術】
【0002】
ある従来技術(例えば特許文献1)には、電池残量と車速とを選択的に表示可能な表示装置を有する電動アシスト自転車が開示されている。また、他の従来技術(例えば特許文献2)には、第1情報(制御モード、モータの出力トルクの大きさ、モータの仕事率、モータによってアシストが可能な距離など)と第2情報(変速機の変速段、変速機の制御モード、予め設定しているケイデンスに応じてライダーに最適な変速タイミングおよび/ または最適な変速段を通知するための情報、停車時に変速機が自動で所定の変速段に変速するための情報、変速機の調整に関する情報など)及び第3の情報(バッテリの残量等)を表示する表示部を有し、無線通信によって、外部装置に第1情報及び第2情報を送信して外部装置の表示装置に表示させること、さらにバッテリの電池残量、サスペンションの状態、高さ調整が可能なシートポストの状態、ライトの状態、フロントスプロケットとリアスプロケットとの歯数の組み合わせ情報、人力駆動力を検出するセンサのキャリブレーションに関する情報、メンテナンス情報、故障に関する情報、走行速度、走行開始後の最大走行速度、走行開始後の平均走行速度、走行距離、累積走行距離、走行時間、人力駆動力(人力トルク、人力パワー)、ライダーの消費カロリー、ケイデンス等をも、無線通信によって外部装置に送信して表示させることも開示されている。
【0003】
さらに他の従来技術(例えば特許文献3)には、モード表示ランプと、0乃至100%を表示する棒グラフ表示部と、棒グラフで表された量の種別が「回生」「駆動」及び「バッテリ」のいずれかであるかを表示する種別表示部とを含むインジゲータを搭載した電動アシスト自転車が開示されている。また、他の従来技術(例えば特許文献4)には、回生エネルギーを回収可能な車両に搭載されていて、回生エネルギーの積算量を示す情報が表示可能な表示部を有する表示装置が開示されている。
【0004】
さらに、他の従来技術(例えば特許文献5)では、電動アシスト自転車の表示機において走行距離、走行時間、消費カロリー、回生電力量等を表示することが開示されている。
【0005】
このように様々な情報をユーザに提示することが提案されているが、表示機はユーザが電動アシスト自転車を運転中に見ることもあるため、いずれの種別の情報を同時に提示すべきかについては、表示スペースや表示機のコストだけではなく、十分な検討を要する。特に、近年では、SDGs(Sustainable Development Goals)の観点から、エネルギー及び健康面での配慮が求められている。特に、エネルギーについては、消費面だけではなく、クリーンなエネルギーの生成も求められており、電動アシスト自転車であれば自転車としての側面から人的な消費エネルギーも関係してくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-144107号公報
【特許文献2】特開2019-69664号公報
【特許文献3】特開2003-104264号公報
【特許文献4】特開2017-184320号公報
【特許文献5】特開2021-164249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、一側面として、回生機能を有する電動アシスト自転車のユーザが、当該電動アシスト自転車に関連するエネルギーについての情報を適切に把握できるようにするための新規な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る、電動アシスト自転車用の表示機は、電動アシスト自転車に搭乗しているユーザの消費カロリーの値又は当該消費カロリーの値を換算した値である第1の値と、電動アシスト自転車のバッテリに回生した回生電力量又は当該回生電力量を換算した値である第2の値と、電動アシスト自転車のモータを駆動するのに消費した駆動電力量又は当該駆動電力量を換算した値である第3の値とを同時に表示可能な表示部を有する。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、回生機能を有する電動アシスト自転車のユーザが、当該電動アシスト自転車に関連するエネルギーについての情報を適切に把握できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、電動アシスト自転車の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係るシステム概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る表示機の外形を示す図である。
【
図4】
図4は、表示部の表示領域を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1の表示モードを説明するための図である。
【
図6】
図6は、第5の表示域に表示される内容を説明するための図である。
【
図7A】
図7Aは、ハンドルバー及びハンドルグリップと表示機との位置関係を説明するための図である。
【
図8】
図8(a)乃至(d)は、ハンドルバーと表示機との配置関係を説明するための図である。
【
図9】
図9は、回生電力量の表示態様の変形例を示す図である。
【
図10】
図10は、回生電力量の表示態様の変形例を示す図である。
【
図11】
図11は、第5の表示域の表示態様の変形例を示す図である。
【
図12】
図12は、第5の表示域の表示態様の変形例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の表示モードを説明するための図である。
【
図14】
図14は、第2の表示モードの数値例を示す図である。
【
図15】
図15は、第3の表示モードを説明するための図である。
【
図16】
図16は、第3の表示モードの数値例を示す図である。
【
図17】
図17は、第3の表示モードの数値例の計算を説明するためである。
【
図18】
図18は、第4の表示モードを説明するための図である。
【
図19】
図19は、第4の表示モードの数値例を示す図である。
【
図20】
図20は、第4の表示モードの数値例の計算を説明するためである。
【
図21】
図21は、第5の実施の形態におけるシステム概要を示す図である。
【
図22】
図22は、携帯端末の表示部に表示されるデータの一例を示す図である。
【
図23】
図23は、第6の実施の形態における表示機の表示部に表示されるデータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト自転車の一例を示す外観図である。この電動アシスト自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、バッテリパック101と、モータ駆動制御装置102と、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、表示機106と、ブレーキセンサ107とを有する。
【0012】
また、電動アシスト自転車1は、グリップを含むハンドルバー、前輪、後輪、前照灯、フリーホイール、変速機等も有している。
【0013】
バッテリパック101は、例えばリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであってもよい。そして、バッテリパック101は、モータ駆動制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ駆動制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。
【0014】
トルクセンサ103は、クランク軸周辺に設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御装置102に出力する。また、ペダル回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸周辺に設けられており、回転に応じた信号をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0015】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0016】
ブレーキセンサ107は、運転者のブレーキ操作を検出して、ブレーキ操作に関する信号をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0017】
ユーザが電動アシスト自転車1に搭乗している場合には、モータ駆動制御装置102は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103、ペダル回転センサ104、ブレーキセンサ107等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の力行駆動を制御し、モータ105の回生制動の制御も行う。
【0018】
表示機106は、以下で説明する情報を表示する表示部と、以下で説明するボタンとを有しており、ユーザによるボタンの操作による入力をモータ駆動制御装置102に送信し、モータ駆動制御装置102による演算結果などを表示部に表示する。なお、表示機106を、表示器、操作パネル、表示操作装置、表示器付きスイッチ、スイッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
【0019】
次に、本実施の形態に係る表示機106に関連する機能構成を
図2に示す。
【0020】
モータ駆動制御装置102は、モータ105、トルクセンサ103、ペダル回転センサ104、バッテリ101、及び表示機106に接続されており、これらから得られる数値を用いて表示機106の表示部1061に表示すべき値を演算する演算部1021と、演算部1021によって用いられるデータ及び演算結果などを格納するメモリ1022と、表示機106からの入力及び表示機106への出力を制御する表示機制御部1023とを有する。
【0021】
表示機106は、各種データを表示する表示部1061と、ボタン群とを有する。本実施の形態では、ボタン群には、電源をオンオフさせたりアシストモードを切り替える(モード切替)ための電源ボタン1062と、表示切り替えなどを指示するための上ボタン1063と、表示切り替えなど指示するための下ボタン1064と、ライトの点灯消灯を指示するためのライトボタン1065とを含む。なお、上ボタン1063を長押しすると、例えば表示モードや表示項目の候補を選択できるようになり、上ボタン1063及び下ボタン1064との組み合わせで表示モードや表示項目の候補を切り替えたり、再度上ボタン1063を長押しして選択を確定させたりするものとする。但し、上ボタン1063及び1064の用い方については、任意である。
【0022】
演算部1021は、例えばモータ105から出力されるホール信号に基づきモータの回転状況を特定すると共に、単位時間あたりの回転角と前輪半径とにより車速及び走行距離を演算する。また、演算部1021は、トルクセンサ103からの入力トルク[Nm]とペダル回転センサ104からのペダル回転数(クランク回転数とも呼ぶ)[rpm]とから消費カロリーを算出する。さらに、演算部1021は、バッテリ101から電池容量[Wh]又は充電レベル[%]などのデータを取得すると共に、バッテリ101の電池電圧[V]、バッテリ101へ流入する回生電流[A]及びバッテリ101から流出する駆動電流[A]を測定して、回生電力量及び駆動電力量を演算する。なお、演算部1021は、電池容量と走行距離と(駆動電力量-回生電力量)とから、推定航続距離を算出する。その他の数値を演算するようにしても良い。
【0023】
表示機制御部1023は、電源ボタン1062の押し下げにより電源オンが指示された後、さらに電源ボタン1062が押されると、アシストモードの切り替え指示として受け付け、モータ駆動の態様を切り替える。アシストモードは、例えば、ロー(Low)、オート(Auto)、ハイ(High)のいずれかである。また、表示機制御部1023は、ライトボタン1065が押されると、既にライトを点灯中であれば消灯させ、消灯中であれば点灯させる。さらに、表示機制御部1023は、上ボタン1063及び1064の操作内内容から表示部1061に表示すべき項目を特定して、当該項目について演算部1021が演算した結果を表示機106に出力することで、表示部1061に数値等を表示させる。
【0024】
図3に、本実施の形態に係る表示機106の上面図を示す。本実施の形態に係る表示機106の上面には、表示部1061と、電源ボタン1062と、上ボタン1063と、下ボタン1064と、ライトボタン1065とが配置されている。この表示機106のハードウエアに関する特徴については、後に説明する。
【0025】
図4に、表示部1061を液晶のセグメント方式で実現した場合における表示例を示す。表示部1061は、第1の表示域1061aと、第2の表示域1061bと、第3の表示域1061cと、第4の表示域1061dと、第5の表示域1061eとを含む。第1の表示域1061aは、7セグメントで4桁の数字等を表示できるようになっており、単位として、カロリー[kcal]、電力量のポイント[P]、速度[km/h]とを表示できるようになっている。なお、回生電力量を表示する場合には、エコロジー(すなわち自然環境保護)を表す葉っぱマークが表示され、駆動電力量を表示する場合には、葉っぱマークは表示されない。第2の表示域1061bは、ランプ点灯マークと、例えば近距離通信(例えばBluetooth(登録商標))を表すマークと、7セグメントで1桁の数などを表示できるようになっている。第3の表示域1061cは、7セグメントで4桁の数字等を表示できるようになっており、単位として、電力量のポイント[P]、充電レベルや以下で述べる回生率[%]、速度[km/h]を表示できるようになっている。なお、エコロジーを表す葉っぱマークについては、第1の表示域1061aと同じである。さらに、第4の表示域1061dは、7セグメントで4桁の数字等を表示できるようになっており、単位として、電力量のポイント[P]、カロリー[kcal]、速度[km/h]を表示できるようになっている。なお、エコロジーを表す葉っぱマークについては、第1の表示域1061aと同じである。
【0026】
さらに、第5の表示域1061eは、電池マーク62と、電池に向かって回生電流が流れて回生中を表すマーク61と、電池から駆動電流が流れてアシスト中を表すマーク63と、モードMを示すマーク65と、現在アシストモード(A:オート、L:ロー、H:ハイ)を示す7セグメント表示64と、電動アシスト自転車を表すマーク66と、搭乗中のユーザを表すマーク67と、回生中にエコロジーを表すマーク68とを含む。
【0027】
本実施の形態で特徴的なのは、1)消費カロリー、2)回生電力量、3)駆動電力量を同時に表示部1061に表示できる点である。
図5の例では、第1の表示域1061aには消費カロリー[kcal]が表示され、第3の表示域1061cには回生電力量[P]が表示され、第4の表示域1061dには駆動電力量[P]が表示される。消費カロリー[kcal]は、演算部1021により以下のように算出される。
消費カロリー[J]=入力トルク[Nm]×ペダル回転数[rpm]×2π/60×時間[s]
消費カロリー[kcal]=変換係数(約4.18)×消費カロリー[J]/1000
なお、例えばw秒ごとに入力トルク及びペダル回転数を測定している場合には、測定毎に入力トルク[Nm]×ペダル回転数[rpm]×2π/60×w[s]を算出して、1回前に算出した消費カロリーに加算すれば良い。また、消費カロリーについても、他の単位に換算した値を表示するようにしても良い。
【0028】
また、回生電力量は、演算部1021により以下のように算出される。
回生電力量[Ws]=回生電流[A]×電池電圧[V]×時間[s]
回生電力量[P]=回生電力量[Ws]/100
なお、例えばw秒ごとに回生電流及び電池電圧を測定している場合には、測定毎に、回生電流[A]×電池電圧[V]×w[s]を算出して、1回前に算出した回生電力量に加算すれば良い。回生電力量[Ws]をそのまま表示するようにしても良いが、分かりやすくするために、ポイント換算した回生電力量[P]を表示するようにする。なお、100[Ws]=1Pであるが、例えば乾電池の本数に換算するようにしても良い。
【0029】
さらに、駆動電力量は、演算部1021により以下のように算出される。
駆動電力量[Ws]=駆動電流[A]×電池電圧[V]×時間[s]
駆動電力量[P]=駆動電力量[Ws]/100
なお、例えばw秒ごとに駆動電流及び電池電圧を測定している場合には、測定毎に、駆動電流[A]×電池電圧[V]×w[s]を算出して、1回前に算出した駆動電力量に加算すれば良い。駆動電力量[Ws]をそのまま表示するようにしても良いが、分かりやすくするために、ポイント換算した駆動電力量[P]を表示するようにする。なお、100[Ws]=1Pであるが、例えば乾電池の本数に換算するようにしても良い。
【0030】
本実施の形態では、基本の表示モードとして、消費カロリー又はその換算値、回生電力量又はその換算値、及び駆動電力量又はその換算値を同時に表示する。これは、上でも述べたように、電動アシスト自転車1の運転中に、エネルギー的観点でどのような走行状態であるかを容易に理解できるようにするためである。より具体的には、人的な消費エネルギーとして消費カロリーを表示することで、ユーザに対して健康への効果を把握可能にしている。また、回生電力量を表示することで、回生機能付きの電動アシスト自転車1特有のクリーンエネルギー生成の効果を把握可能にしている。また、駆動電力量を表示することで、走行によって消費した電力量を把握可能にしている。回生電力量と駆動電力量とによってCO2排出による環境への影響がユーザに意識付けられる。
【0031】
本実施の形態のように、消費カロリー又はその換算値、回生電力量又はその換算値、及び駆動電力量又はその換算値を同時に表示するという基本の表示モードにより、ユーザは、エネルギー的観点において走行状態を理解した上で、アシストモードを変更して駆動電力量を減らしたり、ブレーキセンサ107によって回生を行うような電動アシスト自転車1であればブレーキ操作を変更してより多くの回生を行うようにしたり、重いギアに変更することで消費カロリーを増加させるといったことができるようになる。
【0032】
なお、本実施の形態では、
図6に示した第5の表示域1061eの表示内容も特徴的である。
図6の例では、回生中なので、葉っぱマーク68が表示され、さらに、回生中を表すマーク61も表示され、電池(バッテリ)へ回生電流が流れていることを認識できる。なお、駆動中を表すマーク63は表示されない。一方、アシスト中であれば、駆動中を表すマーク63が表示され、電池(バッテリ)から駆動電流が流れ出ていることが認識できる。なお、葉っぱマーク68及び回生中を表すマーク61は表示されない。このような表示によっても、ユーザは現在の走行状態を容易に把握できるようになる。
【0033】
次に、表示機106のハードウエアに関する特徴を説明する。本実施の形態に係る表示機106は、
図7Aに示すように、例えばハンドルバー108の左側で左のハンドルグリップ109の右側に設置され、左のハンドルグリップ109を左手で握った上で、左手親指でボタン1062乃至1065のいずれかを押し下げることが想定されている。そのため、左手の親指が届く範囲を考慮した上で、ボタン1062乃至1065を配置している。
【0034】
具体的には、ボタン1062乃至1064については、表示部1061の左側辺側に列を成して配置される。この際、ボタン1062乃至1064の列は、表示部1061の上から下に向かって、表示部1061の左側辺から徐々に離れるように湾曲している。
図7Bに示すように、ボタン1062乃至1064の列L1は、上から下に向かって左側に曲がるようにして、下の方のボタンほどハンドルグリップ109に近くなるようにしている。これによって、ハンドルグリップ109を握りながら左手の親指が下の方のボタンでも押しやすくなっている。なお、最も使用することが多い電源ボタン1062については、列L1の一番上に配置している。また、ライトボタン1065については、それほど押すことがないので、ボタン1062乃至1064の列L1より表示部1061側の列L2上に配置している。すなわち、ハンドルグリップ109から遠い位置に配置されている。
【0035】
但し、ボタン1063及び1064の一部を窪ませて、ボタン1065の一部を収納することで、列L1とL2の間隔を短くしてボタン1064がハンドルグリップ109からあまり遠くならないようにしている。
【0036】
さらに、本実施の形態では、最も使用することが多い電源ボタン1062については、触っただけでも分かるように、他のボタン1063乃至1065よりも上面が高くなるような凸形状のボタンとしている。例えば、表示部1061が、保護などのためにくぼみに実装されて、表示部1061より高い部分に筐体の意匠基準面1069が設けられている場合には、他のボタン1063乃至1065の上面については、この意匠基準面1069と同じ又はほぼ同じような高さにすることで、電源ボタン1062が強調される。なお、電源ボタン1062だけを凸形状にするのではなく、区別すべき他のボタンも凸形状にしても良い。また、電源ボタン1062の上面の高さと同じ高さを上面に有するボタンがあっても良い。
【0037】
さらに、左のハンドルグリップ109を握りながら左手の親指で触れやすくするには、表示機106の上面の高さも問題となる。
図8(a)には表示機106の上面図、
図8(b)には表示機106の側面図、
図8(c)には比較例の上面図、
図8(d)には比較例の側面図を示す。表示機106は、ハンドルバー108への結合部1068を有している。この結合部1068は、ハンドルバー108の外周に巻き付くようにして表示機106の本体部1067を固定するようになっている。
【0038】
図8(c)及び(d)の比較例に示すように、本体部全体をハンドルバー108の上に載るように配置すると、ボタン1062乃至1065を配置する面が高くなってしまい、ボタン1062乃至1065を左手親指で押しにくくなる。
【0039】
そこで、
図8(a)及び(b)に示すように、本実施の形態では、結合部1068をより上側に配置して、表示部1061を正面から見て、ハンドルバー108の中心線L3以下に、表示機106の本体部1067の上端部が配置されるようにする。特に、表示部1061を正面から見て、表示部1061の上端が、ハンドルバー108の中心線L3以下となるようにすることで、本体部1067の上部を薄くすることができ、結合部1068を上側に配置できるようになる。言い換えれば、ハンドルバー108の上に載せるのではなく、ハンドルバー108からつり下げるような形で本体部1067を配置する。これによって、
図8(c)及び(d)に示す比較例より、本実施の形態では高さHだけボタン1062乃至1065を配置する面を下げることができ、ボタン1062乃至1065を親指で押しやすくなる。
【0040】
以上のような構成を採用することで、ユーザは走行状態をエネルギー的な観点において把握しやすくなり、ボタンについても親指で押しやすくなるので、ユーザビリティが向上する。
【0041】
なお、第1の表示域1061aには消費カロリー、第3の表示域1061cには回生電力量、第4の表示域1061dには駆動電力量を表示する例を示したが、異なる表示域に異なる指標値を表示するような変形を行っても良い。
【0042】
[実施の形態1の変形例1]
例えば、第3の表示域1061cにおいて、回生電力量[P]が増加すると、エコロジーを表す葉っぱマークの色を変化させるようにしても良い。具体的には、
図9に模式的に示すように、表示機制御部1023は、例えば10Pから50Pに回生電力量が増加する場合に、薄い葉っぱマークから濃い葉っぱマークへ変化させるようにしても良い。
【0043】
また、表示機制御部1023は、回生電力量[P]が増加すると、エコロジーを表す葉っぱマークの大きさを変化させるようにしても良い。具体的には、
図10に模式的に示すように、例えば10Pから50Pに回生電力量が増加する場合に、小さい葉っぱマークから大きい葉っぱマークへ変化させるようにしても良い。
【0044】
このようにすれば、ユーザにクリーンエネルギーの生成量が増加したことを分かりやすく提示できるようになる。
【0045】
[実施の形態1の変形例2]
例えば、第5の表示域1061eにおける表示態様を変化させることで、消費カロリーの増加などを分かりやすく表示することもできる。
【0046】
例えば、
図11に模式的に示すように、表示機制御部1023は、消費カロリーが一定値より多くなると、搭乗中のユーザを表すマーク67の色が薄くするようにしても良い。これにより、消費カロリーの増加による体重減を想起させるものである。
【0047】
さらに、
図12に模式的に示すように、表示機制御部1023は、消費カロリーが一定値より少なく、駆動電力量が一定値より大きい場合には、電動アシスト自転車を表すマーク66が消えるようにしても良い。これにより、アシストに頼りすぎな走行状況であることを理解しやすくなる。
【0048】
[実施の形態2]
本実施の形態では、第2の表示モードとして、回生電力量/駆動電力量×100[%]で算出される回生率を、表示部1061に表示する場合を説明する。
【0049】
例えば、上ボタン1063や下ボタン1064を操作することで、回生率を表示する第2の表示モードを選択することができる。
【0050】
第2の表示モードの表示例を
図13に示す。第2の表示モードでは、第1の表示域1061aには、駆動電力量[P]を表示し、第4の表示域1061dには、回生電力量[P]を表示し、第3の表示域1061cには、回生率[%]を表示する。
【0051】
回生率は、数値が高い方がエコロジー的に好ましい走行が行われていることになる。
図14に、A乃至Cの3つの数値例を示している。Aは、B及びCよりも回生電力量が多いが、駆動電力量も非常に多くなっているので、B及びCに比して回生率が低くなってしまっている。一方、BとCとは回生電力量は同じであるが、Cの方が駆動電力量が少なくて済んでいるので、Cが最も回生率が高くなる。このように、駆動電力量に対する回生電力量の割合である回生率が高くなるほど、クリーンエネルギーの生成及び利用割合が高くなり、環境面で好ましいことが分かる。
【0052】
なお、
図13の例のように、回生率を算出する上で用いられる駆動電力量及び回生電力量を同時に表示するようにしても良いが、他の種類の値を表示するようにしても良い。
【0053】
[実施の形態3]
本実施の形態では、第3の表示モードとして、消費カロリー[J]×回生電力量[J]により算出される新たな指標値である、消費カロリーとエコロジーとのバランスを、表示部1061に表示する場合を説明する。
【0054】
例えば、上ボタン1063や下ボタン1064を操作することで、消費カロリーとエコロジーとのバランスを表示する第3の表示モードを選択することができる。
【0055】
第3の表示モードの表示例を
図15に示す。第3の表示モードでは、表示機制御部1023は、第1の表示域1061aには、消費カロリー[kcal]を表示し、第3の表示域1061cには、回生電力量[P]を表示し、第4の表示域1061dには、消費カロリーとエコロジーとのバランスを表す指標値を表示する。
【0056】
本指標値は、数値が高い方が運動と発電のバランスが優れていることを表している。
図16に、A乃至Dの4つの数値例を示している。AとBとは回生電力量は同じであるが、消費カロリーがAの方が多いので、BよりAの方が本指標値が高くなる。また、CとDとは消費カロリーが同じであるが、回生電力量はDの方が多いので、CよりDの方が本指標値は高くなる。なお、本指標値は単位をMJ
2とするので、消費カロリーも回生電力量もジュール[J]単位に直してから乗算して10
6で除する。
図17の例であれば、
図16に示すように変換され、本指標値が算出される。上で説明したように、Dが最も本指標値が高くなる。
【0057】
なお、
図14の例のように、本指標値を算出する上で用いられる消費カロリーと回生電力量を同時に表示するようにしても良いが、他の種類の値を表示するようにしても良い。
【0058】
[実施の形態4]
本実施の形態では、第4の表示モードとして、消費カロリー[J]/駆動電力量[J]により算出される新指標値である運動効果を、表示部1061に表示する場合を説明する。
【0059】
例えば、上ボタン1063や下ボタン1064を操作することで、運動効果を表示する第4の表示モードを選択することができる。
【0060】
第4の表示モードの表示例を
図18に示す。第4の表示モードでは、表示機制御部1023は、第1の表示域1061aには、消費カロリー[kcal]を表示し、第3の表示域1061cには、駆動電力量[P]を表示し、第4の表示域1061dには、運動効果を表す指標値を表示する。
【0061】
本指標値は、数値が高い方が運動効果が高いことを表している。
図19に、A乃至Cの3つの数値例を示している。Aは、B及びCよりも消費カロリーが大幅に小さく、さらに駆動電力量はそれほど変わらないので、運動効果も小さくなる。一方、BとCとは、消費カロリーは変わらないが、駆動電力量はCの方が半分となっているので、Cの方が運動効果が高くなる。なお、本指標値はジュール[J]同士の割り算として得られるものとするので、
図19に示した例であれば、
図20に示すように変換され、運動効果も算出される。上で説明したとおり、Cが最も運動効果が高くなる。
【0062】
なお、
図18の例のように、本指標値を算出する上で用いられる消費カロリーと駆動電力量を同時に表示するようにしても良いが、他の種類の値を表示するようにしても良い。
【0063】
[実施の形態5]
表示機に、近距離無線通信機能(例えばBluetooth(登録商標))を持たせるようにしても良い。モータ駆動制御装置102ではなく、表示機に近距離無線通信を行う無線通信部を持たせることによって、ユーザが保持する携帯端末(例えばスマートフォン)と距離が短くなり、通信を安定的に行うことができるようになる。
【0064】
本実施の形態に係るシステムの機能構成例を
図21に示す。本実施の形態に係るモータ駆動制御装置102bの表示機制御部1023bは、表示機106bに含まれる無線通信部1066を制御する機能をも有する。表示機106bは、無線通信部1066をさらに有しており、当該無線通信部1066は、ユーザが有する携帯端末200と近距離無線通信を行うようになっている。
【0065】
表示機制御部1023は、無線通信部1066を介して、携帯端末200にインストールされ且つ実行されている特定のアプリケーションプログラムからの要求を受信すると、演算部1021が算出する各種数値などを携帯端末200へ返信する。
【0066】
例えば、携帯端末200の表示部には、
図22に示すような表示がなされる。
図22に示す例では、アプリケーションプログラム210の表示として、アシストモード(この例ではロー(L)。ハイ(H)又はオート(A)の場合もある)と、速度(車速)[km/h]と、駆動電力量[P]と、回生電力量[P]と、消費カロリー[kcal]と、推定航続距離[km]とを表示するようになっている。
【0067】
アシストモード以外は、演算部1021により算出される。推定航続距離は、以下のような算式にて算出される。
推定航続距離[km]=満充電時の電池容量[J]/(駆動電力量[J]-回生電力量[J])×電源オンからこれまでの走行距離[km]
なお、推定航続可能距離を表示させてもよい。推定航続可能距離は、以下のように算出される。
推定航続可能距離[km]=現在の電池容量[J]/(駆動電力量[J]-回生電力量[J])×電源オンからこれまでの走行距離[km]
【0068】
電池容量[J]=電池容量[Wh]×3600[s]である。さらに、走行距離は、例えば、電源オンからこれまでのモータ105の回転回数×2π×前輪半径r[m]*1000で算出される。すなわち、(駆動電力量-回生電力量)で走行できた距離を基準に、満充電時の電池容量又は現在の電池容量であとどれだけ走行できるかを計算するものである。
【0069】
なお、速度[km/h]についても、例えば、モータ105の1秒あたりの回転角[rad]×前輪半径r[m]×60/1000で算出される。
【0070】
さらに、図には示していないが、回生率、運動効果、及び消費カロリーとエコロジーとのバランスを、携帯端末200に送信して表示部に表示させるようにしても良い。
【0071】
このような表示を携帯端末200の表示部に表示することによって、ユーザは現在の走行状態を適切に把握できるようになる。また、表示機106bよりも表示領域が大きいため、数値データなども見やすい。
【0072】
[実施の形態6]
ユーザによっては、表示機106の表示部1061に時刻を表示することを望む場合もある。例えば、GPS(Global Positioning System)受信機をモータ駆動制御装置102に設けることで、時刻取得は可能となるが、しばらく電動アシスト自転車1に乗車しなくて電源オフの期間が長くなると、時刻取得に時間が掛かり、ユーザが表示を欲するタイミングで表示できないという事態も生ずる。また、モータ駆動制御装置102又は表示機106に、リアルタイムクロック回路を設置することも考えられるが、常に電源供給を行っていないと時刻がずれてしまい、再度設定し直すといった手間が掛かる。
【0073】
本実施の形態では、無線通信部1066と携帯端末200のアプリケーションプログラム210との間でリンクがとれている間においては、アプリケーションプログラム210は携帯端末200の時刻データを取得して、当該アプリケーションプログラム210から無線通信部1066に時刻データを送信し続ける。無線通信部1066は、携帯端末200から時刻データを受信すると、例えばモータ駆動制御装置102bに送信する。上ボタン1063や下ボタン1064の操作によって、時刻を表示する表示モードが選択されると、表示機制御部1023bは、表示部1061に時刻を表示するように表示機106bを制御する。
【0074】
例えば、
図23に示すような表示を表示部1061に行う。
図23の例では、第4の表示域1061dに、現在の時刻を表示するようになっており、第1の表示域1061aでは回生電力量[P]を表示し、第3の表示域1061cでは駆動電力量[P]を表示するようになっている。
【0075】
このように携帯端末200の時刻データを用いて表示機106bの表示部1061に現在の時刻を表示することで、ユーザは容易に正確な時刻を把握できるようになる。
【0076】
但し、現在の時刻を表示する表示域を他の表示域にしても良いし、現在の時刻と同時に表示する値の種類は、別のものであっても良い。
【0077】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良い。
【0078】
さらに、上で述べた機能ブロック図は一例であって、1の機能ブロックを複数の機能ブロックに分けても良いし、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックに統合しても良い。 演算部1021は、一部又は全部を専用の回路にて実装しても良いし、メモリ1022等に記録したプログラムをプロセッサで実行することで、上で述べたような機能を実現させるようにしても良い。
【0079】
電動アシスト自転車1は、電動アシスト車の典型例であるが、回生機能付きの電動アシスト台車その他の電動アシスト車の表示機においても、上で述べた構成が有効である場合もある。
【0080】
表示部1061がセグメント方式の液晶表示である例を示したが、ドットマトリックスタイプの液晶や有機EL(Electro-Luminescence)などの表示部を採用しても良い。また、近距離無線通信についても赤外線通信その他の規格に従った無線通信を行うようにしても良い。
【0081】
上で述べた実施の形態では、演算部1021を、モータ駆動制御装置102に設けて、数値の演算は演算部1021に行わせることを想定しているが、全部又は一部の数値を、表示機106の内部に設ける演算部にて算出して表示するようにしても良い。
【0082】
上では、時刻表示についても、モータ駆動制御装置102bの表示機制御部1023bにより表示させる例を述べたが、表示機106b内に時刻データを表示部1061に表示させる回路などを設けるようにしても良い。
【0083】
回生率、運動効果、及び消費カロリーとエコロジーとのバランスは、消費カロリーと駆動電力量と回生電力量とのうち2つを用いて新たな指標値であるが、3つとも用いて新たな指標値を算出するようにしても良い。
【0084】
さらに、表示部1061の左側にボタン1062乃至1065を設けるような形態を説明したが、ハンドルバー108の右側に表示機106を設ける場合には、表示部1061の右側にボタン1062乃至1065を設けて、左右対称の形状が好ましい。
【0085】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0086】
本実施の形態に係る、電動アシスト自転車用の表示機は、電動アシスト自転車に搭乗しているユーザの消費カロリーの値又は当該消費カロリーの値を換算した値である第1の値と、電動アシスト自転車のバッテリに回生した回生電力量又は当該回生電力量を換算した値である第2の値と、電動アシスト自転車のモータを駆動するのに消費した駆動電力量又は当該駆動電力量を換算した値である第3の値とを同時に表示可能な表示部を有する。
【0087】
このように第1乃至第3の値を同時に表示させることで、電動アシスト自転車の運転中に、エネルギー的観点でどのような走行状態であるかを容易に理解できるようになる。より具体的には、人的な消費エネルギーとして消費カロリーを表示することで、ユーザは健康面での効果を把握できるようになる。また、回生電力量を表示することで、回生機能付きの電動アシスト自転車特有のクリーンエネルギー生成の効果を把握可能にしている。また、駆動電力量を表示することで、走行によって消費した電力量を把握可能にしている。回生電力量と駆動電力量とによってCO2排出による環境への影響がユーザに意識付けられる。
【0088】
なお、上で述べた表示部には、表示切り替え操作に応じて、第1の値と第2の値と第3の値とのうち少なくとも2つを用いて演算される指標値を表示可能である場合もある。新たな指標値を提示することで、ユーザは新たな観点を把握しつつ運転することができる。
【0089】
さらに、上で述べた指標値が、第3の値に対する第2の値の割合から得られる回生率である場合もある。駆動電力量に対する回生電力量の割合である回生率は高くなるほど、クリーンエネルギーの生成及び利用割合が高くなり、環境面で好ましいことが分かる。なお、上で述べた表示部が、第2の値と第3の値と回生率とを同時に表示可能である場合もある。
【0090】
また、上で述べた指標値が、第1の値と第2の値の積から得られ、且つ消費カロリーとエコロジー(自然環境保護)とのバランスを表す指標値である場合もある。本指標値は、数値が高い方が運動と発電のバランスが優れていることを示しており、ユーザは新たな観点を把握しつつ運転できるようになる。なお、上で述べた表示部が、第1の値と第2の値と本指標値とを同時に表示可能である場合もある。
【0091】
さらに、上で述べた指標値が、第3の値に対する第1の値の割合から得られ、且つ運動効果を表す指標値である場合もある。本指標値は、数値が高い方が運動効果が高いことを表しており、ユーザは新たな観点を把握しつつ運転できるようになる。なお、上で述べた表示部が、第1の値と第3の値と本指標値とを同時に表示可能である場合もある。
【0092】
また、上で述べた第2の値の表示に、エコロジーを表すマーク(例えば葉っぱマーク)が付されている場合もある。これによって、駆動電力量との区別がし易くなる。
【0093】
さらに、上で述べたエコロジーを表すマークが、第2の値に応じた表示態様となる場合もある。第2の値の程度を把握しやすくするためである。
【0094】
また、上で述べた表示部が、第1乃至第3の値と同時に、現在、バッテリに回生中である状態とバッテリから電力を出力中である状態とのいずれであるかを示すマーク(例えば第5の表示域1061e内のマーク)を表示可能である場合もある。走行状態を容易に把握可能となる。
【0095】
さらに、バッテリに回生中である状態とバッテリから電力を出力中である状態とのいずれであるかを示すマークが、電動アシスト自転車を模したマーク(例えばマーク66)と電動アシスト自転車に搭乗中のユーザを模したマーク(マーク67)とを含むようにしても良い。ユーザに親しみやすいマークで、走行状態を容易に把握できるようになる。
【0096】
なお、上で述べた電動アシスト自転車を模したマークが、第1の値に応じた表示態様となる場合もある。より容易に走行状態を把握できるようになる。
【0097】
さらに、上で述べた電動アシスト自転車に搭乗中のユーザを模したマークが、第1の値及び第3の値とに応じた表示態様となる場合もある。消費カロリーが少なく、駆動電力量が多い場合にはマークを薄くするなどの表示態様で、ユーザがより容易に走行状態を把握しやすくなる。
【0098】
さらに、表示機において、表示部の一方の側辺側に複数の操作ボタンが列を成して設けられており、複数の操作ボタンの列が表示部の上から下に向かって表示部から徐々に離れるように湾曲している場合もある。これによって、ユーザが例えば親指で触れやすい範囲にボタンが配置されるようになる。
【0099】
なお、上記複数の操作ボタンとは異なる操作ボタンが、複数の操作ボタンの列より表示部寄りに設けられている場合もある。使用頻度が低いボタンについては、親指で触れにくい位置に配置する場合もある。
【0100】
さらに、上で述べた複数の操作ボタンのうち少なくとも1つの高さが、複数の操作ボタンの残りの操作ボタン及び複数の操作ボタンとは異なる操作ボタンの高さより高くなっている場合もある。使用頻度が高いボタンについては、より指に触れやすく区別できるような形態にするものである。
【0101】
なお、上記複数の操作ボタンのうち少なくとも1つは、上記列の上部に配置されている場合もある。使用頻度が高いボタンについては、さらに指に触れやすくするためである。
【0102】
なお、表示機は、電動アシスト自転車のハンドルバーへの結合部を有し、当該結合部が、表示部を正面から見て、表示機の上端又は表示部の上端が、ハンドルバーの中心線以下になるように、表示機をハンドルバーに結合させるものである場合もある。これによって、ボタンが設けられる面を低くすることができ、よりユーザがボタンに触れやすくなる。
【0103】
さらに、表示機が、外部の無線通信機器(例えばスマートフォンなどの携帯端末)と通信を行う無線通信部をさらに有するようにしても良い。表示機が設置される位置は、通常ユーザが搭乗中に触れられるような位置なので、外部の無線通信機器との通信も安定的に行うことができるようになる。
【0104】
なお、上で述べた無線通信部が、第1乃至第3の値を無線通信機に送信するようにしても良い。さらに、上で述べた無線通信部が、さらに電動アシスト自転車の速度、アシストモード、推定航続距離のうち少なくともいずれかを無線通信機に送信するようにしても良い。無線通信機の表示部の方が大きい場合が多く、よりデータを確認しやすいためである。
【0105】
さらに、上で述べた無線通信部が、無線通信機から時刻データを受信し、上で述べた表示部は、表示切り替え操作に応じて、時刻データに基づく時刻表示が可能である場合もある。より正確な時刻を、簡単に表示機の表示部に表示可能になる。
【0106】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。
【符号の説明】
【0107】
1021 演算部 1022 メモリ
1023,1023b 表示機制御部
106 表示機
1061 表示部 1062 電源ボタン
1063 上ボタン 1064 下ボタン
1065 ライトボタン 1066 無線通信部
1067 本体部 1068 結合部