(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119323
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/28 20060101AFI20230821BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B65D25/28 105B
B65D21/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022162
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
【テーマコード(参考)】
3E006
3E062
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA02
3E006CA01
3E006DA10
3E006DB10
3E006FA10
3E006JA02
3E062AA01
3E062AC02
3E062HA06
3E062HA08
3E062HB02
3E062HB07
3E062HC14
3E062HD02
3E062HD05
3E062HD22
(57)【要約】
【課題】倒れ姿勢にあるハンドルを好適にスライドさせることのできる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、上方に開口する略箱状をなす容器本体2と、容器本体2の開口縁に対応して回動変位可能に連結され、容器本体2の開口縁に沿って延在する倒れ姿勢と、倒れ姿勢から上方に回動して容器本体2の開口縁に対して交差する方向に延在する回動姿勢とに姿勢変化可能に構成されるハンドル3とを備え、倒れ姿勢とされたハンドル3を容器本体2の開口縁に沿ってスライド可能に構成されている。容器本体2は、ハンドル3を軸支する本体側軸機構部21を備え、倒れ姿勢とされたハンドル3のスライド方向に対して交差する水平方向への変位を本体側軸機構部21とは異なる位置で規制可能な案内突部41及び突部受容部42を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する略箱状をなす容器本体と、前記容器本体の開口縁に対応して回動変位可能に連結され、前記容器本体の開口縁に沿って延在する倒れ姿勢と、前記倒れ姿勢から上方に回動して前記容器本体の開口縁に対して交差する方向に延在する回動姿勢とに姿勢変化可能に構成されるハンドルとを備え、前記倒れ姿勢とされた前記ハンドルを前記容器本体の開口縁に沿ってスライド可能な容器において、
前記容器本体は、前記ハンドルを軸支する本体側軸機構部を備え、
前記倒れ姿勢とされた前記ハンドルのスライド方向に対して交差する水平方向への変位を前記本体側軸機構部とは異なる位置で規制可能な規制手段を備えることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記スライド方向における前記容器本体の中央部を挟むようにして一対で設けられ、
前記倒れ姿勢にある前記ハンドルは、前記一対のハンドル同士が最も離間する位置であり、前記一対のハンドルの間を介して、前記容器本体の内側に別の前記容器本体を挿入するようにして積重ね可能とする第1位置と、前記一対のハンドル同士が最接近する位置であり、平面視で一部が前記容器本体の開口縁の内周側に位置し、一対の前記ハンドルの上方に別の前記容器本体を積重ね可能とする第2位置との間をスライド可能に構成され、
前記規制手段は、前記ハンドルが前記第1位置、及び、前記第2位置のどちらにあっても、前記倒れ姿勢とされた前記ハンドルの前記スライド方向に対して交差する水平方向への変位を前記本体側軸機構部とは異なる位置で規制可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記倒れ姿勢にある前記ハンドルを載置可能な載置部と、前記載置部から上方に突出する案内突部とを備え、
前記ハンドルは、互いに略平行する一対の略直線状の支持部と、一対の前記支持部の一端部間を連結する連結部と、前記各支持部の他端部側に設けられる軸部と、前記支持部と前記連結部との境界部に設けられ、前記ハンドルが前記倒れ姿勢にある場合に前記案内突部を受容し、当該案内突部のうち前記容器本体の内方側の面である内側面及び前記容器本体の外方側の面である外側面の少なくとも一方に対して当接又は近接する突部受容部とを備え、
前記案内突部及び前記突部受容部により前記規制手段が構成され、
少なくとも前記ハンドルが前記第1位置にある状態において前記案内突部の外側面が前記支持部のうち前記容器本体の内方側の面である内面と当接又は近接し、
前記支持部の内面と、前記突部受容部とが連続して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記ハンドルは、前記支持部と前記連結部との境界部において湾曲部を備え、
前記突部受容部は、前記湾曲部において設けられ、
前記湾曲部は、前記ハンドルの内周側の内側湾曲面と、前記ハンドルの外周側の外側湾曲面とを備え、
前記外側湾曲面の曲率半径は、前記内側湾曲面の曲率半径よりも小さく構成されていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用されるハンドル付きの容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面視略矩形状の底壁構成部と、底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部とを具備する容器本体と、容器本体に対して回動変位可能に連結され、容器本体の開口縁に沿って延在する倒れ姿勢と、倒れ姿勢から軸部を中心に上方に回動して容器本体の開口縁に対して交差する方向に延在する回動姿勢とに姿勢変化可能に構成されたハンドルとを備える容器が知られている。また、倒れ姿勢とされたハンドルを容器本体の開口縁に沿ってスライド可能に構成するといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、倒れ姿勢とされたハンドルを容器本体の開口縁に沿ってスライドさせる際に、当該ハンドルが前記スライド方向に対して交差する水平方向にずれてしまう(変形・変位してしまう)ことが懸念される。その場合、ハンドルをスライドさせる操作性が低下する上、ハンドルがずれた状態のまま強引にスライド操作されることで、軸部の損傷や軸支部からの脱落等を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、倒れ姿勢にあるハンドルを好適にスライドさせることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.上方に開口する略箱状をなす容器本体と、前記容器本体の開口縁に対応して回動変位可能に連結され、前記容器本体の開口縁に沿って延在する倒れ姿勢と、前記倒れ姿勢から上方に回動して前記容器本体の開口縁に対して交差する方向に延在する回動姿勢とに姿勢変化可能に構成されるハンドルとを備え、前記倒れ姿勢とされた前記ハンドルを前記容器本体の開口縁に沿ってスライド可能な容器において、
前記容器本体は、前記ハンドルを軸支する本体側軸機構部を備え、
前記倒れ姿勢とされた前記ハンドルのスライド方向に対して交差する水平方向への変位を前記本体側軸機構部とは異なる位置で規制可能な規制手段を備えることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、倒れ姿勢とされたハンドルをスライドさせる際に、ハンドルを軸支する構成(本体側軸機構部)の周辺部だけでなく、規制手段によっても、倒れ姿勢とされたハンドルの正規のスライド方向に対して交差する水平方向(横方向)へのずれ(変形・変位)を規制することができる。これにより、例えば、倒れ姿勢とされたハンドルをスライドさせる際にハンドルがずれた状態とされることに起因して、スライド操作を行い難くなったり、ハンドルを軸支する構成に対して比較的大きな負荷が作用したりするといった事態をより確実に防止することができる。従って、ハンドルを軸支する構成の損傷やハンドルの脱落等を抑止しつつ、倒れ姿勢とされたハンドルを比較的スムースにスライドさせることができ、ハンドルのスライドに際しての操作性・作業性の向上を図ることができる。
【0009】
手段2.前記ハンドルは、前記スライド方向における前記容器本体の中央部を挟むようにして一対で設けられ、
前記倒れ姿勢にある前記ハンドルは、前記一対のハンドル同士が最も離間する位置であり、前記一対のハンドルの間を介して、前記容器本体の内側に別の前記容器本体を挿入するようにして積重ね可能とする第1位置と、前記一対のハンドル同士が最接近する位置であり、平面視で一部が前記容器本体の開口縁の内周側に位置し、一対の前記ハンドルの上方に別の前記容器本体を積重ね可能とする第2位置との間をスライド可能に構成され、
前記規制手段は、前記ハンドルが前記第1位置、及び、前記第2位置のどちらにあっても、前記倒れ姿勢とされた前記ハンドルの前記スライド方向に対して交差する水平方向への変位を前記本体側軸機構部とは異なる位置で規制可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0010】
手段2によれば、倒れ姿勢にあるハンドルのスライドに際しての操作性等の向上を図るといった作用効果がより確実に奏される。また、規制手段により第2位置にあるハンドルのずれが規制されるため、ハンドルが第2位置にある容器の上方に別の容器を積重ねた(スタッキングした)状態の安定化を図ることができる。
【0011】
手段3.前記容器本体は、前記倒れ姿勢にある前記ハンドルを載置可能な載置部と、前記載置部から上方に突出する案内突部とを備え、
前記ハンドルは、互いに略平行する一対の略直線状の支持部と、一対の前記支持部の一端部間を連結する連結部と、前記各支持部の他端部側に設けられる軸部と、前記支持部と前記連結部との境界部に設けられ、前記ハンドルが前記倒れ姿勢にある場合に前記案内突部を受容し、当該案内突部のうち前記容器本体の内方側の面である内側面及び前記容器本体の外方側の面である外側面の少なくとも一方に対して当接又は近接する突部受容部とを備え、
前記案内突部及び前記突部受容部により前記規制手段が構成され、
少なくとも前記ハンドルが前記第1位置にある状態において前記案内突部の外側面が前記支持部のうち前記容器本体の内方側の面である内面と当接又は近接し、
前記支持部の内面と、前記突部受容部とが連続して設けられていることを特徴とする手段2に記載の容器。
【0012】
手段3によれば、支持部と連結部との境界部に突部受容部が設けられている。このため、倒れ姿勢にあるハンドルのうち軸部から極力離間していて横方向にずれ易い位置においてハンドルの横方向への変位を効果的に規制することができる。従って、ハンドルが倒れ姿勢とされた状態や、ハンドルのスライドをより安定化させることができる。
【0013】
また、少なくともハンドルが第1位置にある状態において、案内突部の外側面が支持部の内面と当接又は近接しており、突部受容部においてのみならず、支持部においても、倒れ姿勢にあるハンドルの横方向への変位が規制されることとなる。従って、ハンドルが第1位置とされた状態、及び、第1位置の周辺でのスライドの安定化をより一層図ることができる。
【0014】
さらに、支持部の内面と突部受容部とが連続していることから、倒れ姿勢にあるハンドルが第1位置と第2位置との間を変位する際にも、案内突部が突部受容部に受容され続ける。従って、例えば、案内突部が突部受容部に受容されていない状態から受容される状態とされる際に案内突部が突部受容部に衝突して案内突部や突部受容部が損傷等するといった事態を防止しつつ、ハンドルのスライドをよりスムースにすることができる。
【0015】
尚、突部受容部の内側側面が、案内突部の外側面及び内側面のうち少なくとも外側面に当接又は近接する場合には、ハンドルが第2位置にある状態(容器のスタッキング状態)においてハンドル(特に、上側の容器を載置している連結部側)が容器本体の内方側に落ち込んでしまうといった事態を防止することができる。
【0016】
手段4.前記ハンドルは、前記支持部と前記連結部との境界部において湾曲部を備え、
前記突部受容部は、前記湾曲部において設けられ、
前記湾曲部は、前記ハンドルの内周側の内側湾曲面と、前記ハンドルの外周側の外側湾曲面とを備え、
前記外側湾曲面の曲率半径は、前記内側湾曲面の曲率半径よりも小さく構成されていることを特徴とする手段3に記載の容器。
【0017】
手段4によれば、湾曲部の内側湾曲面を比較的緩やかな曲面とし、外側湾曲面を比較的急な曲面とすることで、倒れ姿勢にあるハンドルのスライド方向における湾曲部の幅、ひいては、突部受容部の長さを極力大きく確保することができる。従って、突部受容部が設けられるハンドルの湾曲部(コーナー部)の補強を図りつつ(例えば、スタッキングした場合のハンドルのコーナー部の変形等を抑止しつつ)、突部受容部の内側側面と、案内突部とが対向する(当接し得る)範囲(面積)をハンドルのスライド方向において増やすことができ、ハンドルのスライドの安定化等をより一層図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ハンドルが第1位置にある容器を示す斜視図である。
【
図2】ハンドルが第2位置にある容器を示す斜視図である。
【
図4】ハンドル(倒れ姿勢にある場合の上面側)の斜視図である。
【
図5】ハンドル(倒れ姿勢にある場合の下面側)の斜視図である。
【
図6】ハンドル(倒れ姿勢にある場合の下面側)の部分拡大下面図である。
【
図7】容器本体の案内突部等を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】ハンドルが第1位置にある状態における容器本体の案内突部、及び、ハンドルの突部受容部等を示す一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図9】ハンドルが第2位置にある状態における容器本体の案内突部、及び、ハンドルの突部受容部等を示す一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図10】ハンドルが第2位置にある状態における容器本体の案内突部、及び、ハンドルの突部受容部等を示す部分拡大断面図である。
【
図11】ネスティング状態にある容器を示す斜視図である。
【
図12】スタッキング状態にある容器を示す斜視図である。
【
図13】スタッキング状態にある容器を示す部分拡大断面図である。
【
図14】スタッキング状態にある容器を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1等に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状をなす容器本体2と、容器本体2の開口縁に対応して回動変位可能に連結されるハンドル3とを備えている。ハンドル3は、容器本体2の長手幅方向における中央部を挟むようにして一対で設けられている。尚、容器本体2、及び、ハンドル3は、それぞれポリプロピレンによって形成された後、互いに連結される。
【0020】
図2、
図3に示すように、容器本体2は、平面視略矩形状をなす底壁部11と、底壁部11の各長側辺部からそれぞれ上方に延びる長辺側側壁部12と、底壁部11の各短側辺部からそれぞれ上方に延びる短辺側側壁部13とを備えている。本実施形態の長辺側側壁部12、及び、短辺側側壁部13は、上方に向けて容器本体2の外方側に傾斜して延在している。当該構成により、
図11に示すように、下側の容器1(容器本体2)の内側に上側の容器1(容器本体2)を挿入させるようにして、容器1同士を積重ねること(ネスティングすること)が可能に構成されている。
【0021】
また、
図2、
図3に示すように、容器本体2は、長辺側側壁部12の上辺部から容器本体2の外方側に延出する長辺側上フランジ部14と、短辺側側壁部13の上辺部から容器本体2の外方側に延出し、両端部が長辺側上フランジ部14の端部と連結される短辺側上フランジ部15と、上フランジ部14、15の外周縁部から下方に延出する折返し部16と、上フランジ部14、15、折返し部16、及び、側壁部12、13の間を連結する連結リブ17(
図3参照)とを備えている。
【0022】
さらに、
図1、
図9に示すように、各長辺側上フランジ部14のうち、容器本体2の長手幅方向中央部を含む範囲には、容器本体2の外周側の部位(容器本体2の開口縁から所定距離以上外周側に離間した部位)を上方に膨出させるようにして形成された本体側軸機構部21が設けられている。本体側軸機構部21の両端部は、正面視で本体側軸機構部21の横幅が上方に向けて次第に狭まるようにして傾斜している。つまり、本体側軸機構部21を設けるべく、長辺側上フランジ部14の一般部のうち容器本体2の外周側の部位を切欠いたような形状とし、本体側軸機構部21は、当該切欠き部の容器本体2の内方側縁部から上方に延出する正面視略台形状の軸壁部22と、軸壁部22の上辺部から容器本体2の外方側に延出する上壁部23と、軸壁部22の斜辺部から容器本体2の外方側に延出する傾斜壁部24と、上壁部23及び傾斜壁部24の外縁部から下方に延出する前記折返し部16とにより構成されている。折返し部16のうち本体側軸機構部21に対応する部位に関しては、上壁部23及び傾斜壁部24に倣って折返し部16の一般部よりも上方に変位して設けられている。また、軸壁部22には、当該軸壁部22を貫通する孔部が形成されることで構成され、詳しくは後述するハンドル3の軸部33を軸支する軸支部25が設けられている。尚、ハンドル3が一対で設けられることに対応して、各本体側軸機構部21の軸壁部22には軸支部25が一対ずつ設けられる。
【0023】
加えて、
図3に示すように、容器本体2は、底壁部11の下面の各短側辺部からそれぞれ下方に突出する短辺側下部突部26と、一対の短辺側下部突部26の間の範囲において、底壁部11の下面から略格子状に下方に突出する支持リブ27とを備えている。容器本体2を床面等の設置面に設置した場合には、短辺側下部突部26及び支持リブ27が設置面に接地する。
【0024】
図4、
図5に示すように、ハンドル3は、互いに略平行する一対の略直線状の支持部31と、一対の支持部31の一端部間を連結する連結部32とを備え、正面視略U字状をなしている。さらに、各支持部31の他端部側の外面から外方に突出する軸部33が設けられており、
図1等に示すように、各軸部33は、容器本体2の各本体側軸機構部21の軸壁部22の軸支部25に挿通され、軸支されている。これにより、ハンドル3は、容器本体2の開口縁に沿って延在する倒れ姿勢と、倒れ姿勢から上方に回動して容器本体2の開口縁(長辺側上フランジ部14)に対して交差する方向に延在する回動姿勢とに姿勢変化可能に構成されている。また、ハンドル3が倒れ姿勢にある場合、当該ハンドル3は、容器本体2の上フランジ部14、15に載置されるように構成されている。本実施形態では、上フランジ部14、15が載置部を構成する。
【0025】
さて、
図1、
図7に示すように、容器本体2の各本体側軸機構部21に設けられた各軸支部25は、容器本体2の長手幅方向の幅が比較的長い長孔となっており、倒れ姿勢とされたハンドル3を容器本体2の開口縁に沿って容器本体2の長手幅方向にスライド可能に構成されている。本実施形態では、倒れ姿勢にあるハンドル3は、一対のハンドル3同士が最も離間する位置であり、平面視でほぼ全体が容器本体2の開口縁の外周側に位置する(特に、本実施形態では、支持部31が長辺側上フランジ部14に載置され、連結部32が短辺側上フランジ部15に載置された状態とされる)第1位置(
図1参照)と、一対のハンドル3同士が最接近する位置であり、平面視で連結部32が容器本体2の開口縁の内周側に位置する(特に、本実施形態では、支持部31が長辺側上フランジ部14に載置され、連結部32が容器本体2の開口部の上方に位置する状態とされる)第2位置(
図2参照)との間をスライド可能に構成されている。
【0026】
上記のように容器1のネスティングを行う場合(
図11参照)には、下側の容器1の一対のハンドル3を第1位置とすることで、下側の容器1のハンドル3によって阻害されることなく、上側の容器1の容器本体2を、下側の容器1の一対のハンドル3の間を介して、下側の容器1の容器本体2の内側へ挿入することができる。尚、容器1をネスティングした状態では、上側の容器1の連結リブ17の下端部が、下側の容器1の倒れ姿勢にあるハンドル3の上面に当接して支持されるようになっている。
【0027】
また、
図12に示すように、一対のハンドル3を第2位置とすることにより、当該一対のハンドル3の上方に別の容器本体2を積重ねること(容器1のスタッキングを行うこと)が可能となる。加えて、
図3に示すように、容器本体2(底壁部11)の下面側において、各短辺側下部突部26と、支持リブ27との間は離間しており、
図13に示すように、当該離間した部位に対し、容器1のスタッキング状態において、下側の容器1の一対のハンドル3の連結部32(一方の支持部31との境界部近傍部位から他方の支持部31との境界部近傍部位にかけて)がそれぞれ挿入されるようになっている。これにより、一対のハンドル3の第1位置側への変位が規制されるとともに、上下の容器1間の水平方向における相対変位が規制される。尚、
図2、
図4等に示すように、ハンドル3の連結部32のうち、その延在方向中央部を含む部位には、ハンドル3が倒れ姿勢とされた際の上面側の部位が、その両側方の部位よりも丸みを帯びた断面湾曲形状をなす手掛け部37が設けられている。さらに、
図3、
図13に示すように、各短辺側下部突部26と、支持リブ27との間には、支持リブ27と連結され、底壁部11から下方への突出長が各短辺側下部突部26側となるにつれて次第に短くなる下案内リブ38が一対ずつ設けられている。下案内リブ38の下辺部は、前記手掛け部37の湾曲に対応した湾曲形状部を有しており、容器1のスタッキング状態において、上側の容器1の各一対の下案内リブ38は、下側の容器1の各手掛け部37の両端部近傍部位に当接して支持されるようになっている。また、容器1をスタッキングさせる際に、下側の容器1の手掛け部37の湾曲形状、及び、上側の容器1の下案内リブ38の傾斜湾曲形状により、上側の容器1の各短辺側下部突部26と、支持リブ27との間に、下側の容器1の各ハンドル3の連結部32が比較的スムースに挿入されることとなる。さらに、
図14に示すように、容器1のスタッキング状態において、上側の容器1の下案内リブ38が、下側の容器1のハンドル3の連結部32のうち、手掛け部37と、その両側方の一般部との間に形成される段差部に当接、又は、近接しており、当該構成によっても、容器本体2の短手幅方向における上下の容器1の相対変位が規制されるようになっている。
【0028】
尚、軸部33は断面略長円状(支持部31の延在方向に沿って幅広となる長方形の各短辺を略円弧状とした形状)となっており、各軸支部25の上下幅は、
図7に示すように、短辺側側壁部13側の端部では、軸部33の断面の長軸よりも若干大きく形成されている一方で、当該端部よりも容器本体2の長手幅方向中央部側の部位に関しては、軸部33の断面の長軸よりも小さく形成されている。このため、ハンドル3は、軸部33を軸支部25の短辺側側壁部13側の端部に位置させた状態(第1位置)でのみ回動姿勢とすることが可能となっており、ハンドル3を倒れ姿勢とすることで水平にスライドさせることが可能に構成されている。
【0029】
さて、
図7等に示すように、容器本体2は、長辺側上フランジ部14のうち容器本体2の長手幅方向において本体側軸機構部21に対して各短辺側側壁部13側に離間した位置から上方に突出する案内突部41を備えている。各案内突部41は、長辺側上フランジ部14のうち容器本体2の内方側端縁から上方に突出するとともに、長辺側上フランジ部14と短辺側上フランジ部15との連結部位(コーナー部)にまで延長される格好で延在している。
【0030】
これに対し、
図4、
図5、
図8等に示すように、ハンドル3は、支持部31と連結部32との境界部に設けられ、ハンドル3が倒れ姿勢にある場合に案内突部41を受容する(断面略コ字状の)突部受容部42を備えている。突部受容部42は、当該突部受容部42に受容された案内突部41のうち、容器本体2の内方側の面である内側面、及び、容器本体2の外方側の面である外側面に対して当接又は近接するように構成されている(
図10参照)。つまり、倒れ姿勢とされたハンドル3のスライド方向に対して交差する水平方向への変位が、本体側軸機構部21とは異なる位置でも規制されることとなる。本実施形態では、案内突部41及び突部受容部42により規制手段が構成される。
【0031】
また、
図8、
図9等に示すように、ハンドル3が第1位置、及び、第2位置のどちらにあっても、さらには、ハンドル3が第1位置と第2位置との間のいずれの位置にあっても、案内突部41が突部受容部42に受容されるようになっている。加えて、
図9に示すように、支持部31のうち容器本体2の内方側の面である内面と、突部受容部42とが連続して設けられており、特に、本実施形態では、
図6に示すように、支持部31の内面と、突部受容部42の内側側面とがほぼ一直線上にかつ連続して設けられている。このため、
図8に示すように、ハンドル3が第1位置にある状態において、案内突部41の外側面が、突部受容部42の内側側面だけでなく、支持部31の内面に対しても当接又は近接するように構成されている。
【0032】
例えば、倒れ姿勢にあるハンドル3に対して一対の支持部31のうち一方が容器本体2の外方側に変位するような力が作用した場合に、当該一方の支持部31に対応する突部受容部42が、案内突部41の内側面に当接するとともに、当該一方の支持部31の外面が、本体側軸機構部21の軸壁部22の内面に当接し、さらに、他方の支持部31に対応する突部受容部42(第1位置にある場合には、さらに、支持部31の内面)が、案内突部41の外側面に当接することによって、ハンドル3の容器本体2の短手幅方向への変位が規制されることとなる。
【0033】
また、
図4、
図6等に示すように、ハンドル3は、支持部31と連結部32との境界部において湾曲部44を備え、上記した突部受容部42は、湾曲部44において設けられている。さらに、湾曲部44は、ハンドル3の内周側の内側湾曲面45と、ハンドル3の外周側の外側湾曲面46とを備え、外側湾曲面46の曲率半径は、内側湾曲面45の曲率半径よりも小さく構成されている。尚、
図8に示すように、案内突部41の上辺部の両端部は傾斜面とされている。このため、ハンドル3のスライドに際し、内側湾曲面45を構成する壁部、及び、外側湾曲面46を構成する壁部と、案内突部41の両端部との干渉が確実に回避されることとなる。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、倒れ姿勢とされたハンドル3をスライドさせる際に、ハンドル3を軸支する構成(本体側軸機構部21)の周辺部だけでなく、案内突部41及び突部受容部42によっても、倒れ姿勢とされたハンドル3の正規のスライド方向に対して交差する水平方向(横方向)へのずれ(変形・変位)を規制することができる。これにより、例えば、倒れ姿勢とされたハンドル3をスライドさせる際にハンドル3がずれた状態とされることに起因して、スライド操作を行い難くなったり、ハンドル3を軸支する構成に対して比較的大きな負荷が作用したりするといった事態をより確実に防止することができる。従って、ハンドル3を軸支する構成の損傷や脱落等を抑止しつつ、倒れ姿勢とされたハンドル3を比較的スムースにスライドさせることができ、ハンドル3のスライドに際しての操作性・作業性の向上を図ることができる。
【0035】
また、案内突部41及び突部受容部42は、ハンドル3が第1位置、及び、第2位置のどちらにあっても、倒れ姿勢とされたハンドル3のスライド方向に対して交差する水平方向への変位を本体側軸機構部21とは異なる位置で規制可能に構成されている。このため、倒れ姿勢にあるハンドル3のスライドに際しての操作性等の向上を図るといった作用効果がより確実に奏される。また、案内突部41及び突部受容部42により第2位置にあるハンドル3のずれが規制されるため、ハンドル3が第2位置にある容器1の上方に別の容器1を積重ねた(スタッキングした)状態の安定化を図ることができる。
【0036】
さらに、ハンドル3の突部受容部42は、支持部31と連結部32との境界部に設けられている。このため、倒れ姿勢にあるハンドル3のうち軸部33から極力離間していて横方向にずれ易い位置においてハンドル3の横方向への変位を効果的に規制することができる。従って、ハンドル3が倒れ姿勢とされた状態や、ハンドル3のスライドをより安定化させることができる。
【0037】
また、ハンドル3が第1位置にある状態において、案内突部41の外側面が支持部31の内面と当接又は近接しており、突部受容部42においてのみならず、支持部31においても、倒れ姿勢にあるハンドル3の横方向への変位が規制されることとなる。従って、ハンドル3の支持部31と、本体側軸機構部21(軸壁部22)とが対向する面積が減り、ハンドル3の連結部32側が横方向にずれ易い状態であるハンドル3が第1位置とされた状態、及び、第1位置の周辺でのスライドの安定化をより一層図ることができる。
【0038】
さらに、支持部31の内面と突部受容部42とが連続していることから、倒れ姿勢にあるハンドル3が第1位置と第2位置との間を変位する際にも、案内突部41が突部受容部42に受容され続ける。従って、例えば、案内突部41が突部受容部42に受容されていない状態から受容される状態とされる際に案内突部41が突部受容部42に衝突して案内突部41や突部受容部42が損傷等するといった事態を防止しつつ、ハンドル3のスライドをよりスムースにすることができる。
【0039】
尚、突部受容部42の内側側面が、案内突部41の外側面及び内側面のうち少なくとも外側面に当接又は近接する場合には、ハンドル3が第2位置にある状態(容器1のスタッキング状態)においてハンドル3(特に、上側の容器1を載置している連結部32側)が容器本体2の内方側に落ち込んでしまうといった事態を防止することができる。
【0040】
加えて、ハンドル3は、支持部31と連結部32との境界部において湾曲部44を備え、当該湾曲部44において突部受容部42が設けられている。さらに、湾曲部44は、外側湾曲面46の曲率半径が、内側湾曲面45の曲率半径よりも小さく構成されている。このため、倒れ姿勢にあるハンドル3のスライド方向における湾曲部44の幅、ひいては、突部受容部42の長さを極力大きく確保することができる。従って、突部受容部42が設けられるハンドル3の湾曲部44(コーナー部)の補強を図りつつ(例えば、スタッキングした場合のハンドル3のコーナー部の変形等を抑止しつつ)、突部受容部42の内側側面と、案内突部41とが対向する(当接し得る)範囲(面積)をハンドル3のスライド方向において増やすことができ、ハンドル3のスライドの安定化等をより一層図ることができる。
【0041】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0042】
(a)上記実施形態では、倒れ姿勢にあるハンドル3は、支持部31及び連結部32が長辺側上フランジ部14及び短辺側上フランジ部15に載置される第1位置と、支持部31が長辺側上フランジ部14に載置され、連結部32が容器本体2の開口部の上方に位置する第2位置との間を変位可能に構成されているが、特にかかる構成に限定されるものではない。例えば、ハンドル3を回動姿勢から倒れ姿勢とすると、ハンドル3の連結部32が短辺側上フランジ部15よりも容器本体2の外方側に突出して位置し、かかる状態からハンドル3を容器本体2の長手幅方向中央部側にスライドさせることで、ハンドル3の全体が平面視で容器本体2の外寸よりも内側に収まるような構成(容器1のスタッキングは行わない構成)としてもよい。尚、上記実施形態では特に言及していないが、上記実施形態では、平面視で第1位置にあるハンドル3のコーナー部の内側部位(内側湾曲面45)が、容器本体2の開口縁よりも内周側に位置しているが、第1位置にあるハンドル3の全体が容器本体2の開口縁の外周側に位置する構成としてもよい。
【0043】
(b)上記実施形態では、長辺側上フランジ部14に案内突部41が設けられ、ハンドル3に突部受容部42(溝部)が設けられる構成とされているが、例えば、ハンドル3に案内突部41を設け、長辺側上フランジ部14に突部受容部42(溝部)を設けることとしてもよい。また、上記実施形態では、突部受容部42が断面略コ字状をなすとともに、案内突部41の外側面及び内側面の両方に当接又は近接する(当接し得る)構成とされているが、突部受容部42は、案内突部41の外側面及び内側面のうち少なくとも一方に当接又は近接する(当接し得る)構成とされていればよい。加えて、上記実施形態では、軸部33が支持部31の外面から外方に突出する構成とされているが、軸部33が支持部31の内面から内方に突出する構成(本体側軸機構部21が長辺側上フランジ部14の内縁部側から上方に突出する)としてもよい。また、本体側軸機構部21に軸部を設け、ハンドル3の支持部31に長孔により構成される軸支部25を設けるような構成としてもよい。
【0044】
(c)上記実施形態では、容器本体2及びハンドル3は、ポリプロピレンにより構成されているが、その他のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン等)により構成してもよいし、ポリオレフィン系以外の合成樹脂(例えばABS樹脂、AES樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等)により構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…容器、2…容器本体、3…ハンドル、11…底壁部、12…長辺側側壁部、13…短辺側側壁部、14…長辺側上フランジ部、15…短辺側上フランジ部、21…本体側軸機構部、25…軸支部、31…支持部、32…連結部、33…軸部、41…案内突部、42…突部受容部、44…湾曲部、45…内側湾曲面、46…外側湾曲面。