(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119324
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】火災報知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022165
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 敦
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA01
5G405AA02
5G405AA06
5G405CA22
5G405CA46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】火災報知設備のユーザの監視又は操作における利便性を向上させる表示部及び操作部を備えた火災報知設備と、当該火災報知設備と通信する携帯端末とを備えた火災報知システムを提供する。
【解決手段】表示部14及び操作部13を備えた火災報知設備1と、火災報知設備1と通信する携帯端末7とを備えた火災報知システム100であって、携帯端末7は、火災報知設備1の表示部14及び操作部13の画像と、表示部14及び操作部13のいずれか又は両方に対する付加情報とを併せて表示する表示装置71を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部及び操作部を備えた火災報知設備と、
前記火災報知設備と通信する携帯端末とを備えた火災報知システムであって、
前記携帯端末は、前記火災報知設備の前記表示部及び前記操作部の画像と、前記表示部及び前記操作部のいずれか又は両方に対する付加情報とを併せて表示する表示装置を備えた
火災報知システム。
【請求項2】
前記火災報知設備の前記操作部は、ハードウェアボタンを含み、
前記携帯端末の前記表示装置は、前記ハードウェアボタンに関する情報を前記付加情報として表示する
請求項1記載の火災報知システム。
【請求項3】
前記携帯端末の前記表示装置は、前記火災報知設備の前記表示部が表示している文字の他言語と、前記火災報知設備の前記操作部に関する情報の他言語のいずれか又は両方を、前記付加情報として表示する
請求項1又は請求項2に記載の火災報知システム。
【請求項4】
前記携帯端末の前記表示装置は、前記火災報知設備と前記携帯端末との間の距離が閾値以下である場合に、前記付加情報を表示する
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の火災報知システム。
【請求項5】
前記操作部の前方を撮影するカメラと、
前記カメラから得た撮影データに基づいて、前記操作部の前方にいる人の存在を認識する人認識手段とを備え、
前記携帯端末の前記表示装置は、前記人認識手段が人の存在を認識している場合に、前記付加情報を表示する
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の火災報知システム。
【請求項6】
前記操作部の前方を撮影するカメラと、
前記カメラから得た撮影データに基づいて、前記操作部の前方にいる人の存在を認識する人認識手段とを備え、
前記携帯端末は、前記火災報知設備への入力信号を送信し、
前記火災報知設備は、前記人認識手段が人の存在を認識している場合に、前記携帯端末から送信された前記入力信号を受け付ける
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の火災報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部及び操作部を備えた火災報知設備と、当該火災報知設備と通信する携帯端末とを備えた火災報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災を知らせる火災報知設備として、火災感知器、発信機、火災受信機、放送設備、又は表示機などがある。これら火災報知設備のうち、発信機、火災受信機又は表示機のように、ユーザに視覚的に情報を伝える表示部と、ユーザからの操作を受け付ける操作部とを備えたものがある。例えば特許文献1には、平面ディスプレイとタッチパッドとからなるタッチパネルディスプレイを用いた表示部及び操作部を備えた火災受信機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災報知設備は、建物の監視担当者によって日常的に監視されているが、操作される場面は限られている。監視担当者は、監視方法及び操作方法を事前に訓練によって習得するが、実際の操作場面は限られているため、いざ操作しようとしたときに、表示されている情報の把握及びその操作方法に戸惑うこともある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を背景としたものであり、火災報知設備のユーザの監視又は操作における利便性を向上させることのできる火災報知システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る火災報知システムは、表示部及び操作部を備えた火災報知設備と、前記火災報知設備と通信する携帯端末とを備えた火災報知システムであって、前記携帯端末は、前記火災報知設備の前記表示部及び前記操作部の画像と、前記表示部及び前記操作部のいずれか又は両方に対する付加情報とを併せて表示する表示装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、火災報知設備と通信する携帯端末が、火災報知設備の表示部及び操作部の画像と、表示部及び操作部のいずれか又は両方に対する付加情報とを併せて表示する。このため、ユーザは携帯端末の付加情報を参照することで、火災報知設備を監視又は操作しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る火災報知システムの構成を説明する図である。
【
図2】実施の形態に係る火災報知システムの火災受信機と携帯端末の表示例を説明する図である。
【
図3】実施の形態に係る火災受信機の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す装置は、本発明の装置の一例を示すものであり、図面に示された装置によって本発明の装置が限定されるものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0010】
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る火災報知システム100の構成を説明する図である。火災報知システム100は、火災受信機1と、感知器回線2を介して火災受信機1に接続された火災感知器3及び発信機4と、表示機回線6を介して火災受信機1に接続された表示機5と、携帯端末7とを備える。火災受信機1と携帯端末7とは、通信接続されている。火災受信機1、発信機4及び表示機5は、操作部と表示部とを備えた火災報知設備の一例である。なお、図示された感知器回線2及び表示機回線6の数は一例であり、数は図示のものに限定されない。
【0011】
火災感知器3は、例えば、熱感知器、煙感知器、又は炎感知器である。火災感知器3は、火災により発生する物理現象の変化を検出すると、感知器回線2に接続されている接点の開閉状態を変化させ、これによって感知器回線2の電圧を変化させる。火災受信機1は、感知器回線2の電圧を監視しており、火災感知器3が接点の開閉状態を変化させたことによって生じる電圧の変化を、火災の発報信号として取得(受信)する。なお、本実施の形態では、火災受信機1が、各火災感知器3に共通の信号である電圧変化を発報信号とするP型の火災受信機である例を説明するが、火災受信機1はR型の火災受信機であってもよい。
【0012】
発信機4は、火災を発見した人が操作部である押しボタンを押すことにより、火災受信機1に火災信号を発信する装置である。押しボタンが押されると、火災受信機1に接続された感知器回線2の電圧が変化する。火災受信機1は、感知器回線2の電圧を監視しており、押しボタンが押されたことによって生じる電圧の変化を、火災信号として取得(受信)する。また、発信機4は、当該発信機4の存在を示す表示部としての表示灯を備える。
【0013】
表示機5は、発報信号が発生した感知器回線2に関する情報を表示する装置である。表示機5は、火災受信機1と表示機回線6を介して接続されており、発報信号又は発報信号が発生した感知器回線2に関する情報を火災受信機1から取得し、その感知器回線2を示す情報を表示部にて表示する。例えば表示機5は、感知器回線2のそれぞれに対応した表示灯を有し、発報信号が発生した感知器回線2に対応した表示灯を点灯させる。あるいは表示機5は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを備えており、発報信号が発生した感知器回線2を表示する。また、表示機5は、火災発生を知らせる音響装置の音響鳴動を停止させる操作部として、ハードウェアボタン又はタッチパネルを備えていてもよい。
【0014】
なお、火災受信機1には、火災感知器3、発信機4及び表示機5の他に、ベル、ブザー又はライト等の報知装置、防火扉又はシャッター等の防排煙装置、若しくは消火設備等が接続されうる。
【0015】
火災受信機1は、制御部10と、伝送回路11と、伝送回路12と、操作部13と、表示部14と、カメラ15と、人認識手段16と、通信部17と、記憶部18とを備える。
【0016】
制御部10は、火災感知器3の発報信号が入力されると、ベル、報知装置、防排煙装置、又は消火設備等を動作させる。ベル又は報知装置によって火災の発生が報知されると、火災受信機1の管理者等が目視で火災発生の有無を確認する。火災が発生していることを確認した管理者等は、発信機4の押しボタンを押し、発信機4からの火災信号を受けて火災受信機1は火災の発生と断定する。また、1つの感知器回線2に対して複数台の火災感知器3から発報信号が送信された場合に、火災の発生が断定されてもよい。
【0017】
また、制御部10は、火災感知器3に対し、アナログ値の送信を要求する要求信号を定期的に送信する。火災感知器3は、要求信号に応じてアナログ値を送信する。火災感知器3にアナログ値を要求する周期は、煙、熱又は炎等の火災感知器3の種類によって異なっていてもよいし、火災感知器3の設置場所によって異なっていてもよい。
【0018】
制御部10は、専用の制御回路、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)若しくはこれらの組み合わせにより構成される。制御部10がCPUである場合、制御部10が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。制御部10に設けられているメモリには、感知器回線2の各々と、その感知器回線2の敷設場所を示す情報とを対応づけたテーブルが保存されている。
【0019】
伝送回路11は、火災感知器3及び発信機4が接続された感知器回線2のそれぞれに対して設けられており、感知器回線2からの発報信号及び発信機4からの火災信号を受信し、受信した信号を制御部10に送る。
【0020】
伝送回路12は、表示機5が接続された表示機回線6に対応して設けられている。伝送回路12は、制御部10から出力された、発報信号又は火災信号が発生した感知器回線2に関する情報を、表示機5に送る。
【0021】
操作部13は、火災受信機1の筐体に設けられたハードウェアボタンと、表示部14のディスプレイに重ねて設けられたタッチパネルとを含む。操作部13は、ユーザからの操作を受け付け、操作に対応した信号を制御部10に送る。操作部13に設けられたハードウェアボタンには、当該ボタンの機能を示す銘板が設けられている。
【0022】
表示部14は、火災受信機1の筐体に設けられた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はランプを含む。表示部14は発報信号が発生した感知器回線2又は火災感知器3を表示する。本実施の形態の表示部14は、操作部13のタッチパネルにおける操作箇所を示す情報を表示する。
【0023】
カメラ15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等を含み、撮像素子を用いて撮像する装置である。カメラ15は、操作部13の前方を撮影できる位置に設置されている。本実施の形態では、カメラ15が火災受信機1の筐体に内蔵されている例を示すが、カメラ15の設置場所はこれに限定されない。火災受信機1の筐体にカメラ15が外付けされていてもよいし、火災受信機1とは離れた場所に設置されていてもよい。カメラ15が撮影した撮影データは、人認識手段16に入力される。ここで、撮影データは、カメラ15が撮影した画像の集合体をいうものとする。
【0024】
人認識手段16は、カメラ15から得た撮影データに基づいて、撮影データ内に人がいるか否かを認識する。カメラ15は操作部13の前方を撮影するため、人認識手段16は、操作部13の前方にいる人の存在を認識する。人認識手段16は、例えば、人の顔に関する情報のデータベースを有しており、撮影データの画像内に含まれる特徴点と、データベースとを照合することで、画像内に人の顔が存在するか否かを認識する。人認識手段16は、データベースを記憶するメモリと、人を認識する専用回路とを有する。人認識手段16は、火災受信機1とは別対として設けられていてもよく、この場合、人認識手段16の認識結果が、火災受信機1の制御部10に入力される。
【0025】
通信部17は、携帯端末7との間で通信を行う通信回路である。通信部17は、制御部10から出力された信号を携帯端末7に送信するとともに、携帯端末7から送信された信号を受信する。
【0026】
記憶部18は、内部記憶メモリ、メモリカード等の外部記憶媒体、又はそれらの組み合わせである。記憶部18には、後述する付加情報81が記憶されている。
【0027】
携帯端末7は、制御部70と、表示装置71と、入力部72と、通信部73とを備える。携帯端末7は、スマートフォン、タブレット端末、又はノートパソコン等の携帯可能な情報処理装置である。
【0028】
制御部70は、通信部73が火災受信機1から受信した情報を表示装置71に表示させる。表示装置71における表示については、後述する。また、制御部70は、入力部72への入力に基づく信号を、通信部73を介して火災受信機1に送信する。制御部70は、専用の制御回路、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)若しくはこれらの組み合わせにより構成される。制御部70がCPUである場合、制御部10が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0029】
表示装置71は、携帯端末7を使用するユーザに情報を表示する装置である。表示装置71は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0030】
入力部72は、携帯端末7を使用するユーザからの操作入力を受け付ける装置である。入力部72は、例えば、タッチパネル又はハードウェアボタンである。
【0031】
通信部73は、火災受信機1との間で通信を行う通信回路である。通信部73は、制御部70から出力された信号を火災受信機1に送信するとともに、火災受信機1から送信された信号を受信する。
【0032】
本実施の形態の火災報知システム100は、火災受信機1の操作部13及び表示部14の画像と、この操作部13及び表示部14に関する付加情報とを、携帯端末7が表示する。火災受信機1を操作するユーザは、携帯端末7を持ち、携帯端末7に表示された操作部13及び表示部14の画像と付加情報とを参照して、火災受信機1を確認又は操作する。すなわち、携帯端末7は、火災受信機1を確認又は操作する際の、ガイドとして機能する。以下、具体的に説明する。
【0033】
図2は、実施の形態に係る火災報知システム100の火災受信機1と携帯端末7の表示例を説明する図である。
図2(A)は、火災受信機1の表示部14及び操作部13A、13Bの外観例を示しており、
図2(B)は、携帯端末7の表示装置71における表示例を示している。
【0034】
図2(A)に示すように、火災受信機1は、表示部14と、操作部13A及び操作部13Bを備えている。操作部13A、13Bは、
図1で示した操作部13を具体化したものである。操作部13Aはタッチパネル、操作部13Bはハードウェアボタンである。なお、以下では、操作部13Aと操作部13Bとを区別する必要がないときには、単に操作部13と称する。表示部14に表示される文字又は図等は、「X」で模式的に示されている。操作部13A、13Bに表示される銘板の文字又は図等もまた、「X」で模式的に示されている。
【0035】
図2(B)に示すように、携帯端末7の表示装置71には、画像80と、付加情報81とが表示される。
【0036】
画像80は、火災受信機1の表示部14及び操作部13の外観を示す画像である。画像80は、表示部14及び操作部13を予め撮影した画像であってもよい。あるいは、携帯端末7が図示しないカメラを備えている場合、このカメラで撮影した表示部14及び操作部13の画像をリアルタイムに画像80として表示装置71に表示してもよい。
【0037】
付加情報81は、表示部14及び操作部13の何れか又は両方を対象としたものである。具体的には、付加情報81は、表示部14に表示されている文字を他の言語で表示したもの、操作部13の銘板の文字を他の言語で表示したもの、表示部14の詳細情報、操作部13の操作方法に関する情報、の少なくともいずれかを含む。表示部14の詳細情報とは、表示部14に表示されている文字の補足説明、ユーザが確認する際の確認ポイント又は操作順番等を含む。
図2では、付加情報81に表示される文字は、「Y」で模式的に示されている。なお、付加情報81は、文字に限定されず、図であってもよい。また、付加情報81には、ハイパーリンクが埋め込まれていて、そのハイパーリンク部分を操作すると説明ページが表示されるようにしてもよい。
【0038】
付加情報81は、火災受信機1の記憶部18に予め記憶されており、後述する
図3に示す条件を満たした場合に、火災受信機1から携帯端末7へ送信され、携帯端末7の表示装置71において表示することが可能となる。以下、動作例を説明する。
【0039】
図3は、実施の形態に係る火災受信機1の動作を説明するフローチャートである。
図3を参照して、携帯端末7の表示装置71に付加情報81を表示させるための火災受信機1の動作を説明する。なお、予め、火災受信機1と携帯端末7との間の通信が確立されているものとする。
【0040】
携帯端末7のユーザは、表示装置71に付加情報81を表示させたい場合、入力部72を操作して、付加情報81の表示を要求する表示要求信号を、火災受信機1に送信する。
【0041】
(S1)
携帯端末7から送信された付加情報81の表示要求信号を受信したか否かが判定される。付加情報81の表示要求信号を受信した場合(S1:YES)、ステップS2に進み、受信していない場合(S1:NO)、ステップS4に進む。
【0042】
(S2)
第1条件を満たすか否かが判定される。ここで、第1条件は、携帯端末7に付加情報81の表示を許可するか否かを判定するための条件である。第1条件を満たす場合にのみ付加情報81を携帯端末7に表示させることで、例えば火災受信機1が設置された建物固有の情報等の不要に公開したくない情報が付加情報81に含まれている場合でも、特定の携帯端末7にのみ付加情報81を表示させることができる。これにより、付加情報81の表示に関するセキュリティを強化できる。
【0043】
第1条件の第1の例は、火災受信機1と携帯端末7との距離である。火災受信機1と携帯端末7との距離が、閾値以下である場合に、第1条件を満たす。すなわち、火災受信機1から予め定められた範囲(閾値)内にある携帯端末7に、付加情報81が表示されることになる。火災受信機1と携帯端末7との間の距離は、火災受信機1及び携帯端末7のそれぞれに設けられたGPS(Global Positioning System)電波を受信するGPS受信部を用いて検出することができる。あるいは、火災受信機1と携帯端末7とがWiFi又はBluetooth(登録商標)等の無線通信を行う場合、この電波強度を利用して、火災受信機1と携帯端末7との間の距離を検出することもできる。
【0044】
第1条件の第2の例は、火災受信機1の操作部13の前方における人の有無である。カメラ15及び人認識手段16によって、人が認識されている場合に、第1条件を満たす。すなわち、火災受信機1の操作部13の前に人がいる場合に、携帯端末7に、付加情報81が表示されることになる。なお、火災受信機1と携帯端末7との距離と、人の有無とを組み合わせてもよい。
【0045】
第1条件の第3の例は、パスワードを用いた認証である。火災受信機1が、予め定められたパスワードを携帯端末7から受信した場合に、第1条件を満たす。
【0046】
(S3)
火災受信機1から携帯端末7に、付加情報81が送信される。ここで、付加情報81が、複数の言語の情報を含む場合、いずれの言語の情報を表示するかを、ユーザが選択できるようにしてもよい。例えば、ステップS3において付加情報81を携帯端末7に送信する前に、火災受信機1が表示言語の選択を要求する信号を携帯端末7に送信し、携帯端末7において『英語、中国語、スペイン語のうちどの言語を表示しますか』といった問いを表示する。ユーザが携帯端末7の入力部72を操作して言語を選択すると、選択した言語を指定する信号が携帯端末7から火災受信機1に送信される。そして、火災受信機1では、記憶部18に記憶された複数の言語の情報のうち、選択された言語の情報を付加情報81として携帯端末7に送信する。表示言語の選択は、携帯端末に設定されている言語設定に基づき自動的に選択されるようにしてもよい。
【0047】
(S4)
携帯端末7から送信された、火災受信機1への入力信号を受信したか否かが判定される。本実施の形態では、携帯端末7から火災受信機1に操作入力を行うことができる。すなわち、携帯端末7の表示装置71を見ながら入力部72を操作することで、実際に操作部13をユーザが操作することなく、火災受信機1の操作部13への入力を行うことができる。この火災受信機1への入力信号の有無が、判定される。火災受信機1への入力信号を受信した場合(S4:YES)、ステップS5に進み、受信していない場合(S4:NO)、リターンする。
【0048】
(S5)
第2条件を満たすか否かが判定される。ここで、第2条件は、携帯端末7から火災受信機1への入力信号を、火災受信機1への操作として受け付けるか否かを判定するための条件である。第2条件を満たす場合にのみ携帯端末7から火災受信機1への入力信号を受け付けることで、火災受信機1が携帯端末7によって意図せず操作されることを抑制する。これにより、火災受信機1の操作に関するセキュリティを強化できる。
【0049】
第2条件の具体例は、第1条件の第1の例、第2の例及び第3の例と同じであり、それぞれについて繰り返しの説明は行わない。第1条件と第2条件とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1条件と第2条件が同じである場合、ステップS2において第1条件を満たした場合には、ステップS5における第2条件を満たすか否かの処理を省略してもよい。
【0050】
(S6)
火災受信機1は、携帯端末7から送信された入力信号を受け付け、この入力信号に基づいた動作を行う。
【0051】
以上のように本実施の形態の火災報知システム100は、表示部14及び操作部13を備えた火災報知設備である火災受信機1と、火災受信機1と通信する携帯端末7とを備えている。そして、携帯端末7は、火災受信機1の表示部14及び操作部13の画像80と、表示部14及び操作部13のいずれか又は両方に対する付加情報81とを併せて表示する表示装置71を備えた。このため、火災受信機1を監視又は操作する使用者は、携帯端末7に表示された付加情報81を参照することで、火災受信機1の監視又は操作しやすくなる。したがって、ユーザによる火災受信機1の監視ミス又は操作ミスを抑制できるとともに、監視及び操作の迅速性を向上できる。また、携帯端末7を、火災受信機1の監視及び操作の訓練に使用することもできるため、ユーザの習熟度を効率よく向上させることができる。
【0052】
また、本実施の形態の火災報知システム100において、携帯端末7の表示装置71は、火災受信機1のハードウェアボタンである操作部13Bに関する情報を、付加情報81として表示する。火災受信機1のハードウェアボタンの銘板は、印刷又は刻印等により固定的な表示がなされるのが一般的だが、携帯端末7に付加情報81が表示されることで、火災受信機1に不慣れなユーザであっても、火災受信機1の監視及び操作の確実性を高めることができる。
【0053】
また、本実施の形態の携帯端末7の表示装置71は、火災受信機1の表示部14に表示されている文字の他言語と、操作部13に関する情報の他言語のいずれか又は両方を、付加情報81として表示する。このため、火災受信機1を監視又は操作するユーザが、火災受信機1の表示部14又は操作部13の表示言語に不慣れであったとしても、慣れた言語が付加情報81として表示されることで、火災受信機1の監視及び操作の確実性を高めることができる。
【0054】
また、本実施の形態の携帯端末7の表示装置71は、火災受信機1と携帯端末7との間の距離が閾値以下である場合に、付加情報81を表示する。携帯端末7を使用するユーザが、火災受信機1からの距離が閾値以下の距離にいる場合に携帯端末7に付加情報81が表示されることになるので、実際に火災受信機1の近くにいて付加情報81を必要とするユーザに付加情報81を届けることができる。また、火災受信機1から閾値を超えて離れた場所にある携帯端末7には付加情報81を表示しないので、付加情報81の意図せぬ流出を抑制できる。
【0055】
また、本実施の形態の火災報知システム100は、火災受信機1の操作部13の前方を撮影するカメラ15と、カメラ15から得た撮影データに基づいて火災受信機1の操作部13の前方にいる人の存在を認識する人認識手段16を備えた。そして、携帯端末7の表示装置71は、人認識手段16が人の存在を認識している場合に、付加情報81を表示する。火災受信機1の操作部13の近くに人がいる場合に携帯端末7に付加情報81が表示されるので、付加情報81の意図せぬ流出を抑制できる。
【0056】
なお、付加情報81が携帯端末7に表示されているときには、その旨が火災受信機1の表示部14に表示されていてもよい。このようにすることで、仮に予期せぬ第三者が携帯端末7を介して付加情報81を見ている場合でも、火災受信機1をその前で監視するユーザがこれに気づくことができるので、第三者への情報流出を抑制できる。
【0057】
また、本実施の形態の火災報知システム100は、火災受信機1の操作部13の前方を撮影するカメラ15と、カメラ15から得た撮影データに基づいて火災受信機1の操作部13の前方にいる人の存在を認識する人認識手段16を備えた。そして、携帯端末7は、火災受信機1への入力信号を送信し、火災受信機1は、人認識手段16が人の存在を認識している場合に、携帯端末7から送信された入力信号を受け付ける。火災受信機1の操作部13の近くに人がいる場合に、火災受信機1が携帯端末7からの入力信号を受け付けるので、火災受信機1から離れた場所にいるユーザからの意図せぬ火災受信機1への操作を防ぐことができる。
【0058】
[火災報知システム100の変形例]
以下、本実施の形態の火災報知システム100の変形例を説明する。以下では、実施の形態で説明した構成と同じ構成には、同じ符号を付して説明する。
【0059】
(携帯端末7による付加情報81の取得方法)
実施の形態では、火災受信機1の記憶部18が付加情報81を記憶していて、携帯端末7にて付加情報81を表示する際に火災受信機1から携帯端末7に付加情報を送信することを説明した。しかし、付加情報81は、予め携帯端末7に記憶されていてもよい。そして、携帯端末7は、
図3における第1条件を満たす場合に、自機に記憶された付加情報81を表示する。あるいは、火災報知システム100は、火災受信機1及び携帯端末7と通信接続されたサーバを備え、このサーバに付加情報81が記憶されていてもよい。この場合、
図3における第1条件を満たす場合に、火災受信機1がサーバに、付加情報81を携帯端末7に送信するよう指示する信号を送信し、この信号を受けたサーバが、付加情報81を携帯端末7に送信する。このような構成であっても、実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
(携帯端末7における火災受信機1に対する機能)
実施の形態では、第1条件を満たす場合に携帯端末7が付加情報81を表示し、第2条件を満たす場合に火災受信機1が携帯端末7からの入力信号を受け付けることを説明した。しかし、第1条件を満たすか否かに関わらず、携帯端末7が付加情報81を表示してもよい。また、火災受信機1は、第2条件を満たすか否かにかかわらず、携帯端末7からの入力信号を受け付けないこととしてもよく、このようにすることで、より強固に火災受信機1への意図せぬ遠隔操作を防ぐことができる。
【0061】
(火災報知設備の他の例)
実施の形態では、携帯端末7に表示される付加情報81の対象である火災報知設備が火災受信機1である例を説明した。しかし、この火災報知設備は、表示機5であってもよい。この場合、携帯端末7は、表示機5に表示される感知器回線2の付加情報81、例えば他言語の情報又は感知器回線2の敷設場所等に関する情報を、表示する。携帯端末7と表示機5とは、火災受信機1を介して通信してもよいし、直接通信してもよい。携帯端末7における付加情報81の表示、及び携帯端末7を用いた表示機5の操作については、実施の形態で説明した事項が適用される。
【0062】
また、火災報知設備は、表示部14及びカメラ15を備えた発信機4であってもよい。この場合、携帯端末7は、例えば、火災を発見した人が押す押しボタンの操作方法、あるいはいたずら防止を呼びかけるような注意喚起の情報を、付加情報81として表示する。また、発信機4が、表示部としての液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを備えている場合、この表示部に表示される文字の他言語を、付加情報81として表示する。携帯端末7と発信機4とは、火災受信機1を介して通信してもよいし、直接通信してもよい。携帯端末7における付加情報81の表示、及び携帯端末7を用いた発信機4の操作については、実施の形態で説明した事項が適用される。
【0063】
(携帯端末7における表示の変形例)
携帯端末7の表示装置71は、AR(Augmented Reality)又はプロジェクションARによる画像を表示してもよい。具体的に、表示装置71は、火災報知設備の表示部及び操作部をリアルタイムに撮影した画像を表示するとともに、これに重ねて、付加情報81を表示する。このようにすることで、携帯端末7を使用するユーザにより分かりやすく付加情報81を伝えることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 火災受信機、2 感知器回線、3 火災感知器、4 発信機、5 表示機、6 表示機回線、7 携帯端末、10 制御部、11 伝送回路、12 伝送回路、13 操作部、13A 操作部、13B 操作部、14 表示部、15 カメラ、16 人認識手段、17 通信部、18 記憶部、70 制御部、71 表示装置、72 入力部、73 通信部、80 画像、81 付加情報、100 火災報知システム。