IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイエスアール イミューン システム レギュレイション ホールディング アクチエボラグ(パブル)の特許一覧

特開2023-11935アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン
<>
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図1
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図2
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図3
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図4
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図5
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図6
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図7
  • 特開-アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011935
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/09 20060101AFI20230117BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230117BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20230117BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230117BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20230117BHJP
   A61K 31/565 20060101ALI20230117BHJP
   A61K 31/568 20060101ALI20230117BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20230117BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A61K38/09
A61P31/12 ZNA
A61P31/18
A61P37/04
A61K38/08
A61K31/565
A61K31/568
C07K7/06
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181072
(22)【出願日】2022-11-11
(62)【分割の表示】P 2019544821の分割
【原出願日】2018-02-22
(31)【優先権主張番号】17157388.4
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520361896
【氏名又は名称】アイエスアール イミューン システム レギュレイション ホールディング アクチエボラグ(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビンクビスト、オーラ
(72)【発明者】
【氏名】リンドグレン、イェン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アジュバント免疫療法剤を提供する。
【解決手段】アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH I、GnRH I類似体、GnRH II、又はGnRH II類似体を含む)を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジュバント免疫療法剤として使用するためのGnRH又はその類似体。
【請求項2】
ウイルス性疾患の進行を予防するための、請求項1に記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項3】
ウイルス性疾患の進行を3年以上の間予防するための、請求項1又は2に記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項4】
ウイルス性疾患を治癒するための、請求項1~3のいずれかに記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項5】
ウイルス性疾患がHIVである、請求項2~4に記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項6】
GnRH類似体が、GnRH I、GnRH I類似体、GnRH II、GnRH II類似体、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項7】
GnRH類似体が、デスロレリン、アボレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ブセレリン、フェルチレリン、ルトレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、及びナファレリンから選択される、請求項1~6のいずれかに記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項8】
GnRH類似体がGnRH II又はGnRH II類似体である、請求項1~6のいずれか一項記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項9】
1つ以上の天然、半合成、もしくは合成性ホルモン、又はそれらの薬学的に許容される塩と組み合わせた、請求項1~8のいずれかに記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項10】
性ホルモンがアンドロゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤である、請求項9に記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項11】
性ホルモンが、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオン、メチルテストステロン、及びスタノゾロールから選択される、請求項9又は10に記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項12】
性ホルモンがエストロゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤である、請求項9に記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項13】
性ホルモンが、エストロゲン、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジアル、メストラノール、ジネストロール、ジエチルスチルベストロール、及び共役エストロゲンから選択される、請求項9又は12に記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項14】
さらにゲスターゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤と組み合わせた、請求項9、12又は13のいずれかに記載の使用のためのGnRH又はその類似体。
【請求項15】
アジュバント免疫療法剤として使用するための、請求項1~14のいずれかに記載のGnRHもしくはその類似体、又はその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
【請求項16】
キットであって、
i)GnRHもしくはGnRH類似体又はそれらの薬学的に許容される塩から選択されるアジュバント免疫療法剤を含む第1の成分、
ii)任意選択で、1つ以上の天然由来、半合成、又は合成性ホルモンを含む第2の成分、
iii)任意選択で、ゲスターゲンを含む第3の組成物、及び
iv)使用説明書
を含む、キット。
【請求項17】
対象において免疫応答を得るための方法であって、GnRH及びGnRH類似体から選択されるアジュバント免疫療法剤、又はその薬学的に許容される塩の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項18】
対象がウイルス性疾患に罹患している、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ウイルス性疾患がHIVである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ウイルス性疾患に罹患している対象を治癒するための方法であって、GnRH及びGnRH類似体から選択されるアジュバント免疫療法剤、又はその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジュバント免疫療法剤としてのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH I、GnRH I類似体、GnRH II、又はGnRH II類似体を含む)の使用に関する。GnRH及びその類似体の使用により、ウイルス性疾患、特にHIVの進行のリスクが最小限に抑えられる。本発明はまた、アジュバント免疫療法剤として使用するためのゴナドトロピン放出ホルモンを含む医薬組成物又は医薬キット、及びウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑えるためのゴナドトロピン放出ホルモンの投与を含むヒト又は動物対象の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD4細胞は、免疫応答の重要なメディエーターであり、HIV感染及び関連するウイルス性疾患の主要な標的である。HIV患者の現在の標準治療は、抗レトロウイルス療法(ART)であり、これはHIVウイルスを抑制し、疾患の進行を軽減するために協調して作用する様々な抗レトロウイルス(ARV)薬の組み合わせである。しかしながら、ARTの長期的な有効性は、患者の服薬不履行、薬物毒性、及び薬物耐性によって損なわれる。したがって、当技術分野では、HIV/AIDS又は免疫学的に関連するウイルス性疾患に罹患している患者のCD4細胞及びCD8細胞などの他の免疫細胞の免疫能力を増加させる新しい方法及び手段が大いに必要とされている。特に、疾患の進行のリスクを最小限に抑える治療オプション、及び免疫系に長期的、持続的に正の効果を提供することにより、患者の服薬不履行の問題に対処する治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、GnRH及びその類似体をアジュバント免疫療法剤として使用し得るという驚くべき発見に基づいている。したがって、GnRH類似体による短期的(約4週間)治療は、HIV/AIDS患者に長期的(36~48ヶ月)かつ持続的な免疫調節効果を提供する。これにより、長期的な疾患進行のリスクが最小限に抑えられるか、ウイルス性疾患の進行の長期的な予防が提供される。
【0004】
HIV患者のみがそのような治療から恩恵を受けるだけでなく、一般にウイルス性感染症に罹患している対象も想到される。アジュバント免疫療法剤としてGnRH又はその類似体を使用する利点には、患者コンプライアンスの改善、治療期間が短いため副作用の低減、及びART耐性の発症リスクの最小化が含まれる。同時に、免疫応答維持期間は、非常に長い(例からわかるように3年以上)。
【0005】
GnRH I(ゴナドトロピン放出ホルモンI又はLHRHとしても知られる)は、pyroGlu-His-Trp-Ser-Tyr-Gly-Leu-Arg-Pro-Gly-NH構造を有するデカペプチドである。それは、アミノ末端にピログルタミン酸及びカルボキシル末端にカルボキサミドを有する最終ペプチドを形成するために翻訳後に修飾される92アミノ酸のプロペプチドとして産生される。GnRH Iが下垂体前葉からのFSH及びLHの放出に関与していることは周知であるが、通常は、視床下部から脈動的に放出される。GnRH Iの高い超生理学的レベルは、下垂体前葉のGnRH I受容体を介したFSH及びLH分泌の即時増加を誘発する。しかしながら、高レベルのGnRH IにはGnRH I受容体への固有の拮抗効果があるため、このアゴニスト効果に続いて、すぐにFSH及びLH分泌が阻害される。したがって、超生理的レベルでのGnRH Iの連続投与は、FSH/LH分泌を阻害し、薬理学的去勢を誘発する(G.Fink.Gonadotropin Secretion and its Control.In The Physiology of Reproduction,1998)。
【0006】
アゴニスト特性を有する多数のGnRH I類似体が、様々な治療分野で使用するために合成されている。最初に、GnRH Iの塩が治療的に使用された(例えば、ゴナドレリン塩酸塩及びゴナドレリンジアセタート四水和物)。さらなる薬物の発見及び開発により、ブセレリン、トリプトレリン、ナファレリン、ヒストレリン、及びロイプロレリンを含む多種多様な薬剤の臨床使用がもたらされ、これらはそれぞれ、ゴナドレリンよりも改善されており、例えばGnRH I受容体の半減期の延長及びスーパーアゴニズムがある。
【0007】
GnRH Iは、ホルモン効果を示すだけでなく、免疫系を刺激し得ることが報告されている(Jacobson et al.Endocrinology 2004,145(1),pp.330-336)。McClean and McCluggage(McClean et al.Int.J.SurG.Pathol.2003,11(4),pp.339-344)は、GnRH I受容体アゴニストによる術前治療後の子宮平滑筋腫における小さな成熟リンパ球が大量に浸潤しているのを観察した。Bardsley et al.(Bardsley et al.Histopathology 1998,33(1),pp.80-82)は、同じ観察を行い、免疫細胞の遊走に対するGnRH Iの刺激効果を示している。レトロスペクティブ分析で、HIVに感染した女性からの子宮摘出標本における慢性形質細胞子宮内膜炎に関する報告が行われた(Kerr-Layton et al.Infect.Dis.Obstet.Gynecol.1998,6(4),pp.186-90)、ならびにHIV感染男性のFSH及びLHレベルの上昇(高ゴナドトロピン)(Arver et al.J.Androl.1999,20(5),pp.611-618;Brockmeyer et al.Horm.Res.2000,54(5-6),pp.294-295)。AIDS様リンパ球プロファイルを示す糖尿病傾向のあるBBラットにGnRH Iを投与することにより、CD4Tリンパ球数が増加した(Jacobson et al.J.Allergy Clin.Immunol.1999,104,653-658)。
【0008】
近年、GnRH II(pyroGlu-His-Trp-Ser-His-Gly-TrpTyr-Pro-Gly-NH、わかりやすくするために下線を引いたGnRH Iとの違い)という名前のGnRHの第2の形態がヒトに存在することが示された。GnRH IIは、主に脳外で産生される非視床下部の形態であり、GnRH系の非内分泌面に関与することが示唆されている(White et al.PNAS 1998,95(1),pp.305-309)。GnRH IIは、T細胞上のMHCクラスI発現を刺激し、GnRH IIがこれらの細胞を直接活性化することを示唆している(未発表データ)。さらに、証拠は、GnRH II受容体をコードする遺伝子がヒト染色体1q12に存在し、GnRH II受容体がT細胞に発現していることを示唆しており、これはこれらの細胞がMHCクラスI発現を増加させることによりGnRH刺激に応答するためである(未発表データ)。さらに、qPCR分析は、GnRH II受容体mRNAがT細胞で発現され、GnRH II受容体mRNAの相対発現レベルがナイーブT細胞及びメモリーT細胞の両方でGnRH I受容体mRNAと比較して増加することを示している(未発表データ。
【0009】
国際公開特許第2009/145690A1号は、超生理学的去勢量のGnRH I又はGnRH I類似体の投与が、HIV/AIDSに罹患している患者などのT細胞欠損患者における免疫能力の維持又は増加をもたらし得ることを記載している。
この文脈において、GnRH I又はGnRH I類似体は、その内分泌作用に加えて、クロスシグナルを伝達し、超生理学的去勢レベルのGnRH又はGnRH I類似体が使用される場合、T細胞上のGnRH II受容体に結合することにより免疫系を刺激する可能性が非常に高い。任意の内分泌の副作用を軽減又は排除するために、GnRH I又はGnRH I類似体を1つ以上の天然、半合成、又は合成性ホルモンとともに投与し得る。
【0010】
しかしながら、HIV/AIDS又は他の関連ウイルス性疾患の治療にGnRH II又はGnRH II類似体を使用することにより、GnRH I及びGnRH I類似体で観察される負の内分泌作用は、最小限に抑えられ得、正の免疫調節作用が強化され得ることが想到される。
【0011】
本明細書における例からわかるように、28日間(1.2mg/日)の酢酸ブセレリン投与の効果を調査するHIV感染抗レトロウイルス療法(ART)ナイーブ男性患者(n=26)における非盲検フェーズII臨床試験は、免疫系に対するGnRH Iを介したいくつかの正の効果をもたらした。治療により、HIVウイルス量の減少、CD4T細胞上のHLAクラスI分子の増加、CD8T細胞上のHIV特異的結合部位の数の増加、及びCD4及びCD8T細胞の活性化の増加が提供された。さらに、試験期間中に重大な有害事象は記録されておらず、治療は安全で忍容性が高いとみなされた。
【0012】
重要であり、最も驚くべきことには、治療期間の終了後36~48ヶ月に行われたフォローアップ調査により、正の免疫学的効果が持続することが明らかになり、これはGnRH類似体によるたった4週間の治療が、治療後少なくとも3年間、場合によっては最大4年間、おそらくはさらに長い間、HIV/AIDS疾患の進行を予防できることを示している。フォローアップ調査に含まれるすべての対象の約33~50%については、ウイルス数の増加又はCD4+細胞数の減少は観察されなかった。これらの結果は、対象がまだウイルスを有している可能性があることを示しているが、ウイルス性疾患の寛解及びAIDSへの進行はない。本文脈において、「治癒」という用語は、そのような状況を含むことを意味する(すなわち、対象は依然としてウイルスを有しているが、疾患症状は観察されない)。
【0013】
フォローアップ調査では、疾患の進行は、免疫学的基準に基づいており、患者が臨床試験の治療の最終日からフォローアップ当日までの期間中に結核感染などの任意のAIDSを定義する疾患を経験した、又は全血で測定されたCD4T細胞数が50細胞/μl超減少して500細胞/μl未満の値になった病状として定義した。26人の患者のうち13人の中間分析では、9人の患者に完全な臨床評価を供した。これらの9人の患者のうち、6人の患者(66.7%に相当)が、免疫学的疾患の進行を示さなかった。これらの患者では、治療の長期的な効果には、CD4/CD8細胞の持続的な免疫活性化(正常な生理学的レベルに類似)が含まれ、ウイルス量の増加、及びHIVの臨床的進行は含まれない。この発見は、GnRH類似体によるHIV患者の短期的な治療が、疾患進行のリスクを最小限に抑える免疫系に長期的で持続的なワクチン様な効果を提供することを示している。本調査では、任意の内分泌の副作用を補うために、治療の一環として単一のテストステロンシピオナートデポ注射(150mg)が投与された。しかしながら、GnRH類似体は、免疫系に有益な効果を提供すると想到される。したがって、一態様では、本発明は、ウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑える際に使用するためのGnRH類似体の使用に関する。
【0014】
本発明のGnRH類似体は、GnRH I、GnRH I類似体、GnRH II、GnRH II類似体、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩から選択される1つ以上の薬剤であり得る。本発明において有用なGnRH類似体としては、デスロレリン、アボレリン、リュープロレリン(リュープロリドとしても知られる)、トリプトレリン、ブセレリン、フェルチレリン、ルトレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、及びナファレリンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに興味深いのは、トリプトレリン、ブセレリン、リュープロレリン、ナファレリン、ヒストリン、及びゴセレリンから選択されるGnRH類似体である。なおさらに興味深いのは、ブセレリン、トリプトレリン、及びゴセレリンから選択されるGnRH類似体である。特に興味深いのは、ブセレリン又は酢酸ブセレリンなどの任意のその薬学的に許容される塩である。
【0015】
本発明者らが見たヒトGnRH II受容体の適応を考慮して(未発表データ)、HIV/AIDS又は他の関連ウイルス性疾患の治療においてGnRH II又はGnRH II類似体を使用することにより、GnRH I及びGnRH I類似体で観察される負の内分泌作用は、最小限に抑えられ得、正の免疫調節作用は、同じか、又はさらには強化され得る。したがって、同様に本発明の文脈において特に興味深いのは、GnRH II、GnRH II類似体、又はそれらの薬学的塩である。これらの類似体は、GnRH I又はGnRH I類似体の投与で観察される副作用と比較して、負の内分泌作用をまったく示さないか、著しく減少させ得る。
【0016】
本発明のGnRH類似体は、アデノウイルス感染症、アルファウイルス感染症、アルボウイルス脳炎、ボルナ病、ブンヤウイルス感染症、カリシウイルス感染症、水痘、尖圭コンジローマ、コロナウイルス感染症、コクサッキーウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、慢性膿瘍、エプスタインバーウイルス感染症、紅斑感染症、ハンタウイルス感染症、ウイルス性出血熱、ウイルス性肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、伝染性単核球症、インフルエンザ、ラッサ熱、麻疹、伝染性軟属腫、ムンプス、パラミクソウイルス感染症、パパタシ熱、ポリオーマウイルス感染症、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス感染症、リフトバレー熱、風疹、スローウイルス病、天然痘、亜急性硬化性全脳炎、腫瘍ウイルス感染症、西ナイル熱、黄熱病、及びHIV/AIDSなどの任意のウイルス性疾患のリスクを最小限に抑えるのに有用であるが、これらに限定されない。例で実証されているように、GnRH類似体は、アジュバント免疫療法剤として特に有用であり、それによりHIV/AIDSの進行のリスクを最小限に抑える。
【0017】
免疫系に対してその正の治療効果を発揮するために、本発明のGnRH類似体は、(正常レベルと比較して)高い血漿レベルを維持するために十分な量で投与されるべきである。この高いレベルは、通常、去勢を誘発する。GnRH類似体の投与計画は、その薬学的特性に応じて変化し得る。GnRH類似体は、経口、局所、粘膜、肺、非経口、舌下、鼻、眼、及び腸内投与などの任意の投与経路により投与され得る。本明細書の例からわかるように、好適な用量は、(前立腺癌に推奨される)GnRH又はGnRH類似体に通常推奨される投与計画と同等である。
【0018】
本発明にとって特に興味深いのは、GnRH類似体を含有する好適な医薬組成物、特に徐放性又はデポ組成物である。そのような製剤の例としては、Zoladex(登録商標)(酢酸ゴセレリン注射)及びDecepeptyl-Depot(登録商標)20(パモ酸トリプトレリン注射)が挙げられる。Zoladex(登録商標)の好適な投与計画は、3.6mgのゴセレリンを腹部前壁に皮下注射して、エストラジオール又はテストステロンを28日間効果的な抑制を提供することである。Zoladex(登録商標)の別の好適な投与計画には、12週ごとに10.8mgの皮下注射が含まれる。Decapeptyl-Depot(登録商標)20の好適な投与計画には、それぞれ4週間又は12週間のFSH及びLH放出の抑制を効果的に提供するために、3.75mg又は11.25mgの筋肉内注射が含まれる。徐放性又は持続放出製剤のさらなる関連例は、文献に見出すことができ、本発明の範囲内である。関心のある他の医薬組成物には、Suprefact(登録商標)(ブセレリン酢酸塩鼻スプレー)が含まれる。Suprefact(登録商標)の好適な投与計画には、28日間の1.2mg/日の鼻腔内投与が含まれる。
【0019】
上記の好適な医薬組成物ならびに本発明の他の好適な医薬組成物を表1に列挙する。しかしながら、GnRH類似体を含む他の医薬組成物ならびに本明細書で言及されたもの以外の他の投与計画も本発明の範囲内である。
【表1-1】

【表1-2】
【0020】
GnRH又はGnRH類似体の超生理学的、特に去勢レベルの投与に関連する任意の望ましくない内分泌副作用を補うために、GnRH類似体は、ホルモン置換を提供するために1つ以上の性ホルモンと共投与されてもよい。本発明の性ホルモン(性ホルモン、性ステロイド、又は生殖腺ステロイドとしても知られる)は、1つ以上の天然、半合成、もしくは合成性ホルモン、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0021】
男性の場合、性ホルモンは、テストステロンなどのアンドロゲン、又はジヒドロテストステロン、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA-S)、アンドロステンジオン、メチルテストステロン、及びスタノゾロールから選択される薬剤を含む、対応する生理学的効果を示す薬剤を含む。特に興味深いアンドロゲンは、テストステロン、メチルテストステロン、及びスタノゾロールを含む。
【0022】
女性の場合、性ホルモンは、エストロゲンなどのエストロゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤を、任意でプロゲステロンなどのゲスターゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤と組み合わせて含む。好適なエストロゲンは、エストロゲン、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジアル、メストラノール、ジネストロール、及びジエチルスチルベストロール、ならびに硫酸エストロン、硫酸エキリン、硫酸エキレニン、硫酸17α-ジヒドロエキリン、硫酸17α-エストラジオール、及び8,9-デヒドロエストロンなどの共役エストロゲンから選択され得るが、これらに限定されない。好適なゲスターゲンは、プロゲステロン又はその類似体、例えばヒドロキシプロゲステロンカプロアート(hydroxyprogesterone carproate)、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メゲストロール、メドロゲストン、及びノルゲストレルから選択され得る。特に関心のあるエストロゲンは、エストロゲン、エストラジオール、共役エストロゲン、エチニルエストラジアル、メストラノール、ジネストロール、及びジエチルスチルベストロールを含むが、特に関心のあるゲスターゲンは、プロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロンカルプロアート(hydroxyprogesterone carproate)、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メゲストロール、メストロゲロン、及びノルゲストレルを含む。
【0023】
非生理学的量のGnRH類似体の投与に関連する任意の生殖副作用を補うために、本発明の1つ以上の天然、半合成、又は合成性ホルモンは、GnRH類似体の去勢効果を補うのに十分な量で投与され得る。1つ以上の性ホルモンの投与計画は、それらの薬学的特性に応じて変化し得る。1つ以上の性ホルモンは、経口、局所、粘膜、肺、非経口、舌下、鼻、眼、及び経腸投与などの任意の投与経路によって投与され得る。
【0024】
ホルモン置換を提供するためのGnRH類似体及び1つ以上の性ホルモンの同時投与の場合、GnRH類似体の投与がホルモン置換の期間と、例えば50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上実質的に重複する重複期間が存在することが好ましい。本発明によれば、重複期間とは、GnRH類似体及び性ホルモンの両方の血漿レベルが所望の薬理効果を引き出すのに十分な期間を指す。GnRH I又はGnRH I類似体が使用される場合、性ホルモン置換の追加は、コンプライアンスを高めるのに有利であり、副作用、すなわちGnRH治療の導入後のステロイドホルモンの枯渇の救助として役立つ。したがって、2つの治療計画(GnRH及び性ホルモン)は、治療過程中に重複しなければならない。
【0025】
いかなる内分泌副作用のない、又は軽度の内分泌副作用のみのGnRH類似体、例えば限定されないが、GnRH II又はGnRH II類似体は、GnRH I又はGnRH I類似体と1つ以上の性ホルモンとの組み合わせの代替として開発及び使用され得ることが想到される。負の内分泌作用がないか、わずかであるそのようなGnRH類似体は、本発明の範囲内である。投与計画は、GnRH類似体及びそれらの医薬特性に応じて変化し得、それらは経口、局所、粘膜、肺、非経口、舌下、鼻、眼、及び経腸投与などの任意の投与経路により投与され得る。
【0026】
別の態様では、本発明は、ウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑える際に使用するためのGnRH類似体、ならびに任意で1つ以上の性ホルモン及び1つ以上の薬学的又は獣医学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。GnRH I、GnRH I類似体、又はGnRH II類似体(内分泌副作用を伴う)を用いる場合、投与計画には通常1つ以上の性ホルモンの使用が含まれる。
【0027】
そのような組成物について、GnRH類似体は、GnRH I、GnRH I類似体、例えばデスロレリン、アボレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ブセレリン、フェルチレリン、ルトレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、及びナファレリン、GnRH II、GnRH II類似体、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩から選択され得るが、これらに限定されない。
【0028】
男性対象で使用するためのそのような組成物については、性ホルモンは、テストステロンなどのアンドロゲン、又はジヒドロテストステロン、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA-S)、アンドロステンジオン、メチルテストステロン、スタノゾロール、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩から選択される薬剤などの対応する生理学的効果を示す薬剤から選択され得るが、これらに限定されない。
【0029】
女性対象で使用するためのこのような組成物については、性ホルモンは、エストロゲン、又は、限定されないが、エストロゲン、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジアル、メストラノール、ジネストロール、及びジエチルスチルベストロールなどの、対応する生理学的効果を示す薬剤、共役エストロゲン、限定されないが、例えば硫酸エストロン、硫酸イクリン、硫酸イケレニン、17α-ジヒドロエキリン硫酸、17α-エストラジオール硫酸、及び8,9-デヒドロエストロン、又はそれらの薬学的に許容される塩から選択され得る。
【0030】
女性対象患者に使用するための組成物はまた、任意選択でプロゲステロン又はヒドロキシプロゲステロンカルプロアート(hydroxyprogesterone carproate)、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メゲストロール、メドロゲストン、ノルゲストレル、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩などの対応する生理学的効果を示す薬剤から選択されるゲスターゲンを含有してもよい。
【0031】
医薬製剤における当業者は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,Mack Publishing Company,1990以降の版からのガイダンスによる特定の組成物を製剤化する方法を知っている。
【0032】
別の態様では、本発明は、単一のパッケージ内に、超生理学的、特に去勢量のGnRH類似体を含む第1の組成物、任意選択で1つ以上の天然、半合成、又は合成性ホルモンの量を減衰又は排除する去勢を含む第2の組成物、及び使用説明書を含む、ウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑える際に使用するための医薬キットに関する。第1及び第2の組成物は、異なる又は同じ投与計画用に設計されてもよく、説明書は、投与計画の説明を含有する。
【0033】
そのような医薬キットについて、GnRH類似体は、GnRH I、GnRH I類似体、例えばデスロレリン、アボレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ブセレリン、フェルチレリン、ルトレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、及びナファレリン、GnRH II、GnRH II類似体、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩から選択され得るが、これらに限定されない。
【0034】
男性対象で使用するためのそのような医薬キットについては、性ホルモンは、テストステロンなどのアンドロゲン、又はジヒドロテストステロン、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA-S)、アンドロステンジオン、メチルテストステロン、スタノゾロール、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩から選択される薬剤などの対応する生理学的効果を示す薬剤から選択され得るが、これらに限定されない。
【0035】
女性対象で使用するためのこのような医薬キットについては、性ホルモンは、エストロゲン、又は、限定されないが、エストロゲン、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジアル、メストラノール、ジネストロール、及びジエチルスチルベストロールなどの、対応する生理学的効果を示す薬剤、共役エストロゲン、限定されないが、例えば硫酸エストロン、硫酸イクリン、硫酸イケレニン、17α-ジヒドロエキリン硫酸、17α-エストラジオール硫酸、及び8,9-デヒドロエストロン、又はそれらの薬学的に許容される塩から選択され得る。
【0036】
女性対象対象に使用するための医薬キットはまた、任意選択で、プロゲステロン又はヒドロキシプロゲステロンカルプロアート(hydroxyprogesterone carproate)、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メゲストロール、メドロゲストン、ノルゲストレル、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩などの対応する生理学的効果を示す薬剤から選択されるゲスターゲンを含む第3の組成物を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0037】
別の態様では、本発明は、ウイルス性疾患、特にHIV/AIDSの進行のリスクを最小限に抑えるための方法であって、
i)ヒト又は動物対象に治療有効量のGnRH類似体又は任意のその薬学的に許容される塩を投与すること、及び
ii)任意選択で、GnRH類似体によって引き起こされる任意の負の内分泌作用を補うのに十分な量で、1つ以上の天然、半合成、又は合成性ホルモンを投与すること
を含む、方法に関する。
【0038】
GnRH I又はGnRH I類似体の場合、その量は、通常、対象において、高い超生理学的血漿レベル、特に去勢血漿レベルを維持するように十分でなければならない。
【0039】
長期的な保護効果を得て、疾患の進行のリスクを最小限に抑えるための条件は、対象が問題のウイルスに感染している、又は感染していたことである。したがって、本発明の方法は、
i)特定のウイルスの存在について対象からの生体試料を試験すること、
ii)ウイルスが存在する、又は存在した場合、本明細書に記載されているもののうちの1つなどの好適な投与計画に従ってGnRH類似体で対象を治療すること、
iii)任意選択で、内分泌副作用のリスクを最小限に抑えるために、対象を1つ以上の性ホルモンで共治療すること、
iv)任意選択で、CD4及び/もしくはCD8細胞のレベル、ウイルス量、ならびに/又は任意の疾患の進行の兆候を決定するために対象をフォローアップ検査に供すること
を含み得る。
【0040】
ステップiv)は、通常、疾患が寛解状態にある場合に対象の正しい治療を確保するために含まれる。
【0041】
定義
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「類似体」は、1つの類似体又は複数の類似体を意味する。
【0042】
特に明記しない限り、「GnRH類似体」という用語は、GnRH I、GnRH Iの類似体、GnRH II、GnRH IIの類似体、又は任意のそれらの薬学的塩のうちの1つ以上を指す。GnRH I又はGnRH I類似体は、主にGnRH I受容体に対するi)刺激効果又はii)親和性を有するが、GnRH II又はGnRH II類似体は、GnRH II受容体であってもよい別の受容体に対するi)刺激効果又はii)親和性を有し得る。したがって、GnRH I又はGnRH I類似体は、GnRH II受容体を刺激しても、又はそれに対する親和性を有してもよいが、程度ははるかに低い。同様に、GnRH II又はGnRH II類似体は、GnRH I受容体を刺激しても、又はそれに対する親和性を有してもよいが、程度ははるかに低い。GnRH類似体によるGnRH I及び/又はGnRH II受容体の刺激/結合は、実験セクションで説明したように調査することができる。
【0043】
他の哺乳動物とは異なり、1つの従来のヒトGnRH受容体、I型GnRH受容体のみが記載されている。II型GnRH受容体相同体は、ヒトの染色体1q12遺伝子に存在するが、フレームシフト及び終止コドンを含有し、機能的に発現しないと考えられている。驚くべきことに、本発明者らの発見は、それらがMHCクラスI発現の増加によりGnRH刺激に応答するので、II型GnRH受容体が実際にT細胞上に発現されることを示唆する(図1)。これらの機能的発見は、本発明者らがII型GnRH受容体mRNAの発現を実証することができたqPCR分析によって裏付けられた。さらに、II型GnRH受容体の相対発現レベルは、ナイーブ及びメモリーT細胞上のI型GnRH受容体の発現レベルと比較して高かった(図2)。したがって、本発明者らは、II型GnRH受容体の発現が、機能的にGnRH刺激に応答してT細胞上に発現される優性受容体であることを同定した。
【0044】
本発明者らはまた、GnRH I類似体がT細胞を活性化してMHCクラスI発現をもたらし得ることを発見した。GnRH I類似体ブセレリンをHIVの治療薬として使用した最近の臨床試験では、GnRH Iの内分泌作用を最小限に抑えるために、HIV感染男性に性ホルモン置換が提供された。これらの作用は、GnRH Iが下垂体I型GnRH受容体に結合することによって媒介され、テストステロンの産生及びその後のインポテンツを減少させる。内分泌作用に加えて、GnRH Iが交差シグナルを出し、高去勢レベルのGnRH類似体が使用される場合、T細胞上のII型GnRH受容体に結合することによって免疫系を刺激する可能性が非常に高い。興味深いことに、乳癌細胞で発現される受容体へのGnRH I結合は、低い結合親和性(Kd、1.6-3.0x10(-6)M)を示すのに対して、GnRH Iの中枢性下垂体結合は、1000倍高い親和性(Kd、4.8X10(-9)M)(11)を示す。
【0045】
GnRH Iペプチド及びGnRH IIペプチドの結合親和性の違いは、下垂体細胞へのGnRH I結合に特化したI型GnRH受容体の発現を反映しているのに対し、末梢細胞は、II型GnRH受容体の発現を支配し得るため、親和性が低く、GnRH I結合の「オフターゲット」効果がある可能性が高い。したがって、II型GnRH受容体がT細胞上の優勢な受容体であるという本発明者らの予想外の発見は、新規であり、GnRH I及びGnRH IIの受容体生理学を説明し得る。したがって、HIVの治療にGnRH II様ペプチドを使用することにより、内分泌作用を最小限に抑え、免疫刺激効果を分離して強化しなければならない。
【0046】
本明細書で使用される「アジュバント免疫療法剤」という用語は、ウイルス性感染に対する免疫学的応答を誘発することができる物質を示すことを意図している。したがって、アジュバント免疫療法剤は、それ自体では免疫学的反応の影響を供さず、誘発物質として作用する。
【0047】
本明細書で使用される場合、アジュバント免疫療法剤の効果について示される期間は、アジュバント免疫療法剤による治療の始まりと同時に開始され得る。
【0048】
「治療期間」という用語は、治療が行われる期間を示すことを意図している。例として、例1の治療期間は4週間である。
【0049】
「免疫応答維持期間」という用語は、免疫応答の効果が観察される期間を示すことを意図している。免疫応答の効果は、HIV-1bDNA(HIV-1の感染に関連)、ウイルス量CD4+、CD8+、CD4+/CD8+、CD4+HLA ABC MFI、CD8+テトラマーMFIなどのうちの1つ以上を測定することで観察することができる。
【0050】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機又は有機の酸又は塩基から形成される従来の塩、ならびに四級アンモニウム酸付加塩を含む。好適な酸塩のより具体的な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、シピオン酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パモ酸、マロン酸、カプロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステロイック酸、タンニン酸などが挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に有用であり得る。好適な塩基性塩のより具体的な例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、及びプロカインの塩が挙げられる。
【0051】
GnRH又はその類似体の血漿レベル、量、及び投与量に関して言及される「超生理学的」という用語は、Tayler et al.(J.Fertil.Steril.2010,93(5),pp.1668-1675)に従って定義され、対象においてGnRH類似体の安定した高い血漿濃度を導き、内因性GnRHの拍動性分泌パターンを減衰又は排除するGnRH類似体のレベル、量、又は投与量として理解される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】漸増濃度のGnRH IIを用いたT細胞の刺激後のMHCクラスIの発現を示す図である。健康なドナーからのPBMCをGnRH II及びIL-2で72時間刺激した。データ点は、フローサイトメトリーで測定されたCD4T細胞(青色の三角)又はCD8T細胞(黒色の四角)上のMCHクラスI発現の平均蛍光強度を表す。
図2】定量的リアルタイムPCRで分析したヒトT細胞におけるGnRH受容体発現を示す図である。棒は、選別されたナイーブT細胞(白色の棒)又はメモリーT細胞(灰色の棒)におけるRNAポリメラーゼII発現に対して正規化されたGnRHR I又はGnRHR II mRNAの比を表す。MCF-7乳癌細胞株(黒色の棒)を陽性対照として使用した。
図3】フェーズIIa臨床試験の調査概要及び訪問スケジュールを示す図である。
図4】フェーズIIa臨床試験の訪問中に測定された26人の患者のFSHレベルを示す図である。
図5】フェーズIIa臨床試験の訪問中に測定された26人の患者のLHレベルを示す図である。
図6】フェーズIIa臨床試験の訪問中に測定された26人の患者のテストステロンレベルを示す図である。
図7】フェーズIIa試験の訪問7から訪問後48ヶ月までの期間中にCD4T細胞数を介して評価された免疫学的進行を示す図である。
図8】フェーズIIa試験の訪問7から訪問後48ヶ月までの期間中のウイルス量の増加として評価されたウイルス学的進行を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実験
GnRH I対GnRH IIアッセイ
トランスフェクションによりGnRH I受容体又はGnRH II受容体のいずれかを発現するように作製された細胞で化合物を試験する。細胞を標識GnRH化合物に曝露し、洗浄した後、細胞上の標識を測定することによって評価する。標識は、直接測定するか(放射性同位体標識又は蛍光標識)、間接的に測定する(ビオチン標識ペプチド)。
【0054】
GnRH化合物によって誘発されるシグナル伝達は、GnRH I受容体又はGnRH II受容体のいずれかを発現する細胞株で測定する。GnRH化合物は、競合アッセイを使用して、GnRH I受容体及びGnRH II受容体に対するそれぞれの親和性について調べる。ED50値を確立するそれらの効力を評価するために、フローサイトメーターを使用するか又は生細胞画像化顕微鏡法のいずれかを使用してFluo-4-Directで標識した細胞を使用してカルシウム流動を測定する。シグナル伝達はまた、p-ERK又はp-JNKに対する抗体を使用したウエスタンブロット法によっても調査する。
【0055】
LH及びFSHの産生に対する細胞活性化の効果を評価し、免疫関連機能の刺激と比較するために、GnRH I受容体又はGnRH II受容体のいずれかを発現する下垂体細胞及び免疫細胞に対する化合物の効果を調査する。
【0056】

例1:非盲検フェーズII臨床試験
南アフリカのプレトリア大学の臨床研究ユニットで、非盲検、非管理、単一施設のフェーズIIa臨床試験を行った。調査概要を図3に示す。対象は、HIV 1感染抗レトロウイルス療法(ART)ナイーブ男性患者(n=26)であった。包含基準は、HIV抗体検査、男性の性別、年齢18~50歳、CD4T細胞数>350細胞/μl全血、及びHLA-A*0205、HLA-A*3002、又はHLA-B*1503ハプロタイプ陽性によって記録された無症候性の検証済みHIV-1感染であった。患者は、1.2mg/日(4x300μg、各鼻孔に毎回150μgずつ投与)の酢酸ブセレリン点鼻液(Suprefract(登録商標)、Sanofi-Aventis)を28日間受けた。任意の内分泌副作用を補うために、患者は、治療期間の7日目に150mgのテストステロンシピオナート(Depo(登録商標)-テストステロン、Pfizer)の単一の筋肉内注射をさらに受けた。主な調査目的は、28日間の酢酸ブセレリンの鼻腔内投与の安全性及び忍容性を評価することであり、副次的な調査目的は、T細胞集団、HIVウイルス量、ならびにFSH、LH、及びテストステロンの血清濃度に対する効果を評価することであった。
【0057】
安全性の観点から、調査中に重篤な有害事象(SAE)は発生せず、治療中止を引き起こす耐え難い有害事象を経験した患者はいなかった。1つを除くすべての有害事象は、軽度と評価し、大多数の事象は、治療とは無関係とみなした。有害事象の要約を表2に示す。
【表2】
【0058】
有効性の観点から、HIVウイルス量は、ベースラインと訪問6(治療終了)及び訪問7(フォローアップ)との間でそれぞれで減少し、訪問7で観察されたウイルス量の減少は、訪問6で観察された減少よりも顕著であった。また、ベースラインと訪問6との間にCD4T細胞のHLAクラスI分子が増加し、訪問7のCD4T細胞(CD8テトラマーMFI)のHIV特異的結合部位の数は、ベースラインと比較して有意に多かった。さらに、16の免疫学的変数の詳細な分析により、治療によってCD4及びCD8T細胞が活性化されることが示された。
【0059】
予想どおり、FSH、LH、及び内因性テストステロンの血清レベルは、治療期間中に減少したが、フォローアップの訪問時に回復していた(図4-6)。
【0060】
例2:フォローアップ調査及び中間分析
HIV/AIDSに罹患している患者におけるGnRH治療の長期的な効果を調べるために、特に疾患の進行のリスクを最小限に抑える手段を開発する意図で、フォローアップ調査及び中間解析を非盲検フェーズII臨床試験36~48ヶ月後に行った。この調査の目的は、過去及び現在の臨床的、免疫学的、及びウイルス学的状態の評価に基づいて、フェーズIIa臨床試験(例1)の完了から期間中のHIV感染の進行を評価することであった。
【0061】
フォローアップには元の26人の患者のうち13人が含まれ、そのうち9人の患者は完全な臨床検査を受けた。中間解析では、疾患の進行は、免疫学的基準に基づいており、患者が臨床試験の治療の最終日からフォローアップ当日までの期間に結核感染などの任意のAIDSを定義する疾患を経験した、又は全血で測定されたCD4T細胞数が50細胞/μl以上減少して500細胞/μl未満の値になった病状として定義した。中間分析により、完全な評価を受けた9人の患者のうち6人が免疫疾患の進行を示さなかったことが明らかになった。これらの患者では、治療の長期的な効果には、CD4/CD8細胞の持続的な免疫活性化(正常な生理学的レベルに類似)が含まれ、ウイルス量の増加、及びHIVの臨床的進行は含まれない。
フォローアップ調査に含まれる13人の患者の調査結果の要約を以下に示す:
・初期GnRH治療後のART治療開始の病歴:13人の患者のうち7人(54%)が再評価時までにART治療を開始した(フェーズIIa試験の36~48ヶ月後-例1)。
【0062】
・HIV関連疾患の病歴(AIDSはTBを含む疾患を定義する):13人の患者のうち2人(15%)がフェーズIIa試験の完了以来、播種のない肺TBの病歴があった。TB症例を首尾よく治療した。他の事象又は重篤な疾患は、レビューされた患者から報告されておらず、36~48ヶ月後のフォローアップ検査で見られなかった。
・初期GnRH治療の36~48ヶ月後の免疫学的状態:免疫学的状態を評価するために、訪問6(=例1の治療終了)及び訪問7(=例1のフォローアップ終了)での初期臨床試験の最後のCD4T細胞数の結果をそれぞれ、初期試験(例1)の完了以降に行われた任意の追跡可能な(通常の)CD4結果、及びフォローアップ調査(例2)の一部として行われたCD4試験を評価した。初期試験(例1)の完了後の免疫学的変化を評価するために、初期試験の最後の結果及び最後のARTナイーブCD4の結果を評価した。11人の患者(85%)がこのような分析に適格であり、この分析から免除されなければならなかった2人の患者は、ARTを開始したが、フェーズIIa試験(例1)の完了後、及びART開始前にCD4分析が行われなかったか、追跡できなかった。
「免疫学的進行」は、フォローアップ検査(例2)で、ベースライン(それぞれ訪問6又は訪問7、例1)から500細胞/mm未満及び50細胞/mm以上の低下の任意のCD4結果として定義した。
参照として訪問6を使用すると、11人の患者のうち5人(45%)が少なくとも36ヶ月の観察期間中に「免疫学的に進行」しなかった。訪問7を参照すると、11人の患者のうち6人(55%)が同じ観察期間中に「免疫学的に進行」しなかった(図7)。
・ウイルス学的状態:ウイルス学的状態を評価するために、初期臨床試験の最後のウイルス量の結果(訪問6=治療終了、訪問7=フォローアップ終了、例1)、初期フェーズIIa試験(例1)の完了以降に行った任意の追跡可能な(通常の)ウイルス量の結果及びフォローアップ臨床試験(例2)の一部として行ったウイルス量試験を評価した。ウイルス学的変化を評価するために、フェーズIIa試験(例1)が完了してから、初期試験(例1)の最後のウイルス量の結果及び最後のARTナイーブウイルス量の結果を評価した。6人の患者(46%)がそのような分析に適格であり、分析に含めることができなかった7人の患者は、すべてARTを開始し、初期臨床試験(例1)の完了後、又はART治療の開始前にウイルス量試験もしくは結果を行わなかったか、追跡できなかった。
「ウイルス学的進行」は、ベースライン(それぞれ訪問6又は訪問7、例1)及び最後のARTナイーブウイルス量からの0.33ログ以上のウイルス量の増加として定義した。この分析に適格であった6人の患者のうち、2人の患者(33%)は、少なくとも37ヶ月の期間にわたってベースラインとして選択された訪問に関係なく、ウイルス学的に進行しなかった(図8)。
・組み合わせた免疫学的及びウイルス学的進行:ウイルス学的変化が決定した6人の患者のウイルス学的結果とその免疫学的結果とを組み合わせると、3人(50%)が免疫学的及びウイルス学的に進行し、1人(17%)が免疫学的に進行したがウイルス学的に進行せず、1人(17%)がウイルス学的に進行したが免疫学的には進行せず、1人(17%)がウイルス学的にも免疫学的にも進行しなかったことが明らかとなった。これらの調査結果を表3にまとめる。
【表3】
【0063】
結論:
結論として、GnRH類似体による4週間の治療後36~48ヶ月の期間にわたって、初期臨床試験(例1)でGnRH類似体による治療後に再評価された患者の約半数は、免疫学的に進行せず、約3分の1は、ウイルス学的に進行しなかった。合わせて、免疫学的にもウイルス学的にも進行しなかった患者が1人(17%)いた。
【0064】
本発明の特定の実施形態は、項目のリストに記載されている:
【0065】
項目1
ウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑える際に使用するためのGnRH類似体。
【0066】
項目2.項目1に記載のウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑える際に使用するためのGnRH類似体であって、ウイルス性疾患が、アデノウイルス感染症、アルファウイルス感染症、アルボウイルス脳炎、ボルナ病、ブンヤウイルス感染症、カリシウイルス感染症、水痘、尖圭コンジローマ、コロナウイルス感染症、コクサッキーウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、慢性膿瘍、エプスタインバーウイルス感染症、紅斑感染症、ハンタウイルス感染症、ウイルス性出血熱、ウイルス性肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、伝染性単核球症、インフルエンザ、ラッサ熱、麻疹、伝染性軟属腫、ムンプス、パラミクソウイルス感染症、パパタシ熱、ポリオーマウイルス感染症、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス感染症、リフトバレー熱、風疹、スローウイルス病、天然痘、亜急性硬化性全脳炎、腫瘍ウイルス感染症、西ナイル熱、黄熱病、及びHIV/AIDSから選択される、GnRH類似体。
【0067】
項目3.ウイルス性疾患がHIV/AIDSである、項目1又は2に記載の使用のためのGnRH類似体。
【0068】
項目4.GnRH類似体が、GnRH I、GnRH I類似体、GnRH II、GnRH II類似体、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩から選択される、項目1~3のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0069】
項目5.GnRH類似体がGnRH I類似体である、項目4に記載の使用のためのGnRH類似体。
【0070】
項目6.GnRH類似体が、デスロレリン、アボレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ブセレリン、フェルチレリン、ルトレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、及びナファレリンから選択されるGnRH I類似体である、項目1~5のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0071】
項目7.GnRH類似体がトリプトレリン、ゴセレリン、及びブセレリンから選択されるGnRH I類似体である、項目1~6のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0072】
項目8.GnRH類似体がブセレリンである、項目1~7のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0073】
項目9.GnRH類似体がGnRH IIである、項目1~4のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0074】
項目10.GnRH類似体がGnRH II類似体である、項目1~4のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0075】
項目11.1つ以上の天然、半合成、もしくは合成性ホルモン、又は任意のそれらの薬学的に許容される塩と組み合わせた、項目1~10のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0076】
項目12.性ホルモンが、アンドロゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤である、項目11に記載の使用のためのGnRH類似体。
【0077】
項目13.性ホルモンが、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオン、メチルテストステロン、及びスタノゾロールから選択される、項目11又は12に記載の使用のためのGnRH類似体。
【0078】
項目14.性ホルモンが、テストステロン、メチルテストステロン、及びスタノゾロールから選択される、項目11~13のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0079】
項目15.性ホルモンがテストステロンである、項目11~14のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0080】
項目16.性ホルモンがエストロゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤である、項目11に記載の使用のためのGnRH類似体。
【0081】
項目17.性ホルモンが、エストロゲン、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジアル、メストラノール、ジネストロール、ジエチルスチルベストロール、及び共役エストロゲンから選択される、項目11又は16に記載の使用のためのGnRH類似体。
【0082】
項目18.性ホルモンが、エストロゲン、エストラジオール、エチニルエストラジアル、メストラノール、ジネストロール、及びジエチルスチルベストロールから選択される、項目11、16又は17のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0083】
項目19.さらにゲスターゲン又は対応する生理学的効果を示す薬剤と組み合わせた、項目11、16~18のいずれか1つに記載の使用のためのGnRH類似体。
【0084】
項目20.ゲスターゲンが、プロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、メゲストロール、メドロゲストン、及びノルゲストレルから選択される、項目19に記載の使用のためのGnRH類似体。
【0085】
項目21.ウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑える際に使用するための、GnRH類似体又は任意のその薬学的に許容される塩及び項目1~20のいずれか1つに定義される少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【0086】
項目22.医薬キットであって、ウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑える際に使用するための、
i)超生理学的量のGnRH又はGnRH類似体を含む第1の組成物、
ii)任意選択で、1つ以上の天然由来、半合成、又は合成性ホルモンを含む第2の組成物、及び
iii)使用説明書
を単一のパッケージに含む、医薬キット。
【0087】
項目23.ゲスターゲンを含む第3の組成物をさらに含む、項目22に記載の医薬キット。
【0088】
項目24.ウイルス性疾患がHIV/AIDSである、項目22又は23に記載の医薬キット。
【0089】
項目25.ウイルス性疾患の進行のリスクを最小限に抑えるために、有効量のGnRH類似体又は任意のその薬学的に許容される塩をウイルス性疾患に罹患しているヒト又は動物対象に投与することを含む方法。
【0090】
項目26.GnRH類似体の有効量が超生理学的量である、項目25に記載の方法。
【0091】
項目27.ウイルス性疾患が、アデノウイルス感染症、アルファウイルス感染症、アルボウイルス脳炎、ボルナ病、ブンヤウイルス感染症、カリシウイルス感染症、水痘、尖圭コンジローマ、コロナウイルス感染症、コクサッキーウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、慢性膿瘍、エプスタインバーウイルス感染症、紅斑感染症、ハンタウイルス感染症、ウイルス性出血熱、ウイルス性肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、伝染性単核球症、インフルエンザ、ラッサ熱、麻疹、伝染性軟属腫、ムンプス、パラミクソウイルス感染症、パパタシ熱、ポリオーマウイルス感染症、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス感染症、リフトバレー熱、風疹、スローウイルス病、天然痘、亜急性硬化性全脳炎、腫瘍ウイルス感染症、西ナイル熱、黄熱病、及びHIV/AIDSから選択される、項目25又は26に記載の方法。
【0092】
項目28.ウイルス性疾患がHIV/AIDSである、項目25~27に記載の方法。
【0093】
項目29.GnRH類似体によって引き起こされる任意の負の内分泌作用を補うために、有効量の1つ以上の天然、半合成、もしくは合成性ホルモン又はその薬学的に許容される塩をヒト又は動物対象に投与することをさらに含む、項目25~28に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2023011935000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジュバント免疫療法剤として用いるためのブセレリン。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2023011935000001.xml