(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119352
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】取付装置およびそれを備えたアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20230821BHJP
H01Q 19/30 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01Q1/12 C
H01Q19/30
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022207
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 将尚
【テーマコード(参考)】
5J020
5J047
【Fターム(参考)】
5J020CA01
5J047AA09
5J047BC05
(57)【要約】
【課題】組立性の悪化を抑制可能な取付装置、およびそれを備えたアンテナ装置を提供する。
【解決手段】取付装置は、固定プレートと、一対の締結部材と、を備える。締結部材は、軸部と、抜け止め部とを有する。固定プレートは、第1貫通孔と、第2貫通孔と、を有する。固定プレートは、第1貫通孔と、第2貫通孔と、を有する。固定プレートは、第1位置と、第2位置と、の間で移動可能である。第2貫通孔に挿入された軸部に設けられた抜け止め部は、固定プレートが第1位置にある状態で第2貫通孔の縁部と重なり、固定プレートが第2位置にある状態で第2貫通孔の縁部よりも内側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付品に対向して配置される固定プレートと、
先端部から後端部にかけての少なくとも一部の外周面にねじが形成された軸部と、前記軸部の後端部に設けられた、前記軸部の径よりも大きな径を持つ抜け止め部と、を有し、前記取付品と前記固定プレートとの対向方向に対して前記固定プレート側から前記固定プレートおよび前記取付品を貫通して、前記固定プレートと前記取付品とを連結する一対の締結部材と、
を備え、前記対向方向と直交する第1方向、または前記対向方向および前記第1方向に直交する第2方向と平行になるように前記支柱部材を前記取付品と前記固定プレートとの間で挟持して、前記取付品を前記支柱部材に固定する取付装置において、
前記固定プレートは、
前記第1方向に対して前記固定プレートの中央部よりも一方側、かつ前記第2方向に対して前記固定プレートの中央部よりも一方側の位置に形成された、前記軸部を挿入可能であり、かつ前記抜け止め部は通過できない第1貫通孔と、
前記第1方向に対して前記固定プレートの中央部を間に挟んで前記第1貫通孔と反対側、かつ前記第2方向に対して前記固定プレートの中央部を間に挟んで前記貫通孔と反対側の位置に形成された、前記軸部および前記抜け止め部を挿入可能な第2貫通孔と、を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1方向に対して前記第2貫通孔の内周面の、最も前記第1貫通孔から遠い第1部分を含み、
前記固定プレートは、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に前記締結部材の軸部が挿入された状態で、前記第2貫通孔に挿入された前記軸部が前記第1部分に最も近接する第1位置と、前記第2貫通孔に挿入された前記軸部が前記第1方向に対して前記第1部分よりも前記第1貫通孔に近づいた第2位置と、の間で移動可能であり、
前記第2貫通孔に挿入された前記軸部に設けられた前記抜け止め部は、前記固定プレートが前記第1位置にある状態で前記第2貫通孔の縁部と重なり、前記固定プレートが前記第2位置にある状態で前記第2貫通孔の縁部よりも内側に位置する取付装置。
【請求項2】
前記第2貫通孔は、前記第1方向に沿って前記第1部分から前記第1貫通孔に近づくように延びる、短径が前記抜け止め部の径よりも小さい長孔部と、前記長孔部の、前記第1方向に対して前記第1部分と反対側の端部に連通する、前記抜け止め部の径よりも大きな内径をもった丸孔部と、を有し、
前記第2貫通孔に挿入された前記軸部は、前記固定プレートが前記第1位置にある状態で前記長孔部の内側に位置し、前記固定プレートが前記第2位置にある状態で前記丸孔部の内側に位置する請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記第1貫通孔は、前記第1方向に沿って長細く形成された長孔であり、前記第2方向に対して前記第1貫通孔の両外側には、前記第2方向に前記抜け止め部の径以下、かつ前記第1貫通孔の短径より大きい間隔をあけて並んだ、前記対向方向に突出する一対の第1規制突起が設けられ、
前記長孔部は、前記第1方向に沿って長細く形成された長孔であり、前記第2方向に対して前記長孔部の両外側には、前記第2方向に前記抜け止め部の径以下、かつ前記長孔部の短径よりも大きい間隔をあけて並んだ、前記対向方向に突出する一対の第2規制突起が設けられ、
前記固定プレートが前記第1位置にあり、前記対向方向に対して前記抜け止め部と前記固定プレートとの間隔が前記第1規制突起および前記第2規制突起の突出量よりも小さい状態で、前記第1規制突起および前記第2規制突起は前記抜け止め部に当接して前記固定プレートの前記第2位置への移動を規制する請求項2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記長孔部は、前記固定プレートが前記第2位置に位置している状態における前記第1貫通孔に挿入された前記軸部の周方向に沿った円形状をなすように湾曲して形成されている請求項2に記載の取付装置。
【請求項5】
前記固定プレートは、前記第1方向に対して前記固定プレートの両端に亘って延びた、前記取付品に対向する第1対向面から前記対向方向に凹む第1凹部と、前記第2方向に対して前記固定プレートの両端に亘って延びた、前記第1対向面から前記対向方向に向かって凹む、前記第1凹部と交差する第2凹部と、を有し、
前記支柱部材は、前記第1凹部または前記第2凹部の内側に配置された状態で、前記固定プレートと前記取付品との間で挟持される請求項1から4のいずれかに記載の取付装置。
【請求項6】
前記第1凹部および前記第2凹部とは直交する請求項5に記載の取付装置。
【請求項7】
前記第1凹部および前記第2凹部の、前記固定プレートの縁部に重なる部分には、前記支柱部材に向かって突出する複数の山型状の第1係止突起が形成され、
前記第1係止突起の先端は、前記支柱部材の外周面に接触する請求項5または6に記載の取付装置。
【請求項8】
前記対向方向に対して前記取付品と前記固定プレートとの間で前記取付品に固定され、前記一対の締結部材が貫通する取付品側プレートを備え、
前記取付品側プレートは、
前記固定プレートが前記第1位置にある状態で前記第2方向に対して前記第1凹部と重なる位置に、前記第1方向に対して前記取付品側プレートの両端に亘って延びた、前記固定プレートと対向する第2対向面から前記対向方向に凹む第3凹部と、
前記固定プレートが前記第1位置にある状態で前記第1方向に対して前記第2凹部と重なる位置に、前記第2方向に対して前記取付品側プレートの両端に亘って延びた、前記第2対向面から前記対向方向に凹む第4凹部と、を有し、
前記支柱部材は、前記第1凹部および前記第3凹部の内側または前記第2凹部および前記第4凹部の内側に配置された状態で、前記固定プレートと前記取付品との間で挟持される請求項5から7のいずれかに記載の取付装置。
【請求項9】
前記第3凹部および前記第4凹部の、前記取付品側プレートの縁部と重なる部分には、前記支柱部材に向かって突出する複数の山型状の第2係止突起が形成され、
前記第2係止突起の先端は、前記支柱部材の外周面に接触する請求項8に記載の取付装置。
【請求項10】
前記第1方向に対して前記第3凹部と重なり、かつ前記第2方向に対して前記取付品側プレートの縁部の外側の位置に設けられた、前記第3凹部の底部より前記固定プレートに近い位置まで前記対向方向に突出する第1位置決めリブと、
前記第2方向に対して前記第4凹部と重なり、かつ前記第1方向に対して前記取付品側プレートの縁部の外側の位置に設けられた、前記第4凹部の底部より前記固定プレートに近い位置まで前記対向方向に突出する第2位置決めリブと、
を備え、前記取付品は、前記第1位置決めリブまたは前記第2位置決めリブと前記支柱部材の先端が当接して、前記支柱部材に対して前記第1方向または前記第2方向に位置決めされる請求項8または9に記載の取付装置。
【請求項11】
所定の電波を受信する前記取付品と、
請求項1から10のいずれかに記載の取付装置と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項12】
前記電波が到来する到来方向と反対方向に前記電波を反射する反射器と、
前記到来方向に対して前記反射器の上流側に配置された導波器と、
前記到来方向に対して前記導波器と前記反射器との間に配置された放射器と、
を備え、
前記取付品は、前記反射器、前記導波器、および前記放射器を内部に収容する請求項11に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付装置およびそれを備えたアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、屋外に設置されて所定の電波を受信するアンテナ装置は、取付装置によって、柱状のマスト部材(支柱体)に固定される。このような取付装置として、特許文献1には、固定プレートと、一対の締結部材と、を備えるものが開示されている。固定プレートは、電波の到来する方向(到来方向)に対して、アンテナ本体(取付品)と対向するように配置されている。固定プレートとアンテナ本体との間にマスト部材を挟み込んだ状態で一対の締結部材をアンテナ本体にねじ込むことで、マスト部材が固定プレートとアンテナ本体との間で挟持される。締結部材は、固定プレートからアンテナ本体まで貫通した上で、アンテナ本体の内部に設けられたねじ孔にねじ込まれる。このため、締結部材には、軸方向の長さが比較的長いものが採用される。
【0003】
また、特許文献2には、アンテナ本体の縦方向(特許文献1の
図1に示すX軸方向)の寸法が横方向(特許文献1の
図1に示すY軸方向)の寸法よりも小さいアンテナ装置が開示されている。このようなアンテナ装置は、アンテナ本体の取り付ける向きを横向きにした状態と、縦向きにした状態の、2パターンから選択してマスト部材に取り付けられる。特許文献2のアンテナ装置も、特許文献1に記載されたような取付装置によってマスト部材に固定されるのが一般的である。また、一旦マスト部材に取り付けたアンテナ本体の向きを縦向きから横向き、または横向きから縦向きに変更することもある。この場合は、アンテナ本体をマスト部材から一旦取り外し、アンテナ本体の向きを変更して再度マスト部材に取り付けることになる。
【0004】
これらのようなアンテナ装置は、アンテナ本体に固定プレートおよび締結部材を取り付けた状態で梱包され、出荷される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012―124777号公報
【特許文献2】特開2006―211643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2のようなアンテナ装置において、既に固定プレートおよび締結部材が取り付けられた状態のアンテナ本体を、支柱体(マスト部材)の中間部位(軸方向に対して支柱体の両端部から所定の間隔をあけた位置にある部分)に取り付けようとすると、一旦、一対の締結部材を緩めて、かつ各締結部材をアンテナ本体から抜去して、固定プレートを装置本体から取り外さなければならない。ここで、上述した通り締結部材の軸方向の長さは比較的長い。このため、締結部材をアンテナ本体から抜去するべく、締結部材を比較的多く回転させて緩める必要がある。また、締結部材を抜去することで、アンテナ本体に連結していた固定プレートや締結部材がそれぞれ分離する。このため、作業者は、締結部材や固定プレートが散らばらないようにしつつ、アンテナ本体の取り付け作業をする必要がある。従って、このような取付装置は、組立性の悪化につながるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、組立性の悪化を抑制可能な取付装置、およびそれを備えたアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、固定プレートと、一対の締結部材と、を備える取付装置である。固定プレートは、取付品に対向して配置される。締結部材は、先端部から後端部にかけての少なくとも一部の外周面にねじが形成された軸部と、軸部の後端部に設けられた、軸部の径よりも大きな径を持つ抜け止め部と、を有し、取付品と固定プレートとの対向方向に対して固定プレート側から固定プレートおよび取付品を貫通して、固定プレートと取付品とを連結する。取付装置は、対向方向と直交する第1方向、または対向方向および第1方向に直交する第2方向と平行になるように支柱部材を取付品と固定プレートとの間で挟持して、取付品を支柱部材に固定する。固定プレートは、第1貫通孔と、第2貫通孔と、を有する。第1貫通孔は、第1方向に対して固定プレートの中央部よりも一方側、かつ第2方向に対して固定プレートの中央部よりも一方側の位置に形成され、軸部を挿入可能であり、かつ抜け止め部は通過できない。第2貫通孔は、第1方向に対して固定プレートの中央部を間に挟んで第1貫通孔と反対側、かつ第2方向に対して固定プレートの中央部を間に挟んで貫通孔と反対側の位置に形成され、軸部および抜け止め部を挿入可能である。第2貫通孔は、第1方向に対して第2貫通孔の内周面の、最も第1貫通孔から遠い第1部分を含む。固定プレートは、第1貫通孔および第2貫通孔に締結部材の軸部が挿入された状態で、第2貫通孔に挿入された軸部が第1方向に対して第2貫通孔の内周面の、最も第1貫通孔から遠い第1部分に最も近接する第1位置と、第2貫通孔に挿入された軸部が第1方向に対して第1部分よりも第1貫通孔に近づいた第2位置と、の間で移動可能である。第2貫通孔に挿入された軸部に設けられた抜け止め部は、固定プレートが第1位置にある状態で第2貫通孔の縁部と重なり、固定プレートが第2位置にある状態で第2貫通孔の縁部よりも内側に位置する。
【0009】
また、上記第1の構成の取付装置において、第2貫通孔は、第1方向に沿って第1部分から第1貫通孔に近づくように延びる、短径が抜け止め部の径よりも小さい長孔部と、長孔部の、第1方向に対して第1部分と反対側の端部に連通する、抜け止め部の径よりも大きな内径をもった丸孔部と、を有し、第2貫通孔に挿入された軸部は、固定プレートが第1位置にある状態で長孔部の内側に位置し、固定プレートが第2位置にある状態で丸孔部の内側に位置する構成(第2の構成)であってもよい。
【0010】
また、上記第2の構成の取付装置において、第1貫通孔は、第1方向に沿って長細く形成された長孔であり、第2方向に対して第1貫通孔の両外側には、第2方向に抜け止め部の径以下、かつ第1貫通孔の短径より大きい間隔をあけて並んだ、対向方向に突出する一対の第1規制突起が設けられ、長孔部は、第1方向に沿って長細く形成された長孔であり、第2方向に対して長孔部の両外側には、第2方向に抜け止め部の径以下、かつ長孔部の短径よりも大きい間隔をあけて並んだ、対向方向に突出する一対の第2規制突起が設けられ、固定プレートが第1位置にあり、対向方向に対して抜け止め部と固定プレートとの間隔が第1規制突起および第2規制突起の突出量よりも小さい状態で、第1規制突起および第2規制突起は抜け止め部に当接して固定プレートの第2位置への移動を規制する構成(第3の構成)であってもよい。
【0011】
また、上記第2の構成の取付装置において、前記長孔部は、前記固定プレートが前記第2位置P2に位置している状態における前記第1貫通孔に挿入された前記軸部の周方向に沿った円形状をなすように湾曲して形成されている構成(第4の構成)であってもよい。
【0012】
また、上記第1から第4の構成の取付装置において、固定プレートは、第1方向に対して固定プレートの両端に亘って延びた、取付品に対向する第1対向面から対向方向に凹む第1凹部と、第2方向に対して固定プレートの両端に亘って延びた、第1対向面から対向方向に向かって凹む、第1凹部と交差する第2凹部と、を有し、支柱部材は、第1凹部または第2凹部の内側に配置された状態で、固定プレートと取付品との間で挟持される構成(第5の構成)であってもよい。
【0013】
また、上記第5の構成の取付装置において、第1凹部および第2凹部とは直交する構成(第6の構成)であってもよい。
【0014】
また、上記第5、第6の構成の取付装置において、第1凹部および第2凹部の、固定プレートの縁部に重なる部分には、支柱部材に向かって突出する複数の山型状の第1係止突起が形成され、第1係止突起の先端は、支柱部材の外周面に接触する構成(第7の構成)であってもよい。
【0015】
また、上記第5から第7の構成の取付装置において、対向方向に対して取付品と固定プレートとの間で取付品に固定され、一対の締結部材が貫通する取付品側プレートを備え、取付品側プレートは、固定プレートが第1位置にある状態で第2方向に対して第1凹部と重なる位置に、第1方向に対して取付品側プレートの両端に亘って延びた、固定プレートと対向する第2対向面から対向方向に凹む第3凹部と、固定プレートが第1位置にある状態で第1方向に対して第2凹部と重なる位置に、第2方向に対して取付品側プレートの両端に亘って延びた、第2対向面から対向方向に凹む第4凹部と、を有し、支柱部材は、第1凹部および第3凹部の内側または第2凹部および第4凹部の内側に配置された状態で、固定プレートと取付品との間で挟持される構成(第8の構成)であってもよい。
【0016】
また、上記第8の構成の取付装置において、第3凹部および第4凹部の、取付品側プレートの縁部と重なる部分には、支柱部材に向かって突出する複数の山型状の第2係止突起が形成され、第2係止突起の先端は、支柱部材の外周面に接触する構成(第9の構成)であってもよい。
【0017】
また、上記第8、第9の構成の取付装置において、第1方向に対して第3凹部と重なり、かつ第2方向に対して取付品側プレートの縁部の外側の位置に設けられた、第3凹部の底部より固定プレートに近い位置まで対向方向に突出する第1位置決めリブと、第2方向に対して第4凹部と重なり、かつ第1方向に対して取付品側プレートの縁部の外側の位置に設けられた、第4凹部の底部より固定プレートに近い位置まで対向方向に突出する第2位置決めリブと、を備え、取付品は、第1位置決めリブまたは第2位置決めリブと支柱部材の先端が当接して、支柱部材に対して第1方向または第2方向に位置決めされる構成(第10の構成)であってもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するために本発明の第11の構成は、所定の電波を受信する取付品と、上記第1から第10の構成の取付装置と、を備えるアンテナ装置である。
【0019】
また、第11の構成のアンテナ装置において、電波が到来する到来方向と反対方向に電波を反射する反射器と、到来方向に対して反射器の上流側に配置された導波器と、到来方向に対して導波器と反射器との間に配置された放射器と、を備え、取付品は、反射器、導波器、および放射器を内部に収容する構成(第12の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の構成によれば、固定プレートが第2位置にある状態で、第2貫通孔に挿入された軸部に設けられた抜け止め部は第2貫通孔の縁部よりも内側に位置している。このため、締結部材を所定量緩めて固定プレートを第2位置に移動させた状態で、固定プレートと取付品とを連結したまま、かつ締結部材を取付品から取り外すことなく、第2貫通孔に挿入されていた締結部材を、第2貫通孔から抜き出すことができる。この状態で、固定プレートを、第1貫通穴に挿入された締結部材の軸部を中心として自由に回転させることで、固定プレートと取付品とを連結したまま、かつ締結部材を取付品から取り外すことなく、支柱体を固定プレートと取付品との間に出し入れすることができる。従って、組立性の悪化を抑制可能なアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るアンテナ装置1の全体を示す斜視図
【
図2】上カバー8をx-y平面と平行な平面で切断したアンテナ装置1の断面を示す断面図
【
図3】固定プレート12を第1対向面18と反対側の面から示した斜視図
【
図4】固定プレート12を第1対向面18側から示した斜視図
【
図5】本体側プレート11を第2対向面30側から示した斜視図
【
図6】マスト部材13に取り付けられた状態の取付装置10を下方から平面視した平面図
【
図7】固定プレート12が第2位置P2にある状態の取付装置10を下方から平面視した平面図
【
図8】固定プレート12が第2位置P2にある状態の取付装置10を後方から示す斜視図
【
図9】第2貫通孔21から締結部材7bを抜き出して、第4凹部35にマスト部材13を挿入した状態の取付装置10を示す斜視図
【
図10】
図9に示す状態の取付装置10を下方から平面視した平面図
【
図11】固定プレート12が第2位置P2に向かって移動している途中の状態を示す平面図
【
図12】本発明の第2実施形態に係る取付装置10の固定プレート12を示す平面図
【
図13】本発明の第3実施形態に係る取付装置10の固定プレート12を示す平面図
【
図14】本発明の取付装置10の変形例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。本発明の第1実施形態に係るアンテナ装置1は、UHF(Ultra High Frequency)帯(300~3000MHzの周波数帯)の電波を受信するアンテナである。より詳細には、アンテナ装置1は、470~710MHzの電波を受信することを目的としたアンテナである。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係るアンテナ装置1の全体を示す斜視図である。
図2は、上カバー8をx-y平面(矢印x―x´および矢印y―y´から構成される平面)と平行な平面で切断したアンテナ装置1の断面を示す断面図である。なお、各図に示すx―x´方向を幅方向(第1方向)とする。また、y―y´矢印に沿った方向を前後方向とし、アンテナ装置1のy側を前方、アンテナ装置1のy´側を後方とする。また、z-z´方向を上下方向(第2方向)とし、矢印z側を上方、矢印z´側を下方とする。
【0024】
図1、
図2に示すように、アンテナ装置1は、アンテナ本体6(取付品)と、取付装置10とを備えている。アンテナ装置1は、アンテナ本体6の前方から後方に向かって電波が到来するように配置されている。すなわち、アンテナ本体6の前方が電波の到来する到来方向の上流側となり、アンテナ本体6の後方が上記到来方向の下流側となる。
【0025】
アンテナ本体6は、取付装置10によってマスト部材13(支柱体)に固定される。アンテナ本体6は、筐体2と、筐体2の内部に収容された反射器3、導波器4、および放射器5と、を有する。アンテナ本体6には、同軸ケーブル48が接続される。アンテナ装置1は、所定の電波を受信し、この電波を電気信号として、同軸ケーブル48を介して筐体2の外部に配置された装置(分配器テレビ受像機等)に伝送可能である。
【0026】
筐体2は、上カバー8と下カバー9とから構成された、内部に空間を有する箱状体である。上カバー8と下カバー9とは上下方向に対向し、固定手段(スナップフィット構造、ねじ部材による締結等)により互いに連結している。
【0027】
筐体2の背面(後方側の側面)をなす側壁部15には、締結用板金16が設けられている。締結用板金16は、側壁部15の内側の面(前方側の面)に固定されている。締結用板金16には、前後方向に沿って貫通する複数のねじ孔17が形成されている。ねじ孔17の内周面には雌ねじが形成されている。
【0028】
取付装置10は、本体側プレート11(取付品側プレート)と、固定プレート12と、締結部材7a、7bと、から構成されている。本体側プレート11は、間に側壁部15を挟んで締結用板金16と前後方向に並んでいる。本体側プレート11は、側壁部15と略平行に配置されている。固定プレート12は、アンテナ本体6の後方に配置されている。固定プレート12は、前後方向に沿って本体側プレート11と所定の間隔をあけて対向している。
【0029】
図3は、固定プレート12を第1対向面18(
図2参照)と反対側の面から示した斜視図である。
図4は、固定プレート12を第1対向面18側から示した斜視図である。
図3、
図4に示すように、固定プレート12は、第1対向面18と、第1周壁部19と、第1貫通孔20と、第2貫通孔21と、第1凹部22と、第2凹部23と、第1規制突起27と、第2規制突起28と、を備えている。
【0030】
第1対向面18は、固定プレート12の、本体側プレート11と対向する面である(
図2参照)。
図3、
図4に示すように、第1周壁部19は、第1対向面18の縁部から前後方向に立ち上がったリブである。第1周壁部19は、固定プレート12の外周縁の全域に形成されている。
【0031】
第1貫通孔20および第2貫通孔21は、固定プレート12を、その厚みの方向に貫通する孔である。第1貫通孔20は、幅方向に細長く形成された長孔である。第1貫通孔20は、幅方向に対して固定プレート12の中央部よりも一方側(ここでは
図3に示す左側)に位置している。また、第1貫通孔20は、上下方向に対して固定プレート12の中央部よりも一方側(ここでは
図3に示す上側)に位置している。
【0032】
第2貫通孔21は、幅方向に対して固定プレート12の中央部よりも、第1貫通孔20と反対側(ここでは
図3に示す右側)に位置している。また、第2貫通孔21は、上下方向に対して固定プレート12の中央部よりも、第1貫通孔20と反対側(ここでは
図3に示す下側)に位置している。すなわち、第2貫通孔21は、上下方向の中央部および幅方向の中央部を間に挟んで第1貫通孔20と反対側に位置している。
【0033】
第1貫通孔20と第2貫通孔21との幅方向の間隔が、締結用板金16にねじ込まれた状態での締結部材7aと締結部材7bとの幅方向の間隔に等しく、かつ第1貫通孔20と第2貫通孔21との上下方向の間隔が、同状態での締結部材7aと締結部材7bとの上下方向の間隔に等しいのが好ましい。
【0034】
第2貫通孔21は、丸孔部24と、長孔部25とを含んで構成されている。丸孔部24は、前後方向に沿った平面視において円形状をなす。長孔部25は、幅方向に対して丸孔部24の他方側(
図3に示す右側)に連接する長孔である。丸孔部24の径は、長孔部25の短径よりも大きい。長孔部25と第1貫通孔20は、平行に延びている。幅方向に対して第1貫通孔20の長さ(第1貫通孔20の幅方向の両端間の寸法)は、第2貫通孔21の長さ(幅方向に対する丸孔部24の端部から長孔部25の端部までの寸法)と略等しい。
【0035】
第1凹部22および第2凹部23は、固定プレート12の第1対向面18側から後方に向かって凹んでいる。第1凹部22は、幅方向に沿って固定プレート12の両端に亘って延びている。第1凹部22は、上下方向に対して固定プレート12の中央に位置している。すなわち、第1凹部22は上下方向に対して第1貫通孔20と第2貫通孔21との間に位置している。
【0036】
第2凹部23は、上下方向に沿って固定プレート12の両端に亘って延びている。第2凹部23は、幅方向に対して固定プレート12の中央に位置している。すなわち、第2凹部は、幅方向に対して第1貫通孔20と第2貫通孔21の間に位置している。第1凹部22と第2凹部23とは、固定プレート12の幅方向および上下方向の中央部で、交差している。第1凹部22と第2凹部23とは、直交しているのが好ましい。
【0037】
第1凹部22および第2凹部23の第1周壁部19(固定プレート12の縁部)と重なる部分には、第1係止突起26が形成されている。第1係止突起26は、複数の山型状の突起から構成されている。第1係止突起26の先端は略直角または鋭角をなすエッジ状に形成されているのが好ましい。
【0038】
図3に示すように、第1規制突起27および第2規制突起28は、固定プレート12の第1対向面18と反対側の面から固定プレート12の厚みの方向(
図3のy´方向)に突出した突起である。第1規制突起27は、間に第1貫通孔20を挟んで上下方向に並ぶように一対配置されている。一対の第1規制突起27の間隔は、後述するワッシャー43の外径よりも小さい。第2規制突起28は、間に第2貫通孔21の長孔部25を間に挟んで上下方向に並ぶように一対配置されている。一対の第2規制突起28の間隔は、ワッシャー43の外径よりも小さい。
【0039】
図5は、本体側プレート11を第2対向面30側から示した斜視図である。
図5に示すように、本体側プレート11は、第2対向面30と、第2周壁部31と、第1丸孔32と、第2丸孔33と、第3凹部34と、第4凹部35とを有する。
【0040】
第2対向面30は、本体側プレート11の後方側に位置する面である(
図2参照)。第2周壁部31は、第2対向面30の縁部から前後方向に立ち上がったリブである。第2周壁部31は、本体側プレート11の外周縁の全域に形成されている。
【0041】
第1丸孔32および第2丸孔33は、本体側プレート11をその厚み方向(前後方向)に貫通する孔である。第1丸孔32は、本体側プレート11の、幅方向の中央部より一方側(
図5に示す左側)であって、上下方向の中央部より一方側(
図5に示す上方)に位置している。第2丸孔33は、本体側プレート11の、幅方向の中央部を挟んで第1丸孔32と反対側(
図5に示す右側)であって、上下方向の中央部を挟んで第1丸孔32と反対側(
図5に示す下方)に位置している。
【0042】
第3凹部34および第4凹部35は、本体側プレート11の第2対向面30側から後方に凹んでいる。第3凹部34は、幅方向に沿って本体側プレート11の両端に亘って延びている。第3凹部34は、上下方向に対して本体側プレート11の中央に位置している。すなわち、第3凹部34は上下方向に対して第1丸孔32と第2丸孔33との間に位置している。
【0043】
第4凹部35は、上下方向に沿って本体側プレート11の両端に亘って延びている。第4凹部35は、幅方向に対して本体側プレート11の中央に位置している。すなわち、第2凹部は、幅方向に対して第1丸孔32と第2丸孔33の間に位置している。第3凹部34と第4凹部35とは、本体側プレート11の幅方向および上下方向の中央部で交差している。第3凹部34と第4凹部35とは、直交しているのが好ましい。
【0044】
第3凹部34および第4凹部35の第2周壁部31(本体側プレート11の縁部)と重なる部分には、第2係止突起36が形成されている。第2係止突起36は、複数の山型状の突起から構成されている。第2係止突起36の先端は、略直角または鋭角をなすエッジ状に形成されているのが好ましい。
【0045】
図1に戻って、側壁部15の、本体側プレート11の上方の箇所には、第1位置決めリブ50が設けられている。第1位置決めリブ50は、後方に向かって突出する一対の突起である。第1位置決めリブ50の先端は、第2周壁部31の後端よりも後方の位置にある。
【0046】
図2に示すように、幅方向に対して、側壁部15の本体側プレート11の一方側の位置には、第2位置決めリブ51が設けられている。第2位置決めリブ51は、側壁部15から後方に向かって突出する一対の突起である。第2位置決めリブ51の先端は、第2周壁部31の後端よりも後方の位置にある。
【0047】
図6は、マスト部材13に取り付けられた状態の取付装置10を下方から平面視した平面図である。
図6では、アンテナ本体6の筐体2を省略して示している。
図6に示すように、アンテナ本体6のマスト部材13への取り付け時には、本体側プレート11と固定プレート12との間にマスト部材13を配置する。この状態で、締結部材7a、7bの締結力によって、本体側プレート11と固定プレート12とでマスト部材13を挟持する。アンテナ本体6をマスト部材13に対して横向きに(
図1に示す向き)取り付ける場合、
図6に示すように、第2凹部23と第4凹部35の内側にマスト部材13を挿入する。アンテナ本体6をマスト部材13に対して縦向き(
図1に示すアンテナ本体6の向きに対して垂直な向き)取り付ける場合、第1凹部22と第3凹部34の内側にマスト部材13を挿入する(図示省略)。
【0048】
ここで、アンテナ本体6をマスト部材13の先端に取り付ける場合は、第2凹部23と第4凹部35との間にマスト部材13を挿入し、マスト部材13の先端を、第1位置決めリブ50(
図1参照)に当接させる。アンテナ本体6を縦向きに取り付ける場合、第1凹部22と第3凹部34との間にマスト部材13を挿入し、マスト部材13の先端を、第2位置決めリブ51(
図2参照)に当接させる。これにより、アンテナ本体6のマスト部材13に対する上下方向の位置決めが可能になる。第1位置決めリブ50および第2位置決めリブ51は、ニッパー等の工具によって切り取ることが可能となっている。アンテナ本体6をマスト部材13の中間部位(マスト部材13の長手方向の両端部間の所定の位置の部分)に固定する際には、第1位置決めリブ50および第2位置決めリブ51を切り取る。
【0049】
図6に示すように、締結部材7a、7bは、軸部40と、抜け止め部41と、を有するねじである。締結部材7aは第1貫通孔20に挿入される。締結部材7bは第2貫通孔21に挿入される。なお、締結部材7a、7bは、共に同一構成の部材であるため、ここでは、締結部材7bについてのみ説明し、締結部材7aについては締結部材7bと同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
軸部40は、先端から後端にかけての全域において、外周面に雄ねじが形成されている(図示省略)。軸部40に形成された雄ねじは、締結用板金16に形成されたねじ孔17の雌ねじと係合可能である。軸部40の外径は、第1丸孔32の内径、第2丸孔33の内径、第1貫通孔20の短径、および長孔部25の短径よりも小さい。すなわち、軸部40は、第1丸孔32、第2丸孔33、第1貫通孔20および第2貫通孔21に挿入可能である(
図4参照)。
【0051】
抜け止め部41は、ねじ頭部42と、ワッシャー43と、から構成されている。ねじ頭部42は、軸部40の後端に連接したねじの頭部である。ワッシャー43は、ねじ頭部42の外径よりも大きな外径を有する平ワッシャーである。ワッシャー43は、軸部40に外挿されている。ワッシャー43の外径は、第1貫通孔20の短径および第2貫通孔21の長孔部25の短径よりも大きい。
【0052】
軸部40は、固定プレート12、本体側プレート11および締結用板金16を貫通している。より詳細には、締結部材7aの軸部40は、第1貫通孔20および第1丸孔32を通って締結用板金16のねじ孔17にねじ込まれている。同様に、締結部材7bの軸部40は、第2貫通孔21および第2丸孔33を通って、締結用板金16のねじ孔17にねじ込まれている。締結部材7a、7bのそれぞれをねじ孔17にねじ込んで係合させ、本体側プレート11と固定プレート12とを連結する。ワッシャー43は、固定プレート12とねじ頭部42との間に配置される。
【0053】
次に、本実施形態の取付装置10およびアンテナ本体6のマスト部材13への取り付けの態様について説明する。
図1の破線で示すように、ここでは、円柱状のマスト部材13に対して、アンテナ本体6を横向きに取り付ける。
図7は、固定プレート12が第2位置P2にある状態の取付装置10を下方から平面視した平面図である。
図8は、固定プレート12が第2位置P2にある状態の取付装置10を後方から示す斜視図である。
図9は、第2貫通孔21から締結部材7bを抜き出して、第4凹部35にマスト部材13を挿入した状態の取付装置10を示す斜視図である。
図10は、
図9に示す状態の取付装置10を下方から平面視した平面図である。
図11は、固定プレート12が第2位置P2に向かって移動している途中の状態を示す平面図である。なお、
図7から
図11において、筐体2は図示を省略している。
【0054】
アンテナ本体6をマスト部材13の中間部位に取り付ける場合、アンテナ本体6をマスト部材13に垂直にした状態(縦向きに取り付ける際は平行にした状態)で、本体側プレート11と固定プレート12との間であって、かつ締結部材7a、7bの間にマスト部材13を進入させる。このとき、第1貫通孔20が締結部材7aに、第2貫通孔21が締結部材7bに外挿されている場合(
図1、
図2の実線で示した状態)、マスト部材13は固定プレート12に遮られ、締結部材7a、7bの間に進入させることができない。
【0055】
ここで、上述した通り、軸部40の外径は第1貫通孔20の短径、および長孔部25の短径よりも小さい。このため、
図7、
図8に示すように、締結部材7a、7bが締結用板金16のねじ孔17に所定量ねじ込まれた状態であっても、固定プレート12は幅方向に沿って第1位置P1と第2位置P2との間で移動可能となっている。なお、アンテナ本体6がマスト部材13に取り付けられて、締結部材7a、7bが締まっている状態(マスト部材13に対し締結部材7a、7bの締結力が作用している状態)では、固定プレート12は移動しない。
【0056】
第2貫通孔21の内周面のうち、最も第1貫通孔20から遠い部分を第1部分A1とする。第1位置P1とは、第1貫通孔20および第2貫通孔21に締結部材7a、7bの軸部40が挿入された状態で、第2貫通孔21に挿入された軸部40が第1部分A1に最も近接している状態での、固定プレート12の位置(
図6に示す位置)である。第2位置P2は、第2貫通孔21に挿入された軸部40が幅方向に対して第1部分A1よりも第1貫通孔20に近づいた状態の、固定プレート12の位置(
図7に示す位置)である。
【0057】
より詳細には、本実施形態においては、第1位置P1は、締結部材7bの軸部40が長孔部25の内部に位置する状態での固定プレート12の位置である(
図6の破線で示す位置)。第2位置P2は、締結部材7bの軸部40が丸孔部24の内部に位置する状態での固定プレート12の位置である(
図6の実線で示す位置)。
【0058】
固定プレート12は、幅方向に対して、締結部材7aの軸部40の外周面が第1貫通孔20の内周面に当接するか、または締結部材7bの外周面が第2貫通孔21の内周面に当接することで移動が規制される。
【0059】
ここで、上述した通り、ワッシャー43およびねじ頭部42の外径は、丸孔部24の内径よりも小さい。このため、固定プレート12が第2位置P2にあるときに固定プレート12を傾けつつ後方(本体側プレート11から遠ざかる方向)に移動させると、締結部材7bのねじ頭部42およびワッシャー43を、丸孔部24を通して第2貫通孔21から抜き出すことができる。
【0060】
この状態の固定プレート12は、
図9に示すように、締結部材7aを中心とする周方向に回動可能となる。
図8、
図9に示すように、固定プレート12を回転させた状態で、締結部材7a、7bの間にマスト部材13を進入させることができる。
【0061】
再び固定プレート12回転させ、丸孔部24にねじ頭部42およびワッシャー43を通過させて、第2貫通孔21に締結部材7bを挿入する。そして、締結部材7bの軸部40を丸孔部24から長孔部25に移動させて、固定プレート12を第2位置P2から第1位置P1に移動させる。この状態から、固定プレート12を本体側プレート11に近づけ、第1係止突起26と第2係止突起36をマスト部材13の外周面に接触させて、締結部材7a、7bをねじ孔17にねじ込む。
【0062】
すると、抜け止め部41が固定プレート12に当接すると締結力が作用し、マスト部材13が本体側プレート11と固定プレート12とに挟持される。このとき、
図6に示すように、第1係止突起26および第2係止突起36の先端がマスト部材13の外周面に僅かに食い込む。これにより、アンテナ本体6が、マスト部材13に固定される。
【0063】
このように、固定プレート12と本体側プレート11とを連結したまま、かつ締結部材7a、7bを締結用板金16から抜去することなく、アンテナ本体6(本体側プレート11)をマスト部材13に固定することが可能になる。
【0064】
ここで、一般的に、アンテナ装置1は、アンテナ本体6に取付装置10を取り付けた状態で梱包されて出荷されることがある。また、アンテナ本体6をマスト部材13から取り外し、取付装置10をアンテナ本体6に取り付けた状態でアンテナ装置1を保管することもある。このような状態のアンテナ装置1をマスト部材13の中間部位に取りつけようとすると、上述した通り、固定プレート12によって遮られる。このため、従来の取付装置10の場合は、一旦締結部材7a、7bを締結用板金16のねじ孔17から抜去して、固定プレート12をアンテナ本体6から取り外さなければならない。従って、従来の取付装置10は、組立性の悪いものとなっていた。
【0065】
一方、本発明の取付装置10では、上述した通り、固定プレート12と本体側プレート11とを連結したまま、かつ締結部材7a、7bを締結用板金16から抜去することなく、アンテナ本体6をマスト部材13に取り付けることができる。従って、組立性の悪化を抑制可能な取付装置10、およびアンテナ装置1を提供することができる。
【0066】
また、既にマスト部材13に取り付けられた状態のアンテナ装置1をマスト部材13から取り外したい場合や、アンテナ本体6の取り付けの向きを横向き(
図1に示す状態)から縦向き、または縦向きから横向きに変更したい場合がある。この場合も上述した通りに固定プレート12を回転させることで、固定プレート12と本体側プレート11とを連結したまま、かつ締結部材7a、7bを締結用板金16から抜去することなく、マスト部材13を本体側プレート11と固定プレート12との間に出し入れできる。
【0067】
なお、マスト部材13を本体側プレート11と固定プレート12の間から取り出す場合、締結部材7a、7bを所定量以下で緩めた状態で、第1位置P1にある固定プレート12を第2位置P2に移動させようとすると、第1規制突起27と締結部材7aのワッシャー43と当接し(図示省略)、第2規制突起28と締結部材7bのワッシャー43とが当接して、固定プレート12の移動が規制される。締結部材7a、7bを所定量より緩ませると、
図11に示すように、ワッシャー43が第1規制突起27(不図示)および第2規制突起28を乗り越えるようにして、固定プレート12を幅方向に移動させることができる。
【0068】
このようにすることで、固定プレート12が第1位置P1にあるときに、第1規制突起27および第2規制突起28によって、固定プレート12の移動が規制される。これにより、固定プレート12を第1位置P1に移動させた状態で、第1規制突起27および第2規制突起28によって移動を規制させつつ、締結部材7a、7bをねじ込むことが可能になる。このため、第1規制突起27および第2規制突起28が固定プレート12の幅方向の位置決めとなるため、マスト部材13を本体側プレート11と固定プレート12との間で挟持しやすくなる。従って、アンテナ本体6をマスト部材13に固定する際の組立性の悪化を抑制可能となる。
【0069】
また、上述した通り、本体側プレート11と固定プレート12との間でマスト部材13を挟持すると、マスト部材13の外周面に第1係止突起26および第2係止突起36の先端部が当接する。すると、第1係止突起26と第2係止突起36が滑り止めとなって、マスト部材13がより強固に挟持される。このため、屋外に設置されたアンテナ装置1が、周囲の雨風が強まったとしても、アンテナ本体6がマスト部材13から脱落しにくくなる。ここで、マスト部材13の外周面にはメッキ処理が施されているのが一般的である。このため、マスト部材13の外周面のメッキ層に、第1係止突起26および第2係止突起36の先端部が食い込む。これにより、マスト部材13が本体側プレート11と固定プレート12との間でより強固に挟持される。
【0070】
また、上述した通り、アンテナ本体6を横向きにしてマスト部材13に固定する場合は、第1位置決めリブ50によって位置決めが可能となっており(
図1参照)、アンテナ本体6を横向きにしてマスト部材13に固定する場合は、第2位置決めリブ51によって位置決めが可能になっている。このため、アンテナ本体6を容易にマスト部材13の先端に固定することが可能になっており、組立性が向上するものとなっている。
【0071】
また、上述した通り、第1位置決めリブ50および第2位置決めリブ51は切り取り可能である。このため、上述したような位置決めをせずに、アンテナ本体6をマスト部材13の中間部位に固定できる。
【0072】
次に、第2実施形態に係る取付装置10について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
図12は、本発明の第2実施形態に係る取付装置10の固定プレート12を示す平面図である。
【0073】
図12に示すように第2実施形態に係る取付装置10の第1貫通孔66は、第1孔部60と第2孔部61とから構成されている。第1孔部60は、幅方向(第1方向)に対して第1貫通孔20の一方側(
図12の左側)の端部から他方側(
図12の右側)に延びつつ、上下方向(第2方向)に沿って第2貫通孔21に近づくように延びている。第2孔部61は、第1孔部60に連通している。第2孔部61は、幅方向に対して第1孔部60の他方側(
図12の右側)の端部から、幅方向の他方側(
図12の右側)に延びつつ、上下方向に対して第2貫通孔21から遠ざかるように延びている。第1孔部60と第2孔部61とは直交している。
【0074】
本実施形態に係る取付装置10の第2貫通孔21は、丸孔部24と、長孔部64とから構成されている。長孔部64は、第3孔部62と、第4孔部63と、から構成されている。丸孔部24と第3孔部62と第4孔部63とは、互いに連通している。第3孔部62と第4孔部63とは直交している。第1孔部60と第3孔部62は互いに平行をなす。第2孔部61と第4孔部63とは互いに平行をなす。
【0075】
具体的には、幅方向に対して丸孔部24は第2貫通孔21の一方側(
図12の左側)の端部に位置している。第3孔部62は、幅方向に対して丸孔部24から他方側(
図12の右側)に延びつつ、上下方向に沿って第1貫通孔20から遠ざかるように延びている。第4孔部63は、幅方向に対して第3孔部62の他方側(
図12の右側)の端部からさらに他方側に向かって延びつつ、上下方向に対して第1貫通孔20に近づくように延びている。
【0076】
第1孔部60~第4孔部63の短径は、軸部40の外径よりも大きく、ワッシャー43の外径よりも小さい。すなわち、第1孔部60~第4孔部63は、軸部40を挿入可能であって抜け止め部41は通過できない。第2孔部61と第4孔部63とは、長手方向の寸法が等しい。第1孔部60の長手方向の寸法は、第3孔部62の長手方向に対して第3孔部62と丸孔部24とを足し合わせた寸法より小さい。
【0077】
本実施形態においては、第1位置P1は、締結部材7bの軸部40が長孔部64(
より詳細には第4孔部63)の内部に位置する状態での固定プレート12の位置である(不図示)。第2位置P2は、締結部材7bの軸部40が丸孔部24の内部に位置する状態の固定プレート12の位置である(不図示)。
【0078】
本実施形態の取付装置10も、第1実施形態と同様に、固定プレート12と本体側プレート11とを連結したまま、かつ締結部材7a、7bを締結用板金16から抜去することなく、締結部材7bのねじ頭部42およびワッシャー43を、丸孔部24を通して第2貫通孔21から抜き出すことができる。従って、組立性の悪化を抑制可能な取付装置10、およびアンテナ装置1を提供することができる。
【0079】
次に、第3実施形態に係る取付装置10について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
図13は、本発明の第3実施形態に係る取付装置10の固定プレート12を示す平面図である。
【0080】
図13に示すように、第3実施形態に係る取付装置10の第1貫通孔66は、平面視円形状の丸孔をなす貫通孔である。第1貫通孔66の内径は、締結部材7aの軸部40よりも大きく、かつワッシャー43の外径よりも小さい。すなわち、第1貫通孔66は、軸部40を挿入可能であり、抜け止め部41は通過できない。
【0081】
本実施形態の第2貫通孔21は、丸孔部24と長孔部65とから構成されている。長孔部65は、丸孔部24と連通する貫通孔である。長孔部65は、第1貫通孔66の周方向に沿った円形状をなすように湾曲する長孔である。より詳細には、後述する本実施形態の第2位置P2に固定プレート12が位置している状態における、第1貫通孔66に挿入された軸部40の周方向に沿った円形状をなす。長孔部65の短径は、軸部40の外径よりも大きく、ワッシャー43の外径よりも小さい。すなわち、長孔部65は、軸部40を挿入可能であって抜け止め部41は通過できない。
【0082】
本実施形態においては、第1位置P1は、締結部材7bの軸部40が長孔部65の内部に位置する状態での固定プレート12の位置である(不図示)。第2位置P2は、締結部材7bの軸部40が丸孔部24の内部に位置する状態の固定プレート12の位置である(不図示)。
【0083】
本実施形態の取付装置10も、第1実施形態、第2実施形態と同様に、固定プレート12と本体側プレート11とを連結したまま、かつ締結部材7a、7bを締結用板金16から抜去することなく、締結部材7bのねじ頭部42およびワッシャー43を、丸孔部24を通して第2貫通孔21から抜き出すことができる。
【0084】
具体的には、上述した通り、長孔部65は第1貫通孔66の同心円C1と重なる円形状に湾曲してた長孔である。このため、第1貫通孔66に挿入された軸部40を中心としてその周方向に固定プレート12を回転させることで、第2貫通孔21に挿入された軸部40を、長孔部65と丸孔部24との間で移動できる。軸部40が丸孔部24に位置している状態で、締結部材7bの抜け止め部41を丸孔部24を通過させることで、締結部材7bを第2貫通孔21から抜去できる。従って、組立性の悪化を抑制可能な取付装置10、およびアンテナ装置1を提供することができる。
【0085】
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記各実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記各実施形態の取付装置10は、UHFの電波を受信するアンテナ装置1としたが、UHF以外の種々の電波(例えば、AM、FM、VHF等の電波)を受信するアンテナ装置を固定するものとしても採用できる。また、本発明の取付装置10は、パラボラアンテナをマスト部材13に固定することも可能である。
【0086】
また、本体側プレート11を筐体2の側壁部15と一体に構成することもできる。この場合、上述した本体側プレート11の各構成は、側壁部15に形成され、マスト部材13は、側壁部15と固定プレート12によって挟持される。
【0087】
また、軸部40は、先端から後端にかけての全域に雄ねじが形成されているとしたが、これに限られない。軸部40の雄ねじを、ねじ孔17に形成された雌ねじにねじ込んで締結部材7a、7bを締結用板金16に締結可能なように構成されていれば、この雄ねじは、例えば、軸部40の軸方向の両端部間のうちの少なくとも一部に形成されていればよい。
【0088】
また、上記各実施形態において、抜け止め部41は、ねじ頭部42とワッシャー43とからなる構成を採用しているが、例えば、ねじ頭部42の外径が長孔部25の短径よりも大きく、丸孔部24の内径よりも小さい場合には、抜け止め部41はワッシャー43を省略しても良い。
【0089】
また、上記第1実施形態に係る第2貫通孔21は、
図14に示すように、1つの楕円形状をなすものや、真円形状をなすもの(図示省略)とすることができる。この場合、第1位置P1は、締結部材7bの軸部40が、第2貫通孔21の内周面の第1部分に当接、または近接する状態での、固定プレート12の位置となる。この状態で、ワッシャー43は、幅方向および上下方向に対して第1貫通孔20の縁部と重なる位置にある。この状態で締結部材7bを締結することで、ワッシャー43およびねじ頭部42により固定プレート12に締結力が作用する。また、第2位置P2は、締結部材7bの軸部40が、幅方向に対して第1部分A1から遠ざかった状態での、固定プレート12の位置となる。固定プレート12が第2位置P2にある状態で、ワッシャー43は第2貫通孔21の縁部よりも内側に位置している。このため、この状態で、締結部材7bのワッシャー43およびねじ頭部42が第2貫通孔21を通って、締結部材7bを第2貫通孔21の外側に移動させることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 アンテナ装置
2 筐体
3 反射器
4 導波器
5 放射器
6 アンテナ本体(取付品)
7a、7b 締結部材
10 取付装置
11 本体側プレート(取付品側プレート)
12 固定プレート
13 マスト部材(支柱部材)
18 第1対向面
20、66 第1貫通孔
21 第2貫通孔
22 第1凹部
23 第2凹部
24 丸孔部
25、64、65 長孔部
26 第1係止突起
27 第1規制突起
28 第2規制突起
30 第2対向面
34 第3凹部
35 第4凹部
36 第2係止突起
40 軸部
41 抜け止め部
43 ワッシャー
50 第1位置決めリブ
51 第2位置決めリブ
P1 第1位置
P2 第2位置