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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119360
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】画像形成装置及び濃度補正方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20230821BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022227
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 博史
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270LA17
2H270LA18
2H270LA87
2H270LB08
2H270LD03
2H270MA07
2H270MA10
2H270MA15
2H270MB04
2H270MB15
2H270MB17
2H270MB27
2H270NC07
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EF02
2H300EF06
2H300EG02
2H300EH17
2H300EH39
2H300EJ09
2H300EJ24
2H300EJ25
2H300EJ33
2H300EJ39
2H300EJ47
2H300EJ55
2H300QQ04
2H300QQ09
2H300QQ25
2H300QQ28
2H300RR21
2H300RR29
2H300RR34
2H300RR37
2H300RR39
2H300RR50
2H300SS14
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】各色の現像剤残量の差をなくす。
【解決手段】各色の現像剤画像を形成する複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部のそれぞれに供給する各色の現像剤を収容する現像剤収容部と、前記複数の画像形成部のそれぞれで形成された補正用現像剤画像を担持可能なベルト部材と、前記補正用現像剤画像を前記ベルト部材に転写する転写部と、前記補正用現像剤画像の印刷濃度を検出する濃度検出部と、前記濃度検出部が検出した各色の印刷濃度がそれぞれ目標印刷濃度となるように濃度補正を行う濃度補正部と、各色の前記目標印刷濃度を決定する目標印刷濃度決定部と、前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量を検出する現像剤残量検出部とを備え、前記目標印刷濃度決定部は、前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量の差に基づいて、各色の前記目標印刷濃度を決定する。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色の現像剤画像を形成する複数の画像形成部と、
前記複数の画像形成部のそれぞれに供給する各色の現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記複数の画像形成部のそれぞれで形成された補正用現像剤画像を担持可能なベルト部材と、
前記補正用現像剤画像を前記ベルト部材に転写する転写部と、
前記補正用現像剤画像の印刷濃度を検出する濃度検出部と、
前記濃度検出部が検出した各色の印刷濃度がそれぞれ目標印刷濃度となるように濃度補正を行う濃度補正部と、
各色の前記目標印刷濃度を決定する目標印刷濃度決定部と、
前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量を検出する現像剤残量検出部と
を備え、
前記目標印刷濃度決定部は、
前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量の差に基づいて、各色の前記目標印刷濃度を決定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記目標印刷濃度決定部は、
現像剤残量が最も多い色以外の色の目標印刷濃度を、現在の目標印刷濃度よりも低くする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記目標印刷濃度決定部は、
現像剤残量が最も多い色以外の色の目標印刷濃度を、現像剤残量が最も多い色との現像剤残量の差が大きいほど低くする
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記目標印刷濃度決定部は、
前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量の差に基づいて、Dutyが異なる複数の目標印刷濃度を決定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記濃度検出部は、
前記ベルト部材上に転写された、各色の高Dutyの補正用現像剤画像の印刷濃度と各色の中間Dutyの補正用現像剤画像の印刷濃度とを検出し、
前記目標印刷濃度決定部は、
前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量の差に基づいて、高Dutyの目標印刷濃度と中間Dutyの目標印刷濃度を決定し、
前記濃度補正部は、
前記濃度検出部が検出した各色の高Dutyの印刷濃度が、それぞれ前記目標印刷濃度決定部が決定した各色の高Dutyの目標印刷濃度となり、前記濃度検出部が検出した各色の中間Dutyの印刷濃度が、それぞれ前記目標印刷濃度決定部が決定した各色の中間Dutyの目標印刷濃度となるように濃度補正を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記目標印刷濃度決定部は、
現像剤残量が最も多い色以外の色の高Dutyの目標印刷濃度を、前回決定した高Dutyの目標印刷濃度よりも低くし、各色の中間Dutyの目標印刷濃度を、前回決定した中間Dutyの目標印刷濃度から変更しない
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、
露光手段を用いて像担持体を露光することにより当該像担持体上に静電潜像を形成し、現像手段を用いて当該静電潜像を現像することにより当該像担持体上に現像剤画像を形成し、
前記濃度補正部は、
前記濃度検出部が検出した各色の高Dutyの印刷濃度が、それぞれ前記目標印刷濃度決定部が決定した各色の高Dutyの目標印刷濃度となるように、前記現像手段に供給する現像電圧を補正し、前記濃度検出部が検出した各色の中間Dutyの印刷濃度が、それぞれ前記目標印刷濃度決定部が決定した各色の中間Dutyの目標印刷濃度となるように、前記露光手段の露光時間を補正する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記目標印刷濃度決定部は、
各色の前記目標印刷濃度を、次回の濃度補正時までに各色の現像剤残量が同じになると予測される印刷濃度に決定する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記目標印刷濃度決定部は、
現像剤残量が最も多い色の次回の濃度補正時の現像剤残量を、現像剤残量が最も多い色の現像剤消費速度に基づいて予測し、次回の濃度補正時までに各色の現像剤残量が、現像剤残量が最も多い色の次回の濃度補正時の現像剤残量と同じなると予測される印刷濃度に決定する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記目標印刷濃度決定部は、
次回の濃度補正時までに各色の現像剤残量が同じになる為の各色の現像剤消費速度を算出し、各色の目標印刷濃度を、当該現像剤消費速度に基づく印刷濃度に決定する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記目標印刷濃度決定部は、
各色の前記目標印刷濃度を、所定枚数の記録媒体に印刷を行うまでに各色の現像剤残量が同じになると予測される印刷濃度に決定する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
各色の現像剤画像を形成する複数の画像形成部を備える画像形成装置の濃度補正方法であって、
各色の目標印刷濃度を決定する目標印刷濃度決定ステップと、
前記複数の画像形成部のそれぞれで形成された補正用現像剤画像をベルト部材に転写し、当該補正用現像剤画像の印刷濃度を検出する印刷濃度検出ステップと、
検出された各色の印刷濃度がそれぞれ目標印刷濃度となるように濃度補正を行う濃度補正ステップと
を有し、
前記目標印刷濃度決定ステップでは、
現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量の差に基づいて、各色の前記目標印刷濃度を決定する
ことを特徴とする濃度補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び濃度補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いたカラープリンタ等の画像形成装置では、感光体、帯電手段、露光手段、現像手段等で構成される印刷機構(イメージドラムユニットと呼ぶ)を複数色分有している。このような画像形成装置の一種であるタンデム方式では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色の現像剤(トナー)に対応する4個のイメージドラムユニットを搬送ベルトの搬送方向に沿って配置し、これら4個のイメージドラムユニットにより形成された各色のトナー画像を、搬送ベルト上に静電吸着されて搬送されてきた用紙に順次転写するようになっている。
【0003】
ところで、このような画像形成装置では、装置が設置されている雰囲気温度や湿度、装置の使用状況等によって印刷濃度が変化することがある。その為、随時、印刷濃度を検出して濃度補正を行うようになっている。具体的には、搬送ベルト上に印刷した濃度検出用パターンの濃度を濃度検出手段により検出し、その結果に基づいて用紙上の印刷濃度を推定し、画像形成装置のエンジン部の物理特性(現像電圧、露光時間等)を調整することで、用紙上の印刷濃度を目標濃度に補正するようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-258281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しなしながら、従来の画像形成装置による濃度補正方法は、各色とも常に印刷濃度を目標濃度に補正するものであり、各色のトナー残量といったトナーの使用状況を考慮したものではなかった。その為、従来の濃度補正方法では、各色でトナー残量に差が出てしまうという問題を有していた。
【0006】
本発明は以上の点を考慮したものであり、各色の現像剤残量の差をなくすことができる画像形成装置及び濃度補正方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、各色の現像剤画像を形成する複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部のそれぞれに供給する各色の現像剤を収容する現像剤収容部と、前記複数の画像形成部のそれぞれで形成された補正用現像剤画像を担持可能なベルト部材と、前記補正用現像剤画像を前記ベルト部材に転写する転写部と、前記補正用現像剤画像の印刷濃度を検出する濃度検出部と、前記濃度検出部が検出した各色の印刷濃度がそれぞれ目標印刷濃度となるように濃度補正を行う濃度補正部と、各色の前記目標印刷濃度を決定する目標印刷濃度決定部と、前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量を検出する現像剤残量検出部とを備え、前記目標印刷濃度決定部は、前記現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量の差に基づいて、各色の前記目標印刷濃度を決定する。
【0008】
また本発明の濃度補正方法は、各色の現像剤画像を形成する複数の画像形成部を備える画像形成装置の濃度補正方法であって、各色の目標印刷濃度を決定する目標印刷濃度決定ステップと、前記複数の画像形成部のそれぞれで形成された補正用現像剤画像をベルト部材に転写し、当該補正用現像剤画像の印刷濃度を検出する印刷濃度検出ステップと、検出された各色の印刷濃度がそれぞれ目標印刷濃度となるように濃度補正を行う濃度補正ステップとを有し、前記目標印刷濃度決定ステップでは、現像剤収容部に収容されている各色の現像剤残量の差に基づいて、各色の前記目標印刷濃度を決定する。
【0009】
このように、本発明は、各色の現像剤残量の差に基づいて各色の目標印刷濃度を決定するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各色の現像剤残量の差をなくすことができる画像形成装置及び濃度補正方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置の内部構成を示す図である。
図2】画像形成装置の制御回路の構成を示す図である。
図3】濃度センサの構成を示す図である。
図4】画像形成装置が濃度補正処理動作で用いる情報を示す図である。
図5】濃度検出パターンの構成を示す図である。
図6】濃度補正処理動作の手順を示すフローチャートである。
図7】搬送ベルト周辺の寸法を示す図である。
図8】目標印刷濃度決定処理動作の手順を示すフローチャートである。
図9】センサ検出電圧と印刷濃度値との関係を示すグラフである。
図10】トナー層厚及びドット径が異なる2つのトナー画像を示す図である。
図11】印刷濃度とDutyの関係、及びトナー量とDutyの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[1.画像形成装置の構成]
図1に、本実施の形態による画像形成装置1の内部構成を示す。また図2に、当該画像形成装置1の制御回路の構成を示す。まず図1を用いて画像形成装置1の内部構成について説明する。図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式のカラープリンタであり、図中右側が装置前側、図中左側が装置後側、図中手前側が装置左側、図中奥側が装置右側、図中上側が装置上側、図中下側が装置下側となっている。
【0014】
この画像形成装置1は、略箱型の筐体2を有しており、筐体2内部に、記録媒体としての用紙が通る搬送路Rが設けられ、この搬送路Rに沿って各部が配置された内部構成となっている。
【0015】
具体的には、画像形成装置1の内部には、搬送路Rの前後方向に延びている部分に沿って、4つの独立した印刷機構(イメージドラムユニット)101、102、103、104が前後方向に並べて配置されている。印刷機構101はブラック(K)、印刷機構102はシアン(C)、印刷機構103はマゼンタ(M)、印刷機構104はイエロー(Y)のトナー画像を形成する印刷機構である。
【0016】
これら4つの印刷機構101~104は、それぞれ帯電ローラ201~204と、帯電ローラ201~204により表面が一様に帯電される感光ドラム301~304と、トナー画像を現像する現像ローラ401~404と、現像ブレード501~504と、供給ローラ601~604と、感光ドラム301~304の表面の除電を行う除電光701~704と、トナーを収容するトナー収容部801~804とを有している。
【0017】
感光ドラム301~304は、ドラムモータ40(図2)によって駆動され、帯電ローラ201~204、現像ローラ401~404、供給ローラ601~604は、ギアを介して連結された感光ドラム301~304の駆動にともなって駆動される。
【0018】
トナー収容部801~804は、1つのトナーカートリッジ800として一体化されている。このトナーカートリッジ800は、内部が隔壁によって4つの領域に分割されていて、これら4つの領域がトナー収容部801~804となっている。トナー収容部801にはブラックのトナーが収容され、トナー収容部802、803、804には、シアン、マゼンタ、イエローのトナーが収容されている。トナー収容部801~804から供給された各色のトナーは、供給ローラ601~604を経て現像ローラ401~404へと搬送された後、現像ブレード501~504により現像ローラ401~404の表面上に薄層化される。
【0019】
感光ドラム301~304の上方にはLED(Light Emitting Diode)ヘッド901~904が対向配置されている。LEDヘッド901~904は、図示しないが、それぞれLEDアレイと、当該LEDアレイを駆動するドライブIC及びデータを保持するレジスタ群を搭載した基板と、LEDアレイの光を集光するレンズアレイ等で構成されている。
【0020】
LEDヘッド901~904は、それぞれLEDヘッドインタフェース部34(図2)から入力される画像データ信号に対応してLEDアレイを発光させる。具体的にはLEDヘッド901には、カラーの画像データ信号のうちのブラックの画像データ信号が入力され、LEDヘッド902、903、904には、シアン、マゼンタ、イエローの画像データ信号が入力される。
【0021】
LEDヘッド901~904は、各色の画像データ信号に対応してLEDアレイを発光させることにより、感光ドラム301~304の表面を露光し、感光ドラム301~304の表面に静電潜像を形成する。そして感光ドラム301~304の表面に形成された静電潜像に、現像ローラ401~404の表面上に薄層化された各色のトナーを静電気力によって付着させることで、感光ドラム301~304の表面にトナー画像が形成される。
【0022】
また画像形成装置1の内部には、印刷機構101~104の下方近傍に、ベルト部材としての搬送ベルト11が設けられている。搬送ベルト11は、継目なしのエンドレス状(環状)であり、例えば高抵抗の半導電性プラスチックフィルムで形成されている。この搬送ベルト11は、印刷機構101~104の下方後側に位置する駆動ローラ12と、下方前側に位置する従動ローラ13とに架け渡されている。
【0023】
駆動ローラ12は、ベルトモータ38(図2)によって駆動され、図中反時計回り方向に回転する。一方、従動ローラ13は、搬送ベルト11に一定のテンションがかかるように、搬送ベルト11を前方に引っ張っている。これにより、搬送ベルト11は、前後方向に延びる上側部分と下側部分のうち、上側部分が後方、下側部分が前方へと向かう方向に走行する。
【0024】
さらに画像形成装置1の内部には、印刷機構101~104の感光ドラム301~304の下方に、転写ローラ1001~1004が対向配置されていて、搬送ベルト11の上側部分が、感光ドラム301~304と、転写ローラ1001~1004の間に挟まれている。搬送ベルト11は、上側部分上に、用紙を静電吸着して搬送する。つまり用紙は、搬送ベルト11により感光ドラム301~304と転写ローラ1001~1004との間を通るように搬送される。
【0025】
さらに画像形成装置1の内部には、前側下部に、搬送ベルト11へと用紙を供給する為の給紙機構として、ホッピングローラ15、レジストローラ16、ピンチローラ17、用紙収容カセット18、ガイド19、センサ20、21が設けられている。
【0026】
ホッピングローラ15は、ホッピングモータ36(図2)によって駆動され、用紙収容カセット18に収容されている用紙を1枚ずつ搬送路Rに繰り出す。搬送路Rに繰り出された用紙は、ガイド19により案内されてレジストローラ16に到達する。レジストローラ16は、レジストモータ37(図2)によって駆動される。レジストローラ16に到達した用紙は、レジストローラ16と、当該レジストローラ16と対向配置されているピンチローラ17とによってスキューが修正される。センサ20、21は、搬送路R上の用紙の位置やジャムを検知する為のものであり、レジストローラ16の用紙搬送方向上流側近傍(前方近傍)と下流側近傍(後方近傍)に配置されている。
【0027】
転写ローラ1001~1004は、転写電圧発生部45(図2)から転写電圧が印加され、感光ドラム301~304の表面に形成された各色のトナー画像を、搬送ベルト11により搬送されてくる用紙に転写する。また搬送路R上の位置やジャムを検知する為のセンサ22が、搬送ベルト11の用紙搬送方向下流側近傍に配置されている。
【0028】
さらに画像形成装置1の内部には、搬送ベルト11の用紙搬送方向下流側(後方)に、用紙上のトナー(つまり用紙に転写されたトナー画像)を加熱、溶融することで用紙上に定着させる為の定着機構として、ヒートローラ23と、当該ヒートローラ23を加圧する加圧ローラ24と、ヒータ2301と、サーミスタ25が設けられている。
【0029】
ヒートローラ23は、ヒータモータ39(図2)によって駆動され、加圧ローラ24は、当該ヒートローラ23と対向配置され、当該ヒートローラ23とつれまわる。ヒータ2301は、ヒートローラ23の内側に設けられたハロゲンランプを熱源としてヒートローラ23を内側から加熱する。サーミスタ25は、ヒートローラ23の表面近傍に配置され、ヒートローラ23の温度を監視する。
【0030】
また搬送路R上の位置やジャムを検知する為のセンサ26が、ヒートローラ23の用紙搬送方向下流側近傍に配置されている。さらに当該センサ26の用紙搬送方向下流側には、用紙を筐体2の上面後部に設けられたスタッカ28へと案内するガイド27が配置されている。
【0031】
さらに画像形成装置1の内部には、搬送ベルト11の下側部分の前端側下方に、クリーニング機構として、クリーニングブレード29と廃トナータンク30が設けられている。クリーニングブレード29は、搬送ベルト11の下側部分を間に挟んで従動ローラ13と対向配置されている。このクリーニングブレード29は、例えば可撓性のゴム材またはプラスチックで形成され、搬送ベルト11の上側部分で表面に付着残留したトナーを廃トナータンク30にかき落とす。
【0032】
また搬送ベルト11の下側部分の後端側下方には、濃度センサ31が搬送ベルト11の下側部分と一定の間隔を空けて対向配置されている。濃度センサ31は、発光1系統、受光2系統の反射型光センサであり、搬送ベルト11上に印刷された濃度検出用パターンに光を照射して反射光を受光し、当該反射光の強度に基づいて、印刷した濃度検出用パターンのトナー量(すなわち濃度)を検出する為のものである。
【0033】
ここで、図3(A)に、濃度センサ31の模式図を示す。この図3(A)に示すように、濃度センサ31は、発光1系統としての赤外LED3101と、受光2系統としての鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102及び拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103とを有していて、ブラックの濃度と、シアン、マゼンタ、イエローのカラー濃度の両方を検出できる構成となっている。
【0034】
具体的には濃度センサ31は、シアン、マゼンタ、イエローの濃度を検出する場合、図3(B)に示すように、赤外LED3101から、搬送ベルト11に印刷された濃度検出用パターン3104を形成するシアントナー、またはマゼンタトナー、もしくはイエロートナーに光(赤外線)を照射し、シアントナー、またはマゼンタトナー、もしくはイエロートナーにより拡散反射した光(赤外線)を拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103で受光する。このとき拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103は、受光した光の光量に応じた電圧を出力する。実際、濃度検出用パターン3104を形成するシアントナー、またはマゼンタトナー、もしくはイエロートナーの量が多ければ(つまり濃度が濃ければ)、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103にて受光する拡散反射光の光量は多くなる。よって、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103から出力される電圧に基づいて、シアントナー、またはマゼンタトナー、もしくはイエロートナーの濃度を検出できる。
【0035】
一方で、濃度センサ31は、ブラックの濃度を検出する場合、図3(C)に示すように、赤外LED3101から、搬送ベルト11に印刷された濃度検出用パターン3105を形成するブラックトナーを介して搬送ベルト11に光(赤外線)を照射し、搬送ベルト11により鏡面反射した光を鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102で受光する。このとき鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102は、受光した光の光量に応じた電圧を出力する。実際、濃度検出用パターン3105を形成するブラックトナーは、赤外LED3101から照射された光を吸収する為、濃度検出用パターン3105を形成するブラックトナーの量が多ければ(つまり濃度が濃ければ)、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102にて受光する鏡面反射光の光量は少なくなる。よって、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102から出力される電圧に基づいて、ブラックトナーの濃度を検出できる。
【0036】
また図1に示すように、濃度センサ31と搬送ベルト11との間には、濃度センサ31のカバー14が配置されている。このカバー14は、図3(A)、(B)に示した濃度補正処理動作中以外は、濃度センサ31上にあり、トナーや紙粉等で濃度センサ31が汚れないように濃度センサ31を覆っている。一方で、このカバー14は、図3(A)、(B)に示した濃度補正処理動作中は、図示しない駆動手段により濃度センサ31上から移動する。さらにこのカバー14は、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103を用いて濃度検出を行う際の濃度センサ31の赤外LED3101における発光電流調整(以降、濃度センサキャリブレーションと呼ぶ)の基準反射物として用いられる。尚、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102を用いて濃度検出を行う際の濃度センサ31の赤外LED3101における濃度センサキャリブレーションの基準反射物としては、搬送ベルト11が用いられる。画像形成装置1の内部構成は、以上のようになっている。
【0037】
ここで、画像形成装置1による印刷動作について簡単に説明する。画像形成装置1は、ホッピングローラ15により、用紙収容カセット18に収容されている用紙を1枚ずつ搬送路Rに繰り出し、レジストローラ16とピンチローラ17とによって当該用紙のスキューを修正しながら搬送ベルト11へと搬送する。
【0038】
つづけて、画像形成装置1は、搬送ベルト11により用紙を搬送しながら、印刷機構101~104の感光ドラム301~304の表面に形成した各色のトナー画像を転写ローラ1001~1004により用紙に転写する。その後、画像形成装置1は、用紙をヒートローラ23と加圧ローラ24との間を通すことによって、用紙に転写したトナー像を当該用紙に定着させ、当該用紙をスタッカ28に排出する。画像形成装置1による印刷動作は、以上のようになっている。
【0039】
つづけて、図2を用いて、画像形成装置1の制御回路の構成について説明する。図2に示すように、画像形成装置1は、制御回路の主要部として、ホストインタフェース部32、コマンド/画像処理部33、LEDヘッドインタフェース部34、機構制御部35、高圧制御部41を有している。
【0040】
ホストインタフェース部32は、図示しないホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分であり、図示しないコネクタ及びチップで構成される。コマンド/画像処理部33は、ホストコンピュータ側からのコマンド及び画像データを解釈あるいはビットマップに展開する部分であり、図示しないマイクロプロセッサ、RAM及びビットマップを展開する為のハードウェア等で構成され、画像形成装置1全体を制御する。
【0041】
LEDヘッドインタフェース部34は、図示しないLSI(Large-Scale Integration)及びRAM等で構成され、コマンド/画像処理部33によりビットマップに展開された画像データをLEDヘッド901~904のインタフェースに合わせて加工する。
【0042】
機構制御部35は、コマンド/画像処理部33からの指示に従い、各センサ20~22、26、及びサーミスタ25からの入力を監視しつつ、ホッピングモータ36、レジストモータ37、ベルトモータ38、ヒータモータ39及びドラムモータ40の駆動、ヒータ2301の制御、高圧制御部41の制御を行う。
【0043】
高圧制御部41は、図示しないマイクロプロセッサあるいはLSIで構成され、印刷機構101~104に対する帯電電圧、現像電圧、供給電圧と、転写ローラ1001~1004に対する転写電圧を制御する。帯電電圧発生部42は、高圧制御部41の指示に従い、帯電ローラ201~204への帯電電圧の生成と停止を行う。現像電圧発生部43は、高圧制御部41の指示に従い、現像ローラ401~404への現像電圧の生成と停止を行う。供給電圧発生部44は、高圧制御部41の指示に従い、供給ローラ601~604への供給電圧の生成と停止を行う。転写電圧発生部45は、高圧制御部41の指示に従い、転写ローラ1001~1004への転写電圧の生成と停止を行う。
【0044】
機構制御部35は、濃度補正処理を実行する部分でもあり、濃度補正処理実行判定部3501と、濃度補正制御部3502と、検出電圧濃度値変換部3503と、トナー残量算出部3504と、トナー消費速度算出部3505と、目標印刷濃度決定部3506とを有している。
【0045】
濃度補正処理実行判定部3501は、トナーカートリッジ800の新品交換時、及び所定枚数印刷毎とする濃度補正処理実行条件にしたがって、濃度補正処理を実行するか否かを判定する。濃度補正制御部3502は、濃度補正処理動作全体を制御する。この濃度補正処理動作では、搬送ベルト11上に印刷した濃度検出パターンを形成する各色のトナーの濃度値を濃度センサ31を用いて検出し、検出した濃度値に基づいて、印刷濃度値が目標印刷濃度値となるように、現像電圧やLEDヘッド901~904の発光量(駆動時間)の調整量を算出する。尚、現像電圧の調整量を、以下、現像電圧値調整量と呼び、LEDヘッド901~904の駆動時間の調整量を、以下、LED駆動時間調整量と呼ぶ。
【0046】
詳しくは後述するが、現像電圧値調整量の算出は、図4(C)に示す現像電圧値調整量テーブル48を用いる。この現像電圧値調整量テーブル48には、現像電圧値が1[V]変化するときの印刷濃度値の変化量が、トナーの色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))とDuty(50%と100%)の組み合わせごとに記されている。尚、Dutyとは、トナー面積率(所定面積内におけるトナーの占める割合)であり、Duty100%であれば、所定面積内の全部分をトナーが占めていること(所謂ベタ塗り)を表し、Duty50%であれば、所定面積内の半分をトナーが占めていることを表す。また本実施の形態では、例えば、30%未満のDutyを低Duty、30%~80%のDutyを中間Duty、80%以上のDutyを高Dutyと定義している。
【0047】
また詳しくは後述するが、LED駆動時間調整量の算出は、図4(D)に示すLED駆動時間調整量テーブル49を用いる。このLED駆動時間調整量テーブル49には、LED駆動時間が1[%]変化するときの印刷濃度値の変化量が、トナーの色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))ごとに記されている。尚、LED駆動時間調整量テーブル49に記されているトナーの色ごとの印刷濃度値の変化量は、Duty50%の場合の変化量である。
【0048】
図2に示す検出電圧濃度値変換部3503は、濃度センサ31が検出した濃度検出パターンに対する電圧(以下、センサ検出電圧と呼ぶ)を印刷濃度値に変換する。詳しくは後述するが、センサ検出電圧の印刷濃度値への変換は、図4(A)に示すセンサ検出電圧-濃度値変換テーブル46を用いる。このセンサ検出電圧-濃度値変換テーブル46には、濃度センサ31が検出した濃度検出パターンに対するセンサ検出電圧と、同じ濃度検出パターンを用紙上に印刷したときの印刷濃度値との関係を示す1次近似式の係数である係数Aと係数Bが、トナーの色ごとに記されている。
【0049】
図2に示すトナー残量算出部3504は、トナー収容部801~804のそれぞれの現在のトナー残量(つまり各色の現在のトナー残量)及び次回の濃度補正処理実行時の各色のトナー残量の目標値を算出する。トナー残量は、トナーカートリッジ800が新品のときを100[%]、トナー収容部801~804がエンプティとなったときを0[%]と定義している。
【0050】
詳しくは後述するが、例えばトナー収容部801のブラックのトナー残量の算出は、トナーカートリッジ800が新品のときにトナー収容部801に収容されているブラックのトナー重量と、トナーカートリッジ800が新品のときから現在までに印刷された画像におけるコマンド/画像処理部33でビットマップに展開されたブラックの画像データのドット数の累積値から算出した消費トナー重量とを用いる。シアン、マゼンタ、イエローのトナー残量の算出も同様である。
【0051】
トナー消費速度算出部3505は、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までの期間の各色のトナー消費速度に基づいて、今回の濃度補正処理実行時から次回の濃度補正処理実行時までにトナー残量の少ない色のトナー残量が、トナー残量の一番多い色のトナー残量と同じになる為に必要な各色のトナー消費速度を算出する。尚、トナー消費速度は、用紙1枚当たりのトナー使用量(単位は%)とする。詳しくは後述するが、トナー消費速度の算出は、印刷枚数と、印刷された画像におけるコマンド/画像処理部33でビットマップに展開された各色の画像データのドット数の累積値から算出した消費トナー重量とを用いる。
【0052】
目標印刷濃度決定部3506は、トナー消費速度算出部3505が算出した各色のトナー消費速度に基づいて、今回の濃度補正処理時の各色の目標印刷濃度値を決定する。
【0053】
記憶手段3507は、不揮発メモリ等で構成され、図4(A)、(C)、(D)に示す上述したセンサ検出電圧-濃度値変換テーブル46、現像電圧値調整量テーブル48、LED駆動時間調整量テーブル49が記憶されている。またこの記憶手段3507には、図4(B)に示す目標印刷濃度基準値テーブル47と、図4(E)に示す目標印刷濃度補正値テーブル50とが記憶されている。目標印刷濃度基準値テーブル47と目標印刷濃度補正値テーブル50について詳しくは後述する。
【0054】
さらに記憶手段3507には、濃度補正処理で用いる濃度検出パターン1101(図5(A))、1102(図5(B))が記憶されている。濃度検出パターン1101、1102についても詳しくは後述する。
【0055】
もう1つの記憶手段3508には、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までの印刷枚数が印刷動作を実行する毎に更新されて記憶されている。またこの記憶手段3508には、トナーカートリッジ800が新品のときから現在までに印刷された画像におけるコマンド/画像処理部33でビットマップに展開された各色の画像データのドット数の累積値が印刷動作を実行する毎に更新されて記憶されている。さらにこの記憶手段3508には、前回の濃度補正処理実行時の各色のトナー残量と、前回の濃度補正処理実行時に決定された各色の目標印刷濃度値が、濃度補正処理を実行する毎に更新されて記憶されている。画像形成装置1の制御回路の構成は、以上のようになっている。
【0056】
[2.濃度補正処理動作]
次に画像形成装置1の機構制御部35が実行する濃度補正処理動作の手順について、図6に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。図6に示す最初のステップSP1において、機構制御部35の濃度補正処理実行判定部3501は、濃度補正処理を実行するか否かの判定を行う。このとき、濃度補正処理実行判定部3501は、現在の画像形成装置1の使用状況が、濃度補正処理実行判定条件に合致するか否かを判定する。本実施の形態における濃度補正処理実行判定条件は、一例として、トナーカートリッジ800を新品に交換したとき(画像形成装置1の初回起動時を含む)と、1000枚印刷毎としている。尚、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までの印刷枚数については、記憶手段3508から取得できる。
【0057】
このステップSP1において、濃度補正処理実行判定部3501が濃度補正処理を実行しないと判定した場合、機構制御部35は、このステップSP1で否定結果を得て、再びステップSP1を実行する。これに対して、ステップSP1において、濃度補正処理実行判定部3501が濃度補正処理を実行すると判定した場合、機構制御部35は、ステップSP1で肯定結果を得て、ステップSP2に移る。
【0058】
ステップSP2において、機構制御部35の濃度補正制御部3502は、目標印刷濃度決定部3506に目標印刷濃度決定処理動作の指示を出す。この指示に従って、目標印刷濃度決定部3506は、目標印刷濃度決定処理動作を実行する。この目標印刷濃度決定処理動作では、各色の現在までのトナー消費速度に基づいて、今回の濃度補正処理実行時から次回の濃度補正処理実行時までに各色のトナー残量が等しくなる為に必要な各色のトナー消費速度を算出し、そのトナー消費速度を実現し得る印刷濃度となるように各色の目標印刷濃度値を決定する。この目標印刷濃度決定処理動作の具体的な手順については後述するが、目標印刷濃度決定処理動作では、Duty50%(中間Duty)の場合の各色の目標印刷濃度値と、Duty100%(高Duty)の場合の各色の目標印刷濃度値を決定するようになっている。
【0059】
つづくステップSP3において、機構制御部35の濃度補正制御部3502は、濃度センサ31自体の温度による赤外LED3101の発光特性の変化(画像形成装置1の使用状態による変化分)や、製造上、発生し得る濃度センサ31自体の発光、受光感度のばらつきによる発光特性の変化を吸収する為、赤外LED3101の発光電流の調整(濃度センサキャリブレーション)を行う。
【0060】
この濃度センサキャリブレーションでは、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102及び拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧が、予め設定された設定値となるように、赤外LED3101の発光電流を調整する。具体的には、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103で受光する場合、赤外LED3101から、基準反射物として用いるカバー14に光を照射して反射光を拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103で受光する。このとき、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧が設定値となるように、赤外LED3101の発光電流を調整する。
【0061】
また鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102で受光する場合、赤外LED3101から、基準反射物として用いる搬送ベルト11に光を照射して反射光を鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102で受光する。このとき、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102の出力電圧が設定値となるように、赤外LED3101の発光電流を調整する。
【0062】
尚、本実施の形態では、一例として、赤外LED3101の発光電流の調整範囲を15~50[mA]とし、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102及び拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧の設定値をそれぞれ2.50[V]としている。
【0063】
このようにして濃度センサキャリブレーションを実行した後、つづくステップSP4において、機構制御部35の濃度補正制御部3502は、記憶手段3507に記憶してある濃度検出パターン1101(図5(A))の搬送ベルト11への印刷を開始する。図5(A)に示すように、濃度検出パターン1101は、パターン搬送方向上流側から、ブラックパッチ1101K1つ、シアンパッチ1101C1つ、マゼンタパッチ1101M1つ、イエローパッチ1101Y1つの順で並べられた各色のパッチで構成されている。濃度検出パターン1101を構成する各色のパッチは、それぞれDuty100%のトナー面積率(所謂ベタ塗り)で搬送ベルト11上に印刷されている。各パッチは、パターン搬送方向の長さ(パッチ長)Lp[mm]が等しく、パターン搬送方向に間隔を空けずに配置されている。
【0064】
尚、この濃度検出パターン1101を搬送ベルト11上に印刷したときの現像電圧値は予め決められた設定値DBであり、LED駆動時間は予め決められた設定値DKである。本実施の形態では、一例として、DBを-200[V]、DKを0.28[ms]としている。また本実施の形態では、一例として、画像形成装置1の解像度が600dpi(1インチあたり600dot)であり、1dot径を0.042[mm]、印刷時の線速度を150[m/s]として、副走査方向(パターン搬送方向と平行な方向)の1dot周期が0.28[ms]となっている。また印刷機構101~104が、濃度検出パターン1101の、ブラックパッチ1101K、シアンパッチ1101C、マゼンタパッチ1101M、イエローパッチ1101Yを印刷するときの転写電圧は2000[V]、帯電電圧は-2000[V]、供給電圧は-300[V]となっている。
【0065】
ここで、図7に、搬送ベルト11周辺の寸法図を示す。この図7に示すように、感光ドラム301~304と転写ローラ1001~1004の接点間距離をLd[mm]とし、用紙搬送方向最下流に位置する感光ドラム304と転写ローラ1004の接点から濃度センサ31の検出位置までの距離をLs[mm]とする。本実施の形態では、一例として、接点間距離Ld[mm]が、パッチ長Lp[mm]の3倍の長さとなっている。
【0066】
機構制御部35の濃度補正制御部3502は、濃度検出パターン1101(図5(A))の搬送ベルト11への印刷を開始すると、感光ドラム301上に形成されたブラックパッチ1101Kの先端(パターン搬送方向下流側の一端)が感光ドラム301と転写ローラ1001との転写ニップ部(以下、ブラックの転写ニップ部とする)に到達するタイミングを起点として、転写電圧発生部45に転写ローラ1001へ転写電圧を印可させる。これにより、ブラックパッチ1101Kが搬送ベルト11上に転写(印刷)される。
【0067】
つづけて、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11をLd[mm]だけ移動させ、搬送ベルト11上に印刷されたブラックパッチ1101Kの後端が感光ドラム302と転写ローラ1002との転写ニップ部(以下、シアンの転写ニップ部とする)に到達するタイミングに合わせて、シアンパッチ1101Cの先端がシアンの転写ニップ部に到達するようにシアンパッチ1101Cを感光ドラム302上に形成するとともに、転写電圧発生部45に転写ローラ1002へ転写電圧を印可させる。これにより、シアンパッチ1101Cが搬送ベルト11上に転写(印刷)される。
【0068】
つづけて、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11をLd[mm]だけ移動させ、搬送ベルト11上に印刷されたシアンパッチ1101Cの後端が感光ドラム303と転写ローラ1003との転写ニップ部(以下、マゼンタの転写ニップ部とする)に到達するタイミングに合わせて、マゼンタパッチ1101Mの先端がマゼンタの転写ニップ部に到達するようにマゼンタパッチ1101Mを感光ドラム303上に形成するとともに、転写電圧発生部45に転写ローラ1003へ転写電圧を印可させる。これにより、マゼンタパッチ1101Mが搬送ベルト11上に転写(印刷)される。
【0069】
つづけて、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11をLd[mm]だけ移動させ、搬送ベルト11上に印刷されたマゼンタパッチ1101Mの後端が感光ドラム304と転写ローラ1004との転写ニップ部(以下、イエローの転写ニップ部とする)に到達するタイミングに合わせて、イエローパッチ1101Yの先端がイエローの転写ニップ部に到達するようにイエローパッチ1101Yを感光ドラム304上に形成するとともに、転写電圧発生部45に転写ローラ1004へ転写電圧を印可させる。これにより、イエローパッチ1101Yが搬送ベルト11上に転写(印刷)される。
【0070】
濃度補正制御部3502は、このようにして濃度検出パターン1101を搬送ベルト11上に印刷する。つづけて、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11上に印刷されたブラックパッチ1101Kの先端がイエローの転写ニップ部を通過した時点から、搬送ベルト11をLs[mm]だけ移動させ、ブラックパッチ1101Kの先端を濃度センサ31の検出位置に到達させる。さらに濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11をパッチ長Lpの半分の長さだけ移動させることにより、ブラックパッチ1101Kにおけるパターン搬送方向の中央部分を、濃度センサ31の検出位置に移動させる。
【0071】
ここで、濃度補正制御部3502は、読み取るパッチの色に応じて、濃度センサ31の赤外LED3101を、上述のステップSP2で決定した発光電流で発光させ、読み取るパッチに光を照射する。濃度補正制御部3502は、読み取るパッチがブラックパッチ1101Kのときには、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102の出力電圧を読み取り、読み取るパッチがシアンパッチ1101C、マゼンタパッチ1101M、イエローパッチ1101Yのときには、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧を読み取る。
【0072】
本実施の形態では、最初に読み取るパッチがブラックパッチ1101Kの為、濃度補正制御部3502は、鏡面反射光受光用フォトトランジスタ3102の出力電圧を読み取る。次に、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11をパッチ長Lp[mm]だけ移動させ、シアンパッチ1101Cの中央部分を、濃度センサ31の検出位置に移動させ、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧を読み取る。
【0073】
次に、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11をパッチ長Lp[mm]だけ移動させ、マゼンタパッチ1101Mの中央部分を、濃度センサ31の検出位置に移動させ、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧を読み取る。次に、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11をパッチ長Lp[mm]だけ移動させ、イエローパッチ1101Yの中央部分を、濃度センサ31の検出位置に移動させ、拡散反射光受光用フォトトランジスタ3103の出力電圧を読み取る。
【0074】
このようにして、濃度補正制御部3502は、搬送ベルト11上に濃度検出パターン1101を印刷し、印刷した濃度検出パターン1101の各パッチを濃度センサ31で読み取る。
【0075】
ここで、ブラックパッチ1101Kを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をブラックパッチ検出電圧KV100、シアンパッチ1101Cを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をシアンパッチ検出電圧CV100、マゼンタパッチ1101Mを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をマゼンタパッチ検出電圧MV100、イエローパッチ1101Yを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をイエローパッチ検出電圧YV100とする。
【0076】
つづくステップSP5において、機構制御部35の検出電圧濃度値変換部3503は、上述のステップSP4で検出したセンサ検出電圧(ブラックパッチ検出電圧KV100、シアンパッチ検出電圧CV100、マゼンタパッチ検出電圧MV100、イエローパッチ検出電圧YV100)を、記憶手段3507に記憶されているセンサ検出電圧-濃度値変換テーブル46(図4(A))を用いて印刷濃度値に変換する。
【0077】
センサ検出電圧-濃度値変換テーブル46のテーブル値は、センサ検出電圧(ブラックパッチ検出電圧KV100、シアンパッチ検出電圧CV100、マゼンタパッチ検出電圧MV100、イエローパッチ検出電圧YV100)と印刷濃度値との関係を表す1次近似式の係数である係数Aと係数Bである。当該テーブル値は、図9のグラフに示すように、各色のセンサ検出電圧[V]と印刷濃度値との関係を示す直線L1、L2を表す1次近似式の係数である係数A(K(A)等)と係数B(K(B)等)を実験的に求めたものである。
【0078】
直線L1は、ブラックパッチ検出電圧KV100と印刷濃度値との関係を示す直線であり、ブラックパッチ検出電圧KV100が大きくなるほど印刷濃度値は小さくなることを表している。一方、直線L2は、シアンパッチ検出電圧CV100と印刷濃度値との関係を示す直線であり、シアンパッチ検出電圧CV100が大きくなるほど印刷濃度値も大きくなることを表している。尚、図9のグラフには示していないが、マゼンタパッチ検出電圧MV100と印刷濃度値との関係、及びイエローパッチ検出電圧YV100と印刷濃度値との関係も、シアンパッチ検出電圧CV100と印刷濃度値との関係と同様、センサ検出電圧[V]が大きくなるほど印刷濃度値も大きくなる関係となっている。
【0079】
ここで、ブラックパッチ1101Kの印刷濃度値をKOD100、シアンパッチ1101Cの印刷濃度値をCOD100、マゼンタパッチ1101Mの印刷濃度値をMOD100、イエローパッチ1101Yの印刷濃度値をYOD100とすると、これらは以下の式(1)~(4)により求めることができる。
【0080】
KOD100=K(A)×KV100+K(B)……(1)
COD100=C(A)×CV100+C(B)……(2)
MOD100=M(A)×MV100+M(B)……(3)
YOD100=Y(A)×YV100+Y(B)……(4)
【0081】
これらの式(1)~(4)を用いて、検出電圧濃度値変換部3503は、センサ検出電圧(ブラックパッチ検出電圧KV100、シアンパッチ検出電圧CV100、マゼンタパッチ検出電圧MV100、イエローパッチ検出電圧YV100)を、印刷濃度値(KOD100、COD100、MOD100、YOD100)に変換する。
【0082】
つづくステップSP6において、濃度補正制御部3502は、上述のステップSP5で得られたDuty100%の場合の各色の印刷濃度値と、上述のステップSP2で決定したDuty100%の場合の各色の目標印刷濃度値とを比較し、これらの差分から、各色の印刷濃度値を目標印刷濃度値にする為には各色の現像電圧値をいくら増減すればよいか算出する。この算出には、記憶手段3507に記憶されている現像電圧値調整量テーブル48(図4(C))を用いる。
【0083】
現像電圧値調整量テーブル48のテーブル値は、現像電圧値が1[V]変化するときの印刷濃度値の変化量である。尚、現像電圧値調整量テーブル48には、Duty50%の場合に現像電圧値が1[V]変化するときの印刷濃度値の変化量(ΔKDB50等)と、Duty100%の場合に現像電圧値が1[V]変化するときの印刷濃度値の変化量(ΔKDB100等)とが、色ごとに記されている。
【0084】
現像電圧を変化させると、現像されるトナー層厚(つまり感光ドラム301~304の表面に付着するトナーの厚さ)を変化させることができ、これを利用して低Duty部から高Duty部までの印刷濃度を増減させることができる。尚、本実施の形態では、主に高Duty部の印刷濃度を増減させる目的で現像電圧値を調整するようになっていて、現像電圧値調整量テーブル48のテーブル値のうち、Duty100%の場合に現像電圧値が1[V]変化するときの印刷濃度値の変化量(ΔKDB100等)を用いるようになっている。
【0085】
ここで、ブラックの現像電圧値調整量をKDB(A)、シアンの現像電圧値調整量をCDB(A)、マゼンタの現像電圧値調整量をMDB(A)、イエローの現像電圧値調整量をYDB(A)、Duty100%の場合のブラック、シアン、マゼンタ、イエローの目標印刷濃度値をそれぞれKODT100、CODT100、MODT100、YODT100とすると、各色の現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)は以下の式(5)~(8)により求めることができる。
【0086】
KDB(A)=(KODT100-KOD100)/ΔKDB100……(5)
CDB(A)=(CODT100-COD100)/ΔCDB100……(6)
MDB(A)=(MODT100-MOD100)/ΔMDB100……(7)
YDB(A)=(YODT100-YOD100)/ΔYDB100……(8)
【0087】
これらの式(5)~(8)を用いて、濃度補正制御部3502は、各色の現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)(単位は[V])を算出する。
【0088】
そして濃度補正制御部3502は、算出した各色の現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を用いて、高圧制御部41に各色の現像電圧を調整する指示を出す。高圧制御部41は、印刷動作時に、現像電圧の設定値DBに各色の現像電圧値調整量KDB(A)、CDB(A)、MDB(A)、YDB(A)を加算した各色の現像電圧値を印刷機構101~104に供給する。
【0089】
ここで、ブラックの現像電圧値をKDB、シアンの現像電圧値をCDB、マゼンタの現像電圧値をMDB、イエローの現像電圧値をYDBとすると、これらは以下の式(9)~(12)による求めることができる。
【0090】
KDB=DB-KDB(A)……(9)
CDB=DB-CDB(A)……(10)
MDB=DB-MDB(A)……(11)
YDB=DB-YDB(A)……(12)
【0091】
これらの式(9)~(12)を用いて、高圧制御部41は、各色の現像電圧値KDB、CDB、MDB、YDB(単位は[V])を算出し、これらを印刷機構101~104に供給する。
【0092】
このように、濃度補正制御部3502は、ステップSP4~ステップSP6において、Duty100%の各色のパッチで構成された濃度検出パターン1101を濃度センサ31で読み取ることでDuty100%の場合の各色の印刷濃度値を得、この印刷濃度値と、Duty100%の場合の各色の目標印刷濃度値との差分から、各色の印刷濃度値を目標印刷濃度値にする為の各色の現像電圧値調整量を算出し、各色の現像電圧を調整する。
【0093】
つづくステップSP7において、濃度補正制御部3502は、記憶手段3507に記憶してある濃度検出パターン1102(図5(B))の搬送ベルト11への印刷を開始する。図5(B)に示すように、濃度検出パターン1102は、パターン搬送方向上流側から、ブラックパッチ1102K1つ、シアンパッチ1102C1つ、マゼンタパッチ1102M1つ、イエローパッチ1102Y1つの順で並べられた各色のパッチで構成されている。濃度検出パターン1102を構成する各色のパッチは、それぞれDuty50%のトナー面積率で搬送ベルト11上に印刷されている。この濃度検出パターン1102は、濃度検出パターン1101における各色のパッチのDutyを100%から50%に変更したものである。
【0094】
尚、この濃度検出パターン1102の各色のパッチの印刷及び検出は、濃度検出パターン1101の場合と同様の為、説明は省略する。つまり、濃度補正制御部3502は、濃度検出パターン1101の場合と同様にして、搬送ベルト11上に濃度検出パターン1102を印刷し、印刷した濃度検出パターン1102の各パッチを濃度センサ31で読み取る。
【0095】
ここで、ブラックパッチ1102Kを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をブラックパッチ検出電圧KV50、シアンパッチ1102Cを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をシアンパッチ検出電圧CV50、マゼンタパッチ1102Mを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をマゼンタパッチ検出電圧MV50、イエローパッチ1102Yを読み取った際の濃度センサ31の出力電圧をイエローパッチ検出電圧YV50とする。
【0096】
つづくステップSP8において、機構制御部35の検出電圧濃度値変換部3503は、上述のステップSP7で検出したセンサ検出電圧(ブラックパッチ検出電圧KV50、シアンパッチ検出電圧CV50、マゼンタパッチ検出電圧MV50、イエローパッチ検出電圧YV50)を、記憶手段3507に記憶されているセンサ検出電圧-濃度値変換テーブル46(図4(A))を用いて印刷濃度値に変換する。
【0097】
ここで、ブラックパッチ1102Kの印刷濃度値をKOD50、シアンパッチ1102Cの印刷濃度値をCOD50、マゼンタパッチ1102Mの印刷濃度値をMOD50、イエローパッチ1102Yの印刷濃度値をYOD50とすると、これらは以下の式(13)~(16)により求めることができる。
【0098】
KOD50=K(A)×KV50+K(B)……(13)
COD50=C(A)×CV50+C(B)……(14)
MOD50=M(A)×MV50+M(B)……(15)
YOD50=Y(A)×YV50+Y(B)……(16)
【0099】
これらの式(13)~(16)を用いて、検出電圧濃度値変換部3503は、センサ検出電圧(ブラックパッチ検出電圧KV50、シアンパッチ検出電圧CV50、マゼンタパッチ検出電圧MV50、イエローパッチ検出電圧YV50)を、印刷濃度値(KOD50、COD50、MOD50、YOD50)に変換する。
【0100】
つづくステップSP9において、濃度補正制御部3502は、上述のステップSP8で得られたDuty50%の場合の各色の印刷濃度値と、上述のステップSP2で決定したDuty50%の場合の各色の目標印刷濃度値とを比較し、これらの差分から、各色の印刷濃度値を目標印刷濃度値にする為には各色のLEDヘッド901~904のLED駆動時間をいくら増減すればよいか算出する。この算出には、記憶手段3507に記憶されているLED駆動時間調整量テーブル49(図4(D))を用いる。
【0101】
LED駆動時間調整量テーブル49のテーブル値は、LED駆動時間が1[%]変化するときの印刷濃度値の変化量である。尚、LED駆動時間調整量テーブル49には、Duty50%の場合にLED駆動時間が1[%]変化するときの印刷濃度値の変化量(ΔKDK50等)が、色ごとに記されている。
【0102】
LED駆動時間を変化させると、現像されるトナーのドット径(つまり感光ドラム301~304の表面に付着するトナーのドット径)を変化させることができ、これを利用して、主に低Duty部から中間Duty部までの印刷濃度を増減させることができる。
【0103】
ここで、ブラックのLED駆動時間調整量をKDK(A)、シアンのLED駆動時間調整量をCDK(A)、マゼンタのLED駆動時間調整量をMDK(A)、イエローのLED駆動時間調整量をYDK(A)、Duty50%の場合のブラック、シアン、マゼンタ、イエローの目標印刷濃度値をそれぞれKODT50、CODT50、MODT50、YODT50とすると、各色のLED駆動時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)は以下の式(17)~(20)により求めることができる。
【0104】
KDK(A)=(KODT50-KOD50)/ΔKDK50……(17)
CDK(A)=(CODT50-COD50)/ΔCDK50……(18)
MDK(A)=(MODT50-MOD50)/ΔMDK50……(19)
YDK(A)=(YODT50-YOD50)/ΔYDK50……(20)
【0105】
これらの式(17)~(20)を用いて、濃度補正制御部3502は、各色のLED駆動時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)(単位は[ms])を算出する。
【0106】
そして濃度補正制御部3502は、算出した各色のLED駆動時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)を用いて、LEDヘッドインタフェース部34にLEDヘッド901~904のLED駆動時間を調整する指示を出す。LEDヘッドインタフェース部34は、印刷動作時に、LED駆動時間の設定値DKに各色のLED駆動時間調整量KDK(A)、CDK(A)、MDK(A)、YDK(A)を加算した各色のLED駆動時間でLEDヘッド901~904を駆動させる。
【0107】
ここで、ブラックのLED駆動時間をKDK、シアンのLED駆動時間をCDK、マゼンタのLED駆動時間をMDK、イエローのLED駆動時間をYDKとすると、これらは以下の式(21)~(24)による求めることができる。
【0108】
KDK=DK+DK×KDK(A)……(21)
CDK=DK+DK×CDK(A)……(22)
MDK=DK+DK×MDK(A)……(23)
YDK=DK+DK×YDK(A)……(24)
【0109】
これらの式(21)~(24)を用いて、LEDヘッドインタフェース部34は、各色のLED駆動時間KDK、CDK、MDK、YDK(単位は[ms])を算出し、これらに基づいてLEDヘッド901~904を駆動させる。
【0110】
このように、濃度補正制御部3502は、ステップSP7~ステップSP9において、Duty50%の各色のパッチで構成された濃度検出パターン1102を濃度センサ31で読み取ることでDuty50%の場合の各色の印刷濃度値を得、この印刷濃度値と、Duty50%の場合の各色の目標印刷濃度値との差分から、各色の印刷濃度値を目標印刷濃度値にする為の各色のLED駆動時間調整量を算出し、各色のLED駆動時間を調整する。
【0111】
濃度補正処理動作の手順は、以上のようになっている。画像形成装置1では、上述した濃度補正処理動作により、エンジン部(印刷機構101~104、LEDヘッド901~904)の物理特性(現像電圧、LED駆動時間)を調整することで、印刷濃度を安定させている。
【0112】
[3.目標印刷濃度決定処理動作]
つぎに、上述した濃度補正処理動作のステップSP2で実行する目標印刷濃度決定処理動作について、図8に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。図8に示す最初のステップSP31において、機構制御部35の目標印刷濃度決定部3506は、トナー残量算出部3504に、トナー収容部801~804のそれぞれのトナー残量(つまり各色のトナー残量)を算出する指示を出す。
【0113】
この指示に従って、トナー残量算出部3504は、記憶手段3508からトナーカートリッジ800が新品のときから現在までに印刷された画像におけるコマンド/画像処理部33でビットマップに展開された各色の画像データのドット数の累積値を読み出す。ここで、ブラックのドット数累積値をKDC、シアンのドット数累積値をCDC、マゼンタのドット数累積値をMDC、イエローのドット数累積値をYDCとする。
【0114】
本実施の形態では、新品のトナーカートリッジ800には、トナー収容部801~804のそれぞれに、Duty100%換算でA4用紙500枚分のトナー(Duty50%換算の場合はA4用紙1000枚分のトナー)が充填されているとする。また本実施の形態では、画像形成装置1の解像度を600dpiとし、A4用紙1枚分の印刷領域(上下左右の余白は4[mm])にDuty100%で印刷した場合のドット数は33679830ドットとなる。よって、A4用紙500枚分のドット数をDCとすると、DC=33679830×500=16839915000ドットとなる。
【0115】
さらに本実施の形態では、トナー重量1[g]あたりのドット数を40000ドットとする。よって、新品のトナーカートリッジ800には、トナー収容部801~804のそれぞれに、42[g]のトナーが充填されている。ここで、ブラックの現在のトナー残量をKT、シアンの現在のトナー残量をCT、マゼンタの現在のトナー残量をMT、イエローの現在のトナー残量をYTとすると、これらは以下の式(25)~(28)により求めることができる。
【0116】
KT={1-(KDC/DC)}×100……(25)
CT={1-(CDC/DC)}×100……(26)
MT={1-(MDC/DC)}×100……(27)
YT={1-(YDC/DC)}×100……(28)
【0117】
これらの式(25)~(28)を用いて、トナー残量算出部3504は、各色のトナー残量KT、CT、MT、YT(単位は[%])を算出する。
【0118】
つづくステップSP32において、目標印刷濃度決定部3506は、トナー消費速度算出部3505に、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までの期間の各色のトナー消費速度を算出する指示を出す。
【0119】
この指示に従って、トナー消費速度算出部3505は、上述のステップSP31で算出された各色のトナー残量KT、CT、MT、YTを取得するとともに、記憶手段3508から、前回の濃度補正処理実行時の各色のトナー残量を読み出す。
【0120】
ここで、前回の濃度補正処理実行時のブラックのトナー残量をKT、シアンのトナー残量をCT、マゼンタのトナー残量をMT、イエローのトナー残量をYT(単位は[%])、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までの期間(つまり1000枚印刷した期間)のブラック、シアン、マゼンタ、イエローのトナー消費速度をそれぞれKS、CS、MS、YSとすると、各色のトナー消費速度KS、CS、MS、YSは、以下の式(29)~(32)により求めることができる。
【0121】
KS=(KT-KT)/1000……(29)
CS=(CT-CT)/1000……(30)
MS=(MT-MT)/1000……(31)
YS=(YT-YT)/1000……(32)
【0122】
これらの式(29)~(32)を用いて、トナー消費速度算出部3505は、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までの期間の各色のトナー消費速度KS、CS、MS、YSを算出する。尚、これらトナー消費速度KS、CS、MS、YSは、1枚あたりのトナー消費量として算出される。
【0123】
つづくステップSP33において、目標印刷濃度決定部3506は、トナー消費速度算出部3505に、次回の濃度補正処理実行時における、各色のトナー残量の目標値を算出する指示を出す。トナー残量の目標値は各色同一であり、現在トナー残量が一番多い色のトナーを、上述のステップSP32で算出したトナー消費速度で次回の濃度補正処理実行時まで消費していった場合のトナー残量(予測値)となる。
【0124】
この為、トナー消費速度算出部3505は、ステップSP31で算出された各色のトナー残量KT、CT、MT、YTのうち、一番多いトナー残量(ここでは一例としてブラックのトナー残量KTとする)を取得するとともに、ステップSP32で算出された各色のトナー消費速度KS、CS、MS、YSのうち、トナー残量が一番多い色のトナー消費速度(ここでは一例としてブラックのトナー消費速度KSとする)を取得する。
【0125】
ここで、次回の濃度補正処理実行時における、ブラックのトナー残量の目標値(予測値)をKT、シアンのトナー残量の目標値をCT、マゼンタのトナー残量の目標値MT、イエローのトナー残量の目標値をYTとすると、これらは以下の式(33)~(36)により求めることができる。
【0126】
KT=KT-KS×1000……(33)
CT=KT……(34)
MT=KT……(35)
YT=KT……(36)
【0127】
これらの式(33)~(36)を用いて、トナー残量算出部3504は、次回の濃度補正処理実行時における各色のトナー残量の目標値KT、CT、MT、YT(単位は[%])を算出する。尚、トナー残量算出部3504は、トナー残量が一番多い色のトナーがシアン、マゼンタ、イエローのいずれかであった場合も、ブラックの場合と同様にして、各色のトナー残量の目標値KT、CT、MT、YTを算出する。
【0128】
つづくステップSP34において、目標印刷濃度決定部3506は、トナー消費速度算出部3505に、次回の濃度補正処理実行時における各色のトナー残量が目標値KT、CT、MT、YTとなる為に必要な各色のトナー消費速度の目標値(つまり次回の濃度補正処理実行時までの各色のトナー消費速度の目標値)を算出する指示を出す。
【0129】
ここで、ブラックのトナー消費速度の目標値をKS、シアンのトナー消費速度の目標値をCS、マゼンタのトナー消費速度の目標値をMS、イエローのトナー消費速度の目標値をYSとすると、これらは以下の式(37)~(40)により求めることができる。
【0130】
KS=KS=(KT-KT)/1000……(37)
CT=(CT-CT)/1000……(38)
MT=(MT-MT)/1000……(39)
YT=(YT-YT)/1000……(40)
【0131】
これらの式(37)~(40)を用いて、トナー消費速度算出部3505は、次回の濃度補正処理実行時における各色のトナー残量が目標値KT、CT、MT、YTとなる為に必要な各色のトナー消費速度の目標値KS、CS、MS、YSを算出する。尚、ここではブラックのトナー残量が一番多くなっている為、ブラックのトナー消費速度の目標値KSは、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までのトナー消費速度KSと同一になる。
【0132】
つづくステップSP35において、目標印刷濃度決定部3506は、トナー消費速度算出部3505に、前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までの各色のトナー消費速度と、次回の濃度補正処理実行時までの各色のトナー消費速度の目標値との比率(トナー消費速度比率と呼ぶ)を算出する指示を出す。
【0133】
ここで、ブラックのトナー消費速度比率をKS、シアンのトナー消費速度比率をCS、マゼンタのトナー消費速度比率をMS、イエローのトナー消費速度比率をYSとすると、これらは以下の式(41)~(44)により求めることができる。
【0134】
KS=KS/KS……(41)
CS=CS/CS……(42)
MS=MS/MS……(43)
YS=YS/YS……(44)
【0135】
これらの式(41)~(44)を用いて、トナー消費速度算出部3505は、各色のトナー消費速度比率KS、CS、MS、YSを算出する。尚、ここではブラックのトナー残量が一番多くなっている為、ブラックのトナー消費速度比率は1となる。
【0136】
つづくステップSP36において、目標印刷濃度決定部3506は、今回の濃度補正処理で目標印刷濃度値を決定する為の補正値(目標印刷濃度補正値と呼ぶ)を算出する。この算出には、記憶手段3507に記憶されている、目標印刷濃度補正値テーブル50(図4(E))を用いる。
【0137】
目標印刷濃度補正値テーブル50のテーブル値は、目標印刷濃度補正値と各色のトナー消費速度比率KS、CS、MS、YSとの関係を表す1次近似式の係数である係数Cと係数Dを実験的に求めたものである。尚、目標印刷濃度補正値テーブル50には、Duty50%の場合の目標印刷濃度補正値と各色のトナー消費速度比率KS、CS、MS、YSとの関係を表す1次近似式の係数C(K50(C)等)及び係数D(K50(D)等)と、Duty100%の場合の目標印刷濃度補正値と各色のトナー消費速度比率KS、CS、MS、YSとの関係を表す1次近似式の係数C(K100(C)等)及び係数D(K100(D)等)とが記されている。
【0138】
ここで、Duty50%のブラックの目標印刷濃度補正値をΔKOD50、シアンの目標印刷濃度補正値をΔCOD50、マゼンタの目標印刷濃度補正値をΔMOD50、イエローの目標印刷濃度補正値をΔYOD50とし、Duty100%のブラックの目標印刷濃度補正値をΔKOD100、シアンの目標印刷濃度補正値をΔCOD100、マゼンタの目標印刷濃度補正値をΔMOD100、イエローの目標印刷濃度補正値をΔYOD100とすると、これらは以下の式(45)~(52)により求めることができる。
【0139】
ΔKOD50=K50(C)×KS+K50(D)……(45)
ΔCOD50=C50(C)×CS+C50(D)……(46)
ΔMOD50=M50(C)×MS+M50(D)……(47)
ΔYOD50=Y50(C)×YS+Y50(D)……(48)
ΔKOD100=K100(C)×KS+K100(D)……(49)
ΔCOD100=C100(C)×CS+C100(D)……(50)
ΔMOD100=M100(C)×MS+M100(D)……(51)
ΔYOD100=Y100(C)×YS+Y100(D)……(52)
【0140】
これらの式(45)~(52)を用いて、目標印刷濃度決定部3506は、Duty50%の場合の各色の目標印刷濃度補正値をΔKOD50、ΔCOD50、ΔMOD50、ΔYOD50と、Duty100%の場合の各色の目標印刷濃度補正値ΔKOD100、ΔCOD100、ΔMOD100、ΔYOD100を算出する。
【0141】
つづくステップSP37において、目標印刷濃度決定部3506は、目標印刷濃度値を算出する。具体的には、トナー消費速度算出部3505は、記憶手段3508から、前回の濃度補正処理実行時に決定した各色の目標印刷濃度値を読み出す。ここで、前回の濃度補正処理実行時に決定したDuty50%の場合のブラック、シアン、マゼンタ、イエローの目標印刷濃度値を、それぞれKODB50、CODB50、MODB50、YODB50とし、前回の濃度補正処理実行時に決定したDuty100%の場合のブラック、シアン、マゼンタ、イエローの目標印刷濃度値を、それぞれKODB100、CODB100、MODB100、YODB100とする。さらに今回の濃度補正処理で決定されるDuty100%の場合のブラック、シアン、マゼンタ、イエローの目標印刷濃度値を、それぞれKODT50、CODT50、MODT50、YODT50とし、今回の濃度補正処理で決定されるDuty100%の場合のブラック、シアン、マゼンタ、イエローの目標印刷濃度値を、それぞれKODT100、CODT100、MODT100、YODT100とすると、これらは以下の式(53)~(60)により求めることができる。
【0142】
KODT50=KODB50+ΔKOD50……(53)
CODT50=CODB50+ΔCOD50……(54)
MODT50=MODB50+ΔMOD50……(55)
YODT50=YODB50+ΔYOD50……(56)
KODT100=KODB100+ΔKOD100……(57)
CODT100=CODB100+ΔCOD100……(58)
MODT100=MODB100+ΔMOD100……(59)
YODT100=YODB100+ΔYOD100……(60)
【0143】
これらの式(53)~(60)を用いて、目標印刷濃度決定部3506は、前回の濃度補正処理実行時に決定した目標印刷濃度値を、今回の濃度補正処理により算出した目標印刷濃度補正値により補正することで、今回の目標印刷濃度値を決定する。
【0144】
目標印刷濃度決定処理動作の手順は、以上のようになっている。このように、目標印刷濃度決定部3506は、次回の濃度補正処理実行時までに各色のトナー残量が、現在トナー残量の一番多い色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量(推定値)と同じになる為に必要な各色のトナー消費速度を算出し、そのトナー消費速度を実現し得る印刷濃度となるように各色の目標印刷濃度値を決定する。
【0145】
尚、この目標印刷濃度決定処理動作は、トナーカートリッジ800が新品に交換された際にも実行される。この場合、各色のトナー残量は全て100[%]となる為、今回の目標印刷濃度値KODT50、CODT50、MODT50、YODT50と、KODT100、CODT100、MODT100、YODT100の算出には、記憶手段3507に記憶されている目標印刷濃度基準値テーブル47(図4(B))を用いる。
【0146】
この目標印刷濃度基準値テーブル47には、Duty50%の場合の目標印刷濃度の基準値(KODS50等)と、Duty100%の場合の目標印刷濃度の基準値(KODS100等)とが記されている。
【0147】
この場合、目標印刷濃度値KODT50、CODT50、MODT50、YODT50と、KODT100、CODT100、MODT100、YODT100は、以下の式(61)~(68)により求めることができる。
【0148】
KODT50=KODS50……(61)
CODT50=CODS50……(62)
MODT50=MODS50……(63)
YODT50=YODS50……(64)
KODT100=KODS100……(65)
CODT100=CODS100……(66)
MODT100=MODS100……(67)
YODT100=YODS100……(68)
【0149】
目標印刷濃度決定部3506は、トナーカートリッジ800が新品に交換された際には、これらの式(61)~(68)を用いて、目標印刷濃度基準値テーブル47に記されている目標印刷濃度の基準値を、目標印刷濃度値として決定する。
【0150】
ところで、上述した目標印刷濃度決定処理動作では、Duty100%の目標印刷濃度については、次回の濃度補正処理実行時までに各色のトナー残量が、現在トナー残量の一番多い色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量(推定値)と同じになる為に必要な各色のトナー消費速度を算出し、そのトナー消費速度を実現し得る印刷濃度となるようにした。一方で、Duty50%の目標印刷濃度については、目標印刷濃度基準値テーブル47に記されている基準値(初期値)を維持し続けるようになっている。つまり、上述した目標印刷濃度決定処理動作では、Duty50%の各色の目標印刷濃度補正値ΔKOD50、ΔCOD50、ΔMOD50、ΔYOD50がほぼ0となるようになっていて、これにより、Duty50%の目標印刷濃度は、目標印刷濃度基準値テーブル47に記されている基準値(初期値)を維持し続けるようになっている。
【0151】
この理由について詳しくは後述するが、簡単に説明すると、低Duty部から中間Duty部までの印刷濃度を薄くさせると、高Duty部の印刷濃度を薄くする場合と比較して、印刷品質の低下が大きくなる為である。
【0152】
[4.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1に、各色の現像剤画像としてのトナー画像を像担持体としての感光ドラム301~304上に形成する複数の画像形成部としての印刷機構101~104と、印刷機構101~104のそれぞれに供給するトナーを収容する現像剤収容部としてのトナー収容部801~804と、印刷機構101~104のそれぞれで形成された補正用現像剤画像としてのパッチ(ブラックパッチ1101K、シアンパッチ1101C、マゼンタパッチ1101M、イエローパッチ1101Y、及びブラックパッチ1102K、シアンパッチ1102C、マゼンタパッチ1102M、イエローパッチ1102Y)を担持可能なベルト部材としての搬送ベルト11と、印刷機構101~104のそれぞれで形成されたパッチを搬送ベルト11に転写する転写部としての転写ローラ1001~1004と、パッチの印刷濃度を検出する濃度検出部としての濃度センサ31及び検出電圧濃度値変換部3503と、濃度センサ31及び検出電圧濃度値変換部3503により検出された各色の印刷濃度がそれぞれ目標印刷濃度となるように補正する濃度補正部としての濃度補正制御部3502と、前記目標印刷濃度を決定する目標印刷濃度決定部3506と、トナー収容部801~804に収容されている各色のトナー残量を検出する現像剤残量検出部としてのトナー残量算出部3504とを設けた。
【0153】
そして目標印刷濃度決定部3506が、トナー収容部801~804に収容されている各色のトナー残量の差に基づいて、各色の目標印刷濃度を決定するようにした。このとき、目標印刷濃度決定部3506は、トナー残量が最も多い色以外の色の目標印刷濃度を、トナー残量が最も多い色の目標印刷濃度よりも低くする。さらにいうと、目標印刷濃度決定部3506は、トナー残量が最も多い色以外の色の目標印刷濃度を、トナー残量が最も多い色とのトナー残量の差が大きいほど低くする。
【0154】
より具体的には、目標印刷濃度決定部3506は、次回の濃度補正時までに各色のトナー残量が、現在トナー残量の一番多い色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量(予測値)と同じになる為の各色のトナー消費速度を算出し、そのトナー消費速度を実現し得る印刷濃度(各色のトナー残量が同じになると予測される印刷濃度)となるように、各色の目標印刷濃度を決定するようにした。つまり、目標印刷濃度決定部3506は、次回の濃度補正時までに各色のトナー残量が同じになるように、現在トナー残量が一番多い色以外の色については、トナー残量が一番多い色よりもトナー消費速度が遅くなるように目標印刷濃度を低くした。
【0155】
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、各色のトナー残量の差に基づいて各色の目標印刷濃度を決定するようにしたことにより、各色のトナー残量の差をなくすことができ、この結果として、各色のトナー補充タイミングを合わせることができる。このことは、特にトナー収容部801~804を一体化したトナーカートリッジ800を有する画像形成装置1で効果的であり、特定の色のトナーのみが少なくなって他の色のトナーがまだ十分残っているにも関わらず、トナーカートリッジ800を交換しなければならないといった状況を回避することができる。
【0156】
また本実施の形態の画像形成装置1では、トナー残量の一番多い色以外の色については、次回の濃度補正時までトナー消費速度を遅くしてトナー消費を抑制することになる為、結果として、トナーカートリッジ800交換までの印刷枚数を増加させることもできる。
【0157】
ところで、一般的にトナー消費を抑制する為には、印刷濃度を低Dutyから高Dutyまで全体的に低下させてトナー消費速度を遅くすればよい。しかしながら、この方法では、トナー残量が少ない色の印刷濃度が低Dutyから高Dutyまで全体的に低下してしまう為、他の色とのカラーバランスが崩れてしまう。特に、写真のような低Dutyから中間Dutyを多用する画像の場合に、この問題が顕著となり、トナー消費を抑制できるが印刷品質の低下が大きくなる。
【0158】
そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、低Dutyから中間Dutyの印刷濃度は維持したまま、トナー消費を抑制できるようになっている。このような効果が得られる理由について、以下に説明する。まず図10(A)、(B)に、用紙P(もしくは搬送ベルト11)に印刷されたトナー画像Tp1を真上から見た場合と真横から見た場合の模式図を示す。また図10(C)、(D)に、用紙P(もしくは搬送ベルト11)に印刷されたトナー画像Tp2を真上から見た場合と真横から見た場合の模式図を示す。
【0159】
図10(A)、(B)に示すトナー画像Tp1は、ドット径が120[μm]、ドット高さ(つまりトナー層厚)が7[μm]である複数のドットDt1で形成されている。一方で、図10(C)、(D)に示すトナー画像Tp2は、ドット径が145[μm]、ドット高さ(つまりトナー層厚)が5[μm]である複数のドットDt2で形成されている。尚、ドットDt1、Dt2は、600dpiのドット(ドット径が42[μm])複数個で形成された集合ドットである。
【0160】
ここで、トナー画像Tp1とトナー画像Tp2とを比較すると、1ドットあたりのトナー量についてはトナー画像Tp1とトナー画像Tp2とでほぼ等しい。一方で、印刷濃度についてはトナー画像Tp1よりもトナー画像Tp2の方が約20%高くなっている。このことは、1ドットあたりのトナー量が同じトナー画像であれば、トナー層厚が大きい方よりも、ドット径が大きい方が、真上から見た場合の1ドットあたりの占有面積が大きくなって印刷濃度が高くなることを意味している。
【0161】
本実施の形態の画像形成装置1では、この現象を利用し、濃度補正処理動作時に、トナー残量が少ない色に対して、現像手段としての現像ローラ401~404に供給する現像電圧を下げてトナー層厚を薄くすることでトナー消費を抑制するとともに、露光手段としてのLEDヘッド901~904のLED駆動時間(つまり露光時間)を長くして1ドットあたりのトナー量は変えずにドット径を大きくすることで印刷濃度の低下を抑制するようになっている。
【0162】
ここで、図11(A)、(B)に画像形成装置1における印刷濃度とDuty[%]の関係を表すグラフを示し、図11(C)に画像形成装置1におけるトナー量とDuty[%]の関係を表すグラフを示す。図11(A)のグラフには、現像電圧を下げる前の印刷濃度(実線曲線)と、現像電圧を下げた後の印刷濃度(点線曲線)を示している。この図11(A)に示すように、現像電圧を下げると、これにともなって印刷濃度は低Dutyから高Dutyまで全体的に低下する。尚、現像電圧を下げると、低Dutyよりも高Dutyの方が印刷濃度の低下度合いが大きくなる。
【0163】
図11(B)のグラフには、現像電圧を下げる前の印刷濃度(実線曲線)と、現像電圧を下げてさらにLED駆動時間を長くした場合の印刷濃度(点線曲線)とを示している。この図11(B)に示すように、現像電圧を下げてさらにLED駆動時間を長くすると、LED駆動時間を長くしたことにより、低Dutyから中間Dutyまでの印刷濃度の低下が抑制される。
【0164】
図11(C)のグラフには、現像電圧を下げる前のトナー量(実線曲線)と、現像電圧を下げてさらにLED駆動時間を長くした場合のトナー量(点線曲線)とを示している。この図11(C)に示すように、トナー量は現像電圧が下がることにともなって、低Dutyから高Dutyまで全体的に低下する。
【0165】
つまり、画像形成装置1では、濃度補正制御部3502が、トナー残量が少ない色に対して、現像電圧を下げてトナー量を減少させることでトナー消費を抑制することができ、LED駆動時間を長くすることで低Dutyから中間Dutyまでの印刷濃度の低下を抑制することができる。かくして、本実施の形態の画像形成装置1では、印刷品質の低下を抑制しつつ、各色のトナー残量の差をなくすことができる。
【0166】
[5.他の実施の形態]
[5-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、目標印刷濃度決定部3506が、式(53)~(60)を用いて、前回の濃度補正処理実行時に決定した目標印刷濃度値を、今回の濃度補正処理により算出した目標印刷濃度補正値により補正することで、今回の目標印刷濃度値を決定するようにした。ここで、今回の目標印刷濃度値が低くなり過ぎると、当該目標印刷濃度値を用いて濃度補正処理動作を実行した際に、高Dutyの濃度が低下し過ぎて印刷品質の低下が顕著となってしまう。
【0167】
そこで、目標印刷濃度値に下限となる閾値を設け、目標印刷濃度決定部3506が、式(53)~(60)を用いて算出した目標印刷濃度値が当該閾値よりも小さい値となった場合には、当該閾値を目標印刷濃度値とするようにしてもよい。こうすることで、高Dutyの濃度が低下し過ぎることを防止して、印刷品質の低下を抑制できる。
【0168】
[5-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、現像電圧を下げるとともにLED駆動時間を長くすることで、低Dutyから中間Dutyまでの印刷濃度の低下を抑制しつつ、トナー消費を抑制するようにした。ここで、例えば画像形成装置1が印刷品質よりも印刷枚数を重視する用途で使用される場合には、現像電圧を下げるだけにしてLED駆動時間は変更しないようにしてもよい。この場合、印刷品質の低下を抑制することはできないが、各色のトナー残量の差はなくすことができ、印刷枚数を増加させることができる。
【0169】
[5-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、濃度補正処理時に、Duty100%で印刷した濃度検出パターン1101を用いて現像電圧の補正を行い、Duty50%で印刷した濃度検出パターン1102を用いてLED駆動時間の補正を行うようにした。ここで、濃度検出パターンのDuty(つまり濃度検出パターンを構成する各パッチのDuty)については、100%と50%に限らず、例えば90%の高Dutyで印刷した濃度検出パターンを用いて現像電圧の補正を行い、60%の中間Dutyで印刷した濃度検出パターンを用いてLED駆動時間の補正を行うなどしてもよい。またこれに限らず、Dutyが異なる3つ以上の濃度検出パターンを用いて、現像電圧とLED駆動時間の補正を行うようにしてもよい。例えば、Duty100%で印刷した濃度検出パターン1101に対する検出結果と、図示しないDuty70%で印刷した濃度検出パターンに対する検出結果を用いて、現像電圧の補正を行い、Duty70%で印刷した濃度検出パターンに対する検出結果と、図示しないDuty30%で印刷した濃度検出パターンに対する検出結果を用いて、LED駆動時間の補正を行うなどしてもよい。
【0170】
[5-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置1の機構制御部35が、所定枚数(例えば1000枚)印刷するごとに濃度補正処理動作を実行するようにした。これに限らず、例えば感光ドラム301~304が所定回数回転するごとに濃度補正処理動作を実行したり、所定時間経過するごとに濃度補正処理動作を実行したりしてもよい。
【0171】
さらに上述した実施の形態では、Duty100%の目標印刷濃度について、次回の濃度補正処理実行時までに各色のトナー残量が、現在トナー残量の一番多い色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量(予測値)と同じになる為に必要な各色のトナー消費速度を算出し、そのトナー消費速度を実現し得る印刷濃度となるようにした。これに限らず、Duty100%の目標印刷濃度については、現在トナー残量の一番多い色のトナー残量が0になるときに、各色のトナー残量も0となる為に必要な各色のトナー消費速度を算出し、そのトナー消費速度を実現し得る印刷濃度となるようにしてもよい。
【0172】
[5-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、Duty50%の目標印刷濃度については、目標印刷濃度補正値ΔKOD50、ΔCOD50、ΔMOD50、ΔYOD50がほぼ0となることにより、目標印刷濃度基準値テーブル47に記されている基準値(初期値)を維持し続けるようにした。ここで、目標印刷濃度補正値ΔKOD50、ΔCOD50、ΔMOD50、ΔYOD50をほぼ0とするのではなく、目標印刷濃度基準値テーブル47に記されている基準値(初期値)をそのままDuty50%の目標印刷濃度とするようにしてもよい。このようにすれば、式(45)~(48)などを省略して目標印刷濃度決定処理を簡略化することができる。
【0173】
[5-6.他の実施の形態6]
さらに上述した実施の形態では、トナー残量算出部3504が、トナーカートリッジ800が新品のときから現在までに印刷された画像におけるコマンド/画像処理部33でビットマップに展開された各色の画像データのドット数の累積値と、新品のトナーカートリッジ800に収容されている各色のトナーの量をドット数に変換した値とを用いて、各色のトナー残量を算出するようにした。これに限らず、他の方法で、各色のトナー残量を検出するようにしてもよい。例えば、トナー収容部801~804内に設けたセンサの検出結果を用いてトナー残量を検出するなどしてもよい。
【0174】
[5-7.他の実施の形態7]
さらに上述した実施の形態では、濃度補正制御部3502が、トナー残量が最も多い色の前回の濃度補正処理実行時から今回の濃度補正処理実行時までのトナー消費速度に基づいて、トナー残量が最も多い色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量を予測し、予測したトナー残量を、他の色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量の目標値とした。これに限らず、濃度補正制御部3502が、トナー残量が最も多い色のトナーカートリッジ800の新品交換時から現在までのトナー消費速度に基づいて、トナー残量が最も多い色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量を予測し、予測したトナー残量を、他の色の次回の濃度補正処理実行時のトナー残量の目標値としてもよい。
【0175】
[5-8.他の実施の形態8]
さらに上述した実施の形態では、4つのトナー収容部801~804を有する画像形成装置1に本発明を適用した場合について述べたが、本発明は、少なくとも2つ以上のトナー収容部を有する画像形成装置に適用することができる。
【0176】
さらに上述した実施の形態では、4つのトナー収容部801~804が1つの交換可能なトナーカートリッジ800として一体化されている画像形成装置1に本発明を適用した場合について述べたが、これに限らず、複数のトナー収容部がそれぞれ別々に交換可能な複数のトナーカートリッジに設けられている画像形成装置に適用することもできる。このような画像形成装置の場合、本発明を適用することで、各トナーカートリッジの交換タイミングを合わせることができる。
【0177】
さらに上述した実施の形態では、通常印刷時には画像形成部としての印刷機構101~104により感光ドラム301~304上に形成した現像剤画像としてのトナー像をベルト部材としての搬送ベルト11により搬送されてくる用紙に転写し、濃度補正時には感光ドラム301~304上に形成した濃度補正用画像としてのパッチを搬送ベルト11に転写する方式(いわゆる直接転写方式)の画像形成装置1に本発明を適用した場合について述べた。これに限らず、本発明は、通常印刷時には画像形成部により形成した現像剤画像を、ベルト部材としての中間転写ベルトに一次転写した後、当該中間転写ベルトから用紙に二次転写し、濃度補正時には画像形成部により形成した濃度補正用画像を中間転写ベルトに転写する方式(いわゆる中間転写方式)の画像形成装置にも適用することができる。さらに上述した実施の形態では、電子写真方式のカラープリンタである画像形成装置1に本発明を適用した場合について述べたが、本発明は、電子写真方式の印刷機構を備えるコピー機、複合機、ファックスなどの画像形成装置にも適用することができる。
【0178】
[5-9.他の実施の形態9]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は、例えば、電子写真方式のプリンタなどで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0180】
1……画像形成装置、11……搬送ベルトプリンタ、31……濃度センサ、34……LEDヘッドインタフェース部、35……機構制御部、41……高圧制御部、43……現像電圧発生部、46……濃度値変換テーブル、47……目標印刷濃度基準値テーブル、48……現像電圧値調整量テーブル、49……LED駆動時間調整量テーブル、50……目標印刷濃度補正値テーブル、101~104……印刷機構、301~304……感光ドラム、401~404……現像ローラ、800……トナーカートリッジ、801~804……トナー収容部、901~904……LEDヘッド、1001~1004……転写ローラ、1101、1102……濃度検出パターン、3501……濃度補正処理実行判定部、3502……濃度補正制御部、3503……検出電圧濃度値変換部、3504……トナー残量算出部、3505……トナー消費速度算出部、3506……目標印刷濃度決定部、3507、3508……記憶手段、P……用紙。
図1
図2
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図5
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図11