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特開2023-11940柔軟性積層フィルムおよびこれを含む表示装置
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  • 特開-柔軟性積層フィルムおよびこれを含む表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011940
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】柔軟性積層フィルムおよびこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/14 20150101AFI20230117BHJP
【FI】
G02B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181412
(22)【出願日】2022-11-11
(62)【分割の表示】P 2021027366の分割
【原出願日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0025248
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】金,聖敏
(72)【発明者】
【氏名】金,拏延
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハードコート層、第1基材層、接着層または粘着層、および第2基材層を含み、優れた耐スクラッチ性、柔軟性および屈曲特性を有しかつ、カール(curl)が少ない柔軟性積層フィルムおよび前記柔軟性積層フィルムを含む表示装置を提供する。
【解決手段】第1基材層と、前記第1基材層の一面に配置された第2基材層と、前記第1基材層および前記第2基材層の間に配置された接着層または粘着層と、前記第1基材層の他面に配置されたハードコート層とを含み、下記数式1および下記数式2を満たす、柔軟性積層フィルムを提供する。
(数式1)
80μm≦A1+A2+HC+B≦190μm

(A1は第1基材層の厚さであり、A2は第2基材層の厚さであり、HCはハードコート層の厚さであり、Bは接着層または粘着層の厚さである。)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層と、
前記第1基材層の一面に配置された第2基材層と、
前記第1基材層および前記第2基材層の間に配置された接着層または粘着層と、
前記第1基材層の他面に配置されたハードコート層とを含み、
下記数式1および下記数式2を満たす、柔軟性積層フィルム。
(数式1)
80μm≦A1+A2+HC+B≦190μm
【数1】

(数式1および2中、
A1は第1基材層の厚さであり、A2は第2基材層の厚さであり、HCはハードコート層の厚さであり、Bは接着層または粘着層の厚さである。)
【請求項2】
前記第1基材層および前記第2基材層は、それぞれ独立して透明プラスチック基材である、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層を除いた前記柔軟性積層フィルムの引張弾性率が4GPa以上である、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項4】
前記柔軟性積層フィルムの鉛筆硬度は4H以上である、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項5】
前記接着層は、接着剤を含み、前記粘着層は、粘着剤を含む、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項6】
前記接着層の厚さは0.1μm~10μmである、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項7】
前記粘着層の厚さは2μm~50μmである、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項8】
前記柔軟性積層フィルムは、前記フィルムの周縁と前記フィルム中の最も高い部分との差が5mm以下である、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項9】
前記柔軟性積層フィルムは、屈曲半径2.5mmで240時間屈曲させた時にクラックが発生しない、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項10】
前記ハードコート層のマルテンス硬度が350N/mm以上である、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項11】
前記柔軟性積層フィルムは、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウ基板である、請求項1に記載の柔軟性積層フィルム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の柔軟性積層フィルムを含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性積層フィルムおよび前記柔軟性積層フィルムを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPCなどの携帯用表示装置の高性能化および大衆化に伴い、それに関する研究も活発に行われている。例えば、軽量のフレキシブル(湾曲型(bendable)または折り畳み型(foldable))携帯用表示装置を商用化するための研究および開発が進められている。液晶ディスプレイなどの携帯用表示装置は、液晶層などの表示モジュールを保護するための保護ウィンドウ(protective window)を有する。現在、大部分の携帯用表示装置は硬いガラス基材を含むウィンドウを用いている。しかし、ガラスは外部衝撃によって割れやすく、携帯用表示装置などへの適用時に破損が起こりやすいだけでなく、柔軟な性質がなくてフレキシブル表示装置に適用できない。そこで、表示装置における保護ウィンドウをプラスチックフィルムに代替しようとする試みがある。
【0003】
しかし、プラスチックフィルムは、外部に露出する表示装置の保護ウィンドウにおける使用のために要求される日常生活での耐スクラッチ性のような機械的物性(硬度)をさらに改善する必要がある。また、同時にフレキシブル表示装置に用いるための優れた屈曲特性および柔軟性も満たさなければならない。ところが、通常のハードコートフィルムは架橋密度の増加によって耐摩耗性が増加するが、コーティング層の収縮性によってコーティング層方向にカール(Curl)が発生する。また、このようなカール(Curl)は、保護フィルム接合工程、ブラックマトリックス(BM)処理工程と耐指紋層処理工程でトラブルを起こして工程の進行を困難にする。さらに、カール(Curl)がよりひどくなると、クラックが発生し、屈曲性が低下しうる。
【0004】
大韓民国登録特許第10-1415838号はハードコート組成物に関する発明で、前記ハードコート組成物を用いて、支持基材の両面に第1ハードコート層と第2ハードコート層とが形成されたハードコートフィルムを開示しているが、フレキシブル表示装置、特にフォールダブル表示装置の商用化が可能な水準の屈曲特性および柔軟性は満たしていないのが現状である。
【0005】
そこで、実際のフレキシブル表示装置において商用化が可能な水準の高硬度、柔軟性および屈曲特性を同時に満たすフィルムの開発が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1415838号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点を改善するためのものであって、ハードコート層、第1基材層、接着層または粘着層、および第2基材層を含み、優れた耐スクラッチ性、柔軟性および屈曲特性を有しかつ、カール(curl)が少ない柔軟性積層フィルムおよび前記柔軟性積層フィルムを含む表示装置を提供することを目的とする。
しかし、本願が解決しようとする課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、第1基材層と、前記第1基材層の一面に配置された第2基材層と、前記第1基材層および前記第2基材層の間に配置された接着層または粘着層と、前記第1基材層の他面に配置されたハードコート層とを含み、下記数式1および下記数式2を満たす、柔軟性積層フィルムを提供する。
(数式1)
80μm≦A1+A2+HC+B≦190μm
【数1】

(数式1および2中、A1は第1基材層の厚さであり、A2は第2基材層の厚さであり、HCはハードコート層の厚さであり、Bは接着層または粘着層の厚さである。)
【0009】
また、本発明は、前記柔軟性積層フィルムを含む、表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の柔軟性積層フィルムは、全厚さが80~190μmであり、第1基材層および第2基材層の厚さの合計に対するハードコート層の厚さ比が6~16の範囲を満たすことにより、2.5Rの屈曲半径で優れた柔軟性を有し、鉛筆硬度に優れて耐スクラッチ性を示し、硬化後のカール(curl)が少なくて、ブラックマトリックス印刷工程、耐指紋層コーティング工程などのような後工程でトラブルのない工程性に優れた効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る柔軟性積層フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、第1基材層、接着層または粘着層、第2基材層、およびハードコート層を含む柔軟性積層フィルムおよび前記柔軟性積層フィルムを含む表示装置に関し、前記柔軟性積層フィルムは、フレキシブル表示装置のカバーウィンドウ基板として使用できる。
【0013】
<柔軟性積層フィルム>
本発明の柔軟性積層フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の一面に配置された第2基材層と、前記第1基材層および前記第2基材層の間に配置された接着層または粘着層と、前記第1基材層の他面に配置されたハードコート層とを含み(図1)、下記数式1および下記数式2を満たすことを特徴とする。
(数式1)
80μm≦A1+A2+HC+B≦190μm
【数2】

数式1および2中、A1は第1基材層の厚さであり、A2は第2基材層の厚さであり、HCはハードコート層の厚さであり、Bは接着層または粘着層の厚さである。
【0014】
本明細書において、「全厚さ」は、前記数式1による値を意味し、「厚さ比」は、前記数式2による値を意味する。
前述した構成および数式1および数式2を満たす本発明の積層フィルムは、鉛筆硬度および柔軟性に非常に優れている。
本発明に係る柔軟性積層フィルムは、優れた屈曲特性を示し、例えば、屈曲半径2.5mm(2.5R)で240時間屈曲させた時、屈曲部のクラック、破断、浮き上がりなどの不良が発生しない。
【0015】
また、本発明に係る柔軟性積層フィルムは、鉛筆硬度が4H以上と優れた耐スクラッチ性を有し、例えば、ハードコート層側の1kgの荷重下、鉛筆硬度が4H以上、好ましくは6H以上、より好ましくは8H以上である。
本明細書において、「鉛筆硬度」は、積層フィルムに対する荷重は1kgであり、45゜方向に鉛筆をセット後、下部コーティング層が鉛筆側に向かうように積層フィルムをガラス上に固定させた後、各鉛筆硬度を有する鉛筆で5回評価して、4回以上擦れない時の最大鉛筆硬度値である。
【0016】
また、本発明に係る柔軟性積層フィルムは、カール特性に優れ、周縁と前記フィルム中の最も高い部分との差が5mm以下であってもよい。より具体的には、本発明の柔軟性積層フィルムは、硬化後のカールが5mm以下で、カール特性に優れていて、後工程での工程性に優れた効果を提供することができる。
本明細書において、「カール(Curl)」は、積層フィルムを一定の大きさに裁断した後、底面(平面)に置いて、約25℃および約50%相対湿度で、好ましくは24時間放置した時、底面(平面)から積層フィルムの周縁(四角形に裁断したフィルムの場合、4箇所の周縁であってよい。)部分までの最高高さを測定して得た値である。
【0017】
第1基材層
本発明の柔軟性積層フィルムは、第1基材層を含み、前記第1基材層は、ハードコート層を支持する役割を果たす。
前記第1基材層は、引張弾性率が3GPa以上であることが好ましく、より好ましくは、引張弾性率が4GPa以上が良い。前記第1基材層の引張弾性率が3GPa以上の場合、優れた硬度を示すことができる。前記第1基材層の引張弾性率が3GPaより低い場合には、ハードコート層の硬度が高くても、基材フィルムの強度が弱くて、鉛筆硬度の評価時にフィルムが変形し、十分な強度を発揮しにくい。前記3GPa以上の引張弾性率は、第1基材層をなす高分子の重合時に官能基の種類、モル%などを調節することにより得られる。
【0018】
第1基材層の厚さは下記数式1および2を満たす範囲であれば特に限定されないが、例えば、前記式を満たす第1基材層の厚さは10~190μm、好ましくは20~100μm、より好ましくは30~80μmであってもよい。前記数式1による全厚さが80~190μmでかつ、前記数式2による厚さ比が6~16であることを満たす場合、ハードコート層から発生するカールを5mm以下に制御可能なため、前記式を満たす第1基材層の厚さが好ましい。
(数式1)
80μm≦A1+A2+HC+B≦190μm
【数3】

数式1および2中、A1は第1基材層の厚さであり、A2は第2基材層の厚さであり、HCはハードコート層の厚さであり、Bは接着層または粘着層の厚さである。
【0019】
前記第1基材層は、透明性のあるプラスチックフィルムであって、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、またはアセチルプロピオニルセルロースなどから選択されるセルロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびエポキシの中から選択されたものを使用することができる。
【0020】
第2基材層
本発明の積層フィルムは、前記第1基材層の一面に配置された第2基材層をさらに含む。また、第2基材層は、前記第1基材層と同一のものを使用することができ、第2基材層の引張弾性率は3GPa以上であることが好ましく、より好ましくは4GPa以上が良い。ハードコート層を除いた本発明の柔軟性積層フィルム、すなわち、第1基材層、第2基材層、および接着層および/または粘着層を含む本発明の柔軟性積層フィルム全体の引張弾性率は4GPa以上が好ましく、より好ましくは5GPa以上が良い。第1基材層と第2基材層とを含む積層フィルムの引張弾性率が4GPa以上であれば、剛性を向上させて、高硬度の厚膜ハードコート層から発生するカールを安定化させることができる。
【0021】
第2基材層の厚さは下記数式1および2を満たす範囲であれば特に限定されないが、例えば、前記式を満たす第2基材層の厚さは10~190μm、好ましくは20~100μm、より好ましくは30~80μmであってもよい。
(数式1)
80μm≦A1+A2+HC+B≦190μm
【数4】

前記数式1および2中、A1は第1基材層の厚さであり、A2は第2基材層の厚さであり、HCはハードコート層の厚さであり、Bは接着層または粘着層の厚さである。
【0022】
前記数式1による全厚さが80~190μmでかつ、前記数式2による厚さ比が6~16であることを満たす場合、鉛筆硬度が4H以上でかつ、ハードコート層から発生するカールを5mm以下に制御可能で、積層フィルムの工程性の面で優れている。
前記数式2による厚さ比が6より小さければ、基材層の厚さに比べてハードコート層の厚さが厚いので、カールがひどくて、工程性に劣り、厚さ比が16より大きい場合は、基材が厚くてカールを安定化させることができるが、柔軟性が不十分で屈曲半径2.5mmの屈曲試験に耐えられない。
【0023】
前記第2基材層は、透明性のあるプラスチックフィルムであって、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、またはアセチルプロピオニルセルロースなどから選択されるセルロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびエポキシの中から選択されたものを使用することができる。
【0024】
接着層または粘着層
本発明の柔軟性積層フィルムは、第1基材層および前記第2基材層の間に配置された接着層または粘着層を追加的に含み、接着層または粘着層は、前記第1基材層および第2基材層を互いに付着させる役割を果たす。また、前記接着層は、接着剤を含み、前記粘着層は、粘着剤を含むことができる。
接着層は、接着剤を含む層であってもよく、前記接着層の厚さはその接着力に応じて調節可能であり、0.1μm~10μm、好ましくは1μm~5μmであってもよい。
【0025】
本発明の接着剤は、接合加工後の剥離時に製品の基材層が破壊され、剥離された接着層にはタック性(Tacky)がないものを意味し、前記接着剤としては、接着成分を水に溶解または分散させた水系接着剤、および活性エネルギー線の照射を受けて硬化する活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。前記水系接着剤としては、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を含み、接着性を向上させるためにイソシアネート系化合物やエポキシ化合物などの架橋剤または硬化性化合物を含む組成物などが挙げられる。
偏光コーティング層と位相差コーティング層、または位相差コーティング層を水系接着剤によって接着する場合、水系接着剤を両コーティング層の間に注入した後、上述した乾燥方法で水を蒸発させながら、熱架橋反応を進行させることにより両者に十分な接着性を与えることができる。
【0026】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤としては、エポキシ化合物と陽イオン重合開始剤とを含む陽イオン重合性活性エネルギー線硬化型接着剤、アクリル系硬化成分とラジカル重合開始剤とを含むラジカル重合性活性エネルギー線硬化型接着剤、エポキシ化合物などの陽イオン重合性硬化成分およびアクリル系化合物などのラジカル重合性硬化成分の両者を含み、陽イオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤をさらに含む活性エネルギー線硬化型接着剤、および電子線を照射することにより硬化させる電子線硬化型活性エネルギー線硬化型接着剤などが挙げられる。前記電子線硬化型活性エネルギー線硬化型接着剤は、開始剤を含まない。なかでも、エポキシ化合物と陽イオン重合開始剤とを含む陽イオン重合性活性エネルギー線硬化型接着剤が好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤は、実質的に溶剤を含まないことが好ましい。前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、基材上に塗布した後に活性エネルギー線を照射することにより硬化して接着層が形成される。
【0027】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、増感剤を含んでもよい。増感剤を含むことにより、反応性が向上し、接着層の機械強度や接着強度をさらに向上させることができる。増感剤としては、上述したものが挙げられる。また、活性エネルギー線硬化型接着剤には、その効果を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。配合可能な添加剤としては、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤などが挙げられる。
【0028】
本発明において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることができるエネルギー線と定義される。活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、および電子線などが挙げられる。
【0029】
粘着層は、粘着剤を含む層であってもよく、前記粘着層の厚さはその粘着力に応じて調節可能でありき、2μm~50μm、好ましくは2μm~25μmであってもよい。
【0030】
本発明の粘着剤は、接合加工後、製品を構成する基材の大きな破壊なく剥離可能であり、剥離後の粘着剤層は、再接合が可能なタック性(Tacky)を有しているものを意味し、前記粘着剤としては、アクリル系共重合体および架橋剤を含むアクリル系粘着剤を使用することができる。前記アクリル系共重合体は、炭素数1-12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体と架橋可能な官能基を有する重合性単量体とをラジカル重合させて製造することができる。前記(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。
【0031】
前記炭素数1-12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのうち、n-ブチルアクリレート、メチルアクリレート、またはこれらの混合物が好ましい。これらは、単独または2種以上混合して使用可能である。前記架橋可能な官能基を有する重合性単量体は、下記の架橋剤との化学結合により粘着剤の凝集力または粘着強度を補強して耐久性と切断性を与えるための成分であって、例えば、ヒドロキシ基を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体、アミド基を有する単量体、3級アミン基を有する単量体などが挙げられ、これらは、単独または2種以上混合して使用可能である。
【0032】
ヒドロキシ基を有する単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルキレン基の炭素数が2-4のヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、7-ヒドロキシヘプチルビニルエーテル、8-ヒドロキシオクチルビニルエーテル、9-ヒドロキシノニルビニルエーテル、10-ヒドロキシデシルビニルエーテルなどが挙げられ、これらのうち、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは4-ヒドロキシブチルビニルエーテルが好ましい。
カルボキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの1価の酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの2価の酸、およびこれらのモノアルキルエステル;3-(メタ)アクリロイルプロピオン酸;アルキル基の炭素数が2-3の2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、アルキレン基の炭素数が2-4のヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、およびアルキル基の炭素数が2-3の2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加体に無水コハク酸を開環付加させた化合物などが挙げられ、これらのうち、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0033】
アミド基を有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-3級ブチルアクリルアミド、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリルアミド、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチルヘキシル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらのうち、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
3級アミン基を有する単量体としては、N,N-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N-(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0034】
架橋可能な官能基を有する重合性単量体は、炭素数1-12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体100重量部に対して、0.05~10重量部含まれることが好ましく、0.1~8重量部であることがより好ましい。含有量が0.05重量部未満の場合、粘着剤の凝集力が小さくなって耐久性が低下することがあり、10重量部超過の場合、高いゲル分率によって粘着力に劣り、耐久性に問題を生じることがある。前記アクリル系共重合体は、前記単量体のほか、他の重合性単量体を粘着力を低下させない範囲、例えば、総量に対して10重量%以下でさらに含有することができる。前記アクリル系共重合体の製造方法は特に限定されず、当該分野で通常用いられる塊状重合、溶液重合、乳化重合、または懸濁重合などの方法を利用して製造することができ、溶液重合が好ましい。また、重合時に通常用いられる溶媒、重合開始剤、分子量制御のための連鎖移動剤などを使用することができる。前記アクリル系共重合体は、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography、GPC)によって測定された重量平均分子量(ポリスチレン換算)が通常50,000~2,000,000であり、好ましくは500,000~2,000,000である。
【0035】
前記架橋剤は、共重合体を適切に架橋することにより粘着剤の凝集力を強化するための成分であって、その種類は特に限定されない。例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物などが挙げられ、これらは、単独または2種以上混合して使用可能である。
【0036】
イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;トリメチロールプロパンなどの多価アルコール系化合物1モルにジイソシアネート化合物3モルを反応させた付加体、ジイソシアネート化合物3モルを自己縮合させたイソシアヌレート体、ジイソシアネート化合物3モル中2モルから得られるジイソシアネートウレアに残りの1モルのジイソシアネートが縮合されたビューレット体、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビストリイソシアネートなどの3個の官能基を含有する多官能イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0037】
エポキシ系化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンなどが挙げられる。また、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物と共に、メラミン系化合物を単独または2種以上混合して追加的に使用することができる。メラミン系化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミンなどが挙げられる。
【0038】
前記架橋剤は、前記アクリル系共重合体100重量部に対して、0.1~5重量部含まれることが好ましく、0.1~2重量部含まれることがより好ましい。含有量が0.1重量部未満の場合、不足した架橋度により凝集力が小さくなって浮き上がりのような耐久性の低下が誘発され、切断性を阻害することがあり、5重量部超過の場合、過剰な架橋反応によって残留応力の緩和に問題が発生することがある。
【0039】
前記粘着剤を構成する各成分を酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解させて粘着剤組成物が得られ、当該粘着剤組成物を基材上に塗布した後に乾燥させて、接着層が形成される。一部の、溶剤に溶解しない成分がある場合には、それらは系中に分散した状態であり得る。
【0040】
ハードコート層
本発明の柔軟性積層フィルムは、前記第1基材層の他面に配置されたハードコート層を含み、前記ハードコート層は、積層フィルムに優れた硬度を提供する。
【0041】
ハードコート層の厚さは3~100μm、好ましくは5~80μm、より好ましくは10~60μmであってもよい。ハードコート層の厚さは鉛筆硬度の面では厚いほど好ましいが、厚くなるほど硬化収縮によるカールがひどくなる。また、ハードコート層の硬化度を高めるほど鉛筆硬度は上昇するが、これは必然的にカールを伴う。特に、鉛筆硬度を向上させるべく、厚さを増やすと増やすほどカールはさらにひどくなり、後工程での保護フィルム接合工程、ブラックマトリックス(BM)処理工程、耐指紋層処理工程などでの自動化工程処理の際、積層フィルムのカールによって次の工程に移送できない工程トラブルが発生してしまう。したがって、高硬度の厚膜ハードコート層を用いると、カールを安定化させる必要があり、本発明では、基材層とハードコート層との厚さ比の最適化により解決することができる。これは、後述する第2基材層においてより詳しく記述する。
【0042】
前記ハードコート層は、マルテンス硬度が350N/mm以上であることが好ましい。マルテンス硬度が350N/mm以上でかつ、前述した第1基材層および第2基材層と共に用いると、4H以上の高い鉛筆硬度を実現することができる。
【0043】
高硬度を実現しながら繰り返される屈曲疲労に対するクラックの発生は抑制するという面から、マルテンス硬度は好ましくは350N/mm~500N/mm、より好ましくは350N/mm~450N/mmであってもよい。マルテンス硬度は、ナノインデンテーション法により負荷荷重10mNで測定したものであってもよく、前記範囲のマルテンス硬度は、後述するハードコート層組成物の種類および含有量範囲内で透光性樹脂の種類、含有量、光開始剤の種類、含有量などを変更して硬化度を調節したり、これに追加的にシリカ粒子のような充填剤を含むなどして得られる。
【0044】
ハードコート層は、当分野にて公知の透光性樹脂、光開始剤、溶剤を含むハードコート層形成用組成物を第1基材層上に塗布し、硬化させて形成されたものであってもよい。
【0045】
透光性樹脂は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー、光硬化型モノマーなどを使用することができる。これらは、単独でまたは2以上を組み合わせて使用可能である。光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーは、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、およびポリエステル(メタ)アクリレートからなる群より選択された1種以上を使用することができ、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレートとポリエステル(メタ)アクリレートとを混合して使用するか、2種のポリエステル(メタ)アクリレートを混合して使用することができる。
【0046】
ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートとイソシアネート基を有する化合物とを、当業界にて公知の方法により、触媒の存在下で反応させて製造することができる。
【0047】
分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートの具体例は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート混合物、およびジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート混合物からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0048】
また、イソシアネート基を有する化合物の具体例は、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン、トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス-1,4-シクロヘキセンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、テトラメチルキシレン-1,3-ジイソシアネート、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、およびトリメタンプロパノールアダクトトルエンジイソシアネートからなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0049】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールとアクリル酸とを、当業界にて公知の方法により反応させて製造することができる。
【0050】
前記ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエステルアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、ポリエステルペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリエステルペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびポリエステルペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群より1種以上選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
光硬化型モノマーは、通常用いられる光硬化型官能基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などの不飽和基を分子内に有する、当該技術分野で用いられるモノマーを制限なく使用可能であり、具体的には、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを使用することができる。
【0051】
(メタ)アクリロイル基を有するモノマーは、例えば、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、およびイソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群より選択された1種以上であってもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0052】
特に、前記4官能ポリエステル(メタ)アクリレートと混合物組成で含まれる(メタ)アクリレートの含有量範囲内で光硬化型モノマーを代替して用いることにより、光硬化コーティング組成物の作業性および相溶性を増加させることができ、同等水準の特性を得ることができる。
【0053】
透光性樹脂は、塗膜の品質に影響を及ぼすもので、ハードコート層形成用組成物の総重量中、1~80重量%、好ましくは5~50重量%の含有量で使用できる。含有量が1重量%未満であれば、塗膜の形成が難しかったり、十分な硬度の実現が難しいことがあり、80重量%超過であれば、塗膜の硬化後にカーリングがひどくなりうる。前記透光性樹脂に硬度向上および収縮低減のために金属酸化物微粒子を添加することができる。
【0054】
光開始剤は、当該技術分野で用いられるものであれば制限なく使用可能である。例えば、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類、水素引き抜き型光開始剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0055】
具体的には、前記光開始剤としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]2-モルホリンプロパノン-1、ジフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、4-ヒドロキシシクロフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニル-アセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を使用することができる。
【0056】
光開始剤は、ハードコート層形成用組成物の総重量中、0.1~10重量%、好ましくは1~5重量%の含有量で使用できる。含有量が0.1重量%未満であれば、組成物の硬化速度が遅かったり、未硬化が発生して機械的物性が低下し、10重量%超過であれば、過硬化で塗膜にクラックが発生することがある。
【0057】
必要に応じて、本発明のハードコート層形成用組成物は、シリカ粒子をさらに含むことができる。
シリカ粒子は、ハードコート層の硬度を向上させるためのもので、粒子径が1~100nmであるのが良い。粒子径が1nm未満であれば、ハードコート組成物内で分散性が低下し、100nmを超えると、ヘイズが高くなりうる。
【0058】
シリカ粒子は、単量体に分散しているものを使用することが好ましく、具体的には、市販品Nanocryl C130、Nanocryl C140、Nanocryl C145、Nanocryl C146、Nanocryl C150、Nanocryl C153、Nanocryl C155、NanocrylC165、Nanocryl C350、Nanocryl C620、およびNanocryl C680からなる群より選択された1種を使用することができる。
【0059】
シリカ粒子は、ハードコート層形成用組成物の総重量中、1~50重量%、好ましくは10~30重量%の含有量で使用できる。含有量が1重量%未満であれば、硬度向上効果がわずかであり、50重量%超過であれば、硬化面にクラックが発生することがある。
【0060】
溶剤は、前記成分を溶解または分散させることができるものであれば特に限定されない。
具体的には、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなど)、ケトン系(メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなど)、アセテート系(エチルアセテート、プロピルアセテート、ノルマルブチルアセテート、ターシャリーブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなど)、ヘキサン系(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エーテル系(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)などが使用できる。前記例示された溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用可能である。
【0061】
溶剤は、ハードコート層形成用組成物の総重量中、10~95重量%の含有量で使用できる。含有量が10重量%未満であれば、粘度が高くて作業性が低下し、95重量%超過であれば、乾燥工程時間が多くかかり、経済性が低下することがある。
【0062】
<表示装置>
また、本発明は、本発明に係る柔軟性積層フィルムを含む表示装置を提供する。本発明に係る表示装置は、前記柔軟性積層フィルムについて記述された内容をすべて適用することができ、重複した部分については詳細な説明を省略したが、その説明が省略されても同一に適用可能である。
【0063】
本発明の表示装置は、前記積層フィルムをカバーウィンドウ基板として備える。
本発明の表示装置は、液晶表示装置、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などであってもよく、また、フレキシブル画像表示装置であってもよい。
【0064】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。しかし、下記の実施例は本発明をさらに具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0065】
製造例1:ハードコート層形成用組成物の製造
10重量部のウレタンアクリレート(10官能、ミウォン商事、SC2153)、10重量部のペンタエリスリトールトリアクリレート、50重量部のナノシリカゾル(12nm、固形分40%、触媒化成社、V8802)、20重量部のメチルエチルケトン(大井化金)、7重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル(大井化金)、2.7重量部の光開始剤(チバ社、I-184)、および0.3重量部のレベリング剤(BYKケミー社、BYKUV3570)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いて濾過して、ハードコート層形成用組成物を製造した。
【0066】
製造例2:ハードコート層形成用組成物の製造
5重量部のウレタンアクリレート(10官能、ミウォンスペシャリティケミカル、SC2153)、35重量部のペンタエリスリトールトリアクリレート、37重量部のメチルエチルケトン、20重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、2.7重量部の光開始剤(チバ社、I-184)、および0.3重量部のレベリング剤(BYKケミー社、BYK-UV3570)を撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルタを用いて濾過して、ハードコート層形成用組成物を製造した。
【0067】
実施例および比較例:ハードコート積層フィルムの製造
実施例1
ポリイミドフィルム(30μm、第1基材層)とポリイミドフィルム(40μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0068】
実施例2
ポリイミドフィルム(50μm、第1基材層)とポリイミドフィルム(50μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0069】
実施例3
ポリイミドフィルム(50μm、第1基材層)とシクロオレフィンフィルム(COP)(50μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0070】
実施例4
ポリイミドフィルム(50μm、第1基材層)とポリエチレンテレフタレート(50μm、第2基材層)とを、アクリル系粘着層(厚さ25μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0071】
実施例5
ポリイミドフィルム(80μm、第1基材層)とポリエチレンテレフタレート(80μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0072】
実施例6
ポリイミドフィルム(80μm、第1基材層)とポリイミドフィルム(80μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ25μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0073】
比較例1
ポリイミドフィルム(50μm、第1基材層)上に製造例1の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0074】
比較例2
ポリイミドフィルム(50μm、第1基材層)上に製造例1の組成物を硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0075】
比較例3
ポリイミドフィルム(50μm、第1基材層)とポリイミドフィルム(50μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ20μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0076】
比較例4
ポリイミドフィルム(80μm、第1基材層)とポリエチレンテレフタレート(80μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ30μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0077】
比較例5
ポリイミドフィルム(80μm、第1基材層)とポリエチレンテレフタレート(100μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0078】
比較例6
ポリイミドフィルム(30μm、第1基材層)とポリイミドフィルム(40μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例2の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0079】
比較例7
シクロオレフィンフィルム(COP)(50μm、第1基材層)とシクロオレフィンフィルム(COP)(50μm、第2基材層)とを、アクリル系接着層(厚さ5μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例2の組成物を硬化後、厚さ10μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0080】
比較例8
ポリイミドフィルム(50μm、第1基材層)とポリエチレンテレフタレート(50μm、第2基材層)とを、アクリル系粘着層(厚さ25μm)で接着して積層フィルムを製造した。その後、第1基材層に製造例1の組成物を硬化後、厚さ20μmとなるようにコーティング後、溶剤を乾燥およびUV硬化させてハードコート層を形成して、ハードコート積層フィルムを製造した。
【0081】
前記実施例1~6および比較例1~8で製造されたハードコート積層フィルムの条件をまとめると、下記表1の通りである。
【0082】
【表1】
【0083】
HC=ハードコート層(製造例1または2)の厚さ(μm)
A1=第1基材層の厚さ(μm)
B=接着層または粘着層の厚さ(μm)
A2=第2基材層の厚さ(μm)
全厚さ=A1+A2+B+HC(μm)
厚さ比=(A1+A2)/HC
【0084】
実験例1:弾性率の測定
島津社のAutograph装置を用いて、前記実施例1~6および比較例1~8でハードコート層形成前の積層フィルムを幅5mm、長さ100mmにスーパーカッターを用いてカッティング後、標点距離50mm、引張速度5mm/minで測定した後、弾性率の計算区間を20~40MPaに指定して弾性率を求め、その結果を下記表2に記載した。
【0085】
実験例2:マルテンス硬度の測定
前記製造例1および2のハードコート層形成用組成物をガラス上に硬化後、厚さ5μmとなるようにコーティング後、乾燥およびUV硬化したサンプルのハードコート層の表面をナノインデンターを用いて荷重10mN下で硬度を測定し、その結果を下記表2に記載した。
【0086】
実験例3:カール(curl)評価
前記実施例1~6および比較例1~8で製造された前記評価試料を長さ100×100mmに裁断して、25℃、50%相対湿度の条件で24時間放置後、製品を平面に置いて、カールが発生した評価試料の周縁(4箇所)と平面との間の高さを測定して最も高い数字を記録し、その結果は下記表2に記載した。
【0087】
実験例4:柔軟性評価
前記実施例1~6および比較例1~8で製造された前記評価試料を長さ110mm×幅20mmに裁断して、屈曲軸が幅方向となるように、ウィンドウをガラス基板の反対面にして2枚のガラス基板の表面に固定させた。その後、屈曲時にウィンドウのハードコート面が互いに向かい合うようにして、屈曲半径2.5mm(2.5R)で屈曲させた後、固定したまま、常温に240時間保管した。その後、評価試料の屈曲部のクラック、破断、浮き上がりなどの不良を確認し、その結果は下記表2に記載した。
O:屈曲部にクラック、破断、浮き上がりの不良なし。
X:屈曲部に破断、または浮き上がりあり。
【0088】
実験例5:鉛筆硬度の測定
前記実施例1~6および比較例1~8で製造された積層フィルムの鉛筆硬度測定のために、荷重1kg下、45゜方向に鉛筆をセット後、コーティング面が鉛筆側に向かうようにコーティングフィルムをガラス上に固定させた後、各鉛筆硬度を有する鉛筆で5回評価後、4回以上擦れない硬度で鉛筆硬度を表記した。その結果は下記表2に記載した。
【0089】
【表2】
【0090】
前記表2を参照すれば、弾性率が4.0GPa以上であり、全厚さおよび厚さ比の範囲を満たす実施例の積層フィルムは、カールが発生しなかったり、5mm以下でかつ、屈曲半径2.5Rでの優れた柔軟性および4H以上の高い鉛筆硬度を同時に示すことを確認した。また、厚さ範囲と厚さ比が同一の条件である実施例2および3の場合、弾性率がより高い実施例2の方がさらに優れた鉛筆硬度を示すことを確認することができた。
【0091】
これに対し、全厚さおよび/または厚さ比の範囲を満たしていない比較例1~5および8は、カールが5mm以上発生したり、柔軟性が低かったり、鉛筆硬度が低かった。また、全厚さおよび/または厚さ比の範囲を満たしていても、マルテンス硬度が350N/mm未満のハードコート層を用いた比較例6および7の場合、著しく低い鉛筆硬度を示した。
図1