(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119422
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】粒状原料投入装置および電気炉
(51)【国際特許分類】
F27D 3/10 20060101AFI20230821BHJP
F27B 3/18 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
F27D3/10
F27B3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022324
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】松尾 国雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正士
【テーマコード(参考)】
4K045
4K055
【Fターム(参考)】
4K045AA04
4K045BA02
4K045CA05
4K045CA06
4K045DA07
4K055AA03
4K055FA02
4K055FA07
4K055FA10
(57)【要約】
【課題】高温ガスの原料ホッパ側への流れ込みを抑制しつつ、所定重量の粒状原料を所定のタイミングで炉体内に投入することができる粒状原料投入装置を提供する。
【解決手段】粒状原料投入装置20は、粒状原料を貯える原料ホッパ21と、原料ホッパ21から所定重量の粒状原料を切り出す原料切出し機構29と、切り出された粒状原料を炉体2内に向けて搬送する搬送管30と、連結管部33を挟んでその両端にそれぞれ開閉弁34,35を具備した二重開閉弁36であって、搬送管30の途中に配設され、少なくとも何れか一方の開閉弁34,35で搬送管30を閉鎖しつつ、切り出された粒状原料を内部に保持する状態と、前記粒状原料を下流側へ排出する状態とに切り替え可能な二重開閉弁36と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状原料を電気炉の炉体内に投入する粒状原料投入装置であって、
前記粒状原料を貯える原料ホッパと、
前記原料ホッパから所定重量の前記粒状原料を切り出す原料切出し機構と、
切り出された粒状原料を前記炉体内に向けて搬送する搬送管と、
連結管部を挟んでその両端にそれぞれ開閉弁を具備した二重開閉弁であって、前記搬送管の途中に配設され、少なくとも何れか一方の開閉弁で前記搬送管を閉鎖しつつ、切り出された前記粒状原料を内部に保持する状態と、前記粒状原料を下流側へ排出する状態とに切り替え可能な二重開閉弁と、
を備えた粒状原料投入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粒状原料投入装置を用いて、前記炉体内に前記粒状原料を投入する電気炉であって、
前記粒状原料投入装置における前記搬送管の先端側部が前記電気炉の炉蓋に取り付けられ、前記炉蓋に開設された投入口を通じて前記粒状原料が前記炉体内に投入される電気炉。
【請求項3】
前記粒状原料投入装置が周方向に間隔を隔てて前記炉蓋に複数取り付けられている、請求項2に記載の電気炉。
【請求項4】
前記炉体の炉底部を支持し前記炉体を上下方向の軸線周りに回転させる回転装置を備えた、請求項2,3の何れかに記載の電気炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粒状原料を炉体内に投入する粒状原料投入装置およびこれを用いた電気炉に関する。
【背景技術】
【0002】
金属スクラップ等の金属原料を溶解する電気炉として、従来、炉体内に挿入した3本の電極と炉体内の金属原料との間でアークを発生させ、アーク熱によって金属原料を溶解する三相交流式アーク炉が広く用いられている。
【0003】
ここで電気炉に装入される主原料としてのスクラップは、スクラップバケットを用いて炉体内にバッチ装入される。詳しくは、スクラップバケット内にスクラップを入れて保持させ、これを電気炉の上方に持ち来して、スクラップバケット底部の開閉扉を中央で二つ割りに両側に開くことで生じる開口から、下方の炉体内に前記スクラップを落下させる。
【0004】
ところで、電気炉に装入される原料としては、上記スクラップ以外に還元鉄の様な粒状原料も用いられる。粒状原料については、電気炉の上方に別途設置された粒状原料投入装置を用いて投入される場合がある。
【0005】
その粒状原料投入装置の一例が下記特許文献1に開示されている、この特許文献1に記載された粒状原料投入装置は、粒状原料を貯える原料ホッパ(炉上ビン)と、原料ホッパから下向きに延びる搬送管(シュート)を備えており、原料ホッパから排出された粒状原料は搬送管内を落下し、搬送管の下端から電気炉の炉体内に投入される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているような電気炉の上方に設置された粒状原料投入装置にあっては、溶鋼に近い搬送管下端から搬送管の内部通路を通じて、炉体内の高温ガスが原料ホッパの側に流れ込んでしまうため、ホッパの下部に設けられた切出し機構等が劣化し易い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、高温ガスの原料ホッパ側への流れ込みを抑制しつつ、所定重量の粒状原料を所定のタイミングで炉体内に投入することができる粒状原料投入装置およびこれを用いた電気炉を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而してこの発明の第1の局面の粒状原料投入装置は次のように規定される。即ち、
粒状原料を電気炉の炉体内に投入する粒状原料投入装置であって、
前記粒状原料を貯える原料ホッパと、
前記原料ホッパから所定重量の前記粒状原料を切り出す原料切出し機構と、
切り出された粒状原料を前記炉体内に向けて搬送する搬送管と、
連結管部を挟んでその両端にそれぞれ開閉弁を具備した二重開閉弁であって、前記搬送管の途中に配設され、少なくとも何れか一方の開閉弁で前記搬送管を閉鎖しつつ、切り出された前記粒状原料を内部に保持する状態と、前記粒状原料を下流側へ排出する状態とに切り替え可能な二重開閉弁と、を備えている。
【0010】
このように規定された第1の局面の粒状原料投入装置は、原料切出し機構における粒状原料を所定重量切り出す動作、および、二重開閉弁における粒状原料を間欠的に下流側へ排出する動作に基づいて、所定重量の粒状原料を所定のタイミングで炉体内に投入することができる。ここで、二重開閉弁においては、粒状原料を内部に保持する状態、粒状原料を下流側へ排出する状態の何れにおいても、開閉弁の何れかで搬送管の一部を遮断状態とすることができるため高温ガスの原料ホッパ側への流れ込みを抑制することができる。
【0011】
この発明の第2の局面の電気炉は次のように規定される。即ち、
第1の局面に記載の粒状原料投入装置を用いて、前記炉体内に前記粒状原料を投入する電気炉であって、
前記粒状原料投入装置における前記搬送管の先端側部が前記電気炉の炉蓋に取り付けられ、前記炉蓋に開設された投入口を通じて前記粒状原料が前記炉体内に投入される。
【0012】
このように規定された第2の局面の電気炉によれば、炉蓋を炉体上部に載置したままの状態で粒状原料を炉体内に投入することができる。
【0013】
ここで、前記粒状原料投入装置を周方向に間隔を隔てて前記炉蓋に複数取り付けておくことができる(第3の局面)。
このようにすれば、粒状原料の炉内投入分布の均一化が図られ、投入位置の偏りに基づく溶け残り等の問題を改善することができる。
【0014】
この発明の第4の局面の電気炉は次のように規定される。即ち、
第2の局面又は第3の局面に記載の電気炉において、前記炉体の炉底部を支持し前記炉体を上下方向の軸線周りに回転させる回転装置を備えている。
このように規定された第4の局面の電気炉では、溶解中に炉体を電極に対し回転させ、当初コールドスポット(電極から離れた位置)にあった粒状原料をホットスポット(電極から近い位置)に、またホットスポットに位置していた粒状原料をコールドスポットに位置移動させることで、粒状原料を炉体内に投入した際の溶解不均一の問題を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の粒状原料投入装置を電気炉に取り付けられた状態で示した図である。
【
図3】同実施形態の粒状原料投入装置におけるダブルゲート弁の動作説明図である。
【
図4】
図1の回転装置をその周辺部とともに示した断面図である。
【
図5】同実施形態の粒状原料投入装置を備えた電気炉の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は本発明の一実施形態の粒状原料投入装置を電気炉に取り付けられた状態で示した図である。同図において、1は金属原料を溶解する電気炉で、炉体2と、炉蓋12を備え、炉体2の上方には粒状原料投入装置20が設けられている。
【0017】
電気炉1の炉体2は、有底筒状(ここでは円筒状)をなした樋出湯式の炉体で、側壁部3を径方向に貫通した開口にて出湯口(出鋼口)6が構成され、その出湯口6から樋5が延び出している。炉体2内の溶湯(溶鋼)Sは、炉体2全体を
図1における時計方向に傾動させることで、出湯口6から図示を省略する取鍋に向けて出湯される。
【0018】
電気炉1の炉体2には、その上端のスクラップ装入口7を開閉可能に閉鎖する炉蓋12が装着され、炉蓋12を挿通して3本の電極15が炉体2内に下向きに挿入される。
【0019】
各電極15は、
図2で示すように、平面視略円形をなした炉蓋12の中心近くに、炉体2の上下方向の軸線、ここでは中心軸線P(
図1参照)周りに等間隔(120°間隔)で配置されている。各電極15は、図示しない昇降装置にて個別に高さ調節自在に支持され、電極15の下端と炉体2内に装入された金属原料との上下方向の離間距離を調節し得るように構成されている。
【0020】
炉蓋12は、図示しない昇降装置及び旋回装置によって、炉体2に対して上下方向に移動自在に構成されるとともに、水平方向に旋回して、炉体2のスクラップ装入口7を開放し、炉体2内への金属スクラップ等の金属原料の装入を可能としている。
【0021】
一方、粒状原料投入装置20は、粒状原料を炉体2内に投入するための装置で、原料ホッパ21と、切出し機構29と、搬送管30を備えている。
【0022】
原料ホッパ21は、図示を省略するコンベア等で炉体2の上方に運ばれてきた粒状原料を貯えるもので、炉体2の直上を避けた位置において、ロードセル24で支持されている。かかるロードセル24の出力は制御部26に接続されており、内部に貯えられた粒状原料を含む原料ホッパ21の重量が制御部26に出力される。
原料ホッパ21の出口22には、制御部26によって動作が制御されるロータリバルブ28が連結されている。本例では、これらロードセル24、制御部26およびロータリバルブ28が切出し機構29を構成しており、所定重量の粒状原料が原料ホッパ21から切り出される。
【0023】
ロータリバルブ28の出口には、粒状原料を炉体2内に向けて搬送する搬送管30が接続されている。搬送管30は、ロータリバルブ28の出口と接続された基端側部31Aと、炉蓋12側の先端側部31Bとが連結部31Cにおいて分離可能に連結されている。
【0024】
搬送管30の先端側部31Bは炉蓋12に取り付けられている。詳しくは、炉蓋12に開設された投入口17に嵌挿されており、ロータリバルブ28から排出された粒状原料は搬送管30の内部通路32を通って、炉蓋12に開設された投入口17を通じて炉体2内に投入される。
なお、炉蓋12を旋回させ炉体2のスクラップ装入口7を開放状態とする場合、搬送管30は連結部31Cで分離され、先端側部31Bのみが炉蓋12と一体に移動する。
【0025】
搬送管30の基端側部31Aの途中には、連結管部33と、連結管部33の軸方向両側に位置するゲート弁34および35を具備するダブルゲート弁36が設けられている。本例では、上流側にあるゲート弁を第1ゲート弁34とし、下流側にあるゲート弁を第2ゲート弁35とする。これらゲート弁34,35は、制御部26からの信号に基づいてそれぞれの弁体34a,35a(
図3参照)を閉状態と開状態とに切り替える。
【0026】
図3は、ダブルゲート弁36の動作説明図である。ダブルゲート弁36は、ロータリバルブ28から排出された粒状原料Mを連結管部33の内部に保持する状態と、粒状原料Mを下流側へ排出する状態とに切り替えられる。詳しくは、
図3(A)で示すように第2ゲート弁35の弁体35aで粒状原料Mが流通する内部通路32を閉じた状態で、第1ゲート弁34の弁体34aを開いて連結管部33の内部に粒状原料Mを収容する。
その後、
図3(B)で示すように第1ゲート弁34の弁体34aを閉じる。そして制御部26からの指示に基づく所定のタイミングで、
図3(C)で示すように第2ゲート弁35の弁体35aを開いて粒状原料Mを下流側へ排出する。これにより粒状原料Mは炉体2内に投入される。
【0027】
このように、粒状原料Mが炉体2内に投入される一連の動作において、搬送管30の内部通路32は、常に何れか一方の弁体34a、35aで閉鎖され、炉体2内の高温ガスが内部通路32通じて原料ホッパ21側に流れ込むのが抑制される。これにより原料ホッパ21の下部に設けられたロータリバルブ28等が炉体2側からの高温ガスに曝されるのを抑制することができる。
【0028】
本例では、このように構成された粒状原料投入装置20が、
図2に示すように、周方向に90度の間隔で、4つ設けられている。炉体2内に投入する粒状原料を炉体周方向に分散させるためである。
【0029】
次に、炉体2を回転させる回転装置60について説明する。
図4で示すように、回転装置60は、上から順に支持フレーム61、ベアリング部材63およびベアリングベース体69が積み重ねられた状態で構成され、傾動床51の上面51aに載置固定されている。
【0030】
支持フレーム61は、多数の立壁を備えた円形リング状をなしており、この支持フレーム61の上面61aに炉体2の炉底部4が載置されている。
リング状の支持フレーム61の下側には、ベアリング部材63が配設されている。ベアリング部材63は、外周に沿って歯形が形成されているリング状歯車体64を含んで構成され、支持フレーム61はリング状歯車体64に固定されている。
リング状歯車体64の内周側の上下中間部は、
図4の部分拡大図で示すように、内方に角型断面をなして突出し、ベアリング部材63の外輪部65を構成している。またリング状歯車体64の内周側には外輪部65を包むようにコ字形断面の内輪部66が配設されており、外輪部65の凸面と内輪部66の凹面との間には、コロ軸受67が介設されている。
【0031】
このような構造により、支持フレーム61はベアリング部材63等に支持されて、そのリング中心周りに傾動床51に平行な面内で回転可能となっている。回転装置60は炉体2の重量を支持しつつ、炉体2を、炉体2の中心軸線P(
図1参照)を回転中心として回転させる。
【0032】
回転装置60は、さらに駆動源としてのモータ(図示省略)およびモータからの駆動力により回転せしめられる歯車体(図示省略)を備えており、この歯車体は上記リング状歯車体64の歯形に噛合している。これにより、モータを正逆回転させると、歯車体を介して支持フレーム61が正逆回転させられる。即ち、支持フレーム61にて支持された炉体2が正逆回転させられる。
【0033】
従来の電気炉における金属原料の溶解操業では、炉体内に電極からの距離が短い(即ち電極に近い)位置の所謂ホットスポットと、電極からの距離の長い(即ち電極から遠い)位置の所謂コールドスポットとが生じる。ホットスポットでは電極による加熱が強く行われるために金属原料が溶け易い一方で、コールドスポットでは電極による加熱が相対的に弱いために、ホットスポットの金属原料が全部溶け終わった後も、コールドスポットでは金属原料が溶け残ってしまうといった溶解の不均一を生じてしまう。
【0034】
これに対し回転装置60を備えた電気炉1では、溶解中に炉体2を電極15に対し相対回転させ、当初コールドスポットに位置していた金属原料をホットスポットに、またホットスポットに位置していた金属原料をコールドスポットに位置移動させることで、溶解の不均一の問題を改善することができる。
【0035】
次に、4つの粒状原料投入装置20(詳しくは20A,20B,20C,20D)を備えた電気炉1における操業方法の一例について説明する。
電気炉1では、スクラップバケットを用いてスクラップ等の金属材料が炉体2内に装入される装入工程が行われた後であって、次の装入工程(追装)が行われるまでの間、粒状原料投入装置20により粒状原料を間欠的に炉体2内に投入する。
【0036】
図5は、炉体2内に投入される粒状原料の位置を模式的に示した図である。同図において、50Aは粒状原料投入装置20Aから投入された粒状原料の位置を示し、50B,50C,50Dはそれぞれ粒状原料投入装置20B,20C,20Dから投入された粒状原料の位置を示している。なお、それぞれ位置における投入量の大小は、図示する円の大きさで示している。
【0037】
粒状原料の投入に際しては、先ず、
図5(A)で示すように、電極15から離れた位置となる50A、50Bの投入量を少なく、電極15から近い位置となる50C、50Dの投入量を多くする。このように投入比率を調整することで投入された各所の粒状原料を均一に溶解することができる。
【0038】
そして、炉体回転を伴なう追装が近づいた段階で、
図5(B)で示すように、50A、50Bの投入量を多く、50C、50Dの投入量を少なくなるように調整する。その後、
図5(C)で示すように、追装に伴い炉体回転(反時計方向に略60度)が実行されると、50A、50Bは電極15から近い位置に、また50C、50Dは電極15から離れた位置に相対移動し、各所の粒状原料を均一に溶解することができる。
【0039】
以上のように本実施形態の粒状原料投入装置20によれば、原料切出し機構29における粒状原料を切り出す動作、および、ダブルゲート弁36における粒状原料を間欠的に下流側へ排出する動作に基づいて、所定重量の粒状原料を所定のタイミングで炉体2内に投入することができる。ここで、ダブルゲート弁36においては、粒状原料を内部に保持する状態、粒状原料を下流側へ排出する状態の何れにおいても、ゲート弁34,35の何れかで搬送管30の一部を遮断状態とすることができるため、高温ガスが原料ホッパ21側へ流れ込むのを抑制することができる。
【0040】
また本実施形態の粒状原料投入装置20は、搬送管30の先端側部31Bが炉蓋12に取り付けられ、炉蓋12に開設された投入口17を通じて粒状原料が炉体2内に投入される。このため、炉蓋12を炉体2上部に載置したままの状態で粒状原料を炉体2内に投入することができる。
【0041】
また本実施形態では、粒状原料投入装置20が周方向に間隔を隔てて炉蓋12に複数取り付けられているため、粒状原料の炉内投入分布の均一化が図られ、投入位置の偏りに基づく溶け残り等の問題を改善することができる。
【0042】
また本実施形態では、電気炉1が、炉体2の炉底部4を支持し炉体2を上下方向の軸線P周りに回転させる回転装置60を備えている。このため電気炉1は、炉体2を電極15に対し回転させ、当初コールドスポット(電極から離れた位置)にあった粒状原料をホットスポット(電極から近い位置)に、またホットスポットに位置していた金属材料をコールドスポットに位置移動させることで、粒状原料を炉体2内に投入した際の溶解不均一の問題を改善することができる。
【0043】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまでも一例示である。例えば上記実施形態では、開閉弁がゲート弁の場合について説明したが、ゲート弁に代えてダンパー弁を適用することも可能である。また上記実施形態は4つの粒状原料投入装置を電気炉に設けた例であったが、粒状原料投入装置は1つもしくは4つ以外の複数設けることも可能である。粒状原料投入装置を複数設ける際の周方向間隔も適宜変更可能である。また上記実施形態は樋出湯式の電気炉であったが、本発明の粒状原料投入装置はEBT炉(Eccentric Bottom Tapping炉)のように、炉底に設けられた出鋼口から溶鋼等の溶融金属を排出する炉底出鋼方式の炉に適用することも可能である。また炉体を回転させる回転装置等の具体的な構成については上記実施形態に限定されるものではなく必要に応じて適宜変更可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 電気炉
2 炉体
4 炉底部
12 炉蓋
17 投入口
20 粒状原料投入装置
21 原料ホッパ
29 原料切出し機構
30 搬送管
31B 先端側部
33 連結管部
34 第1ゲート弁(開閉弁)
35 第2ゲート弁(開閉弁)
36 ダブルゲート弁(二重開閉弁)
60 回転装置
M 粒状原料
P 軸線