(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119454
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】ソレノイド
(51)【国際特許分類】
H01F 7/16 20060101AFI20230821BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01F7/16 D
H01F7/16 Z
G01D5/245 B
G01D5/245 110K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022367
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 善久
【テーマコード(参考)】
2F077
5E048
【Fターム(参考)】
2F077AA47
2F077FF12
2F077JJ03
2F077JJ07
2F077JJ21
2F077UU15
2F077UU20
2F077VV02
5E048AA10
5E048AD02
(57)【要約】
【課題】可動鉄心の移動状態の検出精度を向上させることができるソレノイドとする。
【解決手段】ソレノイド1において、コイル6と、コイル6に通電されることによって移動する可動鉄心8と、コイル6に通電することによって生じるコイル6からの漏れ磁束の変化を検知することにより可動鉄心の移動状態を検知する磁気センサ23と、磁気センサ23を傾斜させて磁気センサ23の感磁方向αを任意の角度に調節する調節部30と、を備えるものとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
前記コイルに通電されることによって移動する可動鉄心と、
前記コイルに通電することによって生じる前記コイルからの漏れ磁束の変化を検知することにより前記可動鉄心の移動状態を検知する磁気センサと、
前記磁気センサを傾斜させて前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する調節部と、を備える、
ソレノイド。
【請求項2】
前記可動鉄心の外側に配置されるフレームを備え、
前記調節部は、
前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する際に操作される操作部と、
前記磁気センサが取り付けられる調節体と、
を備え、
前記フレームは、孔部を備え、
前記操作部は、前記フレームの前記孔部に挿通されて取り付けられ、
前記調節体は、前記フレームに固定され、
前記操作部が操作されることによって、前記フレームの前記孔部への前記操作部の挿入深さを浅くまたは深くして前記操作部による前記調節体の押圧度合いを変更して、前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する、
請求項1に記載のソレノイド。
【請求項3】
前記調節体は、弾性変形可能に構成され、前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する際に操作部が作業者に操作されることによって変形して前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する、
請求項2に記載のソレノイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサ付きソレノイドの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルに通電したときに生じる磁束によって可動鉄心を移動させるソレノイドに関する技術は種々知られている。前記ソレノイドには、磁気センサを備え、コイルに通電することによって生じるコイルからの漏れ磁束の変化を検知することにより可動鉄心の移動状態を検知するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記ソレノイドでは、コイルが通電されると渦状の磁場が生じることから、コイルからの漏れ磁束が磁気センサの感磁方向に対して垂直になる場合がある。このような場合には、磁気センサが検出できる磁束の磁束密度が低くなり、可動鉄心の検出位置で磁気センサの検出閾値の範囲外となる場合がある。このため、コイルからの漏れ磁束が磁気センサによる可動鉄心の移動状態の検出閾値の範囲内となるように、磁気センサの取付け位置を変更すること等を行う必要がある。
もっとも、前記ソレノイドでは、磁気センサの取付け位置の取付精度にバラつきがあり、また、コイルからの漏れ磁束、磁気センサの検出閾値についてもバラつきがあること等から、コイルからの漏れ磁束が磁気センサによる可動鉄心の移動状態の検出閾値の範囲内となるようにすることが困難であり、可動鉄心の移動状態の検出精度を向上させることが困難であった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、可動鉄心の移動状態の検出精度を向上させることができるソレノイドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、コイルと、前記コイルに通電されることによって移動する可動鉄心と、前記コイルに通電することによって生じる前記コイルからの漏れ磁束の変化を検知することにより前記可動鉄心の移動状態を検知する磁気センサと、前記磁気センサを傾斜させて前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する調節部と、を備えるソレノイドとするものである。
【0008】
請求項2においては、前記可動鉄心の外側に配置されるフレームを備え、前記調節部は、前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する際に操作される操作部と、前記磁気センサが取り付けられる調節体と、を備え、前記フレームは、孔部を備え、前記操作部は、前記フレームの前記孔部に挿通されて取り付けられ、前記調節体は、前記フレームに固定され、前記操作部が操作されることによって、前記フレームの前記孔部への前記操作部の挿入深さを浅くまたは深くして前記操作部による前記調節体の押圧度合いを変更して、前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節するものである。
【0009】
請求項3においては、前記調節体は、弾性変形可能に構成され、前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節する際に操作部が作業者に操作されることによって変形して前記磁気センサの感磁方向を任意の角度に調節するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、可動鉄心の移動状態の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るソレノイドを示す斜視図。
【
図5】同じくソレノイドの可動鉄心が固定鉄心側に移動した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、
図1から
図8に記載のソレノイドについて説明する。
なお以下において、図中の上下方向または前後方向を用いてソレノイド1について説明するが、ソレノイド1の方向をこれに限定するものではない。
【0013】
ソレノイド1は、磁気センサ付きソレノイドであり、コイル6に通電したときに生じる磁束によって、可動鉄心8を固定鉄心7側に移動させる。また、ソレノイド1では、磁気センサ24は、コイル6に通電することによって生じるコイル6からの漏れ磁束の変化を検知することにより可動鉄心8の移動状態を検知する。
ソレノイド1は、種々の精密機器等に用いられる。ソレノイド1が用いられる用途として、例えば、ガス配管の切替え弁、選別機のプッシャ、プリンタや複写機等のOA機器、遊技機、または、内燃機関等がある。
【0014】
図1から
図8に示すように、ソレノイド1は、ケース2と、コイル6と、固定鉄心7と、可動鉄心8と、フレーム10と、当接部20と、ストッパ21と、突出部22と、磁気センサ24と、調節部30と、を備える。
【0015】
ケース2は、鉄等の磁性体からなり、平板状の部材の前端部と後端部とをそれぞれ上方に折り曲げて、側面視略U字状に構成される。
ケース2内には、固定鉄心7、コイル6、及び可動鉄心8の一部が配置される。
ケース2の前端側の折り曲げられた部分は、ケース2の蓋部を構成する。ケース2の後端側の折り曲げられた部分は、ケース2の底部を構成する。ケース2の蓋部の略中央には、挿通孔5が形成される。
【0016】
コイル6は、ケース2内(ケース2の蓋部と底部との間)に配置される。コイル6は、可動鉄心8が挿通された状態で前後方向に移動可能なように、中央部が中空状に捲回される。
コイル6には、コイル6に通電するための電気配線(不図示)が接続される。
【0017】
固定鉄心7は、コイル6内に配置され、ケース2の底部に固定される。固定鉄心7は、その前面(可動鉄心8側の面)が可動鉄心8の一端部(先端部)を配置可能なように可動鉄心8の一端部と概ね一致するように切り欠かれて構成される。
【0018】
可動鉄心8は、ケース2の挿通孔5及びコイル6に挿入されて、前後方向(固定鉄心7と反対側または固定鉄心7側)に移動可能に構成される。可動鉄心8の一部(一端部)は、ケース2内に配置される。可動鉄心8の一端部(先端部)は、固定鉄心7の前面と対向するように配置される。可動鉄心8の一端部は、円錐台状に形成される。
【0019】
フレーム10は、ケース2、コイル6、及び可動鉄心8の外側に配置さえる。フレーム10は、側面視略ロ字状に構成されて、ケース2、コイル6、及び可動鉄心8の上下外側及び前後外側を囲むように構成される。
フレーム10は、第一フレーム11と、第二フレーム12と、第三フレーム13と、貫通孔14と、切欠き部15と、を備える。
【0020】
フレーム10の第一フレーム11は、平板状の部材の前端部を上方に折り曲げて、側面視略L字状に構成される。第一フレーム11の前端側の折り曲げられた部分(第一フレーム11の前部)は、ケース2の蓋部から所定の距離を空けるように配置され、フレーム1の前板部を構成する。第一フレーム11の前部略中央部には、貫通孔14が形成される。第一フレーム11の下部は、ケース2の下方に配置され、フレーム10の下板部を構成する。
【0021】
フレーム10の第二フレーム12は、平板状の部材で構成される。第二フレーム12は、その下端部が第一フレーム11の下部の後端部に固定されて、第一フレーム11の下部から立設するように構成される。
ケース2は、第一フレーム11の下部と第二フレーム12に固定される。第二フレーム12は、ケース2の後方に配置され、フレーム10の後板部を構成する。
【0022】
フレーム10の第三フレーム13は、非磁性材の平板状の部材で構成される。第三フレーム13の前端部は第一フレーム11の前部の上端部に固定され、第三フレーム13の後端部は第二フレーム12の上端部に固定される。第三フレーム13は、ケース2の上方に配置され、フレーム10の上板部を構成する。第三フレーム13は、ケース2との間に若干隙間が空くように配置される。
【0023】
フレーム10の第三フレーム13には、切欠き部15が形成される。
切欠き部15は、その左右端部が第三フレーム13の左右端部近傍に至り、その前端部がケース2の前端部近傍に位置し、その後端部がケース2の前後略中央部に位置するように、形成される。
第三フレーム13における切欠き部15の前端部との境界部分は、他の部分よりも若干下方に位置するように形成され、後述する調節部30の支持部31が操作部32を介して取り付けられる部分(取付け部16)として構成される。
【0024】
当接部20は、ケース2の外側(前方)において可動鉄心8の他端部に設けられ、第一フレーム11の前部の後方に配置される。当接部20は、棒状に構成されて、可動鉄心8に形成される貫通孔に貫装される。当接部20の両端部は、可動鉄心8の半径方向外側に突出し、バネ23の前端部が当接するように構成される。
【0025】
ストッパ21は、可動鉄心8の他端部に設けられる。ストッパ21は、当接部20の前方、且つ、第一フレーム11の前部の後方に配置される。ストッパ21は、可動鉄心8が前方に所定距離移動したときに、第一フレーム11の前部に当接するように構成される。
【0026】
突出部22は、可動鉄心8の他端部に設けられる。突出部22は、ストッパ21の前方に配置され、ストッパ21と一体的に構成される。突出部22は、フレーム10の貫通孔14に挿入されて、その前端部が第一フレーム11の前部よりも前方に突出するように構成される。突出部22の前端部は、弁体等の連結対象物に連結可能に連結可能に構成される。
【0027】
バネ23は、コイル状のバネであり、可動鉄心8を固定鉄心7側と反対側(前方)に付勢する。バネ23は、ケース2の外側において可動鉄心8に外装され、ケース2とフレーム10との間に配置される。バネ23の前端部は当接部20に当接し、バネ23の後端部はケース2の蓋部に当接する。
【0028】
このように構成されソレノイド1では、コイル6に通電することによって生じる磁束によって、バネ23の付勢力に反して可動鉄心8が後方(固定鉄心7側)に移動する。このとき、可動鉄心8が後方に移動していくと、可動鉄心8に固定される突出部22も後方に移動していき、突出部22の第一フレーム11から突出する長さが短くなっていく。そして、可動鉄心8が後方に移動していくと、可動鉄心8の一端部(先端部)が固定鉄心7の切り欠かれる部分内において固定鉄心7と当接し、可動鉄心8の後方への移動が停止した状態となる(
図5参照)。
また、コイル6への通電が停止されると、バネ23の付勢力によって、可動鉄心8は、前方(固定鉄心7と反対側)に移動する。可動鉄心8が前方に移動していくと、ストッパ21が第一フレーム11の前部に当接し、可動鉄心8の前方への移動が停止した状態となる(
図4参照)。
なお、ソレノイド1は、コイル6に通電することによって生じる磁束によって可動鉄心8が前方(固定鉄心7と反対側)に移動する構成とすることもできる。
【0029】
磁気センサ24は、磁束の検出方向に指向性を持つものであり、例えばリニアホールICで構成される。磁気センサ24は、コイル6に通電することによって生じるコイル6からの漏れ磁束の変化を検知することにより、可動鉄心8の前後方向への移動状態を検知し、ソレノイド1に接続される制御装置等(不図示)に出力する。磁気センサ24は、調節部30を介してフレーム10(第三フレーム13)に設けられ、可動鉄心8の上方に配置される。磁気センサ24は、可動鉄心8と所定の間隔を空けるようにフレーム10の切欠き部15内に配置される。磁気センサ24は、感磁部が下方(可動鉄心8側)を向くように配置される。感磁方向αが可動鉄心8の移動方向と概ね直交するように配置される。
【0030】
調節部30は、磁気センサ24を任意の角度に傾斜(前傾または後傾)させて、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。調節部30は、磁気センサ24を可動鉄心8の移動方向に沿った角度に傾斜させて、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。調節部30は、当該調節した任意の角度に磁気センサ24を固定する。調節部30は、可動鉄心8の上方に配置される。調節部30は、可動鉄心8の移動方向と重ならない位置に配置される。
【0031】
このように、磁気センサ24を傾斜させて磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する調節部30を備えることから、磁気センサ24による可動鉄心8の移動状態の検出精度が悪い場合には、調節部30によって磁気センサ24を傾斜させて磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節して、磁気センサ24による可動鉄心8の移動状態の検出閾値の範囲を適切なものとすることができる。
したがって、ソレノイド1によれば、可動鉄心8の移動状態(可動鉄心8の位置)の検出精度を向上させることができる。
【0032】
調節部30は、支持部31と、操作部32と、一対の支点部33・33と、押え部34と、ビス35と、を備える。
【0033】
調節部30の支持部31は、弾性変形可能な樹脂素材からなる板状部材であり、磁気センサ24を支持する。磁気センサ24を任意の角度に傾斜させ、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する際に、支持部31を、任意の角度に傾斜(前傾または後傾)させる。支持部31は、第三フレーム13の上方に配置される。支持部31は、第三フレーム13との間に若干隙間が空くように配置される。支持部31は、切欠き部15を覆うように構成される。支持部31の下面(可動鉄心8側の面)には磁気センサ24が固定される。支持部31の前端部には、操作部32の胴部32aが挿通可能な貫通孔31aが形成される。
【0034】
調節部30の操作部32は、磁気センサ24を任意の角度に傾斜させ、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する際に、作業者に操作される。
操作部32は、例えばビスで構成され、胴部32aと頭部32bとを備える。操作部32の胴部32aの外周面にはネジ溝が形成される。操作部32の頭部32bは、作業者が操作可能な形状に構成されるものであり、作業者が用いる工具や仕様等に応じて形成される。例えば、操作部32の頭部32bは、その頂面に十字状の溝が形成されてもよく、また、六角形状等に構成されてもよい。
第三フレーム13の取付け部16には、操作部32が留められる孔部17が形成される。第三フレーム13の取付け部16の孔部17の内周面には、操作部32の胴部32aが螺合可能なようにネジ溝が形成される。
操作部32は、その胴部32aを支持部31の貫通孔31aに挿通した状態で、第三フレーム13の取付け部16の孔部17に螺合されて取り付けられる。
【0035】
調節部30の支点部33は、磁気センサ24を任意の角度に傾斜させ、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する際に、支持部31が傾斜するときの支点となる部分である。支点部33は、第三フレーム13の上面に設けられる。支点部33は、第三フレーム13の上面から上方に突出するように構成される。支点部33は、略半球状に構成される。支点部33は、支持部31の前後中途部に配置される。支点部33は、支持部31の前後中央部よりも若干前方(操作部32側)に配置される。一対の支点部33・33は、第三フレーム13の切欠き部15の近傍左右にそれぞれ配置される。支点部33は、支持部31の下方に配置される。支点部33は、その上端部が支持部31の下面に当接した状態とされる。
【0036】
調節部30の押え部34は、弾性変形可能に構成され、支持部31の後端部を下方(可動鉄心8が配置される側)に押える(押圧する)。押え部34は、第三フレーム13の上面にビス35によって固定される。押え部34は、平板状の金属部材を折曲げ加工することによって構成される。押え部34は、左右端部をそれぞれ上方に折り曲げ、前端縁部から後方に向かって二個の切欠きを形成して当該二個の切欠きの間を舌状に形成して構成される。前記押え部34の舌状の部分は、押え体34aとして構成される。前記押え部34の左右の上方に折り曲げられた部分は、側壁部34b・34bとして構成される。
【0037】
押え部34の押え体34aは、前上に傾斜するように後端縁部(基端部)が折り曲げられ、且つ、外径側が下方(支持部31側)を向くように前端(先端部)が下方に突出する弧状に形成される。押え体34aの先端部の下面が支持部31の後端部の上面に当接し、押え体34aは支持部31を下方(可動鉄心8が配置される側)に押える(押圧する)。
【0038】
押え部34の側壁部34bは、押え体aの左右に配置される。側壁部34bは、その上端部が押え体aの上端部よりも位置するように構成される。
このように側壁部34bが構成されることにより、異物が押え体34aに接触すること等によって意図せずに押え体34aが変形して、支持部31の押え度合いが所望のものでなくなることを抑制することができる。
【0039】
このように構成される調節部30では、操作部32を操作して、操作部32の第三フレーム13の孔部17へのねじ込み量を変更して操作部32の挿入深さを変更(上下方向に変更)することで、可動鉄心8の移動方向に対して支持部31を任意の角度に傾斜(前傾または後傾)させて、可動鉄心8の移動方向に対して磁気センサ24を任意の角度に傾斜させ、可動鉄心8の移動方向に対して磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。
例えば、第三フレーム13の孔部17への操作部32のねじ込み量を少なくして操作部32の挿入深さを浅くして支持部31を可動鉄心8から離間させるようにする。このとき、支持部31は、その後端部において押え部34の押え体34aに押圧され、その下面が支点部33に当接することから、その下面が若干前方を向くように湾曲し(変形し)て、支持部31の磁気センサ24が設けられる部分(支持部31の支点部33よりも後方の部分の下面)が若干前方を向くように傾斜する。このようにして、磁気センサ24の感磁面が前方に傾斜し磁気センサ24の感磁方向αが前方に傾斜する(
図6参照)。
また例えば、第三フレーム13の孔部17への操作部32のねじ込み量を多くして操作部32の挿入深さを深くして支持部31を可動鉄心8に近接させるようにする。このとき、支持部31は、その後端部において押え部34の押え体34aに押圧され、その下面が支点部33に当接することから、その下面が若干後方を向くように湾曲し(変形し)て、支持部31の磁気センサ24が設けられる部分(支持部31の支点部33よりも後方の部分の下面)が若干後方を向くように傾斜する。このようにして、磁気センサ24の感磁面が後方に傾斜し磁気センサ24の感磁方向αが後方に傾斜する(
図7参照)。
【0040】
このように、操作部32を操作することによって、第三フレーム13の孔部17への操作部32の挿入深さを浅くして支持部31を可動鉄心8の移動方向のうちいずれか一方(前方)に傾斜させて、磁気センサ24の感磁方向αを可動鉄心8の移動方向のうちいずれか一方(前方)に傾斜させ、また、操作部32を操作することによって、第三フレーム13の孔部17への操作部32の挿入深さを深くして支持部31を可動鉄心8の移動方向のうちいずれか他方(後方)に傾斜させて、磁気センサ24の感磁方向αを可動鉄心8の移動方向のうちいずれか他方(後方)に傾斜させて、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。
このため、ソレノイド1によれば、可動鉄心8の移動状態(可動鉄心8の位置)の検出精度を向上させるものを簡易な構成で実現するすることができる。
なお、可動鉄心8の移動方向に対して磁気センサ24を任意の角度に傾斜させて磁気セサ24の感磁方向αを任意の角度に調節した状態で接着剤等によって当該角度を固定し
て保持することによって、使用時にソレノイド1における可動鉄心8の移動状態の検出精度を向上させた状態を維持することができる。
【0041】
またこのように、操作部32を操作することによって第三フレーム13の孔部17への操作部32の挿入深さを浅くまたは深くするときに、支持部31が、その後端部において押え部34の押え体34aに押圧され、且つ、調節部30の支点部33は、操作部31と押え部34の押え体34aとの間において、押え部34が支持部31を押える方向と反対方向(可動鉄心8が配置される側)において支持部31に当接する。このため、例えば、支持部31の貫通孔31aに操作部32の胴部32aが挿通された状態において支持部31と操作部32とがガタつくような場合であっても、簡易な構成でより確実に、可動鉄心8の移動状態(可動鉄心8の位置)の検出精度を向上させることができる。
【0042】
調節部30の押え部34の押え体34aの傾斜角度を変更して形状を変更し、また、押え体34aの先端部の弧状の形状を変更(例えば手作業で変更)することによって、操作部32の第三フレーム13の孔部17へのねじ込み量を変更して操作部32の挿入深さを変更(上下方向に変更)することで、支持部31を任意の角度に傾斜(前傾または後傾)させて、可動鉄心8の移動方向に対して磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節することもできる。
例えば、押え部34の押え体34aの傾斜角度を可動鉄心8の移動方向に対して小さくすると、支持部31はその下面が若干前方を向くように湾曲し(変形し)て、支持部31の磁気センサ24が設けられる部分(支持部31の支点部33よりも後方の部分の下面)が若干前方を向くように傾斜する。このようにして、磁気センサ24の感磁面が前方に傾斜し磁気センサ24の感磁方向αが前方に傾斜する。
また例えば、押え部34の押え体34aの下方への突出度合いを小さくすると、支持部31はその下面が若干後方を向くように湾曲し(変形し)て、支持部31の磁気センサ24が設けられる部分(支持部31の支点部33よりも後方の部分の下面)が若干後方を向くように傾斜する。このようにして、磁気センサ24の感磁面が後方に傾斜し磁気センサ24の感磁方向αが後方に傾斜する。
【0043】
このように、押え部34の押え体34aの形状を変更することによって支持部31を可動鉄心8の移動方向のうちいずれか一方または他方に傾斜させて、磁気センサ24の感磁方向αを可動鉄心8の移動方向のうちいずれか一方(前方)に傾斜させ、また、磁気センサ24の感磁方向αを可動鉄心8の移動方向のうちいずれか他方(後方)に傾斜させる。このため、可動鉄心8の移動状態(可動鉄心8の位置)の検出精度を向上させるものを簡易な構成で実現するすることができる。
【0044】
図8に示すように、調節部30の支持部31は、その後端部に凹部36を備える。フレーム10の切欠き部15は、その後端部に支持部31の凹部36に配置可能な凸部18を備える。フレーム10の凸部18の左右幅は、調節部30の支持部31の凹部36の左右幅よりも若干小さく構成される。
このように構成されるソレノイド1では、調節部30の支持部31がその下面が若干前方を向くように湾曲したときに、調節部30の支持部31の左右位置が適切な状態(左右中央)でない場合には、支持部31がフレーム10(凸部18)に当接し、調節部30の支持部31の左右位置が適切な状態である場合には、フレーム10の凸部18が調節部30の支持部31の凹部36内に配置される。
このように構成されることから、操作部32を操作して調節部30の支持部31を任意の角度に傾斜させるときに、フレーム10の凸部18を調節部30の支持部31の凹部36内に案内するようにして、簡易な構成で支持部31の左右位置を適切な状態とすることができる。
なお、フレーム10の切欠き部15が凸部18に代えて凹部を備え、調節部30の支持部31が凹部36に代えて凸部を備え、支持部31の凸部内が切欠き部15の凹部に配置可能に構成することもできる。
【0045】
支持部31は、弾性変形しない構成とすることもできる。また、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する際に、操作部32を操作することによって第三フレーム13の孔部17への操作部32の挿入深さを浅くまたは深くして、支持部31を変形させずに、支持部31の貫通孔31aと操作部32の胴部32aとの間の若干の遊間(支持部31の貫通孔31aと操作部32の胴部32aとの間のガタつき)を利用して、支持部31を可動鉄心8の移動方向のうちいずれか一方または他方に傾斜させる構成とすることもできる。
【0046】
次に、
図9から
図13に記載のソレノイドについて説明する。なお以下における
図9から
図13に記載のソレノイドの説明については、
図1から
図8と同様の部分の説明については適宜省略し、
図1から
図8と異なる部分を中心に説明する。
【0047】
図9から
図13に示すように、ソレノイド1は、ケース2と、コイル6と、固定鉄心7と、可動鉄心8と、フレーム10と、当接部20と、ストッパ21と、突出部22と、磁気センサ24と、調節部30と、を備える。
【0048】
フレーム10は、ケース2、コイル6、及び可動鉄心8の外側に配置さえる。フレーム10は、平板状の部材が折り曲げられるようにして側面視略J字状に構成される。フレーム10は、側面視略ロ字状の上部の後端から前部(前端近傍)および後部が切り欠かれて上部が開口するように構成される。フレーム10は、下部と、下部の前端に連接されて下部の前端から上方に延出する前部と、前部の上端に連接されて前部の上端から後方に延出する上部と、を備えて構成される。
【0049】
磁気センサ24は、調節部30(支持部31)を介してフレーム10に設けられ、可動鉄心8の上方に配置される。磁気センサ24は、可動鉄心8と所定の間隔を空けるようにして前記フレーム10の上部の切り欠かれる部分に配置される。
【0050】
調節部30は、磁気センサ24を任意の角度に傾斜(前傾または後傾)させて、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。調節部30は、磁気センサ24を可動鉄心8の移動方向に沿った角度に傾斜させて、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。調節部30は、当該調節した任意の角度に磁気センサ24を固定する。調節部30は、可動鉄心8の上方に配置される。調節部30は、可動鉄心8の移動方向と重ならない位置に配置される。
【0051】
このように、磁気センサ24を傾斜させて磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する調節部30を備えることから、磁気センサ24による可動鉄心8の移動状態の検出精度が悪い場合には、調節部30によって磁気センサ24を傾斜させて磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節して、磁気センサ24による可動鉄心8の移動状態の検出閾値の範囲を適切なものとすることができる。
したがって、ソレノイド1によれば、可動鉄心8の移動状態(可動鉄心8の位置)の検出精度を向上させることができる。
【0052】
調節部30は、支持部31と、操作部32と、調節体37と、を備える。
【0053】
調節部30の支持部31は、樹脂素材からなる板状部材であり、磁気センサ24を支持する。磁気センサ24を任意の角度に傾斜させ、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する際に、支持部31を任意の角度に傾斜させる。支持部31は、前記フレーム10の上部の切り欠かれる部分に配置される。支持部31は、調節体37に取り付けられる。支持部31の下面(可動鉄心8側の面)には磁気センサ24が固定される。
【0054】
調節部30の操作部32は、磁気センサ24を任意の角度に傾斜させ、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する際に、作業者に操作される。操作部32は、例えばビスで構成され、胴部32aと頭部32bとを備える。操作部32の胴部32aの外周面にはネジ溝が形成される。
フレーム10の上部の後端部は、下部の前後中央よりも前方に位置する。フレーム10の上部は、操作部32が留められる孔部17が形成される。フレーム10の上部の孔部17の内周面には、操作部32の胴部32aが螺合可能なようにネジ溝が形成される。
操作部32の胴部32aフレーム10の孔部17に挿通される。操作部32は、その胴部32aがフレーム10の孔部17に螺合されて取り付けられる。
【0055】
調節部30の調節体37は、ケース2を介してフレ-ム10に固定される。調節体37には支持部31が固定される。調節体37は、弾性変形可能に構成される。調節体37は、操作部32が作業者に操作されることによって変形して、磁気センサ24(磁気センサ24を支持する支持部31)を任意の角度に傾斜させ、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。調節体37は、平板状の金属部材を折曲げ加工することによって側面視略L字状に構成される。調節体37の下方に延出する部分が固定鉄心7の後部が挿通されて、調節体37はケース2に固定される。
【0056】
調節体37の前方に延出する部分は、前記フレーム10の上部の切り欠かれる部分に配置される。調節体37の前方に延出する部分の前端上面は、操作部32の胴部32aの下端部またはフレーム10の上部の下面に当接して、調節体37の前方に延出する部分は操作部32の胴部32aの下端部またはフレーム10の上部の下面を上方に付勢するように構成される。
調節体37の前方に延出する部分は、その左部及び右部はそれぞれ上方に折り曲げられ、さらにその上部がそれぞれ内側に折り曲げられて構成される。調節体37の前方に延出する部分の前記内側に折り曲げられる部分は、挿入部39として構成される。挿入部39が支持部31の上端部に挿入されることによって、支持部31は調節体37の上面に取り付けられる。調節体37には、支持部31を介して磁気センサ24が取り付けられる。
調節体37の前方に延出する部分には、切欠き部38が形成される。切欠き部38は調節体37の前方に延出する部分の略中央部に形成される前後方向を長手方向とする長円状に構成される。支持部31に支持される磁気センサ24は、調節体37の切欠き部38内に位置し、切欠き部38を介して下方に突出するように配置される。
【0057】
このように構成される調節部30では、操作部32を操作することによって、操作部32のフレーム10の孔部17へのねじ込み量を変更して操作部32の挿入深さを変更(上下方向に変更)することで、可動鉄心8の移動方向に対して支持部31を任意の角度に傾斜(前傾または後傾)させて、可動鉄心8の移動方向に対して磁気センサ24を任意の角度に傾斜させ、可動鉄心8の移動方向に対して磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。
例えば、フレーム10の孔部17への操作部32のねじ込み量を多くして操作部32の挿入深さを深くして支持部31を可動鉄心8に近接させるようにする。このとき、操作部32の胴部32aの下端部によって調節体37の前方に延出する部分が下方に押圧されて、調節体37の前方に延出する部分および調節体37の前方に延出する部分と下方に延出する部分の境界部分が下方に湾曲して(弾性変形して)、支持部31の磁気センサ24が設けられる部分が傾斜する。このようにして、磁気センサ24の感磁面が後方に傾斜し磁気センサ24の感磁方向αが後方に傾斜する(
図13参照)。
【0058】
このように、操作部32を操作することによって、フレーム10の孔部17への操作部32の挿入深さを浅くまたは深くして、操作部32による調節体37の押圧度合いを変更する。そして、操作部32による調節体37の押圧度合いを変更することによって、支持部31における可動鉄心8の移動方向に対する傾斜角度を変更して、磁気センサ24の感磁方向αにおける傾斜角度(感磁方向αにおける可動鉄心8の移動方向に対する傾斜角度)を変更し、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する。
このため、ソレノイド1によれば、可動鉄心8の移動状態(可動鉄心8の位置)の検出精度を向上させるものを簡易な構成で実現するすることができる。
なお、可動鉄心8の移動方向に対して磁気センサ24を任意の角度に傾斜させて磁気セサ24の感磁方向αを任意の角度に調節した状態で接着剤等によって当該角度を固定し
て保持することによって、使用時にソレノイド1における可動鉄心8の移動状態の検出精度を向上させた状態を維持することができる。
【0059】
またこのように、調節体37が弾性変形可能に構成され、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節する際に操作部32が作業者に操作されることによって弾性変形して、前気センサ24の感磁方向αにおける傾斜角度(感磁方向αにおける可動鉄心8の移動方向に対する傾斜角度)を変更する。このため、簡易な構成で、磁気センサ24の感磁方向αを可動鉄心8の移動方向に対して傾斜させ、磁気センサ24の感磁方向αを任意の角度に調節することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ソレノイド
2 ケース
3 挿通孔
6 コイル
7 固定鉄心
8 可動鉄心
10 フレーム
14 貫通孔
15 切欠き部
16 取付け部
17 孔部
20 当接部
21 ストッパ
22 突出部
23 バネ
24 磁気センサ
30 調節部
31 支持部
32 操作部
33 支点部
34 押え部
37 調節体
38 切欠き部
39 挿入部