(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119459
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】圧電素子の電気接続性検査方法及び磁気ヘッドサスペンションの製造方法
(51)【国際特許分類】
G11B 21/21 20060101AFI20230821BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20230821BHJP
G11B 5/60 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B20/18 501B
G11B21/21 D
G11B5/60 C
G11B5/60 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022375
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】倉地 祐也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰夫
【テーマコード(参考)】
5D059
【Fターム(参考)】
5D059AA01
5D059BA01
5D059DA04
5D059DA31
5D059DA35
5D059DA36
(57)【要約】
【課題】圧電素子の第1電極の第1電極端子領域と当該第1電極端子領域が導電性接着材によって電気接続される第1電極用接続領域との電気接続性を検査可能とする。
【解決手段】本発明は、第1絶縁性接着材によって圧電素子を所定設置位置に固着させた後に、第1電極端子領域及び第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出する絶縁算出工程と、前記導電性接着材によって第1電極端子領域を第1電極用接続領域に電気接続させた後に、検査エリア上に存在する前記導電性接着材の量を算出する導電算出工程と、導電算出工程及び絶縁算出工程の算出値の差分に基づき、第1電極と第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドスライダが搭載されるジンバル領域をディスク面と平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備え、前記圧電素子が第1絶縁性接着材によって所定の設置位置に固定され、且つ、前記圧電素子の厚み方向一方側の第1電極における所定の第1電極端子領域が前記第1絶縁性接着材をブリッジ状に覆った第1電極用導電性接着材によって所定の第1電極用接続領域に電気的に接続されている磁気ヘッドサスペンションを製造する際に適用される圧電素子の電気接続性検査方法であって、
前記第1絶縁性接着材によって前記圧電素子を前記所定設置位置に固着させた後に、前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出する絶縁算出工程と、
前記第1電極用導電性接着材によって前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させた後に、前記検査エリア上に存在する前記第1電極用導電性接着材の量を算出する導電算出工程と、
前記導電算出工程の算出値と前記絶縁算出工程の算出値との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備えていることを特徴とする圧電素子の電気接続性検査方法。
【請求項2】
前記検査エリアは、前記圧電素子の設置基準点を基準にして設定されることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子の電気接続性検査方法。
【請求項3】
前記絶縁算出工程及び前記導電算出工程は、2次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの2次元画像に基づいて、前記検査エリアのうち対応する接着材によって覆われている部分の平面積を算出するように構成されており、
前記判定工程は、前記導電算出工程によって算出された前記第1電極用導電性接着材の平面積と前記絶縁算出工程によって算出された前記第1絶縁性接着材の平面積との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子の電気接続性検査方法。
【請求項4】
前記絶縁算出工程及び前記導電算出工程は、3次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの3次元画像に基づいて、前記検査エリア上に存在する対応する接着材の体積を算出するように構成されており、
前記判定工程は、前記導電算出工程によって算出された前記第1電極用導電性接着材の体積と前記絶縁算出工程によって算出された前記第1絶縁性接着材の体積との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子の電気接続性検査方法。
【請求項5】
前記絶縁算出工程及び前記導電算出工程は、紫外線照射装置によって前記検査エリアに紫外線を照射した状態で前記撮影装置による撮影を行うように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の圧電素子の電気接続性検査方法。
【請求項6】
磁気ヘッドスライダが搭載されるジンバル領域をディスク面と平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備え、前記圧電素子が第1絶縁性接着材によって所定の設置位置に固定され、且つ、前記圧電素子の厚み方向一方側の第1電極における所定の第1電極端子領域が前記第1絶縁性接着材をブリッジ状に覆った第1電極用導電性接着材によって所定の第1電極用接続領域に電気的に接続されている磁気ヘッドサスペンションの製造方法であって、
前記第1絶縁性接着材によって前記圧電素子を前記所定設置位置に固着させる固着工程と、
前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出する絶縁算出工程と、
所定量の前記第1電極用導電性接着材を塗布して前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる第1電極電気接続工程と、
前記検査エリア上に存在する前記第1電極用導電性接着材の量を算出する導電算出工程と、
前記導電算出工程の算出値と前記絶縁算出工程の算出値との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備えていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項7】
磁気ヘッドスライダが搭載されるジンバル領域をディスク面と平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備え、前記圧電素子が第1絶縁性接着材によって所定の設置位置に固定され、且つ、前記圧電素子の厚み方向一方側の第1電極における所定の第1電極端子領域が前記第1絶縁性接着材をブリッジ状に覆った第1電極用導電性接着材によって所定の第1電極用接続領域に電気的に接続されている磁気ヘッドサスペンションの製造方法であって、
前記第1絶縁性接着材によって前記圧電素子を前記所定設置位置に固着させる固着工程と、
前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出する絶縁算出工程と、
前記絶縁算出工程の算出結果に基づき、前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる為の前記第1電極用導電性接着材の塗布量を算出する塗布量算出工程と、
前記塗布量算出工程によって算出された塗布量の前記第1電極用導電性接着材を塗布して前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる第1電極電気接続工程とを備えていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項8】
前記検査エリア上に存在する前記第1電極用導電性接着材の量を算出する導電算出工程と、
前記導電算出工程の算出値と前記絶縁算出工程の算出値との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備えていることを特徴とする請求項7に記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項9】
前記検査エリアは、前記圧電素子の設置基準点を基準にして設定されることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項10】
前記算出工程は、2次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの2次元画像に基づいて、前記検査エリアのうち対応する接着材によって覆われている部分の平面積を算出するように構成されていることを特徴とする請求項6から9の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項11】
前記算出工程は、3次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの3次元画像に基づいて、前記検査エリア上に存在する対応する接着材の体積を算出するように構成されていることを特徴とする請求項6から9の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項12】
前記算出工程は、紫外線照射装置によって前記検査エリアに紫外線を照射した状態で前記撮影装置による撮影を行うように構成されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項13】
前記磁気ヘッドサスペンションは、メインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、基端部が前記支持部に支持され且つ前記ジンバル領域を前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する板バネを有する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記ジンバル領域に伝達するロードビーム部と、前記ジンバル領域を有するフレクシャ基板及び前記フレクシャ基板に固着された配線体を含むフレクシャ部と、一対の前記圧電素子とを備え、
前記支持部は、前記揺動中心を有する基端側支持部と、前記荷重曲げ部の基端部を支持する先端側支持部と、前記先端側支持部が前記基端側支持部に対してサスペンション長手方向中心線を基準にしてシーク方向両側へ揺動可能なように前記先端側支持部及び前記基端側支持部を連結する弱剛性支持部であって、前記一対の圧電素子がサスペンション長手方向中心線を挟んで左右対称に配置されることを可能とする開口部が設けられた弱剛性支持部とを含み、
前記支持部におけるディスク面と対向する下面には、前記開口部に配置される前記一対の圧電素子の下面の一部をディスク面側へ露出させるアクセス開口を有しつつ前記一対の圧電素子の下面を支持する支持プレートが固着され、
前記配線体は、前記フレクシャ基板におけるディスク面と対向する下面に設けられた絶縁層と、前記絶縁層に設けられた導体層とを含み、
前記絶縁層は、平面視において前記アクセス開口内へ延びる延在領域を有し、
前記導体層は、前記磁気ヘッドスライダに電気接続される信号配線と、前記圧電素子に駆動電圧を供給する為の圧電素子配線であって、前記延在領域に位置する圧電素子端子領域を有する圧電素子配線とを有し、
前記圧電素子の厚み方向他方側の第2電極が、前記アクセス開口と前記延在領域に設けられた貫通孔とに充填される第2電極用導電性接着材を介して前記圧電素子端子領域に電気的に接続されており、
前記製造方法は、さらに、前記固着工程の前に、前記アクセス開口及び前記貫通孔に第2電極用導電性接着材を塗布し且つ前記支持プレートに仮止め用の第2絶縁性接着材を塗布した状態で、前記圧電素子の第2電極が前記第2電極用導電性接着材に接触し且つ前記圧電素子の下面の周縁領域が前記仮止め用の第2絶縁性接着材に接触するように前記圧電素子を設置する仮止め工程を備え、
前記固着工程は、前記圧電素子と前記基端側支持部、前記先端側支持部及び前記弱剛性支持部のそれぞれとの間の隙間に前記第1絶縁性接着材を塗布するように構成され、
前記検査エリアは、前記第1電極又は前記支持部に設定されていることを特徴とする請求項6から12の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【請求項14】
前記磁気ヘッドサスペンションは、メインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、基端部が前記支持部に支持され且つ前記ジンバル領域を前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する板バネを有する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記ジンバル領域に伝達するロードビーム部と、前記ジンバル領域を有するフレクシャ基板及び前記フレクシャ基板に固着された配線体を含むフレクシャ部と、一対の前記圧電素子とを備え、
前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部に重合状態で固着されるロードビーム部固着領域と、前記ロードビーム部による支持状態から離れて前記ロードビーム部固着領域から先端側へ延びるフレクシャ先端領域とを含み、
前記フレクシャ先端領域は、ディスク面とは反対側の上面に前記ロードビーム部に設けられたディンプルが当接し且つディスク面と対向する下面に前記磁気ヘッドスライダが搭載される前記ジンバル領域と、サスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称な状態で前記ロードビーム部固着領域から延び、前記ジンバル領域が前記ディンプルを支点としてロール方向及びシーク方向に揺動し得るように前記ジンバル領域を支持する一対のジンバル支持片とを有し、
前記ジンバル領域及び前記一対のジンバル支持片は、前記一対の圧電素子がサスペンション長手方向中心線を挟んで左右対称に配置されることを可能とする開口部を形成するように構成され、
前記ジンバル領域には、前記一対の圧電素子の伸縮動作によって当該ジンバル領域が前記ディンプルを支点としてシーク方向両側へ揺動することを可能とする弱剛性部が設けられ、
前記配線体は、前記フレクシャ基板におけるディスク面と対向する下面に固着された絶縁層と、前記絶縁層の下面に設けられた導体層とを含み、
前記絶縁層は、前記フレクシャ基板による支持状態から離れて、前記開口部内へ延びる空中領域を有し、
前記導体層は、前記磁気ヘッドスライダに電気接続される信号配線と、前記圧電素子に駆動電圧を供給する為の圧電素子配線とを有し、
前記圧電素子配線は、前記空中領域に位置する圧電素子端子領域を有しており、
前記配線体は、さらに、前記導体層とは絶縁された状態で前記空中領域の下面に設けられた接地用金属部を有し、
前記空中領域には、前記圧電素子端子領域及び前記接地用金属部をそれぞれ前記絶縁層の上面側へ露出させる第1電極用貫通孔及び第2電極用貫通孔が設けられ、
前記圧電素子端子領域のうち前記第1電極用貫通孔を介して露出する領域が前記第1電極用接続領域を形成し、
前記圧電素子の厚み方向他方側の第2電極が、前記第2電極用貫通孔に充填される第2電極用導電性接着材を介して前記接地用金属部に電気的に接続されており、
前記製造方法は、さらに、
前記固着工程と並行して行われる第2電極電気接続工程と、
前記第2電極電気接続工程の後の任意タイミングにおいて行なわれる圧電素子第2端部固着工程とを有し、
並行して実行される前記固着工程及び前記第2電極電気接続工程は、前記空中領域の上面のうち前記圧電素子の長手方向第1端部が載置される部分に前記第1絶縁性接着材を塗布し且つ前記第2電極用貫通孔に前記第2電極用導電性接着材を充填した状態で、前記圧電素子を前記空中領域の上面に設置することで、前記第2電極を前記接地用導電領域に電気接続させた状態で前記圧電素子の第1端部を前記空中領域の上面に固着するように構成され、
前記圧電素子第2端部固着工程は、前記圧電素子の長手方向第2端部を他の第2絶縁性接着材を介して前記ジンバル領域に固着するように構成されており、
前記検査エリアは、前記圧電素子端子領域のうち前記第1電極用貫通孔を介して露出する領域に設定されていることを特徴とする請求項6から12の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジンバル領域をディスク面に平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備えた磁気ヘッドサスペンションに適用される圧電素子の電気接続性検査方法、及び、前記磁気ヘッドサスペンションの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置の大容量化に伴って磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する位置決め精度の向上が求められており、その為、ボイスコイルモータ等のメインアクチュエータによる磁気ヘッドスライダのシーク方向への粗動に加えて、サブアクチュエータとして作用する圧電素子を備え、前記圧電素子による前記磁気ヘッドスライダのシーク方向の微動を可能とした磁気ヘッドサスペンションが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
詳しくは、前記特許文献1及び2に記載の磁気ヘッドサスペンションは、ボイスコイルモータ等のメインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りに揺動される支持部と、基端部が前記支持部に支持され且つ前記磁気ヘッドスライダをディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する板バネを有する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、ディスク面と対向する下面に前記磁気ヘッドスライダを支持し且つディスク面とは反対側の上面に前記ロードビーム部に設けられたディンプルが当接されるジンバル領域を有するフレクシャ基板及び前記フレクシャ基板に固着された配線体を含むフレクシャ部と、一対の前記圧電素子とを備えている。
【0004】
前記磁気ヘッドサスペンションにおいては、前記支持部は、前記揺動中心を有する基端側支持部と、前記荷重曲げ部の基端部を支持する先端側支持部と、前記先端側支持部が前記基端側支持部に対してサスペンション長手方向中心線を基準にしてシーク方向両側へ揺動可能なように前記先端側支持部及び前記基端側支持部を連結する弱剛性支持部とを有しており、前記弱剛性支持部には、前記一対の圧電素子が配置される開口部が設けられている。
【0005】
前記一対の圧電素子は、サスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称で且つ互いに対して伸縮方向が異なった状態で前記弱剛性支持部の開口部に配置されており、基端側が前記基端側支持部に絶縁性接着材によって固着され且つ先端側が前記先端側支持部に絶縁性接着材によって固着されている。
【0006】
前記圧電素子は、圧電体と、前記圧電体に電圧を印加する為の第1及び第2電極であって、ディスク面とは反対側及びディスク面に近接する側にそれぞれ配置された第1及び第2電極とを有している。
【0007】
前記第2電極は、前記配線体における配線に導電性接着材を介して電気的に接続される一方で、前記第1電極は、接地電圧として作用する前記支持部の所定部分(前記基端側支持部又は前記先端側支持部)に導電性接着材(以下、第1電極用導電性接着材という)を介して電気的に接続されている。
【0008】
ここで、前記第1電極用導電性接着材は、前記圧電素子を前記支持部の前記所定部分(前記基端側支持部又は前記先端側支持部)に固着する為の絶縁性接着材をブリッジ状に跨いだ状態で、前記第1電極及び前記支持部(前記基端側支持部又は前記先端側支持部)の間を電気的に接続することになる。
【0009】
従って、前記第1電極用導電性接着材が塗布された後においては、前記第1電極用導電性接着材が、前記第1電極のどの領域と前記支持部の所定部分のどの領域とを電気的に接続しているかを確認することができない。
【0010】
即ち、前記第1電極用導電性接着材に覆われた状態の絶縁性接着材が本来塗布されるべき領域を越えて必要以上に広がっていた場合には、前記第1電極用導電性接着材が本来塗布されるべき領域に塗布されていたとしても、前記第1電極用導電性接着材と前記第1電極及び/又は前記支持部の所定部分との接触面積が小さくなり、場合によっては、安定した電気的接続が得られない事態が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011-222075号公報
【特許文献2】特開2013-251018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、ジンバル領域をディスク面に平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備えた磁気ヘッドサスペンションに適用される検査方法であって、前記圧電素子における第1電極と当該第1電極が第1導電性接着材によって電気接続される第1電極用接続領域との電気接続性を有効に検査可能な検査方法の提供を目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、ジンバル領域をディスク面に平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備えた磁気ヘッドサスペンションの製造方法であって、前記圧電素子における第1電極と当該第1電極が第1導電性接着材によって電気接続される第1電極用接続領域との電気接続性を有効に認識可能な製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成する為に、本発明の第1態様は、磁気ヘッドスライダが搭載されるジンバル領域をディスク面と平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備え、前記圧電素子が第1絶縁性接着材によって所定の設置位置に固定され、且つ、前記圧電素子の厚み方向一方側の第1電極における所定の第1電極端子領域が前記第1絶縁性接着材をブリッジ状に覆った第1電極用導電性接着材によって所定の第1電極用接続領域に電気的に接続されている磁気ヘッドサスペンションを製造する際に適用される圧電素子の電気接続性検査方法であって、前記第1絶縁性接着材によって前記圧電素子を前記所定設置位置に固着させた後に、前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出する絶縁算出工程と、前記第1電極用導電性接着材によって前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させた後に、前記検査エリア上に存在する前記第1電極用導電性接着材の量を算出する導電算出工程と、前記導電算出工程の算出値と前記絶縁算出工程の算出値との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備えた圧電素子の電気接続性検査方法を提供する。
【0015】
例えば、前記検査エリアは、前記圧電素子の設置基準点を基準にして設定することができる。
【0016】
第1形態においては、前記絶縁算出工程及び前記導電算出工程は、2次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの2次元画像に基づいて、前記検査エリアのうち対応する接着材によって覆われている部分の平面積を算出するように構成される。
【0017】
この場合、前記判定工程は、前記導電算出工程によって算出された前記第1電極用導電性接着材の平面積と前記絶縁算出工程によって算出された前記第1絶縁性接着材の平面積との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する。
【0018】
第2形態においては、前記絶縁算出工程及び前記導電算出工程は、3次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの3次元画像に基づいて、前記検査エリア上に存在する対応する接着材の体積を算出するように構成される。
【0019】
この場合、前記判定工程は、前記導電算出工程によって算出された前記第1電極用導電性接着材の体積と前記絶縁算出工程によって算出された前記第1絶縁性接着材の体積との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定するように構成される。
【0020】
前記第1及び第2形態において、好ましくは、前記絶縁算出工程及び前記導電算出工程は、紫外線照射装置によって前記検査エリアに紫外線を照射した状態で前記撮影装置による撮影を行うように構成される。
【0021】
また、前記目的を達成する為に、本発明の第2態様は、磁気ヘッドスライダが搭載されるジンバル領域をディスク面と平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備え、前記圧電素子が第1絶縁性接着材によって所定の設置位置に固定され、且つ、前記圧電素子の厚み方向一方側の第1電極における所定の第1電極端子領域が前記第1絶縁性接着材をブリッジ状に覆った第1電極用導電性接着材によって所定の第1電極用接続領域に電気的に接続されている磁気ヘッドサスペンションの製造方法であって、前記第1絶縁性接着材によって前記圧電素子を前記所定設置位置に固着させる固着工程と、前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出する絶縁算出工程と、所定量の前記第1電極用導電性接着材を塗布して前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる第1電極電気接続工程と、前記検査エリア上に存在する前記第1電極用導電性接着材の量を算出する導電算出工程と、前記導電算出工程の算出値と前記絶縁算出工程の算出値との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備えた磁気ヘッドサスペンションの製造方法を提供する。
【0022】
また、前記目的を達成する為に、本発明の第3態様は、磁気ヘッドスライダが搭載されるジンバル領域をディスク面と平行なシーク方向へ微動させる圧電素子を備え、前記圧電素子が第1絶縁性接着材によって所定の設置位置に固定され、且つ、前記圧電素子の厚み方向一方側の第1電極における所定の第1電極端子領域が前記第1絶縁性接着材をブリッジ状に覆った第1電極用導電性接着材によって所定の第1電極用接続領域に電気的に接続されている磁気ヘッドサスペンションの製造方法であって、前記第1絶縁性接着材によって前記圧電素子を前記所定設置位置に固着させる固着工程と、前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出する絶縁算出工程と、前記絶縁算出工程の算出結果に基づき、前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる為の前記第1電極用導電性接着材の塗布量を算出する塗布量算出工程と、前記塗布量算出工程によって算出された塗布量の前記第1電極用導電性接着材を塗布して前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる第1電極電気接続工程とを備えた磁気ヘッドサスペンションの製造方法を提供する。
【0023】
前記本発明の第3態様に係る製造方法は、好ましくは、前記検査エリア上に存在する前記第1電極用導電性接着材の量を算出する導電算出工程と、前記導電算出工程の算出値と前記絶縁算出工程の算出値との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備えることができる。
【0024】
前記第2及び第3態様に係る製造方法において、前記算出工程は、2次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの2次元画像に基づいて、前記検査エリアのうち対応する接着材によって覆われている部分の平面積を算出するように構成される。
【0025】
これに代えて、前記算出工程は、3次元撮影装置によって撮影した前記検査エリアの3次元画像に基づいて、前記検査エリア上に存在する対応する接着材の体積を算出するように構成され得る。
【0026】
好ましくは、前記算出工程は、紫外線照射装置によって前記検査エリアに紫外線を照射した状態で前記撮影装置による撮影を行うように構成される。
【0027】
前記磁気ヘッドサスペンションが、メインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、基端部が前記支持部に支持され且つ前記ジンバル領域を前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する板バネを有する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記ジンバル領域に伝達するロードビーム部と、前記ジンバル領域を有するフレクシャ基板及び前記フレクシャ基板に固着された配線体を含むフレクシャ部と、一対の前記圧電素子とを備え、前記支持部は、前記揺動中心を有する基端側支持部と、前記荷重曲げ部の基端部を支持する先端側支持部と、前記先端側支持部が前記基端側支持部に対してサスペンション長手方向中心線を基準にしてシーク方向両側へ揺動可能なように前記先端側支持部及び前記基端側支持部を連結する弱剛性支持部であって、前記一対の圧電素子がサスペンション長手方向中心線を挟んで左右対称に配置されることを可能とする開口部が設けられた弱剛性支持部とを含み、前記支持部におけるディスク面と対向する下面には、前記開口部に配置される前記一対の圧電素子の下面の一部をディスク面側へ露出させるアクセス開口を有しつつ前記一対の圧電素子の下面を支持する支持プレートが固着され、前記配線体は、前記フレクシャ基板におけるディスク面と対向する下面に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の下面に設けられた導体層とを含み、前記絶縁層は、平面視において前記アクセス開口内へ延びる延在領域を有し、前記導体層は、前記磁気ヘッドスライダに電気接続される信号配線と、前記圧電素子に駆動電圧を供給する為の圧電素子配線であって、前記延在領域に位置する圧電素子端子領域を有する圧電素子配線とを有し、前記圧電素子の厚み方向他方側の第2電極が、前記アクセス開口と前記延在領域に設けられた貫通孔とに充填される第2電極用導電性接着材を介して前記圧電素子端子領域に電気的に接続されている場合には、前記第2及び第3態様の種々の構成に係る製造方法には、前記固着工程の前に、前記アクセス開口及び前記貫通孔に第2電極用導電性接着材を塗布し且つ前記支持プレートに仮止め用の第2絶縁性接着材を塗布した状態で、前記圧電素子の第2電極が前記第2電極用導電性接着材に接触し且つ前記圧電素子の下面の周縁領域が前記仮止め用の第2絶縁性接着材に接触するように前記圧電素子を設置する仮止め工程が備えられる。
【0028】
この場合、前記固着工程は、前記圧電素子と前記基端側支持部、前記先端側支持部及び前記弱剛性支持部のそれぞれとの間の隙間に前記第1絶縁性接着材を塗布するように構成され、前記検査エリアは、前記第1電極又は前記支持部に設定される。
【0029】
前記磁気ヘッドサスペンションが、メインアクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、基端部が前記支持部に支持され且つ前記ジンバル領域を前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する板バネを有する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記ジンバル領域に伝達するロードビーム部と、前記ジンバル領域を有するフレクシャ基板及び前記フレクシャ基板に固着された配線体を含むフレクシャ部と、一対の前記圧電素子とを備え、前記フレクシャ基板は、前記ロードビーム部に重合状態で固着されるロードビーム部固着領域と、前記ロードビーム部による支持を受けない状態で前記ロードビーム部固着領域から先端側へ延びるフレクシャ先端領域とを含み、前記フレクシャ先端領域は、ディスク面とは反対側の上面に前記ロードビーム部に設けられたディンプルが当接し且つディスク面と対向する下面に前記磁気ヘッドスライダが搭載される前記ジンバル領域と、サスペンション長手方向中心線を基準にして互いに対して対称な状態で前記ロードビーム部固着領域から延び、前記ジンバル領域が前記ディンプルを支点としてロール方向及びシーク方向に揺動し得るように前記ジンバル領域を支持する一対のジンバル支持片とを有し、前記ジンバル領域及び前記一対のジンバル支持片は、前記一対の圧電素子がサスペンション長手方向中心線を挟んで左右対称に配置されることを可能とする開口部を形成するように構成され、前記ジンバル領域には、前記一対の圧電素子の伸縮動作によって当該ジンバル領域が前記ディンプルを支点としてシーク方向両側へ揺動することを可能とする弱剛性部が設けられ、前記配線体は、前記フレクシャ基板におけるディスク面と対向する下面に固着された絶縁層と、前記絶縁層の下面に設けられた導体層とを含み、前記絶縁層は、前記フレクシャ基板による支持状態から離れて、前記開口部内へ延びる空中領域を有し、前記導体層は、前記磁気ヘッドスライダに電気接続される信号配線と、前記圧電素子に駆動電圧を供給する為の圧電素子配線とを有し、前記圧電素子配線は、前記空中領域に位置する圧電素子端子領域を有しており、前記配線体は、さらに、前記導体層とは絶縁された状態で前記空中領域の下面に設けられた接地用金属部を有し、前記空中領域には、前記圧電素子端子領域及び前記接地用金属部をそれぞれ前記絶縁層の上面側へ露出させる第1電極用貫通孔及び第2電極用貫通孔が設けられ、前記圧電素子端子領域のうち前記第1電極用貫通孔を介して露出する領域が前記第1電極用接続領域を形成し、前記圧電素子の厚み方向他方側の第2電極が、前記第2電極用貫通孔に充填される第2電極用導電性接着材を介して前記接地用金属部に電気的に接続されている場合には、前記第2及び第3態様の種々の構成に係る製造方法には、さらに、前記固着工程と並行して行われる第2電極電気接続工程と、前記第2電極電気接続工程の後の任意タイミングにおいて行なわれる圧電素子第2端部固着工程とが備えられる。
【0030】
並行して実行される前記固着工程及び前記第2電極電気接続工程は、前記空中領域の上面のうち前記圧電素子の長手方向第1端部が載置される部分に前記第1絶縁性接着材を塗布し且つ前記第2電極用貫通孔に前記第2電極用導電性接着材を充填した状態で、前記圧電素子を前記空中領域の上面に設置することで、前記第2電極を前記接地用導電領域に電気接続させた状態で前記圧電素子の第1端部を前記空中領域の上面に固着するように構成される。
【0031】
前記圧電素子第2端部固着工程は、前記圧電素子の長手方向第2端部を他の第2絶縁性接着材を介して前記ジンバル領域に固着するように構成される。
【0032】
この場合、前記検査エリアは、前記圧電素子端子領域のうち前記第1電極用貫通孔を介して露出する領域に設定される。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る検査方法によれば、第1絶縁性接着材によって所定設置位置に固着された圧電素子における第1電極が第1導電性接着材によって所定の第1電極用接続領域に電気接続されている磁気ヘッドサスペンションにおいて、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を有効に検査することができる。
【0034】
また、本発明に係る製造方法によれば、第1絶縁性接着材によって圧電素子を所定設置位置に固着させ、前記圧電素子の第1電極端子領域及び当該第1電極端子領域が電気接続される第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出し、第1電極用導電性接着材を塗布して前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させ、前記検査エリア上に存在する前記第1電極用導電性接着材の量を算出し、前記第1電極用導電性接着材の算出値と前記第1絶縁性接着材の算出値との差分に基づき、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定するので、製造された磁気ヘッドサスペンションにおける前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性を有効に認識することができる。
【0035】
また、本発明に係る製造方法によれば、第1絶縁性接着材によって圧電素子を所定設置位置に固着させ、前記圧電素子の第1電極端子領域及び当該第1電極端子領域が電気接続される第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア上に存在する前記第1絶縁性接着材の量を算出し、第1絶縁性接着材の算出結果に基づき前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる為に塗布すべき第1電極用導電性接着材の塗布量を算出し、算出された塗布量の第1電極用導電性接着材を塗布して前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させるので、前記第1電極と前記第1電極用接続領域との電気接続性に関する歩留まりを有効に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る製造方法によって製造された磁気ヘッドサスペンションの平面図である。
【
図2】
図2は、前記磁気ヘッドサスペンションの底面図である。
【
図3】
図3は、前記磁気ヘッドサスペンションにおける主要構成部材の単体状態の平面図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるV-V線に沿った模式断面図である。
【
図6】
図6(a)及び(b)は、それぞれ、前記磁気ヘッドサスペンションにおける支持部及び剛性プレートが固着されてなるプリアッセンブリの平面図及び底面図である。
【
図9】
図9は、
図4に対応した平面図であって、
図4から第1電極用導電性接着材を取り除いた状態の平面図である。
【
図10】
図10は、
図4に対応した平面図であって、
図4から第1絶縁性接着材及び第1電極用導電性接着材を取り除いた状態の平面図である。
【
図11】
図11は、
図9に対応した平面図であって、前記第1絶縁性接着材が過度に塗布された例の平面図である。
【
図12】
図12は、
図4に対応した平面図であって、
図4から第1電極用導電性接着材、支持部用圧電素子及び第1絶縁性接着材を取り除いた状態の平面図である。
【
図14】
図14は、
図13に対応した断面図であって、前記磁気ヘッドサスペンションにおける支持部用圧電素子を仮止めする工程の途中状態を示す断面図である。
【
図15】
図15は、
図13に対応した断面図であって、前記仮止めする工程の完了状態を示す断面図である。
【
図16】
図16は、
図8に対応した平面図であって、ロードビーム部を削除した状態の平面図である。
【
図18】
図18は、
図16に対応した平面図であって、フレクシャ部用圧電素子を削除した状態の平面図である。
【
図20】
図20は、
図19に対応した断面図であって、前記フレクシャ部用圧電素子を固着させる際に並行して実行される固着工程及び第2電極電気接続工程の途中状態を示す断面図である。
【
図21】
図21は、
図16及び
図18に対応した平面図であって、前記固着工程及び前記第2電極電気接続工程が完了した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの製造方法の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に、それぞれ、本実施の形態に係る製造方法によって製造される磁気ヘッドサスペンション1の平面図(ディスク面とは反対側から視た図)及び底面図(ディスク面から視た図)を示す。
なお、
図1及び
図2中の○(小円)は溶接点を示している。
また、
図3に、前記磁気ヘッドサスペンションにおける主要構成部材の単体状態の平面図(ディスク面とは反対側から視た図)を示す。
【0038】
前記磁気ヘッドサスペンション1は、
図1~
図3に示すように、ボイスコイルモータ等のメインアクチュエータ(図示せず)によって直接又は間接的に揺動中心C回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部10と、磁気ヘッドスライダ90を前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部10に連結された板バネ41を含む荷重曲げ部40と、前記板バネ41を介して前記支持部10に支持され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダ90に伝達するロードビーム部50と、前記ロードビーム部50に支持されたフレクシャ部60であって、先端側に設けられたジンバル領域610において前記磁気ヘッドスライダ90を支持するフレクシャ部60とを備えている。
【0039】
前記支持部10は、前記メインアクチュエータに直接又は間接的に連結された状態で前記板バネ41を介して前記ロードビーム部50を支持する部材であり、比較的高剛性を有するものとされる。
前記支持部10は、例えば、厚さ0.1mm~0.8mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0040】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図1~
図3に示すように、前記支持部10は、前記メインアクチュエータに連結されるキャリッジアーム(図示せず)の先端にかしめ加工によって接合されるボス部を備えたベースプレートとされている。
当然ながら、前記支持部10として、基端部が前記メインアクチュエータの揺動中心Cに連結されるアームを採用することも可能である。
【0041】
前記支持部10は、前記揺動中心Cを有する基端側支持部11と、前記荷重曲げ部40の基端側を支持する先端側支持部13と、前記先端側支持部13及び前記基端側支持部11を連結する弱剛性支持部15とを有している。
【0042】
前記弱剛性支持部15は、前記先端側支持部13が前記基端側支持部11に対してサスペンション長手方向中心線(以下、長手方向中心線Lという)を基準にしてシーク方向両側へ揺動可能なように、両者を連結している。
【0043】
前記磁気ヘッドサスペンション1は、前記メインアクチュエータによって前記ジンバル領域610(前記磁気ヘッドスライダ90)をシーク方向へ粗動させることに加えて、サブアクチュエータによって前記ジンバル領域610(前記磁気ヘッドスライダ90)をシーク方向へ微動させ得るように構成されている。
【0044】
具体的には、前記磁気ヘッドサスペンション1は、さらに、前記サブアクチュエータとして作用する一対の支持部用圧電素子100を有している。
【0045】
前記一対の支持部用圧電素子100は、電圧印加に応じて前記先端側支持部13を前記基端側支持部11に対して長手方向中心線Lを基準にしてシーク方向両側へ揺動させるように配置されている。
【0046】
詳しくは、
図3に示すように、前記弱剛性支持部15は、長手方向中心線L上に配置されており、前記一対の支持部用圧電素子100が長手方向中心線Lを挟んで左右対称に配置されることを可能とする開口部19を有している。
【0047】
図4に、
図1におけるIV部拡大図を示す。
また、
図5に、
図4におけるV-V線に沿った模式断面図を示す。
【0048】
図3及び
図5に示すように、前記磁気ヘッドサスペンション1は、さらに、前記一対の支持部用圧電素子100の下面(ディスク面と対向する面)の一部をディスク面側へ露出させるアクセス開口29を有しつつ前記一対の支持部用圧電素子100の下面を支持する支持プレート20を有している。
【0049】
なお、前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図2及び
図3に示すように、前記ロードビーム部50及び前記荷重曲げ部40が単一の剛性プレート30によって形成されており、前記支持プレート20も前記剛性プレート30に一体形成されている。
【0050】
図6(a)及び(b)に、それぞれ、前記支持部10及び前記剛性プレート30が固着されてなるプリアッセンブリの平面図(ディスク面とは反対側から視た図)及び底面図(ディスク面の側から視た図)を示す。
【0051】
前記支持プレート20は、前記支持部10の下面(ディスク面と対向する面)に固着されている。
【0052】
詳しくは、
図6(a)及び(b)に示すように、前記支持プレート20は、前記基端側支持部11の下面に重合状態で固着された基端側固着領域21a及び前記基端側固着領域21aから前記開口部19内へ延びる基端側延在領域21bを含む基端側プレート部21と、前記先端側支持部13の下面に重合状態で固着された先端側固着領域23a及び前記先端側固着領域23aから前記開口部19内へ延びる先端側延在領域23bを含む先端側プレート部23とを有しており、前記磁気ヘッドサスペンション1の長手方向に関し、前記基端側延在領域21b及び前記先端側延在領域23bの間に前記アクセス開口29が設けられている。
【0053】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記支持プレート20は、さらに、前記弱剛性支持部15の下面に重合状態で固着された中間固着領域25a及び前記中間固着領域25aから前記開口部19内へ延びる中間延在領域25bを含む中間プレート部25を有している。
【0054】
前記支持プレート20は、さらに、前記支持部用圧電素子100の設置位置よりサスペンション幅方向外方において、前記基端側プレート部21から先端側へ延びる基端側片26と、前記支持部用圧電素子100の設置位置よりサスペンション幅方向外方において、前記先端側プレート部23から基端側へ延びる先端側片27とを有し、前記基端側片26及び前記先端側片27はスリットを介して突き合わされている。
【0055】
前記ロードビーム部50は、前記板バネ41によって発生される荷重を前記ジンバル領域610に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
【0056】
図1~
図3等に示すように、前記ロードビーム部50は、前記ディスク面と対向する平板状の本体部51と、前記本体部51のサスペンション幅方向両側からディスク面とは反対方向へ延びる左右一対のフランジ部52とを有しており、前記フランジ部52によって剛性を向上させている。
前記ロードビーム部50は、例えば、厚さ0.02mm~0.1mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0057】
図1及び
図3に示すように、前記ロードビーム部50は、さらに、前記本体部51の先端側において、サスペンション長手方向中心線L上に配置されたディンプル53と呼ばれる突起を有している。
【0058】
前記ディンプル53は、ディスク面に近接する方向に、例えば、0.05mm~0.1mm程度突出されている。このディンプル53は、前記フレクシャ部60のジンバル領域(ヘッド搭載領域)610の上面(前記磁気ヘッドスライダ90を支持する支持面とは反対側の裏面)に接触し、このディンプル53を介して前記荷重を前記のジンバル領域610に伝達するようになっている。
【0059】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図1~
図3等に示すように、前記ロードビーム部50は、さらに、前記本体部51の先端からサスペンション長手方向先端側へ延びるリフトタブ54を一体的に有している。前記リフトタブ54は、前記磁気ヘッドスライダ90がディスク面の径方向外方へ位置するように前記磁気ヘッドサスペンション1が前記メインアクチュエータによって揺動された際に、磁気ディスク装置に備えられたランプと係合して前記磁気ヘッドスライダ90を前記ディスク面と直交するz方向に沿って前記ディスク面から離間させる為の部材である。
【0060】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図1~
図3等に示すように、前記ロードビーム部50の前記本体部51のサスペンション幅方向両側は、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線CLに近接するように略直線状に傾斜されている。
【0061】
斯かる構成によれば、前記ロードビーム部50の先端側における前記中心線CL回りの慣性モーメントを低減でき、捩れモード及びSWAYモードの共振周波数を上昇させることができる。
【0062】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記ロードビーム部50は、サスペンション幅方向に沿ったロードビーム部曲げ線(図示せず)回りに、先端側が前記ディスク面から離間する方向へ曲げられている。
【0063】
前記ロードビーム部曲げ線での曲げ角度を調整することによって、捩れモード(特には、捩れモードの振動のうち共振周波数が最も低い捩れ1次モード)の振動時における磁気ヘッドスライダ90の位置ズレ(ゲイン)の低減を図ることができる。
【0064】
前記板バネ41は、板面が前記ディスク面に対向する状態で基端部が前記支持部10の先端側に連結され且つ先端部が前記ロードビーム部50の基端部に連結されている。
前記板バネ41は、前記ロードビーム部50の先端側が前記ディスク面に近接する方向へ荷重曲げ線(図示せず)回りに曲げられており、前記磁気ヘッドサスペンション1は、前記板バネ41が前記荷重曲げ線回りに所定量だけ曲げ戻されて保有弾性を有する状態でハードディスク装置に組み込まれる。
【0065】
詳しくは、前記ハードディスク装置が作動状態となって前記ディスク面が回転されると、前記磁気ヘッドスライダ90が前記ディスク面の回転に伴う空気圧を受けて前記ディスク面から離間する方向へ浮上し、この磁気ヘッドスライダ90の浮上動作に応じて前記板バネ41が、さらに、曲げ戻し方向へ弾性変形して、保有弾性が大きくなる。
【0066】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンション1を前記ハードディスク装置へ組み込む際の前記板バネ41の弾性変形及び前記ディスク面の回転に伴う前記磁気ヘッドスライダ90の浮上動作による前記板バネ41の弾性変形によって前記板バネ41に生じる保有弾性が前記磁気ヘッドスライダ90を前記ディスク面に押し付ける押し付け荷重として作用する。
【0067】
前記板バネ41は、例えば、厚さ0.02mm~0.1mmのステンレス板によって形成される。
【0068】
なお、前述の通り、前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記板バネ41は前記ロードビーム部50及び前記支持プレート20と共に前記剛性プレート30によって一体形成されている。
【0069】
前記フレクシャ部60は、前記ジンバル領域610において前記磁気ヘッドスライダ90を支持した状態で前記ロードビーム部30に固着される。
【0070】
詳しくは、前記フレクシャ部60は、前記ジンバル領域610を含むフレクシャ基板61と、前記フレクシャ基板61に固着された配線体70とを有している。
【0071】
図7に、
図2におけるVII部拡大図を示す。
なお、前記フレクシャ基板61の理解容易化の為に、
図7においては、前記配線体70を削除し、前記磁気ヘッドスライダ90を二点鎖線で表している。
【0072】
図2、
図3及び
図7に示すように、前記フレクシャ基板61は、前記ロードビーム部50における前記本体部51の下面(ディスク対向面)に重合状態で溶接によって固着されるロードビーム部固着領域62と、前記ロードビーム部固着領域62から先端側へ延びるフレクシャ先端領域63とを有している。
【0073】
図2に示すように、前記ロードビーム部固着領域62は、サスペンション長手方向中心線Lを基準にして左右対称に配置された溶接点でのスポット溶接95によって前記本体部51に固着されている。
【0074】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図2に示すように、前記ロードビーム部固着領域62は、先端側においてサスペンション長手方向中心線Lを基準にして左右対称に配置された一対の先端側溶接点95a、基端側においてサスペンション長手方向中心線Lを基準にして左右対称に配置された一対の基端側溶接点95c、及び、サスペンション長手方向に関し先端側溶接点95a及び基端側溶接点95cの間においてサスペンション長手方向中心線L上に配置された中間溶接点95bにおいて、前記ロードビーム部50の本体部51に溶接されている。
【0075】
なお、前記フレクシャ基板61は、さらに、前記ロードビーム部固着領域62から基端側へ延び、前記支持部10の下面に固着される支持部固着領域64を有している。
【0076】
前記支持部固着領域64は、複数の溶接点でのスポット溶接によって前記支持部10の下面に固着されている。
【0077】
前記フレクシャ先端領域63は、前記ジンバル領域610と、前記ロードビーム部固着領域62からサスペンション長手方向中心線Lを基準にして互いに対して対称な状態でサスペンション長手方向先端側へ延びて前記ジンバル領域610を支持する一対のジンバル支持片620とを有している。
【0078】
前記ジンバル領域610は、上面(ディスク面とは反対側の面)において前記ロードビーム部50に設けられた前記ディンプルと当接し且つ下面(ディスク面と対向する面)において前記磁気ヘッドスライダ90を支持する。
【0079】
前記ジンバル支持片620は、前記ジンバル領域610が前記ディンプル53を支点としてロール方向及びシーク方向に揺動し得るように前記ジンバル領域610を支持する。
【0080】
図8に、
図1におけるVIII部拡大図を示す。
図1及び
図8に示すように、前記磁気ヘッドサスペンション1は、さらに、前記サブアクチュエータとして作用する一対のフレクシャ部用圧電素子150を有している。
【0081】
詳しくは、
図7に示すように、前記ジンバル領域610及び前記一対のジンバル支持片620は、前記一対のフレクシャ部用圧電素子150がサスペンション長手方向中心線Lを挟んで左右対称に配置されることを可能とする開口部69を形成するように構成されている。
【0082】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図7に示すように、前記ジンバル領域610は、サスペンション長手方向先端側に位置する幅広部位612と、先端側が前記幅広部位612に連結された状態で前記幅広部位612からサスペンション長手方向基端側へ延びる幅狭部位614とを有している。
【0083】
図7に示すように、前記ジンバル支持片620は、前記ロードビーム部固着領域62からサスペンション長手方向先端側へ延びる先端方向延在部位621と、先端方向延在部位621からサスペンション幅方向内方へ延びる先端側幅方向延在部位622と、前記先端側幅方向延在部位622からサスペンション長手方向基端側へ延びる基端方向延在部位623と、前記基端方向延在部位623からサスペンション幅方向内方へ延び、前記幅狭部位614の基端側に連結される基端側幅方向延在部位624とを有している。
【0084】
平面視において、前記幅広部位612、前記幅狭部位614、前記基端側幅方向延在部位624及び基端方向延在部位623によって囲まれる空間が、前記フレクシャ部用圧電素子150の設置を可能とする前記開口部69を形成している。
【0085】
さらに、前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記ジンバル領域610には、前記一対のフレクシャ部用圧電素子150の伸縮動作によって当該ジンバル領域610が前記ディンプル53を支点としてシーク方向両側へ揺動することを可能とする弱剛性部615が設けられている。
図7に示すように、前記幅狭部位614に設けられたサスペンション幅方向外方に開く切り欠きが前記弱剛性部615を形成している。
【0086】
図7に示すように、前記フレクシャ基板61は、前記一対のジンバル支持片620の先端方向延在部621からそれぞれサスペンション長手方向先端側へ延び、前記ジンバル領域610よりサスペンション長手方向先端側において互いに対して連結された一対の先端側支持片630を有している。
【0087】
前記一対の先端側支持片630は、サスペンション長手方向中心線L上の溶接点96(
図7参照))において前記ロードビーム部50にスポット溶接によって固着されている。
【0088】
前記フレクシャ基板61は、前記ジンバル領域610がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記ロードビーム部50よりも低剛性とされる。
前記フレクシャ基板61は、例えば、厚さ0.01mm~0.025mm程度のステンレス等の金属材料によって好適に形成される。
【0089】
図3等に示すように、前記配線体70は、前記フレクシャ基板61におけるディスク面と対向する下面に固着されたポリイミド等の絶縁層71と、前記絶縁層71の下面に設けられたCu等の導体層73とを有している。
【0090】
前記導体層73は、前記磁気ヘッドスライダ90に電気接続される信号配線730と、前記圧電素子100、150に駆動電圧を供給する為の圧電素子配線とを有している。
【0091】
前述の通り、前記磁気ヘッドサスペンション1は、前記サブアクチュエータとして、前記一対の支持部用圧電素子100及び前記一対のフレクシャ部用圧電素子150を有している。
従って、
図3に示すように、前記導体層73は、前記圧電素子配線として、支持部用圧電素子配線734及びフレクシャ部用圧電素子配線736を有している。
【0092】
以下、前記磁気ヘッドサスペンション1の製造方法について説明する。
前述の通り、前記磁気ヘッドサスペンション1は、前記一対の支持部用圧電素子100及び前記一対のフレクシャ部用圧電素子150を有しており、従って、前記製造方法は、前記支持部用圧電素子100を前記支持部用圧電素子配線734に電気的に接続させつつ所定位置に固着させる処理(以下、支持部用圧電素子固着処理という)、並びに、前記フレクシャ部用圧電素子150を前記フレクシャ部用圧電素子配線736に電気的に接続させつつ所定位置に固着させる処理(以下、フレクシャ部用圧電素子固着処理という)を有している。
【0093】
まず、支持部用圧電素子固着処理について説明する。
図5に示すように、前記支持部用圧電素子100は、圧電体105と、前記圧電体105に電圧を印加する為の第1及び第2電極(図示せず)であって、前記圧電体105の厚み方向一方側及び他方側にそれぞれ配設された第1及び第2電極とを有している。
【0094】
図4及び
図5に示すように、前記支持部用圧電素子100は、第1絶縁性接着材110によって所定の設置位置に固定された状態で、前記第1電極における所定の第1電極端子領域が第1電極用導電性接着材120によって所定の第1電極用接続領域に電気的に接続され且つ前記第2電極が第2電極用導電性接着材125によって所定の第2電極用接続領域に電気的に接続される。
【0095】
図4~
図6に示すように、前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記支持部用圧電素子100は、前記基端側延在領域21b、前記先端側延在領域23b及び前記中間延在領域25bにおける上面(磁気ディスクとは反対側の面)に第1絶縁性接着材110によって固定された状態で、磁気ディスクとは反対側の上面側に位置する前記第1電極が第1電極用導電性接着材120によって前記支持部10の上面(磁気ディスクとは反対側の面)に電気的に接続され、且つ、磁気ディスクに近接する側の下面側に位置する前記第2電極が第2電極用導電性接着材125によって前記支持部用圧電素子配線734に電気的に接続されている。
【0096】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記支持部用圧電素子100の第1電極を前記支持部10の上面に電気的に接続させて接地電圧とした状態で、前記第2電極に前記支持部用圧電素子配線734を介して所定電圧を印加することで、前記支持部用圧電素子100の伸縮動作を行うようになっている。
【0097】
なお、前記接着材110、120は、それぞれ、ディスペンサー等の吐出装置によって予め設定された量だけ吐出される。
【0098】
図9に、
図4に対応した平面図であって、
図4から前記第1電極用導電性接着材120を取り除いた状態の平面図を示す。
また、
図10に、
図4に対応した平面図であって、
図4から前記第1絶縁性接着材110及び前記第1電極用導電性接着材120を取り除いた状態の平面図を示す。
なお、
図9及び
図10においては、前記第1電極用導電性接着材120の平面視外形状を二点鎖線で示している。
【0099】
本実施の形態においては、
図10に示すように、前記支持部10の上面に予め設定された所定領域が前記第1電極用接続領域として利用されている。
【0100】
このように、前記支持部10の上面に前記第1電極用接続領域が設けられている構造においては、前記支持部用圧電素子100の第1電極における所定の第1電極端子領域と前記第1電極用接続領域との電気接続に関し、下記問題が生じ得る。
【0101】
即ち、
図4及び
図5に示すように、前記支持部用圧電素子100の第1電極における所定の第1電極端子領域と前記第1電極用接続領域(前記支持部10の上面の所定領域)とを電気的に接続する前記第1電極用導電性接着材120は、前記支持部用圧電素子100を所定位置に固着する為の前記第1絶縁性接着材110をブリッジ状に覆った状態で、前記支持部用圧電素子100の第1電極における所定の第1電極端子領域及び前記支持部10の上面に設けられた前記第1電極用接続領域に跨るように塗布される。
【0102】
詳しくは、前記第1絶縁性接着材110は、前記圧電素子100と前記基端側支持部11、前記先端側支持部13及び前記弱剛性支持部15のそれぞれとの間の隙間112(
図10参照)に充填される。
【0103】
ここで、何らかの要因によって前記隙間112に充填された前記第1絶縁性接着材110が前記支持部用圧電素子100の上面及び前記支持部10の上面に溢れ出ることが起り得る。
【0104】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図9に示すように、前記隙間112に充填された前記第1絶縁性接着材110が前記支持部用圧電素子100の上面及び前記支持部10の上面に溢れ出て、前記第1電極端子領域の一部及び前記第1電極用接続領域の一部(
図9中の塗りつぶし部分)を覆っている。
【0105】
しかしながら、前記第1電極用導電性接着材120が塗布された後においては、
図4に示すように、前記第1絶縁性接着材110が前記第1電極端子領域及び/又は前記第1電極用接続領域の一部又は全部を覆っているか否かを識別することができない。
【0106】
つまり、前記第1電極用導電性接着材120が塗布された後においては、見掛け上、前記第1電極用導電性接着材120によって前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域が適切に電気接続されているように見えても、実際には、前記第1絶縁性接着材110によって適切な電気接続が得られていない危険性が存在する。
【0107】
図9に示す例においては、前記第1電極端子領域のうち格子状ハッチング領域のみ及び前記第1電極用接続領域のうち格子状ハッチング領域のみが前記第1電極用導電性接着材120によって電気的に接続されることになる。
【0108】
図11に、
図9に対応した平面図であって、前記第1絶縁性接着材110が過度に塗布された例の平面図を示す。
図11に示す例においては、前記第1電極端子領域の大部分及び前記第1電極用接続領域の大部分(
図11中の塗りつぶし部分)が前記第1絶縁性接着材によって覆われている。
【0109】
従って、仮に、前記第1電極用導電性接着材120を適切に塗布したとしても、前記第1電極端子領域と前記第1電極用接続領域との適切な電気接続を得ることが困難となる(
図11における格子状ハッチング領域のみが電気接続されることになる)。
【0110】
斯かる問題を考慮して、前記支持部用圧電素子固着処理は、
前記第1絶縁性接着材110によって前記支持部用圧電素子100を所定設置位置に固着させる固着工程と、
前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の少なくとも一方の一部又は全部を含むように設定された検査エリア200上に存在する前記第1絶縁性接着材110の量を算出する絶縁算出工程と、
前記第1電極用導電性接着材120によって前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる第1電極電気接続工程と、
前記検査エリア200上に存在する前記第1電極用導電性接着材120の量を算出する導電算出工程と、
前記導電算出工程の算出値と前記絶縁算出工程の算出値との差分に基づき、前記第1電極端子領域と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定する判定工程とを備えている。
【0111】
図4等に示すように、本実施の形態においては、前記検査エリア200は、前記第1電極端子領域の一部を含むように前記支持部用圧電素子100の上面(第1電極)の所定領域に設定されている。
【0112】
これに代えて、又は、これに加えて、前記検査エリア200を、前記第1電極用接続領域の一部又は全部を含むように前記支持部10の上面の所定領域に設定することも可能である。
【0113】
前記絶縁算出工程、前記導電算出工程及び前記判定工程は、前記検査エリア200を撮影可能な撮影装置(図示せず)と、前記撮影装置から前記検査エリア200の画像を受信する制御装置(図示せず)とを用いて行われる。
【0114】
前記撮影装置が2次元撮影装置の場合には、前記制御装置は、前記絶縁算出工程において、前記2次元撮影装置によって撮影した前記検査エリア200の2次元画像に基づいて、前記検査エリア200のうち前記第1絶縁性接着材110によって覆われている部分(
図9において左側の塗りつぶし部分)の平面積を算出し、前記導電算出工程において、前記2次元撮影装置によって撮影した前記検査エリア200の2次元画像に基づいて、前記検査エリア200のうち前記第1電極用導電性接着材120によって覆われている部分(
図9において左側の塗りつぶし部分及び左側の格子状ハッチング部分の合計)の平面積を算出し、前記判定工程において、前記導電算出工程によって算出された前記第1電極用導電性接着材120の平面積と前記絶縁算出工程によって算出された前記第1絶縁性接着材110の平面積との差分(
図9において左側の格子状ハッチング部分)に基づき、前記第1電極端子領域と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定するように構成される。
【0115】
これに代えて、前記撮影装置が3次元撮影装置の場合には、前記制御装置は、前記絶縁算出工程において、前記3次元撮影装置によって撮影した前記検査エリア200の3次元画像に基づいて、前記検査エリア200上に存在する前記第1絶縁性接着材110の体積を算出し、前記導電算出工程において、前記3次元撮影装置によって撮影した前記検査エリア200の3次元画像に基づいて、前記検査エリア200上に存在する前記第1電極用導電性接着材120の体積を算出し、前記判定工程において、前記導電算出工程によって算出された前記第1電極用導電性接着材120の体積と前記絶縁算出工程によって算出された前記第1絶縁性接着材110の体積との差分に基づき、前記第1電極端子領域と前記第1電極用接続領域との電気接続性を判定するように構成される。
【0116】
好ましくは、前記絶縁算出工程及び前記導電算出工程は、紫外線照射装置(図示せず)によって前記検査エリア200に紫外線を照射した状態で前記撮影装置による撮影を行うように構成される。
【0117】
斯かる構成によれば、前記検査エリア200内での前記第1絶縁性接着材110の境界及び前記第1電極用導電性接着材120の境界をより正確に検出して、それぞれの接着材量を正確に算出することができる。
【0118】
前記検査エリア200は、例えば、前記支持部用圧電素子100を所定位置に設置する際に用いる設置基準点を基準にして設定することができる。
【0119】
前記絶縁算出工程、前記導電算出工程及び前記判定工程を備えた本実施の形態に係る製造方法によれば、製造した磁気ヘッドサスペンション1における前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の間の電気接続性を認識することができる。
【0120】
前述の通り、本実施の形態に係る製造方法は、製造された磁気ヘッドサスペンション1のうち、前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の間の電気接続不良品が出荷されることを防止できる点において有用であるが、前記製造方法を、前記固着工程と、前記絶縁算出工程と、塗布量算出工程と、第1電極電気接続工程とを備えるように変形することも可能である。
【0121】
前記塗布量算出工程は、前記絶縁算出工程の算出結果に基づき、前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる為に塗布すべき前記第1電極用導電性接着材120の量を算出するように構成される。
【0122】
例えば、前記制御装置に、前記検査エリア200上に存在する第1絶縁性接着材110の量と塗布すべき前記第1電極用導電性接着材120の適正量との関係を示すデータを予め記憶させており、前記絶縁算出工程の算出結果を前記データに適用することによって、前記第1電極用導電性接着材120の適正塗布量を算出することができる。
【0123】
前記データは、実験等に基づき設定されるものとし、前記検査エリア200上に存在する第1絶縁性接着材110の量が多いほど、前記第1電極用導電性接着材120の適正塗布量が多くなるように設定される。
【0124】
前記変形例における前記第1電極電気接続工程は、前記塗布量算出工程によって算出された塗布量の前記第1電極用導電性接着材120を塗布して前記第1電極端子領域を前記第1電極用接続領域に電気的に接続させる。
【0125】
即ち、前記制御装置は、前記第1電極電気接続工程において、前記第1電極用導電性接着材120が前記塗布量算出工程によって算出された量だけ吐出されるように、前記第1電極用導電性接着材120用の吐出装置を作動させる。
【0126】
斯かる構成の前記変形例によれば、例えば、前記検査エリア200上に前記第1絶縁性接着材110が存在しない、又は、前記検査エリア200上の前記第1絶縁性接着材110が少量の場合には、前記第1電極用導電性接着材120の塗布量を少量の初期設定量としつつ、前記検査エリア200上に大量の前記第1絶縁性接着材110が存在する場合には、前記第1電極用導電性接着材120の塗布量を初期設定量よりも増量することができる。
【0127】
従って、前記第1導電性接着材120の塗布量を適正にコントロールしつつ、前記第1電極端子領域及び前記第1電極用接続領域の間の電気接続不良を有効に防止することができる。
【0128】
好ましくは、前記変形例に係る製造方法は、前記電気接続工程後に、前記導電算出工程及び前記判定工程を備えることができる。
【0129】
前述の通り、前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記支持部用圧電素子100の第2電極(磁気ディスクに近接する側の下面に位置する電極)は、第2電極用導電性接着材125によって前記フレクシャ部60の配線体70における前記支持部用圧電素子配線734に電気的に接続されている。
【0130】
図12に、
図4から前記第1電極用導電性接着材120、前記支持部用圧電素子100及び前記第1絶縁性接着材110を取り除いた状態の平面図を示す。
さらに、
図13に、
図12におけるXIII-XIII線に沿った断面図を示す。
【0131】
図3、
図12及び
図13に示すように、前記配線体70の絶縁層71は、平面視において前記アクセス開口29内へ延びる延在領域712を有している。
前記延在領域712には、上面及び下面を貫通する貫通孔712aが設けられている。
【0132】
前記支持体用圧電素子配線734は、前記貫通孔712aを介して前記延在領域712の上面側からアクセス可能な支持体用圧電素子端子領域735を有している。
【0133】
この場合、前記支持部用圧電素子固着処理は、前記固着工程の前に、上端位置が前記支持プレート20の上面よりも上方に位置するように前記アクセス開口29及び前記延在領域712の貫通孔712aに第2電極用導電性接着材125を充填し、且つ、前記支持プレート20における前記延在領域(本実施の形態においては、前記基端側延在領域21b、前記先端側延在領域23b及び前記中間延在領域25b)の上面(ディスク面とは反対側の面)に仮止め用の第2絶縁性接着材111を塗布した状態(
図14参照)で、前記支持部用圧電素子100の第2電極が前記第2電極用導電性接着材125に接触し且つ前記支持部用圧電素子100の下面(ディスク面に近接する側の面)の周縁領域が前記仮止め用の第2絶縁性接着材111に接触するように前記支持部用圧電素子100を設置して仮止めする工程を備えている(
図15参照)。
【0134】
なお、
図3、
図5及び
図13~
図15における符号660は、前記延在領域712の貫通孔712aを平面視において囲むように前記絶縁層71の上面に固着されたリングであり、前記アクセス開口29及び前記貫通孔712aに充填した前記第2電極用導電性接着材125が硬化前に流出することを防止する。
【0135】
前記支持部用圧電素子固着処理は、前記仮止め工程の後に行う前記固着工程において、前記支持部用圧電素子110と前記基端側支持部11、前記先端側支持部13及び前記弱剛性支持部13のそれぞれとの間の隙間112(
図10及び
図15参照)に前記第1絶縁性接着材110を充填して、前記支持部用圧電素子100を所定位置に固着する(
図9参照)。
【0136】
前記支持部用圧電素子固着処理は、前記固着工程の後に、前記絶縁算出工程、前記第1電極電気接続工程、前記導電算出工程及び前記判定工程を順に行う。
【0137】
次に、前記フレクシャ部用圧電素子固着処理について説明する。
図16に、
図8に対応した平面図であって、前記ロードビーム部50を削除した状態の平面図を示す。
また、
図17に、
図16におけるXVII-XVII線に沿った断面図を示す。
【0138】
図16及び
図17に示すように、前記フレクシャ部用圧電素子150は、前記ジンバル領域610及び前記一対のジンバル支持片620によって画された前記開口部69内において、前記配線体70における前記絶縁層71の下記空中領域715の上面(磁気ディスクとは反対側の面)に配置されている。
【0139】
図18に、
図16に対応した平面図であって、前記フレクシャ部用圧電素子150を削除した状態の平面図を示す。
また、
図19に、
図18におけるXIX-XIX線に沿った断面図を示す。
【0140】
前述の通り、前記配線体70は、前記フレクシャ基板61の下面(磁気ディスクに近接する側の面)に固着された前記絶縁層71と、前記絶縁層71の下面に固着された前記導体層73とを有している。
【0141】
図18及び
図19に示すように、前記絶縁層71には、前記フレクシャ基板61による支持状態から離れて、前記開口部69内へ延びる前記空中領域715が設けられている。
【0142】
前記空中領域715には、前記フレクシャ部用圧電素子150のサスペンション長手方向一方側である第1端部近傍に上面及び下面を貫通する第1電極用貫通孔715aが設けられ、且つ、平面視において前記フレクシャ部用圧電素子150と重合する位置において上面及び下面を貫通する第2電極用貫通孔715bが設けられている。
【0143】
また、前記導体層73における前記フレクシャ部用圧電素子配線736は、前記第1電極用貫通孔715aを介して上方からアクセス可能とされたフレクシャ部用圧電素子端子領域737を有している。
【0144】
さらに、前記配線体70には、前記導体層73とは絶縁され且つ前記第2電極用貫通孔715bを介して上方からアクセス可能な状態で、前記絶縁層71の下面に設けられた接地用金属部77(
図3及び
図17等参照)を有している。
【0145】
なお、前記接地用金属部77は、好ましくは、前記導体層73と同一材料で形成され、前記絶縁層71の下面に前記導体層73を形成する際に同時に形成される。
【0146】
斯かる構成の前記磁気ヘッドサスペンション1においては、前記フレクシャ部用圧電素子端子領域737のうち前記第1電極用貫通孔715aを介して露出する領域が前記フレクシャ用圧電素子150の前記第1電極用接続領域を形成し、且つ、前記接地用金属部77が前記フレクシャ用圧電素子150の第2電極が電気的に接続される第2電極用接続領域を形成する。
【0147】
前記フレクシャ部用圧電素子固着処理は、前記固着工程、前記絶縁算出工程、前記第1電極電気接続工程、前記導電算出工程及び前記判定工程に加えて、第2電極電気接続工程及び圧電素子第2端部固着工程を有している。
前記第2電極電気接続工程は前記固着工程と並行して実行される。
【0148】
図20に、
図19に対応した断面図であって、並行して実行される前記固着工程及び前記第2電極電気接続工程の途中状態の断面図を示す。
また、
図21に、
図16及び
図18に対応した平面図であって、前記固着工程及び前記第2電極電気接続工程が完了した状態の平面図を示す。
図22に、
図21におけるXXII-XXII線に沿った断面図を示す。
【0149】
詳しくは、前記フレクシャ部用圧電素子固着処理における前記固着工程は、前記空中領域715の上面のうち前記フレクシャ部用圧電素子150の長手方向第1端部が載置される部分に前記第1絶縁性接着材110を塗布し(
図20参照)、その後に、前記フレクシャ部用圧電素子150の長手方向第1端部が前記第1絶縁性接着材110に接触するように前記フレクシャ部用圧電素子150を設置するものとされる。
【0150】
前記第2電極電気接続工程は、前記接地用金属部77によって下面側開口が閉塞されている前記第2電極用貫通孔715bに第2電極用導電性接着材125を充填し(
図20参照)、その後に、前記フレクシャ部用圧電素子150を前記空中領域715に設置するように構成されている。
【0151】
即ち、並行して実行される前記固着工程及び前記第2電極電気接続工程は、前記空中領域715の上面に前記第1絶縁性接着材110を塗布し且つ前記第2電極用貫通孔715bに前記第2電極用導電性接着材125を充填した状態で、前記フレクシャ部用圧電素子150を前記空中領域715の上面の所定位置に設置することで、前記第2電極を前記接地用導電領域として作用する前記接地用金属部77に電気接続させた状態で前記フレクシャ部用圧電素子150を前記第1絶縁性接着材110によって前記絶縁層71の上面に固着するように構成されている(
図22参照)。
【0152】
前記磁気ヘッドサスペンション1においては、
図18、
図21及び
図22に示すように、前記第1電極用接続領域(即ち、前記フレクシャ部用圧電素子端子領域737のうち前記第1電極用貫通孔715aを介して露出する領域)の全体が前記検査エリア200に設定されており、前記検査エリア200の一部に前記第1絶縁性接着材110が覆いかぶさっている。
【0153】
従って、前記フレクシャ部用圧電素子固着処理においては、前記固着工程及び前記第2電極電気接続工程の後に実行される前記絶縁算出工程は、前記フレクシャ部用圧電素子端子領域737のうち前記第1電極用貫通孔715aを介して露出する領域上に位置する前記第1絶縁性接着材110の量を算出する。
【0154】
前記圧電素子第2端部固着工程は、前記第2電極電気接続工程の後の任意タイミングで実行され、前記フレクシャ部用圧電素子150の長手方向第2端部を他の第2絶縁性接着材115を介して前記ジンバル領域610の幅広部位612に固着するように構成されている(
図16及び
図17参照)。
【符号の説明】
【0155】
1 磁気ヘッドサスペンション
10 支持部
11 基端側支持部
13 先端側支持部
15 弱剛性支持部
19 開口部
20 支持プレート
29 アクセス開口
40 荷重曲げ部
41 板バネ
50 ロードビーム部
53 ディンプル
60 フレクシャ部
61 フレクシャ基板
62 ロードビーム部固着領域
63 フレクシャ先端領域
69 開口部
70 配線体
71 絶縁層
73 導体層
77 接地用金属部
90 磁気ヘッドスライダ
100 支持部用圧電素子
110 第1絶縁性接着材
111 第2絶縁性接着材
115 他の第2絶縁性接着材
120 第1電極用導電性接着材
125 第2電極用導電性接着材
150 フレクシャ部用圧電素子
200 検査エリア
610 ジンバル領域
615 弱剛性部
620 ジンバル支持片
712 絶縁層の延在領域
712a 貫通孔
715 空中領域
715a 第1電極用貫通孔
715b 第2電極用貫通孔
730 信号配線
734 支持部用圧電素子配線
735 支持体用圧電素子端子領域
736 フレクシャ部用圧電素子配線
737 フレクシャ部用圧電素子端子領域
L サスペンション長手方向中心線