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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119479
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】ループアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20230821BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20230821BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q13/10
H01Q1/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022406
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】592245432
【氏名又は名称】スタッフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 政宏
【テーマコード(参考)】
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J045AA05
5J045AB05
5J045DA03
5J046AA02
5J046AA03
5J046AA07
5J046AB08
5J046AB11
5J046TA03
(57)【要約】
【課題】ループアンテナの小型化と高効率化を図る。
【解決手段】ループアンテナ100は、基板111に、所定の幅のスリット114を介して配置された第1、および第2の面状の導電体112・113と、第1、および第2の導電体112・113における、スリット114と反対側の縁部どうしを接続する面状の第3の導電体117とを有し、第1、および第2の導電体112・113における、スリット114の端部付近に給電部115が接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された導電体を有するループアンテナであって、
基板に、所定の幅のスリットを介して配置された第1、および第2の面状の導電体と、
上記第1、および第2の導電体における、上記スリットと反対側の縁部どうしを接続する面状の第3の導電体と、
を有し、
上記第1、および第2の導電体における、上記スリットの部分に給電部が接続されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項2】
請求項1のループアンテナであって、
さらに、上記スリットにおける上記給電部が接続されている位置と異なる位置に整合部品が接続されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項3】
請求項1から請求項2のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記給電部は、上記スリットの長手方向の中央からずれた位置に接続されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項4】
請求項3のループアンテナであって、
上記給電部は、上記スリットの端部付近に接続されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項5】
請求項2に係る請求項4のループアンテナであって、
上記整合部品は、上記スリットにおける上記給電部が接続されているのと反対側の端部付近に接続されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記第3の導電体は、上記第1、および第2の導電体の上記縁部に半田付けにより接続されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項7】
請求項1から請求項5のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記第1、および第2の導電体の上記縁部、または上記第3の導電体の縁部の一方に挟持部が設けられ、上記挟持部に他方の縁部が挟持されることにより、上記第3の導電体が上記第1、および第2の導電体に接続されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記スリットに屈曲部が形成されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記第3の導電体における第1、および第2の導電体との接続部と異なる縁部に、上記スリットに平行な方向に延びる切欠部が形成されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記基板における上記第1、および第2の導電体が配置されている面と反対側の面に、回路部品が設けられていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記第1、および第2の導電体は、基板に対して第3の導電体と反対側、または中間層に設けられていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記第3の導電体は、上記スリットの方向に互いに離間した複数の帯状の導電体に分割されていることを特徴とするループアンテナ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のうち何れか1項のループアンテナであって、
上記第3の導電体は、ループアンテナが収容されるケース本体部と蓋部とを有する筐体における上記蓋部に取り付けられていることを特徴とするループアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグ等に用いられるループアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線タグに用いられるループアンテナとして、それぞれ1端部が無線通信回路に接続された帯状の導体を誘電体に巻き付け、他端部同士を互いに平行に重ねて、金属に近接していても安定した性能を有するようにするループアンテナが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-109552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように帯状の導体を誘電体に巻き付けたループアンテナにおいては、放射体を小型化しようとすると効率が低下しがちであり、小型化と効率とを両立させることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、小型化を図りつつ、金属に近接していても安定した性能を有するようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
基板に形成された導電体を有するループアンテナであって、
基板に、所定の幅のスリットを介して配置された第1、および第2の面状の導電体と、
上記第1、および第2の導電体における、上記スリットと反対側の縁部どうしを接続する面状の第3の導電体と、
を有し、
上記第1、および第2の導電体における、上記スリットの部分に給電部が接続されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、スリットの長さに応じてループ長が長くなったのと同様の作用を得ることができ、小型でも、金属に近接していても安定した性能を有するようにすることが容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、小型化を図りつつ、金属に近接していても安定した性能を有するようにすることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のループアンテナ100の構成を示す斜視図である。
図2】ループ長を模式的に示す説明図である。
図3】アンテナ特性の例を示すグラフである。
図4】実施形態2のループアンテナ100の構成を示す斜視図である。
図5】実施形態3のループアンテナ100の構成を示す斜視図である。
図6】実施形態4のループアンテナ100の構成を示す斜視図である。
図7】実施形態5のループアンテナ100の構成を示す斜視図である。
図8】実施形態6のループアンテナ100の構成を示す斜視図である。
図9】実施形態7のループアンテナ100の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
(実施形態1)
ループアンテナ100には、図1に示すように、誘電体の基板111上に、銅箔から成る第1、および第2の導電体112・113がスリット114を介して配置されている。上記第1、および第2の導電体112・113の幅方向の寸法、すなわちスリット114と直角方向の寸法は、例えば、第1の導電体112の方が第2の導電体113よりも狭く設定されている。すなわち、スリット114がオフセットした位置に設けられている。上記第1、および第2の導電体112・113における、スリット114の一方の端部付近には、給電部115が接続されている。また、スリット114の他方の端部付近には、必須ではないが、例えばキャパシタ、インダクタ、抵抗などの整合部品116が接続されている。
【0012】
第1、および第2の導電体112・113における、スリット114と反対側の縁部どうしは、第3の導電体117によって接続されている。より詳しくは、例えば第3の導電体117は基板111に垂直な1対の側部117a・117aと、基板111に平行な頂部117bとを有する断面コの字状に形成され、上記側部117aの縁部と、第1、および第2の導電体112・113の縁部とが、半田付け等により接続されている。すなわち、例えば導電体112・113・117の縁部付近をランドパッドのようにして第3の導電体117の側部117a・117aの縁部を当接させ、半田付けにより固定されている。
【0013】
基板111上には、また、無線モジュール121やボタン電池122などの部品が搭載されている。
【0014】
上記のようなループアンテナ100では、金属板が近接した場合、鏡像電流が流れることによって、実際のループより大きなループを有するような作用により、アンテナ効率の高い特性を得ることができることに加えて、第1、および第2の導電体112・113の間にスリット114が設けられていることにより、換言すれば、導電体112・113・117がスリット114の長さに形成されていることにより、図2に模式的に示すように、スリット114に沿った長さの2倍だけ、ループ長が長くなったのと同様の作用を得ることができる。それゆえ、小型でも高いアンテナ効率を得ることが容易にでき、特に、金属板などが近接している場合でも、例えば図3に示すように、高いアンテナ効率を得ることが容易にできる。
【0015】
なお、上記では、給電部115は導電体112・113の最も端部付近に接続されている例を示したが、これに限らず、端部からの距離を空けるようにしてもよい。すなわち、上記のように端部に接続される場合には、ループ長を長く設定することが容易にできるが、基板の形状や、回路部品の位置、様々な制約などに応じて、種々調整可能である。例えば、スリット114の長手方向の中央部に接続されるようにしてもよいが、中央からずれた位置に接続することによって、中央部に接続する場合に比べて、共振周波数を低くしたり、同じ共振周波数で小型化を図ったりすることが容易にできる。
【0016】
また、スリット114における、給電部115が接続されている位置と異なる位置に整合部品116が接続されていることにより、アンテナ効率を高くすることが容易にできる。特に、金属板などが近接している場合でも、整った鏡像を形成させることが容易にでき、やはり高いアンテナ効率を保つことが容易にできる。さらに、上記のようにスリット114の一方の端部付近に給電部115が接続される一方、他方の端部付近に整合部品116が接続されてインピーダンス整合されることにより、ループ長を長く設定するとともに、図2に示すループ部分、すなわち第1、第2の導電体112、113におけるスリット114部分から、第1~第3の導電体112、113、117の縁部にかけて安定した電流密度分布を得ることが容易にでき、一層高いアンテナ効率を得ることが容易にできる。
【0017】
また、上記では、第1の導電体112の方が第2の導電体113よりも狭く設定されている例を示したが、上記幅の広狭は、ループアンテナ100に求められる特性等に応じて種々設定することができる。具体的には、例えば、幅の差を大きくすることによって、帯域幅を広くしたり、幅の差を小さくすることによって、帯域幅を狭くしたりすることができる。また、導電体112・113・117、および/またはスリット114の幅の合計を狭くして共振周波数を高くしたり、また、帯域幅を狭くしたりしてもよく、その逆に設定したりしてもよい。さらに、スリット114の幅も特に限定されず、例えばスリット114の幅を狭くすることによって帯域幅を狭くすることができる。また、導電体112・113・117の幅は、基板111上に配置される無線モジュール121やボタン電池122のレイアウトや配線パターンの設定などに応じて設定されてもよい。
【0018】
(実施形態2)
スリット114は、上記のように直線状に形成するのに限らず、図4に示すように、クランク状などの屈曲部114aを設けて、より、等価的なループ長を長くし得るようにしてもよい。
【0019】
(実施形態3)
上記のように導電体112・113の縁部付近をランドパッドのようにして第3の導電体117を半田付けするのに限らず、例えば図5に示すように導電体112・113の縁部にスルーパッド112aを形成する一方、第3の導電体117の側部117aにタブ117cを形成して上記スルーパッド112aに挿入し、半田付けするなどしてもよい。これにより、組み付け作業性や、組み付け位置精度、および/または機械強度を向上させることなどが容易にできる。
【0020】
(実施形態4)
また、導電体112・113と第3の導電体117とを半田付けによって接続するのに限らず、例えば図6に示すように、導電体112・113の縁部付近に、第3の導電体117の側部117aを挟持する弾性を有する端子131を設けて接続されるようにしてもよい。これによって半田付け作業を不要にしたり、無線モジュール121の実装後に第3の導電体117を組み付けることを容易にしたりできる。
【0021】
(実施形態5)
また、ループアンテナ100が例えば図7に示すように本体部141aと蓋部141bとを有する筐体141内に収容される場合、第3の導電体117を蓋部141bに取り付け、その蓋部141bを本体部141aに装着することによって、第1、および第2の導電体112・113と第3の導電体117とが接続されるようにしてもよい。この場合、両者の接続は、実施形態4(図6)で示したような端子131によって行われるようにしてもよいし、蓋部141bを本体部141aに装着する際の押圧力によって、第3の導電体117が第1、および第2の導電体112・113に直接、または別途設けられた可撓性部材を介するなどして圧接されることにより行われるようにしてもよい。
【0022】
さらに、第1、および第2の導電体112・113に、第3の導電体117の側部117aと同様の板部材が取り付けられる一方、蓋部141bには頂部117bに対応する平板状の導電部材や導電被膜などが設けられ、これらの接触によってループが形成されるようにしてもよい。
【0023】
(実施形態6)
第3の導電体117の頂部117bには、図8に示すように、スリット114に平行な方向の切欠部117dを形成してもよい。これによって、より広帯域化を図ったり、小型化を図ったりすることが容易にできる。
【0024】
(実施形態7)
第3の導電体117の長さは、必ずしもスリット114と同じ長さに設定されるのに限らず、例えば図9に示すように、より短く設定された部分導電体118が設けられるようにしてもよい。この場合、上記のような部分導電体118は、通常は、少なくとも給電部115の接続部の付近、および給電部115の接続部から最も遠い位置に設けられるのが好ましく、さらに中間位置に設けられるようにしてもよい。上記中間位置の部分導電体118の設置位置によって整合調整を兼ねるようにしてもよい。
【0025】
ここで、上記のような部分導電体118と第1、および第2の導電体112・113との接続は、上記各実施形態で説明したような種々の方法によって、また、それらの組み合わせによって行われるようにしてもよい。
【0026】
このような部分導電体118が用いられることによって、軽量化を図ったり、無線モジュール121の設置作業性を向上させたり、ボタン電池122の交換を容易にしたりすることができる。
【0027】
(その他の事項)
上記の例では、第1、および第2の導電体112・113と、第3の導電体117とは、基板111に対して同じ面側に設けられる例を示したが、これに限らず、第1、および第2の導電体112・113を両面基板の裏面側に設けたり、多層基板の内層に設けたりしてもよい。一方、無線モジュール121等を基板111の裏面側に配置したりしてもよい。
【0028】
また、第3の導電体117の断面形状はコの字状(すなわち導電体112・113全体では長方形上)に限らず、円形状、楕円形状、長丸状、三角形状など、ループが形成されれば、種々の断面形状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0029】
100 ループアンテナ
111 基板
112 第1の導電体
112a スルーパッド
113 第2の導電体
114 スリット
114a 屈曲部
115 給電部
116 整合部品
117 第3の導電体
117a 側部
117b 頂部
117c タブ
117d 切欠部
118 部分導電体
121 無線モジュール
122 ボタン電池
131 端子
141 筐体
141a 本体部
141b 蓋部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9