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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119513
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】金属サンドイッチパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/34 20060101AFI20230821BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20230821BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
E04C2/34 C
E04B1/80 100Q
E04C2/26 V
E04C2/26 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022463
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 強
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA03
2E001GA12
2E001GA42
2E001HA21
2E001HA32
2E001HB01
2E001HD01
2E162CA13
2E162CA14
2E162CA16
2E162CA21
2E162CB01
2E162CD01
(57)【要約】
【課題】金属サンドイッチパネルの改善された製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る金属サンドイッチパネルの製造方法は、複数の板材を相互に接着して芯材を形成する芯材形成ステップと、前記芯材の表面に第1金属材を接着し、前記芯材の裏面に第2金属材を接着する金属材接着ステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板材を相互に接着して芯材を形成する芯材形成ステップと、
前記芯材の表面に第1金属材を接着し、前記芯材の裏面に第2金属材を接着する金属材接着ステップと、
を含む、金属サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項2】
前記金属材接着ステップでは、前記第1金属材と前記第2金属材との間に前記芯材を挟み込み、加熱及び加圧しながら接着する、請求項1に記載の金属サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項3】
前記芯材形成ステップの接着と、前記金属材接着ステップの接着とを、同じウレタン系接着剤を用いて行う、請求項1又は2に記載の金属サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項4】
前記複数の板材の少なくとも1つは断熱材である、請求項1ないし3いずれか一項に記載の金属サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項5】
前記断熱材は有機断熱ボードである、請求項4に記載の金属サンドイッチパネルの製造方法。
【請求項6】
前記芯材形成ステップにおいて、前記芯材の分割片を複数形成し、
前記金属材接着ステップにおいて、第1金属材を配置し、前記第1金属材の上に前記複数の分割片を連接及び接着させながら配置し、連接及び接着された前記複数の分割片の前記第1金属材とは反対側に第2金属材を接着する、請求項1ないし5いずれか一項に記載の金属サンドイッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属サンドイッチパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるような、複数の板材が相互に接着される芯材と、当該芯材の面及び裏面にそれぞれ接着した金属材と、を備える金属サンドイッチパネルが知られている。当該金属サンドイッチパネルは例えば、建物の床面から天井面にわたり立設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/036228号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、多層の部材から形成される金属サンドイッチパネルの製造方法には、改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、金属サンドイッチパネルの改善された製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての金属サンドイッチパネルの製造方法は、複数の板材を相互に接着して芯材を形成する芯材形成ステップと、前記芯材の表面に第1金属材を接着し、前記芯材の裏面に第2金属材を接着する金属材接着ステップと、を含む。
【0007】
本発明の1つの実施形態として、前記金属材接着ステップでは、前記第1金属材と前記第2金属材との間に前記芯材を挟み込み、加熱及び加圧しながら接着する。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、前記芯材形成ステップの接着と、前記金属材接着ステップの接着とを、同じウレタン系接着剤を用いて行う。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記複数の板材の少なくとも1つは断熱材である。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記断熱材は有機断熱ボードである。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記芯材形成ステップにおいて、前記芯材の分割片を複数形成し、前記金属材接着ステップにおいて、第1金属材を配置し、前記第1金属材の上に前記複数の分割片を連接及び接着させながら配置し、連接及び接着された前記複数の分割片の前記第1金属材とは反対側に第2金属材を接着する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金属サンドイッチパネルの改善された製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法で製造された、金属サンドイッチパネルの一例を示す断面図である。
図2A】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、芯材形成ステップを示す断面図である。
図2B】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、芯材形成ステップを示す断面図である。
図2C】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、芯材形成ステップを示す断面図である。
図3A】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、金属材接着ステップを示す断面図である。
図3B】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、金属材接着ステップを示す断面図である。
図3C】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、金属材接着ステップを示す断面図である。
図4】本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、芯材形成ステップで形成される芯材の別の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る、金属サンドイッチパネルの製造方法の実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する構成には同一の符号を付している。
【0015】
図1は、本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態で製造された、金属サンドイッチパネル100を示す断面図である。金属サンドイッチパネル100は例えば、冷凍倉庫等の建物の壁として床面から天井面にわたり立設される。
【0016】
金属サンドイッチパネル100は、第1金属材21及び第2金属材22と、芯材10と、を備える。芯材10は、第1金属材21及び第2金属材22の間に挟まれている。芯材10は、積層されている複数の板材を含む。本実施形態において、芯材10を形成している複数の板材は、少なくとも1つの断熱材を含む。
【0017】
より具体的には、本実施形態の芯材10は、順に配置される4層の有機断熱ボード層11、12、14、15と、有機断熱ボード層12、14の間に挟まれた無機ボード層13と、を有する。4層の有機断熱ボード層11、12、14、15それぞれは、少なくとも1枚の有機断熱ボードを含む。無機ボード層13は、少なくとも1枚の無機ボードを含む。
【0018】
ここで、第1金属材21と有機断熱ボード層11、及び第2金属材22と有機断熱ボード層15が、それぞれウレタン系等の有機系接着剤により接着される。更に、有機断熱ボード層11、12及び無機ボード層13は、ビスV等の締結部材により固定されている。
【0019】
第1金属材21及び第2金属材22は、例えば、金属材料をプレス成形、押出成形、ロール成形等によって所定の断面形状に形成した、金属板材である。
【0020】
有機断熱ボード層11、12、14、15の有機断熱ボードは、断熱材であり、金属サンドイッチパネル100に断熱性を持たせるための層である。有機断熱ボード層11、12、14、15の有機断熱ボードを構成する材料としては、例えば、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリイミド発泡体、PET樹脂発泡体などの発泡樹脂が挙げられる。複数の有機断熱ボード層11、12、14、15の有機断熱ボードの材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。したがって、例えば、4層の有機断熱ボード層11、12、14、15のうち少なくとも2層の有機断熱ボード層の有機断熱ボードを、同じ材料で構成してもよい。また、4層の有機断熱ボード層11、12、14、15それぞれは、金属サンドイッチパネル100のパネル長さ方向に並べた複数の有機断熱ボードで形成されてよい。
【0021】
なお、本実施形態の芯材10は、4層の有機断熱ボード層11、12、14、15と、有機断熱ボード層12、14の間に挟まれた無機ボード層13と、を備えるが、芯材10は、この構成に限られない。芯材10は、積層される複数の板材を含む構成であればよい。したがって、芯材10は、例えば、3枚以下又は5枚以上の有機断熱ボード層を備えてもよい。また、有機断熱ボード層11、12、14、15の代わりにロックウールボードを用いると、金属サンドイッチパネル100の断熱性は低下するが、耐火性をより向上させることができる。
【0022】
無機ボード層13の無機ボードは、無機材料を含む。無機ボード層13の断熱性、耐火性及び面外曲げ強度により、金属サンドイッチパネル100の断熱性、耐火性及び面外曲げ強度が向上され得る。無機ボード層13の無機ボードは、例えば、軽量気泡コンクリート(ALC)、石膏ボード、ケイカル板などで構成することができる。また、無機ボード層13は、金属サンドイッチパネル100のパネル幅方向及びパネル長さ方向に並べた複数の無機ボードで形成されてよい。この場合に、隣接する無機ボードの間には、熱膨張材を設けてもよい。
【0023】
芯材10は、3種類の分割片10s、10s’、10s’’から形成される。分割片10sでは、無機ボード層13を構成する無機ボード13a、及び、有機断熱ボード層11、12、14、15を構成する有機断熱ボード11a、12a、14a、15aのパネル長さ方向の一端部に、階段部11a1、12a1、13a1、14a1が形成され、他端部に、階段部12a2、13a2、14a2、15a2が形成されている。分割片10s’では、長さが次第に短くなる板材11a’~15a’が順に積層し、パネル長さ方向の一端部(図1では右端部)が揃えられている。分割片10s’’では、長さが次第に長くなる板材11a’’~15a’’が順に積層し、パネル長さ方向の一端部(図1では左端部)が揃えられている。なお、パネル長さ方向の両端部が揃えられた芯材が形成されてもよい。
【0024】
芯材10において、3種類の分割片10s、10s’、10s’’のうち隣接する2つの分割片同士が、階段部で当接し接着されている。
【0025】
本実施形態では、金属サンドイッチパネルのパネル長さ方向に、芯材10の分割片10s、10s’、10s’’が連接されているが、芯材10の分割片10s、10s’、10s’’がパネル幅方向に連接されてもよい。
【0026】
本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法は、複数の板材を相互に接着して芯材を形成する芯材形成ステップと、芯材の表面に第1金属材を接着し、芯材の裏面に第2金属材を接着する金属材接着ステップと、を含む。図2A図2Cは、本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、芯材形成ステップを示す断面図である。図3A図3Cは、本発明の金属サンドイッチパネルの製造方法の一実施形態における、金属材接着ステップを示す断面図である。
【0027】
図2A図2Cを参照して、芯材形成ステップを説明する。図2A図2Cに示す芯材形成ステップでは、一例として、芯材10の分割片10s(図2B参照)を形成する芯材形成ステップを説明する。
【0028】
まず、有機断熱ボード12aの表面にウレタン系等の有機系接着剤を塗布する。有機断熱ボードの表面に接着剤を塗布する工程は、接着剤を塗布した有機断熱ボードと他の板材とを接着する工程とは異なる場所で行うことができる。軽量であり運搬が容易な有機断熱ボードに接着剤を塗布し、その後、当該有機断熱ボードを他の板材と接着させる場所に移動させる手法により、作業を効率化させ得る。
【0029】
次に、有機断熱ボード12aを、無機ボード13aの上に移動し、反転させる(図2A参照)。その後、無機ボード13aの上面に、有機断熱ボード12aを、パネル幅方向の端部の位置が揃うように位置合わせをしつつ、パネル長さ方向に互いにずらして端部に階段部13a2、12a1が形成されるようにして積層する。
【0030】
さらに有機断熱ボード11aの表面に接着剤を塗布する。次に有機断熱ボード11aを、有機断熱ボード12aの上に移動し、反転させる。その後、有機断熱ボード12aの上面に、別の有機断熱ボード11aを、パネル幅方向の端部の位置が揃うように位置合わせしつつ、パネル長さ方向に互いにずらして端部に階段部12a2、11a1が形成されるようにして積層する。
【0031】
続いて、最上の有機断熱ボード11aの上面から、無機ボード13aに到達するビスVを打ち込み、無機ボード13a、及び有機断熱ボード12a,11aを仮固定する。このようにして、接着剤が硬化するまでの仮固定を容易に行うことができる。ここで、ビスVの頭部は、有機断熱ボード11a又は後述する有機断熱ボード15aの表面と面一にするのではなく、微小量だけ有機断熱ボード11a又は15aに沈み込ませることが好ましい。この構成により、金属材接着ステップにおいて、有機断熱ボードと金属材とを接着する際に、ビスVの頭部が金属材に接触し、金属材が変形することを回避できる。また、ビスVの頭部に剥離剤を塗布しておくと、金属材接着ステップにおいて、加圧時に金属材の裏面とビスVの頭部が接着し、加圧解除時に該金属材がビス頭部に引き付けられて、金属材表面に凹みが生じることを防ぐことができる。
【0032】
続いて、図2Bに示されるように、仮固定した無機ボード13a、及び有機断熱ボード12a,11aを反転させる。その後、別の有機断熱ボード14aの表面に接着剤を塗布する。次に、有機断熱ボード14aを、無機ボード13aの上に移動し、反転させる。その後、無機ボード13aの上面に、有機断熱ボード14aを、パネル幅方向の端部の位置が揃うように位置合わせをしつつ、パネル長さ方向に互いにずらして端部に階段部13a1、14a2が形成されるようにして積層する。
【0033】
更に別の有機断熱ボード15aの表面に接着剤を塗布する。次に、有機断熱ボード15aを、有機断熱ボード14aの上に移動し、反転させる。その後、有機断熱ボード14aの上面に、有機断熱ボード15aを、パネル幅方向の端部の位置が揃うように位置合わせをしつつ、パネル長さ方向に互いにずらして端部に階段部14a1、15a2が形成されるようにして積層する。
【0034】
続いて、最上の有機断熱ボード15aの上面から、無機ボード13aに到達するビスVを打ち込み、無機ボード13a、及び有機断熱ボード14a,15aを仮固定する。
【0035】
なお、芯材10の分割片10sにおいて、積層されて隣接するボード同士の接着には、同じ接着剤を用いてもよい。
【0036】
上述した芯材10の分割片10sでは、パネル長さ方向両端部に階段部11a1、12a1、13a1、14a1、12a2、13a2、14a2、15a2が形成される。なお、上述した分割片10sの芯材形成ステップと同様の手順で、長さが次第に短くなる板材11a’~15a’を順に積層させて、パネル長さ方向の一端部が揃えられた図4に示す分割片10s’を形成してよい。また、上述した分割片10sの芯材形成ステップと同様の手順で、長さが次第に長くなる層を順に積層させて、パネル長さ方向の一端部が揃えられた分割片10s’’(図1及び3B~3C参照)を形成してよい。更に、上述した3種類の分割片10s、10s’、10s’’とは異なり、パネル長さ方向の両端部が揃えられた分割片を形成してもよい。
【0037】
このようにして1つの芯材10を作成したら、別の場所に移動させ順次積み上げていく。積み上げた芯材10の数が所定数に達したら、積層体を所定時間加圧、養生し、接着剤を硬化させる。加圧は、例えばコンクリート等の重量物を積層体に載せたり、小型のプレス機を用いたりして行う。
【0038】
加圧に際しては、加圧用の重量物やプレス機に直接接触しない階段部11a1、12a1、13a1、14a1、12a2、13a2、14a2、15a2が十分に加圧されないおそれがある。その結果、当該階段部の近傍において、板材同士が十分に接着されないおそれがある。
【0039】
本実施形態では、図2Cに示すように、有機断熱ボード11aの長手方向両側に、有機断熱ボード11aと同じ材料及び厚さのスペーサー材11s1、11s2を配置する。また、板材12a、13a、14a及び15aそれぞれの長手方向一方側に、板材12a、13a、14a及び15aと同じ材料及び厚さのスペーサー材12s1、13s1、14s1、15s1を、パネル長さ方向端部がスペーサー材11s1と一致するように配置する。板材12a、13a、14a及び15aそれぞれの長手方向他方側に、板材12a、13a、14a及び15aと同じ材料及び厚さのスペーサー材12s2、13s2、14s2、15s2を、パネル長さ方向端部がスペーサー材11s2と一致するように配置する。当該スペーサー材を配置した後に加圧を行うことで、階段部11a1、12a1、13a1、14a1、12a2、13a2、14a2、15a2の近傍が十分に加圧される。
【0040】
ただし、芯材10に複数の有機断熱ボードを使用した場合は、有機断熱ボードの断熱性によって、有機断熱ボードの内側の接着剤に熱が伝わり難い。その結果、加熱による硬化時間の短縮効果にはばらつきがある点に注意が必要である。
【0041】
また、接着剤を塗布した板材を積み上げる時点では接着剤は未硬化であり、板材間にズレが生じやすいので注意を有する。上述したように、芯材を構成する板材の少なくとも1枚に有機断熱ボードより強度の高い無機ボードを用いれば、例えば無機ボードの上に接着剤を塗布した有機断熱材を載せた後、ビス等を用いて有機断熱ボードを無機ボードに容易に固定することができる。その結果、接着剤が硬化するまでの仮固定を行うことができる。これにより、仮固定しない場合に起こり得る板材間のズレを防ぐことができる。また、接着剤を塗布した直後に積層体を別の場所に移動することができ、板材の積層作業を行う場所と加圧養生する場所を変えることができるので、作業効率が向上し得る。
【0042】
芯材形成ステップでは、芯材を構成する板材に接着剤を塗布して多数枚分の板材を積層させた後に、芯材(本実施形態では各分割片)の全体を加圧する必要がある。ここで、途中で加圧を止めて新たな板材を追加して積層することはできない。そのため、硬化開始までに時間がかかる接着剤が適する。
【0043】
なお、芯材10の分割片10sが早い段階で作成され、分割片10s’及び10s’’が後述する金属材接着ステップの直前に成形されてもよい。このように分割片10s’及び10s’’のみを直前に成形することで、金属サンドイッチパネルの長さの変更に対応し得る。
【0044】
次に、図3A図3Cを参照して、金属材接着ステップを説明する。
【0045】
図3Aに示す実施形態では、第1金属材21の上面全体に接着剤(ウレタン系等の有機系接着剤等)を塗布した後に、芯材10の分割片10s’を、この実施形態では有機断熱ボード層11が下面となる状態で、第1金属材21の上に配置する。ここで、パネル長さ方向の一方の端部に分割片10s’を配置することで、製造される金属サンドイッチパネルの一方の端面を平面状とし得る。
【0046】
次に分割片10s’の階段部の上面に接着剤を塗布し、第1金属材21の上面かつ分割片10s’の階段部に接するように分割片10s1を配置する(図3B参照)。その後も同様に、分割片10s2、分割片10s’’を配置することができる。パネル長さ方向の他方の端部に分割片10s’’を配置することで、製造される金属サンドイッチパネルの他方の端面を平面状とし得る。なお、分割片10s1、10s2はいずれも、上述した分割片10sと同じ構成としてよい。
【0047】
このように、第1金属材21の上に複数の分割片10s’、10s1、10s2、10s’’を連接及び接着させながら配置する。この際に、複数の分割片10s’、10s1、10s2、10s’’が階段部を用いて連接されることで、製造される金属サンドイッチパネルの面外曲げ強度が向上され得る。
【0048】
本実施形態では、金属サンドイッチパネルのパネル長さ方向に、芯材10の分割片10s’、10s1、10s2、10s’’を連接させているが、芯材10の分割片をパネル幅方向に連接させてよい。この場合に、複数の分割片同士の間の、無機ボードと無機ボードに挟まれる部分に熱膨張材を設けることが、芯材10の耐火性を向上させる観点から好ましい。
【0049】
他の実施形態として、複数の分割片10s、10s’、10s’’をパネル長さ方向又はパネル幅方向に連接させて芯材10を形成した後に、第1金属材21の上面に芯材10を配置してもよい。また、ある板材が複数の加工端材で構成された、分割片10s、10s’、10s’ を作成しても良い。この構成は、加工端材を廃棄せずに有効利用できる点で好ましい。
【0050】
また、本実施形態の芯材10は、複数の分割片10s、10s’、10s’’が連接されて形成されているが、この構成に限られない。例えば、金属サンドイッチパネルの長さが用意できる板材の長さ以下の場合は、金属サンドイッチパネルと同じ長さの板材を作成して積層すればよく、分割片を設ける必要はない。
【0051】
さらに次に、図3Cに示すように、芯材10の上面(芯材10の裏面の一例)に、ウレタン系等の有機系接着剤を塗布する。なお、上述したように、本実施形態の芯材10は、連接及び接着された複数の分割片10s’、10s1、10s2、10s’’から構成されている。その後、芯材10の上面に、第2金属材22を積層させる。第1金属材21、芯材10及び第2金属材22は、金属サンドイッチパネルを構成する。
【0052】
その後、第1金属材21と第2金属材22と、これらの間に挟み込まれた芯材10とを加熱及び加圧しながら、芯材の表側に第1金属材21を接着させ、芯材の裏側に第2金属材22を接着させてもよい。これにより、接着剤を迅速に硬化させ得る。接着剤がウレタン系等の有機系接着剤である場合、加熱によって迅速に硬化させ得る。
【0053】
また、大型プレス機で加圧しながら接着することにより、有機断熱ボード層11、12、14、15が圧縮変形するので、各分割片10s’、10s1、10s2、10s’’の厚さの誤差が矯正される結果、製造される金属サンドイッチパネルの厚さが統一され、金属サンドイッチパネルの寸法精度が向上され得る。
【0054】
上記加熱は50℃~80℃で行うことが好ましく、第1金属材21及び第2金属材22の熱歪みを低減するため、この温度範囲内においてより低温で加熱することがより好ましい。また、加圧は、金属材21,22と芯材10の隙間に接着剤を板材間の接着強度を得るために必要範囲まで行きわたらせるために行うものであり、加圧時の圧力は、接着剤の塗布方法、接着剤の粘度、芯材の圧縮強度等に応じて適切に調整する必要がある。たとえば、芯材10の有機断熱ボード層11、12、14、15として10%圧縮強度が20~25t/mの有機断熱ボードを用いる場合は、圧力を1t/m~10t/mの範囲内にすることが好ましい。
【0055】
金属材接着ステップでは、原則として金属サンドイッチパネルの全体を同時に加圧する必要があり、金属サンドイッチパネルの表面を平坦に高精度で仕上げるために、大型のプレス機が必要となる。従って、プレス機の効率を向上させるために、硬化時間の短い接着剤が適する。このような場合、接着剤としてウレタン系接着剤を使用するとともに、プレス機に加熱機能を付することができる。大型のプレス機を使用することで、長尺の金属サンドイッチパネルを高精度かつ短時間で製造できる。
【0056】
芯材形成ステップでの加圧を、常温で行うことで、硬化開始までの時間を長くすることができる。金属材接着ステップでの加圧を、加熱して行うことで、硬化完了までの時間を短くすることが可能となる。
【0057】
このように両ステップにおいて温度を変えて、同じ接着剤を用いることができる。芯材形成ステップの接着と、金属材接着ステップの接着とを、同じ接着剤を用いて行うことで、両ステップで用いる接着剤の貯蔵設備を統合させ得る。
【符号の説明】
【0058】
100:金属サンドイッチパネル
10:芯材
11、12、14、15:有機断熱ボード層
13:無機ボード層
10s、10s1、10s2、10s’、10s’’:分割片
11a、12a、14a、15a:有機断熱ボード
13a:無機ボード
11a1、12a1、13a1、14a1、12a2、13a2、14a2、15a2:階段部
11s1、12s1、13s1、14s1、15s1、11s2、12s2、13s2、14s2、15s2 スペーサー材
21:第1金属材
22:第2金属材
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4