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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119524
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20230821BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230821BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A61B1/06 612
A61B1/00 511
A61B1/045 632
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022493
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】小島 航史
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC03
4C161CC06
4C161DD01
4C161FF02
4C161LL01
4C161MM05
4C161NN01
4C161QQ02
4C161QQ04
4C161QQ07
4C161QQ09
4C161RR02
4C161RR22
4C161SS06
4C161SS09
4C161WW04
4C161WW17
(57)【要約】
【課題】画像処理装置及びその方法を提供する。
【解決手段】本開示の画像処理装置は、第1光源と、第1光源からの第1光に対して被検体から反射した光を露光して第1画像信号を生成する第1撮像部と、第1画像信号に基づき第1画像を生成する第1画像処理部と、第2光源と、第2光源からの第2光に対して被検体から発生した蛍光を露光して第2画像信号を生成する第2撮像部と、第2画像信号に基づき第2画像を生成する第2画像処理部と、第1画像と第2画像とを重畳して重畳画像を生成する重畳画像生成部と、重畳画像の輝度情報に基づき、第1光源、第1撮像部及び第1画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第1制御パラメータと、第2光源、第2撮像部及び第2画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第2制御パラメータとを調整することにより、第1画像の輝度と第2画像の輝度とを調整する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯域を有する第1光を被検体に照射する第1光源と、
前記第1光に対して前記被検体から反射した光を露光して第1画像信号を生成する第1撮像部と、
前記第1画像信号に基づき第1画像処理を行って第1画像を生成する第1画像処理部と、
前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域を有しかつ前記被検体に含まれる蛍光物質の励起波長を含む第2光を前記被検体に照射する第2光源と、
前記第2光に対して前記被検体から発生した蛍光を露光して第2画像信号を生成する第2撮像部と、
前記第2画像信号に基づき第2画像処理を行って第2画像を生成する第2画像処理部と、
前記第1画像と前記第2画像とを重畳して重畳画像を生成する重畳画像生成部と、
前記重畳画像の輝度情報に基づき、前記第1光源、前記第1撮像部及び前記第1画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第1制御パラメータと、前記第2光源、前記第2撮像部及び前記第2画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第2制御パラメータとを調整することにより、前記第1画像の輝度と前記第2画像の輝度とを調整する制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記重畳画像の輝度情報と、前記重畳画像の目標輝度情報との差分に基づき、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとを調整することにより、前記差分をゼロにする又は閾値以下にする
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータ間の比率の比率に関する条件に基づき、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータを調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータの調整前の比率と、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータの調整後の比率の差をゼロ又は閾値以下する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1制御パラメータは、前記第1光源の光量を調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2光源の光量を調整するパラメータである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1制御パラメータは、前記第1撮像部において前記第1光の反射光の露光量調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2撮像部において前記蛍光の露光量を調整するパラメータである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1制御パラメータは、前記第1撮像部における前記第1画像信号のアナログゲインを調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2撮像部における第2画像信号のアナログゲインを調整するパラメータである、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1制御パラメータは、前記第1画像処理部における前記第1画像信号のデジタルゲインを調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2画像処理部における前記第2画像信号のデジタルゲインを調整するパラメータである、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第1制御パラメータは、前記第1光源の光量を調整する第1光量調整パラメータ、前記第1撮像部における前記第1光の反射光の露光量を調整する第1露光量調整パラメータ、前記第1撮像部における第1画像信号のアナログゲインを調整する第1アナログゲイン調整パラメータ、及び前記第1画像処理部における第1画像信号のデジタルゲインを調整する第1デジタルゲイン調整パラメータのうちの少なくとも2つを含み、
前記第2制御パラメータは、前記第2光源の光量を調整する第2光量調整パラメータ、前記第2撮像部における前記蛍光の露光量を調整する第2露光量調整パラメータ、前記第2撮像部における前記第2画像信号のアナログゲインを調整する第2アナログゲイン調整パラメータ、及び前記第2画像処理部における前記第2画像信号のデジタルゲインを調整する第2デジタルゲイン調整パラメータのうちの前記少なくとも2つを含み、
前記制御部は、前記第1光量調整パラメータ、前記第1露光量調整パラメータ、前記第1アナログゲイン調整パラメータ、及び前記第1デジタルゲイン調整パラメータのうちの前記少なくとも2つを第1の優先順位で調整し、
前記制御部は、前記第2光量調整パラメータ、前記第2露光量調整パラメータ、前記第2アナログゲイン調整パラメータ、前記第2デジタルゲイン調整パラメータのうちの前記少なくとも2つを第2の優先順位で調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第1の優先順位は、前記第1光量調整パラメータ及び前記第1露光量調整パラメータの順であり、
前記第2の優先順位は、前記第2光量調整パラメータ及び前記第2露光量調整パラメータの順である
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第1の優先順位は、前記第1光量調整パラメータ、前記第1アナログゲイン調整パラメータ、前記第1デジタルゲイン調整パラメータ及び前記第1露光量調整パラメータの順であり、
前記第2の優先順位は、前記第2光量調整パラメータ、前記第2アナログゲイン調整パラメータ、前記第2デジタルゲイン調整パラメータ及び前記第2露光量調整パラメータの順である
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記重畳画像の輝度情報は、前記重畳画像の平均輝度を表す情報である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記重畳画像は前記重畳画像の第1位置を含む第1画像部分と、前記第1画像部分の周囲の第2画像部分とを含み、
前記制御部は、前記第1画像部分に第1重みを設定し、前記第2画像部分に第2重みを設定し、
前記第1重みと前記第2重みとに基づき前記第1画像部分の輝度と前記第2画像部分の輝度との重み付き平均を算出する
請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記重畳画像において第1閾値以上の輝度を有する画素のみに基づき前記平均輝度を算出する
請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記重畳画像において第2閾値以上の輝度を有する画素の輝度を前記第2閾値に固定して、前記平均輝度を算出する
請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記第1画像は赤、緑及び青の輝度値を画素ごとに含み、
前記重畳画像生成部は、前記第1画像の画素ごとの前記赤、前記緑、前記青の輝度値と、前記赤、前記緑、前記青の重みとに基づき、前記第1画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記第1画像の画素ごとの輝度値と、前記第2画像の画素ごとの輝度値とを合成して、前記重畳画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記制御部は、前記第2画像の色に応じて、前記赤、前記緑、及び前記青の重みを変更する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記第1画像は赤、緑及び青の輝度値を画素ごとに含み、
前記重畳画像生成部は、前記第1画像の画素ごとの前記赤、前記緑、前記青の輝度値と、前記赤、前記緑、前記青の重みとに基づき、前記第1画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記第1画像の画素ごとの輝度値と、前記第2画像の画素ごとの輝度値とを合成して、前記重畳画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記制御部は、前記第1光の色に応じて、前記赤、前記緑、及び前記青の重みを変更する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記重畳画像を表示する第1表示モードと、前記第1画像を表示する第2表示モードとを選択可能に実行し、
前記第1画像は赤、緑及び青の輝度値を画素ごとに含み、
前記重畳画像生成部は、前記第1画像の画素ごとの前記赤、前記緑、前記青の輝度値と、前記赤、前記緑、前記青の重みとに基づき、前記第1画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記第1画像の画素ごとの輝度値と、前記第2画像の画素ごとの輝度値とを合成して、前記重畳画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記制御部は、前記第1表示モード及び前記第2表示モードのいずれを実行にするかに応じて、前記赤、前記緑、及び前記青の重みを変更する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記重畳画像における複数の領域ごとに平均輝度を算出し、前記平均輝度が高い領域ほど高い重みを前記領域に含まれる画素に設定して、
前記領域毎の前記画素の前記重みに基づき、前記重畳画像の画素毎の輝度の重み付き平均を算出する
請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとを同時に調整する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項22】
第1波長帯域を有する第1光を被検体に照射する第1ステップと、
前記第1光に対して前記被検体から反射した光を露光して第1画像信号を生成する第2ステップと、
前記第1画像信号に基づき第1画像処理を行って第1画像を生成する第3ステップと、
前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域を有しかつ前記被検体に含まれる蛍光物質の励起波長を含む第2光を前記被検体に照射する第4ステップと、
前記第2光に対して前記被検体から発生した蛍光を露光して第2画像信号を生成する第5ステップと、
前記第2画像信号に基づき第2画像処理を行って第2画像を生成する第6ステップと、
前記第1画像と前記第2画像とを重畳して重畳画像を生成する第7ステップと、
前記重畳画像の輝度情報に基づき、前記第1ステップ、前記第2ステップ及び前記第3ステップのうち少なくとも1つを制御する第1制御パラメータと、前記第4ステップ、前記第5ステップ及び前記第6ステップのうち少なくとも1つを制御する第2制御パラメータとを調整することにより、前記第1画像の輝度と前記第2画像の輝度とを調整する第8ステップと
を備えた画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
観察対象から2種類の撮像画像をそれぞれ取得し、対応する画素同士で重畳して観察用の重畳画像を生成する医療用画像処理装置が知られている。2種類の撮像画像のうちの一方の撮像画像は、白色光が観察対象に照射され、当該観察対象で反射された光を撮像素子にて撮像した画像(白色画像と記載する)である。他方の撮像画像は、近赤外線等の励起光が観察対象に照射され、当該励起光によって観察対象に含まれる蛍光体から励起された蛍光を撮像素子にて撮像した画像(赤外画像と記載する)である。
【0003】
このような重畳画像に基づき観察対象を観察する方法において、下記特許文献1では、白色光の光源(白色光源)及び近赤外線の光源(近赤外光源)の光量、又は画像処理のゲインを変更することで、白色画像と赤外画像との合成バランスをとる方法が記載されている。しかしながら、この方法では、観察対象に蛍光体を注入する前では、近赤外線の光源の光量又は画像処理のゲインが過度に大きくされる。このため、赤外画像が明るくなりすぎ、重畳画像におけるノイズが増える問題がある。
【0004】
また当該特許文献1には、白色画像の輝度に追従して、近赤外線光源から出射する近赤外線の輝度を調整する方法も記載されている。この方法では、蛍光体が注入される前において、近赤外線光源の光量又は画像処理のゲインが過度に大きくされることはなく、赤外画像が明るくなりすぎることはない。しかしながら、励起される蛍光の量が増えた場合に、赤外画像の明るさが重畳画像に適正に反映されず、重畳画像が過度に明るくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5184016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためのものであり、複数の光源を用いて撮像して得られた複数の画像を好適なバランスで重畳することを可能にする画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る画像処理装置は、第1波長帯域を有する第1光を被検体に照射する第1光源と、前記第1光に対して前記被検体から反射した光を露光して第1画像信号を生成する第1撮像部と、前記第1画像信号に基づき第1画像処理を行って第1画像を生成する第1画像処理部と、前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域を有しかつ前記被検体に含まれる蛍光物質の励起波長を含む第2光を前記被検体に照射する第2光源と、前記第2光に対して前記被検体から発生した蛍光を露光して第2画像信号を生成する第2撮像部と、前記第2画像信号に基づき第2画像処理を行って第2画像を生成する第2画像処理部と、前記第1画像と前記第2画像とを重畳して重畳画像を生成する重畳画像生成部と、前記重畳画像の輝度情報に基づき、前記第1光源、前記第1撮像部及び前記第1画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第1制御パラメータと、前記第2光源、前記第2撮像部及び前記第2画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第2制御パラメータとを調整することにより、前記第1画像の輝度と前記第2画像の輝度とを調整する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る内視鏡装置の構成を示す図。
図2】挿入部材及びカメラヘッドの内部の構成を示す図。
図3】カメラヘッド及び制御装置の構成を示すブロック図。
図4】制御部における輝度制御を行う構成のブロック図。
図5】制御装置の動作を示すフローチャート。
図6】白色光の感度が高い重畳画像の表示例を示す図。
図7】関連技術により重畳画像を生成した例を示す図。
図8】蛍光の輝度の割合が大きい重畳画像の表示例を示す図。
図9】関連技術により生成した重畳画像の例を示す図。
図10】対象画像及び周辺画像の例と、対象画像と周辺画像の一部とで輝度の重み付き平均値を算出する例とを示す図。
図11】重畳画像においてマスク領域の画像と、非マスク領域の画像とを示す図。
図12】重畳画像において輝度値が飽和している画像を示す図。
図13】輝度の高い領域に対する重みを高くして、輝度情報を算出する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。図面において同一又は対応する要素には同じ参照符号を付して、詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る内視鏡装置100の構成を示す図である。内視鏡装置100は、医療分野において用いられ、被検体となる生体内(観察対象)を撮像又は観察するための装置である。内視鏡装置100は、光源装置10と、挿入部材(内視鏡本体)20と、ライトガイド30と、カメラヘッド50と、表示装置70と、伝送ケーブル80と、制御装置90とを備えている。
【0011】
光源装置10は、生体内に照射するための光を発生させる。光源装置10は、ライトガイド30によって挿入部材20と接続される。光源装置10は、ライトガイド30によって挿入部材20と接続される。光源装置10は、ライトガイド30の一端31に脱着可能に接続されており、発生させた光をライトガイド30の一端31に供給する。ライトガイド30の他端32は、挿入部材20の接続部22に着脱可能に接続されている。
【0012】
光源装置10は、第1光源11と、第2光源12とを備える。第1光源11は、第1の波長帯域の光を出射(発光)する。本実施形態では、第1光源11は、第1の波長帯域として白色(通常光)を発光する。第1光源11は、一例としてLED(Light Emitting Diode)により構成される。第1光源11の発光輝度(光量)は、制御部94によって調整可能である。第1光源11の光量は、白色光(通常光)に基づき撮像される画像(通常光画像)の輝度を調整するための第1制御パラメータ又は第1光量調整パラメータの一例に対応する。第1光源11の発光色は白色に限定されない。例えば第1光源11は紫など他の色の光を発光することも可能である。この場合、例えば、第1光源11のRGBの色の混合割合を変更することで、発光する色を変更することが可能である。
【0013】
第2光源12は、第1の波長帯域とは異なる第2の波長帯域の励起光を出射(発光)する。本実施形態では、第2光源12は、第2の波長帯域として、近赤外の波長帯域の近赤外励起光(励起光)を発光する。第2光源12は、一例として、半導体レーザで構成される。本実施形態では、第2光源12は、近赤外の波長帯域の近赤外励起光を発光する半導体レーザで構成されている。第2光源12の発光輝度(光量)は、制御部94によって調整可能である。
【0014】
第2光源12が発光する近赤外励起光は、インドシアニングリーン等の蛍光物質(蛍光体)を励起する励起光である。また、当該インドシアニングリーン等の蛍光物質は、当該近赤外励起光で励起すると、当該近赤外励起光の波長帯域の中心波長よりも長波長側に中心波長を有する蛍光を発光する。なお、近赤外励起光の波長帯域と蛍光の波長帯域とは、一部が重なり合うように設定してもよく、あるいは、全く重なり合わないように設定してもよい。第2光源12の光量は、蛍光に基づき撮像される画像(蛍光画像)の輝度を調整するための第2制御パラメータ又は第2光量調整パラメータの一例に対応する。
【0015】
光源装置10は、制御装置90による制御の下、交互に繰り返される第1の期間及び第2の期間のうち、第1の期間において、第1光源11を発光させる。すなわち、第1の期間では、光源装置10は、通常光(白色光)を発光する。また、光源装置10は、制御装置90による制御の下、第2の期間において、第2光源12を発光させる。すなわち、第2の期間では、光源装置10は、近赤外励起光を発光する。光源装置10は、制御装置90とは別体で構成されているが、光源装置10が制御装置90の内部に設けられていてもよい。
【0016】
挿入部材20は、光源装置10にライトガイド30を介して接続される。挿入部材20は、硬質で細長い形状を有する硬性内視鏡であり、その先端部21から生体内に挿入されることができる。挿入部材20の基端部23(接眼部)は、カメラヘッド50に着脱自在に接続される。
【0017】
挿入部材20の先端部21から、光源装置10からライトガイド30を介して供給される光(通常光や近赤外励起光)が被検体内の観察対象に向けて出射する。出射された照明光は、生体内の観察対象によって反射させられ、先端部21から挿入部材20の内部に再び入射する。挿入部材20の内部には、1つ又は複数の光学レンズによって構成される観測光学系が設けられている。観察対象Sからの反射光は、観測光学系によって集光されて、挿入部材20の基端部(接眼部)23を介して、カメラヘッド50内に導かれる。
【0018】
より詳細には、生体内に通常光(白色光)が照射された場合には、当該生体内を介した通常光(当該生体内で反射された通常光)が挿入部材20内の光学系により集光され、カメラヘッド50内に導かれる。以下では、挿入部材20内の光学系により集光された当該通常光を第1の被検体像と記載する場合がある。また、生体内に近赤外励起光が照射された場合には、当該生体内で反射された近赤外励起光と、当該生体内における病変部に集積するインドシアニングリーン等の蛍光物質が励起されることで発せられた蛍光とが挿入部材20内の光学系により集光され、カメラヘッド50内に導かれる。以下では、挿入部材20内の光学系により集光された蛍光(又は近赤外励起光と蛍光)を第2の被検体像と記載する場合がある。
【0019】
図2は、挿入部材20及びカメラヘッド50の内部の構成を示す図である。挿入部材20の先端部21には、光源装置10からライトガイド30を介して供給される光を被検体(生体)内の対象領域(観察対象S)に向けて出射する出射部24Aが設けられている。出射部24Aはレンズ又はその他の部材で構成されてもよいし、空間(孔)であってもよい。出射部24Aから出射された光L1(通常光又は近赤外励起光)は、生体内の対象領域(観察対象S)によって反射させられる。挿入部材20の先端部21には、反射波(通常光又は近赤外励起光)と、励起により発生した蛍光とが入射する入射部24Bが設けられている。入射部24Bに入射する光L2は、通常光の反射光を含む、又は近赤外励起光の反射光と蛍光とを含む。入射部24Bはレンズ又はその他の部材で構成されてもよいし、空間(孔)であってもよい。光L2は、入射部24Bに入射して、挿入部材20の内部に再び導かれる。出射部24Aと入射部24Bとは別々に設けられているが、出射部24Aと入射部24Bが同一であってもよい。
【0020】
挿入部材20の内部には、光学レンズ25a、25b、25c、25d、25e、25f、25g、25hによって構成される観測光学系25が設けられている。最終段の光学レンズ25hは接眼レンズと呼ばれる場合もある。観察対象Sからの光L2は、観測光学系25によって集光され、挿入部材20の基端部23を介して、カメラヘッド50に導かれる。この際、光学レンズ25gと、光学レンズ25h(接眼レンズ)との間には視野マスク27(硬性鏡マスク)が設けられていている。光学レンズ25h(接眼レンズ)の光軸、視野マスク27の中心軸、及び光学レンズ25a~25gの光軸は一致している。視野マスク27は、例えば円形状の開口を有し、医師等のユーザに観察させる視野画像に対応する光を通過させる。観測光学系25によって集光される光は光学レンズ25gの後段で視野マスク27によって一部がマスクされた後、光学レンズ25hによって集光され、カメラヘッド50内に導かれる。なお視野マスクを設けない構成も可能である。
【0021】
カメラヘッド50は、被検体又は被検体の観察対象を撮像する撮像装置に相当する。カメラヘッド50は、挿入部材20の基端部23(接眼部)に着脱自在に接続される。カメラヘッド50は、制御装置90による制御の下、挿入部材20にて集光された第1の被検体像(通常光)及び第2の被検体像(蛍光及び近赤外励起光)を撮像し、撮像による画像信号を出力する。画像信号は、例えば、4K以上の画像信号である。
【0022】
カメラヘッド50の内部には、レンズユニット51、撮像部52(第1撮像部、第2撮像部)、及び通信部53が設けられている。レンズユニット51及び撮像部52の各光軸は、挿入部材20の観測光学系25の光軸と一致する。カメラヘッド50に導かれた光L2は、レンズユニット51によって集光されて、撮像部52の撮像素子522に出力される。撮像部52は、撮像素子522に出力された光を露光して、電気信号に変換することによって、観察対象Sの画像信号を生成する。通信部53は画像信号を伝送ケーブル80に出力する。カメラヘッド50の詳細な構成及び動作については、後述する。
【0023】
伝送ケーブル80は、一端が制御装置90に着脱自在に接続され、他端がカメラヘッド50に着脱自在に接続される。伝送ケーブル80は、カメラヘッド50から出力される画像信号等を制御装置90に伝送し、また、制御装置90から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力等をカメラヘッド50に伝送する。伝送ケーブル80を介したカメラヘッド50から制御装置90への画像信号等の伝送は、光信号による伝送でも、電気信号による伝送でもよい。伝送ケーブル80を介した制御装置90からカメラヘッド50への制御信号、同期信号、クロックの伝送も同様に、光信号による伝送でも、電気信号による伝送でもよい。伝送ケーブル80による有線伝送に変えて、無線伝送を用いてもよい。無線LAN(Local Area Network)、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信など、任意の方式又は規格を用いることができる。
【0024】
表示装置70は、一例として、液晶ディスプレイ又は有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。表示装置70は、制御装置90による制御の下、制御装置90にて処理された画像信号を受信し、画像信号に基づく画像(映像)を画面に表示する。表示装置70は制御装置90に伝送ケーブルにより接続されて有線により表示用の画像信号を受信してもよいし、無線伝送により表示用の画像信号を受信してもよい。
【0025】
制御装置90は、光源装置10、カメラヘッド50、及び表示装置70の動作を統括的に制御する。例えば、制御装置90は、カメラヘッド50から伝送ケーブル80を介して受信された観察対象の画像信号に対して、各種の画像処理を施すことによって、表示用の画像信号(映像信号)を生成する。また制御装置90は、光源装置10を制御する制御信号を光源装置10に伝送する。光源装置10は制御装置90に伝送ケーブルにより接続されて有線により表示用の制御信号を受信してもよいし、無線伝送により制御を受信してもよい。
【0026】
制御装置90は、CPU(Central Processing Unit)、MPU、又はGPU(Micro Processing Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサによって実現されてもよいし、或いは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。制御装置90が汎用プロセッサにより構成される場合、ソフトウェア又はプログラムを汎用プロセッサに実行させることにより、制御装置90の機能が実現される。制御装置90の詳細な構成については、後述する。
【0027】
図3は、カメラヘッド50及び制御装置90の構成を示すブロック図である。
[カメラヘッド50の構成]
カメラヘッド50は、レンズユニット51と、撮像部52と、通信部53とを備えている。
【0028】
レンズユニット51は、1又は複数のレンズを含む。レンズユニット51は、挿入部材20にて集光された第1の被検体像(通常光)又は第2の被検体像(蛍光及び近赤外励起光)を集光し、撮像部52(撮像素子522)の撮像面に出力する。撮像部52は、制御装置90による制御の下、生体内を撮像する。撮像部52は、レンズユニット51により集光された第1の被検体像(通常光)を露光して第1画像信号を生成する第1撮像部と、レンズユニット51により集光された第2の被検体像(蛍光)を露光して第2画像信号を生成する第2撮像部とを含む。
【0029】
撮像部52は、励起光カットフィルタ521と、撮像素子522と、信号処理部523とを備えている。
【0030】
励起光カットフィルタ521は、レンズユニット51と撮像素子522との間に設けられ、特定の波長帯域を除去するバンドストップフィルタを含む。なお、励起光カットフィルタ521にてカット(除去)する波長帯域をカット帯域と記載する。当該カット帯域よりも短波長側であって励起光カットフィルタ521を透過する波長帯域を短波側透過帯域と記載する。当該カット帯域よりも長波長側であって励起光カットフィルタ521を透過する波長帯域を長波側透過帯域と記載する。カット帯域は、近赤外励起光の波長帯域のうち少なくとも一部の波長帯域を含む。また、長波側透過帯域は、蛍光の波長帯域を含む。長波側透過帯域は、蛍光の波長帯域に加え、近赤外励起光の波長帯域の一部の波長帯域を含み得る。以下の説明では長波側透過帯域が蛍光の波長帯域のみを含む場合を記載するが、近赤外励起光の波長帯域の一部の波長帯域が含まれていてもよい。短波側透過帯域は、通常光(白色光)の波長帯域(第1の波長帯域)を含む。すなわち、励起光カットフィルタ521は、レンズユニット51から撮像素子522に向かう第1の被検体像(通常光(白色光))を透過させる。また、励起光カットフィルタ521は、レンズユニット51から撮像素子522に向かう第2の被検体像(蛍光)を透過させる。なお、励起光カットフィルタ521はカメラヘッド50内に配置されているが、これに限定されず挿入部材20内の光学系の光路上に配置されてもよい。
【0031】
撮像素子522は、励起光カットフィルタ521を透過した光を受光して電気信号(アナログ信号)に変換する。撮像素子522は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を含む。撮像素子522は、第1の被検体像(通常光)を露光して第1画像信号を生成する第1撮像部と、第2の被検体像(蛍光)を露光して第2画像信号を生成する第2撮像部とで共通に用いられるが、それぞれ別々に設けられてもよい。
【0032】
撮像素子522の撮像面(受光面)には、光学フィルタであるカラーフィルタが設けられている。カラーフィルタは、透過させる光(R(赤),G(緑),B(青))の波長帯域に応じて区分された3種類のフィルタ(Rフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタ)が所定の形式で配列されたものである。RGBの各フィルタの配列形式の例として、ベイヤ配列がある。Rフィルタは、Rの波長帯域の光を主に透過させるフィルタ、Bフィルタは、Bの波長帯域の光を主に透過させるフィルタ、Gフィルタは、Gの波長帯域の光を主に透過させるフィルタである。なお、R,G,Bの各フィルタは蛍光(及び近赤外励起光)についても透過させる。撮像素子522は、R,G,Bの波長帯域の光のみならず、蛍光の波長帯域の光(及び近赤外励起光)に対しても感度を有する。
【0033】
撮像素子522は、制御装置90による制御の下、光源装置10の発光タイミングに同期して、交互に繰り返される第1の期間及び第2の期間毎に撮像を行う。
【0034】
具体的には、撮像素子522は、第1の期間において第1の被検体像(通常光)を露光して第1画像信号を生成する。撮像素子522の第1の期間における第1の被検体像(通常光)の露光量又は露光時間は制御部94によって調整可能である。撮像素子522により第1の被検体像(通常光)を撮像することで生成された画像、すなわち第1画像信号に基づく画像を、通常光画像(第1画像)と記載する。第1の被検体像の露光量又は露光時間は、白色光(通常光)に基づき撮像される画像(通常光画像)の輝度を調整するための第1制御パラメータ又は第1露光量調整パラメータの一例に対応する。
また、撮像素子522は、第2の期間において第2の被検体像(蛍光)を撮像して第2画像信号を生成する。撮像素子522の第2の期間における第2の被検体像(蛍光)の露光量又は露光時間は制御部94によって調整可能である。第2の被検体像を撮像することで生成された画像、すなわち第2画像信号に基づく画像を、蛍光画像(第2画像)と記載する。第2の被検体像の露光量又は露光時間は、蛍光に基づき撮像される画像(蛍光画像)の輝度を調整するための第2制御パラメータ又は第2露光量調整パラメータの一例に対応する。
【0035】
信号処理部523は、撮像素子522にて生成されたアナログの画像信号(それぞれアナログの第1画像信号、第2画像信号)に対して、各種信号処理を行ってデジタルの画像信号(それぞれデジタルの第1画像信号、第2画像信号)を出力する。第1画像信号は、通常光画像(第1画像)を表し、第2画像信号は蛍光画像(第2画像)を表す。通常光画像(第1画像)及び蛍光画像(第2画像)を纏めて撮像画像と記載することもある。信号処理部523は、撮像画像(デジタル信号)を出力する。信号処理部523は、アナログゲイン調整を行うためのゲイン調整部(AGC(Auto Gain Control)回路)540を備えている。すなわち、AGC回路540は、信号処理として、AGCを行う。AGC回路540は、通常光に基づき撮像された第1画像信号(アナログ信号)のアナログゲインを調整する。AGC回路540は、蛍光に基づき撮像された第2画像信号(アナログ信号)のアナログゲインを調整する。アナログゲインを調整することで画像信号(アナログ信号)の振幅(例えば輝度)を調整可能である。信号処理部523は、それぞれAGC等を経た第1画像信号及び第2画像信号にAD変換を行ってデジタルの第1画像信号及びデジタルの第2画像信号、すなわち撮像信号(デジタル信号)を生成する。信号処理部523は撮像部52に含まれているが、撮像部52と通信部53との間に独立した機能部として存在してもよい。
【0036】
ゲイン調整部540で用いる第1画像信号(アナログ信号)のアナログゲインは制御部94によって調整可能である。第1画像信号(アナログ信号)のアナログゲインは、白色光(通常光)に基づき撮像される画像(通常光画像)の輝度を調整するための第1制御パラメータ又は第1アナログゲイン調整パラメータの一例に対応する。
【0037】
ゲイン調整部540で用いる第2画像信号(アナログ信号)のアナログゲインは制御部94によって調整可能である。第2画像信号(アナログ信号)のアナログゲインは、蛍光に基づき撮像される画像(蛍光画像)の輝度を調整するための第2制御パラメータ又は第2アナログゲイン調整パラメータの一例に対応する。
【0038】
ゲイン調整部540は、第1の被検体像(通常光)を露光して第1画像信号を生成する第1撮像部と、第2の被検体像(蛍光)を露光して第2画像信号を生成する第2撮像部とで共通に用いられるが、それぞれ別々に設けられてもよい。
【0039】
通信部53は、伝送ケーブル80を介して、撮像部52から出力される撮像画像(デジタル信号)を制御装置90に送信する。通信部53は、例えば、高速伝送レートで撮像画像の通信を行う高速シリアルインターフェースで構成されている。
【0040】
〔制御装置90の構成〕
制御装置90は、通信部91と、メモリ92と、観察画像生成部93と、制御部94と、入力部95と、出力部96と、記憶部97とを備える。
【0041】
通信部91は、伝送ケーブル80を介して、カメラヘッド50から出力される撮像画像を受信する。通信部91は、例えば、カメラヘッド50の通信部53との間で、高速伝送レートで撮像画像の通信を行う高速シリアルインターフェースで構成されている。
【0042】
メモリ92は、カメラヘッド50から順次、出力される撮像画像を複数フレーム分、一時的に記憶する。メモリ92は、例えば揮発性メモリ又は不揮発性メモリにより構成される。一例としてメモリ92は、揮発性メモリであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)により構成される。
【0043】
観察画像生成部93は、制御部94による制御の下、カメラヘッド50から順次、出力され、通信部91にて受信された撮像画像を処理する。観察画像生成部93は、メモリコントローラ931と、第1画像処理部932と、第2画像処理部933と、重畳画像生成部934と、表示制御部935とを備える。第1画像処理部932と、第2画像処理部933は別々に設けられているが、1つの画像処理部としてまとめられてもよい。
【0044】
メモリコントローラ931は、メモリ92への撮像画像の書込み及び読出しを制御する。より具体的に、メモリコントローラ931は、カメラヘッド50から順次、出力され、通信部91にて受信された撮像画像(通常光画像及び蛍光画像)をメモリ92に順次、書き込む。また、メモリコントローラ931は、メモリ92から通常光画像を特定のタイミングで読み出すとともに、読み出した通常光画像を第1画像処理部932に出力する。さらに、メモリコントローラ931は、メモリ92から蛍光画像を特定のタイミングで読み出すとともに、読み出した蛍光画像を第2画像処理部933に出力する。
【0045】
第1画像処理部932は、入力された通常光画像の信号(デジタルの第1画像信号)に対して、第1の画像処理を実行する。第1画像処理部932は、通常光画像の信号に対してAGC(Auto Gain Control)によってデジタルゲインの調整を行うゲイン調整部(AGC回路)940Aを備えている。第1画像処理部932は、第1の画像処理として、通常光画像の信号のデジタルゲイン調整を行う。具体的には、通常光画像の信号(RGB信号)のデジタルゲインを調整することにより、通常光画像の画素値(RGB輝度値)を調整する。
【0046】
また、第1画像処理部932は、第1の画像処理として、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス調整処理、デモザイク処理、色補正処理、ガンマ補正処理のうちの少なくとも1つを行ってもよい。
【0047】
また、第1画像処理部932は、第1の画像処理として、AGC等の処理後のRGB信号(通常光画像)を輝度信号及び色差信号(Y,Cb/Cr信号)に変換するYC処理を行う。すなわちYC処理では、AGC等の処理後のRGB信号(通常光画像)に基づき、輝度信号(Y値(以下、WLI_Yと記載))と、色差信号(Cb値(以下、WLI_Cbと記載)、Cr値(以下、WLI_Crと記載))を画素ごとに算出する。
【0048】
例えば、WLI_Yは、以下の式により表される。“+”は加算記号、“×”は乗算記号を示す。
WLI_Y=D×R+D×G+D×B・・・(1)
Rは赤(R)の画素値、Gは緑(G)の画素値、Bは青(B)の画素値である。D、D、Dは、それぞれR、G、Bに対する係数である。一例として、Dは0.3、Dは0.6、Dは0.1である。D、D、Dの合計値は1としている。D、D、Dは、予め決められた値でも、後述する他の実施形態の説明で記載するように、制御部94により調整されてもよい。D、D、Dは、メモリ92又は記憶部97に記憶されていてもよい。
【0049】
例えば、WLI_Cbは、以下の式により表される。
WLI_Cb=E×R+E×G+E×B・・・(2)
、E、Eは、それぞれR、G、Bに対する係数である。E、E、Eは、予め決められた値でも、制御部94により調整されてもよい。E、E、Eは、メモリ92又は記憶部97に記憶されていてもよい。
【0050】
例えば、WLI_Crは、以下の式により表される。
WLI_Cr=F×R+F×G+F×B・・・(3)
、F、Fは、それぞれR、G、Bに対する係数である。F、F、Fは、予め決められた値でも、制御部94により調整されてもよい。F、F、Fは、メモリ92又は記憶部97に記憶されていてもよい。
【0051】
第2画像処理部933は、入力された蛍光画像に対して、第2の画像処理を実行する。第2画像処理部933は、第2の画像処理として、蛍光画像の信号に対してAGCによってゲインの調整を行うゲイン調整部(AGC回路)940Bを備えている。第2画像処理部933は、第2の画像処理として、AGC回路940Bにより、蛍光画像の信号のゲイン調整を行う。具体的には、蛍光画像の信号のデジタルゲインを調整することにより、蛍光画像の画素値を調整する。
【0052】
また第2画像処理部933は、第2の画像処理として、AGC後の蛍光画像から、輝度信号(Y値(以下、IR_Yと記載))を生成する処理を行う。一例として、蛍光画像の各画素値を輝度信号IR_Yとして取得する。
【0053】
第1画像処理部932と第2画像処理部933はそれぞれ別々にゲイン調整部(AGC回路)を備えているが、第1画像処理部932と第2画像処理部933とに共通のゲイン調整部(AGC回路)が設けられていてもよい。以下、ゲイン調整部(AGC回路)940A、940Bをまとめてゲイン調整部(AGC回路)940と記載する場合がある。
【0054】
AGC回路940で用いる通常光用のデジタルゲインは制御部94によって調整可能である。通常光用のデジタルゲインは、白色光(通常光)に基づき撮像される画像(通常光画像)の輝度を調整するための第1制御パラメータ又は第1デジタルゲイン調整パラメータの一例に対応する。
【0055】
AGC回路940で用いる蛍光用のデジタルゲインは制御部94によって調整可能である。蛍光用のデジタルゲインは、蛍光に基づき撮像される画像(蛍光画像)の輝度を調整するための第2制御パラメータ又は第2デジタルゲイン調整パラメータの一例に対応する。
【0056】
重畳画像生成部934は、第1画像処理部932にて第1の画像処理が実行された後の通常光画像と、第2画像処理部933にて第2の画像処理が実行された後の蛍光画像とを全ての領域について対応する画素同士で重畳(合成)して重畳画像(合成画像)を生成する。すなわち、重畳画像生成部934は、第1の被検体像(通常光)を露光して生成された第1画像信号が表す第1画像(通常光画像)と、第2の被検体像を撮像することで生成された第2画像信号が表す第2画像(蛍光画像)とを重畳して重畳画像を生成する。以下、重畳画像を生成する処理を詳細に記載する。
【0057】
重畳画像生成部934は、第1画像処理部932から第1の画像処理が実行された後の通常光画像におけるWLI_Y、WLI_Cb及びWLI_Crを画素ごとに取得する。また、重畳画像生成部934は、第2画像処理部933から第2の画像処理が実行された後の蛍光画像におけるIR_Yを画素ごとに取得する。また、重畳画像生成部934は、蛍光画像に関して予め決められたCb値(以下、IR_Cbと記載)と、予め決められたCr値(以下、IR_Crと記載)とを取得する。IR_CbとIR_Crはメモリ92又は記憶部97に記憶されていてもよい。
【0058】
重畳画像生成部934は、WLI_Y、WLI_Cb及びWLI_Crと、IR_Y、IR_Cb及びIR_Crとに基づき、加算、乗算、あるいは減算等の複数の演算を行う。これによって、重畳画像におけるY値(以下、stacked_Yと記載)、Cb値(以下、stacked_Cbと記載)、及びCr値(以下、stacked_Crと記載)を画素ごとに算出する。
【0059】
具体的に、「stacked_Y」、「stacked_Cb」、及び「stacked_Cr」は、以下の式(4)~式(6)によってそれぞれ表される。なお“-”は減算記号、“+”は加算記号、“×”は乗算記号を示す。
stacked_Y=(1-α)×WLI_Y+α×β×IR_Y・・・(4)
stacked_Cb=(1-α)×WLI_Cb+α×IR_Cb・・・(5)
stacked_Cr=(1-α)×WLI_Cr+α×IR_Cr・・・(6)
【0060】
式(4)~式(6)において、αは、アルファ値である。αは予め医師等のユーザの知見に基づき予め決められた値でも、制御部94により調整されてもよい。αは、一例として、0以上かつ1以下の値をとる。アルファ値はメモリ92又は後述する記憶部97に格納されていてもよい。αが制御部94により調整される場合、αは、IR_Y、ゲイン(通常光画像のゲイン、蛍光画像のゲイン)、通常光画像のガンマ設定等のうちの少なくとも1つに基づいて決定されてもよい。例えば、αは、IR_Yに応じた値(例えばIR_Yに係数を乗じることにより計算される値)でもよい。
【0061】
βは、IR_Yに対する調整係数である。βは、予め決められた値であり、例えば0以上かつ1以下の値をとる。一例としてβは、0.6である。但し、βは、制御部94により調整されてもよい。なお、式(5)、式(6)においてもβに相当する係数、すなわち、IR_Cbに対する調整係数、及びIR_Crに対する調整係数を導入してもよい。
【0062】
式(4)に示されるように、重畳画像における各画素(対象画素)のY値(stacked_Y)は、通常光画像において当該対象画素に対応する画素(第1対応画素)のY値(WLI_Y)と、蛍光画像において当該対象画素に対応する画素(第2対応画素)のY値(IR_Y)とを、アルファ値(α)を用いてアルファブレンドすることで生成される。
【0063】
式(5)に示されるように、重畳画像における対象画素のCb値(stacked_Cb)は、第1対応画素のCb値(WLI_Cb)と、予め定められたCb値(IR_Cb)とを、アルファ値(α)を用いてアルファブレンドすることで生成される。
【0064】
式(6)に示されるように、重畳画像における対象画素のCr値(stacked_Cr)は、第1対応画素のCr値(WLI_Cr)と、予め定められたCr値(IR_Cr)とを、アルファ値(α)を用いてアルファブレンドすることで生成される。
【0065】
式(4)~式(6)は一例であり、他の式を用いて、「stacked_Y」、「stacked_Cb」、及び「stacked_Cr」を計算してもよい。
【0066】
第1の画像処理において通常光画像(RGB信号)を輝度信号及び色差信号(Y,Cb/Cr信号)に変換するYC処理を行う例を示したが、YC処理を行わずに、RGB信号ごとに、蛍光画像信号との間で、アルファブレンドを行う処理を行ってもよい。例えば、重畳画像における対象画素の画素値(RGBの輝度値)を、通常光画像における第1の対応画素の画素値(RGBの輝度値)と、特定の疑似色のRGB値とをアルファ値を用いた比率で重畳することにより算出してもよい。具体的には、通常光画像における第1の対応画素の画素値(RGBの輝度値)と、特定の疑似色のRGB値とをそれぞれ1―α及びαで重み付けし合計することで、重畳画像における対象画素の画素値(RGBの輝度値)を算出する。αは蛍光画像の第2の対応画素の輝度値に応じて決定してもよい。本実施形態で開示する、以下に詳述する通常光画像及び蛍光画像の輝度制御は、YC処理を行う場合及びYC処理を行わない場合のいずれにも対応可能である。以下の説明では、YC処理により得られた輝度信号及び色差信号(Y,Cb/Cr信号)に基づきアルファブレンド処理を行って、「stacked_Y」、「stacked_Cb」、及び「stacked_Cr」を計算する場合を想定する。
【0067】
表示制御部935は、制御部94による制御の下、重畳画像生成部934にて生成された重畳画像(stacked_Y,stacked_Cb,stacked_Cr)に基づいて、表示用の画像信号(映像信号)を生成する。表示制御部935は、生成した映像信号を表示装置70に出力する。
【0068】
制御部94は、制御信号を出力することで、光源装置10、カメラヘッド50、及び表示装置70の動作を制御し、また、制御装置90全体の動作を制御する。
【0069】
制御部94は、重畳画像生成部934により生成された重畳画像の輝度情報(例えばY値(stacked_Y))に基づき、光源装置10(光源部)、撮像部52、ゲイン調整部540、ゲイン調整部940(940A、940B)の少なくとも1つを制御する。これにより、制御部94は、通常光画像(第1画像信号に基づく画像)の輝度と、蛍光画像(第2画像信号に基づく画像)の輝度とをフィードバック制御により調整する輝度制御を行う。
【0070】
図4は、制御部94における輝度制御を行う構成のブロック図である。制御部94は、輝度情報算出部941と、パラメータ調整部942とを備えている。以下、図4に示す構成の動作を、光源装置10(光源部)、撮像部52(撮像素子522)、ゲイン調整部540、ゲイン調整部940(940A、940Bのそれぞれを制御する場合を例にして説明する。
【0071】
[光源装置10の制御]
制御部94が重畳画像の輝度情報と、予め定めた目標輝度を表す目標輝度情報とに基づき、光源装置10をフィードバック制御することにより、通常光画像の輝度と蛍光画像の輝度とを調整する例を示す。
制御部94の輝度情報算出部941は、重畳画像の輝度情報を算出する。重畳画像の輝度情報としては、重畳画像の全画素の輝度値(stacked_Y)の平均値(平均輝度)がある。但し、輝度情報は、中央値、最大値、最小値等の統計値でもよい。以下の説明では、輝度情報は平均輝度であるとする。
【0072】
パラメータ調整部942は、重畳画像の輝度情報と、予め定めた目標輝度を表す目標輝度情報とに基づき、第1制御パラメータとして第1光源11の発光輝度(光量)、第2制御パラメータとして第2光源12の発光輝度(光量)を調整する。具体的には、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づけるように、すなわち両者の差分をゼロにする又はゼロに近づけるように、第1及び第2制御パラメータを調整する。第1光源11の光量を調整することにより、通常光画像処理部932により生成される通常光画像の輝度を調整できる。第2光源12の光量を調整することにより、蛍光画像処理部933により生成される蛍光画像の輝度を調整できる。制御部94は、パラメータ調整部942によりそれぞれ調整された第1制御パラメータ及び第2制御パラメータを、第1光源11及び第2光源12にそれぞれ制御信号として送信する。
【0073】
制御部94は、第1光源11の光量及び第2光源12の光量を調整する際、第1光源11の発光輝度(光量)及び第2光源12の発光輝度(光量)間の比率に関する条件を満たすようにしてもよい。比率に関する条件として、調整前後で比率を同一に維持、又は調整前後で比率が変動することを抑制することがある。例えば、これらの光源の光量の比率の変動量を閾値以下に抑えるように、これら光源の光量を調整する。当該比率の変動を調整前後で抑制する具体例として、当該比率の差を調整前後で閾値以下又はゼロにしてもよい。例えば、第1光源11の光量をX倍にする場合は、第2光源12の光量もX倍にする。
【0074】
このように、第1光源11の発光輝度(光量)及び第2光源12の発光輝度(光量)間の比率の変動を抑えつつ、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。通常光画像及び蛍光画像ごとに別個にそれぞれの輝度情報を目標輝度に近づけるのではなく、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。これにより、重畳画像の輝度が観察対象の状態(例えば蛍光体の注入前後)にかかわらず、通常光画像の輝度と蛍光画像の輝度のバランスがとれた重畳画像を生成することができる。
【0075】
第1制御パラメータ及び第2制御パラメータを調整する具体的な方法として、例えばそれぞれ一定の割合だけパラメータ値を増やす又は減らす方法がある。例えば重畳画像の輝度情報が目標輝度情報より低い場合、第1制御パラメータ及び第2制御パラメータの現在値にそれぞれ同じ係数K1を乗じる。例えば第1光源11及び第2光源12の光量をそれぞれ1.1倍にする場合は、K1=1.1である。重畳画像の輝度情報が目標輝度情報より高い場合、第1制御パラメータ及び第2制御パラメータの現在値に係数K2を乗じる。例えば第1光源11及び第2光源12の光量をそれぞれ0.9倍にする場合は、K2=0.9である。乗じる係数の値は、重畳画像の輝度情報と目標輝度情報との差分の大きさに応じて変更してもよい。例えば差分が大きいほど、乗じる係数の絶対値を大きくしてもよい。この場合、例えば差分の大きさごとに、乗じる係数の値を定めたテーブルを用いてもよい。あるいは差分を入力とし、乗じる係数の値を出力する関数を用いてもよい。差分の大きさに拘わらず、係数の値は同じであってもよい。差分の大きさに拘わらず、係数の値を一定とすることで、通常画像の輝度の変化及び蛍光画像の変化を滑らかにすることができ、よって重畳画像の表示輝度(明るさ)の変化も滑らかにできる。
【0076】
[撮像部52(撮像素子522)の制御]
制御部94が、重畳画像の輝度情報と、予め定めた目標輝度を表す目標輝度情報とに基づき、撮像部52(撮像素子522)をフィードバック制御することにより、通常光画像の輝度と蛍光画像の輝度とを調整する例を示す。光源装置10の制御の説明と同一内容の説明は適宜省略又は簡略化する。
【0077】
制御部94の輝度情報算出部941は、重畳画像の輝度情報を算出する。制御部94のパラメータ調整部942は、重畳画像の輝度情報と目標輝度情報とに基づき、第1制御パラメータとして撮像素子522における通常光の露光量(あるいは露光時間)を調整する。制御部94のパラメータ調整部942は、重畳画像の輝度情報と目標輝度情報とに基づき、第2制御パラメータとして、蛍光の露光量(あるいは露光時間)を調整する。具体的には、輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づけるように、すなわち両者の差分をゼロにする又はゼロに近づけるように、第1及び第2制御パラメータを調整する。露光量の調整は、例えば撮像素子522における電子シャッターの制御により、撮像素子522において蓄積する電荷量を調整することで行うことができる。露光時間を長くすれば蓄積する電荷量は多くなり、露光時間を短くすれば、蓄積する電荷量は少なくなる。通常光の露光量を調整することにより、通常光画像処理部932により生成される通常光画像の輝度を調整できる。蛍光の露光量を調整することにより、蛍光画像処理部933により生成される蛍光画像の輝度を調整できる。制御部94は、パラメータ調整部942によりそれぞれ調整された第1制御パラメータ及び第2制御パラメータを、撮像部52(撮像素子522)にそれぞれ制御信号として送信する。
【0078】
制御部94は、撮像素子522における通常光の露光量及び蛍光の露光量の比率に関する条件を満たすようにしてもよい。比率に関する条件として、調整前後で比率を同一に維持、又は調整前後で比率が変動することを抑制することがある。例えば、これらの露光量の比率の変動量を閾値以下に抑えるように、これらの露光量を調整する。露光量の比率の変動を調整前後で抑制する例として、露光量の比率の差を調整前後で閾値以下又はゼロにすることがある。例えば、通常光の露光量をX倍にする場合は、蛍光の露光量もX倍にする。
【0079】
このように、撮像素子522における通常光の露光量及び蛍光の露光量間の比率の変動を抑えつつ、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。つまり通常光画像及び蛍光画像ごとに個別にそれぞれの輝度情報を目標輝度に近づけるのではなく、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。これにより、重畳画像の輝度が観察対象の状態(例えば蛍光体の注入前後)にかかわらず、通常光画像の輝度(白色光の輝度)と蛍光画像の輝度(蛍光の輝度)のバランスがとれた重畳画像を生成することができる。通常光の露光量(第1制御パラメータ)及び蛍光の露光量(第2制御パラメータ)を調整する具体的な方法は、光源装置10の制御の場合と同様でよい。
【0080】
[ゲイン調整部540の制御]
制御部94は、重畳画像の輝度情報と目標輝度情報とに基づき、ゲイン調整部540をフィードバック制御することにより、通常光画像の輝度と蛍光画像の輝度とを調整する例を示す。光源装置10の制御の説明と同一内容の説明は適宜省略又は簡略化する。
【0081】
制御部94は、第1制御パラメータとして、ゲイン調整部540において通常光画像のアナログゲインを調整する。制御部94は、第2制御パラメータとして、ゲイン調整部540において蛍光画像のアナログゲインを調整する。具体的には、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づけるように、すなわち両者の差分をゼロにする又はゼロに近づけるように、これらのアナログゲインを調整する。重畳画像の輝度情報の例は、上述の光源装置10の制御の説明と同様である。通常光画像のアナログゲインを調整することにより、アナログ的に通常光画像の輝度を調整する。蛍光画像の信号のアナログゲインを調整することによりアナログ的に蛍光画像の輝度を調整する。制御部94は、パラメータ調整部942によりそれぞれ調整された第1制御パラメータ及び第2制御パラメータを、ゲイン調整部540に制御信号として送信する。
【0082】
制御部94は、通常光画像のアナログゲインと蛍光画像のアナログゲインの比率に関する条件を満たすようにしてもよい。比率に関する条件として、通常光画像のアナログゲインと蛍光画像のアナログゲイン間の比率を調整前後で同一に維持する、又は調整前後で比率が変動することを抑制することがある。例えば、通常光画像のアナログゲインと蛍光画像のアナログゲインの比率の変動量を閾値以下に抑えるように、これらのアナログゲインを調整する。当該比率の変動を調整前後で抑制する例として、当該比率の差を調整前後で閾値以下又はゼロにすることがある。例えば、一方のアナログゲインをX倍にする場合は、他方のアナログゲインもX倍にする。
【0083】
このように、通常光画像のアナログゲインと蛍光画像のアナログゲイン間の比率の変動を抑えつつ、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。つまり通常光画像及び蛍光画像ごとに別個にそれぞれの輝度情報を目標輝度に近づけるのではなく、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。これにより、重畳画像の輝度が観察対象の状態(例えば蛍光体の注入前後)にかかわらず、通常光画像の輝度(白色光の輝度)と蛍光画像の輝度(蛍光の輝度)とのバランスがとれた重畳画像を生成することができる。通常光画像のアナログゲイン(第1制御パラメータ)及び蛍光画像のアナログゲイン(第2制御パラメータ)を調整する具体的な方法は光源装置10の制御の場合と同様でよい。
【0084】
[ゲイン調整部940の制御]
制御部94は、重畳画像の輝度情報と目標輝度情報とに基づき、ゲイン調整部940をフィードバック制御することにより、通常光画像の輝度と蛍光画像の輝度とを調整する例を示す。光源装置10の制御の説明と同一内容の説明は適宜省略又は簡略化する。
【0085】
制御部94は、第1制御パラメータとして、ゲイン調整部940における通常光画像のデジタルゲインを調整する。制御部94は、第2制御パラメータとして、ゲイン調整部940における蛍光画像のデジタルゲインを調整する。具体的には、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づけるように、すなわち両者の差分をゼロにする又はゼロに近づけるように、これらのデジタルゲインを調整する。重畳画像の輝度情報の例は、上述の光源装置10の制御の説明と同様である。通常光画像の信号のデジタルゲインを調整することにより、デジタル的に通常光画像の輝度を調整する。蛍光画像の信号のデジタルゲインを調整することによりデジタル的に蛍光画像の輝度を調整する。制御部94は、パラメータ調整部942によりそれぞれ調整された第1制御パラメータ及び第2制御パラメータを、ゲイン調整部940に制御信号として送信する。
【0086】
制御部94は、通常光画像のデジタルゲインと蛍光画像のデジタルゲインの比率に関する条件を満たすようにしてもよい。比率に関する条件として、通常光画像のデジタルゲインと蛍光画像のデジタルゲイン間の比率を調整前後で同一に維持する、又は調整前後で比率が変動することを抑制することがある。例えば、通常光画像のデジタルゲインと蛍光画像のデジタルゲインの比率の変動量を閾値以下に抑えるように、これらのデジタルゲインを調整する。当該比率の変動を調整前後で抑制する例として、当該比率の差を調整前後で閾値以下又はゼロにすることがある。例えば、一方のデジタルゲインをX倍にする場合は、他方のデジタルゲインもX倍にする。
【0087】
このように、通常光画像のデジタルゲインと蛍光画像のデジタルゲイン間の比率の変動を抑えつつ、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。つまり通常光画像及び蛍光画像ごとに別個にそれぞれの輝度情報を目標輝度に近づけるのではなく、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける。これにより、重畳画像の輝度が観察対象の状態(例えば蛍光体の注入前後)にかかわらず、通常光画像の輝度(白色光の輝度)と蛍光画像の輝度(蛍光の輝度)とのバランスがとれた重畳画像を生成することができる。通常光画像のデジタルゲイン(第1制御パラメータ)及び蛍光画像のデジタルゲイン(第2制御パラメータ)を調整する具体的な方法は光源装置10の制御の場合と同様でよい。
【0088】
入力部95は、マウス、キーボード、及びタッチパネル等の操作デバイスである。入力部95は、医師等のユーザによる操作を受け付ける。入力部95は、ユーザ操作に応じた操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部94に出力する。
【0089】
出力部96は、各種情報を出力する。出力部96は、例えばスピーカ、プリンタ、通信装置又はアプリケーション等を含む。
【0090】
記憶部97は、制御部94が実行するプログラム、及び制御部94の処理に必要な情報等を記憶する。
【0091】
以下、制御装置90の動作について説明する。
図5は、制御装置90の動作の一例を示すフローチャートである。
制御部94は、第1光源11及び第2光源12を時分割で発光させる(ステップS101)。具体的には、制御部94は、同期信号に基づいて、交互に繰り返される第1の期間及び第2の期間のうち、第1の期間において第1光源11を発光させ、第2の期間において第2光源12を発光させる。
【0092】
制御部94は、同期信号に基づいて、第1光源11及び第2光源12の発光タイミングに同期させる。制御部94は、撮像素子522に第1の期間及び第2の期間において、それぞれ第1の被検体像(通常光)及び第2の被検体像(蛍光)をそれぞれ撮像させる(ステップS102~S104)。すなわち、撮像素子522は、第1の期間である場合(ステップS102のYes)、言い換えれば、生体内に通常光(白色光)が照射された場合、第1の被検体像(通常光)を撮像して通常光画像を生成する(ステップS103)。一方、撮像素子522は、第2の期間である場合(ステップS102のNo)、言い換えれば、生体内に近赤外励起光が照射された場合、第2の被検体像(蛍光)を撮像して蛍光画像を生成する(ステップS104)。
【0093】
メモリコントローラ931は、同期信号に基づいて、メモリ92への撮像画像の書込み及び読出しを制御する(ステップS105)。
【0094】
第1画像処理部932及び第2画像処理部933は、以下に示す処理を実行する(ステップS106)。
【0095】
すなわち、第1画像処理部932は、メモリコントローラ931によってメモリ92から順次、読み出された通常光画像に対して、第1の画像処理を実行し、当該第1の画像処理を実行した後の通常光画像(WLI_Y,WLI_Cb,WLI_Cr)を出力する。
【0096】
また、第2画像処理部933は、メモリコントローラ931によってメモリ92から読み出された蛍光画像に対して、第2の画像処理を実行し、当該第2の画像処理を実行した後の蛍光画像(IR_Y)を出力する。
【0097】
重畳画像生成部934は、式(4)~式(6)で示したように、第1画像処理部932から出力される通常光画像(WLI_Y,WLI_Cb,WLI_Cr))と、第2画像処理部933から出力される蛍光画像(IR_Y)とを互いに対応する画素同士で重畳する。これにより、重畳画像(stacked_Y,stackeI_Cb,stackeI_Cr)を生成する(ステップS107)。
【0098】
表示制御部935は、重畳画像生成部934により生成された重畳画像を表示するための画像信号(映像信号)を生成し、当該映像信号を表示装置70に出力する(ステップS108)。これにより、表示装置70には、重畳画像が表示される。
【0099】
制御部94は、重畳画像の輝度情報を算出し、輝度情報と目標輝度情報との差分を小さくするように、光源装置10、撮像部52、ゲイン調整部540及びゲイン調整部940の少なくとも1つを制御する(ステップS109)。これにより、第1画像処理部932により生成される通常光画像の輝度及び第2画像処理部933により生成される蛍光画像の輝度をフィードバック制御により調整する。
【0100】
具体的には、光源装置10を制御する場合、第1光源11の光量(第1制御パラメータ)及び第2光源12の光量(第2制御パラメータ)を同時に調整する。この際、これらの光量の比率を一定の比率に維持または比率の変動を抑制するように、両光源の光量を調整してもよい。
【0101】
撮像部52を制御する場合、通常光の露光を行う場合の露光量(第1制御パラメータ)及び蛍光の露光を行う場合の露光量(第2制御パラメータ)を同時に調整する。この際、これらの露光量の比率を一定の比率に維持または比率の変動を抑制するように、両露光量を調整してもよい。
【0102】
ゲイン調整部540を制御する場合、通常光画像のアナログゲイン(第1制御パラメータ)及び蛍光画像の信号のアナログゲイン(第2制御パラメータ)を同時に調整する。この際、これらのアナログゲインの比率を一定の比率に維持または比率の変動を抑制するように、両ゲインを調整してもよい。
【0103】
ゲイン調整部940を制御する場合、通常光画像の信号のデジタルゲイン(第1制御パラメータ)及び蛍光画像のデジタルゲイン(第2制御パラメータ)を同時に調整する。この際、これらのデジタルゲインの比率を一定の比率に維持または比率の変動を抑制するように、両ゲインを調整してもよい。
【0104】
ステップS109の後、制御部94は、本制御装置90の処理を終了するか否かを判断する。例えば入力部95を介して医師等のユーザから観察の終了指示入力を受けた場合は、本処理を終了することを決定する。制御部94が本処理を終了することを決定した場合(ステップS110のNo)、制御部94は本処理を終了する。制御部94が本処理を継続することを決定した場合、ステップS101に戻る。以降、本処理を終了すると判断されるまで、ステップS101~S109が繰り返される。本処理が繰り返される際は、ステップS108で行った輝度制御により、第1制御パラメータ及び第2制御パラメータが前回の処理から変更されている。
【0105】
以上、本実施形態によれば、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づけるように第1制御パラメータ及び第2制御パラメータを調整する。これにより、通常光画像処理部932で生成される通常光画像の輝度を及び蛍光画像処理部933で生成される蛍光画像の輝度を調整する。この際、例えば、光源装置10を調整する場合は第1光源11及び第2光源12のそれぞれの光量の比率を一定に維持して、第1光源11及び第2光源12のそれぞれの光量を調整する。撮像部52を調整する場合、例えば、通常光及び蛍光のそれぞれの露光量の比率を一定に維持して、各露光量を調整する。ゲイン調整部940を調整する場合は、例えば、通常光画像及び蛍光画像のデジタルゲインの比率を一定に維持して、通常光画像及び蛍光画像のそれぞれのデジタルゲインを調整する。ゲイン調整部540を調整する場合は、例えば、通常光画像及び蛍光画像のアナログゲインの比率を一定に維持して、通常光画像及び蛍光画像のそれぞれのアナログゲインを調整する。これにより、重畳画像の輝度が観察対象の状態(例えば蛍光体の注入前後)にかかわらず、通常光画像の輝度(白色光の輝度)と蛍光画像の輝度(蛍光の輝度)のバランスがとれた重畳画像を生成することができる。
【0106】
例えば、生体内にまだ蛍光が注入されていない場合は、観察対象は赤外線(IR)の感度がない、もしくは非常に低い。この場合には、通常光画像処理部932で生成される通常光画像の輝度が高く、蛍光画像処理部933で生成される蛍光画像の輝度が低いもしくはゼロである。このため、重畳画像の輝度において蛍光の輝度(α×β×IR_Y)が低くなり、通常光の輝度((1-α)×WLI_Y)が支配的となって、実質的に通常光の輝度を目標輝度に近づけるように、通常光画像及び蛍光画像の輝度制御が行われる。これにより通常光の輝度が支配的な重畳画像を目標輝度又は目標輝度に近い状態で観察することができる。このようにして白色光の感度が高い重畳画像を目標輝度で観察することができる。
【0107】
図6は、本実施形態により生成された、白色光の感度が高い重畳画像210の表示例を示す。重畳画像210の一部である画像211は医師等のユーザが観察する部位の画像である。通常光の輝度が支配的となっている。重畳画像210が、ノイズが抑制されて表示されている。
【0108】
一方、図7は、関連技術により、白色光の光源(白色光源)及び近赤外線の光源(近赤外光源)の光量を調整すること等で、重畳画像D1を生成した例を示す。図の多数のドットがノイズを表している。重畳画像D1は、観察対象に蛍光体を注入する前に取得した画像である。本実施形態に係る輝度制御、すなわち、重畳画像の輝度情報を用いた輝度のフィードバック制御は行われていない。関連技術では、近赤外線の光源の光量及び蛍光画像のゲイン設定の量が大きくされたことにより、蛍光画像が明るくなりすぎ、重畳画像におけるノイズが増えてしまっている。
【0109】
生体内にまだ蛍光が注入されていないこの状態で、生体に蛍光体が注入されると、観察対象におけるIRに対する感度が急に高くなる。この場合、蛍光画像の輝度が高くなり、重畳画像の輝度に占める蛍光の輝度の割合が大きくなる。重畳画像の輝度を目標輝度に近づけるように、通常光画像及び蛍光画像の輝度制御を行うことで、重畳画像の輝度が目標輝度又は目標輝度に近い状態で維持される。また制御対象の通常光用の第1制御パラメータ及び蛍光用の第2制御パラメータの値の比率も維持されるため、重畳画像における蛍光の輝度が高くなりすぎたりノイズが発生したりすることがない。これにより、通常光の輝度と蛍光の輝度とのバランスのとれた重畳画像を観察することができる。すなわち、医師等のユーザは突然重畳画像の輝度が大きく変動して画面がまぶしく見えるといった違和感を覚えない。
【0110】
図8は、本実施形態によって生成された重畳画像220であり、生体に蛍光体が注入され蛍光の輝度の割合が大きくなった場合に生成される重畳画像220の表示例を示す。蛍光の成分の強度が高い(IR_Yが大きい)箇所を斜線で表現している。蛍光の輝度が高くなりすぎることなく、通常光の輝度と蛍光の輝度とのバランスのとれた画像表示となっている。
【0111】
図9は、関連技術によって、白色画像の輝度に追従して、近赤外線光源から出射する近赤外線の輝度を調整する方法により生成した重畳画像D2の例を示す。この方法では蛍光画像が明るくなりすぎたり、ノイズが多く発生したりすることはないものの、蛍光画像の明るさが重畳画像に適正に反映させられていないため、重畳画像が明るくなりすぎている。図6では明確に視認されていた画像211の部分が図9では視認できないもしくは視認し難くなっている。
【0112】
この後、しばらく時間が経過して観察対象におけるIRの感度が低下すると、重畳画像の輝度において通常光の輝度が再び支配的となる。この場合も、重畳画像の輝度を目標輝度に近づける輝度制御が行われる結果、通常光の輝度が支配的となった重畳画像が観察される。この場合も、重畳画像は目標輝度又は目標輝度に近い状態で観察されるため、医師等のユーザは突然輝度が大きく変動することによる違和感を覚えずに済む。
【0113】
(変形例)
第1実施形態では、調整対象とする第1制御パラメータ及び第2制御パラメータの組は、通常光及び蛍光の光量の組、通常光及び蛍光の露光量の組、通常光及び蛍光の画像のアナログゲインの組、通常光及び蛍光の画像のデジタルゲインの組の少なくともいずれかであった。これらの組は、いずれも同じ種類のパラメータの組である。変形例として、異なる種類のパラメータの組を調整してもよい。例えば、調整対象とする第1制御パラメータ及び第2制御パラメータの組は、通常光の光量と、蛍光の露光量との組でもよいし、通常光のアナログゲインと、蛍光のデジタルゲインとの組でもよい。この場合、例えば通常光の光量の調整倍率と、蛍光の露光量の調整倍率とを対応を示した対応データをテーブル又は関数の形式でメモリ92又は記憶部97に保持しておいてもよい。制御部94は対応データに基づいて、通常光の光量と蛍光の露光量とを調整してもよい。
【0114】
(第2実施形態)
第1実施形態では4種類の輝度制御(光量制御、露光量制御、アナログゲイン制御、デジタルゲイン制御)の少なくともいずれか1つを実行することにより通常光画像及び蛍光画像の輝度制御を行った。具体的には、光量制御では通常光の光量及びIRの光量をそれぞれ第1制御パラメータ及び第2制御パラメータとして調整した。露光量制御では通常光の露光量及び蛍光の露光量のそれぞれを第1制御パラメータ及び第2制御パラメータとして調整した。アナログゲイン制御では、通常光画像のアナログゲイン及び蛍光画像のアナログゲインのそれぞれを第1制御パラメータ及び第2制御パラメータとして調整した。デジタルゲイン制御では、通常光画像のデジタルゲイン及び蛍光画像のデジタルゲインのそれぞれを第1制御パラメータ及び第2制御パラメータとして調整した。
【0115】
第2実施形態では、これら4種類の輝度制御のうちの少なくとも2つに優先順位を設定し、優先順位に従って、当該少なくとも2つの輝度制御を実行する。
【0116】
具体的には、第1制御パラメータは、第1光源11の光量を調整する第1光量調整パラメータ、第1撮像部における通常光(反射光)の露光量を調整する第1露光量調整パラメータ、第1撮像部での撮像により得られる第1画像信号のアナログゲインを調整する第1アナログゲイン調整パラメータ、及び当該第1画像信号のデジタルゲインを調整する第1デジタルゲイン調整パラメータのうちの少なくとも2つを含む。制御部94は、当該少なくとも2つのパラメータについて第1の優先順位を設定する。
【0117】
第2制御パラメータは、第2光源12の光量を調整する第2光量調整パラメータ、第2撮像部における蛍光の露光量を調整する第2露光量調整パラメータ、第2撮像部での撮像により得られる第2画像信号のアナログゲインを調整する第2アナログゲイン調整パラメータ、及び第2画像信号のデジタルゲインを調整する第2デジタルゲイン調整パラメータのうちの少なくとも2つを含む。制御部94は、当該少なくとも2つのパラメータに第2の優先順位を設定する。
【0118】
例えば制御部94は、重畳画像の輝度情報が目標輝度情報よりも大きく、輝度情報を低くする必要がある場合は、1番目:光量制御、2番目:露光量制御の優先順位とする。すなわち第1の優先順位は、第1光量調整パラメータ及び第1露光量調整パラメータの順であり、第2の優先順位は、第2光量調整パラメータ及び第2露光量調整パラメータの順である。
【0119】
例えば、露光量(露光時間)を小さくすると(電子シャッターを絞ると)、露光時間が短くなった分画像の1枚1枚の情報量が減り、表示される映像(動画)を観察するユーザに不連続感が発生し得る。このため、まず光源装置の輝度制御で光量を優先的に小さくする。光量が閾値以下になり、発光の明るさがある程度抑えられた後に、露光量を小さくする(電子シャッターを絞る)。これにより映像の不連続感を発生させにくくすることができる。
【0120】
第1制御パラメータと第2制御パラメータとで同じ種類のパラメータを調整することを条件としてもよい。この場合、第1の優先順位と第2の優先順位を1つにまとめ、1番目の順位は、(第1光量調整パラメータ、第2光量調整パラメータ)、2番目の順位は、(第1露光量調整パラメータ、第2露光量調整パラメータ)としてもよい。
【0121】
また、制御部94は、重畳画像の輝度情報が目標輝度情報よりも小さく、輝度情報を高くする必要がある場合は、1番目:光量制御、2番目:ゲイン制御(アナログゲイン制御)、3番目:ゲイン制御(デジタルゲイン制御)、4番目:露光制御の優先順位とする。
【0122】
すなわち、第1の優先順位は、第1光量調整パラメータ、第1アナログゲイン調整パラメータ、第1デジタルゲイン調整パラメータ及び第1露光量調整パラメータの順である。第2の優先順位は、第2光量調整パラメータ、第2アナログゲイン調整パラメータ、第2デジタルゲイン調整パラメータ及び第2露光量調整パラメータの順である。
【0123】
露光量を大きく(露光時間を長く)すると、撮像画像の明るさを明るくすることは出来るが、フレームレートが低下する。この場合、映像(動画)の質に影響が生じる可能性がある。このため、露光制御の優先順位を最後にする。ゲイン制御は信号の明るさを高くできるが、ノイズ感が強調され得る。そこで光源装置の輝度制御の優先順位を最も高くする。ゲイン制御では、画像処理で用いるデジタルゲインは、撮像部で用いるアナログゲインと比較してノイズ感が強調される得るため、アナログゲインの制御をデジタルゲインの制御よりも優先して行う。輝度制御の種類の切り替えのタイミングは、例えば重畳画像の輝度情報と目標輝度情報との差分に応じて行うなど、目的を達成可能な任意の方法で決定することができる。例えば、差分の絶対値が大きいほど、優先順位の高い輝度制御を行う。この場合、差分の絶対値の値範囲と、適用する輝度制御の種類とを対応付けたテーブルを用いて、使用する輝度制御の種類を決定してもよい。また、これらの輝度制御を優先順位に従って循環的に所定回数ずつ順番に行ってもよい。その他の方法で、使用する輝度制御の種類を切り替えてもよい。
【0124】
第1制御パラメータと第2制御パラメータとで同じ種類のパラメータを調整することを条件としてもよい。この場合、第1の優先順位と第2の優先順位を1つにまとめ、1番目の順位は、(第1光量調整パラメータ、第2光量調整パラメータ)、2番目の順位は、(第1アナログゲイン調整パラメータ、第2アナログゲイン調整パラメータ)、3番目の順位は、(第1デジタルゲイン調整パラメータ、第2デジタルゲイン調整パラメータ)、4番目の順位は、(第1露光量調整パラメータ、第2露光量調整パラメータ)としてもよい。
【0125】
(第3実施形態)
第1又は第2実施形態では、重畳画像の輝度情報を目標輝度情報に一致又は近づける制御を行う際、重畳画像の輝度情報としては、重畳画像の全画素の輝度値(画素値)の平均値等の統計値を用いた。第2実施形態では、重畳画像の輝度情報を算出する他の例を示す。
【0126】
[輝度情報の算出例1]
重畳画像の輝度情報は、重畳画像の全画素ではなく、重畳画像の一部の対象画像の輝度値の平均でもよい。一例として、対象画像は、重畳画像の中央を含む一部の領域の画像でもよい。
【0127】
図10(A)は、重畳画像301の第1位置として中央を含む画像部分(第1画像部分)を対象画像302とする例を示す。第1位置は中央に限られず、ユーザが観察する領域に応じて任意に決定してもよい。例えばアイトラッキングによりユーザが重畳画像301において着目する位置を検出し、検出した位置を第1位置としてもよい。例えば、ユーザの目に赤外線を照射し、ユーザの目を含む部分を撮像し、撮像画像を解析することでユーザが着目している第1位置を検出するアイトラッキング装置を設けてもよい。制御部94は、対象画像302を用いて輝度値の平均値を算出し、算出した平均値を重畳画像の輝度情報とする。対象画像302が医師等のユーザが観察している領域の場合、中央の観察している観察対象に合わせて輝度調整(通常光用の第1制御パラメータ及び蛍光用の第2制御パラメータの調整)が行われる。このため、対象画像302の外側の周辺画像に鉗子やハレーションの画像が含まれていても、中央の画像は、周囲画像の影響を受けず済む。すなわち、周囲の画像に影響されて中央の画像が明るくなることを防止できる。
【0128】
対象画像(第1画像部分)と、対象画像の周囲の一部又は全部の周辺画像(第2画像部分)とで重み付けをしてもよい。この場合、重畳画像全体で重み付き平均値を算出し、この重み付き平均値を輝度情報とする。
【0129】
図10(B)は、重み付き平均値を算出する例を示す。制御部94は、重畳画像301における対象画像302の画素の重みを第1重みW1、対象画像302の周囲の一部の周辺画像303の重みを第2重みW2とする。制御部94は、対象画像302の各画素の輝度値にW1を乗じ、周辺画像303の各画素の輝度値にW2を乗じる。制御部94は、重みW1、W2を乗じた全輝度値を合計し、合計値を重畳画像301の全画素数で除算することで、重み付き平均値を算出する。制御部94は、W1、W2の値を、対象画像302の平均輝度及び周辺画像303の平均輝度等に応じて調整してもよい。対象画像の重みW1、周囲画像の重みW2は、予め固定されていてもよい。
【0130】
図10(B)の方法によれば、重畳画像の中央部のみならず、周辺画像の輝度(明るさ)も考慮して第1及び第2制御パラメータの調整を行うことができる。例えば、医師等のユーザが管腔を画面の中央部分で観察する場合は、画面に表示された画像(重畳画像)における中央部分が暗く、周辺部分が明るくなる傾向がある。この場合、重畳画像の周辺部分の重みW2を大きくすることで、本実施形態の輝度制御により、中央部分も明るくなるように調整される。一方、壁面に垂直に観察する場合は、画像の中央部分が明るく、周辺部分が暗くなる傾向がある。この場合は、重畳画像の中央部分の重みW1を大きくすることで、本実施形態の輝度制御により、周辺部分も明るくなるように調整される。
【0131】
[輝度情報の算出例2]
制御部94は、重畳画像のうち特定の画素又は特定の領域を除外して、重畳画像の輝度値の平均値を算出してもよい。
例えば、重畳画像のうち視野マスク27(図2参照)でマスクされた領域の画像を除き、マスクされていない領域の画像の輝度値に基づいて、重畳画像の輝度値の平均値を算出してもよい。
【0132】
図11は、重畳画像311からマスクされた領域の画像312と、残りの円形状の領域(観察領域)の画像313とを示す。制御部94は、例えば輝度値が閾値(第1閾値)未満の領域を検出することによってマスクされた領域の画像312を特定できる。すなわち、制御部94は、閾値(第1閾値)以上の画素を検出することによって観察領域の画像313は特定できる。制御部94は、閾値以上の画素を含む観察領域の画像313を用いて輝度値の平均値を算出する。マスクされた領域の画像312を除外することで、低輝度の画像部分を除外して、輝度情報を算出できる。例えば、マスクされた部分は医師等のユーザにより観察されないため、マスクされた部分を輝度調整の対象外にすることで、観察に有効な領域だけ輝度制御の対象にすることができる
【0133】
[輝度情報の算出例3]
制御部94は、重畳画像において輝度値が飽和している画素の輝度値を特定の値で固定(クリップ)し、クリップ後の重畳画像全体の輝度の平均値を、輝度情報として算出してもよい。
【0134】
図12は、重畳画像321において輝度値が飽和している画像322、323を示す。すなわち画像322、323に含まれる画素の輝度値(輝度値)は飽和している。輝度値が飽和しているとは、例えば、輝度値が閾値(第2閾値)以上、もしくは最大値になっていることを意味する。制御部94は、輝度値が飽和している画像322、323の各画素の輝度値を特定の値で固定(クリップ)する。画像322、323についてはクリップされた輝度値を用いて、他の領域について元々の画素の輝度値を用いて、輝度値の平均値を算出する。
【0135】
画像における輝度の飽和部分は、主として光の正反射に起因して発生する。正反射した反射光に対応する画素ではかなり大きな輝度値となる。このため重畳画像の輝度値の平均を計算する際、第1又は第2実施形態の輝度制御を行っても、正反射の飽和点が多い画像では飽和点以外の部分がかなり暗くなる可能性がある。この問題を改善するため、閾値を超えている輝度値をクリップする(例えばある値Aより大きい輝度値を有する画素の輝度値を値Aに置き換える)。これにより、正反射の多い画像でも、飽和点以外の部分も明るく表示することができる。
【0136】
[輝度情報の算出例4]
RGBのそれぞれの重みを変更して、重畳画像の画素の輝度値(画素値)を算出する。すなわち、通常光画像(第1画像)はR(赤)、G(緑)及びB(青)の輝度値を画素ごとに含んでいる。通常光画像の画素値(輝度値)は式(1)に示した通り、画素ごとのR、G、Bの輝度値と、R、G、Bの重みとに基づき、画素ごとに算出される。そして、画素ごとの輝度値と、蛍光画像の画素ごとの輝度値とを合成して、重畳画像の画素ごとの輝度値が算出される。
制御部94は、RGBの各色の重みを設定した後は、第1実施形態と同様に、重畳画像における全画素の輝度値を平均することにより輝度情報を算出してもよい。あるいは、輝度情報の算出は、算出例1、2、3、5、6のうち少なくともいずれかを当該算出例4に組み合わせて行ってもよい。以下、RGBの各色の重みを設定する例を、以下に(例1)~(例4)として示す。
【0137】
(例1)制御部94は、前述したY輝度(WLI_Y)を算出する式(1)において、R、G、Bに対する係数D、D、Dを調整する。例えば、内視鏡で観察される体腔内は基本的に赤成分が多いため、赤の感度を高めるため、Dの重みを、一般的に用いられるY輝度の計算の場合よりも大きくしてもよい。例えば、一般的にはD、D、Dを約3:6:1の比率とするが、D、D、Dをそれぞれ、4.5:4.5:1の比率としてもよい。具体的には、D、D、Dの値を、0.45、0.45、0.1としてもよい。
【0138】
(例2)蛍光画像を生成する際、蛍光画像の色(つまり蛍光を何色で表示するか)は変更可能である。観察対象Sから発光する蛍光はそれ自体、特定の色(人間の識別可能な色)を有していないため、蛍光画像を生成する際、蛍光画像の色成分を決定する必要がある。一般的に蛍光の色成分としてG(緑)が用いられることが多いが、B(青)など他の色を蛍光画像の色に指定することが可能である。制御部94は、蛍光画像を通常光画像と重畳する際、蛍光画像の色に応じてRGBの重みを変更してもよい。
【0139】
例えば蛍光の表示色をG(緑)とする場合は、D、D、Dの比率を3:6:1とする。また、蛍光の表示色をB(青)とする場合は、D、D、Dの比率を3:4:3とする。このように蛍光の表示色に応じてRGBの重み付けを変更することで、蛍光の明るさに対しての追従感度を高めることができる。
【0140】
(例3)制御部94は、通常光の第1光源11の発光色(背景色)に応じて、RGBの重みを変更してもよい。例えば通常光の発光が白色光の場合は、D、D、Dの比率を3:6:1とし、紫の場合は、3:4:3とする。このように発光色に応じてRGBの重みを変更することで、分光特性に応じた画像の重畳が可能となり、重畳画像に対する視認性を高めることができる。
【0141】
(例4)制御部94は、通常光画像を表示する場合と、通常光画像と蛍光画像とを重畳した重畳画像を表示する場合とで、RGBの各色の重みを変更してもよい。すなわち、制御部94は、重畳画像を表示する表示モード(第1表示モード)と、通常光画像を表示する表示モード(第2表示モード)とを実行可能である。制御部94は、実行するモードの選択を、医師等のユーザが入力部95から入力する指示データに基づき行ってもよい。制御部94は、第1表示モード及び第2表示モードのいずれを実行するかに応じて、R、G、Bの重みを変更する。第2表示モードでは、通常光画像を蛍光画像と重畳せずに表示してもよいし、αをゼロとして重畳画像を表示してもよい。
【0142】
通常光画像を表示する第2表示モードを実行する場合、通常光画像には緑(G)の信号成分は少ない又は殆どないため、赤(R)の信号成分の重みを大きくして、輝度の平均値を算出する。例えば、D、D、Dの比率を4.5:4.5:1とする。
重畳画像を表示する第1表示モードを実行する場合は蛍光画像の色に応じて重みを変更する。例えば、蛍光の表示色(色成分)を緑(G)にする場合、Gの感度が通常光画像の場合よりも必要になる。このため、D、D、Dの比率を、通常用いられる比率と同じ3:6:1とする。また、蛍光の表示色(色成分)を緑以外の色にする場合、(例2)に記載したように、当該色に対応する比率を上げればよい。例えば、蛍光の表示色が青の場合は、D、D、Dの比率を3:4:3にすることで、当該青の感度を上げることが可能になる。
【0143】
[輝度情報の算出例5]
重畳画像の輝度情報を算出する際、重畳画像から画素を垂直方向及び水平方向にそれぞれある周期でサンプリングし、サンプリングした画素の輝度値のみを用いて輝度情報を算出する。輝度情報は、サンプリングした全画素の輝度値を平均することで算出してもよいし、他の算出例1~4,6の少なくともいずれかを本算出例5に組み合わせて算出してもよい。
【0144】
重畳画像の全画素を用いる場合、画素数に比例して処理負荷が大きくなり、回路サイズ又はメモリ容量も大きくなる。そこで処理する画素を間引くことで、処理負荷を軽減でき、回路サイズ又はメモリ容量も小さくできる。例えば、重畳画像の画素数(あるいは撮像部52の画素数)が低画素数の場合は、重畳画像の垂直方向は全画素を用いて(全画素読み出し)、水平方向は1つおきの画素を用いる(1/2画素読み出し)。重畳画像の画素数(あるいは撮像部52の画素数)が中程度の画素数の場合は、垂直方向は1つおきの画素を用い(1/2画素読み出し)、水平方向は3つおきの画素(1/4画素読み出し)を用いる。重畳画像の画素数(あるいは撮像部52の画素数)が高画素数の場合は、垂直方向は3つおきの画素(1/4画素読み出し)、水平方向は7つおきの画素(1/8画素読み出し)を用いる。
【0145】
[輝度情報の算出例6]
医師等のユーザ(観察者)が表示装置70に表示された観察対象のどこの領域を観察しているのかは、目的、状況、又は医師が用いる手技等によって異なる。ユーザが観察している領域は、例えば画面の中央であったり、画面の端であったりする。観察されている領域でハレーションが生じると、観察が困難になる。本算出例6では、輝度の高い領域に対する重みを高くして、輝度情報を算出することで、画面内の任意の領域でハレーションが生じないようにする。
【0146】
図13は、輝度の高い領域に対する重みを高くして、輝度情報を算出する例を示す図である。制御部94は、重畳画像を複数の領域に区分する。図13の例では、中央の領域R5と、周囲の8つの領域R1~R4、R6~R9との計9個の領域に区分する。制御部94は、9個の領域ごとに輝度値の平均(平均輝度値)を算出する。平均輝度値の高い順に高い重みを各領域に設定する。すなわち平均輝度値の高い領域ほど、高い重みを設定する。各領域の平均輝度値に重みを乗算し、重み付き平均を計算する。重み付き平均の計算は、各領域の画素の輝度値に領域の重みを乗算し、全ての領域の全画素で重み付き平均を計算することで行ってもよい。計算した重み付き平均を重畳領域の輝度情報として用いる。この輝度情報を用いて輝度制御を行うことで、輝度の高い領域あるいはハレーションが発生している領域に合わせて、通常光及び蛍光用の制御パラメータ(第1制御パラメータ、第2制御パラメータ)が調整される。このため、医師等のユーザが観察している領域の輝度飽和を防ぐことができる。図13の例では重畳画像を9個の領域に区分したが、区分数は2以上であれば、任意の数でよい。また区分される各領域のサイズは同じでも、異なってもよい。
【0147】
本開示の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された開示とその均等の範囲に含まれるものである。
【0148】
また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果があってもよい。
【0149】
なお、本開示は以下のような構成を取ることもできる。
[項目1]
第1波長帯域を有する第1光を被検体に照射する第1光源と、
前記第1光に対して前記被検体から反射した光を露光して第1画像信号を生成する第1撮像部と、
前記第1画像信号に基づき第1画像処理を行って第1画像を生成する第1画像処理部と、
前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域を有しかつ前記被検体に含まれる蛍光物質の励起波長を含む第2光を前記被検体に照射する第2光源と、
前記第2光に対して前記被検体から発生した蛍光を露光して第2画像信号を生成する第2撮像部と、
前記第2画像信号に基づき第2画像処理を行って第2画像を生成する第2画像処理部と、
前記第1画像と前記第2画像とを重畳して重畳画像を生成する重畳画像生成部と、
前記重畳画像の輝度情報に基づき、前記第1光源、前記第1撮像部及び前記第1画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第1制御パラメータと、前記第2光源、前記第2撮像部及び前記第2画像処理部のうち少なくとも1つを制御する第2制御パラメータとを調整することにより、前記第1画像の輝度と前記第2画像の輝度とを調整する制御部と、
を備えた画像処理装置。
[項目2]
前記制御部は、前記重畳画像の輝度情報と、前記重畳画像の目標輝度情報との差分に基づき、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとを調整する
項目1に記載の画像処理装置。
[項目3]
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとを調整することにより、前記差分をゼロにする又は閾値以下にする
項目2に記載の画像処理装置。
[項目4]
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータ間の比率の比率に関する条件に基づき、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータを調整する
項目1~3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目5]
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータの調整前の比率と、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータの調整後の比率の差をゼロ又は閾値以下する
項目4に記載の画像処理装置。
[項目6]
前記第1制御パラメータは、前記第1光源の光量を調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2光源の光量を調整するパラメータである
項目1~5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目7]
前記第1制御パラメータは、前記第1撮像部において前記第1光の反射光の露光量調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2撮像部において前記蛍光の露光量を調整するパラメータである
項目1~6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目8]
前記第1制御パラメータは、前記第1撮像部において前記第1画像信号のアナログゲインを調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2撮像部において第2画像信号のアナログゲインを調整するパラメータである、
項目1~7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目9]
前記第1制御パラメータは、前記第1画像処理部において前記第1画像信号のデジタルゲインを調整するパラメータであり、
前記第2制御パラメータは、前記第2画像処理部において前記第2画像信号のデジタルゲインを調整するパラメータである、
項目1~8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目10]
前記第1制御パラメータは、前記第1光源の光量を調整する第1光量調整パラメータ、前記第1撮像部における前記第1光の反射光の露光量を調整する第1露光量調整パラメータ、前記第1撮像部における第1画像信号のアナログゲインを調整する第1アナログゲイン調整パラメータ、及び前記第1画像処理部における第1画像信号のデジタルゲインを調整する第1デジタルゲイン調整パラメータのうちの少なくとも2つを含み、
前記第2制御パラメータは、前記第2光源の光量を調整する第2光量調整パラメータ、前記第2撮像部における前記蛍光の露光量を調整する第2露光量調整パラメータ、前記第2撮像部における前記第2画像信号のアナログゲインを調整する第2アナログゲイン調整パラメータ、及び前記第2画像処理部における前記第2画像信号のデジタルゲインを調整する第2デジタルゲイン調整パラメータのうちの前記少なくとも2つを含み、
前記制御部は、前記第1光量調整パラメータ、前記第1露光量調整パラメータ、前記第1アナログゲイン調整パラメータ、及び前記第1デジタルゲイン調整パラメータのうちの前記少なくとも2つを第1の優先順位で調整し、
前記制御部は、前記第2光量調整パラメータ、前記第2露光量調整パラメータ、前記第2アナログゲイン調整パラメータ、前記第2デジタルゲイン調整パラメータのうちの前記少なくとも2つを第2の優先順位で調整する
項目1~9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目11]
前記第1の優先順位は、前記第1光量調整パラメータ及び前記第1露光量調整パラメータの順であり、
前記第2の優先順位は、前記第2光量調整パラメータ及び前記第2露光量調整パラメータの順である
項目10に記載の画像処理装置。
[項目12]
前記第1の優先順位は、前記第1光量調整パラメータ、前記第1アナログゲイン調整パラメータ、前記第1デジタルゲイン調整パラメータ及び前記第1露光量調整パラメータの順であり、
前記第2の優先順位は、前記第2光量調整パラメータ、前記第2アナログゲイン調整パラメータ、前記第2デジタルゲイン調整パラメータ及び前記第2露光量調整パラメータの順である
項目10に記載の画像処理装置。
[項目13]
前記重畳画像の輝度情報は、前記重畳画像の平均輝度である
項目1~12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目14]
前記重畳画像は前記重畳画像の第1位置を含む第1画像部分と、前記第1画像部分の周囲の第2画像部分とを含み、
前記制御部は、前記第1画像部分に第1重みを設定し、前記第2画像部分に第2重みを設定し、
前記第1重みと前記第2重みとに基づき前記第1画像部分の輝度と前記第2画像部分の輝度との重み付き平均を算出する
項目13に記載の画像処理装置。
[項目15]
前記制御部は、前記重畳画像において第1閾値以上の輝度を有する画像部分のみに基づき前記平均輝度を算出する
項目13又は14に記載の画像処理装置。
[項目16]
前記制御部は、前記重畳画像において第2閾値以上の輝度を有する画素の輝度を前記第2閾値に固定して、前記平均輝度を算出する
項目13~15のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目17]
前記第1画像は赤、緑及び青の輝度値を画素ごとに含み、
前記重畳画像生成部は、前記第1画像の画素ごとの前記赤、前記緑、前記青の輝度値と、前記赤、前記緑、前記青の重みとに基づき、前記第1画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記第1画像の画素ごとの輝度値と、前記第2画像の画素ごとの輝度値とを合成して、前記重畳画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記制御部は、前記第2画像の色に応じて、前記赤、前記緑、及び前記青の重みを変更する
項目1~16のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目18]
前記第1画像は赤、緑及び青の輝度値を画素ごとに含み、
前記重畳画像生成部は、前記第1画像の画素ごとの前記赤、前記緑、前記青の輝度値と、前記赤、前記緑、前記青の重みとに基づき、前記第1画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記第1画像の画素ごとの輝度値と、前記第2画像の画素ごとの輝度値とを合成して、前記重畳画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記制御部は、前記第1光の色に応じて、前記赤、前記緑、及び前記青の重みを変更する
項目1~17のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目19]
前記制御部は、前記重畳画像を表示する第1表示モードと、前記第1画像を表示する第2表示モードとを選択可能に実行し、
前記第1画像は赤、緑及び青の輝度値を画素ごとに含み、
前記重畳画像生成部は、前記第1画像の画素ごとの前記赤、前記緑、前記青の輝度値と、前記赤、前記緑、前記青の重みとに基づき、前記第1画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記第1画像の画素ごとの輝度値と、前記第2画像の画素ごとの輝度値とを合成して、前記重畳画像の画素ごとの輝度値を算出し、
前記制御部は、前記第1表示モード及び前記第2表示モードのいずれを実行にするかに応じて、前記赤、前記緑、及び前記青の重みを変更する
項目1~18のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目20]
前記制御部は、前記重畳画像における複数の領域ごとに平均輝度を算出し、前記平均輝度が高い領域ほど高い重みを前記領域に含まれる画素に設定して、
前記領域毎の前記画素の前記重みに基づき、前記重畳画像の画素毎の輝度の重み付き平均を算出する
項目13~19のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目21]
前記制御部は、前記第1制御パラメータと前記第2制御パラメータとを同時に調整する
項目1~20のいずれか一項に記載の画像処理装置。
[項目22]
第1波長帯域を有する第1光を被検体に照射する第1ステップと、
前記第1光に対して前記被検体から反射した光を露光して第1画像信号を生成する第2ステップと、
前記第1画像信号に基づき第1画像処理を行って第1画像を生成する第3ステップと、
前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域を有しかつ前記被検体に含まれる蛍光物質の励起波長を含む第2光を前記被検体に照射する第4ステップと、
前記第2光に対して前記被検体から発生した蛍光を露光して第2画像信号を生成する第5ステップと、
前記第2画像信号に基づき第2画像処理を行って第2画像を生成する第6ステップと、
前記第1画像と前記第2画像とを重畳して重畳画像を生成する第7ステップと、
前記重畳画像の輝度情報に基づき、前記第1ステップ、前記第2ステップ及び前記第3ステップのうち少なくとも1つを制御する第1制御パラメータと、前記第4ステップ、前記第5ステップ及び前記第6ステップのうち少なくとも1つを制御する第2制御パラメータとを調整することにより、前記第1画像の輝度と前記第2画像の輝度とを調整する第8ステップと
を備えた画像処理方法。
【符号の説明】
【0150】
100 内視鏡装置、10 光源装置、11 第1光源、12 第2光源、20 挿入部材(内視鏡本体)、21 先端部、22 接続部、23 基端部(接眼部)、23 基端部、24A 出射部、24B 入射部、25 観測光学系、25a~25h 光学レンズ、27 視野マスク、30 ライトガイド、31 一端、32 他端、50 カメラヘッド、51 レンズユニット、52 撮像部、53 通信部、70 表示装置、80 伝送ケーブル、90 制御装置、91 通信部、92 メモリ、93 観察画像生成部、94 制御部、95 入力部、96 出力部、97 記憶部、210 重畳画像、521 励起光カットフィルタ、522 撮像素子、523 信号処理部、540 ゲイン調整部(AGC回路)、931 メモリコントローラ、932 通常光画像処理部、932 第1画像処理部、933 蛍光画像処理部、933 第2画像処理部、934 重畳画像生成部、935 表示制御部、940、940A、940B ゲイン調整部(AGC回路)、941 輝度情報算出部、942 パラメータ調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13