(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119538
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】補強グリップ。
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20230821BHJP
A61G 5/12 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
A47C27/14 D
A61G5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022034809
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】500344541
【氏名又は名称】倉重 光宏
(72)【発明者】
【氏名】倉重 光宏
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA04
3B096AB05
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】発泡樹脂などの軽量素材は、広く利用されているが、そのまま手で持とうとした場合、圧迫痕などの変形を生じ、他の素材でグリップを外側に形成しても、グリップとの接合部で発泡樹脂などの軽量素材が変形、重量増といった課題がある。
【解決手段】発泡樹脂などの軽量素材の角部の凹部にグリップを設け、グリップの上面と下面を軽量な素材による薄板で挟み、その間に、座屈しない素材で作った柱状の部材を柱立し、グリップ把握の際の繰り返し加重に耐えるようにする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂などの軽量素材で出来た持ち運び可能な製品の角部に設けたグリップで、前記製品の角部に直方体状に内側に凹ませた凹部において、互いに平行な二面に橋渡し状に形成したグリップとし、前記グリップ上面と下面に薄板を貼り付ける。上側薄板は、上に凸な曲面であり、下側薄板は、下に凸な曲面であり、ともにグリップ断面に沿うように形成される。さらに上下薄板間に接するように柱状強度部材をグリップ内部に配置したことを特徴とする補強グリップ。
【請求項2】
前記薄板は、樹脂製であることを特徴とする請求項1記載の補強グリップ。
【請求項3】
前記柱状強度部材は、竹ひごであることを特徴とする請求項1または2記載の補強グリップ。
【請求項4】
前記グリップ上面に貼り付ける薄板の長手方向の長さは、下面に貼り付ける薄板のそれよりも2倍以上の長さであることを特徴とする請求項1、2または3記載の補強グリップ。
【請求項5】
前記グリップは、前記凹部で橋渡し状につないだ互いに平行な二面以外の他の二面のいずれにも接しないことを特徴とする請求項1から4記載の補強グリップ。
【請求項6】
持ち運び可能な製品は、テーブル付き端座位保持具であって、テーブル付き端座位保持具は座面のない座部および肘掛部、および背もたれ部を有し、厚みをもった平面逆U字型に形成した端座位保持具を有すると共に、薄板状の平面U字型に形成したテーブルを、端座位保持具の肘掛部上面に着脱自在に設けてなるテーブル付き端座位保持具であって、前記テーブルは前面部、及び左右突出部からなる薄板状の平面U字型であり、前記平坦部分に前記端座位保持具の前記肘掛部前面に当接する支持ピンを設けるとともに、肘掛部とテーブルを着脱自在に固定するベルトを設けたテーブル付き端座位保持具において、前記テーブル付き端座位保持具は、グリップを有し、上記グリップは、請求項1から5記載の特徴を備えた補強グリップ。
【請求項7】
持ち運び可能な製品は、テーブル付き端座位保持具であって、テーブル付き端座位保持具は座面のない座部および肘掛部、および背もたれ部を有し、厚みをもった平面逆U字型に形成した端座位保持具を有すると共に、薄板状の平面U字型に形成したテーブルを、端座位保持具の肘掛部上面に着脱自在に設けてなるテーブル付き端座位保持具であって、前記テーブルは前記左右突出部の後部内側から下方向に向かう支持脚をもち、前記支持脚は下方先端部左右外側に向かうアンカー板を有し、前記アンカー板を端座位保持具の下面にスライドすることにより前記テーブルを位置決めできるテーブル付き端座位保持具において、前記テーブル付き端座位保持具は、グリップを有し、上記グリップは、請求項1から5記載の特徴を備えた補強グリップ。
【請求項8】
持ち運び可能な製品は、テーブル付き端座位保持具であって、テーブル付き端座位保持具は座面のない座部および肘掛部、および背もたれ部を有し、厚みをもった平面逆U字型に形成した端座位保持具を有すると共に、薄板状の平面U字型に形成したテーブルを、端座位保持具の肘掛部上面に着脱自在に設けてなるテーブル付き端座位保持具であって、前記端座位保持具の素材が、発泡スチロール、発泡スチロールを覆う布カバー、桐材など軽量素材によるテーブルなどで構成され、自重が極めて軽く、介助者一人で取り扱うことが出来、移動/持ち運びの際にそれ自体を支える支柱部分、移動用のキャスター付き脚部、を必要としないテーブル付き端座位保持具において、前記テーブル付き端座位保持具は、グリップを有し、上記グリップは、請求項1から5記載の特徴を備えた補強グリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂等、軽量で圧縮に弱く強度の低い素材に、極力軽量さを損なわない形で十分な耐久性を持つ補強グリップに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の持ち手付き段ボール製保冷ボックスにおいては、保冷を担う発泡樹脂素材自体に持ち手を与える技術ではなく、外側を覆う段ボールという別素材に持ち手を担わせる技術がある。中身が大きくなった場合、保冷剤である発泡樹脂素材を包括し、外側に別素材で持ち手を形成するため当然に全体として大きくなりやすく、資源を多く使うことになり、重くもなりやすい。(特許文献1参照)。
【0003】
前記素材は、様々な分野で用いられるが、その素材だけでグリップを形成すると、強度不足により、グリップの耐久性が低いものとなりやすい。
【0004】
前記素材に対し、取っ手などを木ねじなどで固定しようとすると、軟弱素材に木ねじを穿つことは、まさに糠に釘となり、前記素材を痛めやすく困難を極める。
【0005】
発泡樹脂などは空気を多く含み、接着が難しい場合が多い。空気100%そのものに何かを接着することは不可能であるが、ちなみに発泡ポリスチレンの場合、その98%が空気と言われ、何かを接着することが難しい素材である。前記素材に対し、接着剤により取っ手などを接着することもまた困難を極める。
【0006】
前記素材に対し、何らかの方法で取っ手などを固定できたとしても、製品より外側に取っ手部分が出張っている場合、取っ手部分に無用な外力・モーメントが加わりやすく、取っ手との接合面を痛めやすく、柔軟素材で出来た製品には、凹部を設けグリップを設けることが望ましい。
【0007】
前記素材に対し、凹部を設けグリップを設けることは、結局材料が少なくて済み、省資源でもある。
【先行技術文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3223494号(U3223494)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記素材にグリップを設ける際に、極力軽量さを損なわずにグリップを設けることを可能にする。
【0010】
前記素材に、強度が十分な別素材を補強目的で抱持する様に用いた場合も重量増となり、繰り返しの加圧によりグリップが圧縮されてやせてしまう、グリップが本体から、せん断されてしまう等の不具合が起きやすい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発泡樹脂などの軽量素材で出来た持ち運び可能な製品の角部に設けたグリップで、前記製品の角部に直方体状に内側に凹ませた凹部において、互いに平行な二面に橋渡し状に形成したグリップとし、前記グリップ上面と下面に薄板を貼り付ける。上側薄板は、上に凸な曲面であり、下側薄板は、下に凸な曲面であり、ともにグリップ断面に沿うように形成される。さらに上下薄板間に接するように柱状強度部材をグリップ内部に配置したことを特徴とし、前記薄板は、樹脂製であることを特徴とし、前記柱状強度部材は、竹ひごであることを特徴とし、前記グリップ部上面に貼り付ける薄板の長手方向の長さは、下面に貼り付ける薄板のそれよりも二倍以上の長さであることを特徴とし、前記グリップは、前記凹部で橋渡し状につないだ互いに平行な二面以外の他の二面のいずれにも接しないことを特徴とする請求項1から4記載の補強グリップ。
【発明の効果】
【0012】
前記素材の軽いという長所を生かしつつ、かつ繰り返しの使用に耐えるグリップを有することにより、例えば高齢者、女性であっても持ち上げる、運搬する、といった作業を容易にし、軽量素材全般の利用範囲を広げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【
図1】テーブル付き端座位保持具の使用状態図である。
【
図5】テーブルの固定方法を説明するための側面図である。
【
図8】本実施形態における使用状態の補強グリップ。
【
図10】本実施形態における垂直及び水平断面による一部切り欠き図である。
【
図13】本実施形態における上側薄板の長さを変えた場合の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
端座位保持具1は、厚みをもった平面逆U字型に形成されている。素材は、樹脂、又は金属による中空体、又は発泡体、好ましくは、発泡スチロール製であり、軽量で介助者の腰痛のリスクを低減し、介助者の頻回な座位を可能にする。端座位保持具1の上面および底面は平らであり、1aは、肘掛部、1bは背もたれ部である。1cの逆U字型切り欠き部は、座面のない座部である。両肘掛け部1a前面には凹凸テープ1dが垂れ下がり、あらかじめベッドフレーム側に貼りつけた相手凹凸テープ1eに貼りつけて固定される。(
図1)
【0014】
端座位保持具1の背もたれ部1b後ろ側には、グリップ部1fを有する。(
図2)この端座位保持具1は、被介助者がベッド上にて端座位姿勢を取ったのち、安全のため被介助者を介助者は片手で支え、そのままグリップ部1fを片手で持ち、被介助者の背中側から回してセットし、前方に垂れた両肘掛け部前面の凹凸テープ1dをベッドフレーム側相手凹凸テープ1eに貼りつけて使用するものである。
【0015】
次に平面U字型に形成したテーブル2は、端座位に腰掛けた被介助者の前方に来るよう上面に設置され、両肘掛部1aに巻かれているベルト2aにテーブル2の左右突出部22cを通し、またテーブル2の前部両側に端座位保持具1の肘掛部前面に当接する支持ピン2bを上から差し入れテーブルの固定を確実なものにする。(
図4・
図5)
【0016】
あるいはテーブル22において、左右突出部22cの後部内側から下方向に向かう支持脚22dをもち、前記支持脚22dは下方先端部左右外側に向かうアンカー板22eを有している場合は、端座位に腰掛けた被介助者の前方から水平に差し込むようにして設置することもできる。(
図6・
図7)
【0017】
持ち運び可能な製品3とは、端座位保持具1である。(
図1)
【0018】
補強グリップ4は、グリップ部1fに設けられている。(
図2)
【0019】
補強グリップ4は、握りやすいような断面形状に形成されている。(
図11)素材は、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレンといった発泡樹脂である。軽量であるが柔軟で強度はあまりない。(
図8)
【0020】
補強グリップ上面、下面には、樹脂等の軽量素材による薄板5が、グリップに沿うような形に形成され補強グリップを挟持している。(
図9、
図11)
【0021】
薄板に挟持された補強グリップ内部には、軽量で座屈しない素材による柱状部材6が、上下薄板5に接触するように柱立している。(
図10、
図11)
【0022】
前記柱状部材6は、握った際の加圧に耐え、重量増を避ける最適値の本数とする。(
図12)
【0023】
前記補強グリップ上面に貼り付ける薄板5の長手方向の長さは、下面に貼り付ける薄板5のそれよりも2倍以上の長さとし、把握時のねじれ剛性を高める。(
図13)
【0024】
補強グリップ全周を滑り止め素材で覆うことも出来る。
【符号の説明】
【0025】
1 端座位保持具
1a 肘掛部
1b 背もたれ部
1c 座部
1d 凹凸テープ
1e 凹凸テープ
1f グリップ部
2 テーブル
2a ベルト
2b 支持ピン
22 テーブル
22c 左右突出部
22d 支持脚
22e アンカー板
3 持ち運び可能な製品
4 補強グリップ
5 薄板
6 柱状部材