(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119541
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダー及びロールペーパー取付保持構造
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
A47K10/36 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022035685
(22)【出願日】2022-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】522090604
【氏名又は名称】クスモト建装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071892
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆一
(72)【発明者】
【氏名】楠本 義夫
(57)【要約】
【課題】使用後にロールペーパーを自動的に回転動させ、次の使用のための摘み代をカバー体の正面端縁から繰り出させる一層軽量化及び長寿命化を図ったロールペーパーホルダーを提供する。
【解決手段】側部材3と内側側壁401に設けられた長溝9、10に回転軸7、8が軸架されている。回転軸7には板カム201と案内板11が一体的に取り付けられている。内側側壁401には案内ピン受け部16が枢軸18より上方に位置するように受け杆15が枢着され、案内ピン受け部16が案内ピン13を掴んで案内板11の回転を停止するようにしている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部材とケーシングを連結する背面部材と、
側部材、背面部材及びケーシング内側側壁で囲まれる空間部上方にて起伏し、正面端縁にペーパー切断機能を有するカバー体と、
側部材とケーシング内側側壁間に回転動可能に軸架された回転軸と、
所定の肉厚を有し周端面に案内溝が凹設され回転軸に固定的に偏心して取り付けられた案内板と、
回転軸と供回り可能に取り付けられた板カムと、
案内溝を通り案内溝からの作用力で変形され蓄勢された弾性復元エネルギーで案内板を回転動可能な弾性部材と、
側部材とケーシング内側側壁及び背面部材で囲まれる空間に於ける回転軸に、回転軸と供回り或は空回り可能に取り付けられるロールペーパー取付保持部材とよりなるロールペーパーホルダーにおいて、
側部材とケーシング内側側壁には回転軸を軸架する上下方向に長い長溝が対設され、
ケーシング内側側壁の長溝下方には板カム支持片が設けられ、
案内板は回転軸の軸心から最も長い距離に位置する張り出し部と回転軸の軸心から最も短い距離に位置する張り出し部を周方向に隣り合って離隔して設け、これら各張り出し部と回転軸の軸心を結ぶ直線の延長線と案内板周縁との交わる位置の範囲内に案内板の重心は設けられ、
案内板にはケーシング内側側壁に向かって突出する案内ピンが設けられ、
ケーシング内側壁の内面には、案内ピンを受けることが可能な案内ピン受け部を有する受け杆が枢着されたことを特徴とするロールペーパーホルダー。
【請求項2】
中空円筒体の外周面に、半径外方向に突出し軸心と平行な位置関係を有して軸方向に延びる外向きの突条部を設けた紙管取付体と、
外周にペーパーが巻着され、内側に紙管取付体を配設可能な大きさを有する円筒体の内面に、半径内方向に突出し軸心と平行な位置関係を有して軸方向に沿って延びる内向きの突条部を設けた紙管とよりなり、
紙管中空部に紙管取付体を挿し込んだ状態でロールペーパーの最外層の端部を引き出すと、紙管取付体の外向きの突条部に紙管の内向きの突条部が係止され、ロールペーパーが紙管取付体に安定的に取り付けられるようにしたことを特徴とするロールペーパー取付保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者がロールペーパーを切断後に、自動的にロールペーパーが正面方向に一定量回転動をし、カバー体の正面端縁から一定長さのペーパーが自動的に繰り出し、この繰り出されたペーパーが次の使用の際の摘み代となるようにしたロールペーパーホルダー及びこのロールペーパーホルダーに用いられるロールペーパー取付持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパー等のロールペーパーを切断する際には、引き出され端縁が垂下したロールペーパーをカバー体を介して片手で押さえ、もう一方の片手で引き出されたロールペーパーを手前に強く引いてカバー体先端縁で切断していた。カバー体に使用者の手指が接触すると、使用者の手指に付着していた汚れ、ウイルス、細菌等がカバー体に付着し、この菌等が次の使用者の手指に付着し不潔であった。また、爪に装飾を施した女性にとっては爪が痛むおそれがあるという欠点があった。特に、新型コロナウイルス感染症が頻発する近年においては、装備品に接触をすることがなくトイレットペーパーを切断可能な非接触型のロールペーパーホルダーの設置が必要である。
本願発明者は回転軸に偏心板や錘を固定的に取り付け、ロールペーパー切断後にロールペーパー引張り力から解放された回転軸が、偏心板や錘に働く重力で、回転軸の軸心を作用点とし、偏心板や錘等の重心が回転軸の軸心の真下に位置するように回転し、この回転軸の回転運動量と同量の長さのロールペーパーを自動的に繰り出すようにしたロールペーパーホルダーを創案した(例えば、特許文献1、2又は3参照)。
特許文献1~3に開示のロールペーパーホルダーは、ロールペーパーの切断と同時に次の使用のためのロールペーパーの摘み部がカバー体正面端縁から正面方に垂下するので、手指がロールペーパーホルダーやカバー体等を触れることがなく衛生的であり、また、使用者の爪等を損傷しないという長所があるものの、ロールペーパー繰り出し状態保持のために従属シャフト等の部品点数が多くロールペーパーホルダーが重量化し接触部の不一致等の故障が発生しやすいという問題点があった。
又、特許文献1~3に開示のロールペーパーは、円筒状の紙管を芯にするロールペーパーを用いるため、摩擦部材や内側から加圧される1対の挿し込み片をロールペーパー保持部材に用いロールペーパーが回転軸と供回り或は空回りするようにしていたので、ロールペーパー保持部材を構成する部品の多さもロールペーパーホルダーを重量化する一因ともなっていた。
本発明のロールペーパーホルダーに用いるロールペーパー保持構造は、ロールペーパーが回転軸と供回りと空回りの両方の作用を併せ持つ必要性がある。本願発明者は、ロールペーパー芯保持具に紙管を保持するために円筒体周面に摩擦部材を設け、この摩擦部材と紙管内面の摩擦でロールペーパーを保持することや(特許文献1参照)、2枚の挿し込み片間に挿し込み片を離隔する方向に付勢するバネを介在させ、紙管の内面から相反する方向に加圧することでロールペーパーを保持することを提案していた(特許文献2又は3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6429007号の特許公報
【特許文献2】特許第6856834号の特許公報
【特許文献3】特開2020-93026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題は、部品数が多く重量化し、構造が複雑であるので故障することがあるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本願発明のうち請求項1に記載の発明は、側部材とケーシングを連結する背面部材と、側部材、背面部材及びケーシング内側側壁で囲まれる空間部上方にて起伏し、正面端縁にペーパー切断機能を有するカバー体と、側部材とケーシング内側側壁間に回転動可能に軸架された回転軸と、所定の肉厚を有し周端面に案内溝が凹設され回転軸に固定的に偏心して取り付けられた案内板と、回転軸と供回り可能に取り付けられた板カムと、案内溝を通り案内溝からの作用力で変形され蓄勢された弾性復元エネルギーで案内板を回転動可能な弾性部材と、側部材とケーシング内側側壁及び背面部材で囲まれる空間に於ける回転軸に、回転軸と供回り或は空回り可能に取り付けられるロールペーパー取付保持部材とよりなるロールペーパーホルダーにおいて、側部材とケーシング内側側壁には回転軸を軸架する上下方向に長い長溝が対設され、ケーシング内側側壁の長溝下方には板カム支持片が設けられ、案内板は回転軸の軸心から最も長い距離に位置する張り出し部と回転軸の軸心から最も短い距離に位置する張り出し部を周方向に隣り合って離隔して設け、これら各張り出し部と回転軸の軸心を結ぶ直線の延長線と案内板周縁との交わる位置の範囲内に案内板の重心は設けられ、案内板にはケーシング内側側壁に向かって突出する案内ピンが設けられ、ケーシング内側壁の内面には、案内ピンが受けることが可能な案内ピン受け部を有する受け杆が枢着されたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロールペーパーホルダーに用いるロールペーパー取付保持構造であって、中空円筒体の外周面に、半径外方向に突出し軸心と平行な位置関係を有して軸方向に延びる外向きの突条部を設けた紙管取付体と、外周にペーパーが巻着され、内側に紙管取付体を配設可能な大きさを有する円筒体の内面に、半径内方向に突出し軸心と平行な位置関係を有して軸方向に沿って延びる内向きの突条部を設けた紙管とよりなり、紙管中空部に紙管取付体を挿し込んだ状態でロールペーパーの最外層の端部を引き出すと、紙管取付体の外向きの突条部に紙管の内向きの突条部が係止され、ロールペーパーが紙管取付体に安定的に取り付けられるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
ペーパー切断後に所定長さのペーパーがカバー体正面端縁より繰り出されて垂下し、この繰り出されたペーパーが次の使用の摘み代となるので、カバー体等に手指が触れることがなく、自動的にペーパーが繰り出されるので衛生的であるという効果がある。
案内ピン受けが案内ピンを掴んで案内板の正面方向への回転を阻止し、案内板を停止させるように構成されているので、従来のロールペーパーホルダーと比較して部品数がすくなく一層軽量化を図ることができ、また、部品間の位置ずれ等の故障が発生しないという効果がある。
紙管の内面と、紙管取付体の外面に突条部を設けるという簡単な構成で、ロールペーパーが紙管取付体にずれることなく安定的に取付保持されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】カバー体を開いた状態において、片持ちバネを省略した状態を示す一部切欠正面説明図である。(実施例1)
【
図3】ケーシングの内部構造を示す説明図である。(実施例1)
【
図4】ロールペーパーを引き出す前のケーシング内部を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図5】ロールペーパーを引き出す前における内側側壁の外面側から視た板カム、板カム支持片及び案内板の位置関係を示す説明図である。(実施例1)
【
図6】ロールペーパーを引き出している状態におけるケーシング内部を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図7】ロールペーパーを引き出している状態における内側側壁の外面側から視た板カム、板カム支持片及び案内板の位置関係を示す説明図である。(実施例1)
【
図8】ロールペーパーを引き出し続けロールペーパーが回転軸に対して空回りしている状態におけるケーシング内部を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図9】ロールペーパーを引き出し続けロールペーパーが回転軸に対して空回りしている状態における内側側壁の外面側から視た板カム、板カム支持片及び案内板の位置関係を示す説明図である。(実施例1)
【
図10】ロールペーパーを切断したときのケーシング内部を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図11】ロールペーパーを切断したときの内側側壁の外面側から視た板カム、板カム支持片及び案内板の位置関係を示す説明図である。(実施例1)
【
図12】
図4においてロールペーパーを省略したA-A線に沿う断面説明図である。(実施例1)
【
図14】紙管取付体の斜視説明図である。(実施例1)
【
図16】紙管取付体にロールペーパーを取り付けた断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0008】
側板とケーシング内側側壁に上下方向に延びる長溝を対設し、該長溝に回転軸を軸架し、ケーシング内側側壁の長溝下端縁に沿う板カム支持片を設け、該板カム支持片で板カム最突出縁部を支持することで回転軸を上昇させ、同時に案内ピン受け部で案内ピンを掴み回転軸の回転を停止することで、ロールペーパーを回転軸に空転させて引き出しするようにし、ロールペーパー切断による正面方向への引き出し力からの解放により案内板は案内板重心が回転軸軸心の真下になるように回転動し、自動的に次の摘み代を繰り出すことを少ない部品で実現した。
【実施例0009】
図面に基いて実施例1を説明する。ロールペーパーホルダー1は、背面部材2、側部材3、ケーシング4、側部材3とケーシング4及び背面部材2で囲まれる空間部の上方にて起伏動する紙切断機能を有するカバー体5、側部材3とケーシング4の内側壁との間に回転可能に軸架されロールペーパー6が取り付けられる回転軸7、8及び回転軸7、8を回転若しくは停止させる手段を設けてなる。
【0010】
側部材3は、背面部材2の正面に対して90度から180度の角度の範囲で回動可能に背面部材2の側縁に枢着されている。側部材3の内面には上下方向に沿って延びる長溝9が設けられている。長溝9は、溝内を回転軸8の端部が上下摺動可能に、横幅が回転軸8の端部より僅かばかり大きく設定されている。ケーシング4は、内側側壁401、周側側壁402及び外側壁403よりなり、これら側壁401、402、403で囲まれる空間には回転軸7の回転停止機構が収納されている。ケーシング4は、内側側壁401が背面部材2の正面に対して90度の角度を有して正面方に突き出し、内側側壁401が側部材3と対向し互いに平行な位置関係となるように背面部材2の側縁に一体的に取り付けられている。内側側壁401には、回転軸7の端部が摺動可能な上下方向に延びる長溝10が穿設されている。長溝10と長溝9は対向する位置に設けられている。背面部材2は正背視が矩形の同厚板状物よりなり、構築物壁面、例えばトイレ壁面への取り付け手段を具備する。
【0011】
回転軸7は内側側壁401の長溝10を回転可能に軸架されている。回転軸7の先端は対となる扁平面と、これら扁平面との間は表面に螺溝を有する彎曲面が対設されてなる。ケーシング4の内側空間に於いて、回転軸7は案内板11が回転軸7と供回り可能に取り付けられている。案内板11は同厚平板を材料とし、側面から視て周縁の軌道が変化する変化点となるように外方に突き出す張り出し部111、112、113を有し、全周縁が緩やかな曲線で形成されている。案内板11の側面から視て、直線距離で回転軸7の軸心から最も短い距離に位置する張り出し部111と、直線距離で回転軸7の軸心から最も長い距離に位置する張り出し部112は、回転軸7の軸心を通る同一線上に位置している。正面回りに案内板11は、張り出し部111と回転軸7を結ぶ直線の延長線と案内板11の周縁が交わる位置と、張り出し部112と回転軸7を結ぶ直線の延長線と周縁が交わる位置との範囲に重心が位置するように張り出し部113を設けている。つまり、案内板11の正面回り周縁に於いて、張り出し部113は張り出し部111と張り出し部112の中途に位置している。回転軸7の軸心と張り出し部113とを結ぶ直線距離は、回転軸7の中心から張り出し部112を結ぶ直線距離より僅かばかり短く設定されている。正面回りに張り出し部112から張り出し部111に亘り、回転軸7の軸心から周縁までの直線距離は最も短くなるように設定されている。
案内板11の周端面には案内溝12が凹設されている。案内板11の張り出し部112と張り出し部111との中途位置には、案内ピン13が設けられている。案内ピン13は回転軸7を中心として張り出し部113と略対向する位置に於いて、先端が内側側壁401を向き回転軸7と平行な位置関係を有して設けられている。
【0012】
ケーシング4の周側側壁402の内面には弾性部材が取り付けられている。弾性部材は案内溝12の溝底から加圧され、この圧力で変形し弾性エネルギーが蓄えられるようにしている。実施例1では、弾性部材として線材よりなる片持ちバネ14を用い、周側側壁402の内面に片持ちバネ14の固定端が取り付けられている。片持ちバネ14は屈曲部141を有し、屈曲部141より自由端側はガイドとしての作用をなすように形成されている。案内板11が正面回りの回転運動をすると、屈曲部141は案内溝12の溝底を張り出し部111から張り出し部113を経て張り出し部112に移動するようにしている。
【0013】
受け杆15は後端に案内ピン13を受けるための案内ピン受け部16を設け、前端には錘17を設けている。受け扞15は内側側壁401の内面に、案内ピン受け部16が枢軸18よりも上方に位置するように枢着されている。この枢着部を中心として受け杆15が回動し、案内ピン受け部16の開口の向きが変化するようにしている。実施例1では受け杆15がL型に形成されているが、本発明はこの形状に限定しない。ストッパー19は内側側壁401の内面に取り付けられ、錘17の重量で正面方向に回動する受け杆15を係止し受け杆15の回動範囲を制限している。
【0014】
回転軸7には板カム20、21が回転軸7と同期回転するように固定的に取り付けられている。板カム20、21は座金22、23を介在させて内側側壁401を挟むように回転軸7に固定的に取付けられている。内側側壁401の内面には、長溝10の下方に板カム支持片24が固定的に取り付けられている。内側側壁401の外面には、長溝10の下方に板カム支持片25が固定的に取り付けられている。板カム支持片24、25の上縁は、長溝10の下縁形状に沿う弧状に形成されている。
【0015】
案内ピン13が案内ピン受け部16に係合状態のときに板カム20、21の最突出縁部201、211が板カム支持片24、25の上縁に接触して板カム20、21と共に回転軸7を上昇させ、且つ屈曲部141が張り出し部112の案内溝12の溝底を圧接するように、回転軸7には案内板11と板カム20、21が固定的に取り付けられている。
【0016】
カバー体5は、枢軸26により内側側壁401に開閉自在に枢着されている。枢軸26にはレバー27が枢着されている。内側側壁401には取付片28が固定的に取り付けられている。捩じりバネ29の一端はレバー27に取り付けられ、他端は取付片28に取り付けられている。枢軸26が正面方に回転するように捩じりバネ29に付勢してカバー体5を伏せるようにしている。
【0017】
回転軸7にはロールペーパー保持手段が取り付けられている。ロールペーパー保持手段は、取付管30と、取付管30に内装した軸方向に付勢する弾性部材31、細長い透孔が穿設されたパッキン輪32、紙管取付体33及び回転軸8よりなる。取付管30は中空胴体部の一端にボス部を開口連設し、他端開口は縮径してパッキン輪配設部となし、パッキン輪32が内側に配設されている。回転軸7は、パッキン輪配設口に配設されているパッキン輪32の摩擦力で回転軸8と一体となって回転するようにしている。回転軸7はボス部に遊挿され、回転軸7の螺子部はパッキン輪32の透孔を貫通して回転軸8と連結されている。回転軸8の一端は雌螺子に形成され、回転軸7と連結されて1本の回転軸となり、他端は側部材3の長溝9に軸架される。取付管30は紙管取付体33と同軸上に一体的に取り付けられている。
【0018】
紙管取付体33は左右両側方を開放した略円筒状に形成され、外面には半径外方向に突き出し左右両端縁間に亘り延びる突条部34が配設されている。突条部34は周方向への配設位置は不問であるが、紙管取付体33の軸心を中心として対向しない位置に設けることが好ましい。
【0019】
紙管取付体33に取り付けられるロールペーパー6について説明する。ロールペーパー6は紙管35の周囲に帯状ペーパーが巻着されている。紙管35の内面には、紙管35の軸心線に向かって突き出し左右両端縁に亘り延びる突条部36を設けている。突条部36と突条部34の突出高さは略同じ程度である。本実施例では、紙管35の周面の一部を紙管35の軸心に向かって窪ませて内面に突き出して突条部36を形成している。
【0020】
作用について説明する。
使用前は
図3~
図5に示す状態である。回転軸7の軸心の真下に案内板11の重心が位置し、片持ちバネ14は案内溝12から離れている。錘17の重力で受け杆15は正面方に回動しストッパー19で係止され、案内ピン受け部16は枢軸18の上方に位置して案内ピン11とは離れている。
ロールペーパー6の最外層の端部を正面方に引き出しロールペーパー6が正面回りに回転し始めると、紙管35の正面回りの回転動により突条部36は突条部34に掛止され、紙管取付体33に紙管35は安定的に保持される。
図6及び
図7に示すように、ロールペーパー6の正面方への回転引き出しは、回転軸7、8を正面周りに同期回転させる。回転軸7が回転すると、板カム20、21も回転軸7と同期回転する。板カム20、21の最突出縁部201、211が板カム支持片24、25の上端面に位置すると、最突出縁部201、211による板カム支持片24、25の上面からの反作用力で回転軸7は持ち上げられ、回転軸8と共に対応する長溝9、10内を上昇する。板カム支持片24、25が内側側壁401に固着されているためである。同時に案内板11も回転軸7と同期回転する。案内板11の回転動により、ケーシング4の内側空間に於いて、案内ピン13は案内ピン受け部16が受け取り掴む。案内ピン13と案内ピン受け部16の係合により、案内板11は回転動を停止する。
案内板11の回転運動が開始すると、片持ちバネ14の屈曲部141は、回転軸7の軸心から最も短い距離に位置する張り出し部111の案内溝12から溝内に入り込み、回転する案内板11の動きに応じて張り出し部113を経て回転軸7の軸心から最も長い距離に位置する張り出し部112に亘る溝底を摺動する。片持ちバネ14の屈曲部141は、回転軸7の軸心から最も短い距離に位置する張り出し部111から張り出し部113を経て軸心から最も長い距離に位置する張り出し部112に移動するに従い、徐々に強い圧力を案内溝12の溝底から受け変形する。片持ちバネ14の屈曲部141は、回転軸7の軸心から最も長い距離に位置する張り出し部112の案内溝12の溝底で停止する。
屈曲部141が張り出し部112の案内溝12の溝底への圧接状態保持下及び案内ピン受け部16の案内ピン13の係合状態保持下で、回転軸7は回転運動を停止する。
同時にロールペーパー6の引き出しによる紙管35の回転動に伴い、紙管取付体33は正面方に回転動をし、回転軸8も正面回りに回転動をする。回転軸8の正面回りの回転により、回転軸8は回転軸7に螺合状態で取付管30の方向へ移動し、パッキン輪32を取付管30のパッキン輪配設部から胴体内へ移動させる。パッキン輪32は弾性部材31を圧縮変形する。
【0021】
パッキン輪32がパッキン輪配設部から胴体内へ移動することで、回転軸7の外周面と取付管30のパッキン輪配設口の内周面との間に隙間が形成される。取付管30は紙管取付体33と共に、回転軸7に対して空回りをする。使用者は所望量のペーパーを引き出すことができる。
【0022】
ロールペーパー6をカバー体5で切断すると、回転軸7はペーパー引き出し力から解放される。案内板11の重心を回転軸7の真下に位置するように、回転軸7は正面周りに回転動する。案内板11の回転動により、案内ピン受け部16の開口は下向きになる。案内ピン13は案内ピン受け部16より落下する。案内ピン受け部16から案内ピン13が落下後は、錘17の重量で枢軸18を中心として受け杆15が正面方に回動する。受け杆15はストッパー19で係止され、案内ピン受け部16の開口の向きを使用前と同じにする。板カム20、21は回転軸7と同期回転し、最突出縁部201、211は板カム支持片24、25より離れる。弾性部材31の復元力で、パッキン輪32を取付管30のパッキン輪配設部へ移動させ、回転軸7を取付管30と同期回転するように戻す。回転軸7の回転量と同量のペーパー36がカバー体5の正面端縁から繰り出され垂下する。案内板11、片持ちバネ14、受け杆15及び板カム20、21の位置関係は、
図3~
図5に示す使用前の状態になる。繰り出されたペーパーは次の使用のための摘み代となる。