IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119568
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/10 20060101AFI20230821BHJP
   H01Q 25/00 20060101ALI20230821BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20230821BHJP
   H01Q 21/30 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q25/00
H01Q21/24
H01Q21/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007588
(22)【出願日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2022022239
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】河合 健史
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔
(72)【発明者】
【氏名】荻野 和滋
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021AA12
5J021AB05
5J021GA02
5J021JA07
5J045AA05
5J045AB02
5J045AB05
5J045AB06
5J045DA04
(57)【要約】
【課題】生産性の向上及び強度の向上が図られたアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、筒状導体と、筒状導体の軸方向の少なくとも一端部に配置されて軸方向と交差する交差方向に延びる平板状導体と、を備える。さらに、筒状導体は、軸方向の一端部において筒状導体の外周に沿った一部に形成されて軸方向の他端部側に凹むことで、平板状導体との間に間隙を構成する切欠きと、間隙に対して給電する給電部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状導体と、
前記筒状導体の軸方向の少なくとも一端部に配置されて前記軸方向と交差する交差方向に延びる平板状導体と、
を備え、さらに、
前記筒状導体は、
前記軸方向の前記一端部において前記筒状導体の外周に沿った一部に形成されて前記軸方向の他端部側に凹むことで、前記平板状導体との間に間隙を構成する切欠きと、
前記間隙に対して給電する給電部と、
を備える、アンテナ装置。
【請求項2】
前記筒状導体の前記軸方向の前記他端部に配置されて前記交差方向に延びる他の平板状導体をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
複数の前記間隙を備える、請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
複数の前記間隙のそれぞれは、前記筒状導体の外周に沿った長さが異なる、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記筒状導体は、前記交差方向の断面が多角形であり、
前記間隙は、前記多角形を構成する辺を含む前記筒状導体の周壁に配置される、請求項1から請求項4のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記平板状導体は、プリント基板に形成された導体パターンである、請求項1から請求項5のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記平板状導体は、前記プリント基板上の、前記筒状導体との前記軸方向における対向領域に形成される、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記筒状導体の内部に前記筒状導体と接触して配置されて前記軸方向に延びる仕切導体をさらに備え、
前記仕切導体は、前記切欠きの前記筒状導体の外周に沿った方向の両端部それぞれと前記給電部との間の領域で前記切欠きを前記軸方向に跨ぎ、前記軸方向一端部に配置された前記平板状導体に接触する、請求項1から請求項7のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記筒状導体と前記平板状導体とからなる対が、前記平板状導体の延びる方向に沿って複数並べて配置される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
1つの前記平板状導体に対向して、複数の前記筒状導体が並べて配置される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記平板状導体は、1つのプリント基板に形成された導体パターンであり、
前記導体パターンに対向して、複数の前記筒状導体が並べて配置される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記複数の筒状導体は、それぞれ異なる方向に指向性を持つアンテナ素子である、請求項9から請求項11のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記複数の筒状導体は、それぞれ他の前記筒状導体と面していない外周部に前記切欠きが配置される、請求項9から請求項11のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記複数の筒状導体は、それぞれ異なる周波数帯域の電波を送受信するアンテナ素子である、請求項9から請求項11のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記複数の筒状導体は、それぞれ前記筒状導体の外周に沿った長さが異なる前記切欠きを備える、請求項9から請求項11のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項16】
1つのプリント基板に対し、前記筒状導体である第1の導体と、筒状とは異なる他の形状である第2の導体と、が配置される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記平板状導体は、プリント基板に形成され、前記筒状導体と対向配置された第1の導体パターンであり、
前記プリント基板は、前記第1の導体パターンとは異なる、前記筒状導体と対向しない第2の導体パターンを備える、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
車両の外板に形成された窪み部の内部に配置されるとともに、カバーによって覆われる、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記窪み部内の側面は、前記窪み部内の底面に対して90度以上の角度を有する、請求項18に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車、バス、鉄道車両等の移動体にアンテナ装置が搭載されることがある。例えば、いずれも導電性材料から成る、周方向に切り欠きが形成された筒体と、筒体の両端部に固定された筒体より大きい径を有する端板と、を備えた無指向性の移動体用アンテナが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-136627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の移動体用アンテナは、筒体の周面の、軸方向中間部に切り欠きが配置されており、切り欠きの形成が容易ではなく、筒体の強度が低くなる虞があることに課題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、生産性の向上及び強度の向上が図られたアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な本発明のアンテナ装置は、筒状導体と、前記筒状導体の軸方向の少なくとも一端部に配置されて前記軸方向と交差する交差方向に延びる平板状導体と、を備える。さらに、前記筒状導体は、前記軸方向の前記一端部において前記筒状導体の外周に沿った一部に形成されて前記軸方向の他端部側に凹むことで、前記平板状導体との間に間隙を構成する切欠きと、前記間隙に対して給電する給電部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成によれば、アンテナ装置において、生産性の向上及び強度の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図2図1のアンテナ装置の側面図
図3図2のアンテナ装置のIII-III線における断面図
図4】第2実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図5】第3実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図6図5のアンテナ装置の展開図
図7】第4実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図8図7のアンテナ装置の断面図
図9】第5実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図10図9のアンテナ装置の断面図
図11】第6実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図12図11のアンテナ装置の下方から見た部分概略斜視図
図13】第7実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図14図13のアンテナ装置の断面図
図15】第7実施形態の変形例1のアンテナ装置の概略斜視図
図16図15のアンテナ装置の断面図
図17】第7実施形態の変形例2のアンテナ装置の筒状導体を示す概略平面図
図18】第7実施形態の変形例3のアンテナ装置の筒状導体を示す概略平面図
図19】第8実施形態のアンテナ装置の概略斜視図
図20】第8実施形態の変形例のアンテナ装置の概略斜視図
図21】第9実施形態のアンテナ装置の車両への搭載例を示す説明図
図22図21のアンテナ装置の斜視図
図23図21のアンテナ装置の側方から見た断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この説明では、後述する筒状導体が延びる方向を「軸方向」と呼び、この軸方向を表す矢線Dzを図中に記載した。さらに、軸方向Dzに関して、直交座標系を表す矢線Dx、Dyを図中に記載した。また、軸方向Dzと交差する方向を「交差方向」と呼ぶ。交差方向は、軸方向Dzと直交する方向を含み、この説明において「交差方向Dx-Dy」と記述するが、厳密に直交に限定されるわけではなく、略直交も含む。
【0010】
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。図2は、図1のアンテナ装置1の側面図である。図3は、図2のアンテナ装置1のIII-III線における断面図である。なお、図1及び図2では、後述する給電線102の描画を省略した。
【0011】
アンテナ装置1は、例えば自動車等の車両に搭載されることが好ましいが、車両以外の移動体に搭載されても良い。車両以外の移動体としては、例えば船舶、航空機、ロボット等であって良い。また、アンテナ装置1は、移動体以外のものに搭載されても良い。本実施形態において、アンテナ装置1は車載用アンテナ装置である。
【0012】
図1に示すように、アンテナ装置1は、筒状導体2と、平板状導体3と、を備える。
【0013】
筒状導体2は、軸方向Dzに延びる。本実施形態において、筒状導体2は、角筒形状であって、軸方向Dzと交差する交差方向Dx-Dyの断面が四角形状である。すなわち、筒状導体2は、断面四角形状に配置された、軸方向Dzに延びる平板状の4つの周壁2wで構成される。なお、筒状導体2は、例えば断面が三角形、五角形等の他の多角形状であっても良いし、円筒形状であっても良い。筒状導体2の軸方向Dzの両端部は開口する。
【0014】
なお、後述する筒状導体2の「外周」は、交差方向Dx-Dyに対し、隣り合う周壁2w間を行き来する方向を意味する。
【0015】
筒状導体2は、例えば銅、鉄等の導電性材料の板金で構成される。本実施形態において、アンテナ装置1は、一種類の電磁波(電波)に対応する。アンテナ装置1は、送信アンテナまたは受信アンテナを構成する。アンテナ装置1が送信または受信する電磁波の波長をλとした場合、好ましい形態として、筒状導体2の軸方向Dzの長さはλ/4未満であって良い。この理由は、アンテナ装置1が平板状導体3を備えることと関係し、後述する。軸方向Dzにおいてアンテナ装置1が設置される場所に余裕がある場合、筒状導体2の軸方向Dzの長さはλ/4以上であっても良い。
【0016】
平板状導体3は、筒状導体2の軸方向Dzの少なくとも一端部に配置される。本実施形態において、平板状導体3は、筒状導体2の軸方向Dzの一端部のみに配置される。平板状導体3は、筒状導体2に接合される。平板状導体3は、軸方向Dzと交差する交差方向Dx-Dyに延びる。本実施形態において、平板状導体3は、軸方向Dzと直交する方向に延びる。平板状導体3は、例えば銅、鉄等の導電性材料で構成される。平板状導体3は、例えば筒状導体2と同じ導電性材料で構成される。
【0017】
本実施形態において、平板状導体3は、交差方向Dx-Dyに対し、筒状導体2の外側及び内側に延びる四角形状である。本実施形態において、平板状導体3の四角形を構成する外縁の四辺のそれぞれは、筒状導体2を構成する4つの周壁2wのうちの1つと平行に延びる。なお、平板状導体3は、例えば三角形、五角形等の他の多角形状であっても良いし、円形状であっても良い。交差方向Dx-Dyに対し、平板状導体3の外縁は、筒状導体2の外縁よりも外側に位置する。
【0018】
本実施形態において、平板状導体3は、軸方向Dzに対し、筒状導体2の一端部側を閉塞するように配置される。なお、平板状導体3は、交差方向Dx-Dyに対し、筒状導体2の内縁よりも内側に延びていない、若しくは内側に所定長さまで延びる構成であっても良い。すなわち、平板状導体3は、軸方向Dzに対し、筒状導体2の一端部側を開放する構成であっても良い。
【0019】
筒状導体2は、切欠き21を備える。切欠き21は、平板状導体3と対向する筒状導体2の軸方向Dzの一端部に配置される。切欠き21は、筒状導体2の外周に沿った一部に形成される。切欠き21は、筒状導体2において、軸方向Dzの他端部側に凹む。言い換えれば、筒状導体2は、平板状導体3と対向する軸方向Dzの一端部において、切欠き21が形成されていない筒状導体2の外周に沿った残りの一部で、平板状導体3と接合される。なお、筒状導体2と平板状導体3とは、直接接合しても良いし、コネクタやスリットに挿入することで接合しても良い。
【0020】
切欠き21は、筒状導体2の周壁2wを交差方向Dx-Dyに貫通する。切欠き21は、平板状導体3との間に間隙4を構成する。本実施形態において、間隙4は、交差方向Dx-Dyから見て四角形状の、いわゆるスロットアンテナのスロットである。間隙4(切欠き21)の、筒状導体2の外周に沿った長さは、電磁波の波長λに対し、λ/2である。間隙4の軸方向Dzの長さ(幅)は、波長λに対して十分小さい長さである。間隙4の軸方向Dzの長さ(幅)は、例えばλ/100等である。
【0021】
間隙4の長さλ/2に対し、筒状導体2自体の外周に沿った長さは、λ/2から2λ/3までの長さであることが好ましい。また、平板状導体3の外周の長さは、[筒状導体2自体の外周に沿った長さ]×7/5程度であることが好ましい。
【0022】
なお、間隙4は、交差方向Dx-Dyから見て四角形状に限定されるわけではない。間隙4は、例えば交差方向Dx-Dyの両端部が軸方向Dzに広がる形態であっても良いし、交差方向Dx-Dyの両端部が軸方向Dz及び交差方向Dx-Dyに鉤状に折れ曲がる形態であっても良い。これにより、アンテナ装置1が送信または受信する電磁波の波長λを長くすることができる。
【0023】
アンテナ装置1は、さらに給電部22を備える。給電部22は、筒状導体2の一部によって形成される。給電部22は、1つの周壁2wから連続して延びる。給電部22は、間隙4を隔てて平板状導体3と軸方向Dzに対向する切欠き21の縁部から平板状導体3に向かって軸方向Dzに延びる。
【0024】
ここで、本実施形態において、平板状導体3は、プリント基板101の一面に設置される。給電部22に関し、平板状導体3は、孔部31を備える。給電部22は、平板状導体3に接触することなく孔部31内を通り、プリント基板101の平板状導体3の設置面とは反対側の一面まで軸方向Dzに延びる。給電部22は、プリント基板101の導体パターン101aに接続される。
【0025】
厳密に言えば、間隙4は、筒状導体2の外周に沿って、給電部22により二分されるように形成されている。なお、先に説明した間隙4(切欠き21)の、筒状導体2の外周に沿った長さは、給電部22を含めた間隙4(切欠き21)の、筒状導体2の外周に沿った全長を意味する。
【0026】
給電部22は、プリント基板101の導体パターン101aを介し、給電線102に接続される。本実施形態において、給電線102は、例えば同軸ケーブルで構成される。給電線102である同軸ケーブルは、中心導体と、中心導体を囲む外導体と、を有する。給電部22は、給電線102の中心導体に、導体パターン101aを介して接続される。給電線102の外導体は、平板状導体3の給電点32に接続される。
【0027】
給電部22は、間隙4に対して給電する。これにより、アンテナ装置1は、スロットアンテナとして機能する。なお、間隙4(切欠き21)に対する、給電部22の、筒状導体2の外周に沿った位置は、スロットアンテナとして求める特性が得られるように適宜定められて良い。
【0028】
上記構成によれば、スロットアンテナのスロットである間隙4を構成する筒状導体2の切欠き21は、平板状導体3と対向する筒状導体2の軸方向Dzの一端部に配置される。これにより、筒状導体2に対し、切欠き21を容易に形成することができ、さらに強度低下を抑制することができる。したがって、アンテナ装置1において、生産性の向上及び強度の向上を図ることが可能になる。
【0029】
なお、平板状導体3は、キャパシタとしての働きを果たす。このために、筒状導体2の交差方向Dx-Dyの大きさを小さくすることにより生じるインダクタンス成分を打ち消すことができる。すなわち、筒状導体2の交差方向Dx-Dyの大きさを小さくした場合でも、アンテナ装置1と給電線102とのインピーダンスマッチングを良好とし、利得を向上させることができる。
【0030】
また、平板状導体3は、軸方向Dzの長さがλ/4未満の短い筒状導体2に接合されることにより、筒状導体2の軸方向Dzの長さを実質的に長くした場合と等価であると考えることができる。これにより、アンテナ装置1の、スロットアンテナとしての機能を確保することが可能である。すなわち、平板状導体3を設けることにより、筒状導体2の軸方向Dzの長さを短くしつつ、アンテナ装置1の利得を向上させることが可能である。
【0031】
また、平板状導体3は、プリント基板101に形成された導体パターンである。本実施形態において、プリント基板101は、交差方向Dx-Dyに延びる四角形状である。プリント基板101は、導体パターンである平板状導体3よりも大きい。本実施形態において、平板状導体3の四角形を構成する外縁の四辺のそれぞれは、プリント基板101の四角形を構成する外縁の四辺のうちの1つと平行に延びる。
【0032】
平板状導体3をプリント基板101の導体パターンとしたことにより、例えば制御基板等を用いて、平板状導体3を容易に形成することができる。したがって、平板状導体3として別途他部材を用意する必要が無く、生産性の向上を図ることが可能になる。また、プリント基板101に対する実装密度を高めることができ、アンテナ装置1の小型化を図ることが可能である。
【0033】
<2.第2実施形態>
図4は、第2実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。なお、第2実施形態以下の実施形態の基本的な構成は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0034】
第2実施形態のアンテナ装置1は、平板状導体3A、3Bを備える。
【0035】
平板状導体3Aは、筒状導体2の軸方向Dzの一端部に配置される。平板状導体3Aは、プリント基板101に形成された導体パターンである。
【0036】
平板状導体3Bは、筒状導体2の軸方向Dzの他端部に配置される。すなわち詳細に言えば、アンテナ装置1は、筒状導体2の軸方向Dzの一端部に配置された平板状導体3Aに対し、軸方向Dzの他端部に配置されて交差方向Dx、Dyに延びる他の平板状導体3Bをさらに備える。平板状導体3Bは、例えば筒状導体2と一体として形成される。言い換えれば、平板状導体3Bは、筒状導体2と同一部材であり、例えば銅、鉄等の導電性材料の板金で構成される。
【0037】
本実施形態において、平板状導体3A、3Bはともに、交差方向Dx、Dyに延びる同じ大きさの四角形状である。平板状導体3A、3Bは、筒状導体2を隔てて、軸方向Dzに対称且つ平行をなす。なお、平板状導体3A、3Bの形状及び大きさは、互いに異なっていても良い。
【0038】
平板状導体3A、3Bを筒状導体2の軸方向Dzの両端部に配置したことにより、アンテナ装置1の軸方向Dzの長さを、より一層小さくすることができる。すなわち、アンテナ装置1の小型化を図ることが可能になる。
【0039】
<3.第3実施形態>
図5は、第3実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。図6は、図5のアンテナ装置1の展開図である。
【0040】
第3実施形態のアンテナ装置1は、筒状導体2Aと、平板状導体3C、3Dと、を備える。
【0041】
本実施形態において、筒状導体2Aは、角筒形状であって、交差方向Dx-Dyの断面が四角形状である。角筒形状である筒状導体2Aの4つの角部のうち1つは、周壁2wが接続されておらず、開いた状態になっている。
【0042】
平板状導体3Cは、筒状導体2Aの軸方向Dzの一端部に配置される。平板状導体3Cは、プリント基板101に形成された導体パターンである。
【0043】
平板状導体3Dは、筒状導体2Aの軸方向Dzの他端部に配置される。アンテナ装置1は、筒状導体2Aの4つの周壁2wのそれぞれに接続された4つの平板状導体3Dを備える。4つの平板状導体3D同士の間は、離間している。平板状導体3Dは、筒状導体2Aと一体として形成される。言い換えれば、平板状導体3Dは、筒状導体2Aと同一部材であり、例えば銅、鉄等の導電性材料の板金で構成される。
【0044】
筒状導体2A及び平板状導体3Dを展開すると、図6に示す展開図となる。筒状導体2A及び平板状導体3Dは、展開した平坦な状態において、外形が矩形の一枚の平板状部材である。すなわち、図5に示した筒状導体2A及び平板状導体3Dは、一枚の平板状部材を折り曲げて形成される。
【0045】
図6に示すように、一枚の平板状部材に展開された筒状導体2A及び平板状導体3Dは、3箇所の折り線BL1と、4箇所の折り線BL2と、3箇所の切込み線CL1と、切欠き21Aと、給電部22Aと、を有する。
【0046】
筒状導体2Aの4つの周壁2w同士は、3箇所の折り線BL1を介して接続される。筒状導体2Aは、3箇所の折り線BL1それぞれにおいて、隣り合う周壁2w同士が直角をなすように折り曲げることで形成される。
【0047】
4つの平板状導体3Dのそれぞれは、4箇所の折り線BL2を介して、4つの周壁2wに個別に接続される。また、隣り合う平板状導体3D同士は、切込み線CL1によって分離されている。4つの平板状導体3Dは、4箇所の折り線BL2において、隣り合う周壁2wに対して直角をなすように折り曲げることで形成される。
【0048】
切欠き21Aは、軸方向Dzに対して平板状導体3Dとは反対側の、筒状導体2Aの軸方向Dzの一端部に配置される。切欠き21Aは、4つの周壁2w同士が連続する交差方向Dx-Dyに沿った縁部の一部に形成される。切欠き21Aは、筒状導体2Aにおいて、軸方向Dzに対して平板状導体3Dが配置された他端部側に凹む。
【0049】
給電部22Aは、1つの周壁2wから連続して延びる。給電部22Aは、切欠き21Aの交差方向Dx-Dyに沿った縁部から軸方向Dzの外側に延びる。
【0050】
上記のように、一枚の平板状部材を折り曲げて筒状導体2A及び平板状導体3Dを形成することで、アンテナ装置1を容易に形成することができる。さらに、一枚の平板状部材の縁部の一部を切り取ることで、切欠き21A及び給電部22Aを容易に形成することができる。したがって、アンテナ装置1において、生産性の向上、さらに低コスト化を図ることが可能になる。
【0051】
<4.第4実施形態>
図7は、第4実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。図8は、図7のアンテナ装置1の断面図である。なお、図8は、アンテナ装置1の間隙4の箇所における断面図である。
【0052】
第4実施形態のアンテナ装置1において、筒状導体2は、4つの切欠き21B、21C、21D、21Eを備える。4つの切欠き21B、21C、21D、21Eは、平板状導体3と対向する筒状導体2の軸方向Dzの一端部に配置される。4つの切欠き21B、21C、21D、21Eは、平板状導体3との間に4つの間隙4B、4C、4D、4Eを構成する。すなわち、アンテナ装置1は、複数の間隙4を備える。この構成によれば、例えば、複数の間隙4を一種類の電磁波(電波)に対応する構成にすることで、アンテナ装置1の無指向性を向上させることができる。
【0053】
また、筒状導体2は、交差方向Dx-Dyの断面が四角形である。間隙4B、4C、4D、4Eは、断面四角形を構成する四辺のいずれかを含む平板状の4つの周壁2wに個別に配置される。本実施形態において、間隙4B、4C、4D、4Eは、各周壁2wの角部より内側に配置される。筒状導体2の4つの角部は、平板状導体3と接合される。この構成によれば、交差方向Dx-Dyの断面が多角形である筒状導体2に対し、その周壁2wごとに複数の間隙4を容易に形成することができる。
【0054】
そして、間隙4B、4C、4D、4Eのそれぞれは、筒状導体2の外周に沿った長さが異なる。例えば、本実施形態において、間隙4B、4C、4D、4Eそれぞれの筒状導体2の外周に沿った長さLb、Lc、Ld、Leは、Lb>Lc>Ld>Leの関係を有する。この構成によれば、アンテナ装置1は、異なる帯域の電磁波(電波)を送受信することが可能になる。
【0055】
<5.第5実施形態>
図9は、第5実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。図10は、図9のアンテナ装置1の断面図である。なお、図10は、アンテナ装置1の間隙4の箇所における断面図である。
【0056】
第5実施形態のアンテナ装置1は、平板状導体3Eを備える。平板状導体3Eは、プリント基板101に形成された導体パターンである。平板状導体3Eは、プリント基板101上の、筒状導体2との軸方向Dzにおける対向領域に形成される。
【0057】
より詳細に言えば、間隙4は、交差方向Dx-Dyの断面がU字形状である。平板状導体3Eも同様に、交差方向Dx-Dyの断面がU字形状である。平板状導体3Eは、筒状導体2との軸方向Dzにおける対向領域に配置される。平板状導体3Eは、内周部に凹部31Eを備える。凹部31Eは、平板状導体3Eの内周縁から交差方向Dxの外側に凹む。給電部22は、平板状導体3に接触することなく凹部31E内を通り、プリント基板101の平板状導体3Eの設置面とは反対側の一面まで軸方向Dzに延びる。
【0058】
平板状導体3Eを筒状導体2との軸方向Dzにおける対向領域に形成することで、平板状導体3Eよりも内側の、プリント基板101上の実装領域を有効活用することができる。これにより、プリント基板101に対する実装密度を高めることができ、アンテナ装置1の小型化を図ることが可能である。
【0059】
<6.第6実施形態>
図11は、第6実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。図12は、図11のアンテナ装置1の下方から見た部分概略斜視図である。なお、図12は、図11のアンテナ装置1に対し、平板状導体3F及びプリント基板101の記載を省略した。
【0060】
第6実施形態のアンテナ装置1は、平板状導体3F、3Gを備える。
【0061】
平板状導体3Fは、筒状導体2の軸方向Dzの一端部に配置される。平板状導体3Fは、プリント基板101に形成された導体パターンである。
【0062】
平板状導体3Gは、筒状導体2の軸方向Dzの他端部に配置されて交差方向Dx、Dyに延びる。平板状導体3Gは、外延伸部33Gと、内延伸部34Gと、仕切部(仕切導体)35Gと、を備える。
【0063】
外延伸部33Gは、交差方向Dx-Dyに対し、筒状導体2との接続部から外側に向かって延びる。外延伸部33Gの外縁部は、四角形状である。
【0064】
内延伸部34Gは、交差方向Dx-Dyに対し、筒状導体2との接続部から内側に向かって延びる。内延伸部34Gは、四角形状であり、筒状導体2の軸方向Dzの他端部の開口のうち一部を閉塞する。
【0065】
仕切部35Gは、筒状導体2の内部に配置され、軸方向Dz及び交差方向Dyに延びる。仕切部35Gは、内延伸部34Gの端部であって交差方向Dyに延びる一辺から、軸方向Dzの一端部側(平板状導体3F側)に向かって延びる。仕切部35Gは、本実施形態において、例えば交差方向Dx-Dyに延びる内延伸部34Gの一部を切り起こしによって軸方向Dzに折り曲げ、形成することができる。
【0066】
仕切部35Gは、筒状導体2の、交差方向Dyに対向する2つの周壁2wそれぞれと接触し、筒状導体2と導通する。また、仕切部35Gは、筒状導体2の軸方向Dzの一端部において平板状導体3Fに接触し、平板状導体3Fと導通する。
【0067】
詳細に言えば、仕切部35Gは、筒状導体2の切欠き21の、筒状導体2の外周に沿った方向の両端部21hそれぞれと給電部22との間の領域で切欠き21を軸方向Dzに跨ぎ、平板状導体3Fに接触する。すなわち、仕切部35Gは、筒状導体2自体によって形成される間隙4の、筒状導体2の外周に沿った長さを短くする位置で、平板状導体3Fに接触する。
【0068】
そして、筒状導体2自体の切欠き21の、筒状導体2の外周に沿った長さは、図12に示す長さLfである。一方、第6実施形態のアンテナ装置1としては、仕切部35Gを備えることで、間隙4の、筒状導体2の外周に沿った長さは、図12に示す長さLgである。
【0069】
上記構成によれば、筒状導体2自体に形成された切欠き21に対し、仕切部35Gを適用することで、スロットの、筒状導体2の外周に沿った長さを短くすることができる。すなわち、アンテナ装置1を、より高い帯域の周波数の電磁波に共振させることができる。そして、仕切部35Gの有無及び配置によって、電磁波の帯域を任意に変更することができる。したがって、筒状導体2の部品を共通化でき、アンテナ装置1のコストダウンを図ることが可能である。
【0070】
なお、仕切部35Gは、平板状導体3Gの一部として含まれる構成に限定されるわけではない。仕切部35G及び内延伸部34Gで構成される部材、若しくは仕切部35Gのみで構成される部材を、筒状導体2の内部に配置しても良い。
【0071】
<7.第7実施形態>
図13は、第7実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。図14は、図13のアンテナ装置1の断面図である。なお、図14は、アンテナ装置1の間隙4の箇所における断面図であって、給電線102の描画を省略した。
【0072】
第7実施形態のアンテナ装置1は、1つのプリント基板101に対し、複数の筒状導体2及び平板状導体3を備える。複数の平板状導体3のそれぞれは、1つのプリント基板101に形成された導体パターンであり、互いに離間している。複数の筒状導体2のそれぞれは、個別に複数の平板状導体3に対向し、並べて配置される。言い換えれば、筒状導体2と平板状導体3とからなる対が、平板状導体3の延びる方向に沿って複数並べて配置される。
【0073】
なお、平板状導体3は、必ずしも個々の筒状導体2毎に複数に離間している必要はなく、1つの平板状導体3上に対向して、複数の筒状導体2が並べて配置されていても良い。また、平板状導体3は、プリント基板101に形成された導体パターンでなくても、例えば金属板でも良い。
【0074】
複数の筒状導体2は、それぞれが独立したアンテナ素子として機能し、全体としてアンテナ装置1を形成する。一例として、第7実施形態のアンテナ装置1では、複数の筒状導体2は、それぞれが異なる方向に指向性を持つアンテナ素子として機能する。
【0075】
本実施形態において、アンテナ装置1は、1つのプリント基板101に対し、2対の筒状導体2及び平板状導体3を備える。1つのプリント基板101に2つの筒状導体2を配置した場合に、それぞれの筒状導体2が、互いに反対方向の指向性を持つアンテナ素子として機能する。
【0076】
詳細に言えば、図14に示すように、スロット(間隙4、切欠き21)が、隣り合う筒状導体2の、互いに相手と面していない外周部に配置される。一方の筒状導体2の切欠き21はDx軸の正方向側に配置され、他方の筒状導体2の切欠き21はDx軸の負方向側に配置される。これにより、それぞれの筒状導体2を、互いに反対方向に指向性(図14の場合、Dx-Dy平面におけるDx軸の正方向と負方向)を持つアンテナ素子として機能させることができる。
【0077】
図15は、第7実施形態の変形例1のアンテナ装置1の概略斜視図である。図16は、図15のアンテナ装置1の断面図である。なお、図16は、アンテナ装置1の間隙4の箇所における断面図であって、給電線102の描画を省略した。
【0078】
第7実施形態の変形例1のアンテナ装置1は、1つのプリント基板101に対し、4対の筒状導体2及び平板状導体3を備える。1つのプリント基板101に4つの筒状導体2を配置した場合に、それぞれの筒状導体2が、異なる4方向に指向性を持つアンテナ素子として機能する。
【0079】
詳細に言えば、図16に示すように、スロット(間隙4、切欠き21)が、隣り合う筒状導体2の、他の筒状導体2と面していない外周部に配置される。4つの筒状導体2の切欠き21それぞれは、Dx軸の正方向側且つDy軸の正方向側と、Dx軸の正方向側且つDy軸の負方向側と、Dx軸の負方向側且つDy軸の正方向側と、Dx軸の負方向側且つDy軸の負方向側とに配置される。これにより、4つの筒状導体2それぞれを、異なる4方向に指向性(図16の場合、Dx-Dy平面におけるDx軸とDy軸とで区切られた4つの象限の方向)を持つアンテナ素子として機能させることができる。
【0080】
したがって、第7実施形態のアンテナ装置1は、複数のアンテナ素子が互いの指向性をカバーすることにより、多方向に指向性を持つ、または全方向に指向性を持つ(言い換えれば無指向性の)アンテナ装置1として機能することができ、1つのアンテナ装置1で複数の方向に電波を送受信することが可能である。また、複数のアンテナ素子の出力を切り換える、または出力を合成することで、アンテナ装置1は、空間ダイバーシティアンテナとしても機能することができる。
【0081】
別の例として、第7実施形態のアンテナ装置1では、複数の筒状導体2は、それぞれが異なる周波数帯域を持つアンテナ素子として機能する。詳細には、複数の筒状導体2のそれぞれに、筒状導体2の外周に沿った長さが異なるスロット(切欠き21、間隙4)を設ける。これにより、複数の筒状導体2それぞれを、スロットの長さに応じた周波数帯域を持つアンテナ素子として機能させることができる。これにより、第7実施形態のアンテナ装置1は、複数の周波数帯域の電波を送受信できるマルチバンドアンテナとして機能することが可能である。
【0082】
なお、すでに述べたように、筒形導体2の断面形状は四角形に限定されるわけではなく、他の形状であっても良い。図17及び図18は、第7実施形態の変形例2及び3のアンテナ装置1の筒状導体2を示す概略平面図である。
【0083】
例えば、筒状導体2の断面形状は、図17に示したような三角形でも良いし、図18に示したような六角形でも良い。また、筒状導体2の断面形状は、円形や、他の形状であっても良く、平面上に並べて配置し易い形状を適宜選択すれば良い。また、筒状導体2は、同一の断面形状のものを並べるだけでなく、異なる断面形状のものを組み合わせて並べても良い。
【0084】
<8.第8実施形態>
図19は、第8実施形態のアンテナ装置1の概略斜視図である。第8実施形態のアンテナ装置1は、1つのプリント基板101に対し、第1の導体である筒状導体2Hと、筒状とは異なる他の形状である第2の導体と、が複合されて構成される。筒状導体2Hと、他の形状の導体とは、それぞれが独立したアンテナ素子として機能し、全体としてアンテナ装置1を形成する。一例として、第8実施形態のアンテナ装置1は、1つのプリント基板101上に、筒状導体(第1の導体)2Hと、多角形の平板状導体(第2の導体)5Aと、が配置される。
【0085】
平板状導体5Aは、プリント基板101の、平板状導体3と対向配置された筒状導体2Hと同一平面上に、筒状導体2Hとは離間して配置されている。平板状導体5Aは、例えば図19において軸方向Dzから見て五角形(ホームベース型)であり、軸方向Dzに厚みを有して交差方向Dx-Dyに延びる。平板状導体5Aは、プリント基板101に対し、互いの平面部が軸方向Dzに対向するように、軸方向Dzに離間して配置される。
【0086】
平板状導体5Aは、給電部52Aを備える。給電部52Aは、平板状導体5Aの一部によって形成される。給電部52Aは、平板状導体5Aの、多角形の1つの頂点から連続して軸方向Dzの負方向に、プリント基板101に向かって延びる。平板状導体5Aは、給電部52Aを介して給電され、モノポールアンテナとして機能する。
【0087】
図20は、第8実施形態の変形例のアンテナ装置1の概略斜視図である。第8実施形態の変形例のアンテナ装置1は、1つのプリント基板101上に、筒状導体2Hと、平板状導体(第1の導体パターン)3Hと、平板状導体(第2の導体パターン)5Bと、が配置される。平板状導体3Hは、プリント基板101に形成され、筒状導体2Hと対向配置された第1の導体パターンである。また、プリント基板101は、第1の導体パターンとは異なる、筒状導体2Hと対向しない第2の導体パターンである平板状導体5Bを備える。
【0088】
平板状導体5Bは、プリント基板101に形成された導体パターンである。平板状導体5Bは、プリント基板101の、筒状導体2Hと対向配置された平板状導体3Hと同一平面上に、平板状導体3Hとは離間して配置されている。平板状導体5Bは、筒状導体2Hと対向していない。平板状導体5Bは、給電部52Bを備える。給電部52Bは、平板状導体5Bの、多角形の1つの頂点に形成される。平板状導体5Bは、給電部52Bを介して給電され、モノポールアンテナとして機能する。
【0089】
なお、筒状導体2Hと複合して配置される他の導体は平板状に限定されるわけではなく、棒状、ループ状、またはメアンダ状であっても良い。また、筒状導体2Hと複合して配置される他の導体は、プリント基板101上に棒状、ループ状、またはメアンダ状に形成された導体パターンであっても良い。また、これらの導体は、モノポールアンテナとしてだけではなく、ダイポールアンテナやループアンテナとして機能するものでも良い。
【0090】
これにより、第8実施形態のアンテナ装置1は、異なるタイプのアンテナ素子を複合して1つのアンテナ装置とすることができ、様々なメディア(例えば、ラジオ放送、テレビ放送、携帯電話、GPS)の電波を1つのアンテナ装置1で送受信可能になる。また、アンテナ装置1は、異なるタイプのアンテナ素子により、偏波方向の異なる電波を受信することができる。このため、これらのアンテナ素子の出力を切り換える、または出力を合成することで、アンテナ装置1は、偏波ダイバーシティアンテナとしても機能することができる。そして、アンテナ装置1は、小型化を図ることができ、特に搭載スペースが限られる車両の車体への搭載に有利である。
【0091】
<9.第9実施形態>
図21は、第9実施形態のアンテナ装置1の車両Vへの搭載例を示す説明図である。図22及び図23は、図21のアンテナ装置1の斜視図及び側方から見た断面図である。第9実施形態のアンテナ装置1は、車両Vに搭載される。
【0092】
アンテナ装置1は、車両Vのルーフ(屋根)Vrに配置される。車両Vは、ルーフVrを構成する外板(典型的には鋼板)Vsに、下方に窪んで上部が開口する窪み部Vdが形成される。また、車両Vは、窪み部Vdの全体を覆うカバー(典型的には絶縁体、例えば繊維強化プラスチック(FRP)等)Vcを備える。詳細には、カバーVcは、窪み部Vdの開口縁部(上縁部)に配置される。アンテナ装置1は、窪み部Vdの内部に配置されるとともに、カバーVcによって覆われている。
【0093】
上記の構成によれば、アンテナ装置1は、生産性の向上及び強度の向上が図られ、さらに小型化が図られており、容易に車両Vへ搭載することが可能である。
【0094】
なお、図23では、外板VsとカバーVcの継ぎ目に段差があるように描画しているが、実際には段差がなく滑らかにつながっていても良い。また、カバーVcは外板Vsの表面から盛り上がっているように描画しているが、外板Vsの表面と高低差なくつながっていても良い。要するに、外板VsとカバーVcとは、外見上、継ぎ目が分からない滑らかな1つの面を構成していても良い。
【0095】
また、窪み部Vdに関して、底面dbと、側面dsとの間の角度θは、直角(90度)ではなく、直角よりも大きい角度(例えば100度~135度)を成していても良い。すなわち、窪み部Vd内の側面dsは、窪み部Vd内の底面dbに対して90度以上の角度を有する。これにより、図23に矢線Drで示したように、アンテナ装置1から放射された電波が、窪み部Vdの側面dsに反射して窪み部Vdの外に出易くなる。逆に言えば、窪み部Vdの外から仰角をもって到来した電波が、アンテナ装置1に受信され易くなる。
【0096】
<10.留意事項等>
本明細書中で実施形態として開示された種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれる。また、本明細書中で示した複数の実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせて実施して良い。
【符号の説明】
【0097】
1 アンテナ装置
2、2A 筒状導体
2H 筒状導体(第1の導体)
2w 周壁
3、3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G 平板状導体
3H 平板状導体(第1の導体パターン)
4、4B、4C、4D、4E 間隙
5A 平板状導体(第2の導体)
5B 平板状導体(第2の導体パターン)
21、21A、21B、21C、21D、21E 切欠き
22、22A 給電部
35G 仕切部(仕切導体)
101 プリント基板
102 給電線
Dx、Dy 交差方向
Dz 軸方向
V 車両
Vc カバー
Vd 窪み部
Vr ルーフ
Vs 外板
db 底面
ds 側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23