(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011957
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】自動駐車支援システム、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230118BHJP
G01S 5/12 20060101ALI20230118BHJP
G01S 5/04 20060101ALI20230118BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20230118BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20230118BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G01S5/12
G01S5/04
G01S5/14
B60W30/06
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019227709
(22)【出願日】2019-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】若菜 慶悟
(72)【発明者】
【氏名】高井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野口 順平
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5J062
【Fターム(参考)】
3D241BA22
3D241BA60
3D241BB03
3D241CE02
3D241DB01
3D241DB20
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL17
5J062AA08
5J062BB05
5J062CC14
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】
車両の所定範囲内で遠隔的に車両を移動操作可能な自動駐車支援システム、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法を提供する。
【解決手段】
自動駐車支援システムは、車両の外から無線通信によって車両を移動操作可能な操作部と、前記車両の行動計画を取得する行動計画取得部と、前記車両に対する前記操作部の位置を測定する位置測定部と、前記行動計画取得部によって取得される行動計画と、前記位置測定部によって測定される位置とに基づいて前記車両の所定範囲内への前記操作部の操作者の移動を促す指令を生成する指令生成部とを含み、前記操作部を介して前記指令を前記操作部の操作者に報知する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外から無線通信によって車両を移動操作可能な操作部と、
前記車両の行動計画を取得する行動計画取得部と、
前記車両に対する前記操作部の位置を測定する位置測定部と、
前記行動計画取得部によって取得される行動計画と、前記位置測定部によって測定される位置とに基づいて前記車両の所定範囲内への前記操作部の操作者の移動を促す指令を生成する指令生成部と
を含み、
前記操作部を介して前記指令を前記操作部の操作者に報知する、自動駐車支援システム。
【請求項2】
前記車両に設けられ、前記指令生成部によって生成される指令を前記操作部に送信する通信部をさらに含み、
前記行動計画取得部、前記位置測定部、及び前記指令生成部は、前記車両に設けられる、請求項1記載の自動駐車支援システム。
【請求項3】
前記行動計画取得部、前記位置測定部、及び前記指令生成部は、前記操作部に設けられる、請求項1記載の自動駐車支援システム。
【請求項4】
前記車両に設けられ、前記操作部が出力する信号を受信する複数の受信部をさらに含み、
前記位置測定部は、2個の前記受信部によって信号強度が所定値以上の前記信号が受信されるときは、当該2個の受信部の一方に含まれる複数のアンテナで受信される前記信号の位相差から求まる角度と、当該2個の受信部の他方に含まれる複数のアンテナで受信される前記信号の位相差から求まる角度と、当該2個の受信部の位置関係とに基づいて、前記操作部の位置を求める、請求項1乃至3のいずれか一項記載の自動駐車支援システム。
【請求項5】
前記指令生成部は、前記2個の受信部の一方に含まれる複数のアンテナで受信される前記信号の位相差から求まる角度、前記2個の受信部の他方に含まれる複数のアンテナで受信される前記信号の位相差から求まる角度、及び、前記2個の受信部の位置関係から求まる位置と、前記行動計画とに基づいて前記車両と前記操作部とが所定距離以上離れると判定すると、前記車両の周囲の領域のうち2個の受信部から前記信号を受信可能な領域の中で前記操作部の操作者に前記車両との相対的な位置関係を保つように移動を促す指令を生成する、請求項4記載の自動駐車支援システム。
【請求項6】
前記車両に設けられ、前記操作部が出力する信号を受信する複数の受信部をさらに含み、
前記位置測定部は、1個の前記受信部によって信号強度が所定値以上の前記信号が受信されるときは、当該1個の受信部に含まれる複数のアンテナで受信される前記信号の位相差から求まる角度と、当該1個の受信部によって受信される信号の受信強度とに基づいて前記車両の位置を求める、請求項1乃至3のいずれか一項記載の自動駐車支援システム。
【請求項7】
前記指令生成部は、前記1個の受信部に含まれる複数のアンテナで受信される前記信号の位相差から求まる角度、及び、前記1個の受信部によって受信される信号の受信強度に基づいて求まる位置と、前記行動計画とに基づいて前記操作部が前記車両の周囲の領域のうち2個の受信部から前記信号を受信可能な領域に入らないと判定すると、前記操作部の操作者に前記車両の周囲の領域のうち2個の受信部から前記信号を受信可能な領域に入るように移動を促す指令を生成する、請求項6記載の自動駐車支援システム。
【請求項8】
前記車両に設けられ、前記操作部が出力する信号を受信する複数の受信部をさらに含み、
前記指令生成部は、前記受信部によって信号強度が所定値以上の前記信号が受信されない場合は、前記操作部の操作者に前記車両の周囲の領域のうち2個の受信部から前記信号を受信可能な領域に入るように移動を促す指令を生成する、請求項1乃至3のいずれか一項記載の自動駐車支援システム。
【請求項9】
前記車両に設けられ、前記操作部と信号の通信を行う複数の通信部をさらに含み、
前記位置測定部は、2個の前記通信部によって信号強度が所定値以上の前記信号が受信されるときは、当該2個の通信部と前記操作部との間における前記信号の往復時間から求まる2つの距離に基づいて前記車両に対する前記操作部の位置を求める、請求項1乃至3のいずれか一項記載の自動駐車支援システム。
【請求項10】
前記位置測定部は、1個の前記通信部によって前記信号強度が所定値以上の前記信号が受信されるときは、当該1個の通信部と前記操作部との間における前記信号の往復時間から求まる当該1個の通信部から前記操作部までの距離と、当該1個の通信部の複数のアンテナで受信される前記信号の位相差から求まる角度とに基づいて、前記車両の位置を求める、請求項9記載の自動駐車支援システム。
【請求項11】
車両の行動計画を取得することと、
前記車両の外から無線通信によって車両を移動操作可能な操作部の前記車両に対する位置を測定することと、
前記取得される行動計画と、前記測定される位置とに基づいて前記車両の所定範囲内への前記操作部の操作者の移動を促す指令を生成することと
前記指令を前記操作部に送信することと
を含む処理をコンピュータに実行させる、自動駐車支援プログラム。
【請求項12】
車両の行動計画を取得することと、
前記車両の外から無線通信によって車両を移動操作可能な操作部の前記車両に対する位置を測定することと、
前記取得される行動計画と、前記測定される位置とに基づいて前記車両の所定範囲内への前記操作部の操作者の移動を促す指令を生成することと
前記指令を前記操作部に送信することと
を含む処理をコンピュータが実行する、自動駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動駐車支援システム、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に設けられた駐車支援用の第1センサを用いて、前記車両の駐車支援を行う駐車支援制御部と、前記第1センサによる有効検出範囲に基づく誘導表示を、前記車両に対する前方風景に重畳された状態にて表示装置に表示させる誘導表示制御部と、を備える駐車支援装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の駐車支援装置は、遠隔的に車両を移動操作するものではない。スマートフォンのような操作端末で車両を遠隔的に操作して車両が自立的に駐車位置に駐車する自動駐車システムでは、操作端末と車両とが無線通信可能な距離が限られる場合がある。
【0005】
そこで、車両の所定範囲内で遠隔的に車両を移動操作可能な自動駐車支援システム、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態の自動駐車支援システムは、車両の外から無線通信によって車両を移動操作可能な操作部と、前記車両の行動計画を取得する行動計画取得部と、前記車両に対する前記操作部の位置を測定する位置測定部と、前記行動計画取得部によって取得される行動計画と、前記位置測定部によって測定される位置とに基づいて前記車両の所定範囲内への前記操作部の操作者の移動を促す指令を生成する指令生成部とを含み、前記操作部を介して前記指令を前記操作部の操作者に報知する。
【発明の効果】
【0007】
車両の所定範囲内で遠隔的に車両を移動操作可能な自動駐車支援システム、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態の自動駐車支援システム300を示す図である。
【
図2】車両10の周囲の通信領域13Aを示す図である。
【
図3】自動駐車支援システム300においてECU100とスマートフォン200が実行する処理を示すシーケンス図である。
【
図4】自動駐車支援システム300においてECU100とスマートフォン200が実行する処理の変形例を示すシーケンス図である。
【
図5】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【
図6】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【
図7】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【
図8】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【
図9】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【
図10】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【
図11】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【
図12】指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の自動駐車支援システム、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の自動駐車支援システム300を示す図である。自動駐車支援システム300は、車両10に搭載されるECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)100と、スマートフォン200とを含む。スマートフォン200は、車両10の外から無線通信によって車両10を移動操作可能な操作部の一例である。
【0011】
自動駐車支援システム300は、スマートフォン200が車両10に搭載されたECU100に対して無線通信で遠隔的に指令を送信することによって車両10が自立的に駐車位置に駐車する自動駐車システムにおける駐車処理を支援する装置である。このような自動駐車システムに必要な機能は、一例としてECU100及びスマートフォン200に搭載されるが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0012】
車両10は、自動駐車支援システム300に関連する構成要素として、ECU100、加速度センサ11A、ヨーレートセンサ11B、ステアリング操舵角センサ11C、速度センサ12、通信部13、及び自動駐車ECU20を含む。自動駐車ECU20は、スマートフォン200から送信される指令に基づき、図示しないカメラや超音波センサ等で検出される空き駐車スペースに車両10を自動駐車する。
【0013】
加速度センサ11Aは、車両10の前後方向及び横方向における加速度を検出できる加速度センサであればよい。加速度センサ11Aは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による容量型の加速度センサを用いることができる。
【0014】
ヨーレートセンサ11Bは、車両10の車両の垂直軸の周りの角速度(ヨーレート)を測定する装置であり、例えばジャイロスコープ装置である。
【0015】
ステアリング操舵角センサ11Cは、車両10の操舵角を検出するセンサであり、例えばエンコーダを用いることができる。
【0016】
速度センサ12は、車両10の前進時又は後進時の車速を検出するセンサである。通信部13は、スマートフォン200との間で指令等のデータを送信又は受信するための通信部であり、一例としてBluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信器である。通信部13は、車両10に複数設けられている。各通信部13は複数のアンテナを有する。なお、通信部13は、Bluetoothに限らず、WLAN(Wireless Local Area Network)やその他の規格の通信器等であってもよい。また進行方向の前進および後退を検出するために、ギアのシフト制御が行われたことを検知するギアシフト制御検知センサ14と、R(Reverse)ポジションになったことを検知するRポジション検知センサ15とを備えていてもよい。
【0017】
ECU100は、自動駐車支援システム300に用いられるECUである。車両10にはECU100以外にも種々のECUが搭載されており、ECU100と車載ネットワークを介して通信可能に接続されている。加速度センサ11A、ヨーレートセンサ11B、ステアリング操舵角センサ11C、速度センサ12、及び通信部13は、ECU100以外のECUに接続されていて、ECU100以外のECU及び車載ネットワークを介してECU100と通信可能に接続されていてもよいし、車載ネットワークを介して直接的にECU100に接続されていてもよい。
【0018】
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。ECU100は、主制御部110、行動計画取得部120、位置測定部130、指令生成部140、及びメモリ150を有する。主制御部110、行動計画取得部120、位置測定部130、指令生成部140は、ECU100が実行する自動駐車支援プログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ150は、ECU100のメモリを機能的に表したものである。
【0019】
主制御部110は、ECU100の制御処理を統括する処理部であり、行動計画取得部120、位置測定部130、及び指令生成部140が実行する処理以外の処理を実行する。
【0020】
行動計画取得部120は、自動駐車ECU20から自動駐車における車両10の一連の行動による車両10の軌道を取得する。車両10の軌道は車両10の行動計画を表し、行動計画は、車両が前後左右のどのような速度や舵角でどれだけ移動するかを表す。
【0021】
位置測定部130は、一例としてAOA(Angle Of Arrival)形式でスマートフォン200の測位を行い、車両10の周囲でスマートフォン200が存在する位置を求める。AOA形式の場合は、位置測定部130は、1個の通信部13の複数のアンテナで受信されるビーコン信号の位相差から、1個の通信部13に対してスマートフォン200が位置する方向を表す角度を求め、1個の通信部13に対する角度と、RSSI値とに基づいて車両10の大凡の位置を求める。RSSI値によって通信部13からスマートフォン200までの大凡の距離が分かるからである。
【0022】
また、位置測定部130は、2つの通信部13の各々によって検出されるビーコン信号の位相差から、2つの通信部13に対してスマートフォン200が位置する方向を表す2つの角度を求め、2つの角度と、2つの通信部13の位置関係(2つの通信部13の間の距離)とを用いて、スマートフォン200の位置を求める。
【0023】
指令生成部140は、行動計画取得部120によって算出される車両10の軌道と、位置測定部130によって測定されるスマートフォン200が存在する位置とに基づいて車両10の所定範囲内への操作者の移動を促す指令を表す指令データを生成する。所定範囲は、一例として各通信部13から4m以内の範囲である。また、指令データは、例えば「車両の側方に近づいて下さい」又は「車両の後方に近づいて下さい」等のメッセージを表す指令の一例である。
【0024】
メモリ150は、主制御部110、行動計画取得部120、位置測定部130、指令生成部140が上述のような処理を実行するために必要な自動駐車支援プログラムやデータ等を格納する。
【0025】
スマートフォン200は、自動駐車支援システム300に関連する構成要素として、制御装置210、ディスプレイ220、スピーカ230、通信部240、及びバイブレータ250を含む。
【0026】
制御装置210は、主制御部211、指令報知部212、及びメモリ213を有する。
【0027】
主制御部211は、制御装置210の制御処理を統括する処理部であり、指令報知部212が実行する処理以外の処理を実行する。
【0028】
指令報知部212は、通信部240を介して車両10から指令データを受け取ると、ディスプレイ220に指令データが表すメッセージを表示させるとともに、メッセージを表示したことをスマートフォン200の操作者に通知する通知音をスピーカ230から出力(報知)させる。なお報知については、スピーカ230による音声に替えてバイブレータ250による振動であってもよい。
【0029】
メモリ213は、指令報知部212が上述のような処理を実行するために必要なプログラムやデータ等を格納する。また、通信部240を介して車両10から受信した指令データを一時的に格納する。
【0030】
ディスプレイ220は、例えば、液晶ディスプレイパネルであり、タッチパネルと一体化されている。ディスプレイ220は、スマートフォン200の操作を受け付けるとともに、操作内容に応じた画像等を表示する。また、ディスプレイ220は、自動駐車システムにおいて操作者が操作指令を入力する入力部としての役割も担う。
【0031】
スピーカ230は、スマートフォン200の操作内容に応じた音声等を出力する。また、スピーカ230は、ディスプレイ220に指令データが表すメッセージが表示されたことを操作者に通知する通知音を出力する。
【0032】
通信部240は、車両10のECU100との間で指令等のデータを送信又は受信するための通信部であり、一例としてBluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信器である。なお、通信部240は、Bluetoothに限らず、WLANやその他の規格の通信器等であってもよい。
【0033】
バイブレータ250は、スマートフォン200の筐体に振動を発生させる振動素子である。バイブレータ250は、例えば、着信、メールの受信、上述のメッセージの表示等を振動で利用者に報知する場合に駆動される。
【0034】
図2は、車両10の周囲の通信領域13Aを示す図である。通信領域13Aは、車両10の通信部13がスマートフォン200が出力するビーコン信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)値が所定値以上になる領域であり、車両10がスマートフォン200を検出可能な範囲である。このような通信領域13Aの範囲は、例えば法律等によって定められており、ここでは一例として各通信部13から6mの範囲内である。なお、
図2には、説明の便宜上、車両10の前方と右側方の通信領域13Aを示す。
【0035】
車両10のボディの四隅には、複数の通信部13が設けられている。
図2では、一例として8つの通信部13を示す。車両10の前方の左右端部には通信部13が1つずつ設けられ、車両10の後方の左右端部には通信部13が1つずつ設けられ、車両10の左側方の前後端部には通信部13が1つずつ設けられ、車両10の右側方の前後端部には通信部13が1つずつ設けられている。
【0036】
通信部13とスマートフォン200の通信部240の通信出力は予め決められており、各通信領域13Aは、通信部13から所定の放射角度で広がっているため、通信領域13A同士が重複する領域が存在する。
図2では、通信領域13Aが重なる数を0個から3個まで示し、数が多いほど濃いグレーで示す。通信領域13Aが重なる数が0個の領域は、いずれの通信領域13Aにも含まれない領域である。
【0037】
また、
図2には、車両10の平面視における中心を原点OとしたXY座標系を示す。スマートフォン200の位置は、このようなXY座標系の値として求められる。
【0038】
図3は、自動駐車支援システム300においてECU100とスマートフォン200が実行する処理を示すシーケンス図である。
図3に示す処理は、自動駐車システムによって車両10が自立的に駐車位置に駐車する駐車処理が行われているときに、自動駐車支援システム300としてのECU100及びスマートフォン200が実行する処理である。このときにECU100は自動駐車支援プログラムを実行する。ECU100が自動駐車支援プログラムを実行することにより、ECU100によって実行される自動駐車支援方法が実現される。
【0039】
まず、ECU100側において、行動計画取得部120は、自動駐車ECU20から車両10の軌道を取得する(ステップS1)。
【0040】
次に、スマートフォン200はビーコン信号を出力する(ステップS21)。
【0041】
また、ECU100側において、位置測定部130は、各通信部13にスマートフォン200のAOA形式での測定用のビーコン信号を受信させる(ステップS2)。
【0042】
位置測定部130は、ビーコン信号の受信結果から、RSSI値がAOA形式で角度や位置を測定可能な所定値以上の通信部13を選択する(ステップS3)。ステップS3における所定値は、AOA形式で角度や位置を計算可能な所定レベルのRSSI値である。
【0043】
なお、ステップS3では、AOA形式で角度や位置を測定可能な通信部13が存在しない場合には、通信部13の選択は行われない。換言すれば、ステップS3では、AOA形式で角度や位置を測定可能な通信部13が存在しない場合には、0(ゼロ)個の通信部13が選択される。
【0044】
位置測定部130は、AOA形式で角度や位置を測定可能な通信部13が幾つあるかを判定する(ステップS4)。
【0045】
位置測定部130は、AOA形式で角度や位置を測定可能な通信部13が2個以上あると判定すると、2個の通信部13の受信結果に基づいてAOA形式でスマートフォン200の位置を求める(ステップS5A)。
【0046】
より具体的には、位置測定部130は、2つの通信部13の各々によって検出されるビーコン信号の位相差から2つの通信部13に対してスマートフォン200が位置する方向を表す2つの角度を求め、2つの角度と、2つの通信部13の間の距離とを用いて、スマートフォン200の位置を求める。スマートフォン200の位置は、
図2に示すXY座標系の値として求められればよい。
【0047】
指令生成部140は、ステップS5Aで求めたスマートフォン200の位置が車両10から4m以上離れているかどうかを判定する(ステップS6A)。
【0048】
指令生成部140は、4m以上離れている(S6A:YES)と判定すると、行動計画取得部120によって取得される車両10の軌道に基づき、車両10がスマートフォン200から離れて行くかどうかを判定する(ステップS7A)。車両10がスマートフォン200から離れて行くかどうかは、ステップS5Aで求めたスマートフォン200の位置と、行動計画が表す車両10の軌道とに基づいて判定すればよい。
【0049】
指令生成部140は、車両10がスマートフォン200から離れて行く(S7A:YES)と判定すると、車両10がスマートフォン200から離れて行く場合の車両10とスマートフォン200との位置関係に応じたメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成し、通信部13を介してスマートフォン200に送信する(ステップS8A)。
【0050】
また、指令生成部140は、車両10がスマートフォン200から離れて行かない(S7A:NO)と判定すると、車両10に近づくように操作者を誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成し、通信部13を介してスマートフォン200に送信する(ステップS8B)。
【0051】
ステップS8A及びS8Bで生成する指令データによってスマートフォン200に表示されるメッセージにおいては、車両10に対してスマートフォン200が存在しうる方向を前方、後方、及び側方の3つに分け、車両10の移動方向以外の方向とは、車両10が前進している場合には後方又は側方をいい、車両10が後進している場合には前方又は側方をいう。前進及び後進は、舵角が付いた状態で車両10が前進及び後進する場合を含む。
【0052】
例えば、車両10が前進していてスマートフォン200が車両10の後方にある場合は、車両10の後方又は側方に近づくように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成すればよい。また、車両10が前進していてスマートフォン200が車両10の前方にある場合は、車両10の側方に移動するように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成すればよい。また、スマートフォン200が車両10の側方にあって車両10が前進又は後進している場合は、車両10の側方に近づくように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成すればよい。なお、具体的なメッセージについては、
図5乃至
図12を用いて後述する。
【0053】
この結果、スマートフォン200において、指令報知部212は、受信した指令データに基づき、ディスプレイ220にメッセージを表示するとともにスピーカ230から通知音を出力する(ステップS22)。
【0054】
ステップS8A及びS8Bの処理が終了すると、主制御部110は、行動計画取得部120によって取得される車両10の行動計画に基づき、駐車が完了したかどうかを判定する(ステップS9)。車両10の駐車が完了した場合には、一例として自動駐車ECU20は駐車が完了したことを表すフラグを行動計画を表すデータの中に設定するため、主制御部110は、行動計画取得部120によって取得される行動計画の中に駐車が完了したことを表すフラグが設定されているかどうかを判別することによって、駐車が完了したかどうかを判定すればよい。
【0055】
主制御部110は、駐車が完了した(S9:YES)と判定すると、一連の処理を終了する(エンド)。
【0056】
また、主制御部110は、駐車が完了していない(S9:NO)と判定すると、フローをステップS1にリターンする。駐車が完了していないため、ステップS1の処理からやり直すためである。
【0057】
また、スマートフォン200は、ステップS22の処理を終えると、一連の処理を終了する(エンド)。スタートからエンドまでの処理は、ECU100及びスマートフォン200の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0058】
なお、操作者を誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データは、メッセージの種類を表すデータであってもよく、メッセージを表すデータであってもよい。前者の場合は、メッセージの種類を表すデータと、メッセージ及び通知音を表すデータとを関連付けたデータをスマートフォン200のメモリ213に格納しておき、スマートフォン200がメッセージの種類を表すデータに応じたメッセージを表すデータをディスプレイ220及びスピーカ230から出力すればよい。また、スピーカ230から通知音を出力せずに、ディスプレイ220にメッセージを表示させるだけでもよい。
【0059】
また、ステップS4において、位置測定部130は、AOA形式で測定可能な通信部13が1個であると判定すると、1個の通信部13がビーコン信号を受信する角度と、ビーコン信号のRSSI値とを用いて、スマートフォン200の位置を求める(ステップS5B)。位置測定部130は、1個の通信部13の複数のアンテナで受信されるビーコン信号の位相差から、1個の通信部13に対してスマートフォン200が位置する方向を表す角度を求め、1個の通信部13に対する角度と、RSSI値とに基づいて車両10の大凡の位置を求める。RSSI値によって通信部13からスマートフォン200までの大凡の距離が分かるからである。ステップS5Bで求まる位置は、ステップS5AでAOA形式で求まる位置に比べると精度が低いが、大凡どの辺りスマートフォン200があるかを求めることができる。
【0060】
指令生成部140は、車両10がスマートフォン200から離れて行くかどうかを判定する(ステップS6B)。ステップS6Bの処理は、ステップS7Aと同様である。
【0061】
指令生成部140は、車両10がスマートフォン200から離れて行く(S6B:YES)と判定すると、ステップS5Bで求めたスマートフォン200の位置と、行動計画が表す車両10の軌道とに基づいて、車両10の移動によってAOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るかどうかを判定する(ステップS7B)。
【0062】
指令生成部140によって通信部13が2個の通信領域13Aに入る(S7B:YES)と判定されると、主制御部110はフローをステップS9に進行させる。車両10の移動によってAOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るため、スマートフォン200の操作者を移動させる必要はないため、指令データを生成せずにフローをステップS9に進行させることとしたものである。
【0063】
指令生成部140は、通信部13が2個の通信領域13Aに入らない(S7B:NO)と判定すると、ステップS5Bで求めたスマートフォン200の位置と、行動計画が表す車両10の軌道とに基づいて、AOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るように操作者を誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成し、通信部13を介してスマートフォン200に送信する(ステップS8C)。
【0064】
また、指令生成部140は、ステップS6Bにおいて、車両10がスマートフォン200から離れて行かない(S6B:NO)と判定すると、ステップS5Bで求めたスマートフォン200の位置と、行動計画が表す車両10の軌道とに基づいて、車両10の移動によってAOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るかどうかを判定する(ステップS7C)。
【0065】
指令生成部140によって通信部13が2個の通信領域13Aに入る(S7C:YES)と判定されると、主制御部110はフローをステップS9に進行させる。車両10の移動によってAOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るため、スマートフォン200の操作者を移動させる必要はないため、指令データを生成せずにフローをステップS9に進行させることとしたものである。
【0066】
指令生成部140は、通信部13が2個の通信領域13Aに入らない(S7C:NO)と判定すると、ステップS5Bで求めたスマートフォン200の位置と、行動計画が表す車両10の軌道とに基づいて、AOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るように操作者を誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成し、通信部13を介してスマートフォン200に送信する(ステップS8D)。
【0067】
また、ステップS4において、位置測定部130によってAOA形式で角度や位置を測定可能な通信部13が0個であると判定されると、主制御部110は、RSSI値が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS5C)。ステップS5Cにおける所定の閾値は、
図2に示す車両10のすぐ近くでAOA形式で測定可能な通信部13が0個の通信領域13Aと、車両10から遠くでAOA形式で測定可能な通信部13が0個の通信領域13Aとを区別するRSSI値である。
【0068】
主制御部110によってRSSI値が所定の閾値以上である(S5C:YES)と判定されると、指令生成部140は、AOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るように操作者を誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成し、通信部13を介してスマートフォン200に送信する(ステップS8E)。
【0069】
また、主制御部110によってRSSI値が所定の閾値以上である(S5C:YES)と判定されると、指令生成部140は、AOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るように操作者を誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成し、通信部13を介してスマートフォン200に送信する(ステップS8F)。ステップS8EとS8Fでは、操作者を誘導する方向が異なるため、ステップを分けている。
【0070】
ステップS8A、S8B、S8C、S8D、S8E、S8Fの結果、破線で示すように指令データがECU100からスマートフォン200に送信される。
【0071】
以上のように、車両10の通信部13がスマートフォン200が出力するビーコン信号のRSSI値が所定値以上になる領域内にスマートフォン200が位置し、車両10とスマートフォン200との距離が所定値(一例として4m)以上である場合に、車両10の位置及び移動方向と、スマートフォン200の位置との関係に基づいて指令データを生成しスマートフォン200に送信する。
【0072】
この結果、スマートフォン200には、受信した指令データに基づいて、ディスプレイ220に操作者を誘導するメッセージが表示されるとともにスピーカ230から通知音を出力される。
【0073】
このため、スマートフォン200の操作者を車両10から所定距離(一例として4m)以内に誘導することができる。
【0074】
したがって、車両10の所定範囲内で遠隔的に車両10を移動操作可能な自動駐車支援システム300を提供することができる。
【0075】
また、AOA形式で測定可能な通信部13が1個又は0個の場合には、AOA形式で測定可能な通信部13が2個以上の通信領域13Aに操作者を誘導するように指令データを生成するので、AOA形式で測定可能な通信部13が2個以上の領域に操作者を誘導することができる。
【0076】
なお、以上では、車両10のECU100が行動計画取得部120、位置測定部130、指令生成部140を含み、車両10の移動方向、スマートフォン200の位置、指令データの生成を行う形態について説明した。しかしながら、車両10のECU100からスマートフォン200に、加速度センサ11A、ヨーレートセンサ11B、ステアリング操舵角センサ11Cによって検出される車両10の前後方向及び横方向における加速度、ヨーレート、操舵角、及び、速度センサ12によって検出される車両10の前進時又は後進時の車速を表すデータを送信し、スマートフォン200側に行動計画取得部120、位置測定部130、指令生成部140の機能を持たせることで、車両10の移動方向、スマートフォン200の位置、指令データの生成を行ってもよい。
【0077】
以上では、車両10を遠隔操作する操作部としてスマートフォン200を用いる形態について説明したが、スマートフォン200に限られるものではない。このような操作部は、無線通信が可能な電子機器であればよく、例えば、専用の端末機を用いてもよい。
【0078】
また、以上では、
図3を用いてAOA形式を利用してスマートフォン200の位置を求めた上で指令データを生成する形態について説明した。しかしながら、AOAではなく、TOA(Time Of Arrival)形式でスマートフォン200の位置を求めて指令データを生成してもよい。なお、TOAは、TOF(Time Of Flight)とも称されるものである。
【0079】
図4は、自動駐車支援システム300においてECU100とスマートフォン200が実行する処理の変形例を示すシーケンス図である。
図3に示す処理ではAOA形式でスマートフォン200の座標を求めたが、
図4ではTOA形式で位置を求める点が異なる。以下、
図3に示す処理と同様の処理には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。なお、
図4に示すECU100の処理は、ECU100が自動駐車支援プログラムを実行することによって行われ、この結果、自動駐車支援方法が実現される。
【0080】
図4では、ECU100の位置測定部130は、行動計画取得部120によってステップS1の処理が実行されると、TOA形式での測定用のビーコン信号を各通信部13に出力させる(ステップS1A)。
【0081】
スマートフォン200の主制御部211は、TOA形式での測定用のビーコン信号を受信する(ステップS20A)。
【0082】
スマートフォン200の主制御部211は、TOA形式での測定用のビーコン信号を受信すると、TOA形式での測定用のビーコン信号を出力する(ステップS20B)。
【0083】
ECU100の位置測定部130は、スマートフォン200から送信されるTOA形式での測定用のビーコン信号を各通信部13に受信させる(ステップS1B)。
【0084】
スマートフォン200の主制御部211は、TOA形式での測定用のビーコン信号を出力すると、AOA形式での測定用のビーコン信号を送信する(ステップS21)。
【0085】
EUC100の位置測定部130は、各通信部13にスマートフォン200から送信されるAOA形式での測定用のビーコン信号を受信させる(ステップS2)。
【0086】
位置測定部130は、ビーコン信号の受信結果から、RSSI値がTOA形式及びAOA形式で位置や角度を測定可能な所定値以上の通信部13を選択する(ステップS3M)。ステップS3Mにおける所定値は、AOA形式で角度や位置を計算可能な所定レベルのRSSI値である。
【0087】
なお、ステップS3Mでは、TOA形式及びAOA形式で位置や角度を測定可能な通信部13が存在しない場合には、通信部13の選択は行われない。換言すれば、ステップS3Mでは、TOA形式及びAOA形式で位置や角度を測定可能な通信部13が存在しない場合には、0(ゼロ)個の通信部13が選択される。
【0088】
位置測定部130は、TOA形式及びAOA形式で位置や角度を測定可能な通信部13が幾つあるかを判定する(ステップS4M)。
【0089】
位置測定部130は、TOA形式及びAOA形式で位置や角度を測定可能な通信部13が2個以上あると判定すると、TOA形式でスマートフォン200の位置を求める(ステップS5AM)。
【0090】
TOA形式では、ビーコン信号を受信しRSSI値が所定値以上の通信部13が2個あれば、2個の通信部13とスマートフォン200の通信部240とで信号を送受信し、信号の送受信に要する往復時間から通信部13と通信部240の距離を2組算出し、スマートフォン200の位置を表すXY座標を求めることができるからである。スマートフォン200の位置は、
図2に示すXY座標系の値として求められる。
【0091】
ステップS5AMに続くステップS6Aでは、ステップS5AMで求めたスマートフォン200の位置が車両10から4m以上離れているかどうかが判定される。
【0092】
ステップS6Aの後は、
図3に示すステップS7A、S8A又はS8B、及びS9の処理が行われる。
【0093】
また、ステップS4Mにおいて、ECU100の位置測定部130は、TOA形式及びAOA形式で位置や角度を測定可能な通信部13が1個であると判定すると、1個の通信部13とスマートフォン200の通信部240とで信号を送受信し、信号の送受信に要する往復時間から算出される通信部13からスマートフォン200までの距離と、1個の通信部13の複数のアンテナで受信されるビーコン信号の位相差から求まる1個の通信部13に対するスマートフォン200の角度とを用いて、スマートフォン200の位置を求める(ステップS5BM)。
【0094】
ステップS5BMでは、スマートフォン200までの距離はTOA形式で求められ、スマートフォン200の角度はAOA形式で求められる。ステップS5BMで求まる位置は、ステップS5Aで求まる位置に比べると精度が低いが、大凡どの辺りスマートフォン200があるかを求めることができる。
【0095】
ステップS5BMの処理が終了すると、主制御部110はフローをステップS6Aに進行させる。
【0096】
また、ステップS4Mにおいて、ECU100の位置測定部130によってTOA形式及びAOA形式で位置や角度を測定可能な通信部13が0個であると判定されると、指令生成部140は、TOA形式及びAOA形式で測定可能な通信部13が2個の通信領域13Aにスマートフォン200の位置が入るように操作者を誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させる指令データを生成し、通信部13を介してスマートフォン200に送信する(ステップS8E)。ステップS8Eの処理が終了すると、主制御部110は、フローをステップS9に進行させる。
【0097】
以上のような処理により、スマートフォン200の操作者を車両10から所定距離(一例として4m)以内に誘導することができる。
【0098】
したがって、TOA形式及びAOA形式による位置測定を利用した形態で、車両10の所定範囲内で遠隔的に車両10を移動操作可能な自動駐車支援システム300、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法を提供することができる。
【0099】
なお、以上では、ステップS5BMにおいて、スマートフォン200までの距離をTOA形式で求め、スマートフォン200の角度をAOA形式で求める形態について説明したが、ステップS5BMではAOA形式で角度を求めずに、TOA形式で求まるスマートフォン200までの距離と、ビーコン信号を受信した通信部13の位置及び向きと、行動計画とに基づいて操作者を誘導するようにしてもよい。
【0100】
最後に、
図5乃至
図12を用いて、指令データによる操作者の誘導の仕方について説明する。
図5乃至
図12は、指令データによる操作者の誘導の仕方を説明する図である。ここでは、
図3に対応するAOA形式で測定を行う場合について説明する。なお、車両10の全長は4mから5mであり、自動駐車ECU20によって車両10が移動する距離は、ECU100の制御周期の1周期において、一例として0.01m~0.1m程度である。
【0101】
図5では、スマートフォン200は、車両10の右側の前後の通信部13から4m以上離れており、AOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内に位置している。また、車両10は左に操舵しながら前進している。
【0102】
このような場合は、車両10の右側に位置するスマートフォン200から車両10が離れて行くため、AOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内において車両10との相対的な位置関係を保つように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させればよい。より具体的には、例えば、車両10の移動に沿って移動するように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させればよい。車両10の移動に沿って移動すれば、AOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内にスマートフォン200が存在することになるからである。
図5は、
図3のフローでステップS8Aに進行する場合である。
【0103】
図6では、スマートフォン200は、車両10の右側の前後の通信部13から4m以内の位置にあり、AOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内に位置している。また、車両10は右に操舵しながら前進している。
【0104】
このような場合は、車両10の右側に位置するスマートフォン200に車両10が近づいて来ており、車両10が移動してもAOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内に位置すると考えられるため、誘導するメッセージは不要である。
図6は、
図3のフローでステップS6AからS9に進行する場合である。
【0105】
図7では、スマートフォン200は、車両10の右側の後方でAOA形式で測定可能な通信部13が1個ある通信領域13A内に位置している。また、車両10は右に操舵しながら前進している。
【0106】
このような場合は、車両10の右側に位置するスマートフォン200に車両10が近づいて来ており、車両10が移動するとAOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内に位置することになると考えられるため、誘導するメッセージは不要である。
図6は、
図3のフローでステップS7BからS9に進行する場合である。
【0107】
図8では、スマートフォン200は、車両10の右側の後方でAOA形式で測定可能な通信部13が1個ある通信領域13A内に位置している。また、車両10は左に操舵しながら前進している。
【0108】
このような場合は、操作者が矢印で示すように車両10の前方に向かって移動するとAOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内に位置することになると考えられるため、車両10の前方に進むように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させればよい。
図8は、
図3のフローでステップS8Cに進行する場合である。
【0109】
図9では、スマートフォン200は、車両10の右側の前方の通信部13から4m以内の位置にあり、AOA形式で測定可能な通信部13が1個ある通信領域13A内に位置している。また、車両10は右に操舵しながら前進している。
【0110】
このような場合は、車両10の右側に位置するスマートフォン200に車両10が近づいて来ており、車両10が移動したときに操作者が矢印で示すように右方に移動するとAOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内に位置すると考えられるため、車両10の右方に誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させればよい。
図9は、
図3のフローでステップS8Dに進行する場合である。
【0111】
図10では、スマートフォン200は、車両10の右側の前方の通信部13から4m以内の位置にあり、AOA形式で測定可能な通信部13が1個ある通信領域13A内に位置している。また、車両10は左に操舵しながら前進している。
【0112】
このような場合は、車両10の右側に位置するスマートフォン200から車両10が離れて行っており、車両10が移動したときに操作者が移動しなくてもAOA形式で測定可能な通信部13が2個ある通信領域13A内に入ると考えられるため、誘導するメッセージは不要である。
図10は、
図3のフローでステップS7BからステップS9に進行する場合である。
【0113】
図11では、スマートフォン200は、車両10の右側の近くにおり、AOA形式で測定可能な通信部13が0個の通信領域13A内に位置している。また、車両10は右又は左に操舵しながら前進している。
【0114】
このような場合は、車両10の右側の前後の通信部13で受信されるビーコン信号のRSSI値が所定の閾値以上である(S5C:YES)ため、矢印で示すように車両10から2m程度離れた位置に移動するように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させればよい。
図11は、
図3のフローでステップS5CからステップS8Eに進行する場合である。
【0115】
図12では、スマートフォン200は、車両10の右側の遠く離れた位置におり、AOA形式で測定可能な通信部13が0個の通信領域13A内に位置している。また、車両10は右又は左に操舵しながら前進している。
【0116】
このような場合は、車両10の右側の前後の通信部13で受信されるビーコン信号のRSSI値が所定の閾値以上ではない(S5C:NO)ため、矢印で示すように車両10の近くに移動するように誘導するメッセージをスマートフォン200に表示させればよい。
図12は、
図3のフローでステップS5CからステップS8Fに進行する場合である。
【0117】
以上、本発明の例示的な実施の形態の自動駐車支援システム、自動駐車支援プログラム、及び自動駐車支援方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
10 車両
100 ECU
110 主制御部
120 行動計画取得部
130 位置測定部
140 指令生成部
200 スマートフォン
300 自動駐車支援システム