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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119570
(43)【公開日】2023-08-28
(54)【発明の名称】飲食用ガランガル抽出物及び飲食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20230821BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230821BHJP
   A23L 2/70 20060101ALI20230821BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230821BHJP
   A23L 2/54 20060101ALI20230821BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20230821BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23L2/00 T
A23L2/00 K
A23L2/52
A23L2/54
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014997
(22)【出願日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2022021699
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小出 万由
(72)【発明者】
【氏名】新井 司
(72)【発明者】
【氏名】田中 愛理
(72)【発明者】
【氏名】白水 健太
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
4B117
【Fターム(参考)】
4B016LG16
4B016LP02
4B016LP08
4B016LP13
4B018LB08
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4B117LC09
4B117LC14
4B117LG18
4B117LK04
4B117LK08
4B117LP01
4B117LP14
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】沈殿物残存が抑制された、又は満腹感や飲みごたえに優れたガランガル抽出物含有経口物を提供すること。
【解決手段】90%積算径が2~90μmであるガランガル抽出物。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
90%積算径が2~90μmであるガランガル抽出物。
【請求項2】
50%積算径が1~20μmであるガランガル抽出物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガランガル抽出物を含む飲料。
【請求項4】
ガランガル抽出物の濃度が乾燥固形分換算量として0.001~10質量%である請求項3に記載の飲料。
【請求項5】
炭酸飲料である請求項3に記載の飲料。
【請求項6】
ガランガル抽出物含有飲料において、90%積算径が2~90μmであるガランガル抽出物を含有させることで飲料中の沈殿を抑制する方法、又は満腹感及び飲みごたえを向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食用ガランガル抽出物及びガランガル抽出物を配合した経口物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デカフェ・カフェインレス(ゼロ)市場が拡大している(非特許文献1)。カフェインには、集中力向上や覚醒効果など、種々の効果があることが知られてきており、当該効果を期待して、コーヒーやエナジードリンクを摂取することがある。しかし、過剰にカフェインを摂取してしまうと、逆に害を引き起こすこともある。そのため、カフェインと同様に覚醒作用を有し、かつ中毒性がなく安全性の高い食品素材の開発が望まれてきた。その素材の1つとして、ショウガ科ハナミョウガ属植物であるガランガル(Alpinia galanga L.)の地下茎に、注意力や覚醒水準を高める効果が認められ、注目を集めている(非特許文献2)。
【0003】
また、満腹感や飲みごたえの向上は、消費者の満足感に繋がるものと考えられ、商品価値向上を図るうえで指標の1つとなり得る。
【0004】
特許文献1には、ガランガル根茎の抽出成分とスワンギ葉の抽出成分を含有する健康飲料水が開示されており、特許文献2には、ガランガル抽出物を含みガランガルに由来する沈殿が抑制された経口液体組成物が記載されている。しかしながら、ガランガル抽出物の粒子径に着目された先行技術の報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-56576
【特許文献2】特開2021-87423
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】富士経済「デカフェ・カフェインレス(ゼロ)市場の現状とポテンシャル探索調査2018」
【非特許文献2】Shalini, S. et al. (2017) Journal of the American College of Nutrition, 36(8), 631-639.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガランガル地下茎の抽出物(以下、ガランガル抽出物という)を飲料に配合しようとしたところ、ろ過工程で抽出物の一部が除去されたり、沈殿物が生じ、容器に残存したりするという課題が生じた。
本発明は、沈殿物残存が抑制された、又は満腹感や飲みごたえに優れたガランガル抽出物含有経口物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ガランガル抽出物配合経口物において、ガランガル抽出物の粒子径を特定範囲に調整することにより、沈殿物の容器への残存を改善できる、及び/又は満腹感や飲みごたえが向上する、という知見を得た。
【0009】
すなわち、本発明は
(1)90%積算径が2~90μmであるガランガル抽出物、
(2)50%積算径が1~20μmであるガランガル抽出物、
(3)(1)又は(2)に記載のガランガル抽出物を含む飲料、
(4)ガランガル抽出物の濃度が乾燥固形分換算量として0.001~10質量%である(3)に記載の飲料、
(5)炭酸飲料である(3)又は(4)のいずれかに記載の飲料、
(6)ガランガル抽出物含有飲料において、90%積算径が2~90μmであるガランガル抽出物を含有させることで飲料中の沈殿を抑制する方法、又は満腹感及び飲みごたえを向上させる方法、
(7)(1)又は(2)に記載のガランガル抽出物を含む飲食品、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、沈殿物の容器への残存が抑制された、あるいは満腹感や飲みごたえに優れたガランガル抽出物配合経口物の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ガランガル抽出物Aの粒度分布図である。
図2】ガランガル抽出物B-1の粒度分布図である。
図3】ガランガル抽出物B-2の粒度分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明におけるガランガル抽出物とは、ショウガ科ハナミョウガ属植物であるガランガル(Alpinia galanga L.)(別名として、ガランガ、ナンキョウ等と呼ばれることもある)の地下茎をそのまま、あるいは必要に応じて、乾燥、破砕、粉砕処理等を行った後に抽出することにより得られる。すなわち、本発明におけるガランガル抽出物とは、ガランガル地下茎の抽出物である。
抽出処理方法は、特に限定されず、例えば、エタノール等の有機溶媒や水またはそれらの混合物を用いた撹拌・振盪・浸漬抽出法や、減圧水蒸気蒸留抽出法等公知の抽出方法にて行えばよく、必要に応じて遠心処理、酵素処理(麹菌や黒麹菌などを基原とした酵素剤による処理)、カラム又はろ過(ストレーナーメッシュやメンブレンフィルターなどによるろ過)等により不溶物を除去してもよい。本発明におけるガランガル抽出物は、抽出溶媒として水及び/又はアルコールが用いられることが好ましく、アルコールとしては低級アルコールが好ましく、エタノールがより好ましく、水単独で用いられることが特に好ましい。上記のように抽出されて得られた抽出液は、液体の状態で用いてもよく、乾燥させ固体の状態で用いてもよい。粉末の状態としたものを用いても良く、粉末の状態で販売されている市販品(Enovate Biolife製のenXtraTM等)を用いてもよい。
【0013】
本発明において、ガランガル抽出物の粒子径の調整は、特に限定されるものではなく、粉体の状態で破砕・粉砕工程等を施してもよく、液体の状態で均質化処理等を施してもよく、必要に応じて、他のビタミン類、ミネラル類、アミノ酸及びその塩類、他の生薬や生薬抽出物、植物抽出物、酸化防止剤、着色剤、香料、矯味剤、甘味料、保存料、調味料、苦味料、強化剤、可溶化剤、乳化剤、増粘剤などの添加物を配合した状態で施してもよい。
【0014】
粉体の状態で破砕・粉砕工程等を施す場合には、乾燥粉末状態のガランガル抽出物に対し、例えば、気流粉砕のような移動体を媒体として素材同士を衝撃させることによるもの、高速で回転する機械を用いて衝撃させることによるもの、凍結粉砕のような素材を物性変化させて行うものが挙げられ、これらはジェットミル、カッターミル、ボールミル、ピンミル、超音波粉砕、臼等の機械的手法により行うことができ、破砕手段に特に限定はない。破砕後に分級工程を施してもよく、通常行われている分級方法を特に制限なく使用することができる。例えば、振動ふるいを用い、特定範囲の粒子径のガランガル抽出物を得ることができる。
【0015】
液体の状態で均質化処理等を施す場合には、液体状態もしくは乾燥粉末状態のガランガル抽出物を配合し、ジェットミル、ビーズミル、ミキサー、ホモジナイザー、ラインミキサー、エマルダー、マイルダー、チョッパー、パルパーフィニッシャー等を使用することができ、破砕・摩砕・均質化手段等に特に限定はない。
粉砕条件等は機械毎に設定が異なるため適宜調整する必要がある。粉砕等の結果得られる粒子の径は、後述する粒度分布測定により簡易に測定できるため、本法にて確認しながら適宜条件を設定することが可能である。
【0016】
本発明におけるガランガル抽出物の粒子径は、レーザー回折散乱法によって得られる粒子径であり、粒度分布の測定は、レーザー回析/散乱式粒度分布計を使用して行うことができる。具体的には、堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920で、湿式測定にて測定した値である。
【0017】
粒子径粒度分布を測定したときに、粒度分布積算値の90%積算径は、通常、2~90μmであり、2.2~90μm、2.5~90μm、2.5~80μm、2.5~75μm、2.5~70μm、2.5~65μm、2.5~60μm、2.5~30μm、2.5~10μm、2.5~8μmの順に好ましい(記載順が先よりも後の方がより好ましい)。50%積算径が、1~20μmが好ましく、1.2~18μmがより好ましく、1.5~16μmがさらに好ましく、1.5~10μmがよりさらに好ましく、1.5~4.2μmがより特に好ましい。10%積算径は、0.1~5μmが好ましく、0.2~4μmが好ましく、0.5~2.5μmがさらに好ましい。ここで、X%積算径とは、体積基準の粒度分布曲線に基づき、積算値がX%に相当する粒子径である。また、本発明におけるガランガル抽出物のモード径は、0.5~90μmが好ましく、1~80μmがより好ましく、2~70μmがさらに好ましい。ここで、モード径とは、頻度分布値が最も大きな値となる頻度分布グラフの頂点の粒子径である。
本発明のガランガル抽出物の粒子径粒度分布は、単峰性、多峰性のいずれでもよいが、単峰性であるとより好ましい。
【0018】
本発明のガランガル抽出物は飲食品に利用でき、特に限定されないが、飲料や溶かして飲むタイプの粉末飲料、飴、タブレット、グミ、ガム、アイスクリーム、菓子、サプリメント等に用いることができる。
【0019】
本発明において飲料とは、特に限定されないが、例えば、内服液剤、ドリンク剤等の医薬品及び医薬部外品を含み、清涼飲料水、炭酸飲料、スポーツ・機能性飲料、ノンアルコール飲料、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、果実・野菜系飲料、ゼリー飲料等が挙げられる。本発明の飲料にはその他の成分として、他のビタミン類、ミネラル類、アミノ酸及びその塩類、他の生薬や生薬抽出物、植物抽出物などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。さらに必要に応じて、酸味料、酸化防止剤、着色剤、香料、矯味剤、甘味料、保存料、調味料、苦味料、強化剤、可溶化剤、乳化剤、増粘剤などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0020】
本発明におけるガランガル抽出物の含有量は、ガランガル抽出物の乾燥固形分換算量として、本発明の経口液体組成物中、好ましくは0.001~10質量%、より好ましくは0.005~5質量%、さらに好ましくは0.01~1質量%、よりさらに好ましくは0.02~0.6質量%、特に好ましくは0.03~0.45質量%、最も好ましくは0.04~0.3質量%である。ここで、「乾燥固形分換算量」とは水分を除いた部分の量に換算した量をいう。水分は、従来公知の加熱乾燥法やカール・フィッシャー法等を用いて測定することができる。
【0021】
また、本発明におけるガランガル抽出物の含有量は、ガランガル地下茎の換算量として、本発明の経口液体組成物中、好ましくは0.01~100質量%、より好ましくは0.05~50質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%、よりさらに好ましくは0.2~6質量%、特に好ましくは0.3~4.5質量%、最も好ましくは0.5~3質量%である。
【0022】
本発明において、飲料のpHとは、特に限定されず、例えばpH1.0~pH7.0である。風味の観点から、pH2.0~5.5が好ましく、pH2.0~4.5がより好ましく、pH2.5~4.5がさらに好ましい。本発明の飲料のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができる。具体的なpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸等の有機酸及びそれらの塩類、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基等が挙げられる。
【0023】
本発明の飲料は、常法により製造することができる。具体的には、各成分をとり適量の精製水で溶解した後、必要に応じてpHを調整し、残りの精製水を加えて容量調製し、必要に応じてろ過処理を行い、加熱殺菌後、容器に充填する工程により製造することができる。本発明の容器詰め飲料を炭酸飲料とする場合、例えば、各成分をとり適量の精製水で溶解した後、必要に応じてpHを調整し、残りの精製水を加えて容量調製し、必要に応じてろ過処理を行い、飲料原液を調製する。調製した飲料原液を必要に応じてpHの調整や加熱殺菌をした後冷却し、二酸化炭素を圧入(カーボネーション)し、容器に充填して、加熱殺菌する工程により製造することができる。ガスボリュームは、0.5~4.0が好ましく、1.0~3.8がより好ましく、1.5~3.5がさらに好ましく、2.0~3.2が特に好ましい。前記ガスボリュームとは、標準状態(1気圧、20℃)において、溶媒である液体1に対しそれに溶けている二酸化炭素の体積比である。なお、炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、本発明においてはいずれを採用してもよい。
【実施例0024】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるも
のではない。
(実施例1~4、比較例1~4、比較例X,Y)
ガランガル抽出物の調製:
[調製例1:以下、本発明においてガランガル抽出物Aと記載する]
ガランガル地下茎を熱水で抽出し、減圧濃縮を行い、ガランガル地下茎の質量の10分の1量の乾燥粉末状の抽出物を得た。
[調製例2:以下、本発明においてガランガル抽出物B-1と記載する]
上記ガランガル抽出物Aをジェットミルで微粉砕した後、ガランガル抽出物Aより粒径の細かい抽出物を得た。
[調製例3:以下、本発明においてガランガル抽出物B-2と記載する]
上記ガランガル抽出物Aを乳鉢に取り、乳棒で30分間すりつぶした後、ガランガル抽出物Aより粒径の細かい抽出物を得た。
【0025】
粒子径の測定:
各抽出物を0.3w/w%となるように調製した水溶液を攪拌しながら分取し、堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920で、湿式測定にて粒子径を測定し、%積算径とモード径を表1に示した。また、図1にガランガル抽出物Aの粒度分布及び図2にガランガル抽出物B-1の粒度分布、図3にガランガル抽出物B-2の粒度分布を示した。粒度分布は、体積基準で、横軸は粒子径(μm)、縦軸は頻度%(各粒子径区分に存在する粒子量の割合)を示している。
【0026】
【表1】
【0027】
飲料の調製(精製水を用いた実施例・比較例):
下記表4に記載の処方および次の方法に従い飲料を調製した。
まず、全量の30%程度の精製水に、ガランガル抽出物A、ガランガル抽出物B-1、もしくはガランガル抽出物B-2を添加し、十分に攪拌した。次に、クエン酸及びクエン酸三ナトリウム、処方によっては安息香酸ナトリウムを添加し、十分に攪拌した。攪拌後、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを調整し、精製水を加えて全量とし、飲料を得た。185mLもしくは250mL容量のアルミ缶に充填し、80℃25分殺菌を行った。
【0028】
炭酸飲料の調製(炭酸水を用いた実施例・比較例):
下記表4に記載の処方および次の方法に従い飲料を調製した。
まず、全量の5%程度の精製水に、ガランガル抽出物A、ガランガル抽出物B-1、もしくはガランガル抽出物B-2を添加し、十分に攪拌した。次に、クエン酸及びクエン酸三ナトリウム、処方によっては場合により安息香酸ナトリウムを添加し、十分に攪拌した。撹拌後、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを調整し、全量の25%量となるまで水を添加した飲料原液を調製した。この飲料原液を80℃で25分間殺菌し、炭酸水を加え全量とし、250ml容量のアルミ缶に充填した。ガスボリュームは京都電子工業製エアコンテント測定装置 GVA-700により測定した。
【0029】
1.沈殿物の観察:
上記の通り調製した飲料及び炭酸飲料を65℃7日間保管した後、約15秒かけて静かに飲料を捨て、缶切りで上蓋を切り取り、缶底に残った沈殿物を表2の基準で観察した。
【0030】
【表2】
【0031】
2.満腹感の評価:
上記の通り調製した飲料及び炭酸飲料を5℃に冷やし、40mLずつプラスチックカップに注いだ。カップに注がれた40mLの飲料もしくは炭酸飲料を全量飲み、3分経過後の満腹感をVAS(Visual Analog Scale)法を用いて評価した。VAS法は、「基本味における味覚機能のスクリーニング検査法の構築(顎機能誌,J. Jpn. Soc. Stomattognath. Funct. 20:115-129, 2014)」を参照した。すなわち、10cmの水平な直線の両端を短い縦線で閉じ、左端を「満腹感を感じない」、右端を「満腹感を非常に感じる」とし、満腹感の程度を線上に縦線で表記し、左端から縦線までの距離を測定し、VAS点数とした。評価は専門パネル3名により行い、平均値を算出した。
【0032】
3.飲みごたえの評価:
上記の通り調製した飲料及び炭酸飲料を5℃に冷やし、40mLずつプラスチックカップに注いだ。カップに注がれた40mLの飲料もしくは炭酸飲料を全量飲んだ際の飲みごたえを表3の基準で評価した。評価は専門パネル3名により行い、平均値を算出した。ここで、飲みごたえとは、飲み込むときにのどに抵抗を感じやすく、ひいてはボリュームがあるように感じられる感覚である。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
表4に示す通り、微粉砕されたガランガル抽出物B-1またはガランガル抽出物B-2を用いた飲料では、缶底への沈殿物の残存が著しく改善された。なお、90%積算径が2μm以下、もしくは50%粒子径が1μm以下では、沈殿物抑制効果は得られなかった。
【0036】
表4に示す通り、微粉砕されたガランガル抽出物B-1またはガランガル抽出物B-2を用いた飲料では、ガランガル抽出物Aを用いた飲料に比べて、満腹感の向上及び飲みごたえの向上が認められ、炭酸水である場合、さらに著しい効果を示した。なお、90%積算径が2μm以下、もしくは50%粒子径が1μm以下では、満腹感向上効果及び飲みごたえ向上効果は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、沈殿物の容器への残存がなく、満腹感や飲みごたえに優れたガランガル抽出物配合経口物の提供が可能となったので、医薬品、医薬部外品及び食品の分野において、商品性の高い経口物を提供することが期待される。
図1
図2
図3