(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011962
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】生体成分用カセット、生体成分用キット及び生体成分処理システム
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20230118BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020023405
(22)【出願日】2020-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507114521
【氏名又は名称】テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド
【住所又は居所原語表記】10811 West Collins Avenue, Lakewood, Colorado 80215, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】スタントン、ブリデン
(72)【発明者】
【氏名】ドッド、ジョン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC01
4B029DC07
4B029DG06
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB02
4B029GB04
(57)【要約】
【課題】作業効率を高めることができる生体成分用カセット、生体成分用キット及び生体成分処理システムを提供する。
【解決手段】生体成分処理システム22は、生体成分用カセット10を有する生体成分用キット12を生体成分処理装置14にセットして使用される。生体成分用カセット10は、液体の流路44を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体40と、カセット本体40よりも硬質に形成され、カセット本体40を保持するフレーム50とを備える。フレーム50は、収容空間52と、サイド部56とを有する。カセット本体40は、当該カセット本体40の一方の面が収容空間52の底部52bで覆われ、当該カセット本体40の他方の面がフレーム50から露出されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体成分を有する液体を流通させる生体成分用カセットであって、
前記液体の流路を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体と、
前記カセット本体よりも硬質に形成され、前記カセット本体を保持するフレームとを備え、
前記フレームは、前記カセット本体を収容する収容空間と、前記収容空間を形成するサイド部とを有し、
前記カセット本体は、当該カセット本体の一方の面が前記収容空間の底部で覆われ、当該カセット本体の他方の面が前記フレームから露出されている
生体成分用カセット。
【請求項2】
請求項1記載の生体成分用カセットにおいて、
前記収容空間は、前記サイド部と前記底部とで形成された凹形状によって規定されている
生体成分用カセット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の生体成分用カセットにおいて、
前記フレームは、前記収容空間の前記底部を形成する覆い部を有する
生体成分用カセット。
【請求項4】
請求項3記載の生体成分用カセットにおいて、
前記覆い部は、前記カセット本体に向かって突出し、前記カセット本体の一方の面に接触して支持する支持部を有する
生体成分用カセット。
【請求項5】
請求項4記載の生体成分用カセットにおいて、
前記カセット本体の前記流路が延在する所定位置には、前記生体成分用カセットが取り付けられる装置による前記液体の状態を検出するための検出用流路部が設けられ、
前記支持部は、前記検出用流路部の対向位置に設けられる
生体成分用カセット。
【請求項6】
請求項5記載の生体成分用カセットにおいて、
前記検出用流路部は、前記カセット本体の厚さ方向に突出すると共に、前記流路から前記カセット本体の面方向に広がる平坦部を有する
生体成分用カセット。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の生体成分用カセットにおいて、
前記支持部は、前記覆い部に取り付けられるグリッパ部材であり、
前記グリッパ部材は、前記可撓性を有すると共に前記カセット本体に固着される被固着部を有する
生体成分用カセット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の生体成分用カセットにおいて、
前記カセット本体は、前記流路に連通するコネクタを外縁に有し、
前記サイド部は、前記コネクタを係止する係止部を備える
生体成分用カセット。
【請求項9】
請求項8記載の生体成分用カセットにおいて、
前記係止部は、前記コネクタに接続されたチューブと、前記コネクタとがまとめて挿入されることで前記サイド部への前記コネクタの係止を行う係止凹部を有する
生体成分用カセット。
【請求項10】
請求項8又は9記載の生体成分用カセットにおいて、
前記コネクタは、前記カセット本体に接続される筒部分よりも径方向外側に突出するフランジ部を備え、
前記係止部は、前記フランジ部を収容することで前記コネクタを当該コネクタの軸方向に移動不能とする移動規制部を備える
生体成分用カセット。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載の生体成分用カセットにおいて、
前記カセット本体は、平面視で方形状に形成され、且つ四方の前記外縁の各々に前記コネクタが設けられ、これら複数の前記コネクタが前記サイド部に設けられた複数の前記係止部に支持される
生体成分用カセット。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の生体成分用カセットにおいて、
前記カセット本体は、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリウレタン樹脂のうちいずれかにより構成されている
生体成分用カセット。
【請求項13】
生体成分を有する液体を流通させるチューブと、
前記チューブが接続される生体成分用カセットとを有する生体成分用キットであって、
前記生体成分用カセットは、前記液体の流路を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体と、
前記カセット本体よりも硬質に形成され、前記カセット本体を保持するフレームとを備え、
前記フレームは、前記カセット本体を収容する収容空間と、前記収容空間を形成するサイド部とを有し、
前記カセット本体は、当該カセット本体の一方の面が前記収容空間の底部で覆われ、当該カセット本体の他方の面が前記フレームから露出されている
生体成分用キット。
【請求項14】
生体成分を有する液体を流通させるチューブと、前記チューブが接続される生体成分用カセットを有する生体成分用キット、
及び前記生体成分用キットがセットされる生体成分処理装置を有する生体成分処理システムであって、
前記生体成分用カセットは、前記液体の流路を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体と、
前記カセット本体よりも硬質に形成され、前記カセット本体を保持するフレームとを備え、
前記フレームは、前記カセット本体を収容する収容空間と、前記収容空間を形成するサイド部とを有し、
前記カセット本体は、当該カセット本体の一方の面が前記収容空間の底部で覆われ、当該カセット本体の他方の面が前記フレームから露出されており、
前記生体成分処理装置は、前記生体成分用カセットがセットされるカセット配置部を有する
生体成分処理システム。
【請求項15】
請求項14記載の生体成分処理システムにおいて、
前記フレームは、前記サイド部で前記カセット本体を保持し、当該カセット本体の両面を露出させており、
前記生体成分処理装置は、前記生体成分用カセットの配置状態で、前記カセット本体を覆う蓋体を有する
生体成分処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体成分が流通する流路を内部に有する生体成分用カセット、この生体成分用カセットを有する生体成分用キット、この生体成分用キット及び生体成分用処理装置により構成される生体成分処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生医療では、生体の細胞(生体成分)を採取して培養し、培養した細胞を患者に投与する。この再生医療の工程において、細胞を患者に投与する前には、培地(培養液)又は他の異物等を除去(洗浄)して細胞の濃度を高める洗浄処理を実施する。洗浄処理では、例えば、特許文献1に開示されているような細胞洗浄装置が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗浄処理では、培養物を供給する経路、洗浄液を供給する経路、培養物を処理する経路、洗浄後の細胞(製品)を取り出す経路等を細胞洗浄装置の設定に沿って配線し、細胞洗浄装置の動作下に液体を適宜の順序で流通させる。このため、作業者は、各経路を構成するチューブを装置にそれぞれセットする作業を行っており、洗浄処理には多大な手間がかかっていた。
【0005】
ここで、洗浄処理の作業効率の向上を図るために、硬質な生体成分用カセットに複数の経路を集約し、この生体成分用カセットを装置にセットする構成も考えられる。しかしながら、硬質な生体成分用カセットを適用すると、内部での流路の変形が困難となり、流路の液体の状態(例えば、圧力)を検出する構造等を外部に設けなくてはならない。この場合、生体成分用カセットのセットに加えて、外部において検出用流路部をセットする作業が生じ、作業効率が充分に向上しないことになる。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、流路を変形可能としつつ、複数の経路をより簡単に装置にセット可能とし、作業効率を高めることができる生体成分用カセット、生体成分用キット及び生体成分処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、生体成分を有する液体を流通させる生体成分用カセットであって、前記液体の流路を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体と、前記カセット本体よりも硬質に形成され、前記カセット本体を保持するフレームとを備え、前記フレームは、前記カセット本体を収容する収容空間と、前記収容空間を形成するサイド部とを有し、前記カセット本体は、当該カセット本体の一方の面が前記収容空間の底部で覆われ、当該カセット本体の他方の面が前記フレームから露出されている。
【0008】
また前記の目的を達成するために、本発明の第2の態様は、生体成分を有する液体を流通させるチューブと、前記チューブが接続される生体成分用カセットとを有する生体成分用キットであって、前記生体成分用カセットは、前記液体の流路を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体と、前記カセット本体よりも硬質に形成され、前記カセット本体を保持するフレームとを備え、前記フレームは、前記カセット本体を収容する収容空間と、前記収容空間を形成するサイド部とを有し、前記カセット本体は、当該カセット本体の一方の面が前記収容空間の底部で覆われ、当該カセット本体の他方の面が前記フレームから露出されている。
【0009】
さらに前記の目的を達成するために、本発明の第3の態様は、生体成分を有する液体を流通させるチューブと、前記チューブが接続される生体成分用カセットを有する生体成分用キット、及び前記生体成分用キットがセットされる生体成分処理装置を有する生体成分処理システムであって、前記生体成分用カセットは、前記液体の流路を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体と、前記カセット本体よりも硬質に形成され、前記カセット本体を保持するフレームとを備え、前記フレームは、前記カセット本体を収容する収容空間と、前記収容空間を形成するサイド部とを有し、前記カセット本体は、当該カセット本体の一方の面が前記収容空間の底部で覆われ、当該カセット本体の他方の面が前記フレームから露出されており、前記生体成分処理装置は、前記生体成分用カセットがセットされるカセット配置部を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記の生体成分用カセット、生体成分用キット及び生体成分処理システムは、可撓性を有するカセット本体を硬質なフレームにより保持する。これにより、ユーザは、生体成分の処理に用いる複数の経路を生体成分処理装置に簡単にセットすることができ、作業効率を高めることが可能となる。そして生体成分用カセット、生体成分用キット及び生体成分処理システムは、サイド部がカセット本体の一方の面を露出させ、且つ可撓性を有するカセット本体が流路を構成していることで、カセット本体に対して流路の変形等の動作を容易に行い、流路の液体の状態を良好且つ精度よく検出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生体成分用カセット及び生体成分用キットを適用した生体成分処理システムを示す斜視図である。
【
図3】カセット本体及びフレームの部分拡大斜視図である。
【
図4】生体成分用キットの液体の経路及びカセット本体の流路を示す説明図である。
【
図5】
図5Aは、生体成分処理システムの圧力検出手段を示す部分断面図である。
図5Bは、検出用流路部に液体が流通した際の動作を示す部分断面図である。
【
図8】生体成分用システムの動作を示す第1動作図である。
【
図9】生体成分用システムの動作を示す第2動作図である。
【
図10】生体成分用システムの動作を示す第3動作図である。
【
図11】生体成分用システムの動作を示す第4動作図である。
【
図12】他の実施形態に係る生体成分用カセット及び生体成分用キットを適用した生体成分処理システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る生体成分用カセット10(以下、単にカセット10という)は、
図1に示すように、生体成分用キット12(以下、単にキット12という)の一部を構成し、生体成分処理装置14にセットされる。このカセット10は、キット12の複数の経路を集約しており、生体成分を含む液体、及び生体成分を処理するための液体を流通可能な構造体として使用される。
【0014】
キット12は、カセット10の他に、複数の経路を構成する部材として複数のチューブ16、複数の医療用バッグ18、及び生体成分処理装置14に処理される処理部20を備える。キット12は、生体成分処理装置14の動作下に、カセット10及び各チューブ16を経由して、各医療用バッグ18に収容される複数種類の液体を流通させて、処理部20において液体を処理することで目的の製品を得るように構成される。
【0015】
本実施形態に係るキット12は、細胞洗浄キットに構成され、内部を流通する液体として生体の細胞(生体成分)と培地又は保存液を有する培養物、及び細胞を洗浄する洗浄液を有する。すなわち、キット12及び生体成分処理装置14は、再生医療の一工程である洗浄処理に適用される生体成分処理システム22(細胞洗浄システム23)となっている。細胞洗浄システム23は、培養された細胞を有する培養物から洗浄液により培地等を除去して、細胞の濃度を高める洗浄処理を行う。よって以下では、生体成分処理装置14を細胞洗浄装置15ともいう。
【0016】
生体の細胞は、特に限定されるものではないが、例えば、血液に含まれる細胞(T細胞等)、幹細胞(ES細胞、iPS細胞、間葉系幹細胞等)があげられる。洗浄液も、生体の細胞に応じて適切なものが選択されればよく、例えば、PBS(Phosphate Buffered Salts)、TBS(Tris-Buffered Saline)等の緩衝液、又は生理食塩水を適用することができる。
【0017】
複数の医療用バッグ18には、培養物を収容した培養物バッグ18Aと、洗浄液を収容した2つの洗浄液バッグ18B(第1洗浄液バッグ18B1、第2洗浄液バッグ18B2)と、洗浄した細胞を収容するための製品バッグ18Cとが含まれる。
【0018】
培養物バッグ18Aは、再生医療の培養工程において、培地に培養された細胞を適宜の手段で内部に貯留することで培養物を有した状態となる。一方、洗浄液バッグ18Bは、洗浄液を貯留及び封止した状態でキット12に無菌接合装置等を用いて組み込まれる。或いは、洗浄液バッグ18Bは、洗浄液を貯留及び封止した状態で、洗浄液を貯留及び封止した状態でキット12に予め組み込まれて、セット時に封止を解除してもよい。製品バッグ18Cは、洗浄処理の実施前に空の状態で接続されており、洗浄処理に伴い濃縮された細胞(洗浄液を含む)が貯留され製品となる。なお製品バッグ18Cには、保存液等が予め貯留されていてもよい。
【0019】
キット12の複数のチューブ16は、培養物バッグ18Aとカセット10間をつなぐ培養物チューブ16A、第1洗浄液バッグ18B1とカセット10間をつなぐ第1洗浄液チューブ16B1、第2洗浄液バッグ18B2とカセット10間をつなぐ第2洗浄液チューブ16B2、製品バッグ18Cとカセット10間をつなぐ製品チューブ16C、処理部20とカセット10間をつなぐ2つのチューブ16(第1処理チューブ16D1、第2処理チューブ16D2)を有する。また複数のチューブ16には、カセット10から突出すると共に、折り返してカセット10に再び接続される閉じたチューブ16が含まれる。このチューブ16としては、細胞洗浄装置15の複数(3つ)のポンプ24にセットされる複数(3つ)のポンプ用チューブ16Eと、キット12の経路を開閉するクランプ26(
図4参照)にセットされる複数(3つ)のクランプ用チューブ16Fとがある。さらに複数のチューブ16には、処理部20からカセット10を介さずにキット12の外部(例えば、細胞洗浄装置15の図示しない廃棄部)に連通する廃棄用チューブ16Gが含まれる。
【0020】
培養物チューブ16Aと培養物バッグ18A、第1洗浄液チューブ16B1と第1洗浄液バッグ18B1、第2洗浄液チューブ16B2と第2洗浄液バッグ18B2には、相互に接続可能な接続構造(不図示)が設けられている。培養物バッグ18A、第1洗浄液チューブ16B1、第2洗浄液バッグ18B2は、洗浄処理の実施前に接続構造を介して培養物チューブ16A、第1洗浄液チューブ16B1、第2洗浄液チューブ16B2に接続される。これにより、培養物チューブ16Aの流路に培養物が、第1洗浄液チューブ16B1、第2洗浄液チューブ16B2に洗浄液が流出可能となる。
【0021】
キット12の処理部20は、培養物及び洗浄液を一時的に収容する処理ケース28に構成され、細胞洗浄装置15から遠心力が付与されることで、内部空間28aに収容した培養物を、細胞、培地等に遠心分離する。処理ケース28は、円錐部30と円筒部32とを軸方向に連ねることで、内部が中空の立体形状に形成されている。この処理ケース28は、細胞洗浄装置15のセット状態で、円錐部30の頂部が遠心中心から遠い側に配置され、円筒部32の底部が遠心中心に近い側に配置される。
【0022】
処理ケース28は、遠心力が付与された際に、テーパ状の内部空間28aにおいて比重が重い細胞を遠心方向外側に寄せる一方で、比重が軽い培地を遠心方向内側に寄せる。処理ケース28の円筒部32の側部には第1処理チューブ16D1が接続される一方で、円錐部30の頂部には第2処理チューブ16D2が接続される。また、処理ケース28の底部には、遠心分離により分離された培地を廃棄するために廃棄用チューブ16Gが接続される。
【0023】
そして、カセット10は、上記の複数のチューブ16が予め接合されることで、各医療用バッグ18の培養物や洗浄液を別の医療用バッグ18又は処理部20に流通させるキット12の中継部となっている。このカセット10は、細胞洗浄装置15にキット12をセットする際に、細胞洗浄装置15のカセット配置部34に取り付けられ、洗浄処理におけるチューブ16の配線作業を簡略化させる。
【0024】
図2に示すように、本実施形態に係るカセット10は、複数のチューブ16が直接接続される軟質なカセット本体40と、このカセット本体40を保持して細胞洗浄装置15に固定される硬質なフレーム50とで構成されている。
【0025】
カセット本体40は、略長方形を呈すると共に、可撓性を有する薄肉のシート状に形成されている。カセット本体40は、樹脂材料からなる2つの樹脂シート42を厚さ方向に重ねて接合することで形成される。この樹脂シート42を構成する樹脂材料は、液体の圧力によって変形可能な柔軟性を有していれば、特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂等を適用するとよい。
【0026】
カセット本体40は、隆起している流路壁の周囲の樹脂シート42同士が溶着されることにより、複数の流路44を内側に有している。カセット本体40の表面にはエンボス加工が施されていてもよい。カセット本体40の外縁41には、複数のチューブ16を接続する複数のコネクタ60が設けられている。
【0027】
一方、フレーム50は、カセット本体40よりも硬質な樹脂材料により構成され、カセット本体40を収容する収容空間52を有する薄い凹形状に形成されている。このフレーム50を構成する材料も、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、メタクリレート-ブチレン-スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を適用するとよい。
【0028】
フレーム50は、カセット本体40よりも一回り大きな略長方形状の覆い部54と、覆い部54の外周から覆い部54の直交方向に短く突出するサイド部56とを有する。サイド部56は、覆い部54の外周を全周にわたって周回している。このフレーム50は、覆い部54と反対側でサイド部56に囲われた開口52aを介して収容空間52を開放しており、カセット本体40の一方の面を露出させる。つまり、収容空間52は、サイド部56と、当該収容空間52の底部52bとで形成された凹形状によって規定され、カセット本体40の他方の面は、収容空間52の底部52bで覆われていると言い換えることができる。収容空間52は、覆い部54により底部52bが構成されてもよく、後記のように覆い部54がないフレーム50Aにより底部52bが開放されていてもよい(
図12参照)。
【0029】
図2及び
図3に示すように、サイド部56においてカセット本体40の各コネクタ60に対応する箇所には、各コネクタ60を配置及び保持する係止部70が設けられている。コネクタ60及び係止部70は、カセット本体40を係止する係止機構68を構成している。
【0030】
図3に示すように、カセット本体40のコネクタ60は、カセット本体40にシールされる第1筒部62と、チューブ16に連結される第2筒部64と、第1筒部62と第2筒部64の間で径方向外側に突出するフランジ部66とを有する。また、コネクタ60の軸心には、第1筒部62、第2筒部64及びフランジ部66を貫通する連通孔60aが形成されている。
【0031】
第1筒部62は、カセット本体40の2つの樹脂シート42のシール時に合わせてシールされることで、連通孔60aがカセット10の流路44に連通した状態でカセット本体40に溶着される。第1筒部62の外周面は、カセット10の流路44に対応するために、第2筒部64よりも小径に形成されている。また、第2筒部64は、チューブ16の内側に挿入されると共に、適宜の固着手段によりチューブ16に強固に固定される。フランジ部66は、コネクタ60の軸方向に所定の厚みを有し、且つコネクタ60の外周面を全周にわたって周回するリング状に形成されている。
【0032】
一方、フレーム50の係止部70は、サイド部56を切り欠いた係止凹部72と、係止凹部72近傍のサイド部56からフレーム50の内側に突出する移動規制部74とを有する。係止凹部72は、フレーム50の開口52aと同方向に開放され、またコネクタ60(第2筒部64)に連結されたチューブ16を収容可能な円弧状(C字状)に形成されている。この係止凹部72は、収容されたチューブ16及びコネクタ60に対し強固に篏合するサイズに設定されている。
【0033】
移動規制部74は、サイド部56の内面から内側に短く突出して、直交方向且つ相互に近接する方向に屈曲した一対のフック部76により構成されている。そして、移動規制部74は、サイド部56との間に形成される固定空間74aにコネクタ60のフランジ部66を収容させる。
【0034】
コネクタ60は、フランジ部66を固定空間74aに配置されることで軸方向に沿った移動が規制される。またコネクタ60は、係止凹部72にチューブ16と共に収容されることで、係止部70(サイド部56)に適宜の係止力で係止されてフレーム50からのコネクタ60の抜けが抑止される。カセット本体40の各コネクタ60がフレーム50の各係止部70に保持されることで、カセット10は、カセット本体40とフレーム50が一体化した状態(まとまって取り扱い可能な状態)となる。
【0035】
図2に戻り、以上の係止機構68は、略長方形状のカセット10の四辺にそれぞれ設けられる。つまり、カセット本体40は、四方の外縁41の各々にコネクタ60を備える一方で、フレーム50も、四方のサイド部56の各々に係止部70を備える。これによりフレーム50は、シート状のカセット本体40を張った状態で保持して、面方向に沿って流路44を良好に延在させることができる。
【0036】
そして、カセット10は、カセット本体40及びフレーム50が一体化され、且つ図示面とその反対面を逆にした状態で細胞洗浄装置15に取り付けられる。従って、取付状態では、フレーム50の開口52aから臨むカセット本体40の一方面が細胞洗浄装置15の上面に対面し、覆い部54がカセット本体40全体を覆う。換言すれば、取付状態において
図2のカセット本体40の上下が逆転している。
【0037】
次に、
図4を参照して、キット12が有する液体の経路と共に、カセット10に設けられる流路44について詳述していく。図示例のカセット10は、細胞洗浄装置15に取り付けた状態における平面図を描いており、説明の便宜のためにフレーム50の覆い部54を省いた状態で図示している。図示例のカセット本体40の外縁41は、第1短辺41a(図中の左辺)、第2短辺41b(図中の右辺)、第1長辺41c(図中の上辺)、第2長辺41d(図中の下辺)とで構成される。
【0038】
培養物バッグ18Aにつながる培養物チューブ16Aは、第1長辺41cに接続されている。第1洗浄液バッグ18B1につながる第1洗浄液チューブ16B1、第2洗浄液バッグ18B2につながる第2洗浄液チューブ16B2、及び製品バッグ18Cにつながる製品チューブ16Cは、第2短辺41bに接続されている。処理部20につながる第1及び第2処理チューブ16D1、16D2は、第2長辺41dに接続されている。
【0039】
また、細胞洗浄システム23は、細胞洗浄装置15とキット12のセット状態で、カセット10の側方近傍位置に3つのポンプ24を配置する。具体的に、カセット配置部34は、セット状態で、第1短辺41aの近傍に配置される第1ポンプ24aと、第1長辺41cの近傍に配置される第2ポンプ24bと、第2長辺41dの近傍に配置される第3ポンプ24cとを有する。このため、キット12の各ポンプ用チューブ16Eも、第1短辺41aに連結される第1ポンプ用チューブ16E1、第1長辺41cに連結される第2ポンプ用チューブ16E2、及び第2長辺41dに連結される第3ポンプ用チューブ16E3により構成される。
【0040】
第1~第3ポンプ用チューブ16E1~16E3は、円弧状に折り返す部分が第1~第3ポンプ24a~24cの円形状の被巻掛部に回り込むように配置される。例えば、第1~第3ポンプ24a~24cは、回り込んでいる各ポンプ用チューブ16Eをしごくように回転することで、各ポンプ用チューブ16E内の液体に流動力を付与する。
【0041】
さらに、細胞洗浄システム23は、細胞洗浄装置15に対するキット12のセット状態で、カセット10の側方近傍位置に複数のクランプ26を配置する。具体的には、カセット配置部34は、セット状態で、第1長辺41c近傍に配置される第1及び第2クランプ26a、26bと、第2短辺41b近傍に配置される第3~第6クランプ26c~26fと、第2長辺41d近傍に配置される第7クランプ26gとを有する。
【0042】
培養物チューブ16Aは第1クランプ26aに配置され、第1洗浄液チューブ16B1は第3クランプ26cに配置され、第2洗浄液チューブ16B2は第4クランプ26dに配置され、製品チューブ16Cは第6クランプ26fに配置される。またクランプ用チューブ16Fは、第1長辺41cに連結されて第2クランプ26bに配置される第1クランプ用チューブ16F1と、第2短辺41bに連結されて第5クランプ26eに配置される第2クランプ用チューブ16F2と、第2長辺41dに連結されて第7クランプ26gに配置される第3クランプ用チューブ16F3とを含む。
【0043】
カセット10のフレーム50は、各クランプ26によるチューブ16の流路44の開閉を確実に行うために、サイド部56から延出してチューブ16を保持する保持フレーム58を複数有する。各保持フレーム58は、第1及び第2長辺41c、41d、第2短辺41bに対応するサイド部56に設けられ、サイド部56から所定間隔離れたチューブ16の外周を保持している。
【0044】
カセット本体40の流路44は、各コネクタ60介して各チューブ16に連通している。この流路44は、培養物チューブ16Aと第1ポンプ用チューブ16E1の一端を連通する第1路44a、第1ポンプ用チューブ16E1の他端と第1処理チューブ16D1を連通する第2路44b、第1クランプ用チューブ16F1の一端と第1路44aの連結点αを連通する第3路44c、第3クランプ用チューブ16F3の一端と第2路44bの連結点βを連通する第4路44d、第1クランプ用チューブ16F1の他端と第3クランプ用チューブ16F3の他端を連通する第5路44e、第2ポンプ用チューブ16E2の一端と第5路44eの連結点γを連通する第6路44f、第2ポンプ用チューブ16E2の他端と第2短辺41b側に設けられた第1流路切替部46aを連通する第7路44g、第1洗浄液チューブ16B1と第1流路切替部46aを連通する第8路44h、第2洗浄液チューブ16B2と第1流路切替部46aを連通する第9路44i、第2クランプ用チューブ16F2の一端と第1流路切替部46aを連通する第10路44j、第2クランプ用チューブ16F2の他端と第2短辺41b側に設けられた第2流路切替部46bを連通する第11路44k、製品チューブ16Cと第2流路切替部46bを連通する第12路44l、第3ポンプ用チューブ16E3の他端と第2流路切替部46bを連通する第13路44m、及び第3ポンプ用チューブ16E3の一端と第2処理チューブ16D2を連通する第14路44nを含む。
【0045】
連結点α、β、γ、第1流路切替部46a、第2流路切替部46bでは、連結される流路44同士が連通して、一の流路44の液体を他の流路44へ淀みなく流通させる。なお第1流路切替部46aは、第7~第10路44g~44jを連結するために2箇所の連結点を有しているが、説明の便宜のためにひとまとまりにしている。
【0046】
また、カセット本体40は、流路44の圧力を検出するための検出用流路部48を有する。各検出用流路部48は、フレーム50に設けられた後記のグリッパ部材90(支持部)と、細胞洗浄装置15のロードセル100にグリップされることで、内部を流れる液体の圧力を検出可能とする。検出用流路部48の構成については後に詳述する。
【0047】
一方、
図1に戻り、キット12が取り付けられる細胞洗浄装置15は、箱状の装置本体80と、装置本体80内に回転自在に収容されるロータ82と、キット12の各医療用バッグ18を保持するスタンド84とを備える。また、装置本体80の外面には、洗浄処理を行う際の操作や表示を行う表示操作部86及び上記のカセット配置部34が設けられる。さらに装置本体80には細胞洗浄システム23の動作を制御する制御部88が設けられている。
【0048】
ロータ82は、円筒状に形成され、カセット配置部34の下方に設けられ、装置本体80内に設けられた図示しない回転駆動源により軸回りに回転する。ロータ82は、キット12の処理部20(処理ケース28)を収容した状態で回転することで、処理部20に流入された液体に遠心力を付与する。
【0049】
また、カセット配置部34は、装置本体80の上側の傾斜面に形成された枠構造を呈しており、枠構造の内側にカセット10を嵌め込むと、図示しないフックによりフレーム50をロックするように構成される。
【0050】
カセット配置部34は、上記したように第1~第3ポンプ24a~24c及び第1~第7クランプ26a~26gを枠構造の外周側に備えると共に、カセット10の保持フレーム58を配置可能としている。カセット配置部34へのカセット10の取り付けに伴って、ユーザの作業下に、複数のポンプ24、クランプ26がキット12の適宜のチューブ16に配置される。
【0051】
また、本実施形態に係る細胞洗浄システム23は、カセット10内の所定の流路44において流通する液体の圧力(状態)を検出する。具体的には、細胞洗浄システム23は、カセット10内の第1路44a、第2路44b、第6路44f、第7路44g、第13路44m及び第14路44nの各々に圧力検出手段36を備える。つまり各圧力検出手段36は、第1~第3ポンプ24a~24cの上流側と下流側にそれぞれ設けられている。そして、細胞洗浄装置15の制御部88は、第1~第3ポンプ24a~24cの駆動時の流量を各圧力検出手段36の圧力(差圧)に基づき算出して、第1~第3ポンプ24a~24cの制御にフィードバックする。
【0052】
図5Aに示すように、各圧力検出手段36は、カセット10と細胞洗浄装置15のセット状態で、カセット10の検出用流路部48とグリッパ部材90、及び細胞洗浄装置15のロードセル100により構成される。各圧力検出手段36は、グリッパ部材90とロードセル100により検出用流路部48を挟み込んで(グリップして)、検出用流路部48に液体が流動した際の検出用流路部48の荷重(圧力)を検出する。
【0053】
検出用流路部48は、カセット本体40の平面視で、連設される流路44に対し面方向且つ略正円形状に広がっている。検出用流路部48は、2枚の樹脂シート42の各々に形成された正円形状の平坦部49aと、平坦部49aの周縁に連なり平坦部49aよりも突出する隆起部49bとにより構成される。一対の平坦部49a及び一対の隆起部49bの間には、検出用流路部48において液体が流れる流通室48aが形成される。
【0054】
そして、フレーム50(覆い部54)側の樹脂シート42aの平坦部49aには、グリッパ部材90が予め取り付けられる。その一方で、細胞洗浄装置15(カセット配置部34)側の樹脂シート42bの平坦部49aには、セット状態でロードセル100が配置される。
【0055】
グリッパ部材90は、カセット本体40よりも硬質に構成され、適宜の固着手段により検出用流路部48に固着されると共に、フレーム50(覆い部54)の検出用流路部48の対向位置に設けられた孔部54aに取り付けられる。グリッパ部材90は、覆い部54に固定されることで、カセット本体40(検出用流路部48)のフレーム50側の樹脂シート42aを固定する。グリッパ部材90を構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、フレーム50であげた樹脂材料を適用してもよく、金属材料を適用してもよい。
【0056】
図6に示すように、グリッパ部材90は、フレーム50の覆い部54の厚さ方向に沿って軸を有する筒状に形成され、その外周面に凹凸が形成されている。より詳細には、グリッパ部材90は、検出用流路部48に固着される一端から他端に向かって順に、被固着部92、第1抜け止め部94、胴部96及び第2抜け止め部98を有する。
【0057】
被固着部92は、検出用流路部48に直接固着される部位であり、グリッパ部材90において最も大径且つ薄い円板状に形成されることで、可撓性を持っている。被固着部92の中央部は、第1抜け止め部94が連設されていることでその平坦性が維持されている。一方、被固着部92の外周部は容易に変形することが可能である。
【0058】
そして、被固着部92は、検出用流路部48の平坦部49aに中央部が固着され、隆起部49bに外周部が固着されることで、平坦部49a及び隆起部49bの形状に対応して適宜変形し、端面全面が樹脂シート42aに固着される。検出用流路部48とグリッパ部材90の固着手段は、特に限定されず、例えば、溶着や接着等を適用することができる。なお、検出用流路部48とグリッパ部材90とは、相互に固着されずに接触する構成でもよい。
【0059】
第1抜け止め部94は、被固着部92よりも小径に形成されるものの、フレーム50の孔部54aよりも大径な円環状に形成されている。この第1抜け止め部94により、グリッパ部材90はカセット本体40の反対側への抜けが防止され、また覆い部54から検出用流路部48までの間隔を一定に維持する。
【0060】
胴部96は、第1抜け止め部94よりもさらに細く、またフレーム50の孔部54aに略一致する直径に(孔部54aに篏合可能に)形成されている。この胴部96は、フレーム50の覆い部54の厚さと同一の長さに形成される。これにより胴部96が孔部54aに配置された状態で、第1及び第2抜け止め部94、98が覆い部54に面接触する。
【0061】
第2抜け止め部98は、フレーム50の孔部54aよりも大径な(第1抜け止め部94の直径と同程度の)円環状に形成されている。この第2抜け止め部98によりグリッパ部材90はカセット本体40側への抜けが防止される。グリッパ部材90は、第1抜け止め部94、胴部96、第2抜け止め部98に穴90aを有することで、第2付け止め部98の弾性変形が容易となっている。また第2抜け止め部98の外周面はテーパ状に形成されている。これにより、フレーム50に対するグリッパ部材90の取り付けを円滑に行うことができる。
【0062】
カセット10の形成では、カセット本体40の製造時に樹脂シート42にグリッパ部材90を固着することで、カセット本体40とグリッパ部材90を先に一体化させる。そしてカセット本体40をフレーム50に取り付ける際には、覆い部54の孔部54aにグリッパ部材90の第2抜け止め部98を差し込み、第1及び第2抜け止め部94、98の間に覆い部54を配置する。
【0063】
これによりカセット10は、検出用流路部48及びグリッパ部材90の位置を精度よく設定することができる。また、カセット本体40は、フレーム50に対してコネクタ60以外の箇所でもフレーム50に保持されるため、その平面状態が安定的に維持される。なお、カセット本体40の検出用流路部48を支持する構成は、特に限定されず、例えば、グリッパ部材90がフレーム50に一体成形されていてもよい。
【0064】
また、カセット10(キット12)は、
図7A及び
図7Bに示す変形例に係るグリッパ部材90Aを適用してもよい。このグリッパ部材90Aは、上記の被固着部92に代えて、カセット本体40側の端部に複数の突起99を備える。複数の突起99は、一方の樹脂シート42aの検出用流路部48(平坦部49a)に固着されることで、平坦部49aの変位を規制する。また複数の突起99は、接着剤又は溶融物等を相互の隙間に入り込ませることができ、グリッパ部材90が保持する樹脂シート42の高さ位置をより精度よく一定にさせる。
【0065】
一方、細胞洗浄装置15のロードセル100は、例えば、荷重測定方式が適用される。この場合、ロードセル100は、カセット配置部34に設けられるスチール102と、スチール102の下側近傍位置に配置される固定用磁石104と、固定用磁石104を上部に取り付けた荷重検出部106とを備える。
【0066】
スチール102は、平坦部49aに略一致する形状(円形状)に形成されており、検出用流路部48に液体が流動しておらず荷重を殆ど受けていない場合に、グリッパ部材90と協働して一対の平坦部49aの間隔を一定とする。そして、スチール102は、カセット本体40の検出用流路部48から荷重を受けた際に変位して、固定用磁石104に近接する。
【0067】
従って、荷重検出部106は、スチール102の変位に応じた固定用磁石104の荷重変化を検出し、検出用流路部48の荷重検出信号を細胞洗浄装置15の制御部88に送信する。
【0068】
次に、細胞洗浄システム23の洗浄処理におけるチューブ16、カセット10の流路44の動作について
図8~
図11を参照して説明する。
【0069】
細胞洗浄システム23の洗浄処理では、作業者が細胞洗浄装置15にカセット10を含むキット12をセットし、細胞洗浄装置15のポンプ24、クランプ26に対しキット12を
図4に示す配置とする。このセット後に、洗浄処理では、まずプライミング工程を実施する。プライミング工程において、細胞洗浄装置15は、第1~第3ポンプ24a~24cを適宜動作させて、第1又は第2洗浄液バッグ18B1、18B2の洗浄液をカセット10の流路44及び処理ケース28の内部空間28aに供給する。これにより流路44や内部空間28aの空気が抜けて洗浄液で満たされる。
【0070】
プライミング工程後、
図8に示すように、洗浄処理では、培養物バッグ18Aの培養物を処理ケース28に供給する1度目の培養物供給工程(第1回培養物供給工程)を行う。培養物供給工程において、細胞洗浄装置15は、第1ポンプ24aを駆動すると共に、培養物バッグ18Aから処理部20までの経路を連通して処理部20に培養物を移送する。そのため細胞洗浄装置15は、第1クランプ26aを開放すると共に、第2クランプ26b及び第7クランプ26gを閉塞する。これにより、培養物バッグ18Aの培養物は、培養物チューブ16A、第1路44a、第1ポンプ用チューブ16E1、第2路44bを通って第1処理チューブ16D1に流れ、処理ケース28の側部から内部空間28aに流入する。また培養物の移送時に、細胞洗浄装置15は、ロータ82を適宜の回転速度(例えば3000rpm)で回転させて処理ケース28に遠心力を付与する。
【0071】
さらに、本実施形態に係る細胞洗浄システム23は、培養物供給工程において、処理ケース28への培養物の供給と合わせて、処理ケース28に洗浄液を供給する。このため、細胞洗浄装置15は、第3クランプ26c及び第5クランプ26eを開放する一方で、第4クランプ26d及び第6クランプ26fを閉塞し、さらに第3ポンプ24cを駆動する。これにより第1洗浄液バッグ18B1の洗浄液は、第1洗浄液チューブ16B1、第8路44h、第10路44j、第2クランプ用チューブ16F2、第11路44k、第13路44m、第3ポンプ用チューブ16E3、第14路44nを通って第2処理チューブ16D2に流れ、処理ケース28の頂部から内部空間28aに流入する。
【0072】
培養物供給工程において、処理ケース28への培養物の供給量は、例えば5~50mL/minに設定され、また処理ケース28への洗浄液の供給量は、例えば2.5mL/minに設定される。これにより細胞洗浄システム23は、処理ケース28内で培養物の細胞が遠心方向外側に強く押圧することを洗浄液により抑制して、細胞を保護することができる。処理ケース28内で洗浄液、及び培養物に含まれる培地は、細胞よりも比重が軽いため、遠心力によって処理ケース28の底部に移動して廃棄用チューブ16Gに流出する。
【0073】
次に洗浄処理では、
図9に示すように、培養物バッグ18Aに洗浄液を供給して、培養物バッグ18Aに付着した細胞を剥離する剥離工程を行う。剥離工程において、細胞洗浄装置15は、第1洗浄液バッグ18B1から培養物バッグ18Aまでの経路を連通する。具体的には、細胞洗浄装置15は、第1クランプ26a、第2クランプ26b、第3クランプ26cを開放すると共に、第4クランプ26d及び第7クランプ26gを閉塞する。これにより、第1洗浄液バッグ18B1の洗浄液は、第1洗浄液チューブ16B1、第8路44h、第7路44g、第2ポンプ用チューブ16E2、第6路44f、第5路44e、第1クランプ用チューブ16F1、第3路44c、第1路44aを通って培養物チューブ16Aに流れて、培養物バッグ18Aに流入する。
【0074】
なお、剥離工程時でも、処理ケース28には洗浄液を供給し、またロータ82を回転させて処理ケース28に遠心力を付与する。すなわち、細胞洗浄装置15は、第3クランプ26c及び第5クランプ26eを開放する一方で、第4クランプ26d及び第6クランプ26fを閉塞し、さらに第3ポンプ24cを駆動する。これにより、処理ケース28内では、培養物の遠心分離、培地及び洗浄液の廃棄が進行する。
【0075】
そして、細胞洗浄システム23は、剥離工程後に2度目の培養物供給工程(第2回培養物供給工程)を行う。細胞洗浄装置15は、この第2回培養物供給工程も第1培養物供給工程と同じ動作を行うことで、剥離工程により剥離した細胞を処理ケース28に供給する(
図8参照)。そして、細胞洗浄装置15は、処理ケース28において剥離した培養物を遠心分離し、また供給された洗浄液と共に培地を処理ケース28から廃棄する。これにより、培養物バッグ18A内の細胞を残さず処理することができる。
【0076】
第2回培養物供給工程後、細胞洗浄システム23は、
図10に示すように、処理ケース28にさらに洗浄液を供給して細胞を洗浄する(培地を除去する)洗浄工程を行う。洗浄工程において、細胞洗浄装置15は、第1及び第2洗浄液バッグ18B1、18B2から処理ケース28までの経路を連通する。具体的には、第3クランプ26c、第4クランプ26d、第5クランプ26e、第7クランプ26gを開放する一方で、第1クランプ26a、第2クランプ26b及び第6クランプ26fを閉塞する。また細胞洗浄装置15は、第2及び第3ポンプ24b、24cを駆動することで、2つの経路(第1及び第2処理チューブ16D1、16D2)を通して、第1及び第2洗浄液バッグ18B1、18B2の洗浄液を処理ケース28に供給する。さらに洗浄工程でも、細胞洗浄装置15は、ロータ82を回転させて処理ケース28に遠心力を付与する。
【0077】
この場合、第1及び第2洗浄液バッグ18B1、18B2の洗浄液は、第1及び第2洗浄液チューブ16B1、16B2の各々を介してカセット10の流路44(第8路44h、第9路44i)に流入し第1流路切替部46aに流通する。そして一の経路として、洗浄液は、第7路44g、第2ポンプ用チューブ16E2、第6路44f、第5路44e、第3クランプ用チューブ16F3、第4路44d、第2路44bを通って第1処理チューブ16D1に流れて、処理ケース28の側部から内部空間28aに流入する。また他の経路として、洗浄液は、第10路44j、第2クランプ用チューブ16F2、第11路44k、第13路44m、第3ポンプ用チューブ16E3、第14路44nを通って第2処理チューブ16D2に流れ、処理ケース28の頂部から内部空間28aに流入する。これにより処理ケース28内では、遠心分離された培地の除去がさらに進行して、細胞の濃度が高められる。
【0078】
洗浄工程後、細胞処理では、
図11に示すように、洗浄した処理ケース28内の細胞を製品バッグ18Cに移送する製品移送工程を実施する。製品移送工程において、細胞洗浄装置15は、処理ケース28から製品バッグ18Cまでの経路を連通すると共に、第1洗浄液バッグ18B1から処理ケース28までの経路を連通する。そのため細胞洗浄装置15は、第3クランプ26c、第6クランプ26f、第7クランプ26gを開放する一方で、第1クランプ26a、第2クランプ26b、第4クランプ26d、第5クランプ26eを閉塞する。また細胞洗浄装置15は、第2及び第3ポンプ24b、24cを駆動すると共に、洗浄工程等よりも低い回転速度(例えば2400rpm)でロータ82を回転させる。
【0079】
これにより、第1洗浄液バッグ18B1の洗浄液は、第1洗浄液チューブ16B1、第8路44h、第7路44g、第2ポンプ用チューブ16E2、第6路44f、第5路44e、第3クランプ用チューブ16F3、第4路44d、第2路44bを通って第1処理チューブ16D1に流れて、処理ケース28の側部から内部空間28aに流入する。また処理ケース28内の細胞(洗浄液を含む)は、第2処理チューブ16D2、第14路44n、第3ポンプ用チューブ16E3、第13路44m、第12路44lを通って製品チューブ16Cに流れて、製品チューブ16Cから製品バッグ18Cに流入する。この製品移送工程において、第2ポンプ24bによる洗浄液の流動量と第3ポンプ24cによる製品(細胞)の流動量とは、同一(例えば、40mL/min)に設定される。
【0080】
上記の処理により、製品バッグ18Cには、洗浄された細胞(高濃度の細胞)が貯留されることになり、細胞洗浄システム23の洗浄処理が終了する。洗浄処理の終了後、作業者は、キット12の製品チューブ16Cを切断及びシールして、製品バッグ18Cをキット12から分離する。カセット10を含むキット12は細胞洗浄装置15から取り外されて廃棄される。
【0081】
以上の洗浄処理では、細胞洗浄システム23の各流路44(第1路44a、第2路44b、第6路44f、第7路44g、第13路44m及び第14路44n)の各圧力検出手段36において圧力を検出する。
図5A及び
図5Bに示すように、圧力検出手段36では、グリッパ部材90が一方の樹脂シート42aの平坦部49a(検出用流路部48)を位置決めしている一方で、他方の樹脂シート42bの平坦部49aがロードセル100に対向している。
【0082】
従って、検出用流路部48の流通室48aに液体が流れていない場合には、流通室48a内から平坦部49aに圧力がかかっておらず、ロードセル100のスチール102は殆ど変位していない。このため荷重検出部106は、弱い圧力を検出する。その一方で、検出用流路部48の流通室48aに液体が流れている場合には、流通室48aの液体から平坦部49aに圧力がかかることで、ロードセル100のスチール102が固定用磁石104に近接する方向に変位する。これにより荷重検出部106は、スチール102の変位に応じた固定用磁石104の荷重を検出して細胞洗浄装置15の制御部88に送信する。
【0083】
特に、流通室48aに液体が流動しても、覆い部54側の樹脂シート42aはグリッパ部材90に支えられているので、検出用流路部48の一方の平坦部49aは変位しない。その結果、他方の平坦部49aは、確実且つ大きく変位することになり、ロードセル100での圧力検出を良好に実施させることができる。
【0084】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。例えば、カセット10(カセット本体40)の各流路44の形状は、自由に設計してよいことは勿論である。
【0085】
また
図12に示すように、他の実施形態に係るカセット10A(キット12A、細胞洗浄システム23A)は、カセット本体40の周囲を囲うサイド部56を備える一方で、覆い部54を備えずに開口52bを有するフレーム50Aを適用している点で、第1実施形態に係るカセット10と異なる。この場合、細胞洗浄装置15Aは、カセット10Aを配置するカセット配置部34を備えると共に、カセット配置部34に取り付けたカセット10Aを閉じる蓋体110を備える。
【0086】
このように、フレーム50Aがサイド部56のみで構成されていても、カセット本体40の外縁41から突出する複数のコネクタ60を、フレーム50A(サイド部56)の係止部70により支持することができる。よって、カセット10Aは、カセット本体40を張った状態でフレーム50Aに保持しており、細胞洗浄装置15Aに容易にセットされる。
【0087】
またこの形態において、細胞洗浄システム23Aの圧力検出手段36は、カセット配置部34に設けた検出部112と、蓋体110に設けた検出用磁石114とで構成することができる。すなわち、検出用磁石114は、セット状態で蓋体110が閉じることにより、検出部112と反対側の検出用流路部48に接触して、検出部112との間でグリップする。そして、検出用流路部48への液体の流動に伴い検出用磁石114が変位すると、検出用磁石114の変位に伴う磁気変化を検出部112が検出する。これにより、検出部112は検出用流路部48の圧力を簡単に検出することができる。
【0088】
また例えば、生体成分処理システム22が処理する生体成分は、細胞に限定されず、血球成分、リンパ球成分等を抽出するものでもよい。従って、カセット10A、キット12A及び生体成分処理装置14は、血液成分分離移送システムを構成してもよい。この場合、キット12Aは、複数の医療用バッグ18を有し全血又は血液成分を流通可能な血液キットに構成され、生体成分処理装置14は、血液を遠心分離して適宜の医療用バッグ18移送させる遠心分離移送装置に構成される。また、カセット10Aは、遠心分離移送装置へのキット12Aのセットを容易化するためにキット12Aに設けられる。
【0089】
上記の実施形態から把握し得る技術的思想及び効果について、以下に記載する。
【0090】
本発明の第1の態様は、生体成分を有する液体を流通させる生体成分用カセット10、10Aであって、液体の流路44を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体40と、カセット本体40よりも硬質に形成され、カセット本体40を保持するフレーム50、50Aとを備え、フレーム50、50Aは、カセット本体40を収容する収容空間52と、収容空間52を形成するサイド部56とを有し、カセット本体40は、当該カセット本体40の一方の面が収容空間52の底部52bで覆われ、当該カセット本体40の他方の面がフレーム50、50Aから露出されている。
【0091】
上記によれば、生体成分用カセット10、10Aは、可撓性を有するカセット本体40を硬質なフレーム50、50Aにより保持する。これにより、生体成分の処理に用いる複数の経路を生体成分処理装置14に簡単にセットさせることができ、作業効率を高めることが可能となる。そして、サイド部56がカセット本体40の一方の面を露出させ、且つ可撓性を有するカセット本体40が流路44を構成していることで、カセット本体40に対し流路44の変形等の動作を容易に行うことができ、流路44の液体の状態を良好且つ精度よく検出させることができる。
【0092】
また、収容空間52は、サイド部56と底部52bとで形成された凹形状によって規定されている。これにより、生体成分用カセット10、10Aは、サイド部56と底部52bにより規定された収容空間52においてカセット本体40を良好に保持することができる。
【0093】
また、フレーム50は、収容空間52の底部52bを形成する覆い部54を有する。これにより、生体成分用カセット10は、装置に取り付けられた際に、覆い部54がカセット本体40を覆って非露出とすることができ、カセット本体40内の流路44を安定的に動作させることができる。
【0094】
また、覆い部54は、カセット本体40に向かって突出し、カセット本体40の一方の面に接触して支持する支持部(グリッパ部材90、90A)を有する。生体成分用カセット10は、支持部を有することで、装置の圧力検出手段36(ロードセル100)と協働して、検出用流路部48を挟み込む(グリップする)ことが可能となり、検出用流路部48の液体の圧力検出を良好に実施させることができる。
【0095】
また、カセット本体40の流路44が延在する所定位置には、生体成分用カセット10、10Aが取り付けられる装置による液体の状態を検出するための検出用流路部48が設けられ、支持部(グリッパ部材90、90A)は、検出用流路部48の対向位置に設けられる。生体成分用カセット10、10Aは、検出用流路部48をカセット本体40に備えることで、流路44を流れる液体の状態を精度よく認識することが可能となる。
【0096】
また、検出用流路部48は、カセット本体40の厚さ方向に突出すると共に、流路44からカセット本体40の面方向に広がる平坦部49aを有する。これにより、検出用流路部48の平坦部49aは、流路44を流れる液体の状態として圧力を一層良好に検出させることができる。
【0097】
また、支持部は、覆い部54に取り付けられるグリッパ部材90、90Aであり、グリッパ部材90、90Aは、可撓性を有すると共にカセット本体40に固着される被固着部92を有する。これにより、グリッパ部材90は、カセット本体40に固着した状態でフレーム50に取り付けることができ、より簡単に製造することが可能となる。またフレーム50に取り付けられたグリッパ部材90は、検出用流路部48をグリップして圧力検出を精度よく実施させることができる。
【0098】
また、カセット本体40は、流路44に連通するコネクタ60を外縁41に有し、サイド部56は、コネクタ60を係止する係止部70を備える。このようにコネクタ60を外縁41に備えることにより、生体成分用カセット10、10Aは、コネクタ60を介してカセット本体40とサイド部56の連結を強固に行うことができる。
【0099】
また、係止部70は、コネクタ60に接続されたチューブ16と、コネクタ60とがまとめて挿入されることでサイド部56へのコネクタ60の係止を行う係止凹部72を有する。このように、生体成分用カセット10、10Aは、係止凹部72を有することで、コネクタ60及びチューブ16を係止凹部72に一層強固に係止することが可能となる。
【0100】
また、コネクタ60は、カセット本体40に接続される筒部分よりも径方向外側に突出するフランジ部66を備え、係止部70は、フランジ部66を収容することでコネクタ60を当該コネクタ60の軸方向に移動不能とする移動規制部74を備える。生体成分用カセット10、10Aは、フランジ部66及び移動規制部74によりコネクタ60を軸方向に移動不能とすることで、カセット本体40をフレーム50、50Aに対して面方向に張った状態で保持することができる。これにより、外部の装置に対するカセット本体40の位置決めを良好に行うことができる。
【0101】
また、カセット本体40は、平面視で方形状に形成され、且つ四方の外縁41の各々にコネクタ60が設けられ、これら複数のコネクタ60がサイド部56に設けられた複数の係止部70に支持される。生体成分用カセット10、10Aは、四方の外縁41のコネクタ60がサイド部56の係止部70に支持されることで、カセット本体40をより安定的に保持することが可能となる。これによりカセット本体40の流路44は、液体を円滑に流すことができる。
【0102】
また、カセット本体40は、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリウレタン樹脂のうちいずれかにより構成されている。これにより、カセット本体40は、製造コストが低廉化すると共に、成形精度を高めることができる。
【0103】
また、本発明の第2の態様は、生体成分を含有する液体を流通させるチューブ16と、チューブ16が接続される生体成分用カセット10、10Aとを有する生体成分用キット12、12Aであって、生体成分用カセット10、10Aは、液体の流路44を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体40と、カセット本体40よりも硬質に形成され、カセット本体40を保持するフレーム50、50Aとを備え、フレーム50、50Aは、カセット本体40を収容する収容空間52と、収容空間52を形成するサイド部56とを有し、カセット本体40は、当該カセット本体40の一方の面が収容空間52の底部52bで覆われ、当該カセット本体40の他方の面がフレーム50、50Aから露出されている。これにより、生体成分用キット12、12Aは、カセット本体40の流路44を変形可能としつつ、チューブ16によって構成される複数の経路をより簡単に装置にセット可能とし、作業効率を高めることができる。
【0104】
また、本発明の第3の態様は、生体成分を有する液体を流通させるチューブ16と、チューブ16が接続される生体成分用カセット10、10Aを有する生体成分用キット12、12A、及び生体成分用キット12、12Aがセットされる生体成分処理装置14を有する生体成分処理システム22であって、生体成分用カセット10、10Aは、液体の流路44を内部に備え、且つ可撓性を有するシート状に形成されたカセット本体40と、カセット本体40よりも硬質に形成され、カセット本体40を保持するフレーム50、50Aとを備え、フレーム50、50Aは、カセット本体40を収容する収容空間52と、収容空間52を形成するサイド部56とを有し、カセット本体40は、当該カセット本体40の一方の面が収容空間52の底部52bで覆われ、当該カセット本体40の他方の面がフレーム50、50Aから露出されており、生体成分処理装置14は、生体成分用カセット10、10Aがセットされるカセット配置部34を有する。これにより、生体成分処理システム22は、カセット本体40の流路44を変形可能としつつ、チューブ16によって構成される複数の経路をより簡単に装置にセット可能とし、作業効率を高めることができる。
【0105】
フレーム50Aは、サイド部56でカセット本体40を保持し、当該カセット本体40の両面を露出させており、生体成分処理装置14は、生体成分用カセット10Aの配置状態で、カセット本体40を覆う蓋体110を有する。これにより、生体成分処理システム22は、生体成分用カセット10Aの軽量化が図られると共に、生体成分処理装置14に簡単にセットさせることができる。
【符号の説明】
【0106】
10、10A…生体成分用カセット(カセット)
12、12A…生体成分用キット(キット)
14…生体成分処理装置 15、15A…細胞洗浄装置
16…チューブ 18…医療用バッグ
20…処理部 22…生体成分処理システム
23、23A…細胞洗浄システム 36…圧力検出手段
40…カセット本体 41…外縁
42…樹脂シート 44…流路
48…検出用流路部 50、50A…フレーム
56…サイド部 60…コネクタ
70…係止部 90、90A…グリッパ部材
100…ロードセル