(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119623
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20230822BHJP
【FI】
F24D17/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022573
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵祐
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA03
3L073AA07
3L073AA13
3L073DF02
(57)【要約】
【課題】出湯端末から確実に温かい湯水を出湯させることのできる給湯システムを提供する。
【解決手段】給湯源と出湯端末400との間で湯水を循環する即湯循環回路と、 即湯循環回路内の湯水の温度を検出する即湯温度検出手段74と、即湯循環回路に設けられた即湯循環ポンプ73とを有し、即湯循環ポンプ73の作動を開始させた後、即湯循環回路内の湯水の温度が所定の即湯停止温度以上となり、且つ即湯循環ポンプ73の作動開始からの作動時間が所定の即湯停止時間以上になると、即湯循環ポンプ73を停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出湯端末に湯水を給湯する給湯源と、
給湯源と出湯端末との間で湯水を循環させる即湯循環回路と、
即湯循環回路内の湯水の温度を検出する即湯温度検出手段と、
即湯循環回路に設けられた即湯循環ポンプと、
即湯循環ポンプを作動させて即湯循環回路内の湯水の温度を上昇させる即湯制御を実行する制御装置と、を有し、
制御装置は、即湯循環ポンプの作動を開始させた後、即湯循環回路内の湯水の温度が所定の即湯停止温度以上となり、且つ即湯循環ポンプの作動開始からの作動時間が所定の即湯停止時間以上になると、即湯循環ポンプを停止させる制御構成を有する給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
給湯源は、加熱熱源と、加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路とを有し、
即湯循環回路は、貯湯タンクと出湯端末との間で形成されており、
即湯停止温度は、貯湯タンクに貯湯される湯水の貯湯設定温度より低く設定される給湯システム。
【請求項3】
請求項2に記載の給湯システムにおいて、
即湯停止時間は、貯湯タンクから出湯端末までの給湯往き管の配管長さに応じて設定される給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関する。特に、本発明は、即湯機能を有する給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯タンクと給湯管と給水管との間で循環流路を形成する給湯循環配管と、給湯循環配管内で温水を循環させる循環ポンプと、給湯循環配管内の温水の温度を検出する循環温度センサとを備え、循環温度センサの検出温度に基づいて、循環ポンプを作動、停止させる即湯機能を有する電気温水器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、理美容院などの施設で利用される給湯システムでは、複数のシャワーやカランなどの出湯端末に所定の給湯温度の多量の湯水を安定して供給するため、加熱熱源や貯湯タンクを有する給湯源を施設外に設置し、給湯源と出湯端末とを一定の長さを有する配管で接続している。このような給湯システムでは、出湯端末で湯水が使用されないとき、自然放熱により配管が冷却されるため、出湯端末で湯水の使用が再開されると、出湯端末から低温の湯水が出湯され、温調性能を悪化させる。このため、特許文献1のように、給湯源と出湯端末との間を循環回路で接続し、循環回路に循環ポンプと温度センサとを設け、温度センサで検出される温度が低下すると、循環ポンプを作動させて、循環回路内の湯水の温度を上昇させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、配管長さが長いと、配管が敷設されるパイプスペースの一部の周辺温度が高かったり、凍結防止のためにヒータなどの加熱手段が配管に設けられたりする場合がある。また、給湯源から出湯端末に湯水を供給する配管と、出湯端末から給湯源に湯水を戻す配管とが異なる配管経路で配設される場合もある。そのため、温度センサが設けられる位置によっては、温度センサが局所的に加熱された湯水の温度を検出し、循環回路内の湯水の温度が上昇する前に循環ポンプの作動が停止されるという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、出湯端末から確実に温かい湯水を出湯させることができる給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
出湯端末に湯水を給湯する給湯源と、
給湯源と出湯端末との間で湯水を循環させる即湯循環回路と、
即湯循環回路内の湯水の温度を検出する即湯温度検出手段と、
即湯循環回路に設けられた即湯循環ポンプと、
即湯循環ポンプを作動させて即湯循環回路内の湯水の温度を上昇させる即湯制御を実行する制御装置と、を有し、
制御装置は、即湯循環ポンプの作動を開始させた後、即湯循環回路内の湯水の温度が所定の即湯停止温度以上となり、且つ即湯循環ポンプの作動開始からの作動時間が所定の即湯停止時間以上になると、即湯循環ポンプを停止させる制御構成を有する給湯システムが提供される。
【0008】
上記給湯システムによれば、即湯循環ポンプの作動を開始させた後、即湯循環回路内の湯水の温度が所定の即湯停止温度以上となり、且つ即湯循環ポンプの作動開始からの作動時間が所定の即湯停止時間以上になると、即湯循環ポンプを停止させるから、配管の一部のみが加熱されて即湯循環回路内で局所的に湯水の温度が所定の即湯停止温度以上となった場合でも、所定の即湯停止時間まで即湯循環ポンプが作動される。これにより、即湯循環回路内の湯水の温度を上昇させることができるから、出湯端末から確実に温かい湯水を出湯させることができる。
【0009】
好ましくは、上記給湯システムにおいて、
給湯源は、加熱熱源と、加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路とを有し、
即湯循環回路は、貯湯タンクと出湯端末との間で形成されており、
即湯停止温度は、貯湯タンクに貯湯される湯水の貯湯設定温度より低く設定される。
【0010】
上記給湯システムによれば、給湯源は、加熱熱源と、加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路とを有し、即湯循環回路は、貯湯タンクと出湯端末との間で形成され、即湯停止温度は、貯湯タンクに貯湯される湯水の貯湯設定温度より低く設定されるから、即湯循環回路内の即湯停止温度の湯水が貯湯タンクに戻り、貯湯タンクから加熱熱源に湯水が供給されたとき、加熱熱源で貯湯タンクから送出される湯水を確実に加熱することができる。これにより、加熱熱源で加熱された湯水を貯湯タンクに戻すことができるから、貯湯タンクから所定の給湯温度の湯水を出湯端末に供給することができる。
【0011】
好ましくは、上記給湯システムにおいて、
即湯停止時間は、貯湯タンクから出湯端末までの給湯往き管の配管長さに応じて設定される。
【0012】
上記給湯システムによれば、即湯停止時間は、貯湯タンクから出湯端末までの給湯往き管の配管長さに応じて設定されるから、給湯往き管内の湯水の温度を上昇させることができるとともに、即湯循環回路から貯湯タンク内に戻される湯水の量が制限され、不要な湯水の循環を防止することができ、過度に湯水を循環させることによって生じる貯湯タンク内の湯水の温度成層の崩れを抑えることができる。これにより、貯湯タンクから所定の給湯温度の湯水を出湯端末に供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、出湯端末から確実に温かい湯水を出湯させることができる給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯システムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る給湯システムの即湯制御における制御動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る給湯システムの即湯制御における配管長さと即湯停止時間との対応関係を示すデータテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る給湯システムを説明する。
図1は、本実施の形態の給湯システムの一例を示す概略構成図である。この給湯システムは、理美容院などの商業施設に利用することができる。給湯システムは、給湯加圧タンクユニット1と熱源機ユニット500とを備え、給湯加圧タンクユニット1から複数のシャワーやカランなどの出湯端末400に水や湯水が供給されるように構成されている。熱源機ユニット500は、加熱熱源である第1ガス熱源機501と第2ガス熱源機502とを有する。給湯加圧タンクユニット1は、一次給水を受水する給水タンク2と、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク6とを備える。なお、給湯システムは、加熱熱源として1台または3台以上のガス熱源機を有してもよいし、ガス熱源機の代わりにヒートポンプや電気ヒータなどを用いてもよい。
【0016】
第1及び第2ガス熱源機501,502は、ガス給湯器であり、図示しないが、筐体内にガスバーナや熱交換器などを有する加熱ユニットを有する。第1及び第2ガス熱源機501,502と貯湯タンク6とは、貯湯タンク6からの湯水や給水タンク2からの水を第1及び第2ガス熱源機501,502に送る加熱往き管40と、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水を貯湯タンク6に戻す加熱戻り管44とからなる加熱循環回路により接続されている。本実施の形態においては、第1及び第2ガス熱源機501,502と、貯湯タンク6と、加熱往き管40及び加熱戻り管44とにより給湯源を構成している。
【0017】
加熱往き管40は、一端が貯湯タンク6の下部に接続され、他端が第1ガス熱源機501と第2ガス熱源機502とに接続されるように中途で第1加熱往き管41と第2加熱往き管42とに分岐されている。加熱戻り管44は、一端が各ガス熱源機501,502に接続された第1加熱戻り管45と第2加熱戻り管46とが中途で合流し、他端が貯湯タンク6の上部に接続されている。また、加熱往き管40における第1及び第2加熱往き管41,42の分岐部より上流側で、後述する給水管3との合流部より下流側には、加熱往き温度センサ50が介設されている。
【0018】
第1及び第2加熱往き管41,42にはそれぞれ、第1加熱循環ポンプ51及び第2加熱循環ポンプ52が介設され、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の下流側には、逆止弁53,54が介設されている。従って、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52を作動させるとともに、第1及び第2ガス熱源機501,502を作動させることにより、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水が貯湯タンク6に貯湯される。第1及び第2加熱循環ポンプ51,52は給湯制御装置Cに接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号によりその作動及び停止や回転数が制御される。また、第1及び第2ガス熱源機501,502の熱源機制御装置C1,C2は、給湯制御装置Cと接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号により第1及び第2ガス熱源機501,502の作動が制御される。加熱往き温度センサ50で検出される検出温度の検出信号は給湯制御装置Cに出力され、ガス熱源機501,502内に配設された図示しない各種センサで検出される検出温度等の検出信号は、熱源機制御装置C1,C2に出力される。
【0019】
貯湯タンク6の下部に接続された加熱往き管40には、給水管3との合流部より上流側に、貯湯タンク6から加熱往き管40に供給される湯水の温度を検出するタンク下温度センサ55と、バルブ56とが介設されている。タンク下温度センサ55で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。バルブ56は、手動で開閉可能なものだが、給湯制御装置Cからの制御信号により開閉制御される構成としてもよい。
【0020】
貯湯タンク6は、耐食性に優れた金属(例えば、ステンレス)製のタンクであり、図示しないが、外周が断熱材によって覆われている。本実施の形態の貯湯タンク6の容量は、例えば、50Lである。貯湯タンク6の下部には、既述した加熱往き管40と、後述する出湯端末400からの湯水を戻す給湯戻り管72とが接続されており、貯湯タンク6の上部には、既述した加熱戻り管44と、後述する出湯端末400に繋がる給湯往き管71とが接続されている。貯湯タンク6には、内部の湯水の温度を検出するための第1貯湯温度センサ61、第2貯湯温度センサ62、及び第3貯湯温度センサ63が、上方から順に、所定の間隔をあけて取り付けられている。また、給湯加圧タンクユニット1は、貯湯タンク6の下方に、外気温を検出する外気温温度センサ80を有する。これらの温度センサ61,62,63,80で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0021】
貯湯タンク6の上部に接続された加熱戻り管44には、貯湯タンク6内の空気を排気するための自動エア抜き弁57と、貯湯タンク6に流入する湯水の温度を検出する加熱戻り温度センサ58とが介設されている。加熱戻り温度センサ58で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0022】
貯湯タンク6の上方には、ガス熱源機501,502、貯湯タンク6や出湯端末400に給水するための略矩形箱状の給水タンク2が配設されている。本実施の形態の給水タンク2の容量は、例えば、45Lである。給水タンク2の上部には、市水が流れてくる一次給水管10が接続され、給水タンク2の下部には、給水管3が接続されている。一次給水管10は、2本の第1一次給水管11と第2一次給水管12とに分岐して給水タンク2に接続されており、第1及び第2一次給水管11,12にはそれぞれ、上流側から順に、第1ガバナ13及び第2ガバナ14と第1給水電磁弁15及び第2給水電磁弁16とが介設されている。第1及び第2給水電磁弁15,16は給湯制御装置Cと接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号により開閉制御される。このように、複数の一次給水管11,12を給水タンク2に接続することにより、圧力損失を低減して、短時間で給水タンク2に水を給水することができる。図示しないが、給水タンク2は、一部、大気開放されている。
【0023】
給水タンク2は、第1及び第2一次給水管11,12の接続口より下方で給水管3の接続口より上方の一側壁に開口を有する。この側壁の開口には、オーバーフロー管200が接続されている。給水タンク2の他の一側壁には、給水タンク2内の水位を検出するオーバーフロートセンサ22、Hiフロートセンサ23、Lowフロートセンサ24、及び低水位フロートセンサ25が、上方から順に、所定の間隔で配設されている。図示しないが、給水タンク2内には、一端がオーバーフロー管200に連通し、他端がオーバーフロートセンサ22と略同一の高さで、上方に開放する略U字状のトラップ管が配設されている。このため、余分な水は、トラップ管及びオーバーフロー管200を通って外部に排出される。フロートセンサ22,23,24,25で検出される水位の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0024】
給水タンク2の下部に一端が接続された給水管3は、水が並列に流れるように、上流側で第1給水管31と第2給水管32とに分岐している。第1給水管31と第2給水管32との分岐部より上流側には、給水加圧ポンプ37が介設されている。給水加圧ポンプ37は給湯制御装置Cに接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号によりその作動及び停止や回転数が制御される。
【0025】
第1給水管31には、上流側から順に、逆止弁33と、水圧を検出する圧力センサ(圧力検出手段)35とが介設されており、第2給水管32には、上流側から順に、逆止弁34と、水の流量を検出する水量センサ(水量検出手段)36とが介設されている。並列の水路を設けることなく、圧力センサと水量センサとを単一の水路に介設することもできるが、水が並列に流れるように水路を形成して、各水路に圧力センサと水量センサとを介設することにより、圧力損失を低減することができる。なお、各水路で水の流量は異なるが、圧力損失が分かっていれば、水量センサ36で検出される水の流量から給水管3全体の水の流量を算出することができる。圧力センサ35で検出される検出圧力の検出信号や水量センサ36で検出される検出流量の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0026】
第1給水管31と第2給水管32とは、圧力センサ35及び水量センサ36より下流側の合流部で合流しており、給水管3の他端は、貯湯タンク6の下部に接続された加熱往き管40との合流部に繋がっている。また、給水管3は、第1及び第2給水管31,32の合流部より下流側で、出湯端末400に接続される給水往き管38に分岐している。従って、本実施の形態では、給水加圧ポンプ37を作動させることにより、貯湯タンク6、ガス熱源機501,502や出湯端末400に水が供給され、第1及び第2給水管31,32や給水往き管38を含む給水管3が給水回路を構成する。給水往き管38は、出湯端末400のシャワーやカランの数などに応じて複数に分岐している。給水往き管38の分岐部より下流側の給水管3には、逆止弁39が介設されている。
【0027】
貯湯タンク6の下部に一端が接続された給湯戻り管72は、他端が出湯端末400で給湯往き管71と接続されている。給湯戻り管72には、即湯循環ポンプ73が介設され、即湯循環ポンプ73の下流側には、即湯戻り温度センサ(即湯温度検出手段)74と、逆止弁75とが介設されている。従って、本実施の形態では、即湯循環ポンプ73を作動させることによって、貯湯タンク6と出湯端末400との間で湯水が循環され、貯湯タンク6と出湯端末400との間を接続する給湯往き管71及び給湯戻り管72が即湯循環回路を構成する。
【0028】
本実施の形態の給湯システムにおける即湯制御については後述するが、主たる運転制御について概要すると、出湯端末400の湯栓が開栓されて、給水加圧ポンプ37の作動が開始されたときに、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が所定の貯湯開始温度より高ければ、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52を作動させることなく、給水タンク2から給水管3及び貯湯タンク6に接続されたタンク下の加熱往き管40を介して貯湯タンク6に水が供給され、貯湯タンク6内の湯水が給湯往き管71を介して出湯端末400に供給される。また、貯湯タンク6内への水の供給により湯水の温度が低下してきて、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が貯湯開始温度以下になると、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の作動が開始されて、貯湯タンク6の下部から加熱往き管40に湯水が供給され、給水タンク2からの水と貯湯タンク6からの湯水とが混合されて、第1及び第2ガス熱源機501,502に供給される。そして、第1及び第2ガス熱源機501,502で所定の出湯温度に加熱された湯水が加熱戻り管44を介して貯湯タンク6に戻される。また、貯湯タンク6から給湯往き管71に湯水が送出され、給湯往き管71を介して出湯端末400に湯水が供給される(出湯制御)。
【0029】
また、全ての出湯端末400が閉栓された状態で、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が貯湯開始温度以下になると、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の作動が開始されて、貯湯タンク6内の湯水が第1及び第2ガス熱源機501,502に供給され、第1及び第2ガス熱源機501,502で所定の出湯温度に加熱された湯水が貯湯タンク6に戻されることにより、貯湯タンク6内の湯水の温度が維持される(貯湯制御)。
【0030】
なお、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52は、出湯端末400での湯水の使用量等に応じて、同時にまたは個別に作動され、それに応じて第1及び第2ガス熱源機501,502も、同時にまたは個別に作動される。
【0031】
給湯システムは、給湯加圧タンクユニット1に設けられた給湯制御装置Cと、第1及び第2ガス熱源機501,502に設けられた熱源機制御装置C1,C2と、給湯システムの運転に関する操作をユーザが行うためのリモコンRとを備える。給湯制御装置Cと熱源機制御装置C1,C2とは、相互に通信可能に有線または無線により接続されており、給湯制御装置CとリモコンRとは、相互に通信可能に有線または無線により接続されている。
【0032】
リモコンRは、ユーザによる図示しない操作スイッチの操作に応じて、給湯システムの電源のオンオフ、貯湯タンク6内の湯水の貯湯設定温度(出湯制御や貯湯制御において第1及び第2ガス熱源機501,502から出湯される湯水の出湯温度)、水圧モードの設定などの運転操作情報を給湯制御装置Cに指示するように構成された端末装置である。リモコンRには、給湯システムの各種情報を表示する表示器が備えられている。なお、リモコンRの代わりに、またはリモコンRとともに、給湯制御装置Cと通信可能に接続されたスマートホンやタブレット端末などの携帯端末を用いることができる。
【0033】
給湯制御装置C及び熱源機制御装置C1,C2はそれぞれ、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。メモリには、各種運転プログラムや運転プログラムを実行するための設定値などの各種データが格納されている。
【0034】
給湯制御装置Cには、既述した各種センサ(温度センサ50,55,58,61,62,63,74,80、圧力センサ35、水量センサ36、フロートセンサ22~25)の検出信号が入力されるとともに、リモコンRから運転操作情報が入力される。また、熱源機制御装置C1,C2には、第1及び第2ガス熱源機501,502に設けられた図示しない各種センサからの検出信号が入力され、制御信号を給湯制御装置Cに出力する。そして、給湯制御装置Cは、ガス熱源機501,502、各種ポンプ37,51,52,73、給水電磁弁15,16などの作動制御を行うことで、給湯システム全体の運転制御を行う。従って、本実施の形態では、給湯制御装置C及び熱源機制御装置C1,C2が、給湯システムの制御装置を構成する。なお、熱源機制御装置C1,C2を設けることなく、1つの制御装置で給湯システム全体の運転制御を行ってもよい。
【0035】
次に、
図2を参照して本実施の形態の給湯システムにおける即湯制御の制御動作を説明する。
リモコンRのオン状態で、即湯循環ポンプ73が停止していれば(ステップS1で、Yes)、外気温温度センサ80で検出される外気温が取得され、取得された外気温に応じて、所定の即湯開始時間t1を設定して、タイマをスタートさせる(ステップS2)。
【0036】
即湯開始時間t1は、実験により求められる値であり、本実施の形態の給湯システムでは、例えば、外気温が、5℃の場合、即湯開始時間t1は、15分間である。なお、即湯開始時間t1は、給湯システムの構成に応じて、適宜設定することができる。
【0037】
次いで、水量センサ36で検出される水の流量が所定の下限流量M(例えば、0.1L/min)以下であるかどうかが判定される(ステップS3)。水の流量が下限流量Mより多ければ(ステップS3で、No)、出湯端末400が使用されているから、タイマをリセットする。
【0038】
水量センサ36で検出される水の流量が所定の下限流量M以下であり(ステップS3で、Yes)、即湯循環ポンプ73の停止時間が即湯開始時間t1以上、継続していれば(ステップS4で、Yes)、所定の回転数で即湯循環ポンプ73の作動を開始させる(ステップS5)。
【0039】
即湯循環ポンプ73の作動を開始させると、
図3に示す貯湯タンク6から最も遠い出湯端末400までの給湯往き管71の長さに応じて設定されている所定の即湯停止時間t2を計時するため、タイマをスタートさせる。即湯停止時間t2も、実験により求められる値であり、給湯システムの構成に応じて、適宜設定することができる。なお、図示しないが、即湯循環回路にはオリフィスが設けられているため、所定の回転数で即湯循環ポンプ73を作動させた場合、配管長さに関わらず即湯循環回路内を流れる湯水の流量は略一定である。これにより、即湯停止時間t2を容易に設定することができる。
【0040】
次いで、即湯循環ポンプ73の作動時間が即湯停止時間t2以上継続しているか、即湯戻り温度センサ74で検出される湯水の温度が貯湯タンク6の貯湯設定温度(例えば、60℃)より低い所定の即湯停止温度T2(例えば、50℃であり、貯湯開始温度以下が好ましい)以上を所定の継続時間tm(例えば、5秒間)継続しているかどうかが判定される(ステップS6~S7)。
【0041】
そして、即湯循環ポンプ73の作動時間が即湯停止時間t2以上であり、且つ湯水の温度が即湯停止温度T2以上を継続時間tm継続していれば(ステップS6及びS7で、Yes)、即湯循環ポンプ73を停止させる(ステップS9)。
【0042】
一方、即湯循環ポンプ73の作動時間が即湯停止時間t2未満である場合(ステップS6で、No)、または湯水の温度が即湯停止温度T2以上を継続時間tm継続していない場合(ステップS7で、No)、水量センサ36で検出される水の流量が下限流量M以下であれば(ステップS8で、No)、両条件が満たされるまで、即湯循環ポンプ73の作動を継続させる。なお、即湯制御中、出湯端末400の使用が開始されて、水の流量が下限流量Mより多くなれば(ステップS8で、Yes)、即湯循環ポンプ73を停止させる(ステップS9)。
【0043】
以上のように、本実施の形態によれば、即湯循環ポンプ73の作動を開始させた後、即湯循環回路内の湯水の温度が所定の即湯停止温度以上となり、且つ即湯循環ポンプ73の作動開始からの作動時間が所定の即湯停止時間以上になると、即湯循環ポンプ73を停止させるから、配管の一部のみが加熱されて即湯循環回路内で局所的に湯水の温度が所定の即湯停止温度以上となった場合でも、所定の即湯停止時間まで即湯循環ポンプ73が作動される。これにより、即湯制御において、確実に即湯循環回路内の湯水の温度を上昇させることができ、任意のタイミングで出湯端末400で湯水の使用が開始されたときでも、出湯端末400から確実に温かい湯水を出湯させることができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、給湯源は、第1及び第2ガス熱源機501,502と、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク6と、第1及び第2ガス熱源機501,502と貯湯タンク6との間で湯水を循環させる加熱循環回路とを有し、即湯循環回路は、貯湯タンク6と出湯端末400との間で形成され、即湯停止温度は、貯湯タンク6に貯湯される湯水の貯湯設定温度より低く設定されるから、湯水の循環によって即湯循環回路内の即湯停止温度の湯水が貯湯タンク6に戻り、例えば、上記した貯湯制御において貯湯タンク6内の湯水を加熱するために貯湯タンク6の下部から第1及び第2ガス熱源機501,502に湯水が供給されたとき、第1及び第2ガス熱源機501,502で湯水を確実に加熱することができる。これにより、貯湯タンク6内の湯水の温度を貯湯設定温度以上に維持することができ、出湯端末400に所定の給湯温度の湯水を供給することができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、即湯停止時間は、貯湯タンク6から出湯端末400までの給湯往き管71の配管長さに応じて設定されるから、給湯往き管71内の湯水の温度を上昇させることができるとともに、即湯循環回路から貯湯タンク6内に戻される湯水の量が制限され、不要な湯水の循環を防止することができ、過度に湯水を循環させることによって生じる貯湯タンク6内の湯水の温度成層の崩れを抑えることができる。これにより、貯湯タンク6から出湯端末400に所定の給湯温度の湯水を安定して供給することができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、出湯端末400から確実に温かい湯水を出湯させることができる給湯システムを提供できるから、理美容院などの施設に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
2 給水タンク
3 給水管
35 圧力センサ
36 水量センサ
37 給水加圧ポンプ
6 貯湯タンク
40 加熱往き管
44 加熱戻り管
71 給湯往き管
72 給湯戻り管
73 即湯循環ポンプ
74 即湯戻り温度センサ
501,502 ガス熱源機
C 給湯制御装置
C1,C2 熱源機制御装置