(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119629
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B62K 5/007 20130101AFI20230822BHJP
B62K 13/00 20060101ALI20230822BHJP
A61G 5/04 20130101ALI20230822BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B62K5/007
B62K13/00
A61G5/04 710
A61G5/10 703
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022590
(22)【出願日】2022-02-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)試験の実施 試験日 令和4年1月20日 試験場所 株式会社ジイケイ京都 (2)試験の実施 試験日 令和4年1月29日 試験場所 木村ファーム
(71)【出願人】
【識別番号】501022941
【氏名又は名称】株式会社ジイケイ京都
(71)【出願人】
【識別番号】522063550
【氏名又は名称】きづきアーキテクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】榎本 信之
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA07
3D011AC01
3D011AC04
3D011AD18
3D011AD19
3D011AD21
3D011AD22
(57)【要約】
【課題】幅広い年齢層のユーザのニーズに応えることが可能な電動車両を提供する。
【解決手段】電動車両は、複数の車輪と、電動機と、バッテリと、ボディ部と、可動部材とを備える。電動機は、複数の車輪の少なくとも一部を回転させるように構成されている。バッテリは、電動機に電力を供給するように構成されている。ボディ部は、上方が開放されており運搬対象を収容可能な収容部を含む。ボディ部には、複数の車輪、電動機及びバッテリの各々が取り付けられている。可動部材は、ボディ部に対して回動可能であり、第1状態と第2状態との間で遷移するように構成されている。可動部材が第1状態である場合に、電動車両のユーザは、可動部材上に座った状態で電動車両を操作する。可動部材が第2状態である場合に、ユーザは、可動部材を把持して立った状態で電動車両を操作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両であって、
複数の車輪と、
前記複数の車輪の少なくとも一部を回転させるように構成された電動機と、
前記電動機に電力を供給するように構成されたバッテリと、
運搬対象を収容可能な収容部を含み、前記複数の車輪、前記電動機及び前記バッテリの各々が取り付けられたボディ部と、
前記ボディ部に対して回動可能であり、第1状態と第2状態との間で遷移するように構成された可動部材とを備え、
前記可動部材が前記第1状態である場合に、前記電動車両のユーザは、前記可動部材上に座った状態で前記電動車両を操作し、
前記可動部材が前記第2状態である場合に、前記ユーザは、前記可動部材を把持して立った状態で前記電動車両を操作する、電動車両。
【請求項2】
前記可動部材が前記第1状態である場合に前記電動車両の平面視において前記可動部材と前記収容部とが重なる面積は、前記可動部材が前記第2状態である場合に前記平面視において前記可動部材と前記収容部とが重なる面積よりも大きい、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記可動部材が前記第1状態である場合における前記電動車両の前方と、前記可動部材が前記第2状態である場合における前記電動車両の前方とは、互いに反対の方向である、請求項1又は請求項2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記電動車両の側面視において、前記可動部材は、第1及び第2端部と、前記第1及び第2端部間に位置する屈曲部とを含み、
前記第1端部は、前記第2端部と比較して、前記可動部材が前記第2状態である場合に前記ユーザによって把持される位置に近く、
前記可動部材が前記第1状態である場合には前記屈曲部の近傍が前記ボディ部に接する一方、前記可動部材が前記第2状態である場合には前記第2端部が前記ボディ部に接する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動車両。
【請求項5】
前記収容部の複数の側面のうちの少なくとも一部は傾斜面であり、
前記バッテリは、前記収容部の下方において前記傾斜面に沿って配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-146055号公報(特許文献1)は、電動車両を開示する。この電動車両は、主に高齢者又は要介護者によって使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているような電動車両は、「シニアカー」と呼ばれることがある。シニアカーは高齢者用の電動車両として一般的に認識されているため、未だ現役であると考えるユーザ(高齢者)は必ずしも積極的にシニアカーを使用しない。シニアカーの使用は、ユーザの身体機能の低下が顕在化した後に開始されることが多い。身体機能の低下が顕在化したユーザが不慣れな状態でシニアカーの使用を開始することは、例えば、安全の観点から好ましくない。
【0005】
仮にこのような電動車両が幅広い年齢層のユーザのニーズに応えるものであり、ユーザが若い時からこのような電動車両を使用していれば、ユーザが老後に不慣れな状態で電動車両の使用を開始するという問題が生じない。本発明の目的は、幅広い年齢層のユーザのニーズに応えることが可能な電動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う電動車両は、複数の車輪と、電動機と、バッテリと、ボディ部と、可動部材とを備える。電動機は、複数の車輪の少なくとも一部を回転させるように構成されている。バッテリは、電動機に電力を供給するように構成されている。ボディ部は、運搬対象を収容可能な収容部を含む。ボディ部には、複数の車輪、電動機及びバッテリの各々が取り付けられている。可動部材は、ボディ部に対して回動可能であり、第1状態と第2状態との間で遷移するように構成されている。可動部材が第1状態である場合に、電動車両のユーザは、可動部材上に座った状態で電動車両を操作する。可動部材が第2状態である場合に、ユーザは、可動部材を把持して立った状態で電動車両を操作する。
【0007】
この電動車両において、可動部材が第1状態である場合に、ユーザは、可動部材上に座った状態で電動車両を操作する一方、可動部材が第2状態である場合に、ユーザは、可動部材を把持して立った状態で電動車両を操作する。したがって、この電動車両によれば、可動部材の状態を遷移させることによって、異なる用途に電動車両を用いることができる。すなわち、この電動車両によれば、電動車両をシニアカー等の電動カートとして用いることができ、かつ、電動車両を電動手押し車(電動運搬車)として用いることができる。その結果、この電動車両によれば、幅広い年齢層のユーザのニーズに応えることができる。
【0008】
上記電動車両において、可動部材が第1状態である場合に電動車両の平面視において可動部材と収容部とが重なる面積は、可動部材が第2状態である場合に平面視において可動部材と収容部とが重なる面積よりも大きくてもよい。
【0009】
この電動車両によれば、可動部材が第2状態である場合に、平面視において可動部材と収容部とが重なる面積が小さいため、収容部への運搬対象の収容、及び、収容部からの運搬対象の取出しの各々を容易に行なうことができる。
【0010】
上記電動車両において、可動部材が第1状態である場合における電動車両の前方と、可動部材が第2状態である場合における電動車両の前方とは、互いに反対の方向であってもよい。
【0011】
上記電動車両において、電動車両の側面視において、可動部材は、第1及び第2端部と、第1及び第2端部間に位置する屈曲部とを含み、第1端部は、第2端部と比較して、可動部材が第2状態である場合にユーザによって把持される位置に近く、可動部材が第1状態である場合には屈曲部の近傍がボディ部に接する一方、可動部材が第2状態である場合には第2端部がボディ部に接してもよい。
【0012】
この電動車両によれば、可動部材が第1状態及び第2状態のいずれの状態であっても可動部材の一部がボディ部に接することによって可動部材の位置が決まるため、可動部材が第1状態及び第2状態のいずれの状態であっても安定した状態で電動車両を用いることができる。
【0013】
上記電動車両において、収容部の複数の側面のうちの少なくとも一部は傾斜面であり、バッテリは、収容部の下方において傾斜面に沿って配置されていてもよい。
【0014】
この電動車両によれば、バッテリが収容部の下方において傾斜面に沿って配置されているため、例えば、バッテリが収容部の下面に配置されている場合と比較して、バッテリと地面との接触の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、幅広い年齢層のユーザのニーズに応えることが可能な電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】電動車両が電動カートの形態である場合に、電動車両を第1方向の斜め上方から示す斜視図である。
【
図2】電動車両が電動カートの形態である場合に、電動車両を第1方向の斜め下方から示す斜視図である。
【
図3】電動車両が電動カートの形態である場合に、電動車両を第2方向の斜め上方から示す斜視図である。
【
図4】電動車両が電動カートの形態である場合に、電動車両を第2方向の斜め下方から示す斜視図である。
【
図5】電動車両が電動手押し車の形態である場合に、電動車両を第2方向の斜め上方から示す斜視図である。
【
図6】電動車両が電動手押し車の形態である場合に、電動車両を第1方向の斜め上方から示す斜視図である。
【
図7】可動部材が第1状態である場合におけるボディ部及び可動部材の一部を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図7における回動機構の近傍を示す拡大図である。
【
図9】可動部材が第2状態である場合におけるボディ部及び可動部材の一部を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。また、各図面においては、電力線及び通信線等の配線が省略されている。
【0018】
[1.概要]
高齢者用の電動車両が一般的に知られている。このような電動車両は、例えば、「シニアカー」とも称される。シニアカーは高齢者用の電動車両として一般的に認識されているため、未だ現役であると考えるユーザ(高齢者)は必ずしも積極的にシニアカーを使用しない。シニアカーの使用は、ユーザの身体機能の低下が顕在化した後に開始されることが多い。身体機能の低下が顕在化したユーザが不慣れな状態でシニアカーの使用を開始することは、例えば、安全の観点から好ましくない。
【0019】
仮にこのような電動車両が幅広い年齢層のユーザのニーズに応えるものであり、ユーザが若い時からこのような電動車両を使用していれば、ユーザが老後に不慣れな状態で電動車両の使用を開始するという問題が生じない。本実施の形態に従う電動車両10は、幅広い年齢層のユーザのニーズに応えることが可能な特徴を有している。具体的には、電動車両10は、電動カートの形態、及び、電動手押し車(電動運搬車)の形態の間で変形可能となっている。すなわち、電動車両10は、電動カートとしての使用が可能であり、かつ、電動手押し車としての使用が可能となっている。
【0020】
現役世代のユーザは、例えば、電動車両10を電動手押し車として使用することによって農作業等を行なう一方、近場への移動が必要な場合に電動車両10を電動カートとして使用することができる。また、現役を引退したユーザは、例えば、日常的に電動車両10を電動カートして使用することができる。現役時代から電動車両10を日常的に使用することによって、ユーザは、現役引退後にスムーズに電動車両10を電動カートとして使用することができる。以下、電動車両10について詳細に説明する。
【0021】
[2.電動車両の構成]
図1は、電動車両10が電動カートの形態である場合に、電動車両10を第1方向の斜め上方から示す斜視図である。
図2は、電動車両10が電動カートの形態である場合に、電動車両10を第1方向の斜め下方から示す斜視図である。
図3は、電動車両10が電動カートの形態である場合に、電動車両10を第2方向の斜め上方から示す斜視図である。
図4は、電動車両10が電動カートの形態である場合に、電動車両10を第2方向の斜め下方から示す斜視図である。なお、電動車両10が電動カートの形態である場合には、第1方向が電動車両10の前方向であり、第2方向が電動車両10の後方向である。
【0022】
図1、
図2,
図3及び
図4を参照して、電動車両10は、ボディ部100と、足置き部160と、可動部材200と、複数の車輪500(500A,500B)と、複数のキャスタ130(130A,130B)と、複数の電動機400(400A,400B)と、バッテリ300と、操作部600とを含んでいる。
【0023】
ボディ部100は、フレーム120と、収容部140とを含んでいる。フレーム120は、例えばステンレス等の金属製であり、ベースフレーム部101と、2つのサイドフレーム部102(102A,102B)と、連結フレーム部121,122,145とを含んでいる。ベースフレーム部101は、例えば、周状の金属部材に曲げ加工を施すことによって形成されている。ベースフレーム部101は複数の棒状部を含み、各棒状部間には屈曲部が形成されている。
【0024】
具体的には、ベースフレーム部101は、棒状部135,136,137,138,139,143を含んでいる。棒状部135,137の各々は、電動車両10の前後方向(以下、単に「前後方向」とも称する。)に延びている。棒状部135,137は、電動車両10の幅方向(以下、単に「幅方向」とも称する。)において互いに間隔を空けて設けられている。棒状部135,137の各々は、第2方向側に寄る程、棒状部135,137間の幅が広がるように形成されている。棒状部135の第1方向の端部(以下、「第1方向端部」とも称する。)近傍にはキャスタ130Aが取り付けられており、棒状部137の第1方向端部近傍にはキャスタ130Bが取り付けられている。
【0025】
キャスタ130Aは、回転軸131と、本体部132と、シャフト133と、車輪510Aとを含んでいる。回転軸131は、上下方向に延びており、例えば、ベースフレーム部101の棒状部135に溶接によって連結されている。本体部132は、車輪510Aを両側から挟み込む構造を有し、回転軸131に対して回転可能に構成されている。車輪510Aは、幅方向に延びるシャフト133を介して本体部132に取り付けられている。なお、キャスタ130Bは、ベースフレーム部101の棒状部137に連結されている点、及び、車輪510Bを含む点を除いて、キャスタ130Aと同様の構成を有する。
【0026】
ベースフレーム部101の棒状部143は、幅方向に延びており、棒状部135,137の各々の第2方向の端部(以下、「第2方向端部」とも称する。)と屈曲部を介してつながっている。棒状部135,137間には、幅方向に延びる連結フレーム部145が、例えば、溶接によって連結されている。
【0027】
棒状部136は、棒状部135の第1方向端部と屈曲部を介してつながっており、棒状部135の第1方向端部から斜め下方に延びている。棒状部138は、棒状部137の第1方向端部と屈曲部を介してつながっており、棒状部137の第1方向端部から斜め下方に延びている。棒状部139は、幅方向に延びており、棒状部136,138の各々の第1方向端部と屈曲部を介してつながっている。棒状部139の上方には、足置き部160が取り付けられている。足置き部160は、板状の部材であり、電動車両10が電動カートの形態である場合にユーザの足を休ませる足置きとして用いられる。
【0028】
サイドフレーム部102Aは、例えば、ベースフレーム部101の棒状部135に溶接によって連結されており、サイドフレーム部102Bは、例えば、ベースフレーム部101の棒状部137に溶接によって連結されている。サイドフレーム部102A,102Bは、幅方向において互いに間隔を空けて設けられている。サイドフレーム部102A,102Bの各々は、複数の棒状部を含み、各棒状部間には屈曲部が形成されている。
【0029】
具体的には、サイドフレーム部102Aは、棒状部123,125,126,129を含んでいる。棒状部123は、前後方向に延びている。棒状部125は、棒状部123の第1方向端部と屈曲部を介してつながっており、棒状部123の第1方向端部から斜め上方に延びている。棒状部125は、上側に寄る程、第1方向側に寄るように形成されている。棒状部126は、棒状部125の上方の端部(以下、「上端部」とも称する。)と屈曲部を介してつながっており、棒状部125の上端部から第2方向に向かって延びている。棒状部126には、例えば、操作部600が取付け可能となっている。例えば、ユーザが左利きである場合には、棒状部126に操作部600が取付けられる。すなわち、操作部600は、着脱可能となっている。
【0030】
操作部600は、電動車両10の走行を制御するためのコントローラである。操作部600は、スティック610を含む。ユーザによってスティック610が所望の方向へ傾けられると、電動機400A,400Bの各々が制御され、電動車両10が所望の方向へ進む。
【0031】
サイドフレーム部102Aの棒状部129は、棒状部123の第2方向端部から斜め上方に延びている。棒状部129は、上側に寄る程、第2方向側に寄るように形成されている。なお、棒状部129の傾きは、棒状部125の傾きよりも緩やかである。棒状部129には、電動機400Aが接続されている。電動機400Aは、例えば、直流モータ又は交流モータによって構成される。電動機400Aには車輪500Aが接続されており、電動機400Aは車輪500Aを回転させるように構成されている。電動車両10において、車輪500Aは、駆動輪として機能する。
【0032】
サイドフレーム部102Bは、棒状部124,127,128,134を含んでいる。棒状部124は、前後方向に延びている。棒状部127は、棒状部124の第1方向端部と屈曲部を介してつながっており、棒状部124の第1方向端部から斜め上方に延びている。棒状部127は、上側に寄る程、第1方向側に寄るように形成されている。棒状部128は、棒状部127の上端部と屈曲部を介してつながっており、棒状部127の上端部から第2方向に向かって延びている。棒状部128には、例えば、操作部600が取付け可能となっている。例えば、ユーザが右利きである場合には、棒状部128に操作部600が取付けられる。
【0033】
棒状部134は、棒状部124の第2方向端部から斜め上方に延びている。棒状部134は、上側に寄る程、第2方向側に寄るように形成されている。なお、棒状部134の傾きは、棒状部127の傾きよりも緩やかである。棒状部134には、電動機400Bが接続されている。電動機400Bは、例えば、直流モータ又は交流モータによって構成される。電動機400Bには車輪500Bが接続されており、電動機400Bは車輪500Bを回転させるように構成されている。電動車両10において、車輪500Bは、駆動輪として機能する。また、棒状部123,124間には、幅方向に延びる連結フレーム部121,122が、例えば、溶接によって連結されている。
【0034】
収容部140は、フレーム120に固定されており、荷物等の運搬対象物を収容するように構成されている。収容部140は、バケットとも称される。収容部140においては、上方が開放されている。ユーザは、収容部140の上方から収容部140内に運搬対象物を配置することができる。収容部140は、例えば、複数の金属板によって構成されている。収容部140は、下面部141と、側面部142,144,146,148とを含んでいる。下面部141、及び、側面部142,144,146,148の各々の形状は、平面視において四角形状である。
【0035】
下面部141は、例えば、連結フレーム部121,122上に配置されている。下面部141の幅方向の長さは、連結フレーム部121,122の各々の幅方向の長さよりも短い。側面部142は、下面部141の前後方向に延びる辺のうち、棒状部123により近い辺から斜め上方に立ち上がっている。側面部142の下辺は、下面部141の前後方向に延びる辺のうち、棒状部123により近い辺とつながっている。側面部142の上辺は、例えば、ベースフレーム部101の棒状部135に連結されている。
【0036】
側面部148は、下面部141の前後方向に延びる辺のうち、棒状部124により近い辺から斜め上方に立ち上がっている。側面部148の下辺は、下面部141の前後方向に延びる辺のうち、棒状部124により近い辺とつながっている。側面部148の上辺は、例えば、ベースフレーム部101の棒状部137に連結されている。
【0037】
側面部144は、下面部141の幅方向に延びる辺のうち、連結フレーム部121により近い辺から斜め上方に立ち上がっている。側面部144の下辺は、下面部141の幅方向に延びる辺のうち、連結フレーム部121により近い辺とつながっている。側面部144の上辺は、例えば、連結フレーム部145に連結されている。
【0038】
側面部146は、下面部141の幅方向に延びる辺のうち、連結フレーム部122により近い辺から斜め上方に立ち上がっている。側面部146の下辺は、下面部141の幅方向に延びる辺のうち、連結フレーム部122により近い辺とつながっている。側面部146の上辺は、例えば、ベースフレーム部101の棒状部143に連結されている。側面部146の傾き(傾斜)は、側面部144の傾きよりも緩やかである。
【0039】
電動車両10においては、側面部146に沿う位置にバッテリ300が配置されている。バッテリ300は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、燃料電池又は全固体電池等の二次電池を含む。バッテリ300は、電動機400A,400Bの各々へ電力を供給するように構成されている。電動車両10によれば、バッテリ300が収容部140の下方において側面部146(傾斜面)に沿って配置されているため、例えば、バッテリ300が下面部141に配置されている場合と比較して、バッテリ300と地面との接触の発生を抑制することができる。
【0040】
可動部材200は、電動車両10が電動カートの形態である場合に椅子として機能する。可動部材200は、ボディ部100に対して回動可能に固定されている。可動部材200は、ボディ部100に対して回動することによって、第1状態と第2状態との間で遷移する。なお、電動車両10が電動カートの形態である場合における可動部材200の状態が第1状態であり、電動車両10が電動手押し車の形態である場合における可動部材200の状態が第2状態である。可動部材200が第1状態である場合に、電動車両10のユーザは、可動部材200上に座った状態で電動車両10を操作する。電動車両10が電動カートの形態である場合に、可動部材200は、収容部140の上方の一部を覆う。可動部材200は、棒状部210,212,214,220,222,224,226と、ネット部230,240とを含んでいる。
【0041】
可動部材200においては、電動車両10が電動カートの形態である場合に前後方向に延びる棒状部220,222と、棒状部220,222の各々の第1方向端部につながっており幅方向に延びる棒状部210と、棒状部220,222の各々の第2方向端部につながっており幅方向に延びる棒状部212とによって囲まれる領域にネット部230が配置されている。電動車両10が電動カートの形態である場合に、ネット部230は、椅子の座面として機能する。椅子の座面がネット部230によって構成されているため、例えば、椅子の座面が板等によって構成される場合と比較して、椅子の座面において雨等によって汚れる面積が小さい。
【0042】
また、ネット部230の前後方向の長さは、収容部140の前後方向の長さよりも短い。すなわち、収容部140の前後方向の長さは、ネット部230の前後方向の長さよりも長い。例えば、収容部140の前後方向の長さは、ネット部230の前後方向の長さの1.2倍~2.5倍であることが好ましく、1.4倍~2.0倍であることがさらに好ましい。例えば、収容部140の前後方向の長さがネット部230の前後方向の長さよりも長くなる程、収容部140の収容力は大きくなる。一方、収容部140の前後方向の長さは、電動車両10の全長が用途に応じた規制の範囲に収まるように決定される必要がある。
【0043】
また、電動車両10が電動カートの形態である場合に上下方向に延びる棒状部224,226と、棒状部224,226の各々の上端部と屈曲部を介してつながっており幅方向に延びる棒状部214と、棒状部224,226の各々の下端部に屈曲部を介してつながっており幅方向に延びる棒状部212とによって囲まれる領域にネット部240が配置されている。電動車両10が電動カートの形態である場合に、ネット部240は、椅子の背もたれとして機能する。椅子の背もたれがネット部240によって構成されているため、例えば、椅子の背もたれが板等によって構成される場合と比較して、椅子の背もたれにおいて雨等によって汚れる面積が小さい。
【0044】
棒状部222,220は、それぞれ回動機構150A,150Bを介してベースフレーム部101の棒状部135,137に回動可能に固定されている。可動部材200を回動させることによって、電動車両10を電動カートの形態から電動手押し車の形態へと変形させることができる。
【0045】
図5は、電動車両10が電動手押し車の形態である場合に、電動車両10を第2方向の斜め上方から示す斜視図である。
図6は、電動車両10が電動手押し車の形態である場合に、電動車両10を第1方向の斜め上方から示す斜視図である。なお、電動車両10が電動手押し車の形態である場合には、第2方向が電動車両10の前方向であり、第1方向が電動車両10の後方向である。すなわち、可動部材200が第1状態である場合における電動車両10の前方と、可動部材200が第2状態である場合における電動車両10の前方とは、互いに反対の方向である。
【0046】
図5及び
図6を参照して、電動車両10が電動手押し車の形態である場合に、可動部材200に含まれる棒状部220,222の各々は上下方向に延びており、可動部材200に含まれる棒状部224,226の各々は前後方向に延びている。また、可動部材200に含まれる棒状部222に設けられた突起部290が第2方向に延びている。また、可動部材200に含まれる棒状部220に設けられた突起部290が第2方向に延びている。操作部600は、例えば、可動部材200の棒状部224又は棒状部226に取り付けられる。
【0047】
電動車両10が電動手押し車の形態である場合には、収容部140の上方が可動部材200によって覆われていない。すなわち、可動部材200が第1状態である場合に電動車両10の平面視において可動部材200と収容部140とが重なる面積は、可動部材200が第2状態である場合に平面視において可動部材200と収容部140とが重なる面積よりも大きい。つまり、可動部材200が第2状態である場合に電動車両10の平面視において可動部材200と収容部140とが重なる面積は、可動部材200が第1状態である場合に平面視において可動部材200と収容部140とが重なる面積よりも小さい。電動車両10によれば、可動部材200が第2状態である場合に、平面視において可動部材200と収容部140とが重なる面積が小さいため、収容部140への運搬対象物の収容、及び、収容部140からの運搬対象物の取出しの各々を容易に行なうことができる。なお、本実施の形態においては、電動車両10が電動手押し車の形態である場合に、平面視において、可動部材200と収容部140とは重なっていない。しかしながら、例えば、各回動機構150がもう少し第2方向に寄った位置に配置され、電動車両10が電動手押し車の形態である場合に、平面視において、可動部材200と収容部140とが僅かに重なっていてもよい。
【0048】
このように、可動部材200が第2状態である場合に、可動部材200のうちの棒状部214がハンドルとして機能し、電動車両10は電動手押し車として機能する。可動部材200が第2状態である場合に、電動車両10のユーザは、例えば、可動部材200の棒状部214を把持して立った状態で電動車両10を操作する。このように、電動車両10によれば、可動部材200の状態を遷移させることによって、異なる用途に電動車両10を用いることができる。すなわち、電動車両10によれば、電動車両10をシニアカー等の電動カートとして用いることができ、かつ、電動車両10を電動手押し車(電動運搬車)として用いることができる。その結果、電動車両10によれば、幅広い年齢層のユーザのニーズに応えることができる。
【0049】
[3.電動車両における変形動作]
図7は、可動部材200が第1状態である場合におけるボディ部100及び可動部材200の一部を模式的に示す側面図である。
図7に示されるように、可動部材200は、側面視において「くの字」形状を有している。可動部材200において、棒状部222,226間には屈曲部227が設けられている。また、可動部材200は、端部228,229を含む。可動部材200が第1状態である場合には、屈曲部227の近傍(例えば、突起部290)がベースフレーム部101に接する。
【0050】
図8は、
図7における回動機構150Aの近傍を示す拡大図である。
図8に示されるように、ベースフレーム部101の棒状部135には、接続部151,157が設けられている。接続部151には、前後方向に延びる貫通孔G1が形成されている。一方、可動部材200の棒状部222の第1方向端部近傍には接続部156が設けられている。接続部156は、シャフト155を介して接続部157に回動可能に接続されている。
【0051】
接続部材152は接続部151,156間に設けられており、接続部材152の一方の端部はシャフト153を介して接続部151に回動可能に接続されており、接続部材152の他方の端部はシャフト154を介して接続部156に回動可能に接続されている。シャフト153は、貫通孔G1を貫通しており、貫通孔G1に沿って前後方向に移動可能に構成されている。
【0052】
図8における反時計回り方向に可動部材200を回動させると、棒状部222が接続部157及び接続部材152の各々に対して回動し、接続部材152が回転方向に動きつつ貫通孔G1において第1方向に徐々に移動する。接続部材152が貫通孔G1における第1方向端部に達した状態で、可動部材200が第2状態となる。そして、シャフト153が貫通孔G1において下方に押し込まれることによって、可動部材200が第2状態でロックされる。
【0053】
図9は、可動部材200が第2状態である場合におけるボディ部100及び可動部材200の一部を模式的に示す側面図である。
図9を参照して、可動部材200が第2状態である場合に、ユーザは、可動部材200の端部228の近傍を把持する。可動部材200が第2状態である場合には、可動部材200の端部229がベースフレーム部101に接する。電動車両10によれば、可動部材200が第1状態及び第2状態のいずれの状態であっても可動部材200の一部がボディ部100(ベースフレーム部101)に接することによって可動部材200の位置が決まるため、可動部材200が第1状態及び第2状態のいずれの状態であっても安定した状態で電動車両10を用いることができる。
【0054】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う電動車両10において、可動部材200が第1状態である場合に、ユーザは、可動部材200上に座った状態で電動車両10を操作する一方、可動部材200が第2状態である場合に、ユーザは、可動部材200を把持して立った状態で電動車両10を操作する。したがって、電動車両10によれば、可動部材200の状態を遷移させることによって、異なる用途に電動車両10を用いることができる。すなわち、電動車両10によれば、電動車両10をシニアカー等の電動カートとして用いることができ、かつ、電動車両10を電動手押し車(電動運搬車)として用いることができる。その結果、電動車両10によれば、幅広い年齢層のユーザのニーズに応えることができる。
【0055】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0056】
<5-1>
上記実施の形態に従う電動車両10においては、ネット部230,240が設けられた。しかしながら、電動車両10においては、必ずしもネット部230,240が設けられなくてもよい。例えば、ネット部230,240の代わりに、クッション性を有する板状の部材が設けられてもよい。要するに、電動車両10が電動カートの形態である場合に、座面及び背もたれとして機能する部材が設けられていればよい。
【0057】
<5-2>
また、上記実施の形態に従う電動車両10において、車輪の数は必ずしも4つでなくてもよい。例えば、車輪の数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0058】
<5-3>
また、上記実施の形態に従う電動車両10において、駆動輪は必ずしも2つでなくてもよい。例えば、四輪車である場合に、全ての車輪が駆動輪であってもよい。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0060】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 電動車両、100 ボディ部、120 フレーム、101 ベースフレーム部、102 サイドフレーム部、121,122,145 連結フレーム部、123,124,125,126,127,128,129,134,135,136,137,138,139,143,210,212,214,220,222,224,226 棒状部、130 キャスタ、131 回転軸、132 本体部、133,153,154,155 シャフト、140 収容部、141 下面部、142,144,146,148 側面部、150 回動機構、151,156,157 接続部、152 接続部材、160 足置き部、200 可動部材、230,240 ネット部、227 屈曲部、228,229 端部、290 突起部、300 バッテリ、400 電動機、500、510 車輪、600 操作部、610 スティック、G1 貫通孔。